以下、図1〜図17を参照して、本願発明のエンジン装置の実施形態を図面に基づいて説明する。建設機械または土木機械または農業機械または荷役機械などに原動機として搭載するディーゼルエンジン1に、連続再生式の排気ガス浄化装置2(ディーゼルパティキュレートフィルタ)を備える。排気ガス浄化装置2によって、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減するように構成している。
ディーゼルエンジン1は、エンジン出力用クランク軸3とピストン(図示省略)を内蔵するシリンダブロック4を備える。シリンダブロック4にシリンダヘッド5を上載している。シリンダヘッド5の右側面に吸気マニホールド6を配置する。シリンダヘッド5の左側面に排気マニホールド7を配置する。シリンダヘッド5の上側面にヘッドカバー8を配置する。シリンダブロック4の前側面(ディーゼルエンジン1の正面側)に冷却ファン9を設ける。シリンダブロック4の後側面(ディーゼルエンジン1の背面側)にフライホイールハウジング10を設ける。フライホイールハウジング10内にフライホイール11を配置する。
クランク軸3(エンジン出力軸)にフライホイール11を軸支する。作業車両(バックホウやフォークリフト等)の作動部に、クランク軸3を介してディーゼルエンジン1の動力を取出すように構成している。また、シリンダブロック4の下面にはオイルパン12を配置する。オイルパン12内の潤滑油は、シリンダブロック4の側面に配置されたオイルフィルタ13を介して、ディーゼルエンジン1の各潤滑部に供給される。
シリンダブロック4の側面のうちオイルフィルタ13の上方(吸気マニホールド6の下方)には、燃料を供給するための燃料供給ポンプ14を取付ける。電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する4気筒分の各インジェクタ15をディーゼルエンジン1に設ける。各インジェクタ15に、燃料供給ポンプ14及び円筒状のコモンレール16及び燃料フィルタ17を介して、作業車両に搭載される燃料タンク(図示省略)を接続する。
前記燃料タンクの燃料が燃料フィルタ17を介して燃料供給ポンプ14からコモンレール16に圧送され、高圧の燃料がコモンレール16に蓄えられる。各インジェクタ15の燃料噴射バルブをそれぞれ開閉制御することによって、コモンレール16内の高圧の燃料が各インジェクタ15からディーゼルエンジン1の各気筒に噴射される。
シリンダブロック4の前面上部には、冷却水循環用の冷却水ポンプ21が冷却ファン9のファン軸と同軸状に配置されている。クランク軸3の回転にて、冷却ファン駆動用Vベルト22を介して、冷却ファン9と共に冷却水ポンプ21が駆動される。後述する作業車両(フォークリフトカー120)に搭載されるラジエータ121内の冷却水が、冷却水ポンプ21の駆動にて、冷却水ポンプ21に供給される。そして、シリンダブロック4及びシリンダヘッド5に冷却水が供給され、ディーゼルエンジン1を冷却する。なお、冷却水ポンプ21の左側方にはオルタネータ23が設けられている。
シリンダブロック4の左右側面に機関脚取付け部24がそれぞれ設けられている。各機関脚取付け部24には、防振ゴム136を有する機関脚体137(図11参照)がそれぞれボルト締結される。ディーゼルエンジン1は、前記各機関脚体137を介して、作業車両(バックホウ、フォークリフトカー等のエンジン取付けシャーシ138)に防振支持される。
さらに、EGR装置26(排気ガス再循環装置)を説明する。上向きに突出する吸気マニホールド6の入口部に、EGR装置26(排気ガス再循環装置)を介してエアクリーナ32の新気導入管33を連結する。新気(外部空気)が、前記エアクリーナ32から、EGR装置26を介して吸気マニホールド6に送られる。
EGR装置26は、ディーゼルエンジン1の排気ガスの一部(排気マニホールド7からのEGRガス)と新気(エアクリーナ32からの外部空気)とを混合させて吸気マニホールド6に供給するEGR本体ケース27(コレクタ)と、前記エアクリーナ32にEGR本体ケース27を連通させる吸気スロットル部材28と、排気マニホールド7にEGRクーラ29を介して接続される還流管路としての再循環排気ガス管30と、再循環排気ガス管30にEGR本体ケース27を連通させるEGRバルブ部材31とを備えている。
すなわち、吸気マニホールド6と新気導入用の吸気スロットル部材28とがEGR本体ケース27を介して接続されている。そして、EGR本体ケース27には、排気マニホールド7から延びる再循環排気ガス管30の出口側が連通している。EGR本体ケース27は長筒状に形成されている。吸気スロットル部材28は、EGR本体ケース27の長手方向の一端部にボルト締結されている。EGR本体ケース27の下向きの開口端部が、吸気マニホールド6の入口部に着脱可能にボルト締結されている。
