以下、図1〜図18を参照して、本願発明の第1実施形態となるエンジン装置を図面に基づいて説明する。なお、以下では、本実施形態における作業機械として、ローダ装置を作業部として備えるホイルローダを一例に挙げ、その構成の詳細を説明する。
まず、図1〜図11を参照して、本実施形態のエンジン装置について、後述のホイルローダ211(図25及び図26参照)等の作業機械に原動機として搭載されるディーゼルエンジン1を例に挙げて、以下に説明する。上記したように、ディーゼルエンジン1は、排気絞り装置65を介して接続される排気ガス浄化装置2を備える。排気ガス浄化装置2は、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減する作用を備える。
ディーゼルエンジン1は、エンジン出力用クランク軸3とピストン(図示省略)を内蔵するシリンダブロック4を備える。シリンダブロック4にシリンダヘッド5を上載している。シリンダヘッド5の左側面に吸気マニホールド6を配置する。シリンダヘッド5の右側面に排気マニホールド7を配置する。シリンダヘッド5の上側面にヘッドカバー8を配置する。シリンダブロック4の後側面に冷却ファン9を設ける。シリンダブロック4の前側面にフライホイールハウジング10を設ける。フライホイールハウジング10内にフライホイール11を配置する。クランク軸3(エンジン出力軸)にフライホイール11を軸支する。作業車両(バックホウやフォークリフト等)の作動部に、クランク軸3を介してディーゼルエンジン1の動力を取出すように構成している。
また、シリンダブロック4の下面にはオイルパン12を配置する。オイルパン12内には潤滑油が貯留されている。オイルパン12内の潤滑油は、シリンダブロック4内における左側面寄りの部位に配置されたオイルポンプ(図示省略)にて吸引され、シリンダブロック4の左側面に配置されたオイルクーラ18並びにオイルフィルタ13を介して、ディーゼルエンジン1の各潤滑部に供給される。各潤滑部に供給された潤滑油は、その後オイルパン12に戻される。オイルポンプ(図示省略)はクランク軸3の回転にて駆動するように構成されている。オイルクーラ18は冷却水にて潤滑油を冷却するためのものである。
オイルクーラ18は、図2及び図4に示すように、シリンダブロック4の左側面に、オイルパン12の上方に取り付けられている。オイルクーラ18は、その下方に冷却水配管18a,18bが接続されており、その内部を冷却水が循環する構造を有する。また、オイルクーラ18は、冷却水配管18a,18bとの冷却水配管接続部18cの上方に、オイル配管13a,13bとの接続されるオイル配管接続部18dを有する。従って、オイルクーラ18は、オイル配管13a,13bとオイル配管接続部18dで連結することでシリンダブロック4上方に配置されたオイルフィルタ13と接続する。
オイルフィルタ13は、図2〜図4に示すように、シリンダヘッド5の左側面から左側に離間させた位置に配置されている。オイルフィルタ13は、ヘッドカバー8とほぼ同一高さ位置に配置され、シリンダブロック4の左側面下側のオイルクーラ18に対して遠隔配置されている。また、オイルフィルタ13は、オイル配管13a,13bと接続するオイル配管接続部13cを上側とし、潤滑油の不純物を除くフィルタ部13dを下側とする構成を備える。すなわち、オイルフィルタ13は、ディーゼルエンジン1の左側面よりも離間させた位置に配置されるとともに、ディーゼルエンジン1の上面高さ(ヘッドカバー9上面の高さ)より高い位置で、オイル配管13a,13bと連結している。
従って、図4に示すように、ディーゼルエンジン1を機体フレーム94に搭載させたときに、機体フレーム94の外側にオイルフィルタ13を配置できる。即ち、ディーゼルエンジン1の左側面が機体フレーム94の内側面に覆われる一方で、オイルフィルタ13は、機体フレーム94の外側に配置される。そして、オイル配管13a,13bが、機体フレーム94の内側面に沿うようにして、下側から上側に向かって配管していることで、機体フレーム94の上側となる位置で、オイルフィルタ13がオイルクーラ18と連結する。これにより、オイルフィルタ13のフィルタ部13dの交換の際、作業者は、機体フレーム94の外側で作業できるため、その作業性やメンテナンス性を向上できる。
図2及び図6に示すように、シリンダブロック4の左側面のうちオイルクーラ18の上方(吸気マニホールド6の下方)には、燃料を供給するための燃料供給ポンプ14を取付ける。電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する4気筒分の各インジェクタ15をディーゼルエンジン1に設ける。各インジェクタ15に、燃料供給ポンプ14及び円筒状のコモンレール16及び燃料フィルタ(図示省略)を介して、作業車両に搭載される燃料タンク(図示省略)を接続する。
前記燃料タンクの燃料が燃料供給ポンプ14からコモンレール16に圧送され、高圧の燃料がコモンレール16に蓄えられる。各インジェクタ15の燃料噴射バルブをそれぞれ開閉制御することによって、コモンレール16内の高圧の燃料が各インジェクタ15からディーゼルエンジン1の各気筒に噴射される。
シリンダブロック4の後面右寄りの部位には、図1及び図4に示すように、冷却水循環用の冷却水ポンプ21が冷却ファン9のファン軸と同軸状に配置されている。クランク軸3の回転にて、冷却ファン駆動用Vベルト22を介して、冷却ファン9と共に冷却水ポンプ21が駆動される。作業車両に搭載されるラジエータ24内の冷却水が、冷却水ポンプ21の駆動にて、冷却水ポンプ21に供給される。そして、シリンダブロック4及びシリンダヘッド5に冷却水が供給され、ディーゼルエンジン1を冷却する。なお、冷却水ポンプ21の右側方にはオルタネータ23が設けられている。
図1及び図2に示すように、シリンダブロック4の左右側面に機関脚取付け部19がそれぞれ設けられている。各機関脚取付け部19には、防振ゴムを有するとともに機体フレーム94の左右側壁に連結された機関脚体(図示省略)がそれぞれボルト締結される。ディーゼルエンジン1は、各機関脚体(図示省略)を介して、作業車両における走行機体の機体フレーム94に防振支持される。これにより、ディーゼルエンジン1の振動が、機体フレーム94へ伝達することを抑止できる。
さらに、図1〜図8を参照して、EGR装置26(排気ガス再循環装置)を説明する。上向きに突出する吸気マニホールド6の入口部に、EGR装置26(排気ガス再循環装置)を介してエアクリーナ32(図7参照)を連結する。新気(外部空気)が、エアクリーナ32から、EGR装置26を介して吸気マニホールド6に送られる。EGR装置26は、ディーゼルエンジンの排気ガスの一部(排気マニホールドからのEGRガス)と新気(エアクリーナ32からの外部空気)とを混合させて吸気マニホールド6に供給するEGR本体ケース27(コレクタ)と、エアクリーナ32に吸気管33を介してEGR本体ケース27を連通させる吸気スロットル部材28と、排気マニホールド7にEGRクーラ29を介して接続される還流管路としての再循環排気ガス管30と、再循環排気ガス管30にEGR本体ケース27を連通させるEGRバルブ部材31とを備えている。
すなわち、吸気マニホールド6と新気導入用の吸気スロットル部材28とがEGR本体ケース27を介して接続されている。そして、EGR本体ケース27には、排気マニホールド7から延びる再循環排気ガス管30の出口側が連通している。EGR本体ケース27は長筒状に形成されている。吸気スロットル部材28は、EGR本体ケース27の長手方向の一端部にボルト締結されている。EGR本体ケース27の下向きの開口端部が、吸気マニホールド6の入口部に着脱可能にボルト締結されている。
また、再循環排気ガス管30の出口側が、EGRバルブ部材31を介してEGR本体ケース27に連結されている。再循環排気ガス管30の入口側は、EGRクーラ29を介して排気マニホールド7の下面側に連結されている。再循環排気ガス管30は、フライホイールハウジング10上方で、シリンダヘッド5の前面を迂回するように配管される。また、EGRバルブ部材31内のEGRバルブ(図示省略)の開度を調節することにより、EGR本体ケース27へのEGRガスの供給量を調節する。
上記の構成により、エアクリーナ32から吸気スロットル部材28を介してEGR本体ケース27内に新気(外部空気)を供給する一方、排気マニホールド7からEGRバルブ部材31を介してEGR本体ケース27内にEGRガス(排気マニホールドから排出される排気ガスの一部)を供給する。エアクリーナ32からの新気と、排気マニホールド7からのEGRガスとが、EGR本体ケース27内で混合された後、EGR本体ケース27内の混合ガスが吸気マニホールド6に供給される。すなわち、ディーゼルエンジン1から排気マニホールド7に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド6からディーゼルエンジン1に還流されることによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン1からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減される。
