以下、図1〜図10を参照して、本願発明のエンジン装置及び当該エンジン装置を備える作業機械の実施形態(第1の実施形態)を図面に基づいて説明する。なお、以下では、本実施形態における作業機械として、ローダ装置を作業部として備えるホイルローダを一例に挙げ、その構成の詳細を説明する。
図1〜図5に示すホイルローダ211は、左右一対の前輪213及び後輪214を有する走行機体216を備えている。走行機体216には、操縦部217とエンジン1とが搭載されている。走行機体216の前側部には、作業部であるローダ装置212を装着し、ローダ作業を行うことが可能に構成されている。操縦部217には、オペレータが着座する操縦座席219と、操縦ハンドル218と、エンジン1等を出力操作する操作手段や、ローダ装置212用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。
ホイルローダ211の前部であって前輪213の上方には、前述したように、作業部であるローダ装置212を備えている。ローダ装置212は、走行機体216の左右両側に配置されたローダポスト222と、各ローダポスト222の上端に上下揺動可能に連結された左右一対のリフトアーム223と、左右リフトアーム223の先端部に上下揺動可能に連結されたバケット224とを有している。
各ローダポスト222とこれに対応したリフトアーム223との間には、リフトアーム223を上下揺動させるためのリフトシリンダ226がそれぞれ設けられている。左右リフトアーム223とバケット224との間には、バケット224を上下揺動させるためのバケットシリンダ228が設けられている。この場合、操縦座席219のオペレータがローダレバー(図示省略)を操作することによって、リフトシリンダ226やバケットシリンダ228が伸縮作動し、リフトアーム223やバケット224を上下揺動させ、ローダ作業を実行するように構成している。
このホイルローダ211において、エンジン1は、操縦座席219の下側で、フライホイールハウジング10が走行機体216の前部側に位置するように配置される。すなわち、エンジン1は、エンジン出力軸の向きがローダ装置212とカウンタウェイト215とが並ぶ前後方向に沿うように、エンジン1が配置されている。そして、このエンジン1の後方において、冷却ファン9の正面後側に、前方から順に、オイルクーラ25及びラジエータ24が配置される。また、エンジン1の前方上側において、フライホイールハウジング10上部に固定された排気ガス浄化装置2が配置される。
排気ガス浄化装置2は、図5に示すように、その浄化入口管36がエンジン1右側方に設置される排気マニホールド7の排気出口71に直接接続される。この排気ガス浄化装置2は、その排気ガスの移動方向が同方向になるように設置される。すなわち、浄化入口管36より排気ガス浄化ケース38内に流入した排気ガスが、浄化ケース38内を右側から左側に向かって流れて、粒子状物質(PM)が除去される。そして、浄化された排気ガスが、排気ガス浄化装置2の左下側側面で接続されるテールパイプ135を通じて機外に放出される。
また、エンジン1は、その左側方で、新気(外部空気)を吸引するエアクリーナ32と連結する。エアクリーナ32は、エンジン1の左側後方であって、排気ガスに基づく排熱
により加温される排気ガス浄化装置2から離間された位置に配置される。すなわち、エアクリーナ32は、エンジン1後方のラジエータ24の左側方であって、排気ガス浄化装置2からの熱に影響されない位置に配置される。従って、樹脂成型品などで構成されて熱的に弱いエアクリーナ32が、排気ガス浄化装置2を通過する排ガスに基づく排熱による、変形などといった影響が及ぶことを抑制できる。
このように、操縦座席219下側及び後方に配置される、エンジン1、排気ガス浄化装置2、ラジエータ24及びエアクリーナ32は、カウンタウェイト215の上側に配置されるボンネット220によって覆われる。このボンネット220は、操縦部217の床面から突起したシートフレーム(前方カバー部)221として構成されるとともに、操縦部217内の前方部分が、操縦部217の後方部分が、開閉可能なボンネットカバー229(突出カバー部)として構成される。
