以下、図1〜図28を参照して、本願発明のエンジン装置及び当該エンジン装置を備える作業機械の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下では、本実施形態における作業機械として、ローダ装置を作業部として備えるホイルローダを一例に挙げ、その構成の詳細を説明する。
まず、図1〜図28を参照して、本願発明のエンジン装置について、後述のホイルローダ211(図31及び図32参照)等の作業機械に原動機として搭載されるディーゼルエンジン1を例に挙げて、以下に説明する。図1〜図10に示すように、ように、ディーゼルエンジン1は、排気絞り装置65を介して接続される排気ガス浄化装置2を備える。排気ガス浄化装置2は、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減する作用を備える。
図1〜図10に示すように、ディーゼルエンジン1は、エンジン出力用クランク軸3とピストン(図示省略)を内蔵するシリンダブロック4を備える。シリンダブロック4にシリンダヘッド5を上載している。シリンダヘッド5の左側面に吸気マニホールド6を配置する。シリンダヘッド5の右側面に排気マニホールド7を配置する。シリンダヘッド5の上側面にヘッドカバー8を配置する。シリンダブロック4の後側面に冷却ファン9を設ける。シリンダブロック4の前側面にフライホイールハウジング10を設ける。フライホイールハウジング10内にフライホイール11を配置する。クランク軸3(エンジン出力軸)にフライホイール11を軸支する。作業車両(バックホウやフォークリフト等)の作動部に、クランク軸3を介してディーゼルエンジン1の動力を取出すように構成している。
また、シリンダブロック4の下面にはオイルパン12を配置する。オイルパン12内には潤滑油が貯留されている。オイルパン12内の潤滑油は、シリンダブロック4内における左側面寄りの部位に配置されたオイルポンプ(図示省略)にて吸引され、シリンダブロック4の左側面に配置されたオイルフィルタ13を介して、ディーゼルエンジン70の各潤滑部に供給される。各潤滑部に供給された潤滑油は、その後オイルパン12に戻される。オイルポンプ(図示省略)はクランク軸3の回転にて駆動するように構成されている。
オイルフィルタ13は、図1〜図11に示すように、ヘッドカバー8よりも高い高さ位置に配置され、シリンダブロック4の左側面下側のオイルパン12に対して遠隔配置されている。オイルフィルタ13は、図3、図4、図7、及び図9〜図11に示すように、シリンダヘッド5の左側面から左側に離間させた位置に配置されている。また、オイルフィルタ13は、図2、図4〜図6、及び図9に示すように、オイル配管13a,13bと接続するオイル配管接続部13cを前方に配置し、潤滑油の不純物を除くフィルタ部13dを後方に配置した構成を備える。
オイルフィルタ13は、図1〜図11に示すように、ディーゼルエンジン1(シリンダヘッド5)の左側面よりも離間させた位置に配置されるとともに、ディーゼルエンジン1の上面高さ(ヘッドカバー9上面の高さ)より高い位置で、オイル配管13a,13bの一端と連結している。オイル配管13a,13bの他端が、オイルパン12上方に取り付けられた管連結用部材18を介してシリンダブロック4内に設けた潤滑油用油路と連結している。
オイルフィルタ13は、図1〜図11に示すように、シリンダヘッド5から上方に延設されたフィルタ支持ブラケット17と接続して、ヘッドカバー8よりも上方となる高さで後方位置(冷却ファン9寄り)に配置されている。フィルタ支持ブラケット17は、基端をシリンダヘッド5の後方側面(冷却ファン9側背面)に連結して上方に向かって延設され、上端を左側方に屈曲させて、オイルフィルタ13と連結するフィルタ固定部17aを備える。オイルフィルタ13が、フィルタ支持ブラケット17を介してシリンダヘッド5といった高剛性部品で支持されるため、振動による破損や故障を防止できる。
フィルタ支持ブラケット17は、図6〜図11に示すように、上端のフィルタ固定部17aを左側方に向かって前方に傾ける傾斜面とし、このフィルタ固定部17aにオイルフィルタ13の配管接続部13cがボルト締結される。オイルフィルタ13は、配管接続部13cをフィルタ支持ブラケット17のフィルタ固定部17aと連結することで、後方のフィルタ部13dをディーゼルエンジン1の左側方に向けて傾けるようにして、シリンダヘッド5の後方側面の上方から左速報に張り出した位置に配置される。また、フィルタ支持ブラケット17のフィルタ固定部17aは、上方に向かっても傾斜しており、フィルタ固定部17aに連結させたオイルフィルタ13のフィルタ部13d後面を上方に向けて傾斜させている。
図7に示すように、ディーゼルエンジン1を機体フレーム94に搭載させたときに、ディーゼルエンジン1の最上部よりも高い位置で機体フレーム94側にオイルフィルタ13を配置できる。そして、フィルタ部13d先端側を後方に向けるようにオイルフィルタ13を設置しているため、機体後方からのフィルタ部13dの交換作業を容易に実行できる。また、図7に示すように、オイルフィルタ13をディーゼルエンジン1のシリンダヘッド5後面近傍(冷却ファン9寄り)の位置で機体フレーム94側にオイルフィルタ13を配置できる。そして、フィルタ部13d先端側を後方左側に向けるようにオイルフィルタ13を設置しているため、機体側方からのフィルタ部13dの交換作業を容易に実行できる。従って、オイルフィルタ13のフィルタ部13dの交換の際、作業者は、機体フレーム94の外側で作業でき、その作業性やメンテナンス性を向上できる。
図2、図6、図9及び図11に示すように、オイルゲージ101が、シリンダブロック4左側面に設けられたゲージガイド管102に挿入されている。ゲージガイド管102は、シリンダブロック4左側面のオイルパン12寄りとなる位置を始端とした管形状を有しており、始端(前端)から終端(終端)に向かって上方に向かいながら後方へ湾曲するように延設される。ゲージガイド管102の始端は、シリンダブロック4左側面における管連結用部材18と前側機関脚取付け部19との間となる位置に配置される。一方、ゲージガイド管102の後端は、シリンダヘッド5の左側方であって、EGR装置26のEGRバルブ部材31後方となる位置に配置される。
図2〜図7及び図9〜図11に示すように、オイルゲージ101を、始端から終端に向かって上側後方に湾曲させたゲージガイド管102に挿入することで、オイルゲージ101の把持部103をオイルフィルタ13近傍に配置できる。これにより、オイルフィルタ13とオイルゲージ101の把持部103とを、ディーゼルエンジン1の上方で且つ左側後方に一纏めに配置できる。従って、作業者は、オイルフィルタ13におけるフィルタ部13dの交換作業やオイルゲージ101による潤滑油の点検作業といった潤滑油に掛かるメンテナンス作業を、ほぼ同一箇所から実行できるため、メンテナンス作業における煩雑さを解消できる。更には、オイルフィルタ13及びオイルゲージ101の把持部103それぞれをエアクリーナ32近傍に設けることとなり、メンテナンス時において部品毎に作業者が移動する必要がなく、メンテナンス性を更に向上できる。
図2、図6、図9及び図11に示すように、シリンダブロック4に下端を連結したゲージガイド管102は、EGR装置26左側方を横切るようにして、上方に向かって延設されており、ゲージガイド管102の中途部がEGR装置26左側面に固定されている。ゲージガイド管102の中途部を、一端がEGR本体ケース27左側面に連結したガイド固定部ブラケット104の他端側に把持させることで、ゲージガイド管102の上端が後方に向かうように、ゲージガイド管102を湾曲させて固定する。ゲージガイド管102が、シリンダブロック4及びEGR装置26といった高剛性部品で支持されるため、振動による破損や故障を防止できる。
図2及び図6に示すように、シリンダブロック4の左側面のうち管連結用部材18の上方(吸気マニホールド6の下方)には、燃料を供給するための燃料供給ポンプ14を取付ける。電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する各インジェクタ15をディーゼルエンジン1に設ける。各インジェクタ15に、燃料供給ポンプ14及び円筒状のコモンレール16及び燃料フィルタ(図示省略)を介して、作業車両に搭載される燃料タンク(図示省略)を接続する。
