JP2005154481A - 導電性高分子およびその用途 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、導電性高分子およびその用途に関し、さらに詳しくは、導電性が優れ、かつ高湿度条件下においても導電率の劣化が少なく、しかも溶剤への可溶性が可能な導電性高分子およびその特性を生かした用途に関する。
導電性高分子は、比較的高い導電率を持ち加工性に優れていることから、アルミニウムコンデンサ、タンタルコンデンサなどの固体電解コンデンサの固体電解質、有機ELのホール輸送層または発光層、帯電防止樹脂や帯電防止塗料の帯電防止剤などに用いられている。
上記用途においては、アニリン、ピロール、チオフェン、それらの誘導体などのモノマーを電解酸化重合または化学酸化重合することによって合成した導電性高分子が用いられている。
一般的に電解酸化重合による高分子化は、比較的整った配列を有する高分子を合成できることが知られており、非常に有望な重合方法である。しかしながら、電解酸化重合は、その実施のための装置が煩雑となり、装置コスト、汎用性などの面から工業的な用途では不向きである。
これに対して、化学酸化重合は、酸化剤として、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、あるいは遷移金属塩などを用い、混合するだけで重合反応を進めていくことができるので、工業的な製造には適している。しかしながら、電解酸化重合の場合と比べて整った配列を有する高分子ができにくく、結果的に導電性が悪くなる傾向がある。また、化学酸化重合法は、電解酸化重合法に比べて大量生産には向いているものの、合成後の高分子が溶剤に溶けない場合が多く、その使用については用途が限定されるという問題があった。
化学酸化重合法において、高分子が合成しやすく、また合成後の高分子が溶剤に溶けるように調整しやすい化合物としては、アニリンが知られており、そのアニリンを重合して得られたポリアニリンは、比較的高い導電率を示すことから様々な分野で使用されている。しかしながら、ポリアニリンには、高湿度条件下では脱ドープしやすく、経時的に導電性が低下するという問題があった。
また、アニリンに代えて、チオフェンの誘導体を重合した導電性高分子を固体電解コンデンサの固体電解質として用いることも提案されている。
特開昭60−37114号公報
特開平2−15611号公報
上記特許文献1では、チオフェン分子の3位と4位の双方をアルキル基にした高分子化合物が開示されている。また、特許文献2では、チオフェン分子の3位と4位の双方をアルコキシル基にした高分子化合物が開示されている。
これらのポリチオフェンは、ポリアニリンに比べると、経時的な導電性の低下は少ないものの、化学酸化重合では高分子化しない上に、溶剤に対して難溶であるため、その用途が制約され、上記特許文献1〜2では、その用途が固体電解コンデンサの固体電解質に限られている。
本発明は、上記のような従来の導電性高分子の問題点を解決し、化学酸化重合法で製造しても、高分子中の各構成単位分子当たりの官能基の配置が比較的整った配列を有し、その結果として導電性が優れ、かつ高湿度条件下においても導電率の劣化が少なく、しかも溶剤への可溶化が可能な導電性高分子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、導電性高分子の合成に際してモノマーとなるチオフェンの3位と4位にそれぞれ特定の官能基を導入することにより、合成後の構成単位分子配列が比較的整い、導電性が優れ、かつ高湿度条件下においても導電率の劣化が少なく、しかも溶剤への可溶化が可能な導電性高分子を得られることを見出し、本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明は、下記の化学式(1)
