JP6013639B1 - 多成分を3以上の画分に分離するクロマト分離方法および装置 - Google Patents

多成分を3以上の画分に分離するクロマト分離方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】少量の溶離液と吸着剤量にて高い分離性能が得られる、多成分を3以上の画分に分離できる擬似移動層方式クロマト分離方法および装置を提供する。【解決手段】選択的吸着剤を充填した複数の単位充填塔を無端状に連結した充填層に原液と溶離液を通流させる。脱着力の弱い第1溶離液と原液との少なくとも一方を循環系内に供給し、移動速度が速い成分が富化された充填塔の1箇所から供給された液量と等しい量を披き出す第1工程と、脱着力が中間的な第2溶離液をさらに上流部から供給し、移動速度の中間的な成分を充填塔の1箇所から流出する全量を披き出す第2工程と、脱着力が強い第3溶離液をさらに上流部から供給し、移動速度の遅い成分を、充填塔の1箇所から流出する全量を抜き出す第3工程と、循環系内の液を循環させる第4工程を組み合わせる。原液と各溶離液の供給位置および各成分の抜き出し位置を、循環系の下流側に順次移動させる。【選択図】図1

Description

本件発明は、3成分以上の成分を含む原液の特定成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した多数の単位充填塔を、直列かつ無端状に連結して擬似移動層方式クロマト分離を行って、3以上の画分に分離する方法および装置に関するものである。
擬似移動層方式クロマト分離方法および装置は、原液中に含まれる2成分以上の成分中の特定成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した多数の単位充填塔(以下、単に充填塔ということもある。)を直列に連結するとともに最下流部の単位充填塔と最上流部の単位充填塔を連結することにより無端状になっている充填層に対して、原液と溶離液を供給するとともに、充填層内を移勤する速度が大きい成分(A成分)と充填層内を移動する速度が小さい成分(C成分)をそれぞれ異なる位置から抜き出し、かつ、原液供給位置、溶離液供給位置、A成分抜き出し位置、C成分抜き出し位置を、一定の位置関係に保ちながら充填層の流体循環方向下流側に順次移動させることで、原液供給を連続的に行うことができる移動層の処理操作を擬似的に実現する分離方法および装置であることはよく知られている。
しかし多くの擬似移動層方式クロマト分離は、2つ以上の成分を含む原液を、2つの画分に分離する方法、装置であるが、多成分を3つ以上の画分に分離する極めて特殊な擬似移動層クロマト分離も過去に提案されている。
例えば特許文献1には、1系列の改良された擬似移動層装置に溶離液と原液を供給しながら吸着剤との親和力が中間の成分(移動速度が中間の成分)を抜き出す工程と、溶離液を供給しながら吸着剤との親和力が小さい成分(移動速度が大きい成分)と大きい成分(移動速度が小さい成分)の抜き出しを行う工程を繰り返すことによって、親和力が異なる3つ以上の成分を一連の操作で連続的に分離する方法が開示されている。
また、特許文献2には、原液の各成分の移動速度がA成分>B成分>C成分である第一吸着剤を充填した単位充填塔と、A成分>C成分>B成分である第二吸着剤を充填した単位充填塔を、無端状に連結された複数の充填塔として交互に並べて使用する分離方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、吸着剤層での移動速度が速い(2つの)成分を脱着力の弱い第1溶離液で展開した後、吸着力が強くて脱着しにくい非常に移動速度が遅い成分を脱着力が強い第2溶離液で脱着する、という3以上の成分の分離方法が開示されている。
JPB_1995024724(特公平7−24724号公報) JPB_0002740780(特許第2740780号公報) 特許第4606092号公報
上記従来の通常の擬似移動層方式および特許文献1に記載の運転方法は基本的に1種類の溶離液を用いるため、吸着性の強い成分を含む原液やテーリング(濃度分布がブロードになる現象)を起こしやすい成分を含む原液を充填層に供給する場合、これらの成分を脱着させるために大量の溶離液を用いる必要があった。大量の溶離液を使用することで、(1)抜出液の濃縮コストがかかる、(2)最も流速が大きくなる帯域(溶離液供給位置と遅い成分抜出位置の間の帯域)の差圧を抑えるために、全体の流速を落とす必要があり、結果として生産量が落ちる、(3)溶離液供給位置と遅い成分抜出位置の間の単位充填塔数が増え、結果として吸着剤あたりの生産量が落ちるなどの欠点があった。
また、特許文献2に記載の運転方法では、2種類の吸着剤を用いることで移勤速度の遅い成分の挙動を調節することができるが、吸着剤の選定と組み合わせが極めて難しく、工業的な規模で実施することは困難であるという問題がある。
また、特許文献3に記載された分離方法では、吸着力が強い成分が2つ以上ある場合、その強い成分のそれぞれを分離回収することができないという問題がある。
さらに、ここに述べてきた従来の多成分を3以上の画分に分離する擬似移動層方式クロマト分離方法は、2つの画分に分離する方法に比較して、カラム数や切り換えバルブが多くなり、設備費が高くなるという問題も生じている。
そこで本発明の課題は、上記のような従来の分離方法における種々の問題点に着目し、少量の吸着剤量にて高い分離性能が得られ、出来るだけカラム数やバルブ数を少なくして設備費を低く抑えることができる、多成分を3以上の画分に分離する擬似移動層方式クロマト分離方法および装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る擬似移動層方式クロマト分離方法は、3成分以上の成分を含む原液の特定の成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した複数の単位充填塔を直列に連結するとともに最下流部の単位充填塔と最上流部の単位充填塔を連結することにより無端状に形成された充填層に対して、3成分以上の成分を含む原液と2種類以上の溶離液とを充填層に通流させることにより、吸着剤に対する親和力の順に順次に分かれた吸着帯域を形成させた循環系に対し、
