本発明を具体化した実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係る天蓋開閉装置を備えた荷箱1を搭載した車両を示す側面図であり、車両の車体2上に荷箱1を積載した状態を示している。
図1に示すように、車両用の荷箱1は、例えば、土砂や廃棄物などを運搬するためのものであり、この荷箱1は、車両の車体2に積載して使用したり、車体2から降ろして使用することが可能となっている。具体的には、フォークリフトによって車体2上に積載された荷箱1を地面に降ろすことや、また、地面上にある荷箱1を車体2上に積載することが可能となっている。さらに、図示しないダンプ装置によって、車体2上にある荷箱1を傾動させてダンプ作動させることも可能となっている。
図2〜図5に示すように、荷箱1は、略直方体の箱体であり、前壁1A、後壁1B、左右の側壁1L、1R、および底壁1Cで囲まれ、上方が開口した上側開口部1aを有している。この荷箱1の天蓋開閉装置は、上側開口部1aを開閉自在に覆う左右一対の板状の天蓋5L、5Rを備えている。天蓋5L、5Rは、荷箱1の上側開口部1aを塞ぐ閉鎖位置(図4に示す位置)と、その上側開口部1aを開放する開放位置(図5の破線で示す位置)との間で移動可能となっている。
具体的には、天蓋5L、5Rは、略同一の矩形状に形成されている。そして、天蓋5L、5Rは、閉鎖位置にあるとき、内側に向かってなだらかに上方に傾斜し、かつ内側縁部同士が近接した状態で荷箱1の上側開口部1aを閉塞するように配置される。天蓋5L、5Rの内側縁部には、両天蓋5L、5Rが閉鎖位置にあるときに、両天蓋5L、5R間の隙間から雨水等が浸入することを防止するためのパッキン類が取り付けられている。なお、図示しないロック装置を操作することによって、天蓋5L、5Rを閉鎖位置に保持することが可能となっている。一方、天蓋5L、5Rは、開放位置にあるとき、荷箱1の左右の側壁1L、1Rの外側に沿って縦に(上下方向に)それぞれ配置される。
荷箱1の上側開口部1aの周縁の後部から荷箱1の後壁1Bにかけて平坦な上壁1bが形成されている。荷箱1の上側開口部1aの周縁の前後部からそれぞれ上方に立ち上がった前後方向から見て山型状の支持壁1cが形成されている。荷箱1の四角には、主柱部材4がそれぞれ設けられている。また、後壁1Bは、上方の支持軸17を中心に揺動することで開閉可能に構成されている。
天蓋5L、5Rを開閉するための天蓋開閉装置は、図4に示すように、天蓋5L、5Rの開閉移動と連動する左右一対の開閉アーム6、6を備えている。左右の開閉アーム6、6は、図2、図3に示すように、荷箱1の前後および前後中間に一対ずつ(計3対)設けられている。また、天蓋開閉装置は、図4に示すように、荷箱1の前側に各開閉アーム6を手動で回動させる操作装置7を備えている。
図4、図5に示すように、左右の開閉アーム6、6は、軸部材であるトルクシャフト15を中心に回動することにより天蓋5L、5Rを車幅方向に対して傾動しながら相反する方向へ開閉させるように構成されている。なお、図5では、荷箱1の左側の天蓋5L、開閉アーム6などを主に示している。この図5では、開放位置(全開状態)にあるときの天蓋5Lおよび開閉アーム6を破線で示し、開放位置と閉鎖位置との間の位置にあるときの天蓋5Lおよび開閉アーム6を一点鎖線および二点鎖線で示している。
開閉アーム6、6の基端部は、荷箱1の上側開口部1aの左右両側にそれぞれ回動自在に支持され、開閉アーム6、6の先端部に、天蓋5L、5Rの左右外側端部が回動自在に連結されている。詳細には、各開閉アーム6の基端部は、前後の主柱部材4間に設けられたトルクシャフト15を中心に回動自在に連結されている。左右のトルクシャフト15は、荷箱1の側壁1L、1Rの上下中間部にそれぞれ回動自在に支持されている。各トルクシャフト15には、後述するトーションバースプリング20が内蔵されている。一方、各開閉アーム6の先端部は、天蓋5L、5Rの外側端部の連結軸16に対してそれぞれ回動自在に連結されている。