前記燃料タンクの燃料が燃料供給ポンプ14からコモンレール16に圧送され、高圧の燃料がコモンレール16に蓄えられる。各インジェクタ15の燃料噴射バルブをそれぞれ開閉制御することによって、コモンレール16内の高圧の燃料が各インジェクタ15からディーゼルエンジン1の各気筒に噴射される。
シリンダブロック4の後面右寄りの部位には、図1及び図4に示すように、冷却水循環用の冷却水ポンプ21が冷却ファン9のファン軸と同軸状に配置されている。クランク軸3の回転にて、冷却ファン駆動用Vベルト22を介して、冷却ファン9と共に冷却水ポンプ21が駆動される。作業車両に搭載されるラジエータ24内の冷却水が、冷却水ポンプ21の駆動にて、冷却水ポンプ21に供給される。そして、シリンダブロック4及びシリンダヘッド5に冷却水が供給され、ディーゼルエンジン1を冷却する。なお、冷却水ポンプ21の右側方にはオルタネータ23が設けられている。
図1及び図2に示すように、シリンダブロック4の左右側面に機関脚取付け部19がそれぞれ設けられている。各機関脚取付け部19には、防振ゴムを有するとともに機体フレーム94の左右側壁に連結された機関脚体(図示省略)がそれぞれボルト締結される。ディーゼルエンジン1は、各機関脚体(図示省略)を介して、作業車両における走行機体の機体フレーム94に防振支持される。これにより、ディーゼルエンジン1の振動が、機体フレーム94へ伝達することを抑止できる。
さらに、図1〜図9及び図12〜図14を参照して、EGR装置26(排気ガス再循環装置)を説明する。上向きに突出する吸気マニホールド6の入口部に、EGR装置26(排気ガス再循環装置)を介してエアクリーナ32(図7参照)を連結する。新気(外部空気)が、エアクリーナ32から、EGR装置26を介して吸気マニホールド6に送られる。EGR装置26は、ディーゼルエンジンの排気ガスの一部(排気マニホールドからのEGRガス)と新気(エアクリーナ32からの外部空気)とを混合させて吸気マニホールド6に供給するEGR本体ケース27(コレクタ)と、エアクリーナ32に吸気管33を介してEGR本体ケース27を連通させる吸気スロットル部材28と、排気マニホールド7にEGRクーラ29を介して接続される還流管路としての再循環排気ガス管30と、再循環排気ガス管30にEGR本体ケース27を連通させるEGRバルブ部材31とを備えている。
すなわち、吸気マニホールド6と新気導入用の吸気スロットル部材28とがEGR本体ケース27を介して連通接続されている。そして、EGR本体ケース27には、再循環排気ガス管30の出口側につながるEGRバルブ部材31が連通接続されている。また、EGR本体ケース27は、吸気マニホールド6の横方向外側(実施形態では左側)に位置し、吸気マニホールド6の長手方向(前後方向)に沿って延びるように取り付けられている。従って、吸気マニホールド6とEGR本体ケース27とは横並び状の配置関係に設定されている。
EGR本体ケース27は長筒状に形成されていて、EGR本体ケース27の長手方向の前端部(新気取入れ側)に設けた新気取入れ側フランジ271に、吸気スロットル部材28が吸気中継管281を介して接続される。即ち、吸気スロットル部材28の新気出口側を吸気中継管281の新気入口側フランジ282にボルト締結するとともに、吸気中継管281の新気出口側フランジ283をEGR本体ケース27の新気取入れ側フランジ271にボルト締結して、吸気中継管281を介して吸気スロットル部材28をEGR本体ケース27に連通接続させる。EGR本体ケース27上方に還流開口部を有するバルブ用フランジ272が設けられており、バルブ用フランジ272上にEGRバルブ部材31のEGRガス排出側がボルト締結されている。
EGR本体ケース27の横内側面(右側面)のうち冷却ファン9寄りの後部側に、吸気排出側開口部を有するコレクタ側フランジ273が一体形成されている。吸気マニホールド6の吸気側フランジ6aにコレクタ側フランジ273を重ね合わせてボルト締結することで、吸気マニホールド6とEGR本体ケース27とが連通接続されている。そして、前述の通り、吸気スロットル部材28は、吸気中継管281を介して、EGR本体ケース27の給気取入れ側である長手方向の前部側にボルト締結されている。
また、再循環排気ガス管30の出口側が、EGRバルブ部材31を介してEGR本体ケース27に連結されている。再循環排気ガス管30の入口側は、EGRクーラ29を介して排気マニホールド7の下面側に連結されている。再循環排気ガス管30は、フライホイールハウジング10上方で、シリンダヘッド5の前面を迂回するように配管される。また、EGRバルブ部材31内のEGRバルブ(図示省略)の開度を調節することにより、EGR本体ケース27へのEGRガスの供給量を調節する。
上記の構成により、エアクリーナ32から吸気スロットル部材28を介してEGR本体ケース27内に新気(外部空気)を供給する一方、排気マニホールド7からEGRバルブ部材31を介してEGR本体ケース27内にEGRガス(排気マニホールドから排出される排気ガスの一部)を供給する。エアクリーナ32からの新気と、排気マニホールド7からのEGRガスとが、EGR本体ケース27内で混合された後、EGR本体ケース27内の混合ガスが吸気マニホールド6に供給される。すなわち、ディーゼルエンジン1から排気マニホールド7に排出された排気ガスの一部が、吸気マニホールド6からディーゼルエンジン1に還流されることによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン1からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減される。
吸気中継管281は、L字状に屈曲させた形状を有しており、左側方に吸気側開口部を有する新気入口側フランジ282を設ける一方、後方に排気側開口部を有する新気出口側フランジ283を設けている。吸気中継管281は、左側方で連結している吸気スロットル部材28を通じて取り込んだ新気を、後方で連結しているEGR本体ケース27に排出する。吸気スロットル部材28の空気取込口をエンジン1の左側方(外側)に向かって開口させている。
図6及び図7に示すように、エンジン1の吸気マニホールド6に外部からの新気を導入させる吸気スロットル部材28の空気取込口を、エンジン1外側に向かって開口させる。従って、吸気管33を介して吸気スロットル部材28とエアクリーナ32を接続させたとき、エアクリーナ32をエンジン1の左側方に離間させて配置でき、エアクリーナ32が高温環境下に曝されることがない。また、吸気スロットル部材28の空気取込口を外側にむけることにより、エンジン1外側に配置するエアクリーナ33と連結させやすく、組付性及びメンテナンス性を向上できる。
図1、図8、及び図10に示すように、前後方向を長手方向とするEGRクーラ29のEGRガス入口部は、排気マニホールド7の後端(冷却ファン9側端部)に一体的に形成しているEGRガス取出し管61に連通接続している。また、排気マニホールド7の前端側に管継ぎ手部材62をボルト締結しており、この管継ぎ手部材62を通じて、EGRクーラ29のEGRガス出口部を再循環排気ガス管30の入口側に連通接続させる。EGRクーラ29のEGRガス入口部をEGRガス取出し管61にて支持すると共に、再循環排気ガス管30を接続する管継ぎ手部材62にて、EGRクーラ29のEGRガス出口部を支持することにより、EGRクーラ29はシリンダブロック4(具体的には左側面)から離間して配置される。
また、管継ぎ手部材62と連結された再循環排気ガス管30は、図1、図3、図7、及び図8に示すように、排気ガス浄化装置2の浄化入口管(排気ガス入口管)36の下側を潜るようにして、シリンダヘッド5前面に向かって配管される。即ち、再循環排気ガス管30と浄化入口管36とが、フライホイールハウジング10の上方で、浄化入口管36が上側となるように交差する。従って、シリンダヘッド5前方におけるフライホイールハウジング10上方では、再循環排気ガス管30がシリンダヘッド5の右側面から左側面に向かって延説される一方、浄化入口管36が、再循環排気ガス管30の情報を跨ぐように、前後方向に延設される。
図1、図8、及び図10に示すように、シリンダブロック4の右側面には、排気マニホールド7の下方に、EGRガス冷却用のEGRクーラ29を配置している。従って、エンジン1の一側面に沿わせて、排気マニホールド7とEGRクーラ29をコンパクトに設置できる。そして、ディーゼルエンジン1の右側方(排気マニホールド7側)に、EGRクーラ29及び排気絞り装置65に冷却水ポンプ21を接続する冷却水配管経路を設ける。これにより、冷却水ポンプ21からの冷却水は、ディーゼルエンジン1の水冷部に供給されるだけでなく、その一部をEGRクーラ29及び排気絞り装置65に送るように構成されている。
