JP5353405B2 - 積層2軸延伸ポリアミド系フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、耐衝撃性及び耐屈曲疲労性、特に、低温環境下における耐屈曲疲労性、耐突き差し性に優れ、食品包装等の包装材料として使用したときに、商品の輸送時、保管時における破袋防止等に効果があり、さらに業務用途の大型重量袋の落下破袋防止にも効果のある各種包装用途に適したポリアミド系積層2軸延伸フィルムに関するものである。
従来から、ナイロン6やナイロン66に代表される脂肪族ポリアミドからなる未延伸フィルムや延伸フィルムは、耐衝撃性や耐屈曲疲労性に優れており各種の包装材料フィルムとして広く使用されている。
また、スープ、調味料等の液体充填包装向けに、さらに、耐屈曲疲労性、耐衝撃性を向上させるため、単層構成で脂肪族ポリアミドに各種エラストマー(ゴム成分)を混合し、より柔軟化した耐ピンホール用延伸ポリアミド系フィルムが広く使用されている。
上記従来の耐ピンホール用フィルムにおいて、脂肪族ポリアミドにポリオレフィン系エラストマーを混合したフィルムは、常温での耐屈曲疲労性、耐衝撃性は良好であるが、低温環境下になると耐屈曲疲労性、耐衝撃性は不良化し、商品輸送時における屈曲疲労によりピンホールが起こりやすいという問題がある。商品の包装材料にピンホールが発生すると、内容物の漏れによる汚染、内容物の腐敗やカビの発生等の原因となり、商品価値の低下につながる。
一方、脂肪族ポリアミドにポリアミド系エラストマーを混合したフィルムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。前記フィルムは、低温環境下での耐屈曲疲労性、耐衝撃性は良好であり、低温環境下でも屈曲疲労によるピンホール発生は起きにくい。
特開平11−254615号公報
しかし、脂肪族ポリアミド中でのポリアミドエラストマーの分散径が大きい為、製袋品 を落下させたときの衝撃がポリアミドフィルム中に大きな粒径をもって分散したポリアミドエラストマー粒子を次々と伝播し厚み方向で裂け易くなる傾向がある。その為にポリアミドエラストマー添加耐ピンホールポリアミドフィルムを用いた大型重量袋では落下破袋が発生しやすくなる傾向がある。
さらに、製袋加工時の取扱い向上、袋への内容物充填時の作業性向上のために製袋品の腰を付与する目的で、ヒートシール用のポリエチレン樹脂層の厚みを増加させた、または より硬いポリエチレン樹脂を選択したポリアミド系フィルム/ポリエチレン樹脂構成の製袋品では、製袋品の腰が硬くなるためにピンホールが開き易くなってしまう。そのためこれらに用いられるポリアミド系フィルムには、より一層の耐ピンホール性が要求される。
また、業務用のユリットル以上の容積である大型重量袋、段ボール箱内に大型プラスティック袋を収納、保管、運搬する包装形態であるバッグ・イン・ボックスの需要も伸びている。これらに用いられるポリアミドフィルムとしては先に記した耐屈曲疲労性、耐衝撃性も大いに必要であり、更に大容量の液状物を包装する為、強い耐落下破袋性、フィルム厚み方向の強い凝集一破壊強度を必要とする。さらに、包装袋へ充填後、熱水中にて煮沸することにより殺菌処理を施し、その品質保持期間を延長する商品も市場には多く見受けられ、それらには、熱水中での熱水中での接着強度維持、水付着条件下での接着強度維持を必要とする。
このように、現行の耐ピンホール性ポリアミドフィルムでの、拡大された要求特性への対応度合いとしては、ポリオレフィン系エラストマー混合ポリアミド系フィルムでは低温環境下での耐屈曲疲労性、耐衝撃強度が劣り、ポリアミド系エラストマー混合ポリアミド系フィルムでは低温環境下でも耐屈曲疲労性、耐衝撃強度は良好な傾向である。しかし耐落下破袋性、フィルム厚み方向の強い凝集破壊強度、及び、熱水中での接着強度の維持、水付着条件下での接着強度維持については満足できるレベルに至っていない、という問題があった。
本発明は、上記の現行耐ピンホール用途ポリアミド系フィルムの有する問題点に鑑み、 耐衝撃性、耐突き刺し性および耐屈曲疲労性、特に、低温環境下における耐屈曲疲労性に優れ、食品包装等の包装材料・として使用したときに、商品の輸送時、保管時における破袋防止等の効果に優れ、さらに業務用途等の大型重量袋の落下破袋防止にも効果のある、熱水殺菌処理後でも満足する接着強度を維持した各種の包装用途に適したポリアミド系積層2軸延伸フィルムを提供する事が目的である。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. 脂肪族ポリアミド重合体99.5〜70重量%と熱可塑性エラストマー0.5〜10重量%および/または脂肪族共重合ポリアミド重合体3〜20重量%との混合重合体からなるA層の少なくとも一方の面に、脂肪族ポリアミド重合体97〜85重量%とメタキシリレン基含有ポリアミド重合体3〜10重量%からなるか、または更に熱可塑性エラストマー0〜5.0重量%を添加してなる、混合ポリアミド重合体からなるB層が積層されてなり、最外層となるB層面の片面に固形分として0.01〜1g/m2塗布されてなる共重合ポリエステルの接着改質層が積層されたポリアミド系混合樹脂積層フィルムであり、かつ衝撃強度0.7J以上、突き刺し強度10N以上、23℃65%RHでの静摩擦係数0.90以下、5℃での屈曲ピンホール欠点数が5個以下、水分付着条件下でのラミネート強度が3.0N/15mm以上、30分沸騰水で熱処理したのちの水分付着条件下でのラミネート強度が1.5N/15mm以上であることを特徴とする積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
2. A層の厚みがA層及びB層の合計厚みの60〜94%であり、B層の厚みが少なくとも1.5μm以上であることを特徴とする請求項1記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
3. A層を構成する熱可塑性エラストマーがポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー又はアイオノマー重合体から選ばれた1種又は2種以上のエラストマーであるであることを特徴とする上記第1又は第2に記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
4. A層および/またはB層構成するポリアミド重合体が、脂肪族アマイドおよび/または脂肪族ビスアマイドを0.01〜0.40重量%含有してなることを特徴とする請求項1〜第3のいずれかに記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
5. B層に添加される無機微粒子の細孔容積が0.5〜1.0ml/gおよび1.0〜1.8m1の2種類以上からなることを特徴とする上記第1〜第4のいずれかに記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
6. A層を構成する混合重合体が酸化防止剤を0.01〜0.2重量%含有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
7. 酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤であることを特徴とする上記第6記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
8. フェノール系酸化防止剤が完全ヒンダートフェノール系化合物または部分ヒンダートフェノール系化合物から選ばれた1種または2種以上のフェノール系化合物であることを特徴とする上記第7に記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
