JP5986723B2 - 断熱リフォーム方法及び断熱リフォーム用断熱パネルの取付構造 - Google Patents
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Description
一方、住宅ストックの大半を占める既存住宅においても断熱工事は可能であり、これらの断熱工事を実施する際には、壁・天井・床に加えて、窓の断熱工事を行えば効果的である。
例えば、熱損失については、暖房と冷房で多少異なるが、壁・天井・床で全体の約25%、窓等の開口部から50〜70%の熱が損失すると言われている。これを少しでも減少させる事で、既存の住宅であっても最新の住宅に近い断熱性能を得ることが可能となる。
この方法によると、一旦既存の壁・天井・床を撤去するときにそれらを破損してしまうので、たとえリフォーム前において何ら問題がない壁・天井・床であったとしても、一旦撤去された壁・天井・床の再利用は困難であり、通常は廃棄される。
しかし、集合住宅ではそもそもサッシを含めた外装は共有部分である為に、大規模修繕等、集合住宅全体で行うような工事を除いて、区分所有者が無断でサッシや外壁の交換等の改装を行う事はできない(但し、破損したガラス交換を除く)。個人が行える断熱リフォームは、あくまで区分所有範囲内のみであり、サッシも既存サッシを残したリフォームに限定されるのが現状である。
これは、既存の窓枠13に室内側に張り出すように新たな窓枠14を取付けるとともに、新たな窓枠14に新たな障子(内窓)12を設けて、既存の外窓11と内窓12との間に形成された空気層を断熱材として利用するものである。新たな窓枠14は既存の窓枠13に対して矩形状のそのものをそのまま取付けるようにしても、上下左右に分割した状態で取付け、取付け後に矩形状にするようにしてもよい。また、このような二重窓は併せて遮音効果も得る事が可能となる。
1.大量の廃棄物が発生する
壁・天井・床の断熱リフォームでは、一旦、既存の仕上げ材を撤去して間柱・野縁・根太間に断熱材を施工する必要がある。この一旦撤去した仕上げ材は、程度に差はあるが通常は汚損している上に、施工時(新築時)に使用された釘や接着剤が付着しているので、再利用は極めて困難であり、廃棄処分されるのが一般的である。場合によっては下地である間柱・野縁・根太等の交換が必要な場合もある。
窓に対し断熱リフォームを施す場合も、既存のサッシから高気密サッシへの交換という方法を採ると、既存のサッシを廃棄する必要がある。
一旦、既存の仕上げ材を撤去すると、その分工期が長くなってしまう。仕上げ材を撤去した後に間柱・野縁・根太材の交換が必要であると判明した場合には、一層リフォームが長期化してしまう。もちろん、工期が長くなると、その分コストが嵩んでしまう。
上記のような内断熱とは異なり、外断熱の場合、例えば壁一面だけ施工して残りの面には断熱工事を未実施では断熱効果は薄いので、住宅全体を一気に断熱施工する形が一般的である。あくまで外断熱リフォームでは、住宅全体の外周を一度に断熱施工する事が前提である。したがって、莫大な工事費用が必要となってしまうので、気軽に断熱工事を行う事はできない。
また、外断熱は基本的に外壁全体に断熱材を施工するので、断熱工事が不要な納戸、倉庫、未使用の居室等まで断熱する事となってしまい、無駄が多い。
外断熱の場合、外壁面から施工する事となるので、足場施工も必要で、家全体のリフォームとなってしまう。工事中は騒音や振動、ホコリ等が顕著な上に、全部屋が工事対象となってしまうので、工事場所の家具等を他の部屋に退避させておく事は困難である。
また、既存サッシを高気密サッシへ交換する場合、既存サッシ撤去後、新サッシ工事完了までの間は施錠ができず外部からの侵入が容易なので、セキュリティ上の大きな問題も生じてしまう。
以上の問題点1乃至4のように、従来の断熱リフォームは大掛かりなものであるので、気軽に断熱リフォームを行うことができない。
断熱材は通常、間柱・野縁・根太材間に落とし込むようにして施工されるので、長年の使用によって脱落し易く、一旦断熱材が脱落するとこの部分の断熱効果が大幅に低下してしまう。熱が室内外へ行き来してしまうこの箇所をヒートブリッジいう。
