JP2014043500A - チオフェン芳香族スルホン酸エステル、それを含む共重合体、及びその共重合体からなる導電性被覆物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 過電流保護素子として利用可能な新規な導電性高分子を提供する。
【解決手段】 共重合体が、下記一般式(1)で表されることを特徴とするチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステルから誘導される繰り返し単位と、チオフェンモノマーから誘導される繰り返し単位とを含む。
【化1】
Figure 2014043500

(式中、R、R、R、及びRは各々独立して、水素原子又は炭素数1〜16の炭化水素基を表す。また、RとR、又はRとRはそれぞれ互いに連結して環状構造を形成してもよい。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、チオフェン芳香族スルホン酸エステル、それを含む共重合体、及びその共重合体からなる導電性被覆物に関する。
過電流保護素子は、PTC(Positive temperature coefficient)素子とも呼ばれ、過電流の発生時に温度に依存して電気抵抗が増加する特性(PTC特性)を有する素子であり、通常はセラミック系と高分子系に大別される。
過電流保護素子に用いられる導電性高分子としては、例えば、ポリピロール及びポリアニリンが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
一方、近年、帯電防止剤、コンデンサ、太陽電池、有機EL、キャパシタ、センサ用途に導電性高分子としてポリチオフェン化合物が多く用いられているが、チオフェン誘導体での過電流保護素子の例は少ない。例えば、チオフェン環の3,4−位に炭素数が1〜3のアルキル基と炭素数8〜20以上のアルコキシ基をそれぞれ有するチオフェン重合体が報告されているが、その化合物では抵抗値の温度変化が小さいため、過電流保護素子としては十分ではない(例えば、特許文献3、非特許文献1参照)。
また、チオフェン芳香族スルホン酸エステルとしては、2,5−位にカルボニル基を有するチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステル類が農園芸用殺菌剤として知られている(例えば、特許文献4、5参照)。しかしながら、2,5−位が無置換のチオフェン芳香族スルホン酸エステルについては未だ報告されておらず、また、チオフェン芳香族スルホン酸エステルを含む共重合体を用いた過電流保護素子についても未だ報告されていない。
特開2006−24863号公報 特開平8−250016号公報 特開2005−154481号公報 特開昭56−103175号公報 米国特許第4421761号公報
Macromolecules(1992),25,PP.2141
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、過電流保護素子として利用可能な新規な導電性高分子を提供することである。具体的には、新規なチオフェン芳香族スルホン酸エステル、それを含む共重合体、及びその共重合体からなる導電性被覆物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に示すとおりの、チオフェン芳香族スルホン酸エステル、それを含む共重合体、及びその共重合体からなる導電性被覆物に関する。
[1]下記一般式(1)で表されるチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステル。
Figure 2014043500
(式中、R、R、R、及びRは各々独立して、水素原子又は炭素数1〜16の炭化水素基を表す。また、RとR、又はRとRはそれぞれ互いに連結して環状構造を形成してもよい。
[2]一般式(1)において、R、Rが各々独立して、水素原子、4−メチル基、若しくは4−ドデシル基を表すことを特徴とする上記[1]に記載のチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステル。
[3]一般式(1)において、RとR、又はRとRがそれぞれ互いに連結して隣接するフェニル基とともにナフタレン環を形成することを特徴とする上記[1]に記載のチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステル。
[4]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステルから誘導される繰り返し単位と、チオフェンモノマーから誘導される繰り返し単位とを含む共重合体。
[5]共重合体中に含まれる、上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステルから誘導される繰り返し単位が0.01〜25モル%の範囲であり、チオフェンモノマーから誘導される繰り返し単位が99.99〜75モル%の範囲であることを特徴とする上記[4]に記載の共重合体。
[6]チオフェンモノマーが、下記式(2)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする上記[6]に記載の共重合体。
Figure 2014043500
[7]上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステルとチオフェンモノマーとを酸化重合することを特徴とする上記[4]乃至[6]のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
[8]上記[4]乃至[6]のいずれかに記載の共重合体からなる導電性被覆物。
[9]上記[7]に記載の方法で得られた反応液を基材に塗布し乾燥することを特徴とする導電性被覆物の製造方法。
本発明によれば、チオフェン芳香族スルホン酸エステル、それを含む共重合体、及びその共重合体からなる導電性被覆物を提供することができる。
本発明の共重合体は、導電材料として用いることができ、また、温度上昇により抵抗値の増加を示すものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
<チオフェン芳香族スルホン酸エステル>
本発明のチオフェン芳香族スルホン酸エステルは、上記一般式(1)で表されるチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステルである。
一般式(1)において、R、R、R、及びRは各々独立して、水素原子、炭素数1〜16の炭化水素基を表す。また、RとR、又はRとRはそれぞれ互いに連結して環状構造を形成してもよい。
炭素数1〜16の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、セチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等を挙げることができる。また、置換基の位置としては、スルホニル基に対して、パラ位(以下、「p−」と略す。)が挙げられる。それらの中でも、工業的な入手可能性と経済性から、p−メチル基(4−メチル基)、p−n−ドデシル基(4−ドデシル基)が特に好ましい。
一般式(1)で表されるチオフェン芳香族スルホン酸エステルとしては、具体的には、3,4−ビス(ベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン3,4−ビス(p−トルエンスルホニルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(p−エチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(p−i−プロピルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(p−n−ブチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(p−n−ヘキシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(p−n−オクチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(p−n−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(p−セチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−ベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−トルエンスルホニルオキシ)チオフェン、3−ベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−エチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−ベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−ベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−i−プロピルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−ベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ヘキシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−ベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−オクチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−ベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−ベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−ベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−セチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−トルエンスルホニルオキシ−4−(p−エチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−トルエンスルホニルオキシ−4−(p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−トルエンスルホニルオキシ−4−(p−i−プロピルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−トルエンスルホニルオキシ−4−(p−n−ヘキシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−トルエンスルホニルオキシ−4−(p−n−オクチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−トルエンスルホニルオキシ−4−(p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−トルエンスルホニルオキシ−4−(p−n−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−トルエンスルホニルオキシ−4−(p−セチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−エチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−エチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−i−プロピルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−エチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ヘキシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−エチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−オクチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−エチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−エチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−i−プロピルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン3−p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ヘキシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−オクチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−セチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−i−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ブチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−i−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ヘキシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−i−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−オクチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−i−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−プロピルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−セチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−ブチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ヘキシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−ブチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−オクチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−ブチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−ブチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−ブチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−セチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−ヘキシルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−オクチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−ヘキシルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−ヘキシルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−ヘキシルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−セチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−オクチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−オクチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−オクチルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−セチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−n−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−デシルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−セチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン、3−p−n−ドデシルベンゼンスルホニルオキシ−4−(p−セチルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン等が例示される。
