JPH0724208A - 擬似移動層による分離法 - Google Patents

擬似移動層による分離法

Info

Publication number
JPH0724208A
JPH0724208A JP17173693A JP17173693A JPH0724208A JP H0724208 A JPH0724208 A JP H0724208A JP 17173693 A JP17173693 A JP 17173693A JP 17173693 A JP17173693 A JP 17173693A JP H0724208 A JPH0724208 A JP H0724208A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substance
stock solution
eluent
column
moving bed
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17173693A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiromi Henmi
ひろみ 逸見
Fumihiko Matsuda
文彦 松田
Kohei Sato
康平 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Organo Corp
Original Assignee
Organo Corp
Japan Organo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Organo Corp, Japan Organo Co Ltd filed Critical Organo Corp
Priority to JP17173693A priority Critical patent/JPH0724208A/ja
Publication of JPH0724208A publication Critical patent/JPH0724208A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 原液中に含まれる2以上の分離対象物質中の
特定物質とその他の物質を分離するにあたり、特定物質
を高純度,高回収率で分離することができるクロマト分
離法を提供する 【構成】 流体の循環系を、分離対象物質に対して吸着
力に差をもつ吸着材が充填されたカラムの複数で構成し
た擬似移動層装置を用いて、水−エタノールを溶離液と
して第1の物質が富豊化されているカラムにその上流か
ら供給しながら下流より該第1の物質を抜出す第1の操
作、及び第2の物質が富豊化されているカラムにその上
流から原液を供給しながら下流より該第2の物質を抜出
す第2の操作を同時に行ない、かつ所定時間毎に原液,
溶離液の供給位置及び第1,第2の物質の抜出し位置を
循環系の下流側に切換えるようにした擬似移動層による
分離法において、上記原液中の物質の吸着材に対する分
配係数を、循環系内において常に実質的均一な状態に維
持させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2以上の物質を含む原
液中から、吸着材を用いて特定の物質を分離する擬似移
動層によるクロマト分離法に関するものであり、例え
ば、アミノ酸・糖類・核酸・抗生物質・ビタミン等の各
種生理活性物質や、食品の分離、精製に用いることがで
きるクロマト分離法に関する。
【0002】
【従来の技術】固体吸着材を用い、この吸着材に対する
吸着特性の差を利用してクロマトグラフィーの手法によ
り複数成分を分離する方法(以下「クロマト分離法」と
いう)は、従来から工業的に広く利用されていて、この
うち、多数の単位充填層を直列循環式に連結して連続的
に分離を行う所謂擬似移動層方式は、生産性の高い有利
な装置,方法として知られている。
【0003】図1はこの様な擬似移動層方式の操作に用
いられる分離装置の構成概要を説明的に示した図であ
り、以下、分離対象物質であるA成分とB成分を含む原
液中からこれらのA,B成分を分離する場合を代表的な
例として説明する。
【0004】図1の装置は、C1 〜C8 からなる8塔の
