JP4140610B2 - 光学装置、及びプロジェクタ - Google Patents
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Description
光変調素子としては、例えば、1対の基板間に液晶が密封封入されたアクティブマトリックス駆動方式の液晶パネルが採用される。一般に、液晶パネルの光束入射側及び光束射出側には、所定の偏光軸を有する光束を透過させる入射側偏光板及び射出側偏光板がそれぞれ配置される。
そこで、液晶パネルと偏光板との間に液体冷媒層としての透過型の冷却室を配設し、その冷却室に冷却流体を流して光変調素子や偏光板の温度上昇を抑える技術がある(例えば、特許文献1参照)。
冷却管は光変調素子の周縁部に沿って配設されるから、冷却流体中を画像形成用の光束が通過することがなく、そのため、光変調素子にて形成される光学像に冷却流体中の気泡や塵埃等の像が含まれたり、冷却流体の温度分布に伴う光学像の揺らぎが発生することが回避される。
さらに、この光学装置では、素子周縁部における冷却流体の経路が管(冷却管)によって形成されるから、経路形成のための接合部を比較的少なくすることが可能である。そのため、流体漏れのリスクが小さく、また、流れ方向に関して均一かつ滑らかな流路が形成されるから配管抵抗が小さい。
したがって、この光学装置によれば、冷却流体を用いることによる不具合の発生を抑えつつ、光変調素子の温度上昇を効果的に抑制することができる。
なお、光変調素子の保持枠の内部に冷却管を配設した構造は、保持枠が光変調素子の保持手段と冷却手段とを兼ねており、小型化を図りやすく、小型の光学素子に好ましく適用可能である。
この構成によれば、比較的熱吸収が多い光変調素子の入射面側に近づけて冷却管が配設されるから、光変調素子の熱が効果的に取り除かれる。
この構成によれば、光変調素子に加え、入射面側あるいは射出面側の偏光板が冷却流体により冷却される。
偏光板冷却管は、光変調素子冷却管と同様に、偏光板の周縁部に沿って配設されるから、冷却流体中を画像形成用の光束が通過することがなく、そのため、光変調素子にて形成される光学像に冷却流体中の気泡や塵埃等の像が含まれたり、冷却流体の温度分布に伴う光学像の揺らぎが発生することが回避される。
これにより、ほぼ同じ温度の冷却流体を複数の経路に分岐して供給することが可能となる。
このプロジェクタによれば、光変調素子の温度上昇が効果的に抑制されるから、画質の向上が図られる。
図1は、プロジェクタ1の概略構成を模式的に示す図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、形成した光学像をスクリーン上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、外装ケース2と、空冷装置3と、光学ユニット4と、投射光学装置としての投射レンズ5とを備える。
なお、図1において、図示は省略するが、外装ケース2内において、空冷装置3、光学ユニット4、及び投射レンズ5以外の空間には、電源ブロック、ランプ駆動回路等が配置されるものとする。
なお、外装ケース2は、合成樹脂等に限らず、その他の材料にて形成してもよく、例えば、金属等により構成してもよい。
また、図示は省略するが、この外装ケース2には、プロジェクタ1外部から空気を内部に導入するための吸気口(例えば、図2に示す吸気口22)、及びプロジェクタ1内部で温められた空気を排出するための排気口が形成されている。
さらに、この外装ケース2には、図1に示すように、投射レンズ5の側方で外装ケース2の角部分に位置し、光学ユニット4の後述するラジエータ466及び軸流ファン467等を他の部材と隔離する隔壁21が形成されている。
投射レンズ5は、複数のレンズが組み合わされた組レンズとして構成される。そして、この投射レンズ5は、光学ユニット4にて形成された光学像(カラー画像)を図示しないスクリーン上に拡大投射する。
光学ユニット4は、図1に示すように、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光学装置44と、光学部品用筐体45と、液冷ユニット46とを備える。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を光学装置44の後述する液晶パネル上に結像させる機能を有している。
