JP5991474B2 - 魚肉練り製品、及び魚肉練り製品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、魚肉練り製品、その製造方法、及び当該魚肉練り製品の製造に好適に用いることができる魚肉練り製品用製剤に関するものである。より詳細には、魚肉練り製品の食感改良に関するものである。
水産練り製品は日本の伝統食品である。近年においては、アメリカ、ヨーロッパ、又はアジアで生産されるかに風味かまぼこに代表されるように、日本発のインターナショナルフードとして世界中に広まっている。
魚肉練り製品を製造するうえで坐り、又は戻りという現象を抜きにして語れない。
古来から求める食感を実現するために、魚肉練り製品の製造工程において、坐りと戻りの温度、及び時間の調整を行っていた。具体的には、ちくわ、又はかまぼこ等の水産練り製品では、原料の魚から採取し調製した魚のすり身を塩擂り後、調味したものを所定の形に整形後、50℃以下の温度にしばらく置き、蒸し、及び焼き等の最終加熱によって80℃前後近くまで品温を上げて製品としてきた。
ここで、50℃以下の温度帯においてはゲルの構造形成が行われ、これを「坐り(Suwari)」といい、50℃以上の温度帯においてはゲルの崩壊が起こり、これを「戻り(Modori)」という。そして、魚肉練り製品のゲル形成能を高める方法としては、5〜20℃以下で一晩(12〜16時間)放置してゲル形成を高める低温坐りと、30〜45℃で5〜60分程度放置してゲル形成を高める高温坐りの二種類がある。この坐り段階でのゲル形成をしっかり行うことで、坐り処理の後に80℃程度まで加熱処理する工程において、通常、60℃近辺で生ずる戻りによる物性の低下を抑制することができる。
したがって、魚肉練り製品の食感と物性を向上させる重要なポイントは、坐りを強くすることで、戻り温度帯における前記の物性の低下を防止、すなわち戻りを抑制することにある。
魚肉練り製品の食感と物性を向上させる方法としては、例えば、特許文献1に、魚肉にリポキシゲナーゼ活性度の高い大豆粉を添加する方法が開示されている。また、特許文献2には、魚肉に、無水物換算で30TIU/mg以上のトリプシンインヒビター活性を有する全脂大豆粉及び(又は)大豆ホエーと、粉末状大豆たん白と、カルシウム塩とを同時に添加することにより、相乗効果が発揮され、座りの増強及び戻りの抑制が達成されることに加えて、最終加熱ゲルが増強されるため、ゼリー強度及び弾力が増強した魚肉練り製品が製造できることが記載されている。さらに、特許文献3には、魚肉原料として、スケソウダラのすり身に比べてゲル形成能が低いイワシ、ホッケ、及びイトヨリ(イトヨリダイともいう)のすり身を多く使用した場合であっても、すり身に対し特定の量の全脂大豆粉を配合することによって、ゲル形成能を向上させて、ゼリー強度が強く食感が良好な魚肉練り製品を製造する方法が開示されている。
特開昭61−78361号公報 特開平8−9929号公報 国際公開第2010/098057号
特許文献1〜3に記載の魚肉練り製品を製造する方法は、いずれもすり身に全脂大豆粉等の大豆由来原料を添加することによって、魚肉練り製品のゲル形成能を高める方法であり、これらの方法により、魚肉練り製品の食感と物性、特にあし(硬さ、強さ、歯切れ、きめ等の要素からなる物理的な食感)が改善されている。
しかしながら、最近では、魚肉練り製品のゲル弾性力をさらに高めたものが求められてきた。
本発明は、魚肉練り製品の物性を、全脂大豆粉等の大豆由来原料のみを添加した場合よりもさらに向上させることを目的とする。具体的には、魚肉練り製品のゼリー強度を、すり身に大豆由来原料のみを添加した場合よりもさらに強め、ゲルの弾力性をさらに向上させることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、すり身に、大豆由来原料と特定の種類の粉末とを共に添加することによって、大豆由来原料のみを添加した場合よりも、ゼリー強度が強く、ゲルの弾力性がより優れた魚肉練り製品が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、すり身と、全脂大豆粉、脱脂大豆粉、大豆ホエー、豆乳粉末、及び抽出大豆たん白からなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(A)と、小麦全粒粉、小麦胚芽粉砕物、及び大麦全粒粉らなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(B)と、を原料として含むことを特徴とする魚肉練り製品である。
本発明の第2の発明は、前記成分(A)の含量は、トリプシンインヒビター活性が前記すり身1000質量部に対して10000〜400000TIU(Trypsin Inhibitor Unit)となる量であり、前記成分(B)の含量が、前記すり身1000質量部に対して1〜25質量部である、第1の発明に記載の魚肉練り製品である。
本発明の第3の発明は、すり身に、全脂大豆粉、脱脂大豆粉、大豆ホエー、豆乳粉末、及び抽出大豆たん白からなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(A)と、小麦全粒粉、小麦胚芽粉砕物、及び大麦全粒粉らなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(B)と、を配合することを特徴とする魚肉練り製品の製造方法である。