カラム群を直列に連結し、かつ最後段のカラムC8 と最
前段のカラムC1 とを配管(流体通路)で連結すること
で、全体として無端連結のカラム群からなる擬似移動層
装置として形成されたものであり、これらのカラムに
は、原液中のB成分よりA成分の方が強く吸着する吸着
材が充填されている。
【0005】この装置を用いて行なわれる擬似移動層の
操作は次ぎのように行なわれる。すなわち、定常的な運
転途中のある時点においては、原液を原液供給管40か
ら第1の位置である弁44を介してカラムC5 に供給
し、かつ溶離液を溶離液供給管30から第3の位置であ
る弁38を介してカラムC1 に供給しながら、同時にB
成分をカラムC6 から第2の位置である弁26を介して
抜出管20で抜き出し、かつA成分をカラムC2 から第
4の位置である弁12を介して抜出管10で抜き出す操
作を所定時間行なう。その後、原液,溶離液の供給位置
(第1及び第3の位置)と、A,B成分の抜き出し位置
(第2及び第4の位置)を所定時間ごとに下流側のカラ
ムに順次間欠的に切換える操作を行ない、再び上記の液
の供給,抜出しの操作を行なう。そしてこれらの液の供
給,抜出しと位置の切換えの操作を1サイクルとして繰
り返し運転することにより、A,B成分をカラムから連
続的に分離して取出す。
【0006】図2はこの擬似移動層の操作における定常
状態のある時点(すなわち上記図1で説明した時点)に
おいてA,B成分が富豊化されている吸着帯の形成状態
を模式的に示したものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】擬似移動層による分離
法は、上記のように装置を運転することで特定の成分、
例えば上記A成分を常に高純度,高濃度に回収する操作
を長時間連続して行なうことができる方法であり、多く
の工業的例において効率的かつ効果的に運転されてい
る。
【0008】しかしながら、予想した高純度,高回収率
で目的物質を連続的に得ることができない現象の現われ
る例外的な系が認められた。そしてこの系からの回収液
を時系列的な画分でみると純度,濃度の変動の履歴が予
想とは大きく異なって示された。またこの現象は、原液
の溶媒組成と異なる組成の溶離液や複数成分で構成した
溶離液を用いた場合に特徴的に現われることも分かっ
た。
【0009】そこで本発明者は、上記の現象が現われる
原因につき鋭意検討を進めたところ以下のことを見出し
た。
【0010】すなわち、一般に擬似移動層装置を用いて
行なわれる分離法においての特定成分の分離程度は、種
々の要因に影響されることが知られており、工業的な実
施においては、目的物質の高純度,高回収率を実現する
ために吸着材と溶離液の組み合わせや操作条件について
最適な分離条件が選択されるように、装置設計、操作条
件設定がされている。そして原液の溶媒組成と異なる組
成の溶離液や複数成分で構成された溶離液が、上記の最
適条件を満足する吸着材との組み合わせとして選択され
る場合もある。
【0011】ところで、擬似移動層装置の運転条件設定
は、一般に固定層方式のクロマト分離試験の結果を参考
にして行なわれるのが普通であるが、しかしこの固定層
方式は、擬似移動層方式と比べて原液負荷量に対する溶
離液の使用量が大きく、また操作が一過性であるという
大きな違いが一般にある。そしてこの違いが次ぎのよう
な問題をもたらす。すなわち、固定層方式の操作原理で
は、溶離液の大量且つ一過性の使用の結果、溶離液中に
含まれている分離に関与する成分の含有率が変化して
も、その変化が分離対象物質の吸着材への吸着性変化と
しては現われにくい傾向がある。これに対し、擬似移動
層方式の操作原理では、分離関与成分の含有率変化によ
って生ずる該物質の吸着材への吸着性変化が、回収液に
含まれる該物質の純度や濃度に大きく影響する。このた
め、固定層方式の試験結果に基づいて設定された運転条
件では、その結果に殆ど現われていない要因(上記成分
含有率の変化)が潜在している可能性があり、上記の如
く該要因による影響を受け易い擬似移動層方式において
は、これが、複数成分からなる溶離液等を使用した場合
においての回収液中の分離対象物質の純度,濃度の予想
外の変動履歴を招いてしまう原因の一つになっていると
推測されたのである。