脱着力が最も弱い第1溶離液と原液の少なくとも一方を循環系内に供給し、循環系内において原液中に含まれる移動速度の最も速い成分が富化された充填塔の1箇所から循環系内に供給された液量と等しい量を抜き出す第1工程と、
脱着力が中間的な第2溶離液を、さらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の中間的な成分として第1溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第2工程と、
脱着力が強い第3溶離液を、さらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の遅い成分を、第2溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第3工程と、
一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させる第4工程を組み合わせることで分離を実施し、
原液供給位置、第1溶離液の供給位置、第2溶離液の供給位置、第3溶離液の供給位置、各成分の抜き出し位置を、循環系内の吸着帯域が移動するのに合わせて、循環系の下流側に順次移動させる操作を行うことを特徴とする方法からなる。
この方法においては、第1工程と第2工程および第3工程を同時に実施することが好ましい。また、上記第1工程においては、第1溶離液と原液のいずれか一方のみを供給するか、それぞれ異なるタイミングで個別に供給することが好ましい。
また、本発明に係る擬似移勤屑方式クロマト分離装置は、3成分以上の成分を含む原液の特定の成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した複数の単位充填塔を直列に連結するとともに最下流部の単位充填塔と最上流部の単位充填塔を連結することにより無端状に形成された充填層に対して、3成分以上の成分を含む原液と2種類以上の溶離液とを充填層に通流させることにより、吸着剤に対する親和力の順に順次に分かれた吸着帯域を形成させた循環系に対し、
脱着力が最も弱い第1溶離液と原液の少なくとも一方を循環系内に供給し、循環系内において原液中に含まれる移動速度の最も速い成分が富化された充填塔の1箇所から循環系内に供給された液量と等しい量を抜き出す第1工程と、
脱着力が中間的な第2溶離液をさらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の中間的な成分として第1溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第2工程と、
脱着力が強い第3溶離液をさらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の遅い成分を、第2溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第3工程と、
一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させる第4工程を組み合わせることで分離を実施する分離手段と、
原液供給位置、第1溶離液の供給位置、第2溶離液の供給位置、第3溶離液の供給位置、各成分の抜き出し位置を、循環系内の吸着帯域が移動するのに合わせて、循環系の下流側に順次移動させる操作を行う操作手段と、
を有することを特徴とするものからなる。
この装置においては、上記分離手段が、第1工程と第2工程および第3工程を同時に実施する手段からなることが好ましい。また、上記第1工程においては、第1溶離液と原液が同時に供給されてもよいが、それぞれ異なるタイミングで個別に供給されることも好ましい。
本発明に係る擬似移動層方式クロマト分離方法および装置は、最も簡単な例として3つの成分を3つの画分に分離する方法、装置として記述しているが、吸着剤に対する親和力が異なる成分が4以上に多数あって、その4以上の多成分のそれぞれをそれぞれの画分に分離することも、脱着力の異なる4以上の多数の溶離液を用いることで可能である。
つまり本発明に係る擬似移動層方式クロマト分離方法は、多成分分離の擬似移動層を一般化する方法を示したものでもあり、4つの画分に分離する方法を例示すると、
4成分以上の成分を含む原液の特定の成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した複数の単位充填塔を直列に連結するとともに最下流部の単位充填塔と最上流部の単位充填塔を連結することにより無端状に形成された充填層に対して、4成分以上の成分を含む原液と3種類以上の溶離液とを充填層に通流させることにより、吸着剤に対する親和力の順に順次に分かれた吸着帯域を形成させた循環系に対し、
脱着力が最も弱い第1溶離液と原液の少なくとも一方を循環系内に供給し、循環系内において原液中に含まれる移動速度の最も速い成分が富化された充填塔の1箇所から循環系内に供給された液量と等しい量を抜き出す第1工程と、
脱着力が中間的な第2溶離液を、さらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の中間的な成分として第1溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第2工程と、