図4に示すように、操作装置7は、操作入力部8と、動力伝達部とを備えている。操作装置7の動力伝達部は、操作入力部8の天蓋開閉用ハンドル8a(図7参照)を回動操作することによって駆動される第1駆動スプロケット9と、この第1駆動スプロケット9に噛み合う第1チェーン10と、この第1チェーン10に駆動される第1従動スプロケット11と、この第1従動スプロケット11と回転一体かつ第1従動スプロケット11よりも小径の第2駆動スプロケット12と、この第2駆動スプロケット12に噛み合う左右一対の第2チェーン13と、各第2チェーン13に駆動される第2従動スプロケット14とを備えている。第2従動スプロケット14は、トルクシャフト15の前端部に一体回転可能に連結されている。スプロケット9、11、12、14、およびチェーン10、13は、前側の左右の主柱部材4間に設けられた前側カバー4aにより覆われている。そして、操作入力部8の天蓋開閉用ハンドル8aを回転させると、各開閉アーム6がトルクシャフト15回りに揺動される。これにより、天蓋5L、5Rの開閉動作が行われるようになっている。なお、天蓋開閉装置の操作装置7(操作入力部8)の詳細については後述する。
この実施形態では、天蓋5L、5Rの閉鎖方向に向かう付勢力を発生するトーションバースプリング20が、天蓋開閉用ハンドル8aの操作による回動力(駆動力)を伝達するトルクシャフト15の内部に収容されている。以下、この点について、図3、図6等を参照して説明する。
図3、図6に示すように、トーションバースプリング20は、前後方向に延びる棒状の部材であって、左右のトルクシャフト15の内部の前後中央部から後端部に配置されている。トーションバースプリング20の前後方向の長さは、荷箱1の前後方向の長さの略半分の長さとなっている。
詳細には、トルクシャフト15は、3つのシャフトに分割されており、前端側に設けられる中実のシャフト15aと、後端側に設けられる中空のシャフト15bとの間に中空のシャフト15cが挟まれた構成となっている。前端側のシャフト15aと中間のシャフト15cとは一体回転可能に連結されている。一方、後端側のシャフト15bと中間のシャフト15cとは相対回転可能に設けられている。前端側のシャフト15aと中間のシャフト15cは、天蓋開閉用ハンドル8aの回動操作による駆動力によって回転可能となっているのに対し、後端側のシャフト15bは、ブラケット27を介して主柱部材4に固定されており、回転不能となっている。
この実施形態では、トーションバースプリング20は、中間のシャフト15cの内部と、後端側のシャフト15bの内部とに跨って配置されている。トーションバースプリング20の前後両端部20a、20bは、下方に向けて略90度に折り曲げられた形状とされている。トーションバースプリング20の前後両端部20a、20bは、位置決め部材としてのストッパ21、22内に挿入されている。
具体的には、トーションバースプリング20の前端部20aは、中間のシャフト15cの内部に挿入されたストッパ21内に挿入されている。ストッパ21は、ボルト25によって中間のシャフト15cに固定されている。ストッパ21には、トーションバースプリング20の前端部20aが挿入される挿入溝21aが形成されている。挿入溝21aにトーションバースプリング20の前端部20aが挿入されることによって、トーションバースプリング20の前端部20aが、中間のシャフト15cに対し、軸方向および周方向に位置決めされるようになっている。
同様に、トーションバースプリング20の後端部20bは、後端側のシャフト15bの内部に挿入されたストッパ22内に挿入されている。ストッパ22は、ボルト26によって後端側のシャフト15bに固定されている。ストッパ22には、トーションバースプリング20の後端部20bが挿入される挿入溝22aが形成されている。挿入溝22aにトーションバースプリング20の後端部20bが挿入されることによって、トーションバースプリング20の後端部20bが、後端側のシャフト15bに対し、軸方向および周方向に位置決めされるようになっている。
