本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、図1を参照して説明する。インクジェット記録装置には、シリアル型とライン型とがある。本実施形態は、シリアル型及びライン型の何れのインクジェット記録装置に対しても適用することができる。インクジェット記録装置10は、メインタンク20と、インク流路30と、送液部40と、サブタンク50と、記録ヘッド70と、加熱部80とを備える。メインタンク20は、インクジェット記録装置10での画像の記録に用いるインクを貯留するタンクである。
インク流路30は、メインタンク20とサブタンク50とを接続する。インク流路30は、メインタンク20に貯留されたインクをサブタンク50に供給するための流路である。メインタンク20に貯留されたインクは、インク流路30を流れ、サブタンク50に供給される。インク流路30は、チューブ又は鋼管等で構成される。メインタンク20の側におけるインク流路30の端部(以下、「上流側端部」という)は、後述する加圧容器42に収容されたメインタンク20に貯留されたインク内に沈められた状態とされる。サブタンク50の側におけるインク流路30の端部(以下、「下流側端部」という)は、サブタンク50においてインクが貯留される内部空間(後述する「第一貯留室52」参照)に連続した状態とされる。
送液部40は、メインタンク20に貯留されたインクを、メインタンク20から流出させ、インク流路30を介して、サブタンク50の側に流すための機構である。送液部40によるインクの送液は、例えば、加圧圧送方式によって行われる。送液部40によるインクの送液が加圧圧送方式による場合、送液部40は、メインタンク20の内部を加圧するための構成として、加圧容器42と、加圧ポンプ44と、第一エア配管46と、第一バルブ48とを含む。加圧容器42は、メインタンク20を収容するための容器である。加圧容器42は、例えば金属製の容器である。加圧容器42は、メインタンク20が収容された状態で、その内部を密閉した状態とすることができる。
加圧ポンプ44は、圧縮エアの供給源である。第一エア配管46は、加圧容器42と加圧ポンプ44とを接続する。第一エア配管46は、圧縮エアを、加圧容器42に供給するための流路である。加圧ポンプ44からの圧縮エアは、第一エア配管46を流れ、メインタンク20が収容され、密閉状態とされた加圧容器42に供給される。加圧容器42に供給された圧縮エアは、メインタンク20に貯留されたインク等の液面を加圧する。これによって、メインタンク20に貯留されたインク等は、インク流路30の上流側端部の開口からインク流路30に流入し、インク流路30をサブタンク50の側に流れ、下流側端部の開口からサブタンク50(後述する「第一貯留室52」)に流入する。圧縮エアの圧力は、レギュレータ(不図示)によって調整されるようにしてもよい。レギュレータは、加圧ポンプ44と一体的に、又は、第一エア配管46の所定の位置に設けられる。加圧ポンプ44から供給される圧縮エアは、レギュレータに流入する。レギュレータは、流入された圧縮エアを、設定圧力に調整する。レギュレータからは、設定圧力に調整された圧縮エアが流出する。
第一バルブ48は、第一エア配管46の途中に設けられた三方弁である。第一バルブ48に形成された3つのポートのうち、共通ポート480は、第一エア配管46を介して、加圧容器42に接続される。第一ポート481は、第一エア配管46を介して、加圧ポンプ44に接続される。第二ポート482は、大気側に接続される。第一バルブ48が、共通ポート480と第一ポート481とが連続した状態とされた場合(以下、「第一の状態」という)、加圧容器42には、圧縮エアが供給される。加圧容器42の内部は、圧縮エアに対応した圧力で加圧された状態となる。第一バルブ48が、共通ポート480と第二ポート482とが連続した状態とされた場合(以下、「第二の状態」という)、加圧容器42と加圧ポンプ44との接続は遮断される。加圧容器42の内部は、大気開放され、大気圧(外気圧)となる。
サブタンク50は、インク流路30を介して、メインタンク20から供給されたインクを、記録ヘッド70に供給する前に一時的に貯留するタンクである。サブタンク50は、記録ヘッド70と一体的に構成される。サブタンク50は、隔壁51を含む。隔壁51は、サブタンク50の内部を、第一貯留室52と、第二貯留室53とに分割する。隔壁51は、例えば、鉛直に配置される。隔壁51が鉛直に配置される場合、第一貯留室52及び第二貯留室53は、隔壁51を隔てて水平方向に隣り合った状態で設けられる。第一貯留室52は、インク流路30の下流側端部の開口から流入したインクを貯留する。隔壁51の下側部分には、フィルタ54が設けられる。インク流路30の下流側端部の開口から第一貯留室52に流入したインクは、フィルタ54を通過して、第二貯留室53に流入する。インクが第一貯留室52から第二貯留室53に移動する際、フィルタ54は、フィルタ54を通過するインクに含まれる気泡90を取り除く。フィルタ54は、気泡90の他、インクに含まれるゴミ等も取り除く。フィルタ54は、例えば、金属の金網を複数積層し、焼結して形成される。
