JP5993778B2 - 粒子線照射システムとその運転方法 - Google Patents

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Description

本発明は、陽子や重イオンなどの荷電粒子ビーム(イオンビーム)を利用した粒子線治療に好適な粒子線照射システムに係わり、特に、ビームエネルギーの変更制御と運転周期の更新を短時間で実現しかつ、照射ビーム性能の再現性を容易に実現可能な粒子線照射システムとその運転方法に関する。
がんの放射線治療として、陽子または重イオン等のイオンビームを患者のがんの患部に照射して治療する粒子線治療が知られている。イオンビーム照射法として、非特許文献1に開示されているような、スキャニング照射法がある。
また、スキャニング照射法で要求されるビームエネルギーの変更制御をイオンビーム発生装置としてシンクロトロンを採用した場合に短時間で実現する制御法として、特許文献1、特許文献2および、非特許文献2に開示されているような、イオンシンクロトロンで一回の運転周期内で複数のエネルギーのイオンビームの照射を実現する多段出射制御運転がある。
特許第4873563号公報 特開2011−124149号公報
レビュー オブ サイエンティフィック インスツルメンツ 64巻8号(1993年8月)の第2084〜2070頁(REVIEW OF SCIENTIFIC INSTRUMENTS VOLUME 64 NUMBER 8 (AUGUST 1993) P2074-2093) ニュークリア インスツルメンツ アンド メソッズ イン フィジックス リサーチ A624号(2010年9月)の第33〜38頁(Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A624 (2010) 33-38)
スキャニング照射法において、患部の深さ方向の照射野(以下、レイヤーと記載)への照射制御は、照射するイオンビームのエネルギーを制御することで実現する。そのため、スキャニング照射法を適用した際の線量率を向上するためには、イオンビーム発生装置から供給するイオンビームのエネルギー変更は短時間で実現する必要がある。また、スキャニング照射法では、患部の大きさ(体表面からの深さ)に応じて照射するビームエネルギーを制御する必要があるため、照射する患者毎ないし照射する患部毎に、照射するビームのエネルギーを組合せて制御する必要がある。
イオンビーム発生装置としてシンクロトロンを採用した場合、入射・加速・出射・減速といった一連の運転を一回の運転周期として制御する。スキャニング照射法のように、イオンビームのエネルギー変更制御を繰り返し実施する際には、シンクロトロンは運転周期の更新が必要なため、エネルギーの変更時間が掛かる課題があった。この対策として特許文献1、特許文献2および、非特許文献2に示されるような、一回の運転周期内で複数のエネルギーのビームを出射する多段出射運転が示されている。
例えば非特許文献2では、シンクロトロンで照射可能な全てのエネルギー範囲を一つに纏めた運転制御データを用意し、ビームを照射するエネルギーでのみフラットトップを延長してビームを出射することで、一回の運転制御で照射する全てのエネルギーのビームを患部に照射が可能となる。さらに、一回の運転制御で全てのエネルギーのビームが照射可能となるため、シンクロトロンは常に同じ運転制御データで照射が実現できる。そのため、粒子線照射システム粒子線照射システムにおけるシンクロトロンの運転制御を簡素にできる上、シンクロトロンを構成する電磁石の磁場履歴を常に一定にできるため、照射ビームの飛程と位置精度の再現性が高められる効果がある。
しかし、特許文献1および非特許文献2に示されているシンクロトロンの運転制御データを用いて患部の厚みに合わせた吸収線量範囲(拡大ブラックピーク(Spread−Out Bragg Peak)以下、SOBPと表記)を形成する場合、ビームの照射に直接寄与しない、初期加速エネルギーから当該照射開始エネルギーまでの制御時間と、照射終了エネルギーから減速開始エネルギーまでの制御時間が生じる。特にSOBPが狭い照射条件では、シンクロトロンの運転制御時間に対して上記したビームの照射に直接寄与しない制御時間の割合が増加するため、線量率を高められない課題がある。
また、特許文献2では、加速器の磁場コイルに励磁するコイル電流に関して、経過時間に応じた磁束密度情報を出力する磁場基準発生部と、磁束密度情報に応じた磁場を発生させるコイル電流を求める電流基準変換部とを備えた加速器の制御装置が示されている。そして、磁場基準発生部が出力する磁束密度情報を4種類のパターン(初期上げパターン、減少パターン、増加パターン、終了パターン)を組み合わせて出力することで、一回の運転周期内で複数エネルギーのビーム出射を実現する制御方法が示されている。特許文献2によると、4種類の磁束密度パターンを組み合わせにより、一回の運転周期内で任意の複数エネルギーのイオンビームの出射が可能となるため、所定のSOBPを形成するために必要な照射エネルギーを任意に選択することができる。そのため、特許文献1および非特許文献2の課題となる、ビーム照射に寄与しない運転制御時間が短縮できるため、線量率を高めることができる。
しかし、特許文献2に示されたように、4種類の磁束密度パターンを任意に組み合わせてビームを照射すると、シンクロトロンを構成する電磁石の磁場履歴が一定とならない。磁場履歴が一定とならないと、電磁石電源に設定する電流設定値に対して電磁石に発生する磁場が僅かにずれを生じ、電流設定値に対する発生磁場の再現性が損なわれるため、特許文献1および非特許文献2に示されたような、照射ビームの飛程と位置精度の再現性が得られず、スキャニング照射法を適用した粒子線照射システム粒子線照射システムで求められる高精度な照射ビームの飛程と位置精度の再現が難しい。同様のことは、シンクロトロンから照射装置にビームを輸送するビーム輸送装置を構成する電磁石にも言える。
本発明の目的は、シンクロトロンから照射装置に供給する照射ビームのエネルギーの変更制御を短時間で実現する多段出射制御運転において、照射ビームのエネルギーの組み合わせに依らず照射ビームの飛程と位置精度の再現性を担保しつつ、線量率を向上する粒子線照射システムおよびその運転方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、多段出射制御運転時のシンクロトロンを構成する機器の運転制御データを、複数の制御区間に対応した複数のモジュールデータの組合せで構成する。また、複数のモジュールデータを残留磁場の補正データに基づいて補正し、この補正した複数のモジュールデータに基づいて電源制御指令値をシンクロトロンを構成する機器に逐次出力する。複数のモジュールデータの補正データは、照射エネルギーと照射エネルギーの照射段数で表される残留磁場の補正テーブルデータを用意しておき、この補正テーブルデータから選択して作成する。
