以下、図1〜図22を用いて、本発明の実施形態に係る冷蔵庫100を説明する。まず、図1〜図15を用いて、第1の実施形態を説明する。又、図16〜図22を用いて、第2の実施形態を説明する。
(冷蔵庫100の概要)
まず、図1、図2を用いて、実施形態に係る冷蔵庫100の概要を説明する。図1は冷蔵庫100を示す正面図である。図2は冷蔵庫100の右側面断面図である。
図1〜図3に示すように、本実施形態の冷蔵庫100では、最上段にチルド室1(間接冷却室に相当)を含む冷蔵室2(貯蔵室の一種に相当)が配される。冷蔵室2の下側の左側に製氷室3が配される。又、冷蔵室2の下側の右側には上部冷凍室4が配される。又、製氷室3と上部冷凍室4の下方には下部冷凍室5が配される。更に、下部冷凍室5の下方(冷蔵庫100の最下段)には野菜室6が配される。
図1に示すように、冷蔵室2は観音開きの扉101を有する。使用者は扉101を開いて冷蔵保存する貯蔵物の出し入れを行う。製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6は手前側に引き出すことができ、冷凍保存するものや野菜などを出し入れすることができる。尚、野菜室6は野菜の貯蔵に適した温度(約8℃)に維持される。
図2に示すように、上部冷凍室4には、冷凍保存する貯蔵物を収納する収納ケース41が設けられる。下部冷凍室5にも、冷凍保存する貯蔵物を収納する収納ケース51が設けられる。又、野菜室6にも、野菜を貯蔵する2段式の収容ケース61が設けられる。
(冷蔵室2内の構成)
次に、図2、図3を用いて、実施形態に係る冷蔵庫100の冷蔵室2内部を説明する。図3は冷蔵庫100の正面断面図である。
図2、図3に示すように、冷蔵室2内には、冷蔵室2内の空間を仕切る複数の仕切棚21、22、23、24が設けられる。仕切棚21〜24の上面には冷蔵保存する貯蔵物を載置できる。又、図2に示すように、冷蔵室2の扉101には収納ポケット25(複数個あるが同じ符号を付す)が設けられる。これらにより、適切に冷蔵室2内の空間を仕分けて、冷蔵庫100の使い勝手を向上させる。
また、冷蔵室2内の下部(最下段の仕切棚24と製氷室3及び上部冷凍室4の間)には、チルド室1、及び、卵ケース26と小物ケース27が設けられる(図5参照)。便宜上、図2では、チルド室1のみ図示する。又、図3では、チルド室1、卵ケース26、小物ケース27の図示は便宜上省略している。
チルド室1はチルド温度帯(約0〜2℃程度)で維持される。例えば、チルド室1には乳製品、練り製品、発酵食品、加工品、肉、魚などが貯蔵される。卵ケース26には鶏卵が収容される。小物ケース27に貯蔵するものに特に限定はないが、小物ケース27は小瓶やバターなどの小物をまとめて貯蔵するのに便利である。
(冷気の生成と循環)
図2〜図4を用いて、実施形態に係る冷蔵庫100での冷気の生成と循環の一例を説明する。図4は冷蔵庫100の冷気の流れの一例を示す冷気回路図である。
まず、冷蔵庫100の背面下方に、冷却器71と、冷却器71に接続された圧縮機72が設けられる。圧縮機72には凝縮器、膨張器(いずれも不図示)が接続される。圧縮機72の駆動によりイソブタン等の冷媒が循環して冷凍サイクルが運転される。これにより、冷凍サイクルの低温側となる冷却器71での熱交換により冷気が生成される。圧縮機72は冷蔵室2または上部冷凍室4又は下部冷凍室5の室内温度が設定温度に対して高温側の上限温度よりも上昇すると駆動され、設定温度に対して低温側の下限温度になると停止される。
上部冷凍室4や下部冷凍室5の背後に第1通風路73が設けられる。第1通風路73内に冷却器71が配される。又、冷蔵室2の背後には第1通風路73と接続される第2通風路74が設けられる。生成された冷気は第1通風路73と第2通風路74をとおり各室に供給される。
第1通風路73内には、第1送風機75が配される。冷却器71で生成された冷気は第1送風機75により送り出される。例えば、第1送風機75により送り出された冷気は第1通風路73を介して製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5に供給される。
第1通風路73は製氷室3の背面に設けられた製氷室吹出口81と、上部冷凍室吹出口82(図3参照)に接続される。冷却器71で生成された冷気は、第1送風機75の駆動により矢印A(図5参照)に示すように第1通風路73を上昇して製氷室3に送り出される。又、冷却器71で生成された冷気は、第1送風機75の駆動により矢印B(図3参照)に示すように第1通風路73を上昇して上部冷凍室4に送り出される。これにより、製氷室3や上部冷凍室4が冷やされる。
そして、製氷室3や上部冷凍室4には下部冷凍室5が接続される。製氷室3及び上部冷凍室4を経た冷気は下部冷凍室5にも流れ込む。これにより、製氷室3、上部冷凍室4に加え、下部冷凍室5内も冷却される。下部冷凍室5の後方下部には、空気を導き、第1通風路73の冷却器71に冷気を戻す戻り通風路76(図2参照)が設けられる。そして、戻り通風路76を介して冷気が冷却器71に戻る。
又、第2通風路74内には、第2送風機77が配される。冷却器71で生成された冷気も第2送風機77により、送り出される。例えば、第2送風機77により送り出された冷気は第2通風路74を介して冷蔵室2、チルド室1、野菜室6に対して供給される。
第1通風路73の上部は第2通風路74と接続される。第1通風路73と第2通風路74の間には冷蔵室2ダンパ78が設けられる。第1通風路73の上部で第2通風路74方向に分岐した冷気は第2送風機77の駆動により冷蔵室2ダンパ78を介して矢印C(図3参照)に示すように第2通風路74を流れる。又、第2通風路74は冷蔵室2の奥側の複数の冷蔵室吹出口83と接続される。これにより、第2通風路74を流れる冷気は冷蔵室2内に吹き出される。
