JP6037895B2 - 澱粉含有食品用老化防止剤 - Google Patents
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Description
特許文献1及び2では、すり身の蛋白に視点を当て、大豆粉等を使用することで魚肉練り製品の品質改善の検討を行っているが、副材料である澱粉の老化を防止することで、冷蔵保存時の魚肉練り製品の食感を改善するということについては、何ら検討されていなかった。
本研究では副材料である澱粉に視点を当て、魚肉練り製品の冷蔵保存時の澱粉の老化を防止することで、冷蔵保存した魚肉練り製品を美味しく食べられる技術を開発した。
すなわち、本発明の第1の態様は、NSIが70〜93%の全脂大豆粉を含む澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤である。
本発明の第2の態様は、前記NSIが70〜93%の全脂大豆粉の含量が10〜100質量%である第1の態様に記載の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤である。
本発明の第3の態様は、さらに、大豆蛋白を含む第2の態様に記載の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤である。
本発明の第4の態様は、前記NSIが70〜93%の全脂大豆粉の含量が10〜50質量%、前記大豆蛋白の含量が50〜90質量%である第3の態様に記載の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤である。
本発明の第5の態様は、すり身1000質量部に、澱粉10〜300質量部、及び第1〜第4の態様に記載の澱粉含有肉練り製品用老化防止剤を2〜20質量部添加して混合し、加熱することを特徴する澱粉含有魚肉練り製品の製造方法である。
本発明の第6の態様は、原料として、すり身1000質量部及び澱粉10〜300質量部を含有する澱粉含有魚肉練り製品の製造において、原料に第1〜第4の態様に記載の澱粉魚含有肉練り製品用老化防止剤を2〜20質量部添加することを特徴する澱粉含有魚肉練り製品の冷蔵保存時におけるゼリー強度の上昇を防ぐ方法である。
まず、本発明の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤に使用する全脂大豆粉について説明をする。
本発明における全脂大豆粉は、サポニン組成を改良していない大豆を原料とした全脂大豆粉を使用することもできるが、サポニン組成改良大豆を原料とした全脂大豆粉も使用することができる。
また、リポキシゲナーゼが欠失していない大豆を原料とした全脂大豆粉を使用することもできるが、リポキシゲナーゼ欠失大豆を原料とした全脂大豆粉も使用することができる。ここで、リポキシゲナーゼとは、油脂の酸化を促進することが知られる酸化還元酵素である。
水溶性窒素指数(NSI)=上清中の全窒素の含有量(%)×100/試料中の全窒素(%)
本発明の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤には、大豆蛋白を含有することができる。
本発明に使用する粉末状大豆蛋白としては、例えば、粉末状分離大豆蛋白、粉末状濃縮大豆蛋白、粉末状抽出大豆蛋白、及び粉末状酵素分解大豆蛋白等が挙げられる。これら粉末状大豆蛋白は、市販品を使用することができ、例えば、日清オイリオグループ(株)製の粉末状分離大豆蛋白(商品名:ソルピー4000)、日清オイリオグループ(株)製の粉末状酵素分解大豆蛋白(商品名:ソルピー1500))等が挙げられる。
したがって、澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤に大豆蛋白を含有させる場合には、本発明の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤中の全脂大豆粉の含有量が10〜50質量%で、大豆蛋白の含有量が50〜90質量%であることが好ましく、全脂大豆粉の含有量が10〜40質量%で、大豆蛋白の含有量が60〜90質量%であることがより好ましく、全脂大豆粉の含有量が20〜30質量%で、大豆蛋白の含有量が70〜80質量%であることが最も好ましい。
本発明の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤は、水溶性窒素指数が70〜93%である全脂大豆粉のみからなるものであっても良く、また、全脂大豆粉及び大豆蛋白のみからなるものであってもよいが、水溶性窒素指数が70〜93%である全脂大豆粉、及び大豆蛋白以外の成分が含まれていてもよい。このような成分として、水溶性窒素指数が70%未満である全脂大豆粉(例えば、脱臭全脂大豆粉)、デキストリン、糖類、乳化剤、着色料、香料等が挙げられる。これらは市販品を使用することができる。
次に、本発明の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を使用した澱粉含有魚肉練り製品について説明をする。
澱粉含有魚肉練り製品は、原料としてすり身、澱粉、及び澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を含有し、必要に応じて塩、水等の他の原料を含有するもので、それらの原料を混合して成型し、加熱処理によりゲル化させた食品である。具体的には、かまぼこ、風味かまぼこ、ちくわ、さつま揚げ、魚肉ソーセージ、はんぺん、及びがんもどき等を挙げることができる。
澱粉は、魚肉練り製品の離水を防止し、ゼリー強度を強くする効果があるが、冷蔵保存時に老化し、離水、物性及び食感低下等の現象が生じることがある。本発明の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を使用することで、保存時の老化を抑制し、離水、物性及び食感低下を防止することができる。
澱粉を使用する場合、その配合量は、すり身1000質量部に対して、10〜300質量部であることが好ましく、50〜300質量部であることがより好ましく、120〜200質量部であることが最も好ましい。
澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を添加して混合する時期は、加熱工程前であればいつでもよく、例えば、かまぼこの場合、荒擂り工程、塩擂り工程、及び本擂り工程のどの工程でも添加することができる。特に、塩擂り工程の後に澱粉を添加した際に、澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を澱粉により均一に混合させるために、荒擂り工程で添加するのが好ましい。
澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤は、すり身1000質量部に対して2〜20質量部添加のが好ましく、2〜10質量部添加するのがより好ましく、2〜6質量部添加するのが最も好ましい。
次に、本発明の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を使用した澱粉含有魚肉練り製品の製造方法について説明をする
例えば、かまぼこの場合、すり身の荒擂り工程、塩擂り工程、本擂り工程、成型工程、加熱工程、及び冷却工程を経る製造方法で製造することができる。
澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を添加して混合する時期は、加熱工程前であればいつでもよく、例えば、かまぼこの場合、荒擂り工程、塩擂り工程、及び本擂り工程のどの工程でも添加することができる。特に、澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を澱粉とより均一に混合させるために、荒擂り工程で添加するのが好ましい。
また、澱粉の添加量は、先の澱粉含有魚肉練り製品で説明した通りで、澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤の添加量は、先の使用方法で説明した通りである。
澱粉は、水とともに加熱されると糊化(α化)し、鎖状構造の内側に水を含むようになるが、その後、冷蔵保存をすると徐々に水を放出する。この現象は老化と呼ばれ、冷蔵保存することにより、澱粉を原料に含む食品が硬くなる。
したがって、魚肉練り製品の冷蔵保存時のゼリー強度の値が上昇すれば、魚肉練り製品中の澱粉の老化が進行していると判断でき、ゼリー強度の値が上昇しなければ、魚肉練り製品中の澱粉の老化が抑制されていると判断することができる。
〔澱粉含有魚肉練り製品の冷蔵保存時におけるゼリー強度の上昇を防ぐ方法〕
原料として、すり身1000質量部及び澱粉10〜300質量部を含有する澱粉含有魚肉練り製品の製造において、原料に、先に説明をした澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を2〜20質量部添加することにより、澱粉含有魚肉練り製品の冷蔵保存時におけるゼリー強度の上昇を防ぐことができる。
澱粉及び澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤の好ましい添加量は、先に説明をした澱粉含有魚肉練り製品の場合と同じである。
日清オイリオグループ(株)製の未脱臭全脂大豆粉〔商品名:ソーヤフラワーNSA、NSI=90〕25gと日清オイリオグループ(株)製の粉末状分離大豆蛋白〔商品名:ソルピー4000)〕75gを粉体混合することにより、澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤100gを製造した。
表1及び表2に示す配合により、全脂大豆粉無添加のケーシングかまぼこ(比較例1、2)、日清オイリオグループ(株)製の脱臭全脂大豆粉〔商品名:アルファプラスHS−600、NSI=50〕添加ケーシングかまぼこ(比較例2、4)、澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤添加ケーシングかまぼこ(実施例1、2)を製造した。
図1は、その製造方法のフローを示す図で、ケーシングかまぼこは即蒸し処理により製造を行った。
具体的には、まず、冷凍すり身(イトヨリ)を室温で半解凍し、真空カッター(Stephan社製、Stephan Universal Machine UM−5)へ投入した。真空カッターで、すり身を荒擂りし、この段階で、全加水量の1/3量の水を添加し、比較例2及び4では脱臭全脂大豆粉のみを添加し、実施例1及び2では澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を添加した。擂潰は、擂り上がり後のすり身の温度が1〜3℃になるまで行った(荒擂り工程、約5分間)。
次に、食塩を添加し、すり身温度が3〜8℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰し、その後、全加水量の1/3量の水を添加し、すり身温度が8〜10℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰した(塩擂り工程、約2分間)。
次に、残りの1/3量の水、及び馬鈴薯澱粉を添加し、すり身温度が10〜13℃になるまで、減圧下で擂潰し(本擂り工程、約1分間)、擂り上がり品を得た。
次に、得られた擂り上がり品を、ケーシング(株式会社クレハ製、クレハロンシームA08、55mm×300mm No.4)に詰めて結束後、92℃で40分間加熱処理を行った。その後、流水で冷却し、ケーシングかまぼこを得た。
なお、澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤は、先に説明をした澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤の製造で得られたものを使用した。
Claims (6)
- NSIが70〜93%の全脂大豆粉を含む澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤。
- 前記NSIが70〜93%の全脂大豆粉の含量が10〜100質量%である請求項1に記載の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤。
- 大豆蛋白を含む請求項2に記載の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤。
- 前記NSIが70〜93%の全脂大豆粉の含量が10〜50質量%、前記大豆蛋白の含量が50〜90質量%である請求項3に記載の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤。
- すり身1000質量部に、澱粉10〜300質量部、及び請求項1〜4のいずれか1項に記載の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を2〜20質量部添加して混合し、加熱することを特徴とする澱粉含有魚肉練り製品の製造方法。
- 原料として、すり身1000質量部及び澱粉10〜300質量部を含有する澱粉含有魚肉練り製品の製造において、原料に請求項1〜4のいずれか1項に記載の澱粉含有魚肉練り製品用老化防止剤を2〜20質量部添加することを特徴する澱粉含有魚肉練り製品の冷蔵保存時におけるゼリー強度の上昇を防ぐ方法。
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