第二貯留室53は、フィルタ54を通過し、フィルタ54で気泡90等の異物が取り除かれたインクを貯留する。第二貯留室53の底部には、第二貯留室53と記録ヘッド70とを接続する供給流路55が形成される。供給流路55は、第二貯留室53に貯留されたインクを記録ヘッド70に供給するための流路である。第二貯留室53に貯留されたインクは、供給流路55を流れ、サブタンク50と一体的に構成された記録ヘッド70に供給される。
本実施形態では、第一貯留室52及び第二貯留室53を含む空間を、「サブタンク50の内部」ともいう。第一貯留室52及び第二貯留室53に貯留された状態、又は、第一貯留室52及び第二貯留室53に供給される状態について、「サブタンク50に貯留」又は「サブタンク50に供給」ともいう。
第一貯留室52には、第二エア配管56が接続される。第二エア配管56の途中には、第二バルブ57と第三バルブ58とが設けられる。第二バルブ57及び第三バルブ58は、共に三方弁である。第二バルブ57に形成された3つのポートのうち、共通ポート570は、第二エア配管56を介して、第一貯留室52に接続される。第一ポート571は、第二エア配管56を介して、第三バルブ58の共通ポート580に接続される。第二ポート572は、大気側に接続される。第三バルブ58に形成された3つのポートのうち、共通ポート580は、第二エア配管56を介して、第二バルブ57の第一ポート571に接続される。第一ポート581は、第二エア配管56を介して、加圧ポンプ59に接続される。第二ポート582は、第二エア配管56を介して、真空ポンプ60に接続される。
加圧ポンプ59は、圧縮エアの供給源である。加圧ポンプ44の場合と同様、加圧ポンプ59から供給される圧縮エアの圧力は、レギュレータ(不図示)によって調整されるようにしてもよい。レギュレータは、加圧ポンプ59と一体的に、又は、第二エア配管56の所定の位置に設けられる。加圧ポンプ59から供給される圧縮エアは、レギュレータに流入する。レギュレータは、流入された圧縮エアを、設定圧力に調整する。レギュレータからは、設定圧力に調整された圧縮エアが流出する。真空ポンプ60は、サブタンク50の内部に存在する空気の吸引源である。
第二バルブ57が、共通ポート570と第一ポート571とが連続した状態とされ、第三バルブ58が、共通ポート580と第一ポート581とが連続した状態とされた場合(以下、「第三の状態」という)、第一貯留室52には、圧縮エアが供給される。第一貯留室52は、圧縮エアに対応した圧力で加圧された状態となる。第一貯留室52に供給される圧縮エアは、不図示の構成によって、第二貯留室53にも供給される。第一貯留室52及び第二貯留室53は、同様の圧力状態とされる。第二バルブ57及び第三バルブ58は、後述するインク置換方法において、上述した第三の状態とされる。
第二バルブ57が、共通ポート570と第一ポート571とが連続した状態とされ、第三バルブ58が、共通ポート580と第二ポート582とが連続した状態とされた場合(以下、「第四の状態」という)、第一貯留室52では、室内に存在する空気が吸引される。第一貯留室52は、減圧された状態となる。第二貯留室53についても、不図示の構成によって、その室内に存在する空気が吸引され、減圧された状態となる。第一貯留室52及び第二貯留室53は、同様の圧力状態とされる。第二バルブ57及び第三バルブ58は、インクジェット記録装置10で画像の記録が実行される場合、上述した第四の状態とされる。第一貯留室52及び第二貯留室53は、記録ヘッド70に安定したメニスカスを形成できる所定の圧力に減圧される。
第二バルブ57が、共通ポート570と第二ポート572とが連続した状態とされた場合(以下、「第五の状態」という)、第一貯留室52と加圧ポンプ59又は真空ポンプ60との接続は遮断される。第一貯留室52は、大気開放され、大気圧となる。この場合、第二貯留室53と加圧ポンプ59又は真空ポンプ60との接続も遮断され、第二貯留室53は、不図示の構成により、大気開放され、大気圧となる。
記録ヘッド70は、供給流路55を介して供給されたインクを吐出する複数のノズル71を含む。ノズル71は、インクジェット記録装置10が備える搬送部(不図示)によって搬送される記録媒体の記録面に対向する吐出面72において、開口するように形成される。記録ヘッド70の内部には、供給流路55を介して供給されたインクが流れるヘッド内流路73が形成される。ノズル71から吐出されたインクは、記録媒体の記録面に着弾する。これによって、記録媒体に画像が記録される。インクジェット記録装置10がシリアル型であるとする。この場合、記録ヘッド70は、キャリッジに搭載された状態で、所定の移動機構によって、記録媒体が搬送される搬送方向に直交する走査方向に往復移動される。複数のノズル71からは、所定のタイミングでインクが吐出される。シリアル型のインクジェット記録装置10では、記録ヘッド70の往復移動と、記録媒体の搬送とを繰り返すことで、搬送される記録媒体に画像が記録される。
