JP4633002B2 - 荷電粒子ビーム加速器のビーム出射制御方法及び荷電粒子ビーム加速器を用いた粒子ビーム照射システム - Google Patents
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Description
高周波ノックアウト機器を使った出射方式では、全体のビーム強度は電極に印加する高周波信号の振幅で主に決まる。上述したようなビーム強度分布の変化が大きくても、全体のビーム強度を下げれば最大強度も下げられるため、出射ビームを停止する際に生じる停止のタイミング誤差に起因する照射量誤差を小さくできるが、照射時間が長くなるという問題が生じる。(例えば非特許文献3参照)。
少なくとも1の照射部位に対して予め設定された計画線量の照射に対応した1回の照射内で荷電粒子ビーム加速器から出射される荷電粒子ビームの出射ビーム強度を2段階以上に変化させると共に、
前記荷電粒子ビーム照射システムは、更に照射線量を測定する線量モニタを備え、2段階以上に変化する出射ビーム強度のうち、照射終了時に対応する段階の出射ビーム強度は、前記終了時段階の一段階前の出射ビーム強度による照射の時点までの前記線量モニタによる積算照射線量測定結果から算定された前記計画線量に対する残線量に基づき設定されるものである。
また、第2の発明に係る荷電粒子ビーム照射システムは、荷電粒子ビーム加速器と、この荷電粒子ビーム加速器からの荷電粒子ビームの、強度を含めた出射を制御する出射制御部と、前記出射された荷電粒子ビームを被照射体設置位置まで輸送する輸送部と、前記輸送された荷電粒子ビームを前記被照射体の所定の照射部位に照射するための照射装置とを有する荷電粒子ビーム照射システムにおいて、前記出射制御部は、少なくとも1の前記照射部位に対して予め設定されている計画線量の照射に対応する1回の照射に対して、2段階以上に設定された各出射ビーム強度値と、前記各段階の切り替え条件と、前記各出射ビーム強度値に対応して、この各出射ビーム強度値を実現するために必要な、荷電粒子ビーム加速器の荷電粒子ビーム出射制御に関係する出射関連構成機器のビーム出射時の運転パラメータとを有する出射パラメータを記憶する出射パラメータ記憶部を有し、少なくとも1の照射部位に対して、予め設定されている計画線量の照射に対応する1回の照射に対して、前記出射パラメータに基づき前記荷電粒子ビーム出射強度を2段階以上に変えて照射するよう前記出射関連構成機器を制御するものである。
第2の発明に係る荷電粒子ビーム照射システムは前記のように構成されているため、照射線量制御システムの複雑化、高度化を回避した簡便な構成により、照射線量誤差を小さくすることができる。
実施の形態1に係る発明は、1照射部位への1回の照射あたりの出射ビーム強度を2段階以上に変化させると言うものである。1照射部位への1回の照射とは、1照射部位に対して予め設定されている計画線量を達成するための一連の照射をいうものとする。
ここで典型的な例として2段階に変化させる場合について説明する。この場合は、2段階目のビーム強度を最初のビーム強度に対して、低減させることとする。すなわち、最初は高い線量率で荷電粒子ビームを被照射体に照射し、所定の線量(積算線量)に達した後は、低い線量率に切り替えて、前記所定の線量と計画線量との差である残線量の照射を行うというものである。計画線量に達したことを知らせる線量満了信号の発生から実際にビーム出射が停止されるまでの時間、すなわちビーム出射停止時間の誤差により発生する計画線量に対する実際の照射線量の誤差は、荷電粒子ビーム強度が小さいほど小さくなる。また、荷電粒子ビーム強度が小さければ出射ビームのリップルも小さくなるため、ビーム出射停止直前の荷電粒子ビーム強度が小さければ、リップルに起因する照射線量の誤差も小さくなる。このことは2段階のみでなく、多段階に変化させる場合にも同様であり、一般的には多段階にして、各段階で出射ビーム強度を低減していくほど照射線量の誤差は小さくなる。
