JP5985397B2 - 組換えリステリア株およびそれを含む免疫原性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、Her2/neu抗原発現腫瘍を治療し、これに対するワクチンを接種し、ならびにこの抗原のドミナントエピトープおよびいくつかのサブドミナントエピトープに対する免疫応答を誘導するための組成物および方法を提供する。
乳癌は、米国女性において2番目に致命的な形態の癌であり、年間40,000人を超える人々を死に至らせている。Her2/neu過剰発現は全乳癌の25〜30%で検出することができ、侵攻性疾患、ホルモン抵抗性および不良な予後と関連している。Her2/neu癌遺伝子は、腫瘍では過剰発現しているが、心臓を除く他の組織では存在が限られているので、免疫療法の潜在的標的である。
Her−2/neu(これ以降、「Her−2」と表す)は、上皮増殖因子受容体(EGFR)ファミリーのチロシンキナーゼのメンバーである185kDaの糖タンパク質であり、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞シグナリングに関与することが知られている細胞内ドメインからなる(非特許文献1および2)。これは、全乳癌の25〜40%で過剰発現しており、卵巣、肺、膵臓、および消化管の多くの癌でも過剰発現している。Her−2の過剰発現は、制御されない細胞増殖およびシグナル伝達と関連しており、その両方ともが腫瘍の発生の一因となっている。Her−2を過剰発現する癌を有する患者は、Her−2に対する検出可能な液性応答、CD8T細胞応答、およびCD4T細胞応答にも寛容を示す。
リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)は、主に抗原提示細胞に感染し、これらの細胞の細胞質内での生活に適応している細胞内病原体である。マクロファージなどの宿主細胞は、L.モノサイトゲネスを活発に貪食し、これらの細菌の大部分は、ファゴリソソームで分解される。細菌の一部は、溶血素のリステリオリシンO(LLO)の作用を通じてファゴソーム膜に穴を開けることによって宿主細胞質中に逃げ込む。一旦細胞質に入ると、L.モノサイトゲネスは宿主のアクチンを重合させ、細胞から細胞へと直接移行し、宿主免疫系からさらに逃れることができ、結果として、L.モノサイトゲネスに対する抗体応答はほとんど生じない。
タンパク質の細胞外ドメインおよび細胞内ドメイン由来のヒトHer2/neuタンパク質の小断片を発現するいくつかのリステリア・モノサイトゲネス(Lm)ベースのワクチンの構築および開発が報告されている。Her2/neuは大きすぎてLmに適合することができず、そのため、Her2/neu断片の作製が余儀なくされた。各々の断片で独立に活性が見出されたので、本発明は、各々の独立の断片由来の活性部位を全て組み込んでいる。したがって、Her2/neu受容体の既知のMHCクラスIエピトープの大半を含むタンパク質の細胞外断片のうちの2つと1つの細胞内断片を融合することによって作製されるキメラタンパク質(Lm−LLO−ChHer2)に基づくワクチンも作製されている。これらのワクチンは全て、免疫原性でかつFVB/Nマウスで予め樹立された腫瘍を退行させるのに有効であること、およびHer2/neu発現トランスジェニック動物で自然発生乳腺腫瘍の発症を遅延させることが示された。これらの予備実験から得られた有望な結果から、Her2/neu自己抗原に対する寛容を破り得る組換えリステリア−Her21 neuワクチンを作製することができることが示唆された。しかしながら、これまで開発されたリステリア−Her2/neuワクチンは、クロラムフェニコールの存在下での組換え細菌のインビトロ選択に抗生物質マーカー(cat)を用いる、弱毒化されたリステリアプラットフォームに基づくものであった。臨床的使用のためには、高度の弱毒化だけでなく、抗生物質に対する耐性がないことも重要である。
エスケープ変異を介する宿主免疫応答の腫瘍回避は十分に立証されており、今なお腫瘍治療における大きな障害である。したがって、高い治療効力を有し、かつエスケープ変異を生じさせないワクチンを開発する必要がある。本発明は、明確に定義された弱毒化機構を有し、かつ抗生物質選択マーカーを持たないLmddAワクチンベクターを用いて作製された組換えリステリア−Her2/neuワクチン(ADXS31−164)を提供することによって、この必要に応えている。このキメラ抗原の使用は、エスケープ変異を生じさせないが、これは、腫瘍が突然変異して、この新規抗原による処置に対する有効な治療応答を逃れることがないことを示している。
Bargmann CI et al,Nature 319:226,1986 King CR et al,Science 229:974,1985
一実施形態では、本明細書で提供される発明は、融合ポリペプチドを含む免疫原性組成物であって、該融合ポリペプチドがさらなるポリペプチドに融合したHer2/neuキメラ抗原を含み、かつ融合タンパク質をHer2/neu発現腫瘍を有する対象に投与することにより、該腫瘍内のエスケープ変異が予防される免疫原性組成物に関する。
別の実施形態では、本明細書で提供される発明は、核酸分子を含む組換えリステリアワクチン株に関するものであり、この場合および別の実施形態では、この核酸分子は、ポリペプチドをコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、該ポリペプチドは、Her2/neuキメラ抗原を含み、この核酸分子は、代謝酵素をコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含み、この代謝酵素は組換えリステリア株の染色体に欠けている内在性遺伝子を相補する。
ADXS31−164の構築。(A)構成的リステリアp60プロモーターの制御下にLmddA株の染色体dal−dat欠失を相補するための枯草菌(bacillus sabtilis)dal遺伝子を有するpAdv164のプラスミドマップ。これはまた、Her2/neuの3つの断片:EC1(aa40〜170)、EC2(aa359〜518)およびIC1(aa679〜808)の直接的な融合によって構築されたキメラヒトHer2/neu遺伝子への切断型LLO(1〜441)の融合を含む。(B)tLLO−ChHer2の発現および分泌は、抗LLO抗体でブロットした、TCA沈殿した細胞培養上清のウェスタンブロット解析により、Lm−LLO−ChHer2(Lm−LLO−138)およびLmddA−LLO−ChHer2(ADXS31−164)で検出した。約104KDの示差バンドはtLLO−ChHer2に対応する。内在性LLOは58KDのバンドとして検出される。リステリア対照はChHer2発現を欠いていた。 ADXS31−164の免疫原性特性。(A)NT−2細胞を刺激体として、および3T3/neu細胞を標的として用いて、免疫マウス由来の脾細胞でHer2/neuリステリアベースのワクチンによって誘発された細胞傷害性T細胞応答を試験した。Lm−対照は、無関係な抗原(HPV16−E7)を発現することを除いてあらゆる点で同一なLmddAバックグラウンドベースのものであった。(B)マイトマイシンC処理したNT−2細胞をインビトロ刺激した24時間後に、ELISAで測定した、免疫FVB/Nマウス由来の脾細胞によって細胞培養培地中に分泌されたIFN−γ。(C)タンパク質の異なる領域由来のペプチドとのインビトロでのインキュベーションに応答した、キメラワクチンで免疫したHLA−A2トランスジェニックマウス由来の脾細胞によるIFN−γ分泌。図のキャプションに記載したように、組換えChHer2タンパク質を陽性対照として用い、無関係なペプチド群またはペプチドなしの群は、陰性対照を構成した。IFN−γ分泌は、共インキュベーションの72時間後に回収した細胞培養上清を用いるELISAアッセイにより検出した。各々のデータ点は3つ1組のデータの平均+/−標準誤差であった。P値<0.001。 リステリア−ChHer2/neuワクチンの腫瘍抑制研究。Her2/neuトランスジェニックマウスに各々の組換えリステリア−ChHer2または対照リステリアワクチンを6回注射した。6週齢で免疫を開始し、3週間おきに21週まで続けた。腫瘍の出現を週1回の頻度でモニタリングし、無腫瘍マウスのパーセンテージとして表した。p<0.05、1群当たりN=9。 脾臓内のTregの%に対するADXS31−164による免疫の効果。FVB/Nマウスに1×10個のNT−2細胞を皮下接種し、1週間間隔で、各々のワクチンで3回免疫した。2回目の免疫の7日後に、脾臓を摘出した。免疫細胞を単離した後、Tregを検出するために、それらを抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD25抗体および抗FoxP3抗体で染色した。CD25/FoxP3T細胞の頻度を示す代表的な実験から得られたTregのドットプロットを、異なる処置群にわたる全CD3T細胞またはCD3CD4T細胞のパーセンテージとして表した。 NT−2腫瘍内の腫瘍浸潤性Tregの%に対するADXS31−164による免疫の効果。FVB/Nマウスに1×10個のNT−2細胞を皮下接種し、1週間間隔で、各々のワクチンで3回免疫した。2回目の免疫の7日後に、腫瘍を摘出した。免疫細胞を単離した後、Tregを検出するために、それらを抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD25抗体および抗FoxP3抗体で染色した。(A)代表的な実験から得られたTregのドットプロット。(B)異なる処置群にわたる全CD3T細胞またはCD3CD4T細胞のパーセンテージ(左のパネル)および腫瘍内CD8/Treg比(右のパネル)として表したCD25/FoxP3T細胞の頻度。データは、2回の独立した実験から得られた平均±SEMとして示したものである。 ADXS31−164のワクチン接種は、脳における乳癌細胞株の増殖を遅延させることができる。Balb/cマウスをADXS31−164または対照リステリアワクチンで3回免疫した。麻酔したマウスにEMT6−Luc細胞(5,000個)を頭蓋内注射した。(A)表示した日にXenogen X−100 CCDカメラを用いてマウスのエクスビボイメージングを実施した。(B)ピクセル強度を、表面積のcm2当たりの1秒間の光子数としてグラフ化した。これを平均輝度として示す。(C)EMT6−Luc細胞、4T1−LucおよびNT−2細胞株によるHer2/neuの発現を、抗Her2/neu抗体を用いるウェスタンブロットで検出した。マウスマクロファージ様細胞株のJ774.A2細胞を陰性対照として用いた。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、Her2−neu抗原発現腫瘍のエスケープ変異を予防しながら、腫瘍を予防し、治療し、これに対するワクチンを接種し、およびHer2−neu抗原のサブドミナントエピトープに対する免疫応答を誘導するための組成物および方法である。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、免疫原性組成物であって、融合ポリペプチドを含み、該融合ポリペプチドがさらなるポリペプチドに融合したHer2/neuキメラ抗原を含み、この融合タンパク質をHer2/neu発現腫瘍を有する対象に投与することにより、該腫瘍内のエスケープ変異が予防される免疫原性組成物である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、免疫原性組成物を含む組換えリステリアワクチン株である。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、組換えリステリアワクチン株であって、核酸分子を含み、この核酸分子が、ポリペプチドをコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、このポリペプチドが、Her2/neuキメラ抗原を含み、この核酸分子が、代謝酵素をコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含み、この代謝酵素が、組換えリステリア株の染色体に欠けている内在性遺伝子を相補する組換えリステリアワクチン株である。別の実施形態では、組換えリステリアワクチン株は、代謝酵素をコードする第3のオープンリーディングフレームを含む核酸分子をさらに含み、この代謝酵素は、組換えリステリア株の染色体に欠けている内在性遺伝子を含む。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、組換えリステリアワクチン株であって、核酸分子を含み、この核酸分子が、ポリペプチドをコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、このポリペプチドが、Her2/neuキメラ抗原を含み、この核酸分子が、各々代謝酵素をコードする第2および第3のオープンリーディングフレームをさらに含み、この代謝酵素が、該組換えリステリア株の染色体に欠けている内在性遺伝子を相補する組換えリステリアワクチン株である。一実施形態では、核酸分子は、リステリアゲノムに組み込まれている。別の実施形態では、核酸分子は、組換えリステリアワクチン株内のプラスミド中にある。さらに別の実施形態では、プラスミドは、抗生物質選択の非存在下、組換えリステリアワクチン株の中で安定に維持される。別の実施形態では、プラスミドは、組換えリステリアに対して抗生物質耐性を付与しない。別の実施形態では、組換えリステリア株は弱毒化されている。別の実施形態では、組換えリステリアは、弱毒化された栄養要求性株である。別の実施形態では、外来抗原の発現が、細菌(例えば、本発明のうちの1つ)にかける高い代謝負荷もまた、重要な弱毒化機構である。
一実施形態では、弱毒株はLmddaである。別の実施形態では、この株は、リステリアベースのワクチンの固有の特性である強いアジュバント効果を発揮する。このアジュバント効果の1つの兆候は、無関係なリステリアワクチンまたはADXS−31−164ワクチンのいずれかによって引き起こされる腫瘍内Tregの数の5倍減少である(本明細書中の図5参照)。別の実施形態では、無関係な抗原(HPV16E7)を発現するLmddAベクターもまた、おそらくは自然免疫応答の結果としての、腫瘍内のTregの頻度の顕著な減少と関連する。
一実施形態では、弱毒化された栄養要求性リステリアワクチン株は、ADXS−31−164株である。ADXS−31−164は、毒性遺伝子actAの欠失によって弱毒化され、かつdal遺伝子の相補によってインビボおよびインビトロでHer2/neuを発現するプラスミドを保持しているリステリアワクチンベクターをベースにしたものである。一実施形態では、ADXS31−164は、リステリオリシンO(LLO)の最初の441アミノ酸に融合したキメラHer2/neuタンパク質を発現および分泌する。別の実施形態では、ADXS31−164は、トランスジェニック動物でHER2/neuに対する寛容を破る能力を有する、強力でかつ抗原特異的な抗腫瘍応答をもたらす(実施例参照)。別の実施形態では、ADXS31−164株は高度に弱毒化されており、免疫マウスの脾臓からより速やかに除去されるので、過去のリステリアワクチン世代よりも良好な安全性プロファイルを有する。別の実施形態では、ADXS31−164は、トランスジェニック動物において、このワクチンの抗生物質耐性があり、より毒性の強いバージョンであるLm−LLO−ChHer2よりも長い腫瘍発生の遅延をもたらす(図3参照)。別の実施形態では、ADXS31−164株は免疫原性が高く、HER2/neu自己抗原に対する寛容を破ることができ、Her2/neuトランスジェニック動物における腫瘍形成を予防する。別の実施形態では、ADXS31−164は、腫瘍内T調節性細胞(Treg)の顕著な減少を引き起こす。別の実施形態では、LmddAワクチンで処置した腫瘍におけるより低い頻度のTregは、腫瘍内CD8/Treg比の増大をもたらしたが、これにより、LmddAワクチンによる免疫の後に、より好都合な腫瘍微小環境が得られる可能性があることが示唆される。別の実施形態では、このキメラ抗原の使用は、エスケープ変異を生じさせないが、これは、腫瘍が突然変異して、この新規抗原による処置に対する有効な治療応答を逃れることがないことを示している(実施例6参照)。別の実施形態では、ADXS31−164による末梢免疫は、脳における転移性乳癌細胞株の増殖を遅延させる(実施例7参照)。
一実施形態では、Lm−LLO−ChHer2株はLm−LLO−138である。
一実施形態では、キメラ抗原を発現する、弱毒化された抗生物質フリーの組換えリステリアは、本明細書で例示されているように、癌または固形腫瘍を予防し、かつ治療するのに有用である。別の実施形態では、キメラHer2/neuを発現する組換えリステリアは、Her2/neuを過剰発現する固形腫瘍を治療するための治療ワクチンとして有用である。別の実施形態では、本明細書で提供されるHer2/neuキメラ抗原は、Her2/neu発現腫瘍を治療し、かつそのエスケープ変異を予防するのに有用である。別の実施形態では、「エスケープ変異」という用語は、突然変異して、治療に対する有効な治療応答から逃れる腫瘍を指す。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、免疫原性組成物をコードする第1のオープンリーディングフレームを含む核酸分子であり、ここで、この核酸分子は、組換えリステリアワクチン株内に存在する。別の実施形態では、組換えリステリアを作り上げるために、本明細書で提供される核酸分子を用いて、リステリアを形質転換させる。別の実施形態では、本明細書で提供される核酸は、毒性遺伝子を欠いている。別の実施形態では、リステリアゲノムに組み込まれる核酸分子は、非機能的毒性遺伝子を担持している。別の実施形態では、毒性遺伝子は組換えリステリア内で突然変異している。さらに別の実施形態では、核酸分子を用いて、リステリアゲノムに存在する内在性遺伝子を不活化する。さらに別の実施形態では、毒性遺伝子はActA遺伝子である。別の実施形態では、毒性遺伝子はPrfA遺伝子である。当業者に理解されるように、毒性遺伝子は、組換えリステリアにおける毒性と関連することが当技術分野で知られている任意の遺伝子であることができる。