脱着力が強い第3溶離液を、さらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の遅い成分を、第2溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第3工程と、
脱着力が最も強い第4溶離液を、さらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の最も遅い成分を、第3溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第4工程と、
一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させる第5工程を組み合わせることで分離を実施し、
原液供給位置、第1溶離液の供給位置、第2溶離液の供給位置、第3溶離液の供給位置、第4溶離液の供給位置、各成分の抜き出し位置を、循環系内の吸着帯域が移動するのに合わせて、循環系の下流側に順次移動させる操作を行うことを特徴とする方法、
となる。
本発明に係る擬似移動層方式クロマト分離方法および装置によれば、吸着剤に対して親和力の異なる成分が多数ある場合に、その異なる親和力の程度に応じて脱着力の違う多数の溶離液を用いることで、効率よく脱着することで、溶離液量を少なくできて、分離にかかる時間を短くできるため、少量の吸着剤量にて高い分離性能を得ることができる。
本発明の一実施態様に係るクロマト分離装置の機器系続図であり、とくに、3成分分離を行う場合のクロマト分離装置の機器系統図である。 本発明の表1の運転における工程1−1〜1−3までの単位充填層内の濃度分布を想定した模式図である。 本発明の表2の運転における工程1−1〜2−2までの単位充填層内の濃度分布を想定した模式図である。
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに、図面を参照しながら詳細に説
明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る擬似移動層方式クロマト分離装置を示している。本実施態様では、クロマト分離装置1は、4つの単位充填塔4(No.1〜No.4充填塔)を備えており、各充填塔4内には、原液タンク2から供給されてくる原液3中に含まれる3成分以上の成分中の特定成分に対し選択的吸着能力を有する吸着剤5が充填されている。各充填塔4は、配管6により、各充填塔4の出口から隣接する充填塔4の入口へと連結されて、全体として直列に連結されており、最後部の単位充填塔4(例えば、図1におけるNo.4充填塔4)の出口から最前部の単位充填塔4(例えば、図1におけるNo.1充填塔4)の入口へと配管6で連結されることにより、全単位充填塔4が無端状に連結されている。したがって、この全単位充填塔4が無端状に連結された充填層は、流体が矢印方向に循環可能な循環系7として形成されている。
循環系7内の各隣接充填塔4間には、各充填塔間を遮断することが可能な遮断弁R1、R2、R3、R4が設けられている。各遮断弁R1〜R4と、その上流側に位置する各充填塔4の出口との間には、充填層内を移動する速度が大きい画分(A画分:吸着剤に対し親和力の弱い成分を多く含む画分)の抜き出しを目的としたA画分抜き出し弁A1、A2、A3、A4が設けられている。各A画分抜き出しライン8は、合流されて一つのA画分合流管9にまとめられている。また、同様に、充填層内を移動する速度が小さい画分(C画分:吸着剤に対し親和力が強い成分を多く含む画分)の抜き出しを目的としたC画分抜き出し弁C1、C2、C3、C4が設けられている。各C画分抜き出しライン10は、合流されて一つのC画分合流管11にまとめられている。さらに本実施態様では、充填層内を移動する速度がA画分の速度とC画分の速度の中間の速度となる画分であるB画分の抜き出しを目的としたB画分抜き出し弁B1、B2、B3、B4が設けられている。各B画分抜き出しライン22は、合流されて一つのB画分合流管23にまとめられている。このほかに循環工程において全量抜き出しを行うことを目的とした2方弁としては、A画分の抜き出し弁であるA1、A2、A3、A4が循環液抜き出し弁としても兼用として使用される。各循環抜き出しラインには、A画分抜き出し管8が兼用されており、各循環抜き出しラインは合流されてA画分合流管9を循環液合流管としても兼用されている。兼用使用されるA画分合流管9には、A画分のタンクへの送液と循環液のポンプまでの戻り送液との切り換えのために、開閉可能な切り換え弁A0とZ0が設置されている。A画分の送液には、切り換え弁Z0を閉とし切り換え弁A0を開として使用し、循環液の戻り送液には、切り換え弁A0を閉とし切り換え弁Z0を開として使用する。循環液の戻り送液に使用する循環戻り管13は、切り換え弁Z0から繋がって、第1溶離液供給ポンプPE1の上流側で第1溶離液供給ライン20に合流されている。
循環系7には、原液3と、第1溶離液タンク15に収容された第1溶離液16が供給可能となっている。また、循環系7には、第2溶離液タンク24に収容された第2溶離液25が第2溶離液供給ポンプPE2により供給可能となっており、第3溶離液タンク28に収容された第3溶離液29が第3溶離液供給ポンプPE3により供給可能となっている。原液3は、本実施態様では、供給流量の制御が可能な原液供給ポンプPFにより、原液供給ライン17を介して供給される。原液供給ライン17は、各原液分岐供給ライン18に分岐され、原液は各原液分岐供給ライン18を介して各単位充填塔4の入口側に供給可能となっている。各原液分岐供給ライン18には、開閉可能な原液供給弁F1、F2、F3、F4が設けられており、開弁された原液供給弁のラインを介して対応する単位充填塔に原液が供給される。なお、原液供給ポンプPFの安定運転のために原液が供給されない工程でも原液供給ポンプPFを作動させておきたい場合は、原液供給弁PF1〜PF4の手前に弁FOおよび原液循環ライン19を設けて原液タンク2に戻すようにしてもよい。