具体的に、偏光変換素子414によって略1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の後述する液晶パネル上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネルを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ユニット411からの光の略半分を利用できない。このため、偏光変換素子414を用いることで、光源ユニット411からの射出光を略1種類の偏光光に変換し、光学装置44での光の利用効率を高めている。
リレー光学系43は、図1に示すように、入射側レンズ431、リレーレンズ433、及び反射ミラー432,434を備え、色分離光学系42で分離された青色光を光学装置44の後述する青色光用の液晶パネルまで導く機能を有している。
入射側偏光板442は、偏光変換素子414で偏光方向が略一方向に揃えられた各色光が入射され、入射された光束のうち、偏光変換素子414で揃えられた光束の偏光軸と略同一方向の偏光光のみを透過させ、その他の光束を吸収するものである(光吸収型)。
この入射側偏光板442は、具体的な図示は省略するが、サファイアガラスまたは水晶等の透光性基板上に偏光膜が貼付された構成を有している。光吸収型の偏光膜は、例えば、ヨウ素分子または染料分子を含むフィルムを一軸延伸して形成されており、消光比が比較的高く、入射角依存性が比較的小さいという利点を有する。
射出側偏光板443は、入射側偏光板442と略同様の構成であり、液晶パネル441から射出された光束のうち、入射側偏光板442における光束の透過軸と直交する偏光軸を有する光束のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである(光吸収型)。
なお、図2において、光学部品用筐体45内の光学部品は、説明の簡略化のために、光学装置44のみを図示し、その他の光学部品41〜43は省略している。また、図2及び図3において、説明の簡略化のために、液冷ユニット46における部材を一部省略して示している。
このうち、部品収納部材451は、光学部品用筐体45の底面、前面、及び側面をそれぞれ構成する。
また、側面の正面部分には、図2に示すように、投射レンズ5を光学ユニット4に対して所定位置に設置するための投射レンズ設置部451Bが形成されている。この投射レンズ設置部451Bは、平面視略矩形状に形成され、平面視略中央部分には光学装置44からの光束射出位置に対応して円形状の図示しない孔が形成されており、光学ユニット4にて形成されたカラー画像が上記孔を通して投射レンズ5にて拡大投射される。
以下、液冷ユニット46について詳しく説明する。
図2及び図3において、液冷ユニット46は、メインタンク461、流体圧送部462(図3)、素子冷却管463、分岐タンク464(図3)、合流タンク465、ラジエータ466、軸流ファン467、及び管部469等を備える。
このメインタンク461の周面において、図3に示すように、冷却流体の流入部461A及び流出部461Bが形成されている。
これら流入部461A及び流出部461Bは、管状部材から構成され、メインタンク461の内外に突出するように配置されている。そして、流入部461Aの外側に突出した一端に管部469の一端が接続され、その管部469を介して外部からの冷却流体がメインタンク461内部に流入する。また、流出部461Bの外側に突出した一端にも管部469の一端が接続され、その管部469を介してメインタンク461内部の冷却流体が外部に流出する。
また、メインタンク461において、流入部461A及び流出部461Bの各中心軸が互いに略直交する位置関係にあり、これにより、流入部461Aを介してメインタンク461内部に流入した冷却流体が、流出部461Bを介して直ぐに外部に流出することが回避され、メインタンク461内部での混合作用により、冷却流体の均質化並びに温度の均一化が図られる。そして、メインタンク461から流出した冷却流体は、管部469を介して流体圧送部462に送られる。
具体的に、流体圧送部462は、例えば、略直方体状のアルミニウム等の金属製の中空部材内に羽根車が配置された構成を有し、図示しない制御装置の制御の下、上記羽根車が回転することで、メインタンク461内に蓄積された冷却流体を管部469を介して強制的に吸引し、その冷却流体を管部469を介して外部に強制的に排出する。このような構成により、上記羽根車の回転軸方向の厚み寸法を小さくすることができ、コンパクト化並びに省スペース化が図られる。本実施形態では、流体圧送部462は、図2又は図3に示すように、投射レンズ5の下方に配置される。
図4において、前述したように、光学装置44は、3枚の液晶パネル441(赤色光用の液晶パネル441R、緑色光用の液晶パネル441G、青色光用の液晶パネル441B)と、各液晶パネル441の入射側あるいは射出側に配置される偏光板(入射側偏光板442、射出側偏光板443)と、クロスダイクロイックプリズム444とが一体的に構成されたものである。