すなわち、エンジン1前部の上方をシートフレーム221が覆うことにより、このエンジン1前方上側に配置される排気ガス浄化装置2もシートフレーム221が覆う。一方、ボンネットカバー229が、エンジン1後部の上方から後方に向かって覆う形状を備えることで、エンジン1後方に配置されるラジエータ24及びオイルクーラ25をも覆う。
ボンネット220のシートフレーム221の上側には、操縦座席219が着脱可能に設置される。これにより、シートフレーム221から操縦座席219を離脱したときに、シートフレーム221上面が開放されるため、シートフレーム221下側のエンジン1及び排気ガス浄化装置2等について、メンテナンスが可能となる。なお、操縦座席219を着脱可能とする構成に限定されるものではなく、操縦座席219がシートフレーム221の上方で前側に傾動することで、シートフレーム221上面を開放させるものとしてもよい。このとき、図3に示す例のように、操縦座席219が固設されたシートフレーム221自体が、前側に傾動することで、エンジン1等の上側が開放されるものとしてもよい。
ボンネット220が、その前方に、上面を開口可能としたシートフレーム221を備えることで、シートフレーム221の上面を閉じたとき、シートフレーム1が、エンジン1前方上側に配置される排気ガス浄化装置2を覆う。従って、風雨等に起因しての排気ガス浄化装置2の温度低下を抑制でき、排気ガス浄化装置2を適正温度に維持し易い。また、作業者が排気ガス浄化装置2に触れるおそれを少なくできる。一方、シートフレーム221の上面を開いたとき、エンジン1前方上側が開放されるため、エンジン1前方上側に配置される排気ガス浄化装置2へのアクセスが容易になるため、メンテナンス作業が行いやすい。
一方、シートフレーム211後方において、ボンネット220は、シートフレーム221の上面よりも上方に突出させたボンネットカバー229を備える。このボンネットカバー229は、カウンタウェイト215上側に配置されることで、エンジン1後方に配置されるラジエータ24及びオイルクーラ25を覆うとともに、開閉可能に構成される。すなわち、図4に示す例のように、ボンネットカバー229の前方上側に配置されたヒンジ部230が、ボンネットカバー229を回動可能に軸支する構成とし、ボンネットカバー229を前側上方に回動させて、エンジン1後方上側が開放されるものとしてもよい。このとき、ボンネットカバー229が油圧ダンパー等を介して走行機体216と連結されることで、ボンネットカバー229を開いたときに支持される構成としてもよい。
エンジン1は、フライホイールハウジング10の前面側にミッションケース132が連結されている。エンジン1からフライホイール11を経由した動力は、ミッションケース132にて適宜変速され、前輪213及び後輪214やリフトシリンダ226及びバケットシリンダ228等の油圧駆動源133に伝達されることになる。
ボンネット220は、図5に示すように、その前方に、外気を吸入する吸気口231を備えるとともに、運転座席219後方位置における上面に、機内の空気を排出する排気口232を備える。すなわち、シートフレーム221が、その前面に設けた吸気口231と、その上面の運転座席219後方位置に設けた排気口232とを有する。このように構成することで、ボンネット220内部で、吸気口231を通じて前方から機内に取り込んだ空気が、シートフレーム221の上面に沿って流れた後、運転座席219後方の排気口232から機外に流出する。
これにより、ボンネット220が、運転座席219下側に、冷却空気が流れる冷却風路233を備えた構造となる。すなわち、シートフレーム221の前方から後方にかけて、冷却風路233による断熱層が設けられるため、排気ガス浄化装置2による排熱の運転座席219への伝達を防止できる。従って、操縦座席219が排気ガス浄化装置2からの排熱により温度上昇することなく、操縦部217における環境温度を運転者にとって快適な温度に維持できる。
更に、シートフレーム221前面に設けられる吸気口231は、前方から後方に向かって上方に傾斜させた構成を備える。これにより、シートフレーム221前方の外気が、吸気口231よりボンネット220内に流入したとき、シートフレーム221上面に向かって流れる。すなわち、吸気口231の上記構成により、ボンネット220内に流入した冷却空気が、前方から後方斜め上側に向かって流れる。
