以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
(1−1.硬貨処理装置の構成)
図1を参照しながら、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成を示す概略図である。なお、図1(a)は、硬貨処理装置1の正面側から内部を見た図であり、図1(b)は、側面側から内部を見た図である。
硬貨処理装置1は、店舗等に設置されたレジスターで取り扱われる硬貨を管理する。硬貨処理装置1は、硬貨を一括して受け入れた後、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別する。その後、硬貨処理装置1は、判別結果に応じて金種毎に硬貨を選別し、選別した硬貨を出金する。
図1に示すように、硬貨処理装置1は、硬貨受領部10と、硬貨繰り出し部12と、硬貨判別部14と、選別搬送路20と、リジェクト硬貨収容部26と、一時保留部30と、返却箱34と、硬貨収納部の一例である金種別ホッパ36と、第1出金箱の一例である出金箱40と、硬貨移送部50と、制御ユニット(不図示)とを有する。
硬貨受領部10は、投入される硬貨Cを受ける部分である。硬貨受領部10は、硬貨処理装置1の上方、かつ前面側に位置する。硬貨受領部10は、硬貨Cが投入される投入口11を有する。投入口11は、硬貨Cを一括して投入し易いように、広く開口している。硬貨受領部10に投入された硬貨Cは、硬貨繰り出し部12に落下する。
硬貨繰り出し部12は、硬貨受領部10の下方に位置し、硬貨受領部10から落下した硬貨Cを一枚ずつ繰り出す。硬貨繰り出し部12内には、例えば回転円盤(不図示)が設けられている。硬貨繰り出し部12内の硬貨Cは、回転円盤が回転する際の遠心力により移動して、一枚ずつ硬貨判別部14へ繰り出される。
硬貨判別部14は、硬貨繰り出し部12から繰り出された硬貨Cの真偽、金種等の判別を行う。硬貨判別部14は、硬貨Cを認識するセンサ(不図示)を有し、センサで検出した硬貨Cの特徴に基づいて、硬貨の真偽、金種等を判別する。硬貨判別部14は、判別した硬貨Cを選別搬送路20に搬送する。
選別搬送路20は、硬貨判別部14による判別結果に基づいて、硬貨Cを選別して搬送する。選別搬送路20は、搬送路上流側に位置するリジェクト口21と、搬送路下流側に位置する金種別の受入口22a〜22fとを有する。硬貨判別部14において真貨で無いと判別された硬貨Cは、リジェクト口21を通過する。真貨であると判別された硬貨Cは、金種別に受入口22a〜22fを通過する。
図2は、リジェクト口21と、受入口22a〜22fの周辺部の構成を示す斜視図である。リジェクト口21と、受入口22a〜22fの周辺部の構成は同様であるので、ここでは受入口22aを例に挙げて説明する。なお、図2(a)は、受入口22a等が硬貨を受け入れ無い状態を示し、図2(b)は、受入口22a等が硬貨を受け入れる状態を示す。
受入口22aの周辺には、選別ゲート24が設けられている。選別ゲート24は、例えばソレノイド等によって軸24aを中心に回動することで、受入口22aを閉じ、又は受入口22aを開放する。図2(a)に示すように選別ゲート24が受入口22aを閉じた状態(通常時)にある時は、硬貨Cは選別ゲート24上を通過する。一方で、図2(b)に示すように選別ゲート24が受入口22aを開放する状態へ動作した時は、硬貨Cが受入口22aに導かれて落下する。
リジェクト硬貨収容部26は、リジェクト口21を通過した硬貨を収容する。リジェクト口21の下方には、リジェクト口21を通過した硬貨をリジェクト硬貨収容部26へ導くリジェクトシュートが配置(図1に示す矢印Rのルートで配置)されている。リジェクト硬貨収容部26は、硬貨処理装置1の前面に開閉可能な扉28を有する。扉28が開いた際に、操作者はリジェクト硬貨収容部26を装置外へ引き出し可能である。
一時保留部30は、金種別の受入口22a〜22fを通過した硬貨を、金種別に収容する。受入口22a〜22fの下方には、受入口22a〜22fを通過した硬貨を一時保留部30へ導く硬貨落下シュートが配置(図1に示す矢印Qのルートで配置)されている。
図3は、金種別の一時保留部30の構成を示す斜視図である。図3に示すように、一時保留部30は、周囲の4面を囲むフレーム内を金種別に区切って直線状に並んだ金種別の一時保留部30a〜30fで構成されている。また、一時保留部30は、底部を成すガイド32に対して、図3に示す矢印H及び矢印Sで示す方向に移動可能である。
返却箱34は、一時保留部30が矢印H方向に移動した際に、一時保留部30から落下する硬貨を収容する。返却箱34は、使用者によって硬貨処理装置1の正面から装置外へ引き出し可能になっている。
金種別ホッパ36は、一時保留部30が矢印S方向に移動した際に、一時保留部30から落下する硬貨を金種別に収納する。金種別ホッパ36は、金種別の一時保留部30a〜30fに対応するように直線状に並べられた複数の金種別ホッパ36a〜36fで構成されている。金種別ホッパ36a〜36fは、図1に示す矢印T方向に、硬貨を一枚ずつ繰り出す繰り出し部も有する。
出金箱40は、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出された(送り出された)硬貨を、金種別に集積する。出金箱40は、着脱部45に対して着脱可能に設けられ、使用者によって硬貨処理装置1の前面から装置外へ引き出し可能になっている。金種別ホッパ36a〜36fの下方には、繰り出された硬貨を出金箱40へ導くシュートが配置(図1に示す矢印Tのルートで配置)されている。なお、硬貨処理装置1の本体側には、出金箱40が装着されている状態か取り外されている状態かを検出するセンサ(不図示)が設けられている。
図4は、金種別の出金箱40の構成を示す斜視図である。図4に示すように、出金箱40には、個々に硬貨を取り出すことができる金種別の出金小箱42a〜42fが直線状に並べて収納されている。出金小箱42a〜42fは、金種別ホッパ36a〜36fに対応して設けられている。
硬貨移送部50は、図5に示すように出金箱40が取り外された状態で、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨を取り出し口60へ向けて移送する。図5は、硬貨移送部50による硬貨の移送方法を説明するための図である。硬貨移動部50は、前後搬送ベルト52と、第2出金箱の一例である一括小箱54と、ステージ56と、上下搬送ベルト58と、取り出し口60とを有する。なお、上下搬送ベルト58が第1搬送機構に該当し、前後搬送ベルト52が第2搬送機構に該当する。
前後搬送ベルト52は、着脱部45に装着された出金箱40の下方に位置する。前後搬送ベルト52は、出金箱40が着脱部45から取り外された場合に、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨が、着脱部45を通過して落下するようになっている。前後搬送ベルト52は、落下した硬貨を、搬送方向下流側に位置する一括小箱54へ搬送する。
図6は、一括小箱54の構成を示す斜視図である。一括小箱54は、前後搬送ベルト52の前方に位置し、前後搬送ベルト52で搬送された硬貨を集積する。一括小箱54の大きさは出金箱40よりも小さいため、一括小箱54の硬貨の集積量は出金箱40の集積量よりも小さい。一括小箱54は、前後搬送ベルト52で搬送された硬貨を集積する第1位置(図5(b)において実線で示す位置)と、第1位置よりも上方の取り出し口60に対向する第2位置(図5(b)において破線で示す位置)に位置する。また、一括小箱54は、金種別に硬貨を集積する出金箱40とは異なり、種類が異なる硬貨を一括して集積する。
ステージ56は、一括小箱54を支持する。上下搬送ベルト58は、一括小箱54を支持したステージ56を、上下方向に搬送する。上下搬送ベルト58は、図5に示すように、一括小箱54を第1位置と第2位置の間で移動するように、ステージ56を上方に搬送する。
取り出し口60は、第2位置に位置する一括小箱54に集積された硬貨を使用者が取り出すためのものである。取り出し口60は、出金箱40よりも上方に設けられている。具体的には、取り出し口60は、使用者が屈まずに一括小箱54を取り出させる位置に設けられている。
