本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
ノズルからインクを吐出するヘッドと、
該ヘッドのノズル面をワイピングする布製の布ワイパーと、
該布ワイパーを前記ノズル面へ押し付けるための押し付け部材と、を有する印刷装置であって、
前記押し付け部材は、前記布ワイパーからインクを吸収する吸収材を有することを特徴とする印刷装置。
かかる印刷装置によれば、布ワイパーによるノズル面のワイピングを適切に行うことが可能となる。
また、前記押し付け部材は、前記吸収材として、
前記布ワイパーに接触して該布ワイパーからインクを吸収する第一吸収材と、前記第一吸収材からインクを吸収する第二吸収材と、を有することとしてもよい。
かかる場合には、押し付け部材の交換時期を遅らせたり、印刷装置の寿命を延ばしたりすることが可能となる。
また、前記第二吸収材は、前記押し付け部材に対し着脱可能に設けられていることとしてもよい。
かかる場合には、押し付け部材の交換時期をより一層遅らせたり、印刷装置の寿命をより一層延ばしたりすることが可能となる。
また、前記押し付け部材は、長手方向が前記布ワイパーの幅方向に沿った状態で前記布ワイパーに接触している円筒状部材であり、
前記第一吸収材は、前記押し付け部材の外縁部に備えられ、前記第二吸収材は、前記押し付け部材の内層部に備えられていることとしてもよい。
かかる場合には、押し付け部材の位置を変えることなく、第二吸収材の着脱作業を行うことが可能となる。
また、前記押し付け部材は、回転可能であり、かつ、該押し付け部材の径方向における前記第一吸収材と前記第二吸収材の間に、中空の回転軸を有し、
該回転軸の中空部分に前記第二吸収材が収容されていることとしてもよい。
かかる場合には、簡易な方法で、押し付け部材の位置を変えることなく第二吸収材の着脱作業を行える効果を生じさせる構成を実現することが可能となる。
また、前記回転軸は、前記第一吸収材から前記第二吸収材へインクを通過させるための通過穴を備えることとしてもよい。
かかる場合には、第一吸収材から第二吸収材へインクをスムーズに移動させることができる。
===画像記録装置1の構成例について===
印刷装置の一例としての画像記録装置1(本実施の形態においては、インクジェット式プリンター、特に、ラテラルスキャン型のラベル印刷機)の構成例について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、画像記録装置1の概略断面図である。図2は、画像記録装置1のブロック図である。
なお、以下の説明において、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図1において紙面に直交する方向を示すものとする。
また、本実施の形態においては、画像記録装置1が画像を記録する媒体の一例として、ロール状に巻かれた用紙(以下、ロール紙(連続紙)という)を用いて説明する。
本実施の形態に係る画像記録装置1は、図1及び図2に示すように、搬送ユニット20、及び、該搬送ユニット20がロール紙2を搬送する搬送経路(図1において、当該搬送経路は、ロール紙巻軸18からロール紙巻き取り駆動軸92までの間の、ロール紙2が位置する部分により表されている)に沿って、給送ユニット10、プラテン29、巻き取りユニット90、を有し、さらに、搬送経路上の画像記録領域Rにおいて複数種類のインクを吐出して画像記録を行うヘッドユニット30と、インク補給ユニット35と、キャリッジユニット40と、クリーニングユニット43と、ヒーターユニット70と、プラテン29上のロール紙2に風を送る送風ユニット80と、これらのユニット等を制御し画像記録装置1としての動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している。
給送ユニット10は、ロール紙2を搬送ユニット20に給送するものである。この給送ユニット10は、ロール紙2が巻かれ回転可能に支持されるロール紙巻軸18と、ロール紙巻軸18から繰り出されたロール紙2を巻き掛けて搬送ユニット20に導くための中継ローラー19と、を有している。
搬送ユニット20は、給送ユニット10により送られたロール紙2を、予め設定された搬送経路に沿って搬送するものである。この搬送ユニット20は、図1に示すように、中継ローラー19に対して水平右方に位置する中継ローラー21と、中継ローラー21から見て右斜め下方に位置する中継ローラー22と、中継ローラー22から見て右斜め上方(プラテン29から見て搬送方向上流側)に位置する第一搬送ローラー23と、中継ローラー22と第一搬送ローラー23との間に位置するステアリングユニット(舵取りユニット)20aと、第一搬送ローラー23から見て右方(プラテン29から見て搬送方向下流側)に位置する第二搬送ローラー24と、第二搬送ローラー24から見て鉛直下方に位置する反転ローラー25と、反転ローラー25から見て右方に位置する中継ローラー26と、中継ローラー26から見て上方に位置する送り出しローラー27と、を有している。
中継ローラー21は、中継ローラー19から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて下方に向かって弛ませるローラーである。
中継ローラー22は、中継ローラー21から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
第一搬送ローラー23は、不図示のモーターにより駆動される第一駆動ローラー23aと、該第一駆動ローラー23aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第一従動ローラー23bとを有している。この第一搬送ローラー23は、下方に弛ませたロール紙2を上方に引き上げ、プラテン29に対向する画像記録領域Rへ搬送するローラーである。第一搬送ローラー23は、画像記録領域R上のロール紙2の部位に対して画像印刷がなされている期間、一時的に搬送を停止させるようになっている。なお、コントローラー60の駆動制御により、第一駆動ローラー23aの回転駆動に伴って第一従動ローラー23bが回転することによって、プラテン29上に位置させるロール紙2の搬送量が調整される。