本発明の第4の発明は、前記成分(A)の含量は、トリプシンインヒビター活性が前記すり身1000質量部に対して10000〜400000TIUとなる量であり、前記成分(B)の含量が、前記すり身1000質量部に対して1〜25質量部である、第3の発明に記載の魚肉練り製品の製造方法である。
本発明の第5の発明は、全脂大豆粉、脱脂大豆粉、大豆ホエー、豆乳粉末、及び抽出大豆たん白からなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(A)と、小麦全粒粉、小麦胚芽粉砕物、及び大麦全粒粉らなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(B)と、を含有し、前記成分(A)の含量が10〜50質量%であり、前記成分(B)の含量が50〜90質量%であることを特徴とする魚肉練り製品用製剤である。
本発明の第6の発明は、すり身に、第5の発明に記載の魚肉練り製品用製剤を、トリプシンインヒビター活性が前記すり身1000質量部に対して10000〜400000TIUとなる量で添加することを特徴とする魚肉練り製品の製造方法である。
本発明に係る魚肉練り製品は、魚肉に大豆由来原料のみを添加して製造されたものよりも、ゼリー強度が強く食感が良好である。
また、本発明に係る魚肉練り製品の製造方法、及び本発明に係る魚肉練り製品用製剤により、ゼリー強度が強く食感が良好な魚肉練り製品を簡便に製造することができる。
戻り加熱処理後に加熱処理を行うかまぼこの製造方法(かまぼこの製造方法1)のフローを示す図である。 比較例1〜5のケーシングかまぼこについて、すり身1000質量部に対する全脂大豆粉の添加量〔質量部/すり身1000質量部〕と、ゼリー強度〔g・mm〕との関係を示した図である。 実施例1〜2及び比較例1、3、6〜8のケーシングかまぼこについて、すり身1000質量部に対するコーン胚芽粉砕物の添加量〔質量部/すり身1000質量部〕と、ゼリー強度〔g・mm〕との関係を示した図である。 実施例3〜4及び比較例1、3、9〜11のケーシングかまぼこについて、すり身1000質量部に対する小麦胚芽粉砕物の添加量〔質量部/すり身1000質量部〕と、ゼリー強度〔g・mm〕との関係を示した図である。 比較例1、3、12〜14及び実施例5〜7のケーシングかまぼこについて、ゼリー強度の算出結果を示した図である。 比較例1、3、15〜18のケーシングかまぼこについて、ゼリー強度の算出結果を示した図である。
<魚肉練り製品及びその製造方法>
本発明に係る魚肉練り製品は、すり身と、全脂大豆粉、脱脂大豆粉、大豆ホエー、豆乳粉末、及び抽出大豆たん白からなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(A)と、小麦全粒粉、小麦胚芽粉砕物、コーン全粒粉、コーンフラワー、コーン胚芽粉砕物、大麦全粒粉、大麦糠、あわ全粒粉、及びひえ全粒粉からなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(B)と、を原料として含むことを特徴とする。すり身原料に、大豆由来原料である成分(A)と、大豆以外に由来する特定の原料群(成分(B))とを併用して添加することにより、すり身原料のゲル形成能を著しく向上させることができる。このため、本発明に係る魚肉練り製品は、大豆由来原料のみをすり身に添加した製品よりも、ゼリー強度がより強く、食感が良好である。
成分(A)と成分(B)とを併用することによって、成分(A)のみを用いた場合よりも、魚肉練り製品の製造時の戻り温度帯で生じる「戻り」を抑制することができるため、得られる製品の物性低下を抑えることができる。これにより、ゼリー強度が強く、食感が良好な魚肉練り製品を得ることができる。
なお、後記比較例1、3、15、16に示すように、単独ですり身に添加した場合にゲル形成能向上効果がある成分(小麦粉)を成分(A)に併用した場合であっても、成分(A)単独添加の効果とほぼ変わらないゲル形成能向上効果しか得られない場合がある。例えば、比較例1、3、10、実施例3に示すように、特定の成分(小麦胚芽)、すなわち成分(B)を成分(A)と併用することによって、はじめて相加効果が得られる。
本発明において用いられる成分(A)は、全脂大豆粉、脱脂大豆粉、大豆ホエー、豆乳粉末、及び抽出大豆たん白からなる群より選択される1種又は2種以上からなる。本発明においては、成分(A)として、少なくとも全脂大豆粉を用いるものが好ましい。
成分(A)として用いられる全脂大豆粉としては、製造時における加熱状態によって、生全脂大豆粉から加熱脱臭全脂大豆粉等種々のものがあり、これらを利用することができる。
生全脂大豆粉は、例えば、乾燥大豆を脱皮処理後、乾燥し、粉砕処理することにより製造することができる。また、加熱脱臭全脂大豆粉は、例えば、乾燥大豆(原料)を脱皮処理後、加熱脱臭処理し、その後乾燥し、粉砕処理することにより製造することができる。
