JP3600724B2 - 防水工法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は防水工法に関し、特に、木造住宅のバルコニーや屋上に設置される床面等の防水工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木造住宅における防水工法では、その構成材料と木材の熱膨張率・弾性係数などの差異、木造躯体の乾燥収縮などにより、仕舞部分に歪みや亀裂が生じることがあり、また微振動や小地震による、仕舞部分・継ぎ目部分の歪み、疲労が生じることもあり得る。上記の点が従来より防水計画の際に懸念されており、木造住宅における防水工事の大型化はなかなか普及をなしえなかったのが実状である。加えて、従来の根太による現場施工での水勾配確保は、手間を要する上、精度を確保し難く、その点も大型化の普及を妨げる要因となっていた。
【0003】
そのような不都合を解消するために、木造住宅のバルコニーや屋上の防水構造として、例えば図7に示すように、バルコニーや屋上の床面に配された構造用合板12a上に、勾配のついた板状の発泡断熱部材51と、防水用の軟質ゴム材52と、ゴムシート53と、ガラス繊維強化樹脂(FRP)製の硬質材56及び不燃材57を積層し、上記ゴムシート53は、上記軟質ゴム材52の層の上に互いに間隙を設けて載置され、上記軟質ゴム材52の層と上記硬質材52の層との間に空隙58を形成するようにしたものが知られている(特公平8−6413号公報参照)。
【0004】
この防水構造によれば、軟質ゴム材52とガラス繊維強化樹脂(FRP)製の硬質材56の2層構造による複合防水構造としたことにより、動的歪みの大きい木造住宅においても長期にわたり防水効果を発揮し得る耐久性の高い防水構造が得られることが期待できる。さらに、勾配の付いた板状の発泡断熱部材51を用いたことから、当該発泡断熱部材を敷設するだけで外断熱方式による建屋の断熱が行われると共に、水勾配も形成される利点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特公平8−6413号公報に記載の防水構造は、長期にわたり高い防水性能を果たすものと期待できるが、その施工に際して、板状の発泡断熱部材51を構造用合板12aの上に敷設し、次の作業として、防水用の軟質ゴム材52を敷設するようにしており、施工作業中に作業者が板状の発泡断熱部材51の上に不注意に載ってしまい、発泡断熱部材を損傷させてしまう恐れがある。また、軟質ゴム材52を敷設した後でも、その上を作業者が歩行したり、あるいはなんらかの点加重に近い衝撃加重が加えられた場合に、発泡断熱部材が同様に損傷することが起こりうる。さらに、防水用の軟質ゴム材52の上に、ゴムシート53を介して、ガラス繊維強化樹脂(FRP)製の硬質材56を敷設するものであり、敷設作業に多くの工程を必要とする。
【0006】
本発明の目的は、発泡断熱材層の上に、ガラス繊維強化樹脂(FRP)を主構成とする防水層を施す木造の防水構造において、外部応力による木造躯体の歪みを緩衝し、防水層及び仕舞部分の亀裂、隙間の発生を回避することにあり、これにより、長期間安全な大型の防水計画を木造住宅においても促すことが可能となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明による防水工法は、基本的に、床面等の被防水下地の上に、下地断熱材を接着剤により貼り合わせる工程と、その上に、防水性シートを貼り合わせる工程とを少なくとも有する防水工法において、前記下地断熱材として、剛性を有する板材と合成樹脂発泡体製の板状断熱材とを積層した傾斜勾配を有するものであって、かつ、前記合成樹脂発泡体製の板状断熱材は、少なくとも前記剛性を有する板材に面する側に複数の独立した突起を形成しており、該突起の先端を介して該剛性を有する板材に対して接着剤により接着積層されている下地断熱材を用いることを特徴とする。
【0008】