上記のようにEGRクーラ29が配置されるとき、排気マニホールド7にEGRガス取出し管61を一体的に形成する。また、排気マニホールド7に管継ぎ手部材62をボルト締結する。EGRクーラ29のEGRガス入口部をEGRガス取出し管61にて支持すると共に、再循環排気ガス管30を接続する管継ぎ手部材62にて、EGRクーラ29のEGRガス出口部を支持することにより、EGRクーラ29はシリンダブロック4(具体的には左側面)から離間して配置される。
また、管継ぎ手部材62と連結された再循環排気ガス管30は、図1〜図3、及び図6〜図8に示すように、排気ガス浄化装置2の浄化入口管36の下側を潜るようにして、シリンダヘッド5前面に向かって配管される。即ち、再循環排気ガス管30と浄化入口管36とが、フライホイールハウジング10の上方で、浄化入口管36が上側となるように交差する。従って、シリンダヘッド5前方におけるフライホイールハウジング10上方では、再循環排気ガス管30がシリンダヘッド5の右側面から左側面に向かって延説される一方、浄化入口管36が、再循環排気ガス管30の上方を跨ぐように、前後方向に延説される。
このように、図1及び図9に示すように、シリンダブロック4の右側面には、排気マニホールド7の下方に、EGRガス冷却用のEGRクーラ29を配置している。従って、エンジン1の一側面に沿わせて、排気マニホールド7とEGRクーラ29をコンパクトに設置できる。そして、ディーゼルエンジン1の右側方(排気マニホールド7側)に、EGRクーラ29及び排気絞り装置65に冷却水ポンプ21を接続する冷却水配管経路を設ける。これにより、冷却水ポンプ21からの冷却水は、ディーゼルエンジン1の水冷部に供給されるだけでなく、その一部をEGRクーラ29及び排気絞り装置65に送るように構成されている。
また、図1、図3〜図5、及び図7〜図10に示すように、シリンダヘッド5の右側方において、ディーゼルエンジン1の排気圧を高める排気絞り装置65を備える。排気マニホールド7の排気出口を上向きに開口させている。排気マニホールド7の排気出口は、ディーゼルエンジン1の排気圧を調節するための排気絞り装置65を介して、エルボ状の中継管66に着脱可能に連結されている。排気絞り装置65は、排気絞り弁を内蔵する絞り弁ケース68と、排気絞り弁を開動制御するモータ(アクチュエータ)からの動力伝達機構などを内蔵するアクチュエータケース69と、絞り弁ケース68にアクチュエータケース69を連結する水冷ケース70を有する。前記動力伝達機構により、前記モータは、その回転軸が、絞り弁ケース68内の排気絞り弁の回転軸とギア等で連動可能に構成される。
排気マニホールド7の排気出口に絞り弁ケース68を上載し、絞り弁ケース68に中継管66を上載し、4本のボルトにて排気マニホールド7の排気出口体に絞り弁ケース68を介して中継管66を締結する。排気マニホールド7の排気出口体に絞り弁ケース68の下面側が固着される。絞り弁ケース68の上面側に中継管66の下面側開口部が固着される。排気ガス浄化装置2の浄化入口管36に中継管66の横向き開口部を連結する。
従って、上記した排気ガス浄化装置2に、中継管66及び排気絞り装置65を介して排気マニホールド7が接続される。排気マニホールド7の出口部から、絞り弁ケース68及び中継管66を介して排気ガス浄化装置2内に移動した排気ガスは、排気ガス浄化装置2にて浄化されたのち、浄化出口管37からテールパイプ135に移動して、最終的に機外に排出されることになる。
また、中継管66は、排気絞り装置65と排気ガス浄化装置2の排気入口管36との間となる位置に、排気マニホールド7と連結する連結支持部66xを備える。連結支持部66xは、中継管66の外周面より排気マニホールド7に向かって突出させた翼状のプレートで構成されており、排気マニホールド7の右側面で締結されている。中継管66は、排気入口を排気絞り装置65を介して排気マニホールド7の排気出口と連結するとともに、排気ガスが排気入口管36に向かって流れる管部を排気マニホールド7の側面と連結して、排気マニホールド7により支持される。従って、中継管66は、高剛性の排気マニホールド7に支持されており、中継管66を介した排気ガス浄化装置2との支持構造を高剛性に構成できる。
上記の構成により、排気ガス浄化装置2における差圧センサ44にて検出された圧力差に基づいて排気絞り装置65の前記モータを作動させることにより、スートフィルタ40の再生制御が実行される。すなわち、スート(すす)がスートフィルタ40に堆積したときは、排気絞り装置65の排気絞り弁を閉動する制御にて、ディーゼルエンジン1の排気圧を高くすることにより、ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス温度を高温に上昇させ、スートフィルタ40に堆積したスート(すす)を燃焼する。その結果、スートが消失し、スートフィルタ40が再生する。
また、負荷が小さく排気ガスの温度が低くなり易い作業(スートが堆積し易い作業)を継続して行っても、排気絞り装置65を排気圧の強制上昇にて排気昇温機構として作用させて、スートフィルタ40を再生でき、排気ガス浄化装置2の排気ガス浄化能力を適正に維持できる。また、スートフィルタ40に堆積したスートを燃やすためのバーナー等も不要になる。また、エンジン1始動時も、排気絞り装置65の制御にてディーゼルエンジン1の排気圧を高くすることにより、ディーゼルエンジン1からの排気ガスの温度を高温にして、ディーゼルエンジン1の暖機を促進できる。
上記したように、排気絞り装置65が、上向きに開口させた排気マニホールド7の排気出口に、絞り弁ケース68の排気ガス取入れ側を締結することで、中継管66が、絞り弁ケース68を介して排気マニホールド7に接続される。したがって、高剛性の排気マニホールド7に排気絞り装置65を支持でき、排気絞り装置65の支持構造を高剛性に構成できるものでありながら、例えば排気マニホールド7に中継管66を介して絞り弁ケース68を接続する構造に比べ、排気絞り装置65の排気ガス取入れ側の容積を縮小し、排気マニホールド7内の排気圧を高精度に調節できる。例えば、排気ガス浄化装置2などに供給する排気ガスの温度を、排気ガスの浄化に適した温度に簡単に維持できる。
また、排気マニホールド7の上面側に絞り弁ケース68を締結し、絞り弁ケース68の上面側にエルボ状の中継管66を締結し、排気マニホールド7に対して絞り弁ケース68と中継管66を多層状に配置し、最上層部の中継管66に排気管72を連結している。したがって、排気絞り装置65の支持姿勢を変更することなく、また中継管66の仕様を変更することなく、例えば排気ガス浄化装置2の取付け位置などに合わせて中継管66の取付け姿勢(排気管72の連結方向)を変更できる。
また、排気マニホールド7の排気出口を上向きに開口し、排気マニホールド7の上面側に絞り弁ケース68を設け、絞り弁ケース68の上面側に絞り弁ガス出口を形成すると共に、絞り弁ケース68の下方に、排気マニホールド7を挟んで、EGRガス冷却用のEGRクーラ29を配置している。したがって、エンジン1の一側面に沿わせて、排気マニホールド7と、排気絞り装置65と、EGRクーラ29をコンパクトに設置できる。
このように、ディーゼルエンジン1は、排気絞り装置65の上面側に中継管66を締結し、排気マニホールド7に対して排気絞り装置65と中継管66を多層状に配置し、最上層部の中継管66に排気絞り装置65の排気ガス入口を連結している。従って、排気マニホールド7と排気ガス浄化装置2の間に、排気絞り装置65をコンパクトに近接配置でき、限られたエンジン設置スペースに排気絞り装置65をコンパクトに組付けることができる。また、中継管66の形状を変更するだけで排気ガス浄化装置2を所定位置に容易に配置できる。
ディーゼルエンジン1の右側方(排気マニホールド7側)に設けた冷却水配管経路について、説明する。冷却水ポンプ21に一端が接続された冷却水戻りホース(冷却水ポンプ吸入側配管)75の他端に、水冷ケース70の冷却水出口管76を接続する。水冷ケース70の冷却水入口管77と一端が接続された中継ホース(EGRクーラ吐出側配管)78の他端に、EGRクーラ29の冷却水排水口を接続する。そして、EGRクーラ29の冷却水取入れ口が冷却水取出しホース(EGRクーラ吸入側配管)79を介してシリンダブロック4に接続されている。
即ち、冷却水ポンプ21に、EGRクーラ29及び排気絞り装置65が直列に接続されている。そして、前記各ホース75,78,79などにて形成する冷却水流通経路中では、冷却水ポンプ21とEGRクーラ29の間に排気絞り装置65が配置される。EGRクーラ29の下流側に、排気絞り装置65が位置している。冷却水ポンプ21からの冷却水の一部は、シリンダブロック4からEGRクーラ29を介して排気絞り装置65に供給され、循環することになる。
