JP2014022222A - 粒子線照射システムとその運転方法 - Google Patents

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聡 遠竹
Koji Tobinaga
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Tomohisa Imagawa
知久 今川
Seiji Yoshiura
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Megumi Takeda
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Abstract

【課題】出射ビームエネルギーの変更制御とともに運転周期の更新を短時間で実現する粒子線照射システムを提供する。
【解決手段】シンクロトロン13を構成する機器の制御データを、それぞれ、一回の運転周期で複数のエネルギーのビーム出射制御を行うための運転制御データ70と、複数のエネルギーのビーム出射制御に対応した複数の減速制御データ73a,73b,73cとで構成し、運転制御データを用いて複数の機器を制御することで複数のエネルギーのビームの出射制御を行いかつ、複数のエネルギーのビーム出射制御に対応した複数の減速制御データを有することで、どの出射エネルギーからも速やかに減速制御へ遷移可能とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、陽子や重イオンなどの荷電粒子ビーム(イオンビーム)を利用した粒子線治療に好適な粒子線照射システムに関し、ビームエネルギーの変更制御と運転周期の更新を短時間で実現可能な粒子線照射システムとその運転方法に関する。
がんの放射線治療として、陽子または重イオン等のイオンビームを患者のがんの患部に照射して治療する粒子線治療が知られている。イオンビーム照射法として、非特許文献1に開示されているような、スキャニング照射法がある。
また、スキャニング照射法で要求されるビームエネルギーの変更制御をイオンビーム発生装置としてシンクロトロンを採用した場合に短時間で実現する制御法として、特許文献1、特許文献2および、非特許文献2に開示されているような、イオンシンクロトロンで一回の運転周期内で複数のエネルギーのイオンビームの照射を実現する多段出射制御運転がある。
特許第4873563号公報 特開2011−124149号公報
レビュー オブ サイエンティフィック インスツルメンツ 64巻8号(1993年8月)の第2084〜2090頁(REVIEW OF SCIENTIFIC INSTRUMENTS VOLUME 64 NUMBER 8 (AUGUST 1993) P2074-2093) ニュークリア インスツルメンツ アンド メソッズ イン フィジックス リサーチ A624号(2010年9月)の第33〜38頁(Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A624 (2010) 33?38)
スキャニング照射法において、患部の深さ方向の照射野(以下、レイヤーと記載)への照射制御は、照射するイオンビームのエネルギーを制御することで実現する。そのため、スキャニング照射法を適用した際の線量率を向上するためには、イオンビーム発生装置から供給するイオンビームのエネルギー変更は短時間で実現する必要がある。
イオンビーム発生装置としてシンクロトロンを採用した場合、入射・加速・出射・減速といった一連の運転を一回の運転周期として制御する。スキャニング照射法のように、イオンビームのエネルギー変更制御を繰り返し実施する際には、シンクロトロンは運転周期の更新が必要なため、エネルギーの変更時間が掛かる課題があった。この対策として特許文献1および非特許文献2に示されるような一回の運転周期内で複数のエネルギーのビームを出射する多段出射運転が示されている。しかし、特許文献1および非特許文献2に示されている運転制御を実施した際、予め設定した複数の出射エネルギー範囲の途中のエネルギーでの照射中にシンクロトロン内に蓄積したイオンビームの枯渇等が生じた場合には、運転制御データの連続性を担保するため、当該出射エネルギーから減速制御に直接遷移できず、当該出射エネルギーから減速制御に至る間のエネルギー変更制御データを更新しなければ減速制御に遷移できない課題があり、線量率を向上する際の妨げとなっていた。また、粒子線治療装置を構成する機器に異常が生じた場合にも同様に、当該運転制御データから減速制御に直接遷移できない課題があった。
特許文献2では、加速器の磁場コイルに励磁するコイル電流に関して、経過時間に応じた磁束密度情報を出力する磁場基準発生部と、磁束密度情報に応じた磁場を発生させるコイル電流を求める電流基準変換部とを備えた加速器の制御装置が示されている。そして、磁場基準発生部が出力する磁束密度情報を4種類のパターン(初期上げパターン、減少パターン、増加パターン、終了パターン)を組み合わせて出力することで、一回の運転周期内で複数エネルギーのビーム出射を実現する制御方法が示されている。特許文献2によると、4種類の磁束密度パターンを組み合わせ、一回の運転周期内で複数エネルギーのイオンビームの出射が可能であるが、一方で、4種類のパターンを選択し出力するタイミングは予めタイミング制御装置に書き込んでおくため、特許文献1および非特許文献2と同様に、当該出射エネルギーから減速制御に直接遷移できず、当該出射エネルギーから減速制御に至る間のエネルギー変更制御データを更新しなければ減速制御に遷移できない課題がある。そのため、特許文献2においても、非特許文献2で課題とされているシンクロトロンの運転周期の更新に時間が掛かる課題に対しては何も言及されていない。
本発明の目的は、出射ビームエネルギーの変更制御とともに運転周期の更新を短時間で実現する粒子線照射システムおよびその運転方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、イオンシンクロトロンを構成する機器の制御データを、それぞれ、一回の運転周期で複数のエネルギーのビーム出射制御を行うための運転制御データと、複数のエネルギーのビーム出射制御に対応した複数の減速制御データで構成する。そして運転制御データを用いて複数の機器を制御することで複数のエネルギーのビームの出射制御を行いかつ、複数のエネルギーのビーム出射制御に対応した複数の減速制御データを有することで、どの出射エネルギーからも速やかに減速制御へ遷移可能とする。これにより出射ビームエネルギーの変更制御とともに運転周期の更新を短時間で実現する。