【0012】本発明者は上記問題の研究により、原液中
の分離しようとする特定物質やその他の物質の吸着材に
対する吸着特性は、溶離液の組成変化や濃度変化に影響
されて変化し、しかもこの変化度合は分離対象物質と吸
着材の関係で決まるため、該物質が異なれば必ずしも一
律的傾向を示すものではないことに原因していることを
見出した。すなわち、原液や溶離液の供給によって循環
系内を流れる液の組成(吸着特性に影響する成分の組
成)が不均一になると、分離回収しようとする特定物質
やその他の物質の吸着材に対する吸着性がこの循環系内
において部分的に大幅に異なってしまうとか、極端な場
合には二つの分離対象物質についての吸着性の強さが逆
転する場合もあり、それらに原因して、良好な分離結果
の得られない結果になってしまうのである。
【0013】このような問題が従来顕在化しなかったの
は、擬似移動層によるクロマト分離で使用する溶離液に
は水が用いられていて、これが分離対象物質を含有する
水溶液に対して用いられたときに、吸着特性に関与する
成分の濃度変化という問題が実質的に現われることがな
かったため、つまり充填層内を流通する全体の溶媒(原
液の溶媒と溶離液)の組成が系内において不均一となら
ない系であったためと考えられる。
【0014】以上の問題をより具体的に言えば、溶離液
として例えば水−エタノール溶液(後記する実施例1で
言えば90%エタノール)を用い、原液がエタノールを
含んでいない分離系を考えると、エタノールを含まない
原液の供給に伴って、循環系内におけるエタノール濃度
が原液供給部分において大きく低下する(同実施例では
濃度84%)。そしてこのエタノール濃度の数%程度の
変動(低下)によって吸着性の指標である分配係数K
(固定相における濃度Csと移動相における濃度Cmと
の比:Cs/Cm)が半減(同例では濃度5%低下で約
半減)するような分離対象物質と吸着材の関係であれ
ば、適当な分離結果が得られなくなってしまうのであ
る。
【0015】本発明は以上のような知見に基づいて、原
液中に含まれる2以上の物質中の特定物質とその他の物
質を分離するにあたり、特定物質を高純度,高回収率で
分離することができるクロマト分離法を提供することを
目的としてなされたものである。
【0016】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は、上
記目的を達成するために上記特許請求の範囲の各請求項
に記載した本発明を完成したものである。
【0017】本発明のクロマト分離法の特徴の一つは、
原液中に含まれる2以上の物質に対する吸着能力に差の
ある吸着材が充填されているカラムの複数を、各カラム
の後端を流体通路を介してこれに続くカラムの前端に順
次結合することで全体として流体の循環系を構成させた
擬似移動層装置を用いて、原液の溶媒と異なる組成の複
数成分で構成されている溶離液を第1の物質が富豊化さ
れているカラムにその上流から供給しながら下流より該
第1の物質を抜出す第1の操作、及び第2の物質が富豊
化されているカラムにその上流から原液を供給しながら
下流より該第2の物質を抜出す第2の操作を、少なくと
もこれらを同時操作として行なう工程と、所定時間毎
に、原液,溶離液の供給位置及び第1,第2の物質を抜
出す位置を循環系の下流側に切換える工程とを有する原
液中の物質の擬似移動層による分離法において、上記原
液中の物質の吸着材に対する分配係数を、流体の循環系
内において常に実質的均一な状態に維持させるようにし
たところにある。
【0018】上記原液の溶媒組成が溶離液と異なるとい
うことは、調整液で調整する前の原液の溶媒組成につい
ていうものである。
【0019】本発明方法を物質A,Bを含む原液に対し
て使用する代表的一例として、例えば8塔のカラムで形
成された循環系に対して、原液を第5番目カラムの前端
である第1位置に供給すると共に、第1番目カラムの前
端である第3位置に複数成分で構成された溶離液を供給
し、また第6番目カラムの後端である第2位置から(吸
着力の弱い)物質Bを抜出すと共に、第2番目カラムの
後端である第4位置から(吸着力の強い)物質Aを抜出
し、以上の第1位置〜第4位置での操作を所定時間行な
いながら、所定時間毎にこれらの第1〜第4位置での操
作(供給,抜出しの操作)を循環系の下流方向に間欠的