インクジェット記録装置10がライン型であるとする。この場合、記録ヘッド70は、キャリッジに搭載された状態で、搬送部によって搬送される記録媒体の幅方向を横断するようにして設けられる。幅方向は、シリアル型における走査方向に一致する。記録ヘッド70には、複数のノズル71が、記録媒体の幅以上の範囲に配列して形成される。ライン型のインクジェット記録装置10では、記録媒体を搬送方向に搬送させて、搬送される記録媒体に画像が記録される。
加熱部80は、ノズル71から吐出されるインクを加熱する。加熱部80は、所定のヒータによって構成される。加熱部80は、記録ヘッド70に接近した位置に設けられる。例えば、図1に示すように、一体的な構成とされるサブタンク50と記録ヘッド70との間に挟み込まれるようにして設けられる。加熱部80からの熱によって加熱されたインクは、粘度が低下する。粘度が低下したインクによれば、ノズル71からのインクの吐出(排出)を好適に行うことができる。
インクジェット記録装置10では、フルカラーの画像を記録することができる。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ライトイエロー、ライトマゼンタ、ライトシアン等のうちの複数を組み合わせて、フルカラーの画像が記録される。インクジェット記録装置10は、メインタンク20と、インク流路30と、送液部40と、サブタンク50と、記録ヘッド70と、加熱部80との組み合わせを、画像の記録に用いるインクの色数分だけ備える。
<インク置換方法>
インク置換方法について、図2〜図10を参照して説明する。図3〜図10では、インクジェット記録装置10が備える各部のうち、各図に示される工程に関連する構成が図示されている。インク置換方法は、一組の、メインタンク20、インク流路30、送液部40、サブタンク50及び記録ヘッド70において利用されている第一色のインクを、第一色以外の第二色のインクとする場合に行われる。例えば、第一色は、フルカラーの画像の記録に関して上述した各色のうちの1色であり、第二色は、他の1色である。インク置換方法は、次に示すような、第一色排出工程〜第二色排出供給工程の各工程を含む。インク置換方法では、加熱部80の設定温度は、画像が記録される場合の設定より高い温度とされる。加熱部80の設定温度を上昇させると、サブタンク50、供給流路55及び記録ヘッド70に存在するインクの粘度を低下させることができる。これによって、インク置換方法におけるインク及び洗浄液の排出を、スムーズに行うことができる。特に、サブタンク50の内部圧力が大気圧である状態で、インク又は洗浄液を、自重によって排出させる場合、排出時間を短縮することができる。
発明者は、自重による排出に関し、所定の種類のインクを対象とした実験を行った。この実験では、画像を記録する際の粘度(以下、「記録時粘度」という)と、記録時粘度より10%低下させた粘度とを対象として、排出時間と、排出量との関係を求めた。実験によって、発明者は、図2に示すような実験結果を得た。図2によれば、粘度を10%低下させることで、排出時間を短縮することができることが明らかとなった。発明者は、この実験において、インクの粘度を10%低下させるために、加熱部80の設定温度を、画像が記録される場合の設定より5℃高い温度にセットした。このような実験結果に基づけば、インク置換方法は、例えば、画像を記録する場合と比較し、加熱部80の設定温度が5℃程度高くセットされた状態で行われるとよい。
第一色排出工程は、図3に示すように、インク置換の対象となる、サブタンク50と、供給流路55と、記録ヘッド70とに残存する第一色のインクを、ノズル71から排出する工程である。第一色排出工程において、作業者は、第二バルブ57が上述した第五の状態となるように、所定の操作を行う。これによって、サブタンク50の内部(第一貯留室52及び第二貯留室53)は大気側に接続される。サブタンク50の内部は、大気圧となる(図3の「開始」参照)。第一色排出工程において、サブタンク50に貯留されている第一色のインクは、自重によって、第一貯留室52からフィルタ54を通過し、第二貯留室53に流入する。第二貯留室53に貯留された第一色のインクは、自重によって、供給流路55を通過し、記録ヘッド70の側に流れる。隔壁51の下側部分に設けられたフィルタ54は、サブタンク50に貯留された第一色のインクの減少に伴い、徐々に露出する(図3の「途中」参照)。記録ヘッド70に流入した第一色のインクは、自重によって、ノズル71から排出される(図3の「途中」参照)。図3の「途中」に関し、吐出面72に接近して図示された7つの滴は、ノズル71から排出されたインク(インク滴)を示すものである(図5の「開始」、図7の「途中」、図9の「開始」について同じ)。
第一色排出工程では、サブタンク50と、供給流路55と、記録ヘッド70とに存在していたインクは、自重によって、全て排出される(図3の「終了」参照)。全て排出とは、サブタンク50、供給流路55及び記録ヘッド70から完全に第一色のインクが排出され、サブタンク50、供給流路55及び記録ヘッド70に第一色のインクが一切存在していないといった状態を示すものではない。全て排出された状態においても、第一色のインクは、例えば、第一貯留室52及び第二貯留室53を形成する内壁面(隔壁51及びフィルタ54の表面を含む)、供給流路55の内面、記録ヘッド70の内部においてノズル71へと続くヘッド内流路73の内面に付着している。
