JP2020121496A - 易接着性ポリアミドフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性、耐摩擦ピンホール性に優れ、生産時にダイスリップ出口に付着する劣化物が少なく、厚み斑も少なく、シーラントフィルムとの耐水接着強度にも優れた易接着性ポリアミドフィルムの提供。【解決手段】ポリアミド6樹脂97.5〜80質量%とポリアミド系エラストマー2.5〜20質量%の混合樹脂を含むポリアミド樹脂組成物からなる基材層(A層)の両方の面に、ポリアミド6樹脂100〜80質量%、ポリアミド系エラストマー1質量%未満、ポリアミド6及びポリアミド系エラストマー以外のポリアミド樹脂0〜20質量%を含むポリアミド樹脂組成物からなる表面層(B層)が積層されてなる積層延伸ポリアミドフィルムの少なくとも片面に塗布量が固形分として0.01〜3g/m2のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂のいずれかの樹脂からなる接着改質層(C層)を有する易接着性ポリアミドフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、耐衝撃性及び耐屈曲ピンホール性と耐摩擦ピンホール性に優れ、かつ厚み斑が少なく、シーラントフィルムとの耐水接着強度にも優れた積層二軸延伸ポリアミドフィルムに関するものである。本発明の易接着性ポリアミドフィルムは、食品包装用フィルムなどに好適に使用される。
従来から、ナイロン6に代表される脂肪族ポリアミドからなる二軸延伸フィルムは、耐衝撃性と耐ピンホール性に優れており、各種の包装材料フィルムとして広く使用されている。
また、スープ、調味料等の液体充填包装向けに、耐ピンホール性、耐衝撃性をさらに向上させるため、脂肪族ポリアミドに各種エラストマー(ゴム成分)を混合し、より柔軟化して耐ピンホール性を向上した二軸延伸ポリアミドフィルムが広く使用されている。
上記の耐ピンホール性を向上させる手段として脂肪族ポリアミドにポリアミド系エラストマーを混合したフィルムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このフィルムは、低温環境下での耐ピンホール性、耐衝撃性が良好であり、低温環境下でも屈曲疲労によるピンホールが発生にくい。
しかし、ピンホールは、屈曲によって発生する他に摩擦(擦れ)によっても発生する。屈曲によるピンホールと摩擦によるピンホールの改善方法は相反する場合が多い。例えば、フィルムの柔軟性を高くすると、屈曲ピンホールは発生しにくくなるが、柔らかくなった分だけ摩擦によるピンホールが生じ易くなる傾向がある。これに対して二軸延伸ポリアミドフィルムの外面に表面コート剤を設けることによって、耐屈曲や耐摩擦ピンホール性に優れた包装用の積層体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法では摩擦ピンホールの発生防止効果が少ない。また、コーティング工程が必要となる。
更に、脂肪族ポリアミドにポリアミド系エラストマーを混合したフィルムの場合、フィルム製造時に添加したポリアミド系エラストマーが熱劣化するために、ダイスのリップ出口に目ヤニと呼ばれる劣化物を生成しやすい。そして、劣化物はフィルム厚みの精度を悪化させる原因になることがわかった。また、劣化物はそれ自体が落下することで不良製品を生み、フィルム連続生産時の生産効率を低下させる問題があった。
また、ポリアミドフィルムをシーラントフィルムとラミネートしたフィルムを液体スープ袋や水物用袋に使用する場合、ラミネートしたフィルム間の接着強度(ラミネート強度とも言う)が十分に高いことが要求される。
特開平11−254615号公報 特開2001−205761号公報
本発明の目的は、耐衝撃性及び耐屈曲ピンホール性と耐摩擦ピンホール性に優れ、かつシーラントフィルムとの耐水接着強度にも優れた易接着性ポリアミドフィルムを提供することである。また、フィルム製造時に目ヤニ(ダイリップ出口に生成する劣化物)の発生が少なく、操業性に優れ、更にフィルムの厚み斑の少ない易接着性ポリアミドフィルムを提供することにある。
即ち、本発明は、以下の構成よりなる。
(1)ポリアミド6樹脂97.5〜80質量%とポリアミド系エラストマー2.5〜20質量%との混合樹脂を含むポリアミド樹脂組成物からなる基材層(A層)の両方の面に、ポリアミド6樹脂100〜80質量%、ポリアミド系エラストマー1質量%未満、ポリアミド6及びポリアミド系エラストマー以外のポリアミド樹脂0〜20質量%を含むポリアミド樹脂組成物からなる表面層(B層)が積層されてなる積層延伸ポリアミドフィルムの少なくとも片面に固形分として塗布量が0.01〜3g/mのポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び/又はポリアクリル樹脂のいずれかの樹脂からなる接着改質層(C層)を有することを特徴とする易接着性ポリアミドフィルム。
(2)衝撃強度が0.75J/15μm以上、ゲルボフレックステスターを用いたひねり屈曲試験を温度1℃で1000回実施した時のゲルボピンホール欠点数が5個以下、耐摩擦ピンホールテストでピンホール発生までの距離が3000cm以上であることを特徴とする(1)に記載の易接着性ポリアミドフィルム。
(3)前記B層の厚みが少なくとも0.5μm以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の易接着性ポリアミドフィルム。
(4)B層を構成するポリアミド樹脂組成物が、酸化防止剤を0.01〜0.3質量%含有してなることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の易接着性ポリアミドフィルム。
本発明の易接着性ポリアミドフィルムは、基材層(A層)としてポリアミド6樹脂を主成分としてポリアミド系エラストマーをポリアミド6樹脂に分散させることで耐衝撃性、耐突き刺し性及び耐ピンホール性を発現させる。特に低温環境下において優れた耐屈曲ピンホール性を与える。そして、ポリアミド6樹脂100〜80質量%以上、ポリアミド系エラストマー1%未満、ポリアミド6及びポリアミド系エラストマー以外のポリアミド樹脂0〜20質量%を含むポリアミド樹脂組成物からなる表面層(B層)が、耐摩擦ピンホール性を向上し、またダイス内部でポリアミド系エラストマーがダイス面に接することを回避することで、長時間にわたり、ダイス内面への劣化物の付着やダイスリップ出口への目ヤニの付着を抑制する。それによって、フィルムの厚み斑の悪化を防止できる。また、ダイス内面への劣化物の付着やダイスリップ出口への目ヤニの付着で厚み斑が悪化すると、生産を止めてダイスのリップを掃除する必要がある。本発明の易接着性ポリアミドフィルムは、長時間の連続生産を可能にすることができる。さらに基材層(A層)と表面層(B層)からなる積層延伸ポリアミドフィルムの少なくとも片面に固形分として塗布量が0.01〜3g/mのポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び/又はポリアクリル樹脂のいずれかの樹脂からなる接着改質層(C層)を積層することで、シーラントフィルムとラミネートしたフィルムを液体スープ袋や水物用袋に使用する場合、ラミネートしたフィルム間の接着強度(ラミネート強度とも言う)が高いので、袋の破れの少ない包装袋が提供できる。
耐摩擦ピンホール性評価装置の概略図
1:堅牢度試験機のヘッド部
2:段ボール板
3:サンプル保持用の台紙
4:4つ折りしたフィルムサンプル
5:擦る振幅方向
以下、本発明の易接着性ポリアミドフィルムを詳細に説明する。
本発明の易接着性ポリアミドフィルムは、特定のポリアミド樹脂組成物からなる基材層(A層)の両方の面に特定のポリアミド樹脂組成物からなる表面層(B層)が積層されてなる積層延伸ポリアミドフィルムの少なくとも片面に接着改質層(C層)が積層されるものである。
<基材層(A層)>
本発明における基材層(A層)は、ポリアミド6樹脂97.5〜80質量%とポリアミド系エラストマー2.5〜20質量%を含むポリアミド樹脂組成物である。
本発明における基材層(A層)は、ポリアミド系エラストマー2.5〜20質量%を含むことで、耐ピンホール素材としてのポリアミド系エラストマーが分散した構造を持ち、優れた耐屈曲ピンホール性、特に、低温環境下における耐屈曲ピンホール性が良好な積層延伸ポリアミドフィルムを得ることができる。
本発明における基材層(A層)は、ポリアミド6樹脂の含有量が97.5〜80質量%であることで、衝撃強度などの機械的強度が良好な積層延伸ポリアミドフィルムを得ることができる。