搬送ユニット20は、上述したとおり、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間に巻き掛けたロール紙2の部位を下方に弛ませて搬送する機構を有している。このロール紙2の弛みは、コントローラー60により、不図示の弛み検出用センサーからの検出信号に基づき監視される。具体的には、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間において弛ませたロール紙2の部位を、弛み検出用センサーが検出した場合には、該部位に適切な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20はロール紙2を弛ませた状態で搬送することが可能となる。一方、弛み検出用センサーが弛ませたロール紙2の部位を検出しない場合は、該部位に過剰な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20によるロール紙2の搬送が一時的に停止され、張力が適切な大きさに調整される。
ステアリングユニット20aは、図1に示すように、傾斜した状態で搬送経路上に位置し、回動することによりロール紙2の幅方向位置(幅方向(図1に示す前後方向)においてロール紙2が位置する位置)を変化させるためのものである。すなわち、ロール紙2が搬送経路に沿って搬送される際、中継ローラー等の軸ずれや組み付け誤差等によりロール紙2に作用する張力が変動すること等に起因して、ロール紙2の幅方向位置が変位する場合がある。そして、当該ステアリングユニット20aは、ロール紙2の当該幅方向位置を調整するためのものである。
第二搬送ローラー24は、不図示のモーターにより駆動される第二駆動ローラー24aと、該第二駆動ローラー24aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第二従動ローラー24bとを有している。この第二搬送ローラー24は、ヘッドユニット30により画像が記録された後のロール紙2の部位を、プラテン29の支持面に沿って水平右方向に搬送した後に鉛直下方に搬送するローラーである。これにより、ロール紙2の搬送方向が転換されることになる。なお、コントローラー60の駆動制御により、第二駆動ローラー24aの回転駆動に伴って第二従動ローラー24bが回転することによって、プラテン29上に位置するロール紙2の部位に対して付与される所定の張力が調整される。
反転ローラー25は、第二搬送ローラー24から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
中継ローラー26は、反転ローラー25から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて上方に向かって搬送するローラーである。
送り出しローラー27は、中継ローラー26から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて巻き取りユニット90に送り出すようになっている。
このように、ロール紙2が各ローラーを順次経由して移動することにより、ロール紙2を搬送するための搬送経路が形成されることになる。なお、ロール紙2は、搬送ユニット20により、画像記録領域Rと対応した領域単位で間欠的にその搬送経路に沿って搬送される。
ヘッドユニット30は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位に画像を記録するためのものである。すなわち、ヘッドユニット30は、搬送ユニット20により搬送経路上の画像記録領域Rに(プラテン29上に)送り込まれたロール紙2の部位に、インク吐出ノズル(ノズルに相当)からインクを吐出して画像を形成する。本実施の形態において、このヘッドユニット30は、M個のヘッド31を有している。
各々のヘッド31は、その下面(すなわち、ノズル面32)に、列方向にインク吐出ノズルが並んだインク吐出ノズル列を有している。本実施の形態においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の色毎にそれぞれ複数のインク吐出ノズル♯1〜♯Nからなるインク吐出ノズル列を有している。各インク吐出ノズル列の各インク吐出ノズル♯1〜♯Nは、ロール紙2の搬送方向に交差する交差方向(つまり、当該交差方向が前述した列方向である)に直線状に配列されている。各インク吐出ノズル列は、当該搬送方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。
各インク吐出ノズル♯1〜♯Nには、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各インク吐出ノズル♯1〜♯Nから吐出される。
そして、かかるヘッド31が、前記交差方向(前記列方向)においてM個並べられ、このことにより、ヘッドユニット30が形成されている。そのため、ヘッドユニット30は、色毎にM×N個のインク吐出ノズルを有している。
インク補給ユニット35は、ヘッド31によるインクの吐出に起因してヘッドユニット30内のインクの量が減った際に、ヘッドユニット30にインクを補給するためのものである。
このインク補給ユニット35は、インクの色毎に設けられている。すなわち、イエロー色のインクを補給するためのイエローインク補給ユニット、マゼンタ色のインクを補給するためのマゼンタインク補給ユニット、シアン色のインクを補給するためのシアンインク補給ユニット、ブラック色のインクを補給するためのブラックインク補給ユニット等が設けられている。
インク補給ユニット35は、インクカートリッジ、インクの流路(通り道)となる多数のチューブ、当該チューブを開閉するための多数のバルブ等から構成されている。なお、当該インクカートリッジが設置されている場所を、図1における符号35で表している。
キャリッジユニット40は、ヘッドユニット30(ヘッド31)を移動させるためのものである。このキャリッジユニット40は、搬送方向(左右方向)に延びるキャリッジガイドレール41と(図1に二点鎖線で示す)、キャリッジガイドレール41に沿って搬送方向(左右方向)へ往復移動可能に支持されたキャリッジ42と、不図示のモーターとを有する。