これらのうち、効果と工業的な入手可能性から、3,4−ビス(p−トルエンスルホニルオキシ)チオフェン[下記式(3)で表される化合物]、3,4−ビス(p−ドデシベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン[下記式(4)で表される化合物]が好ましい。
Figure 2014043500
Figure 2014043500
一方、RとR、又はRとRがそれぞれ互いに連結して隣接するフェニル基とともにナフタレン環を形成した場合としては、例えば、下記式(5)に示され3,4−ビス(2−ナフタレンスルホニルオキシ)チオフェンが好適なものとして挙げられる。
Figure 2014043500
本発明のチオフェン芳香族スルホン酸エステルの製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば、既知の方法に従い合成することができる(例えば、米国特許2453103号明細書参照)。
即ち、塩基性不活性溶媒中、原料の3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンを加温し(脱炭酸反応)、第三級アルキルアミン触媒の存在下、下記一般式(6)又は式(7)の構造を有するスルホニルクロライドと反応させる製造方法が好ましい。
Figure 2014043500
[上記式(6)中、Rは、上記式(1)におけるR〜Rと同様に、水素原子、又は炭素数1〜16の炭化水素基を表す。]
Figure 2014043500
この反応において、塩基性不活性溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、ピリジン、キノリン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらのうち、次の酸クロライドとの反応に汎用的な、ピリジンとN,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。これらの不活性溶媒は、単独で又は2種以上を用いることができる。
脱炭酸反応は、50〜120℃の範囲で行うことが好ましい。また加温後、−20〜50℃に冷却することが好ましい。
第三級アミン触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらのうち、操作性と経済性からトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンが好ましく、特にトリエチルアミンが好ましい。これらの第三級アミンは、単独で又は2種以上を用いることができる。
<共重合体>
本発明の共重合体は、上記した本発明のチオフェン芳香族スルホン酸エステルから誘導される繰り返し単位と、チオフェンモノマーから誘導される繰り返し単位とを含む。
本発明においてチオフェンモノマーとは、チオフェン環を有する単量体[但し、3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類を除く]であって、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3−メチルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−ブトキシチオフェン、3−メチル−4−オクチルオキシチオフェン、3−メチル−4−ラウリルオキシチオフェン、3−メチル−4−セチルオキシチオフェン、R,S−3,4−(1’−ヒドロキシメチル)エチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンオキシチアチオフェン等が挙げられる。これらのうち、効果と工業的な入手可能性から、上記式(2)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェンが特に好ましい。
本発明の共重合体における、本発明のチオフェン芳香族スルホン酸エステルと、チオフェンモノマーとの混合割合は、特に限定するものではないが、本発明のチオフェン芳香族スルホン酸エステルが0.01〜25モル%の範囲であり、チオフェンモノマーが99.99〜75モル%の範囲であることが好ましく、本発明のチオフェン芳香族スルホン酸エステルが0.1〜10モル%の範囲であり、チオフェンモノマーが99.9〜90モル%の範囲であることがさらに好ましく、本発明のチオフェン芳香族スルホン酸エステルが1〜5モル%の範囲であり、チオフェンモノマーが99〜95モル%の範囲であることが特に好ましい。
本発明の共重合体の製造方法としては、特に限定するものではないが、操作の簡便さから、酸化重合することが好ましい。
酸化重合に用いる酸化剤としては、例えば、過硫酸塩及び第二鉄塩等の一般的なものを用いることができる。過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が用いられ、また、第二鉄塩としては、例えば、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、トルエンスルホン酸第二鉄等が用いられる。これらの中でも酸化剤としては、酸化剤とドーパントを兼ねたトルエンスルホン酸第二鉄が特に好ましい。
酸化剤の使用量は、特に限定するものではないが、本発明のチオフェン芳香族スルホン酸エステルとチオフェンモノマーとを合わせたチオフェン誘導体の合計1モルに対し、1〜5倍モルの範囲が好ましく、2〜4倍モルの範囲が特に好ましい。
酸化重合に用いられる溶剤は、アルコール類、又は水系溶媒が好ましく、特に好ましくは、炭素数1〜4のアルキルアルコールである。
炭素数1〜4のアルキルアルコールとしてが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられ、これらは単一で又は水と混合して使用してもよい。
酸化重合において反応温度は、アルコール溶媒を取り扱うことが可能な反応温度であれば特に限定するものではないが、0〜50℃の範囲が好ましく、濃度変化をさせずに反応を進行させるためには、0〜30℃の範囲が特に好ましい。
<導電性被覆物>
本発明の導電性被覆物は、上記した本発明の共重合体からなる。
本発明の導電性被覆物の製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば、上記した共重合体の製造方法に従い、本発明のチオフェン芳香族スルホン酸エステルとチオフェンモノマーとを酸化重合させて共重合体を得、この反応液を基材表面に塗布し、乾燥させることで導電性被覆物を得ることができる。
基材としては、特に限定するものではないが、例えば、プラスチックシート、プラスチックフィルム、不織布、ガラス板等が挙げられる。
また、塗布方法は、特に限定するものではなくが、例えば、スピンコート、ワイヤーコート、バーコート、ロールコート、ブレートコート、カーテンコート、スクリーン印刷などが挙げられる。
乾燥させる際の加熱条件としては、特に限定するものではないが、熱劣化の影響を受けない50〜120℃が好ましい。
得られた導電性被覆物は、25℃付近の常温では抵抗値は低く、加熱で抵抗値が増す性質をもち、熱劣化性を有する導電性被覆物として好適に使用される。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。なお、本実施例における生成物の収率は、単離収量から推定した。
化合物のH−NMR及び13C−NMRの測定には、Varian社製、Gemini−200を使用した。
化合物のガスクロマトグラフィーの測定には島津製作所製、GC−14Aを用いた[測定条件:キャピラリーカラム(J&WScience社製、NB−5)、昇温、検出器FID]。
表面抵抗率の測定には、低抵抗率計(三菱化学社製、ロレススターGP、MCP−T600)を使用し、四探針法で測定した。
スピンコーターは、MIKASA製SPINNER、1H−D2を使用し、オーブンは、増田理化工業社製、定温乾燥器SA460型を用いた。
なお、ガラス基板は、松浪硝子製、S1127を使用した。
合成例1 3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンの合成.