図1は、実施の形態1による荷電粒子ビーム照射システムの構成を示す概略図で、当該システムを粒子線照射医療システムとして使用した場合の例を示している。この例では荷電粒子ビーム加速器としてシンクロトロンを使っている。粒子ビーム照射システムは、入射系100、荷電粒子ビーム加速器200、ビーム輸送系300、照射系400、出射制御部30(図1では省略。図4に記載。)、及び全体制御部34(図1では省略。図4に記載。)で構成されている。そして、入射系100はイオン源1、線形加速器2で、また、荷電粒子ビーム加速器200は入射セプタム3、主偏向電磁石4、主四極電磁石5、高周波加速装置6、六極電磁石7、高周波ノックアウト機器8、出射四極電磁石9、及び出射セプタム10で、ビーム輸送系300は偏向電磁石11、スピルモニタ12、照射路偏向電磁石13で、更に、照射系400は照射装置14、線量モニタ15でそれぞれ構成されている。
入射系100では、まずイオン源1で荷電粒子を発生し、発生した荷電粒子は線形加速器2で所定のエネルギーにまで加速され荷電粒子ビームとなる。この荷電粒子ビームは次にシンクロトロンなどの荷電粒子ビーム加速器200に、入射セプタム3を介して入射される。入射された荷電粒子ビームは主偏向電磁石4によりその進路を曲げられ、主四極電磁石5で収束作用を受けつつ、ビームが広がることなく、荷電粒子ビーム加速器200内を安定に周回する。なお、周回する荷電粒子ビームは、高周波加速装置6で、そこを通過するたびにエネルギーの供給を受け、そのエネルギーを増加させる。六極電磁石7は、周回する荷電粒子ビームのエネルギーの幅による収束作用の相違を修正するための作用を有する。荷電粒子ビームが所定のエネルギーにまで加速された後は、荷電粒子ビーム加速器200の出射セプタム10から出射され、出射ビームとなり、ビーム輸送系300を構成する偏向電磁石11、13等でその進路を変えられて、図示しない医療室に設けられた照射系400の照射装置14によって被照射体、例えば患者16の腹部等に照射される。線量モニタ15は患者16に照射された照射線量値をモニタするものである。
この実施の形態1では、主偏向電磁石4と主四極電磁石5各一台の組み合わせを4組配置した構成としている。通常、ビームを水平・垂直方向に収束させるために極性の異なる2種類の四極電磁石が使われるが、この実施の形態1では、主偏向電磁石4は半径方向に磁場強度が変化するか、エッジ角を有することにより垂直方向にも収束力を与える機能を有する主偏向電磁石4としているため、主四極電磁石5は極性が同じ1種類の四極電磁石を使用している。主偏向電磁石4は、原理的に偏向と同時に水平方向に収束力を与える。
主四極電磁石5と六極電磁石7は、セパラトリクスが周回ビームのエミッタンスよりも小さくならない値で一定に保たれる。この状態からビームを出射させるためには、出射四極電磁石9を励磁してセパラトリクスを狭める。周回ビームのエミッタンスよりもセパラトリクスが小さくなると、セパラトリクス外のエミッタンスを有する粒子は出射ビームとして取り出されることになる。従って、連続的に一定強度のビームを取り出すためには所定の関係でセパラトリクスを縮小していけばよく、出射ビーム強度を変えたければ、セパラトリクスの縮小速度を変化させればよいことになる。セパラトリクスの縮小速度は出射四極電磁石9の励磁量増加の時間依存性を変化させることで実現できる。
この例は、図3の(e)に示すように、出射ビーム強度を2段階に変化させるものである。まず、これまで説明したように、荷電粒子ビーム加速器200で荷電粒子ビームを所定のエネルギーにまで加速が終了しているものとする。更に、平行スキャナ電磁石21により、所定のスポットに照射できる準備が完了しているものとする。このとき、(a)に示すように、照射可信号が発せられた後、全体制御系70から(b)に示すように、出射開始信号が出力される。それを受けて出射四極電磁石9が磁場を発生させる。磁場波形の例を(d)に示す。(d)の磁場は、時間と共に増加し、かつ、その時間変化の勾配は途中で緩慢な勾配に変化している。
出射パラメータには、段階切り替えに対応する、切り替えパラメータとして予め設定された積算照射線量目標値と、同じく各段階の目標とする出射ビーム強度をスピルモニタ12で測定したときの出力電流値に対応する予め設定された出力目標値(各段階の設定値と略称)とが含まれている。