キャリッジ42には、ヘッドユニット30(ヘッド31)が設けられている。そして、キャリッジ42は、不図示のモーターの駆動により、ヘッドユニット30(ヘッド31)と一体となって搬送方向(左右方向)へ移動するよう構成されている。
クリーニングユニット43は、ヘッド31をクリーニングするためのものである。クリーニングとしては、ヘッド31内のインクを吸引する吸引処理とヘッド31のノズル面32をワイピングする(拭く)ワイピング処理が、この順に行われ、クリーニングユニット43には、吸引処理とワイピング処理の双方を実現するための部材が備えられている。なお、クリーニングユニット43については、後に詳述する。
また、搬送方向(左右方向)におけるホームポジション(以下、HPと呼ぶ。図1参照)とプラテン29との間には、フラッシングユニット44が設けられており、ヘッド31(キャリッジ42)が搬送方向(左右方向)に移動してフラッシングユニット44に対向する位置に位置すると、ヘッド31は前記インク吐出ノズル列に属する各インク吐出ノズルからインクを吐出してフラッシングを行なうフラッシング動作を実行する。
プラテン29は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール紙2の部位を支持するとともに、該部位を加熱するものである。このプラテン29は、図1に示すように、搬送経路上の画像記録領域Rに対応させて設けられ、かつ、第一搬送ローラー23と第二搬送ローラー24との間の搬送経路に沿った領域に配置されている。そして、プラテン29は、ヒーターユニット70が発生させた熱の供給を受けることにより、ロール紙2の該部位を加熱することができる。
ヒーターユニット70は、ロール紙2を加熱するためのものであり、不図示のヒーターを有している。このヒーターは、ニクロム線を有しており、当該ニクロム線をプラテン29内部に、プラテン29の支持面から一定距離となるように配置させて構成されている。このため、ヒーターは、通電されることによってニクロム線自体が発熱し、プラテン29の支持面上に位置するロール紙2の部位に熱を伝導させることができる。このヒーターは、プラテン29の全域にニクロム線を内蔵させて構成されているため、プラテン29上のロール紙2の部位に対して熱を均一に伝導することができる。本実施の形態において、プラテン上のロール紙2の部位の温度が45℃となるように、該ロール紙2の部位を均一に加熱する。これにより、該ロール紙2の部位に着弾されたインクを乾燥させることができる。
送風ユニット80は、プラテン29上のロール紙2に風を送るためのものである。この送風ユニット80は、ファン81とファン81を回転させるモーター(不図示)とを備えている。ファン81は、回転することにより、プラテン29上のロール紙2に風を送り、ロール紙2に着弾されたインクを乾燥させるためのものである。このファン81は、図1に示すように、本体部に設けられた開閉可能なカバー(不図示)に複数設けられている。そして、この各々のファン81は、カバーが閉じた際に、プラテン29の上方に位置して、当該プラテン29の支持面(当該プラテン29上のロール紙2)と対向するようになっている。
巻き取りユニット90は、搬送ユニット20により送られたロール紙2(画像記録済みのロール紙)を巻き取るためのものである。この巻き取りユニット90は、送り出しローラー27から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め下方へ搬送するための中継ローラー91と、回転可能に支持され中継ローラー91から送られたロール紙2を巻き取るロール紙巻き取り駆動軸92と、を有している。
コントローラー60は、画像記録装置1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラー60は、図2に示すように、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有している。インターフェース部61は、外部装置であるホストコンピューター110と画像記録装置1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、画像記録装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路64により各ユニットを制御する。
検出器群50は、画像記録装置1内の状況を監視するものであり、例えば、前述の弛み検出用センサー、搬送ローラーに取り付けられてロール紙2の搬送などの制御に利用されるロータリー式エンコーダー、搬送されるロール紙2の有無を検出する用紙検出センサー、キャリッジ42(又はヘッド31)の搬送方向(左右方向)の位置を検出するためのリニア式エンコーダー、ロール紙2の幅方向における紙端(エッジ)位置を検出する紙端位置検出センサーなどがある。
===クリーニングユニット43について===
次に、クリーニングユニット43について、説明する。以下では、先ず、クリーニングユニット43の構成例について説明し、これに引き続いて、クリーニングユニット43の動作例について説明する。
<<<クリーニングユニット43の構成例について>>>
先ず、クリーニングユニット43の構成例について、図3乃至図6を用いて説明する。図3は、クリーニングユニット43を示した模式図である。図4は、布ワイパー212がノズル面32をワイピングする様子を示した模式図である。図5は、湿潤液供給ローラー240が布ワイパー212に接触しているときの湿潤ユニット230の様子を示した模式図である。図6は、湿潤液供給ローラー240が布ワイパー212から離間しているときの湿潤ユニット230の様子を示した模式図である。
クリーニングユニット43は、前述したとおり、ヘッド31をクリーニングするためのものである。このクリーニングユニット43は、図3に示すように、キャップ部材200と、ワイピングユニット210と、湿潤ユニット230と、を有している。