また、水冷ケース70は、冷却水出口管76及び冷却水入口管77それぞれを、その背面側(ファン9側)から冷却水ポンプ21に向かって突出させている。即ち、冷却水出口管76及び冷却水入口管77の先端が冷却水ポンプ21に向くように、水冷ケース70が絞り弁ケース68よりも後側(ファン9側)に配置される。これにより、水冷ケース70の冷却水出口管76を冷却水ポンプ21に接近させて配置でき、戻りホース75を短尺に形成できる。そして、冷却水出口管76が、冷却水入口管77の上側(排気絞り出口側)に配置されている。
上述のように、クランク軸3を挟んで、吸気マニホールド6側にオイルクーラ18が、排気マニホールド7側に後述するEGRクーラ29がそれぞれ配置されている。すなわち、平面視において、ディーゼルエンジン1のクランク軸3を挟んで吸気マニホールド6側にオイルクーラ18が配置されており、排気マニホールド7側にEGRクーラ29が配置されているから、EGRクーラ29用の冷却水流通系統とオイルクーラ18用の冷却水流通系統とが、クランク軸3を挟んで左右両側に振り分けられることになる。このため、それぞれの冷却水流通系統の配置が分かり易く、組付け作業性やメンテナンス性を向上できる。
排気絞り装置65は、絞り弁ケース68における排気絞り弁の回転軸線方向(アクチュエータケース69内におけるモータの回転軸線方向)65aがヘッドカバー8の右側面に沿って平行となるように、ヘッドカバー8の右側面から離間させて配置されている。即ち、排気絞り装置65において、ヘッドカバー8の右側面に最近接する水冷ケース70の左端面が、ヘッドカバー8の右側面に対して離間した状態で平行となる。従って、ヘッドカバー8の右側面と排気絞り装置65の内側面(左側面)との間には、間隙8aが形成される。なお、排気絞り装置65において、水冷ケース70の右端面がヘッドカバー8の右側面から最も離れた位置となる。
排気絞り装置65は、機体フレーム94に対設する外側面(右側面)を、同じく機体フレーム94に対設する排気ガス浄化装置2の一側面(右側面)と面一に形成している。すなわち、排気ガス浄化装置2の排気入口側端面(右側面)と排気絞り装置65の外側面(右側面)とが、機体フレーム94の内側で面一となる。これにより、機体フレーム94にてディーゼルエンジン1を囲むエンジンルーム構造を簡単に構成できるものでありながら、排気ガス浄化装置2が配置されたディーゼルエンジン1の組付け作業性を容易に向上できる。
また、面一に形成される排気ガス浄化装置2の一側面(右側面)と排気絞り装置65の外側面(右側面)に対して、オルタネータ23の外側面(右側面)も同様に面一に形成している。すなわち、オルタネータ23の機体フレーム94に対設する外側面(右側面)を、同じく機体フレーム94に対設する排気ガス浄化装置2の一側面(右側面)と面一に形成している。これにより、機体フレーム94の平坦な垂直状壁面に対面させて、排気ガス浄化装置2の一側面と排気絞り装置65の外側面とオルタネータ23の外側面をコンパクトに近接配置でき、限られたエンジンルームスペースにディーゼルエンジン1をコンパクトに組付けることができる。
排気絞り装置65は、平面視(上面視)において、排気ガス浄化装置2の浄化入口管36に対して外側(右側)にオフセットさせた位置に配置される。すなわち、絞り弁ケース68が、排気ガス浄化装置2の浄化入口管36に対して機体フレーム94に近い位置にオフセットさせて、配置されている。これに伴い、中継管66は、平面視(上面視)において、排気入口側(排気絞り装置65側)を排気出口側(排気ガス浄化装置2側)よりも外側(右側)とするS字形状を有する。
排気絞り装置65において、アクチュエータケース69が絞り弁ケース68に対して右側に配置され、水冷ケース70の後端左側に、冷却水出口管76及び冷却水入口管77が上下に配置されている。すなわち、水冷ケース70の背面側(ファン9側)において、アクチュエータケース69の左側面とヘッドカバー8の右側面との間に、冷却水戻りホース75及び冷却水中継ホース78を配管させるのに十分な空間を確保できる。従って、冷却水戻りホース75及び冷却水中継ホース78が機械振動にてエンジン本体と接触して損傷するのを容易に防止できる。
図1、図3、図4、図7、図9、及び図10に示す如く、排気マニホールド7は、圧力取出し口83に排気圧センサパイプ85を接続した構成を備える。すなわち、排気マニホールド7の上面に設けられた圧力取り出し口83は、ヘッドカバー8の右側面に沿って延設された排気圧センサパイプ85の一端と接続されている。また、ヘッドカバー8の後端側(冷却水ポンプ21側)に、排気圧力センサ84が設置されており、この排気圧力センサ84が、可とう性ゴムホースなどで構成される排気圧ホース86(接続部品)を介して、排気圧センサパイプ85の他端と接続される。
すなわち、排気圧センサパイプ85は、ヘッドカバー8と排気絞り装置65との間の間隙8aを通過するように延設している。従って、排気マニホールド7の圧力取り出し口83から排気圧力センサ84までの接続経路を他の構成部品を迂回させることなく、排気圧センサパイプ85を短尺に形成でき、排気圧センサパイプ85及び接続部品の防振構造を簡略化できる。また、間隙8aは、ヘッドカバー8に最も近接する水冷ケース70の左端面とヘッドカバー8との間の空間も確保されている。そのため、冷却水配管(冷却水戻りホース75及び冷却水中継ホース78を排気圧センサパイプ85に対して間隔をおいて並設できる。従って、上記冷却水配管が機械振動にてエンジン本体と接触して損傷するのを容易に防止できる。
圧力取り出し口83は、排気マニホールド7の上面において、シリンダヘッド5と中継管66の間となる位置に配置されている。また、図3に示すように、排気マニホールド7の上面には、圧力取り出し口83よりも外側(中継管66側)に、排気マニホールド7内の排気ガス温度を測定するガス温度センサ82が付設されている。ガス温度センサ82の電気配線87は、図2、図3、及び図6〜図8に示すように、ヘッドカバー8の前端(フライホイール9側)上部を通過させて、左側面のコネクタに接続されている。
図6及び図7に示すように、ラジエータ24は、ディーゼルエンジン1の後方において、冷却ファン9と対向する位置に、ファンシュラウド(図示省略)を介して配置される。また、ラジエータ24の前面には、冷却ファン9と対向するよう、オイルクーラ25が配置される。このように、ラジエータ24及びオイルクーラ25は、ディーゼルエンジン1の後方の冷却ファン9に対向する位置において、その放熱量が小さい順に、冷却風の吐き出し方向に向けて一列に配置される。従って、冷却ファン9が回転駆動することで、ディーゼルエンジン1後方から外気を吸引することにより、熱交換器であるラジエータ24及びオイルクーラ25はそれぞれ、外気(冷却風)が吹き付けられ、空冷されることになる。
次いで、図1〜図3、図5〜図9、及び図11〜図14を参照して、排気ガス浄化装置2について説明する。排気ガス浄化装置2は、浄化入口管36及び浄化出口管37を有する排気ガス浄化ケース38を備える。この排気ガス浄化ケース38は、左右方向に長く延びた円筒形状に構成される。そして、排気ガス浄化ケース38の右側(排気ガス移動方向上流側)及び左側(排気ガス移動方向下流側)それぞれに、浄化入口管36及び浄化出口管37それぞれが設けられる。
また、排気ガス浄化装置2は、フライホイールハウジング10上で固定されて、シリンダヘッド5及びヘッドカバー8前方に配置される。このとき、浄化入口管36が、排気ガス浄化ケース38における円筒形状側面の右側後方に設けられる。そして、浄化入口管36は、再循環排気ガス管30を跨ぐように、後方に向かって斜め上方に屈曲した形状とされ、中継管66と着脱可能にボルト締結される。一方、浄化出口管37は、排気ガス浄化ケース38の円筒形状側面の左側下方に設けられ、テールパイプ135が接続される。
排気ガス浄化ケース38の内部に、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒39(ガス浄化体)と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ40(ガス浄化体)とを、排気ガスの移動方向に沿って直列に並べている。なお、排気ガス浄化ケース38の一側部を消音器41にて形成し、消音器41には、テールパイプ135と連結される浄化出口管37を設けている。
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒39の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ40内に一側端面(取入れ側端面)から供給される。ディーゼルエンジン1の排気ガス中に含まれた粒子状物質(PM)は、スートフィルタ40に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