原料の3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンは、既知の方法に従い合成した[Organic Synthesis Coll.Vol.2,P.576、J.Amer.Chem.Soc.,(1964),Vol.86,P.2014、J.Amer.Chem.Soc.,(1945),Vol.67,P.2217、及び米国特許2453102号明細書、参照]。
具体的には、下記反応式の製法で合成した。
Figure 2014043500
a)チオグリコール酸ジエチルの合成.
1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、ブロモ酢酸エチル(東京化成品、試薬1級)167.1g(1.0mol)と水339.0gを仕込み、10℃に冷却した。10℃を保ちながら硫化ナトリウム・9水和物(キシダ化学製、特級)132.9g(0.55mol)を水163.2gに溶解したものを1時間で滴下し、更に室温まで撹拌して18時間反応を行った。反応液を酢酸エチル抽出、水洗を行って、無水硫酸マグネシウム(関東化学製、試薬鹿特級)20.3gを加えて脱水後、90℃/16〜20mmHgで濃縮したところ、83.0gの濃縮液を得た。この液は、ガスクロマトグラフィー分析で単一ピークであり、H−NMRを測定したところ、チオグリコール酸ジエチルであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)1.29(6H,t,J=7.2Hz)、3.38(4H,s)、4.20(4H,t,J=7.2Hz)。
b)3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンジエチルエステルの合成.
1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、20%ナトリウムエトキサイド(和光純薬製、試薬1級)82.8g(0.24mol)を仕込み、5℃に冷却した。それに、10℃以下を保ちながら得られたチオグリコール酸ジエチル20.6g(0.10mol)と蓚酸ジエチル(和光純薬製、特級)17.2g(0.12mol)にエタノール18.8gを加えた溶液を1時間で滴下した。更に、1.0時間加熱還流した。反応終了後、反応液を60℃/20mmHg以下で濃縮し、水515.2gを加えて5℃まで冷却し、35%塩酸38.1g(0.37mol)を10℃以下で滴下したところ、白色沈殿を得た。得られた沈殿をろ過し、水に分散させて洗浄ろ過した後、60℃/1mmHgで4時間乾燥したところ、23.8gの白色粉末を得た。また、同様にして、白色粉末44.9gを得た。これらの粉末は、ガスクロマトグラフィー分析で単一ピークであり、H−NMR及び13C−NMRを測定したところ、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンジエチルエステルであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)1.38(6H,t,J=6.8Hz)、4.41(4H,q,J=7.4Hz)、9.36(2H,s)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)14.17、61.78、107.12、151.60、165.51。
c)3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンの合成.
1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、酢酸ナトリウム・3水和物(キシダ化学製、試薬特級)24.4g(0.18mol)と水酸化ナトリウム(キシダ化学製、試薬特級)3.1g(74.8mmol)を仕込み、120℃に加温した。そこに、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンジエチルエステル1.3g(5.0mmol)と水5.0gを加え、120℃で1.5時間撹拌し、更に、100℃で3時間反応を継続した。反応終了後、反応液に水62.3gと35%塩酸33.2g(0.32mol)を30℃以下で加え、反応液を酢酸エチル抽出、水洗を行って、無水硫酸マグネシウム(関東化学製、試薬鹿特級)4.3gを加えて脱水後、55℃/20mmHg以下で濃縮したところ、0.7gの褐色の固体を得た。
この固体は、13C−NMRを測定したところ、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンであることを確認した。更に、同様の方法で3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェン3.5gを入手した。
13C−NMR(50MHz,CDOD)109.00、152.23、167.31。
実施例1 上記式(3)で表される3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェンの合成例.
100mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェン0.2g(1.1mmol)とピリジン4.7gを仕込み、オイルバス中で100℃を保ちながら1時間加温し、脱炭酸反応を行った。次いで、5℃まで冷却してから、p−トルエンスルホニルクロライド(和光純薬製、試薬特級)0.7g(3.3mmol)を加え、更に、トリエチルアミン0.3g(3.4mmol)を8℃以下に保ちながら10分かけて滴下し、更に10℃以下で3時間撹拌した。15時間撹拌して室温に戻した後、ジエチルエーテルを加えてから、ろ過、濃縮、ジエチルエーテル抽出、水洗を行って、無水硫酸マグネシウム(関東化学製、試薬鹿特級)4.0gを加えて脱水後、55℃/20mmHg以下で濃縮したところ、0.4g(収率、80%)の淡褐色固体を得た。得られた固体は薄層クロマトグラフィー(Merck社製、RP−8F254S、アセトニトリル:水=10:1)で主スポットであり、H−NMR及び13C−NMRを測定したところ、3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェンであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)2.45(6H,s)、6.99(2H,s)、7.29(4H,d,J=8.0)、7.67(4H,d,J=8.4)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)21.74、113.37、129.00、131.62、136.42、145.69。
実施例2 上記式(4)で表される3,4−ビス(ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェンの合成例.
100mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェン0.5g(2.5mmol)とピリジン4.9gを仕込み、オイルバス中で120℃を保ちながら30分間加温し、脱炭酸反応を行った。次いで、2℃まで冷却してから、p−ドデシルベンゼンスルホニルクロライド(和光純薬製、化学用試薬)2.5g(7.4mmol)を加え、更に、トリエチルアミン0.7g(7.4mmol)を10℃以下に保ちながら30分かけて滴下した。そのまま室温に戻しながら15時間撹拌した後、ジエチルエーテルを加えてから、ろ過、濃縮、ジエチルエーテル抽出、水洗を行って、無水硫酸マグネシウム(関東化学製、試薬鹿特級)6.6gを加えて脱水後、55℃/20mmHg以下で濃縮したところ、2.1gの褐色粘調物を得た。得られた粘調物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬製、C−300、トルエン:酢酸エチル=10:1、及びn−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製したところ、淡褐色の液体0.6g(収率、32%)を得た。得られた液体は薄層クロマトグラフィー(Merck社製、RF254、n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で主スポットであり、H−NMR及び13C−NMRを測定したところ、3,4−ビス(ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェンであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)0.87(6H,m)、1.24−1.27(36H,m)、1.56(4H,m)、2.58−2.79(4H,m)、6.98(2H,s)、7.29(4H,d,J=8.8)、7.68(4H,d,J=8.4)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)14.10、22.67、29.28、29.61、31.68、31.80、36.59、113.46、127.69、128.29、128.40、131.86、136.55、155.59。
実施例3 上記式(5)で表される3,4−ビス(2−ナフタレンスルホニルオキシ)チオフェンの合成例.
100mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェン0.5g(2.5mmol)とピリジン4.5gを仕込み、オイルバス中で120℃を保ちながら30分間加温し、脱炭酸反応を行った。次いで、5℃まで冷却してから、2−ナフタレンスルホニルクロライド(東京化成製、試薬)1.7g(7.4mmol)を加え、更に、トリエチルアミン0.7g(7.4mmol)を12℃以下に保ちながら30分かけて滴下した。そのまま室温に戻しながら15時間撹拌した後、ジエチルエーテルを加えてから、ろ過、濃縮、ジエチルエーテル抽出、水洗を行って、無水硫酸マグネシウム(関東化学製、試薬鹿特級)6.1gを加えて脱水後、55℃/20mmHg以下で濃縮したところ、1.8gの褐色固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬製、C−300、トルエン:酢酸エチル=10:1)、n−ヘキサン洗浄で精製したところ、淡褐色の個体0.6g(収率、49%)を得た。得られた液体は薄層クロマトグラフィー(Merck社製、RF254、n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で主スポットであり、H−NMR及び13C−NMRを測定したところ、3,4−ビス(2−ナフタレンスルホニルオキシ)チオフェンであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)6.99(2H,s)、7.25−7.72(6H,m)、7.82−7.87(6H,m)、8.30(2H,d,J=1.4)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)113.57、121.17、122.51、125.14、127.69、127.85、128.00、128.81、131.55、135.40、136.35、140.99。
実施例4 上記式(3)で表される3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェン25mol%と上記式(2)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェン75mol%との共重合体の重合例.