キャップ部材200は、図3に示すように、有底箱形状を備えており、鉛直方向(上下方向)に移動することが可能となっている(移動させる機構については、後述する)。キャップ部材200は、吸引処理が実行される際に、上方向へ移動して、ヘッド31のノズル面32に密着することにより該ノズル面32をキャップする。
キャップ部材200には、不図示の吸引ポンプが接続されている。そして、キャップ部材200がノズル面32に密着した状態でコントローラー60の制御により吸引ポンプが作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引され、目詰まりしたインク吐出ノズルが不吐出状態から回復するようになっている。
ワイピングユニット210は、図3に示すように、布ワイパー212と、布ワイパー巻軸214と、布ワイパー巻き取り駆動軸216と、押し付け部材218と、を有している。
布ワイパー212は、ヘッド31のノズル面32をワイピングする(拭く)ための布(例えば、不織布、織布等の繊維状の部材)製のシート状ワイパーである。本実施の形態においては、当該布ワイパー212は、ロール布であり、後述する湿潤ユニット230により湿潤された状態でノズル面32のワイピングを行う。
布ワイパー巻軸214は、布ワイパー212の繰り出しのために布ワイパー212が巻かれた軸であり、布ワイパー巻き取り駆動軸216は、布ワイパー212の巻き取りのために布ワイパー212が巻かれた軸である。コントローラー60の制御により布ワイパー巻き取り駆動軸216が駆動されると、布ワイパー212が、布ワイパー巻き取り駆動軸216により巻き取られ、かつ、布ワイパー巻軸214から繰り出される。そして、このことにより、布ワイパー212が左から右へ向かう方向(図3において、白矢印で示す方向)へ移動するようになっている。
押し付け部材218は、ワイピング処理が実行される際に、布ワイパー212をヘッド31のノズル面32へ押し付けるためのものである。当該押し付け部材218については、後に詳述する。
ワイピングユニット210は、鉛直方向に移動することが可能となっている(移動させる機構については、後述する)。換言すると、布ワイパー212、布ワイパー巻軸214、布ワイパー巻き取り駆動軸216、押し付け部材218は、一体的に鉛直方向に移動可能となっている。
そして、ワイピング処理が実行される際には、ワイピングユニット210は、鉛直方向における所定位置(布ワイパー212がノズル面32に接触可能な位置。以下、便宜上、ワイピング位置と呼ぶ)に位置し、かかる状態で、図4に示すように、ヘッド31が、キャリッジ42の移動に伴って水平方向(左右方向)に移動すると(白矢印参照。一方で、布ワイパー212の方は、前記布ワイパー巻き取り駆動軸216が駆動されず、静止している)、押し付け部材218により布ワイパー212がノズル面32に押し当てられた状態(布ワイパー212がノズル面32及び押し付け部材218により挟持された状態)で布ワイパー212がノズル面32に摺擦し、ノズル面32が布ワイパー212によりワイピングされることとなる。
一回のヘッド31の移動によるワイピングが行われた後には、次のワイピングの準備のために(次のワイピングで、布ワイパー212の新しい部位でノズル面32がワイピングされるように)、布ワイパー巻き取り駆動軸216が駆動されて布ワイパー212が移動することとなる(送られることとなる)。
以上のように、布ワイパー212は、ワイピング中の静止とワイピング後の移動(送り動作)とを繰り返す。つまり、布ワイパー212は、送り動作を間欠的に行う。
なお、図4に示すように、ヘッド31には、ノズル面32をヘッド本体34側へ押し付ける目的等のためにカバーヘッド33が備えられている。このカバーヘッド33は、水平方向(左右方向)におけるノズル面32の両端部を覆っているため、カバーヘッド33とノズル面32との境界部Bには段差が生じている。そして、布ワイパー212は、従来のゴムワイパーと比べて、拭きにくい当該境界部Bのワイピングに適している。
湿潤ユニット230は、布ワイパー212を湿潤液で湿らせるためのものである。この湿潤ユニット230は、図5及び図6に示すように、湿潤液供給部材の一例としての湿潤液供給ローラー240と、対向ローラー232と、湿潤ユニットケース234と、湿潤液補給部材242等を備えている。本実施の形態において、当該湿潤ユニット230は、クリーニングユニット43(または、画像記録装置本体)に対して着脱可能に設けられている。
湿潤液供給ローラー240は、布ワイパー212に接触して湿潤液を供給することにより布ワイパー212を湿らせるためのものである。この湿潤液供給ローラー240は、湿潤液が含浸された回転可能な従動ローラーであり、図5に示すように、長手方向が布ワイパー212の幅方向(すなわち、図5において、紙面と直交する前後方向)に沿った状態で布ワイパー212に接触している長尺な円筒状部材である。
前述したとおり、コントローラー60の制御により布ワイパー巻き取り駆動軸216が駆動されると、布ワイパー212が左から右へ向かう方向(図3において、白矢印で示す方向)へ移動するが、湿潤液供給ローラー240は、かかる布ワイパー212の移動に伴って布ワイパー212に接触した状態で図3において反時計まわりに回転する。そして、かかる布ワイパー212に接触した状態での回転により、湿潤液を布ワイパー212に転写するようになっている。また、湿潤液供給ローラー240は、湿潤液を含浸可能な素材からなり、本実施の形態においては、後述する湿潤液補給部材242よりも硬度の高いスポンジである。
なお、本実施の形態においては、湿潤液としてポリエチレングリコールを用いている。しかしながら、布ワイパー212を湿潤させる機能を有する液体であれば、これに限定されるものではなく、例えば、水等であってもよい。また、当該湿潤液に、インクを洗浄する洗浄機能を持たせるようにしてもよい。
対向ローラー232は、布ワイパー212を介して湿潤液供給ローラー240に対向するローラーである。この対向ローラー232は、湿潤液供給ローラー240と協働して布ワイパー212を挟むことにより、布ワイパー212を湿潤液供給ローラー240に接触させる役割を果たす。この対向ローラー232も、回転可能な従動ローラーであり、図5に示すように、長手方向が布ワイパー212の幅方向(すなわち、図5において、紙面と直交する前後方向)に沿った状態で布ワイパー212に接触している長尺な円筒状部材である。当該対向ローラー232も、湿潤液供給ローラー240と同様、前述した布ワイパー212の移動に伴って布ワイパー212に接触した状態で回転する(回転方向は、湿潤液供給ローラー240とは異なり、図3において時計まわりである)。