また、再循環排気ガス管30の出口側が、EGRバルブ部材31を介してEGR本体ケース27に連結されている。再循環排気ガス管30の入口側は、EGRクーラ29を介して排気マニホールド7の下面側に連結されている。EGRバルブ部材31内のEGRバルブ(図示省略)の開度を調節することにより、EGR本体ケース27へのEGRガスの供給量を調節する。
上記の構成により、前記エアクリーナ32から吸気スロットル部材28を介してEGR本体ケース27内に新気(外部空気)を供給する一方、排気マニホールド7からEGRバルブ部材31を介してEGR本体ケース27内にEGRガス(排気マニホールド7から排出される排気ガスの一部)を供給する。前記エアクリーナ32からの新気と、排気マニホールド7からのEGRガスとが、EGR本体ケース27内で混合されると共に、EGR本体ケース27内の混合ガスが吸気マニホールド6に供給される。すなわち、ディーゼルエンジン1から排気マニホールド7に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド6からディーゼルエンジン1に還流されることによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン1からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減される。
次いで、図1〜図6、図11を参照して、排気ガス浄化装置2について説明する。排気ガス浄化装置2は、浄化入口管36及び浄化出口管37を有する排気ガス浄化ケース38を備える。排気ガス浄化ケース38の内部に、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒39(ガス浄化体)と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ40(ガス浄化体)とを、排気ガスの移動方向に直列に並べている。なお、浄化出口管37には、テールパイプ135が連結される。
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒39の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ40内に供給される。ディーゼルエンジン1の排気ガス中に含まれた粒子状物質(PM)は、スートフィルタ40に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
なお、サーミスタ形の上流側と下流側の排気温センサ43(図12参照)が、排気ガス浄化ケース38に付設される。ディーゼル酸化触媒39のガス流入側端面の排気ガス温度と、ディーゼル酸化触媒のガス流出側端面の排気ガス温度を、排気温センサ43にてそれぞれ検出する。
さらに、排気ガス浄化ケース38に、排気ガス圧力センサとしての差圧センサ44(図12参照)を付設する。スートフィルタ40の上流側と下流側間の排気ガスの圧力差を、差圧センサ44にて検出する。スートフィルタ40の上流側と下流側間の排気圧力差に基づき、スートフィルタ40における粒子状物質の堆積量が演算され、スートフィルタ40内の詰り状態を把握できるように構成している。
上記の構成により、スートフィルタ40の流入側の排気ガス圧力と、スートフィルタ40の流出側の排気ガス圧力の差(排気ガスの差圧)が、差圧センサ44を介して検出される。図12の制御回路図、図13のフローチャートに示すように、スートフィルタ40に捕集された排気ガス中の粒子状物質の残留量が排気ガスの差圧に比例するから、スートフィルタ40に残留する粒子状物質の量が所定以上に増加したときに、差圧センサ44の検出結果に基づき、スートフィルタ40の粒子状物質量を減少させる再生制御(例えば排気温度を上昇させる制御)が実行される。
一方、図1、図8、図12〜図17に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気圧を高める排気絞り装置65を備える。排気マニホールド7の排気出口体7aを上向きに開口させている。排気マニホールド7の排気出口体7aは、ディーゼルエンジン1の排気圧を調節するための排気絞り装置65を介して、エルボ状の中継管66に着脱可能に連結されている。排気絞り装置65は、排気絞り弁(図示省略)を内蔵する絞り弁ケース68と、前記排気絞り弁を開動制御する電動モータ(図示省略)などを内蔵する水冷ケース70を有する。