かかる本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、脂肪族ポリアミド重合体中に耐ピンホール素材としての熱可塑性エラストマーが分散している構造をもつA層が主に耐屈曲疲労性の発現に寄与し、特に低温環境下において優れた耐屈曲疲労性を与える。このA層にさらに脂肪族ポリアミド共重合体が添加されることで柔軟化され、さらに優れた耐突き刺し破袋性、耐衝撃性を発現する。
また、脂肪族ポリアミド重合体とメタキシリレン基含有ポリアミド重合体からなるB層が主に優れた耐凝集破壊強度と優れた滑り性をもち、大型重量袋加工時での耐落下破袋性の発現に寄与し、また、包装袋に加わる摩擦、磨耗による衝撃を受け止め耐磨耗性の発現に寄与する。このB層にさらに脂肪族ポリアミドエラストマーを添加することでさらなる柔軟性と耐屈曲疲労性を付与し、それぞれの特性の相乗効果によって高い衝撃強度、耐突き差し性、耐屈曲疲労性と耐磨耗性、破袋防止性を両立するものである。そして、優れた耐衝撃性および耐屈曲疲労性を有し、特に、低温環境下における耐屈曲疲労性が良好であり、且つ、業務用大型重量袋として用いた場合においても優れた耐落下破袋性を有し得る。さらに、このB層片面に共重合ポリエステルからなる接着改質層を付与することで、食品保存に必要な熱水殺菌処理を施しても耐えうる耐熱水接着強度、水付着条件下での接着強度を維持しえる。
上記のような特性を有することから、食品包装、液体包装等の包装材料として用いたときに、輸送中、特に、低温輸送時、保管時における衝撃や振動、摩擦による突き刺し、屈曲疲労、摩擦疲労による破袋の防止に効果があり、また、製袋品の輸送時、保管時における落下においても破袋防止に効果がある。
さらに製袋加工時および製袋加工品への商品充填時のブロッキング、滑り不良を防ぎ、安定した作業性を与え、更に、殺菌処理としての熱水処理にも耐えうる、包装材料として有効に使用することが出来る。特に、大型業務袋として加工製袋した場合においても、有益使用される為には衝撃強度が0.7J以上、突き刺し強度10N以上、23℃65%RHの静摩擦係数が0.90以下、低温環境下でのピンホール欠点数が5個以下、水付着条件下でのラミネート強度3.0N以上、30分沸騰水浸漬後の水付着条件下でのラミネート強度1.5N以上であることが望ましい。
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、耐衝撃性、耐突き刺し性、および耐屈曲疲労性、特に、低温環境下における耐屈曲疲労性に優れ、さらに業務用途等の大型重量袋として必要とされる落下破袋防止にも効果のある、沸騰水での殺菌処理にも対応可能な各種の包装材料として有効に使用することができる。
以下、本発明における積層2軸延佛ポリアミド系フィルムの実施の形態を詳細に説明する。 本発明においてA層は脂肪族ポリアミド重合体99.5〜70重量%と熱可塑性エラストマー0.5〜10重量%及び/又は肪族共重合ポリアミド重合体3〜20重量%からなる混合ポリアミド重合体からなる。かかるA層は、耐衝撃性および耐屈曲疲労性に優れる脂肪族ポリアミド重合体中に耐ピンホール素材としての熱可塑性エラストマーが分散している構造をもつことで、優れた耐屈曲疲労性、特に、低温環境下における耐屈曲疲労性の改善に寄与する。さらに、柔軟性付与剤、粘り性付与剤として脂肪族ポリアミド共重合体が微分散している構造をもつことで、優れた衝撃強度、耐突き刺し性、耐屈曲疲労性の改善に寄与する。ここでA層に混合される熱可塑性エラストマーの混合量が0.5重量%未満ではその耐屈曲疲労性の改善効果を得づらいので好ましくなく、混合量が10重量%を超える場合、透明性が損なわれ易くなり、耐屈曲疲労性も飽和に近づきあまり好ましくない。さらにここで、A層を構成する脂肪族ポリアミド共重合体の混合量が3%未満では熱可塑性エラストマーの混合量が3重量%未満では現行の耐ピンホール性ポリアミド延伸フィルムを超える高度に要求された耐衝撃性、耐突き刺し性、耐屈曲疲労性を得ることが困難となり好ましくない。また、混合量が20重量%を超えると衝撃強度、耐突き刺し性、耐屈曲疲労性の飽和に陥るので意味が薄くなる。
次に、脂肪族ポリアミド重合体97〜85重量%及びメタキシリレン基含有ポリアミド重合体3〜10重量%からなるか、または更に熱可塑性エラストマー0〜5.0重量%を添加してなる、混合ポリアミド重合体からなるB層は、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体を混合する事で接着性低下、分子間力低下につながる水分の影響を低下することで、また自身が2軸方向へ延伸される時に有効な延伸助剤、延伸時の応力緩和剤となることでフィルムの厚み方向に強い凝集破壊強度を持つ。更にB層を構成する混合ポリアミド重合体ヘゴム成分となる熱可塑性エラストマーを添加した場合においても、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体添加による上記の影響で強い耐凝集破壊強度をもちつつ、低温での耐屈曲疲労性を改善する。そのB層はA層の少なくとも片面に、積層されてなる構造をもつ。
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムが製袋品に加工される場合、B層外面にヒートシール素材をラミネートした構成となり、製袋晶が落下した場合、その衝撃は袋の内容部からシール部に伝播する。本発明構成では凝集強度の強いB層で衝撃を受け止め、外部のA層まで衝撃を伝播させない事で高い破袋防止性を発現する。
この場合において、B層の厚みが大きくフィルム総厚みを占めた場合、高い滑り性を確保するが耐屈曲疲労性は低下する傾向にある。これと反対にA層の厚みがフィルム総厚みをほぼ占有した場合、柔軟性、衝撃強度、耐突き刺し性、耐屈曲疲労性は優れているものの破袋防止性が確保しえず、滑り性、耐磨耗性も低下する。従って、本発明において、A層の厚みを、A層及びB層の合計厚みの60〜94%とし、特に73〜92%が好ましい。また、B層の厚みを少なくとも1.5μm以上とすることで、耐屈曲疲労性と耐破袋防止惟の両立を効果的に発現しうる。このB面片面にさらに共重合ポリエステルからなる接着改質層を付与する事で沸騰水に浸漬する殺菌処理に対応しえる接着強度を有し、水が付着した条件下でも十分な接着強度を保有し得る。
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムのA層を構成する脂肪族ポリアミド重合体としてはフィルム成形材料として使用することができ上記構造を形成するのに適切であれば特に制限されず広範なものが含まれる。例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6・10などの脂肪族ポリアミド単独重合体を使用することができる。
A層に混合される熱可塑性エラストマーは、ゴム状弾性を有する物質としての熱可塑性を有する材料のことであり、上記構造を形成するのに適切であれば特に制限されない。より具体的には、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、アイオノマー重合体等のほか、これらのエラストマーの混合物などが挙げられる。熱可塑性エラストマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明では、熱可塑性エラストマーは、本発明の趣旨を損なわない範囲において改質が行われてもよい。例えば、前言己例示の熱可塑性エラストマーの変性体であってもよい。熱可塑性エラストマーにおける改質としては、例えば、共重谷やグラフト変性による改質、極性基の付与による改質などが挙げられる。極性基の付与は、グラフト変性により行われていてもよい。このような極性基としては、例えば、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ヒドロキシル基、アミノ基、オキソ基などが挙げられる。極性基は1種類で又は複数の種類を組み合わせて付与することができる。従って、極性基が付与された変性体には、例えば熱可塑性エラストマーのエポキシ変性体、カルボキシ変性体、酸無水物変性体、ヒドロキシ変性体、アミノ変性体などが含まれる。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー及びアイオノマー重合体を好適に用いることができる。