図14〜図17を参照しながら、吸気スロットル部材28の取付け向き変更の態様を説明する。吸気スロットル部材28は、EGR本体ケース27の長手方向の前端部(新気取入れ側)に対して複数方向に取付け向き変更可能に設けられている。本実施形態では、図14に示すように、前後方向を長手方向とするEGR本体ケース27の前端に、L字筒形状に屈曲させた吸気中継管281の一端を連結し、吸気中継管281の他端を左側方に向けることで、吸気スロットル部材28の空気取入口を左側方に突出させている。
EGR本体ケース27の新気取入れ側フランジ271と、吸気中継管281の新気入口側フランジ282及び新規出口側フランジ282とは、吸気スロットル部材28の取付け向き変更した状態でもボルト締結できるように、吸気スロットル部材28のボルト挿通穴に対応させた位置に挿通穴を設けている。本実施形態では、EGR本体ケース27の新気取入れ側フランジ271と、吸気中継管281の新気入口側フランジ282及び新規出口側フランジ282は、同一の略正方形形状としており、それぞれの開口部外周に挿通穴を設けている。
新気取入れ側フランジ271、新気入口側フランジ282、及び新規出口側フランジ282それぞれを同一形状とするとともに、それぞれのボルト挿通穴を吸気スロットル部材28のボルト挿通穴との位置に対応させて設定し、相互に隣接するボルト挿通穴の設置間隔を同一間隔としている。これにより、図14〜図16に示すように、吸気中継管281をEGR本体ケース27に対して取付け向き変更可能とすると同時に、吸気スロットル部材28を吸気中継管281に対して取付け向き変更可能とする。また、図17に示すように、吸気中継管281を介さずに、吸気スロットル部材28を、EGR本体ケース27に対して取付け向き変更に直接連結できる。
図15は、EGR本体ケース27に対する吸気中継管281の取付け向きを図14の状態から90°回転させて、吸気スロットル部材28の空気取入口を下方に向けた場合の一例を示している。図16は、EGR本体ケース27に対する吸気中継管281の取付け向きと、吸気中継管281に対する吸気スロットル部材28の取付け向きとをそれぞれ、図14の状態から90°回転させて、吸気スロットル部材28の空気取入口を上方に向けた場合の一例を示している。図17は、吸気スロットル部材28の出口側を、EGR本体ケース27前端の新気取入れ側フランジ271に連結し、吸気スロットル部材28の空気取入口を前方に向けた場合の一例を示している。
以上のように構成すると、吸気スロットル部材28の吸気方向を、EGR本体ケース27の吸気方向に沿う方向にしたり、EGR本体ケース27の吸気方向に交差する方向にしたりすることが可能となる。そのため、EGR本体ケース27の構造を変更することなく、吸気スロットル部材27より上流側の吸気系統の向きを選択・変更でき、吸気系統のレイアウトのバリエーションを簡単に増やせることになる。
従って、吸気系統のレイアウトを変更したとしても、EGR本体ケース27の形状を変更する必要がないため、混合ガス中においてEGRガスを広く分散でき、吸気マニホールド6に送り込まれる前段階でガス混合状態のバラツキ(ムラ)が少なくなる。その結果、ディーゼルエンジン1の各気筒にムラの少ない混合ガスを分配でき、各気筒間のEGRガス量のバラツキを抑制できる。その結果、黒煙の発生を抑制して、ディーゼルエンジン1の燃焼状態を良好に保ちながら、NOx量を低減できる。
また、図1、図3〜図5、図7〜図10、及び図18に示すように、シリンダヘッド5の右側方において、ディーゼルエンジン1の排気圧を高める排気絞り装置65を備える。排気マニホールド7の排気出口を上向きに開口させている。排気マニホールド7の排気出口は、ディーゼルエンジン1の排気圧を調節するための排気絞り装置65を介して、エルボ状の中継管66に着脱可能に連結されている。排気絞り装置65は、排気絞り弁を内蔵する絞り弁ケース68と、排気絞り弁を開動制御するモータ(アクチュエータ)からの動力伝達機構などを内蔵するアクチュエータケース69と、絞り弁ケース68にアクチュエータケース69を連結する水冷ケース70を有する。前記動力伝達機構により、前記モータは、その回転軸が、絞り弁ケース68内の排気絞り弁の回転軸とギア等で連動可能に構成される。
排気マニホールド7の排気出口に絞り弁ケース68を上載し、絞り弁ケース68に中継管66を上載し、4本のボルトにて排気マニホールド7の排気出口体に絞り弁ケース68を介して中継管66を締結する。排気マニホールド7の排気出口体に絞り弁ケース68の下面側が固着される。絞り弁ケース68の上面側に中継管66の下面側開口部が固着される。排気ガス浄化装置2の浄化入口管36に中継管66の横向き開口部を連結する。
従って、上記した排気ガス浄化装置2に、中継管66及び排気絞り装置65を介して排気マニホールド7が接続される。排気マニホールド7の出口部から、絞り弁ケース68及び中継管66を介して排気ガス浄化装置2内に移動した排気ガスは、排気ガス浄化装置2にて浄化されたのち、浄化出口管(排気ガス出口管)37からテールパイプ135に移動して、最終的に機外に排出されることになる。
また、中継管66は、排気絞り装置65と排気ガス浄化装置2の排気入口管36との間となる位置に、排気マニホールド7と連結する連結支持部66xを備える。連結支持部66xは、中継管66の外周面より排気マニホールド7に向かって突出させた翼状のプレートで構成されており、排気マニホールド7の右側面で締結されている。中継管66は、排気入口を排気絞り装置65を介して排気マニホールド7の排気出口と連結するとともに、排気ガスが排気入口管36に向かって流れる管部を排気マニホールド7の側面と連結して、排気マニホールド7により支持される。従って、中継管66は、高剛性の排気マニホールド7に支持されており、中継管66を介した排気ガス浄化装置2との支持構造を高剛性に構成できる。
上記の構成により、排気ガス浄化装置2における差圧センサ44にて検出された圧力差に基づいて排気絞り装置65のモータを作動させることにより、スートフィルタ40の再生制御が実行される。すなわち、スート(すす)がスートフィルタ40に堆積したときは、排気絞り装置65の排気絞り弁を閉動する制御にて、ディーゼルエンジン1の排気圧を高くすることにより、ディーゼルエンジン1から排出される排気ガス温度を高温に上昇させ、スートフィルタ40に堆積したスート(すす)を燃焼する。その結果、スートが消失し、スートフィルタ40が再生する。
また、負荷が小さく排気ガスの温度が低くなり易い作業(スートが堆積し易い作業)を継続して行っても、排気絞り装置65を排気圧の強制上昇にて排気昇温機構として作用させて、スートフィルタ40を再生でき、排気ガス浄化装置2の排気ガス浄化能力を適正に維持できる。また、スートフィルタ40に堆積したスートを燃やすためのバーナー等も不要になる。また、エンジン1始動時も、排気絞り装置65の制御にてディーゼルエンジン1の排気圧を高くすることにより、ディーゼルエンジン1からの排気ガスの温度を高温にして、ディーゼルエンジン1の暖機を促進できる。
上記したように、排気絞り装置65が、上向きに開口させた排気マニホールド7の排気出口に、絞り弁ケース68の排気ガス取入れ側を締結することで、中継管66が、絞り弁ケース68を介して排気マニホールド7に接続される。したがって、高剛性の排気マニホールド7に排気絞り装置65を支持でき、排気絞り装置65の支持構造を高剛性に構成できるものでありながら、例えば排気マニホールド7に中継管66を介して絞り弁ケース68を接続する構造に比べ、排気絞り装置65の排気ガス取入れ側の容積を縮小し、排気マニホールド7内の排気圧を高精度に調節できる。例えば、排気ガス浄化装置2などに供給する排気ガスの温度を、排気ガスの浄化に適した温度に簡単に維持できる。
また、排気マニホールド7の上面側に絞り弁ケース68を締結し、絞り弁ケース68の上面側にエルボ状の中継管66を締結し、排気マニホールド7に対して絞り弁ケース68と中継管66を多層状に配置し、最上層部の中継管66に排気管72を連結している。したがって、排気絞り装置65の支持姿勢を変更することなく、また中継管66の仕様を変更することなく、例えば排気ガス浄化装置2の取付け位置などに合わせて中継管66の取付け姿勢(排気管72の連結方向)を変更できる。