そして、後端側のシャフト15bの前端部からストッパ22が突出されており、このストッパ22の外周に軸受部材であるブッシュ24が一体的に取り付けられている。一方、中間のシャフト15cの外周にはパイプ23が一体的に取り付けられており、このパイプ23の内周側にブッシュ24が設けられている。パイプ23は、ブッシュ24に対し回動自在となっており、中間のシャフト15cが、後端側のシャフト15bに対し回動自在となっている。そして、中間のシャフト15cが、後端側のシャフト15bに対し回動することによって、トーションバースプリング20がねじれて付勢力が発生するようになっている。トーションバースプリング20のねじれが大きくなるほど、トーションバースプリング20に発生する付勢力が大きくなる。
この実施形態では、天蓋5L、5Rが閉鎖位置(全閉状態)にある場合には、トーションバースプリング20は、図6に示す状態にあり、トーションバースプリング20にねじれは発生しておらず、付勢力は0となっている。この状態から、天蓋開閉用ハンドル8aが回動操作され、トルクシャフト15が回動され、天蓋5L、5Rが開放位置に向けて開閉操作されるにつれて、トルクシャフト15内に挿入されたトーションバースプリング20が徐々にねじれ、トーションバースプリング20に発生する付勢力が徐々に大きくなる。トーションバースプリング20の付勢力は、天蓋5L、5Rの閉鎖方向に向かう力となっている。
ここで、天蓋5L、5Rの開閉操作について説明する。
まず、天蓋5L、5Rが閉鎖位置(全閉状態)にあるとき、図4に示すように、各開閉アーム6は、トルクシャフト15から上方に向けて略垂直に配置されている。このとき、各開閉アーム6の鉛直方向に対する角度α1が最小(略0度)となるとともに、天蓋5L、5Rと各開閉アーム6とのなす角β1が最大となっている。そして、上述したように、トーションバースプリング20にねじれは発生しておらず、トーションバースプリング20の天蓋5L、5Rの閉鎖方向に向かう付勢力は最小(0)となっている。
この閉鎖位置から天蓋5L、5Rが開かれるとき、図5の一点鎖線、二点鎖線で示すように、天蓋5L、5Rおよび各開閉アーム6が移動する。つまり、作業者によって天蓋開閉用ハンドル8aが操作されることにより、各開閉アーム6がトルクシャフト15を中心に外側へ開くように回動され、天蓋5L、5Rが各開閉アーム6の先端部に設けられた連結軸16を中心に回動される。このとき、各開閉アーム6の鉛直方向に対する角度α1が徐々に大きくなるとともに、天蓋5L、5Rと各開閉アーム6とのなす角β1が徐々に小さくなるように、天蓋5L、5Rおよび各開閉アーム6が移動していく。この場合、トーションバースプリング20のねじれが徐々に大きくなり、トーションバースプリング20の天蓋5L、5Rの閉鎖方向に向かう付勢力は徐々に大きくなる。
そして、図5の破線で示す開放位置(全開状態)まで天蓋5L、5Rが開かれると、各開閉アーム6は、トルクシャフト15から下方に向けて略垂直に配置される。このとき、各開閉アーム6の鉛直方向に対する角度α1が最大(略180度)となるとともに、天蓋5L、5Rと各開閉アーム6とのなす角α1が最小(略0度)となっている。このとき、トーションバースプリング20のねじれが最大(略180度)となり、トーションバースプリング20の天蓋5L、5Rの閉鎖方向に向かう付勢力は最大となっている。
このような天蓋5L、5Rの開放操作の際、トーションバースプリング20の天蓋5L、5Rの閉鎖方向に向かう付勢力が徐々に大きくなるが、天蓋5L、5Rは、自重によりスライドしながら下降するように移動するため、天蓋開閉用ハンドル8aの操作に必要な操作力は大きくならずに済む。
