JP5999085B2 - 延伸ポリアミドフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、延伸ポリアミドフィルムに関する。更に詳しくは、優れた接着性、ラミネート強度などを有し、また袋として用いた場合の耐破袋性、耐ピンホール性に優れた、包装用または工業用の延伸フィルムに関する。
ナイロン6を用いた延伸ポリアミドフィルムは、強靱性、しなやかさ、透明性などの優れた特徴から、広く包装用途に用いられてきた。包装では内面に、ポリオレフィンなどの熱接着層(シーラント)を積層させ、ヒートシールにより袋状物とした形態や、ポリオレフィン等のカップ容器のフランジ部分にヒートシールして蓋とする形態が主に用いられている。
このような包装用途では高いヒートシール強度やラミネート強度が求められていた。
従来の技術としては、表層に非晶性の樹脂や易接着性樹脂からなる層をコートや共押しなどで積層により接着性を改善するという技術が知られていた(例えば、特許文献1参照)。しかし、かかる従来技術はブロッキング、製造工程複雑化という問題点があった。さらにはこれらの改良においても、ポリアミドフィルム自体と表層の易接着層との接着強度が不十分であると言った問題があった。
熱固定温度を上げて表層の配向を乱すことにより接着性が改善されると言うことは従来から知られていた。しかし、かかる従来技術は十分な接着性を得るためには高い温度が必要であり、過度の熱処理によるフィルム脆化という問題点があった。
脂肪族ポリアミドに半芳香族ポリアミドを少量添加することにより凝集破壊強度改善、水分の影響の最小化、落下時の衝撃の伝播を防止するという技術が知られていた(例えば、特許文献1参照)。しかし、かかる従来技術にはラミネート強度が不十分である、という問題点があった。
特定の化学構造を有するポリアミド樹脂を添加することにより延伸性は改善され、また、厚みムラなども低減するという技術が知られていた(例えば、特許文献2参照)。しかし、かかる従来技術は接着性改善への適用については本文中に記載がなく、ラミネート強度が不十分であるという問題点があった。
層状珪酸塩を添加し面配向係数を0.05以上にすることより突き刺し強度、力学強度は改善するという技術が知られていた(例えば、特許文献3参照)。しかし、かかる従来技術は吸湿伸び、ラミネート加工性については記載あるが、ラミネート強度の改善、接着性の改良については記載が無く、また、表層のヘキカイが起こりやすく、ラミネート強度が不十分という問題点があった。
特開2006−205711号公報 特開平11−286544号公報 特開2003−20349号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、接着性、ラミネート強度に優れ、また、過度の熱処理によるフィルム脆化も見られず、本来のポリアミドフィルムが有する力学特性に優れた延伸ポリアミドフィルムを提供することにある。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、以下の構成よりなる。
1. ナイロン6を主たる構成成分とする延伸ポリアミドフィルムであって、少なくとも片面の表層が(1)および(2)を満たし、さらに延伸ポリアミドフィルムが(3)を満たすことを特徴とする延伸ポリアミドフィルム。
(1)赤外分光法により得られる表層配向の緩和度が0.3〜0.5の範囲
(2)赤外分光法により得られる表層の結晶化度が1.0〜1.4の範囲
(3)160℃、10分でのTD方向の熱収縮率(%)が0.6〜4の範囲
2. 延伸ポリアミドフィルムが、ナイロン6にさらにナイロン6とは異なる樹脂を含有する層を表面に持ち、その表面が上記(1)および(2)を満たし、さらに延伸ポリアミドフィルムが(3)を満たすことを特徴とする上記第1に記載の延伸ポリアミドフィルム。
3. 延伸ポリアミドフィルムが、少なくとも2層の異なる相対粘度のナイロン6の層を含有し、相対粘度が高いナイロン6の層が表面にあって、その表層が上記(1)および(2)を満たし、延伸ポリアミドフィルムが(3)を満たすことを特徴とする上記第1に記載の延伸ポリアミドフィルム。
本発明により、延伸ポリアミドフィルムにおいて、接着性、ラミネート強度に優れ、また、過度の熱処理によるフィルム脆化も見られず、本来のポリアミドフィルムが有する力学特性を得ることができる。
以下、本発明のポリアミド系延伸フィルムを詳細に説明する。
従来、通常のナイロン6の場合、通常の条件においてはラミネート強度が不足する傾向にある。これは、ナイロン6の二軸延伸フィルムとして均等な厚みで十分な物性を持つフィルムとなる領域まで延伸を行うと、表面の面方向の分子配向が高く、ヘキカイしやすいためであると考えられる。
二軸延伸後の熱固定温度を高めることで分子配向を崩し、ラミネート強度や耐熱性(熱収縮率)は改善できるが、高いラミネート強度を達成するまで熱固定温度を上げると、同時に脆くなるため力学強度、特に耐衝撃性が低下する。
分子配向を崩しやすくするためには他の成分を共重合させるという方法がある。この場合は脆化が観察されない熱固定温度で表層の分子配向を崩すことが可能でありラミネート強度の改善は可能である。しかしながら、通常の共重合ではランダム共重合となり、融点が大幅に低下して耐熱性が低下するだけでなく力学特性も低下し、前述のナイロン6フィルムとしての要求品質全てを両立させることが困難である。なお、フィルムの力学特性を低下させない程度に共重合量を少なくした物ではラミネート強度は改善されなかった。
製膜時に他の樹脂成分を添加することで、分子の配向を低下させることが可能である。しかし、少量の添加では効果が見られず、また、多少の効果は見られたとしても剥離時のラミネート強度の変動が大きく、また、液物の包装で必要特性となる、水を剥離面に付けた状態でのラミネート強度が低いことが分かった。添加量を高いラミネート強度が発現するための必要量まで増やした場合には、共重合の場合と同様、耐熱性の低下、力学特性の低下が顕著であり、さらに透明性も低下し、前述の要求品質全てを両立させることが困難であった。
すなわち、高いラミネート強度、低い熱収縮率、十分な強靱性を持つナイロン6系のフィルムは不可能と考えられていた。
本発明者らは表面付近の分子配向状態がラミネート強度に影響を与えていると考え、表面付近の分子状態の測定方法、および、先に挙げた熱固定温度の変更、共重合、他の樹脂のブレンドなど効果的な配向緩和のための様々な方策について鋭意検討してきた。このように、高いラミネート強度、適度な熱収縮率、十分な強靱性を持つナイロン6フィルムはどのようなものかを明らかにする中で、IR−ATR法によって得られる特定ピークの関係によって示される表層の配向の緩和状態、結晶状態を特定範囲とすることで、このような従来は不可能と思われていたナイロン6フィルムが得られることを見出した。