より詳しくは、運転制御データを構成するモジュールデータは、照射条件に応じて、入射エネルギーから初段の照射エネルギーまで加速する初期加速データと、次の照射エネルギーに加速ないし減速する複数のエネルギー変更データと、ビームの照射を終了し、入射エネルギーまで減速する減速データを含む構成とする。これらの各モジュールデータは、制御開始値、制御終了値および、制御開始値と終了値を接続する演算関数で構成される。また、照射条件に応じてモジュールデータを組み合わせた際、ビーム飛程およびビーム位置の再現性を担保するため、モジュールデータの制御開始値ないし制御終了値を補正する補正データをモジュールデータ毎に用意する。この補正データは、多段出射制御運転時の磁場履歴を考慮し、照射エネルギーと、当該照射エネルギーが初期加速制御後に出現する段数(本明細書では適宜,出力段数という)で表される制御補正値をテーブルデータ(本明細書では適宜,補正テーブルデータという)で用意し、この補正テーブルデータから、モジュールデータの組合せに対応した補正データを選択することで用意する。
このように、複数の制御区間に対応した複数のモジュールデータを組み合わせた運転制御データを用いることで、照射エネルギーの柔軟な組合せが可能な多段出射制御を実現する。また、照射エネルギーと照射エネルギーの出力段数で表される補正テーブルデータから得た補正データに基づいて、モジュールデータを補正(すなわち、モジュールデータの制御開始値ないし制御終了値を補正)した上で、演算関数に基づき制御指令値を逐次出力することで、シンクロトロンの出射ビームエネルギーの変更制御を短時間で実現し、かつ、照射ビームのエネルギーの組み合わせに依らずビーム飛程およびビーム位置の再現性を担保することができる。
また、本発明は、より詳しくは次のような特徴を有する。
制御装置は、治療計画情報から照射条件を設定する統括制御装置と、照射条件から粒子線照射システムを構成するシンクロトロンおよびビーム輸送装置の運転制御データおよび補正データを選択する加速器制御装置と、加速器制御装置で選択された運転制御データおよび補正データに基づいて制御指令値を出力する電源制御装置と、粒子線照射システムを構成する機器の制御タイミングを管理するタイミング信号を出力するタイミングシステムを有する。また、制御装置は、シンクロトロンでのビームの加速制御を開始させる加速開始指令と、患者に照射されたイオンビームの照射経過情報に基づき出力されるエネルギー変更指令と、シンクロトロンで一回の運転周期内でのビーム出射制御を完了後に次の運転周期に遷移するための減速制御指令と、粒子線照射システムを構成する機器の異常等によるビーム照射を停止する出射制御停止指令と、照射を完了したことを示す照射完了指令を出力するインターロックシステムを更に有し、タイミングシステムは、インターロックシステムから出力される加速開始指令、エネルギー変更指令および減速制御指令に基づき、制御タイミング信号を出力する。
ここで、制御指令値の補正及び出力方法を説明する。前述したように、制御区間毎に用意されるモジュールデータは、制御開始値と制御終了値および、制御開始値から制御終了値までを接続する演算関数で構成されている。シンクロトロンで安定にビームを加速、出射、減速するため、運転制御データの各モジュールデータ間の制御値は連続的に接続する必要がある。そのため、運転制御データを構成する初期加速データの終了値とエネルギー変更データの初期値(つまり、ビーム出射制御時の制御値)は一致させる必要がある。同様に、初期加速制御での照射エネルギーを初段とした際の照射段数をmとした場合、m段目のエネルギー変更制御データの終了値と、(m+1)段目のエネルギー変更制御データの開始値、および、終段のエネルギー変更データの終了値と減速データの初期値は一致させる必要がある。そのため、運転制御データを構成する各モジュールデータの制御開始値と制御終了値は、照射エネルギーと出射段数mに応じて補正テーブルデータから該当する補正データをそれぞれ選択し、制御開始値および制御終了値を補正データで補正する。その後、補正した制御開始値から制御終了値までをモジュールデータに設定されている演算関数(例えば、線形関数、多項式関数、スプライン関数等)に合わせた導関数を求め、この導関数を用いて電源制御指令値を逐次演算し出力する。モジュールデータは、制御対象となる機器で発生したい磁場強度等の物理量もしくは、制御対象となる機器に直接与えられる電流や電圧等の制御量のいずれで構成してもよい。
以上に示したように、補正テーブルデータに基づき、各モジュールデータの制御開始値や終了値を補正する場合、予め規定した関数形に合わせた導関数を求め、この導関数に基づき逐次演算し出力することにより、磁場履歴に基づく補正制御が容易に実現できる。
また、上記目的を達成するために、シンクロトロンの運転制御データと同様に、シンクロトロンから照射装置にビームを供給するビーム輸送装置においても、運転制御データを複数の制御区間に対応した複数のモジュールデータ(初期加速データと、エネルギー変更データと、減速データ)の組合せで構成し、かつ照射エネルギーと、当該照射エネルギーの出現段数に基づき構成される磁場履歴の補正テーブルデータから選択した制御補正値を補正データとして用意する。これら運転制御データを構成する各モジュールデータの制御開始値ないし制御終了値を補正データに基づき補正する。この補正したモジュールデータから生成した電源制御指令値をビーム輸送装置を構成する機器に逐次出力する。
本発明によれば、シンクロトロンの出射ビームエネルギーの変更制御を短時間で実現する多段出射制御運転において、照射ビームのエネルギーの組み合わせに依らず照射ビームの飛程およびビーム位置精度を担保することができる。
また、本発明によれば、所望のエネルギー範囲のビーム照射を短い運転周期で行い、線量率を向上し治療時間を短縮することができる。
本発明の一実施例である粒子線照射システムの構成を示す図である。 本発明の一実施例であるスキャニング照射法による照射装置の構成を示す図である。 本発明の一実施例であるシンクロトロンを構成する機器の運転制御データを構成するモジュールデータを示す図である。 本発明の一実施例であるビーム輸送装置を構成する機器の運転制御データを構成するモジュールデータを示す図である。 本発明の一実施例である磁場履歴に対応した補正テーブルデータを示す図である。 本発明の一実施例であるモジュールデータに対応した補正データを示す図である。 本発明の一実施例である多段出射運転を実現する制御システム(制御装置)の構成と各装置間の情報伝送を示す図である。 本発明の一実施例である電源制御装置の構成を示す図である。 本発明の一実施例である照射条件を示す図である。 本発明の一実施例である運転制御データと、運転制御データを構成するモジュールデータの組合せを示す図である。 本発明の一実施例である多段出射運転を開始する前の照射準備フローを示す図である。 本発明の一実施例である多段出射運転時の運転制御フローを示す図である。 本発明の一実施例である、図3に示したモジュールデータの組み合わせによる多段出射運転時の偏向磁場強度データを示す図である。 本発明の一実施例である、図10Aに示した偏向磁場強度データを実現する電磁石の励磁電流指令値を示す図である。 本発明の一実施例である運転制御データと、運転制御データを構成するモジュールデータの組合せを示す図である。 従来のシンクロトロンの運転シーケンスを示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
<実施例1>
図1は、本発明の好適な一実施例である粒子線照射システムの構成を示す図である。本実施例の粒子線照射システム1は、図1に示すように、イオンビーム発生装置11、ビーム輸送装置14、照射装置30を備え、ビーム輸送装置14が、イオンビーム発生装置11と治療室内に配置される照射装置30を連絡する。