また、ウレタン注入・発泡及びセルロースファイバー吹き込みによる断熱層形成の場合、断熱材が隅々まで正確に充填されたかどうかを目視により確認することはできず、また他の確認方法もない。よって、断熱層の充填状態は作業者の勘と経験に頼るしかないので、断熱層が形成されない箇所が残ってしまい、ヒートブリッジを形成してしまう危険性がある。
また、これらの断熱材は正常に施工された状態であったとしても、間柱・野縁・根太材の存在する部分には断熱材が存在しないので、その部分は断熱材がある部分に比較して相対的に熱が伝わり易い。その結果、リフォーム施工後長期間経過すると、間柱・野縁・根太材等の位置が黒い影のように浮かび上がって見苦しくなる場合がある。
窓に関してサッシを交換する場合、アルミは熱を伝え易いので、アルミサッシでは室内・室外間を遮断する断熱層の設置が不可欠である。これを怠ると、たとえ断熱性に優れたペアガラスを用いたとしても、アルミのサッシ枠部分から熱損失が生じてしまう。
特に、既存の窓の内側に内窓を設けて二重窓にする場合、内窓部分が室内側へ張り出すので、既存の窓を囲む既存の壁との間に大きな段差ができてしまい、見栄えが悪い。
外壁に断熱材を施工する場合等では、天候にリフォームが左右されてしまう場合が多い。特に積雪地では冬季の工事は基本的に不可能である。
集合住宅では、入居者の区分所有権の及ぶ範囲は室内側のみであり、外断熱は勿論、サッシに対しても、区分所有者が無断で改装を行う事は出来ない。
また、他の目的として、見栄えがよい断熱リフォーム方法及び断熱リフォーム用断熱パネルの取付構造を提供することにある。
水平に延びる桟木(23,53)を上下方向に所定の間隔で複数配して前記桟木(23,53)間に矩形状の断熱材(21,51)を配したものの室内側(P)表面に板材(22,52)を、上下からそれぞれ突出するように固定して、前記断熱材(21,51)と前記板材(22,52)を一体化することにより、既存の壁(1)に配置された下地材に重ね合わされる嵌合部(27,57)が上端及び下端の二辺だけに設けられてなり、既存の壁(1)における仕上げ材を撤去することなく施工されることを特徴とする。
水平に延びる桟木(33,43)を上下方向に所定の間隔で複数配して前記桟木(33,43)間に矩形状の断熱材(31,41)を配したものの室内側(P)表面に板材(32,42)を、周囲からそれぞれ突出するように固定して、前記断熱材(31,41)と前記板材(32,42)を一体化することにより、前記部位となる既存の天井(2)又は既存の床(3)に配置された下地材に重ね合わされる嵌合部(37,47)が周囲に設けられてなり、
前記部位となる既存の天井(2)又は既存の床(3)における仕上げ材を撤去することなく施工されることを特徴とする。
水平に延びる桟木(23,53)を上下方向に所定の間隔で複数配して前記桟木(23,53)間に矩形状の断熱材(21,51)を配したものの室内側(P)表面に板材(22,52)を、上下からそれぞれ突出するように固定して、前記断熱材(21,51)と前記板材(22,52)を一体化してなり、しかも嵌合部(27,57)が上端及び下端の二辺だけに設けられた断熱パネル(20,50)の、前記嵌合部(27,57)を、既存の壁(1)に配置された下地材に重ね合わせて、既存の壁(1)における仕上げ材を撤去することなく施工することを特徴とする。
水平に延びる桟木(33,43)を上下方向に所定の間隔で複数配して前記桟木(33,43)間に矩形状の断熱材(31,41)を配したものの室内側(P)表面に板材(32,42)を、周囲からそれぞれ突出するように固定して、前記断熱材(31,41)と前記板材(32,42)を一体化してなり、しかも嵌合部(37,47)が周囲に設けられた断熱パネル(30,40)の、前記嵌合部(37,47)を、前記部位となる既存の天井(2)又は既存の床(3)に配置された下地材に重ね合わせて、既存の天井(2)又は既存の床(3)における仕上げ材を撤去することなく施工することを特徴とする。
1.廃棄物がほとんど発生しない