第一色排出工程が終了した後、作業者は、第一バルブ48が第二の状態となるように、所定の操作を行う。これによって、加圧容器42の内部は大気側に接続される。加圧容器42の内部は、大気圧となる。その後、作業者は、加圧容器42から、第一色のインクが貯留されたメインタンク20を取り出す。続けて、作業者は、加圧容器42に、洗浄液が貯留された洗浄タンク22を収容する。洗浄タンク22は、第一色のインクが貯留されたメインタンク20と同様の状態で収容される。洗浄液としては、例えば、第一色のインク及び第二色のインクと同種のインクであって、色剤を含まないクリアのインクが用いられる。インク置換方法は、第一洗浄工程に移行する。
第一洗浄工程は、図4に示すように、洗浄液が貯留された洗浄タンク22がインク流路30に接続された状態で、フィルタ54の全体が液中となる量の洗浄液をサブタンク50に供給する工程である。第一洗浄工程では、送液部40が駆動し、洗浄液の送液が開始される。具体的に、作業者は、第一バルブ48が上述した第一の状態となるように、所定の操作を行う。これによって、加圧容器42の内部は、加圧ポンプ44に接続される。加圧容器42には、圧縮エアが供給される。加圧容器42の内部は、圧縮エアに対応した圧力で加圧された状態となる。加圧容器42に供給された圧縮エアは、洗浄タンク22に貯留された洗浄液の液面を加圧する(図4の「開始」参照)。洗浄タンク22に貯留された洗浄液は、インク流路30の上流側端部の開口からインク流路30に流入し、インク流路30をサブタンク50の側に流れ、下流側端部の開口から第一貯留室52に流入する(図4の「開始」参照)。
その後、洗浄液は、フィルタ54を通過して、第二貯留室53に流入する。洗浄液の貯留量は、徐々に増加する。このとき、第一貯留室52における洗浄液の液面と、第二貯留室53における洗浄液の液面とは、同じ高さとなる。送液部40による送液は、洗浄液が基準状態となったタイミングで停止される。基準状態は、フィルタ54が全て液中(第一洗浄工程では「洗浄液中」。後述する第二色供給工程では「第二色のインク中」)に沈み、貯留された液体(第一洗浄工程では「洗浄液」。後述する第二色供給工程では「第二色のインク」)の量が予め定めた上限値となった状態である。上限値は、例えば、サブタンク50の内部全体が液体で満たされる量とされる(図4及び図8の「終了」参照)。送液部40による送液の停止は、次のように制御するようにしてもよい。例えば、サブタンク50に貯留されたインク及び洗浄液の液面の高さを検出できるセンサをサブタンク50に設ける。インク流路30の途中にバルブ(不図示)を設ける。このセンサによって液面が基準状態に対応した位置であることが検出されたタイミングで、このバルブを閉鎖する。これによって、送液は停止される。第一洗浄工程において、第二バルブ57は、第五の状態とされる。サブタンク50の内部は、大気圧とされる。
第一洗浄工程が終了した後、作業者は、第二バルブ57及び第三バルブ58が上述した第三の状態となるように、所定の操作を行う。これによって、サブタンク50の内部は、加圧ポンプ59と接続される。インク置換方法は、第二洗浄工程に移行する。
第二洗浄工程は、第二種の排出手順と、第二種の供給手順とを含む。第二種の排出手順は、図5に示すように、第一洗浄工程、及び、第二種の供給手順の何れかによって、サブタンク50に供給された洗浄液のうち、一部の量の洗浄液を、フィルタ54を通過させ、供給流路55を介して記録ヘッド70に供給し、ノズル71から排出する手順である。第一洗浄工程が終了した後の上述した操作によって、サブタンク50には、圧縮エアが供給される。サブタンク50の内部は、圧縮エアに対応した圧力で加圧された状態となる。圧縮エアの圧力は、例えば、大気圧より20kPa程度高い値に設定される。従って、サブタンク50の内部圧力は、大気圧より20kPa程度高く、121kPa程度(大気圧:101kPaで算出)となる。サブタンク50に供給された圧縮エアは、サブタンク50に貯留された洗浄液の液面を加圧する。これによって、第一貯留室52に貯留された洗浄液は、フィルタ54を通過し、第二貯留室53に流入する。第二貯留室53に貯留された洗浄液は、供給流路55を介して、記録ヘッド70の側に流れる。記録ヘッド70に流入した洗浄液は、ノズル71から排出される(図5の「開始」参照)。