実施例1で得た3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェン42.4mg(0.1mmol)を、3,4−エチレンジオキシチオフェン(ハイケム社製、99.9%以上)43.0mg(0.3mmol)に添加し、3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェンを25mol%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン液を得た。
次いで、得られた3,4−エチレンジオキシチオフェン液85.4mgを、触媒Clevios C−B40 V2[Heraeus社製、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、40%ブタノール溶液]4.0g(7.1mmol)に添加し酸化重合を行い、3,4−エチレンジオキシチオフェンから誘導される繰り返し単位と、3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェンから誘導される繰り返し単位とを含む共重合体を合成した。
得られた反応液を、硝子基板(26mm×25mm切片)に約0.3g載せ、スピンコートで塗布した(300rpm、60秒)。次いで、塗布基板を120℃以上で焼成、水洗後、100℃で乾燥し、前記共重合体からなる被覆物を得た。更に、同様の操作を繰返し、塗布サンプルを3枚得た。
得られた3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェンを25mol%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン膜を掻き取り50.0mgの粉末を得た。その粉末をN−メチルホルムアミドに溶解してH−NMRを測定したところ、3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェンのチオフェン環の2,5−位由来のピーク6.99ppmと3,4−エチレンジオキシチオフェンのチオフェン環の2,5−位由来のピーク6.32ppmが消失し、共重合体を形成していることが分かった。
実施例5 上記式(3)で表される3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェン5mol%と上記式(2)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェン95mol%との共重合体の重合例.
実施例1で得た3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェン109.3mg(0.25mmol)を、3,4−エチレンジオキシチオフェン(ハイケム社製、99.9%以上)731.1mg(5.0mmol)に添加し、3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェンを25mol%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン液を得た。
次いで、得られた3,4−エチレンジオキシチオフェン液100.5mgを、触媒Clevios C−B40 V2[Heraeus社製、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、40%ブタノール溶液]5.0g(8.8mmol)に添加し酸化重合を行い、3,4−エチレンジオキシチオフェンから誘導される繰り返し単位と、3,4−ビス(トルエンスルホニルオキシ)チオフェンから誘導される繰り返し単位を含む共重合体とを合成した。
得られた反応液を、硝子基板(26mm×25mm切片)に約0.3g載せ、スピンコートで塗布した(300rpm、60秒)。次いで、塗布基板を120℃以上で焼成、水洗後、100℃で乾燥し、前記共重合体からなる被覆物を得た。
実施例6 上記式(4)で表される3,4−ビス(ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン5mol%と上記式(2)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェン95mol%との共重合体の重合例.
実施例2で得た3,4−ビス(ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン183.0mg(0.25mmol)を、3,4−エチレンジオキシチオフェン(ハイケム社製、99.9%以上)711.9mg(5.0mmol)に添加し、3,4−ビス(ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェン5mol%含有の3,4−エチレンジオキシチオフェン液を得た。
次いで、得られた3,4−エチレンジオキシチオフェン液100.8mgを、触媒Clevios C−B40 V2[Heraeus社製、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、40%ブタノール溶液]5.0g(8.8mmol)に添加し酸化重合を行い、3,4−エチレンジオキシチオフェンから誘導される繰り返し単位と、3,4−ビス(ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェンから誘導される繰り返し単位とを含む共重合体を合成した。
得られた反応液を、硝子基板(26mm×25mm切片)に約0.3g載せ、スピンコートで塗布した(300rpm、60秒)。次いで、塗布基板を120℃以上で焼成、水洗後、100℃で乾燥し、前記共重合体からなる被覆物を得た。
実施例7 上記式(5)で表される3,4−ビス(2−ナフタレンスルホニルオキシ)チオフェン5mol%と上記式(2)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェン95mol%との共重合体の重合例.