より詳しくいうと、上記の運転制御データは、所定の出射エネルギーまでビームを加速する複数の加速制御部と、出射エネルギーまで加速したビームを出射する複数の出射制御部と、出射エネルギーから入射エネルギーまで減速する減速制御部から構成されている。また、運転制御データと合わせて用意する複数の減速制御データは、運転制御データを構成する出射制御部のそれぞれの出射エネルギーに対応した値を初期値とし、入射エネルギーに対応した値を最終値として構成される。運転制御データにおける減速制御部は省略し、全ての減速制御部のデータを、運転制御データと合わせて用意する複数の減速制御データ側にまとめてもよい。
これらの制御データは、イオンシンクロトロンを構成する機器の電源制御装置にそれぞれ記憶しておく。これらの電源制御装置には、イオンシンクロトロンを構成する機器の制御タイミングを管理する制御タイミング信号が入力され、この制御タイミング信号に基づき、シンクロトロンでのビーム加速、減速制御に対応した運転制御データの各部の切り替え制御を実施する。
制御タイミング信号は、タイミングシステムから出力される。タイミングシステムには運転制御データと同期した出力を可能とするタイミングデータが記憶されている。タイミングシステムには、インターロックシステムから出力される、患者へのイオンビームの照射を許可する出射許可指令と、患者に照射されたイオンビームの照射経過情報に基づき出力されるエネルギー変更指令と、粒子線治療装置を構成する機器の状態に基づき出力される減速制御指令および、照射を完了したことを示す照射完了指令が入力され、タイミングシステムは、これらの信号に基づき、運転制御データの加速制御部もしくは減速制御部の運転制御データを切り替えるタイミング信号を出力する機能を備える。また、粒子線治療装置を構成する機器に異常が生じた場合にも、インターロックシステムより減速制御指令が出力された場合、タイミングシステムおよび電源制御装置は、現在更新している制御データを更新した後、この更新制御終了後の到達エネルギーに対応する減速制御データを選択し、減速制御に遷移する制御を実施する。これにより運転周期の更新を短時間でかつ安全に実現する粒子線照射システムおよびその運転方法を提供できる。
本発明によれば、ビームエネルギーの変更制御と運転周期の更新を短時間で実現可能な粒子線照射システムを提供できる。
本発明の実施例である粒子線照射システムの構成を示す図である。 本発明の実施例であるスキャニング照射装置の構成を示す図である。 本発明の実施例である制御データの構成を示す図である。 本発明の実施例である制御装置間のデータ伝送フローを示す図である。 本発明の実施例である多段出射制御時の照射準備フローを示す図である。 本発明の実施例である多段出射制御時の運転制御フローを示す図である。 本発明の実施例である多段出射運転時の制御データの出力例を示す図である。 本発明の実施例である多段出射運転時の制御データの出力例を示す図である。 従来の運転シーケンスを示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の好適な一実施例である粒子線照射システムの構成を示す図である。
本実施例の粒子線照射システム1は、図1に示すように、イオンビーム発生装置11、ビーム輸送装置14、照射野形成装置(荷電粒子ビームの照射装置、以下、照射装置という)30を備え、ビーム輸送装置14が、イオンビーム発生装置11と治療室内に配置される照射装置30を連絡する。
イオンビーム発生装置11は、イオン源(図示せず)、前段加速器12およびシンクロトロン13を備える。イオン源は前段加速器12に接続され、前段加速器12はシンクロトロン13に接続される。前段加速器12は、イオン源で発生したイオンビーム10をシンクロトロン13に入射可能なエネルギーまで加速する。前段加速器12で加速されたイオンビーム10aは、シンクロトロン13に入射される。
シンクロトロン13は、周回軌道に沿って周回するイオンビーム10bに高周波電圧を印加して目標のエネルギーまで加速する高周波加速装置(加速空胴)17、周回しているイオンビームのベータトロン振動振幅を増大させる出射用高周波電極20a、およびイオンビームを周回軌道から取り出す出射用デフレクター20bを備える。
シンクロトロン13に入射されたビーム10bは、高周波加速空胴17に印加した加速高周波電圧によりエネルギーを付与されることで、所望のエネルギーまで加速する。この際、シンクロトロン13内を周回するイオンビーム10bの周回軌道が一定となるように、イオンビーム10bの周回エネルギーの増加に合わせて偏向電磁石18、四極電磁石19等の磁場強度および、加速空胴17に印加する高周波電圧の周波数を高める。
所望のエネルギーまで加速したイオンビーム10bは、出射条件設定制御により、四極電磁石19および六極電磁石(図示せず)の励磁量を制御することで周回ビーム10bが出射可能な条件(周回ビームの安定限界条件)を成立させる。出射条件設定制御が終了後、出射用高周波電極20aに出射高周波電圧を印加し、シンクロトロン13内を周回するビーム10bのベータトロン振動振幅を増大させる。このベータトロン振動振幅の増大により、安定限界条件を超えた周回ビーム10bはシンクロトロン13からビーム輸送装置14に出射され、照射装置30に輸送される。シンクロトロン13からのビーム出射制御は、出射用高周波電極20aに印加する高周波電圧のON/OFF制御することで高速に実現可能である。
シンクロトロン13からのビーム出射制御が終了後、出射条件解除制御により、四極電磁石19および六極電磁石(図示せず)の励磁量を制御することで出射条件設定時に形成した周回ビーム10bの安定限界条件を解除する。
出射条件解除制御が完了後、偏向電磁石18、四極電磁石19等の磁場強度および、加速空胴17に印加する高周波電圧の周波数を下げることで、シンクロトロン13内を周回するイオンビーム10bを減速し、次の運転周期に遷移する。