市販の生全脂大豆粉としては、例えば、日清オイリオグループ(株)製の商品「ソーヤフラワーNSA」が挙げられ、加熱脱臭全脂大豆粉としては、例えば、日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」が挙げられる。
成分(A)として用いられる脱脂大豆粉は、喫食可能なものであれば特に限定されるものではない。脱脂大豆粉は、例えば、乾燥大豆を脱皮処理し、脱脂処理後、乾燥し、粉砕処理することにより製造することができる。このようにして製造された脱脂大豆粉は、大豆の種皮及び油脂以外の画分、つまり、おから成分、糖成分、及び大豆たん白成分を含有する。
また、脱脂大豆粉としては、市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、日清オイリオグループ(株)製の脱脂大豆粉末(商品名「ソーヤフラワーA」)等が挙げられる。
成分(A)として用いられる大豆ホエーとしては、アルコール洗浄型濃縮大豆たん白の大豆ホエーや、酸沈澱ホエー等が挙げられる。これらの大豆ホエーは、溶液状態のものであってもよく、乾燥物であってもよい。
成分(A)として用いられる豆乳粉末は、豆乳を粉末化したものをいう。
豆乳粉末は、喫食可能なものであれば特に限定されるものではない。豆乳粉末は、例えば、大豆を粉砕したものを水に入れて抽出後、おからを分離して得られた溶液を乾燥処理することにより製造することができる。具体的は、大豆に6倍量の水を加水し、40℃で攪拌しながら1時間抽出を行う。続いて、横型連続遠心分離機(メイン:4000rpm、バック:3000rpm)で固形分(おから)を除去し、得られた溶液を、噴霧乾燥(入り口180℃、出口90℃)することにより、豆乳粉末を製造することができる。また、市販の豆乳を噴霧乾燥により粉末化することにより豆乳粉末を製造することもできる。
成分(A)として用いられる抽出大豆たん白は、市販品を使用することができる。市販品として、例えば、不二製油(株)製の抽出大豆たん白(商品名「プロフィット1000」)が挙げられる。
本発明に係る魚肉練り製品に原料として添加される成分(A)の量は、トリプシンインヒビター活性がすり身1000質量部に対して10000〜400000TIU(Trypsin Inhibitor Unit)となる量であることが好ましく、20000〜300000TIUとなる量であることがより好ましく、30000〜200000TIUとなる量であることがさらに好ましい。トリプシンインヒビター活性が前記範囲内であれば、すり身のゲル形成能向上効果が充分に発揮される。
成分(A)は、トリプシンインヒビター活性がすり身1000質量部に対して400000TIUとなる量よりも多い量を添加することもできるが、添加効果は頭打ちとなってしまうため、成分(A)の添加量を増やしたとしても、さらなる食感改良はあまり期待することができない。
例えば、トリプシンインヒビター活性が50TIU/mgの全脂大豆粉を使用する場合、すり身1000質量部に対して、全脂大豆粉を0.2〜8質量部(全脂大豆粉によるトリプシンインヒビター活性:10000〜400000TIU)添加することが好ましく、0.4〜6質量部(トリプシンインヒビター活性:20000〜300000TIU)添加することがより好ましく、0.6〜4質量部(トリプシンインヒビター活性:30000〜200000TIU)添加することが最も好ましい。
ここで、「TIU」とは、トリプシンインヒビター活性の大きさを表わす単位として最も一般的に使用されているものであり、Kakade et al.Cereal Chemistry 51.3.376〜(1974)に記載されている方法に準じて測定を行い、410nmにおける吸光度0.01阻害する活性を1TIUとして定義される。
そして、「トリプシンインヒビター活性」とは、トリプシンの酵素反応によりベンゾイル−DL−アルギニンニトロアニリド塩酸(以下、DL−BAPA)から黄色を呈するパラニトロアニリンが生成される際の阻害程度を意味するもので、下記の方法で測定される。
a)200mL容の三角フラスコにサンプル約1.00gをとり、0.005N NaOH溶液50mLを加える。
b)室温(25℃)で60分間振とうし、均一に溶かす。
c)振とう後、3000rpmで10分間遠心分離し、上清を濾紙(No.5B)で濾過し、サンプル液を得る。
d)得られたサンプル液を、予想されるTIUに応じた濃度に希釈する。
e)試験管にサンプル希釈液をそれぞれ0(サンプルブランク2個)、0.6、0.9、1.2、1.5、及び1.8mLとり、脱イオン水で2mLにする。
f)上記の各希釈液にトリプシン溶液2mLを加え、攪拌し、37℃恒温槽に10分間おく。
g)DL−BAPA溶液(37℃保存)5mLを加え、正確に10分後、30%酢酸溶液1mLでよく攪拌し反応を停止する。
h)試薬ブランクとして、脱イオン水2mL、トリプシン溶液2mL、30%酢酸溶液1mL、及びDL−BAPA溶液5mLの順に加えたものを用意する。
i)前記g)で得た反応液を濾紙(5C)を用いて濾過し、得られた濾液の410nmの波長における吸光度を、試薬ブランクを対照として、10mmのガラスセルを用いて測定する。
j)得られた測定結果を用い、下記の計算式によりTIUの値を求める。なお、TIU値は、サンプルブランクの示す吸光度(平均値)に対して、希釈液中の吸光度が40〜60%にあてはまるものを有意とする。また、40〜60%の範囲の当てはまるものが複数個ある場合には、50%により近いものを有効とする。