また、排気マニホールド7の排気出口を上向きに開口し、排気マニホールド7の上面側に絞り弁ケース68を設け、絞り弁ケース68の上面側に絞り弁ガス出口を形成すると共に、絞り弁ケース68の下方に、排気マニホールド7を挟んで、EGRガス冷却用のEGRクーラ29を配置している。したがって、エンジン1の一側面に沿わせて、排気マニホールド7と、排気絞り装置65と、EGRクーラ29をコンパクトに設置できる。
このように、ディーゼルエンジン1は、排気絞り装置65の上面側に中継管66を締結し、排気マニホールド7に対して排気絞り装置65と中継管66を多層状に配置し、最上層部の中継管66に排気絞り装置65の排気ガス入口を連結している。従って、排気マニホールド7と排気ガス浄化装置2の間に、排気絞り装置65をコンパクトに近接配置でき、限られたエンジン設置スペースに排気絞り装置65をコンパクトに組付けることができる。また、中継管66の形状を変更するだけで排気ガス浄化装置2を所定位置に容易に配置できる。
ディーゼルエンジン1の右側方(排気マニホールド7側)に設けた冷却水配管経路について、説明する。図1、図3〜図5、図7、図8〜図10、及び図18に示すように、冷却水ポンプ21に一端が接続された冷却水戻り管(冷却水ポンプ吸入側配管)75の他端に、水冷ケース70の冷却水出口管76を接続する。水冷ケース70の冷却水入口管77と一端が接続された中継管(EGRクーラ吐出側配管)78の他端に、EGRクーラ29の冷却水排水口を接続する。そして、EGRクーラ29の冷却水取入れ口が冷却水取出し管(EGRクーラ吸入側配管)79を介してシリンダブロック4に接続されている。
即ち、冷却水ポンプ21に、EGRクーラ29及び排気絞り装置65が直列に接続されている。そして、前記各配管75,78,79などにて形成する冷却水流通経路中では、冷却水ポンプ21とEGRクーラ29の間に排気絞り装置65が配置される。EGRクーラ29の下流側に、排気絞り装置65が位置している。冷却水ポンプ21からの冷却水の一部は、シリンダブロック4からEGRクーラ29を介して排気絞り装置65に供給され、循環することになる。
また、水冷ケース70は、冷却水出口管76及び冷却水入口管77それぞれを、その背面側(ファン9側)から冷却水ポンプ21に向かって突出させている。即ち、冷却水出口管76及び冷却水入口管77の先端が冷却水ポンプ21に向くように、水冷ケース70が絞り弁ケース68よりも後側(ファン9側)に配置される。これにより、水冷ケース70の冷却水出口管76を冷却水ポンプ21に接近させて配置でき、冷却水戻り管75を短尺に形成できる。そして、冷却水出口管76が、冷却水入口管77の上側(排気絞り出口側)に配置されている。
冷却水戻り管75及び冷却水取出し管79はそれぞれ、湾曲可能な可撓性ホースによって構成されている。中継管78は、金属管78bの両端に可撓性ホース78a,78cを接続させた構成となり、下流側可撓性ホース78aを水冷ケース70の冷却水入口管77に接続させる一方、上流側可撓性ホース78cをEGRクーラ29の冷却水排水口に接続させる。中継管78は、金属管78bをS字形状に屈曲させており、下流側可撓性ホース78aと接続させる下流側一端(冷却水出口)を後方上側に配置させる一方、上流側可撓性ホース78cと接続させる上流側他端(冷却水入口)を前方下側に配置する。
中継管78の金属管78bは、その中途部分が配管固定ブラケット78dを介して排気マニホールド7の右側面に連結されており、排気絞り装置65下側に配置される。金属管78bは、配管固定ブラケット78で固定された中途部分から排気絞り装置65右側方後側に、下流側一端(冷却水出口)を延設することで、下流側可撓性ホース78aを短尺に形成できる。また、下流側可撓性ホース78aは、排気絞り装置65後方を迂回するようにU字形状に屈曲させている。一方、金属管78bは、配管固定ブラケット78で固定された中途部分からEGRクーラ29に近接させた位置に、上流側他端(冷却水入口)を延設することで、上流側可撓性ホース78aを大きく湾曲させることなく短尺に形成できる。
中継管78中途部となる金属管78bで固定し、金属管78b両端の可撓性ホース78a,78cを短尺に構成することで、可撓性ホース78a,78cの湾曲量を低減できるだけでなく、可撓性ホース78a,78c自身の弾性により固定できる。従って、中継管78両端の可撓性ホース78a,78cが機械振動による振動量を低減できるため、可撓性ホース78a,78cがエンジン本体と接触するなどして破損することを防止できる。
排気絞り装置65は、絞り弁ケース68における排気絞り弁の回転軸線方向(アクチュエータケース69内におけるモータの回転軸線方向)65aがヘッドカバー8の右側面に沿って平行となるように、ヘッドカバー8の右側面から離間させて配置されている。即ち、排気絞り装置65において、ヘッドカバー8の右側面に最近接する水冷ケース70の左端面が、ヘッドカバー8の右側面に対して離間した状態で平行となる。従って、ヘッドカバー8の右側面と排気絞り装置65の内側面(左側面)との間には、間隙8aが形成される。なお、排気絞り装置65において、水冷ケース70の右端面がヘッドカバー8の右側面から最も離れた位置となる。
排気絞り装置65は、機体フレーム94に対設する外側面(右側面)を、同じく機体フレーム94に対設する排気ガス浄化装置2の一側面(右側面)と面一に形成している。すなわち、排気ガス浄化装置2の排気入口側端面(右側面)と排気絞り装置65の外側面(右側面)とが、機体フレーム94の内側で面一となる。これにより、機体フレーム94にてディーゼルエンジン1を囲むエンジンルーム構造を簡単に構成できるものでありながら、排気ガス浄化装置2が配置されたディーゼルエンジン1の組付け作業性を容易に向上できる。
また、面一に形成される排気ガス浄化装置2の一側面(右側面)と排気絞り装置65の外側面(右側面)に対して、オルタネータ23の外側面(右側面)も同様に面一に形成している。すなわち、オルタネータ23の機体フレーム94に対設する外側面(右側面)を、同じく機体フレーム94に対設する排気ガス浄化装置2の一側面(右側面)と面一に形成している。これにより、機体フレーム94の平坦な垂直状壁面に対面させて、排気ガス浄化装置2の一側面と排気絞り装置65の外側面とオルタネータ23の外側面をコンパクトに近接配置でき、限られたエンジンルームスペースにディーゼルエンジン1をコンパクトに組付けることができる。
排気絞り装置65は、平面視(上面視)において、排気ガス浄化装置2の浄化入口管36に対して外側(右側)にオフセットさせた位置に配置される。すなわち、絞り弁ケース68が、排気ガス浄化装置2の浄化入口管36に対して機体フレーム94に近い位置にオフセットさせて、配置されている。これに伴い、中継管66は、平面視(上面視)において、排気入口側(排気絞り装置65側)を排気出口側(排気ガス浄化装置2側)よりも外側(右側)とするS字形状を有する。
排気絞り装置65において、アクチュエータケース69が絞り弁ケース68に対して右側に配置され、水冷ケース70の後端左側に、冷却水出口管76及び冷却水入口管77が上下に配置されている。すなわち、水冷ケース70の背面側(ファン9側)において、アクチュエータケース69の左側面とヘッドカバー8の右側面との間に、冷却水戻りホース75及び冷却水中継ホース78を配管させるのに十分な空間を確保できる。従って、冷却水戻り管75及び冷却水中継管78が機械振動にてエンジン1本体と接触して損傷するのを容易に防止できる。
後方吊金具112をシリンダヘッド5の右側面後縁(冷却ファン9寄り)側より上方に延設し、ヘッドカバー8と冷却水戻りホース75及び冷却水中継ホース78との間に後方吊金具112を配置させる。シリンダヘッド5より立設させた後方吊金具112により、冷却水戻りホース75及び冷却水中継ホース78に対して、シリンダヘッド5側からの熱を遮熱でき、水冷ケース70による水冷効果を向上できる。また、後方吊金具112を、シリンダヘッド5の前面左縁側に設置した前方吊金具111に対して、シリンダヘッド5の対角となる位置に配置するため、安定した姿勢でディーゼルエンジン1を吊下げることができる。
図1、図3、図4、図7、図8〜図10、及び図18に示す如く、排気マニホールド7は、圧力取出し口83に排気圧センサパイプ85を接続した構成を備える。すなわち、排気マニホールド7の上面に設けられた圧力取り出し口83は、ヘッドカバー8の右側面に沿って延設された排気圧センサパイプ85の一端と接続されている。また、ヘッドカバー8の後端側(冷却水ポンプ21側)に、排気圧力センサ84が設置されており、この排気圧力センサ84が、可とう性ゴムホースなどで構成される排気圧ホース86(接続部品)を介して、排気圧センサパイプ85の他端と接続される。