照射装置30は、上記ビーム輸送装置14にて導かれたイオンビーム10cを、患者36の体表面からの深さおよび患部形状に合わせて制御して、治療用ベッド上の患者36の患部37に照射する。照射法としてスキャニング照射法(非特許文献1の2086頁、図45)があり、照射装置30はスキャニング照射法によるものである。スキャニング照射法は、直接患部37にイオンビーム10dを照射するためイオンビーム10dの利用効率が高く、従来の散乱体照射法よりも患部形状に合致したイオンビーム10dの照射が可能といった特徴がある。
患部の深さ方向へのビーム飛程調整は、イオンビームのエネルギーを変更することで所望の患部への照射を実現する。特にスキャニング照射法では、シンクロトロン13内を周回するイオンビーム10bのエネルギーを調整した後で出射することで、イオンビームの飛程を患部36の深さに合わせるため、患者への照射治療中に複数回のエネルギーの変更制御が要求される。また、患部平面方向へのビーム照射方法として、スポットスキャニング照射法、ラスタースキャニング照射法などがある。スポットスキャニング照射法は、患部の照射平面上をスポットと呼ばれる線量管理領域に分割し、スポット毎に走査を停止して設定した照射線量に到達するまでビームを照射した後にビームを停止し、次の照射スポット位置に移動する。このようにスポットスキャニング照射法は、照射開始位置をスポット毎に更新する照射法である。また、ラスタースキャニング照射法は、スポットスキャニング照射法と同様に線量管理領域を設定するが、スポット毎にビーム走査を停止せず、ビームを走査経路上を走査しながら照射する。そのため、一回当たりの照射線量を低くし、複数回繰り返し照射するリペイント照射を実施することで照射線量の一様度を向上する。このようにラスタースキャニング照射法は、照射開始位置を走査経路毎に更新する照射法である。なお、スポットスキャニング法においても、ラスタースキャニング法と同様に、一つのスポット位置に対する一度の照射で与える照射線量を低く設定し、照射平面を複数回走査することによって、最終的な照射線量に到達するように制御してもよい。
図2に照射装置の構成を示す。 照射装置30は走査電磁石32a,32bを有し、患部平面上を患部形状に合わせて走査電磁石32a,32bでビームを走査する。また、照射装置30は、患者に照射するビーム10dの照射線量を計測する線量モニタ31やビーム形状モニタ(図示せず)を有し、これらで照射するビーム10dの線量強度やビーム形状を逐次確認する。走査電磁石32で走査されたビーム10dは、コリメータ34で患者36の患部形状37に合わせて照射野を形成する。
図1に戻り、本実施例の粒子線照射システム1は制御システム100(制御装置)を備えている。制御システム100は、イオンビーム発生装置11およびビーム輸送装置14を制御する加速器制御装置40、粒子線照射システム1全体を統括して制御する統括制御装置41、患者へのビーム照射条件を計画する治療計画装置43、治療計画装置43で計画した情報やイオンビーム発生装置であるシンクロトロン13およびビーム輸送装置14の制御情報等を記憶する記憶装置42、照射装置30を構成する機器と患部37に照射するイオンビーム10dの照射線量を制御する照射制御装置44、シンクロトロン13を構成する機器の同期制御を実現するタイミングシステム50、患者36の安全を担保するために統括制御装置41とは独立したインターロックシステム60、シンクロトロン13を構成する各機器の電源46を制御する電源制御装置45から構成される。記憶装置42は統括制御装置41の一部として統括制御装置41に備えられていてもよい。
電源46はシンクロトロン13を構成する複数の機器の電源の総称であり、図1には複数の機器の電源として偏向電磁石18の電源46B、四極電磁石19の電源46Q、高周波加速空洞17の電源46Fが示されている。電源制御装置45も同様に複数の機器の電源に対応する複数の電源制御装置の総称であり、図1には電源46Bの制御装置45B,電源46Qの制御装置45Q,電源46Fの制御装置45Fが示されている。
ここで、各文献の記載を用いながら本発明者等が検討した事項について説明する。従来のシンクロトロン13の運転シーケンスを図8に示す。シンクロトロン13は、一回の運転周期で加速・出射・減速という一連の制御を実施する。出射制御の前後には、出射条件設定および出射条件解除といった、シンクロトロン内のイオンビームを出射するために必要な出射条件設定制御と、出射制御終了後の出射条件解除制御が必要である。
従来のシンクロトロン13の運転制御では、一連の制御に合わせた制御データをパターンデータとして電源制御装置45のメモリに用意しておき、電源制御装置45は、シンクロトロン13を構成する機器の制御タイミングを管理するタイミングシステム50から出力されるタイミング信号51に基づき、制御データを更新する。
図8に示したように、シンクロトロン13は一回の運転周期で、加速から減速までを制御しているため、出射するイオンビーム10cのエネルギーを変更するには、出射制御終了後に減速制御に遷移し残存ビームを減速した後、運転周期を更新する。運転周期を更新し再びイオンビーム10bを加速することで、所望のエネルギーへの変更制御を実現する。そのため、従来のシンクロトロン13の運転制御ではイオンビーム10bのエネルギー変更時間には、ほぼ一回の運転周期と同じ時間が掛かるため、治療時間が長くなり、線量率を向上していく上での課題であった。
特許文献1には、一回の運転周期内で複数のエネルギーのイオンビームの出射を実現する、イオンシンクロトロンの多段出射制御運転について示されている。このような多段出射制御運転により、スキャニング照射法でのエネルギー変更時間の短縮が実現できる。
また、非特許文献2には、イオンシンクロトロンより出射する複数のエネルギーに対応して、エネルギー変更制御と出射制御からなる階段状の運転制御データ(非特許文献2の34頁、図2)を予め用意しておき、出射するイオンビームエネルギーに対応した出射制御部の運転制御データの平坦部を延長する運転(非特許文献2の35頁、図3)が示されている。