TIU/mg=(A−B)/0.01×サンプル量
A:サンプルブランクの吸光度の平均値、B:希釈サンプルの吸光度
本発明において用いられる成分(B)は、小麦全粒粉(小麦の表皮、胚芽、胚乳を全て粉にしたもの)、小麦胚芽粉砕物(小麦胚芽を粉砕したもの)、コーン全粒粉(乾燥させたトウモロコシを挽いた粉末)、コーンフラワー(乾燥させたトウモロコシを挽いた粉末であり、コーンミールよりも細かく粉砕したもの)、コーン胚芽粉砕物(コーン胚芽を粉砕したもの)、大麦全粒粉(大麦の表皮、 胚芽、胚乳を全て粉にしたもの)、大麦糠(大麦を食糧用として精白する段階で、副産物として発生するもの)、あわ全粒粉、及びひえ全粒粉からなる群より選択される1種又は2種以上からなる。これらの中でも、成分(A)と併用した際に、すり身原料のゲル形成能をより向上させるため、コーン胚芽を使用することが好ましい。
成分(B)として用いられる小麦全粒粉、小麦胚芽粉砕物、コーン全粒粉、コーンフラワー、コーン胚芽粉砕物、大麦全粒粉、大麦糠、あわ全粒粉、及びひえ全粒粉は、それぞれ常法により製造されたものを用いることができる。また、市販されているものを用いることもできる。
本発明に係る魚肉練り製品において、原料として用いられる成分(B)の量は、すり身1000質量部に対して、1〜25質量部であることが好ましく、3〜15質量部であることがより好ましく、5〜12質量部であることがさらにより好ましく、8〜12質量部が最も好ましい。かかる範囲であると、より高いすり身原料のゲル形成能向上効果を発揮することができる。
本発明に係る魚肉練り製品の原料すり身の魚肉には、スケソウダラ、イワシ、ホッケ、イトヨリ、キンメダイ、ヒメジ、アマダイ、グチ、エソ、アジ、タチウオ、ハモ、トビウオ、サメ、ミナミダラ、ホキ、メルルーサ、パシフィックホワイティング等の魚肉を使用することができる。また、原料すり身は、1種類のみの魚肉からなるものであってもよく、2種類以上の魚肉からなるものであってもよい。
本発明に係る魚肉練り製品の原料すり身は、例えば、原料の魚から採肉、水晒し、脱水、砕肉、(所望により添加物混合)、成型、及び冷凍等の工程を経て製造して得ることができる。また、市販のすり身を使用することもできる。市販のすり身としては、冷凍すり身を使用することができ、ショ糖、糖アルコール、トレハロース、リン酸塩、卵白、及び牛血清アルブミン等の添加物が添加されたものを使用することもできる。
また、本発明に係る魚肉練り製品には、さらに水を加えることができる。水を加える場合の配合量は、すり身の魚種や品質によっても異なってくるが、すり身1000質量部に対して50〜800質量部であることが好ましく、200〜800質量部であることがより好ましく、400〜800質量部であることがさらに好ましい。
本発明に係る魚肉練り製品には、すり身、成分(A)、及び成分(B)に加えて、その他の原料を含んでいてもよい。当該その他の原料としては、えだ豆、タコ、イカ、ごぼう、ねぎ、たまねぎ、にんじん、しいたけ、昆布、コーン、ごま等の具材や、乳化剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、酸化防止剤、トランスグルタミナーゼ、グルテン、卵白、炭酸カルシウムや乳酸カルシウム等のカルシウム塩、食塩、糖類、澱粉、デキストリン、糖アルコール、調味料、香辛料、着色料、保存料等の添加物を使用することができる。これらの添加物の配合量は、すり身1000質量部に対して0.1〜200質量部であることが好ましい。特に、食塩の配合量は、すり身1000質量部に対して5〜50質量部であることがより好ましく、10〜40質量部であることがさらにより好ましく、20〜40質量部であることが最も好ましい。
乳化剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、及びレシチン等が挙げられる。
使用するカルシウム塩としては、食品添加物として定められたものであれば、どのようなものであっても使用することができ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、及び乳酸カルシウム等を挙げることができる。これらは市販品を使用することができる。
澱粉をすり身に添加すると、魚肉練り製品の離水を防止し、ゼリー強度を強くする効果がある。使用する澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、甘薯澱粉、及びこれら澱粉の加工澱粉等が挙げられ、加工澱粉としては、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、及びリン酸架橋澱粉等が挙げられる。これらは、市販品を使用することができる。
澱粉を使用する場合、その配合量は、すり身1000質量部に対して、20〜200質量部であることが好ましく、50〜150質量部であることがより好ましく、50〜120質量部であることがさらにより好ましく、80〜120質量部であることが最も好ましい。