また、サーミスタ形の上流側ガス温度センサ42と下流側ガス温度センサ43が、排気ガス浄化ケース38に付設される。ディーゼル酸化触媒39のガス流入側端面の排気ガス温度を、上流側ガス温度センサ42にて検出する。ディーゼル酸化触媒のガス流出側端面の排気ガス温度を、下流側ガス温度センサ43にて検出する。
さらに、排気ガス浄化ケース38に、排気ガス圧力センサとしての差圧センサ44を付設する。スートフィルタ40の上流側と下流側間の排気ガスの圧力差を、差圧センサ44にて検出する。スートフィルタ40の上流側と下流側間の排気圧力差に基づき、スートフィルタ40における粒子状物質の堆積量が演算され、スートフィルタ40内の詰り状態を把握できるように構成している。
電気配線コネクタ51を一体的に設けた差圧センサ44は、ガス温度センサ42,43の電気配線コネクタ55と共に、略L字板状のセンサブラケット(センサ支持体)46に支持される。このセンサブラケット46は、出口挟持フランジ45における一方の円弧体に形成されたセンサ支持部56に、着脱可能に取り付けられる。すなわち、センサ支持部56は、浄化入口管36側から最も遠い消音側の出口挟持フランジ45の一部に形成されている。そして、円弧体のセンサ支持部56にセンサブラケット46の鉛直板部をボルト締結することによって、消音側の出口挟持フランジ45にセンサブラケット46が着脱可能に取り付けられる。なお、センサブラケット46は、出口挟持フランジ45に限らず、排気ガス浄化ケース38を組み立てる際に締結される中央挟持フランジなどの別の挟持フランジに締結されるものとしてもよい。
差圧センサ44には、上流側センサ配管47と下流側センサ配管48の一端側がそれぞれ接続される。排気ガス浄化ケース38内のスートフィルタ40を挟むように、上流側と下流側の各センサ配管ボス体49,50が排気ガス浄化ケース38に配置される。各センサ配管ボス体49,50に、上流側センサ配管47と下流側センサ配管48の他端側がそれぞれ接続される。
上記の構成により、スートフィルタ40の流入側の排気ガス圧力と、スートフィルタ40の流出側の排気ガス圧力の差(排気ガスの差圧)が、差圧センサ44を介して検出される。スートフィルタ40に捕集された排気ガス中の粒子状物質の残留量が排気ガスの差圧に比例するから、スートフィルタ40に残留する粒子状物質の量が所定以上に増加したときに、差圧センサ44の検出結果に基づき、スートフィルタ40の粒子状物質量を減少させる再生制御(例えば排気温度を上昇させる制御)が実行される。また、再生制御可能範囲以上に、粒子状物質の残留量がさらに増加したときには、排気ガス浄化ケース38を着脱分解して、スートフィルタ40を掃除し、粒子状物質を人為的に除去するメンテナンス作業が行われる。
センサブラケット46に固定された差圧センサ44及びガス温度センサ42,43の電気配線コネクタ55による排気ガス測定用センサ機構は、側面視でディーゼルエンジン1の上面とほぼ面一に配置される。ディーゼルエンジン1は、排気ガス浄化装置2の上側面に排気ガスセンサ44を配置する構造であって、ディーゼルエンジン1の上面と排気ガスセンサ44の上面を側面視で面一に形成している。すなわち、差圧センサ44及びガス温度センサ42,43の電気配線コネクタ55による排気ガス測定用センサ機構が、側面視で排気出口管(中継管)66の最上部とほぼ同一高さに配置される。
次に、排気ガス浄化装置2の取付け構造を説明する。排気ガス浄化装置2における排気ガス浄化ケース38は、下流側の出口挟持フランジ45に連結脚体(左ブラケット)80がボルト締結により着脱可能に取り付けられるとともに、固定脚体(右ブラケット)81が溶接固着される。このとき、連結脚体80の取り付けボス部が、出口挟持フランジ45の円弧体に設けられた貫通穴付きの脚体締結部に、ボルト締結されて取り付けられる。また、固定脚体81が、浄化入口管36側で、排気ガス浄化ケース38の外周面に対して溶接で固着される。すなわち、固定脚体81が、排気ガス浄化ケース38の入口側(上流側)に設置され、連結脚体80が、排気ガス浄化ケース38の出口側(下流側)に設置される。なお、連結脚体80は、出口挟持フランジ45に限らず、排気ガス浄化ケース38を組み立てる際に締結される中央挟持フランジなどの別の挟持フランジに締結されるものとしてもよい。
この排気ガス浄化ケース38の外周に設けられた連結脚体80及び固定脚体81それぞれが、フライホイールハウジング10の上面側に形成された浄化装置取付け部(DPF取付け部)89にボルト締結される。つまり、排気ガス浄化装置2は、連結脚体80及び固定脚体81によって、高剛性部材であるフライホイールハウジング10上に安定的に連結支持される。従って、排気ガス浄化装置2をエンジン1の振動系に含めるものの、エンジン1の構成部品の一つとして、高剛性部品であるフライホイールハウジング10に排気ガス浄化装置2を強固に連結でき、エンジン1の振動による排気ガス浄化装置2の損傷を防止できる。エンジン1の製造場所で排気ガス浄化装置2をエンジン1に組み込んで出荷できる。また、エンジン1の排気マニホールド7に排気ガス浄化装置2を至近距離で連通できるから、排気ガス浄化装置2を適正温度に維持し易く、高い排気ガス浄化性能を維持できる。
上述したように、排気ガス浄化装置(DPF)2は、耐熱金属材料製のDPFケーシング(排気ガス浄化ケース)38に、円筒型の内側ケース(図示省略)を介して、例えば白金等のディーゼル酸化触媒39とハニカム構造のスートフィルタ40が直列に並べて収容された構造である。排気ガス浄化装置2は、支持体としてのフランジ側ブラケット脚(連結脚体)80とケーシング側ブラケット脚(固定脚体)81を介して、フライホイールハウジング10に取付けられている。この場合、フランジ側ブラケット脚80の一端側は、DPFケーシング38の外周側にフランジ45を介して着脱可能にボルト締結されている。ケーシング側ブラケット脚81の一端側は、DPFケーシング38の外周面に一体的に溶接固定されている。
一方、フランジ側ブラケット脚80の他端側は、フライホイールハウジング10の上面(DPF取付け部)に、先付けボルト90と後付けボルト91にて着脱可能に締結される。即ち、フランジ側ブラケット脚80にボルト貫通孔90a,91aを開設する。DPF取付け部89にネジ孔90b,91bを上向きに開設する。DPF取付け部89の扁平な上面にフランジ側ブラケット脚80を載せ、ネジ孔90b,91bにボルト貫通孔90a,91aを介して先付けボルト91及び後付けボルト91を締結させ、フライホイールハウジング78上面にフランジ側ブラケット脚80を介して排気ガス浄化装置2を着脱可能に固定させるように構成している。
また、ケーシング側ブラケット脚81の他端側は、フライホイールハウジング10上面のDPF取付け部89に、2本の後付けボルト91にて着脱可能に締結される。即ち、ケーシング側ブラケット脚81にボルト貫通孔91aを開設する。DPF取付け部89にネジ孔91bを上向きに開設する。DPF取付け部89の扁平な上面にケーシング側ブラケット脚81を載せ、ネジ孔91bにボルト貫通孔91aを介して後付けボルト91を締結させて、フライホイールハウジング10上面にケーシング側ブラケット脚81を介して排気ガス浄化装置2を着脱可能に固定させるように構成している。
さらに、フランジ側ブラケット脚80の他端側には、ボルト貫通孔90aに先付けボルト90を係入させるための切欠き溝92が形成されている。ディーゼルエンジン1に排気ガス浄化装置2を組付けるときに、切欠き溝92の開口部が先頭に位置するように、フランジ側ブラケット脚80の前端縁に切欠き溝92が開放されている。なお、切欠き溝92の開放縁部は、末広がり状(先広がり状)のテーパに形成されている。
上記の構成により、ディーゼルエンジン1に排気ガス浄化装置2を組付ける場合、先ず、フライホイールハウジング10上面のDPF取付け部89にネジ孔90bを介して先付けボルト90を不完全に螺着させる。DPF取付け部89上面から、フランジ側ブラケット脚80の板厚以上に先付けボルト90の頭部が離反した状態で、DPF取付け部89に先付けボルト90を支持させる。そして、作業者が両手で排気ガス浄化装置2を持上げて、先付けボルト90の頭部に切欠き溝92を介してフランジ側ブラケット脚80のボルト貫通孔90aを係止させ、フライホイールハウジング10上面に排気ガス浄化装置2を仮止めする。その状態で排気ガス浄化装置2から作業者が両手を離すことができる。
その後、フランジ側ブラケット脚80とケーシング側ブラケット脚81とを、3本の後付けボルト91によってフライホイールハウジング10上面のDPF取付け部89に締結させる。一方、埋込みボルト36xと入口フランジ用ナット36yを介して、中継管66に入口フランジ体36aを締結させ、中継管66に排気ガス入口管(浄化入口管)36を固着させる。