循環流体は、本実施態様ではA1〜A4のいずれかにおいて全量引き抜かれ、循環戻り管13を通して第1溶離液クンク15と第1溶離液供給ポンプPE1との間の第1溶離液供給ポンプPE1の上流部に合流し、供給流量の制御が可能な第1溶離液供給ポンプPE1により、第1溶離液供給ライン20を介して再び循環系7に供給される。第1溶離液供給ライン20は、各第1溶離液分岐供給ライン21に分岐され、第1溶離液は各第1溶離液分岐供給ライン21を介して各単位充填塔4の人口側に供給可能となっている。各第1溶離液分岐供給ライン21には、開閉可能な第1溶離液供給弁Ea1、Ea2、Ea3、Ea4が設けられており、開弁された第1溶離液供給弁のラインを介して対応する単位充
填塔4に溶離液が供給される。
第2溶離液25は、本実施態様では、供給流量の制御が可能な第2溶離液供給ポンプPE2により、第2溶離液供給ライン26を介して供給される。第2溶離液供給ライン26は、各第2溶離液分岐供給ライン27に分岐され、第2溶離液は各第2溶離液分岐供給ライン27を介して各単位充填塔4の人口側に供給可能となっている。各第2溶離液分岐供給ライン27には、開閉可能な第2溶離液供給弁Eb1、Eb2、Eb3、Eb4が設けられており、開弁された第2溶離液供給弁のラインを介して対応する単位充填塔4に溶離液が供給される。
第3溶離液29は、本実施態様では、供給流量の制御が可能な第3溶離液供給ポンプPE3により、第3溶離液供給ライン30を介して供給される。第3溶離液供給ライン30は、各第3溶離液分岐供給ライン31に分岐され、第3溶離液は各第3溶離液分岐供給ライン31を介して各単位充填塔4の入口側に供給可能となっている。各第3溶離液分岐供給ライン31には、開閉可能な第3溶離液供給弁Ec1、Ec2、Ec3、Ec4が設けられており、開弁された第3溶離液供給弁のラインを介して対応する単位充填塔4に溶離液が供給される。
このように構成されたクロマト分離装置1において分離処理は次のように行われる。まず、本発明に係る擬似移動層方式クロマト分離方法および装置の各要素について説明する。
(各帯域について)
循環系内は第1溶離液の供給位置、第2溶離液の供給位置、第3溶離液の供給位置、原液の供給位置によって異なる機能を有する別個の帯域に分割される。
(帯域の定義)
第3溶離液の供給位置から吸着剤層を移動する速度が遅い成分(以下C成分とする)の披き出し位置を含み第2溶離液の供給位置手前までを第1帯域、第2溶離液の供給位置から吸着剤層を移動する速度が中間である成分(以下B成分とする)の披き出し位置を含み第1溶離液の供給位置手前までを第2帯域、第1溶離液の供給位置から原液の供給位置手前までを第3帯域、原液の供給位置から吸着剤層を移動する速度が速い成分(以下A成分とする)の抜き出し位置を含み第3溶離液の供給位置手前までを第4帯域とする。
(第4帯域と第3帯域の説明)
第4帯域において、原液は吸着剤と接触し、B成分、C成分は吸着され、A成分が下流部の単位充填塔から抜出される。第4帯域の上流部には第3帯域があり、吸着剤の擬似的な移動によって第3帯域に運ばれたA成分の吸着剤からの置換が行われる。第3帯域の最上流部の単位充填塔に第1溶離液が供給され、第1溶離液によって置換されたA成分は下流部にある第4帯域に運ばれる。
(第2帯域の説明)
第3帯域の上流部には第2帯域があり、ここでは吸着剤の擬似的な移動によって第2帯域に運ばれたB成分、C成分のうち、B成分の第2溶離液による吸着剤からの置換が行われる。第2溶離液には、B成分を吸着剤から溶離できるものが選ばれる。置換されたB成分は第2帯域の最下流部の単位充填塔から披き出される。
(第1帯域の説明)
第2帯域の上流部には第1帯域があり、ここでは吸着剤の擬似的な移動によって第1帯域に運ばれたC成分の第3溶離液による吸着剤からの置換が行われる。第3溶離液には、C成分を吸着剤から強制的に溶離できる最も強い溶離液が選ばれる。置換されたC成分は第1帯域の最下流部の単位充填塔から披き出される。
(第1工程と第2工程および第3工程の同時実施)
第1工程と第2工程および第3工程は、同時に行うことで、1サイクル時間の短縮につながり、樹脂量あたりの原液処理量を増やすことができる。
(第1工程における原液と第1溶離液の個別供給の有無)
第1工程では、第1溶離液と原液のいずれか一方を供給することにより、循環系に供給される原液の濃度分布が循環系内で広がりにくく、このため高い分離性能を得ることができるが、A成分とBおよびC成分の分離が容易な場合においては、分離にかかる時間を短縮して生産性を高めることができるため、第1溶離液と原液は同時に供給した方が良い。
(第4工程における系内循環)
第4工程では、一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の披き出しを行わずに循環系内の液を循環させるので、所望の精製条件まで分離された状態が的確にかつ容易に作り出され、分離効率が向上される。
このような本発明に係るクロマト分離では、循環系内の移勤速度の遅い成分(C成分)
を第3溶離液によって強制的に溶出させることで、第1帯域の吸着剤量を従来の方法より少なくすることができ、また移動速度の遅い成分(C成分)の溶出に用いる溶離液量を少なくすることができ、C画分の濃縮コストも少なくすることができる。
このことは、B画分の分離にも当てはまり、循環系内の移勤速度が中間の成分(B成分)を強制的に溶出させることで、第2帯域の吸着剤量を従来の方法より少なくすることができ、また移動速度が中間の成分(B成分)の溶出に用いる溶離液量を少なくすることができ、B画分の濃縮コストも少なくすることができる。