に切換える操作を行なう擬似移動層の分離法において、
原液中成分の吸着材に対する分配係数を、循環系内に流
れる流体について実質的に均一に維持して系内において
の部分的な組成変化がないようにしたものを挙げること
ができる。
【0020】本発明方法は、擬似移動層方式のクロマト
分離法として知られる種々のタイプのものに適用でき、
例えば4ゾーン方式、3ゾーン方式、あるいは上記第1
の操作及び第2の操作を同時操作として行なう工程とは
別にこれらの少なくともいずれか一方を独立して行なう
工程を順次に行なう方式等、特に制限されることなく適
用して行なうことができる。
【0021】分配係数に関係するものとしては例えばイ
オン強度に関係するNaCl濃度、あるいはアルコール
濃度などを代表的に挙げることができる。
【0022】本発明方法における分配係数の実質的な均
一維持は、分配係数に関与する成分の濃度を、循環系内
において部分的に濃薄の差が生じないようにすることで
達成することができる。実質的に均一とは、厳密に常に
同一濃度であることを意味するものではなく、分配係数
の変動によって回収しようとする物質の濃度,回収率へ
の影響が可及的に小さくなるようにすればよい。原液中
の物質の吸着材に対する分配係数を実質的に均一に維持
させる具体的な方法としては、例えば、原液中の成分の
吸着材に対する分配係数に関与する物質として該原液及
び溶離液に含まれている成分の組成を、これら原液及び
溶離液において一致させる方法を挙げることができ、よ
り具体的には、原液と溶離液の該成分を一致させる調整
剤を、予め原液タンク等において添加する方法、あるい
は、カラムに原液を供給する際に該調整剤を同時に供給
する方法等を挙げることができる。
【0023】本発明によれば、原液の溶媒組成と溶離液
の組成が異なっている場合にも、高純度にかつ高回収率
で目的物質を分離する最適条件を、連続した装置の運転
中において常に維持できる。
【0024】
【実施例】本発明を以下に示す実施例に基づいて更に詳
細に説明する。
【0025】本発明方法の実施態様の一例を、既に述べ
た図1に基づいて更に説明すると、図1において擬似移
動層は8本の単位カラムに分けられており、各単位カラ
ムには、原液中に含まれるA成分,B成分を含む2以上
の物質のうちで特定の物質(吸着材に対しての吸着性が
強い物質)Aの方が、物質Bよりも吸着力が強い充填材
が充填されている。
【0026】各単位カラムC1 ないしC8 は、これら各
カラムの後端と次ぎのカラムの前端を連通接続する流体
通路により無端の循環系をなすように連結されていて、
各流体連通路には、液抜出し系として、弁11ないし1
8を介してA成分区分液抜き出し管10が接続されると
共に、弁21ないし28を介してB成分区分液抜き出し
管20が接続され、また供給系として、弁41ないし4
8を介して原液導入管40が接続されると共に、弁31
ないし38を介して溶離液流入管30が接続されてい
る。なお51ないし58はそれぞれ循環ポンプを示す。
【0027】以上のような装置における擬似移動層方式
のクロマト分離操作は、いま、原液が弁44を通じてカ
ラムC5 に供給されている時点とすると、溶離液は弁3
8を通じてカラムC1 に供給され、A成分区分液は弁1
2を通じてカラムC2 から抜き出され、B成分区分液は
弁26を通じてカラムC6 から抜き出される。なおこの
操作時においては、カラムC8 およびC7 において吸着
力が弱い物質の回収帯域(以下、ゾーンIと言う)が形
成され、同様に、カラムC6 およびC5 において吸着力
が強い物質の吸着帯域(以下、ゾーンIIと言う)、カラ
ムC4 およびC3 において吸着力が強い物質の濃縮帯域
(以下、ゾーンIII と言う)、カラムC2 およびC1
おいて吸着力が強い物質の脱着帯域(以下、ゾーンIVと
言う)が形成されている。
【0028】各ゾーンにおいてはA,B2成分の濃度分
布が形成されており、この濃度分布はその形状を保持し
つつ下流方向に移動する。そしてこの移動に追随するよ
うに、カラムヘの原液の供給,溶離液の供給、A成分区
分液の抜き出しおよびB成分区分液の抜き出しが、弁の
切換えによって順次下流側に切換えられる。
【0029】各液の流入または抜き出しを継続する時間