制御ユニットは、硬貨処理装置1の全体動作を制御する。制御ユニットは、上述した各構成要素の動作を制御する制御部と、制御部が実行するプログラムや各種のデータを記憶する記憶部と、を有する。
なお、上記では、金種別ホッパ36から送り出された硬貨が、前後搬送ベルト52により一括小箱54に搬送されることとしたが、これに限定されない。例えば、前後搬送ベルト52に代えて、硬貨が滑るスロープ部を設けても良い。また、一括小箱54の第1位置と第2位置の間の搬送は、ベルト以外の機構により実現されても良い。
(1−2.硬貨処理装置の動作)
上述した構成の硬貨処理装置1の動作例について説明する。硬貨処理装置1の動作は、制御ユニットの制御部によって実行される。すなわち、制御部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、下記に説明する動作を実行する。
以下では、入金計数処理、第1の出金処理、第2の出金処理の順に説明する。ここで、第1の出金処理は、例えばレジスターで使用する釣銭準備金としての硬貨の出金処理や、両替等での硬貨の出金処理をいう。第2の出金処理は、例えば金融機関等の外務員が使用する釣銭準備金としての硬貨の出金処理や、両替等での硬貨の出金処理をいう。そして、第1の出金処理の際には、多量の硬貨が出金されるため、出金箱40に硬貨が集積される。また、第2の出金処理の際には、少量の硬貨が出金されるため、一括小箱54に硬貨が集積される。
(入金計数処理)
硬貨受領部10に硬貨Cが一括して投入されると、投入された硬貨Cは硬貨繰り出し部12に落下する。硬貨繰り出し部12は、落下した硬貨Cを一枚ずつ分離して硬貨判別部14に繰り出す。硬貨判別部14は、繰り出された硬貨Cの真偽、金種等を判別し、判別した硬貨Cを選別搬送路20に搬送する。
選別搬送路20のリジェクト口21と、受入口22a〜22fの選別ゲート24は、通常は閉じているが、硬貨判別部14による判別結果に応じて開閉される。例えば、硬貨判別部14により真貨で無いと判別された硬貨Cは、リジェクト口21の選別ゲート24が開くことで、リジェクト口21からリジェクト硬貨収容部26に落下する。
一方で、真貨であると判別された硬貨Cは、金種別の受入口22a〜22fの中で対応する受入口(例えば、受入口22aとする)の選別ゲート24が開くことで、受入口22aから一時保留部30a〜30fの対応する一時保留部(ここでは、一時保留部30a)に落下する。一時保留部30a〜30fに落下した硬貨Cは、ガイド32上に集積される。
一時保留部30a〜30fのいずれかの一時保留部の硬貨の集積量(又は集積枚数)が、所定の設定量(設定枚数)に達した場合、又は硬貨繰り出し部12内の硬貨が無くなった場合には、硬貨繰り出し部12の動作が停止する。その後、選別搬送路20における硬貨の搬送動作、硬貨判別部14による硬貨の判別動作が終了してから、一旦処理を終了する。
その後、表示部(不図示)に、計数結果に基づく金種別の金額や合計金額等が表示される。表示部を見た使用者は、現在の処理が入金処理の場合には、表示画面中の操作ボタンにより硬貨の収納の可否を選択して入力する。
使用者によって収納可の入力が行われた場合には、一時保留部30a〜30fはガイド32上から矢印S方向(図3参照)に移動する。これにより、ガイド32上に集積された硬貨は、落下して、出金ホッパ36a〜36fに金種別に収納される。硬貨の出金ホッパ36a〜36fへの収納完了後に、一時保留部30a〜30fは、矢印S方向の逆方向に移動して、ガイド32上に戻る。
一方で、使用者によって収納否(すなわち、収納の取り消し)の入力が行われた場合、現在の処理が計数処理の場合、入金処理中にジャム等が発生した場合には、一時保留部30a〜30fはガイド32上から矢印H方向(図3参照)に移動する。これにより、ガイド32上に集積された硬貨は、落下して、返却箱34に収納される。硬貨の返却箱34への収納完了後に、時保留部30a〜30fは、矢印H方向の逆方向に移動して、ガイド32上に戻る。
硬貨繰り出し部12内に硬貨が残っている場合には、上記と同様な処理が繰り返される。なお、誤動作を防止するため、入金処理又は計数処理開始時には、返却箱34が引き出されないようにソレノイド等で電磁ロックがかけられ、硬貨の取り出し時にロックが解除されても良い。
(第1の出金処理)
第1の出金処理は、出金ホッパ36a〜36fに硬貨が収納され、かつ出金箱40が装着された状態から開始される。ここで、出金箱40が装着されているかは、出金箱40の検知センサによる検知結果が表示画面に表示されることで、使用者は確認できる。出金箱40が装着されていない場合には、使用者は、出金箱40を装着する。
次に、使用者が、表示部に表示される出金画面で、金種毎の硬貨の出金枚数を入力すると、出金ホッパ36a〜36fに設けられた繰り出し部により、該当する金種の硬貨が繰り出される。繰り出された硬貨は、図1の矢印Tのルートで出金箱40に落下して、出金小箱42a〜42fのうち該当する小箱内に集積される。
このように出金小箱42a〜42fに金種別に集積された硬貨は、使用者が出金箱40を硬貨処理装置1から引き出すことで、取り出される。この際に、出金箱40を引き出す誘導画面が、表示部に表示される。
なお、誤動作を防止するため、出金処理の開始時には、出金箱40が引き出されないようにソレノイド等で電磁ロックがかけられ、硬貨の取り出し時にロックが解除されても良い。
(第2の出金処理)
第2の出金処理は、出金ホッパ36a〜36fに硬貨が収納され、かつ出金箱40が引き出された状態から開始される。
まず、使用者が、表示部に表示される出金画面で、金種毎の硬貨の出金枚数を入力すると、出金ホッパ36a〜36fに設けられた繰り出し部により、該当する金種の硬貨が繰り出される。ここで、出金箱40が引き出されているので、繰り出された硬貨は、図1の矢印Tのルートで着脱部45を通過して前後搬送ベルト52上に落下する。
その後、前後搬送ベルト52は、図5に示すように回転することで、前後搬送ベルト52上の硬貨を前方に搬送する。搬送された硬貨は、第1位置に位置する一括小箱54内に集積される。その後、上下搬送ベルト58が、回転することで、一括小箱54が載置されたステージ56が上方に移動する。
そして、ステージ56の移動に伴い一括小箱54が取り出し口60に対向する第2位置に位置すると、ステージ56の移動が停止する。その後、使用者は、取り出し口60の扉を開くと、一括小箱54を取り出すことができる。この際に、取り出し口60から一括小箱54を取り出す誘導画面が表示される。
(1−3.硬貨処理装置の有効性)
上述した第1の実施形態に係る硬貨処理装置1によれば、硬貨処理装置1の利用方法に応じて、多量の硬貨を出金箱40に出金する第1の出金処理と、少量の硬貨を一括小箱54に出金する第2の出金処理とを選択可能になっている。
そして、第2の出金処理の場合には、使用者は、装置上方に位置する取り出し口60から一括小箱54の硬貨を取り出す際に屈む必要が無いので、硬貨の取り出しが行いやすく、使用者の体への負担を軽減できる。一方で、第1の出金処理の場合には、出金先の出金箱40が装置下方で着脱されるので、出金箱40に集積された硬貨が溢れて事後処置に使用者が煩わしさを感じることを軽減できる。このように、第1の実施形態によれば、様々な出金態様に対応できるユーザフレンドリーな硬貨処理装置1を実現できる。
<2.第2の実施形態>
図7を参照しながら、第2の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。図7は、第2の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成を示す概略図である。なお、図7(a)は、硬貨処理装置1の正面側から内部を見た図であり、図7(b)は、側面側から内部を見た図である。
第2の実施形態に係る硬貨処理装置1においては、第1の実施形態とは異なり、出金箱40の代わりに、硬貨が通過可能な第1代替箱の一例である硬貨通過箱70が着脱部45に装着可能である。他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