(式中、R1 は炭素数1〜3のアルキル基で、R2 は炭素数8〜20のアルキル基であり、R2 で表されるアルキル基中にエーテル結合が含まれていてもよい)で表されるモノマーを、遷移金属塩で化学酸化重合することによって得られた導電性高分子およびその用途に関するものである。
本発明において、導電性高分子の合成に際して用いるモノマーは、上記化学式(1)からも明らかなように、チオフェンの3位または4位のいずれか一方に炭素数の少ない低級アルキル基を導入し、他方に炭素数の多い高級アルコキシル基を導入していることを特徴としていて、それによって、得られる導電性ポリマーを前記のような特性を有するようにしている。
本発明の導電性高分子は、化学酸化重合法で合成しているにもかかわらず、高分子中の各構成単位分子当たりの官能基の配置が比較的整った配列を有していて、導電性が優れ、かつ高湿度条件下においても導電率の劣化が少なく、しかも溶剤への可溶化が可能である。
本発明の導電性高分子が、比較的整った高分子配列を形成するようになる理由については、現在のところ明確ではないが、合成に際して用いるモノマーのチオフェンの3位または4位のいずれかに炭素数の多いアルコキシル基を有しているので、それによる立体障害が要因となっているものと推測される。また、得られる導電性高分子の配列が整うことにより、優れた導電性を有するようになる理由も、現在のところ明確ではないが、その理由のいかんにかかわらず、本発明の導電性高分子は、現実に、導電性が優れ、かつ高湿度条件下でも導電率の劣化が少なく、しかも、一般的に溶剤に対して不溶であるはずのチオフェン系ポリマーであるにもかかわらず、溶剤に可溶なものにすることができる。
本発明の導電性高分子を合成するために用いるモノマーとしての化学式(1)で表されるチオフェン誘導体は、例えば、次のような方法で製造することができる。
まず、3−メチル−4−ブロモチオフェンを溶媒に溶解し、メトキシナトリウムと臭化銅を添加することにより、4位をメトキシ化する。それを蒸留により精製した後、炭素数8〜20の高級アルコールと硫酸水素ナトリウムとを添加して、メトキシ基中のメチル基を炭素数8〜20の高級アルキル基に置換することによって化学式(1)で表される高分子合成用モノマーを得ることができる。
そして、得られた高分子合成用モノマーと遷移金属塩とを混合することにより、化学酸化重合を行い、目的とする導電性高分子を合成することができる。そして、目的によっては、得られた導電性高分子にさらにアンモニアなどのアルカリ溶液を混合し、濾過、水洗などにより、脱ドープした導電性高分子を得ることもできる。
上記遷移金属塩としては、例えば、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、炭素数1〜16のアルコキシベンゼンスルホン酸鉄、炭素数1〜16のアルキルベンゼンスルホン酸鉄、ナフタレンスルホン酸鉄、フェノールスルホン酸鉄、スルホイソフタル酸鉄ジアルキルエステル、アルキルスルホン酸鉄、ナフタレンスルホン酸鉄、アルコキシナフタレンスルホン酸鉄、テトラリンスルホン酸鉄、炭素数1〜12のテトラリンスルホン酸鉄などの第二鉄塩、上記化合物の鉄(III)塩の代わりにセリウム(IV)塩、銅(II)塩、マンガン(VII)塩、ルテニウム(III)塩になったものなどを用いることができるが、特に鉄塩が好ましい。
上記のようにして合成された本発明の導電性高分子は、耐熱性、耐湿性も優れており、従って、それを固体電解コンデンサの固体電解質や陰極材料、電気回路保護装置用の正温度係数(PTC)導電性材料、帯電防止樹脂や帯電防止塗料の帯電防止剤、バッテリーの電極、有機ELのホール輸送層などの用途に適している。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限られるものではない。なお、実施例に先立ち、実施例などにおいて用いるモノマーの合成例について説明する。合成例1〜4が実施例で用いるモノマーに関するものであり、合成例5〜6が比較例で用いるモノマーの合成例に関するものである。そして、以下において、濃度を示す%は、特にその基準を示さないかぎり、質量%である。