イオンビーム発生装置11は、イオン源(図示せず)、前段加速器12およびシンクロトロン13を備える。イオン源は前段加速器12に接続され、前段加速器12はシンクロトロン13に接続される。前段加速器12は、イオン源で発生したイオンビーム10をシンクロトロン13に入射可能なエネルギーまで加速する。前段加速器12で加速されたイオンビーム10aは、シンクロトロン13に入射される。
シンクロトロン13は、周回軌道に沿って周回するイオンビーム10bに高周波電圧を印加して目標のエネルギーまで加速する高周波加速装置(加速空胴)17、周回しているイオンビームのベータトロン振動振幅を増大させる出射用高周波電極20a、およびイオンビームを周回軌道から取り出す出射用デフレクター20bを備える。
シンクロトロン13に入射されたビーム10bは、高周波加速空胴17に印加した加速高周波電圧によりエネルギーを付与されることで、所望のエネルギーまで加速する。この際、シンクロトロン13内を周回するイオンビーム10bの周回軌道が一定となるように、イオンビーム10bの周回エネルギーの増加に合わせて偏向電磁石18BS、四極電磁石19等の磁場強度および、加速空胴17に印加する高周波電圧の周波数を高める。
所望のエネルギーまで加速したイオンビーム10bは、出射条件設定制御により、四極電磁石19および六極電磁石(図示せず)の励磁量を制御することで周回ビーム10bが出射可能な条件(周回ビームの安定限界条件)を成立させる。出射条件設定制御が終了後、出射用高周波電極20aに出射高周波電圧を印加し、シンクロトロン13内を周回するビーム10bのベータトロン振動振幅を増大させる。このベータトロン振動振幅の増大により、安定限界条件を超えた周回ビーム10bはシンクロトロン13から出射用デフレクター20bにてビーム輸送装置14に出射される。ビーム輸送装置14は、偏向電磁石18BTにてビームを偏向しながら照射装置30までビームを安定に輸送する。シンクロトロン13からのビーム出射制御は、出射用高周波電極20aに印加する高周波電圧のON/OFF制御することで高速に実現可能である。
シンクロトロン13からのビーム出射制御が終了後、出射条件解除制御により、四極電磁石19および六極電磁石(図示せず)の励磁量を制御することで出射条件設定時に形成した周回ビーム10bの安定限界条件を解除する。
出射条件解除制御が完了後、偏向電磁石18、四極電磁石19等の磁場強度および、加速空胴17に印加する高周波電圧の周波数を下げることで、シンクロトロン13内を周回するイオンビーム10bを減速し、次の運転周期に遷移する。
照射装置30は、上記ビーム輸送装置14にて導かれたイオンビーム10cを、患者36の体表面からの深さおよび患部形状に合わせて制御して、治療用ベッド上の患者36の患部37に照射する。照射法としてスキャニング照射法(非特許文献1の2086頁、図45)があり、照射装置30はスキャニング照射法によるものである。スキャニング照射法は、患部37に直接イオンビーム10dを照射するため、イオンビーム10dの利用効率が高く、従来の散乱体照射法よりも患部形状に合致したイオンビーム10dの照射が可能といった特徴がある。
患部の深さ方向へのビーム飛程調整は、イオンビームのエネルギーを変更することで所望の患部への照射を実現する。特にスキャニング照射法では、シンクロトロン13内を周回するイオンビーム10bのエネルギーを調整した後に出射することで、イオンビームの飛程を患部36の深さに合わせる。そのため、患部への治療照射中に複数回のエネルギーの変更制御が要求される。また、患部平面方向へのビーム照射方法として、スポットスキャニング照射法、ラスタースキャニング照射法などがある。スポットスキャニング照射法は、患部の照射平面上をスポットと呼ばれる線量管理領域に分割し、スポット毎に走査を停止して設定した照射線量に到達するまでビームを照射した後にビームを停止し、次の照射スポット位置に移動する。このようにスポットスキャニング照射法は、照射開始位置をスポット毎に更新する照射法である。また、ラスタースキャニング照射法は、スポットスキャニング照射法と同様に線量管理領域を設定するが、スポット毎にビーム走査を停止せず、ビームを走査経路上を走査しながら照射する。そのため、一回当たりの照射線量を低くし、複数回繰り返し照射するリペイント照射を実施することで照射線量の一様度を向上する。このようにラスタースキャニング照射法は、照射開始位置を走査経路毎に更新する照射法である。なお、スポットスキャニング法においても、ラスタースキャニング法と同様に、一つのスポット位置に対する一度の照射で与える照射線量を低く設定し、照射平面を複数回に分けて走査することによって、最終的な照射線量に到達するように制御してもよい。
図2に照射装置30の構成を示す。照射装置30は走査電磁石32a,32bを有し、患部平面上を患部形状に合わせて走査電磁石32a,32bでビームを走査する。また、照射装置30は、患者に照射するビーム10dの照射線量を計測する線量モニタ31やビーム形状モニタ(図示せず)を有し、これらで照射するビーム10dの線量強度やビーム形状を逐次確認する。走査電磁石32で走査されたビーム10dは、コリメータ34で患者36の患部形状37に合わせて照射野を形成する。
図1に戻り、本実施例の粒子線照射システム1は制御システム100(制御装置)を備えている。制御システム100は、イオンビーム発生装置11およびビーム輸送装置14を制御する加速器制御装置40、粒子線照射システム1全体を統括して制御する統括制御装置41、患者へのビーム照射条件を計画する治療計画装置43、治療計画装置43で計画した情報やイオンビーム発生装置であるシンクロトロン13およびビーム輸送装置14の制御情報等を記憶する記憶装置42、照射装置30を構成する機器と患部37に照射するイオンビーム10dの照射線量を制御する照射制御装置44、シンクロトロン13およびビーム輸送装置14を構成する機器の同期制御を実現するタイミングシステム50、患者36の安全を担保するため統括制御装置41とは独立して設けるインターロックシステム60、シンクロトロン13およびビーム輸送装置14を構成する各機器の電源46を制御する電源制御装置45から構成される。記憶装置42は統括制御装置41の一部として統括制御装置41に備えられていてもよい。
電源46はシンクロトロン13およびビーム輸送装置14を構成する複数の機器の電源の総称であり、図1には複数の機器の電源としてシンクロトロンの偏向電磁石18BSの電源46BS、ビーム輸送装置の偏向電磁石18BTの電源46BTが示されている。電源制御装置45も同様に複数の機器の電源に対応する複数の電源制御装置の総称であり、図1には電源46BSの制御装置45BS、電源46BTの制御装置45BTが示されている。
ここで、各文献の記載を用いながら本発明者等が検討した事項について説明する。従来のシンクロトロン13の運転シーケンスを図12に示す。シンクロトロン13は、一回の運転周期で加速・出射・減速という一連の制御を実施する。
従来のシンクロトロン13の運転制御では、電源制御装置45のメモリに一連の制御に合わせた制御データをパターンデータとして用意しておき、電源制御装置45は、シンクロトロン13を構成する機器の制御タイミングを管理するタイミングシステム50から出力されるタイミング信号52に基づき、制御指令値を逐次更新していた。