すなわち、排気圧センサパイプ85は、ヘッドカバー8と排気絞り装置65との間の間隙8aを通過するように延設している。従って、排気マニホールド7の圧力取り出し口83から排気圧力センサ84までの接続経路を他の構成部品を迂回させることなく、排気圧センサパイプ85を短尺に形成でき、排気圧センサパイプ85及び接続部品の防振構造を簡略化できる。また、間隙8aは、ヘッドカバー8に最も近接する水冷ケース70の左端面とヘッドカバー8との間の空間も確保されている。そのため、冷却水配管(冷却水戻り管75及び冷却水中継管78を排気圧センサパイプ85に対して間隔をおいて並設できる。従って、上記冷却水配管が機械振動にてエンジン本体と接触して損傷するのを容易に防止できる。
圧力取り出し口83は、排気マニホールド7の上面において、シリンダヘッド5と中継管66の間となる位置に配置されている。また、図3に示すように、排気マニホールド7の上面には、圧力取り出し口83よりも外側(中継管66側)に、排気マニホールド7内の排気ガス温度を測定するガス温度センサ82が付設されている。ガス温度センサ82の電気配線87は、図2、図3、及び図6〜図8に示すように、ヘッドカバー8の前端(フライホイール9側)上部を通過させて、左側面のコネクタに接続されている。
図6及び図7に示すように、ラジエータ24は、ディーゼルエンジン1の後方において、冷却ファン9と対向する位置に、ファンシュラウド(図示省略)を介して配置される。また、ラジエータ24の前面には、冷却ファン9と対向するよう、オイルクーラ25が配置される。このように、ラジエータ24及びオイルクーラ25は、ディーゼルエンジン1の後方の冷却ファン9に対向する位置において、その放熱量が小さい順に、冷却風の吐き出し方向に向けて一列に配置される。従って、冷却ファン9が回転駆動することで、ディーゼルエンジン1後方から外気を吸引することにより、熱交換器であるラジエータ24及びオイルクーラ25はそれぞれ、外気(冷却風)が吹き付けられ、空冷されることになる。
次いで、図1〜図3、図5〜図9、及び図19〜図23を参照して、排気ガス浄化装置2について説明する。排気ガス浄化装置2は、浄化入口管36及び浄化出口管37を有する排気ガス浄化ケース38を備える。この排気ガス浄化ケース38は、左右方向に長く延びた円筒形状に構成される。そして、排気ガス浄化ケース38の右側(排気ガス移動方向上流側)及び左側(排気ガス移動方向下流側)それぞれに、浄化入口管36及び浄化出口管37それぞれが設けられる。
また、排気ガス浄化装置2は、フライホイールハウジング10上で固定されて、シリンダヘッド5及びヘッドカバー8前方に配置される。このとき、浄化入口管36が、排気ガス浄化ケース38における円筒形状側面の右側後方に設けられる。そして、浄化入口管36は、再循環排気ガス管30を跨ぐように、後方に向かって斜め上方に屈曲した形状とされ、中継管66と着脱可能にボルト締結される。一方、浄化出口管37は、排気ガス浄化ケース38の円筒形状側面の左側下方に設けられ、テールパイプ135が接続される。
排気ガス浄化ケース38の内部に、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒39(ガス浄化体)と、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ40(ガス浄化体)とを、排気ガスの移動方向に沿って直列に並べている。なお、排気ガス浄化ケース38の一側部を消音器41にて形成し、消音器41には、テールパイプ135と連結される浄化出口管37を設けている。
上記の構成により、ディーゼル酸化触媒39の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)が、スートフィルタ40内に一側端面(取入れ側端面)から供給される。ディーゼルエンジン1の排気ガス中に含まれた粒子状物質(PM)は、スートフィルタ40に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。
また、サーミスタ形の上流側ガス温度センサ42と下流側ガス温度センサ43が、排気ガス浄化ケース38に付設される。ディーゼル酸化触媒39のガス流入側端面の排気ガス温度を、上流側ガス温度センサ42にて検出する。ディーゼル酸化触媒のガス流出側端面の排気ガス温度を、下流側ガス温度センサ43にて検出する。
さらに、排気ガス浄化装置2には、排気ガス圧力センサとしての差圧センサ(排気圧力センサ)44を付設している。スートフィルタ40の上流側と下流側間の排気ガスの圧力差を、差圧センサ44にて検出する。電気配線コネクタ51を一体的に設けた差圧センサ44は、ガス温度センサ42,43の電気配線コネクタ52,53と共に、後述のセンサブラケット(支持ブラケット)46に支持される。スートフィルタ40の上流側と下流側間の排気圧力差に基づき、スートフィルタ40における粒子状物質の堆積量が演算され、スートフィルタ40内の詰り状態を把握できるように構成している。
差圧センサ44には、上流側センサ配管47と下流側センサ配管48の一端側がそれぞれ接続される。排気ガス浄化ケース38内のスートフィルタ40を挟むように、上流側と下流側の各センサ配管ボス体49,50が排気ガス浄化ケース38に配置される。各センサ配管ボス体49,50に、上流側センサ配管47と下流側センサ配管48の他端側がそれぞれ接続される。
上記の構成により、スートフィルタ40の流入側の排気ガス圧力と、スートフィルタ40の流出側の排気ガス圧力の差(排気ガスの差圧)が、差圧センサ44を介して検出される。スートフィルタ40に捕集された排気ガス中の粒子状物質の残留量が排気ガスの差圧に比例するから、スートフィルタ40に残留する粒子状物質の量が所定以上に増加したときに、差圧センサ44の検出結果に基づき、スートフィルタ40の粒子状物質量を減少させる再生制御(例えば排気温度を上昇させる制御)が実行される。また、再生制御可能範囲以上に、粒子状物質の残留量がさらに増加したときには、排気ガス浄化ケース38を着脱分解して、スートフィルタ40を掃除し、粒子状物質を人為的に除去するメンテナンス作業が行われる。
図20〜図23に示す如く、エンジン1を平面視(又は側面視)した場合に、差圧センサ44及びコネクタ51〜53等の電気部品は、排気ガス浄化ケース38(排気ガス浄化装置2)の外側であって排気ガス浄化ケース38(排気ガス浄化装置2)後方に配置されている。電気部品44,51〜53は、排気ガス移動法おく下流側となる消音器41後方に配置されるよう、シリンダヘッド5と連結しているセンサブラケット46で支持されている。即ち、差圧センサ44及びコネクタ51〜53等の電気部品は、センサブラケット46により、排気ガス浄化ケース38右側端部の後方位置であって、シリンダヘッド5の前側右側方となる位置に配置される。
図20〜図23に示す如く、エンジン1を平面視(又は側面視)した場合に、差圧センサ44及びコネクタ51〜53等の電気部品を、排気ガス浄化装置2の後方に位置するEGR装置26の上方に配置している。より詳細には、差圧センサ44及びコネクタ51〜53等の電気部品は、吸気スロットル部材28上方であって、排気ガス浄化装置2及びEGRバルブ部材31の間となる領域に配置される。また、差圧センサ44及びコネクタ51〜53等の電気部品は、シリンダヘッド5前方を迂回するように設置された再循環排気ガス管30の右側に配置されている。
差圧センサ44を含む電気部品を、排気ガス浄化装置2から離れた位置に配置するとともに、EGRガスが通過する再循環排気ガス管30及びEGRバルブ部材31から離間して配置できる。これにより、前記電気部品に対して、排気ガス浄化ケース38からの伝導熱だけでなく輻射熱の影響を低減することができるため、電気部品の故障を抑制できる。特に、差圧センサ44の検出本体への排気ガス浄化装置2やエンジン1本体による加熱を低減できることから、差圧センサ44における誤動作や故障を抑制できる。