本発明における基材層(A層)に使用するポリアミド系エラストマーとしては、ポリアミド成分によって構成されるハードセグメントとポリオキシアルキレングリコール成分によって構成されるソフトセグメントからなるポリアミド系ブロック共重合体が挙げられる。ハードセグメントのポリアミド成分は、(1)ラクタム、(2)アミノ脂肪族カルボン酸、(3)脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸、又は(4)脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸からなる群から選択される。具体的には、(1)ω−ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム、(2)アミノヘプタン酸、(3)ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミンとアジピン酸、セバシン酸、(4)ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸を例示することができる。また、ポリアミド系ブロック共重合体のソフトセグメントを構成するポリオキシアルキレングリコールは、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシ−1,2−プロピレングリコール等が挙げられる。特にハードセグメントがポリアミド6又はポリアミド12であり、ソフトセグメントがポリオキシテトラメチレングリコールであるポリアミドエラストマーが耐屈曲ピンホール性の改善効果が高いので好ましい。
本発明におけるポリアミド系エラストマーの融点は、ポリアミド成分によって構成されるハードセグメントとポリオキシアルキレングリコール成分によって構成されるソフトセグメントの種類と比率によって決められるが、通常は、120℃から180℃の範囲のものが使用される。
本発明において、ポリアミド系エラストマーを積層延伸ポリアミドフィルムの基材層の構成成分にすることにより、積層延伸ポリアミドフィルムの耐屈曲ピンホール性、特に、低温環境下における耐屈曲ピンホール性を改善できる。
基材層のポリアミド樹脂組成物のポリアミド系エラストマーの含有量の下限は、2.5質量%である。これによって耐屈曲ピンホール性の良好な積層延伸ポリアミドフィルムが得られる。
基材層のポリアミド樹脂組成物のポリアミド系エラストマーの含有量の上限は、20質量%である。これによって他の機械的特性や透明性を維持しつつ、耐屈曲ピンホール性の良好な積層延伸ポリアミドフィルムが得られる。
本発明におけるA層を構成するポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系重合体等をその特性を害さない範囲で含有させてもよい。
A層を構成するポリアミド樹脂組成物は、酸化防止剤を0.01〜0.3質量%含有することが好ましい。酸化防止剤の含有量が上記の範囲を超えると、積層延伸ポリアミドフィルム表面への析出等による白化、ポリエチレン、ポリプロピレンシーラントとのラミネート加工時の接着性不良となり、上記の範囲を下回ると、A層のポリアミド樹脂組成物として屑材及び再生レジン等の回収再生原料を使用する場合に回収再生原料の熱劣化等による製膜操業性不良が発生することがある。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましい。フェノール系酸化防止剤は、完全ヒンダードフェノール系化合物又は部分ヒンダードフェノール系化合物が好ましい。例えば、テトラキス−〔メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
上記フェノール系酸化防止剤をA層のポリアミド樹脂組成物に含有させることにより、積層延伸ポリアミドフィルムの製膜操業性が向上する。特に、フィルム屑材、再生レジン等を用いた回収再生原料混合系では、熱可塑性エラストマーの回収再生による熱劣化が起こりやすく、これに起因とする製膜操業不良が発生するため、操業効率低下による生産コスト上昇、及び、回収再生原料の使用量低下によりバージン原料の使用量が増え、生産コスト上昇を招く傾向にある。これに対して、酸化防止剤を、回収再生原料類を含むポリアミド系延伸フィルムのA層のポリアミド樹脂組成物に含有させることで、熱可塑性エラストマーをはじめとする各種重合体の熱劣化を抑制し、安定した製膜操業性を実現する。このことから、本発明によれば、操業性向上、及び回収再生原料の使用量増加による原料費低減により、生産コストの低減が可能となる。
A層を構成するポリアミド樹脂組成物は、バージン原料のポリアミド6とポリアミド系エラストマーを混合したものである他、積層延伸ポリアミドフィルムを製造する際に生成する規格外フィルムや切断端材(耳トリム)を再生レジンとしてバージン原料を加えたものであってもよい。
<表面層(B層)>
本発明における表面層(B層)は、ポリアミド6樹脂100〜80質量%、ポリアミド系エラストマー1質量%未満、ポリアミド6樹脂とポリアミド系エラストマー以外のポリアミド樹脂0〜20質量%からなる。かかるB層は、樹脂の劣化の主要因となるポリアミド系エラストマーの含有量を1質量%未満にすることで、フィルム生産時にダイス内部での樹脂の劣化を抑制でき、ダイス内面への劣化物の付着やダイス出口への目ヤニの付着を抑制することができる。それによって、フィルムの厚み斑の悪化を防止できる。また、長時間の連続生産を可能にすることができる。
また、ポリアミド系エラストマーの含量を1質量%未満にすることで、耐摩擦ピンホール性を向上でき、摩擦試験でのピンホール発生距離を3000cm以上にできる。
本発明における表面層(B層)は、基材層の両方の面に積層する構成であるが、上記の組成を満足する樹脂組成物であれば、両面それぞれ違う樹脂組成物であっても良い。
例えば、上記の組成を満足する範囲で、A層の片方の面に微粒子や脂肪酸アマイドを含有させて滑り性を良くしたポリアミド樹脂組成物を積層し、もう片方の面に共重合ポリアミド樹脂を含有させて接着性を良くしたポリアミド樹脂組成物を積層することができる。
本発明におけるB層を構成するポリアミド6樹脂としては、上述したA層のポリアミド6樹脂と同様のものを使用することができる。
本発明におけるB層を構成するポリアミド系エラストマーとしては、上述したA層で使用したものと同様に、ポリアミド成分によって構成されるハードセグメントとポリオキシアルキレングリコール成分によって構成されるソフトセグメントからなるポリアミド系ブロック共重合体である。B層にはポリアミド系エラストマーが含まれないことが最も好適である。
本発明におけるB層のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド6及びポリアミド系エラストマー以外のポリアミド樹脂を20質量%を超えない範囲で含んでも良い。ポリアミド6及びポリアミド系エラストマー以外のポリアミド樹脂としては、ポリアミド11樹脂、ポリアミド12樹脂、ポリアミド66樹脂、ポリアミド6・12共重合樹脂、ポリアミド6・66共重合樹脂、ポリアミドMXD6樹脂が挙げられる。
本発明におけるB層を構成するポリアミド樹脂組成物には、必要に応じて他の熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系重合体等をその特性を害さない範囲で含有させてもよい。
本発明における積層延伸ポリアミドフィルムのA層とB層を構成するポリアミド樹脂組成物には、滑り性を良くして取扱い易くするために、微粒子を含有させることが好ましい。
前記微粒子としては、シリカ、カオリン、ゼオライト等の無機滑剤、アクリル系、ポリスチレン系等の高分子系有機滑剤等の中から適宜選択して使用することができる。なお、透明性と滑り性の面から、シリカ微粒子を用いることが好ましい。
前記微粒子の好ましい平均粒子径は0.5〜5.0μmであり、より好ましくは1.0〜3.0μmである。平均粒子径が0.5μm未満であると、良好な滑り性を得るのに多量の添加量が要求され、5.0μmを超えると、フィルムの表面粗さが大きくなりすぎて実用特性を満たさなくなるので好ましくない。
前記微粒子の細孔容積の範囲は、0.5〜2.0ml/gであると好ましく、0.8〜1.6ml/gであるとより好ましい。細孔容積が0.5ml/g未満であると、ボイドが発生し易くなりフィルムの透明性が悪化し、細孔容積が2.0ml/gを超えると、微粒子による表面の突起ができにくくなりフィルムの滑り性が悪くなるため、好ましくない。
本発明における積層延伸ポリアミドフィルムのA層とB層を構成するポリアミド樹脂組成物には、滑り性を良くする目的で脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドを含有させることができる。脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドとしては、エルカ酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイドなどが挙げられる。
この場合のポリアミド重合体中の脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドの含有量は、好ましくは0.01〜0.40質量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.30質量%である。脂肪酸アマイド及び/又は脂肪酸ビスアマイドの含有量が上記範囲未満となると、滑り性が悪く、印刷やラミネート等における加工適性が不良となり、上記範囲を越えると、経時的にフィルム表面へのブリードにより表面に斑を生ずることがあり、品質上好ましくない。