第二種の排出手順では、フィルタ54が露出することとならない量の洗浄液が排出される(図5の「終了」参照)。フィルタ54が露出することとならない量の洗浄液の排出は、例えば、次のように制御される。圧縮エアの供給は、第二種の排出手順を開始した後、一定時間が経過したタイミングで停止される。この場合、第一洗浄工程及び第二種の供給手順において、供給後に貯留されている洗浄液の量は一定とされ、且つ、圧縮エアの圧力は、例えば、上述したような値で一定とされる。前述の一定時間は、事前の実験等によって、フィルタ54が露出することとならない量の洗浄液が排出されるまでに要する時間を計測し、この結果に基づき設定される。例えば、20秒程度とされる。この他、上述したような液面の高さを検出できるセンサによって、洗浄液の液面が、フィルタ54が露出することとならない位置として予め定めた位置であることが検出されたタイミングで、圧縮エアの供給を停止させるようにしてもよい。このような制御によって、洗浄液の排出は停止される。前述した量の洗浄液が排出されたタイミングで、第二種の排出手順は終了し、第二洗浄工程は、第二種の供給手順に移行する。第二種の供給手順は、図6に示すように、洗浄タンク22がインク流路30に接続された状態で、洗浄液を、インク流路30を介して、洗浄液が残存しているサブタンク50に供給する手順である。
第二種の供給手順への移行に際し、作業者は、第二バルブ57が第五の状態となるように、所定の操作を行う。これによって、サブタンク50の内部は、大気圧とされる。第二種の排出手順において、洗浄液の排出を停止させる際、第二バルブ57が第五の状態とされていれば、その状態が維持される。この場合、作業者は、所定の操作を行わない。作業者は、第一バルブ48が第一の状態となるように、所定の操作を行う。これによって、加圧容器42の内部は、加圧ポンプ44に接続される。第一バルブ48が第一の状態であれば、その状態が維持される。この場合、作業者は、所定の操作を行わない。加圧容器42には、圧縮エアが供給される。加圧容器42の内部は、圧縮エアに対応した圧力で加圧された状態となる。加圧容器42に供給された圧縮エアは、洗浄タンク22に貯留された洗浄液の液面を加圧する(図6の「開始」参照)。
洗浄タンク22に貯留された洗浄液は、インク流路30の上流側端部の開口からインク流路30に流入し、インク流路30をサブタンク50の側に流れ、下流側端部の開口から第一貯留室52に流入する(図6の「開始」参照)。その後、洗浄液は、フィルタ54を通過して、第二貯留室53に流入する。洗浄液の貯留量は、徐々に増加する。第二種の供給手順において、洗浄液の供給速度は、例えば、20cc/min程度とされる。洗浄液の供給は、上述した第一洗浄工程の場合と同様にして行われ、第一洗浄工程の場合と同様にして終了する(図6の「終了」参照)。供給量は、図6の「終了」に示すように、上述した基準状態における上限値より少ない量であってもよい。上限値より少ない量を基準とした状態に基づき、第一洗浄工程の場合と同様の制御が行われる。第二種の供給手順に関するこの他の点については、説明を省略する。
第二洗浄工程において、第二種の排出手順と、第二種の供給手順とは、それぞれ所定の回数だけ実行される。第二種の排出手順及び第二種の供給手順は、例えば、第二種の排出手順において、ノズル71から排出される洗浄液が、本来の色(透明)のまま排出されるようになるまで、繰り返される。第二洗浄工程は、排出される洗浄液が本来の色のまま排出されるようになったと判断される第二種の排出手順の終了をもって、終了する。第二洗浄工程が終了した後、作業者は、第二バルブ57が第五の状態となるように、所定の操作を行う。これによって、サブタンク50は大気側に接続される。インク置換方法は、第三洗浄工程に移行する。
第三洗浄工程は、図7に示すように、サブタンク50と、供給流路55と、記録ヘッド70とに残存する洗浄液を、ノズル71から排出する工程である。第二洗浄工程が終了した後の上述した操作によって、サブタンク50の内部は、大気圧となる(図7の「開始」参照)。第三洗浄工程において、サブタンク50に貯留されている洗浄液は、自重によって、第一貯留室52からフィルタ54を通過し、第二貯留室53に流入する。第二貯留室53に貯留された洗浄液は、自重によって、供給流路55を通過し、記録ヘッド70の側に流れる。隔壁51の下側部分に設けられたフィルタ54は、サブタンク50に貯留された洗浄液の減少に伴い、徐々に露出する(図7の「途中」参照)。記録ヘッド70に流入したインクは、自重によって、ノズル71から排出される(図7の「途中」参照)。第三洗浄工程では、サブタンク50と、供給流路55と、記録ヘッド70とに存在していたインクは、自重によって、全て排出される(図3の「終了」参照)。全て排出については、第一色排出工程の場合と同様である。
第三洗浄工程が終了した後、作業者は、第一バルブ48が第二の状態となるように、所定の操作を行う。これによって、加圧容器42の内部は大気側に接続される。加圧容器42の内部は、大気圧となる。その後、作業者は、加圧容器42から、洗浄タンク22を取り出す。続けて、作業者は、加圧容器42に、第二色のインクが貯留されたメインタンク20を収容する。このメインタンク20は、第一色のインクが貯留されたメインタンク20等と同様の状態で収容される。インク置換方法は、第二色供給工程に移行する。