排気出口体7aに絞り弁ケース68を上載し、絞り弁ケース68に中継管66を上載し、4本のボルト71にて排気出口体7aに絞り弁ケース68を介して中継管66を締結する。排気管72を介して浄化入口管36に中継管66の横向き開口部を連結する。従って、上記した排気ガス浄化ケース38(排気ガス浄化装置2)に、中継管66及び排気絞り装置65を介して排気マニホールド7が接続される。即ち、排気マニホールド7の出口部から、浄化入口管36を介して排気ガス浄化ケース38内に排気ガスが移動し、排気ガス浄化ケース38内にて排気ガスが浄化されると共に、浄化出口管37からテールパイプ135に排気ガスが移動して、機外に排出されることになる。
上記の構成により、前記差圧センサ44にて検出された圧力差に基づいて排気絞り装置65(電動モータ)を制御することにより、スートフィルタ40の再生制御が実行される。すなわち、スート(すす)がスートフィルタ40に堆積したときは、排気絞り装置65(排気絞り弁)を閉動する制御にて、ディーゼルエンジン1の排気圧を高くすることにより、ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス温度を高温に上昇させ、スートフィルタ40に堆積したスート(すす)を燃焼させる。その結果、スートが消失し、スートフィルタ40が再生される。
また、負荷が小さく排気ガスの温度が低くなり易い作業(スートが堆積し易い作業)を継続して行っても、排気絞り装置65による排気圧(排気温度)の強制上昇にてスートフィルタ40を再生でき、排気ガス浄化装置2の排気ガス浄化能力を適正に維持できる。また、スートフィルタ40に堆積したスートを燃やすためのバーナー等も不要になる。また、エンジン1始動時も、排気絞り装置65の制御にてディーゼルエンジン1の排気圧を高くすることにより、ディーゼルエンジン1からの排気ガスの温度を高温にして、ディーゼルエンジン1の暖機運転を促進できる。
図1〜図6に示す如く、排気マニホールド7を有するエンジン1を備え、排気マニホールド7の排気圧を排気絞り装置65にて調節するエンジン装置において、排気マニホールド7の排気出口に、排気絞り装置65の絞り弁ケース68の排気ガス取入れ側を締結し、絞り弁ケース68を介して排気マニホールド7に排気管72を接続するように構成している。したがって、高剛性の前記排気マニホールド7に排気絞り装置65を支持でき、排気絞り装置65の支持構造を高剛性に構成できるものでありながら、例えば排気マニホールド7に中継管66を介して絞り弁ケース68を接続する構造に比べ、排気絞り装置65の排気ガス取入れ側の容積を縮小し、排気マニホールド7内の排気圧を高精度に調節でき、排気ガス浄化装置2などに供給する排気ガスの温度を、排気ガスの浄化に適した温度に簡単に維持できる。
図1〜図6に示す如く、排気マニホールド7の上面側に絞り弁ケース68を締結し、絞り弁ケース68の上面側に中継管66を締結し、排気マニホールド7に対して絞り弁ケース68と中継管66を多層状に配置し、最上層部の中継管66に排気管72を連結している。したがって、排気絞り装置65の支持姿勢を変更することなく、また中継管66の仕様を変更することなく、例えば排気ガス浄化装置2の取付け位置などに合わせて中継管66の取付け姿勢(排気管72の連結方向)を変更できる。
図7〜図11を参照して、フォークリフトカー120に前記ディーゼルエンジン1を搭載した構造を説明する。図7〜図10に示す如く、フォークリフトカー120は、左右一対の前輪122及び後輪123を有する走行機体124を備えている。走行機体124には、操縦部125とディーゼルエンジン1とが搭載されている。走行機体124の前側部には、荷役作業のためのフォーク126を有する作業部127が設けられている。操縦部125には、オペレータが着座する操縦座席128と、操縦ハンドル129と、ディーゼルエンジン1等を出力操作する操作手段や、作業部127用の操作手段としてのレバー又
はスイッチ等が配置されている。
操縦ハンドル129の回転操作にて後輪123を操舵し、走行進路を変更する。一方、作業部127の構成要素であるマスト130には、フォーク126が昇降可能に配置されている。フォーク126を昇降動させて、荷物を積んだパレット(図示省略)をフォーク126に上載させ、走行機体124を前後進移動させて、前記パレットの運搬等の荷役作業を実行するように構成している。
