以下、本発明の第1実施形態〜第9実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るクレーン装置管理システム1Aの全体構成を示す図である。図1に示すように、クレーン装置管理システム1Aは、クレーン装置10Aと、このクレーン装置10Aに取り付けられている第1の情報処理装置20Aと、第1の情報処理装置20Aと通信可能な第2の情報処理装置30Aと、第2の情報処理装置30Aが、基地局40およびインターネット網50を介して接続可能なデータサーバ60とを有している。なお、図1に示すクレーン装置管理システム1Aでは、便宜上、クレーン装置10Aを1つだけ示しているが、複数のクレーン装置10Aが含まれていてもよい。
クレーン装置10Aは、たとえば荷物の上げ下げや運搬に用いられる小型の巻上装置、いわゆるホイスト式クレーン装置である。クレーン装置10Aは、各種のクレーン動作を実行するための3つの動作制御手段12A,12B,12Cを有している。動作制御手段12Aは、クレーン装置10Aの吊荷部11の巻上動作および巻下動作を行う不図示の巻上用モータを駆動するための制御装置である。動作制御手段12Bは、不図示の走行レール上を前後に動作させる不図示の走行用モータを駆動するための制御装置である。動作制御手段12Cは、不図示の横行用モータを駆動するための制御装置である。これらの動作制御手段12A,12B,12Cは、たとえば同一メーカのインバータなどで構成され、1つの有線手段により配線することが可能となっている。なお、本実施形態および後述する実施形態において、動作制御手段12A,12B,12Cを特に区別する必要がない場合には単に動作制御手段12と称して説明する。
また、クレーン装置10Aには、図示していないがその他にも商用電源、巻上操作を実行できる巻上操作スイッチ、巻下動作を実行できる巻下操作スイッチなどを備えている。
なお、本実施形態におけるクレーン装置10Aは、ホイスト式クレーン装置として説明するが、本発明におけるクレーン装置としては、形式を問わず、何れのものにも適用できる。また、必ずしも動作制御手段12を3つ備えているクレーン装置でなくてもよく、2つの動作制御手段を備えたクレーン装置、4つの動作制御手段を備えたクレーン装置などであってもよい。また、たとえば、クレーン装置10Aを天井クレーン、移動形クレーン、タワークレーン、橋形クレーンなどのクレーンとしてもよい。
第1の情報処理装置20Aは、クレーン装置10Aの一部に取り付けられる装置である。第1の情報処理装置20Aは、動作制御手段12とそれぞれ接続するためのインタフェースが実装されている。また、第1の情報処理装置20Aは、後述する第2の情報処理装置30Aと無線通信あるいは有線接続によりクレーン装置10Aに関する所定の情報(たとえば動作履歴情報等)の送受信が可能となるように構成されている。
第2の情報処理装置30Aは、第1の情報処理装置20Aと無線通信あるいは有線接続によりクレーン装置10Aに関する所定の情報(たとえば動作履歴情報等)の送受信が可能となるように構成されている。また、第2の情報処理装置30Aは、GPS衛星100からのGPS信号を受信して、クレーン装置10Aの設置場所を特定したり、データサーバ60や他のサーバ装置(たとえば、メールサーバなど)との間で基地局40およびインターネット網50を介してクレーン装置10Aに関する情報(たとえばこのクレーン装置10Aに関する最新の機種情報やメンテナンス情報など)の送受信を行うことが可能となるように構成されている。
なお、本実施例における第2の情報処理装置30Aは、スマートフォンを一例として説明するが、本発明における第2の情報処理装置としては、OS(Operating
System)を有する携帯型のコンピュータ端末、たとえば、携帯電話、携帯情報端末、ネットブック端末などであってもよいし、デスクトップ型のコンピュータであってもよい。
データサーバ60は、基地局40およびインターネット網50を介して第2の情報処理装置30Aからの送信要求を受け付けて、クレーン装置10Aに関する所定の情報(たとえば動作履歴情報や最新の消耗品情報等)を提供するアプリケーションサーバである。
なお、第2の情報処理装置30Aがデータサーバ60や不図示の他のサーバ装置との間で通信を行なう場合、必ずしも基地局40を介してインターネット網50に接続する必要はなく、たとえば、クレーン装置10Aが設置されている場所に構築されるLAN(不図示)などからインターネット網50に接続して通信を行うようにしてもよい。
図2は、図1に示すクレーン装置10Aに取り付けられている第1の情報処理装置20Aの機能構成の一例を示すブロック図である。本実施例における第1の情報処理装置20Aは、制御部21、無線通信部22、記憶部23、インバータ接続コネクタ24、コンタクタ接続コネクタ25、RTC26を備えている。なお、これら以外にも第1の情報処理装置20Aは表示部を備えていてもよい。また、第1の情報処理装置20Aは第2の情報処理装置30Aと有線接続をする場合には、たとえば不図示のUSBインタフェースなどを介して情報の送受信をすることが可能である。
制御部21は、マイクロコンピュータまたは単にコンピュータ(以下、CPU)、書き換え可能不揮発性半導体メモリ(以下、PROM)および高速半導体メモリ(以下、RAM)ならびに不図示の周辺回路を含むプログラム制御方式の制御要素であり、第1の情報処理装置20Aの全体動作を統括制御する。制御部21は、あらかじめ後述する記憶部23に格納されている制御プログラム23AをRAMにロードしてCPUで実行することで第1の情報処理装置20Aの全体動作を統括制御することができる。なお、制御プログラム23Aは、PROMに格納されていてもよい。
たとえば、制御部21は、クレーン装置10Aの動作制御手段12に対してクレーン装置10Aの運転動作に関する各種動作情報(たとえば動作制御手段12の動作回数、動作時間、動作間隔など)の送信を要求して、受信した情報を記憶部23に記憶することができる。なお、制御部21は、動作制御手段12自体でクレーン装置10Aの各種動作情報を保持していないときは、動作制御手段12を監視して、動作制御手段12の動作回数、動作時間、動作間隔などを検出することもできる。
無線通信部22は、たとえばBluetooth(登録商標)モジュールで構成される。なお、Bluetoothとは、2.4GHz帯を79の周波数チャネルに分け、利用する周波数をランダムに変える周波数ホッピングを行いながら、半径10〜100m程度の距離内にある機器(本実施例においては第1の情報処理装置20A)と最大24Mbpsで無線通信を行うことができる、モバイル通信における廉価な通信端末用の規格のことである。なお、無線通信部22は、第2の情報処理装置30Aと無線通信を行うことができるのであれば、Bluetoothモジュール以外の無線通信モジュールであってもよい。また、無線通信部22は、Bluetoothモジュール以外の無線通信モジュールを含んでいてもよい。
記憶部23は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等の記憶手段で構成され、制御プログラム23A、稼働履歴情報23B、機器情報23Cのほか、後述する寿命計算のための関数およびテーブル、処理データなどを記憶するように構成されている。
制御プログラム23Aは、動作制御手段11が保持している情報に基づく稼働履歴情報23Bを記憶部23に記憶させることができる。動作制御手段11が保持している情報として、たとえば、巻上操作スイッチからの巻上信号、あるいは巻下操作スイッチからの巻下信号に基づくクレーン装置10Aの動作回数、動作時間、動作間隔などであり、これらを記憶部23に稼働履歴情報23Bとして記憶させることができる。機器情報23Cは、クレーン装置10Aに関する機器情報であって、たとえば、クレーン装置10Aの機種を示す情報、設置場所を示す情報、クレーン装置10Aの機器IDなどである。
インバータ接続コネクタ24は、クレーン装置10Aの各種のクレーン動作を実行するための動作制御手段12がインバータで構成される場合に、このインバータと接続するためのインタフェースである。また、インバータ接続コネクタ24は、インバータが複数存在する場合に、これらのインバータを1つの有線手段により配線する場合にも使用される。なお、インバータ接続コネクタ24として構成される接続インタフェースには、たとえば、RS422,RS485,RS232Cなどのシリアル通信規格のものを用いることができる。
コンタクタ接続コネクタ25は、クレーン装置10Aの各種のクレーン動作を実行するための動作制御手段12がコンタクタで構成される場合に、このコンタクタと接続するためのインタフェースである。また、コンタクタ接続コネクタ25は、コンタクタが複数存在する場合に、これらのコンタクタを1つの有線手段により配線する場合にも使用される。なお、コンタクタ接続コネクタ25として構成される接続インタフェースには、たとえば、RS422,RS485,RS232Cなどのシリアル通信規格のものを用いることができる。
