以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。かかる実施の形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等が異なっている。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクター1の概略構成を示す図である。このプロジェクター1は、光源装置100から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、この光学像をスクリーンSC上に拡大投射するものである。
第1実施形態に係るプロジェクター1は、図1に示すように、外装筐体2と、投写レンズ3と、光学ユニット4と、温度調整ユニット6と、を備えている。光学ユニット4は、光変調装置として3つの反射型光変調装置52を備えている。
なお、3つの反射型光変調装置52において、赤色(R)光に対応した反射型光変調装置をR光用の反射型光変調装置52R(第1光変調装置)とする。緑色(G)光に対応した反射型光変調装置をG光用の反射型光変調装置52G(第2光変調装置)とする。青色(B)光に対応した反射型光変調装置をB光用の反射型光変調装置52B(第3光変調装置)とする。
外装筐体2は、投写レンズ3、光学ユニット4、及び温度調整ユニット6を収容する。なお、図示は省略するが、外装筐体2には、冷却ユニット、電源ユニット、及び制御ユニットが収容されている。冷却ユニットは、各構成部材を冷却する冷却ファン等を備えている。電源ユニットは、各構成部材に電力を供給する。制御ユニットは、各構成部材を制御する。
光学ユニット4は、光源装置100と、照明光学系200と、色分離導光光学系300と、平行化レンズ350と、光学装置5と、色合成光学装置400と、光学部品用筐体41と、を備えている。
光源装置100は、光源ランプ111と、リフレクター112と、を備えている。光源ランプ111は、放射状の光束を射出する。リフレクター112は、光源ランプ111から射出された光束を、照明光学系200に向けて反射する。光源ランプ111から射出された光束は、リフレクター112で反射されて略平行な光束となる。本実施形態では、光源ランプ111として、超高圧水銀ランプ等の放電式ランプを用いる。
照明光学系200は、第1レンズアレイ210と、第2レンズアレイ220と、偏光変換素子240と、重畳レンズ250と、を備えている。第1レンズアレイ210及び第2レンズアレイ220は、複数の小レンズを備えている。複数の小レンズは、照明光軸OCと直交する面内にマトリクス状に配列されている。
光源装置100から射出された光束は、第1レンズアレイ210によって複数の微小な部分光束に分割される。分割された各部分光束は、第2レンズアレイ220及び重畳レンズ250によって、照明対象である3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの表面で重畳される。
偏光変換素子240は、ランダム偏光の光束を一方向の偏光光に揃える。本実施形態において、偏光変換素子240は、変光方向をP偏光方向に揃えた光束Lpを射出する。
なお、偏光変換素子240としては、変光方向をS偏光方向に揃えた光束を射出するものを用いることもできる。この場合、色分離導光光学系300を構成する平行化レンズ350の光射出側に位相差板を設ける。位相差板は、λ/2板である。位相差板は、平行化レンズ350を透過したそれぞれの色光(S偏光光)をP偏光光に変換する。
色分離導光光学系300は、B光反射ダイクロイックミラー310、RG光反射ダイクロイックミラー320、G光反射ダイクロイックミラー330、及び反射ミラー340,345を備えている。色分離導光光学系300は、照明光学系200から射出された光束Lp(P偏光光)を、R光、G光、B光の3つの色光に分離する。色分離導光光学系300は、分離した3つの色光を照明対象となる反射型光変調装置52R,52G,52Bに導く。
照明光学系200から射出された光束のうち、B光成分は、B光反射ダイクロイックミラー310によって反射され、更に反射ミラー340によって反射されて平行化レンズ350Bに至る。一方、照明光学系200から射出された光束のうち、R光、G光成分は、RG光反射ダイクロイックミラー320によって反射され、更に反射ミラー345によって反射されてG光反射ダイクロイックミラー330に至る。その中のG光成分は、G光反射ダイクロイックミラー330で反射されて平行化レンズ350Gに至る。R光成分は、G光反射ダイクロイックミラー330を透過して、平行化レンズ350Rに至る。
平行化レンズ350R,350G,350Bは、照明光学系200から射出された複数の部分光束を略平行な光束に変換し、対応する反射型光変調装置52R,52G,52Bを照明する。
光学装置5は、3つの偏光分離素子51と、3つの反射型光変調装置52と、3つの偏光板53と、色合成光学装置400としてのクロスダイクロイックプリズム410と、を備えている。なお、3つの偏光分離素子51において、R光用の偏光変換素子を51R、G光用の偏光変換素子を51G、B光用の偏光変換素子を51Bとする。偏光板53において、R光用の偏光板を53R、G光用の偏光板を53G、B光用の偏光板を53Bとする。
偏光分離素子51は、ワイヤーグリッド型である。偏光分離素子51は、ガラス基板(図示省略)の表面にアルミニウムのリブ(図示省略)が配列されることにより形成されている。例えば、リブの線幅が数十nm、ピッチが百数十nmとなっている。本実施形態において、偏光分離素子51は、リブに垂直な偏光成分(P偏光光)は透過し、平行な偏光成分(S偏光光)は反射する。