本発明に係る魚肉練り製品は、原料であるすり身、成分(A)、及び成分(B)(必要に応じてその他の原料)を混合し、成型し、加熱処理によりゲル化させた食品である。本発明に係る魚肉練り製品として、具体的には、かまぼこ、風味かまぼこ、ちくわ、さつま揚げ、魚肉ソーセージ、はんぺん、及びがんもどき等を挙げることができる。
本発明に係る魚肉練り製品の物性は、例えば、破断応力〔g〕及び破断変形〔mm〕を、Stable Micro Systems社製のテクスチャーアナライザー(TA).XTplus(XTPL15型)等の物性測定装置を用いて測定することができる。さらに、破断応力及び破断変形の測定値の積をゼリー強度〔g・mm〕として算出し、その値により、魚肉練り製品のゲルの強度を評価することができる。
本発明に係る魚肉練り製品は、原料としてすり身、成分(A)、及び成分(B)を用いればよく、例えば、すり身の荒擂り工程、塩擂り工程、本擂り工程、成型工程、加熱工程、及び冷却工程を経る製造方法で製造することができる。そして、加熱工程での加熱処理としては、蒸し加熱処理、焼き加熱処理、揚げ加熱処理、及び湯通し処理等の処理が挙げられ、これらの処理を複数併用して加熱処理することもできる。例えば、前記加熱処理中の蒸し加熱処理としては、80〜130℃で30秒間〜2時間蒸すことにより行うことができ、また、揚げ加熱処理としては、130℃〜190℃の油で1分間〜10分間揚げることにより行うことができる。
すり身を含む原料に、成分(A)及び成分(B)を添加して混合する時期は、加熱工程前であればいつでもよく、具体的には、荒擂り工程、塩擂り工程、及び本擂り工程のどの工程でも添加することができる。特に製造工程中の低温下における「戻り」も抑制したい場合には、荒擂り工程で添加するのが好ましい。
えだ豆等の具材を配合する場合には、本擂り工程で得られる擂り上がり品に混合するのがよい。また、食塩は塩擂り工程で添加するのが好ましい。乳化剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、酸化防止剤、トランスグルタミナーゼ、グルテン、卵白、炭酸カルシウムや乳酸カルシウム等のカルシウム塩、糖類、澱粉、デキストリン、糖アルコール、調味料、香辛料、着色料、又は保存料等の添加物は、加熱工程前に添加するのであればいつでもよく、具体的には、荒擂り工程、塩擂り工程、及び本擂り工程のどの工程でも添加することができる。
本発明に係る魚肉練り製品がかまぼこの場合を例にとり、具体的な製造方法の一例を下記に挙げる。即蒸し処理によるかまぼこの製造の場合には、例えば、次のようにして製造できる。まず、冷凍すり身を室温で半解凍し、真空カッターへ投入する。真空カッターで、すり身を荒擂りし、この段階で水、成分(A)及び成分(B)を添加し、擂り上がり後のすり身の温度が1〜3℃になるまで擂潰する(荒擂り工程)。次に、食塩を添加し、すり身温度が3〜8℃になるまで減圧下で擂潰し、その後、水を添加し、すり身温度が8〜10℃になるまでの減圧下で擂潰する(塩擂り工程)。次に、さらに水を添加し、必要に応じて、乳化剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、酸化防止剤、トランスグルタミナーゼ、グルテン、卵白、炭酸カルシウムや乳酸カルシウム等のカルシウム塩、糖類、澱粉、デキストリン、糖アルコール、調味料、香辛料、着色料、又は保存料等の添加物を添加し、すり身温度が10〜13℃になるまで減圧下で擂潰し(本擂り工程)、擂り上がり品を得る。次に、得られた擂り上がり品を成型し、75〜130℃で30秒間〜2時間加熱処理(蒸し加熱処理、焼き加熱処理、揚げ加熱処理、及び湯通し処理等)後、冷却することでかまぼこを製造する。
また、低温坐り処理をしたかまぼこの製造の場合には、例えば、本擂り工程までは前記と同様にして行い、得られた擂り上がり品を成型し、5〜20℃以下で12〜16時間低温坐り処理をした後、75〜130℃で30秒〜2時間加熱処理(蒸し加熱処理、焼き加熱処理、揚げ加熱処理、及び湯通し処理等)後、冷却することでかまぼこを製造する。
また、高温坐り処理をしたかまぼこの製造の場合には、例えば、本擂り工程までは前記と同様にして行い、得られた擂り上がり品を成型し、30〜45℃で5〜60分間高温坐り処理をした後、75〜130℃で30秒〜2時間加熱処理(蒸し加熱処理、焼き加熱処理、揚げ加熱処理、及び湯通し処理等)後、冷却することでかまぼこを製造する。
<魚肉練り製品用製剤>
本発明に係る魚肉練り製品用製剤は、脱脂大豆粉、大豆ホエー、豆乳粉末、及び抽出大豆たん白からなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(A)と、小麦全粒粉、小麦胚芽粉砕物、コーン全粒粉、コーンフラワー、コーン胚芽粉砕物、大麦全粒粉、大麦糠、あわ全粒粉、及びひえ全粒粉からなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(B)と、を含有し、前記成分(A)の含量が10〜50質量%であり、前記成分(B)の含量が50〜90質量%であることを特徴とする。予め、成分(A)及び成分(B)を含有する製剤にしておくことにより、両者を一度にすり身に添加することができ、本発明に係る魚肉練り製品をより簡便に製造することができる。