本発明における積層延伸ポリアミド系フィルムは、包装材料(製袋品)に加工される場合、B層面が製袋品の最外面となるラミネート構成となることが多いので、製袋品の運搬時に段ボール等の運搬包装との摩擦が生じた場合、その摩擦でフィルムに削れを生じ破袋したり、袋どうしの接触で突き刺し、屈曲疲労等が増加し破袋したりする。本発明の構成では、B層の滑り性を良くすることで、摩擦による破袋要因を減少させ、高い破袋防止性を発現する。
本発明における積層延伸ポリアミドフィルムのA層とB層を構成するポリアミド樹脂組成物には、帯電防止剤や防曇剤、紫外線吸収剤、染料、顔料等の各種の添加剤を必要に応じて、A層及び/又はB層の一方又は両方の層に含有させることができる。
添加する方法としては、樹脂重合時の添加や押出し機での溶融押出し時に添加してマスターバッチ化し、このマスターバッチをフィルム生産時にポリアミド重合体に添加して使用するなどの公知の方法により行うことができる。
A層、B層を構成する各種ポリアミド樹脂、ポリアミド系エラストマー、滑剤等を混合する方法には特に制限はないが、チップ状の重合体をブレンダーなどを用いて混合した後、溶融し成形する方法が用いられる。
本発明における積層延伸ポリアミドフィルムの全厚みは、特に制限されるものではないが、包装材料として使用する場合、通常100μm以下であり、一般には5〜50μmの厚みのものが使用され、特に8〜30μmのものが使用される。
本発明における積層延伸ポリアミドフィルムの各層の厚み構成は、B層の厚みがフィルム総厚みの大部分を占めた場合、耐屈曲ピンホール性が低下する。これと反対にA層の厚みがフィルム総厚みをほぼ占有した場合、耐屈曲ピンホール性は優れているものの、耐摩擦ピンホール性は悪く、厚み斑の悪化も抑制できなくなる。従って、本発明において、A層の厚みを、A層とB層の合計厚みの70〜93%、特に80〜93%とすることが好ましい。また、B層の厚みを少なくとも0.5μm以上、好ましくは1μm以上とすることで、耐屈曲ピンホール性と耐摩擦ピンホール性及び厚み斑抑制の両立を発現できる。
本発明における積層延伸ポリアミドフィルムは、衝撃強度が0.75J/15μm以上が好ましい。より好ましい衝撃強度は、1.0J/15μm以上である。また、本発明における積層延伸ポリアミドフィルムは、ゲルボフレックステスターを用いたひねり屈曲試験を温度1℃で1000回実施した時のゲルボピンホール欠点数が10個以下であることが好ましい。より好ましくは、5個以下である。更に、本発明における積層延伸ポリアミドフィルムは、耐摩擦ピンホールテストでピンホール発生までの距離が2900cm以上であることが好ましい。より好ましくは3000cm以上、更に好ましくは3100cm以上である。本発明の積層延伸ポリアミドフィルムは、これらの特性を同時に満足することが好ましい。これらの特性を持った延伸ポリアミドフィルムは、輸送時にピンホールが発生しにくい包装用フィルムとして有用である。
<接着改質層(C層)>
本発明の易接着性ポリアミドフィルムは、少なくとも片面に固形分として塗布量が0.01〜3g/mのポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び/又はポリアクリル樹脂のいずれかの樹脂からなる接着改質層を有する。
本発明おける接着改質層は、フィルム製造工程でフィルムをミルロールとして巻き取る前に塗布液を塗布・乾燥して設けられる。
塗布液の塗布は、未延伸フィルム、1軸延伸フィルム、及び/又は2軸延伸フィルムに行うことができる。フィルムを逐次2軸延伸法で製造する場合は、通常、1軸延伸フィルムに塗布液を塗布し乾燥する。フィルムを同時2軸延伸で製造する場合は、通常、未軸延伸フィルムに塗布液を塗布し乾燥する。
本発明おける接着改質層を設けるための塗布液は、フィルム製造工程でフィルムをミルロールとして巻き取る前に塗布液を塗布・乾燥して塗布膜を設けるので、製造における安全性と衛生性を確保するために、樹脂の水系分散体を用いることが好ましい。
(接着改質層に用いるポリエステル樹脂)
本発明における接着改質層としてポリエステル樹脂を設ける場合、ポリエステル樹脂としては共重合ポリエステル系樹脂を選ぶことができる。共重合ポリエステル系樹脂とはジカルボン酸成分とジオール成分およびその他のエステル形成成分の重縮合物である。共重合ポリエステル系樹脂に構成成分として含有されるジカルボン酸成分としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸などの不飽和ジカルボン酸などを挙げることができる。
上記ジカルボン酸成分の他に、水分散性を付与するため、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸の塩類を用いることができる。なかでも、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましい。
共重合ポリエステル系樹脂に含有されるジオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタールなどの脂環族ジオール、4,4’−ビス(ヒドロキシエチル)ビスフェノールAなどの芳香族ジオール、さらにビス(ポリオキシエチレングリコール)ビスフェノールエーテルなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂は、水系分散体の塗布液として使用することが好ましい。
(接着改質層に用いるポリウレタン樹脂)
本発明における接着改質層としてポリウレタン樹脂を設ける場合、ポリウレタン樹脂としては、例えば、活性水素を2個以上有するポリオール類と有機ポリイソシアネートとを反応させて得られるものが挙げられる。
ポリオール類としては、たとえば、飽和ポリエステルポリオール類;ポリエーテルポリオール類(たとえばポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど);アミノアルコール類(たとえばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど);不飽和ポリエステルポリオール類(たとえば不飽和多価カルボン酸単独あるいはこれと飽和多価カルボン酸との混合物と、飽和多価アルコール類と不飽和多価アルコール類との混合物とを重縮合させて得られるもの)、ポリブタジエンポリオール類(たとえば1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオールなど)、アクリルポリオール類(各種アクリル系モノマーとヒドロキシル基を有するアクリル酸系モノマーとを共重合させて得られるヒドロキシル基を側鎖に有するアクリルポリオール類)などの不飽和二重結合を有するポリオール類を挙げることができる。
有機ポリイソシアネートとしては、たとえば、芳香族ポリイソシアネート類(たとえばジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなど)、脂肪族ポリイソシアネート類(たとえばへキサメチレンジイソシアネートなど)、脂環族ポリイソシアネート類(たとえばイソホロンジイソシアネートなど)、芳香族・脂肪族ポリイソシアネート類(たとえばキリレンジイソシアネート)、さらにこれらのイソシアネート類と低分子量ポリオールとを予め反応させて得られるポリイソシアネート類を挙げることができる。
このポリウレタン樹脂の製造は公知の方法により行うことができる。製造の際には生成プレポリマー中に未反応のイソシアネート基が2個以上存在するようにする必要がある。このイソシアネート基はブロック化することが好ましく、特に水系塗液を調製するときはこのブロック化は必須である。このブロック化はイソシアネートのブロック化として良く知られているものであり、加熱によって遊離イソシアネート基を再生できるものである。ブロック化剤としては、たとえば、重亜硫酸塩類、アルコール類、オキシム類、活性メチレン化合物、イミダゾール類、ラクタム、イミン化合物、アミド化合物、イミド化合物などを挙げることができる。
これらブロック化剤とポリウレタンプレポリマー中のイソシアネート基との反応は、常温〜100℃の温度で行うことができ、必要に応じてウレタン化触媒を用いることができる。ここでポリウレタンプレポリマーに安定な水分散性、水溶性を付与するために分子内に親水性基を導入するとよい。該親水性基としては、─SOM(ここで、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属である)、−OH、−COOR(ここでRはアンモニア、第三級アミンの残基である)などが例示される。これらのうち特にアンモニアまたは第三級アミンで中和されたカルボキシル基が好ましい。アンモニアまたは第三級アミンで中和されたカルボキシル基をポリウレタンプレポリマー中に導入するには、たとえば、ポリウレタンプレポリマー合成時の反応原料の一つとしてカルボキシル基含有ポリヒドロキシ化合物を用いる方法、未反応イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基に水酸基含有カルボン酸やアミノ基含有カルボン酸を反応させ、ついで反応生成物を高速攪拌中下でアンモニア水または第三級アミン水溶液中に添加し中和する方法などの方法がある。