次いで、フライホイールハウジング10上面のDPF取付け部89に先付けボルト90を完全に締結させて、中継管66の排気ガス出口側とフライホイールハウジング10上面とに排気ガス浄化装置2を着脱可能に固着させ、ディーゼルエンジン1に排気ガス浄化装置2を組付ける作業を完了する。なお、DPFケーシング38の着脱方向の前面側に、切欠き溝92を介してフランジ側ブラケット脚80の前側縁にボルト差込み用のボルト貫通孔90aを開放したから、先付けボルト90を不完全な締結(半固定)姿勢に仮止め装着した状態で、DPFケーシング38を両手で持ち上げて、ディーゼルエンジン1(又は本機)の取付け部位、即ちフライホイールハウジング10上面に移動させることによって、その先付けボルト90に切欠き溝92を介してボルト貫通孔90aを係合できる。
排気ガス浄化装置2が取り付けられたディーゼルエンジン1を、その上面から視たとき、DPF取付け部89における先付けボルト90の取付け位置が、再循環排気ガス管61の配管位置と重なる。一方、DPF取付け部89における後付けボルト91の取付け位置は、再循環排気ガス管61の配管位置と重なっていない。即ち、DPF取付け部89におけるネジ孔90bは、シリンダヘッド5前方に配管される再循環排気ガス管61の下側に配置されるが、平面視において、ネジ孔91bは、再循環排気ガス管61の配管位置から外れた位置に配置される。
従って、作業者は、DPF取付け部89に先付けボルト90を仮止めする際は、再循環排気ガス管61の下側に位置するネジ孔90bに先付けボルト90に螺着させるものの、排気ガス浄化装置2の取付け前なので、ディーゼルエンジン1の前側(フライホイールハウジング10前方)から容易に取り付けることができる。そして、先付けボルト90の仮止め後、脚体(ブラケット脚)80,81の下面をDPF取付け部89の上面に沿わせることで、ディーゼルエンジン1の前側(フライホイールハウジング10前方)からシリンダヘッド5前面に向かって、排気ガス浄化装置2をスライドさせる。即ち、先付けボルト90が切欠き溝92を通るようにして、排気ガス浄化装置2をスライドさせて、DPF取付け部89上に脚体(ブラケット脚)80,81を設置する。
これにより、フランジ側ブラケット脚80のボルト貫通孔90aを先付けボルト90に係止させた状態で、排気ガス浄化装置2がDPF取付け部89上に載置される。このとき、DPF取付け部89のネジ孔91bの上側に、脚体(ブラケット脚)80,81のボルト貫通孔91aが位置することとなる。そして、作業者は、ディーゼルエンジン1の上側から、上下に重なって連通しているボルト貫通孔91a及びネジ孔91bの位置を、再循環排気ガス管61の周囲となる位置で確認できる。即ち、ボルト貫通孔91a及びネジ孔91bが、平面視で再循環排気ガス管61と重ならない位置となるため、ボルト貫通孔91a及びネジ孔91bの真上から後付けボルト91を挿入して締結できる。
上記のように組みつけるとき、作業者は、DPFケーシング38から手を離した状態で、後付ボルト91(ボルト)を締付けてフランジ側ブラケット脚80及びケーシング側ブラケット脚81を締結できる。なお、前記と逆の手順にて、排気ガス浄化装置2を取外すことができる。その結果、排気ガス浄化装置2(DPFケーシング38)は、前記各ブラケット脚80,81と中継管66とにより、高剛性部材であるフライホイールハウジング10の上部で、ディーゼルエンジン1の前部に安定良く連結支持できる。また、1人の作業者によって、ディーゼルエンジン1への排気ガス浄化装置2の着脱作業を実行できる。
このように、ディーゼルエンジン1は、排気ガスを処理する排気ガス浄化装置2を備え、ディーゼルエンジン1の上面側に排気ガス浄化装置2を配置している。そして、ディーゼルエンジン1または排気ガス浄化装置2の一方に仮止め係止体90を設け、他方に仮止め係止ノッチ92を設ける構造であって、ディーゼルエンジン1の付設部品の下方側に仮止め係止体87または仮止め係止ノッチ92を配置している。従って、付設部品から外れた位置で排気ガス浄化装置2の後付けボルト91を締結でき、排気ガス浄化装置2の着脱作業性を向上できる。
ディーゼルエンジン1は、フライホイールハウジング10上に排気ガス浄化装置2を搭載する構造であって、ディーゼルエンジン1と排気ガス浄化装置2の間に付設部品としての再循環排気ガス管61を延設している。従って、ディーゼルエンジン1の側面(正面側側面)に再循環排気ガス管61を迂回させて取付け高さをコンパクトに形成できる。そして、フライホイールハウジング10上面側に仮止め係止体90を介して排気ガス浄化装置2を仮止め支持して、締結作業性を向上できる。
また、ディーゼルエンジン1は、排気マニホールド7に排気スロットルバルブケース(絞り弁ケース)68を介して排気出口管(中継管)66を固着し、排気ガス浄化装置2の入口管36に排気出口管66を連結している。従って、排気出口管66の仕様を変更するだけで、排気ガス浄化装置2の取付け位置などを容易に変更でき、各種作業車両のエンジンルームスペースに簡単に対応させて、排気ガス浄化装置2が載置されたディーゼルエンジン1を搭載できる。
本実施形態のディーゼルエンジン1は、仕様の異なるフライホイールハウジングを交換可能に構成している。すなわち、ディーゼルエンジン1は、搭載される作業機に合わせて、上述のフライホイールハウジング10の代わりに、別の使用のフライホイールハウジングが取り付けられる。以下において、定置型作業機に搭載されるディーゼルエンジン1であって、フライホイールハウジング10と仕様の異なるフライホイールハウジング10aに交換されたものを例に挙げて、その構成の詳細を説明する。
図15に示すように、フライホイールハウジング10aは、排気ガス浄化装置2を上部に据付け可能な構成として、浄化装置取付け部(DPF取付け部)89aを上面に設けている。そして、排気ガス浄化ケース38の外周に設けられた連結脚体80及び固定脚体81それぞれが、フライホイールハウジング10aのDPF取付け部89aに取り付けられ、排気ガス浄化装置2がフライホイールハウジング10a上に載置される。フライホイールハウジング10a上の排気ガス浄化装置2は、フライホイールハウジング10上に載置する場合と同様、図12に示す構成を有しており、浄化入口管36が、中継管66aと着脱可能にボルト締結される。
中継管66aは、排気マニホールド7の排気出口に上載されている絞り弁ケース68に上載されており、4本のボルトにて排気マニホールド7の排気出口体に絞り弁ケース68を介して締結されている。また、絞り弁ケース68の上面側に中継管66aの下面側開口部が固着され、排気ガス浄化装置2の浄化入口管36に中継管66aの横向き開口部を連結している。また、中継管66aは、排気絞り装置65と排気ガス浄化装置2の排気入口管36との間となる位置に、排気マニホールド7と連結する連結支持部66xを備える。
このとき、ディーゼルエンジン1は、排気ガス浄化装置2の上側面に排気ガスセンサ44を配置する構造であって、ディーゼルエンジン1の上面と排気ガスセンサ44の上面を側面視で面一に形成している。すなわち、差圧センサ44及びガス温度センサ42,43の電気配線コネクタ55による排気ガス測定用センサ機構が、側面視で排気出口管(中継管)66aの最上部とほぼ同一高さに配置される。
フライホイールハウジング10aの前後方向の幅D2は、図16(b)に示すように、図16(a)に示すフライホイールハウジング10の前後方向の幅D1よりも長い。また、フライホイールハウジング10aにおけるDPF取付け部89aの前後幅は、図16(b)に示すように、固定脚体(右ブラケット)81の前後方向長さと略同等の長さとし、固定脚体81の前端縁(シリンダヘッド5側端縁)を、DPF取付け部89aの前端縁近傍に位置させている。
一方、フライホイールハウジング10上に排気ガス浄化装置2を上載した場合も、図16(a)のように、固定脚体81の前端縁とDPF取付け部89の前端縁とをほぼ一致させている。従って、フライホイールハウジング10,10aのいずれに排気ガス浄化装置2をした場合においても、排気ガス浄化装置2と排気マニホールド7との前後方向における相対位置は変化しない。すなわち、フライホイールハウジング10aを具備するディーゼルエンジン1における、絞り弁ケース68の排気出口側の中心線と浄化入口管36の排気入口との前後方向の距離が、フライホイールハウジング10を具備するディーゼルエンジン1における、絞り弁ケース68の排気出口側の中心線と浄化入口管36の排気入口との前後方向の距離Lと同一距離となる。
また、図16(a)及び(b)に示すように、フライホイールハウジング10a上側のDPF取付け部89aの高さH3が、フライホイールハウジング10上側のDPF取付け部89の高さH1よりも高い。従って、図16(b)に示すフライホイール10a上の排気ガス浄化装置2は、図16(a)に示すフライホイール10上の排気ガス浄化装置2と比較して、排気マニホールド7との相対高さが高い位置となる。すなわち、フライホイールハウジング10aを具備するディーゼルエンジン1における、絞り弁ケース68の排気出口と浄化入口管36の排気入口側の中心線との上下方向の距離H4が、フライホイールハウジング10を具備するディーゼルエンジン1における、絞り弁ケース68の排気出口と浄化入口管36の排気入口側の中心線との上下方向の距離H2よりも長くなる。