すなわち、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色毎に、射出側偏光板443、液晶パネル441、及び入射側偏光板442の順に、それらがクロスダイクロイックプリズム444上に重ねて配置されている。
そして、素子冷却管463は、液晶パネル441、入射側偏光板442、及び射出側偏光板443のそれぞれに対して個別に配設されている。
同様に、素子冷却管463は、緑色光に関して、液晶パネル441Gの周縁に配設される液晶パネル冷却管4631Gと、入射側偏光板442の周縁に配設される入射側偏光板冷却管4632Gと、射出側偏光板443の周縁に配設される射出側偏光板冷却管4633Gとを含み、また、青色光に関して、液晶パネル441Bの周縁に配設される液晶パネル冷却管4631Bと、入射側偏光板442の周縁に配設される入射側偏光板冷却管4632Bと、射出側偏光板443の周縁に配設される射出側偏光板冷却管4633Bとを含む。
なお、上記素子保持枠、及び素子冷却管463の詳しい構造については後述する。
また、合流タンク465は、図2に示すように、各素子冷却管463から送られた冷却流体を合流させて一時的に蓄積するものである。
本実施形態では、光学装置44におけるクロスダイクロイックプリズム444の一面に分岐タンク464が配置され、そのクロスダイクロイックプリズム444の反端側の一面に合流タンク465が配置されている。分岐タンク464及び合流タンク465の配置位置はこれに限らず、他の位置でもよい。
分岐タンク464は、図5に示すように、全体が略円柱形状を有し、アルミニウム等の金属製の密閉された容器状部材から構成され、内部に冷却流体を一時的に蓄積する。
この分岐タンク464の周面において、冷却流体の流入部464A、及び流出部464B1,464B2,…464B9が形成されている。
これら流入部464A及び流出部464B1〜464B9は、管状部材から構成され、分岐タンク464の内外に突出するように配置されている。そして、流入部464Aの外側に突出した一端に管部469の一端が接続され、その管部469を介して流体圧送部462(図3参照)からの冷却流体が分岐タンク464内部に流入する。また、流出部464B1〜464B9の外側に突出した各一端にも管部469の一端が個別に接続され、その管部469を介して分岐タンク464内部の冷却流体が各素子冷却管463(図4参照)に向けて流出する。
この合流タンク465の周面において、冷却流体の流入部465A1,465A2,…465A9、及び流出部465Bが形成されている。
これら流入部465A1〜465A9及び流出部465Bは、管状部材から構成され、合流タンク465の内外に突出するように配置されている。そして、流入部465A1〜465A9の外側に突出した各一端に管部469の一端が個別に接続され、その管部469を介して各素子冷却管463(図4参照)からの冷却流体が合流タンク465内部に流入する。また、流出部465Bの外側に突出した一端にも管部469の一端が接続され、その管部469を介して合流タンク465内部の冷却流体がラジエータ466に向けて流出する。
管状部材4661は、アルミニウム等の熱伝導性の高い部材からなり、流入部4661Aから流入した冷却流体が流出部4661Bに向けて内部を流れる。管状部材4661の流入部4661Aと合流タンク465の流出部465Bとが管部469を介して接続され、管状部材4661の流出部4661Bとメインタンク461とが管部469を介して接続されている。
複数の放熱フィン4662は、アルミニウム等の熱伝導性の高い板状部材からなり、並列配置されている。また、軸流ファン467は、ラジエータ466の一面側から冷却空気を吹き付けるように構成されている。
そして、ラジエータ466では、管状部材4661内を流れる冷却流体の熱が放熱フィン4662を介して放熱されるとともに、軸流ファン467による冷却空気の供給によってその放熱が促進される。
冷却流体としては、例えば透明性の非揮発性液体であるエチレングリコールが用いられ、この他の液体を用いてもよい。なお、本発明における冷却流体は液体に限らず、気体でもよく、また、液体と固体との混合物等を用いてもよい。
次に、素子保持枠及び素子冷却管について説明する。ここでは、代表的に、赤色光に関するものを説明するが、緑色光及び青色光に関するものもこれと同様である。