ポリウレタン樹脂は、水系分散体の塗布液にして使用することが好ましい。
(接着改質層に用いるポリアクリル樹脂)
本発明における接着改質層としてポリアクリル樹脂を設ける場合、ポリアクリル樹脂としては、アクリル酸またはメタクリル酸、またはその塩類やエステル類を重合して得られるアクリル重合体が挙げられる。
アクリル酸エステル系およびメタクリル酸エステル系単量体としては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどを挙げることができる。アクリル酸およびメタクリル酸の塩類としては、たとえば、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸アンモニウムなどが挙げられる。
これらの必須成分の他に、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノメチル、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミドなどのアクリル酸系単量体を添加してもよい。
この他に塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルエーテル、ブタジエン、イソプレン、ビニルスルホン酸ソーダなどの単量体を共重合成分として用いることもできる。
なお、アクリル重合体には、アクリル酸塩成分、メタクリル酸塩成分、アクリル酸成分、アクリルアミド成分、アクリル酸2−ヒドロキシエチル成分、N−メチロールアクリルアミド成分などの親水性成分が共重合成分として含まれることが塗膜の機能性を高めるために好ましい。また分子側鎖に官能基を有する共重合体であってもよい。また、このアクリル系重合体は、メタクリル酸メチルやメタクリル酸エチルのような硬質成分を主成分として用い、共重合成分として、アクリル酸エステルのような軟質成分を共重合して得ることもできる。
ポリアクリル樹脂は、水系分散体の塗布液にして使用することが好ましい。
(接着改質層に用いるアクリルグラフト共重合ポリエステル水系分散体)
本発明における接着改質層に用いる塗布液としては、特にポリアクリル樹脂をポリエステル樹脂にグラフト重合した共重合ポリエステルの水系分散体が好ましい。
アクリルグラフト共重合ポリエステル水系分散体中のアクリルグラフト共重合ポリエステル粒子のレーザー光散乱法により測定される平均粒子径は、500nm以下、好ましくは10nm〜500nm、さらに好ましくは10nm〜300nmである。平均粒子径が500nmを超えると、塗布後の塗膜強度が低下する場合がある。
アクリルグラフト共重合ポリエステル水系分散体中のアクリルグラフト共重合ポリエステル粒子の含有量は、通常、1質量%〜50質量%、好ましくは3質量%〜30質量%である。
本発明に用いられ得るアクリルグラフト共重合ポリエステル水系分散体中の粒子は、水性分散媒体中においてポリエステル主鎖をコアとするコア−シェル構造をとる。
上記アクリルグラフト共重合ポリエステル水系分散体から得られる塗布膜は、ポリアミドフィルムとの接着性が非常に優れている。さらに、耐ブロッキング性が非常に優れているため、ガラス転移点の比較的低いフィルム基材においても問題なく使用し得る。また積層体とする場合、印刷インキやシーラント層を積層するときに使用する接着剤との接着性も非常に良好である。得られる積層フィルム(ラミネートフィルムともいう)は、レトルト処理や沸水処理における耐久性が著しく向上する。
(アクリルグラフト共重合ポリエステルのポリエステル主鎖)
本発明においてグラフト化ポリエステルの主鎖として用い得るポリエステルは、好適には少なくともジカルボン酸成分とジオール成分とから合成される飽和または不飽和ポリエステルであり、得られるポリエステルは、1種の重合体または2種以上の重合体の混合物であり得る。そして、本来それ自身では水に分散または溶解しないポリエステルが好ましい。本発明に用い得るポリエステルの重量平均分子量は、5000〜l00000、好ましくは5000〜50000である。重量平均分子量が5000未満であると乾燥塗膜の後加工性等の塗膜物性が低下する。さらに重量平均分子量が5000未満であると、主鎖となるポリエステル自身が水溶化し易いため、アクリルグラフト共重合ポリエステルがコア−シェル構造を形成しない。ポリエステルの重量平均分子量が100000を超えると水分散化が困難となる。水分散化の観点からは100000以下が好ましい。
アクリルグラフと共重合ポリエステルのガラス転移温度は、30℃以下、好ましくは10℃以下である。30℃以下、好ましくは10℃以下にすると、インキ層やシーラント層との接着性と耐久性が向上する。
上記ジカルボン酸成分としては、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、少なくとも1種の脂肪族および/または脂環族ジカルボン酸、および少なくとも1種のラジカル重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸を含む、ジカルボン酸混合物であることが好ましい。このジカルボン酸混合物中に含まれる、芳香族ジカルボン酸は、30〜99.5モル%、好ましくは40〜99.5モル%、脂肪族および/または脂環族ジカルボン酸は、0〜70モル%、好ましくは0〜60モル%、ラジカル重合性不飽和二重結合を有するジカルボン酸は、0.5〜10モル%、好ましくは2〜7モル%、より好ましくは3〜6モル%である。ラジカル重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸の含有量が0.5モル%未満の場合、ポリエステルに対するラジカル重合性単量体の効果的なグラフト化が行なわれにくく、水系媒体中での分散粒子径が大きくなる傾向があり、分散安定性が低下する傾向がある。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等が用いられ得る。さらに、必要に応じて5−スルホイソフタル酸ナトリウムも用い得る。
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、これらの酸無水物等を用い得る。
脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロへキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、これらの酸無水物等を用い得る。
ラジカル重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸としては、α,β−不飽和ジカルボン酸類としてフマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸として2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等を用い得る。これらの内で、フマール酸、マレイン酸および2,5−ノルボルネンジカルボン酸(エンド−ビシクロ−(2,2,1)−5−へプテン−2,3−ジカルボン酸)が好ましい。
上記ジオール成分は、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール、およびエーテル結合含有グリコールのうちの少なくとも1種よりなる。
炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等を用い得る。
炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を用い得る。
エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらにビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類、たとえば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用い得る。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要に応じて用い得る。
上記ジカルボン酸成分およびジオール成分の他に、3官能性以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合し得る。
3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等を用い得る。
3官能性以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を用い得る。
3官能性以上のポリカルボン酸および/またはポリオールは、上記ジカルボン酸成分を含む全ポリカルボン酸成分あるいは上記ジオール成分を含む全ポリオール成分に対し0〜5モル%、好ましくは、0〜3モル%の範囲で使用し得る。
(アクリルグラフト共重合ポリエステルのグラフト部分)
本発明に用い得るアクリルグラフト共重合ポリエステルのグラフト部分は、親水性基を有するか、または後で親水性基に変化させることができる基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種含む単量体混合物由来のアクリル重合体である。