図12に示したように、シンクロトロン13は一回の運転周期で加速から減速までを制御しているため、出射するイオンビーム10cのエネルギーを変更するには、出射制御終了後に減速制御に遷移し残存ビームを減速した後、運転周期を更新する。運転周期を更新し再びイオンビーム10bを加速することで、所望のエネルギーへの変更制御を実現する。そのため、従来のシンクロトロン13の運転制御ではイオンビーム10bのエネルギー変更時間には、ほぼ一回の運転周期と同じ時間が掛かるため、治療時間が長くなり、線量率を向上していく上での課題であった。
本発明は、シンクロトロンを用いた粒子線照射システムにおいて、照射ビームエネルギーの変更制御を短時間で実現する多段出射制御運転に関し、照射ビームのエネルギーの組み合わせに依らず照射ビームの飛程およびビーム位置精度を担保しつつ、線量率を向上し治療時間を短縮することができる。以下にその詳細を説明する。
まず、本実施例の特徴である多段出射運転時の運転制御データの構造について、図3Aおよび図3Bを用いながら説明する。
図3Aは、本実施例の特徴である粒子線照射システムを構成するシンクロトロン13の運転制御データ401Aと、運転制御データ401Aを構成するモジュールデータ402Aの構成を示す図であり、図3Bは、本実施例の特徴である粒子線照射システムを構成するビーム輸送装置14の運転制御データ401Bと、運転制御データ401Bを構成するモジュールデータ402Bの構成を示す図である。モジュールデータ402A,402Bは、それぞれ、初期加速(AC)、エネルギー変更(EC)、減速(DE)の各データを含む。運転制御データ401Aは、シンクロトロン13の機器の制御データの代表例として、シンクロトロン13の偏向電磁石18BSの制御データを示し、運転制御データ401Bは、ビーム輸送装置14の機器の制御データの代表例として、ビーム輸送装置14の偏向電磁石18BTの制御データを示している。また、制御データは磁場強度BS,BTで示している。以下の説明では、シンクロトロン13の偏向電磁石18BSと、ビーム輸送装置14の偏向電磁石18BTの制御は同期して制御されるため、説明の簡略化のため偏向磁場強度BS,BTをBと表記して説明する。また、実際には、非特許文献2に示されているように、照射するビームのエネルギー数に対応した段数のデータが用意されているが、本実施例では三段で説明している。また、本実施例では低いエネルギーから高いエネルギーに順次ビームを照射するような運転制御データを示しているが、高いエネルギーから低いエネルギーに順次ビームを照射する場合でも同様の効果が得られる。
初期加速データACは、入射エネルギーEinjに対応した偏向磁場強度Binjを開始値とし、初段の照射エネルギーEiに対応した偏向磁場強度Biを終了値とする。エネルギー変更データECは、照射エネルギーをEiからEjに変化させるECijと、EjからEkに変化させるECjkに分けられる。ECijは、偏向磁場強度Biを初期値、Bjを終了値として制御し、ECjkは、偏向磁場強度Bjを初期値、Bkを終了値として制御する。減速制御データDEは、偏向電磁石の磁場履歴を初期化するため、制御開始値Bkから初期化磁場強度Binitまで高めた後、磁場強度を入射磁場強度Binjまで下げている。
各モジュールデータ402の開始と終了は、タイミングシステム50から出力されるタイミング信号52が関連付けられている。初期加速データACの開始点には加速制御開始タイミング信号521が割り付けられており、同様に終了点にはと加速制御終了タイミング信号522が割り付けられている。エネルギー変更データECの開始点にはエネルギー変更制御開始タイミング信号523が割り付けられており、同様に終了点にはエネルギー変更制御終了タイミング信号524が割り付けられている。更に、減速制御モジュールDEの開始点には減速制御開始タイミング信号525が割り付けられており、同様に終了点にはと減速制御終了タイミング信号526が割り付けられている。
なお、図3Aおよび図3Bに示した運転制御データ402は、最終段のエネルギーEkに対応した1つの減速制御データDEを有する構成としたが、照射するビームのエネルギーEi,Ej,Ekのそれぞれに対応した複数の減速制御データを有する構成としてもよい。このように複数のエネルギーEi,Ej,Ekに対応した減速制御データを有することで、どのエネルギーからも速やかに減速制御へ遷移可能となり、イオンビームの照射を中断した場合に運転周期の更新を短時間で実現し、線量率を向上することができる。
次に、本実施例の特徴である磁場履歴に対応した残留磁場の補正テーブルデータ70の構造について、図4Aおよび図4Bを用いながら説明する。図4Aは、本実施例の特徴である磁場履歴に対応した残留磁場の補正テーブルデータ70を示す図である。補正テーブルデータ70には、まず、照射ビームエネルギーEnに対応した偏向磁場強度Bnを達成する励磁電流In(n:シンクロトロンで照射可能なエネルギー数)が示されている。この励磁電流Inは、偏向電磁石18の励磁特性(I−B特性)に基づき、予め設定されている。
多段出射制御運転時には、照射ビームエネルギーEnを一回の運転周期内で複数回に分けて変更する。そのため、図3Aおよび図3Bに示したように、偏向磁場強度Bも初期加速データAC以降に複数のエネルギー変更データECを実施した後、減速データDEに遷移する。このような照射条件で運転する場合の二段目以降の偏向磁場強度を実現する励磁電流を考える。例えば、初期加速ACで直接Bjに到達する際の励磁電流値(Ij1)と、図3Aおよび図3Bに示したように、エネルギー変更ECijを一度経由した二段目の磁場強度励磁電流値(Ij2)では、出射制御のための一定励磁区間(AC−ECij間)の有無による磁場履歴が異なるため、同じ励磁電流Ijを設定しても偏向電磁石に発生する偏向磁場強度Bjには僅かなずれが生じ、励磁電流の補正が必要となる。多段出射制御運転では、どのような磁場履歴を経由してもビーム飛程およびビーム位置の再現性が求められるため、偏向磁場強度Bjを高い再現性で出力する必要がある。そのため、照射段毎に補正電流ΔInm(m:初期加速制御での照射エネルギーを初段とした際の照射段数)を予め補正テーブルデータ70として用意しておく。
例えば、図3Aおよび図3Bに示した偏向磁場強度Bjを実現するために必要な励磁電流は、Ij+ΔIj2となる。上記の補正は、エネルギー変更ECijの終了値の補正となり、同様にエネルギー変更ECijの開始値の補正は、Ii+ΔIi1となる。
このような励磁電流の補正を一般化すると、エネルギー変更データECの制御開始電流値(Istart)は下記の(1)式で示される。
Figure 0005993778
(1)式において、Inはエネルギー変更制御前に照射していたエネルギーEnに対応した励磁電流であり、ΔInmは励磁電流Inが初期加速制御での照射エネルギーを初段とした際の段数mに対応した補正電流を示している。同様にエネルギー変更ECの制御終了電流値(Iend)は下記の(2)式で示される。
Figure 0005993778
(2)式において、I(n+1)はエネルギー変更制御後に照射する次のエネルギーE(n+1)に対応した励磁電流であり、ΔI(n+1),(m+1)は励磁電流I(n+1)を励磁する照射段数(m+1)に対応した補正電流を示している。