図7に示すように、赤色光に関して、液晶パネル441Rの周縁が液晶パネル保持枠445に保持され、入射側偏光板442の周縁が入射側偏光板保持枠446に保持され、射出側偏光板443の周縁が射出側偏光板保持枠447に保持されている。各保持枠445,446,447は、液晶パネル441Rの画像形成領域に対応した後述する矩形状の開口部を有しており、これらの開口部を光束が通過する。
そして、液晶パネル保持枠445の内部に、液晶パネル441Rの周縁に沿って液晶パネル冷却管4631Rが配設され、入射側偏光板保持枠446の内部に、入射側偏光板442の周縁に沿って入射側偏光板冷却管4632Rが配設され、射出側偏光板保持枠447の内部に、射出側偏光板443の周縁に沿って射出側偏光板冷却管4633Rが配設されている。
液晶パネル保持枠445は、図8に示すように、一対の枠状部材4451,4452と、液晶パネル固定板4453とを含む。
ここで、液晶パネル441Rは、透過型であり、一対の透明基板間に液晶層が密閉封入された構成を有し、一対の基板は、液晶に駆動電圧を印加するためのデータ線、走査線、スイッチング素子、画素電極等が形成された駆動基板と、共通電極、ブラックマトリックス等が形成された対向基板とを含む。
枠状部材4451と枠状部材4452との結合は、ネジ等による締結、接着、溶接、及び嵌合等の機械的結合など、様々な方法が適用可能である。結合方法としては、液晶パネル冷却管4631Rと枠状部材4451,4452(あるいは液晶パネル441R)との間の熱伝達性の高い方法が好ましく用いられる。
なお、枠状部材4451,4452の具体的な結合構造については後述する。
流入部(IN)から液晶パネル冷却管4631R内に流入した冷却流体は、液晶パネル441Rの周縁に沿って略一周にわたって流れ、流出部(OUT)から流出する。また、その冷却流体は、液晶パネル冷却管4631R内を流れる間に、液晶パネル441Rから熱を奪う。すなわち、液晶パネル441Rの熱が、枠状部材4451,4452を介して液晶パネル冷却管4631R内の冷却流体に伝達されて外部に運ばれる。
さらに、液晶パネル441Rの側面には段差が設けられており、入射面に比べて射出面の面積が広い。そのため、面積の小さい入射面側に近づけて液晶パネル冷却管4631Rが配設されることにより、構成要素の配置の効率化が図られ、装置の小型化が図られる。
入射側偏光板保持枠446は、液晶パネル保持枠445(図8参照)と概ね同様の構成からなり、図10(A)及び(B)に示すように、一対の枠状部材4461,4462と、偏光板固定板4463とを含む。
ここで、入射側偏光板442は、透光性基板上に偏光膜フィルムが貼付された構成からなる。
枠状部材4461と枠状部材4462との結合は、ネジ等による締結、接着、溶接、及び嵌合等の機械的結合など、様々な方法が適用可能である。結合方法として、入射側偏光板冷却管4632Rと枠状部材4461,4462(あるいは入射側偏光板442)との間の熱伝達性の高い方法が好ましく用いられる。
流入部(IN)から入射側偏光板冷却管4632R内に流入した冷却流体は、入射側偏光板442の周縁に沿って略一周にわたって流れ、流出部(OUT)から流出する。また、その冷却流体は、入射側偏光板冷却管4632R内を流れる間に、入射側偏光板442から熱を奪う。すなわち、入射側偏光板442の熱が、枠状部材4461,4462を介して入射側偏光板冷却管4632R内の冷却流体に伝達されて外部に運ばれる。
射出側偏光板保持枠447は、入射側偏光板保持枠446(図10参照)と同様の構成からなり、図11(A)及び(B)に示すように、一対の枠状部材4471,4472と、偏光板固定板4473とを含む。
ここで、射出側偏光板443は、入射側偏光板442と同様に、透光性基板上に偏光膜フィルムが貼付された構成からなる。
枠状部材4471と枠状部材4472との結合は、ネジ等による締結、接着、溶接、及び嵌合等の機械的結合など、様々な方法が適用可能である。結合方法として、射出側偏光板冷却管4633Rと枠状部材4471,4472(あるいは射出側偏光板443)との間の熱伝達性の高い方法が好ましく用いられる。
流入部(IN)から射出側偏光板冷却管4633R内に流入した冷却流体は、射出側偏光板443の周縁に沿って略一周にわたって流れ、流出部(OUT)から流出する。また、その冷却流体は、射出側偏光板冷却管4633R内を流れる間に、射出側偏光板443から熱を奪う。すなわち、射出側偏光板443の熱が、枠状部材4471,4472を介して射出側偏光板冷却管4633R内の冷却流体に伝達されて外部に運ばれる。