図8は、硬貨通過箱70を示す斜視図である。硬貨通過箱70は、第2の出金処理の際に、出金箱40の代わりに着脱部45に装着される。硬貨通過箱70は、上面及び下面が開放された箱である。また、硬貨通過箱70内には、上方ら下方へ向かって硬貨を案内するガイド71が設けられている。このため、硬貨通過箱70が着脱部45に装着された場合に、出金ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨は、硬貨通過箱70を通過して前後搬送ベルト52上に落下する。
また、硬貨処理装置1の本体側には、出金箱40が装着されたことを検出するセンサに加えて、硬貨通過箱70が装着されたことを検出するセンサが設けられている。このように、第2の実施形態の硬貨処理装置1は、センサによって、出金箱40と硬貨通過箱70のいずれか一方が装着されたかを判別する。
第2の実施形態に係る硬貨処理装置1も、前述した第1の出金処理と第2の出金処理を選択して実行可能である。第2の実施形態の第1の出金処理は、第1の実施形態と同様であるので、以下では、第2の出金処理について説明する。
第2の実施形態における第2の出金処理は、出金箱40の代わりに硬貨通過箱70が装着された状態から開始される。なお、表示部の画面には、出金箱40と硬貨通過箱70のいずれかが装着されているかが表示されるので、使用者は、装着されている箱を判断できる。
使用者が、表示部に表示される出金画面で、金種毎の硬貨の出金枚数を入力すると、出金ホッパ36a〜36fから該当する金種の硬貨が繰り出される。繰り出された硬貨は、図7に示す矢印Tのルートで硬貨通過箱70内を通過して、前後搬送ベルト52上に落下する。
その後、前後搬送ベルト52は、回転することで、前後搬送ベルト52上の硬貨を前方に搬送する。搬送された硬貨は、第1位置に位置する一括小箱54内に集積される。その後、上下搬送ベルト58が、回転することで、一括小箱54が載置されたステージ56が上方に移動する。そして、ステージ56の移動に伴い一括小箱54が第2位置に位置すると、ステージ56の移動が停止する。その後、使用者は、取り出し口60の扉を開くと、一括小箱54を取り出すことができる。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、様々な出金態様に対応できるユーザフレンドリーな硬貨処理装置1を実現できる。特に、第2の実施形態の場合には、出金箱40の代わりに着脱部45に装着された硬貨通過箱70内を硬貨が通過して前後搬送ベルト52上に落下する。このため、出金ホッパ36a〜36fから送り出された硬貨が、前後搬送ベルト52によって確実に一括小箱54に搬送されることになる。また、硬貨通過箱70によって、出金ホッパ36a〜36fから送り出された硬貨が、装置内で散乱することを防止できる。
さらに、硬貨通過箱70に形成されたガイド71により、硬貨通過箱70から排出される硬貨の領域は狭い領域に限定されるので、前後搬送ベルト52の幅を小さくすることができる。さらに、前後搬送ベルト52の設置位置の自由度も増し、硬貨処理装置1の小型化を実現することが可能となる。
<3.第3の実施形態>
図9を参照しながら、第3の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。図9は、第3の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成を示す概略図である。なお、図9(a)は、硬貨処理装置1の正面側から内部を見た図であり、図9(b)は、側面側から内部を見た図である。
第3の実施形態に係る硬貨処理装置1は、第1の実施形態とは異なり、出金ホッパ36a〜36fの出口の先に設けられた集積先選択部の一例である出金先切替ゲート74を有する。また、第3の実施形態における硬貨移送部50の位置が、第1実施形態とは異なる。そして、第3の実施形態では、第2の出金処理の際に、出金箱40を着脱部45から取り出す必要が無い。なお、他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
図10は、出金先切替ゲート74を説明するための図である。出金先切替ゲート74は、出金ホッパ36a〜36fから送り出された硬貨の集積先として、集金箱40又は一括小箱54を選択するためのものである。出金先切替ゲート74は、不図示のソレノイド等により、図10(a)に示す第1位置と、図10(b)に示す第2位置との間で軸74a中心に回動する。出金先切替ゲート74は、第1出金処理の際に第1位置に位置し、第2出金処理の際に第2位置に位置する。
例えば、図10(a)に示すように、出金先切替ゲート74が第1位置に位置する場合には、出金ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨は、矢印Tで示すルートで出金先切替ゲート74上を通過する。矢印Tで示すルートにはシュートが設けられ、シュートの先には出金箱40が位置する。このため、矢印Tで示すルートで落下する硬貨は、出金箱40に集積される。
一方で、図10(b)に示すように、出金先切替ゲート74が第2位置に位置する場合には、出金ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨は、矢印Rで示すルートで出金先切替ゲート74の下側に導かれて落下する。矢印Rで示したルートにはシュートが設けられ、シュートの先には硬貨移送部50が位置する。このため、矢印Rで示すルートで落下する硬貨は、硬貨移送部50の前後搬送ベルト52上に落下し、一括小箱54へ搬送される。
第3の実施形態に係る硬貨処理装置1も、前述した第2の実施形態と同様に、第1の出金処理と第2の出金処理を選択して実行可能である。しかし、第3の実施形態に係る第1の出金処理及び第2の出金処理時の硬貨処理装置1の動作は、第1・第2の実施形態とは異なる。
まず、第1の出金処理について説明する。第1の出金処理は、使用者が、表示部に表示される出金画面において、金種毎の硬貨の出金枚数を入力し、出金先を出金箱40と選択することで開始される。
すると、出金先切替ゲート74は、図10(a)に示す第1位置に位置する。これにより、出金ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨は、矢印Tに示すルートで出金箱40に落下して、出金小箱42a〜42fに金種毎に集積される。その後、使用者が出金箱40が硬貨処理装置1から引き出されることで、硬貨が取り出される。
次に、第2の出金処理について説明する。第2の出金処理は、使用者が、表示部に表示される出金画面において、金種毎の硬貨の出金枚数を入力し、出金先を一括小箱54と選択することで開始される。
すると、出金先切替ゲート74は、図10(b)に示す第2位置に位置する。これにより、出金ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨は、矢印Rに示すルートで前後搬送ベルト52上に落下する。
前後搬送ベルト52は、回転することで、前後搬送ベルト52上の硬貨を前方に搬送する。搬送された硬貨は、第1位置に位置する一括小箱54内に集積される。その後、上下搬送ベルト58が、回転することで、一括小箱54が載置されたステージ56が上方に移動する。そして、ステージ56の移動に伴い一括小箱54が第2位置に位置すると、ステージ56の移動が停止する。その後、使用者は、取り出し口60の扉を開くと、一括小箱54を取り出すことができる。
第3の実施形態によれば、硬貨の出金先として集金箱40又は一括小箱54を選択する出金先切替ゲート74を設けたことにより、出金箱40及び一括小箱54を装着した状態で、第1の出金処理又は第2の出金処理が実行可能となる。このため、出金処理を実行するために使用者が出金箱40や一括小箱54の着脱操作を行うことが不要となり、硬貨処理装置1の利便性が向上する。
<4.第4の実施形態>