また、このような表面の配向の緩和状態、結晶状態を安定して得る方法を見出した。
まず、このような表面の配向の緩和状態、結晶状態の本発明のフィルムを説明する。
本発明のフィルムは、赤外分光法により得られる表層配向の緩和度が0.3〜0.5の範囲である。緩和度は0.31以上であることが好ましく、さらには0.32以上であることが好ましい。また、緩和度は0.48以下であることが好ましく、さらには0.46以下であることが好ましい。緩和度が0.3未満の場合には十分なラミネート強度が得られないことがある。緩和度が0.5を越えると、結晶化度を好ましい範囲内に維持することが困難となり、インパクト強度を初めとするナイロン6としてのフィルムの力学物性や耐熱性を維持できなくなったり、高温の熱固定温度が必要となりフィルムの安定生産が困難となったりすることがある。
本発明のフィルムは、赤外分光法により得られる表層の結晶化度が1.0〜1.4の範囲である。結晶化度は1.05以上であることが好ましく、さらには1.07以上であることが好ましい。また、結晶化度は1.39以下であることが好ましく、さらには1.38以下であることが好ましい。
結晶化度が1.0未満の場合には、インパクト強度を初めとするナイロン6としてのフィルムの力学物性や耐熱性を維持できなくなることがある。結晶化度が1.4を越える場合には、ラミネート強度が不十分である以外に、結晶化が進みすぎるためか、インパクト強度が低下することがある。
さらに、本発明のフィルムは160℃、10分でのTD方向の熱収縮率が0.6〜4%の範囲である。熱収縮率は0.7%以上であることが好ましく、さらには0.8%以上であることが好ましい。また、熱収縮率は3.5%以下であることが好ましく、さらには3.0%以下であることが好ましい。熱収縮率が4%を越える場合には、ラミネートや印刷など、次工程で熱がかかる場合に、カールが発生したり収縮したりするために、安定した加工が困難となる場合がある。熱収縮率を0.6%未満とすることは可能ではあるが力学的に脆くなったり、現実的な生産性に劣り好ましくない。
本発明のフィルムは、65%RHでのMD方向、TD方向とも弾性率が1.5〜4.0Gpaの範囲にあることが好ましい。弾性率は1.6GPa以上であることが好ましく、更に好ましくは、1.7GPa以上であることが好ましい。また、弾性率は3.7GPa未満であることが好ましく、更に好ましくは3.5GPa未満が好ましい。弾性率が1.5GPa未満では、印刷時のピッチズレなどが起こり好ましくない。また、弾性率が4.0GPaを超えると現実的な生産性に劣り好ましくない。
本発明のフィルムは、DSCにより求められる融点が200〜230℃の範囲にあることが好ましい。融点は205℃以上であることが好ましく、更に好ましくは210℃以上であることが好ましい。また、融点は230℃以下であることが好ましく、更に好ましくは228℃以下が好ましい。融点が200℃未満では、耐熱性が低下し好ましくない。また、融点が230℃を超えると実質的に耐熱性の効果が飽和する。
本発明のフィルムは、ヘイズが0.5〜20%の範囲にあることが好ましい。ヘイズは0.7%以上であることが好ましく、更に好ましくは0.8%以上であることが好ましい。また、ヘイズは19%以下であることが好ましく、更に好ましくは18%以下が好ましい。ヘイズが0.5%未満では、滑り性が低下し好ましくない。また、ヘイズが20%を超えると内容物が見えにくくなり好ましくない。
本発明のフィルムは、厚みの均一性として、Tv(=厚み最大値と最小値の差/平均厚み)を用いたときにTvが2〜50%の範囲にあることが好ましい。Tvは2.3%以上であることが好ましく、更に好ましくは2.5%以上であることが好ましい。また、Tvは40%以下であることが好ましく、更に好ましくは30%以下が好ましく、最も好ましくは15%以下である。Tvを2%未満とすることは可能であるが、生産性が悪く好ましくない。また、Tvが50%を超えると巻き外観が悪く、また、ラミネート構成時にシワが発生し好ましくない。
次に、このような表面の配向の緩和状態、結晶状態を安定して得る方法を説明する。
第1の方法は、フィルム原料となるナイロン6の分子鎖にグラフトまたはブロックポリマーとして他の樹脂を導入する方法である。
グラフト状またブロック状とすることで、非晶化するなど結晶性を大きく低下させずに、熱固定時での配向の緩和を効果的に引き起こすことができる。
効果的な配向の緩和を目的としてブロック状で他の樹脂を導入する方法として、化学的にグラフトポリマーやブロックポリマーを合成して添加する方法を用いることが可能であるが、それ以外にも、本発明の過程において、製膜前に他の樹脂成分を事前に押出機で溶融混合したマスターバッチを準備し、それを再度押出機に添加することで、通常の熱固定条件で十分に分子配向が緩和していることを見出した。
これについては詳細の検討は困難であるが、ナイロン6と他の樹脂成分の反応(ポリアミド樹脂との場合であればアミド−アミド交換反応、ポリエステル樹脂との場合であればアミド−エステル交換反応など)により一部ブロック共重合体が生成していることが分かり、少量のブロック共重合体が効果的に配向を阻害することが分かった。つまり、ランダム共重合体ではなくブロック共重合体がより少量の添加で分子配向の緩和が可能であり、また、少量での添加の結果、力学特性などの低下も最小限に抑制されることを見出した。
第2の方法は、表層に分子量の高いナイロン6を積層する方法である。
同じナイロン6樹脂であっても、分子量の違うナイロン6を同一条件で製膜・延伸・熱固定して二軸延伸フィルムを製造した場合、分子量の高いナイロン6のほうで分子配向が低くなることが分かった。これを利用すると、表層により分子量の高いナイロンを積層することで表層のみ配向の低いフィルムが得られることになり、目的とする要求品質全ての両立が可能と推定されるがこれについても実験的に確認し、目的とするフィルムが得られることが分かった。
本発明の延伸ポリアミドフィルムは、少なくとも一方の表層にナイロン6を主成分とする配向層(A層)を有することを特徴とする。フィルム構成としては各種の構成が可能であるが、本発明は特に従来は困難とされた単層系でのラミネート強度、熱収縮率、力学特性の両立が可能となるため工業的な価値が高い。層構成はA層のみの単層、A層/その他の層(B層)のような二種二層の構成、A層/B層/A層のような二種三層の構成のほか、A層/B層とも異なるその他の層(C層)のA層/B層/C層のような三種三層の構成など構成に限定されるものではないが、カールの点から好ましく、厚み方向で対称な層構成であるものが好ましい。なお、以下ではA層のみの単層の場合であってもA層もしくは表層と表現する。単層の場合の表層とは表面の意味である。