は、単位カラムの大きさ、充填材の種類、層内を流下す
る液の流速等により異なる。この切換えにより、上述の
4つのゾーンは逐次その充填層に占める位置を流れの方
向に移動し循環する。
【0030】擬似移動層方式では、液の循環流速は各ゾ
ーン毎に異なるが、層内への液の供給は溶離液と原液で
あり、この溶離液と原液の溶媒組成が異なる場合には当
然層内の流体の溶媒組成は、原液が供給されることおよ
びA,B各成分区分の抜き出しとにより各ゾーン毎に変
化し、さらに、弁の切換えにより各ゾーンが逐次上流側
へ切り換えられるのでゾーン切換え直後のカラムは特に
溶離液組成変化が大きく影響し、充填層内における分離
対象成分の移動が円滑に行われない。擬似移動層方式の
原液は連続的に供給されており、この各ゾーン毎の溶離
液組成の違いは一過性ではなく常に存在する。
【0031】以上の図1の装置を用いて以下の実施試験
を行なった。なお本発明は以下の実施例に限定されるも
のではない。
【0032】実施例1 ラムノース35.0%、リボース10%、リキソース1
5%、アラビノ一スl0%、キシロース30%よりなる
全糖濃度10%の原料液を図1で説明したフローに準じ
て擬似移動層式のクロマト分離装置により、溶離液に9
0%エタノール溶液を用いてラムノースを分離した。こ
の時、原液の溶媒は溶離液と同じく予め90%エタノー
ルに調整した。この実施例においては溶離液中のエタノ
ールが各物質の吸着材に対する吸着性に直接関与するも
のである。
【0033】なお単位カラムC1 〜C8 は内径l08m
m、高さ1.8mの円筒であり、円筒内には硫酸イオン
形の強塩基性陰イオン交換樹脂アンバーライトCG−4
00(商標:ロームアンドハース社製)が合計132L
(リットル)充填されている。各単位カラム内は75℃
に保持した。この擬似移動層において原料液および溶離
液の供給量をそれぞれ6.6L/h、165L/h、ラ
ムノース区分液およびキシロース区分液の抜き出し量を
それぞれ33.0L/h、138.6L/h、で行なっ
た。また、原料液および溶離液供給口ならびにラムノー
ス区分液およびキシロース区分液抜き出し口の移動は3
8.0分毎として運転した。
【0034】定常状態において抜き出されたラムノース
区分液とキシロース区分液中の糖組成を表1に示す。な
おラムノース区分液中のラムノースの回収率は95.0
%であった。
【0035】
【表1】
【0036】比較例1 実施例と同一組成、同一糖濃度の原料液を、溶媒成分の
調整無し(溶媒は水のみ)に同一分離条件で実施例1と
同様にしてラムノースの分離を行った。
【0037】 原料液供給量 6.6L/h 溶離液供給量 165.0L/h ラムノース区分液抜出量 33.0L/h キシロース区分液抜出量 138.6L/h 供給口および抜き出し口の移動時間 39.0分 定常状態において抜き出されたラムノース区分液とキシ
ロース区分液中の糖組成を表2に示す。なおラムノース
区分液中のラムノースの回収率は88.7%であった。
【0038】
【表2】
【0039】実施例2 不純物質76.1%,アデノシン(以下Adと記載す
る。)3.4%,アデノシン二リン酸(以下ADPと記
載する。)7.4%,アデノシン三リン酸(以下ATP
と記載する。)13.l%よりなる全固形分濃度16
7.0g/Lの原料液を、図1で説明したフローにおい
て、ゾーンlのカラムl本、ゾーンIIは2本、ゾーンII
I は3本、ゾーンIVは2本とした擬似移動層式クロマト
分離装置でATPの分離を実施した。
【0040】図中の単位カラムC1 〜C8 は内径108
mm、高さ1.5mの円筒であり、円筒内には弱塩基性
陰イオン交換樹脂FX−4611(オルガノ製)が合計
110L充填されている。各単位カラム内は25℃に保
持した。溶離液には0.2M酢酸緩衝液(pH5.5)
に0.15MとなるようにNaClを溶解して用いた。
なお原液には予めNaClを溶解することによりNaC
l濃度が0.15Mになるように調整したが、本実施例
においては溶離液中のNaClが各分離対象物質の吸着
材に対する吸着性に直接影響を与えるものである。この
擬似移動層において原料液を5.5L/h、ATP区分
液の抜き出し量を10.725L/h、溶離液の供給量
は29.7L/h、不純物区分液の抜き出し量を24.
