JP6150650B2 - 粒子線照射システムとその運転方法 - Google Patents
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Description
このスキャニング照射法で要求されるビームエネルギーの変更制御をイオンビーム発生装置としてシンクロトロンを採用した場合に短時間で実現する制御法として、特許文献1、特許文献2および、非特許文献1に開示されているような、イオンシンクロトロンで一回の運転周期内で複数のエネルギーのイオンビームの照射を実現する多段出射制御運転がある。
また、患者の呼吸等による生理的活動により患部が時間的に移動する呼吸移動性臓器へのビーム照射法として、特許文献3および特許文献4に記載の照射法がある。
例えば、シンクロトロンの加速制御時に何らかの原因で治療照射に必要な蓄積ビーム電荷量が得られなかった場合、予め設定した照射エネルギー範囲の途中でシンクロトロン内の蓄積ビーム電荷量が枯渇してしまう。シンクロトロン内の蓄積ビーム電荷量が枯渇した場合には、イオンビームの照射を中断して出射制御から減速制御に遷移し、シンクロトロンの運転制御を更新する必要がある。シンクロトロンの運転制御データとして、シンクロトロンで照射可能な全てのエネルギー範囲を一つに纏めた運転制御データを適用した場合、設定値の連続性を担保するため当該出射エネルギーから減速制御に直接遷移できない。そのため、当該出射エネルギーから減速制御に至る間のエネルギー変更制御データの更新が必要となる。この当該出射エネルギーから減速制御へ遷移するための時間が、線量率を低下させ治療時間を短縮できない要因の一つに挙げられる。同様に、粒子線治療装置を構成する機器に異常が生じてイオンビームの照射を中断した場合にも、当該出射エネルギーから減速制御に直接遷移できない課題があった。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、イオンビームを加速して出射するシンクロトロンと、このシンクロトロンから出射された前記イオンビームを照射する照射装置と、患者の生理的活動による患部の移動を検知する検知手段と、この検知手段からの出力値に基づき、出射許可判定信号を出力する出射許可判定手段と、前記シンクロトロンを構成する機器の運転制御データを、1以上の初期加速制御データ、複数のエネルギーのイオンビームを出射する複数の出射制御データ、前記複数の出射制御データ間を接続する複数のエネルギー変更制御データ、前記複数の出射制御データに対応した複数の減速制御データで構成し、これらの制御データを組み合わせることで複数のエネルギーのビームの出射制御を行う制御装置とを備え、前記制御装置は、前記出射許可判定手段から出力される出射許可判定信号に基づいて前記シンクロトロンからのビーム出射制御を実施することを特徴とする。
これにより、シンクロトロンから出射するビームエネルギーの変更制御を短時間で実現することができる。また、多段出射制御運転においてどのエネルギーからも速やかに減速制御へ遷移可能とすることで、イオンビームの照射を中断した場合に運転周期の更新を短時間で実現し、線量率を向上し治療時間を短縮することができる。更に、出射許可判定信号に基づいてシンクロトロンからのビーム出射制御を実施することで、呼吸移動性臓器へのビーム照射精度を高められる。
また、前記出射許可判定手段は、前記検知手段において、前記患部が出射許可範囲内にあるときに前記出射許可判定信号を出力し、前記患部が出射許可範囲内にないときは前記出射許可判定信号を出力しないよう制御する。
これにより、患者の生理的活動による患部の移動を検知してビーム照射が中断されても、同一エネルギーでのビーム照射が再開され、ビーム照射を効率的に実行することができる。
これによりシンクロトロン内の蓄積ビーム量が不足してイオンビームの照射を中断した場合に減速制御に直接遷移し、運転周期の更新を短時間で実現することができる。
これにより粒子線照射システムを構成する機器に異常が生じてイオンビームの照射を中断した場合にも減速制御に直接遷移し、運転周期の更新を短時間でかつ安全に実現することができる。
これによりビーム出射を行わずにエネルギー変更を行う場合は、出射制御データの更新制御(出射条件設定制御および出射条件解除制御)を行わなくて済むため、短時間でのエネルギー変更制御を実現し線量率を向上することが可能となる。
これによりパラメータの変更演算が不要となり、機器構成および制御手段を単純化できる。
これによりビーム照射に寄与しない無駄時間(シンクロトロンの入射ビームエネルギーから照射開始エネルギーまでの制御時間および照射終了エネルギーから減速終了エネルギーまでの制御時間)が無くなるため、所望のエネルギー範囲のビーム照射を短い運転周期で行い、線量率を向上し治療時間を短縮することが可能となるとともに、患者の生理的活動による患部の移動を検知し、ビーム照射位置が患部の照射領域に含まれたと判定された場合に照射する制御を実現することができる。
また、本発明によれば、シンクロトロンの出射ビームエネルギーの変更制御を短時間で実現する多段出射制御運転において、イオンビームの照射を中断した場合に運転周期の更新を短時間で実現し、線量率を向上し、治療時間を短縮することができる。
また、本発明によれば、シンクロトロンの出射ビームエネルギーの変更制御を短時間で実現する多段出射制御運転において、患者の生理的活動による患部の移動を検知し、ビーム照射位置が患部の照射領域に含まれたと判定された場合に照射する制御を実現することで、線量率とともにビーム照射精度が向上できる。