非特許文献2に記載されているように、複数のエネルギーの出射が可能な運転制御データをパターンデータとして予め用意する制御を適用した場合、全ての照射を完了するために必要なイオンビーム量がシンクロトロンに蓄積されている場合には、一回の運転周期で全てのエネルギーの照射が完了できる効果があるが、全ての照射を完了するために必要なイオンビーム量がシンクロトロンに蓄積されていない場合には、イオンビーム量が枯渇した時点で減速制御を実施した後に、運転周期を更新してイオンビーム10bの入射と加速を再度実施する必要がある。この際、イオンビームが枯渇したエネルギーの出射制御から減速制御に遷移するには、運転制御データの連続性を考慮する必要があるため、イオンビーム10bが枯渇したエネルギーよりも後段に記憶されている全てのエネルギー変更制御の運転制御データを更新する必要があり、当該運転制御データから減速制御に直接遷移できない。そのため、シンクロトロン13の運転周期の更新には時間が掛かる課題がある。粒子線照射システム1を構成する機器に異常が生じた場合にも、同様に、当該運転制御データから減速制御に直接遷移できない課題があった。
特許文献2では、加速器の磁場コイルに励磁するコイル電流に関して、経過時間に応じた磁束密度情報を出力する磁場基準発生部と、磁束密度情報に応じた磁場を発生させるコイル電流を求める電流基準変換部とを備えた加速器の制御装置が示されており、このうち、磁場基準発生部が出力する磁束密度情報を4種類のパターン(初期上げパターン、減少パターン、増加パターン、終了パターン)を組み合わせて出力することで、一回の運転周期内で複数エネルギーのビーム出射を実現する制御方法が示されている。特許文献2によると、4種類の磁束密度パターンを組み合わせ、一回の運転周期内で複数エネルギーのイオンビームの出射が可能であるが、一方で、電流基準変換器が逐次、偏向電磁石および四極電磁石の励磁電流を逐次演算しながら出力するため、パターンを変更する度に演算パラメータの変更が必要となるため、機器構成および制御手段が複雑となる課題がある。また、特許文献2においても、非特許文献2で課題とされているシンクロトロンの運転周期の更新に時間が掛かる課題に対しては何も言及されていない。
本発明は、イオンシンクロトロンにおいて一回の運転周期内で複数エネルギーのイオンビームを出射可能とする多段出射制御運転に関するものであり、本発明により、ビームエネルギーの変更制御と運転周期の更新を短時間で実現可能なイオンシンクロトロンを提供できる。以下にその詳細を説明する。
まず、本実施例の特徴である、多段出射運転時の制御データ構造と、この制御データを用いた運転シーケンスについて、図3から図7Aおよび図7Bを用いながら説明する。
図3は、シンクロトロンを構成する複数の機器の制御データの構成を示す図であり、機器の制御データの代表例として、偏向電磁石18の励磁電流を示している。実際には、非特許文献2に示されているように、照射するビームのエネルギー数に対応した段数のデータが用意されているが、本実施例では3段で説明している。また、本実施例では低いエネルギーから高いエネルギーに順次ビームを照射するような運転制御データを示しているが、高いエネルギーから低いエネルギーに順次ビームを照射する場合でも同様の効果が得られる。
図4は、本実施例の特徴である多段出射運転を実現する制御システム100(制御装置)の構成と各装置間の情報伝送を示す図である。図5は、多段出射運転を開始する前の照射準備フローを示す図である。図6は、多段出射運転時の制御フローを示す図である。図7Aおよび図7Bは、図3に示した制御データの組み合わせによる多段出射運転時の制御データの出力例を示している。
図3に示すように、シンクロトロンを構成する複数の機器(図示の例では偏向電磁石18)の制御データは、それぞれ、一回の運転周期で複数のエネルギーのビーム出射制御を行うための運転制御データ70と、複数のエネルギーのビーム出射制御に対応した複数の減速制御データ73a、73bとで構成され、運転制御データ70を用いて機器図示の例では偏向電磁石18)を制御することで複数のエネルギーのビームの出射制御を行いかつ、複数のエネルギーのビーム出射制御に対応した複数の減速制御データ73a、73bを有することで、どの出射エネルギーからも速やかに減速制御へ遷移可能となっている。
運転制御データ70は、複数の加速制御データ(加速制御部)71a〜71c(以下適宜71で代表する)と、複数の出射制御データ(出射制御部)72a〜72c(以下適宜72で代表する)および、減速制御データ(減速制御部)73c(以下適宜73で代表する)から構成される。また、運転制御データ70を構成する複数の出射制御データに対応して、複数の減速制御データ73a、73b(以下適宜73で代表する)を設ける。これらの制御データ71〜73は、それぞれ、対応する機器に直接与えられる制御量である電流/電圧の時系列データとして用意する。例えば、偏向電磁石18の制御データであれば、所定の偏向磁場強度を発生する際に必要な偏向電磁石電源46Bに設定する励磁電流と電圧(図示せず)の時系列データで構成される。多段出射運転を実現するための運転制御データ70としては、想定される複数の患者の照射条件に対応して照射エネルギーの組合せが異なるものが複数用意され、これらの運転制御データ70は、対応する複数の減速制御データ73とともに記憶装置42に予め記憶されている。図3に示す運転制御データ70と減速制御データ73a、73bは、記憶装置42に記憶されたそれらの制御データの中から特定の患者の照射条件に応じて選択され、電源制御装置45に記憶されたものである。
なお、運転制御データ70は加速制御部71と出射制御部72で構成し、減速制御データ73は、シンクロトロンから出射可能でかつ想定される複数の患者の照射条件を満たす全てのエネルギーに対応した個々の減速制御データをまとめて1組の減速制御データ73として管理する構成でも構わない。この場合、想定される複数の患者の照射条件に対応した全ての運転制御データ70のみ記憶装置42に予め記憶し、減速制御データ73は全てのものを電源制御装置45に予め記憶しておくことで、患者の照射条件に応じて運転制御データ70のみ逐次記憶装置42から選択して電源制御装置45に記憶することで照射が可能となり、患者の照射毎に管理する運転制御データの管理が容易になる。また、減速制御データ73は予め電源制御装置45に記憶しておくことで、患者の照射条件に合わせて制御装置間を伝送する運転制御データの容量が削減でき、照射準備に際しての運転制御データの更新時間も短縮できる。
