JP2014185447A - 断熱リフォーム用断熱パネル及び断熱リフォーム方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】集合住宅における既存の壁を撤去して露出した壁下地材1に対して接着剤Sを介して張り付けられるようにして施工されるリフォーム用の断熱パネル100であって、室内側に位置するプラスターボード10又は合板の裏面に、複数の溝21が刻設されたフェノールフォーム断熱材20を貼着一体化してなる。またプラスターボード10又は合板の周縁に、隣接する断熱パネル100と連結するための実,あいじゃくり等の嵌合部材30を設ける。
【選択図】図1
Description
この方法は低コストで施工速度も極めて速く、レベル合わせも容易で、仕上がり壁面の平滑性も良好な為に広く採用されている。しかし、断熱材の施工については困難性を有するので施工されない場合が大半であつた。
一般的な断熱材の施工方法としては、一旦、図8(a),(b)に示すように、既存の壁材3を撤去し、改めてコンクリートの壁下地1上に胴縁4を組んで、胴縁4間にグラスウール等の断熱材5を手作業で施工し、この上から再びプラスターボード等の壁材3の施工が行われていた。
この方法は、比較的安価でありながら、断熱性能は確実に向上する上に、施工に特別な技術は不要とされている。
これによれば、施工手間は前述のグラスウール等の断熱材5の場合と大差無いものの、断熱材自体は薄く断熱性能も極めて優れているので特に部屋が狭くなる事も無い。
(1)部材数が多く施工手間がかかる
胴縁、断熱材、壁材をそれぞれ単独で購入し現場に搬入した上で施工する必要があるので手間がかかるとともに、サイズ合わせもそれぞれ行う必要があるので煩雑である。また、これらを組み合わせる際には、多くの接着剤,釘又はステープル等の固定具も必要である。
(2)騒音が大きい
胴縁の壁下地への固定及び壁材を胴縁に施工する際には、釘やステープルを使用するので、打撃時の騒音が大である。しかも、この騒音は躯体を直接打撃するに等しいので、隣戸のみならず建物全体に響いて大きな問題となる場合がある。新築工事の場合には左程問題にはされないが、リフォームエ事では深夜及び早朝は一切作業できず、作業時間の制約も大である。
グラスウールは切断可能ではあるものの、狭い部分や複雑な形状に合わせての切断は困難で、寸法が合わなくて断熱材の欠損部分が生じて、ヒートブリッジ(外壁と内壁の間にある柱などが熱を伝える現象のことで、特に熱伝導率の高い鉄骨は、外気と室内の熱を伝えやすくなる。例えば、夏は熱がヒートブリッジを伝わり暑くなり、冬は冷気が伝わり寒くなり、このような現象により結露が発生しやすくなる。また、省エネの観点からみると冷暖房の熱効率も悪くなり、光熱費も高くなりがちになり、効率はおちる。)が発生してしまう恐れがある。
また、真空断熱材についても、施工場所の形状に合わせるのはグラスウール以上に困難であるので、この危険性については同様である。
さらに、上述したグラスウールの施工及び真空断熱使用のいずれの場合も団子状の樹脂モルタルや胴縁が使用され、これらは断熱材に比較して断熱性能が大幅に劣るので、ここから熱が流出してヒートブリッジを形成することもある。
一旦、ヒートブリッジが発生してしまうと、特に冬季に結露が生じ、結露水の影響で腐朽が一気に進行してしまう可能性が高い。
グラスウールは隣接する胴縁間に配置され、この上からプラスターボード等の壁材が施工されているので、グラスウールに対向する部分では壁材の強度が弱く局所的に応力が集中すると壁材に凹凸が発生するといったように不陸が生じやすい。また、リフォームされる集合住宅が経時的に変化することにより、胴縁間に壁材を施工した場合に壁材の水平が保てずに壁材に歪みや凹凸が発生することもある。