合成例1〔3−オクトキシ−4−メチルチオフェンの合成例〕
〔化学式(1)において、アルコキシル基における炭素数が8の例〕
グローブボックス中の窒素雰囲気下で、300mlの三口フラスコにナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)を40ml、N−メチルピロリジン(NMP)を10ml加えた。次に攪拌しながら約60℃でメタノールを減圧留去した後、そこにCuBrを1.0gと3−ブロモ−4−メトキシチオフェンを5.0g加え、約100℃にておよそ2時間反応を行った。次に有機相に水を加えて3回洗い、抽出を行った後、硫酸マグネシウムを用いてジエチルエーテル相の乾燥を行った。そして、そのジエチルエーテル相を200ml反応容器に入れ、約60℃でジエチルエーテルを留去した。留去終了後、その反応容器にトルエン40ml、オクノタール5.6g、硫酸水素ナトリウム3.0gを投入し、約110℃で24時間環流した後、ディーンスタークにより反応を完結させた。反応終了後、この溶液を濾過し、ジエチルエーテルで水振りをした。ジエチルエーテルを留去し、カラムクロマトグラフィーで分離精製を行った。生成物は薄黄色の透明な液体で、収量は4.4gであった。
〔化学式(1)において、アルコキシル基における炭素数が8の例〕
グローブボックス中の窒素雰囲気下で、300mlの三口フラスコにナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)を40ml、N−メチルピロリジン(NMP)を10ml加えた。次に攪拌しながら約60℃でメタノールを減圧留去した後、そこにCuBrを1.0gと3−ブロモ−4−メトキシチオフェンを5.0g加え、約100℃にておよそ2時間反応を行った。次に有機相に水を加えて3回洗い、抽出を行った後、硫酸マグネシウムを用いてジエチルエーテル相の乾燥を行った。そして、そのジエチルエーテル相を200ml反応容器に入れ、約60℃でジエチルエーテルを留去した。留去終了後、その反応容器にトルエン40ml、オクノタール5.6g、硫酸水素ナトリウム3.0gを投入し、約110℃で24時間環流した後、ディーンスタークにより反応を完結させた。反応終了後、この溶液を濾過し、ジエチルエーテルで水振りをした。ジエチルエーテルを留去し、カラムクロマトグラフィーで分離精製を行った。生成物は薄黄色の透明な液体で、収量は4.4gであった。
合成例2〔3−(2−(2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)−4−メチルチオフェンの合成例〕
〔化学式(1)において、エーテル結合を有するアルコキシル基で炭素数が10の例〕
オクタノール5.6gに代えて2−(2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)エタノールを8.9g使用した以外は、全て合成例1と同様の操作を行った。収量は4.4gであった。
〔化学式(1)において、エーテル結合を有するアルコキシル基で炭素数が10の例〕
オクタノール5.6gに代えて2−(2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ)エタノールを8.9g使用した以外は、全て合成例1と同様の操作を行った。収量は4.4gであった。
合成例3〔3−ドデキシ−4−メチルチオフェンの合成例〕
〔化学式(1)において、アルコキシル基における炭素数が12の例〕
オクタノール5.6gに代えてドデカノール6.8gを使用した以外は、全て合成例1と同様の操作を行った。収量は4.5gであった。
〔化学式(1)において、アルコキシル基における炭素数が12の例〕
オクタノール5.6gに代えてドデカノール6.8gを使用した以外は、全て合成例1と同様の操作を行った。収量は4.5gであった。
合成例4〔3−(1−ヘキサデキシ)−4−メチルチオフェンの合成例〕