また、センサブラケット46は、図20〜図23に示す如く、前方吊金具111を介してシリンダヘッド5前面に連結している。シリンダヘッド5の前面右側に前方吊金具111の基端を連結し、この前方吊金具111をシリンダヘッド5上方に延設している。また、センサブラケット46は、その基端を前方吊金具111の上端部分に連結し、上記電気部品44,51〜53の搭載面をシリンダヘッド5右側方に向けて延設させる。即ち、センサブラケット46をシリンダヘッド5前面右側の上方から右側方に向かって延設することで、差圧センサ44を含む電気部品44,51〜53を排気ガス浄化装置2及びシリンダヘッド5から離間させた位置に配置できる。また、センサブラケット46をシリンダヘッド5に連結させることで、センサブラケット46に固定された各電気部品44,51〜53をEGR装置26の上方位置で高剛性に支持できる。
排気ガス浄化装置2における排気ガス浄化ケース38は、下流側の出口挟持フランジ45に連結脚体(左ブラケット)80がボルト締結により着脱可能に取り付けられるとともに、固定脚体(右ブラケット)81が溶接固着される。このとき、連結脚体80の取り付けボス部が、出口挟持フランジ45の円弧体に設けられた貫通穴付きの脚体締結部に、ボルト締結されて取り付けられる。また、固定脚体81が、浄化入口管36側で、排気ガス浄化ケース38の外周面に対して溶接で固着される。すなわち、固定脚体81が、排気ガス浄化ケース38の入口側(上流側)に設置され、連結脚体80が、排気ガス浄化ケース38の出口側(下流側)に設置される。なお、連結脚体80は、出口挟持フランジ45に限らず、排気ガス浄化ケース38を組み立てる際に締結される中央挟持フランジなどの別の挟持フランジに締結されるものとしてもよい。
この排気ガス浄化ケース38の外周に設けられた連結脚体80及び固定脚体81それぞれが、フライホイールハウジング10の上面側に形成された浄化装置取付け部(DPF取付け部)89にボルト締結される。つまり、排気ガス浄化装置2は、連結脚体80及び固定脚体81によって、高剛性部材であるフライホイールハウジング10上に安定的に連結支持される。従って、排気ガス浄化装置2をエンジン1の振動系に含めるものの、エンジン1の構成部品の一つとして、高剛性部品であるフライホイールハウジング10に排気ガス浄化装置2を強固に連結でき、エンジン1の振動による排気ガス浄化装置2の損傷を防止できる。エンジン1の製造場所で排気ガス浄化装置2をエンジン1に組み込んで出荷できる。また、エンジン1の排気マニホールド7に排気ガス浄化装置2を至近距離で連通できるから、排気ガス浄化装置2を適正温度に維持し易く、高い排気ガス浄化性能を維持できる。
上述したように、排気ガス浄化装置(DPF)2は、耐熱金属材料製のDPFケーシング(排気ガス浄化ケース)38に、円筒型の内側ケース(図示省略)を介して、例えば白金等のディーゼル酸化触媒39とハニカム構造のスートフィルタ40が直列に並べて収容された構造である。排気ガス浄化装置2は、支持体としてのフランジ側ブラケット脚(連結脚体)80とケーシング側ブラケット脚(固定脚体)81を介して、フライホイールハウジング10に取付けられている。
フランジ側ブラケット脚80の一端側が、DPFケーシング38の外周側にフランジ45を介して着脱可能にボルト締結される一方、フランジ側ブラケット脚80の他端側が、フライホイールハウジング10の上面(DPF取付け部)にボルト締結される。また、ケーシング側ブラケット脚81の一端側が、DPFケーシング38の外周面に一体的に溶接固定されている一方、ケーシング側ブラケット脚81の他端側が、フライホイールハウジング10の上面(DPF取付け部)にボルト締結される。
ディーゼルエンジン1は、フライホイールハウジング10上に排気ガス浄化装置2を搭載する構造であって、ディーゼルエンジン1と排気ガス浄化装置2の間に付設部品としての再循環排気ガス管61を延設している。従って、ディーゼルエンジン1の側面(正面側側面)に再循環排気ガス管61を迂回させて取付け高さをコンパクトに形成できる。また、ディーゼルエンジン1は、排気マニホールド7に排気スロットルバルブケース(絞り弁ケース)68を介して排気出口管(中継管)66を固着し、排気ガス浄化装置2の入口管36に排気出口管66を連結している。従って、排気出口管66の仕様を変更するだけで、排気ガス浄化装置2の取付け位置などを容易に変更でき、各種作業車両のエンジンルームスペースに簡単に対応させて、排気ガス浄化装置2が載置されたディーゼルエンジン1を搭載できる。
次に、図24〜図28を参照して、ディーゼルエンジン1に付設するハーネス構造を説明する。図1〜6に示す如く、ディーゼルエンジン1のエンジンコントローラ(図示省略)またはバッテリ(図示省略)に接続させる複数本のエンジン作動センサ電源系ハーネス141と、燃料噴射バルブ(図示省略)に接続させる複数本のコモンレール電源系ハーネス142と、ディーゼルエンジン1の各所に設けた作動センサ(図示省略)に接続させる複数本のエンジン作動センサ信号系ハーネス143とを備える。各ハーネス141〜143を機能別に分別して、ディーゼルエンジン1に付設する複数のハーネス集合体144〜146として前記各ハーネス141〜143をそれぞれ1まとめにして、エンジンコントローラ(図示省略)に各ハーネス41〜43を接続している。
上記の構成により、コモンレール電源系ハーネス142とエンジン作動センサ信号系ハーネス143とに機能別に分割することによって1本のハーネス(ハーネス集合体144〜146)の重さを抑えることができるから、各ハーネス集合体144〜146のレイアウトの自由度が高まる。また、前記各ハーネス集合体144〜146毎にそれぞれ交換できるから、コモンレール電源系ハーネス以外のハーネスが、3気筒エンジンまたは4気筒エンジンのように、気筒数の異なるディーゼルエンジン1に共用できる。
図25〜図28に示す如く、シリンダブロック4の側面のうち、コモンレール16下方の側面にコネクタブラケット147を固着し、コネクタブラケット147に複数組のハーネスコネクタ148を着脱可能に固定支持させる。4組のエンジン作動センサ電源系ハーネス141に、4組のハーネスコネクタ148を介して、コモンレール電源系ハーネス142及びエンジン作動センサ信号系ハーネス143をそれぞれ電気接続させる。即ち、エンジン作動センサ電源系ハーネス141に、1組のハーネスコネクタ148を介して、コモンレール電源系ハーネス142が接続されている。また、エンジン作動センサ電源系ハーネス141に、3組のハーネスコネクタ148を介して、エンジン作動センサ信号系ハーネス143が接続されている。
さらに、図5、図11に示す如く、吸気マニホールド6とコモンレール16の外周側に、ハーネス集合体145(コモンレール電源系ハーネス142)、及びハーネス集合体146(エンジン作動センサ信号系ハーネス143)をそれぞれ延設させている。一方、吸気マニホールド6よりも下方にコモンレール16を配置し、コモンレール16よりも下方に、前記各ハーネス142,143のハーネスコネクタ148を組付けている。ディーゼルエンジン1の外側面に対して前記各ハーネス142,143を一定間隔離反させながら、ディーゼルエンジン1の外側面に沿わせて前記各ハーネス142,143を設置している。ディーゼルエンジン1の外側面から前記各ハーネス142,143が大きく突出するのを防止できる。
図25及び図28に示す如く、コモンレール16の上面側にレール支持部16aを一体的に形成し、吸気マニホールド6の外側面にレール支持部16aをボルト締結している。図26〜図28に示す如く、コネクタブラケット147は、L字に屈曲させた板形状を備えており、エンジン連結部149とコネクタ固定部150とを備える。ディーゼルエンジン6のシリンダブロック4の左側面に、コネクタブラケット147のエンジン連結部149をボルト締結し、コモンレール下方でコネクタ固定部150が水平姿勢となるようにコネクタブラケット147を配置している。
図26〜図28に示す如く、コネクタブラケット147は、ハーネスコネクタ148が付設されるコネクタ固定部150を、エンジン1(シリンダブロック5)左側面に対して斜行させた形状としている。コネクタブラケット147に固定されたハーネスコネクタ148は、その連結口をエンジン1(シリンダブロック5)の左側方に向けて配置される。従って、エンジン1を搭載する作業機側のハーネス141をハーネスコネクタ148に連結しやすくない、エンジン1の電気系統の組立作業及びメンテナンス作業における煩雑さを解消できる。また、ハコネクタブラケット147をシリンダブロック5に固定することで、エンジン1の機械振動によって各ハーネス141〜143の支持姿勢が変化するのを防止できるため、ハーネス141〜143の損傷を防げる。