グラスウールは壁用断熱材として用いる場合、通常必要とされる断熱性能を確保には最低でもその厚さが50ミリメートル(mm)程度は必要なので、部屋が確実に狭くなってしまう。
(6)痛痒感があり健康上問題となる
グラスウールは微細なガラス繊維で形成されるが、素手で触ると運搬や施工時にこれらが脱落飛散して、皮膚に容易に刺さって大きな痒みを生じる場合がある。この為に、軍手の着用は逆効果であり、通常は通気性の悪いゴム手袋を着用して施工しなければならないので面倒で不便であつた。特に夏季において、ゴム手袋は汗で不衛生になりがちである。
(7)高価でサイズの自由度が低い
グラスウールは安価ではあるが、真空断熱材は極めて高額である。また、グラスウールは施工場所に合わせて自由に裁断可能だが、真空断熱材は基本的に切断不能で、狭い場所等断熱材のサイズに合わない場所には、折り曲げて施工するか、或いは他の断熱材で代用するしかない。
グラスウールの繊維自体はガラスなので吸水・吸湿は無いものの、マットタイプでは空間に水分を溜め込む性質があり、長期間経過後に水分が滞留して自重で潰れ、体積が減少してしまう傾向がある。特に壁材に使用した場合、垂直方向に施工されるので、固定が不十分だと潰れて脱落し、壁の下部に落下する場合が多い。こうなると断熱性能が大幅に低下してしまい、これもヒートブリッジの原因となりうる。
また真空断熱材は、施工に際して指定場所以外に釘や木ネジ等を打つ事が禁止されているが、万一誤って打たれると真空状態が破られ断熱性能が完全に消失してしまう。また、釘等の問題は、施工時には遵守されていても、施工後に入居者が時計や絵などを取付ける際、壁にネジやピンを打つと同様に断熱性能を喪失してしまう恐れがあり、これもヒートブリッジの原因となりうる。
団子状の樹脂モルタルや胴縁上に張られたプラスターボードが共鳴を生じて、遮音性能(透過損失)がコンクリート壁素地の状態より1〜2ランク(約5〜10dB)程度悪化するといったコインシデンス効果が発生する場合が多い。
室内側に位置するプラスターボード(10)又は合板の裏面に、複数の溝(21)が刻設されたフェノールフォーム断熱材(20)を貼着一体化してなることを特徴とする。
室内側に位置するプラスターボード(10)又は合板の裏面に、フェノールフォーム断熱材(20)を貼着一体化してなるとともに、前記プラスターボード(10)又は合板の周縁に、隣接する断熱パネル(100)と連結するための実又はあいじゃくり等の嵌合部材(30)を設けてなることを特徴とする。
また、サイズ合わせもパネルの切断だけで完了し、その切断は通常の鋸の他に、大型のカッターナイフでの切断も可能で、特殊な工具は不要である。そして、複雑な形状に合わせての切断が容易なので、寸法が合わずに隙間が発生し、その結果ヒートブリッジが発生してしまう恐れは殆どなく、これにより結露水の影響で腐朽が進行してしまう恐れもない。さらに、断熱材に比較して断熱性能が劣る団子状の樹脂モルタルや胴縁といった部材が使用されていないので、これによってもヒートブリッジ発生の恐れは殆どない。
このとき、接着剤塗布時のムラや壁下地材の微細な凹凸面による変形などによって断熱パネルに不陸が発生する場合があるが、本発明では、フェノールフォーム断熱材に複数の溝が刻設されているので柔軟性を有し、その柔軟性によって接着剤塗布時のムラや壁下地材の微細な凹凸面による変形を吸収しうる。また、フェノールフォーム断熱材に複数の溝が刻設されたものは溝がないものと比較して接着剤に馴染み易いので壁下地材に対して強固に固定される。
さらに、従来のように、真空断熱材を使用する場合と比較しても、安価でその上、釘や木ネジ等を指定場所以外に打つことにより断熱性能が消失してしまうことはないので安全である。