図1は本発明の好適な一実施例である粒子線照射システムの構成を示す図である。
ビーム輸送装置14は、イオンビーム発生装置11と治療室内に配置される照射装置30を連絡する。
出射条件設定制御が終了した後は、出射用高周波電極20aに出射高周波電圧を印加し、シンクロトロン13内を周回するビーム10bのベータトロン振動振幅を増大させる。このベータトロン振動振幅の増大により、安定限界条件を超えた周回ビーム10bはシンクロトロン13からビーム輸送装置14に出射され、照射装置30に輸送される。シンクロトロン13からのビーム出射制御は、出射用高周波電極20aに印加する高周波電圧を高周波スイッチ21のON/OFF制御により高速に実現可能である。
また、患部平面方向へのビーム照射方法として、スポットスキャニング照射法、ラスタースキャニング照射法などがある。
スポットスキャニング照射法は、患部の照射平面上をスポットと呼ばれる線量管理領域に分割し、スポット毎に走査を停止して設定した照射線量に到達するまでビームを照射した後にビームを停止し、次の照射スポット位置に移動する。このようにスポットスキャニング照射法は、照射開始位置をスポット毎に更新する照射法である。
また、ラスタースキャニング照射法は、スポットスキャニング照射法と同様に線量管理領域を設定するが、スポット毎にビーム走査を停止せず、ビームを走査経路上を走査しながら照射する。そのため、一回当たりの照射線量を低くし、複数回繰り返し照射するリペイント照射を実施することで照射線量の一様度を向上する。このようにラスタースキャニング照射法は、照射開始位置を走査経路毎に更新する照射法である。
なお、スポットスキャニング法においても、ラスタースキャニング法と同様に、一つのスポット位置に対する一度の照射で与える照射線量を低く設定し、照射平面を複数回走査することによって、最終的な照射線量に到達するように制御してもよい。
そのため、図2に示すように、患部位置検出手段35と出射許可判定手段354を設けてある。また、患部37付近に患部位置を同定するマーカ352を設けており、このマーカ352を透視画像取得手段351で検出する。この透視画像取得手段351で取得した透視画像情報を出射許可判定手段354に入力し、透視画像情報に示されたマーカ352の位置がビーム照射許容範囲353に含まれているか否かを判定する。透視画像情報に示されたマーカ352の位置がビーム照射許容範囲353に含まれている場合は、出射許可判定手段354はビーム出射を許可する出射許可判定信号355をインターロックシステム60に対して出力する。また、透視画像情報に示されたマーカ352の位置がビーム照射許容範囲353に含まれていない場合には、ビーム出射が許可できないため、出射許可判定手段354は出射許可判定信号355を出力しない。
このような患部位置検出手段35と出射許可判定手段354を設け、出射許可判定信号355に基づきシンクロトロン13からのビーム出射制御を実施することで、患部37の位置が所定の位置にある場合にのみビームを照射する制御が実現できる。
制御システム100は、加速器制御装置40、統括制御装置41、治療計画装置43、記憶装置42、照射制御装置44、タイミングシステム50、インターロックシステム60、電源制御装置45、蓄積ビーム量計測手段151、出射許可判定手段354とから構成される。
加速器制御装置40は、イオンビーム発生装置11およびビーム輸送装置14を制御する。統括制御装置41は、粒子線照射システム1全体を統括して制御する。治療計画装置43は、患者へのビーム照射条件を計画する。記憶装置42は、治療計画装置43で計画した情報やイオンビーム発生装置であるシンクロトロン13およびビーム輸送装置14の制御情報等を記憶する。照射制御装置44は、照射装置30を構成する機器と患部37に照射するイオンビーム10dの照射線量を制御するとともに、線量モニタ31にて逐次計測された線量計測データ311から各線量管理領域での積算線量を演算し、この積算線量と患部へ照射する目標線量とから残照射線量を求める。タイミングシステム50は、シンクロトロン13を構成する機器の同期制御を実現する。インターロックシステム60は、患者36の安全を担保するために統括制御装置41とは独立している。電源制御装置45は、シンクロトロン13を構成する各機器の電源46を制御する。蓄積ビーム量計測手段151は、蓄積ビーム量検出手段15を用いて計測されたシンクロトロン13内の蓄積ビーム量に関するデータ(蓄積ビーム量計測データ152)を作成する。
記憶装置42は統括制御装置41の一部として統括制御装置41に備えられていてもよい。
従来のシンクロトロン13の運転シーケンスを図9に示す。シンクロトロン13は、一回の運転周期で加速・出射・減速という一連の制御を実施する。出射制御の前後には、出射条件設定および出射条件解除といった、シンクロトロン内のイオンビームを出射するために必要な出射条件設定制御と、出射制御終了後の出射条件解除制御が必要である。
そのため、従来のシンクロトロン13の運転制御ではイオンビーム10bのエネルギー変更時間には、ほぼ一回の運転周期と同じ時間が掛かるため、治療時間が長くなり、線量率を向上していく上での課題であった。