又、第2通風路74はチルド室1の背面側に設けられた吹出口80とつながっている。これにより、第2通風路74を流れる冷気は矢印D(図3参照)に示すように、チルド室1の後方からも吹き出される。
冷蔵室2の背面下部には冷蔵室2下方の冷気を集め、野菜室6方向に送り出す戻り口9が設けられる。戻り口9は野菜室6と野菜室用通風路79(図3参照)で接続される。このように、第2通風路74に導かれた冷気は冷蔵室2及びチルド室1を流通した後、野菜室6に流入する。野菜室6に流入した冷気は野菜室6内を流れ戻り通風路76を介して冷却器71に戻る。冷蔵室2、チルド室1、野菜室6が冷却され、設定温度になると冷蔵室2ダンパ78は閉じられる。
実施形態の冷蔵庫100では、冷気回路的に、製氷室3や上部冷凍室4と冷蔵室2はそれぞれ並列に配される(図4参照)。又、製氷室3や上部冷凍室4は下部冷凍室5と直列に配される。又、野菜室6は冷蔵室2と直列に配される。そして、冷却器71や圧縮機72や第1送風機75や第2送風機77や各種通風路が冷蔵室2やチルド室1に冷気を生成し、冷気を送り出す冷却部として機能する。
(チルド室1の概要)
次に、図5を用いて、第1の実施形態に係る冷蔵庫100のチルド室1の概要を説明する。図5は第1の実施形態に係るチルド室1の斜視図である。
上述のように、冷蔵室2内の最下段の仕切棚24と冷蔵室2の底面2aとの間の空間のうち、右側にチルド室1が設けられる。言い換えると、冷蔵室2内にチルド室1が設けられる。本実施形態でのチルド室1は従来のものとは異なり、密閉性を高めている。具体的に、チルド室1内に積極的に冷気を流し込まないようにし、チルド室1の室内を冷気で直接的に冷やすのではなく、周囲の冷気によってチルド室1を冷やす。このように、チルド室1は周囲の冷気による間接冷却で内部の温度が下げられる。
具体的に、チルド室1は貯蔵物(食材)を収容し、前後方向で移動可能なケース部11と、仕切棚24の下方であってケース部11の上方に設けられ、ケース部11を格納した状態としたときケース部11を覆う(ケース部11に被せられる)カバー部12と、を含む。カバー部12は下面が開口された箱形の形状である。又、ケース部11も上面が開口された箱形の形状である(図7参照)。
ケース部11は正面/背面方向(前後方向)で引き出したり、引き出した後、押し入れて格納状態としたりすることができる。ケース部11の出し入れのため、ケース部11の正面部分の下方には、指を引っかけるための取手部13が設けられる。
カバー部12の下端縁部とケース部11の上端縁部の上下方向からみたサイズは同じとされる。そして、ケース部11は格納状態とすると、カバー部12の下端縁部分とケース部11の上端縁部分の間の隙間dに被さる壁板部14がカバー部12の下端縁部とケース部11の上端縁部のいずれか一方に設けられる。
具体的に、図5に示すように、ケース部11を格納状態としたとき、壁板部14はカバー部12とケース部11とカバー部12の間からの冷気の流入出を防ぐように、カバー部12の下端縁部分とケース部11の上端縁部分の間の隙間dに被さる。壁板部14はチルド室1の左右側面部分と背面部分と正面部分に設けられる。
又、カバー部12は仕切棚24に取り付けられる。そのため、冷蔵室2内では、カバー部12は仕切棚24にぶら下げられている状態となる。例えば、カバー部12の上面、又は、仕切棚24の下面に嵌め合わせ用の係合爪24a(図9参照)が複数設けられる。そして、カバー部12に係合爪24aが嵌め込まれる係合部24b(図9参照)が設けられる。尚、カバー部12の上面に係合爪24aを設け、仕切棚24の下面に係合部24bを設けてもよい。これにより、仕切棚24や冷蔵室2やケース部11に対し、決まった位置にカバー部12が位置するように、カバー部12が固定、支持される。
(チルド室1の間接冷却)
次に、図6、図7を用いて、チルド室1の間接冷却の詳細を説明する。図6はチルド室1の奥側の冷蔵室2の壁面部分2bの一例を示す説明図である。図7は第1の実施形態に係るチルド室1部分の模型的右側面断面図である。
図6に示すように、チルド室1の奥側の冷蔵室2の奥側の壁面部分2bに吹出口80(冷蔵室吹出口83の一種ともいえる)が設けられる。吹出口80の左右方向の幅は適宜定めることができる(例えば、チルド室1の横幅に対し、数分の1〜十数分の1程度)。又、吹出口80は1つとは限らず、間隔を設けつつ、2つ以上設けてもよい。
又、チルド室1の奥側の冷蔵室2の壁面部分2bであって、吹出口80よりも右側に戻り口9が設けられる。図6に示すように、戻り口9には、野菜室6や冷却器71などに向けて冷蔵室2内の冷気を送り出すファン91を設けることができる。
そして、図7に示すように、チルド室1の背面側に設けられた吹出口80はカバー部12(チルド室1)の背面に向けて冷気を吹き出す。この冷気によりチルド室1は間接冷却される。尚、冷気は戻り口9に集まってくるので、チルド室1よりも上方で複数の冷蔵室吹出口83から冷蔵室2に吹き出された冷気もチルド室1周辺に降りてきて、チルド室1を間接的に冷却する。
そして、図7に示すように、仕切棚24とカバー部12との間に設けられ、カバー部12の上面と接し(カバー部12の上面を通路の壁面として用い)、吹出口80からの冷気を、チルド室1の背面側から前面側に向けて通す第1通路15が設けられる。尚、図7では、吹出口80から吹き出され、第1通路15を伝う冷気の流れを白抜矢印で図示する。