このフォークリフトカー120において、操縦座席128の下側にディーゼルエンジン1が配置され、ディーゼルエンジン1の後方側にラジエータ121が設置されると共に、排気ガス浄化装置2がラジエータ121の後側に配置される。したがって、ディーゼルエンジン1と排気ガス浄化装置2とを接続する排気管72の中間部がラジエータ121の右側部を迂回し、ラジエータ121の前側から後ろに向かって排気管72が延びる構成となり、排気ガス浄化装置2がディーゼルエンジン1に対して遠隔配置される。また、排気ガス浄化装置2に接続するテールパイプ135は、操縦座席128の左側後方において、排気ガス浄化装置2からボンネット139の上側に延びる構成とされる。これにより、排気ガス浄化装置2から排出される排気ガスは、テールパイプ135を通過して、操縦座席128の後方上側に排出される。
ボンネット139などにて形成するエンジンルーム147内部に、ディーゼルエンジン1と、ラジエータ121と、排気ガス浄化ケース38が、前後一列状に配置される。ディーゼルエンジン1後部の冷却ファン9からラジエータ121を介して機体後方に冷却風を排出させ、ディーゼルエンジン1を冷却する構造において、ラジエータ121の後方に配置された排気ガス浄化ケース38の前面側と上下面側を囲む遮風ガイド板体148を備え、走行機体124に支持フレーム体149を介して遮風ガイド板体148を着脱可能に固着し、ラジエータ121を通過した冷却ファン9風にて排気ガス浄化ケース38が温度低下するのを防止している。
ディーゼルエンジン1は、フライホイールハウジング10が走行機体124の前部側に位置するように配置されている。即ち、エンジン出力軸74の向きが走行機体124の前後方向に向くように、ディーゼルエンジン1が配置されている。フライホイールハウジング10の前面側にはミッションケース132が連結されている。ディーゼルエンジン1からフライホイール10を経由した動力は、ミッションケース132にて適宜変速され、前輪122やフォーク126の油圧駆動源133に伝達される。ディーゼルエンジン1の出力が走行駆動軸134から前輪122に伝達され、前進または後進移動する。
図11に示す如く、走行機体124の一部を構成するエンジン取付けシャーシ138に、背面視U字状の機体後部シャーシ140を一体的に形成する。機体後部シャーシ140は、水平な底板部140aと、垂直な左右側板部140bを有する。前記排気ガス浄化ケース38のフランジ体38aに中央支脚体141の上端側をボルト締結すると共に、中央支脚体141の下端側にゴムクッション体142を被嵌させ、底板部140aの上面にゴムクッション体142を介して中央支脚体141の下端側を当接させる。
排気ガス浄化ケース38の円筒状外周面に入口管36と出口管37が配置され、左右に長い円筒状の排気ガス浄化ケース38の左右端面に左右のケース側面支持体143をボルト締結すると共に、左右の側板部140bの内面側に左右のケース受ブラケット体144をボルト締結し、左右のケース受ブラケット体144に左右のケース側面支持体143を取付け位置調節可能にボルト締結する。即ち、底板部140aの上面に中央支脚体141を介して円筒状の排気ガス浄化ケース38の左右幅中央部を支持する一方、ケース側面支持体143とケース受ブラケット体144を介して、左右の側板部140bに円筒状の排気ガス浄化ケース38の左右両端部を連結させ、機体後部シャーシ140に排気ガス浄化ケース38を着脱可能に支持する。
底板部140aに中央支脚体141を介して排気ガス浄化ケース38を支持した状態で、ケース側面支持体143とケース受ブラケット体144をボルト締結でき、機体後部シャーシ140に排気ガス浄化ケース38を簡単に組付けることができる。
図9〜図11に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気ガスを処理する排気ガス浄化ケース38を備え、ディーゼルエンジン1が搭載された本機120側に排気ガス浄化ケース38を配置するエンジン装置において、ディーゼルエンジン1などが搭載される本機フレームとしての機体後部シャーシ140を備える構造であって、機体後部シャーシ140に排気ガス浄化ケース38を上載支持する底部支持具としての中央支脚体141と、機体後部シャーシ140に排気ガス浄化ケース38を着脱可能に締結固定する側部支持具としてのケース側面支持体143及びケース受ブラケット体144を設けている。したがって、中央支脚体141にて機体後部シャーシ140に排気ガス浄化ケース38を仮止め支持させて、ケース側面支持体143及びケース受ブラケット体144を介して機体後部シャーシ140と排気ガス浄化ケース38側面の締結作業を簡単に実行でき、排気ガス浄化ケース38の組付け作業性を容易に向上できる。