逆に、開放位置から天蓋5L、5Rを閉じるときには、図5の二点鎖線、一点鎖線で示すように、天蓋5L、5Rおよび各開閉アーム6が移動する。この天蓋5L、5Rの閉鎖操作の際には、天蓋5L、5Rを自重に逆らって移動させる必要がある。
しかし、この実施形態では、トーションバースプリング20に天蓋5L、5Rの閉鎖方向に向かう付勢力が発生しており、トーションバースプリング20の付勢力が天蓋5L、5Rの閉鎖操作のアシスト力となる。これにより、トーションバースプリング20の付勢力によって、天蓋開閉用ハンドル8aの操作力が軽減され、天蓋5L、5Rの閉鎖操作を容易に行うことができる。
また、この実施形態では、天蓋5L、5Rの閉鎖操作のアシスト力を発生するトーションバースプリング20をトルクシャフト15の内部に収容しているので、荷箱1上にスプリングを配置する場合に比べて、荷箱1の上側開口部1aの開口面積を大きく確保することができる。また、トーションバースプリング20が積み込み作業時に重機などに衝突して破損することや、積載物のかみ込みによる動作不良を回避できる。さらに、従来ではスプリングシリンダなどの摺動部への給脂が必要であったが、この実施形態によれば、そのような摺動部はトーションバースプリング20には不要であり、給脂も不要となる。なお、トーションバースプリング20が破損したとしても、破損したトーションバースプリング20が荷箱1から脱落することを抑制できる。
また、トーションバースプリング20が、荷箱1の前後中間部から後端部にかけて設けられており、比較的長尺のトーションバースプリング20が用いられている。このように比較的長尺のトーションバースプリング20を用いることが可能になるため、開閉アーム6の回転角度と、天蓋5L、5Rの閉鎖操作に必要なアシスト力を容易に確保することができる。
また、上述したように、トーションバースプリング20の付勢力と、天蓋5L、5Rの自重とをバランスさせながら、天蓋5L、5Rの開放操作を行う構造となっているが、アシスト力が大きくできるようなトーションバースプリング20を用いることによって、天蓋5L、5Rの開放操作の途中における自走の現象を抑制することができる。
次に、天蓋開閉装置に備えられる操作装置7について、図4、図7〜図12を参照して説明する。
図4、図7〜図12に示すように、天蓋5L、5Rの開閉操作を行う操作装置7は、操作入力部8を備え、操作入力部8には、天蓋開閉用ハンドル8aが設けられている。天蓋開閉用ハンドル8aは、入力軸31に連結されており、作業者の天蓋開閉用ハンドル8aの回動操作が入力軸31に入力されるようになっている。天蓋開閉用ハンドル8aは、入力軸31に対し着脱可能となっており、図8、図9、図11、図12では、天蓋開閉用ハンドル8aを取り外した状態を示している。
入力軸31は、2つの軸受32、32によって回動自在に支持されており、この入力軸31には、上述した第1駆動スプロケット9が固着して設けられている。2つの軸受32、32は、取付台33にボルトによって固定されている。取付台33は、側板35a、35bに設けられており、側板35a、35bは、荷箱1の前壁1Aの内面に設けられている。なお、天蓋開閉用ハンドル8aは、カバー34の外側に配置される。
この実施形態では、操作装置7の操作入力部8に逆回転防止機構40が備えられている。逆回転防止機構40は、入力軸31の一方向のみの回転(回動)を許容し、その反対方向への入力軸31の回転(回動)を阻止するものである。言い換えれば、逆回転防止機構40は、操作装置7によって回動操作されるトルクシャフト15の一方向のみの回動を許容し、その反対方向への入力軸31の回動を阻止するものである。