しかも、冷却流体の経路(素子冷却管4631R,4632R,4633R)が各素子441R,442,443の周縁部に沿って配設されることにより、冷却流体中を画像形成用の光束が通過することがなく、そのため、液晶パネル441Rにて形成される光学像に冷却流体中の気泡や塵埃等の像が含まれたり、冷却流体の温度分布に伴う光学像の揺らぎが発生することが回避される。
なお、素子保持枠445,446,447の内部に素子冷却管4631R,4632R,4633Rを配設した構造は、保持枠445,446,447が、各素子441R,442,443の保持手段と冷却手段とを兼ねており、その結果、小型化を図りやすく、小型の光学素子に好ましく適用可能である。
例えば、本実施形態では、各素子441R,442,443の周縁部の外側に、各素子の厚みと同程度の外径を有する素子冷却管4631R,4632R,4633Rを配設しており、冷却流体経路を備えることによる厚み方向の拡大が抑制されている。
すなわち、図34(A)〜(C)に示すように、液晶パネル保持枠445の内部において、断面円環状の液晶パネル冷却管4631Rが、液晶パネル441Rの周縁部に沿って略一周にわたって延び、そこで折り返されて逆方向に向かって略一周にわたって延びている。こうした管形態は、いわゆるフォーミング加工により形成可能である。また、枠状部材4451a,4451b,4452の各内面(合わせ面、対向面)には、液晶パネル441Rの周縁に沿って略一周にわたって断面略半円状の溝部4451aB,4451bB,4452Ba,4452Bbが形成されており、溝部4451aBと溝部4452Ba、溝部4451bBと溝部4452Bbとはそれぞれ、互いに略鏡面対称の形状関係にある。そして、液晶パネル冷却管4631Rを各溝部4451aB,4451bB,4452Ba,4452Bb内に収納した状態で、枠状部材4451a,4451b,4452同士が互いに結合されている。
以上の実施形態では、素子冷却管4631R,4632R,4633Rに断面形状が円形の管の例を示したが、図31に示す断面が半円形等の管や図33に示す断面が略矩形状の管或いはその他の断面形状を有する管を使用しても良い。
すなわち、図35(A),(B)に示すように、略矩形断面を有する液晶パネル冷却管4631Rが、液晶パネル441Rの周縁部に沿って枠状に配設されている。そして、液晶パネル冷却管4631Rの中央の開口部において液晶パネル441Rが保持されている。液晶パネル冷却管4631Rの厚みは、液晶パネル441Rとほぼ同じである。
すなわち、本実施形態では、3枚の液晶パネル441R,441G,441Bと、3つの入射側偏光板442と、3つの射出側偏光板443とを含む合計9つの光学素子が、冷却流体を用いて個別に冷却される。各素子が個別に冷却されることにより、各素子の温度上昇に伴う不具合の発生が確実に防止される。
図12は、上記した光学装置44における冷却流体の流れを示す配管系統図である。
図12に示すように、本実施形態では、光学装置44における、3枚の液晶パネル441R,441G,441Bと、3つの入射側偏光板442と、3つの射出側偏光板443とを含む合計9つの光学素子に対して、冷却流体の経路が並行に設けられている。
また、複数の素子冷却管を冷却流体の経路上ですべて並列に配置する構成に限らず、少なくとも一部を直列に配置する構成としてもよい。この場合、各素子の発熱量に応じてその経路を定めるとよい。
図13の例では、光学装置44における、3枚の液晶パネル441R,441G,441Bと、3つの入射側偏光板442と、3つの射出側偏光板443とを含む合計9つの光学素子に対してそれぞれ素子冷却管(4631R,4632R,4633R,4631G,4632G,4633G,4631B,4632B,4633B)が配設されるとともに、冷却流体の経路が色毎に直列に設けられている。
そして、光学装置44における発熱量は、入射側偏光板、液晶パネル、射出側偏光板、の順に高くなる傾向にある(入射側偏光板 < 液晶パネル < 射出側偏光板)。
また、比較的発熱量が高い射出側偏光板443に対して最初に冷却流体を供給するので、射出側偏光板443が確実に冷却される。
さらに、各色毎に複数の素子冷却管をすべて直列に配置するのに限らず、次に説明するように一部のみを直列に配置する構成でもよい。
図14の例では、光学装置44における、3枚の液晶パネル441R,441G,441Bと、3つの入射側偏光板442と、3つの射出側偏光板443とを含む合計9つの光学素子に対してそれぞれ素子冷却管(4631R,4632R,4633R,4631G,4632G,4633G,4631B,4632B,4633B)が配設されるとともに、冷却流体の経路が各色毎に一部で直列に設けられている。