また、本発明による防水構造は、基本的に、床面等の被防水下地の上に接着剤により貼り合わされた下地断熱材と、該下地断熱材の上に接着剤により貼り合わされた防水性シートとを少なくとも有する防水構造において、前記下地断熱材として、剛性を有する板材と合成樹脂発泡体製の板状断熱材とを積層した傾斜勾配を有するものであって、かつ、前記合成樹脂発泡体製の板状断熱材は、少なくとも前記剛性を有する板材に面する側に複数の独立した突起を形成しており該突起の先端を介して該剛性を有する板材に対して接着剤により接着積層されている下地断熱材を用い、前記該合成樹脂発泡体製の板状断熱材側が接着剤により床面等の被防水下地に貼り合わされていることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、床面等の被防水下地の上に接着剤により貼り合わされる下地断熱材として、剛性を有する板材(好ましくは合板あるいは窯業系面材が用いられる)と合成樹脂発泡体製の板状断熱材を積層した、全体として傾斜勾配を有するものであって、前記合成樹脂発泡体製の板状断熱材は、少なくとも剛性を有する板材に面する側に複数の独立した突起を形成していて、その突起の先端を介して該剛性を有する板材に接着剤により接着積層されている構造である下地断熱材を用いることにより、
(1)該下地断熱材全体を工場で生産することができ、防水構造施工現場での作業工程を大幅に減少ができる。
(2)破壊あるいは変形しやすい合成樹脂発泡体製の板状断熱材は、工場で製造された時点で、表面を剛性を有する板材で覆われているので、運搬中や防水施工中に不用意に損傷すことはない。
(3)合成樹脂発泡体製の板状断熱材と剛性を有する板材とは、板状断熱材の表面に一体成形された複数の独立した突起を介してを接着剤により接着積層されているので、建屋に加えられる振動による歪みを該突起部分で吸収することが可能であり、その上に配置される防水層にひび割れ等が生じるのを回避することができる。それにより、長期にわたり高い防水性と断熱性を維持することの可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本発明による防水工法を木造住宅のバルコニーに適用する場合の工程途中の状態を上から見て示している。図2は下地断熱材の構成要素である合成樹脂発泡体製の板状断熱材を示す斜視図であり、図3は下地断熱材全体を示す斜視図である。図4は防水施工の途中での断面図であり、図5は施工終了時での断面図であり、図6は施工途中での状態を説明する一部破断した斜視図である。また、図7は従来の防水施工方法による防水構造を説明する断面図である。
【0011】
図1において、a、aは建物本体側の柱であり、その側方に適宜の構造枠組みを介してバルコニー10が構築される。11は周囲の壁部であり、12(図4〜図6参照)は構造材としての被防水下地である。この被防水下地12の上に、本発明での防水構造が構築される。
【0012】
被防水下地12の前方端には、好ましくは耐溶剤性が改善されたスチレン改質ポリエチレンのビーズ型内発泡成形体である排水溝バネル13が配置され、その両端にはドレン孔14などが開設される。そして、被防水下地12の残りの部分には、本発明による下地断熱材20が弾性エポキシ変性型接着剤などの適宜の接着剤を介して好ましくは点付けで貼着される。図1では、4枚の下地断熱材20が、その水勾配が前方側(図で左方側)になるように貼着配置されている。
【0013】
下地断熱材20は、剛性を有する板材21と合成樹脂発泡体製の板状断熱材22とを好ましくは弾性エポキシ変性型接着剤により接着積層して形成される。剛性を有する板材21は、施工時あるいは施工後に発生すると予想される上方からの負荷(特に集中負荷)に耐え得る強度を持つことを条件に、その材料や厚みを選定すればよいが、好ましくは、合板あるいは無機材料系の面材である。他に、OSB(オリエンテッド・ストランド・ボード)やMDF(ミディアム・デンシティ・ファイバーボード)のような材料も用いることができる。いずれの場合でも厚みは5〜12mm程度で十分である。
【0014】
合成樹脂発泡体製の板状断熱材22は、やはり、施工時あるいは施工後に発生すると予想される上方からの負荷に耐え得る強度を持つことを条件に、その材料や厚みを選定すればよいが、好ましくは、ポリスチレンのビーズ型内発泡品などであり、その厚みは30mm〜50mm程度で十分である。他に、ポリスチレンの押出発泡品、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアネートフォームのような材料も用いることができる。板状断熱材22には、全体に1/100程度の下り勾配が付けられると共に、表面側、すなわち、剛性を有する板材21に貼着される側の面には、図2に示すように、平面視で長円状をなす多数の独立した突起23が一体成形される。この突起23の高さは板状断熱材22の厚みの半分程度が好ましいが1/4程度であっても十分に所期の目的は達成される。また、突起23の形状は上方からの負荷によって潰れない程度の断面積を持つ形状であればよく、平面視で、円形、矩形、多角形などであつてもよい。突起と突起の間隔も特に制限はなく、強度を勘案して適宜定めればよい。