偏光分離素子51Gは、入射する色光の光軸に対して略45°傾斜して設置されている。偏光分離素子51Gは、平行化レンズ350Gから射出されたG光(P偏光光)を透過して反射型光変調装置52Gに射出する。偏光分離素子51Gは、反射型光変調装置52Gで変調されて反射したG光のうち、P偏光光を反射して偏光板53Gに光学像として射出する。偏光板53Gを透過したP偏光光は、位相差板54によってS偏光光に変換される。位相差板54は、λ/2板である。
偏光分離素子51Rは、平行化レンズ350Rから射出されたR光(P偏光光)、を透過して反射型光変調装置52Rに射出する。偏光分離素子51Rは、反射型光変調装置52Rで変調されて反射したR光のうち、P偏光光を反射して偏光板53Rに光学像として射出する。
偏光分離素子51Bは、平行化レンズ350Bから射出されたB光(P偏光光)を透過して反射型光変調装置52Bに射出する。偏光分離素子51Bは、反射型光変調装置52Bで変調されて反射したB光のうち、P偏光光を反射して偏光板53Bに光学像として射出する。なお、B光およびR光については、S偏光光への偏光変換を行わない。
反射型光変調装置52は、対向する基板間に液晶層が挟持されて構成されている。一方の基板には、スイッチング素子が接続された反射画素電極がマトリクス状に設けられている。他方の基板(透明基板)には、対向電極が形成されている。反射型光変調装置52は、反射画素電極と対向電極との間に電圧が印加されることにより液晶層が駆動される。
各反射型光変調装置52R,52G,52Bは、偏光分離素子51R,51G,51Bをそれぞれ透過したR光、G光、B光を、印加された電圧(画像信号)に基づいて変調する。
偏光板53は、反射型光変調装置52で変調されて偏光分離素子51で反射された偏光光の偏光方向と略同一の偏光方向を有する偏光光を透過させる。偏光分離素子51及び偏光板53の双方を用いることにより、所望の直線偏光光以外の偏光成分が偏光分離素子51で反射された場合であっても、偏光板53で前記偏光成分を除去することができる。
各偏光板53R,53G,53Bを透過した変調光は、クロスダイクロイックプリズム410の対応する入射面410R,410G,410Bにそれぞれ入射する。
クロスダイクロイックプリズム410は、三角柱状の4つのプリズムを貼り合わせることにより、略正方形断面の角柱状に形成されている。クロスダイクロイックプリズム410のX字状の貼合わせ面に沿って誘電体多層膜415,416が設けられている。
誘電体多層膜415は、G光を透過してR光を反射する。誘電体多層膜416は、G光を透過してB光を反射する。これにより、クロスダイクロイックプリズム410は、入射面410R,410G,410Bから入射した変調光(光学像)を合成し、カラー画像を表す画像光を形成し、射出面411から投写レンズ3に射出する。
投写レンズ3は、クロスダイクロイックプリズム410の射出面411から射出された画像光をスクリーンSC等に拡大投写する。
本実施形態においては、一例として、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bと1つの熱電素子60との間で熱伝導による熱の移動が行われる構成を挙げて説明する。
温度調整ユニット6は、熱電素子60(温度調整素子)と、固定部材61と、3つの伝熱部材62と、放熱部材63と、冷却ファン64と、第1温度センサー65と、制御装置66と、を備えている。なお、3つの伝熱部材62において、R光用の伝熱部材を62R、G光用の伝熱部材を62G、B光用の伝熱部材を62Bとする。
熱電素子60は、固定部材61に固定されている。熱電素子60は、制御装置66により制御される電気エネルギーに基づいて、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度を調整する。熱電素子60は、電圧可変駆動あるいはデューティー比可変駆動になっている。熱電素子60は、1つ設けられている。
熱電素子60は、制御装置66の制御に基づいて、固定部材61の側の面と固定部材61とは反対側の面とのうちいずれか一方の面が発熱面となり、他方の面が吸熱面となるよう構成されている。熱電素子60は、発熱面と吸熱面とが切り替え可能になっている。本実施形態においては、熱電素子60として、ペルチェ素子を用いる。
固定部材61は、第1面61aと、第2面61bと、を有する。第1面61aは、熱電素子60を固定する面である。第2面61bは、3つの伝熱部材62の一端を固定する面である。固定部材61の熱伝導率は、熱電素子60の熱伝導率よりも大きくなっている。固定部材61の形成材料は、例えば、アルミニウムや銅等の金属を用いる。
3つの伝熱部材62R,62G,62Bは、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bのそれぞれに対応して熱伝導可能に配置されている。本実施形態においては、伝熱部材62として、ヒートパイプを用いる。各伝熱部材62R,62G,62Bの他端は、それぞれ反射型光変調装置52R,52G,52Bの光射出面とは反対側の面(以下、反射型光変調装置の裏面と称する)に固定されている。3つの伝熱部材62R,62G,62Bは、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bと1つの熱電素子60との間で熱を移動させる。3つの伝熱部材62R,62G,62Bの間の熱抵抗の比は、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの間の発熱量の逆数の比になっている。なお、各伝熱部材62R,62G,62Bの熱抵抗の算出式については後述する。
放熱部材63は、熱電素子60の固定部材61とは反対側の面に配置されている。放熱部材63は、熱電素子60に蓄積される熱を放熱する。放熱部材63の熱伝導率は、熱電素子60の熱伝導率よりも大きくなっている。放熱部材63の形成材料は、例えば、アルミニウムや銅等の金属を用いる。放熱部材63は、例えば、複数のフィンを有するヒートシンクである。