フライホイールハウジング10上の排気ガス浄化装置2と連結する中継管66は、その排気ガス入口が排気ガス出口と略同等の高さとなることから、図16(a)のようなU字形状で構成される。一方、フライホイールハウジング10a上の排気ガス浄化装置2と連結する中継管66aは、その排気ガス入口が排気ガス出口よりも低い位置となることから、図16(b)のようなL字形状で構成される。また、図16(a)及び(b)に示すように、中継管66,66aの最上部は、側面視でほぼ同一高さとなる。
フランジ側ブラケット脚80は、図17及び図18に示すように、フライホイールハウジング10aのDPF取付け部89aに、先付けボルト90と後付けボルト91にて着脱可能に締結される。すなわち、フランジ側ブラケット脚80に2つのボルト貫通孔90a,91aを前後に並べて開設し、DPF取付け部89にネジ孔90b,91bを前後に並べて上向きに開設する。そして、DPF取付け部89aに上載されたフランジ側ブラケット脚80は、ネジ孔90b,91bにボルト貫通孔90a,91aを介して先付けボルト91及び後付けボルト91を締結させて、固定されている。
また、ケーシング側ブラケット脚81は、図17及び図18に示すように、フライホイールハウジング10aのDPF取付け部89aに、2本の後付けボルト91にて着脱可能に締結される。ケーシング側ブラケット脚81に左右に並んだ2つのボルト貫通孔91aと、一方のボルト貫通孔91aの前方に配置されるボルト貫通孔91aaを開設する。DPF取付け部89に前後に並んだネジ孔91b,91baを上向きに開設する。そして、DPF取付け部89aに上載されたケーシング側ブラケット脚81は、ネジ孔91b,91baにボルト貫通孔91a,91aaを介して後付けボルト91を締結させて、固定されている。
さらに、フランジ側ブラケット脚80の他端側には、ボルト貫通孔90aに先付けボルト90を係入させるための切欠き溝92が形成されている。ディーゼルエンジン1に排気ガス浄化装置2を組付けるときに、切欠き溝92の開口部が先頭に位置するように、フランジ側ブラケット脚80の前端縁に切欠き溝92が開放されている。なお、切欠き溝92の開放縁部は、末広がり状(先広がり状)のテーパに形成されている。
上記の構成により、ディーゼルエンジン1に排気ガス浄化装置2を組付ける場合、先ず、フライホイールハウジング10a上面のDPF取付け部89aにネジ孔90bを介して先付けボルト90を不完全に螺着させる。そして、作業者が両手で排気ガス浄化装置2を持上げて、先付けボルト90にフランジ側ブラケット脚80のボルト貫通孔90aを係止させ、フライホイールハウジング10aに排気ガス浄化装置2を仮止めする。その後、フランジ側ブラケット脚80とケーシング側ブラケット脚81とを、3本の後付けボルト91によってDPF取付け部89aに締結させる。
一方、埋込みボルト36xと入口フランジ用ナット36yを介して、中継管66aに入口フランジ体36aを締結させ、中継管66aに排気ガス入口管(浄化入口管)36を固着させる。次いで、フライホイールハウジング10上面のDPF取付け部89aに先付けボルト90を完全に締結させて、中継管66aの排気ガス出口側とフライホイールハウジング10a上面とに排気ガス浄化装置2を着脱可能に固着させ、ディーゼルエンジン1に排気ガス浄化装置2を組付ける作業を完了する。
本願発明の第2実施形態となるエンジン装置について、図19〜図24を参照して、後述の定置型作業機等の作業機械に原動機として搭載されるディーゼルエンジン1aを例に挙げて、以下に説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一の構成部品については、同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
上記したように、ディーゼルエンジン1aは、排気絞り装置65を介して接続される排気ガス浄化装置2を備える。排気ガス浄化装置2は、ディーゼルエンジン1aの排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン1aの排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減する作用を備える。ディーゼルエンジン1aは、シリンダブロック4の前側面に、その内部にフライホイール11を配置したフライホイールハウジング10aを設ける。
シリンダブロック4の左側面において、オイルクーラ18が、オイルパン12の上方に取り付けられている。オイルクーラ18は、冷却水配管18a,18bが接続されており、その内部を冷却水が循環する構造を有する。オイルフィルタ13は、オイルクーラ18の左側に重なるようにして設置されている。すなわち、互いに左右で連結したオイルフィルタ13及びオイルクーラ18が、オイルパン12の上方となる位置で、シリンダブロック4の左側面から外側(左側)に突出するように設置される。シリンダブロック4の左側面のうちオイルフィルタ13の上方(吸気マニホールド6の下方)には、燃料を供給するための燃料供給ポンプ14を取付ける。
また、シリンダヘッド5の右側方において、ディーゼルエンジン1の排気圧を高める排気絞り装置65を備える。排気マニホールド7の排気出口を上向きに開口させている。排気マニホールド7の排気出口は、ディーゼルエンジン1の排気圧を調節するための排気絞り装置65を介して、エルボ状の中継管66bに着脱可能に連結されている。
排気マニホールド7の排気出口に絞り弁ケース68を上載し、絞り弁ケース68に中継管66bを上載し、4本のボルトにて排気マニホールド7の排気出口体に絞り弁ケース68を介して中継管66を締結する。排気マニホールド7の排気出口体に絞り弁ケース68の下面側が固着される。絞り弁ケース68の上面側に中継管66bの下面側開口部が固着される。排気ガス浄化装置2の浄化入口管36に中継管66bの横向き開口部を連結する。
従って、上記した排気ガス浄化装置2に、中継管66b及び排気絞り装置65を介して排気マニホールド7が接続される。排気マニホールド7の出口部から、絞り弁ケース68及び中継管66bを介して排気ガス浄化装置2内に移動した排気ガスは、排気ガス浄化装置2にて浄化されたのち、浄化出口管37からテールパイプ135に移動して、最終的に機外に排出されることになる。
また、中継管66bは、排気絞り装置65と排気ガス浄化装置2の排気入口管36との間となる位置に、排気マニホールド7と連結する連結支持部66xを備える。連結支持部66xは、中継管66の外周面より排気マニホールド7に向かって突出させた翼状のプレートで構成されており、排気マニホールド7の右側面で締結されている。中継管66bは、排気入口を排気絞り装置65を介して排気マニホールド7の排気出口と連結するとともに、排気ガスが排気入口管36に向かって流れる管部を排気マニホールド7の側面と連結して、排気マニホールド7により支持される。
また、排気マニホールド7の上面側に絞り弁ケース68を締結し、絞り弁ケース68の上面側にエルボ状の中継管66bを締結し、排気マニホールド7に対して絞り弁ケース68と中継管66bを多層状に配置し、最上層部の中継管66に排気管72を連結している。したがって、排気絞り装置65の支持姿勢を変更することなく、また中継管66bの仕様を変更することなく、例えば排気ガス浄化装置2の取付け位置などに合わせて中継管66bの取付け姿勢(排気管72の連結方向)を変更できる。
このように、ディーゼルエンジン1aは、排気絞り装置65の上面側に中継管66bを締結し、排気マニホールド7に対して排気絞り装置65と中継管66bを多層状に配置し、最上層部の中継管66bに排気絞り装置65の排気ガス入口を連結している。従って、排気マニホールド7と排気ガス浄化装置2の間に、排気絞り装置65をコンパクトに近接配置でき、限られたエンジン設置スペースに排気絞り装置65をコンパクトに組付けることができる。また、中継管66bの形状を変更するだけで排気ガス浄化装置2を所定位置に容易に配置できる。
排気絞り装置65は、絞り弁ケース68における排気絞り弁の回転軸線方向(アクチュエータケース69内におけるモータの回転軸線方向)65aがヘッドカバー8の右側面に対して斜行するように、冷却ファン9側(後方)に向かってヘッドカバー8の右側面から離間させて配置されている。従って、絞り弁ケース68の左側前端が、ヘッドカバー8の右側面に対して最近接するとともに、アクチュエータケース69の右側後端がヘッドカバー8の右側面から最も離れた位置となる。
すなわち、ディーゼルエンジン1aの右側面に対して、排気絞り装置65を平面視で斜設させ、ヘッドカバー8の右側面と排気絞り装置65の内側面(左側面)との間に、間隙8aを形成している。そのため、排気絞り装置65は、その背面側(冷却ファン9側)において、冷却水用配管(冷却水戻りホース75及び冷却水中継ホース78)との接続部(冷却水出口管76及び冷却水入口管77)を外向きに形成できる。従って、ディーゼルエンジン1の右側面に近接させて排気絞り装置65をコンパクトに支持できるものでありながら、前記冷却水用配管が機械振動にてディーゼルエンジン1と接触して損傷するのを容易に防止できる。