前記ポリアミド系エラストマーとしては、ポリアミド成分によって構成されるハードセグメントとポリオキシアルキレングリコール成分によって構成されるソフトセグメントからなるポリアミド系ブロック共重合体が挙げられる。ハードセグメントのポリアミド成分は、(1)ラクタム、(2)ω−アミノ脂肪族カルボン酸、(3)脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸又は(4)脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸よりなる群がら選択され、具体的には、ε−カプロラクタムの如きラクタム、アミノヘプタン酸の如き脂肪族ジアミン、アジピン酸の如き脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸を例示することができる。また、上記ポリアミド系ブロック共重合体のソフトセグメントを構成するポリオキシアルキレングリコールは、例えば、ポリオキシテトラーメチレングリコール、ポリオキジエチレングリコール、ポリオキシ−1,2−プロピレングリコール等が挙げられる。
ポリアミド系ブロック共重合体の融点はポリアミド成分によって構成されるハードセグメントとポリオキシアルキレングリコール成分によって構成されるソフトセグメントの種類と比率によって決められるが、通常は、120℃から180℃の範囲のものが使用される。
ポリアミド系ブロック芙重合体を積層2軸延伸ポリアミド系フィルムの構成成分にする ことにより、積層2軸延伸ポリアミド系フィルムの耐屈曲疲労性、特に、低温環境下における耐屈曲疲労性の改善に効果がある。
また、ポリオレフィン系エラストマーとしては、特に制限されず、ポリオレフィン差ハ ードセグメントとし、各種ゴム成分をソフトセグメントとするブロック共重合体などが挙 げられる。ハードセグメントを構成するポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブチン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3一メチル−1−ペンテン、1−オクチン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなど、炭素数2〜20程度のα−オレフィン等の単独重合体又は共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。好ましいオレフィンにはエチレン、プロピレンが含まれる。また、ソフトセグメントを構成するゴム成分としては、例えば、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム(NR)、ニトリルゴム(NBR;アクリルニトリル−ブタジエンゴム)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(lIR)、水素添加NBR (H-NBR)、アクリロニトリル−イソプレンゴム(NIR)、アクリロニトリルーイソプレン−ブタジエンゴム(NBIR)などが挙げられる。これらのゴム成分には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸をコモノマーとして含有させたカルボキシル化ゴム等の酸変性ゴムやその他の変性ゴム、水添物なども含まれる。これらのゴム成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、アイオノマー重合体としては、特に制限されず、ポリオレフィンをハードセグメントとし不飽和カルボン酸で酸変性させた各種ゴム成分をソフトセグメントとし、さらに 金属イオンにて中和してなるブロック共重合体などが挙げられる。好ましいアイオノマー 重合体としてはエチレンとメタクリル酸、又はエチレンとメタクリル酸とアクリル酸エス テルとからなる共重合樹脂を、Na、K、Zn2+を含む金属イオンで中和してなることを特徴とするアイオノマー重合体が含まれる。
A層に混合される脂肪族共重合ポリアミド重合体としては、上記の脂肪族ポリアミド単独重合体に共重合可能なモノマーが10重量%以下、好ましくは1〜10重量%の共重合体、例えば、ナイロン6/6・6共重合体、ナイロン6/12共重合体、ナイロン6/6・10共重合体、ナイロン6・6/6・10共重合体などのような脂肪族ポリアミド共重合体で代表される脂肪族ポリアミドまたはε一カプロラクタムを主成分としこれとヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とのナイロン塩やメタキシリレンジアミンとアジピン酸とのナイロン塩などとを共重合させた少量の芳香族を含むポリアミド共重合体等を使用することができる。
前記のA層を構成する混合重合体は、上記脂肪族ポリアミド重合体と熱可塑性エラストマーおよび/または脂肪族ポリアミド共重合体との混合物である。この混合重合体は、バージン原料の上記、脂肪族ポリアミド重合体と熱可塑性エラストマーを混合したものであってよいし、また、本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムを製造する際に生成する 規格外フィルムや切断端材(耳トリム)として発生する屑材、及びその再生レジンとバージン原料を加えて調整したものであってもよい。
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムのA層を構成する混合重合体には、フェノール系酸化防止剤が0.01〜0.2重量%含有されてもよい。A層の混合重合体として、屑材、及び再生レジン等の回収再生原料を使用する場合、回収再生原料の熱劣化等による製膜操業性不良を低減し安定した製膜操業性を実現するには、酸化防止剤を0.01〜0.2重量%含有することが好ましい。
酸化防止剤をA層の混合重合体に混合する割合が上記の範囲の上限を超えると、積層2 軸延伸ポリアミド系フィルム表面への析出等による白化、ポリエチレン、ポリプロピレンシーラントとのラミネート加工時の接着性不良となり、上記の範囲の下限を下回ると、A層の混合重合体として、屑材、及び再生レジン等の回収再生原料を使用する場合の、回収再生原料の熱劣化等による製膜操業性不良が発生することがある。
本発明においてA層の混合重合体に含有させることができる酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤が好ましい。本発明においてA層の混合重合体に含有させるフェノール系酸化防止剤は、完全ヒンダードフェノール系化合物、若しくは、部分ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。例としては、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキジフェニル)プロピオネート〕メタン、ステアリルーβ一(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキジフェニル〕プロピオネート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。