冷却ファン64は、熱電素子60及び放熱部材63の側方に配置されている。冷却ファン64は、熱電素子60及び放熱部材63に向けて風を送り、熱電素子60及び放熱部材63を冷却する。
第1温度センサー65は、環境温度を測定する。第1温度センサー65は、例えば、サーミスタである。
ここで、環境温度とは、外装筐体2の内部の温度である。外装筐体2の内部には、各反射型光変調装置52R,52G,52Bが配置されている。外装筐体2は密閉されている。そのため、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度が変化すると、外装筐体2の内部の温度も変化する。そのため、外装筐体2の内部の温度を測定することにより、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度を間接的に求めることができる。
第1温度センサー65で測定された環境温度のデータは、制御装置66に伝達される。以下、第1温度センサー65で測定された環境温度を単に環境温度と称する場合がある。
制御装置66は、熱電素子60、冷却ファン64、及び第1温度センサー65を統括制御する。制御装置66は、環境温度に基づいて、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度が基準温度に一致するよう熱電素子60を制御する。ここで、基準温度とは、反射型光変調装置52の信頼性および応答性の要求を満たす所定の温度を意味する。
各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度が基準温度に対して変化すると、環境温度も変化する。例えば、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度が基準温度よりも高くなると、環境温度も高くなる。一方、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度が基準温度よりも低くなると、環境温度も低くなる。
本実施形態においては、不図示の演算装置により、環境温度に基づいて、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度の基準温度からの温度差を補正するための熱電素子60に印加する電圧値が演算される。
制御装置66は、当該電圧値に基づいて熱電素子60を駆動する。なお、電圧値に限らず、デューティー比も適用可能である。
本実施形態においては、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの基準温度が互いに同じ値に設定されている。例えば、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの基準温度は、70℃〜80℃の範囲内の所定の温度に設定される。
なお、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの基準温度が互いに同じ値に設定される場合に限らず、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの基準温度が互いに異なる値に設定される場合においても本発明を適用可能である。
本実施形態においては、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの発熱量が互いに異なる。このように、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの発熱量が互いに異なるのは、光源ランプ111の分光特性に起因する。以下、光源ランプ111の分光特性について説明する。
図2は、光源ランプ111の分光特性を示す図である。図2において、横軸は光源ランプ111から射出される光の波長である。縦軸は相対発光エネルギー(比エネルギーともいう)である。
図2に示すように、光源ランプ111から射出される光の発光エネルギーは、波長の大きさによって異なる。R光、G光、及びB光の発光エネルギーは互いに異なる。R光、G光、及びB光の発光エネルギーが互いに異なると、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bに蓄積される熱量が異なるようになる。そのため、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの発熱量が互いに異なるようになる。
また、R光、G光、及びB光の発光エネルギーのうち、G光の発光エネルギーが最も大きい。このため、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの発熱量のうち、G光用の反射型光変調装置52Gの発熱量が最も大きくなる。そのため、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度のうち、G光用の反射型光変調装置52Gの温度が最も高くなる。
例えば、R光用の反射型光変調装置52Rの発熱量を1とする。G光用の反射型光変調装置52Gの発熱量を5とする。B光用の反射型光変調装置52Bの発熱量を2とする。この場合、R光用の伝熱部材62Rの熱抵抗を1とする。G光用の伝熱部材62Gの熱抵抗を1/5とする。B光用の伝熱部材62Bの熱抵抗を1/2とする。このように、3つの伝熱部材62R,62G,62Bの間の熱抵抗の比を、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの間の発熱量の逆数の比とする。
本実施形態においては、反射型光変調装置52の温度が基準温度よりも高いときを例に挙げて説明する。この場合、熱電素子60は、制御装置66の制御により、固定部材61の側の面が吸熱面に切り替えられる。熱電素子60が固定部材61を冷却する。これにより、固定部材61は、伝熱部材62の一端を冷却する冷却部材として機能する。