本発明で用いられるナイロン6樹脂には、各種の原料が共重合できるが共重合量は少ないものが好ましい。共重合量は8モル%以下、好ましくは5モル%以下、更に好ましく3モル%以下である。これは結晶性、力学特性や耐熱性の面で共重合により物性が低下するためである。共重合成分としては、具体的には、ラクタム類としては、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタムを挙げることができ、ω−アミノ酸類としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸を挙げることができる。また、二塩基酸類としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸を挙げることができる。さらに、ジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン等を挙げることができる。また、少量の芳香族ジカルボン酸、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸等、または、少量の芳香族ジアミン、例えば、メタキシリレンジアミン等を含むことができる。
表層のナイロン6の相対粘度(分子量の代用メジャーであり、RVと記載することがある)の下限は好ましくは2.2であり、より好ましくは2.3であり、さらに好ましくは2.4であり、最も好ましくは2.5である。上記未満であると結晶化速度が速すぎて二軸延伸が困難となることがある。
表層のナイロン6の相対粘度(RV)の上限は好ましくは4であり、より好ましくは3.9であり、さらに好しくは3.8であり、特に好ましくは3.6であり、最も好ましくは3.5である。上記を超えると押出機への負荷などが高くなりすぎて、生産性が低下することがある。
なお、本発明における相対粘度とは、ポリマー0.5gを97.5%硫酸50mlに溶解した溶液を用いて25℃で測定した場合の値をいう。
本発明においては、明細書末尾に記載の分析方法により求められるフィルム表層の主成分であるナイロン6分子鎖の配向の緩和度と結晶化度を特定の範囲となるようにフィルム表層の樹脂処方と熱固定温度を調整することで、各種特性に優れる延伸ポリアミドフィルムが得られる。
本発明において、A層は組成や分子量などにおいて違いのある他の材料を添加することで、表層の分子配向を抑制したり、熱により配向の緩和を起こりやすくしたりすることができ、これにより、ラミネート強度を改善ながら、ナイロン6の持つ強靱性を維持し、熱収縮率も適正な範囲にすることが可能である。
次に、本発明の延伸ポリアミドフィルムを得るための第1の方法を説明する。
表層のナイロン6の配向を制御するために添加される樹脂としてはアミド基含有樹脂、エステル基含有樹脂、ウレタン基含有樹脂などの極性基含有樹脂でポリアミドのアミド結合と交換反応を起こすものが好ましく、このうちでアミド基含有樹脂が最も好ましい。
アミド基含有樹脂としては、3員環以上のラクタム、ω−アミノ酸、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミド樹脂を挙げることができる。具体的には、ラクタム類としては、先に示したε−カプロラクタムの他に、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタムを挙げることができ、ω−アミノ酸類としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸を挙げることができる。また、二塩基酸類としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸を挙げることができる。さらに、ジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン等を挙げることができる。また、少量の芳香族ジカルボン酸、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸等、または、少量の芳香族ジアミン、例えば、パラおよびメタキシリレンジアミン等を含むことができる。そして、これらを重縮合して得られる重合体またはこれらの共重合体、例えばナイロン6、7、11、12、6.6、6.9、6.11、6.12、6T、6I、MXD6(メタキシレンジパンアミド6)、6/6.6、6/12、6/6T、6/6I、6/MXD6等を用いることができる。また、上記のアミド基含有樹脂を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
アミド基含有樹脂としては、ε−カプロラクタムが50モル%以下であることが好ましく、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、特に好ましくは20モル%以下、最も好ましくは10モル%以下である。50モル%を超えて共重合されている場合、分子配向を緩和させる効果は大きいが、ベースとなるナイロン6樹脂の結晶性の低下や力学特性の低下の効果が大きく好ましくない。
中でも、アミド基含有樹脂は、メタキシリレンジアミン、またはメタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる混合キシリレンジアミンを主たるジアミン成分とし、炭素数6〜12のα、ω−脂肪族ジカルボン酸を主たるジカルボン酸成分とするメタキシリレン基含有ポリアミド重合体が好ましい。ジアミン成分として混合キシリレンジアミンを用いる場合は、パラキシリレンジアミンは全キシリレンジアミン中30%モル以下であることが好ましく、また、キシリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから構成された構成単位は分子鎖中において少なくとも70モル%以上であることが好ましい。
メタキシリレン基含有ポリアミド重合体の例としては、例えばポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンスベラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリメタキシリレンセバカミド、ポリメタキシリレンドデカンジアミド等のような単独重合体、及びメタキシリレン/パラキシリレンアジパミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンピメラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンスベラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンアゼラミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンセバカミド共重合体、メタキシリレン/パラキシリレンドデカンジアミド共重合体等のような共重合体、ならびにこれらの単独重合体又は共重合体の成分に一部ヘキサメチレンジアミンの如き脂肪族ジアミン、ピペラジンの如き脂環式ジアミン、パラ−ビス−(2−アミノエチル)ベンゼンの如き芳香族ジアミン、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、ε−カプロラクタムの如きラクタム、アミノヘプタン酸の如きω−アミノカルボン酸、パラ−アミノメチル安息香酸の如き芳香族アミノカルボン酸等を共重合した共重合体等が挙げられる。