図11を参照しながら、第4の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。図11は、第4の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成を示す概略図である。なお、図11(a)は、硬貨処理装置1の正面側から内部を見た図であり、図11(b)は、側面側から内部を見た図である。
第4の実施形態に係る硬貨処理装置1においては、第1の実施形態とは異なり、出金箱40の代わりに、硬貨が通過可能な第2代替箱の一例である斜面形成箱76が着脱部45に装着可能である。また、第4の実施形態の硬貨移送部50は、第1の実施形態とは異なり、前後搬送ベルトを有しない。なお、他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
図12は、斜面形成箱76を示す斜視図である。斜面形成箱76は、第2の出金処理の際に、出金箱40の代わりに硬貨処理装置1に装着される。斜面形成箱76は、図8に示す硬貨通過箱70と比較して、後方のガイド77が前方へ向けて傾斜した傾斜面となっている。
ここで、斜面形成箱76の底部の硬貨出口78は、硬貨通過箱70に比べて小さく、前方にのみ形成されている。また、硬貨出口78の下方に、一括小箱54が位置する。このため、傾斜形成箱76が着脱部45に装着された場合に、出金ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨は、ガイド77に沿って移動し硬貨出口78から落下して、一括小箱54に集積される。このように、ガイド77が硬貨を一括小箱54へ案内する傾斜部に該当する。なお、図11には図示していないが、斜面形成箱76から一括小箱54への硬貨の移動が円滑に行われるように、装置本体において斜面形成箱76と一括小箱54の間にガイドを設けても良い。
第4の実施形態に係る硬貨処理装置1も、前述した第1の出金処理と第2の出金処理を選択して実行可能である。第2の実施形態の第1の出金処理は、第1の実施形態と同様であるので、以下では、第2の出金処理について説明する。
第2の実施形態における第2の出金処理は、出金箱40の代わりに斜面形成箱76が装着された状態から開始される。なお、表示部の画面には、出金箱40と斜面形成箱76のいずれかが装着されているかが表示されるので、使用者は、装着されている箱を判断できる。
使用者が、表示部に表示される出金画面で、金種毎の硬貨の出金枚数を入力すると、出金ホッパ36a〜36fから該当する金種の硬貨が繰り出される。繰り出された硬貨は、図11に示す矢印Tのルートで斜面形成箱70内を通過して、第1位置に位置する一括小箱54内に落下する。
その後、上下搬送ベルト58が、回転することで、一括小箱54が載置されたステージ56が上方に移動する。そして、ステージ56の移動に伴い一括小箱54が第2位置に位置すると、ステージ56の移動が停止する。その後、使用者は、取り出し口60の扉を開くと、一括小箱54を取り出すことができる。
第4の実施形態によれば、硬貨を一括小箱54へ案内するガイド77を有する斜面形成箱76を設けたことにより、前後搬送ベルトが無くても、硬貨を一括小箱54に集積することができる。このため、硬貨処理装置1の部品点数を削減でき、装置の小型化に寄与できる。
<5.第5の実施形態>
図13を参照しながら、第5の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。図13は、第5の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成を示す概略図である。
第5の実施形態に係る硬貨処理装置1は、第3の実施形態に対して、硬貨移送部50の構成が異なる。なお、図13では、説明の便宜上、図9に示す出金箱40と集金先切替ゲート74が示されていない。図13に示すように、第5の実施形態の硬貨移送部50は、第1搬送ベルト82と、第2搬送ベルト83と、ゲート84と、受け箱85とを有する。なお、第1搬送ベルト82と第2搬送ベルト83が、第3搬送機構に該当する。また、第5の実施形態においては、受け箱85が第2出金箱に該当する。
第1搬送ベルト82は、硬貨処理装置1の底部と側部とにわたって設けられたL字状のベルトである。第1搬送ベルト82は、出金ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨を搬送する。
第2搬送ベルト83は、第1搬送ベルト82の屈曲部から上方へ向かって設けられたベルトである。第2搬送ベルト83は、第1搬送ベルト82とで硬貨を挟持した状態で上方へ搬送する。
ゲート84は、第1搬送ベルト82によって搬送される硬貨が一枚通過できる隙間が形成されるように、第2搬送ベルト83の搬送方向上流側に設けられている。このため、第1搬送ベルト82と第2搬送ベルト83は、ゲート84によって分離された硬貨を一枚ずつ挟持しながら搬送する。
受け箱85は、取り出し口60に対向する位置に位置し、第1搬送ベルト82と第2搬送ベルト83によって搬送された硬貨が、集積される。使用者は、取り出し口60を介して受け箱85に集積された硬貨を取り出し可能である。
第5の実施形態に係る硬貨処理装置1も、第3の実施形態と同様に、第1の出金処理と第2の出金処理を選択して実行可能である。第5の実施形態の第1の出金処理は、第3の実施形態と同様であるので、以下では、第2の出金処理について説明する。
第5の実施形態の第2の出金処理において出金ホッパ36a〜36fから硬貨が繰り出されるまでの処理は、第3の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。出金ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨は、第3の実施形態と同様に第1搬送ベルト82上に落下する。
その後、第1搬送ベルト82は、回転することで、第1搬送ベルト82上の硬貨を前方に搬送する。搬送される硬貨は、ゲート84によって一枚ずつに分離され、第1搬送ベルト82と第2搬送ベルト83に挟持された状態で上方に搬送される。上方に搬送された硬貨は、受け箱85に落下し、集積される。そして、使用者は、出金された硬貨が全て受け箱85に集積されると、取り出し口60を開いて硬貨を取り出すことができる。
第5の実施形態によれば、第1搬送ベルト82と第2搬送ベルト83が、取り出し口60に対向する位置に位置する受け箱85に、硬貨を挟持しながら搬送するので、受け箱85を上下に搬送する搬送領域が不要となる。また、ベルトにより硬貨を搬送するので、硬貨の搬送経路の自由度が増し、装置内のスペースを有効活用できる。
<6.第6の実施形態>
(6−1.硬貨処理装置の構成)
図14を参照しながら、第6の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。図14は、第6の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成を示す概略図である。
第6の実施形態に係る硬貨処理装置1は、第1〜第5の実施形態と同様に、第1の出金処理と、第2の出金処理を行う。以下では、一括小箱110と、一括小箱110が載置される載置部材の一例である小箱ホルダ120と、取り出し口60を介して引き出される引き出し部材の一例であるトレイ130について、主に説明する。他の構成は、第2の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
図15は、一括小箱110から硬貨を取り出す形態を説明するための図である。図16は、トレイ130を示す斜視図である。図17は、トレイ130と一括小箱110の関係を説明するための図である。
図15に示すように、一括小箱110は、硬貨収容部112と、投入排出口113と、取手部114とを有する。
硬貨収容部112は、前後搬送ベルト52で搬送されて集積された硬貨を収容する。投入排出口113は、前後搬送ベルト52で搬送された硬貨が、硬貨収容部112へ落下する口である。投入排出口113は、一括小箱110から硬貨を取り出す際に、図15(c)に示すように外部へ排出される口でもある。取手部114は、使用者が一括小箱110を持つ部分である。