本実施形態においては、3つの伝熱部材62R,62G,62Bにより、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bと1つの熱電素子60との間で熱伝導による熱の移動が行われる。
本実施形態において、反射型光変調装置52の温度の基準温度からの温度差ΔTは、伝熱部材62の熱抵抗θと、反射型光変調装置52の発熱量Qとの積により表される。
ここで、R光用の反射型光変調装置52Rの温度の基準温度からの温度差をΔT1とする。R光用の伝熱部材62Rの熱抵抗をθ1とする。R光用の反射型光変調装置52Rの発熱量をQ1とする。R光用の反射型光変調装置52Rの温度の基準温度からの温度差ΔT1は、下記の(1)式により表される。
ΔT1=θ1・Q1 ・・・(1)
G光用の反射型光変調装置52Gの温度の基準温度からの温度差をΔT2とする。G光用の伝熱部材62Gの熱抵抗をθ2とする。G光用の反射型光変調装置52Gの発熱量をQ2とする。G光用の反射型光変調装置52Gの温度の基準温度からの温度差ΔT2Gは、下記の(2)式により表される。
ΔT2=θ2・Q2 ・・・(2)
B光用の反射型光変調装置52Bの温度の基準温度からの温度差をΔT3とする。B光用の伝熱部材62Bの熱抵抗をθ3とする。B光用の反射型光変調装置52Bの発熱量をQ3とする。B光用の反射型光変調装置52Bの温度の基準温度からの温度差ΔT3は、下記の(3)式により表される。
ΔT3=θ3・Q3 ・・・(3)
次に、各伝熱部材62R,62G,62Bの熱抵抗θ1,θ2,θ3の設定方法について説明する。
上述したように、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの発熱量は互いに異なる。そのため、各伝熱部材62R,62G,62Bの熱抵抗θ1,θ2,θ3を互いに同じ値に設定し、各反射型光変調装置52R,52G,52Bをそれぞれ同じように冷却したのでは、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度を基準温度に維持することは困難である。
本実施形態においては、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの発熱量が互いに異なっていても、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度を基準温度に維持することが可能な構成となっている。
具体的には、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度の基準温度からの温度差ΔT1,ΔT2,ΔT3が互いに一致するよう、各伝熱部材62R,62G,62Bの熱抵抗θ1,θ2,θ3を互いに異なる値に設定している。
伝熱部材62において熱伝導による熱の移動が行われる場合、伝熱部材62の長さL、熱伝導率λ及び断面積Dにより熱抵抗θの値が決まる。
なお、伝熱部材62の長さLは、反射型光変調装置52と固定部材61との間に配置された伝熱部材62の全長である。熱伝導率λは、伝熱部材62の形成材料によって決まる材料物性である。断面積Dは、伝熱部材62を自身の長手方向と直交する面で切断したときの断面積である。当該断面積は、内径(外径)及び肉厚によって算出される。
ここで、R光用の伝熱部材62Rの長さをL1とする。R光用の伝熱部材62Rの熱伝導率をλ1とする。R光用の伝熱部材62Rの断面積をD1とする。R光用の伝熱部材62Rの熱抵抗θ1は、下記の(4)式により表される。
θ1=L1/(λ1・D1) ・・・(4)
G光用の伝熱部材62Gの長さをL2とする。G光用の伝熱部材62Gの熱伝導率をλ2とする。G光用の伝熱部材62Gの断面積をD2とする。G光用の伝熱部材62Gの熱抵抗θ2は、下記の(5)式により表される。
θ2=L2/(λ2・D2) ・・・(5)
B光用の伝熱部材62Bの長さをL3とする。B光用の伝熱部材62Bの熱伝導率をλ3とする。B光用の伝熱部材62Bの断面積をD3とする。B光用の伝熱部材62Bの熱抵抗θ3は、下記の(6)式により表される。
θ3=L3/(λ3・D3) ・・・(6)
上記の式(4)ないし式(6)により、各伝熱部材62R,62G,62Bの熱抵抗θ1,θ2,θ3を互いに異なる値に設定するためには、各伝熱部材62R,62G,62Bの長さL1,L2,L3、熱伝導率λ1,λ2,λ3、及び断面積D1,D2,D3のうち少なくとも一つを、伝熱部材62R,62G,62B毎に異ならせればよいことが分かる。
本実施形態においては、各伝熱部材62R,62G,62Bの長さL1,L2,L3を伝熱部材62R,62G,62B毎に異ならせている。例えば、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bのうち発熱量が大きい反射型光変調装置52Gに固定される伝熱部材62Gの長さL2を短くする。一方、発熱量が小さい反射型光変調装置52R,52Bに固定される伝熱部材62R,62Bの長さL1,L3を長くする。
なお、各伝熱部材62R,62G,62Bの熱抵抗θ1,θ2,θ3の設定は、各伝熱部材62R,62G,62Bの長さL1,L2,L3を伝熱部材62R,62G,62B毎に異ならせることに限らない。例えば、各伝熱部材62R,62G,62Bの材質や径を伝熱部材62R,62G,62B毎に異ならせてもよい。
すなわち、各伝熱部材62R,62G,62Bの熱抵抗θ1,θ2,θ3を互いに異なる値に設定するには、各伝熱部材62R,62G,62Bの長さL1,L2,L3、材質、及び径のうち少なくとも一つを、伝熱部材62R,62G,62B毎に異ならせればよい。