また、アミド基含有樹脂としては、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,10、これらにテレフタル酸を共重合させたものも好ましい例として挙げられる。
また、上記の樹脂にポリアミド系エラストマーを併用しても差し支えない。
本発明において使用される熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ナイロン6やナイロン12等のポリアミド系樹脂とPTMG(ポリテトラメチレングリコール)やPEG(ポリエチレングリコール)等とのブロックあるいはランダム共重合体等のポリアミド系エラストマーが挙げられる。
また、ポリアミドフィルムが積層構成となっている場合、表層のナイロン6の配向を制御するために添加される樹脂は、表層と隣接する層に含まれているモノマー成分を含有することが好ましい。これにより、表層と隣接する層の接着性を高めることができる。
なお、本発明において特に好ましいアミド基含有樹脂は、相対粘度(分子量の代用メジャーであり、RVと記載することがある)の下限は好ましくは2.2であり、より好ましくは2.3であり、さらに好ましくは2.4であり、特に好ましくは2.5である。上記未満であると結晶化速度が速すぎて二軸延伸が困難となることがある。
相対粘度(RV)の上限は好ましくは4であり、より好ましくは3.9であり、さらに好しくは3.8であり、特に好ましくは3.6であり、最も好ましくは3.5である。上記を超えると押出機への負荷などが高くなりすぎて、生産性が低下することがある。
〔添加方法〕
分子配向を抑制する目的で他の樹脂成分を添加することが本発明において必要であるが、この場合、他の樹脂成分は事前にナイロン6樹脂と押出機などにおいて混練りされたもの(以下、マスターバッチと呼ぶ)を製膜に使用することが好ましい。マスターバッチの製造方法については、ナイロン6樹脂とその他の樹脂成分をブレンドして一般的な押出機に投入し、溶融下で混練り、再ペレット化されることが必要である。マスターバッチ化によりナイロン6樹脂とその他の樹脂成分の部分的な反応によりブロック共重合体が生成し、これが相反する要求品質の両立に寄与する。
製造条件については一般的な方法が利用できるが、樹脂温度は250〜350℃の範囲であることが必要である。250℃未満では十分な溶融が行われず、マスターバッチによる効果が小さい。350℃を超えると樹脂の劣化による分子量低下、力学特性の低下などが顕著となり好ましくない。
なお、押出機中の滞留時間については装置により一概に範囲を設置できないが、一般的には滞留時間が短すぎると混合が不十分になり、長すぎると樹脂の劣化などがみられることが知られている。本発明においても同様で、滞留時間が短すぎると、混練りの効果が小さく必要なアミド交換反応が行われず好ましくない。また滞留時間が長すぎると、樹脂の劣化による問題以外に、アミド交換反応などの反応が進みすぎて実質的にランダム共重合で得られる樹脂と同様のものとなってしまい、本発明での目的に対して不適である。
また、マスターバッチを使用する以外にも同様の効果が得られる方法としては、製膜時にL/Dの大きい押出機を用いて、マスターバッチ化による効果と同じ効果を一回の押出により押出機内で交換反応を進めることも利用可能である。また、押し出し機を2台以上つなげて行うことも可能である。但し、これらの方法は製膜時の装置が大型になりコストアップにつながる、条件の調整が行いにくい、L/Dを大きくする場合は押し出し機自体の製造が困難であるといったこともあり、マスターバッチが一番有利な方法であると考えられる。
マスターバッチで用いるナイロン6は、延伸工程での端部の回収品など、フィルム製造工程から出た回収樹脂を用いても良い。多層構成のフィルムの場合は回収樹脂をそのままもしくはペレット化することで、ナイロン6と他の樹脂を含有したマスターバッチの代用として使用することもでき、この際、さらに他の樹脂を添加してその量を調整しても良い。
また、ポリアミドフィルムには、後述する滑材、酸化防止剤などの安定剤、紫外線吸収剤、耐ピンホール性向上剤等を添加することも多いが、これらを添加するマスターバッチにさらに上記の他の樹脂を添加して用いることもできる。
ベースのナイロン6以外に添加されている他の組成の樹脂の表層への添加量の下限は好ましくは3重量%であり、さらに好ましくは5重量%であり、最も好ましくは6重量%である。上記未満であると表面配向の緩和度が不足することがある。
ベースのナイロン6以外に添加されている他の組成の樹脂の表層への添加量(重量%)の上限は好ましくは18重量%であり、より好ましくは15重量%であり、最も好ましくは12重量%である。上記を超えると表層の結晶化度が低下することがある。
次に第2の方法を説明する。
本発明において表層の分子配向と結晶化係数を特定の範囲とすることで、ラミネート強度、力学特性、耐熱性といった相反する特性を両立させることが可能であり、それを実現するためには他の特定の樹脂成分を添加することで可能であると説明したが、同様に、表層にのみ分子量の違うナイロン6樹脂を積層し、分子量の違いにより分子配向に違いが生じる点を利用して、表層のみ分子配向を低減させることが可能である。
ナイロン6は、同一条件で製膜した場合には分子量が高くなるほど分子配向が低減するが、熱収縮率が高くなる。この性質を利用し、表層をより分子量の高いナイロン6とすることで本発明のフィルムとすることができる。
表層のナイロン6の相対粘度(分子量の代用メジャーであり、RVと記載することがある)の下限は好ましくは2.2であり、より好ましくは2.3であり、さらに好ましくは2.4であり、特に好ましくは2.5である。上記未満であると結晶化速度が速すぎて二軸延伸が困難となることがある。
表層のナイロン6の相対粘度(RV)の上限は好ましくは4であり、より好ましくは3.9であり、さらに好しくは3.8であり、特に好ましくは3.6であり、最も好ましくは3.5である。上記を超えると押出機への負荷などが高くなりすぎて、生産性が低下することがある。
表層以外のナイロン6樹脂との分子量の違いについては、RVで0.1以上、好ましくは0.2以上、最も好ましくは0.3以上が好ましい。また、1.0以下、0.8以下、0.7以下であることが好ましい。RVで0.1未満であると十分な効果が発揮できなくなることがある。1.0を越えると溶融粘度が異なりすぎ、安定して均一な多層構成のフィルムを製造することが困難となることがある。