図3Aおよび図3Bに示したモジュールデータ402の組合せに対応した残留磁場の補正データ403を図4Bに示す。補正データ403は、照射段数(m)と、各モジュールデータ402の制御開始値と制御終了値に対応して、補正電流値(ΔIs、ΔIe)が示されている。初期加速データACの制御終了値に対応した補正電流値(ΔIe)とエネルギー変更データECijの制御開始値に対応した補正電流値(ΔIs)(AC−EC間)、エネルギー変更データECijの制御終了値に対応した補正電流値(ΔIe)とエネルギー変更データECjkの制御開始値に対応した補正電流値(ΔIs)(EC−EC間)および、エネルギー変更データECjkの制御終了値に対応した補正電流値(ΔIe)と減速制御モジュールDEの制御開始値に対応した補正電流値(ΔIs)(EC−DE間)は、励磁電流Iを連続的に制御する必要があるため、それぞれ、補正電流値(ΔIs、ΔIe)は同一値となる。なお、初期加速データACの制御開始値と減速制御モジュールDEの制御終了値についても、補正電流値をそれぞれ設定しても構わないが、本実施例では減速データにて電磁石の初期化を実施しているため、補正値は入力しなくても構わない。実際の制御では、制御モジュールの更新に合わせて照射段数カウンタ(mi)を更新し、照射段数カウンタ値(mi)と照射段数(m)が一致する補正電流値(ΔIs、ΔIe)を参照することで、モジュールデータ402に対応した補正データ403を容易に選択できる。
次に、制御システムの構成と各装置間の情報伝送および情報について、図5から図7Bを用いて説明する。図5は、本実施例の特徴である多段出射運転を実現する制御システム100(制御装置)の構成と各装置間の情報伝送を示す図であり、図6は、本実施例の特徴である電源制御装置の構成を示す図である。また、図7Aは本発明の一実施例である照射条件を示す図であり、図7Bは本発明の一実施例である運転制御データ401を構成するモジュールデータ402およびモジュールデータ402を出力するモジュール制御時間51の組合せを示す図である。
本実施例の特徴である多段出射制御運転を実現する制御システム100(制御装置)の構成と各装置間の情報伝送について、図5を用いて説明する。制御装置100は、患者の治療計画情報431を出力する治療計画装置43と、治療計画装置43が出力した治療計画情報431を保存する記憶装置42、粒子線照射システムを統括して制御する統括制御装置41、シンクロトロン11およびビーム輸送装置14を構成する機器を統括的に制御する加速器制御装置40、患部へのビーム照射を制御する照射制御装置44、シンクロトロン11およびビーム輸送装置14を構成する機器を個別に制御する電源制御装置45、粒子線照射システムの制御シーケンスおよび制御動作タイミングを管理するタイミングシステム50および、粒子線照射システムでのビーム照射に関するインターロック制御を統括するインターロックシステム60で構成される。ここで、電源制御装置45は、シンクロトロン11を構成する偏向電磁石の電源制御装置45BSと、ビーム輸送装置14を構成する偏向電磁石の電源制御装置45BTを示している。運転制御データ401を構成するモジュールデータ402およびモジュールデータ402を補正する補正データ403の制御値は僅かに異なるが、具体的な制御方法は共通である。
統括制御装置41は、治療計画情報431に基づき、図7Aに示したような照射段数(m)、照射エネルギー(Eirr)、照射線量(Dirr)等の情報から構成される照射条件71を設定する。統括制御装置41は、加速器制御装置40、照射制御装置44に照射条件71を伝送する。加速器制御装置40は、照射条件71に基づき、使用するモジュールデータ402を選択し組合せることで、図7Bに示したような運転制御データ401を構築する。ここで、図7Bを用いて、運転制御データ401の構成を説明する。
運転制御データ401は、照射条件71に示されている照射エネルギーEirrと照射段数mに応じて、図7Bのように、一つの初期加速データAC、複数のエネルギー変更データEC、一つの減速データDEを含む複数のモジュールデータ402と、モジュールデータ402での制御時間を示すモジュール制御時間51とで構成される。また、各モジュールデータ402は、モジュールデータの制御開始値(Bstart)、制御終了値(Bend)、制御開始値と制御終了値を接続する演算関数(B(t))で構成される。モジュール制御時間51には、各モジュールデータ402の制御時間(T)が記載されている。電源制御装置45では、各モジュールデータ402に対応したタイミング信号52の入力で制御を開始後、制御時間(T)が経過後に各モジュールデータ402の制御終了値を一定値で保持出力し、次のタイミング信号52の入力待機となる。加速器制御装置40は、これらのモジュールデータ402とモジュール制御時間51とを含む運転制御データ401を電源制御装置45に伝送する。また、加速器制御装置40は、上記運転制御データ401からモジュール制御時間51を抽出し、タイミングシステム50に伝送する。更に、加速器制御装置40は、図4Aに示した電流補正テーブルデータ70から運転制御データ401を構成するモジュールデータ402に基づき、図4Bに示した該当する補正データ403を抽出し、電源制御装置45に合わせて伝送する。
加速器制御装置40は、運転制御データ401を構築するモジュールデータ402として、シンクロトロンから照射可能なエネルギー範囲で多数の初期加速データAC、エネルギー変更データEC、減速制御データDEを予めメモリに記憶しておき、これらの制御データから照射条件71に応じて対応するものを選択して組み合わせることで、運転制御データ401の構築を柔軟に実現する。一方、補正データは、照射条件71により使用するモジュールデータ402と、モジュールデータ402の照射段数mにより、それぞれのモジュールデータ402の補正量が異なる。そのため、加速器制御装置40は、図4Aに示す補正テーブルデータ70をメモリに記憶しておき、運転制御データ401を構築するモジュールデータ402の組合せに応じてその補正テーブルデータ70から該当する補正データ403を抽出し構成することで、照射条件71に柔軟に対応した補正制御を実現する。
電源制御装置45には、電源46が接続されており、照射制御装置44には、線量モニタ31等の照射ビームモニタや、走査電磁石電源(図示せず)が接続されている。
インターロックシステム60は、粒子線照射システム1のインターロック制御を統括しており、照射制御装置44からの制御要求信号(441〜444)、電源制御装置45からの電源制御機器状態信号459が伝送され、これらの制御要求信号や機器状態信号に基づき、インターロック信号61を出力する。このインターロック信号61には、シンクロトロン13でのビームの加速制御を開始させる加速開始指令610、患者に照射されたイオンビームの照射経過情報に基づき生成されるエネルギー変更指令611、シンクロトロン13で一回の運転周期内でのビーム出射制御を完了後に次の運転周期に遷移するための減速制御指令612、照射を完了したことを示す照射完了指令613、粒子線照射システムを構成する機器の異常等によるビーム照射を停止する出射制御停止指令614等が含まれる。これらの指令信号は、照射制御装置44からの制御要求信号が入力された際に機器状態信号が正常である場合、タイミングシステム50および加速器制御装置40への制御指令として出力される。なお、シンクロトロン13でのビームの加速制御を開始させる加速開始指令610は統括制御装置41から出力するようにしてもよい。