具体的に、仕切棚24とカバー部12の上面との間の空間が第1通路15として用いられる。これにより、カバー部12の上面の(ほぼ)全面にわたって第1通路15が形成される。言い換えると、カバー部12の上面のうち平坦部分を第1通路15として用いる。これにより、カバー部12の上面は全体的に冷気と接する。従って、効率よくチルド室1を冷やすことができる。
ここで、図7に示すように、カバー部12の上面に接しつつ、チルド室1の正面側にまで送られた冷気はチルド室1の側面から下方に流れる。言い換えると、第1通路15は第1通路15に流れ込んだ冷気をチルド室1の側面に流す。
具体的に、カバー部12の上面の左右方向の縁部分には、第1通路15に流れ込んだ冷気をチルド室1の側面に流すためのガイド壁16が設けられる(図6参照)。ガイド壁16はカバー部12の上面の左右の縁部分に設けられる。ガイド壁16はカバー部12の上面から仕切棚24方向にのび、仕切棚24と接するか、若しくは、ガイド壁16と仕切棚24の間に隙間dが設けられる。
又、ガイド壁16はカバー部12の上面の左右の縁部分のうち、背面から前後方向の中央位置よりも正面側に設けられた終点位置16aまでの間に立設される。これにより、冷気はある程度、チルド室1(カバー部12)の前方(正面側)に送られたのち、チルド室1の左右両側面(冷蔵室2の右側面方向や卵ケース26とチルド室1の間)に流れる。このように、冷気がチルド室1と接する面積を稼ぐので、間接冷却でもチルド室1の室内を十分に冷やすことができる。
又、図7に示すように、冷蔵室2の下面(底面2a)とケース部11との間に設けられ(ケース部11の下方に設けられ)、ケース部11の下面と接し(ケース部11の下面を通路の壁面として用い)、チルド室1の前面側から戻り口9に向けて冷気を通す第2通路17を含む。尚、図7では、チルド室1の全面側から戻り口9に向かう冷気の流れを網掛矢印で図示する。
具体的に、冷蔵室2の下面(底面2a)とケース部11の間の空間が第2通路17として用いられる。これにより、ケース部11の下面に第2通路17が形成される。言い換えると、ケース部11のうち平坦部分を第2通路17として用いる。これにより、ケース部11の下面も冷気に接触させることができる。従って、効率よくチルド室1を冷やすことができる。
尚、第2通路17を設けつつケース部11を載置するため、冷蔵室2の底面2aの一部は盛り上がった形状としてもよい。この盛り上げ部分にケース部11がのせられ、ケース部11を安定した状態で格納することができる。
又、吹出口80はチルド室1の背面側かつ戻り口9よりも上方に設けられる。又、吹出口80はチルド室1の中央よりも左に偏って設けられ、戻り口9はチルド室1の中央よりも右側に設けられる。これにより、吹出口80から吹き出された冷気をカバー部12の上面で、ケース部11の出し入れ方向(前後方向)に対し、斜め方向で冷気を流すことができる。言い換えると、カバー部12と接する表面積を稼ぎつつ冷気を流すことができ、効率よくチルド室1を間接冷却することができる。
尚、吹出口80を中央よりも右側に設けた場合、戻り口9はチルド室1の中央よりも左側に設けるようにしてもよい。
(冷気の出入りを防ぐ壁板部14)
次に、図7〜図15を用いて第1の実施形態に係るチルド室1のカバー部12とケース部11の間の隙間dに覆い被さる壁板部14を説明する。図8は第1の実施形態に係るチルド室1の左右方向での右斜上から見た断面図である。図9は第1の実施形態に係るチルド室1の正面視断面図である。図10は第1の実施形態に係るチルド室1の左側面部分(図9の破線囲い部分A)の拡大断面図である。図11は図9の第1の実施形態に係るチルド室1の右側面部分(図9の破線囲い部分B)の拡大断面図である。図12はチルド室1の左側面にケース部11側に壁板部14を設けた場合の一例を示す拡大断面図である。図13はチルド室1の右側面にケース部11側に壁板部14を設けた場合の一例を示す拡大断面図である。図14は第1の実施形態に係るチルド室1の背面部分(図7の破線囲い部分C)の拡大断面図である。図15は第1の実施形態に係るチルド室1の正面部分(図7の破線囲い部分D)の拡大断面図である。
〈チルド室1の左右側面部分での壁板部14〉
まず、図8〜図13を用いて、第1の実施形態に係るチルド室1の左右側面部分での壁板部14について説明する。
まず、ケース部11の左右方向でカバー部12と対向するケース部側対向部(本実施形態では上端縁部11R、11L)は、正面側ほど高くなり、背面側ほど低くなるように斜めとされる(傾斜した形状である)。ケース部11の上端縁部11R、11Lの傾斜に対応し、カバー部12の左右方向でケース部11と対向するカバー部側対向部(本実施形態では、下端縁部12R、12L)は背面側ほど低くなるように斜めとされ、正面側ほど高くなるように斜めとされる(傾斜した形状である)。
尚、傾斜の角度は適宜定めることができる。本実施形態の冷蔵庫100では、傾斜の角度はケース部11を引き出すときにカバー部12に引っかからず、又、十分な収容量を確保するために、水平面に対し、5〜15度程度の角度とされる。より好ましくは、水平面に対し、7〜9度程度の傾斜とすることが好ましい。
そして、チルド室1の左右でのケース部側対向部(本実施形態では上端縁部11R、11L)と、カバー部側対向部(本実施形態では、下端縁部12R、12L)はケース部11を格納状態とすると接近した状態となる。そして、ケース部11の上端部(上端縁部11R、11L)とカバー部12の下端部(下端縁部12R、12L)の間には隙間dができる。カバー部12やケース部11は樹脂の成形品であるが、設計上の余裕や誤差などを考慮して、ケース部11を格納状態としたときある程度の隙間d(例えば、5mm以下)ができるように成形される。