特許文献2によると、4種類の磁束密度パターンを組み合わせ、一回の運転周期内で複数エネルギーのイオンビームの出射が可能であるが、一方で、これら4種類のパターンの組合せ順序をシンクロトロンの運転制御データを選択し指令するタイミング信号を予めタイミング制御装置に書き込んでおくため、設定値の連続性を担保するため当該出射エネルギーから減速制御に直接遷移できない。このためビーム枯渇時および機器異常時に速やかに減速制御にできないため、シンクロトロンの運転周期の更新に時間が掛かる。また、電流基準変換器が逐次、偏向電磁石および四極電磁石の励磁電流を逐次演算しながら出力するため、パターンを変更する度に演算パラメータの変更が必要となり、機器構成および制御手段が複雑となる課題もある。
特許文献3では、シンクロトロン13からのビーム出射制御時に患部37の移動を検出した場合、ビーム出射制御を停止後に減速制御に遷移し、引き続き、次の照射に必要なビームの加速及び出射条件設定を実施していた。出射許可制御信号の出力停止とともに減速制御に遷移すると、シンクロトロン内を周回するビームが残っていても減速してしまうため、本発明で目指している運転周期内での周回ビームのエネルギー変更による多段出射制御運転が実施できない課題がある。
また、特許文献4では、出射許可制御信号の出力停止とともに減速制御に遷移せず、一定期間の待機状態に遷移し待機状態のうちに再び出射許可信号が入力された場合にビーム出射を再開することで、特許文献3よりもビーム利用効率を改善できるが、この場合でも、待機時間を超えたならば減速制御に遷移してしまうため、特許文献3と同様に、運転周期内での周回ビームのエネルギー変更による多段出射制御運転を実現することができず、シンクロトロン内に周回するビームの利用効率が低いという課題は改善できない課題があった。
出射制御データ702は、シンクロトロン13からのビーム出射に必要な運転条件を設定するための出射条件設定データ703a〜703c(以下703で代表する)と、シンクロトロン13からのビーム出射停止後に周回ビームのエネルギー変更もしくは減速制御に遷移するため出射条件を解除するための出射条件解除データ704a〜704c(以下704で代表する)とから構成される。
複数の減速制御データ706は、複数の出射制御データ702のそれぞれの出射エネルギーに対応した値を初期値とし、シンクロトロン13の入射エネルギーに対応した値を最終値として構成されている。これによりイオンビームの照射を中断した場合に出射エネルギーから減速制御に直接遷移可能となる。
これらの制御データ701,702,705を組み合わせることで複数のエネルギーのビームの出射制御を行う。かつ、複数の出射エネルギーに対応した減速制御データ706を有することで、どの出射エネルギーからも速やかに減速制御へ遷移可能となっている。
例えば、偏向電磁石18の制御データであれば、所定の偏向磁場強度を発生する際に必要な偏向電磁石電源46Bに設定する励磁電流と電圧(図示せず)の時系列データで構成される。
例えば、想定される複数の患者の照射条件に対応した出射エネルギー数が100であるとした場合、100個の初期加速制御データ701と、100個の出射制御データ702と、99個のエネルギー変更制御データ705と、100個の減速制御データ706がモジュールデータとして記憶装置42に記憶されている。照射準備に際して、特定の患者の照射条件が与えられたとき、統括制御装置41は記憶装置42に記憶した制御データの中から該当するものを選択し、電源制御装置45に記憶させる。
なお、全てのエネルギーのビーム出射を可能とするモジュールデータは統括制御装置41の内部記憶装置に記憶しておいてもよい。
本実施例のタイミング信号51は、加速制御開始タイミング信号511、出射条件設定タイミング信号512、出射制御待機タイミング信号513、出射条件解除タイミング信号514、エネルギー変更制御タイミング信号515、減速制御開始タイミング信号516、減速制御終了タイミング信号517とから構成されている。
電源制御装置45にタイミング信号51が入力されると、電源制御装置45は、タイミング信号51に関連付けられた制御データを選択し、選択した制御データの初期アドレスからデータの更新を開始する。
電源制御装置45は、加速制御開始タイミング信号511の入力により、入射エネルギー(Einj)から初段の出射エネルギー(Ea)までの初期加速制御データ701aを更新してビームを加速する。
出射条件設定タイミング信号512の入力により、出射条件設定データ703aを更新する。
ビーム出射制御時には、偏向電磁石18、四極電磁石19、六極電磁石(図示せず)の励磁量および高周波加速空胴17に印加する高周波電圧は一定値で制御することで安定なビーム出射を実現するため、出射制御待機タイミング信号513の入力により、出射条件設定データ703aの更新を停止し、出射条件解除タイミング信号514の入力まで待機する。シンクロトロン13からのビーム出射は、出射許可判定信号355の入力に基づき高周波スイッチ21を閉じることで、出射用高周波電極20aに出射用高周波電圧を供給する。
ビーム出射制御の終了後に、減速ないしはエネルギー変更制御に遷移する場合には、出射条件を解除するため、出射条件解除タイミング信号514の入力により出射条件解除データ704aの更新を開始する。