これにより、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bのうち発熱量が大きい反射型光変調装置52Gには、熱抵抗が小さい伝熱部材62Gが配置される。一方、発熱量が小さい反射型光変調装置52R,52Bには、熱抵抗が大きい伝熱部材62R,62Bがそれぞれ配置される。
つまり、発熱量が大きい反射型光変調装置52Gには、熱が移動しやすくなる。そのため、発熱量が大きい反射型光変調装置52Gを冷却しやすくなる。一方、発熱量が小さい反射型光変調装置52R,52Bには、熱が移動しにくくなる。そのため、発熱量が小さい反射型光変調装置52R,52Bを冷却しにくくなる。
このようにして、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度の基準温度からの温度差ΔT1,ΔT2,ΔT3が互いに一致するよう、各伝熱部材62R,62G,62Bの熱抵抗θ1,θ2,θ3が互いに異なる値に設定される。
なお、本実施形態においては、反射型光変調装置52の温度が基準温度よりも高いときを例に挙げて説明したが、これに限らない。反射型光変調装置52の温度が基準温度よりも低いときにおいても本発明を適用可能である。この場合、熱電素子60は、制御装置66の制御により、固定部材61の側の面が発熱面に切り替えられる。熱電素子60が固定部材61を加熱する。これにより、固定部材61は、伝熱部材62の一端を加熱する加熱部材として機能する。
また、反射型光変調装置52の温度が基準温度と同じときは、制御装置66の制御により、熱電素子60が固定部材61を加熱もしくは冷却しない。
以上、説明したように、第1実施形態に係るプロジェクター1によれば、各反射型光変調装置52R,52G,52Bは、それぞれに対応した各伝熱部材62R,62G,62Bを介して熱電素子60により温度が調整される。各反射型光変調装置52R,52G,52Bの発熱量が互いに異なる場合、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bのうち発熱量が大きい反射型光変調装置52Gには、熱抵抗が小さい伝熱部材62Gが配置される。一方、発熱量が小さい反射型光変調装置52R,52Bには、熱抵抗が大きい伝熱部材62R,62Bがそれぞれ配置される。つまり、発熱量が大きい反射型光変調装置52Gには、熱が移動しやすくなる。そのため、発熱量が大きい反射型光変調装置52Gを冷却しやすくなる。一方、発熱量が小さい反射型光変調装置52R,52Bには、熱が移動しにくくなる。そのため、発熱量が小さい反射型光変調装置52R,52Bを冷却しにくくなる。このような状態で熱電素子60が制御されることにより、各反射型光変調装置52R,52G,52Bにはそれぞれの発熱量が加味された温度調整が行われる。そのため、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度を基準温度に調整することができる。よって、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの応答性の低下を抑制でき、プロジェクター1の信頼性を高めることができる。
また、この構成によれば、制御装置66の制御により、第1温度センサー65で測定された環境温度に基づいて、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度が基準温度に維持される。そのため、プロジェクター1の使用中、つまり、環境温度の変化中において3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度を調整できる。その結果、使用時に環境温度が変化しても、反射型光変調装置52の信頼性および応答性の低下が抑制されるプロジェクター1を提供することができる。
また、この構成によれば、伝熱部材62としてヒートパイプを用いているため、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bと熱電素子60との間に3つの伝熱部材62R,62G,62Bを配置するだけで熱のやり取りができる。つまり、ポンプやリザーブタンクを別途設ける必要がない。よって、簡素な構成で反射型光変調装置52の応答性の低下を抑制でき、プロジェクター1の信頼性を高めることができる。さらに、プロジェクター1の小型化、軽量化を図ることができる。
伝熱部材62において熱伝導による熱の移動が行われる場合、伝熱部材62の長さL、材質、及び径Dにより熱抵抗の値が決まる。そのため、伝熱部材62の長さL、材質、及び径Dのうち少なくとも一つを複数の伝熱部材62毎に異ならせることにより、3つの伝熱部材62の間の熱抵抗θの比が3つの反射型光変調装置52の間の発熱量Qの逆数の比になるよう設定することができる。よって、設計の自由度を高めることができる。
また、この構成によれば、発熱面と吸熱面とを切り替えることにより、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの加熱と冷却とを切り替えることができる。よって、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度を基準温度に調整することが容易となる。
また、この構成によれば、反射型光変調装置52の裏面に伝熱部材62を配置することができる。よって、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度を基準温度に調整することが容易となる。
また、この構成によれば、熱電素子60が1つのみ設けられているため、簡素な構成で反射型光変調装置52の応答性の低下を抑制でき、プロジェクター1の信頼性を高めることができる。さらに、プロジェクター1の小型化、軽量化を図ることができる。
なお、本実施形態のプロジェクター1では、制御装置66が第1温度センサー65で測定された環境温度に基づいて熱電素子60を制御しているが、これに限らない。例えば、制御装置66が表示モードに基づいて熱電素子60を制御してもよい。