排気絞り装置65において、アクチュエータケース69が絞り弁ケース68に対して右側に配置され、水冷ケース70の後端左側に、冷却水出口管76及び冷却水入口管77が上下に配置されている。すなわち、水冷ケース70の背面側(ファン9側)において、アクチュエータケース69の左側面とヘッドカバー8の右側面との間に、冷却水戻りホース75及び冷却水中継ホース78を配管させるのに十分な空間を確保できる。従って、冷却水戻りホース75及び冷却水中継ホース78が機械振動にてエンジン本体と接触して損傷するのを容易に防止できる。
すなわち、排気圧センサパイプ85は、ヘッドカバー8と排気絞り装置65との間の間隙8aを通過するように延設している。従って、排気マニホールド7の圧力取り出し口83から排気圧力センサ84までの接続経路を他の構成部品を迂回させることなく、排気圧センサパイプ85を短尺に形成でき、排気圧センサパイプ85及び接続部品の防振構造を簡略化できる。また、間隙8aは、ヘッドカバー8に最も近接する水冷ケース70の左端面とヘッドカバー8との間の空間も確保されている。そのため、冷却水配管(冷却水戻りホース75及び冷却水中継ホース78)を排気圧センサパイプ85に対して間隔をおいて並設できる。従って、上記冷却水配管が機械振動にてエンジン本体と接触して損傷するのを容易に防止できる。
排気ガス浄化装置2は、支持体としてのフランジ側ブラケット脚(連結脚体)80とケーシング側ブラケット脚(固定脚体)81を介して、フライホイールハウジング10aに取付けられている。この場合、フランジ側ブラケット脚80の一端側は、DPFケーシング38の外周側にフランジ45を介して着脱可能にボルト締結されている。ケーシング側ブラケット脚81の一端側は、DPFケーシング38の外周面に一体的に溶接固定されている。
一方、フランジ側ブラケット脚80の他端側は、フライホイールハウジング10aのDPF取付け部89aに、先付けボルト90と後付けボルト91にて着脱可能に締結される。また、ケーシング側ブラケット脚81の他端側は、フライホイールハウジング10上面のDPF取付け部89aに、2本の後付けボルト91にて着脱可能に締結される。DPF取付け部89aの扁平な上面にケーシング側ブラケット脚81を載せ、ネジ孔91b,91baにボルト貫通孔91a,91aaを介して後付けボルト91を締結させて、フライホイールハウジング10a上面にケーシング側ブラケット脚81を介して排気ガス浄化装置2を着脱可能に固定させるように構成している。
さらに、フランジ側ブラケット脚80の他端側には、ボルト貫通孔90aに先付けボルト90を係入させるための切欠き溝92が形成されている。ディーゼルエンジン1に排気ガス浄化装置2を組付けるときに、切欠き溝92の開口部が先頭に位置するように、フランジ側ブラケット脚80の前端縁に切欠き溝92が開放されている。なお、切欠き溝92の開放縁部は、末広がり状(先広がり状)のテーパに形成されている。
排気ガス浄化装置2が取り付けられたディーゼルエンジン1aを、その上面から視たとき、DPF取付け部89aにおける先付けボルト90の取付け位置が、再循環排気ガス管61の配管位置と重なる。一方、DPF取付け部89aにおける後付けボルト91の取付け位置は、再循環排気ガス管61の配管位置と重なっていない。従って、作業者は、先付けボルト90の仮止め後、脚体(ブラケット脚)80,81の下面をDPF取付け部89aの上面に沿わせ設置すると、真上から後付けボルト91を挿入して締結できる。
上記したように、フライホイールハウジング10aを具備する場合を例示して、本実施形態のディーゼルエンジン1aの構成を説明した。これにより、排気絞り装置65と排気入口管36との間に接続される中継管66bは、平面視で略S字状となるとともに下向きの排気入口よりも高い位置に前向きの排気出口を配置する構成となる。この中継管66bに対して別の中継管を代用することで、第1実施形態のディーゼルエンジン1同様、本実施形態のディーゼルエンジン1aについても、フライホイールハウジング10aの代わりに、仕様の異なるフライホイールハウジング10に付け替えられる。
すなわち、本実施形態のディーゼルエンジン1aにおいて、第1実施形態のディーゼルエンジン1と同様、前後方向の厚さがフライホイールハウジング10aより薄くDPF取付け部89aよりも高さの低いDPF取付け部89が低いフライホイールハウジング10を取り付ける。このフライホイールハウジング10を具備するディーゼルエンジン1aにおいては、中継管66bの代わりに、平面視で略S字状となるとともに下向きの排気入口と同等高さに前向きの排気出口の中心線を配置する構成の中継管を、排気絞り装置65と排気入口管36との間に接続する。
このように、本実施形態のディーゼルエンジン1aは、排気マニホールド7に排気スロットルバルブケース(絞り弁ケース)68を介して排気出口管(中継管)66bを固着し、排気ガス浄化装置2の入口管36に排気出口管66bを連結している。従って、排気出口管66bの仕様を変更するだけで、排気ガス浄化装置2の取付け位置などを容易に変更でき、各種作業車両のエンジンルームスペースに簡単に対応させて、排気ガス浄化装置2が載置されたディーゼルエンジン1aを搭載できる。
以下、図25〜図28を参照して、第1実施形態におけるエンジン装置(ディーゼルエンジン1)を搭載した作業車両について、図面に基づいて説明する。図25〜図28は、作業車両としてのホイルローダの説明図である。
図25〜図28に示すホイルローダ211は、左右一対の前輪213及び後輪214を有する走行機体216を備えている。走行機体216には、操縦部217とエンジン1とが搭載されている。走行機体216の前側部には、作業部であるローダ装置212を装着し、ローダ作業を行うことが可能に構成されている。操縦部217には、オペレータが着座する操縦座席219と、操縦ハンドル218と、エンジン1等を出力操作する操作手段や、ローダ装置212用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。
ホイルローダ211の前部であって前輪213の上方には、前述したように、作業部であるローダ装置212を備えている。ローダ装置212は、走行機体216の左右両側に配置されたローダポスト222と、各ローダポスト222の上端に上下揺動可能に連結された左右一対のリフトアーム223と、左右リフトアーム223の先端部に上下揺動可能に連結されたバケット224とを有している。
各ローダポスト222とこれに対応したリフトアーム223との間には、リフトアーム223を上下揺動させるためのリフトシリンダ226がそれぞれ設けられている。左右リフトアーム223とバケット224との間には、バケット224を上下揺動させるためのバケットシリンダ228が設けられている。この場合、操縦座席219のオペレータがローダレバー(図示省略)を操作することによって、リフトシリンダ226やバケットシリンダ228が伸縮作動し、リフトアーム223やバケット224を上下揺動させ、ローダ作業を実行するように構成している。
このホイルローダ211において、エンジン1は、操縦座席219の下側で、フライホイールハウジング10が走行機体216の前部側に位置するように配置される。すなわち、エンジン1は、エンジン出力軸の向きがローダ装置212とカウンタウェイト215とが並ぶ前後方向に沿うように、エンジン1が配置されている。そして、このエンジン1の後方において、冷却ファン9の正面後側に、前方から順に、オイルクーラ25及びラジエータ24が配置される。また、エンジン1の前方上側において、フライホイールハウジング10上部に固定された排気ガス浄化装置2が配置される。
排気ガス浄化装置2は、その浄化入口管36がエンジン1右側方に設置される排気マニホールド7の排気出口71に直接接続される。この排気ガス浄化装置2は、その排気ガスの移動方向が同方向になるように設置される。すなわち、浄化入口管36より排気ガス浄化ケース38内に流入した排気ガスが、浄化ケース38内を右側から左側に向かって流れて、粒子状物質(PM)が除去される。そして、浄化された排気ガスが、排気ガス浄化装置2の左下側側面で接続されるテールパイプ135を通じて機外に放出される。
また、エンジン1は、その左側方で、新気(外部空気)を吸引するエアクリーナ32と連結する。エアクリーナ32は、エンジン1の左側後方であって、排気ガスに基づく排熱により加温される排気ガス浄化装置2から離間された位置に配置される。すなわち、エアクリーナ32は、エンジン1後方のラジエータ24の左側方であって、排気ガス浄化装置2からの熱に影響されない位置に配置される。従って、樹脂成型品などで構成されて熱的に弱いエアクリーナ32が、排気ガス浄化装置2を通過する排ガスに基づく排熱による、変形などといった影響が及ぶことを抑制できる。