図1乃至図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る断熱リフォーム用断熱パネル100及びその断熱パネル100を利用した断熱リフォーム方法を説明する。
この断熱材20は、フェノールフォームという断熱素材の表面にガラス複合紙を貼ったもので、厚さ15ミリメートル(mm)程度で、厚さ50ミリメートル(mm)程度のグラスウールに匹敵する断熱性能が得られる上に、ボード状で形が整っているので、施工が容易で、また、経年変化によって潰れて断熱性能が低下してしまうこともない。しかも、フェノールフォームからなる断熱材20は、寸法を合わせて切断する場合も、ナイフ,鋸等で正確かつ簡単に切断可能である。また、フェノールフォームは、材料の燃えやすさの指標の一つとして示される酸素指数で表現した場合、28〜32であり、酸素指数が18の一般的なポリスチレンフォームや20〜21のポリウレタンフォームと比較して難燃性に優れるものであり、さらにフェノールフォームは、火災時には有毒ガスを発せず、発煙量も少ない。
(1)既存壁材の撤去
まず、従来例で示したように、GL工法の壁材が施工されている場合が大半なので、既存の壁材や団子状の樹脂モルタルに至るまで撤去して壁下地1の表面に何も無い状態とする。
(2)断熱パネルのサイズ合わせ
この断熱パネル100は、従来例のように、胴縁、断熱材、壁材といった部材に分かれていないので、採寸したサイズで断熱パネル100の切断加工を行う。この切断は鋸や大型カッターナイフ等で可能である。また、裏面に刻設された溝21の部分で折って切断することもできる。
(3)接着剤塗布
次に、図2及び図3に示すように、壁下地1の表面及び断熱パネル100の室外側となるフェノールフォーム断熱材20の表面にそれぞれ接着剤Sを塗布する。
なお、ここでは壁下地1の表面及び断熱パネル100の室外側の両方に接着剤Sを塗布するようにしたが、いずれか一方側にだけに塗布するようにしてもよい。ただし、断熱パネル100の室外側に接着剤Sを塗布する場合には、刻設された複数の溝21の上にかかるように接着剤Sを塗布することが好ましい。
次に、塗布した接着剤Sが硬化する前に断熱パネル100を壁下地1に対して張り込んで行く。なお、施工に際しては基本的に釘やステープル等は使用しない。
壁下地1が逆勾配で、接着剤Sが硬化する前に貼った断熱パネル100が落下する恐れがある場合は、仮止めの釘を断熱パネル100の表面から打ち込んで仮固定を行うことも考えられる。なお、その仮止めの釘は接着剤Sの硬化後に引き抜いて、穴はパテ等で補修しておくようにする。
(5)目地調整
パテ等で隣接する断熱パネル100間の目地40を埋めて調整する。
(6)完成
そして、パテが乾燥すれば表面を均し、その後クロス等壁仕上げ材を施工して、断熱リフォーム工事は完了する。
また、サイズ合わせもパネルの切断だけで完了し、その切断は通常の鋸の他に、大型のカッターナイフでの切断も可能で、特殊な工具は不要である。そして、複雑な形状に合わせての切断が容易なので、寸法が合わずに隙間が発生し、その結果ヒートブリッジが発生してしまう恐れは殆どなく、これにより結露水の影響で腐朽が進行してしまう恐れもない。さらに、断熱材に比較して断熱性能が劣る団子状の樹脂モルタルや胴縁といった部材が使用されていないので、これによってもヒートブリッジ発生の恐れは殆どない。
このとき、接着剤塗布時のムラや壁下地材の微細な凹凸面による変形などによって断熱パネルに不陸が発生する場合があるが、本発明では、フェノールフォーム断熱材に複数の溝が刻設されているので柔軟性を有し、その柔軟性によって接着剤塗布時のムラや壁下地材の微細な凹凸面による変形を吸収しうる。また、フェノールフォーム断熱材に複数の溝が刻設されたものは溝がないものと比較して接着剤に馴染み易いので壁下地材に対して強固に固定される。