図26〜図28に示す如く、コネクタブラケット148は、コモンレール16下方であってフライホイールハウジング10寄りとなる位置に、エンジン連結部149がシリンダブロック5側面にボルト締結される。そして、コネクタ固定部150は、シリンダブロック5から左側方に向かって延設されており、シリンダブロック5から離れた外側端部がフライホイールハウジング10から離間するように斜行させた形状を備える。従って、シリンダヘッド5よりも左右幅の広いフライホイールハウジング10よりも外側に、ハーネスコネクタ148の連結口を向けることができるため、ハーネス141とハーネス142,143との連結を容易なものとできる。
図26及び図28に示す如く、コネクタブラケット147におけるコネクタ固定部150は、上下両面にハーネスコネクタ148を固定可能に構成している。従って、複数のハーネスコネクタ148をコネクタ固定部150の上下に振り分けて配置できるため、コネクタ固定部150を狭小に構成して、コネクタブラケット147で固定されるハーネスコネクタ148の占有空間を低減でき、エンジン1の周辺空間を有効活用できる。
以下、図29及び図30を参照して、上記ディーゼルエンジン1を搭載した作業車両について、図面に基づいて説明する。図29及び図30は、作業車両としてのホイルローダの説明図である。
図29及び図30に示すホイルローダ211は、左右一対の前輪213及び後輪214を有する走行機体216を備えている。走行機体216には、操縦部217とエンジン1とが搭載されている。走行機体216の前側部には、作業部であるローダ装置212を装着し、ローダ作業を行うことが可能に構成されている。操縦部217には、オペレータが着座する操縦座席219と、操縦ハンドル218と、エンジン1等を出力操作する操作手段や、ローダ装置212用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。
ホイルローダ211の前部であって前輪213の上方には、前述したように、作業部であるローダ装置212を備えている。ローダ装置212は、走行機体216の左右両側に配置されたローダポスト222と、各ローダポスト222の上端に上下揺動可能に連結された左右一対のリフトアーム223と、左右リフトアーム223の先端部に上下揺動可能に連結されたバケット224とを有している。
各ローダポスト222とこれに対応したリフトアーム223との間には、リフトアーム223を上下揺動させるためのリフトシリンダ226がそれぞれ設けられている。左右リフトアーム223とバケット224との間には、バケット224を上下揺動させるためのバケットシリンダ228が設けられている。この場合、操縦座席219のオペレータがローダレバー(図示省略)を操作することによって、リフトシリンダ226やバケットシリンダ228が伸縮作動し、リフトアーム223やバケット224を上下揺動させ、ローダ作業を実行するように構成している。
このホイルローダ211において、エンジン1は、操縦座席219の下側で、フライホイールハウジング10が走行機体216の前部側に位置するように配置される。すなわち、エンジン1は、エンジン出力軸の向きがローダ装置212とカウンタウェイト215とが並ぶ前後方向に沿うように、エンジン1が配置されている。そして、このエンジン1の後方において、冷却ファン9の正面後側に、前方から順に、オイルクーラ25及びラジエータ24が配置される。また、エンジン1の前方上側において、フライホイールハウジング10上部に固定された排気ガス浄化装置2が配置される。
排気ガス浄化装置2は、その浄化入口管36がエンジン1右側方に設置される排気マニホールド7の排気出口71に直接接続される。この排気ガス浄化装置2において、浄化入口管36より排気ガス浄化ケース38内に流入した排気ガスが、浄化ケース38内を右側から左側に向かって流れて、粒子状物質(PM)が除去される。そして、浄化された排気ガスが、排気ガス浄化装置2の左下側側面で接続されるテールパイプ135を通じて機外に放出される。
また、エンジン1は、その左側方で、新気(外部空気)を吸引するエアクリーナ32と連結する。エアクリーナ32は、エンジン1の左側後方であって、排気ガスに基づく排熱により加温される排気ガス浄化装置2から離間された位置に配置される。すなわち、エアクリーナ32は、エンジン1後方のラジエータ24の左側方であって、排気ガス浄化装置2からの熱に影響されない位置に配置される。従って、樹脂成型品などで構成されて熱的に弱いエアクリーナ32が、排気ガス浄化装置2を通過する排ガスに基づく排熱による、変形などといった影響が及ぶことを抑制できる。
このように、操縦座席219下側及び後方に配置される、エンジン1、排気ガス浄化装置2、ラジエータ24及びエアクリーナ32は、カウンタウェイト215の上側に配置されるボンネット220によって覆われる。このボンネット220は、操縦部217の床面から突起したシートフレーム(前方カバー部)221として構成されるとともに、操縦部217内の前方部分が、操縦部217の後方部分が、開閉可能なボンネットカバー229(突出カバー部)として構成される。
すなわち、エンジン1前部の上方をシートフレーム221が覆うことにより、このエンジン1前方上側に配置される排気ガス浄化装置2もシートフレーム221が覆う。一方、ボンネットカバー229が、エンジン1後部の上方から後方に向かって覆う形状を備えることで、エンジン1後方に配置されるラジエータ24及びオイルクーラ25をも覆う。
ボンネット220のシートフレーム221の上側には、操縦座席219が着脱可能に設置される。これにより、シートフレーム221から操縦座席219を離脱したときに、シートフレーム221上面が開放されるため、シートフレーム221下側のエンジン1及び排気ガス浄化装置2等について、メンテナンスが可能となる。なお、操縦座席219を着脱可能とする構成に限定されるものではなく、操縦座席219がシートフレーム221の上方で前側に傾動することで、シートフレーム221上面を開放させるものとしてもよい。
一方、シートフレーム211後方において、ボンネット220は、シートフレーム221の上面よりも上方に突出させたボンネットカバー229を備える。このボンネットカバー229は、カウンタウェイト215上側に配置されることで、エンジン1後方に配置されるラジエータ24及びオイルクーラ25を覆うとともに、開閉可能に構成される。
エンジン1は、フライホイールハウジング10の前面側にミッションケース132が連結されている。エンジン1からフライホイール11を経由した動力は、ミッションケース132にて適宜変速され、前輪213及び後輪214やリフトシリンダ226及びバケットシリンダ228等の油圧駆動源133に伝達されることになる。
また、図31及び図32を参照して、フォークリフトカー120に前記ディーゼルエンジン1を搭載した構造を説明する。図31及び図32に示す如く、フォークリフトカー120は、左右一対の前輪122及び後輪123を有する走行機体124を備えている。走行機体124には、操縦部125とエンジン1とが搭載されている。走行機体124の前側部には、荷役作業のためのフォーク126を有する作業部127が設けられている。操縦部125には、オペレータが着座する操縦座席128と、操縦ハンドル129と、エンジン1等を出力操作する操作手段や、作業部127用の操作手段としてのレバー又はスイッチ等が配置されている。
作業部127の構成要素であるマスト130には、フォーク126が昇降可能に配置されている。フォーク126を昇降動させて、荷物を積んだパレット(図示省略)をフォーク126に上載させ、走行機体124を前後進移動させて、前記パレットの運搬等の荷役作業を実行するように構成している。
このフォークリフトカー120において、エンジン1は、操縦座席(運転座席)128の下側に配置されるとともに、フライホイールハウジング10が走行機体124の前部側に位置するように配置されている。そして、排気ガス浄化装置2がエンジン1の前方上側に配置される。すなわち、エンジン1の前方に設けたフライホイールハウジング10の上方に、排気ガス浄化装置2が配置される。また、エンジン1の後方には冷却ファン9に対峙する位置に、ラジエータ24及びオイルクーラ25が配置され、エンジン1の左側方に接続されるエアクリーナ32が、エンジン1の左側後方となるラジエータ24の左側方に配置される。