インターロックシステム60は、出射条件解除データ704aの更新終了までに、シンクロトロン13内の蓄積ビーム量の検出結果152と、現在のエネルギーでの目標線量と照射線量の差分で示される残照射線量とに基づき、エネルギー変更タイミング信号515もしくは減速制御開始タイミング信号516のいずれを出力するかを選択する。インターロックシステム60の選択結果により、タイミングシステム50に対して、エネルギー変更タイミング信号515もしくは減速制御開始タイミング信号516の出力を指令する。
このようなタイミング信号51の入力に基づく運転制御を実現することで、タイミング信号51の入力に応じた運転制御データ70の変更と更新が容易に実現できる。
次いで、統括制御装置41は、照射条件から照射に必要なエネルギーと各照射線量と照射順序および制御データを記憶装置42から選択する(ステップS802)。記憶装置42には、前述したように、図3に示した初期加速制御データ701、出射制御データ702、出射条件設定データ703、出射条件解除データ704、エネルギー変更制御データ705、減速制御データ706を含めて、想定されるあらゆる患者の照射条件に対応した全てのエネルギーのビーム出射を可能とする制御データがモジュールデータとして記憶されており、統括制御装置41は、照射条件421に基づいて制御データ701〜706を選択して読み込む。
次いで、統括制御装置41は、タイミングシステム50に対して、照射に必要なエネルギー情報と照射順序およびこのエネルギーに対応したタイミング信号データ411aを伝送する(ステップS803)。
次いで、タイミングシステム50は、統括制御装置41から伝送された照射に必要なエネルギー情報と照射順序およびこのエネルギーに対応したタイミング信号データ411aをメモリ内に記憶する(ステップS804)。統括制御装置41は、同様に、加速器制御装置40および照射制御装置44に対して、照射に必要なエネルギー情報と照射順序およびこのエネルギーに対応した制御データ411b、411cを伝送する(ステップS805)。このうち、加速器制御装置40に伝送する制御データ411bには、各機器の運転制御データ(制御データ701〜706)と運転制御データに対応するタイミング信号(タイミング信号511〜517)が含まれ、照射制御装置44に伝送する制御データ411cには、各照射エネルギーの照射順序と目標照射線量が含まれる。
次いで、加速器制御装置40は、シンクロトロン13およびビーム輸送装置14を構成する機器の各電源制御装置45に対して、各機器の運転制御データ(制御データ701〜706)と運転制御データに対応するタイミング信号(タイミング信号511〜517)のデータ401を伝送し(ステップS806)、電源制御装置45は、各機器の運転制御データと運転制御データに対応するタイミング信号のデータ401をメモリ内に記憶する(ステップS807)。
その後、照射制御装置44は、各照射エネルギーの照射順序と目標照射線量をメモリ内に記憶する(ステップS808)。
まず、統括制御装置41はタイミングシステム50、加速器制御装置40、照射制御装置44に対して、シンクロトロン13の運転周期の開始を示す、制御開始指令412を出力する。タイミングシステム50、加速器制御装置40、照射制御装置44は、制御開始指令412に基づき、目標エネルギーを設定する(ステップS809)。
次いで、インターロックシステム60は、機器の正常動作を確認した後、設定された目標エネルギーに基づき、初期加速指令611を出力する。また、タイミングシステム50は、これから出射するビームの目標エネルギー情報を設定し、加速器制御装置40は、各電源制御装置に目標エネルギーを設定する。照射制御装置44は、目標エネルギーから、当該エネルギーの各線量管理領域の目標線量値を設定する。
なお、図6には示していないが、電源制御装置45が電源装置46等の機器のステータス情報452にて異常を検出した場合、インターロックシステム60はビームの照射を停止し、シンクロトロン13を減速制御に遷移させる機能を設けてある。
その後、加速器制御装置40は、初期加速制御が終了した時点で、ビームエネルギー情報402をインターロックシステム60に出力する。インターロックシステム60は、加速器制御装置40から伝送されたビームエネルギー情報402に基づき、加速終了後の到達エネルギーと目標エネルギーとが一致しているか否かを確認する(ステップS811)。
今はステップS814においてビームの出射条件が成立せず、出射条件解除に遷移したために出射条件設定が異常であると判定し、インターロックシステム60は減速制御指令616を出力し、タイミングシステム50から電源制御装置45に減速制御開始タイミング信号516を出力する。その後、ビームの減速を行った後、電源制御装置45は減速制御データ706を更新する(ステップS821)。
次いで、タイミングシステム50は、減速制御データの更新完了に合わせて減速制御終了タイミング信号517を出力し、電源制御装置45は減速制御データ706の更新を終了し最終更新値を保持する。
出射許可判定信号355が入力され、ビーム出射制御を実施すると判定された場合(Yesの場合)には、インターロックシステム60はビーム出射指令62を出力し、高周波スイッチ21を閉じることで高周波電極20aに出射用高周波電圧を印加することで、ビーム出射制御を実施する(ステップS816)。