グラフト部分を構成する重合体の重量平均分子量は500〜50000、好ましくは4000〜50000である。重量平均分子量が500未満の場合には、グラフト化率が低下するのでポリエステルヘの親水性の付与が十分に行なわれなくなり、かつ一般にグラフト部分の重量平均分子量を500未満にコントロールすることは困難である。グラフト部分は分散粒子の水和層を形成する。粒子に十分な厚みの水和層をもたせ、安定な分散体を得るためにはラジカル重合性単量体由来のグラフト部分の、重量平均分子は500以上であることが望ましい。ラジカル重合性単量体のグラフト部分の重量平均分子量の上限は溶液重合における重合性の点で上記のように50000が好ましい。この範囲内での分子量のコントロールは、重合開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、およびモノマー組成を適切に選択し、必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行ない得る。
ガラス転移点は、30℃以下、好ましくは10℃以下である。
ラジカル重合性単量体が有する親水性基としては、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩、リン酸基等を用い得る。親水性基に変化させ得る基としては、酸無水物、グリシジル、クロル等を用い得る。グラフト化によりポリエステルに導入される親水性基によってグラフト化ポリエステルの水への分散性をコントロールし得る。上記親水性基の中で、カルボキシル基は、そのグラフト化ポリエステルへの導入量を当該技術分野で公知の酸価を用いて正確に決定し得るため、グラフト化ポリエステルの水への分散性をコントロールする上で好ましい。
カルボキシル基含有ラジカル重合性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等があり、さらに水/アミンに接して容易にカルボン酸を発生するマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、メタクリル酸無水物等が用いられ得る。好ましいカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体はアクリル酸無水物、メタクリル酸無水物およびマレイン酸無水物である。
上記親水性基含有ラジカル重合性単量体の他に、少なくとも1種の親水性基を含有しないラジカル重合性単量体を共重合することが好ましい。親水性基含有単量体のみの場合、ポリエステル主鎖に対するグラフト化が円滑に起こらず、良好な共重合ポリエステル水系分散体を得ることが難しい。少なくとも1種の親水性基を含有しないラジカル重合性単量体を共重合することによって初めて効率の高いグラフト化が行なわれ得る。
親水性基を含有しないラジカル重合性単量体としては、エチレン性不飽和結合を有しかつ上記のような親水性基を含有しない単量体の1種またはそれ以上の組み合わせが使用される。このような単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキプロピル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシルプロピル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタリン類等の芳香族ビニル化合物;を挙げることができる。これらのモノマーは単独もしくは2つ以上組み合わせて用いられ得る。
親水性基含有単量体と親水性基を含有しない単量体の使用比率は、グラフト化ポリエステルに導入する親水性基の量を考慮して決定されるが、通常、質量比(親水性基含有単量体:親水性基を含有しない単量体)として、95:5〜5:95、好ましくは90:10〜10:90、さらに好ましくは80:20〜40:60の範囲である。
親水性基含有単量体として、カルボキシル基含有単量体を用いる場合、グラフト化ポリエステルの総酸価は、600〜4000eq./10g、好ましくは700〜3000eq./10g、最も好ましくは800〜2500eq./10gである。酸価が600eq./10g以下の場合、グラフト化ポリエステルを水に分散したときに粒子径の小さい共重合ポリエステル水系分散体が得にくく、さらに共重合ポリエステル水系分散体の分散安定性が低下する。酸価が4000eq./10g以上の場合、共重合ポリエステル水系分散体から形成される接着改質層の耐水性が低くなる。
アクリルグラフト共重合ポリエステルにおけるポリエステル主鎖とグラフト部分との質量比(ポリエステル:ラジカル重合性単量体)は、40:60〜95:5、好ましくは55:45〜93:7、さらに好ましくは60:40〜90:10の範囲である。
ポリエステル主鎖の質量比率が40質量%以下である場合、すでに説明した母体ポリエステルの優れた性能すなわち高い加工性、優れた耐水性、各種基材への優れた密着性を十分に発揮することができず、逆にアクリル樹脂の望ましくない性能、すなわち低い加工性、光沢、耐水性等を付加してしまう。ポリエステルの質量比率が95質量%以上である場合、グラフト化ポリエステルに親水性を付与するグラフト部分の親水性基量が不足して、良好な水性分散体を得ることができない。
(アクリルグラフト共重合ポリエステルのグラフト化反応の溶媒)
グラフト化反応の溶媒は、沸点が50〜250℃の水性有機溶媒から構成されることが好ましい。ここで水性有機溶媒とは20℃における水に対する溶解性が少なくとも10g/L以上、好ましくは20g/L以上である有機溶媒をいう。沸点が250℃を超える水性有機溶媒は、蒸発速度が遅いため、塗膜形成後の塗膜の高温焼付によっても十分に取リ除き得ないので不適当である。また沸点が50℃以下の水性有機溶媒では、それを溶媒としてグラフト化反応を実施する場合、50℃以下の温度でラジカルに分解する開始剤を用いねばならないので取扱上の危険が増大し、好ましくない。
ポリエステルをよく溶解し、かつ親水性基、特にカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体およびその重合体を比較的良く溶解する水性有機溶媒(第一群)としては、エステル類、たとえば酢酸エチル;ケトン類、たとえばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロへキサノン;環状エーテル類、たとえばテトラヒドロフラン、ジオキサン、および1,3−ジオキソラン;グリコールエーテル類、たとえばエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、およびエチレングリコールブチルエーテル;カルビトール類、たとえばメチルカルビトール、エチルカルビトール、およびブチルカルビトール;グリコール類またはグリコールエーテルの低級エステル類、たとえばエチレングリコールジアセテートおよびエチレングリコールエチルエーテルアセテート;ケトンアルコール類、たとえばダイアセトンアルコール;N−置換アミド類、たとえばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、およびN−メチルピロリドン;等を挙げることができる。
これに対し、ポリエステルをほとんど溶解しないが、親水性基、特にカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体およびその重合体を比較的よく溶解する水性有機溶媒(第二群)として、水、低級アルコール類、低級グリコール類、低級カルボン酸類、低級アミン類等を挙げることが出来る。好ましいのは炭素数1〜4のアルコール類およびグリコール類である。
グラフト化反応を単一溶媒中で行なう場合は、第一群の水性有機溶媒の一種を用い得る。混合溶媒中で行なう場合は、第一群の水性有機溶媒の複数種または第一群の水性有機溶媒の少なくとも一種と第二群の水性有機溶媒の少なくとも一種とを用い得る。
第一群の水性有機溶媒からの単一溶媒中および第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒中のいずれにおいても、グラフト化反応を行ない得る。しかし、グラフト化反応の進行挙動、グラフト化反応生成物およびそれから導かれる水系分散体の外観、性状等の点から、第一群および第二群の水性有機溶媒のぞれぞれ一種からなる混合溶媒を使用することが好ましい。この理由は、ポリエステルのグラフト化反応においてポリエステル分子間の架橋により系のゲル化が起こりやすいが、以下のように混合溶媒を用いることによりゲル化が防止され得るからである。
第一群の溶媒中では、ポリエステル分子鎖は広がりの大きい鎖ののびた状態にあり、他方、第一群/第二群の混合溶媒中では、ポリエステル分子鎖は広がりの小さい糸まり状に絡まった状態にあることが、これら溶液中のポリエステルの粘度測定により確認された。ポリエステル分子鎖が延びた状態では、ポリエステル主鎖中の反応点がすべてグラフト化反応に寄与し得るので、ポリエステルのグラフト化率は高くなるが、同時に分子間の架橋が起こる率も高くなる。他方、ポリエステル分子鎖が糸まり状になっている場合は、糸まり内部の反応点はグラフト化反応に寄与し得ず、同時に分子間の架橋が起こる率も低くなる。よって、溶媒の種類を選択することによってポリエステル分子の状態を調節することができ、それによりグラフト化率およびグラフト化反応による分子間架橋を調節し得る。