一実施形態では、リステリア株の染色体において、代謝遺伝子、毒性遺伝子などが欠けている。別の実施形態では、リステリア株の染色体および任意のエピソーム性遺伝因子において、代謝遺伝子、毒性遺伝子などが欠けている。別の実施形態では、毒性株のゲノムにおいて、代謝遺伝子、毒性遺伝子などが欠けている。一実施形態では、毒性遺伝子は、染色体中で突然変異している。別の実施形態では、毒性遺伝子は、染色体から欠失している。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、リステリア株の染色体において、代謝遺伝子、毒性遺伝子などが欠けている。別の実施形態では、リステリア株の染色体および任意のエピソーム性遺伝因子において、代謝遺伝子、毒性遺伝子などが欠けている。別の実施形態では、毒性株のゲノムにおいて、代謝遺伝子、毒性遺伝子などが欠けている。一実施形態では、毒性遺伝子は、染色体中で突然変異している。別の実施形態では、毒性遺伝子は、染色体から欠失している。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、本明細書で提供される核酸およびプラスミドは、組換えリステリアに対して抗生物質耐性を付与しない。
「核酸分子」は、別の実施形態では、プラスミドを指す。別の実施形態では、この用語は、組込みベクターを指す。別の実施形態では、この用語は、組込みベクターを含むプラスミドを指す。別の実施形態では、組込みベクターは部位特異的組込みベクターである。別の実施形態では、本発明の方法および組成物の核酸分子は、当技術分野で公知の任意のタイプのヌクレオチドから構成されている。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
「代謝酵素」は、別の実施形態では、宿主細菌によって必要とされる栄養素の合成に関与する酵素を指す。別の実施形態では、この用語は、宿主細菌によって必要とされる栄養素の合成に必要な酵素を指す。別の実施形態では、この用語は、宿主細菌によって利用される栄養素の合成に関与する酵素を指す。別の実施形態では、この用語は、宿主細菌の持続的増殖に必要とされる栄養素の合成に関与する酵素を指す。別の実施形態では、酵素は、栄養素の合成に必要とされる。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
「安定に維持される」は、別の実施形態では、選択(例えば、抗生物質選択)の非存在下で、10世代の間、検出可能な喪失を伴わずに、核酸分子またはプラスミドが維持されることを指す。別の実施形態では、期間は15世代である。別の実施形態では、期間は20世代である。別の実施形態では、期間は25世代である。別の実施形態では、期間は30世代である。別の実施形態では、期間は40世代である。別の実施形態では、期間は50世代である。別の実施形態では、期間は60世代である。別の実施形態では、期間は80世代である。別の実施形態では、期間は100世代である。別の実施形態では、期間は150世代である。別の実施形態では、期間は200世代である。別の実施形態では、期間は300世代である。別の実施形態では、期間は500世代である。別の実施形態では、期間は世代を超えたものである。別の実施形態では、核酸分子またはプラスミドは、インビトロで(例えば、培養物中で)安定に維持される。別の実施形態では、核酸分子またはプラスミドは、インビボで安定に維持される。別の実施形態では、核酸分子またはプラスミドは、インビトロとインビトロの両方で安定に維持される。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、本発明は、抗原を発現する組換えリステリア株を提供する。本発明はまた、Her−2キメラタンパク質またはその断片に融合したリステリオリシン(LLO)タンパク質断片を含む組換えペプチド、それを含むワクチンおよび免疫原性組成物、ならびにそれを含む、抗Her−2免疫応答を誘導し、Her−2発現腫瘍を治療し、そのワクチンを接種する方法を提供する。
別の実施形態では、本発明の組換えリステリア株は、動物宿主を通して継代されたものである。別の実施形態では、継代は、ワクチンベクターとしての株の効力を最大化する。別の実施形態では、継代は、リステリア株の免疫原性を安定化する。別の実施形態では、継代は、リステリア株の毒性を安定化する。別の実施形態では、継代は、リステリア株の免疫原性を増大させる。別の実施形態では、継代は、リステリア株の毒性を増大させる。別の実施形態では、継代は、リステリア株を不安定な亜株を除去する。別の実施形態では、継代は、リステリア株の不安定な亜株の蔓延を減少させる。別の実施形態では、リステリア株は、抗原含有組換えペプチドをコードする遺伝子のゲノム挿入を含む。別の実施形態では、リステリア株は、抗原含有組換えペプチドをコードする遺伝子を含むプラスミドを担持する。別の実施形態では、継代は、当技術分野で公知の任意の他の方法によって実施される。
一実施形態では、本明細書で提供されるポリペプチドは、a)非溶血性LLOタンパク質もしくはN末端断片、b)PEST配列、またはc)ActA断片からなる群から選択されるさらなるポリペプチドを含み、さらに、このさらなるポリペプチドが該Her2/neuキメラ抗原に融合している融合タンパク質である。別の実施形態では、さらなるポリペプチドは機能的である。別の実施形態では、さらなるポリペプチドの断片は免疫原性である。別の実施形態では、さらなるポリペプチドは免疫原性である。
別の実施形態では、本明細書で提供されるポリペプチドは、Her2/neuキメラ抗原に融合した非溶血性LLOタンパク質またはN末端断片を含む融合タンパク質である。別の実施形態では、本発明の方法および組成物の融合タンパク質は、リステリア生物由来のActA配列を含む。ActAタンパク質およびその断片は、LLOと同様のやり方で抗原提示および免疫を強化する。
本発明の方法および組成物の別の実施形態では、融合タンパク質は、Her2/neu抗原およびさらなるポリペプチドを含む。一実施形態では、さらなるポリペプチドは、非溶血性LLOタンパク質またはその断片である(本明細書中の実施例)。別の実施形態では、さらなるポリペプチドはPEST配列である。別の実施形態では、さらなるポリペプチドは、ActAタンパク質またはその断片である。ActAタンパク質およびその断片は、LLOと同様のやり方で抗原提示および免疫を強化する。
本発明の方法および組成物のさらなるポリペプチドは、別の実施形態では、リステリオリシン(LLO)ペプチドである。別の実施形態では、さらなるポリペプチドは、ActAペプチドである。別の実施形態では、さらなるポリペプチドは、PEST様配列ペプチドである。別の実施形態では、さらなるポリペプチドは、抗原ペプチドの免疫原性を増強することができる任意の他のペプチドである。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
Her2/neuキメラ抗原を含む融合タンパク質は、例えば、クローニングおよび適当な配列の制限または以下で論じるような方法による直接的な化学合成を含む、任意の好適な方法によって調製することができる。あるいは、部分配列をクローニングし、適当な部分配列を適当な制限酵素を用いて切断することができる。その後、これらの断片を連結して、所望のDNA配列を生成させる。一実施形態では、DNA増幅法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、抗原をコードするDNAを生成させることができる。まず、天然DNAの断片の両側に新しい末端を有するものを別々に増幅する。一方の増幅された配列の5’末端がペプチドリンカーをコードする一方で、もう一方の増幅された配列の3’末端もペプチドリンカーをコードする。第1の断片の5’末端は第2の断片の3’末端に相補的であるので、(例えば、LMPアガロース上で部分精製した後の)2つの断片を第3のPCR反応で重複する鋳型として用いることができる。増幅された配列は、コドン、開裂部位のカルボキシ側の部分(このとき、アミノ配列を形成している)、リンカー、および開裂部位のアミノ側の配列(このとき、カルボキシル配列を形成している)を含む。この抗原をプラスミドに連結する。各々の方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
本発明の結果により、本発明の組成物の投与が、腫瘍細胞を認識し、それを死滅させる抗原特異的T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞)の形成を誘導するのに有用であることが示された(本明細書中の実施例)。
一実施形態では、本発明は、Her−2キメラタンパク質に融合したまたはその断片に融合したLLOタンパク質のN末端断片を含む組換えポリペプチドを提供する。一実施形態では、本発明は、Her−2キメラタンパク質に融合したまたはその断片に融合したLLOタンパク質のN末端断片からなる組換えポリペプチドを提供する。
別の実施形態では、本発明の方法および組成物のHer−2キメラタンパク質は、ヒトHer−2キメラタンパク質である。別の実施形態では、Her−2タンパク質は、マウスHer−2キメラタンパク質である。別の実施形態では、Her−2タンパク質は、ラットHer−2キメラタンパク質である。別の実施形態では、Her−2タンパク質は、霊長類Her−2キメラタンパク質である。別の実施形態では、Her−2タンパク質は、任意の他の動物種のHer−2キメラタンパク質、または当技術分野で公知のこれらの組合せである。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、Her−2タンパク質は、「HER−2/neu」、「Erbb2」、「v−erb−b2」、「c−erb−b2」、「neu」または「cNeu」と表されるタンパク質である。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、Her2−neuキメラタンパク質は、癌遺伝子のMHCクラスIエピトープのクラスタを示すHer2/neu抗原の細胞外断片のうちの2つおよび1つの細胞内断片を有し、この場合、別の実施形態では、キメラタンパク質は、Her2/neu抗原の3つのH2DqおよびマッピングされたヒトMHCクラスIエピトープのうちの少なくとも17個を有する(断片EC1、EC2、およびIC1)(図1参照)。別の実施形態では、キメラタンパク質は、マッピングされたヒトMHCクラスIエピトープのうちの少なくとも13個を有する(断片EC2およびIC1)。別の実施形態では、キメラタンパク質は、マッピングされたヒトMHCクラスIエピトープのうちの少なくとも14個を有する(断片EC1およびIC1)。別の実施形態では、キメラタンパク質は、マッピングされたヒトMHCクラスIエピトープのうちの少なくとも9個を有する(断片EC1およびIC2)。別の実施形態では、Her2−neuキメラタンパク質は、非溶血性リステリオリシンO(LLO)に融合している。別の実施形態では、Her2−neuキメラタンパク質は、リステリア・モノサイトゲネスのリステリオリシンO(LLO)タンパク質の最初の441アミノ酸に融合しており、リステリア・モノサイトゲネスの弱毒化された栄養要求性株LmddAによって発現および分泌される。別の実施形態では、キメラHer2/neu抗原/LLO融合タンパク質を発現する、本明細書で提供される弱毒化された栄養要求性株からの融合タンパク質tLLO−ChHer2の発現および分泌は、インビトロ増殖の8時間後のTCA沈殿した細胞培養上清中のLm−LLO−ChHer2の発現および分泌と同程度である(図1B参照)。
一実施形態では、未感作動物または無関係なリステリアワクチンを注射したマウスではCTL活性が検出されない(図2A参照)。一方、別の実施形態では、本明細書で提供される弱毒化された栄養要求性株(ADXS31−164)は、野生型FVB/Nマウス由来の脾細胞によるIFN−γの分泌を刺激することができる(図2B)。
別の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物の代謝酵素はアミノ酸代謝酵素であり、この場合、別の実施形態では、代謝酵素は、アラニンラセマーゼ酵素である。別の実施形態では、代謝酵素は、D−アミノ酸トランスフェラーゼ酵素である。別の実施形態では、代謝酵素は、組換えリステリア株における細胞壁合成に用いられるアミノ酸の形成を触媒し、この場合、別の実施形態では、代謝酵素は、アラニンラセマーゼ酵素である。
別の実施形態では、代謝酵素をコードする遺伝子は、リステリアp60プロモーターの制御下で発現される。別の実施形態では、(インターナリンをコードする)inlAのプロモーターが用いられる。別の実施形態では、hlyプロモーターが用いられる。別の実施形態では、ActAプロモーターが用いられる。別の実施形態では、インテグラーゼ遺伝子は、任意の他のグラム陽性プロモーターの制御下で発現される。別の実施形態では、代謝酵素をコードする遺伝子は、リステリアで機能する任意の他のプロモーターの制御下で発現される。当業者であれば、他のプロモーターまたはポリシストロン性発現カセットを用いて、遺伝子の発現を駆動し得ることを理解するであろう。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、Her−2キメラタンパク質は、配列番号1に示す以下の核酸配列によってコードされている。
別の実施形態では、Her−2キメラタンパク質は、以下の配列を有する。
一実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物のHer2キメラタンパク質またはその断片は、そのシグナル配列を含まない。別の実施形態では、シグナル配列の疎水性が高いために、シグナル配列の削除によって、Her2断片をリステリアでうまく発現させることができる。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、本発明の方法および組成物のHer2キメラタンパク質の断片は、その膜貫通ドメイン(TM)を含まない。一実施形態では、TMの疎水性が高いために、TMの削除によって、Her−2断片をリステリアでうまく発現させることができる。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、ラットHer2/neu遺伝子の核酸配列は、以下のとおりである。
一実施形態では、ラット/her2/neu EC1断片をコードする核酸配列は、以下のとおりである。
別の実施形態では、ラット/her2/neu EC2断片をコードする核酸配列は、以下のとおりである。
別の実施形態では、ラット/her2/neu IC1断片をコードする核酸配列は、以下のとおりである。
一実施形態では、ヒトHer2/neu遺伝子の核酸配列は、以下のとおりである。
別の実施形態では、キメラに組み入れられたヒトher2/neu EC1断片をコードする核酸配列は、ヒトEC1領域の120〜510bpにまたがり、(配列番号50)に示されている。
一実施形態では、完全なEC1ヒトher2/neu断片は、ヒトher2/neu遺伝子の58〜979bpにまたがり、(配列番号54)に示されている。
別の実施形態では、キメラに組み入れられたヒトher2/neu EC2断片をコードする核酸配列は、ヒトher2/neu EC2断片の1077〜1554bpにまたがり、50bpの伸長を含み、(配列番号51)に示されている。
一実施形態では、完全なEC2ヒトher2/neu断片は、ヒトher2/neu遺伝子の907〜1504bpにまたがり、(配列番号55)に示されている。
別の実施形態では、キメラに組み入れられたヒトher2/neu IC1断片をコードする核酸配列は、(配列番号52)に示されている。
別の実施形態では、完全なヒトher2/neu IC1断片をコードする核酸配列は、ヒトher2/neu遺伝子の2034〜3243にまたがり、(配列番号56)に示されている。
本明細書で提供される方法および組成物で利用されるLLOは、一実施形態では、リステリアLLOである。一実施形態では、LLOが由来するリステリアは、リステリア・モノサイトゲネス(LM)である。別の実施形態では、リステリアはリステリア・イバノビイ(Listeria ivanovii)である。別の実施形態では、リステリアは、リステリア・ウェルシメリ(Listeria welshimeri)である。別の実施形態では、リステリアは、リステリア・セエリゲリ(Listeria seeligeri)である。別の実施形態では、LLOタンパク質は、非リステリアLLOタンパク質である。別の実施形態では、LLOタンパク質は、合成LLOタンパク質である。別の実施形態では、それは、組換えLLOタンパク質である。
一実施形態では、LLOタンパク質は、(配列番号3)に示す以下の核酸配列によってコードされている。