また、湿潤液供給ローラー240は、図5及び図6に示すように、湿潤ユニットケース234に回転可能に支持されている。そして、湿潤液供給ローラー240は、その一部(露出部240aとする)が湿潤ユニットケース234の外部に露出した状態で、湿潤ユニットケース234に収容されている。当該湿潤ユニットケース234は、後述する湿潤液補給部材242や押圧力調整部材244なども支持し、かつ、収容している。
また、湿潤ユニットケース234は、水平方向(左右方向)に移動可能となっている(換言すれば、左側位置と右側位置との間を往復移動するようになっている)。具体的に説明すると、不図示のケース押圧部材がコントローラー60により制御されて、当該ケース押圧部材により、湿潤ユニットケース234が、図5において黒矢印で示した方向(すなわち、右方向)に押圧されると、湿潤ユニットケース234は右側位置へ移動する(図5参照)。一方で、湿潤ユニットケース234には、当該湿潤ユニットケース234をケース押圧部材が押圧する方向とは逆方向(すなわち、左方向)へ付勢する第一付勢部材246が接続されており、ケース押圧部材による押圧が解放されると、第一付勢部材246の付勢力により、湿潤ユニットケース234は左側位置へ移動するようになっている(図6参照)。
そして、図5に示されるように、湿潤ユニットケース234が右側位置に位置する際には、湿潤液供給ローラー240の露出部240aは、対向ローラー232と協働して布ワイパー212を挟みつつ、当該布ワイパー212に接触する。一方で、図6に示されるように、湿潤ユニットケース234が左側位置に位置する際には、湿潤液供給ローラー240は、布ワイパー212から離間することとなる。このように、湿潤液供給ローラー240は、布ワイパー212に対して接離可能に設けられており、ケース押圧部材と第一付勢部材246は、湿潤液供給ローラー240を布ワイパー212に対して接離させる接離機構を構成している。なお、湿潤液供給ローラー240の、布ワイパー212に対する接触、離間がどのタイミングで実行されるかについては、後に説明する。
湿潤液補給部材242は、湿潤液供給ローラー240に接触することにより、当該湿潤液供給ローラー240へ湿潤液を補給(供給)するためのものである。すなわち、この湿潤液補給部材242は、布ワイパー212へ転写されることにより湿潤液供給ローラー240において消費される湿潤液を補う役割を果たす。湿潤液補給部材242は、湿潤液が含浸されたスポンジであり、長手方向が布ワイパー212の幅方向(すなわち、図5において、紙面と直交する前後方向)に沿った状態で湿潤液供給ローラー240に接触している長尺な矩形状部材(ただし、円筒状の布ワイパー212への接触を適切なものとするために、図5に示すように、布ワイパー212への接触部242aは、内側へ湾曲した湾曲形状を備えている)である。
また、図5及び図6に示すように、当該湿潤液補給部材242には、第二付勢部材248を介して、押圧力調整部材244が接続されている。押圧力調整部材244は水平方向(左右方向)に移動自在に設けられており(図5及び図6における白矢印参照)、押圧力調整部材244を図5及び図6において右側へ位置させると、湿潤液供給ローラー240に接触する湿潤液補給部材242の、湿潤液供給ローラー240に対する押圧力が高くなって、湿潤液補給部材242から湿潤液供給ローラー240へ湿潤液が移動し易くなる。逆に、押圧力調整部材244を図5及び図6において左側へ位置させると、湿潤液供給ローラー240に接触する湿潤液補給部材242の、湿潤液供給ローラー240に対する押圧力が低くなって、湿潤液補給部材242から湿潤液供給ローラー240へ湿潤液が移動し難くなる。
そして、画像記録装置1のユーザーや製造者等により、当該押圧力調整部材244が操作され、前記押圧力が調整されると、湿潤液補給部材242から湿潤液供給ローラー240への湿潤液の移動量が調整され、延いては、湿潤液供給ローラー240が布ワイパー212へ湿潤液を供給する供給量が調整されることとなる。なお、当該供給量(の大小)は、湿潤液補給部材242の湿潤液供給ローラー240に対する当該押圧力(便宜上、湿潤液補給部材押圧力と呼ぶ)のみならず、湿潤液供給ローラー240の布ワイパー212(対向ローラー232)に対する押圧力(便宜上、湿潤液供給ローラー押圧力と呼ぶ)や布ワイパー212が送られるときの布ワイパー212の移動速度にも依存する。そのため、湿潤液補給部材押圧力を調整する際には、供給量を適正量とするために、湿潤液供給ローラー押圧力と移動速度とが考慮される。
また、上記において、キャップ部材200とワイピングユニット210が鉛直方向に移動可能となっていることを述べたが、キャップ部材200及びワイピングユニット210は一体的に移動するようになっている。そして、かかる移動を実現するために、クリーニングユニット43には、図3に示すように、収容ケース220と昇降装置222とが設けられている。
収容ケース220は、キャップ部材200及びワイピングユニット210を収容し、かつ、支持するためのものである。この収容ケース220は、上方に開口部を有し、有底箱形状を備えている。この収容ケース220には、布ワイパー巻軸214と布ワイパー巻き取り駆動軸216とが回転自在に支持されている。また、押し付け部材218及びキャップ部材200も支持されている。このことにより、収容ケース220にワイピングユニット210及びキャップ部材200が固定されている。
また、当該収容ケース220には、湿潤ユニット230も収容されている。すなわち、収容ケース220には、湿潤ユニットケース234が水平方向(左右方向)に移動可能に支持されている。また、対向ローラー232も支持されている。