これに対し、出射許可判定信号355が入力されない場合(Noの場合)には、継続して出射条件が成立しているか否かを確認する(ステップS823)。出射条件が成立している場合(OKの場合)にはステップS815に処理を戻し、出射許可判定信号355の入力を待ち続ける。一方、出射許可判定信号355が入力されず、出射条件が未成立となった場合(NGの場合)には、インターロックシステム60はタイミングシステム50に対して照射停止指令614を出力し、タイミングシステム50から電源制御装置45に出射条件解除タイミング信号514を出力する。電源制御装置45は出射条件解除データ704を更新する(ステップS819)。
この際、照射制御装置44はスポット線量が目標線量へ到達(以下、線量が満了したという)したか否かを判定する(ステップS817)。スポット線量が満了していない場合(Noの場合)は、ステップS815に処理を戻し、引き続きシンクロトロン13はビーム出射制御を継続する(ステップS815,S816およびS823)。これに対し、スポット線量が満了した場合(Yesの場合)は、当該エネルギーでの照射領域を構成する全てのスポット線量(以下、レイヤー内の線量)が満了となったか否かを確認する(ステップS818)。
次いで、電源制御装置45はエネルギー変更データ705を更新する(ステップS827)。
次いで、加速器制御装置40は、エネルギー変更が終了した時点で、ビームエネルギー情報402をインターロックシステム60に出力する。インターロックシステム60は、加速器制御装置40から伝送されたビームエネルギー情報402に基づき、エネルギー変更終了後の到達エネルギーと目標エネルギーとが一致しているか否かを確認する(ステップS828)。
これに対しステップS828において加速終了後の到達エネルギーと目標エネルギーが一致しない場合、インターロックシステム60は再びタイミングシステム50にエネルギー変更指令615を出力し、タイミングシステム50は電源制御装置45にエネルギー変更制御タイミング信号515を出力し、電源制御装置45はエネルギー変更制御データ705の更新を実施する(ステップS827)。
次いで、減速制御データの更新が完了後、全レイヤーの照射が完了したか否かを確認する(ステップS822)。全レイヤーの照射が完了した場合(Yesの場合)は、シンクロトロン13の運転制御を終了する。また、未照射のレイヤーがある場合は、インターロックシステム60は機器の正常動作を確認した後、目標エネルギーを変更し、初期加速指令611を出力する(再びステップS809から処理を行う)。
図7Aは、3種類(Ea,Eb,Ec)の全てのエネルギーのイオンビームを一回の運転周期で出射制御した場合の偏向電磁石の励磁電流値の変化を示している。図7Bは、はじめの運転周期で2種類(Ea,Eb)のエネルギーのイオンビームを出射した後、蓄積イオンビームが枯渇したため減速制御に遷移して運転周期を更新し、次の運転周期で3種類目(Ec)のイオンビームを出射する場合の偏向電磁石の励磁電流値の変化を示している。
一般に、偏向電磁石の励磁電流値とビームエネルギーは概ね比例関係にあるため、図7Aおよび図7Bは多段出射運転時のビームエネルギー変化と読むこともできる。
電源制御装置45は、タイミングシステム50から加速制御開始タイミング信号511が入力されると、初期加速データ701を選択し、励磁電流データ更新制御を開始する。
初期加速制御が終了すると、タイミングシステム50から出射条件設定タイミング信号512が電源制御装置45に入力される。電源制御装置45は、初段の出射エネルギーEaに対応した出射条件設定データ703aを出力する。
この後、出射制御待機タイミング信号513の入力により、電源制御装置45は最終更新値を保持し、出射制御が実施される。
出射制御が完了すると、タイミングシステム50から出射条件解除タイミング信号514が電源制御装置45に出力され、電源制御装置45は出射条件解除データ704aの更新出力を開始する。
これ以降、最後のエネルギーEcの出射制御を終了するまで、上記した出射条件設定制御、出射制御、出射条件解除制御、エネルギー変更制御を繰り返す。
なお、本実施例の減速制御では、エネルギーを低い方から高い方にビームを出射する制御をしているため(Ea<Eb<Ec)、減速制御で最大エネルギー(Einit)まで初期化励磁している。
図8(c)はインターロックシステム60から出力されるビーム出射指令62を示している。ビーム出射指令62は、シンクロトロン13の出射条件の設定状態と、出射許可判定信号355に基づいて出力される。
図8(d)はシンクロトロン13を構成する偏向電磁石18の運転制御データ70acと70dfを示しており、図8(e)はシンクロトロンを構成する四極電磁石19の運転制御データ70acと70dfを示している。図8(e)に示した四極電磁石19の運転制御データは、図8(d)に示した偏向電磁石18の運転制御データと異なり、シンクロトロン13の加速制御時の運転条件から出射制御時の運転条件に遷移する必要があるため、出射条件設定703および出射条件解除704で励磁量を変更している。
ここで、シンクロトロン13からビーム出射制御が可能な領域は、図8(d)および図8(e)において点線で示した区間であり、出射制御待機タイミング信号513から出射条件解除タイミング信号514の区間となる。