既存の壁における仕上げ材を撤去することなく、断熱材と板材を一体化してなる断熱リフォーム用断熱パネルを施工するだけなので、廃棄物はほとんど発生しない。
窓に対する断熱リフォームにおいても、既存のサッシをそのまま温存するので、廃棄物が発生しない。
2.工期が短い
既存の仕上げ材を撤去する手間が掛からないので、工期は短期である。当然ながら、仕上げ材の撤去に伴う間柱の破損がないので、これらの交換の必要もない。
室内側からの施工であるので、断熱施工が一部屋単位であってもその部屋における断熱効果は高い。したがって、例えば初年度は一部屋だけリフォームを行い、他の部屋のリフォームは次年度以降に行うといった部屋単位でのリフォームも可能である。つまり、外断熱の場合のように、住宅全体を一気に断熱施工する必要は無いので、気軽に断熱リフォームを行うことができる。
また、断熱工事が不要な納戸、倉庫、未使用の居室等は断熱する必要が無いので、その分の費用節約も可能である。
4.リフォーム中も生活が可能
部屋単位で順番に施工可能なので、断熱リフォーム中もその住宅での生活が可能である。また、施工現場の家具のみを他の部屋に一時的に退避して工事続行が可能である。よって、転居や、家具の退避に伴う倉庫を借りる等の手間及びコストが掛からない。
また、全て室内側から工事が可能なので、外壁足場は不要である。サッシも既存サッシがそのままなので、施錠することができ、セキュリティ上も全く問題ない。
以上に示したように、この断熱リフォーム方法は簡易なものである。しかも、本発明には同時に以下に示す効果もある。
既存の間柱と断熱パネルの断熱材が直交するように施工すれば、断熱材の無いヒートブリッジとなり得る部分は僅かしかない。
断熱材は工場で均質な状態で製造したものを用いるので、断熱材が隅々まで正確に施工されたかは目視で容易に確認可能であり、ヒートブリッジ形成の危険性は殆ど無い。
このようにヒートブリッジが形成され難いので、断熱効果が高く、またリフォーム施工後長期間経過しても、間柱等の位置が黒い影のように浮かび上がって見苦しくなる恐れも無い。
6.見栄えがよい
また、断熱リフォーム用断熱パネルを施工して、窓枠の室内側に張り出した部位を埋めるので、壁と張り出した部位との段差が小さくなり、見栄えがよい。
室内での工事だけで済むので、天候の影響は受けない。よって、冬季の積雪地であっても、資材の運搬さえできれば支障なく工事が可能である。
8.集合住宅に適した工法である
断熱リフォーム用断熱パネルの施工は、全て入居者の区分所有権の及ぶ範囲である室内側であり、しかも既存の壁を撤去しなくてよいので、集合住宅であっても断熱施工が可能である。
また、既存のサッシには全く手を加えないので、窓についても集合住宅において断熱施工が可能である。
このように、既存の壁やサッシは残したままなので、リフォーム後も原状復旧が可能であり、退去時に原状復旧が必要な賃貸住宅にも適している。
また、既存の仕上げ材を撤去する手間がかからないので、工期は短期である。
また、部屋単位の断熱リフォームが可能であるとともに、リフォーム中も生活が可能である。
また、窓枠の室内側に張り出した部位を断熱リフォーム用断熱パネルで埋めるので、壁との間の段差が小さくなり、見栄えがよい。
また、桟木が断熱材に対して補強材となるので、上下の長さが壁の高さと略等しく大きな断熱リフォーム用断熱パネルであっても、その強度を十分保つことができる。
さらに、リフォームは全て屋内で行われるので、施工が天候に左右されない。
また、既存の壁やサッシはそのまま残すので、集合住宅であっても断熱施工が可能である。
これらの施工は全て室内側から行うことができるので、部屋単位の断熱リフォームが可能であるとともに、リフォーム中もその住宅での生活は可能である。
また、断熱リフォーム用断熱パネルにおける断熱材を既存の間柱・野縁・根太材と直交させるように断熱リフォーム用断熱パネルを施工すれば、断熱材の無いヒートブリッジとなり得る部分は僅かしか無く、さらに壁,天井,床の断熱リフォームを一度に行えば、その部屋における断熱効果は非常に高くなる。