RTC26は、いわゆるリアルタイムクロックであり、第1の情報処理装置20Aの電源(不図示)がOFFとなっても現在時刻を刻み続ける機能を備えた集積回路である。
図3は、図1に示す第2の情報処理装置30Aの機能構成を示すブロック図である。本実施例における第2の情報処理装置30Aは、無線通信部31、入出力部32、操作部33、制御部34、表示部35、タッチパネル36、並びに、記憶部37を備えている。なお、これら以外にも、たとえば、カメラ等の撮像部や、パーソナルコンピュータ等の外部機器との間でデータのやりとりをするための入出力部などを備えていてもよい。また、第2の情報処理装置30Aは第1の情報処理装置20Aと有線接続をする場合には、たとえば不図示のUSBインタフェースを介して情報の送受信をすることが可能である。
無線通信部31は、複数の無線部を含む。ここでは、携帯電話用無線部31A、GPS用無線部31BおよびBluetooth用無線部31Cの三つを含むものとする。ただし、無線通信部31はこれらの通信機能に限定されない。無線通信部31は、たとえば、WiFiやワンセグ放送受信などの他の用途の無線通信手段を含むものであってもよい。携帯電話用無線部31Aは、制御部34の制御により、アンテナを介して最寄りの基地局40(図1)との間で所定周波数帯(700MHz帯〜2GHzまでの間の所定周波数帯)の無線電波によるアナログもしくはデジタルデータの送受信を行う。携帯電話用無線部31Aを介してやりとりされるデータには、電話の着呼や発呼の情報および音声通話の情報が含まれるほか、インターネット網50(図1)を介してデータサーバ60が記憶しているクレーン装置10Aの機器情報やメンテナンス情報なども含まれる。GPS用無線部31Bは、制御部34の制御により、アンテナを介してGPS衛星100(図1)からの所定周波数帯(1.5GHz帯)の電波(GPS信号)を受信し、その受信信号を制御部34に出力する。
なお、GPS(全地球測位システム)とは、地球周回軌道上の最低3個の衛星からの電波を受信することにより、地球上における位置座標(緯度と経度および衛星の捕捉数によっては高度)を測位できる位置測位システムのことをいう。Bluetooth用無線部31Cは、制御部34の制御により、アンテナを介して近距離(一般的に数十メートル以内)に存在するあらかじめペアリングされた第1の情報処理装置20Aとの間で所定周波数帯(2.4GHz帯)の無線電波による近距離無線通信を行う。
入出力部32は、制御部34の制御により、不図示のマイクから入力される音声信号をデジタルデータに変換して制御部34に出力したり、制御部34から出力されたデジタルの音声信号をアナログ信号に変換して不図示のスピーカから出力したりする。
操作部33は、ユーザが入力を行うための各種操作ボタンを備え、ユーザによる任意の操作ボタンの押し下げに対応した操作ボタン信号を発生させて制御部34に出力する。なお、操作部33の機能はすべてタッチパネル36が代用するものとして構成されていてもよい。
制御部34は、マイクロコンピュータまたは単にコンピュータ(以下、CPU)、書き換え可能不揮発性半導体メモリ(以下、PROM)および高速半導体メモリ(以下、RAM)ならびに不図示の周辺回路を含むプログラム制御方式の制御要素であり、第2の情報処理装置30Aの全体動作を統括制御する。制御部34は、あらかじめPROMに格納されている制御プログラム34AをRAMにロードしてCPUで実行することで第2の情報処理装置30Aの全体動作を統括制御することができる。たとえば、制御部34は、操作部33からの入力指示を受け付けると無線通信部31を介して、第1の情報処理装置20Aに対してクレーン装置10Aに関する所定の情報の送信要求を送信させることができる。また、制御部34は、この所定の情報の送信要求の結果として第1の情報処理装置20Aから送信されてくる情報をクレーン装置10Aに関する所定の情報(たとえば動作制御手段12の動作回数、動作間隔などの稼働情報)として記憶部37に記憶させることができる。
表示部35は、制御部34の制御に従って各種の情報を表示する。なお、表示部35にはタッチパネル36が重畳して設けられている。
記憶部37は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)のいずれか又は双方を備え、外部から取得した各種情報を記憶する。なお、記憶部37に上述した制御プログラム34Aが記憶されていてもよい。
図4は、図1に示す第2の情報処理装置30Aを構成するためのソフトウェア構造の一例を示す図である。図4に示すソフトウェア構造は、第2の情報処理装置30Aがいわゆるスマートフォンのような携帯端末であるのか、PCであるのかによって共通(コア)部分と異なる部分とがある。たとえば、上述した第2の情報処理30Aの機能をPCにて実現する場合(図4では、PC版ソフトウェア構造として記載されている部分)は、OSがたとえばWindows(登録商標)で、Java(登録商標)VM(Java Virtual Machine)、専用のミドルウェア、通信処理部、データ処理部、PC版UI(User Interface)により構築される。一方、第2の情報処理30Aをスマートフォンにて実現する場合(図4ではAndroid版ソフトウェア構造として記載されている部分)は、OSがLinux(登録商標)、JavaVM、AndroidSDK、専用のミドルウェア、通信処理部、データ処理部、Android版UIにより構築される。すなわち、図4に示されるように、データ処理部と通信処理部については両者において共通するコア部分であり、このコア部分を共通化して開発することによって、たとえば、第2の情報処理装置30AとしてPC用として作成されているプログラムをそのままの形でスマートフォン対応のプログラムとして用いすることが可能となる。
図5は、図1に示すデータサーバ60の機能構成を示すブロック図である。本実施例におけるデータサーバ60は、OS(Operating System)を有するサーバコンピュータにより構成されているものとして説明するが、本発明のデータサーバは、たとえば、デスクトップパソコン、ノートブックといったコンピュータ端末であってもよい。また、このデータサーバ60は、単一の装置で構成されていても複数の装置で構成されていてもいずれでもよい。
本実施例におけるデータサーバ60は、中央処理ユニット(Central Processing Unit;CPU)61に対しバス62を介してプログラムメモリ63、データメモリ64、通信インタフェース(通信I/F)65、入力インタフェース(入力I/F)66および表示インタフェース(表示I/F)67を接続したものとなっている。
プログラムメモリ63には、データサーバ60がアプリケーションサーバとしての動作するために必要な制御プログラム63Aが格納されている。
データメモリ64には、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等で構成され、この発明を実施するために必要な記憶部として、稼働履歴情報記憶部64Aと、機器情報記憶部64Bと、メンテナンス情報記憶部64Cが設けられている。
稼働履歴情報記憶部64Aには、少なくともクレーン装置10A毎の運転動作の履歴情報が格納されている。機器情報記憶部64Bには、第1の情報処理装置20Aから第2の情報処理装置30Aが収集したクレーン装置10Aに関する機器情報が格納されている。なお、機器情報記憶部64Bに記憶されている機器情報は、クレーン装置10Aの出荷時の機器情報があらかじめ格納されていてもよい。メンテナンス情報記憶部64Cには、部品の交換時期、社団法人日本産業機械工業会などが発行する「巻上機の特別アセスメント指針」に準じた特別アセスメントを示す情報が格納されている。
通信I/F65は、CPU61の制御の下、第1の情報処理装置20Aとの間で、ネットワークを介して情報伝送を行う。入力I/F66には入力部68が接続される。入力部68は、キーボードやマウス等の入力デバイスと、外部記憶媒体を含む。入力I/F66は入力部68から入力データを受け取ってCPU61へ転送する。表示I/F67には、たとえば液晶表示器(LCD:Liquid Crystal Display)を用いた表示部69が接続される。表示I/F67は、CPU61の制御の下で表示データを生成して表示部69に表示させる。
上述した各装置を有するクレーン装置管理システム1Aでは、以下の処理(情報取得処理、表示処理、判定処理、制御処理)が実行される。なお、以下の処理において、第1の情報処理装置20Aと第2の情報処理装置30Aとはあらかじめペアリングの設定がなされており、相互に無線通信が可能となっているものとする。
(情報取得処理、表示処理)