475L/h、原料液および溶離液の供給口ならびにA
TP区分液及び不純物区分液の抜き出し口の移動時間を
21.954分として運転した。
【0041】定常状態において抜き出されたATP区分
液と不純物区分液中の成分組成を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】なおATP区分液中のATPの回収率は8
0.2%であった。
【0044】比較例2 実施例2と同一組成、同一濃度の原料液を、原液溶媒の
組成調整無しに下記の条件で実施例1と同様にATPの
分離を行った。
【0045】 原料液供給量 5.5 L/h 溶離液供給量 27.5 L/h ATP区分液抜出量 10.725 L/h 不純物区分液抜出量 22.275 L/h 供給口および抜き出し口の移動時間 21.954 分 定常状態において抜き出されたATP区分液と不純物区
分液中の成分組成を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】なお、ATP区分液中のATPの回収率は
71.1%であった。また、層内のNaCl濃度はAT
P区分液では0.147M,不純物区分液では0.l3
Mとなり、層内のNaCl濃度は原液溶媒を調整しなか
ったために変化し、分離に影響を与えていることが分か
る。
【0048】以上のように本発明に基づき実施した結
果、実施例1では層内におけるエタノール濃度が調整さ
れ、充填槽内の流体の溶媒組成が均一となることにより
比較例1に比べて良好な分離が行われ、連続的に高純度
のラムノースが高回収率で得ることができた。
【0049】また、実施例2においては層内のNaCl
濃度が調整されたことによって充填槽内のNaCl濃度
が均一となり、比較例に比べて良好な分離が行われ連続
的に高純度のATPを得ることができた。
【0050】
【効果】本発明によれば、擬似移動層クロマト分離装置
において原液の溶媒と溶離液の分離に直接関与する成分
の組成が異なる場合に、原液の溶媒組成を調整すること
により、充填層内の溶離液組成が実質的に均一となり吸
着材に対する吸着性が層内で変化すること無く良好な分
離を達成することが出来るという効果がある。
【0051】また、本発明によれば、従来は固定層方式
でしか実現できなかった単一でない組成の溶離液を用い
たクロマト分離を、擬似移動層方式においても安定して
行なうことができるという効果が得られ、しかも純度,
濃度,回収率をいずれも高くして目的物質を分離回収で
きるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に用いた擬似移動層のフローを示
す図面である。
【図2】図2は擬似移動層に於ける定常状態のある時点
の各成分の吸着帯の形成状態を示す図面である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原液中に含まれる2以上の物質に対する
    吸着能力に差のある吸着材が充填されているカラムの複
    数を、各カラムの後端を流体通路を介してこれに続くカ
    ラムの前端に順次結合することで全体として流体の循環
    系を構成させた擬似移動層装置を用いて、原液の溶媒と
    異なる組成の複数成分で構成されている溶離液を第1の
    物質が富豊化されているカラムにその上流から供給しな
    がら下流より該第1の物質を抜出す第1の操作、及び第
    2の物質が富豊化されているカラムにその上流から原液
    を供給しながら下流より該第2の物質を抜出す第2の操
    作、を少なくともこれらを同時操作として行なう工程
    と、所定時間毎に原液,溶離液の供給位置及び第1,第
    2の物質の抜出し位置を循環系の下流側に切換える工程
    と、を有する原液中に含まれる物質の擬似移動層による
    分離法において、 上記原液中の物質の吸着材に対する分配係数を、循環系
    内において常に実質的均一な状態に維持させることを特
    徴とする擬似移動層による分離法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、第1の操作及び第2
    の操作を同時操作として行なう工程と、これら第1の操
    作及び第2の操作の少なくともいずれかを独立して行な
    う工程とを有することを特徴とする擬似移動層による分
    離法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、原液中の物質
    の吸着材に対する分配係数に関与する成分として上記原
    液及び溶離液に含まれている成分の組成を、これらの原
    液及び溶離液において実質的に一致させることを特徴と