これにより、吸気口231からの外気が、排気浄化装置2を回避するとともに運転座席219下側をシートフレーム221の上面に沿うように、冷却風路233内における冷却空気の流れを制御できる。従って、冷却風路233内を流れる冷却空気により、運転座席219下側を冷却できるだけでなく、冷却空気による排気ガス浄化装置2の温度低下を抑制でき、排気ガス浄化装置2を適正温度に維持し易い。
次に、図6〜図9を参照して、本願発明のエンジン装置について、上記ホイルローダ211等の作業機械に原動機として搭載されるディーゼルエンジン1を例に挙げて、以下に説明する。上記したように、ディーゼルエンジン1は、排気マニホールド7の排気出口71に接続される排気ガス浄化装置2を備える。排気ガス浄化装置2は、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減する作用を備える。
ディーゼルエンジン1は、エンジン出力用クランク軸3とピストン(図示省略)を内蔵するシリンダブロック4を備える。シリンダブロック4にシリンダヘッド5を上載している。シリンダヘッド5の左側面に吸気マニホールド6を配置する。シリンダヘッド5の右側面に排気マニホールド7を配置する。シリンダヘッド5の上側面にヘッドカバー8を配置する。シリンダブロック4の後側面に冷却ファン9を設ける。シリンダブロック4の前側面にフライホイールハウジング10を設ける。フライホイールハウジング10内にフライホイール11を配置する。
クランク軸3(エンジン出力軸)にフライホイール11を軸支する。作業車両(バックホウやフォークリフト等)の作動部に、クランク軸3を介してディーゼルエンジン1の動力を取出すように構成している。また、シリンダブロック4の下面にはオイルパン12を配置する。オイルパン12内の潤滑油は、シリンダブロック4の側面に配置されたオイルフィルタ13を介して、ディーゼルエンジン1の各潤滑部に供給される。
シリンダブロック4の側面のうちオイルフィルタ13の上方(吸気マニホールド6の下
方)には、燃料を供給するための燃料供給ポンプ14を取付ける。電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する4気筒分の各インジェクタ15をディーゼルエンジン1に設ける。各インジェクタ15に、燃料供給ポンプ14及び円筒状のコモンレール16及び燃料フィルタ(図示省略)を介して、作業車両に搭載される燃料タンク(図示省略)を接続する。
前記燃料タンクの燃料が燃料供給ポンプ14からコモンレール16に圧送され、高圧の燃料がコモンレール16に蓄えられる。各インジェクタ15の燃料噴射バルブをそれぞれ開閉制御することによって、コモンレール16内の高圧の燃料が各インジェクタ15からディーゼルエンジン1の各気筒に噴射される。
シリンダブロック4の前面左寄りの部位には、冷却水循環用の冷却水ポンプ21が冷却ファン9のファン軸と同軸状に配置されている。クランク軸3の回転にて、冷却ファン駆動用Vベルト22を介して、冷却ファン9と共に冷却水ポンプ21が駆動される。作業車両に搭載されるラジエータ24内の冷却水が、冷却水ポンプ21の駆動にて、冷却水ポンプ21に供給される。そして、シリンダブロック4及びシリンダヘッド5に冷却水が供給され、ディーゼルエンジン1を冷却する。なお、冷却水ポンプ21の左側方にはオルタネータ23が設けられている。
シリンダブロック4の左右側面に機関脚取付け部19がそれぞれ設けられている。各機関脚取付け部19には、防振ゴム35を有するとともに機体フレーム94の左右側壁に連結された機関脚体34がそれぞれボルト締結される。ディーゼルエンジン1は、各機関脚体34を介して、上記ホイルローダ211等の作業車両における走行機体216の機体フレーム94に防振支持される。これにより、ディーゼルエンジン1の振動が、機体フレーム94へ伝達することを抑止できる。
さらに、EGR装置26(排気ガス再循環装置)を説明する。上向きに突出する吸気マニホールド6の入口部に、EGR装置26(排気ガス再循環装置)を介してエアクリーナ32を連結する。新気(外部空気)が、エアクリーナ32から、EGR装置26を介して吸気マニホールド6に送られる。
EGR装置26は、ディーゼルエンジンの排気ガスの一部(排気マニホールドからのEGRガス)と新気(エアクリーナ32からの外部空気)とを混合させて吸気マニホールド6に供給するEGR本体ケース27(コレクタ)と、エアクリーナ32に吸気管33を介してEGR本体ケース27を連通させる吸気スロットル部材28と、排気マニホールド7にEGRクーラ29を介して接続される還流管路としての再循環排気ガス管30と、再循環排気ガス管30にEGR本体ケース27を連通させるEGRバルブ部材31とを備えている。