高いグラフト化率とゲル化抑制の両立は、混合溶媒系において達成し得る。第一群/第二群の混合溶媒の最適の混合比率は、使用するポリエステルの溶解性等によって変わり得るが、通常、第一群/第二群の混合溶媒の質量比率は、95:5〜10:90、好ましくは90:10〜20:80、さらに好ましくは85:15〜30:70の範囲である。
(アクリルグラフト共重合ポリエステルのラジカル重合開始剤および連鎖移動剤)
本発明で用い得るラジカル重合開始剤として、当業者には公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を用い得る。
有機過酸化物として、ベンゾイルパ−オキサイド、t−ブチルパ−オキシピバレート、有機アゾ化合物として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等を挙げることができる。
グラフト化反応を行なうためのラジカル重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性単量体に対して、少なくとも0.2質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。
重合開始剤の他に、グラフト部分の鎖長を調節するための連鎖移動剤、たとえばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール等を必要に応じて用い得る。この場合、ラジカル重合性単量体に対して0〜5質量%の範囲で添加されるのが望ましい。
(アクリルグラフト共重合ポリエステルのグラフト化反応)
グラフト部分の形成は、上記ポリエステル中のラジカル重合性不飽和二重結合と上記ラジカル重合性単量体とが重合することおよび/またはラジカル重合性不飽和二重結合と上記ラジカル重合性単量体の重合体の活性末端とが反応することにより進行する。グラフト化反応終了後の反応生成物は、目的とするグラフト化ポリエステルの他にグラフト部分を有さないポリエステルおよびポリエステルとグラフトしなかったラジカル重合性単量体の重合体を含有する。反応生成物中のグラフト化ポリエステルの生成比率が低く、グラフト部分を有さないポリエステル及びグラフトしなかったラジカル重合性単量体の重合体の比率が高い場合は、安定性の良好な分散体が得られない。
通常、グラフト化反応は、加温下で上記ポリエステルを含む溶液に対し、上記ラジカル重合性単量体とラジカル開始剤とを一時に添加して行ない得るか、あるいは別々に一定時間を要して滴下した後、さらに一定時間攪拌下に加温を継続して反応を進行させることによって行い得る。あるいは、必要に応じて、ラジカル重合性単量体の一部を先に添加し、次いで残りのラジカル重合性単量体、重合開始剤を別々に一定時間を要して滴下した後、さらに一定時間攪拌下に加温を継続してグラフト化反応を行い得る。
ポリエステルと溶媒との質量比率は、ポリエステルとラジカル重合性単量体との反応性およびポリエステルの溶剤溶解性を考慮して、重合工程中均一に反応が進行する質量比率が選択される。通常、70:30〜10:90、好ましくは50:50〜15:85の範囲である。
(アクリルグラフト共重合ポリエステルの水分散化)
本発明に用いられ得るグラフト化ポリエステルは、固体状態で水系媒体に投入するか、または親水性溶媒に溶解後、水系媒体に投入することによって、水分散化され得る。特に、親水性の基を有するラジカル重合性単量体として、スルホン酸基およびカルボキシル基のような酸性基を有する単量体を用いた場合、グラフト化ポリエステルを塩基性化合物で中和することによって、グラフト化ポリエステルを容易に平均粒子径500nm以下の微粒子として水に分散して、共重合ポリエステル水系分散体を調製し得る。
塩基性化合物としては塗膜形成時、あるいは以下に述べる硬化剤を配合した場合は焼付硬化時に揮散する化合物が望ましい。そのような塩基性化合物としては、アンモニア、有機アミン類等が好ましい。有機アミン類としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。
塩基性化合物の使用量は、グラフト部分中に含まれるカルボキシル基を、少なくとも部分中和あるいは完全中和して、水系分散体のpH値を5.0〜9.0の範囲にする量が好ましい。
塩基性化合物で中和された共重合ポリエステル水系分散体を調製する方法としては、グラフト化反応終了後、反応液から溶媒を、減圧下でエクストルダー等により除去してメルト状または固体状(ペレット、粉末等)にし、次いでこれを塩基性化合物水溶液に投じて加熱下攪拌することまたはグラフト化反応を終了した時点で直ちに塩基性化合物水溶液を反応液に投入し、さらに加熱攪拌を継続すること(ワン・ポット法)により水系分散体を調製し得る。利便性の点からワン・ポット法が好ましい。この場合、グラフト化反応に用いた溶媒の沸点が100℃以下ならば蒸留によって一部または全部を容易に取り除き得る。
(塗布液に添加する架橋剤)
上記水系分散体は、そのままで接着改質層を形成する塗布剤として使用し得るが、さらに架橋剤(硬化用樹脂)を配合して硬化を行なうことにより、接着改質層に高度の耐水性を付与することができる。
架橋剤としては、アルキル化フェノール類、クレゾール類等とホルムアルデヒドとの縮合物のフェノールホルムアルデヒド樹脂;尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等とホルムアルデヒドとの付加物、この付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物等のアミノ樹脂;多官能性エポキシ化合物;多官能性イソシアネート化合物;ブロックイソシアネート化合物;多官能性アジリジン化合物;オキサゾリン化合物等を用い得る。
これらの架橋剤は、それぞれ単独または2種以上混合して用い得る。 架橋剤の配合量としては、グラフト化ポリエステルに対して、5質量%〜40質量%が好ましい。
架橋剤の配合方法としては、(1)架橋剤が水溶性である場合、直接水系分散体中に溶解または分散させる方法、または(2)架橋剤が油溶性である場合、グラフト化反応終了後、水分散化の前または後に架橋剤を加えてコア部にポリエステルと共存させる方法を用い得る。これらの方法は、架橋剤の種類、性状により適宜選択し得る。さらに架橋剤には、硬化剤あるいは促進剤を併用し得る。
本発明に用いる接着改質層には、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、帯電防止性、滑り性を付与するために、帯電防止剤、無機滑剤、有機滑剤等の添加剤を含有させることができる。帯電防止剤、無機滑剤、有機滑剤等をフィルム表面に塗布する場合、これらの添加剤の脱離を防止するため接着改質層に含有させることが好ましい。
<製造方法>
本発明における積層延伸ポリアミドフィルムは、公知の製造方法により製造することができる。
例えば、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法が挙げられる。逐次二軸延伸法の方が、製膜速度が上げられるので、製造コスト的に有利であるので好ましい。一軸延伸法による一軸延伸フィルムであっても構わない。
フィルムを延伸する前に、A層とB層を積層した未延伸シートを得る。これの方法としては、フィードブロックやマルチマニホールドなどを使用した共押出法が好ましい。共押出法以外に、ドライラミネート法、押出ラミネート法等を選ぶこともできる。
共押出法で積層する場合、A層及びB層に使用するポリアミドの相対粘度は、A層及びB層の溶融粘度の差が少なくなるように選択することが望ましい。
逐次二軸延伸装置としては通常の装置が用いられる。製造の条件としては、長手方向の延伸温度は50〜100℃、長手方向の延伸倍率は2〜5倍、幅方向延伸温度は120〜200℃、幅方向延伸倍率は3〜5倍、熱固定温度は200℃〜230℃の範囲であることが好ましい。
シーラントフィルムや印刷層との接着強度を上げるため、積層延伸ポリアミドフィルム表面及び/又は接着改質層(C層)の表面にコロナ処理や火炎処理等を施してもよい。また、積層延伸ポリアミドフィルムと接着改質層の接着強度を上げるため、積層延伸ポリアミドフィルムの接着改質層(C層)側の表面にコロナ処理や火炎処理等を施してもよい。
本発明における接着改質層(C層)を形成する方法としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び/又はポリアクリル樹脂のいずれかの樹脂を含む塗布剤を積層延伸ポリアミドフィルムにグラビア方式、リバース方式、ダイ方式、バー方式、ディップ方式等公知の塗布方式で塗布する方法を用いることができる。
前記塗布剤の塗布量は、2軸延伸後のポリアミドフィルムに対して固形分として0.01〜3g/mが好ましい。更に好ましくは、0.04〜0.5g/mになるように塗布する。上記の塗布量であれば、接着改質層と他層との十分な接着強度が得られ、かつフィルム同志のブロッキングの発生を抑制できる。