そして、カバー部12の下端縁部12R、12Lとケース部11の上端縁部11R、11Lのいずれか一方に、カバー部12とケース部11の外側からケース部11の上端部(上端縁部11R、11L)とカバー部12の下端部(下端縁部12R、12L)との隙間dに被さり、チルド室1への冷気の流入及びチルド室1からの冷気の流出を減らすための壁板部14が設けられる。
図10、図11に示すように、第1の実施形態では、カバー部12の左右側面での壁板部14R、14Lはカバー部12の下端縁部12R、12Lを、ケース部11やカバー部12の外側(チルド室1の外側)に迂回させつつ、ケース部11とカバー部12の隙間dよりも(上端縁部11R、11Lよりも)下方向にのばすことにより形成される(設けられる)。そのため、カバー部12の下端縁部12R、12Lの断面はZ字状に形成される。又、壁板部14R、14Lは図5に示すように、チルド室1の正面から背面にかけて、カバー部12の下端縁部12R、12Lに沿って設けられる。尚、図10はチルド室1の左側面側のカバー部12L、ケース部11L、壁板部14Lの一例を図示している。又、図11はチルド室1の右側面側のカバー部12R、ケース部11R、壁板部14Rの一例を図示している。
このようにカバー部12の左右側面に壁板部14R、14Lを設けることにより、チルド室1内とチルド室1外部との間の冷気の経路は約90度折れ曲がる(図10〜図13で冷気の経路の一例を2点鎖線の矢印で図示。)。ケース部11を格納状態とすることにより、カバー部12の下端縁部12R、12Lとケース部11の上端縁部11R、11Lが接近し、隙間dが狭くなっているうえに、壁板部14によってチルド室1内とチルド室1外の冷気の経路が大きく曲げられる。そのため、チルド室1の左右側面部分で、チルド室1内に流入する冷気やチルド室1外に流出する冷気の量は壁板部14R、14Lを設けない場合に比べ大きく減る。従って、チルド室1での冷気の流出入を減らし(密閉性を高め)、チルド室1内の貯蔵物からの水分の蒸発を、壁板部14R、14Lを設けない場合よりも(従来よりも)減らすことができる。
尚、上記の説明では、カバー部12の下端縁部12R、12Lに壁板部14を設ける例を説明した。しかし、ケース部11の左右の上端縁部11R、11Lにチルド室1の左右側面での壁板部14R、14Lを設けてもよい。ケース部11の上端縁部11R、11Lに壁板部14を設けた場合の一例を図12、図13に示す。ケース部11の上端縁部11R、11Lに壁板部14R、14Lを設ける場合、ケース部11の左右側面での上端縁部11R、11Lを、ケース部11やカバー部12の外側に迂回させつつ、ケース部11とカバー部12の隙間dよりも(カバー部12の下端縁部12R、12Lよりも)上方向にのばして設ける。このようにケース部11側に壁板部14R、14Lを設けても、冷気の経路を折り曲げることができる。
そして、カバー部12の左右側面とケース部11の左右側面うち、壁板部14R、14Lが設けられない方の端縁部(カバー部12の下端縁部12R、12L又はケース部11の上端縁部11R、11Lのいずれか一方)は外側方向に折り曲げられている。これにより、チルド室1内部と外部の冷気の経路の幅を狭くなる。従って、尚更のこと、チルド室1での冷気の流出入を減らすことができる(密閉性を高めることができる)。
〈チルド室1の背面部分での壁板部14〉
次に、図7、図9、図14を用いて第1の実施形態に係るチルド室1の背面部分での壁板部14について説明する。
まず、図7、図9に示すように、ケース部11を格納状態としたとき、ケース部11のうち、ケース部11の背面でカバー部12と対向するケース部側対向部(本実施形態では上端縁部11B)と、カバー部12のうち、カバー部12の背面でケース部11と対向するカバー部側対向部(本実施形態では、下端縁部12B)は対向し合う。
そして、ケース部11の背面でカバー部12と対向するケース部側対向部(本実施形態では上端縁部11B)と、カバー部12の背面でケース部11と対向するカバー部側対向部(本実施形態では、下端縁部12B)は、ケース部11を格納状態とすると接近した状態となる。そして、ケース部11の上端部(上端縁部11B)とカバー部12の下端部(下端縁部12B)の間には隙間dができる。
図7、図14の各図で示すように。カバー部12の下端縁部12B(カバー部12の背面)には、カバー部12とケース部11の外側からケース部11の上端部(上端縁部11B)とカバー部12の下端部(下端縁部12B)との隙間dに被さり、チルド室1へ冷気の流入及びチルド室1から流出しようとする冷気を減らすための壁板部14Bが設けられる。
図14に示すように、第1の実施形態では、カバー部12の背面での壁板部14Bはカバー部12の下端縁部12Bをケース部11やカバー部12の外側に迂回されつつケース部11とカバー部12の隙間dよりも(ケース部11の上端縁部11Bよりも)下方向にのばすことにより形成される(設けられる)。そのため、カバー部12の下端縁部12Bの断面はZ字状の部分を有する。又、壁板部14Bは図9に示すように、チルド室1の背面の左端から右端にかけて、カバー部12の下端縁部12Bに沿って設けられる。
このようにカバー部12の背面に壁板部14Bを設けることにより、チルド室1とチルド室1外部と間の冷気の経路は約90度折れ曲がる(図14で冷気の経路の一例を2点鎖線の矢印で図示。)。ケース部11を格納状態とすることにより、カバー部12の下端縁部12Bとケース部11の上端縁部11Bが接近し、隙間dが狭くなっているうえに、壁板部14Bによってチルド室1内とチルド室1外の冷気の経路が大きく曲げられる。そのため、チルド室1の背面部分で、チルド室1内に流入する冷気やチルド室1外に流出する冷気の量は壁板部14Bを設けない場合に比べ大きく減る。従って、チルド室1での冷気の流出入を減らし(密閉性を高め)、チルド室1内の貯蔵物からの水分の蒸発を、壁板部14Bを設けない場合よりも(従来よりも)減らすことができる。