図9〜図11に示す如く、排気ガス浄化ケース38の両側方と下面側を機体後部シャーシ140にて囲み、機体後部シャーシ140にこの上方から排気ガス浄化ケース38を組付け、排気ガス浄化ケース38の左右幅中央部を中央支脚体141にて支持する一方、排気ガス浄化ケースの左右両側部を、ケース側面支持体143及びケース受ブラケット体144にて支持するように構成している。したがって、機体後部シャーシ140に排気ガス浄化ケース38の三方を連結でき、排気ガス浄化ケース38の支持構造を簡単に構成できる。
図9〜図11に示す如く、排気ガス浄化ケース38の下面側に対向した機体後部シャーシ140上面、または排気ガス浄化ケース38下面の少なくともいずれか一方に中央支脚体141を配置すると共に、排気ガス浄化ケース38の左右両側に対向した機体後部シャーシ140の内側面、または排気ガス浄化ケース38左右両側面の少なくともいずれか一方にケース側面支持体143及びケース受ブラケット体144を配置している。したがって、大重量の排気ガス浄化ケース38を中央支脚体141にて簡単に支持できる。例えば、排気ガス浄化ケース38を着脱するときに、排気ガス浄化ケース38が支持位置から脱落するのを容易に防止できる。また、ケース側面支持体143及びケース受ブラケット体144を介して、機体後部シャーシ140に排気ガス浄化ケース38の両側が固着されることにより、機械振動などにて排気ガス浄化ケース38が変形損傷するのを容易に防止できる。
図1〜図11に示す如く、作業部127(フォーク126)を装設した本機(フォークリフトカー120)の側部のうち、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド7設置側と反対の側部に片寄らせてテールパイプ135を配置する構造であって、ディーゼルエンジン1の冷却ファン9に対向させて前記排気ガス浄化ケース38を配置すると共に、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド7設置側と同一の側部に前記排気ガス浄化ケース38の入口管36側を配置している。したがって、前記冷却ファン9設置部の余剰スペースを活用して、前記排気ガス浄化ケース38を簡単に組付けることができると共に、前記テールパイプ135または排気マニホールド7に前記排気ガス浄化ケース38の排気ガス出入口側を容易に接続できる。
次いで、図7、図12、図13を参照して、排気ガス浄化装置2に設けたスートフィルタ40の再生制御を説明する。図7、図12、図13に示す如く、操縦座席128を設けた車体内部にエンジンコントローラ151を配置すると共に、操縦ハンドル129を設けたハンドルコラム内部にメータコントローラ152を配置する。エンジンコントローラ151と、メータコントローラ152を、相互通信可能なランケーブルにて通信接続している。
ディーゼルエンジン1の回転数を検出する回転センサ153と、ディーゼルエンジン1の冷却水温度を検出する冷却水温センサ154と、ディーゼルエンジン1の排気ガス温度(スートフィルタ40の排気ガス入口側と出口側の温度)を検出する排気温センサ43と、スートフィルタ40の排気ガス入口側と出口側の排気ガス圧力差を検出する差圧センサ44を、コモンレール16制御機能を有するエンジンコントローラ151に入力接続する。コモンレール16の燃料噴射弁155と、吸気スロットル部材28の吸気バルブ156と、絞り弁ケース68の排気バルブ157に、エンジンコントローラ151を出力接続する。
フォークリフトカー120の走行速度を検出する車速センサ161と、ディーゼルエンジン1に供給する残燃料を検出する燃料センサ162と、駐車ブレーキ入りまたは走行クラッチ切りなどを検出するインターロック用の再生開始スイッチ163と、スートフィルタ40の再生制御を禁止する手動用の再生禁止スイッチ164と、スートフィルタ40の再生制御を許可する手動用の再生承認スイッチ165を、スートフィルタ40の再生制御機能を有するメータコントローラ152に入力接続する。メータコントローラ152に、液晶表示用のディスプレイ166と、ブザー167を出力接続する。ディスプレイ166は、フォークリフトカー120の走行速度を表示する車速メータ171と、ディーゼルエンジン1に供給する残燃料を表示する燃料メータ172と、再生禁止スイッチ164のオン操作を表示する再生禁止ランプ173と、再生承認スイッチ165のオン操作を表示する再生承認ランプ174と、ディーゼルエンジン1の排気ガス状況(排気温度または排気圧の異常)を表示する排気異常ランプ175を有する。なお、低度、中度、高度別に異常をそれぞれ表示する複数の排気異常ランプ175を設けてもよい。