出射許可判定信号355がONで出射制御待機タイミング信号513から出射条件解除タイミング信号514の区間に入っていない領域(901(901a,901b,901c,901d,…))と、出射許可判定信号355がOFFで出射制御待機タイミング信号513から出射条件解除タイミング信号514の区間に入っている領域(902(902a,902b…))と、出射許可判定信号355がOFFで出射制御待機タイミング信号513から出射条件解除タイミング信号514の区間に入っていない領域(903(903a,903b,…))と、出射許可判定信号355がONで出射制御待機タイミング信号513から出射条件解除タイミング信号514の区間に入っている領域(904(904a,904b,904c,…))とに分けられる。
このうち、ビーム出射指令62としてビームONが出力されるのは、出射許可判定信号355がONであり、かつ出射制御待機タイミング信号513から出射条件解除タイミング信号514の区間に入っている領域(904)の間にあるときのみである。
このように、図6に示した制御フローに従うことで、シンクロトロン13が出射制御待機タイミング信号513から出射条件解除タイミング信号514の区間に入っている領域で、出射許可判定信号355に基づく複数回のビーム出射制御が可能となる。
図8(e)に示したように、出射条件解除、エネルギー変更、出射条件設定では、四極電磁石19の励磁量を逐次変更することで、多段出射制御運転時にビーム損失を生じずに効率良く実現できる。
出射条件解除から出射条件設定の区間では、シンクロトロンからビーム出射制御は実施できないため、図8(a)に示すように出射許可判定信号355がONであっても、ビーム出射指令62はOFFとなる(901b)。
その際、患者の生理的現象等により、患部位置検出手段35で観測された患部位置に瞬時的な変動(図8(a)の353a)が生じた場合、出射許可判定信号355は瞬時的にOFFとなる。その後に患部37の位置がビーム照射許容範囲353に戻ったら出射許可判定信号355はONとなり、ビーム出射指令62も同期して変化する(902b→904d)。
このように、図6に示した制御フローに従うことで、このような患者の生理的現象等による患部位置の瞬時的な変動に対しても、安定なビーム照射を実現できる。
その後、ビームエネルギーをEbからEcへの変更制御を実施(903a)した後、再びビーム出射指令62がONとなる(904e)。
その後、次の照射エネルギーEdを照射するため、入射エネルギーEinjからEdまで初期加速制御でビームを加速し(701d)、出射条件を設定する(703d)。この間、ビーム出射指令62の出力は常にOFFとなる(901c)。出射条件の設定完了と、出射許可判定信号355が入力されたタイミングで再びビーム出射指令62がONとなる(904f)。その後、同様に、ビームエネルギーEeにビームエネルギーを変更した上での照射、ビームエネルギーEfでの照射、減速制御を行う。
100 制御システム(制御装置)
10a,10b,10c,10d ビーム
11 イオンビーム発生装置
12 前段加速器
13 シンクロトロン
14 ビーム輸送装置
15 蓄積ビーム量検出手段
151 蓄積ビーム量計測手段
152 蓄積ビーム量計測データ
16 高周波電極
17 高周波加速空胴
18 偏向電磁石
19 四極電磁石
20a 出射用高周波電極
20b 出射用デフレクター
21 高周波スイッチ
30 照射装置
31 線量モニタ
311 線量計測データ
32 走査電磁石
34 コリメータ
35 患部位置検出手段
351 透視画像取得手段
352 マーカ
353 ビーム照射許容範囲
354 出射許可判定手段
355 出射許可判定信号
36 患者
37 患部
371 患部位置検出マーカ
38 出射許可判定手段
381 出射許可判定信号
40 加速器制御装置
401 各機器の制御データ
402 目標エネルギー到達信号
41 統括制御装置
411 制御データ
412 機器情報データ
42 記憶装置
421 照射情報データ
43 治療計画装置
431 治療計画情報
44 照射制御装置
441 出射制御許可信号
442 線量満了信号
443 エネルギー変更要求信号
444 減速制御要求信号
445 照射完了信号
45 電源制御装置
451 電源制御指令値
452 ステータス情報
46 電源
50 タイミングシステム
51 タイミング信号
511 加速制御開始タイミング信号
512 出射条件設定タイミング信号
513 出射制御待機タイミング信号
514 出射条件解除タイミング信号
515 エネルギー変更制御タイミング信号
516 減速制御開始タイミング信号
517 減速制御終了タイミング信号
60 インターロックシステム
61 インターロック信号
611 初期加速指令
612 照射準備指令
613 照射待機指令
614 照射停止指令
615 エネルギー変更指令
616 減速制御指令
617 照射完了指令
62 ビーム出射指令
70 運転制御データ
701 初期加速制御データ
702 出射制御データ
703 出射条件設定データ
704 出射条件解除データ
705 エネルギー変更制御データ
706 減速制御データ
Claims (14)
- イオンビームを加速して出射するシンクロトロンと、
このシンクロトロンから出射された前記イオンビームを照射する照射装置と、
患者の生理的活動による患部の移動を検知する検知手段と、
この検知手段からの出力値に基づき、出射許可判定信号を出力する出射許可判定手段と、