小箱ホルダ120には、図14に示すように一括小箱110が載置される。小箱ホルダ120は、上下搬送ベルト58により、一括小箱110と共に搬送される。小箱ホルダ120の、トレイ130の引き出し方向(図16参照)から見て左右には、図17に示すようにロックアーム122、125が設けられている。ロックアーム122、125は、それぞれ回動軸122a、125aを中心に、図17(b)の矢印で示す方向(B1方向、B2方向)に回動可能である。
ロックアーム122、125には、図示しない付勢部材によりB2方向に回動させる付勢力が作用している。付勢力が作用されたロックアーム122、125は、図17(b)に示す位置で、不図示のストッパによってB2への更なる回動が規制されている。また、ロックアーム122、125の回動軸122a、125aの反対側には、外側に向けて突出するように突出軸123、126が設けられている。
トレイ130は、図16に示すように一括小箱110を取り出す際に引き出される。トレイ130は、一括小箱110が載置された小箱ホルダ120を保持した状態で、取り出し口60を介してスライドレール102に沿って引き出され、又は挿入される。
トレイ130は、トレイホルダ132と一体に形成されている。トレイホルダ132は、上面及び下面が形成されていない箱状の部材である。トレイホルダ132は、側面132a、132bによって、一括小箱110が載置された小箱ホルダ120を保持可能である。
トレイホルダ132の、トレイ130の引き出し方向から見て左右には、図17(a)に示すようにカムロック134、136が設けられている。カムロック134、136は、左右対称に設けられている。そして、カムロック134、136に、ロックアーム122、125の突出軸123、126が係止されることで、小箱ホルダ120がトレイホルダ132に保持される。すなわち、カムロック134、136とロックアーム122、125が、第2位置へ搬送される一括小箱110をトレイ130に保持させる保持機構を構成する。
カムロック134、136は、それぞれ回動軸134a、136aを中心に、図17(b)に示す矢印の方向(A1方向、A2方向)に回動可能である。カムロック134、136には、図示しない付勢部材によりA2方向に回動させる付勢力が作用している。付勢力が作用されたカムロック134、136は、図17(b)に示す位置で、不図示のストッパによってA2方向への更なる回動が規制されている。
図18は、カムロック134の詳細形状を示す斜視図である。カムロック134とカムロック136の形状は同様であるので、以下ではカムロック134の形状を例に挙げて説明する。カムロック134は、先端部134bと、回動部134cと、溝部134dを有する。
先端部134bは、楔形状を成している。先端部134bの両側に形成された第1面135a及び第4面135dには、ロックアーム122の突出軸123が接触可能である。また、先端部134bの第3面135cにも突出軸123が接触可能である。
回動部134cは、回動軸134aを中心に回動する。回動部134bにも、突出軸123が接触可能な第2面135bが形成されている。
溝部134dは、先端部134bと回動部134cの間に位置する。溝部134dには、小箱ホルダ120に載置された一括小箱110が第2位置へ搬送される際に、突出軸123が係止される。突出軸123が溝部134dに係止されることで、小箱ホルダ120がトレイホルダ132に保持される。第6の実施形態においては、突出軸123が被保持部に該当し、溝部134dが係止部に該当する。
(6−2.硬貨処理装置の動作)
第6の実施形態に係る硬貨処理装置1も、第2の実施形態と同様に、第1の出金処理と第2の出金処理を選択して実行可能である。第6の実施形態の第1の出金処理は、第2の実施形態と同様であるので、以下では、第2の出金処理について説明する。
第6の実施形態における第2の出金処理は、図14に示すように、出金箱40の代わりに硬貨通過箱70が装着された状態から開始される。なお、表示部の画面には、出金箱40と硬貨通過箱70のいずれかが装着されているかが表示されるので、使用者は、装着されている箱を判断できる。
使用者が、表示部に表示される出金画面で、金種毎の硬貨の出金枚数を入力すると、出金ホッパ36a〜36fから該当する金種の硬貨が繰り出される。繰り出された硬貨は、硬貨通過箱70内を通過して、前後搬送ベルト52上に落下する。
その後、前後搬送ベルト52は、回転することで、前後搬送ベルト52上の硬貨を前方に搬送する。搬送された硬貨は、第1位置に位置する一括小箱110内に集積される。その後、上下搬送ベルト58が、回転することで、一括小箱110を収容する小箱ホルダ120が搭載されたステージ56が上方に移動する。
図19は、ステージ56が移動する際の、カムロック134とロックアーム122の動作を説明するための図である。図19では、説明の便宜上、トレイホルダ132のうちカムロック134以外の部分は図示されていない。なお、カムロック136とロックアーム125の動作も、カムロック134とロックアーム122の動作と同様であるので、以下ではカムロック134とロックアーム122の動作を例に挙げて説明する。
ステージ56が上方へ移動すると、図19(a)に示すように、ロックアーム122に設けられた突出軸123が、カムロック134の第1面135aに接触する。突出軸123が第1面135aに接触した状態でステージ56が更に上方へ移動すると、ロックアーム122が、図19(b)に示すように回動軸122aを中心にB1方向に回転する。
更にステージ56が上方へ移動すると、突出軸123は、第1面135aが無くなった部分に至る。すると、ロックアーム122は、付勢部材の不勢力により図19(c)に示すように回動軸122aを中心にB2方向に回転して、第2面135bに接触する。この際に、ステージ56の位置を検出するセンサによって、ステージ56の位置が検出され、ステージ56の上方への移動が停止する。
その後、ステージ56を下方へ移動させると、突出軸123は、第2面135bが無くなった部分に到達する。すると、ロックアーム122は、付勢部材の付勢力によりB2方向に更に回転し、第3面135cに接触する。この状態で、ステージ56を更に下方へ移動させると、突出軸123はカムロック134の溝部134dに係止され、小箱ホルダ120は、ロックアーム122とカムロック134がロックした状態となる。
その後、ステージ56を下方へ移動させると、図19(d)に示すように、ステージ56と小箱ホルダ120が分離する。これにより、一括小箱110が第2位置に位置することになる。そして、ステージ56の位置を検出するセンサによって、ステージ56の位置が検出され、ステージ56の下方への移動が停止する。
ステージ56の停止後、使用者が、表示部に表示された誘導画面に従って、小箱ホルダ120が保持されたトレイ130を引き出すと(図16参照)、小箱ホルダ120と共に、硬貨が集積されている一括小箱110も引き出される。使用者は、一括小箱110の取手部114を持って、小箱ホルダ120から一括小箱110を持ち上げる。これにより、一括小箱110に集積された硬貨を取り出すことができる。
なお、誤動作を防止するため、第2の出金処理の開始時には、トレイ130が引き出されないようにソレノイド等で電磁ロックがかけられ、硬貨の取り出し時にロックが解除されても良い。
硬貨取り出し後に、使用者は、一括小箱110を小箱ホルダ120にセットし、トレイ130を押し込む。トレイ130が押し込まれたことがセンサ(不図示)によって検出されると、ステージ56が上方へ移動する。これにより、ステージ56上に、一括小箱110、及び小箱ホルダ120が搭載された状態となる。
その後、ステージ56が更に上方へ移動すると、図19(e)に示すように、突出軸123は、第3面135cが無くなった部分に到達する。すると、ロックアーム122は、B2方向に回転し、不図示のストッパに当たると回転が停止する。このときのステージ56の位置がセンサによって検出され、ステージ56の上方への移動が停止する。
その後、ステージ56が下方へ移動すると、図19(f)に示すように、突出軸123がカムロック134の面135dに接触する。この状態でステージ56を更に下げると、カムロック134は、突出軸123によって押圧され、図19(f)、図19(g)に示すようにA1方向に回転する。