タイミングシステム50は、統括制御装置41或いはインターロックシステム60から出力される制御開始指令610と、インターロックシステム60から出力されるエネルギー変更指令611および減速制御指令612に基づき、加速制御開始タイミング信号521、エネルギー変更制御開始タイミング信号523、減速制御開始タイミング信号525を出力する。
本発明の特徴である、電源制御装置45の構成を図6にて説明する。電源制御装置45は、運転制御データ401を構成するモジュールデータ402およびモジュール制御時間51と補正データ403とを保存するメモリ451、タイミングシステム50から入力されるタイミング信号52に基づき、モジュールデータ402および補正データ403を切り替えるシーケンス制御回路452、モジュールデータ402の開始値(Bstart)、終了値(Bend)を補正データ403に基づき補正し、モジュールデータ402に設定されている演算関数(B(t))に基づき励磁電流関数(I(t))を導出する励磁電流関数演算回路453、励磁電流関数演算回路453で導出した励磁電流関数(I(t))に基づき、制御電流値457を逐次演算する制御電流演算回路454、制御電流演算回路454から出力される制御電流値457を電源装置46に設定する制御電流出力回路455、電源装置46からの機器状態信号458を入力する機器状態監視回路456から構成される。
まず、加速器制御装置40から電源制御装置45に対して、モジュールデータ402およびモジュール制御時間51を含む運転制御データ401と補正データ403を伝送する。電源制御装置45は、加速器制御装置40から伝送されたモジュールデータ402およびモジュール制御時間51を含む運転制御データ401と補正データ403をメモリ451に記憶する。
シーケンス制御回路452は、タイミングシステム50から出力されるタイミング信号52を入力し、タイミング信号52に対応したモジュールデータ402とモジュール制御時間51をメモリ451から読み込む。具体的には、加速制御開始タイミング信号521の入力により初期加速データACと加速制御時間を示すTACを読み込み、エネルギー変更制御開始タイミング信号523の入力によりエネルギー変更データECとエネルギー変更制御時間を示すTECを読み込み、減速制御開始タイミング信号525の入力により減速データDEと減速制御時間を示すTDEを選択する。この際、エネルギー変更データECは複数用意されているため、シーケンス制御回路452内に照射段数カウンタ(mi)を設け、照射段数カウンタ値に基づき選択する。照射段数カウンタ(mi)は、加速制御開始タイミング信号521の入力で初期化(mi=0)し、加速制御終了タイミング信号522が入力した際に加算(mi=1)する。同様に、エネルギー変更制御開始タイミング信号523を入力した際、照射段数カウンタを加算(mi=mi+1)した後、照射段数カウンタの最終更新値(mi)と照射段数(m)を比較し、照射段数カウンタの最終更新値と照射段数が一致する(mi=m)エネルギー変更データECとエネルギー変更制御時間TECを選択する。
励磁電流関数演算回路453は、モジュールデータ402の開始値(Bstart)、終了値(Bend)をI−B特性に基づき励磁電流値(I(Bstart)、I(Bend))に変換し、それらの励磁電流値を補正データ403(ΔIs、ΔIe)にて、(1)式および(2)式に示した演算式で補正し、励磁電流の開始値(Istart)と終了値(Iend)を求める。その後、モジュールデータ402に示された演算関数(B(t))の演算関数形(線形関数、多項式関数、スプライン関数等)に合わせて励磁電流の開始値(Istart)と終了値(Iend)を接続する励磁電流関数I(t)を導出する。
制御電流演算回路454は、励磁電流関数演算回路453で導出した励磁電流関数I(t)を表す各次数の係数と、制御区間のモジュール制御時間51を読み込み、制御電流値457を一定時間間隔で逐次演算し、制御電流値457を制御電流出力回路455に出力する。この際、制御電流値457の更新出力時間がモジュール制御時間51に示される制御時間に到達した場合、制御電流演算回路454は制御時間に到達した際の演算結果(最終更新データ)を保持して出力する。このような更新制御機能を適用することで、ビーム出射制御を実施する際の制御電流値457の一定値出力を実現する。制御電流出力回路455は、制御電流値457をモジュール制御時間51に基づき電源装置46に出力する。
電源装置46は、電源制御装置45から出力される制御電流値457に基づいた励磁制御を実施する。その一方で、電源装置46は、電源制御装置45に対して、接続されている電磁石等の負荷や電源装置自体の機器状態信号458を電源制御装置45に逐次伝送する。電源制御装置45は、電源装置本体および負荷の機器状態信号と合わせて、電源制御装置45の状態信号を電源制御機器状態信号459として、インターロックシステム60に伝送する。
照射準備手順について、図8を用いて説明する。まず、治療計画装置43では患者の照射に必要なビーム飛程やSOBP幅、照射線量等の治療計画情報431を記憶装置42に保存する(図示せず)。
統括制御装置41は、記憶装置42から治療計画情報431を読み込む(801)。統括制御装置41は、治療計画情報431に基づき、照射エネルギーEirr、照射段数m、照射線量Dirr等の、加速器制御装置40および照射制御装置44が実際に使用する照射条件71を設定する(802)。統括制御装置41は、加速器制御装置40および照射制御装置44に対して、照射条件71を伝送する(803)。加速器制御装置40は、照射条件71に対応したモジュールデータ402およびモジュール制御時間51を抽出し、照射順に組み合わせた運転制御データ401を構築するとともに、補正テーブルデータ70から照射条件71に該当する補正データ403を抽出し(804)、運転制御データ401と補正データ403を各電源制御装置45に伝送する(805)。また、加速器制御装置40は、タイミングシステム50に運転制御データ401から抽出したモジュール制御時間51を伝送する(806)。各電源制御装置45は、照射段数mに合わせて、運転制御データ401(モジュールデータ402およびモジュール制御時間51)と、補正データ403をメモリ451内に保存する(807)。
最後に、電源制御装置45の補正データ403を参照する際に使用する照射段数カウンタ(m)を初期化する(808)。
粒子線照射システムの運転制御シーケンスについて、図9を用いて説明する。操作者(図示せず)から照射開始指令が伝送されると、粒子線照射システムは、運転制御を開始する。運転制御の開始に当たり、電源制御装置45は、補正データ403を選択するため、照射段数カウンタ(m)を初期化する(810)。その後、タイミングシステム50から伝送されるタイミング信号52の入力待機状態に遷移する(811)。ここからの制御は、入力されるタイミング信号52に基づき行われる。