例えば、表示モードは、輝度モード、白黒比を含む。ここで、輝度は投写画像、すなわち投写される光学像の明るさである。輝度が高いほど投写画像が明るくなる。白黒比は、ある時間内における平均値な投写画像の明るさ(白さ)を示す指標である。この場合、制御装置66の制御により、輝度モード、白黒比に基づいて、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度が基準温度に維持される。
この構成によれば、サーミスタを必要としないため、簡素な構成でプロジェクター1の使用中の3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度を調整できる。
また、本実施形態のプロジェクター1では、光均一化光学系として第1レンズアレイおよび第2レンズアレイからなるレンズインテグレーター光学系を用いたが、これに限定されるものではない。光均一化光学系として、例えば、導光ロッドからなるロッドインテグレーター光学系を用いることもできる。
また、本実施形態におけるプロジェクター1は反射型のプロジェクターであるが、これに限定されるものではない。例えば、透過型のプロジェクターであってもよい。ここで、「反射型」とは、反射型の液晶装置等のように光変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。「透過型」とは、透過型の液晶装置等のように光変調装置が光を透過するタイプであることを意味している。透過型のプロジェクターに本発明を適用した場合にも、反射型のプロジェクターと同様の効果を得ることができる。透過型のプロジェクターに本発明を適用する場合には、光変調装置の光射出面と重ならない位置にヒートパイプを配置する。
(第2実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態に係るプロジェクター1Aの概略構成を示す図である。
図3に示すように、本実施形態においては、温度調整ユニット6Aの構成が上述の第1実施形態に係る温度調整ユニット6の構成と異なっている。その他の点は上述の構成と同様であるので、図1と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態においては、一例として、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bと1つの熱電素子60との間で熱伝達による熱の移動が行われる構成を挙げて説明する。
温度調整ユニット6Aは、熱電素子60と、固定部材61と、放熱部材63と、冷却ファン64と、伝熱ユニット70と、3つの第2温度センサー75と、制御装置76と、を備えている。なお、3つの第2温度センサー75において、R光用の第2温度センサーを75R、G光用の第2温度センサーを75G、B光用の第2温度センサーを75Bとする。
伝熱ユニット70は、流体を3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bに供給するための機構である。伝熱ユニット70は、伝熱部材本体71と、3つの伝熱部材72と、ポンプ73と、リザーブタンク74と、を有している。伝熱部材本体71及び3つの伝熱部材72は、各反射型光変調装置52R,52G,52Bに流体を供給するための管である。
なお、3つの伝熱部材72において、R光用の伝熱部材を72R、G光用の伝熱部材を72G、B光用の伝熱部材を72Bとする。
ポンプ73は、伝熱部材本体71の経路上に配置されている。ポンプ73は、管内の流体を流動させるものである。本実施形態において、流体は水などの液体を用いる。
伝熱部材本体71の一部は、固定部材61の第2面61bに固定されている。伝熱部材本体71の両端部は3つに分岐している。伝熱部材本体71の両端部の分岐した部分には、各伝熱部材72が接続されている。
3つの伝熱部材72R,72G,72Bは、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bのそれぞれに対応して熱伝達可能に配置されている。各伝熱部材72R,72G,72Bの一部は接続部材81(図4参照)に固定されている。接続部材81は、それぞれ3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの裏面に固定されている。
図4は、伝熱部材72と反射型光変調装置52との接続状態を示す図である。図4(a)は、反射型光変調装置52の裏面側から見た図である。図4(b)は、図4(a)のA−A線に沿った断面図である。
図4(a)、(b)に示すように、反射型光変調装置52の裏面にはヒートシンク80が設けられている。ヒートシンク80の表面には複数のフィンが設けられている。反射型光変調装置52の裏面側から見て、伝熱部材72のヒートシンク80と重なる部分には接続部材81が設けられている。接続部材81は、伝熱部材72と反射型光変調装置52とを接続する部材である。接続部材81は、箱状の部材である。接続部材81の内部は空洞になっている。接続部材81の対向する2つの壁面には開口部81aが形成されている。接続部材81の開口部81aに伝熱部材72の一部が接続されている。これにより、伝熱部材72の内部を流れる流体82が接続部材81の内部に移動可能になっている。そして、伝熱部材72の内部は流体82によって隙間なく満たされ、流体82がヒートシンク80の表面に当たるようになっている。反射型光変調装置52で発生した熱がヒートシンク80を通して流体82に伝達される。
なお、反射型光変調装置52の裏面にヒートシンク80を設けずに、流体が反射型光変調装置52の裏面に直接当たるようになっていてもよい。