図13のフローチャートに示す如く、スートフィルタ40にスートが堆積したとき、またはディーゼルエンジン1の通算運転時間が経過したとき、排気異常ランプ175が点灯して、オペレータに異常を報知すると共に、コモンレール16の燃料噴射弁155制御にて、ディーゼルエンジン1の回転数を自動的に低下させ、オペレータに異常を報知する。オペレータが再生承認スイッチ165をオン操作したとき、ディーゼルエンジン1が低回転数にて運転され、かつオペレータの作業中止操作にて再生開始スイッチ163がオン操作され、かつ再生禁止スイッチ164がオフに維持された状態で、スートフィルタ40の再生制御が開始される。スートフィルタ40の再生制御は、燃料噴射弁155の自動制御と、吸気バルブ156の自動制御と、排気バルブ157の自動制御にて実行される。
図7、図9、図12、図13に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気ガスを処理する排気ガス浄化ケース38を備え、ディーゼルエンジン1が搭載された本機としてのフォークリフトカー120側に排気ガス浄化ケース38を配置するエンジン装置において、ディーゼルエンジン1等の運転状況を表示する操作表示部としてのディスプレイ166と、ディーゼルエンジン1等を制御するエンジンコントローラ151と、排気ガス浄化ケース38の再生操作具としての再生承認スイッチ165を備える構造であって、ディスプレイ166(メータコントローラ152)に再生承認スイッチ165を電気接続したものであるから、ディスプレイ166(メータコントローラ152)または前記エンジンコントローラ151などを殆ど変更することなく、ディーゼルエンジン1または排気ガス浄化ケース38の再生制御などの運転条件に適応した再生承認スイッチ165を、オペレータが操作し易い位置に容易に配置できる。
図7、図9、図12、図13に示す如く、ディーゼルエンジン1等が内設されるエンジンルーム147内のうち、冷却風の取込み上手側にエンジンコントローラ151を配置している。したがって、ディーゼルエンジン1または排気ガス浄化ケース38などの発熱にてエンジンコントローラ151の温度が異常上昇するのを阻止でき、エンジンコントローラ151の誤作動などを容易に防止できるものでありながら、エンジンコントローラ151などの耐久性を向上できる。
図7、図9、図12、図13に示す如く、排気ガス浄化ケース38の再生が必要な運転状態に移行したとき、ディーゼルエンジン1の回転数を自動的に低下させて、オペレータに異常運転状態を報知するように構成すると共に、ディスプレイ166のメータコントローラ152と前記エンジンコントローラ151を、相互に通信可能な通信線にて接続している。したがって、オペレータが増速回転させるようにアクセル操作しても、ディーゼルエンジン1回転が低回転に維持されるから、オペレータがディーゼルエンジン1の異常運転状態をスムーズに確認できる。また、メータコントローラ152に排気ガス浄化ケース38の再生制御機能を簡単に保持させることができ、ディスプレイ166の仕様、またはエンジンコントローラ151の仕様を、少ない制限にて容易に設定できる。例えば、ディーゼルエンジン1側の仕様に殆ど制限されることなく、使用条件に適した排気ガス浄化ケース38の再生制御仕様を設定できる。排気ガス浄化ケース38の再生制御機能を向上できる。
次いで、図14〜図23を参照して、第2実施形態を示すディーゼルエンジンが搭載されたフォークリフトカー120の構造を説明する。第1実施形態では、フォークリフトカー120の左側後部(ディーゼルエンジン1の排気マニホールド7が設置された側部と反対の側部)に、テールパイプ135を立設したが、図7、図12、図13に示す如く、第2実施形態では、フォークリフトカー120の右側後部(ディーゼルエンジン1の排気マニホールド7が設置された側部)に、テールパイプ135を立設している。排気マニホールド7に排気ガス浄化ケース38を連通させる排気管72を、ラジエータ121の右側部を迂回するように、機体前後方向に延設した構造において、ボンネット139の内部でテールパイプ135の基端側を左右方向に延設している。機体前後方向に延設する排気管72と、ボンネット139内部のテールパイプ135が交叉する。排気管72の下方側にテールパイプ135を延設させ、冷却ファン9風路から外れた位置に排気管72を支持させ、排気管72内部の排気ガス温度が低下するのを防止すると共に、冷却ファン9風にてテールパイプ135を冷却し、テールパイプ135から排出される排気ガス温度を低下させている。