別の実施形態では、LLOタンパク質は、配列番号4の配列を有する。
この配列に対応するプロタンパク質の最初の25アミノ酸はシグナル配列であり、細菌によって分泌されるときにLLOから切断される。したがって、この実施形態では、全長の活性型LLOタンパク質は504残基長である。別の実施形態では、LLOタンパク質は、ジェンバンク(GenBank)受託番号DQ054588、DQ054589、AY878649、U25452、またはU25452に示される配列を有する。別の実施形態では、LLOタンパク質は、LLOタンパク質の変異体である。別の実施形態では、LLOタンパク質は、LLOタンパク質のホモログである。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、「切断型LLO」または「tLLO」は、PEST様ドメインを含むLLOの断片を指す。別の実施形態では、この用語は、アミノ末端の活性化ドメインを含まず、かつシステイン484を含まないLLO断片を指す。別の実施形態では、LLO断片は、PEST配列からなる。別の実施形態では、LLO断片は、PEST配列を含む。別の実施形態では、LLO断片は凡そ、529アミノ酸の全長LLOタンパク質の最初の400〜441アミノ酸からなる。別の実施形態では、LLO断片は、LLOタンパク質の非溶血性形態である。
本発明の方法および組成物の別の実施形態では、本発明の方法および組成物の核酸配列によってコードされるポリペプチドは、キメラHer−2/neu抗原およびさらなるポリペプチドを含む融合タンパク質であり、この場合、別の実施形態では、融合タンパク質は、とりわけ、LMの非溶血性LLOタンパク質(本明細書における実施例)を含む。
一実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜25からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜50からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜75からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜100からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜125からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜150からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1175からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜200からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜225からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜250からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜275からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜300からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ、残基1〜325からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜350からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜375からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜400からなる。別の実施形態では、LLO断片は凡そ残基1〜425からなる。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、本発明の方法および組成物の融合タンパク質は、LLOタンパク質に由来するか、または別の生物、例えば、原核生物に由来するかのいずれかのPEST配列を含む。
PEST様AA配列は、別の実施形態では、配列番号5〜9から選択される配列を有する。別の実施形態では、PEST様配列は、LMのActAタンパク質由来のPEST様配列である。別の実施形態では、PEST様配列は、KTEEQPSEVNTGPR(配列番号5)、KASVTDTSEGDLDSSMQSADESTPQPLK(配列番号6)、KNEEVNASDFPPPPTDEELR(配列番号7)、またはRGGIPTSEEFSSLNSGDFTDDENSETTEEEIDR(配列番号8)である。別の実施形態では、PEST様配列は、連鎖球菌属の種(Streptococcus sp)のストレプトリシンOタンパク質に由来する。別の実施形態では、PEST様配列は、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)のストレプトリシンO、例えば、AA35〜51のKQNTASTETTTTNEQPK(配列番号9)に由来する。別の実施形態では、PEST様配列は、ストレプトコッカス・エクイシミリス(Streptococcus equisimilis)のストレプトリシンO、例えば、AA38〜54のKQNTANTETTTTNEQPK(配列番号10)に由来する。別の実施形態では、PEST様配列は、原核生物に由来する別のPEST様AA配列である。別の実施形態では、PEST様配列は、当技術分野で公知の任意の他のPEST様配列である。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、抗原とLMのPEST様配列との融合は、抗原の細胞媒介性かつ抗腫瘍性の免疫を増強した。したがって、抗原と他の原核生物に由来する他のPEST様配列との融合もまた、抗原の免疫原性を増強するであろう。他の原核生物のPEST様配列は、例えば、LMについて、Rechsteiner and Rogers(1996,Trends Biochem.Sci.21:267−271)によって記載されたような方法に従って同定することができる。あるいは、他の原核生物由来のPEST様AA配列は、この方法に基づいて同定することもできる。PEST様AA配列が由来する他の原核生物は、限定するものではないが、他のリステリア種を含むと考えられる。別の実施形態では、PEST様配列は、抗原性タンパク質内に埋め込まれている。したがって、別の実施形態では、「融合」は、抗原と、抗原の一方の末端で連結しているかまたは抗原内に埋め込まれているかのいずれかのPEST様アミノ酸配列とを両方含む抗原性タンパク質を指す。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明の組換えポリペプチドを含むワクチンである。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明の組換えポリペプチドからなるワクチンである。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明の組換えポリペプチドをコードするヌクレオチド分子である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、ヌクレオチド分子を含むワクチンである。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明の組換えポリペプチドをコードするヌクレオチド分子である。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明のヌクレオチド分子によってコードされる組換えポリペプチドである。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明のヌクレオチド分子または組換えポリペプチドを含むワクチンである。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明のヌクレオチド分子または組換えポリペプチドを含む免疫原性組成物である。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明のヌクレオチド分子または組換えポリペプチドを含むベクターである。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明のヌクレオチド分子を含む組換え形態のリステリアである。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明の組換え形態のリステリアを含むワクチンである。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明の組換え形態のリステリアの培養物である。
一実施形態では、本発明の方法で使用されるワクチンは、本明細書で記載されたような任意の形態または実施形態の組換えリステリア・モノサイトゲネスを含む。一実施形態では、本発明で使用されるワクチンは、本明細書で記載されたような任意の形態または実施形態の本発明の組換えリステリア・モノサイトゲネスからなる。別の実施形態では、本発明の方法で使用されるワクチンは、本明細書で記載されたような任意の形態または実施形態の本発明の組換えリステリア・モノサイトゲネスから本質的になる。一実施形態では、「含む」という用語は、ワクチンへの組換えリステリア・モノサイトゲネスの包含、ならびに当技術分野で公知であり得る他のワクチンまたは治療の包含を指す。別の実施形態では、「から本質的になる」という用語は、その機能成分は組換えリステリア・モノサイトゲネスであるが、ワクチンの治療効果に直接関与しない他のワクチン成分が含まれ得るワクチンを指し、かつ例えば、組換えリステリア・モノサイトゲネスの効果を促進する(例えば、安定化する、持続するなど)成分を指す場合もある。別の実施形態では、「からなる」という用語は、組換えリステリア・モノサイトゲネスを含有するワクチンを指す。
別の実施形態では、本発明の方法は、本明細書で記載されたような任意の形態または実施形態の組換えリステリア・モノサイトゲネスを投与する工程を含む。一実施形態では、本発明の方法は、本明細書で記載されたような任意の形態または実施形態の本発明の組換えリステリア・モノサイトゲネスを投与する工程からなる。別の実施形態では、本発明の方法は、本明細書で記載されたような任意の形態または実施形態の本発明の組換えリステリア・モノサイトゲネスを投与する工程から本質的になる。一実施形態では、「含む」という用語は、本方法への組換えリステリア・モノサイトゲネスを投与する工程の包含、ならびに当技術分野で公知であり得る他の方法または治療の包含を指す。別の実施形態では、「から本質的になる」という用語は、その機能成分は組換えリステリア・モノサイトゲネスの投与であるが、本方法の治療効果に直接関与しない本方法の他の工程が含まれ得る方法を指し、かつ例えば、組換えリステリア・モノサイトゲネスの投与の効果を促進する工程を指す場合もある。一実施形態では、「からなる」という用語は、さらなる工程を伴わずに組換えリステリア・モノサイトゲネスを投与する方法を指す。
別の実施形態では、本発明の方法および組成物のリステリアは、リステリア・モノサイトゲネスである。別の実施形態では、リステリアは、リステリア・イバノビイである。別の実施形態では、リステリアは、リステリア・ウェルシメリである。別の実施形態では、リステリアは、リステリア・セエリゲリである。各々のタイプのリステリアは、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、本発明の方法および組成物のリステリア株は、ADXS31−164株である。別の実施形態では、ADXS31−164は、野生型FVB/Nマウス由来の脾細胞によるIFN−γの分泌を刺激する。さらに、本明細書で示したデータは、ADXS31−164が、標的とされる抗原の異なるドメインに位置するヒトエピトープに対する抗Her2/neu特異的免疫応答を誘発することができることを示す。
別の実施形態では、本発明は、Her−2キメラタンパク質またはその断片をコードするヌクレオチド分子を含む組換え形態のリステリアを提供する。
一実施形態では、本発明は、対象の抗Her−2免疫応答を誘導する方法であって、対象にHer−2キメラタンパク質に融合したまたはその断片に融合したLLOタンパク質のN末端断片を含む組換えポリペプチドを投与し、それにより、対象の抗Her−2免疫応答を誘導する方法を提供する。
一実施形態では、本発明の方法および組成物の融合タンパク質は、LLO由来のLLOシグナル配列を含む。別の実施形態では、2つのタンパク質分子(LLO断片および抗原)は直接結合している。別の実施形態では、2つの分子は、1以上のアミノ酸からなる短いスペーサーペプチドによって結合している。一実施形態では、スペーサーは、タンパク質を結合させること、またはその2つの分子間でいくらかの最小距離もしくは他の空間的関係を維持すること以外は、特定の生物活性を持たない。別の実施形態では、スペーサーの構成アミノ酸は、フォールディング、正味の電荷、または疎水性などの、分子のある特性に影響を与えるように選択される。別の実施形態では、2つのタンパク質分子(LLO断片および抗原)は別々に合成されるかまたは融合されない。別の実施形態では、2つのタンパク質分子は、同じ核酸から別々に合成される。さらに別の実施形態では、2つの分子は、別々の核酸から個々に合成される。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象の抗Her−2免疫応答を誘導する方法であって、対象にHer−2キメラタンパク質に融合したまたはその断片に融合したLLOタンパク質のN末端断片を含む組換えポリペプチドをコードする組換えヌクレオチドを投与し、それにより、対象の抗Her−2免疫応答を誘導することを含む方法である。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象のHer2/neu発現腫瘍に対する増強された免疫応答を誘発させる方法であり、この場合、別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で提供される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与することを含む。別の実施形態では、Her−2発現腫瘍に対する免疫応答は、Her−2タンパク質のサブドミナントエピトープに対する免疫応答を含む。別の実施形態では、Her−2発現腫瘍に対する免疫応答は、Her−2タンパク質のいくつかのサブドミナントエピトープに対する免疫応答を含む。別の実施形態では、Her−2発現腫瘍に対する免疫応答は、Her−2タンパク質の少なくとも1〜5個のサブドミナントエピトープに対する免疫応答を含む。別の実施形態では、Her−2発現腫瘍に対する免疫応答は、Her−2タンパク質の少なくとも1〜10個のサブドミナントエピトープに対する免疫応答を含む。別の実施形態では、Her−2発現腫瘍に対する免疫応答は、Her−2タンパク質の少なくとも1〜17個のサブドミナントエピトープに対する免疫応答を含む。別の実施形態では、Her−2発現腫瘍に対する免疫応答は、Her−2タンパク質の少なくとも17個のサブドミナントエピトープに対する免疫応答を含む。
発癌タンパク質Her2/neuにおける点突然変異またはアミノ酸欠失は、これらの腫瘍が、小断片のリステリアベースのワクチンまたはトラスツズマブ(Her2/neu抗原の細胞外ドメインにあるエピトープに対するモノクローナル抗体)によって標的とされたときに、耐性腫瘍細胞の治療を仲介することが報告されている。本明細書で記載されるのは、癌遺伝子のMHCクラスIエピトープのクラスタを示す、Her2/neu抗原の細胞外断片のうちの2つおよび1つの細胞内断片を有するキメラHer2/neuベースの組成物である。Her2/neu抗原の3つのH2DqおよびマッピングされたヒトMHCクラスIエピトープのうちの少なくとも17個を有するこのキメラタンパク質を、リステリア・モノサイトゲネスのリステリオリシンOタンパク質の最初の441アミノ酸に融合し、リステリア・モノサイトゲネスの弱毒株LmddAによって発現および分泌させた。
以前の報告は、Her2/neu抗原の小断片を別々に発現および分泌するリステリアベースのワクチン(その各々は、Her2/neu癌遺伝子のH2Dqエピトープの1つだけを有する)でHer2/neuトランスジェニックマウスを免疫したとき、Her2/neu過剰発現腫瘍は、各々のワクチンによって標的とされるHer2/neu抗原のそれらのエピトープにおける突然変異のためにエスケープすることができることを示した(Singh R,Paterson Y. Immunoediting sculpts tumor epitopes during immunotherapy.Cancer Res 2007;67:1887−92を参照されたい)。本明細書で示されるのは、Her2/neuタンパク質の3つ以上のエピトープをキメラワクチンに組み入れると、それは、エスケープ変異によるこれらの腫瘍の選択およびエスケープを消失させることができるという予想外の結果である。新規のHer2/neuキメラリステリアワクチンによる免疫は、Her2/neu抗原における点突然変異またはアミノ酸欠失と関連し得るいかなるエスケープ変異も生じさせなかった(本明細書の実施例4を参照されたい)。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、Her−2キメラタンパク質またはキメラタンパク質を発現する組換えポリペプチドを発現するように、リステリアワクチン株を改変する方法であって、リステリア株を核酸分子で形質転換することを含む方法である。別の実施形態では、核酸分子は、ポリペプチドをコードする第1のオープンリーディングフレームを含み、このポリペプチドは、Her2/neuキメラ抗原を含む。別の実施形態では、核酸分子は、代謝酵素をコードする第2のオープンリーディングフレームをさらに含み、該代謝酵素は、組換えリステリア株の染色体に欠けている内在性遺伝子を相補し、それにより、Her−2キメラタンパク質を発現するようにリステリアワクチン株を改変する。