また従来の方法では、再生を行わないため原液中に含まれる吸着力の強い成分が吸着剤に吸着し劣化させる等の問題が生じやすいため、あらかじめこのような成分を除去する工程が必要であったが、本発明では第3溶離液に脱着力が十分強い溶離液を用いることで、そのような工程を無くすことができるためプロセスを簡略化できる。
また3以上の成分を含む原液を3以上の画分に多成分分離する場合に、従来の1種類の溶離液を用いる方法では、吸着剤に対する親和力の順に順次に分かれた吸着帯域を形成させるような溶離液を1つだけ選択する必要があった。本発明では、移勤速度の遅い成分は第3溶離液を用い、また移勤速度の中間的な成分は第2溶離液を用いて強制的に溶出されるため、第1溶離液としては移動速度が速い成分を溶離するのに適切なものを選択すれば良く、分離対象の成分を吸着剤に対する親和力の強さの程度に応じて適切な溶離液を選択することにより、高い分離性能を得ることができる。
また、従来の方式、例えば特許第4606092号公報の方式では循環工程において全量抜き出しを行うことを目的とした2方弁Z1〜Z5を設けていたが、本実施態様では、A画分の抜き出し弁であるA1〜A4が循環液抜出用と兼用に使用されることにより、装置を簡素にすることができた。
したがって、本発明による大きな効果としては、少量の吸着剤量にて高い分離性能が得られ、しかも簡素であるが故に安価な擬似移動層式クロマト分離方法および装置を達成できることである。
次に、図1に示した装置を用いた本発明に係る方法のより具体的な分離処理について説明する。すなわち、クロマト分離装置1では、原液を供給する(以下、FまたはFeedと表示することもある。)とともに全量をA画分抜き出し(以下、単にaと表示することもある。)位置より抜き出す工程、第1溶離液を供給する(以下、Eaと表示することもある。)とともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程、第2溶離液を供給する(以下、Ebと表示することもある。)とともに全量をB画分抜き出し(以下、単にbと表示することもある。)位置より抜き出す工程、第3溶離液を供給すると(以下、Ecと表示することもある。)ともに全量をC画分抜き出し(以下、単にcと表示することもある。)位置より抜き出す工程、および一切の供給、抜き出しを行わずに系内の液を循環させる工程の5つの工程の運転が可能となっており、これらの工程を組み合わせることで分離を行うことができる。
(F−a工程)
原液を供給するとともに全量をA画分抜き出し位置より抜き出す工程では、いずれかの原液供給弁を開き、原液を対応する単位充填層4の人口側から循環系7内に供給し、A画分の抜き出し位置に相当するA画分抜き出し弁Aを開き、そのすぐ下流側にある遮断弁を閉め、A画分抜き出しライン8とA画分合流管9を通じて切り換え弁A0を開き、A画分の全量を抜き出す。
(Ea−a工程)
第1溶離液を供給するとともに全量をA画分披き出し位置より抜き出す工程では、いずれかの第1溶離液供給弁を開き、第1溶離液を対応する単位充填層4の入口側から循環系7内に供給し、A画分の披き出し位置に相当するA画分抜き出し弁Aを開き、そのすぐ下流側にある遮断弁を閉め、A画分抜き出しライン8とA画分合流管9を通じて切り換え弁A0を開き、A画分の全量を抜き出す。
(Ea−F−a工程)
第1溶離液と原液を同時に供給するとともに循環系内に供給された液量と等しい量をA画分披き出し位置より抜き出す工程では、いずれかの第1溶離液供給弁を開き、同時にいずれかの原液供給弁を開き、第1溶離液を対応する単位充填層4の人口側から循環系7内に供給し、同時に原液を対応する単位充填層4の人口側から循環系7内に供給しA画分の披き出し位置に相当するA画分抜き出し弁Aを開き、そのすぐ下流側にある遮断弁を閉め、A画分抜き出しライン8とA画分合流管9を通じて切り換え弁A0を開き、循環系内に供給された液量と等しい量をA画分として抜き出す。
(Eb−b工程)
第2溶離液を供給するとともに全量をB画分抜き出し位置より披き出す工程では、いずれかの第2溶離液供給弁を開き、第2溶離液を対応する単位充填塔4の人口側から循環系7内に供給し、B画分の抜き出し位置に相当するB画分抜き出し弁Bを開き、そのすぐ下流側にある遮断弁を閉め、B画分抜き出しライン22を通じてB画分の全量を抜き出す。
(Ec−c工程)
第3溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出す工程では、いずれかの第3溶離液供給弁を開き、第3溶離液を対応する単位充填塔4の人口側から循環系7内に供給し、C画分の抜き出し位置に相当するC画分抜き出し弁Cを開き、そのすぐ下流側にある遮断弁を閉め、C画分抜き出しライン10を通じてC画分の全量を抜き出す。
(循環工程)
一切の供給、抜き出しを行わずに循環系7内の液を移動させる工程(循環工程)では、
いずれかのA画分抜き出し弁Aを開き、そのすぐ下流にある遮断弁を閉め、A画分抜き出しライン8より全量を循環系7外に披き出し、A画分合流管9を通じて切り換え弁Z0を開き循環戻り管13を通じ、第1溶離液供給ポンプPE1を介し第1溶離液の供給位置に相当する第1溶離液供給弁Eaより供給する。
上記の各工程は別々の単位充填層に供給および抜き出しを実施することで、同時に行うことができる。
次に、図1に示した各弁の開閉サイクルについて説明する。運転の一例を表1に示し、各工程毎に、単位充填層内の濃度分布を想定した模式図を図2に示す。
表1には、弁の開閉制御状態を示し、表中の数字は各弁の番号を示し(たとえば、Fの項で1はF1の弁を示している)、その番号が記入されている弁が開弁されることを表している。空欄の場合には、閉弁の状態を示している。また、弁A、B、C、Rおよび循環流体抜き出し弁(A1〜A4およびZ0)の項では、全量抜き出しを行う弁の番号を示している。空欄の場合にはその弁での抜き出しは行わない。さらに、原液供給ポンプPF、第1溶離液供給ポンプPE1、第2溶離液供給ポンプPE2および第3溶離液供給ポンプPE3の項では、丸印は運転状態を示しており、空欄の場合には、停止状態を示す。なお、表1において工程1−1〜1−3から工程4−1〜4−3までが、本クロマト装置1における分離処理の1サイクルを示している。