〔化学式(1)において、アルコキシル基における炭素数が16の例〕
オクタノール5.6gに代えて1−ヘキサデカノール10.4gを使用した以外は、全て合成例1と同様の操作を行った。収量は4.6gであった。
〔化学式(1)において、アルコキシル基における炭素数が16の例〕
オクタノール5.6gに代えて1−ヘキサデカノール10.4gを使用した以外は、全て合成例1と同様の操作を行った。収量は4.6gであった。
合成例5〔3−メトキシ−4−メチルチオフェンの合成例〕
〔化学式(1)において、アルコキシル基における炭素数が1の例〕
ジエチルエーテル相の乾燥を硫酸マグネシウムで行うところまでは、合成例1と同様な操作を行った後、ジエチルエーテルを留去し、カラムクロマトグラフィーで分離精製を行った。収量は4.0gであった。
〔化学式(1)において、アルコキシル基における炭素数が1の例〕
ジエチルエーテル相の乾燥を硫酸マグネシウムで行うところまでは、合成例1と同様な操作を行った後、ジエチルエーテルを留去し、カラムクロマトグラフィーで分離精製を行った。収量は4.0gであった。
合成例6〔3−ブトキシ−4−メチルチオフェンの合成例〕
〔化学式(1)において、アルコキシル基における炭素数が4の例〕
オクタノール5.6gに代えてブタノール3.2gを使用した以外は、全て合成例1と同様な操作を行った。収量は4.3gであった。
〔化学式(1)において、アルコキシル基における炭素数が4の例〕
オクタノール5.6gに代えてブタノール3.2gを使用した以外は、全て合成例1と同様な操作を行った。収量は4.3gであった。
実施例1〜4および比較例1〜2
脱気後、窒素置換した200ml反応容器に、合成例1〜6で合成したモノマーをそれぞれ1g秤量し、精製クロロホルム55mlに溶解させて投入した。これらにそれぞれ4等量のFeCl3 2.09g(1.29×10-2mol)を加え、いずれも攪拌しながら室温で4時間重合を行った。各生成物を濾過した後、ソックスレー抽出(メタノール36時間、アセトン22時間、クロロホルム57時間)を行い、クロロホルム抽出分をアセトン溶媒で再沈殿を行い、溶解しなかった部分を濾過した後、凍結乾燥した。
脱気後、窒素置換した200ml反応容器に、合成例1〜6で合成したモノマーをそれぞれ1g秤量し、精製クロロホルム55mlに溶解させて投入した。これらにそれぞれ4等量のFeCl3 2.09g(1.29×10-2mol)を加え、いずれも攪拌しながら室温で4時間重合を行った。各生成物を濾過した後、ソックスレー抽出(メタノール36時間、アセトン22時間、クロロホルム57時間)を行い、クロロホルム抽出分をアセトン溶媒で再沈殿を行い、溶解しなかった部分を濾過した後、凍結乾燥した。
それぞれの乾燥物を濃度が3%になるようにクロロホルムに溶解した後、その溶液を用いてスピンコート法(回転数1,500rpm)により厚さが約0.1μmのフィルムを形成した。それとは別に、塩化第二鉄を濃度が20質量%になるようにエタノールに溶解した後、その溶液にそれぞれのフィルムを24時間浸した。それぞれのフィルムを上記溶液中から取り出し、2%パラトルエンスルホン酸水溶液で充分に洗浄した後、過剰のパラトルエンスルホン酸を取り除くため、水洗を行った。そして、室温下で24時間真空乾燥を行って乾燥した後、4探針方式の電導度測定器(三菱化学社製MCP−T600)により導電率を測定した。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜4の導電性高分子は、比較例1〜2の高分子に比べて、高い導電率を有し、導電性が優れていた。つまり、実施例1〜4のように、炭素数が8以上の長いアルコキシル基を有するものの方が、比較例1〜2のように炭素数が小さいアルコキシル基を有するものより、導電性が優れていた。