そして、湿潤ユニット230も、キャップ部材200及びワイピングユニット210と一体的に鉛直方向に移動するようになっている。つまり、収容ケース220が、シリンダ等からなる昇降装置222の駆動により、鉛直方向に昇降され、このことにより、キャップ部材200、ワイピングユニット210、及び、湿潤ユニット230の鉛直方向における一体的な移動が実現されるようになっている。
本実施の形態においては、収容ケース220(キャップ部材200、ワイピングユニット210、及び、湿潤ユニット230)は、2つの異なる鉛直方向位置に位置するようになっている。第一の位置は、布ワイパー212がノズル面32に接触可能な前述したワイピング位置である(例えば、図7B参照)。また、第二の位置は、キャップ部材200がノズル面32に密着して吸引処理が実行可能な位置(以下、便宜上、キャップ位置と呼ぶ)である(例えば、図7A参照)。図3に示されているように布ワイパー212の最上部がキャップ部材200の最上部よりも上方に位置するため、このキャップ位置はワイピング位置よりも高い位置となっている。なお、具体的にどのタイミングで、収容ケース220が昇降されるかについては、後述する。
<<<クリーニングユニット43の動作例について>>>
次に、クリーニング処理が実行される際のクリーニングユニット43の動作例について、図7A乃至図7Eを用いて説明する。図7A乃至図7Eは、クリーニング処理が実行される際のクリーニングユニット43の状態を示した模式図である。なお、当該動作は、主として、コントローラー60により実現される。特に、本実施の形態においては、メモリー63に格納されたプログラムをCPU62が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
コントローラー60は、先ず、キャリッジ42を制御して、ヘッド31がキャップ部材200に対向する位置にキャリッジ42を位置させると共に、昇降装置222を制御して収容ケース220(キャップ部材200)を前記キャップ位置に位置させる。このことにより、キャップ部材200がノズル面32に密着して吸引処理が実行可能な状態となる(図7A)。コントローラー60は、かかる状態で、吸引ポンプを作動させ、インクを吸引する吸引処理を実行する。
吸引処理が終了すると、コントローラー60は、昇降装置222を制御して収容ケース220をキャップ位置から前記ワイピング位置に下ろす(図7Aの黒太矢印参照)。このことにより、布ワイパー212がヘッド31に接触可能な位置に下げられて、ワイピング処理が実行可能な状態となる(図7B)。
コントローラー60が、かかる状態で、キャリッジ42を制御して、キャリッジ42を右から左へ移動させる(図7Bの黒太矢印参照)と、布ワイパー212は、やがてヘッド31に接触する。そして、キャリッジ42のさらなる移動により、湿潤液で湿潤された布ワイパー212が、ヘッド31に摺擦して当該ヘッド31をワイピングする。布ワイパー212がヘッド31から離れる位置までキャリッジ42が移動すると(図7C)、ワイピング動作は終了する。
そして、当該終了の後に、コントローラー60は、将来的に行われ得るクリーニング処理におけるワイピングの準備のために、布ワイパー巻き取り駆動軸216を制御して、布ワイパー212を送るが、かかる送り動作の開始の際に、布ワイパー212を湿潤させるために、湿潤液供給ローラー240を布ワイパー212に接触させる(図7Cの黒太矢印参照)。
そして、コントローラー60は、布ワイパー212を所定長さ送った(図7Dの白矢印参照)後に布ワイパーの送りを止めるが、この際に、湿潤液供給ローラー240を布ワイパー212から離間させる(図7Eの黒太矢印参照)。
このように、本実施の形態において、コントローラー60は、布ワイパー212の送り動作と湿潤液供給ローラー240の接離動作を連動させる制御を行う。すなわち、コントローラー60は、布ワイパー212の送り動作を停止させる際に、湿潤液供給ローラー240を布ワイパー212から離間させる(図7E参照)。そして、停止後に停止状態が維持されている(図7A乃至図7Cにおいて、停止状態が維持されている)布ワイパー212の送り動作を再開させる際(図7D参照)に、離間後に離間状態が維持されている(図7A乃至図7Cにおいて、離間状態が維持されている)湿潤液供給ローラー240を布ワイパー212に再接触させる(図7D参照)。さらに、コントローラー60は、再開後に送り動作の実行が維持されている布ワイパー212の送り動作を再停止させる際に、再接触後に接触状態が維持されている湿潤液供給ローラー240を布ワイパー212から再離間させる。
===押し付け部材218について===
次に、押し付け部材218の構成例について、図3、図8乃至図10を用いて説明する。図8は、押し付け部材218の断面模式図である。図9は、押し付け部材218の斜視模式図である。図10は、押し付け部材218の分解模式図である。
押し付け部材218は、前述したとおり、ワイピング処理が実行される際に、布ワイパー212をヘッド31のノズル面32へ押し付ける機能を有する。
この押し付け部材218は、前述したM個(多数)のヘッド31に対応するために、長手方向が布ワイパー212の幅方向(すなわち、図3において、紙面と直交する前後方向)に沿った状態で布ワイパー212に接触している長尺な円筒状部材(図9及び図10参照)である。押し付け部材218は、図3に示すように、水平方向(左右方向)において、布ワイパー巻軸214と布ワイパー巻き取り駆動軸216の間に位置している。また、鉛直方向において、これらの軸よりも上方に位置している。
また、押し付け部材218は、図8に示すように、ワイピング処理が実行される際に、布ワイパー212を介してヘッド31に対向し、かつ、ヘッド31の下方に位置する。そして、押し付け部材218には、当該押し付け部材218をヘッド31に向けて(すなわち、上方へ)付勢する第三付勢部材250が接続されており、ヘッド31が布ワイパー212に接触した際には、第三付勢部材250の付勢力により、押し付け部材218が、ヘッド31との間に布ワイパー212を挟んだ状態で布ワイパー212をヘッド31に押し付けるようになっている。