尚、上記の説明では、チルド室1の左右側面では、ケース部11の左右の上端縁部11R、11Lに壁板部14R、14Lを設ける例を説明した。しかし、チルド室1の背面では、カバー部12やケース部11の外側からケース部11とカバー部12の隙間dに被さるように、ケース部11の上端縁部11Bに壁板部14Bを設けると、ケース部11の出し入れの邪魔となる。そこで、チルド室1の背面では、固定されたカバー部12側に壁板部14Bを設ける。
そして、ケース部11の背面の端縁部(ケース部11の背面側の上端縁部11B)は外側方向に折り曲げられている。これにより、チルド室1内部と外部の冷気の経路の幅を狭くなる。従って、尚更のこと、チルド室1での冷気の流出入を減らすことができる(密閉性を高めることができる)。
〈チルド室1の前面部分での壁板部14〉
次に、図9、図15を用いて第1の実施形態に係るチルド室1の前面部分での壁板部14について説明する。
まず、図9に示すように、ケース部11を格納状態としたとき、ケース部11のうち、ケース部11の前面でカバー部12と対向するケース部側対向部(本実施形態では上端縁部11F)と、カバー部12のうち、カバー部12の前面でケース部11と対向するカバー部側対向部(本実施形態では、下端縁部12F)の間には隙間dができる。
図9、図15の各図で示すように。ケース部11の上端部(上端縁部11F)(カバー部12の前面)には、カバー部12とケース部11の外側からケース部11の上端部(上端縁部11F)とカバー部12の下端部(下端縁部12F)との隙間dに被さり、チルド室1へ冷気の流入及びチルド室1から流出しようとする冷気を減らすための壁板部14Fが設けられる。
尚、ケース部11の上縁端部11Fの上方には飾り部11Faが取り付けられる。飾り部11Faは断面くの字状である。図15に示すように、ケース部11を格納状態としたとき、飾り部11Faは仕切棚24の正面端部を上方から覆う。これにより、ケース部11を格納状態としたとき、ケース部11(チルド室1)と仕切棚24に一体感が生じ、飾り部11Faはケース部11の上端縁部11Fを装飾する。尚、飾り部11Faも壁板部14Fのひとつとして扱うこともできる。
図15に示すように、第1の実施形態では、チルド室1前面での壁板部14Fはケース部11の上端縁部11Fをケース部11やカバー部12の外側に迂回させつつ、カバー部12とケース部11の隙間dよりも(カバー部12の下端縁部12Fよりも)上方向にのばす(被るように位置させる)ことにより形成される(設けられる)。尚、図15に示すように、壁板部14Fは仕切棚24の前面上端部分と対向する位置まで設けられる。又、壁板部14Fは図5に示すように、チルド室1の前面の左端から右端にかけて、ケース部11の上端縁部11Fに沿って設けられる。
このようにケース部11の前面に壁板部14Fを設けることにより、チルド室1とチルド室1外部と間の冷気の経路は複数回折れ曲がる(図15で冷気の経路の一例を2点鎖線の矢印で図示。)。ケース部11を格納状態とすることにより、カバー部12の下端縁部12Fとケース部11の上端縁部11Fが接近し、隙間dが狭くなっているうえに、壁板部14Fによってチルド室1内とチルド室1外の冷気の経路が何度も曲げられる。そのため、チルド室1の前面部分で、チルド室1内に流入する冷気やチルド室1外に流出する冷気の量は壁板部14Fを設けない場合に比べ大きく減る。従って、チルド室1での冷気の流出入を減らし(密閉性を高め)、チルド室1内の貯蔵物からの水分の蒸発を、壁板部14Fを設けない場合よりも(従来よりも)減らすことができる。
ここで、チルド室1の前面では、カバー部12やケース部11の外側からケース部11とカバー部12の隙間dに被さるようにカバー部12側に壁板部14Fを設けると、ケース部11の出し入れに壁板部14Fが邪魔になる。そこで、チルド室1の前面では、ケース部11側に壁板部14Fを設ける。
そして、カバー部12の前面の端縁部(カバー部12の前面の下端縁部12F)は外側方向に折り曲げられている(突出した形状とされている)。これにより、チルド室1内部と外部の冷気の経路の幅を狭くなる。従って、尚更のこと、チルド室1での冷気の流出入を減らすことができる(密閉性を高めることができる)。
(第2の実施形態)
次に、図16〜図21を用いて、第2の実施形態を説明する。図16は第2の実施形態に係るチルド室1の斜視図である。図17は第2の実施形態に係るチルド室1部分の模型的右側面断面図である。図18は第2の実施形態に係るチルド室1の左側面部分の拡大断面図である。図19は第2の実施形態に係るチルド室1の右側面部分の拡大断面図である。図20は第2の実施形態に係るチルド室1の左右側面のうち、ケース部11に壁板部14を設けた場合の一例を示す拡大断面図である。図21は第2の実施形態に係るチルド室1の背面部分の拡大断面図である。図22は第2の実施形態に係るチルド室1の前面部分の拡大断面図である。
本実施形態のチルド室1はケース部11を格納状態としたとき、一段低い位置となる点や、壁板部14などの形状などの点で第1の実施形態と異なる。以下に説明する差異点以外の点は第2の実施形態に係る冷蔵庫100は第1の実施形態と同様でよい。そこで、特に説明する場合を除き、第2の実施形態と第1の実施形態で共通する部分については、第1の実施形態の記載を援用し、説明、図示を省略する。