【0015】
図4に示すように、下地断熱材20は、その下り勾配側先端が排水溝バネル13側となるようにして、被防水下地12上に貼り付け施工される。
貼り付け施工された下地断熱材20の上には、防水性シート30が好ましくは弾性エポキシ変性型接着剤により点付け状態で接着積層される。防水性シート30は従来このような防水工法において用いられる任意のシートを用い得るが、この実施の形態では、柔軟性を具備するガラス繊維強化樹脂成形板31と弾性合成樹脂発泡シート32とを積層した防水性シート30を、その弾性合成樹脂発泡シート32側を下面側として貼り付けている。なお、このシート自体は従来公知のものである。
【0016】
図4に示すように、下地断熱材20とその上に貼り付けた防水性シート30の先端側の全厚みが、排水溝バネル13の上面高さとほぼ一致するようにしておくことは好ましい態様であり、それにより、防水性の確保が容易となる。
図4のようにして下地断熱材20と防水性シート30とを積層した後で、目地部などにガラスクロステープなどを貼り付け、さらに、発泡樹脂が表面に露出している部分を溶剤に対する耐食性の高いテープで被覆し、その上から、全面にポリエステル樹脂に硬化剤を配合したもののような防水性の高い樹脂溶液をライニングし硬化させることにより、防水施工はほぼ終了する。その後に、必要に応じて、図5に示すように、樹脂製ブロックなどの適宜の表面化粧材40が配置される。
【0017】
上記の構成であり、本発明による防水構造では、床面等の被防水下地12の上に好ましくは弾性接着剤により貼り合わされる下地断熱材20が、剛性を有する板材21と合成樹脂発泡体製の板状断熱材22を積層した、全体として傾斜勾配を有するものであり、該板状断熱材22の表面には、複数の独立した突起23が多数形成されているので、地震などの振動により建物に歪みが生じても、その歪みを該突起23の部分で吸収することが可能となり、その上に配置される防水性シート30側にひび割れ等が生じるのを回避することができる。そのために、長期にわたり高い防水性と断熱性を維持することの可能となる。
【0018】
また、下地断熱材20全体を工場で生産することができ、防水構造施工現場での作業工程を大幅に減少ができると共に、破壊あるいは変形しやすい合成樹脂発泡体製の板状断熱材22は、表面を剛性を有する板材21で覆われているので、運搬中や防水施工中に不用意に損傷すこも回避できる。
さらに、施工に際して、接着剤として弾性接着剤を用いて点付けすることにより、振動による歪みの吸収を一層確実とするとができ、防水効果はさらに有効となる。
【0019】
【発明の効果】
本発明による防水工法及び防水構造によれば、施工が容易でありながら、地震や振動などにより建屋に加えられる歪みによっては容易に破壊することのない高い防水性と断熱性を持つベランダやバルコニーなどを容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による防水工法を木造住宅のバルコニーに適用する場合の工程途中の状態を示す上面図。
【図2】下地断熱材の構成要素である合成樹脂発泡体製の板状断熱材を示す斜視図。
【図3】下地断熱材全体を示す斜視図。
【図4】防水施工の途中での断面図。
【図5】施工終了時での断面図。
【図6】施工途中での状態を説明する一部破断した斜視図。
【図7】従来の防水施工方法による防水構造を説明する断面図。
【符号の説明】
10…バルコニー、12…バルコニー、20…バルコニー、21…剛性を有する板材、22…合成樹脂発泡体製の板状断熱材、23…複数の独立した突起、30…防水性シート、31…柔軟性を具備するガラス繊維強化樹脂成形板、32…弾性合成樹脂発泡シート、40…表面化粧材
【発明の属する技術分野】
本発明は防水工法に関し、特に、木造住宅のバルコニーや屋上に設置される床面等の防水工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木造住宅における防水工法では、その構成材料と木材の熱膨張率・弾性係数などの差異、木造躯体の乾燥収縮などにより、仕舞部分に歪みや亀裂が生じることがあり、また微振動や小地震による、仕舞部分・継ぎ目部分の歪み、疲労が生じることもあり得る。上記の点が従来より防水計画の際に懸念されており、木造住宅における防水工事の大型化はなかなか普及をなしえなかったのが実状である。加えて、従来の根太による現場施工での水勾配確保は、手間を要する上、精度を確保し難く、その点も大型化の普及を妨げる要因となっていた。
【0003】