すなわち、吸気マニホールド6と新気導入用の吸気スロットル部材28とがEGR本体ケース27を介して接続されている。そして、EGR本体ケース27には、排気マニホールド7から延びる再循環排気ガス管30の出口側が連通している。EGR本体ケース27は長筒状に形成されている。吸気スロットル部材28は、EGR本体ケース27の長手方向の一端部にボルト締結されている。EGR本体ケース27の下向きの開口端部が、吸気マニホールド6の入口部に着脱可能にボルト締結されている。
また、再循環排気ガス管30の出口側が、EGRバルブ部材31を介してEGR本体ケース27に連結されている。再循環排気ガス管30の入口側は、EGRクーラ29を介して排気マニホールド7の下面側に連結されている。EGRバルブ部材31内のEGRバルブ(図示省略)の開度を調節することにより、EGR本体ケース27へのEGRガスの供
給量を調節する。
上記の構成により、エアクリーナ32から吸気スロットル部材28を介してEGR本体ケース27内に新気(外部空気)を供給する一方、排気マニホールド7からEGRバルブ部材31を介してEGR本体ケース27内にEGRガス(排気マニホールドから排出される排気ガスの一部)を供給する。エアクリーナ32からの新気と、排気マニホールド7からのEGRガスとが、EGR本体ケース27内で混合された後、EGR本体ケース27内の混合ガスが吸気マニホールド6に供給される。すなわち、ディーゼルエンジン1から排気マニホールド7に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド6からディーゼルエンジン1に還流されることによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン1からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減される。
上記のようにEGRクーラ29が配置されるとき、排気マニホールド7にEGRガス取出し管61を一体的に形成する。また、排気マニホールド7に管継ぎ手部材62をボルト締結する。EGRクーラ29のEGRガス入口部をEGRガス取出し管61にて支持すると共に、再循環排気ガス管30を接続する管継ぎ手部材62にて、EGRクーラ29のEGRガス出口部を支持することにより、EGRクーラ29はシリンダブロック4(具体的には左側面)から離間して配置される。
また、排気マニホールド7の排気出口71を前方に向けて開口し、排気マニホールド7の下方に、EGRガス冷却用のEGRクーラ29を配置している。従って、エンジン1の一側面に沿わせて、排気マニホールド7とEGRクーラ29をコンパクトに設置できる。そして、ディーゼルエンジン1の右側方(排気マニホールド7側)に、EGRクーラ29に冷却水ポンプ21を接続する冷却水配管経路を設ける。これにより、冷却水ポンプ21からの冷却水は、ディーゼルエンジン1の水冷部に供給されるだけでなく、その一部をEGRクーラ29に送るように構成されている。
すなわち、冷却水ポンプ21と連結する戻りホース75に合金製中間パイプ76の一端側を接続し、合金製中間パイプ76の他端側に可とう性ホース76aを介して接続される。そして、EGRクーラ29の冷却水取入れ口が冷却水取出しホース79を介してシリンダブロック4に接続されている。従って、冷却水ポンプ21からの冷却水の一部が、シリンダブロック4からEGRクーラ29に供給され、循環する。
ラジエータ24は、ディーゼルエンジン1の後方において、冷却ファン9と対向する位置に、ファンシュラウド(図示省略)を介して配置される。このラジエータ24は、その上側が防振ゴム59を有する上部支持ブラケット57を介して機体フレーム94の左右側壁部と連結されて、防振支持される。すなわち、上部支持ブラケット57が、機体フレーム94の左右側壁部に固着された支持部材95,96とボルト締結され、機体フレーム94の左右側壁部の上側を架橋するように固定される。ラジエータ24は、その上面が上部支持ブラケット57に接続されることで、防振ゴム59を介して防振支持される。また、ラジエータ24の前面には、冷却ファン9と対向するよう、オイルクーラ25が配置される。