ステージ56が更に下方へ移動すると、突出軸123がカムロック134に接触しない状態となる。この際、カムロック134は、図19(h)に示すように、付勢部材の不勢力によりA2方向に回転し、ストッパに当たると回転が停止する。
その後、ステージ56が更に下方へ移動すると、ステージ56は出金処理開始前の位置となり、ステージ56の移動が停止する。これにより、一連の動作が完了する。
(6−3.硬貨処理装置の有効性)
上述した第6の実施形態に係る硬貨処理装置1によれば、カムロック134、136とロックアーム122、125が、小箱ホルダ120に載置された一括小箱110をトレイ130に保持させ、トレイ130が、一括小箱110を保持した状態で取り出し口60から引出される。このため、使用者は、トレイ130を引き出す際に、一括小箱110の状態(例えば、保持状態や、硬貨の集積状態)を把握しやすくなる。この結果、使用者は、一括小箱110を確実に掴んで取り出すことが可能となり、一括小箱110の取り出しの際に硬貨が溢れることを防止できる。
さらに、トレイ130が引き出された状態で、使用者は、上方から一括小箱110を引き上げる。このため、使用者がしゃがむ必要が無く、一括小箱110の取り出しの際に使用者にかかる負担を軽減することができる。
<7.第7の実施形態>
図20を参照しながら、第7の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。図20は、第7の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成を示す概略図である。なお、図20(a)は、トレイ130を押し込んだ状態を示し、図20(b)は、トレイ130を引き出した状態を示す。
第7の実施形態においては、第6の実施形態に対して、トレイ130の構成が異なる。以下では、第6の実施形態と異なる構成について、主に説明する。説明を省く他の構成は、第6の実施形態と同様である。
トレイホルダ132の側面132a、132bの内側には、ロックプレート173を移動可能に支持する2つの軸171、172が固定されている。2つの軸171、172に支持されたロックプレート173は、図20に示す引き出し方向又は押し込み方向に移動可能である。
ロックプレート173とトレイホルダ132の間には、引っ張りばね180が設けられている。引っ張りばね180の一方は、ロックプレート173の穴部175に取り付けられ、他方は、トレイホルダ132の穴部191に取り付けられている。このため、ロックプレート173は、引っ張りばね180の引張力により、図20(b)に示す右方向に移動する。なお、トレイホルダ132が押し込まれた状態では、図20(a)に示すように、ロックプレート173の先端部176が、装置本体106の突起部107と接触するので、引っ張りばね180が伸びた状態となる。
小箱ホルダ120の側面には、図20に示すように、紙面前方へ突出するように形成された突出部192が設けられている。突出部192は、図20(b)に示すように引っ張りばね180が縮んだ状態では、突出部192が、ロックプレート173の凹部174に入り込む。これにより、小箱ホルダ120のZ方向への移動が規制される。
このように、突出部192と凹部174は、トレイ130が引き出し方向に引き出される際に、引き出し方向とは直交する方向(図20のZ方向)への小箱ホルダ120の移動を規制する移動規制部の機能を有する。なお、突出部をロックプレート173に設け、凹部を小箱ホルダ120に設けても良い。また、移動規制部は、突出部と凹部以外の構成であっても良い。
次に、上記の構成において、トレイ130の引き出し時と押し込み時の動作について説明する。
トレイ130を引き出すと同時に、ロックプレート72は、引っ張りばね180の引張力により、押し込み方向(図20(a)参照)に移動する。ロックプレート72が移動する間に、小箱ホルダ120の突出部192がロックプレート173の凹部174にはまり込み、突起部192と凹部174が係合する。これにより、小箱ホルタ120の上下方向への移動が規制されることになる。
一方で、トレイ130を押し込むと、ロックプレート72は、装置本体106の突起部107と接触し、引き出し方向(図20(a)参照)に移動する。ロックプレート172が移動する間に、突起部107と凹部174の係合が解除される。これにより、小箱ホルダ120の上下方向への移動が許容されることになる。
第7の実施形態によれば、トレイ130が引き出し方向に引き出される際に、突出部192が凹部174に入り込むので、その後に、小箱ホルダ120の上下方向に移動することを規制できる。このため、トレイ130が引き出された状態で使用者が誤って小箱ホルダ120を上方向に移動させることに起因して、小箱ホルダ120がトレイ130に保持された状態が解除される(かかる場合には、小箱ホルダ120と一括小箱110が落下する)ことを防止できる。
<8.第8の実施形態>
図21を参照しながら、第8の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。図21は、第8の実施形態に係る硬貨処理装置1の内部構成を示す概略図である。
第8の実施形態においては、第7の実施形態に対して、トレイ130の構成が異なる。以下では、第8の実施形態と異なる構成について、主に説明する。説明を省く他の構成は、第7の実施形態と同様である。
トレイホルダ132は、小箱ホルダ120のトレイホルダ132に対する位置決め用の一対の位置決め軸140を有する。一対の位置決め軸140は、トレイホルダ132のX方向(図21(b)参照)の両端側に設けられている。位置決め軸140は、先端に向かって直径が小さいように形成されている。
小箱ホルダ120の側面には、一対の位置決め軸140の対応する位置に、一対の突起部193が設けられている。突起部193には、図21(b)に示すように、位置決め軸140が入り込む孔193aが形成されている。
このように、位置決め軸140と孔193aは、ロックアーム122がカムロック134に係止される前に、上下搬送ベルト58により搬送中の小箱ホルダ120のトレイ130に対する位置決めを行う位置決め部の機能を有する。なお、上記では、一対の位置決め軸140及び突起部193を設けることとしたが、これに限定される、位置決め軸140と突起部193を一つのみ設けても良い。また、位置決め軸を小箱ホルダ120に設け、突起部をトレイホルダに設けても良い。
次に、上記の構成を有する硬貨処理装置1の動作例について説明する。
まず、小箱ホルダ120を搭載したステージ56が上方へ移動する。すると、位置決め軸140が、突起部193の孔193aに入り込む。ここで、位置決め軸140の先端の直径が小さいため、小箱ホルダ120の位置が所定の位置からずれていても、位置決め軸140が孔193aに入り込みやすくなる。
位置決め軸140が孔193aに入り込むことで、小箱ホルダ120のトレイ130に対する位置ずれを防止できるので、ロックアーム122の突起軸123が、カムロック134が適切に係止される。この結果、小箱ホルダ120が保持されたトレイ130が、確実に引き出されることとなる。
第8の実施形態によれば、位置決め軸140が孔193aに入り込んで、上下搬送ベルト58により搬送中の小箱ホルダ120のトレイ130に対する位置決めを行うので、ロックアーム122がカムロック134に確実に係止される。
また、位置決め軸140が孔193aに入り込んでいるので、小箱ホルダ120の移動が規制されるので、例えば使用者によって誤って小箱ホルダ120が外されることを防止できる。この結果、小箱ホルダ120がトレイ130に保持された状態が解除され、小箱ホルダ120と一括小箱110が落下することを防止できる。
なお、上記では、位置決め部として位置決め軸140と孔193aの構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、位置決め部は、以下の図22に示す位置決めコロ150や図23に示す位置決め曲げ部56aであっても良い。