まず、図16、17を用いて、ケース部11を格納状態としたときについて説明する。図16に示すように、本実施形態の冷蔵室2の底面2aには段差2cが設けられている(図16では段差部分を網掛けで図示)。この段差2cによって、ケース部11を格納状態としたとき、段差2cの厚みの分だけケース部11の位置が低くなる。言い換えると、ケース部11は格納状態としたとき、一段下がる。
図17に示すように、冷蔵室2の底面2aには段差2cが設けられている。そして、ケース部11を格納状態としたとき、ケース部11は一段下がる。そして、格納状態のケース部11を引き出すとき、ケース部11の底面2aの一部が段差2cと接し、ケース部11は上方向に持ち上げられる。そして、ケース部11は上方向に持ち上げられた後、引き出される。そして、本実施形態では、格納状態としたとき、カバー部12を仕切棚24に固定しつつ、ケース部11が一段下がることを利用して、チルド室1の密閉性を高める。
〈チルド室1の左右側面部分での壁板部14〉
まず、図18、図19を用いて、第2の実施形態に係るチルド室1の左右側面部分での壁板部14について説明する。
まず、ケース部11のうち、ケース部11とカバー部12の左右方向で傾斜している点は第1の実施形態と同様である。
図18、19の各図で示すように。カバー部12の下端縁部12R、12Lとケース部11の上端縁部11R、11Lのいずれか一方に、カバー部12とケース部11の外側からケース部11の上端部(上端縁部11R、11L)とカバー部12の下端部(下端縁部12R、12L)との隙間dに被さり、チルド室1への冷気の流入及びチルド室1から流出しようとする冷気を減らすための壁板部14が設けられる点は第1の実施形態と同様である。又、カバー部12の左右側面での壁板部14R、14Lはカバー部12の下端縁部12R、12Lをケース部11やカバー部12の外側に迂回されつつケース部11とカバー部12の隙間dよりも(ケース部11の上端縁部11R、11Lよりも)下方向にのばすことにより形成される(設けられる)点も第1の実施形態と同様である。又、壁板部14R、14Lは図16に示すように、チルド室1の正面から背面にかけて、カバー部12の下端縁部12R、12Lに沿って設けられる。
ここで、図18、図19に示すように、本実施形態では、カバー部12の下端縁部12R、12Lの断面はU字状(上向きの溝が設けられた形状)で形成される。尚、図18はチルド室1の左側面側のカバー部12L、ケース部11L、壁板部14Lの一例を図示している。又、図19はチルド室1の右側面側のカバー部12、ケース部11、壁板部14の一例を図示している。
更に、図18、図19に示すように、本実施形態では、カバー部12とケース部11のうち、壁板部14が設けられない方のケース部11の左右方向の端縁部(ケース部11の左右方向の上端縁部11R、11L)には、段差2cに入れてケース部11を格納状態にしてケース部11を下降させると、カバー部12との隙間dが埋まる又は隙間dが減るように壁板部14R、14Lに嵌め込まれる嵌合部18R、18Lが設けられる。本実施形態では、ケース部11の嵌合部18R、18Lの断面は逆U字状(下向きの溝が設けられた形状)で形成される。
図18、図19の左側の図は、ケース部11を格納状態とする前の状態の一例を示している。図18、図19の右側の図に示すように、ケース部11を格納状態として、ケース部11を段差2cにより一段下げることで、壁板部14Rの端部が嵌合部18Rの溝にはまり、嵌合部18Rの端部が壁板部14Rの溝にはまる。又、ケース部11を格納状態として、ケース部11を段差2cにより一段下げることで、壁板部14Lの端部が嵌合部18Lの溝にはまり、嵌合部18Lの端部が壁板部14Lの溝にはまる。
これにより、ケース部11を格納状態とすると、壁板部14Rと嵌合部18Rが噛み合い、壁板部14Lと嵌合部18Lが噛み合って、ケース部11とカバー部12の左右側面での隙間dが無くなる状態となる。具体的には、段差2cにより下降するケース部11の移動量(下降する長さ)と、壁板部14R、14L又は嵌合部18R、18Lの溝の深さを同じとする、又は、段差2cにより下降するケース部11の移動量(下降する長さ)よりも、壁板部14R、14L又は嵌合部18R、18Lの溝を浅くする。
このようにカバー部12の左右側面に壁板部14R、14Lと嵌合部18R、18Lを設けることにより、チルド室1の左右側面で、チルド室1とチルド室1外部と間の冷気の経路は絶たれる。従って、チルド室1での冷気の流出入を減らし(密閉性を高め)、チルド室1内の貯蔵物からの水分の蒸発を、壁板部14R、14Lや嵌合部18R、18Lを設けない場合よりも(従来よりも)減らすことができる。
尚、上記の説明では、カバー部12の下端縁部12R、12Lに壁板部14を設ける例を説明した。しかし、図20に示すように、ケース部11の左右の上端縁部11R、11Lにチルド室1の左右側面での壁板部14R、14Lを設けてもよい点は第1の実施形態と同様である。この場合、ケース部11の上端縁部11R、11Lに壁板部14R、14Lを設ける場合、ケース部11の左右側面での上端縁部を、ケース部11やカバー部12の外側に迂回させつつケース部11とカバー部12の隙間dよりも(カバー部12の下端縁部12R、12Lよりも)上方向にのばして設ける。この場合、ケース部11の上端縁部11R、11Lの壁板部14の断面は逆U字状(下向きの溝が設けられた形状)で形成される。一方で、図20に示すように、嵌合部18はカバー部12の左右方向の下端縁部12R、12Lに設けられることになる。カバー部12の下端縁部12R、12Lに設けられる嵌合部18の断面はU字状(上向きの溝が設けられた形状)で形成される。
〈チルド室1の背面部分での壁板部14〉