図6は、図1に示す第1の情報処理装置20Aと第2の情報処理装置30Aおよびクレーン装置10Aの動作制御手段12との間で実行される処理を示すフローチャートである。この図6に示す各処理は、たとえば、オペレータが第2の情報処理装置30Aを操作して、近くに設置されているクレーン装置10Aに関する所定の情報を取得して表示するように指示がなされると実行されるものである(START)。
ステップS1:所定の情報を取得して表示するようにオペレータなどにより指示がなされると、第2の情報処理装置30AのBluetooth用無線部31Cと第1の情報処理装置20Aの無線通信部21との間で近距離無線通信が確立される。なお、無線通信の確立自体はオペレータからの指示がある以前に完了していてもよい。
ステップS2:第2の情報処理装置30Aの制御部34は、第1の情報処理装置20Aに対してクレーン装置10Aに関する所定の情報の送信要求を実行する。ここでいう所定の情報とは、たとえば、オペレータが欲している稼働履歴情報23Bなどであり、クレーン装置10Aの動作制御手段12A,12B,12Cそれぞれの動作時間、動作回数および動作間隔、荷重値などの履歴情報などが含まれている。たとえば、3つの動作制御手段12の履歴情報のうち、少なくとも2つの動作制御手段12の履歴情報が含まれている。なお、オペレータから1つの動作制御手段12のみの履歴情報が明示的に要求された場合には、1つの動作制御手段12の履歴情報だけであってもよい。しかし、所定の情報は、もちろんこれら以外の情報であってもよい。
ステップS3:第1の情報処理装置20Aの制御部21は、ステップS2において第2の情報処理装置30Aからの送信要求を受信すると、クレーン装置10Aの動作制御手段12A,12B,12Cそれぞれに対して第1の情報処理装置20Aから要求された所定の情報についての送信要求を実行する。
ステップS4:クレーン装置10Aの動作制御手段12A,12B,12Cそれぞれは、ステップS3において、第1の情報処理装置20Aからの送信要求を受信すると、そのレスポンスとして、予め自己の記憶手段(不図示)に記憶されている所定の情報を第1の情報処理装置20Aへそれぞれ送信する。
ステップS5:第1の情報処理装置20Aの制御部21は、ステップS4において、クレーン装置10Aの動作制御手段12A,12B,12Cそれぞれから送信されてきたクレーン装置20に関する所定の情報を受信して取得すると、第2の情報処理装置30Aに対して、その取得した所定の情報をまとめて送信する。なお、上述のステップS2およびステップS3については動作制御手段12がインバータで構成されている場合について説明したが、コンタクタで構成されている場合には、次のような動作となる。すなわち、動作制御手段12A,12B,12Cそれぞれについて第1の情報処理装置20Aが常に監視し、動作制御手段12A,12B,12Cそれぞれの動作情報(たとえば駆動回数)を自己の記憶部23の稼働履歴情報23Bとして記憶しているため、第1の情報処理装置20Aは、自己の記憶部23の稼働履歴情報23Bを参照して所定の情報(たとえば、動作制御手段12A,12B,12Cそれぞれの駆動回数など)を取得し、その取得した所定の情報を第2の情報処理装置30Aに対して送信する。
ステップS6:第2の情報処理装置30Aの制御部34は、クレーン装置10Aの所定の情報を第1の情報処理装置20Aから取得すると、表示部35に表示させる処理を実行し、その後終了する(END)。なお、ユーザが他の操作をするなどでこの表示処理を終了するようにしてもよいし、表示されてから所定の時間何も操作がなされない場合に表示処理を自動的に終了するようにしてもよい。
図7〜図12は、図6の処理によって第2の情報処理装置30Aの表示部35に表示される画面例である。以下、具体的に説明する。
図7は、図6の処理により第2の情報処理装置30Aの表示部35に表示される、クレーン装置10Aの動作集計結果の画面例である。図7に示すように、図6の処理によって取得した所定の情報(この例では、クレーン装置10Aの動作制御手段12の稼働履歴情報23B)に基づいて、第2の情報処理装置30Aの表示部35には累計集計画面71、デイリー集計画面72、月次集計画面73、年次集計画面74などが表示される。累計集計画面71では、たとえば表示対象となるクレーン装置10Aの累計作業期間(Period of use)、総稼働時間(Total operating time),総起動回数(Total number of starts)、現在発生しているエラー(Current error)などが表示される。また、オペレーション情報の詳細も表示される。なお、LOAD項目にあるA,B,C,D,Eは各動作制御手段12をそれぞれ示しており、それぞれの稼働時間(OPE TIME(H))とエラーの有無について表示される。また、この累計集計画面71と同様の項目がデイリー集計画面72、月次集計画面73、年次集計画面74としてそれぞれ第1の情報処理装置20Aから取得した情報に基づいて表示される。
図8は、図6の処理により第2の情報処理装置30Aの表示部35に表示される、特別アセスメントサポートの画面例である。図8に示す特別アセスメントサポート結果画面81のように、図6の処理によって取得した所定の情報(この例ではアセスメントサポートとして残存寿命を算出するのに必要なクレーン装置10Aの情報)に基づいて所定の演算が行われ、その算出結果に基づいたアセスメントサポート結果が表示される。この結果では、クレーン装置10Aのオーバーホールが必要であることがコメントに示されている。
図9は、図6の処理により第2の情報処理装置30Aの表示部35に表示される、消耗品のメンテナンス状況の画面例である。図9に示す消耗品メンテナンス画面91のように、図6の処理によって取得した所定の情報(この例ではクレーン装置10Aの消耗品名と各消耗品の交換までの時期などを示す情報)に基づいて消耗品の状態一覧が表示される。
図10は、図6の処理により第2の情報処理装置30Aの表示部35に表示される、クレーン装置10Aのエラー履歴の画面例である。図10に示すエラー履歴画面101のように、図8の処理によって所得した所定の情報(この例では動作制御手段12の稼働履歴情報23Bに含まれるエラー情報)に基づいてエラー発生日、エラーコード、エラーが発生した動作制御手段12がリスト表示される。
なお、図10に示すエラーリストの表示以外にも、第2の情報処理装置30Aは、図6の処理により取得したエラー履歴に基づいて所定のメールアドレスにエラー発生を知らせるメールを送信するようにしてもよい。図11は、図6の処理により取得したエラー履歴に基づいて所定のメールアドレスにエラー発生を知らせるメールを送信する一連の処理を示すフローチャートである。
たとえば、第2の情報処理装置30Aは、図6の処理により、クレーン装置10Aに関する所定の情報としてエラー発生情報について送信要求を行った結果、エラー発生情報が送信されてきた場合に、図11に示す処理が開始される(START)。
ステップS10:第2の情報処理装置30Aの制御部34は、エラー発生情報の送信先メールアドレスが記憶部37に登録されているか否かの判定を行う。制御部34は、ステップS10の判定の結果、送信先メールアドレスが登録されている場合(ステップS10でYES)には、ステップS11の処理へ移行し、登録されていない場合(ステップS10でNO)には処理を終了する(END)。なお、記憶部37に送信先メールアドレスが登録(記憶)されているものとしてステップS11へ移行する。
ステップS11:制御部34は、第1の情報処理装置20Aから送信されてきたエラー発生情報のうち、通知すべきエラー発生情報の有無を判定する。ここでいう、通知すべきエラー発生情報の有無は、予め設定されているルールに基づいて判定される。たとえば、エラーコードがユーザにより指定されている設定、通知対象となるクレーン装置10Aまたは動作制御手段12の機種が限定されている設定、どのようなエラーであってもすべて通知する設定などのルールに基づいて判定される。制御部34は、上述したようなルールに従って、通知すべきエラー発生情報が含まれている場合(ステップS11でYES)には、ステップS12の処理へ移行し、含まれていない場合(ステップS11でNo)には、処理を終了する(END)。
ステップS12:制御部34は、予め登録されているメールアドレス宛てのエラー発生通知メールを作成する。
ステップS13:制御部34は、ステップS12で作成したメールを送信して処理を終了する(END)。
なお、図11のステップS10の判定(送信先メールアドレス登録可否判定)とステップS11の判定(通知すべきエラー有無判定)の判定順番はステップS11の判定を先に行ってからステップS10の判定を行うようにしてもよい。
(判定処理)
続いて、図6で示した処理によって取得した所定の情報に基づいて所定の判定処理を実行する場合の一例を説明する。図12は、図6で示した情報取得処理に加えて、取得した情報について所定の判定処理を実行し、その判定結果を第2の情報処理装置30Aの表示部35に示させる処理を示すフローチャートである。なお、以下の処理において、所定の判定処理とは、クレーン装置10Aを構成する部品(たとえば、ワイヤロープ、電磁接触機など)の残りの寿命を予測して安全か否かを判定する処理(以下、単に「寿命予測判定処理」という)を実行する場合について説明するが、所定の判定処理は寿命予測判定処理以外のものであってもよい。