次に上記実施例1〜4の導電性高分子および比較例1〜2の高分子について、H−NMR測定を行い、高分子が規則正しく配列している割合を下記の計算式より算出した。すなわち、2.23ppm付近のピークの面積値をAとし、2.19ppm、2.12ppm、2.04ppm付近のピークの面積を合計したものの値をBとし、次の計算式より、高分子が規則正しく配列している割合を算出した。その結果を表2に示す。
高分子の規則正しく配列している割合(%)=A÷(A+B)×100
高分子の規則正しく配列している割合(%)=A÷(A+B)×100
表2に示すように、実施例1〜4の導電性高分子では、規則正しく配列している割合が90%以上であり、比較例1〜2の高分子に比べて、規則正しく配列している割合が高かった。すなわち、実施例1〜4のように、アルコキシル基の炭素数が8を超えると、90%以上の割合で規則正しく配列した導電性高分子が得られることが判明した。このことからも、アルコキシル基の長いものの方が導電率が高くなることが理解できる。
実施例5〔本発明の導電性高分子の固体電解コンデンサの固体電解質としての評価〕
合成例4で合成したモノマーを重合し、得られた導電性高分子を濃度が3%になるようにクロロホルムに溶解させて導電性高分子の3%クロロホルム溶液を調製するところまでは、実施例4と同様の操作を行った。そして、上記導電性高分子の3%クロロホルム溶液1mlと40%ブチルナフタレンスルホン酸鉄(60%クロロホルム溶液)1mlとを混合してポリマー溶液を得た。
合成例4で合成したモノマーを重合し、得られた導電性高分子を濃度が3%になるようにクロロホルムに溶解させて導電性高分子の3%クロロホルム溶液を調製するところまでは、実施例4と同様の操作を行った。そして、上記導電性高分子の3%クロロホルム溶液1mlと40%ブチルナフタレンスルホン酸鉄(60%クロロホルム溶液)1mlとを混合してポリマー溶液を得た。
これとは別に、タンタル焼結体をリン酸水溶液に浸漬した後、電圧をかけることによって電解酸化を行って、表面に誘電体酸化被膜を形成したタンタル焼結体を得た。この表面に誘電体酸化被膜を形成したタンタル焼結体を前記ポリマー溶液に5分間浸漬した後、取り出し、40℃の乾燥機で20分間放置した後、洗浄、乾燥を行い、このポリマー溶液への浸漬、洗浄、乾燥を行う操作を10回繰り返すことにより、上記タンタル焼結体に固体電解質として作用させるための導電性高分子層を形成した。ついで、このタンタル焼結体をリン酸水溶液に浸漬した後、電圧をかけることにより再化成を行い、ついで、100℃で30分間乾燥を行った。ついで、カーボンペースト、銀ペーストを付けた後、陽極層と陰極層からそれぞれ陽極リードと陰極リードを取り出し、その周囲をエポキシ樹脂により外殻を形成した。最後にエージング処理を行うことによって、固体電解コンデンサを作製した。
比較例3〔ポリアニリンの固体電解コンデンサの固体電解質としての評価〕
まず、固体電解質として作用させるためのポリアニリンを以下に示すようにして合成した。蒸留水600g、36%塩酸36mlおよびアニリン40gをこの順番でフラスコに仕込み、攪拌によりアニリンを溶解させた。その中に蒸留水150gと98%硫酸43gを混合した溶液をゆっくり滴下した。このアニリンを含む溶液に、ペルオキソニ硫酸アンモニウム98gを蒸留水230gに溶解させた溶液を、反応温度0℃に保ちながらゆっくり滴下し、約7時間反応させた。得られた反応物を濾別し、水洗、エタノール洗浄した後、真空乾燥を行った。そして、これをホモミキサーで濃度が4mol/lのアンモニア溶液500mlに分散させ、一晩攪拌した。得られた脱ドープポリアニリンを濾別して、水洗、アセトンで洗浄し、乾燥することにより25gのポリアニリンを得た。
まず、固体電解質として作用させるためのポリアニリンを以下に示すようにして合成した。蒸留水600g、36%塩酸36mlおよびアニリン40gをこの順番でフラスコに仕込み、攪拌によりアニリンを溶解させた。その中に蒸留水150gと98%硫酸43gを混合した溶液をゆっくり滴下した。このアニリンを含む溶液に、ペルオキソニ硫酸アンモニウム98gを蒸留水230gに溶解させた溶液を、反応温度0℃に保ちながらゆっくり滴下し、約7時間反応させた。得られた反応物を濾別し、水洗、エタノール洗浄した後、真空乾燥を行った。そして、これをホモミキサーで濃度が4mol/lのアンモニア溶液500mlに分散させ、一晩攪拌した。得られた脱ドープポリアニリンを濾別して、水洗、アセトンで洗浄し、乾燥することにより25gのポリアニリンを得た。