このように、ラジエータ24及びオイルクーラ25は、ディーゼルエンジン1の後方の冷却ファン9に対向する位置において、その放熱量が小さい順に、冷却風の吐き出し方向に向けて一列に配置される。従って、冷却ファン9が回転駆動することで、ディーゼルエンジン1後方から外気を吸引することにより、熱交換器であるラジエータ24及びオイルクーラ25はそれぞれ、外気(冷却風)が吹き付けられ、空冷されることになる。
エアクリーナ32は、その一端側が吸気スロットル部材28の吸気口と連結する吸気管
33の他端側と連結する。この吸気管33がディーゼルエンジン1の後方に向かって延設されることで、エアクリーナ32は、ディーゼルエンジン1の左側後方に配置される。すなわち、エアクリーナ32は、ディーゼルエンジン1の後方に配置されるラジエータ24の左側に配置されることとなる。
次いで、図6〜図10を参照して、排気ガス浄化装置2について説明する。排気ガス浄化装置2は、浄化入口管36及び浄化出口管37を有する排気ガス浄化ケース38を備える。この排気ガス浄化ケース38は、左右方向に長く延びた円筒形状に構成される。そして、排気ガス浄化ケース38の右側(排気ガス移動方向上流側)及び左側(排気ガス移動方向下流側)それぞれに、浄化入口管36及び浄化出口管37それぞれが設けられる。
また、排気ガス浄化装置2は、フライホイールハウジング10上で固定されて、シリンダヘッド5及びヘッドカバー8前方に配置される。このとき、浄化入口管36が、排気ガス浄化ケース38における円筒形状側面の右側後方に設けられる。そして、排気マニホールド7の排気出口71は、フライホイールハウジング10と再循環排気ガス管30との間に配置され、前方に向かって排気ガスを排気するよう開口している。この排気マニホールド7の排気出口71に対して、排気ガス浄化装置2の排気ガス取入れ側である浄化入口管36が着脱可能にボルト締結される。一方、浄化出口管37は、排気ガス浄化ケース38の円筒形状側面の左側下方に設けられ、テールパイプ135が接続される。
このように、排気ガス浄化装置2の浄化入口管36が、排気マニホールド7内の排気ガス移動方向の延長線上に配置されることとなる。すなわち、排気マニホールド7及び浄化入口管36の内管形状はそれぞれ、排気マニホールド7内を流れる排気ガスの流れに沿うように構成されている。これにより、排気マニホールド7に流入した排気ガスが、排気マニホールド7内を通過して排気ガス浄化装置2に流入する際、この排気ガスの流れに対する障害が小さくなる。従って、排気ガス浄化装置2へ流入する排気ガスは、効率よく排気ガス浄化装置2まで流れることから、その温度を高温で維持できる。
排気ガス浄化ケース38の内部に、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒39(ガス浄化体)と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ40(ガス浄化体)とを、排気ガスの移動方向(図1の下側から上側)に直列に並べている。なお、排気ガス浄化ケース38の一側部を消音器41にて形成し、消音器41には、テールパイプ135と連結される浄化出口管37を設けている。
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒39の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ40内に一側端面(取入れ側端面)から供給される。ディーゼルエンジン1の排気ガス中に含まれた粒子状物質(PM)は、スートフィルタ40に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
また、サーミスタ形の上流側ガス温度センサ42と下流側ガス温度センサ43が、排気ガス浄化ケース38に付設される。ディーゼル酸化触媒39のガス流入側端面の排気ガス温度を、上流側ガス温度センサ42にて検出する。ディーゼル酸化触媒のガス流出側端面の排気ガス温度を、下流側ガス温度センサ43にて検出する。
さらに、排気ガス浄化ケース38に、排気ガス圧力センサとしての差圧センサ44を付設する。スートフィルタ40の上流側と下流側間の排気ガスの圧力差を、差圧センサ44にて検出する。スートフィルタ40の上流側と下流側間の排気圧力差に基づき、スートフ