より詳細には、逆回転防止機構40は、第1の逆回転防止機構41と、第2の逆回転防止機構42とからなる。第1の逆回転防止機構41は、天蓋5L、5Rを開放する方向へのトルクシャフト15の回動を許容し、その反対方向へのトルクシャフト15の回動を阻止可能な構成とされている。一方、第2の逆回転防止機構42は、天蓋5L、5Rを閉鎖する方向へのトルクシャフト15の回動を許容し、その反対方向へのトルクシャフト15の回動を阻止可能な構成とされている。そして、この実施形態では、切替手段である切替レバー43によって、第1、第2の逆回転防止機構41、42のいずれか一方を選択的に作動させるように切り替えることが可能となっている。以下、具体的に説明する。
第1の逆回転防止機構41の第1のラチェット歯車41aと、第2の逆回転防止機構42の第2のラチェット歯車42aとは、入力軸31に固定して設けられている。第1、第2のラチェット歯車41a、42aは、一体的に回転するようにボルト44によって連結されている。第1、第2のラチェット歯車41a、42aの外周部には、複数のラチェット歯41b、42bが等間隔で形成されている。第1、第2のラチェット歯車41a、42aのラチェット歯41b、42bの向きは、互いに逆向きとなっている。
切替レバー43には、第1、第2の逆回転防止機構41、42の第1、第2のロック爪(ラチェット爪)43a、43bが一体的に設けられている。第1、第2のロック爪43a、43bは、互いに反対方向に延びている。第1のロック爪43aは、第1のラチェット歯車41aのラチェット歯41bに係合可能な形状とされている。第2のロック爪43bは、第2のラチェット歯車42aのラチェット歯42bに係合可能な形状とされている。切替レバー43は、軸部43cを中心に回動可能に設けられている。第1、第2のロック爪43a、43bは、軸部43cの軸方向の前後に並んで配置されており、第1のロック爪43aは、第1のラチェット歯車41a上に設けられ、第2のロック爪43bは、第2のラチェット歯車42a上に設けられている。軸部43cは、取付台33に設けられている。軸部43cの軸方向の一端には、コイルスプリング45が設けられている。
図7〜図9では、切替レバー43によって第1の逆回転防止機構41が作動状態(係止状態)に選択的に切り替えられ、第2の逆回転防止機構42が非作動状態(非係止状態)に切り替えられた場合を示している。この場合、切替レバー43の第1のロック爪43aが、第1の逆回転防止機構41の第1のラチェット歯車41aのラチェット歯41bに係合されることで、第1の逆回転防止機構41が作動状態となっている。一方、切替レバー43の第2のロック爪43bは、第2の逆回転防止機構42の第2のラチェット歯車42aのラチェット歯42bから離脱されており、第2の逆回転防止機構42が非作動状態となっている。
この第1の逆回転防止機構41が作動状態では、第1のロック爪43aとラチェット歯41bとの係合によって、入力軸31のR1方向への回転が阻止される。このため、天蓋開閉用ハンドル8aのR1方向への回転操作、つまり、天蓋5L、5Rの閉鎖方向への開閉操作が阻止される。
一方、入力軸31のR2方向への回転は許容される。つまり、入力軸31のR2方向への回転の際には、第1のロック爪43aがラチェット歯41bを乗り越えることが可能となっているので、天蓋開閉用ハンドル8aのR2方向への回転操作、つまり、天蓋5L、5Rの開放方向への開閉操作は許容される。この場合、コイルスプリング45によって第1のロック爪43aが隣り合うラチェット歯41b間に入り込むように付勢されている。
これに対し、図10〜図12では、切替レバー43によって第2の逆回転防止機構42が作動状態(係止状態)に選択的に切り替えられ、第1の逆回転防止機構41が非作動状態(非係止状態)に切り替えられた場合を示している。この場合、切替レバー43の第2のロック爪43bが、第2の逆回転防止機構42の第2のラチェット歯車42aのラチェット歯42bに係合されることで、第2の逆回転防止機構42が作動状態となっている。一方、切替レバー43の第1のロック爪43aは、第1の逆回転防止機構41の第1のラチェット歯車41aのラチェット歯41bから離脱されており、第1の逆回転防止機構41が非作動状態となっている。