一実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物は、アジュバントをさらに含み、この場合、別の実施形態では、このアジュバントは、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)タンパク質、GM−CSFタンパク質をコードするヌクレオチド分子、サポニンQS21、モノホスホリル脂質A、または非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドを含む。
一実施形態では、弱毒化されたリステリア株、例えば、LMのdelta−actA突然変異体(Brundage et al,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,90:11890−11894)、L.モノサイトゲネスのdelta−plcA(Camilli et al,1991,J.Exp.Med.,173:751−754)、またはdelta−ActA、delta INL−b(Brockstedt et 5 al,2004,PNAS,101:13832−13837)を本発明で用いる。別の実施形態では、本明細書における開示を実践したときに当業者に理解されるように、弱毒化されたリステリア株は、1つ以上の弱毒化突然変異を導入することによって構築される。そのような株の例としては、芳香族アミノ酸に対して栄養要求性を有するリステリア株(Alexander et al,1993,Infection and Immunity 10 61:2245−2248)およびリポタイコ酸の形成の突然変異体(Abachin et al,2002,Mol.Microbiol.43:1−14)および毒性遺伝子の欠如によって弱毒化されたものが挙げられるが、これらに限定されない(本明細書の実施例を参照されたい)。
別の実施形態では、本発明の方法および組成物の核酸分子は、プロモーター/調節配列に機能的に連結されている。別の実施形態では、本発明の方法および組成物の第1のオープンリーディングフレームは、プロモーター/調節配列に機能的に連結されている。別の実施形態では、本発明の方法および組成物の第2のオープンリーディングフレームは、プロモーター/調節配列に機能的に連結されている。別の実施形態では、オープンリーディングフレームの各々は、プロモーター/調節配列に機能的に連結されている。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
当業者であれば、本明細書における開示および本明細書で提供される方法を実践したときに、様々な転写プロモーター、ターミネーター、キャリアベクターまたは特定の遺伝子配列(例えば、市販のクローニングベクター中にあるもの)を本発明の方法および組成物でうまく用いることができることを容易に理解するであろう。本発明で想定されているように、これらの機能性は、例えば、pUCシリーズとして知られる市販ベクター中に提供されている。別の実施形態では、必須でないDNA配列(例えば、抗生物質耐性遺伝子)を除去する。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態では、市販プラスミドが本発明で用いられる。そのようなプラスミドは、種々の供給源、例えば、インビトロジェン(Invitrogen)(カリフォルニア州ラ・ホーヤ)、ストラタジーン(Stratagene)(カリフォルニア州ラ・ホーヤ)、クローンテック(Clontech)(カリフォルニア州パロアルト)から入手可能であるか、または当技術分野で周知の方法を用いて構築することができる。
別の実施形態は、pCR2.1(インビトロジェン、カリフォルニア州ラ・ホーヤ)などのプラスミドである。これは、原核生物での発現を促進する原核生物の複製起点およびプロモーター/調節因子を有する原核生物発現ベクターである。別の実施形態では、プラスミドのサイズを小さくし、その中に入れることができるカセットのサイズを大きくするために、無関係なヌクレオチド配列を除去する。
そのような方法は当技術分野で周知であり、例えば、Sambrookら(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York)およびAusubeiら(1997,Current Protocols in Molecular Biology,Green & Wiley,New York)に記載されている。
抗生物質耐性遺伝子は、分子生物学およびワクチン調製において一般に利用される従来の選択およびクローニング過程で用いられる。本発明で想定される抗生物質耐性遺伝子としては、アンピシリン、ペニシリン、メチシリン、ストレプトマイシン、エリスロマイシン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール(CAT)、ネオマイシン、ハイグロマイシン、ジェネティシンおよび当技術分野で周知の他の抗生物質に対する耐性を付与する遺伝子産物が挙げられるが、これらに限定されない。各々の遺伝子は、本発明の別個の実施形態を表す。
細菌を形質転換するための方法は周知であり、これには、塩化カルシウムによるコンピテントセルに基づく方法、エレクトロポレーション法、バクテリオファージによる形質導入、化学的、および物理的形質転換技術が含まれる(de Boer et al,1989,Cell 56:641−649;Miller et al,1995,FASEB J.,9:190−199;Sambrook et al.1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York;Ausubel et al.,1997,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York;Gerhardt et al.,eds.,1994,Methods for General and Molecular Bacteriology,American Society for Microbiology,Washington,D.C.;Miller,1992,A Short Course in Bacterial Genetics,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.)。別の実施形態では、本発明のリステリアワクチン株をエレクトロポレーションによって形質転換する。各々の方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、コンジュゲーションを用いて、遺伝物質および/またはプラスミドを細菌に導入する。コンジュゲーションのための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、Nikodinovic Jら(A second generation snp−derived Escherichia coli−Streptomyces shuttle expression vector that is generally transferable by conjugation.Plasmid.2006 Nov;56(3):223−7)およびAuchtung JMら(Regulation of a Bacillus subtilis mobile genetic element by intercellular signaling and the global DNA damage response.Proc Natl Acad Sci USA.2005 Aug 30;102(35):12554−9)に記載されている。各々の方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
「形質転換する」は、一実施形態では、「トランスフェクションする」という用語と同じように用いられ、細菌細胞を操作してプラスミドまたは他の異種DNA分子を取り込ませることを指す。別の実施形態では、「形質転換する」は、細菌細胞を操作してプラスミドまたは他の異種DNA分子の遺伝子を発現させることを指す。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
本発明で有用なプラスミドおよび他の発現ベクターは、本明細書の他の場所に記載されており、プロモーター/調節配列、グラム陰性およびグラム陽性細菌用の複製起点、融合タンパク質をコードする単離された核酸ならびにアミノ酸代謝遺伝子をコードする単離された核酸のような特徴を含むことができる。さらに、融合タンパク質およびアミノ酸代謝遺伝子をコードする単離された核酸は、そのような単離された核酸の発現を駆動するのに好適なプロモーターを有する。細菌系で発現を駆動するのに有用なプロモーターは、当技術分野で周知であり、これには、バクテリオファージλ、pBR322のβ−ラクタマーゼ遺伝子のblaプロモーター、pBR325のクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のCATプロモーターが含まれる。原核生物プロモーターのさらなる例としては、5つのバクテリオファージλの主要な右プロモーターおよび左プロモーター(PLおよびPR)、大腸菌(E.coli)のtrp、recA、lacZ、lacI、およびgalプロモーター、α−アミラーゼ(Ulmanen et al,1985.J.Bacteriol.162:176−182)ならびに枯草菌のS28特異的プロモーター(Gilman et al,1984 Gene 32:11−20)、バチルス属のバクテリオファージのプロモーター(Gryczan,1982,In:The Molecular Biology of the Bacilli,Academic Press,Inc.,New York)、およびストレプトミセス属(Streptomyces)のプロモーター(Ward et al,1986,Mol.Gen.Genet.203:468−478)が挙げられる。本発明で想定されるさらなる原核生物プロモーターは、例えば、Glick(1987,J.Ind.Microbiol.1:277−282);Cenatiempo(1986,Biochimie,68:505−516);およびGottesman(1984,Ann.Rev.Genet.18:415−442)に概説されている。本発明で想定されるプロモーター/調節因子のさらなる例としては、リステリアのprfAプロモーター、リステリアのhlyプロモーター、リステリアのp60プロモーターおよびリステリアのActAプロモーター(ジェンバンク受託番号NC_003210)またはそれらの断片が挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施形態では、本発明の方法および組成物のプラスミドは、融合タンパク質をコードする遺伝子を含む。別の実施形態では、部分配列をクローニングし、適当な部分配列を適当な制限酵素を用いて切断する。その後、別の実施形態では、これらの断片を連結して、所望のDNA配列を生じさせる。別の実施形態では、DNA増幅法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、抗原をコードするDNAを生じさせる。まず、天然DNAの断片の両側に新しい末端を有するものを別々に増幅する。一方の増幅された配列の5’末端がペプチドリンカーをコードする一方で、もう一方の増幅された配列の3’末端もペプチドリンカーをコードする。第1の断片の5’末端は第2の断片の3’末端に相補的であるので、(例えば、LMPアガロースで部分精製した後の)2つの断片は、第3のPCR反応で重複する鋳型として用いることができる。増幅された配列は、コドン、開裂部位のカルボキシ側の部分(このとき、アミノ配列を形成している)、リンカー、および開裂部位のアミノ側の配列(このとき、カルボキシル配列を形成している)を含む。この抗原をプラスミドに連結する。各々の方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、本発明はさらに、臨床応用されるファージベースの染色体組込み系を含む。限定するものではないが、d−アラニンラセマーゼをはじめとする必須酵素に対して栄養要求性を有する宿主株、例えば、Lmdal(−)dat(−)を用いる。別の実施形態では、「ファージ除去段階(phage curing step)」を防ぐために、PSAに基づくファージ組込み系を用いる(Lauer,et al.,2002 J Bacteriol,184:4177−4186)。これは、別の実施形態では、組み込まれた遺伝子を維持するために抗生物質による持続的な選択を必要とする。したがって、別の実施形態では、本発明は、抗生物質を用いた選択を必要としない、ファージベースの染色体組込み系の確立を可能にする。その代わり、栄養要求性宿主株は相補される。
本発明の組換えタンパク質は、別の実施形態では、組換えDNA法を用いて合成される。これは、一実施形態では、融合タンパク質をコードするDNA配列を作製し、このDNAを特定のプロモーター/調節因子の制御下で発現カセット(例えば、本発明のプラスミド)に置き、タンパク質を発現させることを含む。本発明の融合タンパク質(例えば、非溶血性LLO/抗原)をコードするDNAを、別の実施形態では、例えば、適当な配列のクローニングおよび制限処理またはNarangらのホスホトリエステル法(1979,Meth.Enzymol.68:90−99);Brownらのホスホジエステル法(1979,Meth.Enzymol 68:109−151);Beaucageらのジエチルホスホロアミダイト法(1981,Tetra.Lett.,22:15 1859−1862);および米国特許第4,458,066号の固相支持体法などの直接的な化学合成をはじめとする、任意の好適な方法によって調製することができる。
別の実施形態では、化学合成を用いて、一本鎖オリゴヌクレオチドを生成させる。この一本鎖オリゴヌクレオチドは、様々な実施形態では、相補配列とのハイブリダイゼーションによって、または一本鎖を鋳型として用いるDNAポリメラーゼとの重合によって、二本鎖DNAに変換される。当業者であれば、DNAの化学合成は約100塩基の配列に限定されるが、より長い配列はより短い配列の連結によって得ることができることを認識するであろう。別の実施形態では、部分配列をクローニングし、適当な部分配列を適当な制限酵素を用いて切断する。その後、これらの断片を連結して、所望のDNA配列を生成させる。
別の実施形態では、本発明の融合タンパク質または組換えタンパク質をコードするDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などのDNA増幅法を用いてクローニングされる。したがって、非溶血性LLOの遺伝子は、好適な制限酵素部位を含むセンスプライマーと別の制限部位(例えば、クローニングを容易にするための同一でない制限部位)を含むアンチセンスプライマーとを用いてPCR増幅される。抗原をコードする単離された核酸についても同じことを繰り返す。非溶血性LLO配列と抗原配列の連結、およびプラスミドまたはベクターへの挿入により、抗原の末端に結合した非溶血性LLOをコードするベクターが生成される。2つの分子は、直接的に、または制限部位によって導入される短いスペーサーによって結合される。
別の実施形態では、これらの分子は、1つ以上のアミノ酸からなるペプチドスペーサーによって隔てられており、通常、スペーサーは、タンパク質を結合させること、またはこれらの分子間でいくらかの最小距離もしくは他の空間的関係を維持すること以外は、特定の生物活性を持たない。別の実施形態では、スペーサーの構成成分AAは、フォールディング、正味の電荷、または疎水性などの、分子のある特性に影響を与えるように選択される。別の実施形態では、融合タンパク質または組換えタンパクをコードする核酸配列は、大腸菌、他の細菌宿主(例えば、リステリア)、酵母、ならびに様々な高等真核細胞(例えば、COS、CHOおよびHeLa細胞株、ならびに骨髄腫細胞株)をはじめとする、種々の宿主細胞に形質転換される。組換え融合タンパク質遺伝子は、各宿主用の適切な発現制御配列に機能的に連結される。プロモーター/調節配列は、本明細書の他の場所で詳細に記載されている。別の実施形態では、プラスミドはさらに、さらなるプロモーター調節因子、ならびにリボソーム結合部位および転写終結シグナルを含む。真核細胞については、制御配列は、例えば、免疫グロブリン遺伝子、SV40、サイトメガロウイルスなどに由来するプロモーターおよびエンハンサー、ならびにポリアデニル化配列を含む。別の実施形態では、配列は、スプライスドナーおよびアクセプター配列を含む。