そのような不都合を解消するために、木造住宅のバルコニーや屋上の防水構造として、例えば図7に示すように、バルコニーや屋上の床面に配された構造用合板12a上に、勾配のついた板状の発泡断熱部材51と、防水用の軟質ゴム材52と、ゴムシート53と、ガラス繊維強化樹脂(FRP)製の硬質材56及び不燃材57を積層し、上記ゴムシート53は、上記軟質ゴム材52の層の上に互いに間隙を設けて載置され、上記軟質ゴム材52の層と上記硬質材52の層との間に空隙58を形成するようにしたものが知られている(特公平8−6413号公報参照)。
【0004】
この防水構造によれば、軟質ゴム材52とガラス繊維強化樹脂(FRP)製の硬質材56の2層構造による複合防水構造としたことにより、動的歪みの大きい木造住宅においても長期にわたり防水効果を発揮し得る耐久性の高い防水構造が得られることが期待できる。さらに、勾配の付いた板状の発泡断熱部材51を用いたことから、当該発泡断熱部材を敷設するだけで外断熱方式による建屋の断熱が行われると共に、水勾配も形成される利点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特公平8−6413号公報に記載の防水構造は、長期にわたり高い防水性能を果たすものと期待できるが、その施工に際して、板状の発泡断熱部材51を構造用合板12aの上に敷設し、次の作業として、防水用の軟質ゴム材52を敷設するようにしており、施工作業中に作業者が板状の発泡断熱部材51の上に不注意に載ってしまい、発泡断熱部材を損傷させてしまう恐れがある。また、軟質ゴム材52を敷設した後でも、その上を作業者が歩行したり、あるいはなんらかの点加重に近い衝撃加重が加えられた場合に、発泡断熱部材が同様に損傷することが起こりうる。さらに、防水用の軟質ゴム材52の上に、ゴムシート53を介して、ガラス繊維強化樹脂(FRP)製の硬質材56を敷設するものであり、敷設作業に多くの工程を必要とする。
【0006】
本発明の目的は、発泡断熱材層の上に、ガラス繊維強化樹脂(FRP)を主構成とする防水層を施す木造の防水構造において、外部応力による木造躯体の歪みを緩衝し、防水層及び仕舞部分の亀裂、隙間の発生を回避することにあり、これにより、長期間安全な大型の防水計画を木造住宅においても促すことが可能となる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明による防水工法は、基本的に、床面等の被防水下地の上に、下地断熱材を接着剤により貼り合わせる工程と、その上に、防水性シートを貼り合わせる工程とを少なくとも有する防水工法において、前記下地断熱材として、剛性を有する板材と合成樹脂発泡体製の板状断熱材とを積層した傾斜勾配を有するものであって、かつ、前記合成樹脂発泡体製の板状断熱材は、少なくとも前記剛性を有する板材に面する側に複数の独立した突起を形成しており、該突起の先端を介して該剛性を有する板材に対して接着剤により接着積層されている下地断熱材を用いることを特徴とする。
【0008】
また、本発明による防水構造は、基本的に、床面等の被防水下地の上に接着剤により貼り合わされた下地断熱材と、該下地断熱材の上に接着剤により貼り合わされた防水性シートとを少なくとも有する防水構造において、前記下地断熱材として、剛性を有する板材と合成樹脂発泡体製の板状断熱材とを積層した傾斜勾配を有するものであって、かつ、前記合成樹脂発泡体製の板状断熱材は、少なくとも前記剛性を有する板材に面する側に複数の独立した突起を形成しており該突起の先端を介して該剛性を有する板材に対して接着剤により接着積層されている下地断熱材を用い、前記該合成樹脂発泡体製の板状断熱材側が接着剤により床面等の被防水下地に貼り合わされていることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、床面等の被防水下地の上に接着剤により貼り合わされる下地断熱材として、剛性を有する板材(好ましくは合板あるいは窯業系面材が用いられる)と合成樹脂発泡体製の板状断熱材を積層した、全体として傾斜勾配を有するものであって、前記合成樹脂発泡体製の板状断熱材は、少なくとも剛性を有する板材に面する側に複数の独立した突起を形成していて、その突起の先端を介して該剛性を有する板材に接着剤により接着積層されている構造である下地断熱材を用いることにより、
(1)該下地断熱材全体を工場で生産することができ、防水構造施工現場での作業工程を大幅に減少ができる。
(2)破壊あるいは変形しやすい合成樹脂発泡体製の板状断熱材は、工場で製造された時点で、表面を剛性を有する板材で覆われているので、運搬中や防水施工中に不用意に損傷すことはない。