この第2の逆回転防止機構42が作動状態では、第2のロック爪43bとラチェット歯42bとの係合によって、入力軸31のR2方向への回転が阻止される。このため、天蓋開閉用ハンドル8aのR2方向への回転操作、つまり、天蓋5L、5Rの開放方向への開閉操作が阻止される。
一方、入力軸31のR1方向への回転は許容される。つまり、入力軸31のR1方向への回転の際には、第2のロック爪43bがラチェット歯42bを乗り越えることが可能となっているので、天蓋開閉用ハンドル8aのR1方向への回転操作、つまり、天蓋5L、5Rの閉鎖方向への開閉操作は許容される。この場合、コイルスプリング45によって第2のロック爪43bが隣り合うラチェット歯42b間に入り込むように付勢されている。
上記構成の逆回転防止機構40を利用した天蓋5L、5Rの開閉操作について説明する。
まず、天蓋5L、5Rを閉鎖位置(全閉状態)から開くとき、図7〜図9に示すように、逆回転防止機構40の第1の逆回転防止機構41が作動状態となるように切替レバー43を切り替える。この状態で、天蓋開閉用ハンドル8aをR2方向へ回転操作することで、天蓋5L、5Rの開放操作を行うことが可能になる。
逆に、天蓋5L、5Rを開放位置(全開状態)から閉じるとき、図10〜図12に示すように、逆回転防止機構40の第2の逆回転防止機構42が作動状態となるように切替レバー43を切り替える。この状態で、天蓋開閉用ハンドル8aをR1方向へ回転操作することで、天蓋5L、5Rの閉鎖操作を行うことが可能になる。
この実施形態では、上述したように、トーションバースプリング20のアシスト力(付勢力)によって天蓋5L、5Rの閉鎖操作をアシストすることが可能になっている。ここで、トーションバースプリング20のアシスト力が大きすぎる場合、天蓋5L、5Rを開放位置で保持することが難しく、浮き上がりの現象が発生する可能性がある。しかし、この実施形態では、天蓋5L、5Rの開放位置において、第1の逆回転防止機構41が作動状態となるように切替レバー43を切り替えることによって、天蓋5L、5Rの閉鎖動作が妨げられ、天蓋5L、5Rの開放位置における浮き上がりが発生することはない。したがって、天蓋開閉用ハンドル8aの操作力を軽減するために、トーションバースプリング20のアシスト力を大きくしたとしても(例えば、トーションバースプリング20のアシスト力を最大負荷に釣り合うように設定したとしても)、天蓋5L、5Rの開放位置における浮き上がりの発生を確実に防止できる。また、天蓋5L、5Rの浮き上がりに起因する、天蓋5L、5Rが周囲の人や物に衝突することや、積荷を積み込む作業車両が荷箱1に十分に接近できずに作業性が悪化することを防止できる。
また、天蓋開閉用ハンドル8aの回転操作を停止することで、天蓋5L、5Rを開閉操作の途中の任意の位置で停止させることが可能であるが、この場合に逆回転防止機構40によって、天蓋5L、5Rの自走や、浮き上がりを防止することができる。
具体的には、天蓋5L、5Rの自走が懸念される場合(トーションバースプリング20のアシスト力が小さい場合)には、逆回転防止機構40の第2の逆回転防止機構42が作動状態となるように切替レバー43を切り替えることで、天蓋5L、5Rの開放動作が妨げられ、天蓋5L、5Rの自重による自走を防止できる。逆に、天蓋5L、5Rの浮き上がりが懸念される場合(トーションバースプリング20のアシスト力が大きい場合)には、逆回転防止機構40の第1の逆回転防止機構41が作動状態となるように切替レバー43を切り替えることで、天蓋5L、5Rの閉鎖動作が妨げられ、天蓋5L、5Rの浮き上がりを防止できる。このように、天蓋5L、5Rを開閉操作の中間位置で停止させることができるので、天蓋5L、5Rの給脂やメンテナンスを容易に行うことができる。
なお、上述した開閉アーム6の構成は一例であって、その他の構成の開閉アームを採用した天蓋開閉装置にも本発明を適用することは可能である。