このように、操縦座席128下側及び後方に配置される、エンジン1、排気ガス浄化装置2、ラジエータ24及びエアクリーナ32は、カウンタウェイト131の上側に配置されるボンネット136によって覆われる。そして、ボンネット136は、ボンネット136内のエンジン1や排気ガス浄化装置2へ作業者がアクセス可能となるように、操縦座席128が着脱自在となり、前方上面部分が開口するように構成される。また、ボンネット136の後方についても、開閉可能に構成される。
上述のように、ディーゼルエンジン1は、クランク軸3の向きが作業部127とカウンタウェイト131とが並ぶ前後方向に沿うように、ディーゼルエンジン1が配置されている。フライホイールハウジング10の前面側にはミッションケース132が連結されている。ディーゼルエンジン1からフライホイール11を経由した動力は、ミッションケース132にて適宜変速され、前輪122及び後輪123やフォーク126の油圧駆動源133に伝達されることになる。
なお、本願発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、様々な態様に具体化できる。例えば本願発明に係るエンジン装置は、前述のようなフォークリフトカー120及びホイルローダ211に限らず、コンバイン、トラクタ等の農作業機やクレーン車等の特殊作業用車両のような各種作業機械に対して広く適用できる。
また、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば、図33及び図34に示す変形例の如く、オイルフィルタ支持ブラケット17の基端をEGR装置26左側面に固定して上方に向かって延設するとともに、シリンダブロック背面に後方吊金具112を取り付けるものとしても構わない。
図33及び図34に示す変形例では、オイルフィルタ支持ブラケット17上端にオイルフィルタ13を連結することで、ヘッドカバー8よりも高い位置でEGR装置26よりも左側方となる位置にオイルフィルタ26を配置する。また、後方吊金具112は、その基端が連結されるシリンダブロック5背面左側から上方に延設されるとともに、その基端部分にハーネス143を緊結する結束バンド143aを係止固定させている。
図35〜図38に示す変形例のように、排気ガス浄化装置2の消音器41に対して、浄化出口管37を上方から挿入させるものとしても構わない。ディーゼルエンジン1が排出した排気ガス音を減衰させる消音器41は、一対の連通管(排気ガス導入管)338を内装しており、連通管338の間を通るように浄化出口管37を貫通させている。浄化出口管37の一端側(下端側)を出口管蓋337によって塞ぐ一方、浄化出口管37の他端側(上端側)をテールパイプ135に接続する。
出口管蓋337には、内外を連通する水抜き穴360が形成されており、排気ガス浄化ケース38外に水を排出する金属管によるドレン管361と連通している。ドレン管361は、ゴムホース等の可撓性ホース363と連結している。浄化出口管37は、出口管蓋337側(下側)の管壁に貫通穴(連通穴)362を有している。従って、消音内側ケース331内部の膨張室345に侵入した水が、貫通穴362を通じて浄化出口管37内に流れ込み、出口管蓋337の水抜き穴360、ドレン管361及び可撓性ホース363から消音器41外部に排出される。また、テールパイプ135側から浄化出口管37に侵入した水が、浄化出口管37の底となる出口管蓋337に向かって流れるため、水抜き穴360、ドレン管361及び可撓性ホース363から消音器41外部に排出される。
消音器41は、図36〜図38に示すように、二重筒構造の消音内側ケース331及び消音外側ケース332を備える。消音内側ケース331の他端側(排気上流側の端部)に仕切蓋体336が溶接固定されて、消音内側ケース331の他端側を仕切蓋体336によって塞いでいる。消音内側ケース331及び消音外側ケース332の一端側(排気下流側の端部)には消音内蓋体333が溶接固定されている。消音内蓋体333の外端面側には、消音内蓋体333を外側から覆う消音外蓋体334が溶接固定されている。
消音内蓋体333と仕切蓋体336との間には連通管(排気ガス導入管)338が設けられているおり、両連通管338の他端側は仕切蓋体336を貫通している。各連通管338は、排気ガス上流側の端部を開口させているとともに、その側面に多数の連通穴339を設けている。各連通管338は連通穴339を介して膨張室(共鳴室)345に連通している。また、浄化出口管37は、消音内側ケース331内の側面部に多数の排気穴346を有している。従って、消音内側ケース331内の両連通管338は、連通穴339、膨張室345及び排気穴346を介して浄化出口管37に連通している。
浄化出口管37内には、水抜き穴360を開閉させる開閉弁364を設けている。図36〜図38に示す例では、開閉弁364は、出口管蓋337の内壁面に固着させたバネ(弾性体)371で上方に付勢した蓋体(弁体)372を上下に移動させることで、水抜き穴360を開閉する。すなわち、ディーゼルエンジン1が停止しているときなど、浄化出口管37への排気ガスの流入がない場合は、図37に示す如く、消音器41(浄化出口管37)内の圧力が低下するため、バネ371の付勢力により蓋体372が上方に押し上げられ、水抜き穴360を開く。一方、ディーゼルエンジン1の運転中であって排気ガスが消音器41(浄化出口管37)内に流入しているときは、図38に示す如く、消音器41内の排気ガス圧力により蓋体372が出口管蓋337に押圧されるため、水抜き穴360を閉じる。
このように構成することで、排ガス圧力により開閉弁364を閉じることで、水抜き穴360が覆われるため、排気ガスのドレン管361への排気を防止できる。これにより、高温の排気ガス、蒸気や水などの流体がドレン管361を通じて可撓性ホース363へ流れ込むことがなく、ドレン管361に比べて耐熱性の低い可撓性ホース363が破損することを防止できるとともに、硬化による低寿命化を抑制できる。一方、ディーゼルエンジン1停止時には、開閉弁364を開いて水抜き穴360から、結露や雨水等によって溜まった水を排水でき、排気ガス浄化装置2の水抜き性がよくなり、排気ガス浄化装置2の耐腐食性能の更なる向上に寄与できる。
開閉弁364の別例として、図39〜図41に示す如く、サーモスタット373により構成するものとしても構わない。サーモスタット373は、バネ374により付勢された弁体375を下側に設けており、弁体375を支持する支持枠376を浄化出口管37の管内壁に固定させている。すなわち、サーモスタット373の支持枠376を、周方向に複数箇所で浄化出口管37の管壁と連結して固定し、支持枠376に対してバネ374を介して連結した弁体375を上下に移動可能としている。
このように構成することで、ディーゼルエンジン1が停止しているときなど、浄化出口管37への排気ガスの流入がない場合は、図40に示す如く、消音器41(浄化出口管37)内の温度が低下するため、バネ374の付勢力により弁体375が上方(支持枠329側)に引き上げられ、水抜き穴360を開く。一方、ディーゼルエンジン1の運転中であって排気ガスが消音器41(浄化出口管37)内に流入しているときは、図41に示す如く、消音器41内の温度が高温となるため、弁体375が下方(出口管蓋337側)に押圧されて、水抜き穴360を閉じる。
また、図42に示す変形例のように、金属管によるドレン管361を螺旋状に構成してもよい。螺旋形状のドレン管361により、水抜き穴360から可撓性ホース363までの配管経路を長くできるため、ドレン管361で冷却した流体(排水など)を可撓性ホース363に流すことができる一方で、水抜き穴360から可撓性ホース363までの距離を短縮できる。従って、高温の排水等が可撓性ホース363を流れることを防止して、可撓性ホース363の破損や低寿命化を抑制するとともに、ドレン管361の占有長さを短縮して、設計の自由度を向上できる。
また、図43に示す変形例のように、浄化出口管37の出口管蓋337側を覆う水冷ジャケット377を設けるとともに、当該水冷ジャケット377を貫通するようにドレン管361を配置してもよい。水冷ジャケット377を、浄化出口管37の下側に設置して、出口管蓋337全体を覆うように配置する。この水冷ジャケット377は、出口管蓋337の水抜き穴360と連通しているドレン管361外周を覆うように設けられており、浄化出口管37の出口管蓋337及びドレン管361を冷却する。従って、浄化出口管37内の排気ガスを冷却すると同時に、ドレン管361内を流れる流体を冷却することができるため、ドレン管361の長さを短縮できる。