一実施形態では、「機能的に連結された」という用語は、そのように記載された構成要素が、その意図された様式で機能することを可能にする関係にある並置を指す。コード配列に「機能的に連結された」制御配列は、コード配列の発現が制御配列と適合する条件下で達成されるように連結されている。
別の実施形態では、プラスミドを含む栄養要求性細菌について選択するために、形質転換した栄養要求性細菌を、アミノ酸代謝遺伝子の発現について選択する培地上で増殖させる。別の実施形態では、D−グルタミン酸合成に対して栄養要求性を有する細菌がD−グルタミン酸合成のための遺伝子を含むプラスミドで形質転換され、栄養要求性細菌は、D−グルタミン酸の非存在下で増殖するのに対し、プラスミドで形質転換されていないか、またはD−グルタミン酸合成のためのタンパク質をコードするプラスミドを発現していない栄養要求性細菌は増殖しない。別の実施形態では、D−アラニン合成に対する栄養要求性を有する細菌は、形質転換されて、本発明のプラスミドを発現しているとき、そのプラスミドがD−アラニン合成のためのアミノ酸代謝酵素をコードする単離された核酸を含むならば、D−アラニンの非存在下で増殖する。必要な増殖因子、補助因子、アミノ酸、ビタミン、抗生物質などを含むかまたはこれらを欠く適切な培地を作製するためのそのような方法は当技術分野で周知であり、かつ市販されている(ベクトン・ディッキンソン(Becton−Dickinson)、ニュージャージー州フランクリン・レイクス)。各々の方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、本発明のプラスミドを含む栄養要求性細菌が適当な培地上で選択されれば、細菌は、選択圧の存在下で繁殖する。そのような繁殖は、栄養要求性因子を含まない培地中で細菌を増殖させることを含む。栄養要求性細菌におけるアミノ酸代謝酵素を発現するプラスミドの存在は、プラスミドが細菌とともに複製すること、したがって、プラスミドを有する細菌について絶えず選択することを保証する。当業者であれば、本開示および本明細書における方法を身に付けたときに、プラスミドを含む栄養要求性細菌が増殖している培地の容量を調整することによって、リステリアワクチンベクターの産生を容易にスケールアップすることができるであろう。
当業者であれば、別の実施形態では、本発明とともに用いるために、他の栄養要求性株および相補系が採用されることを理解するであろう。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象におけるHer−2発現腫瘍の増殖を妨げる方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で記載される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象におけるHer−2発現腫瘍の増殖を妨げる方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で記載される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象のHer2/neu発現腫瘍に対する増強された免疫応答を誘発させる方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で記載した組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。さらに別の実施形態では、Her2/neu発現腫瘍に対する免疫応答は、Her2/neuタンパク質の少なくとも1つのサブドミナントエピトープに対する免疫応答を含む。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、Her2/neu過剰発現腫瘍の治療におけるエスケープ変異を予防する方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、該対象に本明細書で提供される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象におけるHer2/neu抗原発現腫瘍の発症を予防する方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で提供される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、腫瘍内T調節性細胞の頻度を低下させる方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で提供される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、腫瘍内T調節性細胞の頻度を低下させる方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で提供される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、腫瘍内骨髄由来サプレッサ細胞の頻度を低下させる方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で提供される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、骨髄由来サプレッサ細胞の頻度を低下させる方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で提供される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象におけるHer2/neu発現腫瘍の形成を予防する方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で提供される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象におけるHer2/neu発現腫瘍の形成を予防する方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で提供される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象のHer2/neu発現腫瘍を治療する方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本明細書で提供される組換えリステリアワクチン株を含む組成物を投与する工程を含む。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明の組成物を投与する方法である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明のワクチンを投与する方法である。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本発明の組換えポリペプチドまたは組換えヌクレオチドを投与する方法である。別の実施形態では、本発明の組成物、ワクチン、組換えポリペプチドまたは組換えヌクレオチドを投与する工程は、組成物、ワクチン、組換えヌクレオチドを含むかまたは組換えポリペプチドを発現する弱毒化された組換え形態のリステリアを用いて、各々がそれ独自の個別の実施形態で実施される。別の実施形態では、投与は、異なる弱毒化細菌ベクターを用いて実施される。別の実施形態では、投与は、DNAワクチン(例えば、裸のDNAワクチン)を用いて実施される。別の実施形態では、本発明の組換えポリペプチドの投与は、タンパク質を組換えによって産生した後、組換えタンパク質を対象に投与することによって実施される。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、本発明の方法および組成物によって誘発される免疫応答は、CD8T細胞媒介性応答を含む。別の実施形態では、免疫応答は、主にCD8T細胞媒介性応答からなる。別の実施形態では、免疫応答の唯一の検出可能成分は、CD8T細胞媒介性応答である。
別の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物によって誘発される免疫応答は、CD4T細胞媒介性応答を含む。別の実施形態では、免疫応答は、主にCD4T細胞媒介性応答からなる。別の実施形態では、免疫応答の唯一の検出可能成分は、CD4T細胞媒介性応答である。別の実施形態では、CD4T細胞媒介性応答は、抗原に対する測定可能な抗体応答を伴う。別の実施形態では、CD4T細胞媒介性応答は、抗原に対する測定可能な抗体応答を伴わない。
別の実施形態では、本発明は、抗原のサブドミナントCD8T細胞エピトープに対する対象におけるCD8T細胞媒介性免疫応答を誘導する方法であって、(a)Her2−neuキメラ抗原またはその断片をコードするヌクレオチド分子を、LLOタンパク質のN末端断片をコードするヌクレオチド分子と融合し、それにより、LLO−抗原融合タンパク質をコードする組換えヌクレオチドを生成させる工程;および(b)組換えヌクレオチドまたはLLO−抗原融合体を対象に投与し、それにより、抗原のサブドミナントCD8T細胞エピトープに対するCD8T細胞媒介性免疫応答を誘導する工程を含む方法を提供する。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、CD8/T調節性細胞の腫瘍内比率を増大させる方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本発明の組換えポリペプチド、組換えリステリア、または組換えベクターを含む組成物を投与する工程を含む。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、CD8/T調節性細胞の腫瘍内比率を増大させる方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象に本発明の組換えポリペプチド、組換えリステリア、または組換えベクターを含む組成物を投与する工程を含む。
別の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物によって誘発される免疫応答は、抗原の少なくとも1つのサブドミナントエピトープに対する免疫応答を含む。別の実施形態では、免疫応答は、サブドミナントエピトープに対する免疫応答を含まない。別の実施形態では、免疫応答は、主に少なくとも1つのサブドミナントエピトープに対する免疫応答からなる。別の実施形態では、免疫応答の唯一の測定可能な成分は、少なくとも1つのサブドミナントエピトープに対する免疫応答である。各々のタイプの免疫応答は、本発明の別個の実施形態を表す。
免疫応答を測定する方法は当技術分野で周知であり、例えば、腫瘍増殖の抑制の測定、フローサイトメトリー、標的細胞溶解アッセイ(例えば、クロム遊離アッセイ)、テトラマーの使用などを含む。各々の方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、本発明は、対象におけるHer−2発現腫瘍の増殖を妨げる方法を提供するものであり、この場合および別の実施形態では、本方法は、対象にHer−2キメラタンパク質もしくはその断片に融合したLLOタンパク質のN末端断片を含む組換えポリペプチドまたは組換えポリペプチドをコードする組換えヌクレオチドを投与することを含み、この対象は、Her−2発現腫瘍に対する免疫応答を起こし、それにより、対象におけるHer−2発現腫瘍の増殖を妨げる。
別の実施形態では、本発明は、Her−2キメラタンパク質の抗原性を向上させる方法を提供するものであり、この場合および別の実施形態では、本方法は、LLOタンパク質のN末端断片をコードするヌクレオチドをHer−2タンパク質またはその断片をコードするヌクレオチドに融合させて、組換えヌクレオチドを生成させ、それにより、Her−2キメラタンパク質の抗原性を向上させる工程を含む。
別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、Her−2キメラタンパク質の抗原性を向上させる方法であり、この場合および別の実施形態では、本方法は、組換えヌクレオチドを発現するようにリステリア株を操作することを含む。別の実施形態では、異なる細菌ベクターを用いて、組換えヌクレオチドを発現させる。別の実施形態では、細菌ベクターを弱毒化する。別の実施形態では、DNAワクチン(例えば、裸のDNAワクチン)を用いて、組換えヌクレオチドを発現させる。別の実施形態では、ヌクレオチドによってコードされるLLO−Her−2キメラ融合ペプチドの投与は、タンパク質を組換えによって産生した後、組換えタンパク質を対象に投与することによって実施される。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、本発明は、腫瘍の「エピトープ拡大」のための方法を提供する。別の実施形態では、本明細書で提供される組成物および方法を用いた免疫は、本発明のワクチン中に担持されている抗原以外の抗原を有する他の腫瘍に対するエピトープ拡大を誘導する。
別の実施形態では、ドミナントエピトープまたはサブドミナントエピトープは、治療を受けている対象において、それぞれ、ドミナントまたはサブドミナントである。別の実施形態では、ドミナントエピトープまたはサブドミナントエピトープは、治療を受けている集団において、ドミナントまたはサブドミナントである。
一実施形態では、本明細書で提供されるのは、エピトープ拡大によって対象における癌または腫瘍増殖を治療、抑制、または阻害する方法であり、この場合および別の実施形態では、癌は、本発明の組成物に含まれる抗原またはその断片の発現と関連している。別の実施形態では、本方法は、該対象に本発明の組換えポリペプチド、組換えリステリア、または組換えベクターを含む組成物を投与することを含む。さらに別の実施形態では、対象は、抗原発現癌または抗原発現腫瘍に対する免疫応答を起こし、それにより、対象における癌または腫瘍増殖を治療、抑制、または阻害する。
「ドミナントCD8T細胞エピトープ」は、一実施形態では、タンパク質またはこのタンパク質を含有する病原体もしくは癌細胞によるワクチン接種、感染、または悪性増殖によって誘発される抗原特異的CD8T細胞の30%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、それによって誘発される抗原特異的CD8T細胞の35%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の40%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の45%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の50%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の55%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の60%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の65%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の70%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の75%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の80%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の85%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の90%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の95%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の96%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の97%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の98%以上によって認識されるエピトープを指す。