ィルタ40における粒子状物質の堆積量が演算され、スートフィルタ40内の詰り状態を把握できるように構成している。
電気配線コネクタ51を一体的に設けた差圧センサ44は、ガス温度センサ42,43の電気配線コネクタ55と共に、略L字板状のセンサブラケット46に支持される。このセンサブラケット46は、出口挟持フランジ45における一方の円弧体に形成されたセンサ支持部56に、着脱可能に取り付けられる。すなわち、センサ支持部56は、浄化入口管36側から最も遠い消音側の出口挟持フランジ45の一部に形成されている。そして、円弧体のセンサ支持部56にセンサブラケット46の鉛直板部をボルト締結することによって、消音側の出口挟持フランジ45にセンサブラケット46が着脱可能に取り付けられる。なお、センサブラケット46は、出口挟持フランジ45に限らず、排気ガス浄化ケース38を組み立てる際に締結される中央挟持フランジなどの別の挟持フランジに締結されるものとしてもよい。
差圧センサ44には、上流側センサ配管47と下流側センサ配管48の一端側がそれぞれ接続される。排気ガス浄化ケース38内のスートフィルタ40を挟むように、上流側と下流側の各センサ配管ボス体49,50が排気ガス浄化ケース38に配置される。各センサ配管ボス体49,50に、上流側センサ配管47と下流側センサ配管48の他端側がそれぞれ接続される。
上記の構成により、スートフィルタ40の流入側の排気ガス圧力と、スートフィルタ40の流出側の排気ガス圧力の差(排気ガスの差圧)が、差圧センサ44を介して検出される。スートフィルタ40に捕集された排気ガス中の粒子状物質の残留量が排気ガスの差圧に比例するから、スートフィルタ40に残留する粒子状物質の量が所定以上に増加したときに、差圧センサ44の検出結果に基づき、スートフィルタ40の粒子状物質量を減少させる再生制御(例えば排気温度を上昇させる制御)が実行される。また、再生制御可能範囲以上に、粒子状物質の残留量がさらに増加したときには、排気ガス浄化ケース38を着脱分解して、スートフィルタ40を掃除し、粒子状物質を人為的に除去するメンテナンス作業が行われる。
次に、図7〜図9を参照して、排気ガス浄化装置2の取付け構造を説明する。排気ガス浄化装置2における排気ガス浄化ケース38は、下流側の出口挟持フランジ45に連結脚体(左ブラケット)80がボルト締結により着脱可能に取り付けられるとともに、固定脚体(右ブラケット)81が溶接固着される。このとき、連結脚体80の取り付けボス部が、出口挟持フランジ45の円弧体に設けられた貫通穴付きの脚体締結部に、ボルト締結されて取り付けられる。また、固定脚体81が、浄化入口管36側で、排気ガス浄化ケース38の外周面に対して溶接で固着される。すなわち、固定脚体81が、排気ガス浄化ケース38の入口側(上流側)に設置され、連結脚体80が、排気ガス浄化ケース38の出口側(下流側)に設置される。なお、連結脚体80は、出口挟持フランジ45に限らず、排気ガス浄化ケース38を組み立てる際に締結される中央挟持フランジなどの別の挟持フランジに締結されるものとしてもよい。
この排気ガス浄化ケース38の外周に設けられた連結脚体80及び固定脚体81それぞれが、フライホイールハウジング10の上面側に形成された浄化装置取付け部89にボルト締結される。つまり、排気ガス浄化装置2は、連結脚体80及び固定脚体81によって、高剛性部材であるフライホイールハウジング10上に安定的に連結支持される。従って、排気ガス浄化装置2をエンジン1の振動系に含めるものの、エンジン1の構成部品の一つとして、高剛性部品であるフライホイールハウジング10に排気ガス浄化装置2を強固に連結でき、エンジン1の振動による排気ガス浄化装置2の損傷を防止できる。エンジン1の製造場所で排気ガス浄化装置2をエンジン1に組み込んで出荷できる。また、エンジン1の排気マニホールド7に排気ガス浄化装置2を至近距離で連通できるから、排気ガス浄化装置2を適正温度に維持し易く、高い排気ガス浄化性能を維持できる。