また、押し付け部材218は、収容ケース220に回転自在に支持された従動ローラーである。すなわち、押し付け部材218は、図9に示すように、軸部300と、軸部300よりも径が大きく、かつ、軸部300よりも長手方向の長さが短い大径部306と、を備えており、軸部300は不図示の軸受けにより支持されている。そして、押し付け部材218は、大径部306が布ワイパー212に接触した状態で、軸部300回りに回転することができるようになっている。
また、押し付け部材218は、布ワイパー212をノズル面32へ押し付ける機能だけでなく、布ワイパー212からインクを吸収する機能も備えている。
具体的に説明すると、布ワイパー212はヘッド31のノズル面32のワイピング(すなわち、ヘッド31に付着した付着インクの拭き取り)を行うが、拭き取られた当該付着インクの量が多い場合等には、布ワイパー212が、過度に液体を含んだ状態となり、いわゆる飽和状態(布ワイパー212がこれ以上液体を吸収できなくなった状態)となってしまう可能性がある(なお、本実施の形態においては、布ワイパー212は、予め湿潤液で湿潤されているため、拭き取られたインクと湿潤液とにより飽和状態となる)。そして、布ワイパー212が、飽和状態となった場合には、付着インクをもはや拭き取ることができなくなり(拭き取れないだけでなく、拭き取り済みのインクがノズル面32の方に戻ってノズル面32に再付着してしまう場合もある)、したがって、布ワイパー212によるノズル面32のワイピングが適切に行われない状況となる。
これに対し、本実施の形態においては、押し付け部材218にインクを吸収する機能を持たせたため、布ワイパー212が飽和状態となる前に布ワイパー212から押し付け部材218へのインクの移動が起こる(本実施の形態においては、湿潤液の移動も起こる)。そのため、布ワイパー212が飽和状態となることを未然に防ぐことができ、布ワイパー212によるノズル面32のワイピングを適切に行うことが可能となる。
そして、当該押し付け部材218のインク吸収機能を実現するために、押し付け部材218には、布ワイパー212からインクを吸収する吸収材310が設けられている。本実施の形態においては、当該吸収材310として、二つの吸収材(第一吸収材312と第二吸収材316とする)が備えられている。
第一吸収材312は、布ワイパー212に接触して布ワイパー212からインクを吸収する。この第一吸収材312は、例えばウレタン樹脂からなり、図10に示すように、後述する回転軸320及び第二吸収材316を挿入するための中空部分312aを備えた長尺な円筒状部材である。
また、第一吸収材312は、押し付け部材218の外縁部に備えられている。すなわち、押し付け部材218は、図8に示すように、径方向に三つの層(つまり、第一吸収材312の層、回転軸320の層、第二吸収材316の層)を備えた三層構造を有しているが、第一吸収材312は、この三つの層のうちの最外層に位置している。また、本実施の形態においては、図9及び図10に示すように、前述した大径部306全体が、第一吸収材312となっている。
このように、当該第一吸収材312は、布ワイパー212に接触可能な外縁部に備えられているため、布ワイパー212に接触して布ワイパー212から直接的にインクを吸収する役割を果たす。すなわち、布ワイパー212からインクを吸収することにより、布ワイパー212が飽和状態となることを未然に防ぎ、布ワイパー212のワイピング機能を適切な状態に維持する。
第二吸収材316は、第一吸収材312を介して、布ワイパー212からインクを吸収する。この第二吸収材316は、第一吸収材312と同様、例えばウレタン樹脂からなる(但し、後述するように、当該第二吸収材316は、第一吸収材312とは異なり、布ワイパー212に接触して布ワイパー212を押す機能は有していないため、第一吸収材312よりも硬度が低いウレタン樹脂となっている)。また、第二吸収材316は、図10に示すように、長手方向(換言すれば、前後方向)の長さが第一吸収材312よりも長い中実の長尺な円筒状部材である。
また、第二吸収材316は、押し付け部材218の内層部に備えられている。具体的には、図8に示すように、第二吸収材316は、前述した三つの層のうちの最内層に位置している。また、本実施の形態においては、図9及び図10に示すように、前述した軸部300の一部が第二吸収材316となっている。
すなわち、本実施の形態に係る押し付け部材218の回転軸320は、図10に示すように、中空の回転軸(本実施の形態においては、金属製であるが、これに限定されるものではない)となっており、当該回転軸320の中空部分320aに第二吸収材316が収容されている(したがって、図8に示すように、回転軸320は、径方向における第一吸収材312と第二吸収材316との間に位置していることになる)。つまり、第二吸収材316が収容された回転軸320が前記軸部300を構成している。
このように、第二吸収材316は、布ワイパー212に接触不可能な内層部に備えられているため、第一吸収材312とは異なり、布ワイパー212から直接的にインクを吸収することはできない。しかしながら、第二吸収材316は、第一吸収材312からインクを吸収することにより、第一吸収材312が飽和状態になることを遅らせることが可能となる。
すなわち、第一吸収材312が、布ワイパー212からのインク(及び湿潤液)吸収を繰り返すと、第一吸収材312にインク(及び湿潤液)が徐々に溜まっていくが、仮に第二吸収材316が設けられていない場合には、第一吸収材312からのインク(及び湿潤液)の逃げ場が存在しないため、第一吸収材312が、早期に、前述した飽和状態となってしまう。そして、このようになった場合には、押し付け部材218を交換する必要があり、画像記録装置1に当該交換機能がない場合には、画像記録装置1の寿命となる。
これに対し、本実施の形態においては、第二吸収材316を設けたため、第二吸収材316が第一吸収材312からインク(及び湿潤液)を吸収する(第一吸収材312から第二吸収材316へインク(及び湿潤液)が移動する)。そのため、インク(及び湿潤液)が、第一吸収材312だけでなく、第二吸収材316にも溜まることとなり、吸収材310が飽和状態になることを遅らせることができる。したがって、押し付け部材218の交換時期を遅らせたり、画像記録装置1の寿命を延ばしたりすることが可能となる。