また、発熱量の高い射出側偏光板443に対する冷却経路と並行して、液晶パネル441R,441G,441B及び入射側偏光板442に対して冷却経路が設けられていることにより、射出側偏光板443の熱影響が他の素子に及ぶのが回避され、液晶パネル441R,441G,441B及び入射側偏光板442が効果的に冷却される。
ここで、緑色光は一般に光強度が比較的強いことからその光学素子も温度上昇しやすい。そのため、緑色光に関しては冷却効果が高い冷却構造を採用し、他の赤色光及び青色光に関しては簡素な構成の冷却構造を採用することにより、配管スペースの縮小化と素子冷却の効率化とが図られる。
次に、上述した液晶パネル441、入射側偏光板442、及び射出側偏光板443の各素子の保持枠(液晶パネル保持枠445、入射側偏光板保持枠446、射出側偏光板保持枠447)に適用される枠状部材の結合構造、及び素子保持枠の製造方法について説明する。
同様に、「冷却管14」は、上記の素子冷却管463(液晶パネル冷却管4631R、入射側偏光板冷却管4632R、射出側偏光板冷却管4633R)に対応する。
同様に、「光学素子11」は、上記の液晶パネル441R,441G,441B、入射側偏光板442及び射出側偏光板443に対応する。
図15に示すように、枠状部材12,13のそれぞれには、冷却管14が収納される溝部122,132と、溝部122,132の内方に突出する突起部124,134とが形成されている。そして、この突起部124,134が冷却管14の外面に食い込んで係合することにより、各枠状部材12,13と冷却管14とが一体化されている。また、後述する冷却管14の拡径処理を経て、各枠状部材12,13の溝部122,132の内面に冷却管14の外面が密着している。
次に、上記枠状部材12,13からなる素子保持枠の製造方法について説明する。
図16は、図15の素子保持枠の製造方法の一例を示す説明図である。この製造方法は、溝部形成工程と、突起部形成工程と、結合工程とを有する。
ここで、上記の素子保持枠においては、枠状部材12,13の溝部122,132と冷却管14との隙間に、熱伝導材を充填させることにより、枠状部材12,13と冷却管14との間の熱伝達性の向上を図ることが可能である。
図21(a)に示すように、熱伝導材140の充填は、例えば、冷却管14を拡径させる工程に先立って、枠状部材12,13の溝部122,132の内面及び/又は冷却管14の外面に熱伝導材140を塗布しておくことにより実施できる。熱伝導材140の塗布は、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、あるいは液滴吐出法等の様々な方法を用いることができる。
また、図24の例では、補溝160が、枠状部材12,13の溝部122,132の内面に周方向に延びて形成されている。さらに、複数の補溝160が、溝部122,132の軸方向に互いに離間して配設されている。なお、図24において、補溝160を、溝部122(132)の底部から頂部に向かって深さが徐々に小さく変化するように形成してもよい。
なお、枠状部材12,13の溝部122,132と対向面123,133との双方に補溝160を設けてもよい。
図25は、素子保持枠の変形例を示す図であり、図25(A)は模式的な平面図、図25(B)は(A)に示すD−D断面図である。なお、既に説明したものと同一の機能を有する構成要素には、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
本例では、冷却管14は、光学素子11の幅方向に関して2重に配設されており、枠状部材12,13の開口部に側に小径の管14Aが配され、その外側に大径の管14Bが配されている。
また、枠状部材12,13の開口部の側面には、該側面から突出して複数の位置決め部159(本例では8ケ)が設けられている。各位置決め部159の先端面は、後述する塑性変形によって所望の形状に設定されている。なお、突起状の位置決め部159が設けられていることで、開口部の側面の面精度は比較的粗くてもよい。
そして、光学素子11は、この複数の位置決め部159によって、枠状部材12,13に対する平面的な相対位置が位置決めされている。
本例では、冷却管14の拡径に伴う枠状部材12,13の変形を利用して位置決め部159の形状設定を行う。
次に、枠状部材の結合構造の第2例、及びそれに対応した素子保持枠の製造方法について説明する。
図28に示すように、枠状部材12,13のそれぞれには、冷却管14が収納される溝部122,132が形成されている。溝部122,132の内面と冷却管14の外面とは、ほぼ同じ大きさの外形部分を有しており、両者は互いに接している。また、枠状部材12,13のそれぞれには、溝部122,132の内方に突出する突起部124,134が設けられており、この突起部124,134が冷却管14の外面に食い込んで係合することにより、各枠状部材12,13と冷却管14とが一体化されている。