上記フェノール系酸化防止剤を積層2軸延伸ポリアミド系フィルムのA層の混合重合体に含有させることにより、積層2軸延伸ポリアミド系フィルムの製膜操業性を向上する。特に、フィルム屑材、再生レジン等を用いた回収再生原料混合系では、熱可塑性エラストマーの回収再生による熱劣化が起き易く、これを起因とする製膜操業不良が発生するため、操業効率低下による生産コスト上昇、及び、回収再生原料の使用量の低下による操業性維持のための原料費上昇による生産コスト上昇を招く傾向にある。これに対して、上記フェノール系酸化防止剤を、回収再生原料類を含むポリアミド系2軸延伸フィルムのA層の混 合重合体に含有させることで、熱可塑性エラストマーをはじめとする各種重合体の熱劣化を抑制し、安定した製膜操業性を実現する。このことから、操業性向上、及び、回収再生原料の使用量増加による原料費低減により、生産コストの低減が可能となる。
次に、脂肪族ポリアミド重合体97〜85重量%及びメタキシリレン基含有ポリアミド重合体3〜10重量%からなる、または更に熱可塑性エラストマー0〜5.0重量%を添加してなる、混合ポリアミド重合体からなるB層は、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体を混合する事で接着性低下、分子間力低下につながる水分の影響を低下することで、また自身が2軸方向へ延伸される時に有効な延伸助剤、延伸時の応力緩和剤となることでフィルムの厚み方向に強い凝集破壊強度を持つ。更にB層を構成する混合ポリアミド重合体ヘゴム成分となる熱可塑性エラストマーを添加した場合においても、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体添加による上記の影響で強い耐凝集破壊強度をもちつつ、低温での耐屈曲疲労性を改善する。
B層を構成するポリアミド重合体を、脂肪族ポリアミド重合体とメタキシリレン基含有ポリアミド重合体の混合ポリアミド重合体の組成とすることで、B層表面に凹凸を形成し、製袋加工時のブロッキング等を防止する滑り性が付与される。また、B層を構成するポリアミド重合体が脂肪族ポリアミド重合体のみの場合、または、脂肪族およびメタキシリレン基含有ポリアミド重合体との混合ポリアミド重合体でメタキシリレン基含有ポリアミド重合体の添加量が少ない場合においては、B層を構成する混合ポリアミド重合体は柔軟であるため、本発明のポリアミド積層2軸延伸フィルム全体としては耐屈曲疲労性の発現には効果的である。ただし、B層を構成するポリアミド重合体が柔軟であることより、B層の厚みが薄い場合においては上記目的の落下時に発生する衝撃の伝播防止が充分ではなく、結果として落下による破袋が発生してしまう可能性がある。そのため、B層を構成するポリアミド重合体が脂肪族ポリアミド重合体のみの場合、または、脂肪族およびメタキシリレン基含有ポリアミド重合体との混合ポリアミド重合体でメタキシリレン基含有ポリアミド重合体の添加量が少ない場合においては、シーラント素材と貼りあわせる側のB層厚みは少なくとも1.5μm以上であることが好ましい。本発明においてB層の厚みは、層構成がB層/A層/B層の場合には片面のB層の厚みを意味する。
上記のように本発明のポリアミド積層2軸延伸フィルムの耐屈曲疲労性を重視した構成において、B層を構成するポリアミド重合体の脂肪族ポリアミド重合体とメタキシリレン基含有ポリアミド重合体の配合比率は、脂肪族ポリアミド重合体99〜90重量%とメタキシリレン基含有ポリアミド重合体1〜10重量%が好ましい。メタキシリレン基含有ポリアミド重合体の比率が少なければ滑り性不良、耐凝集破壊性低下傾向となり、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体の比率が多ければ耐屈曲疲労性が低下する。
このメタキシリレン基含有ポリアミド重合体の配合比率の高い混合ポリアミド重合体へ熱可塑性エラストマー0〜5%添加することで、高い耐凝集破壊強度を保持したまま、低温での耐屈曲疲労性を改善しえる。この場合、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体比率が低い場合では高い耐凝集破壊強度を維持し得ない為、熱可塑性エラストマーの分散粒子に落下時の衝撃が伝播、そのまま厚み方向に裂け易くなり破袋してしまう。メタキシリレン基含有ポリアミド重合体比率が高い場合で熱可塑性エラストマー添加量が高すぎる場合でも同様である。今構成において高い耐凝集破壊性を維持しつつ、優れた低温での耐屈曲疲労性、耐衝撃性、耐突き刺し性を両立した積層2軸延伸ポリアミドフィルムを得られる。
本発明のポリアミド系積層2軸延伸フィルムのB層を構成する脂肪族ポリアミド重合体としてはフィルム成形材料として使用することができ上記構造を形成するのに適切であれば特に制限されず広範なものが含まれる。例えば、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン12、ナイロン6・10などの脂肪族ポリアミド単独重合体、あるいはこれらと共重合可能なモノマー10重量%以下、好ましくは1〜10重量%の共重合体、例えば、ナイロン6/6・6共重合体、ナイロン6/12、ナイロン6/6・10共重合体、ナイロン6・6/6・10共重合体などのような脂肪族ポリアミド共重合体で代表される脂肪族ポリアミド又はε−カプロラクタムを主成分としこれとヘキサメチレンジミンとイソフタル酸とのナイロン塩やメタキシリレンジアミンとアジピン酸とのナイロン塩などとを共重合させた少量の芳香族を含むポリアミド共重合体等を使用することができる。
また、B層を構成するメタキシリレン基含有ポリアミド重合体は、特に制限されず広範なものが含まれる。B層を構成するメタキシリレン基含有ポリアミド重合体としては、メタキシリレンジアミン、若しくは、メタキシリレンジアミン及びパラキシリレンジアミンからなる混合キシリレンジアミンを主たるジアミン成分とし、炭素数6〜12のα、ω一脂肪族ジカルボン酸を主たるジカルボン酸成分とするメタキシリレン基含有ポリアミド重合体において、パラキシリレンジアミンは全キシリレンジアミン中30%以下であるのが好ましく、また、キシリレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸とから構成された構成単位は分子鎖中において少なくとも70モル%以上であるのが好ましい。さらに添加しえる熱可塑性エラストマーとしては、A層に添加される熱可塑性エラストマーと同様である。
また、B層を構成する重合体に含まれるメタキシリレン基含有ポリアミド重合体の低吸湿性及び応力の緩和効果により製膜延伸時に発生する無機粒子滑剤の潰れの減少化により製袋加工時に優れたハンドリング性を与える事ができる。またさらに上記混合ポリアミド重合体からなるB層は、平均粒径0.5〜5.0μmで細孔容積0.5〜1.0ml/gおよび1.0〜1.8ml/gの2種類以上のシリカ微粒子を含有することで高湿度環境下でも特に優れた滑り性を維持し、包装袋に加わる摩擦、屈曲の衝撃を受け止め耐磨耗性、破袋防止性の発現に寄与しえる。0.5〜1.0ml/gの方は0.6〜1.0ml/gでもよく、1.1〜1.6ml/gでもよい。優れた滑り性を保有し摩擦によるフィルムの削れによる破袋、摩擦による屈曲疲労の増加を防ぎ、さらに耐屈曲疲労性を改善し得る。そのB層はA層の少なくとも片面に積層されている構造をとるために、製袋品の最外面となるラミネート構成となる。製袋品の運搬時に段ボール等の運搬包装との摩擦が生じた場合、その摩擦でフィルムに削れを生じ破袋したり、袋どうしの接触で突き刺し、屈曲疲労等が増加し破袋したりする。本発明構成では滑り性の良いB層で摩擦による破袋要因を減少させ高い破袋防止性を発現する。