「サブドミナントCD8T細胞エピトープ」は、一実施形態では、タンパク質またはこのタンパク質を含有する病原体もしくは癌細胞によるワクチン接種、感染、または悪性増殖によって誘発される抗原特異的CD8T細胞の30%未満によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の28%未満によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の26%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の24%未満によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の22%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の20%未満によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の18%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の16%未満によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の14%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の12%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の10%未満によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の8%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の6%未満によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の5%未満によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の4%以上によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の3%未満によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の2%未満によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の1%未満によって認識されるエピトープを指す。別の実施形態では、この用語は、抗原特異的CD8T細胞の0.5%未満によって認識されるエピトープを指す。
各々のタイプのドミナントエピトープおよびサブドミナントエピトープは、本発明の別個の実施形態を表す。
本発明の方法および組成物における抗原は、一実施形態では、対象の非腫瘍細胞表面に検出可能なレベルで発現される。別の実施形態では、抗原は、対象の非腫瘍細胞の少なくとも一定のパーセンテージ(例えば、0.01%、0.03%、0.1%、0.3%、1%、2%、3%、または5%)で、検出可能なレベルで発現される。一実施形態では、「非腫瘍細胞」は、腫瘍本体の外側にある細胞を指す。別の実施形態では、「非腫瘍細胞」は、非悪性細胞を指す。別の実施形態では、「非腫瘍細胞」は、非形質転換細胞を指す。別の実施形態では、非腫瘍細胞は体細胞である。別の実施形態では、非腫瘍細胞は生殖細胞である。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
「検出可能なレベル」は、一実施形態では、標準的なアッセイで検出可能なレベルを指す。一実施形態では、アッセイは免疫学的アッセイである。一実施形態では、アッセイは酵素結合イムノアッセイ(ELISA)である。別の実施形態では、アッセイはウェスタンブロットである。別の実施形態では、アッセイはFACSである。当技術分野で利用可能な任意の他のアッセイを本明細書で提供される方法で用いることができることが当業者に理解されるべきである。別の実施形態では、検出可能なレベルは、特定のアッセイのバックグラウンドレベルと比べて決定される。これらの手法の各々を実施するための方法は、当業者に周知であり、各々の手法は、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、組換え抗原を発現するLMのワクチン接種は、エピトープ拡大を誘導する。別の実施形態では、LLO−抗原融合体のワクチン接種は、Her2との関係以外でも、同様にエピトープ拡大を誘導する。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、本発明は、対象におけるHer−2発現腫瘍の増殖を妨げる方法であって、対象にHer−2キメラ抗原に融合したLLOタンパク質のN末端断片を含む組換えポリペプチドを投与することを含む方法を提供するものであり、ここで、抗原は、1つ以上のサブドミナントCD8T細胞エピトープを有し、対象は、抗原発現腫瘍に対する免疫応答を起こし、それにより、対象におけるHer−2発現腫瘍の増殖を妨げる。別の実施形態では、抗原は、どのドミナントCD8T細胞エピトープも含まない。別の実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象におけるHer−2発現腫瘍の増殖を妨げる方法であって、対象に本明細書で提供される組換えポリペプチドをコードする組換えヌクレオチドを含む組換え形態のリステリアを投与することを含む方法である。
別の実施形態では、本発明は、癌を有する宿主において細胞傷害性T細胞の形成を誘導するための方法であって、宿主に本発明の組成物を投与し、それにより、癌を有する宿主において細胞傷害性T細胞の形成を誘導する方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、癌の発生率を低下させる方法であって、本発明の組成物を投与することを含む方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、癌を改善する方法であって、本発明の組成物を投与することを含む方法を提供する。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、組成物をエクスビボで対象の細胞に投与し、別の実施形態では、組成物をエクスビボでドナーの細胞に投与し、別の実施形態では、組成物をインビボでドナーの細胞に投与し、その後、対象に移す。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、本発明の方法によって治療される癌は乳癌である。別の実施形態では、癌は、Her2を含む癌である。別の実施形態では、癌は、メラノーマである。別の実施形態では、癌は、膵癌である。別の実施形態では、癌は、卵巣癌である。別の実施形態では、癌は、胃癌である。別の実施形態では、癌は、膵臓の癌病巣である。別の実施形態では、癌は、肺腺癌である。別の実施形態では、癌は、結腸直腸腺癌である。別の実施形態では、癌は、肺扁平上皮腺癌である。別の実施形態では、癌は、胃腺癌である。別の実施形態では、癌は、卵巣表面の上皮新生物(例えば、その良性の増殖性種または悪性種)である。別の実施形態では、癌は、口腔扁平上皮癌である。別の実施形態では、癌は、非小細胞肺癌である。別の実施形態では、癌は、CNS癌である。別の実施形態では、癌は、子宮内膜癌である。別の実施形態では、癌は、膀胱癌である。別の実施形態では、癌は、頭頸部癌である。別の実施形態では、癌は、前立腺癌である。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
本発明の方法の別の実施形態では、対象は、抗原発現腫瘍または標的抗原に対する免疫応答を起こし、それにより、抗腫瘍効果を仲介する。
別の実施形態では、本発明は、癌を治療するための免疫原性組成物であって、切断LLOとHer−2キメラタンパク質との融合体を含む免疫原性組成物を提供する。別の実施形態では、免疫原性組成物は、この融合体を発現するリステリア株をさらに含む。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。別の実施形態では、本発明は、癌を治療するための免疫原性組成物であって、Her−2キメラタンパク質を発現するリステリア株を含む免疫原性組成物を提供する。
一実施形態では、本発明の治療プロトコルは治療的なものである。別の実施形態では、プロトコルは予防的なものである。別の実施形態では、当業者によって理解されるように、本発明のワクチンを用いて、癌、例えば、乳癌またはHer2を含む他の種類の腫瘍に罹りやすくする家族性遺伝または他の状況のために、これらの種類の病気のリスクがある人を保護する。別の実施形態では、ワクチンを、手術、従来の化学療法または放射線治療による腫瘍増殖のデバルキング(debulking)後の癌免疫療法として用いる。そのような処置の後、ワクチンの腫瘍抗原に対するCTL応答が、残っている転移を破壊し、癌からの緩解を延長するように、本発明のワクチンを投与する。別の実施形態では、本発明のワクチンを用いて、それまでに定着した腫瘍の増殖を誘起し、既存の腫瘍細胞を死滅させる。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、上記の方法のいずれかで利用されるワクチンおよび免疫原性組成物は、本発明のワクチンおよび免疫原性組成物の特徴のいずれかを有する。各々の特徴は、本発明の別個の実施形態を表す。
投薬量範囲の様々な実施形態が本発明によって想定されている。一実施形態では、ワクチンベクターの場合、投薬量は、0.4LD50/用量の範囲である。別の実施形態では、投薬量は、約0.4〜4.9LD50/用量である。別の実施形態では、投薬量は、約0.5〜0.59LD50/用量である。 別の実施形態では、投薬量は、約0.6〜0.69LD50/用量である。別の実施形態では、投薬量は、約0.7〜0.79LD50/用量である。別の実施形態では、投薬量は、約0.8LD50/用量である。別の実施形態では、投薬量は、0.4LD50/用量〜0.8LD50/用量である。
別の実施形態では、投薬量は、10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、1.5×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、2×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、3×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、4×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、6×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、8×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、1×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、1.5×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、2×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、3×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、4×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、6×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、8×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、1×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、1.5×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、2×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、3×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、5×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、6×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、8×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、1×1010細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、1.5×1010細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、2×1010細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、3×1010細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、5×1010細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、6×1010細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、8×1010細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、8×10細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、1×1011細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、1.5×1011細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、2×1011細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、3×1011細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、5×1011細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、6×1011細菌/用量である。別の実施形態では、投薬量は、8×1011細菌/用量である。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
一実施形態では、本発明のワクチンまたは免疫原性組成物は、対象に単独で投与される。別の実施形態では、ワクチンまたは免疫原性組成物は、別の癌療法と一緒に投与される。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
本発明の方法および組成物の組換えリステリアは、一実施形態では、Her−2キメラ抗原またはLLO−Her−2キメラ抗原融合体をコードするコンストラクトで安定に形質転換される。一実施形態では、コンストラクトは、さらなるサブクローニングをしやすくするためのポリリンカーを含む。組換えリステリアを産生するためのいくつかの技術が公知である。
一実施形態では、コンストラクトまたは核酸分子を相同組換えを用いてリステリア染色体に組み込む。相同組換えのための技術は当技術分野で周知であり、例えば、Baloglu S,Boyle SMら(Immune responses of mice to vaccinia virus recombinants expressing either Listeria monocytogenes partial listeriolysin or Brucella abortus ribosomal L7/L12 protein.Vet Microbiol 2005,109(1−2):11−7);およびJiang LL,Song HHら(Characterization of a mutant Listeria monocytogenes strain expressing green fluorescent protein.Acta Biochim Biophys Sin(Shanghai) 2005,37(1):19−24)に記載されている。別の実施形態では、相同組換えは、米国特許第6,855,320号に記載されているように実施される。この場合、E7を発現する組換えLM株は、hlyプロモーターの制御下のE7遺伝子の染色体への組込みにより、遺伝子産物の分泌を保証するhlyシグナル配列の包含を伴って作製され、Lm−AZ/E7と表される組換え体が得られた。別の実施形態では、温度感受性プラスミドを用いて、組換え体を選択する。各々の手法は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、コンストラクトまたは核酸分子をトランスポゾン挿入を用いてリステリア染色体に組み込む。トランスポゾン挿入のための技術は当技術分野で周知であり、とりわけ、DP−L967の構築において、Sunら(Infection and Immunity 1990,58:3770−3778)によって記載されている。トランスポゾン突然変異誘発は、別の実施形態では、安定なゲノム挿入突然変異体を形成することができるという利点を有するが、外来遺伝子が挿入されたゲノム中の位置が不明であるという欠点を有する。