まず、図21を用いて、第2の実施形態に係るチルド室1の背面部分での壁板部14について説明する。
本実施形態でも、ケース部11を格納状態としたとき、ケース部11のうち、ケース部11の背面でカバー部12と対向するケース部側対向部(本実施形態では上端縁部11B)と、カバー部12のうち、カバー部12の背面でケース部11と対向するカバー部側対向部(本実施形態では、下端縁部12B)は水平方向で対向し合う。
又、図21に示すように、カバー部12の下端縁部12B(カバー部12の背面)には、カバー部12とケース部11の外側からケース部11の上端部(上端縁部11B)とカバー部12の下端部(下端縁部12B)との隙間dに被さり、チルド室1へ冷気の流入及びチルド室1から流出しようとする冷気を減らすための壁板部14が設けられる点は第1の実施形態と同様である。具体的には、本実施形態でも、カバー部12の背面での壁板部14Bはカバー部12の下端縁部12Bをケース部11やカバー部12の外側に迂回されつつケース部11とカバー部12の隙間dよりも(ケース部11の上端縁部11Bよりも)下方向にのばすことにより形成される(設けられる)。又、壁板部14Bはチルド室1の背面の左端から右端にかけて、カバー部12の下端縁部12Bに沿って設けられる。
尚、第1の実施形態で説明したように、チルド室1の背面では、ケース部11の出し入れの邪魔とならないように、カバー部12等の外側に迂回するような壁板部14をケース部11に設けない。
ここで、図21に示すように、本実施形態では、カバー部12の下端縁部12Bの断面はU字状(上向きの溝が設けられた形状)で形成される。更に、図21に示すように、本実施形態では、カバー部12とケース部11のうち、壁板部14が設けられない方のケース部11の端縁部(ケース部11の背面の上端縁部11B)には、段差2cに入れてケース部11を格納状態にしてケース部11を下降させると、カバー部12との隙間dが埋まる又は隙間dが減るように壁板部14Bに嵌め込まれる嵌合部18Bが設けられる。本実施形態では、ケース部11の嵌合部18Bの断面は逆U字状(下向きの溝が設けられた形状)で形成される。
図21の左側の図は、ケース部11を格納状態とする前の状態の一例を示している。図21の右側の図に示すように、ケース部11を格納状態として、ケース部11を段差2cにより一段下げることで、壁板部14Bの端部が嵌合部18Bの溝にはまり、嵌合部18Bの端部が壁板部14Bの溝にはまる。
これにより、ケース部11を格納状態とすると、壁板部14Bと嵌合部18Bが噛み合ってケース部11とカバー部12の背面での隙間dが無くなる状態となる。具体的には、段差2cにより下降するケース部11の移動量(下降する長さ)と、壁板部14B又は嵌合部18Bの溝の深さを同じとする、又は、段差2cにより下降するケース部11の移動量(下降する長さ)よりも、壁板部14B又は嵌合部18Bの溝を浅くする。
このようにカバー部12の背面に壁板部14Bと嵌合部18Bを設けることにより、チルド室1の背面で、チルド室1とチルド室1外部と間の冷気の経路は絶たれる。従って、チルド室1での冷気の流出入を減らし(密閉性を高め)、チルド室1内の貯蔵物からの水分の蒸発を、壁板部14Bや嵌合部18Bを設けない場合よりも(従来よりも)減らすことができる。
〈チルド室1の前面部分での壁板部14〉
次に、図22を用いて第2の実施形態に係るチルド室1の前面部分での壁板部14について説明する。
本実施形態でも、ケース部11を格納状態としたとき、ケース部11のうち、ケース部11の正面でカバー部12と対向するケース部側対向部(本実施形態では上端縁部11F)と、カバー部12のうち、カバー部12の正面でケース部11と対向するカバー部側対向部(本実施形態では、下端縁部12F)は対向し合う。
又、図22に示すように、ケース部11の上端縁部11F(カバー部12の正面)には、カバー部12とケース部11の外側からケース部11の上端部(上端縁部11F)とカバー部12の下端部(下端縁部12F)との隙間dに被さり、チルド室1へ冷気の流入及びチルド室1から流出しようとする冷気を減らすための壁板部14が設けられる点は第1の実施形態と同様である。具体的には、本実施形態でも、チルド室1前面での壁板部14Fはケース部11やカバー部12の外側に迂回させつつ、ケース部11の上端縁部11Fをケース部11とカバー部12の隙間dよりも(カバー部12の下端縁部12Fよりも)上方向にのばす(被るように位置させる)ことにより形成される(設けられる)。又、壁板部14Fはチルド室1の前面の左端から右端にかけて、ケース部11の上端縁部11Fに沿って設けられる。
尚、本実施形態でもケース部11の上縁端部11Fの上方には飾り部11Faが取り付けられる。飾り部11Faは第1の実施形態で説明したものと同様である。
又、第1の実施形態で説明したように、チルド室1の正面では、ケース部11の出し入れの邪魔とならないように、ケース部11等の外側に迂回するような壁板部14をカバー部12に設けない。
ここで、図22に示すように、本実施形態では、ケース部11の上端縁部11Fの断面は逆U字状(下向きの溝が設けられた形状)で形成される。更に、図22に示すように、本実施形態では、カバー部12とケース部11のうち、壁板部14が設けられない方のカバー部12の端縁部(ケース部11の正面の下端縁部12F)には、段差2cに入れてケース部11を格納状態にしてケース部11を下降させると、ケース部11とカバー部12と正面での隙間dが埋まる又は隙間dが減るように壁板部14Fに嵌め込まれる嵌合部18Fが設けられる。本実施形態では、ケース部11の嵌合部18Fの断面はU字状(上向きの溝が設けられた形状)で形成される。