また、桟木が断熱材に対して補強材となるので、大きな断熱リフォーム用断熱パネルであっても、その強度を十分保つことができる。
しかも周囲に嵌合部が設けられてなるので、例えば、既存の壁の上下位置に下地材として角材を水平に配置しておけば、その角材に嵌合部を重ね合わせ、嵌合部に釘を打ち付けるだけで、柱などの位置を気にせず断熱リフォーム用断熱パネルを壁に固定することができ、また、断熱リフォーム用断熱パネルの嵌合部と他の断熱リフォーム用断熱パネルの嵌合部とを嵌合させることで、その嵌合が強固となり、また目違いが生じ難い。
また、嵌合部に角材が納まるので、嵌合部のない断熱パネルを角材の上にそのまま固定した場合のように部屋が狭くなることはない。
断熱リフォーム用断熱パネル20,30,40としては、壁1用、天井2用、床3用の各種があり、それぞれサイズが異なるが、板材22,32,42の片面に断熱材21,31,41が接着され一体化したという点では共通する。
また、断熱のための二重窓10についても説明する。
なお、従来例で示したものと同一部分には同一符号を付した。
そして、断熱面板24は、水平に延びる桟木23を上下方向に所定の間隔で複数配し、桟木23間に矩形状の断熱材21を配してなる。桟木23は上下に位置する断熱材21で挟持されており、板材22に対しては剥離可能なようにステープラ、あるいは少量の接着剤25をスポット状に塗布することによって固定されている。また、桟木23は短手方向に延びる。この断熱材21は工場において均質に製造されたものであり、ここではその断熱材区分がFランク(熱伝導率0.022以下)のA種フェノールフォーム保温板1種2号を用いた。
また、図2に示すように、上から二番目の断熱材21と三番目の断熱材21との間にある桟木23、及び上から四番目の断熱材21と五番目の断熱材21との間にある桟木23はそれぞれ、二つの桟木23が上下二段に互いに固定されることなく重ねられている。上下二段の桟木23の間は、境界線として数mm開けられている。この境界線は、壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20を上下に切断する際の切断ガイド線26となるが、通常は切断せずにそのままの状態で壁1に対して施工される。なお、二つの桟木23を隙間を設けることなく上下二段にそのまま重ねるようにすることもできる。この場合でも切断ガイド線26は外部から容易に把握することができる。また、一方の桟木23を外し、もう一方の桟木23をガイドとして、カッター等で切断してもよい。板材22が石膏ボードであれば、カッターで容易に切断することができる。
板材22の上下の長さは、リフォーム対象の壁1の上下の高さに略等しく、断熱面板24の上下の長さよりも数cm長い。よって、図3に示すように、板材22には、断熱面板24の上下からそれぞれ突出する突出部(嵌合部)27が形成され、壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20は全体が断面略凸字状の形状となっている。
このように壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20は、断熱材21と板材22を一体化してなる。
この総厚が薄ければ薄い程、部屋が狭くならないので好ましいが、断熱材21が薄ければ、その分、断熱性能は低下する。また、火気使用室等、内装制限にかかる部位に用いる場合には、板材22として不燃性能の高い石膏ボード等を用いるとともに、断熱材21も不燃性能の高いものにする必要がある。こういった諸条件を考えると、Eランク(熱伝導率0.028〜0.023)以下の熱伝導率である断熱材21を用いることが好ましい。また、より好ましくは、Fランク(熱伝導率0.022以下)のA種フェノールフォーム保温板1種1号,2号等を断熱材21として用いれば、薄くても断熱性能が得られるとともに、不燃性能も得られる。Cランク(熱伝導率0.040〜0.035)の断熱材21と比較すると、Eランクの断熱材21であれば7割程度、Fランクの断熱材21であれば5割程度あるいはそれ以下の厚みで同等の断熱性が得られる。一方、グラスウール、ロックウール等は不燃性能に優れるが、Cランク、良くてもDランク(熱伝導率0.034〜0.029)程度の断熱性能しか得られないのであまり好ましいとは言えない。それに対し、ポリスチレンフォーム、硬質ウレタンフォームといった断熱材21は、不燃性能に劣るものの、Eランク程度の断熱性能を得られるものもあるので、用いることができる。ただし、今のところ、断熱性能、不燃性能、吸湿性能、防湿性能、加工性等の観点から、フェノールフォームが断熱材21として最も好ましい。