表面突起形成用微粒子としては、シリカ、カオリン、ゼオライト等の無機滑剤、アクリル系、ポリスチレン系等の高分子系有機滑剤等の中から適宜選択して使用することができる。なお、透明性、滑り性の面から、シリカ粒子を好適に用いることができる。
表面突起形成用微粒子の好ましい平均粒子径は0.5〜5.0μmであり、より好ましくは1.0〜3.0μmである。平均粒子径が0.5μm未満であると、良好な滑り性を得るのに多量の添加量が好ましくなく、反対に、5.0μmを超えると、フィルムの表面粗さが大きくなりすぎて実用特性を満たさなくなるので好ましくない。
またシリカ微粒子としては、細孔容積が0.5〜1.8ml/gのものを好適に用いることができ、細孔容積が0.5〜1.0ml/gの範囲の低孔質のものと1.1〜1.8m1/gの範囲である多孔質のものを2種類以上用いるとより好ましい。なお、細孔容積とは微粒子1g当りに含まれる細孔の容積(m l/g)のことをいう。そのようなシリカ微粒子は、一般には合成シリカを粉砕し分級することによって得られるが、合成時に直接に球状微粒子として得られる多孔質シリカ微粒子を用いることも可能である。またそのようなシリカ微粒子は一次粒子が凝集してできた凝集体であり、一次粒子と一次粒子の隙間が細孔を形成する。
細孔容積は、シリカ微粒子の合成条件を変えることによって調整することができ、細孔容積が小さいほど、少量の添加量で良好な滑り性を与える事が可能となるが、細孔容積の小さいシリカ微粒子を使用すると、配合したポリアミド系樹脂の延伸工程においてフィルム表面高い突起を形成するが多くのボイドを生じ、フィルムの透明性が損なわれることがある。これに対し、細孔容積の大きいシリカ微粒子を使用すると、透明性を維持した上で多量添加が可能となる。しかし、その形成する表面突起の高さは低く高湿度条件下でも好適な滑り性を維持する為には多量のシリカ微量子の添加を必要とする。従って先述の範囲のシリカ微粒子の2種類以上を添加すると、透明性を維持したまま、高い表面突起をと低い表面突起が共存し高湿度環境下での優れた滑り性を得ることができる。なお、2軸延伸フィルムの透明性は、延伸条件(温度や倍率)あるいはその後の緩和処理条件(緩和率や温度)によっても変わってくるので、これらの条件も適正にコントロールすることが望ましい。
シリカ微粒子をポリアミド樹脂に添加する方法としては、重合時の添加や押出し機での溶融押出し時に添加してマスターバッチ化し、このマスターバッチをフィルム生産時にポリ アミド重合体に添加して使用するなどの公知の方法により行う事ができる。
シリカ微粒子の平均粒子径は下記のようにして測定した値である。高速撹枠機を使用して所定の回転速度(約5000rpm)で提絆したイオン交換水中にシリカ微粒子を分散させ、その分散液をイソトン(生理食塩水)に加えて超音波分散機で更に分散した後に、コールカウンター法によって粒度分布を求め、重量累積分布の50%における粒子径を平均粒子径として算出した。
さらにシリカ微粒子のポリアミド系樹脂フィルム中に占める含有比率は0.03〜0.70重量%であり、より好ましくは0.08〜0.60重量%である。シリカ微粒子の含有量が0.03重量%未満であると、二軸延伸フィルムの高湿度下での滑り性が十分に改善されないので好ましくなく、反対に、含有量が0.70重量%を超えると、抽出工程での流失量が多くなる上、フィルムの透明性が許容できないほど悪くなるので好ましくない。
本発明の二軸配向ポリアミド系樹脂フィルムは脂肪族ポリアミド系樹脂と熱可塑性エラストマー、メタキシリレン基含有ポリアミド重合体および脂肪族共重合ポリアミド重合体、表面突起形成用の微粒子を必須の成分として含有するが、前記した特性を阻害しない範囲内で他の種々の添加剤、例えば潤滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃改良剤などを含有することも可能である。特に、表面エネルギーを下げる効果のある有機系潤滑剤を、接着性や濡れ性に問題が生じない程度に添加すると、延伸フィルムに一段と優れた滑り性と透明性を与える事ができるので好ましい。
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムのA層及び/又はB層を構成するポリアミド重合体中に、滑り性付与を目的として脂肪族アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドを含有させることができる。本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムのA層及ぴ/又はB層を構成するポリアミド重合体中に含有させる脂肪族アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドとしては、エルカ酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイドなどが挙げられる。
この場合の、A層及び/又はB層を構成するポリアミド重合体中に含有させる脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイトの含有量は、好ましくは0.01〜0.40重量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイトの含有量が0.01重量%未満となると滑り性が悪く、印刷やラミネート等における加工適性が不良となり、0.40重量%を越えると経時的にフィルム表面へのブリードにより表面に斑を生ずることがあり、品質上好ましくない。
上記のフィルムB面片面側に共重合ポリエステルの接着改質層を付与する。本発明に用いられる共重合ポリエステル接着改質層は共重合ポリエステル水系分散体及び、架橋剤(硬化用樹脂)を配合して硬化を行う事により接着改質層に高度の耐水性を付与しえる。
本発明に用いられる共重合ポリエステル水系分散体は、グラフト化ポリエステルの粒子と、水、水系溶媒または有機溶媒からなり、グラフト化ポリエステルはポリエステル主鎖と親水基を有するラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体により形成されるグラフト部分とを有する。上記グラフト化ポリエステル粒子のレーザー光散乱法により測定される平均粒子径は500nm以下、さらに好ましくは10〜300nmである。平均粒子径が500nm超えると塗布後の塗膜強度が低下する。また、共重合ポリエステル水系分散体中のグラフト化ポリエステル粒子の含有量は、通常1重量%〜50重量%、好ましくは3〜30重量%である。本発明に用いられる共重合ポリエステル水系分散体の13-C-NMR(測定条:125MHz、25℃、測定溶媒:重水、DSSシグナルが5Hz以下)を測定した場合、重み付け関数をかけずにフーリエ変換して得られたスペクトルにおいて、ポリエステル主鎖に由来するカルボニル炭素のシグナルの半値幅は300Hz以上、グラフト部分に由来するカルボニル炭素の半値幅は150Hz以下であることが好ましい。上記の半値幅を有する事で粒子が水系分散体中においてポリエステル主鎖をコアとするコアーシェル構造を取り得る。本発明に用いられる共重合ポリエステル水系分散体中の粒子がコアーシェル構造を有することにより、従来の分散体に用いられる乳化剤、有機共溶媒を用いなくても重合体粒子の分散媒体への分散状態が安定化される。このような共重合ポリエステル水系分散体から得られる塗布膜は、ポリアミドフィルムとの接着牲が非常に優れており、さらに耐ブロッキング性が非常に優れているため、ガラス転移点の比較的低いフィルム基材においても問題なく使用される。また積層体とする場合、印刷インキやシーラント層を積層するときに使用する接着剤との接着性も非常に良好である。従って、本発明のポリアミド系混合樹脂積層フィルムを使用することにより得られる積層体は、レトルト処理、沸騰水処理、における耐久性が著しく向上される。更に共重合ポリエステル水系分散体中のグラフト化ポリエステルのガラス転移温度が30℃以下、好ましくは10℃以下であるような柔軟なグラフト化ポリエステルを使用するとさらに積層体の耐久性が向上する。