また、これらの運転制御データ70は、それぞれタイミングシステム50から電源制御装置45に出力されるタイミング信号51にそれぞれ関連付けられている。本実施例のタイミング信号51は、加速制御タイミング信号511、出射制御タイミング信号512、減速制御開始タイミング信号513、減速終了タイミング信号514から構成されている。電源制御装置45にタイミング信号51が入力されると、電源制御装置45は、タイミング信号51に関連付けられた制御データ71〜73を選択し、選択した制御データ71〜73の初期アドレスからデータの更新制御を開始する。
図3において、加速制御タイミング信号511の入力により、入射エネルギー(Einj)から初段の出射エネルギー(Ea)まで加速制御データ71aの更新制御が行われ、ビームが加速される。出射制御タイミング信号512の入力により、出射制御データ72aの更新制御が行われるとともに、出射用高周波電極20aに出射用高周波電圧の印加処理74が行われることで、ビーム出射制御を実施する。照射制御装置44は、出射制御中の照射線量311を逐次計測し、計測結果に基づき線量満了信号442を出力し、出射制御を終了する。照射制御装置44は、出射制御終了時の蓄積ビーム電荷量と次の照射エネルギーの有無に応じて、タイミングシステム50が加速制御タイミング信号511を出力して次の加速制御データに遷移(72aから71bに遷移)するか、タイミングシステム50が減速制御開始タイミング信号513を出力して減速制御データに遷移(72aから73aに遷移)するかを判断する。このような制御を実現するため、運転制御データ70は、出射制御データ72の終了値と次の照射エネルギーに加速する加速制御データ71の開始値(例えば、図3の72aの終了値と71bの開始値)および、出射制御データ72の終了値と入射エネルギーまで減速する減速制御データ73の開始値(例えば、図3の72aの終了値と73aの開始値)は連続的に接続できるように同じ値としておく。このような制御を実現することで、タイミング信号51の入力に応じた制御データの変更と更新が容易に実現できる。
また、上記多段出射運転を実施する際は、インターロックシステム60は、照射制御装置44から出力されるエネルギー変更要求信号443、減速制御要求信号444、照射完了信号445および、電源制御装置45から出力される機器の健全性を示すステータス情報452に基づきインターロック信号61を出力する。このインターロック信号61にはエネルギー変更指令611、照射完了指令612および減速制御指令613が含まれる。タイミングシステム50は、インターロックシステム60から出力されるエネルギー変更指令611に基づき加速制御タイミング信号511を出力し、かつ照射完了指令612および減速制御指令613に基づき減速制御開始タイミング信号513を出力する。電源制御装置45は、加速制御タイミング信号511に基づき、運転制御データ70に含まれる加速制御データ71を更新制御し、かつ減速制御開始タイミング信号513に基づき、複数の減速制御データ73a,73b,73cのうち、直前の出射エネルギーに対応する減速制御データを選択し、この減速制御データを更新制御する。
図3に示したシンクロトロンを構成する機器の制御データを用いて多段出射運転を実施する際の照射準備フローについて、図4および図5を併用しながら説明する。
まず、治療計画装置43は、患者の治療に必要な照射条件等を含む治療計画情報431を記憶装置42に登録する。統括制御装置41は、照射条件の設定情報に基づき、記憶装置42から照射条件421を読み込む(801)。統括制御装置41は、照射条件から、照射に必要なエネルギーと各照射線量と照射順序および、照射するエネルギーに対応した運転制御データと、減速制御データが記憶装置42に予め記憶してある場合は減速制御データ(以下単に減速制御データも含めて運転制御データという)を記憶装置42から選択する(802)。
統括制御装置41は、タイミングシステム50に対して、照射に必要なエネルギー情報と照射順序およびこのエネルギーに対応したタイミング信号データ411aを伝送する(803)。
タイミングシステム50は、統括制御装置41から伝送された照射に必要なエネルギー情報と照射順序およびこのエネルギーに対応したタイミング信号データ411aをメモリ内に記憶する(804)。統括制御装置41は同様に、加速器制御装置40および照射制御装置44に対して、照射に必要なエネルギー情報と照射順序およびこのエネルギーに対応した制御データ411b、411cを伝送する(805)。このうち、照射制御装置44に伝送する制御データ411cには、各照射エネルギーの照射順序と目標照射線量が含まれる。
加速器制御装置40は、シンクロトロン13およびビーム輸送装置14を構成する機器の各電源制御装置45に対して、各機器の運転制御データと運転制御データに対応するタイミング信号のデータ401を伝送し(806)、電源制御装置45は、各機器の運転制御データと運転制御データに対応するタイミング信号のデータ401をメモリ内に記憶する(807)。照射制御装置44は、各照射エネルギーの照射順序と目標照射線量をメモリ内に記憶する(808)。
次に、図3に示したシンクロトロンを構成する複数の機器の制御データを用いて多段出射運転を実施する際のビーム出射制御フローについて、図4および図6を用いて説明する。
電源制御装置45は入射エネルギー(Einj)から出射エネルギー(Ea)まで加速制御データ71aを用いてビームを加速し、加速器制御装置40は周回ビーム10bのエネルギーを確認後、インターロックシステム60にエネルギー判定信号402を出力する。インターロックシステム60は、タイミングシステム60に出射制御指令614を出力し、出射制御に遷移する(809)。出射制御では、照射制御装置44の出射制御許可信号441に基づき、出射用高周波電極20aへの高周波信号の印加処理74が行われることで、ビームが出射される(810)。ビームの出射制御中は、照射制御装置44は線量モニタ31で患部への照射線量311を計測し(811)、照射線量311が目標線量に到達(満了)したか逐次判定する(812)。なお、ここで言う目標線量とは、スポットスキャニング法であれば一スポット位置に対して一度の照射で与えるべき線量であり、ラスタースキャニング法であればある走査経路を一度照射するときに与えるべき線量を指す。照射線量311が満了した時点で出射用高周波電極20aへの高周波電圧の印加処理が停止され、ビーム出射制御が停止される(813)。その後、照射制御装置44はレイヤー内の照射が完了しているか確認し(814)、レイヤー内の照射が完了していない場合はビーム照射開始位置を変更し(815)、引き続きビーム制御を継続する。照射制御装置44は次の照射データがあるか判断し(816)、照射データがなければ照射完了信号445をインターロックシステム60に出力し、インターロックシステム60はタイミングシステム50に照射完了指令612を出力する。タイミングシステム50は、減速制御開始タイミング信号513を出力し、電源制御装置45は、現在の出射エネルギーに対応した減速制御データを選択し(821)、減速制御を実施(822)した後、照射制御を終了する(823)。