前記シンクロトロンを構成する機器の運転制御データを、1以上の初期加速制御データ、複数のエネルギーのイオンビームを出射する複数の出射制御データ、前記複数の出射制御データ間を接続する複数のエネルギー変更制御データ、前記複数の出射制御データに対応した複数の減速制御データで構成し、これらの制御データを組み合わせることで複数のエネルギーのビームの出射制御を行う制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記出射許可判定手段から出力される出射許可判定信号に基づいて前記シンクロトロンからのビーム出射制御を実施する
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - 請求項1記載の粒子線照射システムにおいて、
前記制御装置は、前記シンクロトロンからのビーム出射制御時に、前記出射許可判定手段から出力される出射許可判定信号に基づき、同一のエネルギーで複数回のビーム出射制御を実施する
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - 請求項2記載の粒子線照射システムにおいて、
前記出射許可判定手段は、前記検知手段において、前記患部が出射許可範囲内にあるときに前記出射許可判定信号を出力し、前記患部が出射許可範囲内にないときは前記出射許可判定信号を出力しない
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - 請求項1記載の粒子線照射システムにおいて、
前記制御装置は、
前記シンクロトロンを構成する機器の制御タイミングを管理する複数の制御タイミング信号を出力するタイミングシステムと、
前記シンクロトロンを構成する機器を制御する電源制御装置とを有し、
前記運転制御データを構成する前記初期加速制御データ、前記複数の出射制御データ、前記複数のエネルギー変更制御データおよび前記複数の減速制御データは、前記電源制御装置に記憶されており、
前記電源制御装置は、前記タイミングシステムから出力される前記複数の制御タイミング信号を入力し、これらの制御タイミング信号に基づき、前記初期加速制御データ、前記複数の出射制御データ、前記複数のエネルギー変更制御データおよび前記複数の減速制御データを選択して更新する
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - 請求項4記載の粒子線照射システムにおいて、
前記シンクロトロン内の蓄積ビーム量を検出するビーム量検出手段を更に備え、
前記制御装置は、
前記出射許可判定手段から出力される出射許可判定信号の入力を受け、前記シンクロトロンの運転制御が出射条件設定され、かつ出射許可判定信号が入力されたときはビーム出射制御を指令し、
前記出射許可判定信号が停止された際は、前記ビーム量検出手段から入力された前記シンクロトロン内の蓄積ビーム量の検出結果と照射中のエネルギーでのビーム照射が完了したかの判定結果とに基づいて、再び出射許可判定信号が出力された際に当該エネルギーでのビーム出射が可能なように待機するか、次のエネルギーのビームが照射可能なようにエネルギー変更制御に遷移するか、減速制御に遷移するかを判定し、前記タイミングシステムに対して先に判定したそれぞれの制御に対応した制御指令を出力する
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - 請求項4記載の粒子線照射システムにおいて、
前記制御装置は、
前記シンクロトロンに入射したビームエネルギーを初段の出射エネルギーまでビームを加速する初期加速指令、前記シンクロトロンで初期加速ないしエネルギー変更後に出射条件を設定する照射準備開始指令、前記シンクロトロンで出射条件の設定が完了したことを示す照射待機指令、前記出射許可判定手段から出力される出射許可判定信号と前記シンクロトロンの出射条件設定状態とに基づき出力されるビーム出射指令、前記患部へのビーム照射を停止する照射停止指令、前記患者に照射されたイオンビームの照射経過情報に基づき出力されるエネルギー変更指令、前記シンクロトロンおよび前記照射装置を含んだ粒子線照射システムを構成する機器の状態に基づき出力される減速制御指令および照射を完了したことを示す照射完了指令を出力するインターロックシステムを更に有し、
前記タイミングシステムは、前記インターロックシステムから出力される前記初期加速指令、前記照射準備開始指令、前記照射待機指令、前記照射停止指令、前記エネルギー変更指令および前記減速制御指令に基づいて、前記複数の制御タイミング信号の中から対応する制御タイミング信号を選択して出力する
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - 請求項4記載の粒子線照射システムにおいて、
前記電源制御装置は、
前記タイミングシステムから入力された前記複数のタイミング信号のうち減速制御開始タイミング信号を入力したときは、複数の減速制御データの中から出射制御完了時のエネルギーに対応する減速制御データを選択し、減速制御に遷移するよう制御する
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - 請求項6記載の粒子線照射システムにおいて、
前記インターロックシステムは、前記シンクロトロンおよび前記照射装置を含む粒子線照射システムを構成する機器に異常が生じた場合にも前記減速制御指令を出力し、
前記電源制御装置は、前記タイミングシステムから減速制御開始タイミング信号を入力したとき、現在の制御データを更新した後、前記複数の減速制御データの中からその更新制御終了後の到達エネルギーに対応する減速制御データを選択し、減速制御に遷移するよう制御する