(3)合成樹脂発泡体製の板状断熱材と剛性を有する板材とは、板状断熱材の表面に一体成形された複数の独立した突起を介してを接着剤により接着積層されているので、建屋に加えられる振動による歪みを該突起部分で吸収することが可能であり、その上に配置される防水層にひび割れ等が生じるのを回避することができる。それにより、長期にわたり高い防水性と断熱性を維持することの可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は、本発明による防水工法を木造住宅のバルコニーに適用する場合の工程途中の状態を上から見て示している。図2は下地断熱材の構成要素である合成樹脂発泡体製の板状断熱材を示す斜視図であり、図3は下地断熱材全体を示す斜視図である。図4は防水施工の途中での断面図であり、図5は施工終了時での断面図であり、図6は施工途中での状態を説明する一部破断した斜視図である。また、図7は従来の防水施工方法による防水構造を説明する断面図である。
【0011】
図1において、a、aは建物本体側の柱であり、その側方に適宜の構造枠組みを介してバルコニー10が構築される。11は周囲の壁部であり、12(図4〜図6参照)は構造材としての被防水下地である。この被防水下地12の上に、本発明での防水構造が構築される。
【0012】
被防水下地12の前方端には、好ましくは耐溶剤性が改善されたスチレン改質ポリエチレンのビーズ型内発泡成形体である排水溝バネル13が配置され、その両端にはドレン孔14などが開設される。そして、被防水下地12の残りの部分には、本発明による下地断熱材20が弾性エポキシ変性型接着剤などの適宜の接着剤を介して好ましくは点付けで貼着される。図1では、4枚の下地断熱材20が、その水勾配が前方側(図で左方側)になるように貼着配置されている。
【0013】
下地断熱材20は、剛性を有する板材21と合成樹脂発泡体製の板状断熱材22とを好ましくは弾性エポキシ変性型接着剤により接着積層して形成される。剛性を有する板材21は、施工時あるいは施工後に発生すると予想される上方からの負荷(特に集中負荷)に耐え得る強度を持つことを条件に、その材料や厚みを選定すればよいが、好ましくは、合板あるいは無機材料系の面材である。他に、OSB(オリエンテッド・ストランド・ボード)やMDF(ミディアム・デンシティ・ファイバーボード)のような材料も用いることができる。いずれの場合でも厚みは5〜12mm程度で十分である。
【0014】
合成樹脂発泡体製の板状断熱材22は、やはり、施工時あるいは施工後に発生すると予想される上方からの負荷に耐え得る強度を持つことを条件に、その材料や厚みを選定すればよいが、好ましくは、ポリスチレンのビーズ型内発泡品などであり、その厚みは30mm〜50mm程度で十分である。他に、ポリスチレンの押出発泡品、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアネートフォームのような材料も用いることができる。板状断熱材22には、全体に1/100程度の下り勾配が付けられると共に、表面側、すなわち、剛性を有する板材21に貼着される側の面には、図2に示すように、平面視で長円状をなす多数の独立した突起23が一体成形される。この突起23の高さは板状断熱材22の厚みの半分程度が好ましいが1/4程度であっても十分に所期の目的は達成される。また、突起23の形状は上方からの負荷によって潰れない程度の断面積を持つ形状であればよく、平面視で、円形、矩形、多角形などであつてもよい。突起と突起の間隔も特に制限はなく、強度を勘案して適宜定めればよい。
【0015】
図4に示すように、下地断熱材20は、その下り勾配側先端が排水溝バネル13側となるようにして、被防水下地12上に貼り付け施工される。
貼り付け施工された下地断熱材20の上には、防水性シート30が好ましくは弾性エポキシ変性型接着剤により点付け状態で接着積層される。防水性シート30は従来このような防水工法において用いられる任意のシートを用い得るが、この実施の形態では、柔軟性を具備するガラス繊維強化樹脂成形板31と弾性合成樹脂発泡シート32とを積層した防水性シート30を、その弾性合成樹脂発泡シート32側を下面側として貼り付けている。なお、このシート自体は従来公知のものである。
【0016】
図4に示すように、下地断熱材20とその上に貼り付けた防水性シート30の先端側の全厚みが、排水溝バネル13の上面高さとほぼ一致するようにしておくことは好ましい態様であり、それにより、防水性の確保が容易となる。