一方、次の照射データがある場合、照射制御装置44は目標エネルギーを更新した後(817)、シンクロトロン内の蓄積ビーム電荷量151を蓄積ビーム量検出手段15で計測し(818)、照射制御装置44は次のエネルギーのビーム照射に十分な蓄積ビーム電荷量151があるか判定する(819)。蓄積ビーム電荷量151が次のビーム照射に十分な量がある場合、照射制御装置44はエネルギー変更要求信号443をインターロックシステム60に出力し、インターロックシステム60はタイミングシステム50にエネルギー変更指令611を出力する。タイミングシステム50は、加速制御タイミング信号511を出力し、電源制御装置45は、現在の出射エネルギーに対応した加速制御データを選択し、次の照射エネルギーへのビーム加速制御に遷移する(820)。
一方、蓄積ビーム電荷量が不足していると判断された場合、照射制御装置44は減速制御要求信号444をインターロックシステム60に出力し、インターロックシステム60はタイミングシステム50に減速制御指令613を出力する。タイミングシステム50は、減速制御開始タイミング信号513を出力し、電源制御装置45は、現在の出射エネルギーに対応した減速制御データを選択し(821)、減速制御を実施する(822)。減速制御を終了後、運転周期を更新し(824)、ビーム照射を継続する。なお、図6に示した制御フローには明記していないが、ビーム出射制御中にシンクロトロンを構成する機器の電源46および電源制御装置45に異常が生じた際には、各機器の電源制御装置45からインターロックシステム60に対して、機器の異常を示すステータス情報452を伝送する。インターロックシステム60は機器の異常を示すステータス情報452に基づき、タイミングシステム50に減速制御指令613を出力し、速やかに現在の出射エネルギーに対応した減速制御データを用いて減速制御を実施する。
本実施例の特徴である、多段出射運転時の制御データの出力例を図7Aおよび図7Bに示す。図7Aおよび図7Bでは、図3に示した制御データ70を用いた出力例を示しており、一回の運転周期内で出射可能なエネルギー数はEa、Eb、Ecの3種類である。図7Aは、三段(Ea、Eb、Ec)の全てのエネルギーのイオンビームを一回の運転周期で出射制御した場合の偏向電磁石の励磁電流値の変化を示しており、図7Bは、はじめの運転周期で二段(Ea,Eb)のエネルギーのイオンビームを出射した後、蓄積イオンビームが枯渇したため減速制御に遷移して運転周期を更新し、次の運転周期で三段目(Ec)のイオンビームを出射する場合の偏向電磁石の励磁電流値の変化を示している。一般に、偏向電磁石の励磁電流値とビームエネルギーは概ね比例関係にあるため、図7Aおよび図7Bは多段出射運転時のビームエネルギー変化と読むこともできる。
また、スキャニング照射法では、ビームの出射エネルギーが運転周期毎に異なるため、本実施例に示した減速制御データには、磁場履歴を一定に保つため、初期化エネルギー(Einit)まで加速した後、入射エネルギー(Einj)への減速制御を実施している。
まず、図7Aを用いて多段出射制御の出力例について説明する。タイミングシステム50から加速制御タイミング信号511が出力されると、電源制御装置45は、初段の加速制御データ71aを選択し、励磁電流データの更新制御を開始する。加速制御の終了後、加速器制御装置40は周回ビーム10bのエネルギーを確認し、インターロックシステム60にエネルギー判定信号402を出力する。到達エネルギーが目標エネルギーと一致する場合(この場合、到達エネルギーと目標エネルギーはともにEa)、インターロックシステム60は、タイミングシステム50に出射制御指令614を出力する。タイミングシステム50はインターロックシステム60からの出射制御指令614に基づき、出射制御タイミング信号512を出力する。電源制御装置45は、出射制御タイミング信号512に基づき、出射エネルギーEaに対応した出射制御データ72aを更新する。これと並行して照射制御装置44が出射制御許可信号441を出力し、出射用高周波信号の印加処理74が行われることでビームの出射制御が実施される。ビーム出射制御により患部への照射線量が満了すると、照射制御装置44は、出射用制御許可信号441の出力を停止し、出射用高周波信号の印加処理74を停止する。
照射制御装置44は引き続き、次の照射エネルギーの有無とシンクロトロン13内の蓄積ビーム電荷量の計測結果に基づき、インターロックシステム60にエネルギー変更要求信号443を出力する。インターロックシステム60は、タイミングシステム50に対してエネルギー変更指令611を出力し、タイミングシステム50は蓄積ビームを次のエネルギーに加速するため、加速制御タイミング信号511を出力する。電源制御装置45は、この加速制御タイミング信号511に基づき、出射エネルギーEbに対応した加速制御データ71bの更新制御を開始する。加速制御データ71bによるビーム加速が終了後、加速器制御装置40は初段の出射エネルギーEaのビーム出射制御と同様に、目標エネルギーと到達エネルギーの一致を確認し、電源制御装置45は出射エネルギーEbに対応した出射制御データ72bを用いてビームを出射する。