さらに、従来のように、真空断熱材を使用する場合と比較しても、安価でその上、釘や木ネジ等を指定場所以外に打つことにより断熱性能が消失してしまうことはないので安全である。
さらに、複数の溝21については格子状で断続的に設けるようにしたが、これに限られることなく、少なくともフェノールフォーム断熱材20に柔軟性を持たせる態様であればよい。
次に、図5及び図6を参照して、本発明の第2実施形態に係る断熱リフォーム用断熱パネル100及びその断熱パネル100を利用した断熱リフォーム方法を説明する。
これらは、嵌合部材30を介して隣接する断熱パネル100と連結するようにしたものである。
また、図6(a)に示したものは、隣接する断熱パネル100間に雇い実33を設けたものであり、図6(b)に示したものは、隣接する断熱パネル100間に室内側から嵌合材34を嵌め込んだものである。
なお、ここでは嵌合部材30の一例を示したが、隣接する断熱パネル100間が連結されるものであれば他の態様のものであってもよい。
ここでいう、C,D,E,Fの各ランクとは、独立行政法人住宅金融支援機構の断熱材区分におけるランクである。
本実施形態においては、その断熱材区分がFランク(熱伝導率0.022以下)のA種フェノールフォーム保温板1種2号を断熱材21,22として使用した。
これによれば、筋交いや壁内部の電気配線等に使用を制限されることがなく、また、廃棄物はほとんど発生しないし、既存の壁を撤去する手間が掛からないので、施工は容易であり施工時間は短い。
2 樹脂モルタル
3 壁材
4 胴縁
5 断熱材
10 プラスターボード
10a 面取り部
20 フェノールフォーム断熱材
21 溝
30(31〜34) 嵌合部材
40 目地
100 (リフォーム用の)断熱パネル
S 接着剤
Claims (5)
- 集合住宅における既存の壁を撤去して露出した壁下地材に対して接着剤を介して張り付けられるようにして施工されるリフォーム用の断熱パネルであって、
室内側に位置するプラスターボード又は合板の裏面に、複数の溝が刻設されたフェノールフォーム断熱材を貼着一体化してなることを特徴とする断熱リフォーム用断熱パネル。 - 前記プラスターボード又は合板の周縁に、隣接する断熱パネルと連結するための実,あいじゃくり等の嵌合部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の断熱リフォーム用断熱パネル。
- 集合住宅における既存の壁を撤去して露出した壁下地材に対して接着剤を介して張り付けられるようにして施工されるリフォーム用の断熱パネルであって、
室内側に位置するプラスターボード又は合板の裏面に、フェノールフォーム断熱材を貼着一体化してなるとともに、前記プラスターボード又は合板の周縁に、隣接する断熱パネルと連結するための実又はあいじゃくり等の嵌合部材を設けてなることを特徴とする断熱リフォーム用断熱パネル。 - プラスターボード又は合板の裏面に、複数の溝が刻設されたフェノールフォーム断熱材を貼着一体化してなる断熱リフォーム用断熱パネルを、前記プラスターボード又は合板側を室内側にして、集合住宅における既存の壁を撤去して露出した壁下地材に対して、その壁下地材側又は前記フェノールフォーム断熱材側に塗布した接着剤を介して張り付けられるようにして施工することを特徴とする断熱リフォーム方法。
- プラスターボード又は合板の裏面に、複数の溝が刻設されたフェノールフォーム断熱材を貼着一体化してなる断熱リフォーム用断熱パネルを、前記プラスターボード又は合板側を室内側にして、集合住宅における既存の壁を撤去することなく重ねて、その既存の壁側又は前記フェノールフォーム断熱材側に塗布した接着剤を介して張り付けられるようにして施工することを特徴とする断熱リフォーム方法。
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