START:ユーザが第2の情報処理装置30Aを操作して、第1の情報処理装置20Aから取得したクレーン装置10Aの稼働履歴情報に基づいて所定の判定処理を開始させる。
ステップS20:第2の情報処理装置30Aが第1の情報処理装置20Aに対して稼働履歴情報の送信要求を実行する。第1の情報処理装置20Aは、第2の情報処理装置30Aから送信要求を受信すると、記憶部23に記憶されている稼働履歴情報23Bを第2の情報処理装置30Aへ送信する。なお、ここでいう稼働履歴情報23Bとは、たとえば、クレーン装置10Aの動作制御手段12の動作時間、動作回数および動作間隔、荷重値などの履歴情報などである。
ステップS21:第2の情報処理装置30Aは、第1の情報処理装置20Aから送信されてきた稼働履歴情報を受信する。
ステップS22:第2の情報処理装置30Aは、第1の情報処理装置20Aから送信されてきたクレーン装置10Aの稼働履歴情報から寿命予測計算を実行する。なお、ここでいう寿命予測計算とは、たとえば寿命予測対象となるクレーン装置10Aの構成部品毎に一つの等価稼動実績計算式で計算し、得られた計算結果を累積して等価稼動実績累積値を算出し、この等価稼動実績累積値と構成部品毎の寿命基準値とを比較することにより構成部品の寿命を計算する方法などが考えられるが、このような寿命予測計算方法でなくてもよい。
ステップS23:第2の情報処理装置30Aは、ステップS22の寿命予測計算結果について所定の判定処理を実行する。ここでいう所定の判定処理とは、たとえば、ステップS22で予測されたクレーン装置10Aの構成部品の残りの寿命が、所定の寿命に満たないものが一つでもある場合に安全ではないと判定する。しかしながら、安全でないとする基準は所定の寿命に満たないものが2以上、3以上、あるいはそれ以上の場合であってもよい。また、安全でない所定の判定処理方法は、上述した判定処理方法以外であってもよい。
ステップS24:第2の情報処理装置30Aは、ステップS23の判定結果を表示部35に表示させて、処理を終了する(END)。なお、ステップS23の判定結果と共にステップS22の寿命予測計算結果を表示させるようにしてもよい。ステップS24は、ユーザが完了操作をすることで処理を終了させるようにしてもよい。あるいは、ステップS24は、受信通知がクレーン装置10Aから送信されてきたことをもって終了させるようにしてもよい。
(クレーン装置10Aの制御処理)
図13は、第2の情報処理装置30Aから送信された判定結果情報に基づいてクレーン装置10Aが実行する処理を示すフローチャートである。本処理は、たとえば、ユーザが図12に示した判定処理結果に基づいて、その結果を画面に表示させるのではなく、クレーン装置10Aへの制御指示の送信を実行させることで開始される(START)。なお、図12の処理の判定結果について内容にかかわらず、第1の情報処理装置20Aへ自動で送信されるようにしてもよい。
ステップS30:第1の情報処理装置20Aの無線通信部22が第2の情報処理装置30Aから送信されてきた判定結果情報を受信する。
ステップS31:第1の情報処理装置20Aは、ステップS30で受信した判定結果情報に基づいてクレーン装置10Aの動作制御手段12に対して特定の処理を選択する。この特定の処理は判定結果情報に応じて選択される。たとえば、クレーン装置10Aのインチング(微少移動)操作の周期を制限する制御、クレーン装置10Aの動作速度の低下させる制御、クレーン装置10Aから警告音を発生させる処理、クレーン装置10Aが表示部を有する場合には警告画面を表示させる処理、あらかじめ設定されているメールアドレスへの警告メールの送信させるための処理などがある。
ステップS32:クレーン装置10Aは、ステップS31で選択した動作を実行して、処理を終了する(END)。
(メンテナンス情報取得処理)
図14は、第2の情報処理装置30がクレーン装置10Aの過去のメンテナンス情報をデータサーバ60から取得する処理を示すフローチャートである。本処理は、たとえば、ユーザがクレーン装置10Aの過去のメンテナンス情報を参照したい場合に情報取得ボタン(不図示)などを押下して実行させることで開始される(START)。なお、この処理の前提として、ユーザが図6の処理を実行した後に、データサーバ60へ第1の情報処理装置20Aから取得したクレーン装置10Aの過去のメンテナンス情報がアップロードされているものとする。
ステップS41:第2の情報処理装置30Aの制御部34は、第1の情報処理装置20Aに対してクレーン装置10Aについての機器情報(たとえば機器ID、設置場所を示す情報など)の送信要求を実行する。この送信要求を受信した第1の情報処理装置20Aは、記憶部23の機器情報24Cを参照して第2の情報処理装置30Aへと送信する。
ステップS42:第2の情報処理装置30Aは、ステップS41の応答として第1の情報処理装置20Aからクレーン装置10Aについての機器情報を受信する。
ステップS43:第2の情報処理装置30AはGPS用無線部31Bを介してGPS信号を受信して現在位置情報を取得する。なお、ステップS43は、ステップS41,S42の前に実行するようにしてもよい。すなわち、クレーン装置10Aの機器情報を取得する処理とGPS信号を受信して現在位置情報を取得する処理とは、どちらが先に実行しても構わない。
ステップS44:第2の情報処理装置30Aは、ステップS42およびステップS43で取得した情報に基づいて、クレーン装置10Aの過去のメンテナンス情報の送信要求をデータサーバ60へ送信する。この送信要求は基地局40およびインターネット網50を介してデータサーバ60へと送信される。データサーバ60では、この送信要求に基づいて、問い合わせのあったクレーン装置10Aを送信されてきた位置情報およびクレーン装置10Aの機種情報などから特定すると共に、特定したクレーン装置10Aの過去のメンテナンス情報をデータメモリ64に記憶されているメンテナンス情報64Cを参照して取得する。データメモリ64から取得した過去のメンテナンス情報64Cは第2の情報処理装置30Aへと送信される。
ステップS45:第2の情報処理装置30Aは、データサーバ60より返信されてきたメンテナンス情報64Cを受信する。
ステップS46:第2の情報処理装置30Aはメンテナンス情報64Cを表示部35に表示させて、処理を終了する(END)。
以上、本実施形態におけるクレーン装置管理システム1Aは、クレーン装置10Aに取り付けられた第1の情報処理装置20Aと、第1の情報処理装置20Aと通信が可能な第2の情報処理装置30Aとを有するクレーン装置管理システムであって、クレーン装置10Aには巻上用、横行用、走行用のそれぞれの用途に応じた動作制御が可能な3つの動作制御手段12A,12B、12Cが取り付けられており、第2の情報処理装置30Aは、3つの動作制御手段12A,12B、12Cのうち少なくとも2つの動作に関する情報の送信を第1の情報処理装置20Aに対して要求し、この要求に応じて第1の情報処理装置20Aから送信されてきた情報を受信すると共に、受信した情報をクレーン装置10Aの動作情報として関連付けて記憶部37に記憶するように構成している。これにより、オペレータが操作する第2の情報処理装置30Aでは、3つの動作制御手段12A,12B、12Cのうち少なくとも2つの動作に関する情報を取得して記憶することができる。そのため、オペレータはクレーン装置10Aの動作制御手段12についての詳細な稼働データについて把握することが可能となる。また、従来のクレーン装置管理システムにおいて巻上用の動作制御手段12Aの上下動作のみの情報を取得するものはあったが、この第2の情報処理装置30Aを用いることで、3つの動作制御手段12A,12B、12Cのうち、少なくとも2つの動作に関する情報を第1の情報処理装置20Aから取得することができるため、より効率的にクレーン装置10Aに関する情報を収集することが可能となる。
また、上述したクレーン装置管理システムでは、3つの動作制御手段12A,12B、12Cが動作に関する情報を相互に通信するための通信手段を有しており、第1の情報処理装置20Aはこの通信手段に対応するインバータ接続コネクタ24あるいはコンタクタ接続コネクタ25(接続手段)を介して3つの動作制御手段12A,12B、12Cの動作に関する情報を取得することができるように構成されている。これにより、第2の情報処理装置30Aは、第1の情報処理装置20Aから3つの動作制御手段12A,12B、12Cから取得した動作に関する情報を取得することが可能となる。