そして、実施例5で作製した表面に誘導体酸化皮膜を形成したタンタル焼結体を上記ポリアニリン溶液に浸漬した以外は、実施例5と同様にして固体電解コンデンサを作製した。
上記のようにして作製した実施例5および比較例3の固体電解コンデンサの耐湿性を調べるため、85℃、相対湿度85%の条件下で1,000時間放置した。その1,000時間経過後のESR特性の値を初期ESR特性の値に対する変化の割合で評価することにした。その結果を表3に示す。
表3に示す結果から明らかなように、本発明の導電性高分子を固体電解質として用いた実施例5は、ポリアニリンを固体電解質として用いた比較例3に比べて、高温・高湿下での抵抗の上昇率が少なく、耐熱、耐湿性が優れていて、本発明の導電性高分子が固体電解コンデンサの固体電解質として有用であることを示していた。
実施例6〔本発明の導電性高分子の正温度係数導電性材料としての評価〕
実施例4記載の導電性高分子をホットプレートに載せて厚さ0.2μmのフィルムにし、これを実施例6として、後記のように温度を変化させながら、導電率の測定を行って、本発明の導電性高分子の電気回路保護装置の正温度係数導電性材料としての評価を行った。
実施例4記載の導電性高分子をホットプレートに載せて厚さ0.2μmのフィルムにし、これを実施例6として、後記のように温度を変化させながら、導電率の測定を行って、本発明の導電性高分子の電気回路保護装置の正温度係数導電性材料としての評価を行った。
比較例4〔ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンの正温度係数導電性材料としての評価〕
3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)15μlと40%パラトルエンスルホン酸鉄(60% n−ブタノール溶液)の500μlとを混合した後、ガラスプレートに滴下し、25℃、相対湿度55%の条件下で3時間反応した後、2%パラトルエンスルホン酸水溶液で充分に洗浄し、ついで、過剰のパラトルエンスルホン酸を取り除くため水洗を行い、室温下で24時間真空乾燥を行って、厚さ0.2μmのポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンのフィルムを得た。
3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)15μlと40%パラトルエンスルホン酸鉄(60% n−ブタノール溶液)の500μlとを混合した後、ガラスプレートに滴下し、25℃、相対湿度55%の条件下で3時間反応した後、2%パラトルエンスルホン酸水溶液で充分に洗浄し、ついで、過剰のパラトルエンスルホン酸を取り除くため水洗を行い、室温下で24時間真空乾燥を行って、厚さ0.2μmのポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンのフィルムを得た。
上記のようにして得られた本発明の導電性高分子からなる実施例6のフィルム、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、「PEDOT」で示す)からなる比較例4のフィルムについて、温度を25℃から175℃まで上昇させ、ついで175℃から25℃まで下降させながら導電率を測定した。その結果を図1に示す。
図1に示すように、PEDOTからなる比較例4のフィルムは高温下でも導電率が変化しないが、本発明の導電性高分子からなる実施例6のフィルムは、高温になると導電率が下がり、温度が下がるとまた導電率が元に戻る、という性質を有している。この結果から、本発明の導電性高分子は、電気回路保護装置の正温度係数(PTC)導電性材料として有用であることがわかる。