次に、上記枠状部材12,13からなる素子保持枠の製造方法について説明する。
図29は、図28の素子保持枠の製造方法を示す説明図である。この製造方法は、溝部形成工程と、結合工程とを有する。
すなわち、溝部形成工程において、一方の枠状部材13の対向面133に、冷却管14の全体を収納可能な溝部132を形成する(図30(a))。この溝部132は、底部から開口に向かって幅が広くなるように設けられる。また、他方の枠状部材12の対向面123に、枠状部材13の溝部132に挿入される凸部129を形成する。この凸部129は、枠状部材12の対向面123から突出して形成され、中央に冷却管14とほぼ同じ大きさの外形部分を有する溝部122と、溝部122に隣接するバンク127とを有する。
溝部132や凸部129の形状は、枠状部材12,13や冷却管14の材質、形状等に応じて適宜定められる。鋳造法(ダイカスト法など)や鍛造法(冷間/熱間鍛造など)を用いることにより、こうした形状の枠状部材12,13であっても容易かつ低コストでの形成が可能である。
すなわち、溝部形成工程において、一方の枠状部材13の対向面133に、冷却管14の全体を収納可能な略半円形状の断面を有する溝部132と、溝部に隣接する凹部138とを形成し、他方の枠状部材12の対向面123に、上記凹部138に挿入される相手側の凸部129を形成する(図31(a))。この工程では、鋳造法(ダイカスト法など)や鍛造法(冷間/熱間鍛造など)を用いて溝部132、及び凹部138(凸部129)を備える枠状部材13(12)を一体形成する。溝部132、凹部138、及び凸部129の各形状は、枠状部材12,13や冷却管14の材質、形状等に応じて適宜定められる。例えば、溝部132は、冷却管14の曲面部分とほぼ同じ外形部分(半円断面形状)を有する。また、凹部138と凸部129とは互いに組み合わされるようにほぼ同じ形状の外形部分(台形断面形状)を有するとともに、凹部138に比べて凸部129の幅が部分的にわずかに大きく形成される。鋳造法(ダイカスト法など)や鍛造法(冷間/熱間鍛造など)を用いることにより、こうした形状の枠状部材12,13であっても容易かつ低コストでの形成が可能であり、また小型の物体にも好ましく適用される。
すなわち、溝部形成工程において、先の図29に示した溝部122,132、及び凹部128,138の他に、図29の凸部139(129)に代えて治具挿入用の穴147,148を形成する(図32(a))。この穴147(148)は、相手側の枠状部材12(13)の凹部128(138)に対応する位置に設けられる。鋳造法(ダイカスト法など)や鍛造法(冷間/熱間鍛造など)を用いることにより、こうした形状の枠状部材12,13であっても容易かつ低コストでの形成が可能であり、また小型の物体にも好ましく適用される。
すなわち、溝部形成工程において、一方の枠状部材13の対向面133に、冷却管14の全体を収納可能な略矩形状の断面を有する溝部132と、溝部に連通する凹部138とを形成し、他方の枠状部材12の対向面123に、別部材嵌入用の穴147,148を形成する(図33(a))。凹部138は、深さ方向に進むに従って溝部132に近づく斜面を有する。また、穴147,148は、相手側の枠状部材13の凹部138に対応する位置に設けられる。鋳造法(ダイカスト法など)や鍛造法(冷間/熱間鍛造など)を用いることにより、こうした形状の枠状部材12,13であっても容易かつ低コストでの形成が可能であり、また小型の物体にも好ましく適用される。
また、透過型の液晶パネルに限らず、反射型の液晶パネルを用いてもよい。
また、光変調素子としては、液晶パネルに限らず、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調素子を用いてもよい。この場合、光束入射側及び光束射出側の偏光板は省略できる。
また、本発明は、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクタ、及びスクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
Claims (16)
- 光源からの光束を画像情報に応じて変調する光変調素子を含んで構成される光学装置であって、
前記光変調素子の周縁部を保持する光変調素子保持枠と、
前記光変調素子保持枠の内部に前記光変調素子の周縁部に沿って配設され、冷却流体が流れる光変調素子冷却管と、を備え、