図4のようにして下地断熱材20と防水性シート30とを積層した後で、目地部などにガラスクロステープなどを貼り付け、さらに、発泡樹脂が表面に露出している部分を溶剤に対する耐食性の高いテープで被覆し、その上から、全面にポリエステル樹脂に硬化剤を配合したもののような防水性の高い樹脂溶液をライニングし硬化させることにより、防水施工はほぼ終了する。その後に、必要に応じて、図5に示すように、樹脂製ブロックなどの適宜の表面化粧材40が配置される。
【0017】
上記の構成であり、本発明による防水構造では、床面等の被防水下地12の上に好ましくは弾性接着剤により貼り合わされる下地断熱材20が、剛性を有する板材21と合成樹脂発泡体製の板状断熱材22を積層した、全体として傾斜勾配を有するものであり、該板状断熱材22の表面には、複数の独立した突起23が多数形成されているので、地震などの振動により建物に歪みが生じても、その歪みを該突起23の部分で吸収することが可能となり、その上に配置される防水性シート30側にひび割れ等が生じるのを回避することができる。そのために、長期にわたり高い防水性と断熱性を維持することの可能となる。
【0018】
また、下地断熱材20全体を工場で生産することができ、防水構造施工現場での作業工程を大幅に減少ができると共に、破壊あるいは変形しやすい合成樹脂発泡体製の板状断熱材22は、表面を剛性を有する板材21で覆われているので、運搬中や防水施工中に不用意に損傷すこも回避できる。
さらに、施工に際して、接着剤として弾性接着剤を用いて点付けすることにより、振動による歪みの吸収を一層確実とするとができ、防水効果はさらに有効となる。
【0019】
【発明の効果】
本発明による防水工法及び防水構造によれば、施工が容易でありながら、地震や振動などにより建屋に加えられる歪みによっては容易に破壊することのない高い防水性と断熱性を持つベランダやバルコニーなどを容易に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による防水工法を木造住宅のバルコニーに適用する場合の工程途中の状態を示す上面図。
【図2】下地断熱材の構成要素である合成樹脂発泡体製の板状断熱材を示す斜視図。
【図3】下地断熱材全体を示す斜視図。
【図4】防水施工の途中での断面図。
【図5】施工終了時での断面図。
【図6】施工途中での状態を説明する一部破断した斜視図。
【図7】従来の防水施工方法による防水構造を説明する断面図。
【符号の説明】
10…バルコニー、12…バルコニー、20…バルコニー、21…剛性を有する板材、22…合成樹脂発泡体製の板状断熱材、23…複数の独立した突起、30…防水性シート、31…柔軟性を具備するガラス繊維強化樹脂成形板、32…弾性合成樹脂発泡シート、40…表面化粧材
Claims (4)
- 木造住宅のバルコニーや屋上に設置される床面等の被防水下地の上に、下地断熱材を接着剤により貼り合わせる工程と、その上に防水性シートを貼り合わせる工程とを少なくとも有する防水工法において、前記下地断熱材として、剛性を有する板材と合成樹脂発泡体製の板状断熱材とを積層した傾斜勾配を有するものであって、該合成樹脂発泡体製の板状断熱材は、少なくとも前記剛性を有する板材に面する側に複数の独立した突起を形成しており、該突起の先端を介して該剛性を有する板材に対して接着剤により接着積層されている下地断熱材を用いることを特徴とする防水工法。
- 前記下地断熱材として、剛性を有する板材が合板又は窯業系面材である下地断熱材を用いることを特徴とする請求項1記載の防水工法。
- 前記被防水下地と前記下地断熱材との接着剤として弾性接着剤を用いることを特徴とする請求項1記載の防水工法。
- 前記下地断熱材と前記防水性シートとの接着剤として弾性接着剤を用いることを特徴とする請求項1記載の防水工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06657998A JP3600724B2 (ja) | 1998-03-17 | 1998-03-17 | 防水工法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06657998A JP3600724B2 (ja) | 1998-03-17 | 1998-03-17 | 防水工法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH11264219A JPH11264219A (ja) | 1999-09-28 |
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