    する擬似移動層による分離法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、原液中の物質の吸着
    材に対する分配係数に関与する成分の組成を原液及び溶
    離液において実質的に一致させる方法が、原液中の該成
    分の組成を溶離液に一致させる調整剤を、該原液に予め
    添加するか、又はカラムに原液を供給する際に同時に供
    給することを特徴とする擬似移動層による分離法。
JP17173693A 1993-07-12 1993-07-12 擬似移動層による分離法 Pending JPH0724208A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17173693A JPH0724208A (ja) 1993-07-12 1993-07-12 擬似移動層による分離法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17173693A JPH0724208A (ja) 1993-07-12 1993-07-12 擬似移動層による分離法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0724208A true JPH0724208A (ja) 1995-01-27

Family

ID=15928733

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17173693A Pending JPH0724208A (ja) 1993-07-12 1993-07-12 擬似移動層による分離法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0724208A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013213777A (ja) * 2012-04-03 2013-10-17 Yamazen Corp インジェクター及び液体クロマトグラフィの条件決定支援装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013213777A (ja) * 2012-04-03 2013-10-17 Yamazen Corp インジェクター及び液体クロマトグラフィの条件決定支援装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0342629B1 (en) Method of chromatographic separation
JP5330499B2 (ja) グラジエント溶出マルチカラム分離法
US4970002A (en) Method of chromatographic separation
JP4627841B2 (ja) プシコースの分離方法
JP3870367B2 (ja) 調製クロマトグラフィ装置およびそれを用いた分離・精製方法
EP0577079B1 (en) Simulated moving bed separation system
JP2962594B2 (ja) 複数成分の分離方法
JP2007064944A (ja) クロマト分離方法
US6551512B1 (en) Continuous method for separating substances according to molecular size
JP6013639B1 (ja) 多成分を3以上の画分に分離するクロマト分離方法および装置
CN106669228B (zh) 分离多组份混合物的模拟移动床色谱分离装置
JP2006504942A (ja) 濃縮ステップを含むクロマトグラフィ用の方法および装置
JP4945364B2 (ja) 糖アルコールの分離方法
US6331250B1 (en) Method and equipment for chromatographic separation
JP3277575B2 (ja) クロマト分離法
JP6546808B2 (ja) クロマト分離方法及びクロマト分離システム
JPH0724208A (ja) 擬似移動層による分離法
JPH11183459A (ja) クロマト分離方法及びクロマト分離装置
JP2965747B2 (ja) 多成分系の分離方法および装置
JP3256349B2 (ja) 擬似移動層による分離方法及び装置
JPH04227804A (ja) 多成分系の分離方法および装置
JP4606092B2 (ja) 擬似移動層方式クロマト分離方法および装置
JPH07106282B2 (ja) 多成分混合物の分離精製方法及び装置
JP5060400B2 (ja) クロマト分離装置
JP3089146B2 (ja) 澱粉糖の製造方法