別の実施形態では、コンストラクトまたは核酸分子をファージ組込み部位を用いてリステリア染色体に組み込む(Lauer P,Chow MY et al,Construction, characterization, and use of two Listeria monocytogenes site−specific phage integration vectors.J Bacteriol 2002;184(15):4177−86)。この方法の特定の実施形態では、インテグラーゼ遺伝子とバクテリオファージ(例えば、U153またはPSAリステリオファージ)の付着部位とを用いて、異種遺伝子を対応する付着部位に挿入する。この付着部位は、ゲノム中の任意の適当な部位(例えば、comKまたはarg tRNA遺伝子の3’末端)であってもよい。別の実施形態では、コンストラクトまたは異種遺伝子の組込み前に、内在性プロファージを利用される付着部位から除去する(cured)。別の実施形態では、この方法は、単一コピー組込み体を生じさせる。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、様々なプロモーターのうちの1つを用いて、抗原またはそれを含む融合タンパク質を発現させる。一実施形態では、LMプロモーター、例えば、hly、actA、plca、plcBおよびmpl遺伝子のプロモーターを用い、これらは、それぞれ、リステリアタンパク質溶血素、actA、ホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼ、ホスホリパーゼC、およびメタロプロテアーゼをコードする。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、本発明の方法および組成物は、本発明のHer−2キメラタンパク質またはLLO配列のホモログを利用する。別の実施形態では、本発明の方法および組成物は、非ヒト哺乳動物由来のHer−2キメラタンパク質を利用する。任意のタンパク質またはペプチドに関して用いられるときの、「相同性」、「相同」などの用語は、一実施形態では、必要な場合、最大パーセント相同性を達成するために、かついかなる保存的置換も配列同一性の一部として考慮しないで、配列を整列させて、ギャップを導入した後、対応する天然ポリペプチドの残基と同一な候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージを指す。アラインメントのための方法およびコンピュータプログラムは、当技術分野で周知である。
別の実施形態では、任意の核酸に関するときの「相同性」という用語は、同様に、対応する天然核酸配列のヌクレオチドと同一の候補配列中のヌクレオチドのパーセンテージを示す。
相同性は、一実施形態では、当技術分野で十分に記載されている方法によって、配列アラインメント用のコンピュータアルゴリズムにより決定される。例えば、核酸配列相同性のコンピュータアルゴリズム解析は、例えば、BLAST、DOMAIN、BEAUTY(BLAST増強アラインメントユーティリティ)、GENPEPTおよびTREMBLパッケージなどの、利用可能なソフトウェアパッケージをいくらでも利用することを含むことができる。
別の実施形態では、「相同性」は、配列番号1〜4から選択される配列との70%を上回る同一性を指す。別の実施形態では、「相同性」は、配列番号1〜4から選択される配列との72%を上回る同一性を指す。別の実施形態では、同一性は75%を上回る。別の実施形態では、同一性は78%を上回る。別の実施形態では、同一性は80%を上回る。別の実施形態では、同一性は82%を上回る。別の実施形態では、同一性は83%を上回る。別の実施形態では、同一性は85%を上回る。別の実施形態では、同一性は87%を上回る。別の実施形態では、同一性は88%を上回る。別の実施形態では、同一性は90%を上回る。別の実施形態では、同一性は92%を上回る。別の実施形態では、同一性は93%を上回る。別の実施形態では、同一性は95%を上回る。別の実施形態では、同一性は96%を上回る。別の実施形態では、同一性は97%を上回る。別の実施形態では、同一性は98%を上回る。別の実施形態では、同一性は99%を上回る。別の実施形態では、同一性は100%である。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、相同性は、候補配列のハイブリダイゼーションの測定によって決定され、その方法は、当技術分野で十分に記載されている(例えば、「Nucleic Acid Hybridization」 Hames,B.D.,and Higgins S.J.,編(1985);Sambrook et al.,2001,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,N.Y.;およびAusubel et al.,1989,Current Protocols in Molecular Biology,Green Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Yを参照されたい)。例えば、ハイブリダイゼーションの方法は、中程度からストリンジェントな条件下で、天然カスパーゼペプチドをコードするDNAの相補体に対して実施することができる。ハイブリダイゼーション条件は、例えば、10〜20%ホルムアルデヒド、5×SSC(150mM NaCl、15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×デンハルト溶液、10%硫酸デキストラン、および20μg/ml変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中、42℃で一晩のインキュベーションである。
本発明の一実施形態では、「核酸」は、一連の少なくとも2つの塩基−糖−リン酸の組合せを指す。この用語は、一実施形態では、DNAおよびRNAを含む。「ヌクレオチド」は、一実施形態では、核酸ポリマーのモノマーユニットを指す。RNAは、一実施形態では、tRNA(転移RNA)、snRNA(小核RNA)、rRNA(リボソームRNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、アンチセンスRNA、小阻害性RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)およびリボザイムの形態であることができる。siRNAおよびmiRNAの使用が記載されている(Caudy AA et al,Genes & Devel 16:2491−96およびその中で引用された参考文献)。DNAは、プラスミドDNA、ウイルスDNA、線状DNA、もしくは染色体DNAまたはこれらの群の誘導体の形態であることができる。さらに、これらの形態のDNAおよびRNAは、一本鎖、二本鎖、三本鎖または四本鎖であることができる。この用語は、別の実施形態では、他の種類の骨格を含み得るが、同じ塩基を含む人工核酸も含む。一実施形態では、人工核酸は、PNA(ペプチド核酸)である。PNAは、ペプチド骨格とヌクレオチド塩基を含み、一実施形態では、DNA分子とRNA分子の両方に結合することができる。別の実施形態では、ヌクレオチドは、修飾されたオキセタンである。別の実施形態では、ヌクレオチドは、1つ以上のホスホジエステル結合のホスホロチオエート結合との置換により修飾される。別の実施形態では、人工核酸は、当技術分野で公知の天然核酸のリン酸骨格の任意の他の変異体を含む。ホスホロチオエート核酸およびPNAの使用は当業者に公知であり、例えば、Neilsen P E,Curr Opin Struct Biol 9:353−57;およびRaz N K et al Biochem Biophys Res Commun 297:1075−84に記載されている。核酸の産生および使用は当業者に公知であり、例えば、Molecular Cloning,(2001),Sambrook and Russell編、およびMethods in Enzymology:Methods for molecular cloning in eukaryotic cells(2003) Purchio and G.C.Fareedに記載されている。各々の核酸誘導体は、本発明の別個の実施形態を表す。
本明細書に記載された任意のアミノ酸配列のタンパク質および/またはペプチドの相同性は、一実施形態では、イムノブロット解析をはじめとする当技術分野で十分に記載されている方法によるか、または確立された方法で、利用可能ないくつかのソフトウェアパッケージのいずれかを利用する、アミノ酸配列のコンピュータアルゴリズムによる解析によって決定される。これらのパッケージのいくつかは、FASTA、BLAST、MPsrchまたはScanpsパッケージを含んでいてもよく、例えば、SmithおよびWatermanアルゴリズム、ならびに/または解析用の全体/局所アラインメントもしくはBLOCKSアラインメントの使用を利用してもよい。相同性を決定するための各々の方法は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、本発明は、本発明の方法を実施するのに利用される試薬を含むキットを提供する。別の実施形態では、本発明は、本発明の組成物、ツール、または装置を含むキットを提供する。
「接触させる」または「投与する」という用語は、一実施形態では、癌細胞または腫瘍を本発明の組成物と直接的に接触させることを指す。別の実施形態では、この用語は、癌細胞または腫瘍を本発明の組成物と間接的に接触させることを指す。別の実施形態では、本発明の方法は、対象を本発明の組成物と接触させ、その後、拡散によるか、または化合物を体内循環させる当技術分野で公知の他の任意の能動的輸送プロセスもしくは受動的輸送プロセスによって、組成物が癌細胞または腫瘍と接触するようになる方法を含む。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
別の実施形態では、「遺伝子」および「組換え遺伝子」という用語は、本発明のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子を指す。そのような天然のアレル変異は、通常、所与の遺伝子のヌクレオチド配列に1〜5%の変動をもたらすことがある。別のアレルは、いくつかの異なる個体または生物における目的の遺伝子をシークエンシングすることによって同定することができる。これは、ハイブリダイゼーションプローブを用いて、種々の個体または生物において同じ遺伝子座を同定することによって容易に実施することができる。天然のアレル変異の結果であり、かつ機能的活性を変化させないありとあらゆるそのようなヌクレオチドの変異および結果として生じるアミノ酸の多型または変異が本発明の範囲内にあることが意図される。
医薬組成物
本発明のワクチンおよび組成物を含む医薬組成物は、別の実施形態では、当業者に公知の任意の方法によって、対象に、例えば、非経口、癌近傍(paracancerally)、経粘膜、経皮、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、心室内、頭蓋内、膣内、または腫瘍内に投与される。
本明細書で提供された方法および組成物の別の実施形態では、ワクチンまたは組成物は経口投与され、したがって、経口投与に好適な形態、すなわち、固体または液体調製物として処方される。好適な固体経口製剤としては、錠剤、カプセル、丸薬、顆粒、ペレットなどが挙げられる。好適な液体経口製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、エマルジョン、オイルなどが挙げられる。本発明の別の実施形態では、活性成分は、カプセル中に処方される。この実施形態によれば、本発明の組成物は、活性化合物および不活性担体または希釈剤に加えて、硬質ゼラチンカプセルを含む。
別の実施形態では、ワクチンまたは組成物は、液体調製物の静脈内、動脈内、または筋肉内注射によって投与される。好適な液体製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、エマルジョン、オイルなどが挙げられる。一実施形態では、医薬組成物は静脈内投与され、したがって、静脈内投与に好適な形態で処方される。別の実施形態では、医薬組成物は動脈内投与され、したがって、動脈内投与に好適な形態で処方される。別の実施形態では、医薬組成物は筋肉内投与され、したがって、筋肉内投与に好適な形態で処方される。
一実施形態では、「治療する」という用語は、疾患を治癒させることを指す。別の実施形態では、「治療する」は、疾患を予防することを指す。別の実施形態では、「治療する」は、疾患の発生率を低下させることを指す。別の実施形態では、「治療する」は、疾患の症状を改善することを指す。別の実施形態では、「治療する」は、寛解を誘導することを指す。別の実施形態では、「治療する」は、疾患の進行を緩徐化することを指す。「低下させる」、「抑制する」および「阻害する」という用語は、別の実施形態では、軽減することまたは減少させることを指す。各々の候補は、本発明の別個の実施形態を表す。
本明細書で使用される「約」という用語は、数量的に、プラスマイナス5%、または別の実施形態では、プラスマイナス10%、または別の実施形態では、プラスマイナス15%、または別の実施形態では、プラスマイナス20%を意味する。
「対象」という用語は、一実施形態では、病気もしくはその後遺症の治療を必要とするか、または病気もしくはその後遺症に罹りやすい、ヒトを含む哺乳動物を指す。対象としては、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラット、およびマウスならびにヒトを挙げることができる。「対象」という用語は、あらゆる点で正常な個体を排除するものではない。
本発明の好ましい実施形態をより完全に説明するために、以下の実施例を示す。しかしながら、これらは、決して、本発明の広い範囲を限定するものとみなされるべきではない。
実施例
材料および方法
オリゴヌクレオチドは、インビトロジェン(カリフォルニア州カールスバッド)により合成され、DNAシークエンシングは、ジーンウィズ社(Genewiz Inc)、ニュージャージー州サウス・プレインフィールドにより行なわれた。フローサイトメトリー試薬は、ベクトン・ディッキンソン・バイオサイエンシズ(BD、カリフォルニア州サンディエゴ)から購入した。細胞培養培地、補助因子および他の全ての試薬は、指示しない限り、シグマ(Sigma)(ミズーリ州セントルイス)製であった。Her2/neu HLA−A2ペプチドは、EZバイオラブス(EZbiolabs)(インディアナ州ウェストフィールド)により合成された。完全RPMI 1640(C−RPMI)培地は、2mMのグルタミン、0.1mMの非必須アミノ酸、および1mMのピルビン酸ナトリウム、10%の胎仔ウシ血清、ペニシリン/ストレプトマイシン、Hepes(25mM)を含んでいた。ポリクローナル抗LLO抗体は以前に記載されており、抗Her2/neu抗体はシグマから購入した。
マウスおよび細胞株
動物実験は全て、ペンシルバニア大学またはラトガーズ大学のIACUCによって承認されたプロトコルに従って実施された。FVB/Nマウスは、ジャクソン・ラボラトリーズ(Jackson laboratories)(メイン州バーハーバー)から購入した。ラットHer2/neu発癌タンパク質を過剰発現するFVB/N Her2/neuトランスジェニックマウスは、ペンシルバニア大学の動物コア施設で飼育し、繁殖させた。高レベルのラットHer2/neuタンパク質を発現するNT−2腫瘍細胞株は、これらのマウスの自然発生乳腺腫瘍に由来するものであり、これを以前に記載されている通りに増殖させた。DHFR−G8(3T3/neu)細胞をATCCから入手し、ATCCの推奨に従って増殖させた。EMT6−Luc細胞株は、John Ohlfest博士(ミネソタ大学、ミネソタ州)から惜しみなく提供されたものであり、これを完全C−RPMI培地中で増殖させた。生物発光に関する作業は、ペンシルバニア大学(ペンシルバニア州フィラデルフィア)の小動物イメージング施設(SAIF)による指導の下で行なわれた。
リステリアコンストラクトおよび抗原発現
Her2/neu−pGEM7Zは、ペンシルバニア大学のMark Greene博士から親切に提供されたものであり、これは、pGEM7Zプラスミド(プロメガ(Promega)、ウィスコンシン州マディソン)にクローニングされた全長ヒトHer2/neu(hHer2)遺伝子を含んでいた。このプラスミドを鋳型として用いて、pfx DNAポリメラーゼ(インビトロジェン)および表1に示したオリゴを用いるPCRによって、hHer−2/neuの3つの部分、すなわち、EC1、EC2、およびIC1を増幅した。
Her−2/neuキメラコンストラクトを、SOEing PCR法による直接融合により、各々別々のhHer−2/neu断片を鋳型として作製した。プライマーを表2に示す。
ChHer2遺伝子を、XhoIおよびSpeI制限酵素を用いてpAdv138から切り出し、LLOの切断された非溶血性断片とともにLmddシャトルベクターpAdv134にインフレームでクローニングした。インサート、LLOおよびhlyプロモーターの配列をDNAシークエンシング解析により確認した。このプラスミドをエレクトロコンピテントなactA、dal、dat突然変異体リステリア・モノサイトゲネス株であるLmddAにエレクトロポレートし、ストレプトマイシン(250μg/ml)を含む脳心臓浸出物(BHI)寒天プレート上で陽性クローンを選択した。いくつかの実験では、hHer2/neu(Lm−hHer2)断片を発現する同様のリステリア株を比較目的で用いた。これらは先に記載されている。どの研究においても、免疫系に対するリステリアの抗原非依存的効果を明らかにするために、無関係なリステリアコンストラクト(Lm−対照)を含めた。Lm−対照は、ADXS31−164と同じリステリアプラットフォームをベースにしたものであったが、HPV16−E7またはNY−ESO−1などの異なる抗原を発現した。リステリアからの融合タンパク質の発現および分泌を試験した。各コンストラクトをインビボで2回継代した。
細胞傷害性アッセイ