なお、線量満了信号発生から実際にビーム出射が停止するまでの時間が予めわかっているときは、計画線量に達したときでなく、その時点を推定して、早い時期に線量満了信号を発生しても良い。上記の例では、100μs早く線量満了信号を発生することにする。そうすると、この100μsの推定値に伴う誤差時間のみが照射線量の誤差となり、誤差の低減に効果がある。そして、このような場合でも、線量満了信号発生時点で出射ビーム強度を低減しておくと、単位誤差時間あたりの照射線量が小さくなっている分、照射線量誤差を一層低減することができる。
なお、一回の照射あたりの出射ビーム強度切り替え回数を多くするほど、即ち、多段階切り替え照射にするほど、照射線量誤差をより低減できるが、切り替えが多いと切り替えに伴うロス時間が増えるので、切り替え段階数はシステムの特性に応じて決める必要がある。
次に、この発明の実施の形態2について説明する。荷電粒子ビーム加速器と粒子ビーム照射システムは実施の形態1と同様であるため図示及び説明を省略する。
実施の形態1では、医用照射システムを例に取り、複数の照射スポットに荷電粒子ビームを照射する例を示したが、実施の形態2は、例えば原子核・素粒子物理実験のように、1つの標的にパルス的に照射し、そこで起こるイベントを測定する場合において、1パルス照射内で出射ビーム強度を2段階に変化させるものである。
1パルス照射内での出射ビーム強度変化は2段階に限るものではなく、多段階の変化をさせても良い。このようにすることにより、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
次に、この発明の実施の形態3について説明する。荷電粒子ビーム加速器と荷電粒子ビーム照射システムは実施の形態1と同様であるため図示及び説明を省略する。
実施の形態1、2では、出射ビーム強度の設定を2段階以上に変化させ、各段階ごとに出射ビーム強度は小さくなっていくようにしたが、本実施の形態では最初の出射ビーム強度は2段階目の出射ビーム強度よりも小さくすることを特徴とするものである。
なお、上記に加えて、実施の形態1もしくは2と同様に、2段階目以降の出射ビーム強度を低減していけば、上記の効果に加えて実施の形態1又は2で述べた効果も奏することができる。
次に、この発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4に係るシステムは、加速器がシンクロトロンである場合であって、出射関連機器として、出射四極電磁石9を使用し高周波ノックアウト機器8を用いない。このシステムでは、出射の度にセパラトリクスを縮小していくことにより、セパラトリクスから外れた荷電粒子ビームを出射ビームとして取り出すことになるため、出射開始時の出射四極電磁石9の運転条件は、前回のビーム出射終了時の運転上条件と同じとなる。セパラトリクスの縮小速度を変えることにより出射ビーム強度を変える点は実施の形態1の場合と同じである。
実施の形態1に比べると、高周波ノックアウト機器8が不要になるという利点がある反面、出射前のセパラトリクスの大きさが徐々に縮小していくことになるので、セパラトリクスの変化率の制御は徐々に難しくなり、結果として出射ビーム強度の制御が難しくなっていくという欠点はある。
次に、この発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5は、シンクロトロンから出射する方式において、出射四極電磁石9を用いずに、 高周波ノックアウト機器8だけで行うものである。即ち、セパラトリクスは一定に保ったままで、周回する荷電粒子ビームのエミッタンスを大きくすることにより、セパラトリクス境界外のエミッタンスを有する荷電粒子を出射ビームとして取り出すというものである。この方法によれば、高周波ノックアウト機器8の高周波信号振幅を制御することで、荷電粒子ビームのエミッタンスを大きくすることができ、前述した各実施の形態と同様な効果を得ることができる。
この場合の出射関連機器は高周波ノックアウト機器8のみで、制御対象はそのアンプ31となる。
次に、この発明の実施の形態6について説明する。荷電粒子ビーム加速器と荷電粒子ビーム照射システムは実施の形態1と類似したものとなるので図示及び説明を省略する。
実施の形態6は、加速器としてサイクロトロンを使用し、このサイクロトロンからビームを出射する際に、図4に示すシンクロトロンで採用する 高周波ノックアウト機器8、アンプ31、出射四極電磁石9、出射四極用電源32に代えて、前記サイクロトロンに荷電粒子を入射供給するイオン源と、そのイオン源の電極に電圧を印加し、その電極間で発生するアーク放電により、そこに存在するガスをプラズマ化するアーク電流電源とを使用するものである。このプラズマ化したガスがイオン源からの荷電粒子となる。