第二色供給工程は、図8に示すように、第二色のインクが貯留されたメインタンク20がインク流路30に接続された状態で、フィルタ54の全体が液中となる量の第二色のインクをサブタンク50に供給する工程である。第二色供給工程では、送液部40が駆動し、第二色のインクの送液が開始される。具体的に、作業者は、第一バルブ48が上述した第一の状態となるように、所定の操作を行う。これによって、加圧容器42の内部は、加圧ポンプ44に接続される。加圧容器42には、圧縮エアが供給される。加圧容器42の内部は、圧縮エアに対応した圧力で加圧された状態となる。加圧容器42に供給された圧縮エアは、メインタンク20に貯留された第二色のインクの液面を加圧する(図8の「開始」参照)。メインタンク20に貯留された第二色のインクは、インク流路30の上流側端部の開口からインク流路30に流入し、インク流路30をサブタンク50の側に流れ、下流側端部の開口から第一貯留室52に流入する(図8の「開始」参照)。
その後、第二色のインクは、フィルタ54を通過して、第二貯留室53に流入する。第二色のインクの貯留量は、徐々に増加する。このとき、第一貯留室52における第二色のインクの液面と、第二貯留室53における第二色のインクの液面とは、同じ高さとなる。送液部40による送液は、第二色のインクが上述した基準状態となったタイミングで、停止される。送液部40による送液の停止は、例えば、第一洗浄工程の場合と同様にして制御される。この点に関する説明は省略する。第二色供給工程において、第二バルブ57は、第五の状態とされる。サブタンク50の内部は、大気圧とされる。
第二色供給工程が終了した後、作業者は、第二バルブ57及び第三バルブ58が上述した第三の状態となるように、所定の操作を行う。これによって、サブタンク50の内部は、加圧ポンプ59と接続される。インク置換方法は、第二色排出供給工程に移行する。
第二色排出供給工程は、第一種の排出手順と、第一種の供給手順とを含む。第一種の排出手順は、図9に示すように、第二色供給工程、及び、第一種の供給手順の何れかによって、サブタンク50に供給された第二色のインクのうち、一部の量の第二色のインクを、フィルタ54を通過させ、供給流路55を介して記録ヘッド70に供給し、ノズル71から排出する手順である。第二色供給工程が終了した後の上述した操作によって、サブタンク50には、圧縮エアが供給される。サブタンク50の内部は、圧縮エアに対応した圧力で加圧された状態となる。例えば、圧縮エアの圧力を、上述したように、大気圧より20kPa程度高い圧力とした場合、サブタンク50の内部圧力は、大気圧より20kPa程度高い、121kPaとなる。サブタンク50に供給された圧縮エアは、サブタンク50に貯留された第二色のインクの液面を加圧する(図9の「開始」参照)。これによって、第一貯留室52に貯留された第二色のインクは、フィルタ54を通過し、第二貯留室53に流入する。第二貯留室53に貯留された第二色のインクは、供給流路55を介して、記録ヘッド70の側に流れる。記録ヘッド70に流入した第二色のインクは、ノズル71から排出される(図9の「開始」参照)。
第一種の排出手順では、フィルタ54が露出することとならない量の第二色のインクが排出される(図9の「終了」参照)。フィルタ54が露出することとならない量の第二色のインクの排出は、例えば、第二洗浄工程の第二種の排出手順と同様にして制御される。この点に関する説明は省略する。前述した量の第二色のインクが排出されたタイミングで、第一種の排出手順は終了し、第二色排出供給工程は、第一種の供給手順に移行する。第一種の供給手順は、図10に示すように、第二色のインクが貯留されたメインタンク20がインク流路30に接続された状態で、第二色のインクを、インク流路30を介して、第二色のインクが残存しているサブタンク50に供給する手順である。
第一種の供給手順への移行に際し、作業者は、上述した第二洗浄工程における第二種の排出手順から第二種の供給手順の場合と同様の操作を行う。これによって、サブタンク50の内部は、大気圧とされる。加圧容器42の内部は、加圧ポンプ44に接続される。加圧容器42には、圧縮エアが供給される。加圧容器42の内部は、圧縮エアに対応した圧力で加圧された状態となる。加圧容器42に供給された圧縮エアは、メインタンク20に貯留された第二色のインクの液面を加圧する(図10の「開始」参照)。
メインタンク20に貯留された第二色のインクは、インク流路30の上流側端部の開口からインク流路30に流入し、インク流路30をサブタンク50の側に流れ、下流側端部の開口から第一貯留室52に流入する(図10の「開始」参照)。その後、第二色のインクは、フィルタ54を通過して、第二貯留室53に流入する。第二色のインクの貯留量は、徐々に増加する。第一種の供給手順において、第二色のインクの供給速度は、例えば、20cc/min程度とされる。第二色のインクの供給は、上述した第二色供給工程の場合と同様にして行われ、第二色供給工程の場合と同様にして終了する(図10の「終了」参照)。供給量は、図10の「終了」に示すように、上述した基準状態における上限値より少ない量であってもよい。上限値より少ない量を基準とした状態に基づき、第二色供給工程の場合と同様の制御が行われる。第一種の供給手順に関するこの他の点については、説明を省略する。