本発明に係る魚肉練り製品用製剤に含まれている成分(A)及び成分(B)としては、前記の魚肉練り製品において説明したものと同じものを用いることができる。
本発明に係る魚肉練り製品用製剤中の成分(A)の含量は、10〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが最も好ましい。また、本発明に係る魚肉練り製品用製剤中の成分(B)の含量は、50〜90質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましく、70〜90質量%であることが最も好ましい。さらに、本発明に係る魚肉練り製品用製剤中、成分(A)の含量が10〜50質量%であり、成分(B)の含量が50〜90質量%であることが好ましく、成分(A)の含量が10〜40質量%であり、成分(B)の含量が60〜90質量%であることがより好ましく、成分(A)の含量が10〜30質量%であり、成分(B)の含量が70〜90質量%であることがさらに好ましい。
本発明に係る魚肉練り製品用製剤は、成分(A)と成分(B)のみからなるものであってもよく、その他の成分を含むものであってもよい。当該その他の成分としては、例えば、乳化剤、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、炭酸カルシウムや乳酸カルシウム等のカルシウム塩、酸化防止剤(ビタミンE、及びカテキン等)、糖(ショ糖、ブドウ糖、キシロース、及びトレハロース等)、澱粉、デキストリン、又は糖アルコール等が挙げられる。これらの成分を含む場合には、本発明に係る魚肉練り製品用製剤中のこれらの配合量は、0.01〜20質量%であることが好ましい。
本発明に係る魚肉練り製品用製剤は、成分(A)と成分(B)をナウターミキサー、リボンブレンダー、V型混合機、又はマトコンブレンダー等の混合機で混合することにより製造することができる。乳化剤、カルシウム塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、澱粉、デキストリン、酸化防止剤等を配合する場合には、成分(A)と成分(B)の混合と同時、又はそれらの混合の前後で配合し、製造することができる。
本発明に係る魚肉練り製品用製剤を、前述の本発明に係る魚肉練り製品を製造する方法における成分(A)と成分(B)に代えて用いることにより、本発明に係る魚肉練り製品を製造することができる。具体的には、すり身に、本発明に係る魚肉練り製品用製剤を添加することによって、本発明に係る魚肉練り製品を製造することができる。
本発明に係る魚肉練り製品用製剤は、トリプシンインヒビター活性がすり身1000質量部に対して10000〜400000TIUとなる量添加することが好ましく、20000〜300000TIUとなる量添加することがより好ましく、30000〜200000TIUとなる量添加することが最も好ましい。
トリプシンインヒビター活性が前記範囲内となるように添加することにより、当該魚肉練り製品用製剤によるすり身のゲル形成能向上効果が充分に発揮される。
以下、本発明の実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<ケーシングかまぼこの製造方法>
なお、以下の実施例等において、ケーシングかまぼこは、戻り加熱処理後に加熱処理を行うかまぼこの製造方法(かまぼこの製造方法1)により製造した。図1は、かまぼこの製造方法1のフローを示す図である。
まず、冷凍すり身(スケソウダラすり身2級)を室温で半解凍し、真空カッター(Stephan社製、Stephan Universal Machine UM−5)へ投入した。真空カッターで、すり身を荒擂りし、この段階で、全加水量の1/3量の水を添加し、成分(A)及び/又は成分(B)を添加した。擂潰は、擂り上がり後のすり身の温度が1〜3℃になるまで行った(荒擂り工程、約5分間)。
次に、食塩を添加し、すり身温度が3〜8℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰し、その後、全加水量の1/3量の水を添加し、すり身温度が8〜10℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰した(塩擂り工程、約2分間)。
次に、残りの1/3量の水を添加し、馬鈴薯澱粉を添加し、すり身温度が10〜13℃になるまで、減圧下で擂潰し(本擂り工程、約1分間)、擂り上がり品を得た。
次に、得られた擂り上がり品を、ケーシング(株式会社クレハ製、クレハロンシームA08、55mm×300mm No.4)に詰めて結束後、60℃で、40分間戻り加熱処理をした後、92℃で40分間加熱処理を行った。その後、流水で冷却し、ケーシングかまぼこを得た。
<ケーシングかまぼこの物性評価>
製造したケーシングかまぼこについて、破断応力〔g〕、及び破断変形〔mm〕を、Stable Micro Systems社製のテクスチャーアナライザー(TA).XTplus(XTPL15型、直径8mm球状プランジャー)を用いて測定し、それらの値の積をゼリー強度〔g・mm〕として算出し、ゲルの強度を評価した。
[実施例1〜4、及び比較例1〜11(実施例1及び2は参考例)