実施例7〔本発明の導電性高分子の帯電防止剤および固体電解コンデンサの陰極材料としての評価〕
合成例4で合成したモノマーを重合して3%クロロホルム溶液とするところまでは実施例4と同様に行った後、上記溶液と40%ブチルナフタレンスルホン酸鉄(60%クロロホルム溶液)1mlとを混合した後、ガラスプレートに滴下し、25℃、相対湿度55%の条件下で3時間反応した後、2%パラトルエンスルホン酸水溶液で充分に洗浄し、過剰のパラトルエンスルホン酸を取り除くため、さらに水洗を行い室温下で24時間真空乾燥を行って、厚さ0.7μmのフィルムを得て、後記のように、高湿度下での導電率の経時的変化を調べることにより、帯電防止剤および固体電解コンデンサの陰極材料としての評価を行った。
合成例4で合成したモノマーを重合して3%クロロホルム溶液とするところまでは実施例4と同様に行った後、上記溶液と40%ブチルナフタレンスルホン酸鉄(60%クロロホルム溶液)1mlとを混合した後、ガラスプレートに滴下し、25℃、相対湿度55%の条件下で3時間反応した後、2%パラトルエンスルホン酸水溶液で充分に洗浄し、過剰のパラトルエンスルホン酸を取り除くため、さらに水洗を行い室温下で24時間真空乾燥を行って、厚さ0.7μmのフィルムを得て、後記のように、高湿度下での導電率の経時的変化を調べることにより、帯電防止剤および固体電解コンデンサの陰極材料としての評価を行った。
比較例5〔ポリアニリンの帯電防止剤および固体電解コンデンサの陰極材料としての評価〕
比較例3で得たポリアニリンを濃度が3%になるようにN−メチルピロリドンに溶解させ、溶液をガラスプレートに滴下し、50℃で、1時間乾燥することによりフィルムを形成した。得られたフィルムを50%ブチルナフタレンスルホン酸水溶液に10分間浸漬した後、アセトンで洗浄し、室温下で24時間真空乾燥を行った。
比較例3で得たポリアニリンを濃度が3%になるようにN−メチルピロリドンに溶解させ、溶液をガラスプレートに滴下し、50℃で、1時間乾燥することによりフィルムを形成した。得られたフィルムを50%ブチルナフタレンスルホン酸水溶液に10分間浸漬した後、アセトンで洗浄し、室温下で24時間真空乾燥を行った。
上記のようにして形成した本発明の導電性高分子からなる実施例7のフィルムおよびポリアニリンからなる比較例5のフィルムのそれぞれについて、4探針方式の電導度測定器(三菱化学社製MCP−600)により導電率を測定した後、85℃、相対湿度85%の条件下で200時間放置した後の導電率を測定した。その結果を表4に示す。
表4に示すように、比較例5は85℃、相対湿度85%という高温高湿下では200時間経過後に導電率が初期値の10%まで下がったのに対し、実施例7は85℃、相対湿度85%という高温高湿下で200時間経過後にも導電率が初期値の60%保持していた。この結果から、本発明の導電性高分子は耐湿性が優れ、かつ耐候性に優れていて、耐電防止剤や固体電解コンデンサの陰極材料として有用性を有していることがわかる。
Claims (8)
- 遷移金属塩が3価の鉄塩である請求項1記載の導電性高分子。
- 3価の鉄塩が塩化鉄または有機スルホン酸鉄である請求項2記載の導電性高分子。
- 請求項1記載の導電性高分子において、化学式(1)を構成単位とした場合、各構成単位におけるR1 で表されるアルキル基とOR2 で表されるアルコキシル基の配置が、全体の90%以上について同一である導電性高分子。
- 請求項1記載の導電性高分子からなる固体電解コンデンサ用の固体電解質。
- 請求項1記載の導電性高分子からなる固体電解コンデンサ用の陰極材料。
- 請求項1記載の導電性高分子からなる電気回路保護装置用の正温度係数導電性材料。
- 請求項1記載の導電性高分子からなる帯電防止剤。
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