高分子量のナイロン6は単独で表層に用いることが好ましい形態であるが、ベースのナイロン6とブレンドして用いることができる。分子量の違うレジンの表層への添加量の下限は好ましくは50質量%であり、より好ましくは55質量%であり、最も好ましくは60質量%である。RVの差や添加量が上記未満であると表面配向の緩和度が不足し、効果が小さくなるため好ましくない。
表層の全体の厚みの下限は好ましくは1μmであり、より好ましくは2μmである。上記未満であると層間で剥離しラミネート強度が不良となることがある。
表層の全体の厚みの上限は好ましくは180μmであり、より好ましくは100μmであり、さらに好ましくは50μmであり、特に好ましくは28μmであり、最も好ましくは25μmである。上記を超えると二軸延伸フィルムとしての力学特性などの特徴が飽和する。
フィルム厚みの下限は好ましくは5μmであり、より好ましくは9μmである。上記未満であると包装材料としてハンドリング性が悪く、また、強度が不足となることがある。
フィルム厚みの上限は好ましくは180μmであり、より好ましくは100μmであり、さらに好ましくは50μmであり、特に好ましくは28μmであり、最も好ましくは25μmである。上記を超えると包装材料としての取り扱い性が低下することがある。
ポリアミドフィルムを本発明の範囲とすることにより、ラミネート加工した場合に非常に高い剥離強度(ラミネート強度)を付与できる。
上記ラミネート強度の測定方法の概略は以下のとおりである。厚み40μmのポリオレフィンフィルムとラミネートしたラミネートフィルムを幅15mm、長さ200mmに切り出して、温度23℃、相対湿度65%の条件下で、ポリアミド系積層二軸延伸フィルム層とポリオレフィンフィルム層との層間を剥離角度180度で剥離したときの強度を測定する。
ラミネート強度(N/15mm)の下限は好ましくは6.5であり、より好ましくは6.6である。上記未満であると袋などとして使用した際に、強い衝撃が加わったときに破袋しやすいなどの不具合となることがある。
ラミネート強度(N/15mm)の上限は好ましくは10である。上記を越えても実用上の使用において効果が飽和する。
本発明のポリアミド系積層二軸延伸フィルムは、常温や低温環境下における弾性回復力が優れ、耐衝撃性や耐屈曲疲労性が優れた特性を示すと共に、印刷やラミネート等の加工適性も良好であり、各種の包装材料として好適な積層二軸延伸フィルムである。
インパクト強度の下限は好ましくは0.8Jであり、最も好ましくは0.9Jである。上記未満であると袋などとして使用した際に、強い衝撃が加わったときにシール部分の亀裂により破袋しやすくなるなどの不具合となることがある。
インパクト強度の上限は好ましくは1.4Jであり、特に好ましくは1.3Jである。上記を超えると実用上において差が生じないことがある。
本発明のポリアミド系積層二軸延伸フィルムは以下の例のような製造方法により製造することができる。
押出機を用いて原料樹脂を溶融押出しし、Tダイから膜状に押出し、冷却ロール上に供給して冷却し、未延伸シートを得る。
樹脂溶融温度は好ましくは220〜350℃である。上記未満であると未溶融物などが発生し、欠点などの外観不良が発生することがあり、上記を超えると樹脂の劣化などが観察され、分子量低下、外観低下が発生することがある。
ダイ温度は250〜350℃が好ましい。チルロール温度は好ましくは0〜80℃である。
また、シート状溶融物を回転冷却ドラムに密着させながら、急冷して未延伸シートとするには公知の方法を適用することができ、例えばシート状溶融物にエアナイフを使用する方法や静電荷を印荷する方法等が好ましく適用できる。それらの方法では後者が好ましく使用される。
このシート状物のエア面を冷却する方法としては、公知の方法を適用することができ、たとえばシート面に槽内の冷却用液体を接触させる方法、シートエア面にスプレーノズルで蒸散する液体を塗布する方法や高速流体を吹き付けて冷却する方法を併用してもよい。このようにして得られた未延伸シートを二軸方向に延伸してフィルムを得る。
キャスト速度は好ましくは2〜200m/minである。2m/min未満であると生産性が悪く好ましくない。200m/minを超えると冷却が不足し結晶化が進み延伸性が低下するため好ましくない。キャスト厚みは好ましくは50〜3000μmである。3000μmを超えると内部の冷却が不十分となり、結晶化が進み延伸性が低下することがある。
延伸方法としては同時二軸、逐次二軸のいずれもが採用可能である。本明細書においては、縦方向をMD、横方向をTDと記載することがある。いずれの場合においても、MD方向の延伸方法としては一段、二段、多段が使用できる。
MD延伸方法としてはロール、赤外線が使用できるが、ロール延伸が端部の予熱が十分に行われる点で好ましい。また、後述するように、一段での延伸ではなく、二段など多段のMD延伸が物性面および幅方向、長さ方向の物性の均一さの面では好ましい。
MD延伸の予熱温度の下限は好ましくは30℃であり、より好ましくは35℃である。30℃未満であると予熱が不十分で、延伸が困難となることがある。
MD予熱温度の上限は好ましくは150℃であり、より好ましくは130℃であり、さらに好ましくは120℃である。150℃を超えると結晶化してしまい、延伸が困難となることがある。
MD延伸温度の下限は好ましくは50℃であり、より好ましくは55℃であり、さらに好ましくは60℃である。50℃未満であると樹脂が軟化せず、延伸が困難となることがある。
MD延伸温度(℃)の上限は好ましくは120℃であり、より好ましくは115℃であり、さらに好ましくは110℃である。120℃を超えると結晶化してしまい、延伸が困難となることがある。
MD延伸速度の下限は好ましくは100%/分である。100%/分未満であると生産性が低下することがある。
MD延伸速度の上限は好ましくは1000000%/分であり、より好ましくは900000%/分であり、さらに好ましくは500000%/分である。1000000%/分を超えると延伸時の発熱により結晶化が起こり、後続の延伸が困難となることがある。
MD倍率(倍)の下限は好ましくは2.2倍であり、より好ましくは2.3で倍あり、さらに好ましくは2.5倍である。2.2倍未満であるとMD方向の厚み精度が低下するほか、面配向が低くなりすぎてラミネート強度が不足したり、結晶化度が低くなりすぎてインパクト強度が低下することがある。
MD倍率(倍)の上限は好ましくは5.0倍であり、より好ましくは4.5倍であり、最も好ましくは4.0倍である。5.0倍を超えると後続の延伸が困難となることがある。