表1〜3に示す配合により、実施例1〜4及び比較例1〜11のケーシングかまぼこを製造し、その破断応力と破断変形を測定し、ゼリー強度を算出した。測定及び算出の結果を表1〜3に示す。なお、全脂大豆粉は日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」を用いた。コーン胚芽粉砕物は、コーン胚芽を、大阪ケミカル(株)製の粉砕機(Vita−Mix ABSOLUTE Blender)を用いて粉砕(粉砕条件レベル:VARIABLE、可変速度ダイヤル:9、粉砕時間:30秒間)して得られたものを使用した。小麦胚芽粉砕物は、GIUSTO′S社製の未加熱の小麦胚芽商品「Raw Wheat Germ」を、大阪ケミカル(株)製の粉砕機(Vita−Mix ABSOLUTE Blender)を用いて粉砕(粉砕条件レベル:VARIABLE、可変速度ダイヤル:9、粉砕時間:30秒間)して得られたものを使用した。また、表1〜3中の「全脂大豆粉」の欄の三行目は、すり身1000質量部当たりに添加した全脂大豆粉のトリプシンインヒビター活性を示す。
比較例1〜5について、すり身1000質量部に対する全脂大豆粉の添加量と、ゼリー強度との関係を図2に示す。また、比較例1、3、6〜8及び実施例1〜2について、すり身1000質量部に対するコーン胚芽粉砕物の添加量と、ゼリー強度との関係を図3に示す。図3中、「コーン胚芽粉砕物」は比較例1、6〜8の結果を、「全脂大豆粉+コーン胚芽粉砕物」は、比較例3と実施例1及び2の結果を、それぞれ直線で結んだものである。
図2のグラフからわかるように、全脂大豆粉は、すり身1000質量部に対し3質量部以上では、ゼリー強度はほぼ同程度であり、全脂大豆粉添加によるゼリー強度の増強効果は頭打ちになった。図3のグラフからわかるように、コーン胚芽粉砕物は、すり身1000質量部に対する添加量1〜10質量部で、添加量依存的にゼリー強度が強くなっていた。また、すり身1000質量部に対して全脂大豆粉3質量部を添加したものに、さらにコーン胚芽粉砕物を添加すると、コーン胚芽粉砕物の添加量依存的にゼリー強度が強くなっていた。
図2及び図3の結果から、全脂大豆粉とコーン胚芽粉砕物を併用することにより、全脂大豆粉単独で用いた場合よりも、すり身のゲル形成能を増強させることができ、よりゼリー強度の強い魚肉練り製品が製造できることがわかった。
比較例1、3、9〜11及び実施例3〜4について、すり身1000質量部に対する小麦胚芽粉砕物の添加量と、ゼリー強度との関係を図4に示す。図4中、「小麦胚芽粉砕物」は比較例1、9〜11の結果を、「全脂大豆粉+小麦胚芽粉砕物」は、比較例3と実施例3及び4の結果を、それぞれ直線で結んだものである。
図4のグラフからわかるように、小麦胚芽粉砕物は、すり身1000質量部に対する添加量1〜10質量部で、添加量依存的にゼリー強度が強くなっていた。また、すり身1000質量部に対して全脂大豆粉3質量部を添加したものに、さらに小麦胚芽粉砕物を添加すると、小麦胚芽粉砕物の添加量依存的にゼリー強度が強くなっていた。
図2及び図4の結果から、全脂大豆粉と小麦胚芽粉砕物を併用することにより、全脂大豆粉単独で用いた場合よりも、すり身のゲル形成能を増強させることができ、よりゼリー強度の強い魚肉練り製品が製造できることがわかった。
[実施例5〜7、及び比較例12〜14(実施例5は参考例)
表4に示す配合により、実施例5〜7、及び比較例12〜14のケーシングかまぼこを製造し、その破断応力と破断変形を測定し、ゼリー強度を算出した。測定及び算出の結果を表4に示す。なお、全脂大豆粉は日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」を用いた。コーンフラワーは、(株)サニーメイズ製の商品「コーンフラワーNO.7」を使用した。大麦全粒粉は、大麦(品種:イチバンボシ)を、大阪ケミカル(株)製の粉砕機(Vita−Mix ABSOLUTE Blender)を用いて粉砕(粉砕条件レベル:VARIABLE、可変速度ダイヤル:9、粉砕時間:30秒間)して得られたものを使用した。小麦全粒粉は、日清製粉(株)製の商品「小麦全粒粉」を使用した。また、表4中の「全脂大豆粉」の欄の三行目は、すり身1000質量部当たりに添加した全脂大豆粉のトリプシンインヒビター活性を示す。
比較例1、3と合わせて、比較例12〜14及び実施例5〜7について、ゼリー強度の測定結果を図4に示す。この結果、コーンフラワー、大麦全粒粉、及び小麦全粒粉は、いずれも単独ですり身に添加した場合に、全脂大豆粉には及ばないものの、ゼリー強度を高められることがわかった。また、全脂大豆粉とそれぞれを併用添加することにより、ゼリー強度の増強効果において、相加効果が観察された。
[実施例8(参考例)
表5に示す配合により、実施例8のケーシングかまぼこを製造し、その破断応力と破断変形を測定し、ゼリー強度を算出した。配合、測定及び算出の結果を、実施例1と共に表5に示す。なお、全脂大豆粉は日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」を用いた。抽出大豆たん白は、不二製油(株)製の商品「プロフィット1000」を使用した。コーン胚芽粉砕物は、コーン胚芽を、大阪ケミカル(株)製の粉砕機(Vita−Mix ABSOLUTE Blender)を用いて粉砕(粉砕条件レベル:VARIABLE、可変速度ダイヤル:9、粉砕時間:30秒間)して得られたものを使用した。