ここでいう、C,D,E,Fの各ランクとは、独立行政法人住宅金融支援機構の断熱材区分におけるランクである。
ここでの板材42の厚さは壁用のものよりも厚く、12mmである。これは、床材としての耐荷重性を考慮した結果であって、金庫やピアノ、本棚等の重量物が設置される場合は、板材42はさらに厚く、15mm又は24mmのものを用いる事も考えられる。
床用の断熱リフォーム用断熱パネル40の側面には、嵌合部47として実加工を施して、目違いが生じないように強固に嵌合される。
新たな窓枠14はプラスチック製の窓枠下地15と窓枠化粧材からなる。窓枠下地15が既存の窓枠13上に設けられ、この上に窓枠化粧材を被着している。この際に内窓12と既存の外窓11との間に十分な空間を確保できない場合は、ふかし枠16を用いて適宜調整を行っても良い。
二重窓10における内窓用サッシ12aの構造に関しては通常の木製サッシに類似しているが、内窓用サッシ12aは外気に接しておらず、風雨に晒されるものでは無いので、防水性に関しては考慮しなくても良い。つまり、内窓用サッシ12aは気密性と断熱性を重視した構造となっている。召し合わせ17部分には耐久性に優れたプラスチック又はゴムの押出成型パッキン、窓枠化粧材にはヒダ状パッキン、上部にもプラスチック又はゴムの押出成型パッキンを用いてある。
まず、断熱リフォームを行う部屋の家具等を撤去する。
次に、既存内装の壁1・天井2・床3のチェックを行い、剥離・破損等の不具合を補修する。なお、この補修は、壁1・天井2・床3に下地材として各種断熱リフォーム用断熱パネル20,30,40を保持できるだけの強度を持たせるだけよい。
壁1や天井2にあるコンセントC、スイッチ、エアコン、照明等の器具は、基本的には一旦撤去して、壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20や天井用の断熱リフォーム用断熱パネル30の施工後に再度取り付ける。しかし、場合によってはそのままにして、コンセントC等の周囲に各種断熱リフォーム用断熱パネル20,30,40を施工することも考えられる。
壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20の既存壁1への固定は、上下端の突出部27以外にも、桟木23部分を室内側Pから釘等で打撃固定したり、木ネジ、接着剤、両面テープ等による固定が考えられる。
また、既存壁1の強度によっては胴縁を予め施工し、この上に壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20を施工すれば、一層強固に取付けできる。壁1への固定手段には特に制限は無いが、既存壁1の状況によって釘や木ネジ、接着剤等を使い分けるのが好ましい。
内窓12の施工に関しては、まず既存の外窓11のチェックを行い、気密不完全な部分を補修しておく。
次に、図9に示すように、既存の窓枠13にプラスチック製の窓枠下地15を位置決めして施工する。施工は、木ネジ、接着剤、両面テープ等の手段で固定を行う。このとき、既存の窓枠13の奥行が不足の場合は、室内側Pへふかし枠16を付加しても良い。そして、窓枠下地15の上に窓枠化粧材を嵌合固定する。
窓枠化粧材は、内窓12が木製なので、これに色を合わせておくと違和感が無く好都合である。窓枠化粧材施工後、障子12を取り付けて内窓12の施工が完了する。
窓に対する断熱リフォームにおいても、既存のサッシ11aをそのまま温存するので、廃棄物が発生しない。