第二色排出供給工程において、第一種の排出手順と、第一種の供給手順とは、それぞれ所定の回数だけ実行される。第一種の排出手順及び第一種の供給手順は、例えば、第一種の排出手順において、ノズル71から排出される第二色のインクが、本来の色のまま排出されるようになるまで、繰り返される。第二色排出供給工程は、排出される第二色のインクが本来の色のまま排出されるようになったと判断される第一種の排出手順の終了、又は、その後に実行される第一種の供給手順の終了をもって、終了する。第二色排出供給工程において、第一種の排出手順及び第一種の供給手順は、第二洗浄工程において、第二種の排出手順及び第二種の供給手順がそれぞれ実行される回数より少ない回数だけ実行されるようにしてもよい。インクジェット記録装置10では、第二色排出供給工程が終了した後、交換後の第二色のインクを用いた画像の記録が可能となる。
<サブタンクの内部圧力に関する考察>
発明者は、インク置換方法の、第二種の排出手順(第二洗浄工程)及び第一種の排出手順(第二色排出供給工程)において、サブタンク50に供給される圧縮エアの圧力、換言すれば、サブタンク50の内部圧力に関する実験を行った。そして、発明者は、サブタンク50の内部圧力に起因したインク置換後の画像の記録への影響について検討を行った。発明者は、サブタンク50の内部圧力を、大気圧より20kPaだけ高圧とした場合と、大気圧より80kPaだけ高圧とした場合とで、インク置換後、画像を連続して記録した場合に発生する不良ノズル数をカウントした。不良ノズルは、気泡90等が詰まり、インクの吐出不良を発生させるノズル71である。
実験結果は、図11に示す通りである。サブタンク50の内部圧力を、大気圧より80kPaだけ高圧にした場合、画像の記録を開始した後、20分経過した時点で、3つの不良ノズルが発生した。一方、サブタンク50の内部圧力を、大気圧より20kPaだけ高圧にした場合では、画像を60分間連続して記録しても、不良ノズルは発生しなかった。
このような結果に基づけば、第二種の排出手順及び第一種の排出手順において、サブタンク50の内部圧力を高圧とすると、例えばフィルタ54及びヘッド内流路73といった圧力勾配箇所で、キャビテーションが起き易くなると考えられる。サブタンク50の内部圧力を高圧とすると、その状態とするための高圧の圧縮エアが、洗浄液又は第二色のインクに混入し易くなると考えられる。不良ノズルは、キャビテーションによる気泡90、及び/又は、圧縮エアに起因して混入した気泡90が、ノズル71に詰まって発生したものと推測される。キャビテーションの発生、及び/又は、圧縮エアの混入は、サブタンク50の内部圧力を好適な値とすることで、抑制できるものと考えられる。第二種の排出手順及び第一種の排出手順では、サブタンク50の内部圧力を、キャビテーションの発生を抑制しつつ、スムーズな排出が行えるような値に設定するとよい。上述したインク置換方法では、加熱部80の設定温度を、画像を記録する場合と比較して高い温度とし、洗浄液及び第二色のインクの粘度を低下させることとしている。そのため、サブタンク50と、供給流路55と、記録ヘッド70とに存在している洗浄液又は第二色のインクは、流動性が向上し、前述したような各部の内面から剥離し易く、且つ、ノズル71から排出され易い状態である。従って、サブタンク50の内部圧力を、より低圧とすることができる。
<本実施形態による効果>
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)上記では、メインタンク20に貯留されたインクを、インク流路30を介してサブタンク50に供給し、サブタンク50に供給されたインクを、サブタンク50が有するフィルタ54を通過させ、供給流路55を介して記録ヘッド70に供給し、ノズル71からインクを吐出して画像の記録を行うインクジェット記録装置10で、画像の記録に用いるインクを、第一色のインクから第二色のインクに置換するためのインク置換方法が、次に示すような、第一色排出工程〜第二色排出供給工程を含むこととした。第一色排出工程では、サブタンク50と、供給流路55と、記録ヘッド70とに残存する第一色のインクが、ノズル71から排出される。第一洗浄工程では、色剤を含まない洗浄液が貯留された洗浄タンク22がインク流路30に接続された状態で、フィルタ54の全体が液中となる量の洗浄液がサブタンク50に供給される。第二洗浄工程は、第二種の排出手順と、第二種の供給手順とを含み、各手順が、それぞれ所定の回数だけ実行される。第二種の排出手順では、サブタンク50に供給された洗浄液のうち、フィルタ54が露出することとならない量の洗浄液が、フィルタ54を通過し、供給流路55を介して記録ヘッド70に供給され、ノズル71から排出される。第二種の供給手順では、洗浄タンク22がインク流路30に接続された状態で、洗浄液が、インク流路30を介して、洗浄液が残存しているサブタンク50に供給される。第三洗浄工程では、サブタンク50と、供給流路55と、記録ヘッド70とに残存する洗浄液が、ノズル71から排出される。第二色供給工程では、第二色のインクが貯留されたメインタンク20がインク流路30に接続された状態で、フィルタ54の全体が液中となる量の第二色のインクが、インク流路30を介してサブタンク50に供給される。第二色排出供給工程は、第一種の排出手順と、第一種の供給手順とを含み、各手順が、それぞれ所定の回数だけ実行される。