このような制御を繰り返し、出射エネルギーEcのビーム出射を終了後、照射制御装置44は、次の照射エネルギーが無いことを確認し、照射完了信号445をインターロックシステム60に伝送する。インターロックシステム60はタイミングシステム50に対して、次の運転周期の制御が無いことを示す照射完了指令612を伝送する。タイミングシステム50は、減速制御開始タイミング信号513を出力する。電源制御装置45は、この減速制御開始タイミング信号513に基づき、減速制御に遷移する。減速制御では、直前の出射エネルギーEcに対応した減速制御データ73cを選択し、減速制御データ73cの更新制御を開始する。減速制御データ73cは、運転周期毎の磁場履歴を一定に保つため、初期化エネルギー(Einit)まで高めた後に入射エネルギー(Einj)まで減速制御を実施する。タイミングシステム50は、減速制御データ73cの更新の終了と合わせて減速終了タイミング信号514を出力し、照射完了指令612に基づき、照射を完了する。
次に、図7Bに示したように、多段出射運転時に運転周期を更新した場合について説明する。ここでは、図中の符号は図7Aと同一であり、図7Bでの二段目のエネルギーEbの出射制御を終了以降について説明する。
二段目の出射エネルギーEbの出射制御が終了した時点で、照射制御装置44は次の照射データがあることを確認後(817)、シンクロトロン内の蓄積ビーム量151を計測する。この計測結果が、次のビーム出射量を満足することができないと判定されると、照射制御装置44は、減速制御要求信号444をインターロックシステム60に伝送する。インターロックシステム60は、減速制御要求信号444に基づき、タイミングシステム50に対して、減速制御指令613を伝送する。タイミングシステム50は、減速制御指令613の入力に基づき、減速制御開始タイミング信号513を出力する。電源制御装置45は、減速制御開始タイミング信号513により、直前の出射エネルギーEbに対応した減速制御データ73bを選択し、減速制御データ73bの更新制御を開始する。
タイミングシステム50は、減速制御データ73cの更新の終了と合わせて減速終了タイミング信号514を出力した後、次の照射データがあるため、目標エネルギーをEbからEcに変更した上で、運転周期を更新し、加速制御タイミング信号511を出力する。
電源制御装置45は、加速制御タイミング信号511の入力により、加速制御データ71aの更新制御を開始する。加速制御終了後、加速器制御装置40は到達エネルギーと目標エネルギーを比較する。この際、加速制御データ71aでの到達エネルギーはEaである一方、目標エネルギーはEcであるため、出射エネルギーが一致しない(Ea≠Ec)。そのため、照射制御装置44は目標エネルギーと到達エネルギーが一致するまで、出射制御許可信号441を出力せず、出射用高周波信号は印加されない。一方、タイミングシステム50は、出射制御タイミング信号512とエネルギー変更タイミング信号513を目標エネルギーに到達するまで繰り返し出力する。電源制御装置45は、タイミングシステム50からのタイミング信号に基づき、出射制御データ72a、加速制御データ71b、出射制御データ72b、加速制御データ71cを順次更新制御する。到達エネルギーが目標エネルギーEcに一致するまでビームを加速した後、照射制御装置44は出射制御許可信号441を出力し、出射用高周波信号の印加処理74が行われることで、ビームが出射される。ビーム出射制御が終了後、照射制御装置44は次の照射データを確認する。本出力例では、次の照射エネルギーはない(Ecが最終エネルギー)ため、照射制御装置44は照射完了信号445をインターロックシステム60に伝送する。インターロックシステム60はタイミングシステム50に対して、次の運転周期の制御が無いことを示す照射完了指令612を伝送する。タイミングシステム50は、減速制御開始タイミング信号513を出力する。電源制御装置45は、この減速制御開始タイミング信号513に基づき、減速制御に遷移する。減速制御では、直前の出射エネルギーEcに対応した減速制御データ73cを選択し、減速制御データ73cの更新制御を開始する。減速制御データ73cは、運転周期毎の磁場履歴を一定に保つため、初期化エネルギー(Einit)まで高めた後に入射エネルギー(Einj)まで減速制御を実施する。タイミングシステム50は、減速制御データ73cの更新の終了と合わせて減速終了タイミング信号514を出力し、照射完了指令612に基づき、照射を完了する。
本実施例は、以上のように構成したので、ビームエネルギーの変更制御と運転周期の更新を短時間で実現可能な粒子線照射システムを提供できる。
1 粒子線照射システム
10a、10b、10c、10d ビーム
11 イオンビーム発生装置
12 前段加速器
13 シンクロトロン
14 ビーム輸送装置
15 蓄積ビーム量検出手段
151 蓄積ビーム量計測データ
16 高周波電極
17 高周波加速空胴
18 偏向電磁石
19 四極電磁石
20a 出射用高周波電極
20b 出射用デフレクター
30 照射装置
31 線量モニタ
311 線量計測データ
32 走査電磁石
34 コリメータ
36 患者
40 加速器制御装置
401 各機器の制御データ
402 エネルギー判定信号
41 統括制御装置
411 制御データ
412 機器情報データ
42 記憶装置
421 照射情報データ
43 治療計画装置
431 治療計画情報
44 照射制御装置
441 出射制御許可信号
442 線量満了信号
443 エネルギー変更要求信号
444 減速制御要求信号
445 照射完了信号
45 電源制御装置
451 電源制御指令値
452 ステータス情報
46 電源
50 タイミングシステム
51 タイミング信号
511 加速制御タイミング信号
512 出射制御タイミング信号
513 減速制御開始タイミング信号
514 減速終了タイミング信号
60 インターロックシステム
61 インターロック信号
611 エネルギー変更指令
612 照射完了指令
613 減速制御指令
614 出射制御指令
70 運転制御データ
71a、71b、71c 加速制御データ
72a、72b、72c 出射制御データ
73a、73b、73c 減速制御データ
74 出射用高周波電圧の印加処理

Claims (11)

  1. イオンビームを加速して出射するシンクロトロンと、
    前記シンクロトロンから出射された前記イオンビームを照射する照射装置と、を備えた粒子線照射システムにおいて、