また、既存の仕上げ材を撤去する手間が掛からないので、工期は短期である。当然ながら、仕上げ材の撤去に伴う間柱等の破損がないので、これらの交換の必要もない。
また、室内側Pからの施工であるので、断熱施工が一部屋単位であってもその部屋における断熱効果は高い。したがって、例えば初年度は一部屋だけリフォームを行い、他の部屋のリフォームは次年度以降に行うといった部屋単位でのリフォームも可能となる。つまり、外断熱の場合のように、住宅全体を一気に断熱施工する必要は無いので、気軽に断熱リフォームを行うことができる。
また、断熱工事が不要な納戸、倉庫、未使用の居室等は断熱する必要が無いので、その分の費用節約も可能である。
また、部屋単位で順番に施工可能なので、断熱リフォーム中もその住宅での生活が可能である。また、施工現場の家具のみを他の部屋に一時的に退避して工事続行が可能である。よって、転居や、家具の退避に伴う倉庫を借りる等の手間及びコストが掛からない。
また、全て室内側Pから工事が可能なので、室外側Qの足場は不要である。サッシも既存サッシ11aがそのままなので、施錠することができ、セキュリティ上も全く問題ない。
このように、本実施形態に係る断熱リフォーム方法は簡易な方法である。
また、断熱材21,31,41は工場で均質に製造したものであるので、断熱材21,31,41が隅々まで正確に施工されたかは目視で容易に確認可能であり、ヒートブリッジ形成の危険性は殆ど無い。
このようにヒートブリッジが形成され難いので、断熱効果が高く、またリフォーム施工後長期間経過しても、間柱等の位置が黒い影のように浮かび上がって見苦しくなる恐れも無い。
さらに、室内での工事だけで済むので、天候の影響は受けない。よって、冬季の積雪地であっても、資材の運搬さえできれば支障なく工事が可能である。
また、断熱リフォーム用断熱パネル20,30,40の施工は、全て入居者の区分所有権の及ぶ範囲である室内側Pであり、しかも既存の壁1を撤去しなくてよいので、集合住宅であっても断熱施工が可能である。
また、既存のサッシ11aには全く手を加えないので、窓についても集合住宅において断熱施工が可能である。
このように、既存の壁1やサッシ11aは残したままなので、リフォーム後も原状復旧が可能であり、退去時に原状復旧が必要な賃貸住宅等にも適している。
また、突出部27に角材Tが納まるので、突出部27のない断熱パネルを角材Tの上にそのまま固定した場合のように部屋が狭くなることはない。
この切断で形成された壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20のうち小幅の部分は、図11に示すように、他の壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20の継ぎ足し部分28(不足部分)に転用可能である。例えば、天井2から床3までが8尺であっても、運搬上の都合等から全長が6尺の壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20が用いられることがある。このとき、6尺の壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20を三等分して2尺の壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20を三つ作り、上下の桟木23を外す。そして、図13に示すように、壁1の上下位置に加え、天井2から略2尺の位置にも角材Tを二つ上下二段に設け、上側には2尺の壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20を、下側には6尺の壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20を施工する。この天井2から略2尺の位置の二つの角材Tは、縦幅が通常の角材T二段分のものを一本としてもよい。
また、壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20と天井用の断熱リフォーム用断熱パネル30は兼用可能である。