まず、(表1)の工程1−1〜1−3についてみる。
(表1の工程1−1について)
工程1−1では、原液供給弁F4を開き原液を循環系7内に供給するとともに、A画分抜出弁A4を開き、そこからA画分の全量を披き出す。同時に第2溶離液供給弁Eb2を開き第2溶離液を循環系7内に供給するとともに、B画分抜出弁B2を開き、そこからB画分の全量を抜き出す。さらに同時に第3溶離液供給弁Ec1を開き、第2溶離液を循環系7内に供給するとともに、C画分抜出し弁C1を開き、そこからC画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−1は本発明で言う原液を供給するとともに循環系内に供給された液量と等しい量をA画分抜き出し位置より抜き出す第1工程、第2溶離液を供給するとともに全量をB画分抜き出し位置より抜き出す第2工程および第3溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出す第3工程を同時に行う工程に相当している。
この工程1−1を単位充填層内の濃度分布を想定した模式図として図2.N-cycle.工程1−1に示す。
(表1の工程1−2について)
工程1−2では、第1溶離液供給弁Ea3を開き第1溶離液を循環系7内に供給するとともに、A画分抜出弁A4を開き、そこからA画分の全量を抜き出す。同時に第2溶離液供給弁Eb2を開き、第2溶離液を循環系7内に供給するとともに、B画分抜き出し弁B2を開き、そこからB画分の全量を抜き出す。さらに同時に第3溶離液供給弁Ec1を開き、第3溶離液を循環系7内に供給するとともに、C画分抜出し弁C1を開き、そこからC画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−2は本発明で言う第1溶離液を供給するとともに循環系内に供給された液量と等しい量をA画分抜き出し位置より抜き出す第1工程、第2溶離液を供給するとともに全量をB画分抜き出し位置より抜き出す第2工程および第3溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出す第3工程を同時に行う工程に相当している。このとき原液はF0弁を通して原液タンクに戻している。
この工程1−2を単位充填層内の濃度分布を想定した模式図として図2.N-cycle.工程1−2に示す。
(表1の工程1−3について)
工程1−3では、A画分(循環液)抜き出し弁A3を開き、そこから循環流体を循環系7から全量披き出す。抜き出された循環流体を循環ポンプによって第1溶離液供給弁Ea4から再度、循環系7内に供給する。したがって、この工程1−3は本発明で言う一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに循環系内の液を移勤させる工程(第4工程)に相当している。このとき原液はF0弁を通して原液タンクに戻している。
この工程1−3を単位充填層内の濃度分布を想定した模式図として、図2.N-cycle.工程1−3に示す。
(弁の切替えについて)
以上の一連の工程1−1〜1−3では、原液、第1溶離液、第2溶離液、第3溶離液の供給位置、A画分、B画分、C画分の抜き出し位置、遮断弁Rの開閉位置および循環工程における循環流体抜き出し弁の位置は、ある特定の位置関係に保って実行され、これら一連の工程1−1〜1−3が終了すると、その特定の位置関係を維持しつつ、各制御対象弁の位置を下流側に一つ移行し、次の一連の工程2−1〜2−3を実行する。この移行を順次行うことにより、周知の擬似移動層方式クロマト分離装置の運転操作と同等の機能を達成できる。
(表1の工程2以降について)
工程2−1〜2−3、工程3−1〜3−3、工程4−1〜4 −3では、上記の如く各弁の位置を一つずつ移行した状態にて、上記工程1−1〜1−3と同様の運転を実行する。工程1−1〜4−3までが実行されると、分離処理の1サイクルが終丁する。
次に、図1に示した各弁の開閉サイクルについて、別の運転の一例を表2に示し、各工程毎に、単位充填層内の濃度分布を想定した模式図を図3に示す。
表2には、弁の開閉制御状態を示し、表中の数字は各弁の番号を示し(たとえば、Fの項で1はF1の弁を示している)、その番号が記入されている弁が開弁されることを表している。空欄の場合には、閉弁の状態を示している。また、弁A、B、C、Rおよび循環流体抜き出し弁(A1〜A4およびZ0)の項では、全量抜き出しを行う弁の番号を示している。空欄の場合にはその弁での抜き出しは行わない。さらに、原液供給ポンプPF、第1溶離液供給ポンプPE1、第2溶離液供給ポンプPE2および第3溶離液供給ポンプPE3の項では、丸印は運転状態を示しており、空欄の場合には、停止状態を示す。なお、表2において工程1−1〜1−2から工程4−1〜4 −2までが、本クロマト装置1における分離処理の1サイクルを示している。
表2の工程1−1〜1−2についてみる。
(表2の工程1−1について)
工程1−1では、第1溶離液供給弁Ea3を開くと同時に原液供給弁F4を開き第1溶離液と原液を循環系7内に供給するとともに、A画分抜出弁A4を開き、そこからA画分の全量を披き出す。同時に第2溶離液供給弁Eb2を開き第2溶離液を循環系7内に供給するとともに、B画分抜出弁B2を開き、そこからB画分の全量を抜き出す。さらに同時に第3溶離液供給弁Ec1を開き、第2溶離液を循環系7内に供給するとともに、C画分抜出し弁C1を開き、そこからC画分の全量を抜き出す。したがって、この工程1−1は本発明で言う第1溶離液と原液を同時に供給するとともに循環系内に供給された液量と等しい量をA画分抜き出し位置より抜き出す第1工程、第2溶離液を供給するとともに全量をB画分抜き出し位置より抜き出す第2工程および第3溶離液を供給するとともに全量をC画分抜き出し位置より抜き出す第3工程を同時に行う工程に相当している。