図22は、位置決めコロ150を説明するための図である。一対の位置決めコロ150は、それぞれトレイ130に軸151を介して回転可能に取り付けられている。一対の位置決めコロ150は、第2位置に搬送される一括小箱110が載置された小箱ホルダ120の前面128に接触して、小箱ホルダ120のトレイ130に対する位置決めを行う。これにより、図20のY方向(トレイ130の引き出し方向)おいて、小箱ホルダ120がトレイ130に対して所定位置に位置するので、その後に、ロックアーム122がカムロック134に確実に係止される。
図23は、位置決め曲げ部56aを説明するための図である。一対の曲げ部56aは、それぞれステージ56のX方向の両端側に形成されている。一対の曲げ部56aは、例えば硬貨取り出し後にステージ56が上昇して小箱ホルダ120がステージ56上に搭載される際に、ステージ56に対する小箱ホルダ120の位置が矯正されることで、精度良く位置決めが行われる。
<9.第9の実施形態>
(9−1.硬貨処理装置の構成)
第9の実施形態に係る硬貨処理装置1の構成について説明する。第9の実施形態に係る硬貨移送部250の構成が、第1〜第8の実施形態で説明した硬貨移送部50の構成と異なる。そこで、以下においては、第9の実施形態に係る硬貨移送部250の構成について説明する。
図24は、第9の実施形態に係る硬貨移送部250の構成を示す斜視図である。図25は、硬貨移送部250の前後搬送ベルト252と、硬貨押出板260とを示す図である。硬貨移送部250は、第2搬送機構として、前後搬送ベルト252と、側壁部の一例である側板254と、スロープ部の一例であるスロープ256と、硬貨押出板260と、検出センサ262、263と、移動部材の一例である可動ガイド270とを有する。
前後搬送ベルト252は、上述したように金種別ホッパ36a〜36fから落下した硬貨を搬送方向下流側に位置する一括小箱54へ向けて搬送する(図5参照)。前後搬送ベルト252は、駆動源253の駆動力を受けて回転することにより、前後搬送ベルト252上の硬貨を搬送する。
側板254は、搬送方向に沿って前後搬送ベルト252の両側に設けられた一対の部材である。側板254は、搬送ベルト252により搬送される硬貨をガイドする。側板254の高さは、硬貨が側板254を乗り越えないように設定されている。
スロープ256は、前後搬送ベルト252の下流側に前後搬送ベルト252に隣接するように設けられ、前後搬送ベルト252から搬送された硬貨を一括小箱54へ向けてガイドする。スロープ256は、側板254に挟まるように固定されている。なお、スロープ256は、側板254よりも搬送方向下流側に突出するように設けられている(図27参照)。
硬貨押出板260は、前後搬送ベルト252上を搬送方向に沿って移動しながら、前後搬送ベルト252上の硬貨を搬送方向下流側へ押し出す。硬貨押出板260は、待機位置(図25に示す位置)と、停止位置との間を往復移動する。図25に示す前後搬送ベルト252に対して横になっている硬貨C1は、前後搬送ベルト252の回転に伴い搬送方向下流側へ搬送されるのに対して、前後搬送ベルト252上に立っている硬貨C2は、前後搬送ベルト252の回転の際にベルトに対して滑るために搬送されない恐れがある。硬貨押出板260は、待機位置から停止位置へ移動する際に、前後搬送ベルト252により搬送され難い硬貨C2を押し出すことにより、前後搬送ベルト252上の硬貨を一括小箱54に搬送できる。なお、停止位置に移動した硬貨押出板260は、その後、搬送方向上流側の待機位置へ移動して待機する。
検出センサ262、263は、硬貨押出板260の位置を検出するためのセンサである。検出センサ262は、硬貨押出板260の待機位置を検出し、検出センサ263は、硬貨押出板260の停止位置を検出する。
可動ガイド270は、スロープ256を挟む位置に回動可能に設けられている。可動ガイド270は、軸271(図27参照)を中心に、退避位置とガイド位置との間を回動する。退避位置は、移動中の一括小箱54に接触しない位置である。ガイド位置は、一括小箱54が第1位置に位置する際に、前後搬送ベルト52により搬送される硬貨を一括小箱54へガイドする位置である。なお、ガイド位置が第1移動位置に該当し、退避位置が第2移動位置に該当する。
図26は、可動ガイド270を示す斜視図である。図27は、ガイド位置に位置する可動ガイド270と周辺部との関係を示す図である。図28は、退避位置に位置する可動ガイド270と周辺部との関係を示す図である。なお、図27(a)及び図28(a)は、硬貨移送部250を正面から見た図であり、図27(b)及び図28(b)は、硬貨移送部250を側面から見た図である。
図26に示すように、可動ガイド270は、可動ガイド270の基部270aの両端部から曲げられ、かつ上方へ延出した一対の延出部272を有する。延出部272は、スロープ256を挟むように形成されている。延出部272は、図27に示すように搬送方向において第1位置に位置する一括小箱54と側板254の間に位置し、スロープ256上を移動する硬貨をガイドする機能を有する。具体的には、延出部272は、一括小箱54の硬貨収容部112の壁面112aと、側板254との間に位置する。これにより、硬貨がスロープ256の両側(搬送方向における壁面112aと側板254の間の隙間)から落下して、一括小箱54に搬送されないことを防止できる。
可動ガイド270の基部270aには、図27及び図28に示すようにスプリング280の一方のフックが引っ掛かるフック穴274が形成されている。可動ガイド270は、スプリング280の付勢力を受けて、軸271を中心に図28に示すA1方向に回動する。なお、図28に示す退避位置でストッパ部276が他のフレームに接触するため、可動ガイド270のA1方向への更なる回動が規制されている。そして、可動ガイド270は、退避位置に位置することにより一括小箱54に接触しないので、上下搬送ベルト58(図5参照)による一括小箱54の移動の妨げとならない。
可動ガイド270は、一括小箱54が第1位置に位置する際に、一括小箱54を支持するステージ56と接触する接触部275を有する。ステージ56は、一括小箱54が第1位置に位置する直前に接触部275に接触した後に、一括小箱54が第1位置に位置するまで接触部275を押下することにより、可動ガイド270は図27に示す方向A2に回動する。すなわち、可動ガイド270は、スプリング280の付勢力に抗い、ガイド位置まで回動する。可動ガイド270がガイド位置に位置する際に、延出部272の上端部が、図27に示すように一括小箱54の硬貨収容部112に入り込んでいる。
このように、可動ガイド270がガイド位置に位置する際に、延出部272が搬送方向において側板254と一括小箱54(具体的には、壁面112a)との間の隙間に位置することにより、硬貨が隙間から落下することを防止できる。この結果、前後搬送ベルト252から搬送される硬貨を一括小箱54に確実に集積できる。
なお、図24に示すX方向(前後搬送ベルト252の搬送方向と直交する方向)における、可動ガイド270の延出部272、側板254、及び一括小箱54の壁面112aの位置関係は、以下の通りである。すなわち、図27に示すように、側板254の外側に延出部272が位置し、延出部272の外側に壁面112aが位置する。これにより、前後搬送ベルト252から一括小箱54へ移動する硬貨が、延出部272や壁面112aに引っ掛かることを防止できる。
(9−2.硬貨処理装置の動作)
次に、硬貨移送部250が、金種別ホッパ36a〜36fから繰り出された硬貨を一括小箱54へ搬送する際の硬貨処理装置1の動作について説明する。なお、硬貨処理装置1の動作は、制御ユニットの制御部によって実行される。
まず、前後搬送ベルト252は、金種別ホッパ36a〜36fから落下したベルト上の硬貨を、回転することで第1位置に位置する一括小箱54へ向けて搬送する。この際、硬貨押出部260も待機位置から停止位置へ移動する。これにより、前後搬送ベルト252上の硬貨が、搬送方向下流側へ確実に搬送される。搬送された硬貨は、図27に示すガイド位置に位置する可動ガイド270の延出部272にガイドされて、スロープ256上を移動した後に、一括小箱54に集積される。