次に、この発明の実施の形態7について説明する。前述した各実施の形態1〜6では出射ビーム電流制御はフィードバック制御を前提としたが、実施の形態7は、出射関連機器の制御パラメータを予め設定した値に固定するものである。例えば、実施の形態1の方式に適用すると、出射四極用電源32の出力電流増大パターンを2つ用意し、照射線量が必要線量の例えば2/3になった時点で2つ目の増大パターンに切り替え、必要線量が照射された時点で停止させる。この場合、各段階毎の出射関連機器の制御パラメータは、出射パラメータとして、出射パラメータ記憶部35に予め記憶され、このデータを使って出射関連機器制御部37を介して出射関連機器を制御することとなる。
5 主四極電磁石、 6 高周波加速装置、 7 六極電磁石、
8 高周波ノックアウト機器、 9 出射四極電磁石、 10 出射セプタム、
11 偏向電磁石、 12 スピルモニタ、 13 照射路偏向電磁石、
14 照射装置、 15 線量モニタ、 16 患者、 21 平行スキャナ電磁石、 22 レンジシフタ、 30 出射制御部、 31 アンプ、
32 出射四極用電源、 33 線量信号処理部、 34 全体制御系、
35 出射パラメータ記憶部、 36 線量比較判定部、
37 出射関連機器制御部、 100 入射系、 200 荷電粒子ビーム加速器、
300 ビーム輸送系、 400 照射系。
Claims (16)
- 荷電粒子ビーム加速器から出射された荷電粒子ビームを被照射体設置位置まで輸送し、この輸送された荷電粒子ビームを前記被照射体の特定の照射部位に照射するようにした荷電粒子ビーム照射システムにおいて、
少なくとも1の照射部位に対して予め設定された計画線量の照射に対応した1回の照射内で荷電粒子ビーム加速器から出射される荷電粒子ビームの出射ビーム強度を2段階以上に変化させると共に、
前記荷電粒子ビーム照射システムは、更に照射線量を測定する線量モニタを備え、2段階以上に変化する出射ビーム強度のうち、照射終了時に対応する段階の出射ビーム強度は、前記終了時段階の一段階前の出射ビーム強度による照射の時点までの前記線量モニタによる積算照射線量測定結果から算定された前記計画線量に対する残線量に基づき設定されることを特徴とする荷電粒子ビーム加速器のビーム出射制御方法。 - 2段階以上に変化させる荷電粒子ビーム強度は、計画線量の照射に対応した1回の照射終了時段階の出射ビーム強度を、その一つ前の段階の出射ビーム強度よりも小さくしたものであることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム加速器のビーム出射制御方法。
- 2段階以上に変化させる出射ビーム強度は、少なくとも3段階以上であるものとし、1段階目の出射ビーム強度を2段階目の出射ビーム強度より小さくしたものであることを特徴とする請求項2に記載の荷電粒子ビーム加速器のビーム出射制御方法。
- 荷電粒子ビーム加速器はシンクロトロンであり、その加速器内を周回する荷電粒子ビームに対する共鳴の安定限界を変化させる手段を備え、前記共鳴の安定限界を変化させる手段により前記共鳴の安定限界を縮小させることによって、この共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームの一部を共鳴の安定限界外にして出射ビームを形成し、前記共鳴の安定限界を縮小させる速度を変えることにより、出射ビーム強度を変えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム加速器のビーム出射制御方法。
- 荷電粒子ビーム加速器はシンクロトロンであり、その加速器内を周回する荷電粒子ビームに対する共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加させる手段を備え、前記ベータトロン振動振幅を増加させる手段により、前記共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加せしめ、その一部を共鳴の安定限界外にある荷電粒子ビームとすることによって出射ビームを形成し、かつ前記ベータトロン振動振幅を増加させる手段により、共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加させる速度を変えることによって、出射ビーム強度を変えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム加速器のビーム出射制御方法。