また、図11に示す処理を参照して説明したように、このクレーン装置管理システム1Aでは、現地で取得したクレーン装置10Aの機器情報や稼働情報を取得し、オペレータが判断するまでもなく、予め登録されたメール通知条件に基づいて警報などを所望の連絡先のメールアドレスに自動で送信させることも可能である。
また、図12に示す処理を参照して説明したように、このクレーン装置管理システム1Aでは、オペレータがクレーン装置10Aの構成部品の残りの寿命計算に基づく判定結果を容易に把握することができると共に、クレーン装置10Aを構成する部品の残りの寿命を考慮して適切なメンテナンスをオペレータに実施するように促すことが可能となる。
また、図13に示す処理を参照して説明したように、このクレーン装置管理システム1Aでは、第2の情報処理装置30A側で得られた判定処理結果を第1の情報処理装置20A側へフィードバックして、この判定結果に基づく制御を実行することで、クレーン装置10Aに対して適切な処置を容易に実行させることも可能である。すなわち、このクレーン装置管理システムでは、クレーン装置10Aが安全でないと判定された場合にはそのクレーン装置10Aのオペレータに対して注意喚起をすると共に、そのクレーン装置10Aを安全に動作させることができる。
また、図14に処理を参照して説明したように、このクレーン装置管理システム1Aでは、あらかじめペアリングされたクレーン装置10Aの過去のメンテナンス情報をデータサーバ60から取得して表示させることが可能となる。すなわち、このクレーン装置管理システムでは、クレーン装置10Aのオペレータが過去のメンテナンス情報を参照しながらクレーン装置10Aに対して適切なアセスメントを実施することができる。
また、このクレーン装置管理システム1Aにおける第1の情報処理装置20Aは、巻上用、横行用、走行用のそれぞれの用途に応じた動作制御が可能な動作制御手段12A,12B,12C(3つの動作制御手段)を備えるクレーン装置10Aに取り付けられ、クレーン装置10Aに関する所定の情報を第2の情報処理装置30Aへ送信する情報処理装置であって、動作制御手段12A,12B,12Cからクレーン装置10Aに関する所定の情報を有線の接続手段を介して受信し、受信した所定の情報を自己の記憶手段に記憶し、記憶された所定の情報を、第2の情報処理装置30Aからの要求に応じて第2の情報処理装置30Aへと送信させるように構成している。これにより、クレーン装置10Aに関する所定の情報として動作制御手段12A,12B,12Cの稼働データなどを第2の情報処理装置20Aに送信することが可能となる。
また、このクレーン装置管理システム1Aにおける第2の情報処理装置30Aは、巻上用、横行用、走行用のそれぞれの用途に応じた動作制御が可能な動作制御手段12A,12B,12Cを備えるクレーン装置10Aに取り付けられた第2の情報処理装置30Aと通信が可能な情報処理装置であって、3つの動作制御手段12のうち少なくとも2つの動作制御手段12の動作に関する情報の送信を第1の情報処理装置20Aに対して要求し、この要求に応じて第1の情報処理装置20Aから送信されてきた情報を受信すると共に、受信した情報をクレーン装置10Aの動作情報として関連付けて記憶部37(自己の記憶手段)に記憶する構成としている。これにより、オペレータが操作することによりクレーン装置10Aに取り付けられた第1の情報処理装置20Aと無線通信を確立すると共に、クレーン装置10Aに関する所定の情報を第1の情報処理装置20Aから取得して容易に表示させることができる。特に第2の情報処理装置30Aがスマートフォンの場合には、制御プログラム37Aをスマートフォンにインストールするだけで、クレーン装置10Aのオペレータは上述した表示処理を簡単にできるようになるため、クレーン装置10A専用の監視端末等を別途設置させなくてもよい。
また、この第2の情報処理装置30Aは、クレーン装置10Aの機器情報やGPS信号からの位置情報に基づいて、データサーバ60と通信をして、クレーン装置10Aの照合を行うことにより、クレーン装置10Aの過去の使用状況を容易に取得することができる。その結果、オペレータは過去の使用状況を、クレーン装置10Aと無線通信可能な範囲内であればどこからでも参照することができ、適切な特別アセスメントを実施して、その結果を提供することが可能となる。
なお、この第2の情報処理装置30Aは、クレーン装置10Aに取り付けられた第1の情報処理装置20AとBluetoothを用いた通信を行っているため、たとえばZigBee(IEE802.15.4)などの近距離無線と比較すると高速な通信が可能である。また、Bluetoothは、周波数ホッピング方式を採用しているため、混信にも強い。そのため、1台の第2の情報処理装置30Aで複数台のクレーン装置10Aの管理する場合に特に好ましい通信方法である。また、一般的なスマートフォンではBluetoothの通信モジュールが標準で搭載されていることが多いため、クレーン装置10A用の第2の情報処理装置30Aとして専用の装置を用意する必要もない。
また、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。たとえば、図6で説明した処理における第1の情報処理装置10Aは、第2の情報処理装置30Aから情報の送信要求を受信してから、動作制御手段12A,12B,12Cそれぞれへ該当する情報の送信要求を行うこととしているが、この送信要求の有無にかかわらず、第1の情報処理装置20Aの記憶部23にこれらの情報を事前に記憶しておき、第2の情報処理装置30Aからこれらの情報の送信要求を受信したときに、第1の情報処理装置20Aの記憶部23を参照し、該当する情報をレスポンスとして第2の情報処理装置30Aへとまとめて送信するように構成してもよい。
また、第1の情報処理装置10Aは、第2の情報処理装置20Aに対して動作制御手段12A,12B,12Cそれぞれの情報をまとめて送信するように構成しているが、それぞれ個別に送信するようにしてもよい。また、第2の情報処理装置20Aが第1の情報処理装置30Aに要求する情報は3つの動作制御手段12A,12B,12Cすべてとしているが、3つの動作制御手段12A,12B,12Cのうちの少なくとも2つに関しての情報を要求するように構成してもよいし、3つの動作制御手段12A,12B,12Cのうちのいずれか1つを要求するように構成してもよい。
なお、上述したクレーン装置管理システム1Aでは、図7〜図11に示した情報の出力ができるものとしたが、これらの情報のうち、少なくとも1つを出力できるように構成されたクレーン装置管理システムとしてもよい。すなわち、クレーン装置10Aに取り付けられた第1の情報処理装置20Aと、第1の情報処理装置20Aと通信が可能な第2の情報処理装置30Aとを有するクレーン装置管理システムであって、第1の情報処理装置20Aは、第2の情報処理装置30Aと無線通信を行うための無線通信部21と、クレーン装置10Aの動作を制御する動作制御手段12から送信されるクレーン装置10Aに関する所定の情報をインバータ接続コネクタ24あるいはコンタクタ接続コネクタ25などの有線の接続手段を介して受信すると、その受信した所定の情報を第1の情報処理装置20Aが有する記憶部22に記憶する制御部23と、制御部23により記憶部22に記憶された所定の情報を、第2の情報処理装置30Aからの要求に応じて無線通信部21を介して第2の情報処理装置30Aへと送信させるものであり、第2の情報処理装置30Aは、第1の情報処理装置20Aと無線通信を行うための無線通信部31と、無線通信部31により第1の情報処理装置20Aから受信した所定の情報を、第2の情報処理装置30Aが有する記憶部37に記憶する制御部34とを有し、この制御部34は、記憶部37に記憶されている所定の情報を参照し、下記(A),(B),(C),(D),(E)に示す処理のうち、少なくとも1つの処理を実行する、すなわち、
(A)所定の情報は、クレーン装置10Aの現在までの稼働情報を含むものであり、この稼働情報を累計した集計結果、日毎の集計結果、月毎の集計結果、年毎の集計結果のいずれかを算出して第2の情報処理装置30Aが有する表示部35に表示させる処理(図7、集計結果表示機能)、
(B)所定の情報は、クレーン装置10Aの残存寿命を計算するために必要になる情報を含むものであり、これらの情報から所定の計算式(たとえば残存寿命を計算する公式)に基づいてクレーン装置10Aの残存寿命を算出して第2の情報処理装置30Aが有する表示部35に表示させる処理(図8、特別アセスメントサポート機能)、
(C)所定の情報は、クレーン装置10Aが有する消耗品に関する情報を含むものであり、記憶部37に予め記憶されているクレーン装置10Aが有する消耗品に関する情報とを比較して、消耗品の残存寿命を第2の情報処理装置30Aが有する表示部35に表示させる処理(図9、消耗品のメンテナンス機能)、
(D)所定の情報は、クレーン装置10Aの現在までのエラー動作を示す情報を含むものであり、エラー動作を示す情報に基づいてクレーン装置10Aのエラー動作の発生履歴を第2の情報処理装置30Aが有する表示部35に表示させる処理(図10、エラー履歴表示機能)、