実施例3で得た3,4−ビス(2−ナフタレンスルホニルオキシ)チオフェン124.3mg(0.25mmol)を、3,4−エチレンジオキシチオフェン(ハイケム社製、99.9%以上)711.8mg(5.0mmol)に添加し、3,4−ビス(2−ナフタレンスルホニルオキシ)チオフェンを5mol%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン液を得た。
次いで、得られた3,4−エチレンジオキシチオフェン液100.2mgを、触媒Clevios C−B40 V2[Heraeus社製、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、40%ブタノール溶液]5.0g(8.8mmol)に添加し酸化重合を行い、3,4−エチレンジオキシチオフェンから誘導される繰り返し単位と、3,4−ビス(2−ナフタレンスルホニルオキシ)チオフェンから誘導される繰り返し単位とを含む共重合体を合成した。
得られた反応液を、硝子基板(26mm×25mm切片)に約0.3g載せ、スピンコートで塗布した(300rpm、60秒)。次いで、塗布基板を120℃以上で焼成、水洗後、100℃で乾燥し、前記共重合体からなる被覆物を得た。
比較例1 上記式(2)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェン重合体の重合例.
触媒Clevios C−B40 V2[Heraeus社製、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、40%ブタノール溶液]5.0g(8.8mmol)に、市販の3,4−エチレンジオキシチオフェン(ハイケム社製、99.9%以上)101.0mgを添加し酸化重合を行った。
得られた反応液を、硝子基板(26mm×25mm切片)に約0.3g載せ、スピンコートで塗布した(300rpm、60秒)。次いで、塗布基板を120℃以上で焼成、水洗後、100℃で乾燥し、前記重合体からなる被覆物を得た。
実施例8〜実施例11、比較例2 熱劣化性試験.
実施例4〜実施例7、及び比較例1で得られた被覆物について、加熱前、24時間加熱後、48時間加熱後での表面抵抗率を抵抗率計で測定した。被覆物の加熱はガラス基板ごと大気中で130℃のホットプレートに置いて実施した。測定結果を表1に併せて示す。
Figure 2014043500
表1から明らかなとおり、加熱前における実施例4〜実施例7で得られた被覆物の表面抵抗値は、比較例1で得られた被覆物と同等の低い抵抗値を示した。また、実施例4〜実施例7で得られた被覆物は、比較例1で得られた被覆物と比較して、加熱後大きな抵抗値の変化を示した。
すなわち、実施例4〜実施例7で得られた被覆物は、加熱前の室温(25℃付近)では、比較例1で得られた被覆物と同程度の低い抵抗値を示し、大気中、130℃の条件下で48時間以上保った場合には、比較例1で得られた被覆物の2倍以上へ抵抗値が増加するという特徴を示した。
本発明の共重合体は、導電材料として用いることができるとともに、温度上昇により抵抗値の増加を示すため、熱劣化性を有する導電性被覆物を提供することができる。
本発明の共重合体は、過電流保護素子としての利用が期待される。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表されるチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステル。
    Figure 2014043500
    (式中、R、R、R、及びRは各々独立して、水素原子又は炭素数1〜16の炭化水素基を表す。また、RとR、又はRとRはそれぞれ互いに連結して環状構造を形成してもよい。
  2. 一般式(1)において、R、Rが各々独立して、水素原子、4−メチル基、若しくは4−ドデシル基を表すことを特徴とする請求項1に記載のチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステル。
  3. 一般式(1)において、RとR、又はRとRがそれぞれ互いに連結して隣接するフェニル基とともにナフタレン環を形成することを特徴とする請求項1に記載のチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステル。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステルから誘導される繰り返し単位と、チオフェンモノマーから誘導される繰り返し単位とを含む共重合体。
  5. 共重合体中に含まれる、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステルから誘導される繰り返し単位が0.01〜25モル%の範囲であり、チオフェンモノマーから誘導される繰り返し単位が99.99〜75モル%の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の共重合体。
  6. チオフェンモノマーが、下記式(2)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の共重合体。
    Figure 2014043500
  7. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステルとチオフェンモノマーとを酸化重合することを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
  8. 請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の共重合体からなる導電性被覆物。
  9. 請求項7に記載の方法で得られた反応液を基材に塗布し乾燥することを特徴とする導電性被覆物の製造方法。
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