一方、桟木23,33,34を取り外す必要がないとき又は取り外す必要のない箇所では、通常の粘着力の接着剤を用いて桟木23,33,34を断熱材21,31,41及び板材22,32,42に対して恒久的に固定してもよい。
さらに、これらの仮固定部材25を用いず、桟木23は上下に位置する断熱材21で挟持されているだけで、断熱材21及び板材22に対しては固定されていなくてもよい。もちろん、この場合は一層桟木23の取り外しが容易である。
集合住宅の一つの部屋に対して本実施形態に係る断熱リフォームを行う場合、隣の部屋との境界である壁1には、壁用の断熱リフォーム用断熱パネル20の配置の省略、又はそれよりも断熱性能の低い断熱リフォーム用断熱パネルに変更しても支障がないこともある。
一方、火気使用室等、内装制限に係る部位をリフォームする場合には、板材22,32,42として石膏ボード、あるいは珪酸カルシウム、粘土鉱物のバーミキュライト等からなる面材(例えば、MOISS/モイス(登録商標))などの不燃、準不燃、難燃等の非木質材料を用いることもできる。このように、目的によって、板材22,32,42はその材質を問わず採用可能である。
また、断熱リフォームを部屋単位で行ったが、住宅全体に対して同時に行なってもよい。もちろん、新築時に同様の施工を行なってもよい。
また、壁用や天井用の断熱リフォーム用断熱パネル20,30へ化粧材として壁紙を施工したが、塗装でもよく、またこれらに限られるものではない。
床3に関しては、フローリングを施工するとしたが、カーペット、畳、塩ビシート等の施工が可能である。
また、断熱リフォーム用断熱パネル20,30,40は、その周囲に、壁1・天井2・床3に対し断熱リフォーム用断熱パネル20,30,40を固定させるための、又は隣接する断熱リフォーム用断熱パネル20,30,40同士を嵌合させるための突出部(嵌合部)27,37,47が設けられていれば、その位置が上端及び下端の二辺であっても、左端及び右端の二辺であっても構わない。一方、場合によっては突出部(嵌合部)27,37,47を外周四辺に設けること、又は全く設けないことも考えられる。
すなわち、水平に延びる桟木53を上下方向に所定の間隔で複数配するとともに桟木53間に矩形状の断熱材51を配するとともに、複数配された桟木53の左右両端側に上下に延びる縦桟木58を配したもの、ここでは、桟木53と断熱材51と縦桟木54が一体化された断熱面板54、の室内側P表面に板材52を、断熱面板54の上下からそれぞれ突出するように固定して、断熱材51と板材52を一体化したものである。また、板材52が断熱面板54から上下にそれぞれ突出した部位には、断熱リフォーム用断熱パネル50を嵌め込むときの嵌合部57が形成されている。
なお、桟木53の左右両端側に配された縦桟木58は、ここでは、桟木53の左右両端に接するようにして桟木53と断熱材51と縦桟木54が一体化されたものを断熱面板54と呼んでこれに板材52を固定したが、縦桟木54を、桟木53及び断熱材51に対して間を開けて配したものの室内側P表面に板材52を固定するようにしてもよい。この場合、板材52は上下部に位置する断熱材51から上下方向に突出するように固定される。
また、ここでは、水平に延びる全ての桟木53を一本ずつとしてそれぞれ断熱材51と交互に配置している。なお、断熱リフォーム用断熱パネル50を切断して使用する場合には、断熱材51側からカッターナイフ等で板材52に至るまで切込みを入れて断熱材51を除去した後にスクレーパーなどで露出した板材52の裏面を平滑化することにより嵌合部57を形成するようにして切断する。
また、図16に示すように板材52の角部は面取りされていて、カットして使用する場合には面取りにより壁紙を貼った後の段差を抑えるようにしている。
2 天井
3 床
10 二重窓
11 外窓
11a サッシ
12 障子(内窓)
12a サッシ
13 既存の窓枠
14 新たな窓枠
15 窓枠下地
16 ふかし枠
17 召し合わせ
18 張り出した部位
20 壁用の断熱リフォーム用断熱パネル(断熱パネル)
21 断熱材