図22の左側の図は、ケース部11を格納状態とする前の状態の一例を示している。図22の右側の図に示すように、ケース部11を格納状態として、ケース部11を段差2cにより一段下げることで、壁板部14Fの端部が嵌合部18Fの溝にはまり、嵌合部18Fの端部が壁板部14Fの溝にはまる。
これにより、ケース部11を格納状態とすると、壁板部14Fと嵌合部18Fが噛み合ってケース部11とカバー部12の正面での隙間dが無くなる状態となる。具体的には、段差2cにより下降するケース部11の移動量(下降する長さ)と、壁板部14F又は嵌合部18Fの溝の深さを同じとする、又は、段差2cにより下降するケース部11の移動量(下降する長さ)よりも、壁板部14F又は嵌合部18Fの溝を浅くする。
このようにカバー部12の正面に壁板部14Fと嵌合部18Fを設けることにより、チルド室1の正面で、チルド室1とチルド室1外部と間の冷気の経路は絶たれる。従って、チルド室1での冷気の流出入を減らし(密閉性を高め)、チルド室1内の貯蔵物からの水分の蒸発を、壁板部14Fや嵌合部18Fを設けない場合よりも(従来よりも)減らすことができる。
このようにして、各実施形態に係る冷蔵庫100は冷気を生成し、冷気を送り出す冷却部(冷却器71、圧縮機72、第1通風路73、第2通風路74、第1送風機75、第2送風機75など)と、冷却部が生成した冷気を吹き出す吹出口を含む貯蔵室(冷蔵室2)と、前後方向で移動可能であり被冷蔵物を収容するケース部11と、ケース部11の上方に設けられ、ケース部11を格納した状態としたときケース部11を覆うカバー部12と、を含み、貯蔵室内に設けられ、ケース部11及びカバー部12周辺の冷気により間接冷却される間接冷却室と、カバー部12の下端縁部とケース部11の上端縁部のいずれか一方に設けられ、カバー部12とケース部11の外側からケース部11とカバー部12との隙間dに被さり、間接冷却室への冷気の流入及び間接冷却室からの冷気の流出を減らすための壁板部14と、を含む。
これにより、壁板部14によって迂回した経路を経なければ、冷気は間接冷却室(チルド室1)内と間接冷却室外部との間で出入りできない。従って、カバー部12とケース部11の隙間dでの間接冷却室に対する直接的な冷気の出入りは壁板部14を設けない場合に比べ(従来に比べ)、大きく減らすことができる。又、カバー部12とケース部11の隙間dでの出入を大きく減らすことができるので(殆ど無くすことができるので)、間接冷却室の密閉性を高め、間接冷却室内に貯蔵された貯蔵物から水分が失わないようにすることができる。
又、壁板部14はカバー部12の下端縁部を間接冷却室(チルド室1)の外側に迂回させつつカバー部12とケース部11の隙間dよりも(ケース部11の上端縁部よりも)下方向にのばして設けることにより、又は、ケース部11の上端縁部を間接冷却室の外側に迂回させつつカバー部12とケース部11の隙間dよりも(カバー部12の下端縁部よりも)上方向にのばして設けることにより設けられる。これにより、壁板部14はカバー部12又はケース部11と一体的に成形され、密閉性を高めるための特別な部材(例えば、パッキン)を設けること無く、間接冷却室内への冷気の流入や、間接冷却室からの冷気の流出を防ぐことができる。従って、冷蔵庫100の製造コストや工程を増やすこと無く、間接冷却室の密閉性を高めることができる。
又、カバー部12とケース部11のうち、壁板部14が設けられない方の端縁部は間接冷却室(チルド室1)の外側方向に折り曲げられている。これにより、カバー部12とケース部11の隙間dと壁板部14との間の冷気の経路の幅を狭めることができる。従って、カバー部12とケース部11の隙間dでの冷気の出入りを大きく減らすことができる。
又、第2の実施形態で説明したように、ケース部11を格納状態とするとケース部11を一段低い位置とするための段差2cが貯蔵室(冷蔵室2)の底面2aに設けられ、貯蔵室を仕切る仕切棚24が貯蔵室内に設けられ、仕切棚24にカバー部12が取り付けられて固定され、カバー部12とケース部11のうち、壁板部14が設けられない方の端縁部には、段差2cにケース部11を入れて格納状態にしてケース部11を下降させると、カバー部12と隙間dが埋まる又は隙間dが減るように壁板部14に嵌め込まれる嵌合部18が設けられるようにしてもよい。これにより、ケース部11を格納状態とすると、壁板部14に壁板部14が嵌め込まれることにより、カバー部12とケース部11の隙間dに起因する間接冷却室(チルド室1)内と、間接冷却室の外側をつなぐ冷気の経路を閉ざすことができる。従って、間接冷却室内への冷気の流入や、間接冷却室からの冷気の流出を無くす又はほぼ無くすことができ、間接冷却室を密閉することができる。
又、第2の実施形態で説明したように、壁板部14と嵌合部18の断面形状は互いに向かい合うU字状としてもよい。これにより壁板部14と嵌合部18のうち、一方の凹み部分に他方が嵌め込まれることになる。従って、間接冷却室(チルド室1)内への冷気の経路を確実に閉ざすことができる。
又、壁板部14は間接冷却室(チルド室1)の左右側面部分と背面部分と正面部分に設けられる。これにより、左右側面部分と背面部分と正面部分という間接冷却室(チルド室1)の全周にわたり、間接冷却室への冷気の流入や間接冷却室からの冷気の流出を防ぐことができる。
次に、他の実施形態を説明する。上記の実施形態では、間接冷却室として、チルド室1を例に挙げて説明した。しかし、チルド室1に限られず、他の冷蔵庫100に設けられる貯蔵室(例えば、氷点下数度程度の貯蔵室)を間接冷却室としてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。