その後、上下搬送ベルト58が回転することで、一括小箱54が載置されたステージ56が上方へ向けて移動を開始する。これに伴い、ステージ56の接触部275に対する押圧が解除され、可動ガイド270は、スプリング280の付勢力により回動して、図28に示す退避位置に位置する。これにより、ステージ56の移動の際に一括小箱54が可動ガイド270に接触しない。そして、ステージ56が更に移動することで、一括小箱54が第2位置に位置し、使用者は一括小箱54を取り出し可能となる。
その後、ステージ56が下方へ移動すると、ステージ56が接触部275を押下することで、退避位置に位置する可動ガイド270が、回動してガイド位置に移動する。これにより、一連の動作が完了する。
ところで、硬貨押出板260が停止位置に位置する際に、図29に示すように、硬貨押出板260により立った状態で搬送された硬貨Cの一部が、前後搬送ベルト252とスロープ256の間に挟まるケースがある。図29は、前後搬送ベルト252とスロープ256の間に硬貨の一部が挟まる状態を説明するための図である。このような状態を解消すべく、硬貨処理装置1の制御ユニットは、硬貨押出板260に対して図30に示すような移動制御を行う。
図30は、硬貨押出板260の移動制御を説明するための図である。制御ユニットは、まず、待機位置から移動した硬貨押出板260を、図30(a)に示す停止位置で停止させる。ここでは、硬貨Cが、前後搬送ベルト252とスロープ256との間に挟まっているものとする。その後、制御ユニットは、硬貨押出板260を搬送方向上流側に所定量だけ移動させる(図30(b))。これにより、図30(a)において前後搬送ベルト252とスロープ256の間に挟まっていた硬貨Cが、硬貨押出板260の移動に伴い前後搬送ベルト252へ向かって倒れて、前後搬送ベルト252上に横たわった状態となる。
その後、制御ユニットは、図30(c)に示すように、硬貨押出板260を停止位置まで再度移動させる。これにより、前後搬送ベルト252上の硬貨Cが、スロープ256上を移動して一括小箱54に集積される。従って、上述した硬貨押出板260の移動制御により、前後搬送ベルト252上の硬貨を一括小箱54上に適切に集積できる。
(9−3.硬貨処理装置の有効性)
上述した第9の実施形態に係る硬貨処理装置1によれば、退避位置とガイド位置との間を移動する可動ガイド270は、退避位置に位置することで上下搬送ベルト58により移動する一括小箱54と干渉しない。一方で、可動ガイド270は、ガイド位置に位置することで、前後搬送ベルト252と一括小箱54の間の隙間に硬貨が落下することを防止できる。すなわち、一括小箱54の位置に応じて可動ガイド270を移動させることで、一括小箱54の硬貨の集積と、上下搬送ベルト58による一括小箱54の移動を円滑に行うことができる。
なお、上記では、可動ガイド270が、軸271を中心に退避位置とガイド位置との間で回動することとしたが、これに限定されない。例えば、可動ガイド270は、退避位置とガイド位置との間で、直進移動することとしても良い。
また、上記では、可動ガイド270は、スプリング280の不勢力とステージ56の押下とにより、退避位置とガイド位置との間で回動することとしたが、これに限定されない。例えば、可動ガイド270は、モータの動力を受けて、退避位置とガイド位置との間で回動することとしても良い。
<10.第10の実施形態>
図31〜図33を参照しながら、第10の実施形態に係る硬貨移送部250の構成について説明する。第10の実施形態に係る可動ガイド270の構成が、第9の実施形態とは異なる。
図31は、第10の実施形態に係る可動ガイド270を示す斜視図である。図32は、ガイド位置に位置する可動ガイド270と周辺部との関係を示す図である。図33は、退避位置に位置する可動ガイド270と周辺部との関係を示す図である。
第10の実施形態に係る可動ガイド270は、第9の実施形態で説明した一対の延出部272に加えて、図31に示すように延出部272の間を連結する連結部277を有する。連結部277は、可動ガイド270の回動の際に、スロープ256に接触しない位置に形成されている。
連結部277は、可動ガイド270が退避位置に位置する際には、図33に示すようにスロープ256の下に位置する。一方で、連結部277は、可動ガイド270がガイド位置に位置する際には、図32に示すように、スロープ256よりも一括小箱54側に位置する。すなわち、連結部277は、スロープ256と一括小箱54(具体的には、硬貨収容部112の壁面112b)の間に位置する第2スロープ部として機能する。これにより、スロープ256上を移動した硬貨が、連結部277上を移動して一括小箱54内に落下する。
このように、第10の実施形態によれば、可動ガイド270がガイド位置に位置する際にスロープ256と一括小箱54の間に連結部277が位置することで、スロープ256と一括小箱54の間の隙間から硬貨が落下することを防止できる。この結果、前後搬送ベルト252から搬送される硬貨を、一括小箱54に確実に集積できる。
<11.第11の実施形態>
第9の実施形態及び第10の実施形態では、前後搬送ベルト252と一括小箱54の間に可動ガイド270を設けることとしたが、これに限定されない。例えば、第4の実施形態で説明したように前後搬送ベルト252を用いない場合にも、可動ガイド270を設けても良い。
図34は、第11の実施形態に係る可動ガイド270がガイド位置に位置する際の、可動ガイド270と周辺部との関係を示す図である。図35は、退避位置に位置する可動ガイド270と周辺部との関係を示す図である。第11の実施形態に係る可動ガイド270は、斜面形成箱290(第2代替箱)と、第1位置に位置する一括小箱54の間に位置する。可動ガイド270は、第9の実施形態で説明したように、退避位置とガイド位置との間で回動する。
斜面形成箱290は、図34に示すように、一括小箱54へ向けて硬貨が移動する傾斜部の一例である傾斜面292と、傾斜面292の両側に設けられた側壁部294と、を有する。なお、一対の側壁部294の間には、傾斜面292からの硬貨を一括小箱54へ案内するためのスロープ296が設けられている。
第11の実施形態においても、ガイド位置に位置する可動ガイド270の延出部272が、搬送方向において側壁部294と一括小箱54(硬貨収容部112の壁面112a)との間の隙間に位置することにより、硬貨が隙間から落下することを防止できる。この結果、傾斜面292を移動する硬貨を一括小箱54に確実に集積できる。
なお、第11の実施形態に係る可動ガイド270にも、第10の実施形態に係る連結部277を設けても良い。これにより、スロープ296と一括小箱54(硬貨収容部112の壁面112b)との間の隙間から硬貨が落下することを防止できる。
<12.まとめ>
上述した第1の実施形態〜第8の実施形態に係る硬貨処理装置1によれば、集積量が異なる出金箱40及び一括小箱54に集積された硬貨の取り出し位置を装置の上下方向で異ならせることで、様々な出金態様に対応できるユーザフレンドリーな硬貨処理装置1を提供できる。例えば、硬貨の集積量が小さい一括小箱54の硬貨が取り出される取り出し口60が装置上方に位置するので、使用者は、硬貨移送部50によって移送された一括小箱54の硬貨を取り出す際に屈む必要が無く、硬貨の取り出しが行いやすい。一方で、出金箱40は装置下方で着脱されるので、出金箱40に多量に集積された硬貨が溢れて事後処置に使用者が煩わしさを感じることを軽減できる。
また、硬貨処理装置1によれば、トレイ130が、一括小箱110が載置された小箱ホルダ120保持した状態で取り出し口60から引出される。このため、使用者は、トレイ130を引き出す際に、一括小箱110の状態(例えば、保持状態や、硬貨の集積状態)を把握しやすくなる。この結果、使用者は、一括小箱110を確実に掴んで取り出すことが可能となり、一括小箱110の取り出しの際に硬貨が溢れることを防止できる。さらに、トレイ130が引き出された状態で、使用者は、上方から一括小箱110を引き上げるため、使用者がしゃがむ必要が無く、一括小箱110の取り出しの際に使用者にかかる負担を軽減することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。