前記光変調素子保持枠は、前記光変調素子冷却管を間に挟んで一対の枠状部材が対向配置された構成を有しており、
前記一対の枠状部材の少なくとも一方の対向面には、前記光変調素子冷却管を収納する溝部が形成され、
前記溝部と前記光変調素子冷却管との間に配置される熱伝導材と、
前記溝部の内面に形成され、前記熱伝導材の少なくとも一部を収容可能な補溝と、を備えることを特徴とする光学装置。 - 請求項1に記載の光学装置において、
前記光変調素子の発熱特性及び形状の少なくとも一方に基づいて、前記光変調素子の厚み方向における前記光変調素子の光束の入射面に対する前記光変調素子冷却管の配設位置が定められていることを特徴とする光学装置。 - 請求項2に記載の光学装置において、
前記光変調素子は透過型であり、
前記光変調素子の入射面側に近づけて前記光変調素子冷却管が配設されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項2または請求項3に記載の光学装置において、
前記光変調素子は透過型であり、
前記光変調素子の入射面と射出面とのうちの面積の小さい側に近づけて前記光変調素子冷却管が配設されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学装置において、
前記光変調素子冷却管が、前記光変調素子の周縁部に沿って少なくとも略一周にわたって配設されていること特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学装置において、
前記光変調素子冷却管が、前記光変調素子の厚み方向に関して多重に配設されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の光学装置において、
前記光変調素子冷却管は、丸形または角形の断面形状を有することを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の光学装置において、
前記光変調素子の入射面側及び射出面側の少なくとも一方に偏光板が配されており、
前記偏光板の周縁部を保持する偏光板保持枠と、
前記偏光板保持枠の内部に前記偏光板の周縁部に沿って配設され、冷却流体が流れる偏光板冷却管と、をさらに備えることを特徴とする光学装置。 - 請求項8に記載の光学装置において、
前記光変調素子冷却管と前記偏光板冷却管とが冷却流体が流れる経路上で並列に配置されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項8に記載の光学装置において、
前記光変調素子冷却管と前記偏光板冷却管とが冷却流体が流れる経路上で直列に配置されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項10に記載の光学装置において、
前記光変調素子冷却管及び前記偏光板冷却管の冷却流体の流れの上流から下流に向かう配置の順序が前記光変調素子及び前記偏光板の各発熱量に基づいて定められていることを特徴とする光学装置。 - 請求項11に記載の光学装置において、
前記偏光板は、入射面側偏光板と射出面側偏光板とを含み、
前記偏光板冷却管は、入射面側偏光板冷却管と射出面側偏光板冷却管とを含み、
上流から下流に向かって、前記射出面側偏光板冷却管、前記光変調素子冷却管、前記入射面側偏光板冷却管の順に、それらが直列に配置されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項11に記載の光学装置において、
前記偏光板は、入射面側偏光板と射出面側偏光板とを含み、
前記偏光板冷却管は、入射面側偏光板冷却管と射出面側偏光板冷却管とを含み、
上流から下流に向かって、前記光変調素子冷却管、前記入射面側偏光板冷却管の順に、それらが直列に配置されるとともに、それと並行して前記射出面側偏光板冷却管が配置されていることを特徴とする光学装置。 - 請求項1から請求項13のいずれかに記載の光学装置において、
冷却流体の経路を分岐するための分岐タンクをさらに備えることを特徴とする光学装置。 - 請求項14に記載の光学装置において、
前記光変調素子冷却管は、赤、緑、青の3色に対応する3つの光変調素子冷却管を含み、
前記分岐タンクは、前記3つの光学素子冷却管に対応して、冷却流体の経路を少なくとも3つに分岐することを特徴とする光学装置。 - 光源装置と、
請求項1〜15に記載の光学装置と、
前記光学装置にて形成された光学像を拡大投射する投射光学装置と、を備えることを特徴とするプロジェクタ。
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