図11及び図12を参照して、フォークリフトカー120に前記ディーゼルエンジン1を搭載した構造を説明する。図11及び図12に示す如く、フォークリフトカー120は、左右一対の前輪122及び後輪123を有する走行機体124を備えている。走行機体124には、操縦部125とエンジン1とが搭載されている。走行機体124の前側部には、荷役作業のためのフォーク126を有する作業部127が設けられている。操縦部125には、オペレータが着座する操縦座席128と、操縦ハンドル129と、エンジン1等を出力操作する操作手段や、作業部127用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。
作業部127の構成要素であるマスト130には、フォーク126が昇降可能に配置されている。フォーク126を昇降動させて、荷物を積んだパレット(図示省略)をフォーク126に上載させ、走行機体124を前後進移動させて、前記パレットの運搬等の荷役作業を実行するように構成している。
このフォークリフトカー120において、エンジン1は、操縦座席(運転座席)128の下側に配置されるとともに、フライホイールハウジング10が走行機体124の前部側に位置するように配置されている。そして、排気ガス浄化装置2がエンジン1の前方上側に配置される。すなわち、エンジン1の前方に設けたフライホイールハウジング10の上方に、排気ガス浄化装置2が配置される。また、エンジン1の後方には冷却ファン9に対峙する位置に、ラジエータ24及びオイルクーラ25が配置され、エンジン1の左側方に接続されるエアクリーナ32が、エンジン1の左側後方となるラジエータ24の左側方に配置される。
このように、操縦座席128下側及び後方に配置される、エンジン1、排気ガス浄化装置2、ラジエータ24及びエアクリーナ32は、カウンタウェイト131の上側に配置されるボンネット136によって覆われる。そして、ボンネット136は、ボンネット136内のエンジン1や排気ガス浄化装置2へ作業者がアクセス可能となるように、操縦座席128が着脱自在となり、前方上面部分が開口するように構成される。また、ボンネット136の後方についても、開閉可能に構成される。
更に、ボンネット136の前方部分には、その前面から機外の空気を冷却空気として取り入れるとともに操縦座席128後方から機外へ排出するための冷却風路(図示省略)を有する。すなわち、ボンネット136の操縦座席128直下部分において、ボンネット136内部に取り入れた冷却空気が、ボンネット136上面内壁を沿うように流れる。これにより、操縦部125において、操縦座席128下側に配置される排気ガス浄化装置2による排熱の影響を低減できる。
上述のように、ディーゼルエンジン1は、クランク軸3の向きが作業部127とカウンタウェイト131とが並ぶ前後方向に沿うように、ディーゼルエンジン1が配置されている。フライホイールハウジング10の前面側にはミッションケース132が連結されている。ディーゼルエンジン1からフライホイール11を経由した動力は、ミッションケース132にて適宜変速され、前輪122及び後輪123やフォーク126の油圧駆動源133に伝達されることになる。
なお、本願発明は、前述の実施形態(第1の実施形態)に限定されるものではなく、様々な態様に具体化できる。例えば本願発明に係るエンジン装置は、前述のようなフォークリフトカー120及びホイルローダ211に限らず、コンバイン、トラクタ等の農作業機
やクレーン車等の特殊作業用車両のような各種作業機械に対して広く適用できる。また、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
以下、本願発明の別の実施形態(第2の実施形態)における作業機械について、ホイルローダを一例に挙げて説明する。本実施形態のホイルローダ211は、第1の実施形態と同様、図1〜図4の構成を備えるものである一方、そのボンネット220内部における冷却風路233の構成(図5参照)が異なる。従って、以下では、ボンネット220内の冷却風路233の構成について、図13に基づいて説明する。なお、図13に示す構成において、図5と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付している。
図13に示すように、本実施形態におけるホイルローダ211は、ボンネット220内において、シートフレーム221前面より後方に向かって遮熱板251を延設させる。遮熱板251は、排気ガス浄化装置2の前方から上方を覆うように、シートフレーム221前方下側から後方上側に向かって屈曲した構成を有する。そして、遮熱板251の前端が、シートフレーム221前面と、最下位置の吸気口231よりも下側で固着されることで、遮熱板251がボンネット220内部で固定される。一方、遮熱板251の後端は、ディーゼルエンジン1のヘッドカバー8の上部に位置する。