グラフト化ポリエステルの主鎖として用いられるポリエステルは、好適には少なくともジカルボン酸成分とジオール成分とから合成される飽和または不飽和ポリエステルであり、1種の重合体、または2種以上の重合体の混合物でありえる。そして本来、れ自体では水に分散または溶解しないポリエステルが好ましい。本発明に用い得るポリエステルの重量平均分子量は5000〜100000、好ましくは5000〜50000である。重量平均分子量が5000未満では乾燥塗膜の後加工性等の塗膜物性が低下する。さらに、主鎖となるポリエステル自身が水溶化しやすいため、形成されるグラフト化ポリエステルがコアーシェル構造を形成しえない。ポリエステルの重量平均分子量が100000を超えると水分散化が困難となる。ガラス転移点は30℃以下、好ましくは10℃以下である。
上記ジカルボン酸成分としては少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族および/または脂環族ジカルボン酸、および少なくとも1種のラジカル重合性不飽 和二重結合を有するジカルボン酸を含む、ジカルボン酸混合物であることが好ましい。こ のジカルボン酸混合物中に含まれる、芳香族ジカルボン酸は30〜99.5モル%、好ましくは40〜99.5モル%、脂肪族および/または脂環族ジカルボン酸は0〜70モル%、好ましくは0〜60モル%、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸は0.5〜10モル%、好ましくは3〜6モル%である。ラジカル重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸の含有量が0.5モル%未満ではポリエステルに対するラジカル重合性単量体の効果的なグラフト化が行われにくく、水系分散体中での分散径が大きくなる傾向があり、分散安定性が低下する傾向がある。上記ジオール成分としては炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール、およびエ一テル結合含有グリコールのうちの少なくとも1種よりなる。上記ジカルボン酸成分およびジオール成分の他に3官能性以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合しえる。3官能性以上のポリカルボン酸および/またはポリオールは、上記ジカルボン酸成分を含む全ポリカルボン酸成分あるいは上記ジオール成分を含む全ポリオール成分に対し0〜5モル%、好ましくは0〜3モル%の範囲で使用しえる。
グラフト化ポリエステルのグラフト化部分は親水性基を有するか、または後で親水性基に変化させることが出来る基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種含む単量体混合物由来の重合体でありえる。グラフト部重合体の重量平均分子量は500〜50000、好ましくは4000〜50000である。500未満ではグラフト化率低下しポリエステルヘの親水性付与が十分でない。ガラス転移点は30℃以下、好ましくは10℃以下である。ラジカル重合性単量体が有する親水性基としては、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩、リン酸基等を用いる。親水性基に変化させる基としては、酸無水物、グリシジル、クロル等を用いる。グラフト化によりポリエステルに導入される親水性基によってグラフト化ポリエステルの水への分散性をコントロールしえる。上記親水性基の中でカルボキシル基はそのグラフト化ポリエステルヘの導入量を酸価を用い正確に決定しえるため、水への分散性をコントロールする上で好ましい。
上記親水性基含有ラジカル重合性単量体の他に少なくとも1種の親水性基を含有しないラジカル重合性単量体を共重合することで効率の高いグラフト化が行われえる。親水性基含有単量体と親水性基を含有しない単量体の使用比率はグラフト化ポリエステルに導入する親水性基の量を考慮して決定されるが、通常、重量比(親水性基含有単量体:親水性基を含有しない単量体〕として95:5〜5:95、好ましくは80:20〜40:60の範囲である。グラフト化ポリエステルにおけるポリエステル主鎖とグラフト部分との重量比(ポリエステル=ラジカル重合性単量体)は、40:60〜95:5好ましくは60:40〜90:10の範囲である。
これらから得られるグラフト化共重合ポリエステル粒子からなる水系分散体は、そのままで接着改質層として使用しえるがさらに架橋剤(硬化剤)を配合して硬化を行い、接着改質層に高度の耐水性を付与する。架橋剤としてはアルキル化フェノール類、クレゾール類等とホルムアルデヒドとの縮合物のフェノールホルムアルデヒド樹脂:尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等とホルムアルデヒドとの付加物、この付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物等のアミノ樹脂:多官能性エポキシ化合物:多官能性イソシアネート化合物:ブロックイソシアネート化合物:多官能性アジリジン化合物:オキサゾリン化合物等を用いえる。これらの架橋剤はそれぞれ単独または2種以上混合して用いえる。架橋剤の配合量としてはグラフト化ポリエステルに対して5重量%〜40重量%が好ましい。
本発明に名いる塗布剤に本発明の効果を失わない程度で帯電防止剤、無・機滑剤、有機滑剤等の添加剤を混合しえる。接着改質層を形成する為に共重合ポリエステル水系分散体を含む塗布剤をポリアミドフィルムに塗布する方法としてはグラビア方式、リバース方式、ダイ方式、バー方式、ディップ方式等公知の塗布方式を用いえる。塗布剤の塗布量は、固形分0.01〜1g/m2、好ましくは0.02〜0.5g/m2になるよう塗布する。塗布量0.01g/m2未満では十分な接着強度が得づらくあまり好ましくない。1g/m2を超えるとブロッキングが発生し実用上問題がある。接着改質層は二軸延伸ポリアミドフィルム基材・に塗布剤を塗布するか、未延伸あるいは一軸延伸後のポリアミドフィルム基材に塗布剤を塗布した後・乾燥し、必要に応じさらに一軸延伸あるいは二軸延伸後、熱固定を行い調製しえる。塗布剤塗布後の乾燥温度として150℃以上、好ましくは200℃以上で乾燥、熱固定を行うことで塗膜が強固になり接着改質層とポリアミドフィルム基材との接着性が向上する。本発明に用いる接着改質層は共重合ポリエステル水系分散体を含む塗布剤を付与することで形成され、この共重合ポリエステル水系分散体はグラフト化ポリエステル粒子と水系溶媒とを含み、グラフト化ポリエステルはポリエステル主鎖と親水性基を有するラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体により形成されるグラフト部分を有する。
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムの厚みは特に制限されるものではないが、包装材科として使用する場合、通常100μm以下であり、一般には5〜50μmの厚みのものが使用される。
A層、B層を構成する各種ポリアミド重合体、熱可塑性エラストマー等を混合する方法には特に制限はないが、通常はチップ状の重合体をV型ブレンダーなどを用いて混合した後、溶融し成形する方法が用いられる。