また、MD延伸を多段で行う場合には、それぞれの延伸で上述のような延伸が可能であるが、倍率については、全MD延伸倍率の積は5.0以下となるよう、延伸倍率を調整することが必要である。例えば、二段延伸の場合であれば、一段目の延伸を1.5〜2.1倍、二段目の延伸を1.5〜1.8倍とするなどが好ましい。
MD延伸後の厚みの下限は好ましくは10μmである。10μm未満であると後続のTD延伸時に端部を把持しにくくなり破断の原因となることがある。
MD延伸後の厚みの厚み(μm)の上限は好ましくは500μmであり、より好ましくは450μmである。500μmを超えると延伸応力が高くなりすぎてMD延伸時に延伸抜けによる厚みの均一性が低下することがある。
TD予熱温度の下限は好ましくは30℃であり、より好ましくは40℃である。30℃未満であると予熱が不十分で、延伸が困難となることがある。
TD予熱温度の上限は好ましくは150℃であり、より好ましくは130℃である。150℃を超えると結晶化してしまい、延伸が困難となることがある。
TD延伸温度の下限は好ましくは50℃であり、より好ましくは55℃であり、さらに好ましくは60℃である。50℃未満であると樹脂が軟化せず、延伸が困難となることがある。
TD延伸温度の上限は好ましくは180℃であり、より好ましくは175℃であり、さらに好ましくは170℃である。180℃を超えると結晶化してしまい、延伸が困難となることがある。
TD変形速度の下限は好ましくは10%/分であり、より好ましくは15%/分である。10%/分未満であると延伸時の加熱による結晶化の効果が大きくなり延伸性が低下することがある。TD変形速度の上限は好ましくは5000%/分であり、より好ましくは4000%/分である。5000%/分を超えると延伸応力が大きくなりすぎて破断しやすくなることがある。
TD倍率の下限は好ましくは2.8であり、より好ましくは3.0倍であり、さらに好ましくは3.1倍であり、特に好ましくは3.2倍である。2.8未満であるとTD方向の厚み精度が低下するほか、面配向が低くなりすぎてラミネート強度が不足したり、結晶化度が低くなりすぎてインパクト強度が低下することがある。
TD倍率の上限は好ましくは5.5倍であり、より好ましくは5.0倍であり、さらに好ましくは4.7であり、特に好ましくは4.5であり、最も好ましくは4.3倍である。5.5倍を超えると著しく生産性が低下することがある。
熱固定温度の選択は本発明において重要な要素である、熱固定温度を高くするに従い、フィルムの結晶化が進み、インパクト強度を向上させ、熱収縮率を低減させることができる。一方、熱固定温度が低い場合には表面の配向の緩和は起こらないが、一定温度以上で緩和は起こりはじめる。また、熱固定温度が高くなると、結晶が進みすぎたり配向の緩和が進みすぎたり一定温度以上で樹脂の劣化が進み、急速にインパクト強度などフィルムの強靱性が失われる。
従来の方法では、十分に結晶化させ、かつ樹脂の劣化が起こりにくい温度範囲で表面の配向緩和を起こすことは困難であったが、表層の樹脂に他の樹脂をブロック状に導入することで、これらを両立させることができるようになった。
TD熱固定温度の下限は好ましくは210℃であり、より好ましくは212℃である。210℃未満であると表面配向の緩和度が低下しラミネート強度が低下する、あるいは、結晶化が進まずインパクト強度が低下する、あるいは、熱収縮率が大きくなりすぎてラミネート後の外観が低下することがある。
TD熱固定温度の上限は好ましくは220℃であり、より好ましくは218℃である。220℃を超えると熱収縮率が小さくなりすぎてラミネート後に問題が発生するほかに、結晶化度が高くなりすぎて脆くなり、インパクト強度が低下することがある。
熱固定の時間は0.5〜20秒であることが好ましい。さらには1〜15秒である。熱固定時間は熱固定温度や熱固定ゾーンでの風速とのかね合いで適正時間とすることができる。熱固定条件が弱すぎると、結晶化が不十分となり上記問題が起こる。熱固定条件が強すぎるとフィルム強靱性が低下する。
熱固定処理で把持具のガイドレールを先狭めにして、リラックス処理をすることは熱収縮率の制御に有効である。リラックス処理する温度は熱固定処理温度から樹脂のTgまでの範囲で選べるが、好ましくは熱固定処理温度−10℃〜Tg+10℃が好ましい。リラックス温度が高すぎると、収縮速度が速すぎて歪みなどの原因となるため好ましくない。逆にリラックス温度が低すぎるとリラックス処理とならず、単に弛むだけとなり幅方向のみならず長手方向の厚みの均一性が低下するため好ましくない。
TDリラックス率の下限は好ましくは0.5%であり、より好ましくは1%である。0.5%未満であると生産性が低下することがある。TDリラックス率(%)の上限は好ましくは20%であり、より好ましくは15%であり、さらに好ましくは10%である。20%を超えるとテンター内でたるみが発生し、幅方向の厚み精度が低下することがある。
加えて、本発明のポリアミド系積層二軸延伸フィルムには、特性を阻害しない範囲内で、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤等の各種の添加剤を含有させることも可能である。特に、二軸延伸フィルムの滑り性を良好にする目的で、各種の無機粒子を含有させることが好ましい。また、表面エネルギーを下げる効果を発揮するエチレンビスステアリン酸等の有機滑剤を添加すると、フィルムロールを構成するフィルムの滑り性が優れたものになるので好ましい。
さらに、本発明のポリアミド系積層二軸延伸フィルムには、用途に応じて寸法安定性を良くするために熱処理や調湿処理を施すことも可能である。加えて、フィルム表面の接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したり、印刷、蒸着等の加工を施したりすることも可能である。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、フィルムの評価は次の測定法によって行った。
[相対粘度(RV)]
試料0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、この溶液10mlを用い、オストワルド粘度管にて20℃で落下秒数を測定し、下記式より相対粘度を算出した。
RV=t/t0
ただし、t0:溶媒の落下秒数、t:試料溶液の落下秒数。
[ラミネートフィルムの作製]
実施例で作製したフィルムをさらに400mm幅のスリットロールにスリットし、これにポリエステル系二液型接着剤(東洋モートン社製、TM590/CAT56=13/2(重量部))を塗布量3g/m2で塗布後、厚み40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPEフィルム:東洋紡績社製、L6102)をドライラミネートし、40℃の環境下で3日間エージングを行いラミネートフィルムとした。
[ラミネート強度]