図1〜図11、図14〜図23に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気ガスを処理する排気ガス浄化ケース38を備え、ディーゼルエンジン1が搭載された本機としてのフォークリフトカー120側に排気ガス浄化ケース38を配置するエンジン装置において、ディーゼルエンジン1の出力軸芯線と平行な直線上に、ディーゼルエンジン1の排気ガス出口と、排気ガス浄化ケース38の排気ガス入口を配置している。したがって、エンジンルーム147の構造などに対応してディーゼルエンジン1または排気ガス浄化ケース38を設置できるものでありながら、排気ガス浄化ケース38に供給される排気ガスの温度を容易に維持でき、排気ガス浄化ケース38の排気ガス浄化機能を適正に維持できる。
図14〜図23に示す如く、作業部127(フォーク126)を装設したフォークリフトカー120(本機)の側部のうち、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド7設置側の側部に片寄らせてテールパイプ135を配置する構造であって、ディーゼルエンジン1の冷却ファン9に対向させて前記排気ガス浄化ケース38を配置すると共に、ディーゼルエンジン1の排気マニホールド7設置側と同一の側部に排気ガス浄化ケース38の入口管36側を配置し、排気マニホールド7と浄化入口管36間の排気管72の下方に排気ガス浄化ケース38の浄化出口管37(テールパイプ135)を延設している。したがって、ディーゼルエンジン1の冷却ファン9風路などから排気マニホールド7と浄化入口管36間の排気管72を離間させて配置でき、排気管72を介して排気ガス浄化ケース38に移動させる排気ガス温度を容易に維持できると共に、テールパイプ135の配置に対応させて排気ガス浄化ケース38の浄化出口管37を簡単に設置できる。また、ディーゼルエンジン1の冷却ファン9風路などに排気ガス浄化ケース38の浄化出口管37を延設させて、排気ガス温度を低減させながら浄化出口管37から機外に排出でき、テールパイプ135などが排気ガスにて加熱されるのを抑制できる。
次に、図24、図25を参照して、スキッドステアローダ211に前記ディーゼルエンジン1を搭載した構造を説明する。図24、図25に示すスキッドステアローダ211は、フォークリフトカー120と同様、左右一対の前輪213及び後輪214を有する走行機体216を備えている。走行機体216には、操縦部217とディーゼルエンジン1とが搭載されている。走行機体216の前側部には、作業部であるローダ装置212を装着し、ローダ作業を行うことが可能に構成されている。操縦部125には、オペレータが着座する操縦座席219と、操縦ハンドル218と、ディーゼルエンジン1等を出力操作する操作手段や、ローダ装置212用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。
スキッドステアローダ211の前部であって前車輪213の上方には、前述したように、作業部であるローダ装置212を備えている。ローダ装置212は、走行機体216の左右両側に配置されたローダポスト222と、各ローダポスト222の上端に上下揺動可能に連結された左右一対のリフトアーム223と、左右リフトアーム223の先端部に上下揺動可能に連結されたバケット224とを有している。
各ローダポスト222とこれに対応したリフトアーム223との間には、リフトアーム223を上下揺動させるためのリフトシリンダ226がそれぞれ設けられている。左右リフトアーム223とバケット224との間には、バケット224を上下揺動させるためのバケットシリンダ228が設けられている。この場合、操縦座席219のオペレータがローダレバー(図示省略)を操作することによって、リフトシリンダ226やバケットシリンダ228が伸縮作動し、リフトアーム223やバケット224を上下揺動させ、ローダ作業を実行するように構成している。
このスキッドステアローダ211においても、フォークリフトカー120と同様、ディーゼルエンジン1は、操縦座席219の下側に配置されると共に、排気ガス浄化装置(排気ガス浄化ケース38)2が、ディーゼルエンジン1(ラジエータ121)の後側に配置される。したがって、ディーゼルエンジン1と排気ガス浄化装置2とを接続する排気管72が、ディーゼルエンジン1(ラジエータ121)の右側から後ろに向かって延びる構成となり、排気ガス浄化装置2がディーゼルエンジン1に対して遠隔配置される。また、排気ガス浄化装置2と接続するテールパイプ135は、操縦座席219の左側後方において、排気ガス浄化装置2から上側に延びる構成とされる。これにより、排気ガス浄化装置2から排出される排気ガスは、テールパイプ135を通過して、操縦座席219の後方上側に排出される。