この工程1−1を単位充填層内の濃度分布を想定した模式図として図3.N-cycle.工程1−1に示す。
(表2の工程1−2について)
工程1−2では、A画分(循環液)抜き出し弁A3を開き、そこから循環流体を循環系7から全量抜き出す。抜き出された循環流体を循環ポンプによって第1溶離液供給弁Ea4から再度、循環系7内に供給する。したがって、この工程1−2は本発明で言う一切の供給、抜き出し、遮断を行わずに循環系内の液を移勤させる工程(第4工程)に相当している。このとき原液はF0弁を通して原液タンクに戻している。
この工程1−2を単位充填層内の濃度分布を想定した模式図として、図2.N-cycle.工程1−2に示す。
(弁の切替えについて)
以上の一連の工程1−1〜1−2では、原液、第1溶離液、第2溶離液、第3溶離液の供給位置、A画分、B画分、C画分の抜き出し位置、遮断弁Rの開閉位置および循環工程における循環流体披き出し弁の位置は、ある特定の位置関係に保って実行され、これら一連の工程1−1〜1−2が終了すると、その特定の位置関係を維持しつつ、各制御対象弁の位置を下流側に一つ移行し、次の一連の工程2−1〜2−2を実行する。この工程2−1を単位充填層内の濃度分布を想定した模式図として、図2.N-cycle.工程2−1に示し、工程2−2を単位充填層内の濃度分布を想定した模式図として、図2.N-cycle.工程2−2に示した。
このように各制御対象弁の位置の移行を順次行うことにより、周知の擬似移動層方式クロマト分離装置の運転操作と同等の機能を達成できる。
(表2の工程2以降について)
工程2−1〜2−2、工程3−1〜3−2、工程4−1〜4 −2では、上記の如く各弁の位置を一つずつ移行した状態にて、上記工程1−1〜1−2と同様の運転を実行する。工程1−1〜4−2までが実行されると、分離処理の1サイクルが終丁する。
図1に示したクロマト分離装置1を用いて、グルクミン酸1g/L、フェニルアラニン1g/L、アルギニン1g/Lよりなる原液を、擬似移動層方式クロマト分離装置でpH4.3のクエン酸ソーダ緩衝液を第1溶離液として用い、pH6.5のクエン酸ソーダ緩衝液を第2溶離液として用い、1/100NのNaOH水溶液を第3溶離液に用いて分離した。図1に示した装置において、各単位充填層4は内径0.9cm、高さ1mの円筒型の充填層を4本用い、各充填層4内にナトリウム形の強酸性陽イオン交換樹脂“アンバーライト”CR −1 3 1 0 (ダウ ケミカル社製)を充填した。各単位充填塔4内は約40℃に保持した。この擬似移動層において表1の運転方法にしたがい、表3に示す各工程毎の時間とポンプ流量で運転したところ、表4に示すような結果が得られた。
表4から明らかなように、等電点の異なるアミノ酸を、pHが異なる3種類の少量の溶離液を用いて3つの画分に完全に分離することができた。本発明の擬似移動層方式のクロマト分離装置によれば、吸着剤量が少なく、少量の溶離液で、かつ高い分離性能を得ることができる。
本発明に係る擬似移動層方式クロマト分離方法および装置は、3成分以上の分離が求められるあらゆる原液に適用できる。一例として、天然物を原料とし、本発明に係る擬似移動層方式クロマト分離方法を用いて、ビタミン類、不飽和脂肪酸類、カロテノイド類に分類される有価な生産物に精製することができる。
1 クロマト分離装置
2 原液タンク
3 原液 (F または Feed)
4 単位充填層
5 吸着剤
6 配管
7 循環系
8 A画分抜き出しライン(循環抜き出しラインを兼用)
9 A画分合流管
10 C画分抜き出しライン
11 C画分合流管
13 循環戻り管
15 第1溶離液クンク
16 第1溶離液 ( Ea )
17 原液供給ライン
18 原液分岐供給ライン
19 原液戻りライン
20 第1溶離液供給ライン
21 第1溶離液分岐供給ライン
22 B画分抜き出しライン
23 B画分合流管
24 第2溶離液タンク
25 第2溶離液 ( Eb )
26 第2溶離液供給ライン
27 第2溶離液分岐供給ライン
28 第3溶離液タンク
29 第3溶離液 ( Ec )
30 第3溶離液供給ライン
31 第3溶離液分岐供給ライン
PE1 第1溶離液供給ポンプ
PE2 第2溶離液供給ポンプ
PE3 第3溶離液供給ポンプ
PF 原液供給ポンプ
A1、A2、A3、A4 A画分披き出し弁(循環流体抜き出し弁と兼用)
B1、B2、B3、B4 B画分披き出し弁
C1、C2、C3、C4 C画分披き出し弁
Ea1、Ea2、Ea3、Ea4 第1溶離液供給弁
Eb1、Eb2、Eb3、Eb4 第2溶離液供給弁
Ec1、Ec2、Ec3、Ec4 第3溶離液供給弁
F1、F2、F3、F4 原液供給弁
R1、R2、R3、R4 遮断弁
F0 原液戻り弁
A0 A画分切り換え弁
Z0 循環液切り換え弁

Claims (6)

  1. 3成分以上の成分を含む原液の特定の成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した複数の単位充填塔を直列に連結するとともに最下流部の単位充填塔と最上流部の単位充填塔を連結することにより無端状に形成された充填層に対して、3成分以上の成分を含む原液と2種類以上の溶離液とを充填層に通流させることにより、吸着剤に対する親和力の順に順次に分かれた吸着帯域を形成させた循環系に対し、
    脱着力が最も弱い第1溶離液と原液の少なくとも一方を循環系内に供給し、循環系内において原液中に含まれる移動速度の最も速い成分が富化された充填塔の1箇所から循環系内に供給された液量と等しい量を抜き出す第1工程と、