- 荷電粒子ビーム加速器はシンクロトロンであり、その加速器内を周回する荷電粒子ビームに対する共鳴の安定限界を変化させる手段と、共鳴の安定限界内の荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加させる手段とを備え、前記共鳴の安定限界を変化させる手段により前記共鳴の安定限界を縮小させることによって、この共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームの一部を共鳴の安定限界外にして出射ビームを形成し、荷電粒子ビームを出射させた後、前記共鳴の安定限界を変化させる手段により、前記共鳴の安定限界を元に戻し、且つ前記ベータトロン振動振幅を増加させる手段により、前記共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームのビームエミッタンスを前記共鳴の安定限界境界近傍にまで増加させるようにし、かつ前記共鳴の安定限界を変化させる手段により、前記共鳴の安定限界を縮小させる速度を変えることにより、出射ビーム強度を変えるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム加速器のビーム出射制御方法。
- 荷電粒子ビーム加速器はサイクロトロンであり、粒子ビームを発生するイオン源とそのイオン源に電力を供給するアーク電流電源とを備え、出射ビーム強度制御は前記イオン源の制御により行うことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム加速器のビーム出射制御方法。
- 荷電粒子ビーム加速器と、この荷電粒子ビーム加速器の荷電粒子ビームの出射に関連する出射関連機器を制御する出射制御部と、前記出射された荷電粒子ビームを被照射体設置位置まで輸送する輸送部と、前記輸送された荷電粒子ビームを前記被照射体の所定の照射部位に照射するための照射装置とを有する荷電粒子ビーム照射システムにおいて、
前記出射制御部は、少なくとも1の前記照射部位に対して、予め設定されている計画線量の照射に対応する1回の照射に対して、2段階以上に設定された各段階の出射ビーム強度切り替え条件を有する出射パラメータを記憶する出射パラメータ記憶部を有し、少なくとも1の照射部位に対して、予め設定されている計画線量の照射に対応する1回の照射に対
して、前記出射ビーム強度切り替え条件に基づき前記出射ビーム強度を2段階以上に変え
て照射するよう前記出射関連機器を制御することを特徴とする荷電粒子ビーム照射システム。 - 荷電粒子ビーム照射システムは、照射線量を測定する線量モニタを備え、出射パラメータの各段階の切り替え条件は、前記各段階ごとに予め設定された積算線量目標値とし、出射制御部は前記線量モニタによる計画照射線量の照射に対応する1回の照射開始時点からの照射線量測定結果の積算値と前記各積算線量目標値とを比較判定する線量比較判定部、及び出射関連機器制御部を備え、前記線量比較判定部の判定結果に基づき前記各段階を切り替え、前記出射関連機器制御部を介して前記切り替えた各段階に対応した出射関連機器の制御を行うことを特徴とする請求項8に記載の荷電粒子ビーム照射システム。
- 荷電粒子ビーム照射システムは、照射線量を測定する線量モニタを備え、出射パラメータの切り替え条件は、最終段階に対しては予め設定された積算線量目標値、他の段階に対しては、予め設定された切り替え時間であり、出射制御部は、前記線量モニタによる照射線量測定結果の、計画照射線量の照射に対応する1回の照射開始時点から各段階の積算値と前記積算線量目標値とを比較判定する線量比較判定部、及び出射関連機器制御部を備え、