(E)所定の情報は、クレーン装置10Aの現在までのエラー動作を示す情報を含むものであり、予め記憶部37に記憶されているメールアドレスにエラー動作を示す情報に基づいてエラーが発生していることを示すメールを無線通信部31、または他の通信手段を介して送信する処理(図11、メール通知機能)、のうち、少なくとも1つの処理を実行する制御部37を有するものとしてもよい。なお、このクレーン装置管理システムは、上述した(A),(B),(C),(D),(E)に示す処理のうち、2つ以上の処理を実行する制御部37としてもよい。
また、たとえば、クレーン装置10Aの構成は、クレーン装置10Aの設置環境、クレーン装置10Aの動作制御手段12の製造メーカ、通信インタフェースの通信規格などに応じて、以下の各実施形態のように種々の構成とすることが可能である。
(第2実施形態)
図15は、本発明の第2実施形態に係るクレーン装置管理システムのクレーン装置10Bの構成を示す図である。クレーン装置10Bは、本発明の第1実施形態におけるクレーン装置10Aと一部の構成が異なるので、異なる部分を主に説明し、それ以外の部分は基本的に同様の機能や構成であるため、それらの説明および図示を省略する。
本発明の第2実施形態に係るクレーン装置10Bは、第1の情報処理装置20A,20Bと、動作制御手段12D,12E,12Fとを有している。このクレーン装置10Bでは、第1の情報処理装置20A,20Bの2台を用いると共に、それぞれの装置と第2の情報処理装置30Bが通信を行う点が特徴である。この特徴は、クレーン装置10Bの動作制御手段12D,12E,12Fのうち、走行用の動作制御手段12Fが第1の情報処理装置20Aと有線ケーブルC1による配線ができない場合(たとえば他の動作制御手段と物理的な距離があったり、何らかの障害物がある場合、通信規格上の問題がある場合など)に好ましい形態である。なお、この実施形態の動作制御手段12D,12E,12Fはそれぞれインバータで構成されているものとする。
図15に示すように、クレーン装置10Bでは、第1の情報処理装置20Aを巻上用の動作制御手段12Dおよび横行用の動作制御手段12Eとを有線ケーブルC1(C1はたとえばRS485のシリアル通信規格のケーブル、以下、単に「RS485」と称する。)にて接続すると共に、第1の情報処理装置20Bを走行用の動作制御手段12Fとを別の有線ケーブルC2(C2はたとえばRS422のシリアル通信規格のケーブル、以下、単に「RS422」と称する。)にて接続する構成としている。なお、有線ケーブルC1,C2の通信規格はあくまでも一例であり、RS485,RS422以外にRS232C等であってもよい。
以上に説明したように、本発明の第2実施形態に係るクレーン装置10Bを含むクレーン装置管理システムは、3つの動作制御手段12D,12E,12Fが動作に関する情報を相互に通信するための通信手段(不図示)を有しており、走行用の動作制御手段12Fが、他の動作制御手段と共にこの通信手段を介して接続できない場合に、第1の情報処理装置20A,20Bを設けると共に、第1の情報処理装置20Aと、巻上用の動作制御手段12Dおよび横行用の動作制御手段12Eとを上述の通信手段に対応する接続手段(不図示によって接続すると共に、第1の情報処理装置20Bと走行用の動作制御手段12Fとを上述の通信手段とは異なる他の通信手段に対応する接続手段(不図示)によって接続する構成となっている。
このような構成とすることで、クレーン装置10Bの設置環境において走行用の動作制御手段12Fが、他の動作制御手段と共にこの通信手段を介して接続できない場合であっても、各動作制御手段に関する情報を取得できるクレーン装置管理システムを構成することができる。なお、このシステム構成の場合、第2の情報処理装置30Bでは、2台の第1の情報処理装置20A,20Bとの間で無線通信をそれぞれ確立すると共に、動作制御手段12D,12E,12Fの稼働情報を受信して、クレーン装置10Bの稼働情報としてまとめて記憶して、集計する。なお、第2の情報処理装置30Bと第1の情報処理装置20A,20Bとの間の通信方法は、無線通信以外にも有線接続(たとえばUSB接続)によるものであってもよい。
(第3実施形態)
図16は、本発明の第3実施形態に係るクレーン装置管理システムのクレーン装置10Cの構成を示す図である。クレーン装置10Cは、本発明の第1実施形態におけるクレーン装置10Aと一部の構成が異なるので、異なる部分を主に説明し、それ以外の部分は基本的に同様の機能や構成であるため、それらの説明および図示を省略する。
本発明の第3実施形態に係るクレーン装置10Cは、第1の情報処理装置20C,20Dと、動作制御手段12G,12H,12Iとを有している。このクレーン装置10Cでは、第1の情報処理装置20C,20Dの2台を用いると共に、それぞれの装置と第2の情報処理装置30Cが無線通信を行う点が特徴である。この特徴は、たとえばクレーン装置10Cの動作制御手段12G,12H,12Iのうち、横行用の動作制御手段12Hが他の動作制御手段12と共に1つの有線により配線できない場合(たとえば他の動作制御手段と物理的な距離があったり、何らかの障害物がある場合、通信規格上の問題がある場合など)に好ましい形態である。なお、この実施形態の動作制御手段12G,12H,12Iはインバータでそれぞれ構成されているものとする。
図16に示すように、クレーン装置10Cでは、第1の情報処理装置20Cを巻上用の動作制御手段12Gおよび走行用の動作制御手段12Iと有線ケーブルC3(C3はたとえばRS485の有線ケーブル)にて接続すると共に、第1の情報処理装置20Dと横行用の動作制御手段12Hとを別の有線ケーブルC4(C4はたとえばRS422の有線ケーブル)にて接続する構成としている。すなわち、第1の情報処理装置20Cでは巻上用の動作制御手段12Gおよび走行用の動作制御手段12Iの製造メーカの仕様に対応した通信規格を採用し、第1の情報処理装置20Dでは、巻上用の動作制御手段12Hと接続すると共に、巻上用の動作制御手段12Hの製造メーカの仕様に対応した通信規格を採用している。なお、有線ケーブルC3,C4の通信規格はあくまでも一例であり、RS485,RS422以外にRS232C等であってもよい。また、第1の情報処理装置20Cと第1の情報処理装置20Dは、それぞれの情報処理方法も、各動作制御手段に仕様に合わせたものとすることが好ましい。
以上に説明したように、本発明の第3実施形態に係るクレーン装置10Cを含むクレーン装置管理システムは、クレーン装置10Cの巻上用の動作制御手段12Gおよび走行用の動作制御手段12Iは、動作に関する情報を相互に通信するための通信手段(不図示)を有しているが、横行用の動作制御手段12Hが有する通信手段は巻上用の動作制御手段12Gおよび走行用の動作制御手段12Iとは異なる通信規格の他の通信手段を有している場合、第1の情報処理装置20C,20Dを設けると共に、第1の情報処理装置20Cと、巻上用の動作制御手段12Gおよび走行用の動作制御手段12Iとを上述の通信手段に対応する接続手段によって接続すると共に、第1の情報処理装置30Dと横行用の動作制御手段12Hとを上述の通信手段とは通信規格の異なる他の通信手段に対応する接続手段によって接続する構成としている。
このようなシステム構成とすることで、動作制御手段12Hが他の動作制御手段12と共に通信手段を介して接続できない場合であっても、各動作制御手段12に関する情報を取得できるクレーン装置管理システムを構成することができる。なお、このシステム構成の場合、第2の情報処理装置30Cでは、それぞれの第1の情報処理装置20C,20Dとの間で無線通信を確立して、動作制御手段12G,12H,12Iの稼働情報を受信して、クレーン装置10Cの情報としてまとめて記憶し、集計する。なお、第2の情報処理装置30Cと第1の情報処理装置20C,20Dとの間の通信方法は、無線通信以外にも有線接続(たとえばUSB接続)によるものであってもよい。
(第4実施形態)
図17は、本発明の第4実施形態に係るクレーン装置管理システムのクレーン装置10Dの構成を示す図である。クレーン装置10Dは、本発明の第1実施形態のクレーン装置10Aと一部の構成が異なるので、異なる部分を主に説明し、それ以外の部分は基本的に同様の機能や構成であるため、それらの説明および図示を省略する。
本発明の第4実施形態に係るクレーン装置10Dは、第1の情報処理装置20E,20F,20Gと、動作制御手段12J,12K,12Lとを有している。本発明の第4実施形態に係るクレーン装置10Dは、第1の情報処理装置20E,20F,20Gの3台を用いる点が特徴である。この特徴は、クレーン装置がいわゆる1速/2速クレーンに対応した構成の場合に好ましい形態である。