また、本実施の形態においては、第一吸収材312から第二吸収材316へインク(及び湿潤液)をスムーズに移動させるため、図10に示すように、回転軸320に多数の穴(すなわち、第一吸収材312から第二吸収材316へインクを通過させるための通過穴320b)が備えられている。なお、回転軸320には、図9及び図10に示すように、外部に露出する露出部320cと、第一吸収材312に覆われた非露出部320dとがあるが、当該通過穴320bは、後者のみに設けられている。
また、本実施の形態においては、第二吸収材316は、押し付け部材218に対して着脱可能に設けられている(一方で、本実施の形態に係る第一吸収材312は、押し付け部材218に対して着脱不可能となっている)。すなわち、第二吸収材316は、差し込み式の部材となっており、画像記録装置1のユーザーや製造者等によって、回転軸320の中空部分320aに挿入され、かつ、当該中空部分320aから引き出され得るように、構成されている(一方で、ユーザーや製造者等による回転軸320の第一吸収材312からの取外しについては、実行できないようになっている)。そして、回転軸320の中空部分320aから第二吸収材316を引き出し易くするために(換言すれば、第二吸収材316の先端をつまみやすくするために)、図9及び図10に示すように、第二吸収材316の長手方向の長さは、回転軸320の長手方向の長さと等しいか当該長さより長くなっている。
<<<本実施の形態に係る押し付け部材218の有効性について>>>
上述したとおり、本実施の形態に係る画像記録装置1は、ノズルからインクを吐出するヘッド31と、該ヘッド31のノズル面32をワイピングする布製の布ワイパー212と、該布ワイパー212をノズル面32へ押し付けるための押し付け部材218と、を有している。そして、押し付け部材218は、布ワイパー212からインクを吸収する吸収材310を有している。
そのため、前述したとおり、布ワイパー212が飽和状態となる前に布ワイパー212から押し付け部材218へのインクの移動が起こる。したがって、布ワイパー212が飽和状態となることを未然に防ぐことができ、布ワイパー212によるノズル面32のワイピングを適切に行うことが可能となる。
また、本実施の形態において、押し付け部材218は、吸収材310として、布ワイパー212に接触して該布ワイパー212からインクを吸収する第一吸収材312と、第一吸収材312からインクを吸収する第二吸収材316と、を有することとした。
そのため、前述したとおり、押し付け部材218の交換時期を遅らせたり、画像記録装置1の寿命を延ばしたりすることが可能となる。
また、本実施の形態において、第二吸収材316は、押し付け部材218に対し着脱可能に設けられていることとした。
そのため、第二吸収材316については、当該第二吸収材316が飽和状態となる前に押し付け部材218から取り外して、新しい第二吸収材316に付け替えることができる。したがって、第二吸収材316については飽和状態になる恐れがなくなるため(飽和状態になる恐れがあるのは、第一吸収材312のみとなるため)、押し付け部材218の交換時期をより一層遅らせたり、画像記録装置1の寿命をより一層延ばしたりすることが可能となる。
また、本実施の形態において、押し付け部材218は、長手方向が布ワイパー212の幅方向に沿った状態で布ワイパー212に接触している円筒状部材であり、第一吸収材312は、押し付け部材218の外縁部に備えられ、第二吸収材316は、押し付け部材218の内層部に備えられていることとした。
したがって、第二吸収材316を押し付け部材218から取り外す際に、中抜きとなるため、第一吸収材312の位置を変えることなく(換言すれば、第一吸収材312と布ワイパー212等の周辺部材との相対的な位置関係を崩すことなく)、取外し作業を行うことが可能となる(新しい第二吸収材316を装着する装着作業についても、同様である)。すなわち、予め機械的に調整された第一吸収材312の位置(言い換えれば、押し付け部材218の位置)を変えることなく、第二吸収材316の着脱作業を行うことができる。
また、本実施の形態において、押し付け部材218は、回転可能であり、かつ、該押し付け部材218の径方向における第一吸収材312と第二吸収材316の間に、中空の回転軸320を有し、該回転軸320の中空部分320aに第二吸収材316が収容されていることとした。
そのため、回転軸320に中空部分320aを設けるという簡易な方法で、前述した効果、すなわち、第一吸収材312(押し付け部材218)の位置を変えることなく第二吸収材316の着脱作業を行える効果を生じさせる構成を実現することが可能となる。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
また、上記実施の形態においては、媒体としてロール紙2を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、カット紙、フィルム、布であってもよい。
また、上記実施の形態においては、ヘッドユニット30が複数(M個)のヘッド31を有していることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ヘッドユニット30が、一つのヘッド31からなることとしてもよい。
また、上記実施の形態において、布ワイパー212は、湿潤ユニット230により湿潤された状態でノズル面32のワイピングを行うこととしたが、これに限定されるものではない。例えば、湿潤ユニット230は備えられておらず、布ワイパー212は乾いた状態でノズル面32のワイピングを行うこととしてもよい。
また、上記実施の形態においては、回転軸320が、第一吸収材312から第二吸収材316へインクを通過させるための通過穴320bを備えることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、回転軸320が当該通過穴320bを備えていないこととしてもよい(かかる場合には、回転軸320は、金属製以外のインクを通す部材である必要がある)。
但し、第一吸収材312から第二吸収材316へインクをスムーズに移動させることができる点で、上記実施の形態の方が望ましい。