前記出射制御部は、最終段階に対しては、線量比較判定部の判定に従い、その他の段階に対しては、各段階に対応した前記切り替え時間に前記各段階を切り替え、前記出射関連機器制御部を介して前記切り替えた各段階に対応した出射関連機器の制御を行うことを特徴とする請求項8に記載の荷電粒子ビーム照射システム。 - 荷電粒子ビーム加速器は、四極電磁石と六極電磁石とを備え、両電磁石により共鳴の安定限界を形成するとともに、出射関連機器として、当該加速器の共鳴の安定限界を変化させる手段を備えたシンクロトロンであり、出射関連機器制御部は、前記共鳴の安定限界を変化させる手段により前記共鳴の安定限界を縮小させることによって、この共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームの一部を共鳴の安定限界外にして出射ビームを形成し、且つ
共鳴の安定限界を縮小させる速度を変えることによって、出射ビーム強度を変えるようにしたことを特徴とする請求項9又は10に記載の荷電粒子ビーム照射システム。 - 荷電粒子ビーム加速器は、四極電磁石と六極電磁石とを備え、両電磁石により共鳴の安定限界を形成するとともに、出射関連機器として、高周波ノックアウト機器を備え、その加速器内を周回する前記共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加させる手段を備えたシンクロトロンであり、出射関連機器制御部は、前記ベータトロン振動振幅を増加させる手段により、共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームの一部を共鳴の安定限界外にある荷電粒子ビームとすることによって出射ビームを形成し、かつ前記ベータトロン振動振幅を増加させる手段により、共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加させる速度を変えることによって、出射ビーム強度を変えるようにしたことを特徴とする請求項9又は10に記載の荷電粒子ビーム照射システム。
- 荷電粒子ビーム加速器は、四極電磁石と六極電磁石とを備え、両電磁石により共鳴の安定限界を形成するとともに、出射関連機器として、当該加速器の共鳴の安定限界を変化させる手段と、前記共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅を増加させる手段とを備えたシンクロトロンであり、出射関連機器制御部は、前記共鳴の安定限界を変化させる手段により前記共鳴の安定限界を縮小させることによって、この共鳴の安定限界内にある荷電粒子ビームの一部を共鳴の安定限界外にして出射ビームを形成し、荷電粒子ビームを出射させた後、前記共鳴の安定限界を変化させる手段により、前記共鳴の安定限界を元に戻し、且つ前記ベータトロン振動振幅を増加させる手段により、前記共鳴の安定限界内の荷電粒子ビームのビームエミッタンスを前記共鳴の安定限界内で且つ境界近傍にまで増加させるようにすることを1サイクルとし、これを1回の照射あたり、2サイクル以上繰り返すと共に、各サイクルごとの共鳴の安定限界を縮小させる速度を変えることによって、出射ビーム強度を変えるようにしたことを特徴とする請求項9又は10に記載の荷電粒子ビーム照射システム。
- ベータトロン振動振幅を増加させる手段は高周波ノックアウト機器であり、この高周波ノックアウト機器に印加する高周波電界の電圧値、周波数の少なくとも1つを変えることによりベータトロン振動振幅の増加の速度を変えることを特徴とする請求項12又は13に記載の荷電粒子ビーム照射システム。
- 共鳴の安定限界を変化させる手段は、出射四極電磁石であり、出射制御部は、この出射四極電磁石による磁場の時間変化を制御することにより共鳴の安定限界を縮小させる速度を変えることを特徴とする請求項11又は13に記載の荷電粒子ビーム照射システム。
- 荷電粒子ビーム加速器は、出射関連機器として、荷電粒子ビームを発生するイオン源とそのイオン源に電力を供給するアーク電流電源とを有するサイクロトロンであり、出射制御部はアーク電流電源から前記イオン源への供給電力を制御することにより出射ビーム強度を変えるようにしたことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の荷電粒
子ビーム照射システム。
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