入力されたタイミング信号52が加速制御開始タイミング信号521の場合の制御シーケンスを以下に示す。まず、照射段数カウンタ(mi)を更新(mi=mi+1)し(812)、その後、照射段数カウンタ値(mi)を取得する(813)。運転制御データ401の中から、初期加速データACを選択し、演算関数(Bac(t))、制御開始値(Bstart)、制御終了値(Bend)を取得する(814)。次に、照射段数カウンタ(mi)と一致する補正データ403の照射段数(m)と一致する電流補正値(ΔIs、ΔIe)を取得し(815)、制御開始値(Bstart)、制御終了値(Bend)および補正電流値(ΔIs、ΔIe)から、(1)式および(2)式に基づき、制御開始電流値(Istart)と制御終了電流値(Iend)を演算し(816)、かつ初期加速データの演算関数(Bac(t))に基づき励磁電流関数(Iac(t))を導出する(817)。この際、加速制御モジュールACに対応した補正電流値については、制御終了時の補正電流値(ΔIe)のみとなる。導出した励磁電流関数(Iac(t))に基づき、加速制御終了タイミング信号522が入力されるまで励磁電流データ(Iac)を演算出力する(818)。加速制御終了タイミング信号522が入力された場合(819)、励磁電流データ(Iac)の最終更新データを保持出力し、入力タイミング信号の判定フローに戻る(820)。なお、図9に示したフローチャートには記載を省略したが、この後、所望のエネルギーまで加速されたイオンビーム10bは、出射条件設定制御により、四極電磁石19および六極電磁石(図示せず)の励磁量を制御することで周回ビーム10bが出射可能な条件(周回ビームの安定限界条件)を成立させる。出射条件設定制御が終了後、出射用高周波電極20aに出射高周波電圧を印加し、シンクロトロン13内を周回するビーム10bのベータトロン振動振幅を増大させる。このベータトロン振動振幅の増大により、安定限界条件を超えた周回ビーム10bはシンクロトロン13から出射用デフレクター20bにてビーム輸送装置14に出射される。ビーム輸送装置14は、偏向電磁石18BTにてビームを偏向しながら照射装置30までビームを安定に輸送する。ビーム出射制御が終了後、出射条件解除制御を実施した後、次の運転制御を指示するタイミング信号52が入力される。
入力タイミング信号の判定(811)において、エネルギー変更制御開始タイミング信号523、或いは減速制御開始タイミング信号525が入力された場合、主な制御シーケンスは加速制御開始タイミング信号521とほぼ同一であるが、エネルギー変更制御モジュールECに対応した補正電流値として、制御開始時および制御終了時の補正電流値(ΔIs、ΔIe)が取得され(824〜825)、減速制御モジュールDEに対応した補正電流値として、制御開始時の補正電流値(ΔIs)が取得される(832〜833)。
以上のような制御シーケンスを実施した後、減速制御終了タイミング信号526の入力により、運転制御を終了する。
以上に説明したようなモジュールデータ402で構成される運転制御データ401および、補正テーブルデータ70に基づく補正データ403を用いた電磁石制御シーケンスについて、図10Aおよび図10Bを用いて説明する。図10Aは、図3に示したモジュールデータを組み合わせてシンクロトロン11およびビーム輸送装置14を運転した場合の偏向磁場強度Bの時間変化を示し、図10Bは、図10Aに示した偏向磁場強度の時間変化を実現する励磁電流Iの時間変化を示す。
制御タイミング信号521〜526の入力に従い、初期加速データAC、エネルギー変更データECij、ECjk、減速制御モジュールDEが選択され、更新される。また、ビーム出射制御は、EXi〜EXkに示されるように、各制御モジュール間(EXiはAC−ECij間、EXjはECij〜ECjk間、EXkはECjk〜DE間)で実施される。各モジュール制御間は、制御モジュールの最終更新データを保持出力(図中の点線で記載)する。
図10Bに記載したように、励磁電流Iは、初期加速データACの制御開始値は入射制御時の電流値Iinjとし、制御終了値はBiに対応した電流Iiに補正電流データΔIi1を加算したIi+ΔIi1となる。エネルギー変更データECijの制御開始値は初期加速データACの最終更新値と同一のIi+ΔIi1であり、制御終了値はBjに対応した電流Ijに補正電流データΔIj2を加算したIj+ΔIj2となる。同様に、エネルギー変更データECjkの制御開始はエネルギー変更データECijの最終更新値と同一のIj+ΔIj2であり、制御終了値はBkに対応した電流Ikに補正電流データΔIk3を加算したIk+ΔIk3となる。最後に、減速制御モジュールDEの制御開始値は、エネルギー変更データECjkの最終更新値と同一のIk+ΔIk3であり、初期化電流Iinitまで電流を高めた後、制御終了値を入射制御時の電流値Iinjとなる。このように、各照射エネルギーに対応した偏向磁場強度Bnを実現するために、励磁電流Inの制御開始値ないし制御終了値を補正データ403で補正することで、任意の照射エネルギーの組合せに対しても所定の偏向磁場強度Bnを安定に出力することが可能となり、多段出射制御運転でのビーム飛程およびビーム位置の再現性を担保することができる。
<実施例2>
図11は、本発明の他の実施例における運転制御データ401aを示す図である。本実施例において、粒子線照射システム粒子線照射システム1の機器構成は実施例1と同一である。実施例1に示した運転制御データ401では、各モジュールデータ402の制御開始値、制御終了値、それらを接続する演算関数を偏向磁場強度Bnの制御開始値(Bstart)と制御終了値(Bend)および演算関数(B(t))で構成したが、本実施例では、各モジュールデータ402aの制御開始値、制御終了値および演算関数を制御電流値Inに基づいて設定する。具体的には、各モジュールデータ402aの生成時にI−B変換を実施する手段を加速器制御装置40内に用意し、I−B変換した結果に基づいてモジュールデータ402aの制御開始値(Istart)と制御終了値(Iend)および演算関数(I(t))を構成する。モジュールデータ402aをこのような構成とすることで、電源制御装置45では、偏向磁場強度Bnの制御開始値(Bstart)と制御終了値(Bend)および演算関数(B(t))をI−B変換する制御電流関数演算回路453が不要となり、電源制御装置45の逐次演算処理の負荷を軽減することができる。
1 粒子線照射システム
100 制御システム(制御装置)
10a、10b、10c、10d ビーム
11 イオンビーム発生装置
12 前段加速器
13 シンクロトロン
14 ビーム輸送装置
15 蓄積ビーム量検出手段
151 蓄積ビーム量計測データ
16 高周波電極
17 高周波加速空胴
18 偏向電磁石
19 四極電磁石
20a 出射用高周波電極
20b 出射用デフレクター
30 照射装置
31 線量モニタ
311 線量計測データ
32 走査電磁石
34 コリメータ
36 患者
40 加速器制御装置
401 運転制御データ
402 モジュールデータ
403 補正データ
41 統括制御装置
42 記憶装置
43 治療計画装置
431 治療計画情報
44 照射制御装置
441 出射制御許可信号
442 線量満了信号
443 エネルギー変更要求信号
444 出射制御停止信号
45 電源制御装置
451 メモリ
452 シーケンス制御回路
453 制御電流関数演算回路
454 制御電流演算回路
455 制御電流出力回路
456 機器状態監視回路
457 制御電流値
458 機器状態信号
459 電源制御機器状態信号
46 電源
50 タイミングシステム
51 モジュール制御時間
52 タイミング信号
521 加速制御開始タイミング信号
522 加速制御終了タイミング信号