すなわち、吸気口231の下方でシートフレーム221に固着させた遮熱板251は、排気ガス浄化装置2の上部で屈曲して、シートフレーム221上面の排気口232に向かって延びるように構成する。従って、この遮熱板251と、シートフレーム221の前面内壁及び上面内壁とによって、吸気口231から流入する冷却空気を排気口232に誘導する冷却風路233が形成される。また、遮熱板251が、排気ガス浄化装置2の前方及び上方を覆うことによって、冷却風路233内を流れる冷却空気により排気ガス浄化装置2が温度低下することを防止できる。
本願発明の更に別の実施形態(第3の実施形態)となる作業機械について、ホイルローダを一例に挙げて説明する。本実施形態におけるホイルローダ211は、上記第1及び第2の実施形態と同様、図1〜図4の構成を備える。また、本実施形態のホイルローダ211は、図14に示すように、第2の実施形態における遮熱板251(図13参照)と構造の異なる遮熱板252をボンネット220内に設けたものである。従って、以下では、ボンネット220内の遮熱板252の構成について、図14に基づいて説明する。なお、図14に示す構成において、図13と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付している。
図14に示すように、本実施形態におけるホイルローダ211は、ボンネット220内において、その前端及び後端それぞれがシートフレーム221前面及び上面に固着した遮熱板252を備える。遮熱板252は、第2の実施形態における遮熱板251を更に後方に延ばすとともに、その後端をシートフレーム221の上面で固着させるために屈曲した構成を備える。そして、遮熱板252の後端は、最後方に位置する排気口232よりも後方で、シートフレーム221の上面に固着している。
このように構成することで、ボンネット220内に構成される冷却風路233は、シートフレーム221内において、遮熱板252下側の空間から独立した空間として構成される。これにより、前方の吸気口231から冷却風路233に流入した冷却空気が、後方上側の排気口232まで確実に誘導されるため、操縦座席219側の冷却効果を高めることができる。また、このシートフレーム221及び遮熱板252による冷却風路233が、遮熱板252下側のディーゼルエンジン1の設置空間と別の空間で構成される。そのため、冷却風路233が、ディーゼルエンジン1の設置空間とシートフレーム221外側との
断熱層の役割を果たす。
本願発明の更に別の実施形態(第4の実施形態)となる作業機械について、ホイルローダを一例に挙げて説明する。本実施形態におけるホイルローダ211は、上記第1〜第3の実施形態と同様、図1〜図4の構成を備える。また、本実施形態のホイルローダ211は、図15に示すように、第3の実施形態における冷却風路233に電動ファン255を設けたものである。従って、以下では、ボンネット220内の冷却風路233の構成について、図15に基づいて説明する。なお、図15に示す構成において、図14と同一の目的で使用する部分については、同一の符号を付している。
図15に示すように、本実施形態におけるホイルローダ211は、ボンネット220内において、シートフレーム221と遮熱板252により構成される冷却風路233に設置された電動ファン255を備える。この電動ファン255は、吸気口231後方に配置されることで、吸気口231からの外気の流入を促進させる。これにより、冷却風路233を流れる冷却空気の流量を最適量に制御できるため、冷却風路233による操縦座席219下側への冷却効果を高めることができる。
なお、本実施形態において、冷却風路233内の電動ファン255が、吸気口231側に設けられた構成としたが、冷却風路233内に配置されるものであればよく、例えば、排気口232下側など別の位置に配置されるものとして構わない。また、本実施形態において、第1の実施形態と同様、図15の構成から遮熱板252を省いた構成としても構わない。更に、本実施形態において、第2の実施形態と同様、遮熱板252の代わりに、片持ち梁状態とした遮熱板251(図13参照)をボンネット220内に設けた構成としても構わない。