図3に戻り、各伝熱部材72R,72G,72Bは、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bと1つの熱電素子60との間で熱を移動させる。3つの伝熱部材72R,72G,72Bの間の熱抵抗の比は、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの間の発熱量の逆数の比になっている。
例えば、R光用の反射型光変調装置52Rの発熱量を1とする。G光用の反射型光変調装置52Gの発熱量を5とする。B光用の反射型光変調装置52Bの発熱量を2とする。この場合、R光用の伝熱部材72Rの熱抵抗を1とする。G光用の伝熱部材72Gの熱抵抗を1/5とする。B光用の伝熱部材72Bの熱抵抗を1/2とする。
なお、各伝熱部材72R,72G,72Bの熱抵抗の算出式については、後述する。
リザーブタンク74は、伝熱部材本体71の経路上に配置されている。リザーブタンク74は、流体の温度変化による管内の圧力変化を調整するものである。
各第2温度センサー75R,75G,75Bは、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの一部に固定されている。第2温度センサー75は、反射型光変調装置52の温度を測定する。第2温度センサー75は、例えば、サーミスタである。各第2温度センサー75R,75G,75Bで測定された各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度のデータは、制御装置76に伝達される。以下、第2温度センサー75で測定された反射型光変調装置52の温度を単に装置温度と称する場合がある。
制御装置76は、熱電素子60、冷却ファン64、ポンプ73、リザーブタンク74、及び3つの第2温度センサー75を統括制御する。制御装置76は、各装置温度に基づいて、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度が基準温度に一致するよう熱電素子60を制御する。
本実施形態においては、不図示の演算装置により、各装置温度に基づいて、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度の基準温度からの温度差を補正するための熱電素子60に印加する電圧値が演算される。
制御装置76は、当該電圧値に基づいて熱電素子60を駆動する。なお、電圧値に限らず、デューティー比も適用可能である。
本実施形態においては、伝熱ユニット70(伝熱部材本体71、3つの伝熱部材72R,72G,72B、ポンプ73及びリザーブタンク74)により、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bと1つの熱電素子60との間で熱伝達による熱の移動が行われる。
本実施形態において、反射型光変調装置52の温度の基準温度からの温度差ΔTは、伝熱部材72の熱抵抗θaと、反射型光変調装置52の発熱量Qとの積により表される。つまり、前記(1)式ないし(3)式において、熱伝導による熱抵抗θを熱伝達による熱抵抗θaに置き換えることにより表される。
次に、各伝熱部材72R,72G,72Bの熱抵抗θa1,θa2,θa3の設定方法について説明する。
本実施形態においては、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度の基準温度からの温度差ΔT1,ΔT2,ΔT3が互いに一致するよう、各伝熱部材72R,72G,72Bの熱抵抗θa1,θa2,θa3を互いに異なる値に設定している。
伝熱部材72において熱伝達による熱の移動が行われる場合、強制対流熱伝達率hと反射型光変調装置52が流体の対流を受ける面積Sとにより熱抵抗θaの値が決まる。熱抵抗θaは、下記の(7)式により表される。
θa=1/(h・S) ・・・(7)
強制対流熱伝達率hの値は、流体の熱伝達係数α、流体の流速V及び反射型光変調装置52が流体の対流を受ける長さMにより決まる。
なお、伝熱部材72において、流体の流速Vは、伝熱部材72の径によって決まる値である。例えば、流体の流速Vを大きくしたい場合には伝熱部材の径を小さくする。一方、流体の流速Vを小さくしたい場合には伝熱部材の径を大きくする。
反射型光変調装置52が流体の対流を受ける長さMは、反射型光変調装置52の裏面に配置されたヒートシンク80の流体の流れ方向の長さである(図4(a)参照)。
反射型光変調装置52Bが流体の対流を受ける面積Sは、反射型光変調装置52の裏面に配置されたヒートシンク80の表面積である(図4(b)参照)。
なお、3つの反射型光変調装置52において、R光用の反射型光変調装置52Rの裏面に配置されたヒートシンク80の表面積をS1とする。G光用の反射型光変調装置52Gの裏面に配置されたヒートシンク80の表面積をS2とする。B光用の反射型光変調装置52Bの裏面に配置されたヒートシンク80の表面積をS3とする。
ここで、R光用の反射型光変調装置52Rにおける強制対流熱伝達率をh1とする。R光用の伝熱部材72Rを流れる流体の流速をV1とする。R光用の反射型光変調装置52Rが流体の対流を受ける長さをM1とする。R光用の反射型光変調装置52Rにおける強制対流熱伝達率h1は、下記の(8)式により表される。
h1=α・√(V1/M1) ・・・(8)
G光用の反射型光変調装置52Gにおける強制対流熱伝達率をh2とする。G光用の伝熱部材72Gを流れる流体の流速をV2とする。G光用の反射型光変調装置52Gが流体の対流を受ける長さをM2とする。G光用の反射型光変調装置52Gにおける強制対流熱伝達率h2は、下記の(9)式により表される。
h2=α・√(V2/M2) ・・・(9)
B光用の反射型光変調装置52Bにおける強制対流熱伝達率をh3とする。B光用の伝熱部材72Bを流れる流体の流速をV3とする。B光用の反射型光変調装置52Bが流体の対流を受ける長さをM3とする。B光用の反射型光変調装置52Bにおける強制対流熱伝達率h3は、下記の(10)式により表される。