また、実施例8では、全脂大豆粉と抽出大豆たん白の合計のトリプシンインヒビター活性が、実施例1と同じ108000TIUになるように配合した。
この結果、成分(A)の総トリプシンインヒビター活性がほぼ同程度であった実施例1と8のケーシングかまぼこのゼリー強度は、ほぼ同程度であった。
[比較例15〜18]
表6に示す配合により、比較例15〜18のケーシングかまぼこを製造し、その破断応力と破断変形を測定し、ゼリー強度を算出した。配合、測定及び算出の結果を、比較例1及び3と共に表6に示す。なお、全脂大豆粉は日清オイリオグループ(株)製の商品アルファプラスHS−600を用い、小麦粉(小麦粒から果皮や胚芽の部分をふすまとして取り除いた胚乳の部分を挽いたもの)は(株)富澤商店製の商品「カメリア」を用い、コーンスターチ(トウモロコシの澱粉部を精製したもの)は日本食品化工(株)製の商品「日食コーンスターチIPY」を用いた。
比較例1、3と合わせて、比較例15〜18について、ゼリー強度の測定結果を図5に示す。この結果、小麦粉を単独ですり身に添加した比較例15では、全脂大豆粉を単独で添加した比較例3と同様にゼリー強度が高くなったが、小麦粉と全脂大豆粉を併用添加した比較例16は、全脂大豆粉を単独で添加した比較例3と同程度のゼリー強度しかなかった。また、コーンスターチを単独ですり身に添加した比較例17では、比較例1と同程度のゼリー強度しかなく、また、コーンスターチと全脂大豆粉を併用添加した比較例18のゼリー強度は、全脂大豆粉を単独で添加した比較例3と同程度であった。これらの結果から、単独ですり身のゲル形成能増強効果を有する物質であっても、成分(A)と併用添加した場合に相加効果が得られないものがあることがわかった。
〔魚肉練り製品用製剤の製造〕
全脂大豆粉(日清オイリオグループ(株)製の商品「アルファプラスHS−600」)600g及びコーン胚芽粉砕物2000gをビニール袋に入れて振とうすることにより、魚肉練り製品用製剤2600gを製造した。なお、コーン胚芽粉砕物は、コーン胚芽を、大阪ケミカル(株)製の粉砕機(Vita−Mix ABSOLUTE Blender)を用いて粉砕(粉砕条件レベル:VARIABLE、可変速度ダイヤル:9、粉砕時間:30秒間)して得られたものを使用した。
本発明に係る魚肉練り製品及びその製造方法は、水産加工品、魚肉ソーセージ等の食品分野に使用することができ、また、本発明に係る魚肉練り製品用製剤は、魚肉練り製品の食感を向上するために、魚肉練り製品の原料として使用することができる。

Claims (6)

  1. すり身と、
    全脂大豆粉、脱脂大豆粉、大豆ホエー、豆乳粉末、及び抽出大豆たん白からなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(A)と、
    小麦全粒粉、小麦胚芽粉砕物、及び大麦全粒粉らなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(B)と、
    を原料として含むことを特徴とする魚肉練り製品。
  2. 前記成分(A)の含量は、トリプシンインヒビター活性が前記すり身1000質量部に対して10000〜400000TIU(Trypsin Inhibitor Unit)となる量であり、
    前記成分(B)の含量が、前記すり身1000質量部に対して1〜25質量部である、請求項1に記載の魚肉練り製品。
  3. すり身に、
    全脂大豆粉、脱脂大豆粉、大豆ホエー、豆乳粉末、及び抽出大豆たん白からなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(A)と、
    小麦全粒粉、小麦胚芽粉砕物、及び大麦全粒粉らなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(B)と、
    を配合することを特徴とする魚肉練り製品の製造方法。
  4. 前記成分(A)の含量は、トリプシンインヒビター活性が前記すり身1000質量部に対して10000〜400000TIUとなる量であり、
    前記成分(B)の含量が、前記すり身1000質量部に対して1〜25質量部である、請求項3に記載の魚肉練り製品の製造方法。
  5. 全脂大豆粉、脱脂大豆粉、大豆ホエー、豆乳粉末、及び抽出大豆たん白からなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(A)と、
    小麦全粒粉、小麦胚芽粉砕物、及び大麦全粒粉らなる群より選択される1種又は2種以上からなる成分(B)と、
    を含有し、前記成分(A)の含量が10〜50質量%であり、前記成分(B)の含量が50〜90質量%であることを特徴とする魚肉練り製品用製剤。
  6. すり身に、請求項5に記載の魚肉練り製品用製剤を、トリプシンインヒビター活性が前記すり身1000質量部に対して10000〜400000TIUとなる量で添加することを特徴とする魚肉練り製品の製造方法。
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