JP3755689B2 - 断熱パネル構造 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
この発明は、住宅などの建築物の屋根、壁、床などに用いる断熱性を有するパネルの、構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、構造用合板などの板状面材と発泡プラスティック系断熱材とが一体となった断熱パネルが、建築物の屋根、壁、床材などに使用されている。これらの断熱パネルは、構造用合板の片面に、別に成型した発泡プラスティックボードを接着剤で貼り合わせるか、構造用合板の片面に木枠を接合し、合板と木枠とに囲まれた空間に、原料の樹脂を吹き付け、又は注入などの方法で発泡プラスティック層を形成したものであった。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、別途に成型した発泡プラスティックボードを接着剤で貼り合わせる方法では、２度の工程を要するために製造コストが嵩み、また、上記の吹き付け、注入などの方法では、太い木製枠材を用いるために、製造コストが嵩み、重量が重くなって取扱いが不自由になり、枠材が熱橋となって断熱性能が低下するなどの問題点があった。
【０００４】
構造用合板などの板状面材に、太く頑丈な枠材を用いることなく、発泡プラスティック層を積層し、この発泡プラスティック層のもう一方の面は、むき出しにするか、紙などの薄い面材を貼っただけの構造にするのが最も好ましいのであるが、この場合には、発泡プラスティック層の変形、殊に収縮によって、パネルに反りや捻じれが生じるという問題点があった。
【０００５】
この発明が解決しようとする課題は、構造用合板などの板状面材に、太く頑丈な枠材を用いることなく、発泡プラスティック層を積層し、この発泡プラスティック層のもう一方の面は、むき出しにするか、紙などの薄い面材を貼っただけの構造にして、パネルに反りや捻じれが生じないようにするにはどのような手段を講じればよいかという点にある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
そのような課題を解決するためにこの発明では、容易に層間剥離する、又は表面に離型性を有する板状の素材を用いて、枡目状、ハニカム状、又はその他の形に組んだ枠材と、この枠の片面に接する板状の面材とに囲まれた空間に、発泡プラスティック層を形成する断熱パネル構造とし、更に、板状面材の表面に紙類を張設する構造とした。
【０００７】
【作用】
以上述べたような構造となっているために、発泡プラスティック層に変形、殊に収縮応力が働いた場合にも、枠材が層間剥離し、又は枠材と発泡プラスティック層との界面が剥離し、発泡プラスティック層の隙間間隔が拡がることによってその応力を吸収するので、パネルには反りや捻じれを生じることがない。また、板状面材の表面に紙類を張設した構造のものにあっては、紙類の収縮に伴い発生する引っ張り応力が、裏面の発泡プラスティック層の収縮による引っ張り応力に抵抗するために、パネルの形状安定化の効果が一層大である。
【０００８】
【実施例】
実施例について図面を参照して説明すると、図１は、本発明による断熱パネルの、外周壁に対する使用例を示す説明図である。１は布基礎、２は土台、３は柱、４は胴差であり、断熱パネル５を、柱及び横架材に釘止めした状態である。
【０００９】
図２は、外周壁に対する使用例の水平方向断面図であり、９は間柱、１０は石膏ボードなどの内装下地材である。また、１１は透湿性防水シート、１２は胴縁、１３は外壁材である。７は発泡プラスティック層、８は、容易に層間剥離する板状の素材を用いて枡目状に組まれた枠材であり、発泡プラスティック層に収縮による引っ張り応力が働いた場合には、層間剥離を生じてこの応力を吸収する。容易に層間剥離する板状の素材としては、段ボール紙、フェルト、腰のある不織布、緩く貼り合わせた複数枚の各種板類等がある。枠材には、表面に離型性を有する板状の素材を用いてもよく、その素材としては、表面に離型剤を塗布した段ボール紙等がある。
【００１０】
図３は、本発明による断熱パネル構造の１実施例を示す説明図であり、６は構造用合板、８は、容易に層間剥離する板状の素材を用いて枡目状に組まれた枠材枠材である。１７は発泡プラスティック層の表面を覆う紙、フィルムなどの面材であり、連続していることが望ましいが、切断された状態にあっても差し支えなく、必ずしも用いなくてもよい。
【００１１】
図４は、本発明による断熱パネル構造の幅方向断面形状を示す説明図であり、発泡プラスティック層の収縮によって、中央部の枠材８は細いＶ字形をなしている。
【００１２】
図５は、請求項３に記載の断熱パネル構造の１実施例を示す説明図であり、６は構造用合板、８は枠材、１８は紙である。紙１８は、表面に撥水剤を塗布し防水性を付与したものが好ましく、張設工程で使用する接着剤としては、水溶性のものがよい。
【００１３】
図６は、従来技術による断熱パネル構造の説明図であり、１４は構造用合板、１５は木製枠材、１６は発泡プラスティック層である。
【００１４】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されているような効果を奏する。
【００１５】
樹脂の本来有する強力な接着力を利用して、一つの工程において発泡と同時に板状面材に発泡プラスティック層を接着させ、一体化することができるので、製造コストを下げることができる。又、木製の太い枠材を用いないために、軽くて取り扱い易く、熱橋がないので断熱性に優れ、しかも安価な断熱パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による断熱パネルの、外周壁に対する使用例を示す説明図である。
【図２】本発明による断熱パネルの、外周壁に対する使用例の水平方向断面図である。
【図３】本発明による断熱パネル構造の１実施例を示す説明図である。
【図４】本発明による断熱パネル構造の幅方向断面形状を示す説明図である。
【図５】請求項３に記載の断熱パネル構造の１実施例を示す説明図である。
【図６】従来技術による断熱パネル構造の説明図である。
【符号の説明】
１ 布基礎
２ 土台
３ 柱
４ 胴差
５ 断熱パネル
６ 構造用合板
７ 発泡プラスティック層
８ 枠材
９ 間柱
１０ 内装下地材
１１ 透湿性防水シート
１２ 胴縁
１３ 外壁材
１４ 構造用合板
１５ 木製枠材
１６ 発泡プラスティック層
１７ 面材
１８ 紙

Claims (3)

1. 容易に層間剥離する板状の素材を用いて、枡目状、ハニカム状、又はその他の形に組まれた枠材と、この枠の片面に接する板状の面材とに囲まれた空間に、発泡プラスティック層を形成したことを特徴とする断熱パネル構造。
2. 表面に離型性を有する板状の素材を用いて、枡目状、ハニカム状、又はその他の形に組まれた枠材と、この枠の片面に接する板状の面材とに囲まれた空間に、発泡プラスティック層を形成したことを特徴とする断熱パネル構造。
3. 裏面に発泡プラスティック層を形成した板状面材の表面に、紙類を張設したことを特徴とする、上記請求項１及び請求項２に記載の断熱パネル構造。

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