h3=α・√(V3/M3) ・・・(10)
上記の式(7)ないし式(10)により、各伝熱部材72R,72G,72Bの熱抵抗θa1,θa2,θa3を互いに異なる値に設定するためには、各伝熱部材72R,72G,72Bの内部を流れる流体の流速V1,V2,V3、各反射型光変調装置52R,52G,52Bが流体の対流を受ける長さM1,M2,M3、及び各反射型光変調装置52R,52G,52Bが流体の対流を受ける面積S1,S2,S3のうち少なくとも一つを、伝熱部材62R,62G,62B毎に異ならせればよいことが分かる。
本実施形態においては、各伝熱部材72R,72G,72Bの内部を流れる流速V1,V2,V3を伝熱部材72R,72G,72B毎に異ならせている。例えば、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bのうち発熱量が大きい反射型光変調装置52Gに固定される伝熱部材72Gの流速V2を大きくする。一方、発熱量が小さい反射型光変調装置52R,52Bに固定される伝熱部材72R,72Bの流速V1,V3を小さくする。
なお、各伝熱部材72R,72G,72Bの熱抵抗θa1,θa2,θa3の設定は、各伝熱部材72R,72G,72Bの内部を流れる流速V1,V2,V3を伝熱部材72R,72G,72B毎に異ならせることに限らない。例えば、各反射型光変調装置52R,52G,52Bが流体の対流を受ける長さM1,M2,M3を反射型光変調装置52R,52G,52B毎に異ならせてもよいし、各反射型光変調装置52R,52G,52Bが流体の対流を受ける面積S1,S2,S3を反射型光変調装置52R,52G,52B毎に異ならせてもよい。
すなわち、各伝熱部材72R,72G,72Bの熱抵抗θa1,θa2,θa3を互いに異なる値に設定するには、各伝熱部材72R,72G,72Bの内部を流れる流速V1,V2,V3、各反射型光変調装置52R,52G,52Bが流体の対流を受ける長さM1,M2,M3、及び各反射型光変調装置52R,52G,52Bが流体の対流を受ける面積S1,S2,S3のうち少なくとも一つを、伝熱部材72R,72G,72B毎に異ならせればよい。
これにより、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bのうち発熱量が大きい反射型光変調装置52Gには、熱抵抗が小さい伝熱部材72Gが配置される。一方、発熱量が小さい反射型光変調装置52R,52Bには、熱抵抗が大きい伝熱部材72R,72Bがそれぞれ配置される。
つまり、発熱量が大きい反射型光変調装置52Gには、熱が移動しやすくなる。そのため、発熱量が大きい反射型光変調装置52Gを冷却しやすくなる。一方、発熱量が小さい反射型光変調装置52R,52Bには、熱が移動しにくくなる。そのため、発熱量が小さい反射型光変調装置52R,52Bを冷却しにくくなる。
このように、各反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度の基準温度からの温度差ΔT1,ΔT2,ΔT3が互いに一致するよう、各伝熱部材72R,72G,72Bの熱抵抗θa1,θa2,θa3が互いに異なる値に設定される。
本実施形態では、制御装置76の制御により、各装置温度に基づいて、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度が基準温度に維持される。そのため、プロジェクター1Aの使用中、つまり、各装置温度の変化中において3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度を調整できる。その結果、使用時に各装置温度が変化しても、反射型光変調装置52の応答性の低下が抑制されるプロジェクター1Aを提供することができる。
また、この構成によれば、伝熱部材72としての管の経路を必要に応じて適宜変更できる。よって、設計の自由度を高めることができる。
また、この構成によれば、流体として液体を用いているため、気体の場合に比べて、反射型光変調装置52に熱が移動しやすくなる。液体は気体よりも熱伝達係数αが大きいからである。よって、3つの反射型光変調装置52R,52G,52Bの温度を基準温度に調整することが容易となる。
伝熱部材72において熱伝達による熱の移動が行われる場合、流体の熱伝達係数α、流体の流速V、反射型光変調装置52が流体の対流を受ける長さM、及び反射型光変調装置52が流体の対流を受ける面積Sにより熱抵抗θaの値が決まる。熱伝達係数αは流体によって決まる定数である。そのため、流体の流速V、反射型光変調装置52が流体の対流を受ける長さM、及び反射型光変調装置52が流体の対流を受ける面積Sのうち少なくとも一つを3つの反射型光変調装置52R,52G,52B毎に異ならせることにより、3つの伝熱部材72の間の熱抵抗θaの比が3つの反射型光変調装置52の間の発熱量Qの逆数の比になるよう設定することができる。よって、設計の自由度を高めることができる。
なお、本実施形態のプロジェクター1Aでは、流体として液体を用いたが、これに限らない。例えば、流体として空気などの気体を用いることもできる。これにより、プロジェクターの軽量化を図ることができる。気体は液体よりも密度が小さいからである。
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも、適用することができる。
本発明は、表示画像を3次元画像として立体的に表現する3D(3次元)プロジェクターに適用することができる。3Dプロジェクターは、左眼用画像の光及び右眼用画像の光を時分割で交互に出射する。3Dプロジェクターには高い応答性が要求される。そのため、光変調装置の応答性の低下を抑制できるという効果は顕著なものとなる。