本発明における接着改質層は、二軸延伸ポリアミドフィルム基材に塗布剤を塗布するか、未延伸あるいは一軸延伸後のポリアミドフィルム基材に塗布剤を塗布した後、乾燥し、必要に応じて、さらに一軸延伸あるいは二軸延伸後熱固定を行って調製し得る。塗布剤塗布後の乾燥温度としては、150℃以上、好ましくは200℃以上で乾燥および熱固定を行うことにより塗膜が強固になり、接着改質層とポリアミドフィルム基材との接着性が向上する。
塗布後に延伸を行う場合、塗布後の乾燥は、塗布フィルムの延伸性を損なわないために塗布フィルムの水分率を0.1〜2%の範囲に制御する必要がある。延伸後は200℃以上で乾燥および熱固定することによリ、塗膜が強固になリ接着改質層とポリアミドフィルム基材との接着性が飛躍的に向上する。
こうして得られた本発明の易接着性ポリアミドフィルムは、製袋品の運搬時に段ボール等の運搬包装との摩擦が生じた場合でもその摩擦でフィルムに削れを生じ破袋することを抑制できる。また、袋同志の接触で屈曲疲労で破袋することを抑制できる。また、ポリアミドフィルムとシーラントフィルム間の耐水接着強度が高いので、高い破袋防止性を発現する。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、フィルムの評価は次の測定法によって行った。特に記載しない場合は、測定は23℃、相対湿度65%の環境の測定室で行った。
(1)フィルムのヘイズ値
株式会社東洋精機製作所製の直読ヘイズメーターを使用し、JIS−K−7105に準拠し測定した。
ヘイズ(%)=〔Td(拡散透過率%)/Tt(全光線透過率%)〕×100
(2)フィルムの衝撃強度
株式会社東洋精機製作所製のフィルムインパクトテスターを使用し測定した。測定値は、厚み10μm当たりに換算してJ(ジュール)/15μmで表した。
(3−1)フィルムの耐屈曲ピンホール性
理学工業株式会社製のゲルボフレックステスターを使用し、下記の方法により屈曲疲労ピンホール数を測定した。
実施例で作製したフィルムにポリエステル系接着剤を塗布後、厚み40μmの線状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPEフィルム:東洋紡株式会社製、L4102)をドライラミネートし、40℃の環境下で3日間エージングを行いラミネートフィルムとした。得られたラミネートフィルムを12インチ×8インチに裁断し、直径3.5インチの円筒状にし、円筒状フィルムの一方の端をゲルボフレックステスターの固定ヘッド側に、他方の端を可動ヘッド側に固定し、初期の把持間隔を7インチとした。ストロークの最初の3.5インチで440度のひねりを与え、その後2.5インチは直線水平運動で全ストロークを終えるような屈曲疲労を、40回/分の速さで1000回行い、ラミネートフィルムに発生したピンホール数を数えた。なお、測定は1℃の環境下で行った。テストフィルムのL−LDPEフィルム側を下面にしてろ紙(アドバンテック、No.50)の上に置き、4隅をセロテープ(登録商標)で固定した。インク(パイロット製インキ(品番INK−350−ブルー)を純水で5倍希釈したもの)をテストフィルム上に塗布し、ゴムローラーを用いて一面に延展させた。不要なインクをふき取った後、テストフィルムを取り除き、ろ紙に付いたインクの点の数を計測した。
(3−2)フィルムの耐摩擦ピンホール性
堅牢度試験機(東洋精機製作所)を使用し、下記の方法により摩擦試験を行い、ピンホール発生距離を測定した。
上記耐屈曲ピンホール性評価で作製したものと同様のラミネートフィルムを、四つ折りにして角を尖らせたテストサンプルを作製し、堅牢度試験機にて、振幅:25cm、振幅速度:30回/分、加重:100g重で、段ボール内面に擦りつけた。段ボールは、K280×P180×K210(AF)=(表材ライナー×中芯材×裏材ライナー(フルートの種類))を使用した。
ピンホール発生距離は、以下の手順に従い算出した。ピンホール発生距離が長いほど、耐摩擦ピンホール性が優れている。
まず、振幅100回距離2500cmで摩擦テストを行った。ピンホールが開かなかった場合は振幅回数20回距離500cm増やして摩擦テストを行った。またピンホールが開かなかった場合は更に振幅回数20回距離500cm増やして摩擦テストを行った。これを繰り返しピンホールが開いた距離に×をつけて水準1とした。振幅100回距離2500cmでピンホールが開いた場合は振幅回数20回距離500cm減らして摩擦テストを行った。またピンホールが開いた場合は更に振幅回数20回距離500cm減らして摩擦テストを行った。これを繰り返しピンホールが開かなかった距離に○をつけて水準1とした。
次に水準2として、水準1で最後が○だった場合は、振幅回数を20回増やして摩擦テストを行い、ピンホールが開かなかったら○、ピンホールが開いたら×を付けた。水準1で最後が×だった場合は、振幅回数を20回減らして摩擦テストを行い、ピンホールが開かなかったら○、ピンホールが開いたら×を付けた。
更に水準3〜20として、前の水準で○だった場合は、振幅回数を20回増やして摩擦テストを行い、ピンホールが開かなかったら○、ピンホールが開いたら×を付ける。前の水準で×だった場合は、振幅回数を20回減らして摩擦テストを行い、ピンホールが開かなかったら○、ピンホールが開いたら×を付ける。これを繰り返し、水準3〜20に○又は×をつける。
例えば、表1のような結果が得られた。表1を例にしてピンホール発生距離の求め方を説明する。
各距離の○と×の試験数を数える。
最もテスト回数の多かった距離を中央値とし、係数をゼロとする。それより距離が長い場合は、500cmごとに係数を+1、+2、+3・・・、距離が短い場合は、500cmごとに係数を−1、−2、−3・・・とした。
水準1〜20までの全ての試験で、穴が開かなかった試験数と穴が開いた試験数を比較して、次のA及びBの場合についてそれぞれの式で摩擦ピンホール発生距離を算出した。
A;全ての試験で、穴が開かなかった試験数が穴が開いた試験数以上の場合
摩擦ピンホール発生距離=中央値+500×(Σ(係数×穴が開かなかった試験数)/穴が開かなかった試験数)+1/2)
B:全ての試験で、穴が開かなかった試験数が穴が開いた試験数未満の場合
摩擦ピンホール発生距離=中央値+500×(Σ(係数×穴が開いた試験数)/穴が開いた試験数)−1/2)

(4)フィルムの厚み
フィルムの幅方向に10等分して(幅が狭いフィルムについては厚みを測定できる幅が確保できる幅になるよう当分する)、縦方向に100mmのフィルムを10枚重ねで切り出し、温度23℃、相対湿度65%の環境下で2時間以上コンディショニングする。テスター産業製厚み測定器で、それぞれのサンプルの中央の厚みを測定し、その平均値を厚みとした。
基材層(A層)と表面層(B層)の厚みは、上記方法で測定した積層延伸ポリアミドフィルムの合計の厚みをA層の吐出量とB層の吐出量を測定し、吐出量の比をもとにA層とB層の厚みを算出した。
(5)15時間経過後の厚み斑(TV%)
製膜開始から15時間後のフィルムの厚みを上記と同様に測定し、それぞれのサンプルの中央の厚みの最大値と最小値の差を平均値で割った値(%)を15時間経過後の厚み斑(TV%)として算出した。
(6)目ヤニ(ダイリップ出口に生成する劣化物)の発生周期
ダイスのリップの掃除を行ってからフィルムの製膜を開始し、ダイスのリップに目ヤニが発生するまでの時間を観察した。
(7)接着改質層の塗布量
2軸延伸ポリアミドフィルムを10cm×10cmの面積に切り出し、フィルムの接着改質層面をメチルエチルケトン/トルエン=1/1の混合有機溶剤を染み込ませた布で拭き取り、拭き取り前後の重量を精密天秤(島津製作所社製AUW120D)を用いて測定した。測定した重量差から平方メートル当たりに換算し、塗布量(g/m)を算出した。
(8)耐水ラミネート強度(水付着条件下でのラミネート強度)
フィルムにポリエステル系接着剤〔東洋モートン株式会社製のTM−569(製品名)およびCAT−10L(製品名)を質量比で7.2/1に混合したもの(固形分濃度23%)〕を乾燥後の樹脂固形分が3.2g/mとなるように塗布した後、線状低密度ポリエチレンフィルム(L−LDPEフィルム:東洋紡株式会社社製、リックス(登録商標)L4102)40μmをドライラミネートし、40℃の環境下で2日間エージングを行い、ラミネートフィルムを得た。
作製したラミネートフィルムを幅15mm×長さ200mmの短冊状に切断し、ラミネートフィルムの一端を二軸延伸ポリアミドフィルムと線状低密度ポリエチレンフィルムとの界面で剥離し、(株式会社島津製作所製、オートグラフ)を用い、温度23℃、相対湿度50%、引張り速度200mm/分、剥離角度90°の条件下で、上記短冊状ラミネートフィルムの剥離界面に水をスポイトで垂らしながらラミネート強度を3回測定し、その平均値で評価した。
(9)原料ポリアミドの相対粘度
0.25gのポリアミドを25mlのメスフラスコ中で1.0g/dlの濃度になるように96%硫酸で溶解したポリアミド溶液を20℃にて相対粘度を測定した。
(10)原料ポリアミドの融点
JIS K7121に準じてセイコーインスルメンツ社製、SSC5200型示差走査熱量測定器を用いて、窒素雰囲気中で、試料重量:10mg、昇温開始温度:30℃、昇温速度:20℃/分で測定し、吸熱ピーク温度(Tmp)を融点として求めた。