上記ラミネートフィルムを、幅15mm、長さ200mmに切り出して試験片とし、東洋ボールドウイン社製の「テンシロンUMT−II−500型」を用いて、温度23℃、相対湿度65%の条件下でポリアミド系積層二軸延伸フィルム層と厚み40μmのL−LDPEフィルム層の層間のラミネート強度を測定した。なお、引張速度は10cm/分、剥離角度は180度とした。
(表層配向の緩和度)
試料表裏面について、以下の条件でFT-IR偏光ATR測定を行った。

FT-IR装置:Bio Rad DIGILAB社製FTS-60A/896
1回反射ATRアタッチメント:golden gate MKII(SPECAC製)
内部反射エレメント:ダイヤモンド
入射角:45°
偏光子:KRS-5ワイヤーグリッド
分解能:4cm-1
積算回数:128回
表層配向の緩和度としては、上記測定で得られたスペクトルで1530cm-1付近に現れる吸収(アミド結合NH変角振動)における各方向の吸収係数(Kx, Ky, Kz)によって定義される配向ファクター 2Kz/(Kx+Ky)を用いた。(但し、 KxはMD方向、KyはTD方向、Kzは厚み方向の吸収係数をそれぞれ示す。)
なお、本発明における表層配向の緩和度については、値が小さいものほど厚み方向の吸光係数が小さい、あるいは、面方向の吸光係数が大きいことを示すことから配向が強いことを意味しており、また、値が大きいものほど配向が弱い、または、配向が緩和していることを示す。
(表層の結晶化度)
試料表裏面について、以下の条件でFT-IR ATR測定を行った。

FT-IR装置:Bio Rad DIGILAB社製FTS-60A/896
1回反射ATRアタッチメント:golden gate MKII(SPECAC製)
内部反射エレメント:ダイヤモンド
入射角:45°
分解能:4cm-1
積算回数:128回
結晶化度は1200cm-1付近に現れる吸収と1370cm-1付近に現れる吸収度の強度比(1200cm-1/1370 cm-1)により算出した。ここで1200cm-1はナイロン6のα晶の吸収、1370cm-1は結晶とは無関係の吸収である。
(インパクト強度)
フィルムの厚みを測定後、東洋精機社製フィルムインパクトテスターを使用し、直径1/2インチの半球状衝撃頭を用いてフィルムのインパクト強度を測定した。得られた値は以下の式により、15μm換算のインパクト強度とした。
インパクト強度(J-15μm) = 観察されたインパクト強度(J)/実厚み(μm)×15
(熱収縮率)
試験温度160℃、加熱時間10分間とした以外は、JIS C2318に記載の寸法変化試験法に準じた。
(融点)
SII製示差走査型熱量計(DSC)を用い、サンプル量10mg、昇温速度20℃/分で測定した。ここで検知された融解吸熱ピーク温度を融点とした。
(弾性率)
JIS K 7113に準ずる。フィルムの長手方向に幅10mm、長さ100mmの試料を、剃刀を用いて切り出して試料とした。23℃、35%RHの雰囲気下で12時間放置したあと、測定は23℃、35%RHの雰囲気下、チャック間距離40mm、引っ張り速度200mm/分の条件で行い、5回の測定結果の平均値を用いた。測定装置としては島津製作所社製オートグラフAG5000Aを用いた。
(ヘイズ)
JISK7105に準ずる方法で、試料をヘイズメーター(日本電色製、NDH2000)を用いて異なる箇所3ヶ所について測定し、その平均値をヘイズとした。
(厚みの均一性(Tv(%))
得られたフィルムロールの中央部から縦方向に中4cm×長さ3mのフィルム片を切り出し、これを1mの長さに3分割したものを測定サンプルとする。該測定サンプルをアンリツ電気社製の連続厚み計(マイクロメーター:K306C、レコーダー:K310C)を用いて下記の条件で測定する。測定サンプル1m内の(最大値−最小値)を求め、3個の平均値(△T平均)を算出する。次いで、平均厚み(T平均:連続厚み測定後のフィルム片を3枚重ねて一方の端部から5cmのところを基準とし、5cmピッチでダイアルゲージを用いて18点測定し,18点の厚みの合計値を54で除した値)を算出する。次いで、TV=(△T平均/T平均)×100(%)を算出した。
連続厚みの測定条件は、以下の通りである。
フィルムの送り速度:1.5m/分
マイクロメーターのスケール:±5μm
レコーダーのハイカット:5Hz
レコーダーのスケール:±2μm
レコーダーのチャート速度:2.5mm/秒
レコーダーの測定レンジ:×1
(実施例1)
ナイロン6樹脂(東洋紡製、T814 RV=2.9)50部と配向を緩和させる樹脂としてメタキシリレンアジパミド樹脂(メタキシリレンジアミン/アジピン酸の重合体、RV=2.5)50部をペレットの状態で混合し、シリンダー温度270℃の押出機で混練り、ペレタイズ後、100℃、減圧下で乾燥して、配向を緩和させるための樹脂(X−1)ペレットを準備した。
次に、ポリアミド樹脂(東洋紡製、T814)92部、上記X−1 8部の混合物(A−1)をシリンダ温度270℃の押出機に、半芳香族ポリアミドレジンとしてメタキシリレンアジパミド樹脂(メタキシリレンジアミン/アジピン酸の重合体、RV=2.5)(B−1)をシリンダ温度280℃の押出機に投入した。それぞれ、樹脂温度270℃、270℃で溶融させた。その後、270℃に加熱したTダイからA−1/B−1/A−1=35/30/35の層比率となるよう押出し、6.5m/分の速度で回転するチルロールに密着させ、冷却固化させることで多層の未延伸シートを作製した。未延伸シートの厚みは180μmであった。このシートのTgは35℃、融点が220℃であった。
このシートをまず60℃の温度で予熱処理を行い、ついで、延伸温度65℃で変形速度4000%/分で3.0倍に縦延伸を行い、引続きこのシートを連続的にテンターに導き、予熱温度80℃、延伸温度95℃で3.6倍に横延伸し、216℃で熱固定および3%の横弛緩処理を施した後に冷却し、幅方向に未延伸の部分を裁断除去後、線状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPEフィルム:東洋紡績社製、L6102)40μmとドライラミネートする側のB層表面にコロナ放電処理を実施し、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムを得た。フィルムの幅は40cm、長さは1000mであり紙管に巻き取った。このときのフィルム物性を表1に示す。
(実施例2)
ナイロン6樹脂(東洋紡製、T814)35部と配向を緩和させる樹脂である芳香族ポリアミドレジンとしてメタキシリレンアジパミド樹脂(メタキシリレンジアミン/アジピン酸の重合体、RV=2.5)65部をペレットの状態で混合し、シリンダー温度280℃の押出機で混練り、ペレタイズ後、100℃、減圧下で乾燥して、配向を緩和させるための樹脂(X−2)ペレットを準備した。