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムのA層とB層を構成するポリアミド重合体には必要に応じて他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系重合体等をその特性を害さない範囲で含有させてもよい。
また、帯電防止剤や防曇剤、紫外線吸収剤、染料、顔料等の各種の添加剤を必要に応じて、ポリアミド重合体からなるA層及び/又はB層の片方又は両方の層に含有させることができる。
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは公知の製造方法により製造することがで きる。例えば、各層を構成する重合体を別々の押出機を用いて溶融し、1つのダイスから共押出しにより製造する方法、各層を構成する重合体を別々にフィルム状に溶融押出しし てからラミネート法により積層する方法、及びこれらを組み合せた方法など任意の公知の方法をとることができ、延伸方法としては、フラット式逐次2軸延伸方法、フラット式同時軸延伸方法、チューブラー法等の公知の方法を用いて縦方.向に2〜5倍、横方向に3〜6倍延伸し、必要により熱固定する。かくして、積層フィルムの透明性、加工適性を向上させることができる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。なお、フィルムの評価は次の測定法によって行った。
(1) 衝撃強度
東洋精機製作所社製のフィルムインパクトテスターを使用し、温度23℃、相対湿度65%の環境下で測定した。
(2)耐屈曲疲労性(ピンホール数)
理学工業社製のゲルポブレックステスターを使用し、下記の方法により耐屈曲疲労性を測定した。実施例で作製したフィルムにポリエステル系接着剤を塗布後、線状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPEフィルム1東洋紡績社製、L4102)40μmをドライラミネートし、40℃の環境下で3日間エージングを行いラミネートフィルムとした。得られたラミネートフィルムを12インチ×8インチ(1インチ=2.54cm)裁断し、直径3.5インチの円筒状にし、円筒状フィルムの一端をゲルポブレックステスターの固定ヘッド側に、他の端を可動ヘッド側に固定し、初期の把持間隔を7インチとした。ストロークの最初の3.5インチで440度のひねりを与え、その後2.5インチは直線水平運動で全ストロークを終えるような屈曲疲労を、40回/minの速さで500回行った。なお、前記テストは5℃の環境下で行った。ラミネートフィルムに発生したピンホール数を以下のようにして数えた。テストフィルムのL−LDPEフィルム側を下面にしてろ紙(アドバンテック、No.50)の上に置き、4隅をセロテープ(登録商標)で固定した。インク(パイロット製インキ(品番INK−350−ブルー)を純水で5倍希釈したもの)をテストフィルム上に塗布し、ゴムローラーを用いて一面に延展させた。不要なインクをふき取った後、テストフィルムを取り除き、ろ紙に付いたインクの点の数を計測した。
(3)耐突き刺し強度
食品衛生法における「食品、添加物等の規格基準 第3:器具及び容器包装」(昭和57年厚生省告示第20号)の「2.強度等試験法」に準拠して測定した。先端部直径0.7mmの針を、突刺し速度50mm/分でフィルムに突き刺し、針がフィルムを貫通する際の強度を測定して、突刺し強度とした。測定は常温(23℃)で行い、単位は[N]である。
(4)ヘイズ
(株)東洋精機製作所社製の直読ヘイズメータ]を使用し、JIS-K-7105に準拠し測定した。
ヘイズ(%)=〔Td(拡散透過率%)/Tt(全光線透過率%)〕× 100
(5)静止摩擦係数
フィルム易滑面同士の静止摩擦係数をJ I S-K-7125に準拠し、23℃65%RH環境下で測定した。
(6) 耐ブロッキング性
実施例で作製したフィルムにポリエステル系接着剤を塗布後、線状低密度ポリエチレンフィルム(L-LDPEフィルム:東洋紡績社製、L4102)40μmをドライラミネートし、40℃の環境下で3日間エージングを行いラミネートフィルムとした。得られた幅130cm積層体を張力15kg/m、線圧1.0kg/cmの一定条件でロール状に巻取り、40℃×80%RHの雰囲気下で30日間保持した後、該ロール状フィルムでのブロッキング状態およびフィルムを引き剥がした際の剥離音を以下の評価基準において区別した。
[評価基準]
○: ロール全巾でブロッキングしていない、剥離音がしない
△: ロールの一部分がブロッキングしている、剥離音がする
× : ロール全巾でブロッキングしている、激しい剥離音がする
(7)ラミネート強度
フィルム厚み方向の耐凝集破壊強度把握の為ラミネート強度を測定した。実施例で製造したフィルムにポリエステル系接着剤を塗布後、線状低密度ポリエチレンフィルム(L-LDPE:東洋紡績(株)製、L4102:厚み40μm)をドライラミネートし、40℃環境下で3日間エ一ジングを行いラミネートフィルムを得た。ラミネート強度測定用にラミネートフィルムを短冊状に切断し、一端をポリアミド系積層2軸延伸フィルムと線状低密度ポリエチレンフィルムとに界面で剥離し、東洋ボールドウィン社製「テンシロンUMT-II-500型」を用い、温度23℃、相対湿度65%RH、引張り速度200mm/分、剥離角度90°の条件下でラミネート強度を測定した。
(8)水付着条件下でのラミネート強度
上記の如く短冊状のラミネートフィルムサンプルを得、一端をポリアミド系積層2軸延伸フィルムと線状低密度ポリエチレンフィルムとに界面で剥離し、ポリアミド系積層2軸延伸フィルムと線状低密度ポリエチレンフィルムとに界面に水を噴射しながらラミネート強度を測定した。
(9)熱水処理後のラミネート強度
上記の如くラミネートサンプルを得た後、ラミネートフィルムを95℃熱水中に30分間浸漬させた後、室温に1分間放置し、上記(7)と同様の方法においてラミネート強度を測定した。
(実施例1)
撹絆機、温度計、および部分還流式冷却器を装備したステンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレート466部、ジメチルイソフタレート466部、ネオペンチルグリコール401部、エチレングリコール443部、およびテトラーブチルチタネート0.52部を仕込み、160〜220℃で4時間掛けてエステル交換反応を行った。次いでフマール酸23部を加えて200℃から220℃まで1時間掛けて昇温しエステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し反応系を徐々に減圧したのち0.2mmHgの減圧下で一時間30分撹絆しながら反応させてポリエステルを得た。得られたポリエステルは淡黄色透明でガラス転移温度60℃、重量平均分子量12000であった。NMR測定により得られた組成は下記の通り。
ジカルボン酸成分
テレフタル酸:48モル% イソフタル酸:48モル% フマール酸:4モル%
ジオール成分
ネオペンチルグリコール:50モル% エチレングリコール:50モル%
撹絆器、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、上記ポリエステル樹脂75部とメチルエチルケトン56部とイソプロピルアルコール19部とを入れ65℃で加熱、撹枠し樹脂を溶解した。樹脂が完溶したのちメタクリル酸17.5部とアクリル酸エチ7.5部の混合物とアゾピスジメチルパンロニトリル1.2部とを25部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.2m/分でポリエステル溶液中に滴下し、滴下終了後さらに2時間接絆を続けた。反応溶液から分析用のサンプリング(5g)を行った後、水300部とトリエチルアミン25部を反応溶液に加え、1時間接絆してグラフト化ポリエステルの分散体を調整した。その後、得られた分散体の温度を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過乗のトリエチルアミンを蒸留により溜去して共重合ポリエステル水系分散体を得た。