<接着改質層用アクリルグラフト共重合ポリエステル塗布液の調整>
攪拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブにジメチルテレフタレート466質量部、ジメチルイソフタレート466質量部、ネオペンチルグリコール401質量部、エチレングリコール443質量部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.52質量部を仕込み、160〜220℃で4時間かけてエステル交換反応を行った。次いでフマール酸23質量部を加えて200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧したのち0.2mmHgの減圧下で1時間30分攪拌しながら反応させてポリエステルを得た。得られたポリエステルは淡黄色透明で、ガラス転移温度60℃、重量平均分子量は12000であった。NMR測定等により得られた組成は次の通りであった。
・ジカルボン酸成分
テレフタル酸 48モル%
イソフタル酸 48モル%
フマール酸 4モル%
・ジオール成分
ネオペンチルグリコール 50モル%
エチレングリコール 50モル%
攪拌器、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、上記ポリエステル樹脂75質量部とメチルエチルケトン56質量部とイソプロピルアルコール19質量部とを入れ65℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、メタクリル酸17.5質量部とアクリル酸エチル7.5質量部の混合物と、アゾビスジメチルバレロニトリル1.2質量部とを25質量部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.2ml/分でポリエステル溶液中に滴下し、滴下終了後さらに2時間攪拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリング(5g)を行った後、水300質量部とトリエチルアミン25質量部を反応溶液に加え、1時間攪拌してグラフト化共重合ポリエステルの分散体を調整した。その後、得られた分散体の温度を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により溜去して共重合ポリエステル水系分散体を得た。
得られた分散体を、固形分濃度5%になるように水で希釈して、接着改質層用の塗布液AEGを得た。なお、質量部は固形分としての値である。
<接着改質層用ポリエステル塗布液の調整>
水分散性ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製、バイロナールMD1930)100質量部と反応型水系ウレタン樹脂(第一工業薬品株式会社製エラストロンBN11)43質量部を混合してから固形分濃度5%になるように水で希釈して接着改質層用の塗布液PESを得た。なお、質量部は固形分としての値である。
<接着改質層用ポリウレタン塗布液の調整>
水分散性ポリウレタン樹脂(DIC株式会社製、ハイドランKU400SF)100質量部に対して、トリメチロールメラミン樹脂(DIC株式会社製、ベッカミンAPM)20質量部を混合してから固形分濃度5%になるように水で希釈して接着改質層用の塗布液PUを得た。なお、質量部は固形分としての値である。
(実施例1)
押出機2台と380mm巾の共押出Tダイよりなる装置を使用し、B層/A層/B層の構成で積層してTダイから溶融樹脂をシート状に押出し、20℃に温調した冷却ロールに密着させて厚み200μmの積層未延伸シートを得た。
A層とB層の樹脂組成物は以下のとおりである。
A層を構成する樹脂組成物:ナイロン6(東洋紡株式会社製、相対粘度2.8、融点220℃)97質量部、及びナイロン12がハードセグメントでポリテトラメチレングリコールがソフトセグメントとするポリアミド系エラストマー(アルケマ社製、PEBAX4033SA02)3.0質量部からなるポリアミド樹脂組成物。
B層を構成する樹脂組成物:ナイロン6(東洋紡株式会社製、相対粘度2.8、融点220℃)100質量部、シリカ微粒子0.54質量部及び脂肪酸アマイド0.15質量部からなる樹脂組成物。
なお、積層延伸ポリアミドフィルムの厚みは、合計厚みが15μm、基材層(A層)の厚みが12μm、表裏の表面層(B層)の厚みがそれぞれ1.5μmずつになるように、フィードブロックの構成と押出し機の吐出量を調整した。
得られた積層未延伸シートを、ロール式延伸機に導き、ロールの周速差を利用して、80℃で縦方向に1.7倍延伸した後、70℃でさらに1.85倍延伸した。
次いで、この縦延伸フィルムにアクリルグラフト共重合ポリエステルの水系分散体塗布液をロールコーター方式で塗布し、70℃の熱風で乾燥した。
引き続き、この一軸延伸フィルムを連続的にテンター式延伸機に導き、110℃で予熱した後、横方向に120℃で1.2倍、130℃で1.7倍、160℃で2.0倍延伸して、210℃で熱固定処理した後、210℃で3%および185℃で2%の緩和処理を行い、ついで線状低密度ポリエチレンフィルムとドライラミネートする側の表面をコロナ放電処理して、B層/A層/B層の順に積層された2種3層の積層二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
得られた2軸延伸ポリアミドフィルムのアクリルグラフト共重合ポリエステルの塗布量は、固形分として0.3g/mであった。フィルムの特性評価結果を表2に示した。
(実施例2〜6及び比較例1〜4)
A層とB層の樹脂組成物及び厚み構成を表2のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの特性評価結果を表2に示した。
なお、比較例1〜3においては接着改質層を塗布しなかった。

なお、表2における接着改質層の種類の略号は、以下のとおりである。
AGE:接着改質層用アクリルグラフト共重合ポリエステル塗布層。
PES:接着改質層用ポリエステル塗布層。
PU:接着改質層用ポリウレタン塗布層。
表2に示したとおり、表面層(B層)にポリアミド系エラストマーを1質量%以上含有した比較例1〜3は、摩擦ピンホール発生距離が2900cmより短く耐摩擦ピンホール性が不十分であった。また、表面層(B層)のポリアミド系エラスマーの含有量が増えると厚み斑がより悪くなった。ダイスのリップ面に目ヤニが発生するまでの時間も短かった。
一方、表面層(B層)のポリアミド系エラストマーの含有量が1質量%未満の実施例1〜6では、耐摩擦ピンホール性が良好であった。また、フィルムの厚み斑の悪化が抑制できた。ダイスのリップ面に目ヤニが発生するまでの時間が24時間以上であり、効率的な生産ができた。実施例1〜6では、基材層(A層)にポリアミド系エラストマーを2.5質量%以上含有させているので、耐屈曲ピンホール性の良好なフィルムが得られた。また、接着改質層があることで、耐水ラミネート強度も十分に強いものが得られた。
本発明の易接着性ポリアミドフィルムは、耐衝撃性及び耐屈曲ピンホール性と耐摩擦ピンホール性に優れ、厚み斑が少ない高い品質を有している。更にシーラントをラミネートしたフィルムの耐水ラミネート強度が高いので、食品等の包装材料の用途に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. ポリアミド6樹脂97.5〜80質量%とポリアミド系エラストマー2.5〜20質量%との混合樹脂を含むポリアミド樹脂組成物からなる基材層(A層)の両方の面に、ポリアミド6樹脂100〜80質量%、ポリアミド系エラストマー1質量%未満、ポリアミド6及びポリアミド系エラストマー以外のポリアミド樹脂0〜20質量%を含むポリアミド樹脂組成物からなる表面層(B層)が積層されてなる積層延伸ポリアミドフィルムの少なくとも片面に固形分として塗布量が0.01〜3g/mのポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及び/又はポリアクリル樹脂のいずれかの樹脂からなる接着改質層(C層)を有することを特徴とする易接着性ポリアミドフィルム。
  2. 衝撃強度が0.75J/15μm以上、ゲルボフレックステスターを用いたひねり屈曲試験を温度1℃で1000回実施した時のゲルボピンホール欠点数が5個以下、耐摩擦ピンホールテストでピンホール発生までの距離が3000cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の易接着性ポリアミドフィルム。
  3. 前記B層の厚みが少なくとも0.5μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の易接着性ポリアミドフィルム。
  4. B層を構成するポリアミド樹脂組成物が、酸化防止剤を0.01〜0.3質量%含有してなることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の易接着性ポリアミドフィルム。
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