    脱着力が中間的な第2溶離液を、さらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の中間的な成分として第1溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第2工程と、
    脱着力が強い第3溶離液を、さらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の遅い成分を、第2溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第3工程と、
    一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させる第4工程を組み合わせることで分離を実施し、
    原液供給位置、第1溶離液の供給位置、第2溶離液の供給位置、第3溶離液の供給位置、各成分の抜き出し位置を、循環系内の吸着帯域が移動するのに合わせて、循環系の下流側に順次移動させる操作を行うことを特徴とする擬似移動層方式クロマト分離方法。
  2. 第1工程、第2工程および第3工程を同時に実施することを特徴とする請求項1に記載の擬似移動層方式クロマト分離方法。
  3. 3成分以上の成分を含む原液の特定の成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した複数の単位充填塔を直列に連結するとともに最下流部の単位充填塔と最上流部の単位充填塔を連結することにより無端状に形成された充填層に対して、3成分以上の成分を含む原液と2種類以上の溶離液とを充填層に通流させることにより、吸着剤に対する親和力の順に順次に分かれた吸着帯域を形成させた循環系に対し、
    脱着力が最も弱い第1溶離液と原液の少なくとも一方を循環系内に供給し、循環系内において原液中に含まれる移動速度の最も速い成分が富化された充填塔の1箇所から循環系内に供給された液量と等しい量を抜き出す第1工程と、
    脱着力が中間的な第2溶離液をさらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の中間的な成分として第1溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第2工程と、
    脱着力が強い第3溶離液をさらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の遅い成分を、第2溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第3工程と、
    一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させる第4工程を組み合わせることで分離を実施する分離手段と、
    原液供給位置、第1溶離液の供給位置、第2溶離液の供給位置、第3溶離液の供給位置、各成分の抜き出し位置を、循環系内の吸着帯域が移動するのに合わせて、循環系の下流側に順次移動させる操作を行う操作手段と、
    を有することを特徴とする擬似移動層方式クロマト分離装置。
  4. 第1工程、第2工程および第3工程を同時に実施する手段からなることを特徴とする請求項3に記載の擬似移動層方式クロマト分離装置。
  5. 4成分以上の成分を含む原液の特定の成分に対して選択的吸着能力を有する吸着剤を充填した複数の単位充填塔を直列に連結するとともに最下流部の単位充填塔と最上流部の単位充填塔を連結することにより無端状に形成された充填層に対して、4成分以上の成分を含む原液と3種類以上の溶離液とを充填層に通流させることにより、吸着剤に対する親和力の順に順次に分かれた吸着帯域を形成させた循環系に対し、
    脱着力が最も弱い第1溶離液と原液の少なくとも一方を循環系内に供給し、循環系内において原液中に含まれる移動速度の最も速い成分が富化された充填塔の1箇所から循環系内に供給された液量と等しい量を抜き出す第1工程と、
    脱着力が中間的な第2溶離液を、さらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の中間的な成分として第1溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第2工程と、
    脱着力が強い第3溶離液を、さらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の遅い成分を、第2溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第3工程と、
    脱着力が最も強い第4溶離液を、さらに上流部から供給し、原液中に含まれる移動速度の最も遅い成分を、第3溶離液の供給位置より上流部において単位充填塔から流出する全量を抜き出す第4工程と、
    一切の原液、溶離液の供給、分離された成分の抜き出しを行わずに循環系内の液を循環させる第5工程を組み合わせることで分離を実施し、
    原液供給位置、第1溶離液の供給位置、第2溶離液の供給位置、第3溶離液の供給位置、第4溶離液の供給位置、各成分の抜き出し位置を、循環系内の吸着帯域が移動するのに合わせて、循環系の下流側に順次移動させる操作を行うことを特徴とする擬似移動層方式クロマト分離方法。
  6. 天然物を原料として、請求項1、請求項2あるいは請求項5の方法を用いて分離精製して得られることを特徴とする有価成分、特にビタミン類、不飽和脂肪酸類、カロテノイド類に分類される生産物の製造方法
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