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - 請求項6記載の粒子線照射システムにおいて、
前記インターロックシステムは、あるエネルギーの出射制御完了後に次の目標エネルギーが存在する場合或いは初期加速制御終了後およびエネルギー変更制御終了後に到達したエネルギーと次の目標エネルギーが一致しない場合にエネルギー変更指令を出力し、
前記タイミングシステムは、前記エネルギー変更指令を入力したとき、前記複数の制御タイミング信号の中からエネルギー変更制御タイミング信号を選択して出力し、
前記電源制御装置は、前記エネルギー変更制御タイミング信号を入力したとき、前記複数のエネルギー変更制御データの中から前記あるエネルギーあるいは到達エネルギーに対応するエネルギー変更制御データを選択し、エネルギー変更制御に遷移するよう制御する
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - 請求項1記載の粒子線照射システムにおいて、
前記運転制御データを構成する前記初期加速制御データ、前記複数の出射制御データ、前記複数のエネルギー変更制御データおよび前記複数の減速制御データは、前記シンクロトロンを構成する機器に直接与えられる制御量である電流/電圧の時系列データによって構成されている
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - 請求項1記載の粒子線照射システムにおいて、
前記制御装置は、
前記運転制御データを構成する前記初期加速制御データ、前記複数の出射制御データ、前記複数のエネルギー変更制御データおよび前記複数の減速制御データを含めて、想定される複数の患者の照射条件に対応した全てのエネルギーのビーム出射を可能とする制御データをモジュールデータとして記憶した記憶装置と、
前記シンクロトロンを構成する機器を制御する電源制御装置とを有し、
前記制御装置は、照射準備に際して、特定の患者の照射条件が与えられたとき、前記記憶装置に記憶したモジュールデータの中から該当する制御データを選択して前記電源制御装置に記憶し、前記運転制御データを構成する
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - イオンビームを加速して出射するシンクロトロンと、
前記シンクロトロンから出射された前記イオンビームを照射する照射装置と、
患者の生理的活動による患部の移動を検知する検知手段と、
この検知手段からの出力値に基づき、出射許可判定信号を出力する出射許可判定手段と、
想定される複数の患者の照射条件に対応した全てのエネルギーのビーム出射を可能とする制御データであって、複数のエネルギーのイオンビームに対応した1以上の初期加速制御データ、複数の出射制御データ、複数のエネルギー変更制御データおよび複数の減速制御データを含む制御データをモジュールデータとして記憶した記憶装置と、
前記シンクロトロンを構成する機器を制御する電源制御装置と、
照射準備に際して、特定の患者の照射条件が与えられたとき、前記記憶装置に記憶したモジュールデータの中から該当する制御データを選択して前記電源制御装置に記憶し、前記シンクロトロンの機器の運転制御データを構成する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記出射許可判定手段から出力される出射許可判定信号に基づいて前記シンクロトロンからのビーム出射制御を実施する
ことを特徴とする粒子線照射システム。 - イオンビームを加速して出射するシンクロトロンと、
前記シンクロトロンから出射された前記イオンビームを照射する照射装置と、
患者の生理的活動による患部の移動を検知する検知手段と、
この検知手段からの出力値に基づき、出射許可判定信号を出力する出射許可判定手段とを備えた粒子線照射システムの運転方法であって、
前記シンクロトロンを構成する機器の運転制御データを、初期加速制御データと、複数のエネルギーのイオンビームを出射する複数の出射制御データと、前記複数の出射制御データ間を接続する複数のエネルギー変更制御データおよび、前記複数の出射制御データに対応した複数の減速制御データで構成し、これらの制御データを組み合わせることで複数のエネルギーのビームの出射制御を行い、かつ前記複数のエネルギーに対応した減速制御データを有することで、どのエネルギーからも速やかに減速制御へ遷移可能とするとともに、前記出射許可判定手段から出力される出射許可判定信号に基づいて前記シンクロトロンからのビーム出射制御を実施する
ことを特徴とする粒子線照射システムの運転方法。 - 請求項13記載の粒子線照射システムの運転方法において、
前記運転制御データを構成する前記初期加速制御データ、前記複数の出射制御データ、前記複数のエネルギー変更制御データおよび前記複数の減速制御データを含めて、想定される複数の患者の照射条件に対応した全てのエネルギーのビーム出射を可能とする制御データをモジュールデータとして用意しておき、
特定の患者の照射条件が与えられたとき、前記モジュールデータの中から該当する制御データを選択して前記運転制御データを構成する
ことを特徴とする粒子線照射システムの運転方法。
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