    前記シンクロトロンを構成する機器の制御データが、一回の運転周期で複数のエネルギーのビーム出射制御を行うための運転制御データと、前記複数のエネルギーのビーム出射制御に対応した複数の減速制御データとから構成されていて、前記運転制御データを用いて前記機器を制御することで前記複数のエネルギーのビームの出射制御を行いかつ、前記複数の減速制御データを有することで、前記複数のエネルギーのうち、どのエネルギーからも速やかに減速制御へ遷移可能とする制御装置を備えることを特徴とする粒子線照射システム。
  2. 請求項1記載の粒子線照射システムにおいて、
    前記運転制御データは、前記複数のエネルギーのビーム出射制御に対応して、所定の出射エネルギーまでビームを加速する複数の加速制御部と、前記所定の出射エネルギーまで加速したビームを出射する複数の出射制御部とを有し、前記複数の減速制御データは、前記運転制御データを構成する前記複数の出射制御部のそれぞれの出射エネルギーに対応した値を初期値とし、入射エネルギーに対応した値を最終値として構成されていることを特徴とする粒子線照射システム。
  3. 請求項1記載の粒子線照射システムにおいて、
    前記制御装置は、あるエネルギーでの出射制御から減速制御に遷移するとき、現在更新している制御データを更新した後に、直前の出射エネルギーに対応する減速制御データを選択し、減速制御に遷移することを特徴とする粒子線照射システム。
  4. 請求項3記載の粒子線照射システムにおいて、
    前記制御装置は、前記複数のエネルギーのうち、あるエネルギーでのビーム出射制御を終えた後に、次の照射データがある場合は目標エネルギーの更新制御へ遷移し、前記次の照射データがない場合は減速制御へ遷移することを特徴とする粒子線照射システム。
  5. 請求項3又は4記載の粒子線照射システムにおいて、
    前記制御装置は、前記複数のエネルギーのうち、あるエネルギーでのビーム出射制御を終えかつ次の照射データがある場合に、前記シンクロトロン内を周回している蓄積ビーム電荷量が前記次の照射データに従ったビーム照射を実行するために十分であれば次のエネルギーでの加速制御へ遷移し、前記蓄積ビーム電荷量が前記次の照射データに従ったビーム照射を実行するために不足していれば減速制御へ遷移することを特徴とする粒子線照射システム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の粒子線照射システムにおいて、
    前記運転制御データおよび前記複数の減速制御データは、前記シンクロトロンを構成する機器に直接与えられる制御量である電流/電圧の時系列データによって構成されていることを特徴とする粒子線照射システム。
  7. 請求項1記載の粒子線照射システムにおいて、
    前記制御装置は、
    前記照射装置でのイオンビームのビーム走査と照射線量を管理する照射制御装置と、
    前記シンクロトロンを構成する機器の状態信号に基づいてインターロック信号を出力するインターロックシステムと、
    前記シンクロトロンを構成する機器の運転制御を統括する制御タイミング信号を出力するタイミングシステムと、
    前記シンクロトロンを構成する機器を制御する電源制御装置とを有し、
    前記インターロックシステムは、前記照射制御装置から出力されるエネルギー変更要求信号、減速制御要求信号および照射完了信号に基づきエネルギー変更指令、減速制御指令および照射完了指令を出力し、
    前記タイミングシステムは、前記インターロックシステムから出力される前記エネルギー変更指令に基づき加速制御タイミング信号を出力し、かつ前記減速制御指令および照射完了指令に基づき減速制御開始タイミング信号を出力し、
    前記制御データは、前記電源制御装置に用意されており、
    前記電源制御装置は、前記加速制御タイミング信号に基づき、前記運転制御データに含まれる加速制御データを更新制御し、かつ前記減速制御開始タイミング信号に基づき、前記複数の減速制御データのうち、直前の出射エネルギーに対応する減速制御データを選択し、この減速制御データを更新制御することを特徴とする粒子線照射システム。
  8. 請求項1記載の粒子線照射システムにおいて、
    前記制御装置は、
    前記運転制御データとして、想定される複数の患者の照射条件に対応したものを全て予め記憶した記憶装置と、
    前記シンクロトロンを構成する機器を制御する電源制御装置であって、前記減速制御データとして、想定される複数の患者の照射条件に対応したものを全て予め記憶した電源制御装置とを有し、
    前記制御装置は、照射準備に際して、特定の患者の照射条件が与えられたとき、その照射条件に対応する運転制御データを前記記憶装置から選択して前記電源制御装置に記憶することで、その運転制御データと、前記電源制御装置に予め記憶した前記減速制御データとを用いて前記シンクロトロンを構成する機器の制御データを構築することを特徴とする粒子線照射システム。
  9. イオンビームを加速して出射するシンクロトロンと、
    前記シンクロトロンから出射された前記イオンビームのエネルギーを変更しながら照射する照射装置とを備えた粒子線照射システムの運転方法であって、
    前記シンクロトロンを構成する機器の制御データを、それぞれ、一回の運転周期で複数のエネルギーのビーム出射制御を行うための運転制御データと、前記複数のエネルギーのビーム出射制御に対応した複数の減速制御データとで構成し、前記運転制御データを用いて前記機器を制御することで複数のエネルギーのビームの出射制御を行いかつ、前記複数のエネルギーのビーム出射制御に対応した複数の減速制御データを有することで、どの出射エネルギーからも速やかに減速制御へ遷移可能とすることを特徴とする粒子線照射システムの運転方法。
  10. 請求項9記載の粒子線照射システムの運転方法において、
    あるエネルギーでの出射制御から減速制御に遷移するとき、現在更新している制御データを更新した後に、直前の出射エネルギーに対応する減速制御データを選択し、減速制御に遷移することを特徴とする粒子線照射システムの運転方法。
  11. 請求項9又は10記載の粒子線照射システムの運転方法において、
    前記運転制御データおよび前記複数の減速制御データは、前記シンクロトロンを構成する機器に直接与えられる制御量である電流/電圧の時系列データによって構成されていることを特徴とする粒子線照射システムの運転方法。
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