次に、ポリアミド樹脂(東洋紡製、T814)88部、上記X−2 12部の混合物(A−2)をシリンダ温度270℃の押出機に、メタキシリレンアジパミド樹脂(メタキシリレンジアミン/アジピン酸の重合体、RV=2.5)(B−2)をシリンダ温度270℃の押出機に投入した、表に記載の条件を採用した他は実施例1と同様の方法により実施した。
(実施例3)
ナイロン6樹脂(東洋紡製、T814)50部とナイロン11樹脂(アルケマ製、リルサン RV=2.8)50部をペレットの状態で混合し、シリンダー温度270℃の押出機で混練り、ペレタイズ後、100℃、減圧下で乾燥して、配向を緩和させるための樹脂(X−3)ペレットを準備した。
次に、ナイロン6樹脂(東洋紡製、T814)95部、上記X−3 5部の混合物(A−3)をシリンダ温度270℃の押出機に、ナイロン11樹脂(アルケマ製、リルサン)(B−3)をシリンダ温度280℃の押出機に投入して表に記載の条件を採用した以外は実施例1と同様の方法により実施した。
(実施例4)
ナイロン6樹脂(東洋紡製、T814)50部と配向を緩和させる樹脂としてメタキシリレンアジパミド樹脂(メタキシリレンジアミン/アジピン酸の重合体、RV=2.5)50部をペレットの状態で混合し、シリンダ温度270℃の押出機で混練り、ペレタイズ後、100℃、減圧下で乾燥して、配向を緩和させるための樹脂マスターバッチ(X−4)のペレットを準備した。
次に、ナイロン6樹脂(東洋紡製、T814)70部、上記X−4 30部の混合物(A−1)をシリンダ温度275℃の押出機に投入し、樹脂温度270℃で溶融させた。その後、275℃に加熱したTダイから押出し、6.5m/分の速度で回転するチルロールに密着させ、冷却固化させることで単層の未延伸シートを作製した。未延伸シートの厚みは185μmであった。上記及び表に記載の条件を採用した以外は実施例1と同様の方法で実施した。
(実施例5)
ナイロン6樹脂(東洋紡製、T814)をシリンダ温度270℃の押出機に、ナイロン6樹脂としてRVが3.4のナイロン6樹脂をシリンダ温度280℃の押出機に投入して表に記載の条件を採用した以外は実施例1と同様の方法により実施した。
(比較例1)
MD延伸倍率、TD延伸倍率を低く変更して表に記載の条件を採用した以外は実施例1と同様に実施した。延伸倍率を下げることで、表層の配向を下げ、ラミネート強度を高くすることができたが、インパクト強度が低下した。これは面配向が低くすぎたためと推定される。
(比較例2)
事前にナイロン6樹脂と配向を緩和させる樹脂を押出機中で混練りして樹脂マスターバッチを準備することなく、直接、押出機に二種の樹脂を混合して投入して表に記載の条件を採用した以外は実施例2とほぼ同様に実施したが、ラミネート強度が大きく低下した。事前に混練りをすることがなかったため、配向を緩和させる樹脂の配向緩和効果が小さいことが原因と推定される。
(比較例3)
配向を緩和させる樹脂を用いず実施して表に記載した条件を採用した以外は実施例1とほぼ同様に実施したが、ラミネート強度、インパクト強度とも不十分であった。配向を緩和させる樹脂を添加していないため、フィルム表層の配向が高くなりすぎたためと推定される。
(比較例4)
配向を緩和させる樹脂を用いず実施して表に記載した条件を採用した以外は実施例4とほぼ同様に実施したが、ラミネート強度が低下した。配向を緩和させる樹脂を添加していないため、フィルム表層の配向が高くなりすぎたためと推定される。
(比較例5)
配向を緩和させる樹脂を用いず、また、熱固定温度を高くして表に記載した条件を採用した以外は実施例4とほぼ同様に実施したが、インパクト強度が低下した。高温での熱固定温度によりフィルム表層の配向は緩和し、ラミネート強度は比較例4に対して改善されたが、配向の過度の緩和により力学特性が低下したものと推定される。
(比較例6)
表層中の配向を緩和させる樹脂の含有量を増やして表に記載した条件を採用した以外は実施例1とほぼ同様に実施したが、インパクト強度の低下が観察された。配向を緩和させる樹脂が過度に添加されているため、スキン層全体の配向が過度に緩和し、力学特性が低下したものと推定される。
(比較例7)
表層中の配向を緩和させる樹脂の含有量を増やし、熱固定温度を下げ、表に記載した条件を採用した以外は実施例4と同様に実施したが、熱収縮率の悪化、インパクト強度の改善はみられず、ラミメート強度とインパクト強度のバランス化はできなかった。配向を緩和させる樹脂の添加量が多いため配向結晶化が起こりにくくなっており、熱固定のための熱量が不足し、配向結晶化が進まず、力学特性の低下や耐熱性が低下したものと推定される。
(比較例8)
表層中の配向を緩和させる樹脂の含有量を実施例4より増やし、比較例7よりも更に熱固定温度を下げて表に記載した条件を採用した以外は実施例4と同様に実施した。熱収縮率、ラミネート強度が大幅に悪化した。配向を緩和させる樹脂の添加量が多すぎて、少ない熱量でも配向が緩和しやすいため、熱固定温度を低温化する必要があるが、ラミネート強度を発現させるための配向の緩和の度合いと熱収縮率の改善のバランス化ができなかった。
(比較例9)
共重合ナイロン樹脂として東レ製アミランCM6021M(融点214℃)を用いて表に記載した条件を採用した以外は実施例4と同様に、表に記載の条件で実施した。
(比較例10)
事前にナイロン6樹脂と配向を緩和させる樹脂を押出機中で混練りして樹脂マスターバッチを準備することなく、直接、押出機に二種の樹脂を混合して投入して表に記載の条件を採用した以外は実施例2とほぼ同様に実施した。熱固定温度を高めることでラミネート強度の改善を期待したが、改善が見られず、インパクト強度のみが低下した。事前に混練りをすることがなかったため、配向を緩和させる樹脂の配向緩和効果が小さいことが原因と推定される。
Figure 0005999085
Figure 0005999085
本発明によれば、優れた接着性、ラミネート強度を有し、過度の熱処理によるフィルム脆化も見られず、本来のポリアミドフィルムが有する力学特性を保持し、また袋として用いた場合の耐破袋性、耐ピンホール性に優れた、包装用または工業用の延伸ポリアミドフィルムの提供が可能となる。

Claims (1)

  1. ナイロン6を主たる構成成分とする延伸ポリアミドフィルムであって、前記延伸ポリアミドフィルムが、少なくとも2層の異なる相対粘度のナイロン6の層を含有し、相対粘度が高いナイロン6の層が表面にあって、その表層が上記(1)および(2)を満たし、延伸ポリアミドフィルムが(3)を満たすことを特徴とする延伸ポリアミドフィルム。
    (1)赤外分光法により得られる表層配向の緩和度が0.3〜0.5の範囲
    (2)赤外分光法により得られる表層の結晶化度が1.0〜1.4の範囲
    (3)160℃、10分でのTD方向の熱収縮率(%)が0.6〜4の範囲
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