図17に示すように、クレーン装置10Dでは、動作制御手段12J,12K,12Lのうち、巻上用の動作制御手段12Jはインバータで構成され、横行用の動作制御手段12Kおよび走行用の動作制御手段12Lはコンタクタで構成される。そして、第1の情報処理装置20Eは巻上用の動作制御手段12Jと有線ケーブルC5(C5はたとえばRS422の有線ケーブル)にて接続される。また、第1の情報処理装置20Fは横行用の動作制御手段12Kと接続される。更に、第1の情報処理装置20Gは、走行用の動作制御手段12Lと接続される。なお、第1の情報処理装置20Fと第1の情報処理装置20G同士は有線ケーブルC6(C6はたとえばRS422の有線ケーブル)で直接接続されており、第1の情報処理装置20Fが第1の情報処理装置20Gが保持している情報と共に第2の情報処理装置30Dへと送信する構成となっている。なお、有線ケーブルC5,C6の通信規格はあくまでも一例であり、RS485,RS422以外にRS232C等であってもよい。
以上に説明したように、本発明の第4実施形態に係るクレーン装置10Dを含むクレーン装置管理システムは、巻上用の動作制御手段12Jは、インバータを使用することにより巻上動作を制御し、横行用の動作制御手段12Kと走行用の動作制御手段12Lは、コンタクタを使用することにより横行動作および走行動作を制御するものであり、第1の情報処理装置20E,20F,20Gを3つ設けると共に、第1の情報処理装置20Eと巻上用の動作制御手段12Jとを有線の接続手段C5により配線して構成し、他の2つの第1の情報処理装置20F,20Gと、横行用の動作制御手段12Kと走行用の動作制御手段12Lとをそれぞれ接続すると共に、これら他の2つの第1の情報処理装置20F,20G同士も有線の接続手段C6により配線して構成し、他の2つの第1の情報処理装置20F,20Gのいずれかが有している通信手段(不図示)を介して第2の情報処理装置30Dとの通信をすべて行う構成となっている。
このようなシステム構成とすることで、動作制御手段12についてコンタクタを使用する旧型式のものに対して新型式となるインバータを一部に導入しているクレーン装置10D(いわゆるレトロフィット)であっても、クレーン装置管理システムを構築することができる。
なお、このシステム構成の場合、第2の情報処理装置30Dでは、2台の第1の情報処理装置20E,20Fとの間で無線通信をそれぞれ確立して、動作制御手段12J,12K,12Lの稼働情報を受信して、クレーン装置10Dの情報としてまとめて記憶し、集計する。そのため、第1の情報処理装置20Gに関しては無線通信機能を有してなくてもよい。なお、第2の情報処理装置30Dと第1の情報処理装置20E,20Fとの間の通信方法は、無線通信以外にも有線接続(たとえばUSB接続)によるものであってもよい。
(第5実施形態)
図18は、本発明の第5実施形態に係るクレーン装置管理システムのクレーン装置10Eの構成を示す図である。クレーン装置10Eは、本発明の第1実施形態のクレーン装置管理システム1Aにおけるクレーン装置10Aと一部の構成が異なるので、異なる部分を主に説明し、それ以外の部分は基本的に同様の機能や構成であるため、それらの説明および図示を省略する。
本発明の第5実施形態に係るクレーン装置10Eは、第4実施形態に係るクレーン装置管理システム1Dとほぼ同様の構成であるため、図17に示した図と同一の符号を付している。すなわち、本発明の第5実施形態に係るクレーン装置10Eは、第1の情報処理装置20E,20F,20Gと、動作制御手段12J,12K,12Lとを有している。しかしながら、第5実施形態における第1の情報処理装置20Fと第1の情報処理装置20G同士は、第4実施形態とは異なり、有線ケーブルC6で直接接続することができない。そのため、第1の情報処理装置20Fおよび第1の情報処理装置20Gはそれぞれが保持している所定の情報を、第2の情報処理装置30Dへそれぞれ送信する構成となっている。なお、有線ケーブルC5,C6の通信規格はあくまでも一例であり、RS485,RS422以外にRS232C等であってもよい。
以上に説明したように、本発明の第5実施形態に係るクレーン装置10Eを含むクレーン装置管理システムは、巻上用の動作制御手段12Jは、インバータを使用することにより巻上動作を制御し、横行用の動作制御手段12Kと走行用の動作制御手段12Lは、コンタクタを使用することにより横行動作および走行動作を制御するものである場合、第1の情報処理装置20E,20F,20Gを設けると共に、第1の情報処理装置20Eと巻上用の動作制御手段12Jとを有線の接続手段C5により接続するように構成し、第1の情報処理装置20F,20Gのそれぞれと、横行用の動作制御手段12Kと走行用の動作制御手段12Lとを接続すると共に、第1の情報処理装置20F,20Gのそれぞれが有している通信手段(不図示)を介して第2の情報処理装置30Dとの通信をそれぞれ行う構成としている。
このようなシステム構成とすることで、動作制御手段12についてコンタクタを使用する旧型式のものに対して新型式となるインバータを一部に導入しているクレーン装置10Eであっても、クレーン装置10Eおよびこのクレーン装置10Eの設置環境を考慮したクレーン装置管理システムを構築することができる。
なお、このシステム構成の場合、第2の情報処理装置30Dは、3台の第1の情報処理装置20E,20F,20Gとの間で無線通信をそれぞれ確立して、動作制御手段12J,12K,12Lの稼働情報をそれぞれ受信して、クレーン装置10Eの情報としてまとめて記憶し、集計する。なお、第2の情報処理装置30Dと3台の第1の情報処理装置20E,20F,20Gとの間のそれぞれの通信方法は、無線通信以外にも有線接続(たとえばUSB接続)によるものであってもよい。
(第6実施形態)
図19は、本発明の第6実施形態に係るクレーン装置管理システムのクレーン装置10Fの全体構成を示す図である。クレーン装置10Fは、本発明の第1実施形態のクレーン装置管理システム1Aにおけるクレーン装置10Aと一部の構成が異なるので、異なる部分を主に説明し、それ以外の部分は基本的に同様の機能や構成であるため、それらの説明および図示を省略する。
本発明の第6実施形態に係るクレーン装置10Fは、第1の情報処理装置20H,20I,20Jと、動作制御手段12M,12N,12Oとを有している。本発明の第6実施形態に係るクレーン装置10Fでは、第1の情報処理装置20H,20I,20Jの3台を用いると共に、これらの各装置同士も1つの有線ケーブルC7(C7はたとえばRS485の有線ケーブル)にて接続する点が特徴である。この特徴は、クレーン装置10Fの動作制御手段12がすべてコンタクタで構成される場合に好ましい形態である。なお、有線ケーブルC7の通信規格はあくまでも一例であり、RS485以外のRS422、RS232C等であってもよい。
図19に示すように、巻上用の動作制御手段12M,横行用の動作制御手段12N,走行用の動作制御手段12Oのそれぞれのコンタクタに対して第1の情報処理装置20H,20I,20Jがそれぞれ1対1の関係で接続される構成となっている。これは、コンタクタ自身が演算処理機能や記憶処理機能を有していないため、コンタクタの動作については第1の情報処理装置20H,20I,20Jのそれぞれが監視して各装置の記憶部23に記憶するように構成されているためである。
以上に説明したように、本発明の第6実施形態に係るクレーン装置10Fを含むクレーン装置管理システムは、第1の情報処理装置20H,20I,20Jは、3つの動作制御手段12M,12N,12O毎にそれぞれ設けられていると共に、これら3つの第1の情報処理装置20H,20I,20J同士も有線の接続手段C7により接続されており、3つの第1の情報処理装置20H,20I,20Jのいずれかが有している通信手段(不図示)を介して第2の情報処理装置30Fとの通信をすべて行う構成としている。
このような構成とすることで、動作制御手段12がすべてコンタクタで構成される場合であっても、本実施形態における第1の情報処理装置20H,20I,20Jの3台を用いることでクレーン装置管理システムを構築することができる。なお、この構成の場合、第2の情報処理装置30Fは、第1の情報処理装置20Hとの間で無線通信を確立して、動作制御手段12M,12N,12Oの稼働情報を受信して、クレーン装置10Fの情報としてまとめて記憶して集計する。なお、第2の情報処理装置30Fと第1の情報処理装置20Hとの間の通信方法は、無線通信以外にも有線接続(たとえばUSB接続)によるものであってもよい。
(第7実施形態)
図20は、本発明の第7実施形態に係るクレーン装置管理システムのクレーン装置10Gの構成を示す図である。クレーン装置管理システム1Gにおけるクレーン装置10Gは、本発明の第1実施形態のクレーン装置管理システム1Aにおけるクレーン装置10Aと一部の構成が異なるので、異なる部分を主に説明し、それ以外の部分は基本的に同様の機能や構成であるため、それらの説明および図示を省略する。