523 エネルギー変更制御開始タイミング信号
524 エネルギー変更制御終了タイミング信号
525 減速制御開始タイミング信号
526 減速制御終了タイミング信号
60 インターロックシステム
61 インターロック信号
610 加速開始指令
611 エネルギー変更指令
612 減速制御指令
613 照射完了指令
614 出射制御停止指令
70 補正テーブルデータ
71 照射条件

Claims (7)

  1. イオンビームを加速して出射するシンクロトロンと、
    前記シンクロトロンから出射された前記イオンビームを照射装置に輸送するビーム輸送装置と、前記ビーム輸送装置にて輸送された前記イオンビームを照射する照射装置と、を備えた粒子線照射システムにおいて、
    前記シンクロトロンおよび/または前記ビーム輸送装置を構成する機器の運転制御データを、複数の制御区間に対応した複数のモジュールデータの組合せで構成し、かつ照射エネルギーと多段出射制御運転時に初期加速制御での照射エネルギーを初段とした際の照射段数で表される、前記シンクロトロンおよび/または前記ビーム輸送装置を構成する機器の多段出射制御運転時の磁場履歴を考慮した残留磁場の補正テーブルデータから取得した補正データを用いて前記複数のモジュールデータを補正し、この補正した複数のモジュールデータに基づいて電源制御指令値を前記シンクロトロンおよび/または前記ビーム輸送装置を構成する機器に逐次出力する制御装置を備え、
    前記モジュールデータは、制御開始値、制御終了値、前記制御開始値と前記制御終了値を接続する演算関数を含み、
    前記制御装置は、
    前記補正データに基づいて前記制御開始値および前記制御終了値を補正し、補正した制御開始値および制御終了値と前記演算関数とに基づいて前記電源制御指令値を演算して逐次出力することを特徴とする粒子線照射システム。
  2. 請求項1記載の粒子線照射システムにおいて、
    前記複数のモジュールデータは、入射エネルギーから初段の照射エネルギーまで加速する初期加速データと、複数のエネルギーのイオンビームを出射するためにエネルギーを変更する複数のエネルギー変更データと、ビームの照射を終了し、入射エネルギーまで減速する減速データを含み、それぞれのモジュールデータは、制御開始値、制御終了値、前記制御開始値と前記制御終了値を接続する演算関数で構成されており、
    前記制御装置は、
    前記補正データに基づいて前記制御開始値および前記制御終了値を補正し、補正した制御開始値および制御終了値と前記演算関数とに基づいて前記電源制御指令値を逐次生成し出力することを特徴とする粒子線照射システム。
  3. 請求項1記載の粒子線照射システムにおいて、
    前記制御装置は、
    前記粒子線照射システムを統括的に制御する統括制御装置と、
    前記シンクロトロンおよび前記ビーム輸送装置を構成する機器を統括的に制御する加速器制御装置と、
    前記シンクロトロンおよび前記ビーム輸送装置を構成する機器を個別に制御する電源制御装置と、
    前記粒子線照射システムを構成する機器の制御タイミングを管理する複数の制御タイミング信号を出力するタイミングシステムとを有し、
    前記運転制御データを構成する前記複数のモジュールデータは、前記加速器制御装置に記憶されており、
    前記加速器制御装置は、前記統括制御装置から設定される照射条件に基づき、前記複数のモジュールデータと前記複数のモジュールデータの制御タイミング情報の組み合わせにより前記運転制御データを構築し、これと並行して、前記補正テーブルデータから前記複数のモジュールデータに該当する制御補正値を前記補正データとして選択し、これらの運転制御データと補正データを前記電源制御装置に設定しておき、
    前記電源制御装置は、前記タイミングシステムから出力される前記複数の制御タイミング信号を入力し、これらの制御タイミング信号に基づき前記複数のモジュールデータの中から該当するモジュールデータを選択し、選択したモジュールデータを前記補正データで補正して前記電源制御指令値を更新することを特徴とする粒子線照射システム。
  4. 請求項3記載の粒子線照射システムにおいて、
    前記制御装置は、
    前記シンクロトロンでのビームの加速制御を開始させる加速開始指令と、患者に照射されたイオンビームの照射経過情報に基づき出力されるエネルギー変更指令と、シンクロトロンで一回の運転周期内でのビーム出射制御を完了後に次の運転周期に遷移するための減速制御指令と、粒子線照射システムを構成する機器の異常等によるビーム照射を停止する出射制御停止指令と、照射を完了したことを示す照射完了指令を出力するインターロックシステムを更に有し、
    前記タイミングシステムは、前記インターロックシステムから出力される加速開始指令、エネルギー変更指令および減速制御指令に基づき、前記制御タイミング信号を出力することを特徴とする粒子線照射システム。
  5. 請求項3記載の粒子線照射システムにおいて、
    前記加速器制御装置は、
    制御区間毎に用意される前記モジュールデータの制御開始値と制御終了値に該当する制御補正値を前記補正データとして前記補正テーブルデータからそれぞれ選択し、この補正データに基づいて前記制御開始値および制御終了値を補正することを特徴とする粒子線照射システム。
  6. イオンビームを加速して出射するシンクロトロンと、前記シンクロトロンから出射された前記イオンビームを照射装置に輸送するビーム輸送装置と、前記ビーム輸送装置により輸送されたビームを照射する照射装置とを備えた粒子線照射システムの運転方法であって、
    前記粒子線照射システムを構成する機器の運転制御データを、複数の制御区間に対応した複数のモジュールデータの組合せで構成し、前記モジュールデータは、制御開始値、制御終了値、前記制御開始値と前記制御終了値を接続する演算関数を含み、
    さらに前記運転制御データとは別に、照射エネルギーと、多段出射制御運転時に初期加速制御での照射エネルギーを初段とした際の照射段数で表される、前記粒子線照射システムを構成する機器の多段出射制御運転時の磁場履歴を考慮した残留磁場の補正テーブルデータを用意し、この補正テーブルデータから取得した補正データに基づいて前記制御開始値および前記制御終了値を補正し、補正した制御開始値および制御終了値と前記演算関数とに基づいて前記シンクロトロンおよび/または前記ビーム輸送装置を構成する機器の電源制御指令値を演算して逐次出力する粒子線照射システムの運転方法。
  7. 請求項6記載の粒子線照射システムの運転方法において、
    前記複数のモジュールデータは、入射エネルギーから初段の照射エネルギーまで加速する初期加速データと、複数のエネルギーのイオンビームを出射するためにエネルギーを変更する複数のエネルギー変更データおよび、入射エネルギーまで減速する減速データを含み、それぞれのモジュールデータは、制御開始値、制御終了値、前記制御開始値と前記制御終了値を接続する演算関数で構成されており、
    前記補正データに基づいて前記制御開始値および前記制御終了値を補正し、補正した制御開始値および制御終了値と前記演算関数とに基づいて前記電源制御指令値を逐次生成し出力することを特徴とする粒子線照射システムの運転方法。
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