このように、操縦座席219下側及び後方に配置される、エンジン1、排気ガス浄化装置2、ラジエータ24及びエアクリーナ32は、カウンタウェイト215の上側に配置されるボンネット220によって覆われる。このボンネット220は、操縦部217の床面から突起したシートフレーム(前方カバー部)221として構成されるとともに、操縦部217内の前方部分が、操縦部217の後方部分が、開閉可能なボンネットカバー229(突出カバー部)として構成される。
すなわち、エンジン1前部の上方をシートフレーム221が覆うことにより、このエンジン1前方上側に配置される排気ガス浄化装置2もシートフレーム221が覆う。一方、ボンネットカバー229が、エンジン1後部の上方から後方に向かって覆う形状を備えることで、エンジン1後方に配置されるラジエータ24及びオイルクーラ25をも覆う。
ボンネット220のシートフレーム221の上側には、操縦座席219が着脱可能に設置される。これにより、シートフレーム221から操縦座席219を離脱したときに、シートフレーム221上面が開放されるため、シートフレーム221下側のエンジン1及び排気ガス浄化装置2等について、メンテナンスが可能となる。なお、操縦座席219を着脱可能とする構成に限定されるものではなく、操縦座席219がシートフレーム221の上方で前側に傾動することで、シートフレーム221上面を開放させるものとしてもよい。このとき、図26に示す例のように、操縦座席219が固設されたシートフレーム221自体が、前側に傾動することで、エンジン1等の上側が開放されるものとしてもよい。
ボンネット220が、その前方に、上面を開口可能としたシートフレーム221を備えることで、シートフレーム221の上面を閉じたとき、シートフレーム221が、エンジン1前方上側に配置される排気ガス浄化装置2を覆う。従って、風雨等に起因しての排気ガス浄化装置2の温度低下を抑制でき、排気ガス浄化装置2を適正温度に維持し易い。また、作業者が排気ガス浄化装置2に触れるおそれを少なくできる。一方、シートフレーム221の上面を開いたとき、エンジン1前方上側が開放されるため、エンジン1前方上側に配置される排気ガス浄化装置2へのアクセスが容易になるため、メンテナンス作業が行いやすい。
一方、シートフレーム211後方において、ボンネット220は、シートフレーム221の上面よりも上方に突出させたボンネットカバー229を備える。このボンネットカバー229は、カウンタウェイト215上側に配置されることで、エンジン1後方に配置されるラジエータ24及びオイルクーラ25を覆うとともに、開閉可能に構成される。すなわち、図27に示す例のように、ボンネットカバー229の前方上側に配置されたヒンジ部230が、ボンネットカバー229を回動可能に軸支する構成とし、ボンネットカバー229を前側上方に回動させて、エンジン1後方上側が開放されるものとしてもよい。このとき、ボンネットカバー229が油圧ダンパー等を介して走行機体216と連結されることで、ボンネットカバー229を開いたときに支持される構成としてもよい。
エンジン1は、フライホイールハウジング10の前面側にミッションケース132が連結されている。エンジン1からフライホイール11を経由した動力は、ミッションケース132にて適宜変速され、前輪213及び後輪214やリフトシリンダ226及びバケットシリンダ228等の油圧駆動源133に伝達されることになる。
また、図29及び図30を参照して、フォークリフトカー120に上記ディーゼルエンジン1(第1実施形態におけるエンジン装置)を搭載した構造を説明する。図29及び図30に示す如く、フォークリフトカー120は、左右一対の前輪122及び後輪123を有する走行機体124を備えている。走行機体124には、操縦部125とエンジン1とが搭載されている。走行機体124の前側部には、荷役作業のためのフォーク126を有する作業部127が設けられている。操縦部125には、オペレータが着座する操縦座席128と、操縦ハンドル129と、エンジン1等を出力操作する操作手段や、作業部12
7用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。
作業部127の構成要素であるマスト130には、フォーク126が昇降可能に配置されている。フォーク126を昇降動させて、荷物を積んだパレット(図示省略)をフォーク126に上載させ、走行機体124を前後進移動させて、前記パレットの運搬等の荷役作業を実行するように構成している。
このフォークリフトカー120において、エンジン1は、操縦座席(運転座席)128の下側に配置されるとともに、フライホイールハウジング10が走行機体124の前部側に位置するように配置されている。そして、排気ガス浄化装置2がエンジン1の前方上側に配置される。すなわち、エンジン1の前方に設けたフライホイールハウジング10の上方に、排気ガス浄化装置2が配置される。また、エンジン1の後方には冷却ファン9に対峙する位置に、ラジエータ24及びオイルクーラ25が配置され、エンジン1の左側方に接続されるエアクリーナ32が、エンジン1の左側後方となるラジエータ24の左側方に配置される。
このように、操縦座席128下側及び後方に配置される、エンジン1、排気ガス浄化装置2、ラジエータ24及びエアクリーナ32は、カウンタウェイト131の上側に配置されるボンネット136によって覆われる。そして、ボンネット136は、ボンネット136内のエンジン1や排気ガス浄化装置2へ作業者がアクセス可能となるように、操縦座席128が着脱自在となり、前方上面部分が開口するように構成される。また、ボンネット136の後方についても、開閉可能に構成される。
上述のように、ディーゼルエンジン1は、クランク軸3の向きが作業部127とカウンタウェイト131とが並ぶ前後方向に沿うように、ディーゼルエンジン1が配置されている。フライホイールハウジング10の前面側にはミッションケース132が連結されている。ディーゼルエンジン1からフライホイール11を経由した動力は、ミッションケース132にて適宜変速され、前輪122及び後輪123やフォーク126の油圧駆動源133に伝達されることになる。
以下、図31〜図33を参照して、上記第2実施形態のエンジン装置(ディーゼルエンジン1a)を搭載した作業機について、図面に基づいて説明する。図31〜図33は、定置型作業機としてのエンジン発電機の説明図である。
図31〜図33に示す如く、定置型作業機は、機枠台251上に四角箱形の機筐252を載置する。機枠台251上面のうち機筐252の内部中央にディーゼルエンジン1を設置する。ディーゼルエンジン1a前面側の冷却ファン9設置側にラジエータ24を配置する。ディーゼルエンジン1a背面側に後述する発電機268が配置され、発電機268設置側の機筐252側壁に操作パネル部257と外気取入れ口部258を設けている。
また、ディーゼルエンジン1aの右側面側の吸気マニホールド6設置部に、外部空気を除塵・浄化するエアクリーナ32と、吸気マニホールド3からディーゼルエンジン1aの各気筒に排気ガスの一部を還流させる排気ガス再循環装置(EGR)26を設ける。排気ガス再循環装置26と吸気管44を介して、吸気マニホールド6にエアクリーナ32を接続させ、エアクリーナ32からディーゼルエンジン1aに新気を供給している。
一方、ディーゼルエンジン1aの左側面側の排気マニホールド7設置部に、排気スロットルバルブ(排気絞り装置)65を設ける。排気スロットルバルブ65を介して排気マニホールド7に、フライホイールハウジング10a上に固定された排気ガス浄化装置2の入口管36を接続させる。また、排気ガス浄化装置2がテールパイプ135に接続されており、ディーゼルエンジン1aの排気ガスは、テールパイプ135から機筐252の外部に放出される。
ラジエータ24設置側の機筐252側壁に暖気排出口部259を設けると共に、ラジエータ24設置側の機枠台251上面に、ディーゼルエンジン1a用の燃料タンク260を配置している。また、機筐252の側壁にドア270を開閉可能に設け、エアクリーナ32または排気ガス浄化ケース21のメンテナンス作業などを行う。作業者は、このドア270から機筐252内部に出入可能に構成できる。
ディーゼルエンジン1aのフライホイールハウジング10aに作業機としての発電機268を取付けている。作業者が手動操作にて継断させるPTOクラッチ269を介して、ディーゼルエンジン1aの出力軸(クランク軸)3に発電機268の駆動軸を連結させ、ディーゼルエンジン1aにて発電機268を駆動する。発電機268の電力は、電気ケーブルにて遠隔場所の電動機器などの電源として供給するように構成している。なお、発電機268と同様に、ディーゼルエンジン1aにて駆動するコンプレッサまたは油圧ポンプなどを設け、建築工事または土木工事などに使用する定置型作業機を構成することも可能である。
なお、本願発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、様々な態様に具体化できる。また、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。