第一種の排出手順では、サブタンク50に供給された第二色のインクのうち、フィルタ54が露出することとならない量の第二色のインクが、フィルタ54を通過し、供給流路55を介して記録ヘッド70に供給され、ノズル71から排出される。第一種の供給手順では、第二色のインクが貯留されたメインタンク20がインク流路30に接続された状態で、第二色のインクが、インク流路30を介して、第二色のインクが残存しているサブタンク50に供給される。第一色排出工程及び第三洗浄工程は、サブタンク50の内部圧力が大気圧である状態で行われる。第二洗浄工程において、第二種の排出手順は、サブタンク50の内部圧力が大気圧より高い第二圧力である状態で行われる。第二色排出供給工程において、第一種の排出手順は、サブタンク50の内部圧力が大気圧より高い第一圧力である状態で行われる。第二圧力及び第一圧力は、上述したように、同一の圧力である場合の他、所定の構成を採用して、異なる圧力となるようにしてもよい。
そのため、置換後の第二色のインクに気泡90が発生し、又は、混入することを抑制しつつ、インク置換を行うことができる。インク置換方法を好適に行うため、第一色排出工程では、サブタンク50と、供給流路55と、記録ヘッド70とに残存する第一色のインクが、ノズル71から排出される。同じく、第三洗浄工程では、前述した各部に残存する洗浄液が、ノズル71から排出される。第一色排出工程及び第三洗浄工程では、フィルタ54が大気に露出することになる。これら各工程での排出は、大気圧の下、第一色のインク又は洗浄液の自重によって行われる。その結果、フィルタ54の露出は、徐々になされる。このとき、フィルタ54のフィルタ目にはインク膜又は洗浄液膜が形成される。このような膜によって、フィルタ54への気泡90の付着及び/又は進入(噛み込み)を低減することができる。
第二種の排出手順(第二洗浄工程)及び第一種の排出手順(第二色排出供給工程)の各工程では、洗浄液又は第二色のインクの排出速度を向上させ、インク置換方法を好適に行うため、サブタンク50に圧縮エアが供給される。圧縮エアが供給され、サブタンク50の内部圧力が大気圧より高い状態(第二圧力、第一圧力)で、サブタンク50と、供給流路55と、記録ヘッド70とに残存する洗浄液又は第二色のインクを全て排出すると、気泡90がフィルタ54の表面に付着し、及び/又は、気泡90がフィルタ54の内部に入り込んでしまうことがある。従って、これら各手順では、フィルタ54が露出することとならない量の洗浄液又は第二色のインクを排出することとした。これによって、フィルタ54への気泡90の付着及び/又は進入を低減しつつ、スムーズな排出を実現することができる。
(2)上記では、洗浄液として、透明インクを用いることとした。透明インクは、色剤を含む色インクと比較すると、比重が小さい。従って、透明インクは、比重の異なる第一色のインク又は第二色のインクと、完全に混ざることはなく、透明インク層と、第一色のインク層又は第二色のインク層とに分離した状態となる。そのため、インク置換方法の第一洗浄工程から第三洗浄工程では、第一色のインクをノズル71から好適に排出することができる。インク置換方法の第二色供給工程及び第二色排出供給工程では、洗浄液としての透明インクが貯留されていたサブタンク50に、第二色のインクが供給される。そのため、比重が重い第二色のインクが、洗浄液としての透明インク中に混ざり易く、好適に置換することができる。
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。
(1)上記では、サブタンク50が隔壁51を含み、サブタンク50の内部を、第一貯留室52及び第二貯留室53に分割することとした。隔壁51を省略し、内部に1つの貯留室が形成された、図12に示すようなサブタンク100としてもよい。サブタンク100では、フィルタ54は、例えば、サブタンク100の側である供給流路55の開口部に設けられる。インク置換方法の第二種の排出手順(第二洗浄工程)では、上記同様、フィルタ54が露出することとならない量の洗浄液が排出される。インク置換方法の第一種の排出手順(第二色排出供給工程)では、上記同様、フィルタ54が露出することとならない量の第二色のインクが排出される。第一洗浄工程及び第二色供給工程において、フィルタ54は、全体が液中となる。
(2)上記では、洗浄液として透明インクを用いることとした。この他、洗浄液としては、水を用いることもできる。
(3)上記では、インク置換方法の第一洗浄工程及び第二色供給工程における基準状態に関し、上限値が、サブタンク50の内部全体が液体で満たされる量である場合を例として説明した。上限値は、フィルタ54の全体が液中となる量であれば、サブタンク50の内部全体が液体で満たされる量より少ない量であってもよい。
(4)上記では、インク置換方法は、第一色排出工程〜第二色排出供給工程の各工程を含むこととした。第一洗浄工程〜第三洗浄工程は、省略してもよい。インク置換方法は、第一色排出工程の後、第二色供給工程に移行し、第二色供給工程及び第二色排出供給工程が、上記同様にして行われる。このようなインク置換方法では、第二色のインクは、上述した洗浄液と同様の機能も奏する。