本発明の第7実施形態に係るクレーン装置10Gは、第6実施形態に係るクレーン装置10Fとほぼ同様の構成であるため、図19に示した図と同一の符号を付している。すなわち、本発明の第7実施形態に係るクレーン装置10Gは、第1の情報処理装置20H,20I,20Jと、動作制御手段12M,12N,12Oとを有している。しかしながら、第7実施形態における第1の情報処理装置20Iと第1の情報処理装置20J同士は、第6実施形態とは異なり、有線ケーブルC7(C7はたとえばRS485の有線ケーブル)で直接接続することができない設置状況である。そのため、第1の情報処理装置20Hは、自己の保持している情報と共に、第1の情報処理装置20Iが保持している情報についても第2の情報処理装置30Gへ送信する。また、第1の情報処理装置20Jは自己が保持している情報を、第2の情報処理装置30Gへ送信する構成となっている。なお、有線ケーブルC7の通信規格はあくまでも一例であり、RS485以外のRS422、RS232C等であってもよい。
以上に説明したように、本発明の第7実施形態に係るクレーン装置10Gを含むクレーン装置管理システムは、第1の情報処理装置20H,20I,20Jは、3つの動作制御手段12M,12N,12O毎にそれぞれ設けられていると共に、走行用の動作制御手段12Oが、他の動作制御手段12M,12Nが有している所定の通信規格の通信手段による接続ができない場合、第1の情報処理装置20H,20Iと、巻上用の動作制御手段12Mおよび横行用の動作制御手段12Nとをそれぞれ所定の接続手段を介して接続すると共に、第1の情報処理装置20Jと走行用の動作制御手段12Oとを別の有線の接続手段によって接続されるように構成している。
このようなシステム構成とすることで、クレーン装置10Gの動作制御手段12がすべてコンタクタで構成されるが、走行用の動作制御手段12Oが有線ケーブルC7による配線ができない環境下であっても、クレーン管理システムを構築することができる。なお、このシステム構成の場合、第2の情報処理装置30Gは、第1の情報処理装置20Hおよび20Jとの間で無線通信をそれぞれ確立して、動作制御手段12M,12N,12Oの稼働情報を受信して、クレーン装置10Gの情報としてまとめて記憶して集計する。なお、第2の情報処理装置30Gと第1の情報処理装置20Hおよび20Jとのそれぞれ間での通信方法は、無線通信以外にも有線接続(たとえばUSB接続)によるものであってもよい。
(第8実施形態)
図21は、本発明の第8実施形態に係るクレーン装置管理システムのクレーン装置10Hの全体構成を示す図である。クレーン装置10Hは、本発明の第1実施形態のクレーン装置管理システム1Aにおけるクレーン装置10Aと一部の構成が異なるので、異なる部分を主に説明し、それ以外の部分は基本的に同様の機能や構成であるため、それらの説明および図示を省略する。
本発明の第8実施形態に係るクレーン装置10Hは、第1の情報処理装置20K,20L,20Mと、動作制御手段12P,12Q,12Rとを有している。本発明の第8実施形態に係るクレーン装置10Hは、第1の情報処理装置20K,20L,20Mの3台を用いると共に、第2の情報処理装置30Hは、第1の情報処理装置20K,20L,20Mそれぞれの装置と無線通信を行う点が特徴である。この特徴は、クレーン装置10Hの巻上用の動作制御手段12P,横行用の動作制御手段12Q,走行用の動作制御手段12Rのすべてがコンタクタで構成されるが、すべてのコンタクタが有線ケーブルによる配線ができない場合に好ましい形態である。なお、このシステム構成の場合、第2の情報処理装置30Hは、第1の情報処理装置20K,20Lおよび20Mとの間で無線通信をそれぞれ確立して、動作制御手段12P,12Q,12Rの稼働情報を受信して、クレーン装置10Hの情報としてまとめて記憶して集計する。なお、第2の情報処理装置30Hと第1の情報処理装置20K,20L,20Mのとのそれぞれ間での通信方法は、無線通信以外にも有線接続(たとえばUSB接続)によるものであってもよい。
以上に説明したように、本発明の第8実施形態に係るクレーン装置10Hを含むクレーン装置管理システムは、第1の情報処理装置20K,20L,20Mは、3つの動作制御手段12P,12Q,12R毎にそれぞれ設けられていると共に、第1の情報処理装置20K,20L,20Mのそれぞれが有している通信手段(不図示)を介して第2の情報処理装置30Hとの通信をそれぞれ行う構成としている。
(第9実施形態)
図22は、本発明の第9実施形態に係るクレーン装置管理システムのクレーン装置10Iの全体構成を示す図である。クレーン装置10Iは、本発明の第1実施形態のクレーン装置管理システム1Aにおけるクレーン装置10Aと一部の構成が異なるので、異なる部分を主に説明し、それ以外の部分は基本的に同様の機能や構成であるため、それらの説明および図示を省略する。
本発明の第9実施形態に係るクレーン装置10Iは、第1の情報処理装置20O,20P,20Qと、動作制御手段12S,12T,12Uとを有している。本発明の第9実施形態に係るクレーン装置10Iは、第1の情報処理装置20O,20P,20Qの3台を用いると共に、第2の情報処理装置30Iは、第1の情報処理装置20O,20P,20Qそれぞれの装置と無線通信を行う点が特徴である。この特徴は、クレーン装置10Iの巻上用の動作制御手段12S,横行用の動作制御手段12T,走行用の動作制御手段12Uのすべてがインバータで構成されるが、すべてのインバータが1つの有線ケーブルによる配線ができない場合に好ましい形態である。このシステム構成の場合、第1の情報処理装置20Oと巻上用の動作制御手段12Sが有線ケーブルC8で接続され、第1の情報処理装置20Pと横行用の動作制御手段12Tが有線ケーブルC9で接続され、第1の情報処理装置20Qと走行用の動作制御手段12Uが有線ケーブルC10で接続される構成となる。なお、このシステム構成の場合、第2の情報処理装置30Iは、第1の情報処理装置20O,20Pおよび20Qとの間で無線通信をそれぞれ確立して、動作制御手段12S,12T,12Uの稼働情報を受信して、クレーン装置10Iの情報としてまとめて記憶して集計する。なお、第2の情報処理装置30Iと第1の情報処理装置20O,20P,20Qのとのそれぞれ間での通信方法は、無線通信以外にも有線接続(たとえばUSB接続)によるものであってもよい。
以上に説明したように、本発明の第9実施形態に係るクレーン装置10Iを含むクレーン装置管理システムは、第1の情報処理装置20O,20P,20Qは、3つの動作制御手段12S,12T,12U毎にそれぞれ設けられていると共に、第1の情報処理装置20O,20P,20Qのそれぞれが有している通信手段(不図示)を介して第2の情報処理装置との通信をそれぞれ行う構成としている。
(その他の実施形態)
上述した各実施形態以外にも、たとえば、上述した第2の情報処理装置30A〜30Iが撮像部を備えている場合、ユーザがクレーン装置10A〜10Iを第2の情報処理装置30A〜30Iに認識させた上で、クレーン装置10A〜10Iの故障箇所や異常動作などを撮像部により撮影し、撮影した画像データあるいは動画データをデータサーバ60へと送信するようにしてもよい。なお、第2の情報処理装置30A〜30Iからデータサーバ60へ送信させる情報は、画像データあるいは動画データに限らず、オペレータが第2の情報処理装置30A〜30Iを操作して作成したメモ(テキストデータ)、オペレータがクレーン装置10の稼働状況などを説明した音声データなどであってもよい。これにより、データサーバ60側では、第2の情報処理装置30A〜30Iから送信されたデータを、該当するクレーン装置10A〜10Iと関連付けてデータメモリ64に保存することで、クレーン装置10A〜10Iの稼働情報のみならず、クレーン装置10A〜10Iの稼働時の詳細情報、または付加的情報についても保存され、将来、このような情報についても参照することが可能となる。
また、オペレータが上述した第2の情報処理装置30A〜30Iを操作してクレーン装置10A〜10Iのテスト動作を行えるようにしてもよい。これにより、クレーン装置10A〜10Iが稼働していない状況でも積極的に稼働させて、クレーン装置10A〜10Iの安全確認を容易に行うことができる。
また、図14で説明したメンテナンス情報取得処理では、データサーバ60から過去のクレーン装置10Aのメンテナンス情報を取得するように構成していたが、本発明のクレーン装置管理システムでは必ずしもデータサーバ60を有していなくてもよい。その場合、第2の情報処理装置30Aの記憶部37に過去のクレーン装置10Aのメンテナンス情報を記憶するようにすればよい。
また、上述した各実施の形態で説明したクレーン装置管理システムのクレーン装置10A〜10I、第1の情報処理装置20A〜20I、第2の情報処理装置30A〜30I、データサーバ60それぞれが実行する処理のすべてまたは一部を実行するプログラムによって構成し、これらのプログラムを実行可能な状態で記録した媒体からコンピュータに直接インストールする、またはネットワーク経由で遠隔にあるコンピュータにインストールすることもできる。