得られた分散体は白色で平均粒子径300nm、25℃におけるB型粘度は50cpsであった。この分散体5gに重水1.25g添加して固形分濃度20重量%とした後、DSSを加えて、125Mhz13-C NMRを測定した。ポリエステル主鎖のカルボニル炭素のシグナル(160-175ppm)の半値幅は無限大(シグナルが検出されない)であり、グラフト部分のメタクリル酸のカルボニル炭素のシグナル(181-186p pm)の半値幅は110Hzであった。グラフト化反応終了時点でサンプリングした溶液を100℃で8時間真空下で乾燥を行い、その固形分について酸価の測定、ポリエステルのグラフト化効率の測定(NMR測定)及び加水分解によるグラフト部分の分子量の測定を行った。固形分の酸価は2300eq./106gであった。lH-NMRの測定ではフマール酸由来のシグナル(δ=6.8〜6.9ppm,doubjet)が全く検出されなかったことから、ポリエステルのグラフト効率は100%であることを確認した。グラフト部分は重量平均分子量10000であった。
しかる後、上記の如く得られた分散体を固形分濃度5%になるように水で稀釈して接着改質層形成用の塗布液(共重合ポリエステル水系分散液)Aを得た。
2種3層の共押出しTダイ設備を使用し、次のような構成の未延伸シートを得た。B層/A層/B層の構成で、未延伸シートのトータル厚みは180μmであり、トータル厚みに対するA層の厚み比率は73%である。
A層を構成する組成物:ナイロン6(東洋紡績社製、T814)が86.9重量%とNy-12をポリアミド成分とするポリアミド系ブロック共重合体(アルケマ社製、PEBAX4033SN01:ポリアミドエラストマー)が3重量%およびNy6とNy12からなる脂肪族ポリアミド共重合体(宇部興産株式会社製 7034B)が10重量%からなり、さらにフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Irganox1010)0.1重量%を含有してなる混合重合体組成物。
B層を構成する組成物:ナイロン6が86.35重量%とメタキシリレン基含有ポリアミド重合体(東洋紡(株)製MXD-6,T600)が8重量%、及び上記ポリアミド系ブロック共重合体(アルケマ社製、PEBAX4033SN01:ポリアミドエラストマー)が5.0重量%、細孔容積1.1〜1.6ml/gのシリカ粒子0.5重量%、および高脂肪酸アマイドが0.15重量%からなる重合体組成物。
得られた未延伸シートを縦方向に3.0倍延伸した。しかる後、縦延伸後のフィルム表面に、先述の接着改質層形成用塗布液(共重合ポリエステル水系分散液)をグラビア方式で連続的に塗布し、乾燥し続いて横方向に4.0倍延伸することにより15μmの2軸延伸フィルムを作製し、さらに、線状低密度ポリエチレンフィルム(L-LDPEフィルム:東洋紡績社製、L4102)40μmとドライラミネートする側のB層表面にコロナ放電処理を実施した。得られた2軸延伸フィルムのヘイズ、衝撃強度、突き刺し強度、ピンホール数、静摩擦係数、各種ラミネート強度を測定した。その結果を表1に示す。
(実施例2〜7)
実施例1の記載において下記表1のように代えた他は、実施例1と同様の方法で2軸延伸フィルムを得た。得られた2軸延伸フィルムのヘイズ、衝撃強度、突き刺し強度、ピンホール数、製摩擦係数、各種ラミネート強度を測定した。その結果を表1に示す。
(比較例1〜7)
実施例1の記載において下記表1のように代えた他は、実施例1と同様の方法で2軸延伸フィルムを得た。得られた2軸延伸フィルムのヘイズ、衝撃強度、突き刺し強度、ピンホール数、静摩擦係数、各種ラミネート強度を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005353405
以上、本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に 記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の積層2軸延伸ポリアミド系フィルムは、耐衝撃牲及ぴ耐突き刺し世および耐屈 曲疲労性、耐磨耗性、及び耐落下破袋性に優れている.という特性を有していることから、 食品包装等の包装材料の用途に好適に用いる事ができるほか、業務用大型袋に転用した場 合においても有益に用いることができる。

Claims (7)

  1. 脂肪族ポリアミド重合体99.5〜70重量%と熱可塑性エラストマー0.5〜10重量%および/または脂肪族共重合ポリアミド重合体3〜20重量%との混合重合体からなるA層の少なくとも一方の面に、脂肪族ポリアミド重合体97〜85重量%とメタキシリレン基含有ポリアミド重合体3〜10重量%と細孔容積が0.5〜1.0ml/gおよび1.1〜1.8ml/gの2種類以上のシリカ微粒子からなるか、または更に熱可塑性エラストマー0〜5.0重量%を添加してなる、混合ポリアミド重合体からなるB層が積層されてなり、最外層となるB層面の片面に固形分として0.01〜1g/m2塗布されてなる共重合ポリエステルの接着改質層が積層されたポリアミド系混合樹脂積層フィルムであり、かつ衝撃強度0.7J以上、突き刺し強度10N以上、23℃65%RHでの静摩擦係数0.90以下、5℃での屈曲ピンホール欠点数が5個以下、水分付着条件下でのラミネート強度が3.0N/15mm以上、30分沸騰水で熱処理したのちの水分付着条件下でのラミネート強度が1.5N/15mm以上であることを特徴とする積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
  2. A層の厚みがA層及びB層の合計厚みの60〜94%であり、B層の厚みが少なくとも1.5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
  3. A層を構成する熱可塑性エラストマーがポリアミド系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー又はアイオノマー重合体から選ばれた1種又は2種以上のエラストマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
  4. A層および/またはB層構成するポリアミド重合体が、脂肪族アマイドおよび/または脂肪族ビスアマイドを0.01〜0.40重量%含有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
  5. A層を構成する混合重合体が酸化防止剤を0.01〜0.2重量%含有してなることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
  6. 酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤であることを特徴とする請求項に記載の積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
  7. フェノール系酸化防止剤が完全ヒンダートフェノール系化合物または部分ヒンダートフェノール系化合物から選ばれた1種または2種以上のフェノール系化合物であることを特徴とする請求項に記載積層2軸延伸ポリアミド系フィルム。
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