22 板材
23 桟木
24 断熱面板
25 接着剤(仮固定部材)
26 切断ガイド線
27 突出部(嵌合部)
28 継ぎ足し部分
30 天井用の断熱リフォーム用断熱パネル(断熱パネル)
31 断熱材
32 板材
33 桟木
34 断熱面板
37 嵌合部
40 床用の断熱リフォーム用断熱パネル(断熱パネル)
41 断熱材
42 板材
43 桟木
44 断熱面板
47 嵌合部
50 床用の断熱リフォーム用断熱パネル(断熱パネル)
51 断熱材
52 板材
53 桟木
54 断熱面板
57 嵌合部
58 縦桟木
C コンセント
P 室内側
Q 室外側
T 角材
Claims (8)
- 既存の壁の室内側に施工される断熱リフォーム用断熱パネルの取付構造であって、
水平に延びる桟木を上下方向に所定の間隔で複数配して前記桟木間に矩形状の断熱材を配したものの室内側表面に板材を、上下からそれぞれ突出するように固定して、前記断熱材と前記板材を一体化することにより、既存の壁に配置された下地材に重ね合わされる嵌合部が上端及び下端の二辺だけに設けられてなり、
既存の壁における仕上げ材を撤去することなく施工されることを特徴とする断熱リフォーム用断熱パネルの取付構造。 - 前記複数配された桟木の左右両端側に上下に延びる縦桟木を配してなることを特徴とする請求項1に記載の断熱リフォーム用断熱パネルの取付構造。
- 前記桟木のうち最上位の桟木の上には前記断熱材が配されるとともに、前記桟木のうち最下位の桟木の下にも前記断熱材が配されてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱リフォーム用断熱パネルの取付構造。
- 前記所定の間隔で複数配された桟木のうち、所定の位置にある桟木では、二つの桟木が上下二段に固定されることなく重ねられ、その二段の桟木の境界線を切断時の切断ガイド線としてなることを特徴とする請求項1に記載の断熱リフォーム用断熱パネルの取付構造。
- 既存の天井及び既存の床のうち少なくとも一つの部位の室内側に施工される断熱リフォーム用断熱パネルの取付構造であって、
水平に延びる桟木を上下方向に所定の間隔で複数配して前記桟木間に矩形状の断熱材を配したものの室内側表面に板材を、周囲からそれぞれ突出するように固定して、前記断熱材と前記板材を一体化することにより、前記部位となる既存の天井又は既存の床に配置された下地材に重ね合わされる嵌合部が周囲に設けられてなり、
前記部位となる既存の天井又は既存の床における仕上げ材を撤去することなく施工されることを特徴とする断熱リフォーム用断熱パネルの取付構造。 - 前記断熱材として、熱伝導率0.028以下のものを使用したことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の断熱リフォーム用断熱パネルの取付構造。
- 既存の壁の室内側に断熱パネルを施工するリフォーム方法であって、
水平に延びる桟木を上下方向に所定の間隔で複数配して前記桟木間に矩形状の断熱材を配したものの室内側表面に板材を、上下からそれぞれ突出するように固定して、前記断熱材と前記板材を一体化してなり、しかも嵌合部が上端及び下端の二辺だけに設けられた断熱パネルの、前記嵌合部を、既存の壁に配置された下地材に重ね合わせて、既存の壁における仕上げ材を撤去することなく施工することを特徴とする断熱リフォーム方法。 - 既存の天井及び既存の床のうち少なくとも一つの部位の室内側に断熱パネルを施工するリフォーム方法であって、
水平に延びる桟木を上下方向に所定の間隔で複数配して前記桟木間に矩形状の断熱材を配したものの室内側表面に板材を、周囲からそれぞれ突出するように固定して、前記断熱材と前記板材を一体化してなり、しかも嵌合部が周囲に設けられた断熱パネルの、前記嵌合部を、前記部位となる既存の天井又は既存の床に配置された下地材に重ね合わせて、既存の天井又は既存の床における仕上げ材を撤去することなく施工することを特徴とする断熱リフォーム方法。
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