3〜5匹のFVB/Nマウスの群に1×10コロニー形成単位(CFU)のLm−LLO−ChHer2、ADXS31−164、Lm−hHer2IC1もしくは(無関係な抗原を発現する)Lm−対照を1週間間隔で3回免疫したか、または感作しないでおいた。NT−2細胞をインビトロで増殖させ、トリプシンで剥離し、37℃で45分間、マイトマイシンC(無血清C−RPMI培地中250μg/ml)で処理した。5回の洗浄の後、それらを、免疫動物または未感作動物から回収した脾細胞とともに1:5(刺激体:応答体)の比率で、37℃および5%COで5日間、共インキュベートした。標準的な細胞傷害性アッセイを、ユーロピウム標識した3T3/neu(DHFR−G8)細胞を標的として用いて、先に記載した方法に従って実施した。4時間のインキュベーションの後、590nmで分光光度計(パーキン・エルマー(Perkin Elmer)、Victor)を用いて、死滅した標的細胞からの放出されたユーロピウムを測定した。パーセント比溶解を(実験群における溶解−自然発生的溶解)/(最大溶解−自然発生的溶解)と定義した。
免疫マウス由来の脾細胞によるインターフェロン−γ分泌
3〜5匹のFVB/NまたはHLA−A2トランスジェニックマウスの群に1×10CFUのADXS31−164、(無関係な抗原を発現する)陰性リステリア対照を1週間間隔で3回免疫したか、または感作しないでおいた。FVB/Nマウス由来の脾細胞を最後の免疫の1週間後に単離し、C−RPMI培地中で、マイトマイシンC処理したNT−2細胞の存在下、5×10細胞/ウェルで24ウェルプレートにて共培養した。HLA−A2トランスジェニックマウス由来の脾細胞を、1μMのHLA−A2特異的ペプチドまたは大腸菌で産生し、ニッケルに基づく親和性クロマトグラフィーシステムで精製した1μg/mlの組換えHisタグ化ChHer2タンパク質の存在下でインキュベートした。24または72時間後に上清由来の試料を得て、製造元の推奨に従ってマウスIFN−γ酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)キットを用いて、インターフェロン−γ(IFN−γ)の存在について試験した。
Her2トランスジェニック動物における腫瘍研究
6週齢のFVB/NラットHer2/neuトランスジェニックマウス(9〜14匹/群)に5×10CFUのLm−LLO−ChHer2、ADXS31−164またはLm−対照を6回免疫した。それらを自然発生乳腺腫瘍の出現について週に2回観察した。自然発生乳腺腫瘍は、電子キャリパーを用いて、最長52週まで測定した。エスケープした腫瘍を平均直径1cmのサイズに達したときに摘出し、RNAlater中−20℃で保存した。これらの腫瘍のエスケープに対するHer2/neuタンパク質における突然変異の効果を明らかにするために、ゲノムDNA単離キットを用いてゲノムDNAを抽出し、シークエンシングした。
脾臓および腫瘍内の調節性T細胞に対するADXS31−164の効果
マウスに1×10個のNT−2細胞を皮下(s.c.)移植した。7、14および21日目に、それらに1×10CFUのADXS31−164、LmddA−対照を免疫したかまたはまたは感作しないでおいた。28日目に腫瘍および脾臓を抽出し、CD3/CD4/FoxP3Tregの存在についてFACS解析で検討した。簡潔に述べると、脾臓を、C−RPMI培地中、2枚のスライドガラスの間でホモジナイズすることによって、脾細胞を単離した。滅菌したカミソリの刃を用いて腫瘍を細かく切り、PBS中にDNアーゼ(12U/ml)、およびコラゲナーゼ(2mg/ml)を含む緩衝液を用いて消化した。撹拌しながら室温で60分間インキュベートした後、激しいピペッティングにより細胞を分離した。赤血球をRBC溶解緩衝液で溶解し、その後、10%FBSを含む完全RPMI−1640培地で数回洗浄した。ナイロンメッシュに通して濾過した後、腫瘍細胞および脾細胞をFACS緩衝液(2%FBS/PBS)に再懸濁し、抗CD3−PerCP−Cy5.5抗体、抗CD4−FITC抗体、抗CD25−APC抗体で染色し、次いで、透過処理し、抗Foxp3−PEで染色した。4色FACSキャリバー(BD)を用いてフローサイトメトリー解析を実施し、セルクエストソフトウェア(BD)を用いてデータを解析した。
統計解析
ログランクカイ二乗検定を生存率データに用い、スチューデントのt検定をCTLおよびELISAアッセイに用いた。これらの検定は3つの複製を作って行なった。0.05未満のp値(と印を付けた)は、これらの解析において統計的に有意であると考えられた。統計解析は全て、Prismソフトウェア、V.4.0a(2006)またはSPSSソフトウェア、V.15.0(2006)のいずれかを用いて行なわれた。別途記載しない限り、全てのFVB/NラットHer2/neuトランスジェニック研究のために、本発明者らは、1群当たり8〜14匹のマウスを用い、全ての野生型FVB/N研究のために、本発明者らは、1群当たり少なくとも8匹のマウスを用いた。Her2/neuトランスジェニックマウスモデルでの長期の腫瘍研究を除き、全ての研究を少なくとも1回繰り返した。
実施例1
Her−2断片に融合したLLO断片を分泌するリステリア・モノサイトゲネス株の作製:ADXS31−164の構築
キメラHer2/neu遺伝子(ChHer2)の構築は以前に記載されている。簡潔に述べると、ChHer2遺伝子を、SOEing PCR法による、Her2/neuタンパク質の2つの細胞外断片(aa40〜170およびaa359〜433)と1つの細胞内断片(aa678〜808)の直接的な融合によって作製した。キメラタンパク質は、このタンパク質の既知のヒトMHCクラスIエピトープの大半を有する。ChHer2遺伝子をプラスミドpAdv138(これは、Lm−LLO−ChHer2を構築するために用いられた)から切り出して、LmddAシャトルプラスミドにクローニングし、プラスミドpAdv164が得られた(図1A)。これら2つのプラスミド骨格には2つの大きな違いがある。1)pAdv138が、組換え細菌のインビトロ選択のためにクロラムフェニコール耐性マーカー(cat)を用いるのに対し、pAdv164は、枯草菌由来のD−アラニンラセマーゼ遺伝子(dal)を有する。枯草菌は、dal−dat遺伝子を欠くLmddA株でのインビトロ選択およびインビボプラスミド保持のために代謝相補経路を用いる。このワクチンプラットフォームは、人工リステリアワクチン株の抗生物質耐性についてのFDAの懸念に対処するようにデザインされ、開発された。2)pAdv138とは異なり、pAdv164は、プラスミド中にprfA遺伝子のコピーを有さない(下記の配列および図1Aを参照されたい)。というのは、これは、Lmdd株のインビボ相補に必要ないからである。LmddAワクチン株は、(リステリアの細胞内移動および細胞間拡散に関与する)actA遺伝子も欠くので、この骨格に由来する組換えワクチン株は、その親株のLmddから派生したものよりも毒性が100倍低い。LmddAベースのワクチンはまた、Lmddベースのワクチンよりもはるかに速く(48時間足らずで)免疫マウスの脾臓から除去される。ウェスタンブロット解析を用いて抗LLO抗体で約104KDのバンドを検出したとき、この株からの融合タンパク質tLLO−ChHer2の発現および分泌は、インビトロ増殖の8時間後のTCA沈殿した細胞培養上清におけるLm−LLO−ChHer2の発現および分泌と同程度であった(図1B)。tLLOだけを発現するリステリア骨格株を陰性対照として用いた。
pAdv164配列(7075塩基対)(図1参照):
実施例2
ADXS31−164はLM−LLO−ChHER2と同程度の免疫原性である
抗Her2/neu特異的細胞傷害性T細胞を生成させる際のADXS31−164の免疫原性特性を、標準的なCTLアッセイでLm−LLO−ChHer2ワクチンの免疫原性特性と比較した。両ワクチンとも、3T3/neu標的細胞によって発現されたHer2/neu抗原に対する、強力ではあるが、同程度の細胞傷害性T細胞応答を誘発した。したがって、LLOに融合したHer2の細胞内断片だけを発現するリステリアで免疫したマウスは、より多くのMHCクラスIエピトープを含むキメラよりも低い溶解活性を示した。CTL活性は、未感作動物または無関係なリステリアワクチンを注射したマウスでは検出されなかった(図2A)。ADXS31−164は、野生型FVB/Nマウス由来の脾細胞によるIFN−γの分泌を刺激することもできた(図2B)。これは、高レベルのHer2/neu抗原を発現する、マイトマイシンC処理したNT−2細胞と共培養したこれらの細胞の培養上清で検出された(図5C)。
ADXS31−164で免疫した後のヒトMHCクラスIエピトープの適切なプロセッシングおよび提示をHLA−A2マウスで試験した。免疫したHLA−A2トランスジェニック体由来の脾細胞を、Her2/neu分子の細胞外ドメイン(HLYQGCQVV、配列番号11もしくはKIFGSLAFL、配列番号12)または細胞内ドメイン(RLLQETELV、配列番号13)にあるマッピングされたHLA−A2制限エピトープに対応するペプチドとともに72時間共インキュベートした(図2C)。組換えChHer2タンパク質を陽性対照として用い、無関係なペプチドまたはペプチドなしを陰性対照として用いた。この実験のデータは、ADXS31−164が、標的化抗原の異なるドメインにあるヒトエピトープに対する抗Her2/neu特異的免疫応答を誘発することができることを示している。
実施例3
ADXS31−164は、自然発生乳腺腫瘍の発症の予防においてLM−LLO−ChHER2よりも有効であった
ゆっくりと増殖する自然発生乳腺腫瘍を発症する、20〜25週齢のHer2/neuトランスジェニック動物で、ADXS31−164の抗腫瘍効果をLm−LLO−ChHer2の抗腫瘍効果と比較した。無関係なリステリア−対照ワクチンで免疫した動物は全て、21〜25週以内に乳房腫瘍を発症し、33週の前に屠殺された。対照的に、リステリア−Her2/neu組換えワクチンは、乳腺腫瘍の形成を顕著に遅延させた。45週目で、Lm−LLO−ChHer2で免疫したマウスの25%と比較して、ADXS31−164ワクチンを接種したマウスの50%強(9匹中5匹)に依然として腫瘍がなかった。52週で、ADXS31−164で免疫したマウスの8匹中2匹には依然として腫瘍がない状態であったのに対し、他の実験群のマウスは全て、その疾患で死んでいた(図3)。これらの結果は、より弱毒化されているにもかかわらず、ADXS31−164は、Her2/neuトランスジェニック動物での自然発生乳腺腫瘍の発症の予防においてLm−LLO−ChHer2よりも有効であることを示している。
実施例4
ADXS31−164で免疫したときのHER2/NEU遺伝子における突然変異
Her2/neuのMHCクラスIエピトープにおける突然変異は、小断片ワクチンまたはHer2/neuの細胞外ドメインのエピトープを標的とするモノクローナル抗体であるトラスツズマブ(ハーセプチン(登録商標))で免疫したときの腫瘍エスケープの原因であると考えられている。これを評価するために、ゲノム物質をトランスジェニック動物のエスケープした腫瘍から抽出し、キメラまたは対照ワクチンで免疫した腫瘍内のneu遺伝子の対応する断片とともにシークエンシングした。突然変異は、ワクチン接種したどの腫瘍試料のHer−2/neu遺伝子にも認められず、別のエスケープ機構が示唆された(データは示さない)。
実施例5
ADXS31−164は腫瘍内T調節性細胞の顕著な減少を引き起こす
脾臓および腫瘍における調節性T細胞の頻度に対するADXS31−164の効果を解明するために、マウスにNT−2腫瘍細胞を移植した。3回の免疫の後、脾細胞および腫瘍内リンパ球を単離し、Tregについて染色した。Tregは、CD3/CD4/CD25/FoxP3細胞と定義されたが、個別に解析した場合、FoxP3またはCD25マーカーのどちらかでも同等の結果が得られた。これらの結果は、ADXS31−164による免疫が、無関係なリステリアワクチンまたは未感作動物と比較して、脾臓におけるTregの頻度に対して効果がないことを示した(図4を参照されたい)。対照的に、リステリアワクチンによる免疫は、腫瘍におけるTregの存在にかなりの影響をもたらした(図5A)。Tregは、未処置の腫瘍における全CD3T細胞で平均19.0%であったが、この頻度は、無関係なワクチンについては4.2%、ADXS31−164については3.4%にまで低下し、腫瘍内Tregの頻度は5倍低下した(図5B)。どちらかのLmddAワクチンで処置したマウスにおける腫瘍内Tregの頻度の減少は、腫瘍のサイズの違いに起因するものではあり得なかった。代表的な実験において、ADXS31−164で免疫したマウス由来の腫瘍は、未処置のマウス由来の腫瘍(8.69±0.98、n=5、p<0.01)または無関係なワクチンで処置したマウス由来の腫瘍(8.41±1.47、n=5、p=0.04)よりも有意に小さかった[平均直径(mm)±SD、6.71±0.43、n=5]が、これらの後者2つの群の比較は、腫瘍サイズの統計的有意差を示さなかった(p=0.73)。LmddAワクチンで処置した腫瘍におけるTregのより低い頻度は、腫瘍内CD8/Treg比の増大をもたらしたが、これは、LmddAワクチンによる免疫の後に、より好都合な腫瘍微小環境が得られる可能性があることを示唆している。しかしながら、標的抗原HER2/neu(ADXS31−164)を発現するワクチンだけが腫瘍増殖を低下させることができ、これは、Tregの減少は、腫瘍における抗原特異的応答が存在するときにのみ効果を有することを示している。
実施例6
エスケープ変異はHER−2キメラを発現するリステリアワクチンによって誘導されない
Lm−LLO−138、LmddA164および無関係なワクチンLm−LLO−NYなどの様々なワクチンで免疫したマウスの腫瘍試料を回収した。これらの試料からDNAを精製し、Her−2/neu領域IC1、EC1およびEC2に対応するDNA断片を増幅し、シークエンシングして、免疫エスケープ変異があるかどうかを明らかにした。CLUSTALWを用いて各DNAの配列のアラインメントを実施した。解析の結果は、腫瘍から回収したDNA配列中に突然変異がないことを示した。これらの配列の詳細な解析を以下に示す。
EC2(Her−2−neuの975〜1029bp)のアラインメント
IC1(Her−2−neuの2114〜3042bp)のアラインメント
EC1(Her−2−neuの399〜758bp)のアラインメント
実施例7
ADXS31−164による末梢免疫は脳における転移性乳癌細胞株の増殖を遅延させることができる
マウスにADXS31−164または無関係なLm−対照ワクチンをIP免疫し、その後、ルシフェラーゼおよび低レベルのHer2/neuを発現する5,000個のEMT6−Luc腫瘍細胞を頭蓋内に移植した(図6C)。麻酔したマウスのエクスビボイメージングにより、腫瘍を接種後の様々な時点でモニタリングした。腫瘍接種後8日目、腫瘍は全ての対照動物で検出されたが、ADXS31−164群のマウスはどれも、検出可能な腫瘍を示さなかった(図6AおよびB)。ADXS31−164は、これらの腫瘍の発症を明らかに遅延させることができた。なぜなら、腫瘍接種後11日目に、陰性対照群のマウスは全て、その腫瘍で既に死んでいたが、ADXS31−164群のマウスは全てまだ生きており、腫瘍増殖のわずかな兆候しか示さなかったからである。これらの結果は、ADXS31−164の末梢投与で得られた免疫応答が中枢神経系に達する可能性があること、およびLmddAベースのワクチンがCNS腫瘍の治療に使用可能であることを強く示唆する。
本発明の特定の特徴が本明細書で例示され、記載されているが、多くの修正、代替物、変更および等価物が当業者に思い浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨に含まれるような全ての修正および変更に及ぶことが意図されることが理解されるべきである。

Claims (28)

  1. 組換えリステリア株の染色体のD−アラニンラセマーゼ(Dal)遺伝子およびD−アミノ酸トランスフェラーゼ(Dat)遺伝子の欠失、ならびにctA毒性遺伝子の突然変異または欠失を有する組換えリステリア株であって、前記組換えリステリア株は、第1のオープンリーディングフレームおよび第2のオープンリーディングフレームを含む核酸分子を有し、第1のオープンリーディングフレームは、a)非溶血性LLOタンパク質またはそのN末端断片、b)PEST配列、およびc)ActA断片のうちから選択されるさらなるポリペプチドに融合した配列番号2のHer2/neuキメラ抗原を含む組換えポリペプチドをコードしており、第2のオープンリーディングフレームは、Dal遺伝子およびDat遺伝子の前記欠失を相補するアラニンラセマーゼ酵素をコードしている、組換えリステリア株。
  2. Her2/neuキメラ抗原が配列番号1を含む配列によってコードされている、請求項1に記載の組換えリステリア株。
  3. Her2/neuキメラ抗原が、マッピングされたヒトMHCクラスIエピトープのうちの少なくとも5個を含む、請求項1または2に記載の組換えリステリア株。
  4. 前記核酸分子がリステリアゲノムに組み込まれている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換えリステリア株。
  5. 前記核酸分子が組換えリステリア株内のプラスミド中にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換えリステリア株。
  6. 前記プラスミドが配列番号53に記載の核酸を含む、請求項5に記載の組換えリステリア株。
  7. 前記プラスミドが、抗生物質選択の非存在下、組換えリステリア株の中で安定に維持される、請求項5に記載の組換えリステリア株。
  8. 前記プラスミドが、抗生物質に対する耐性を組換えリステリア株に付与しない、請求項5に記載の組換えリステリア株。
  9. 弱毒化されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組換えリステリア株。
  10. 組換えリステリア・モノサイトゲネス株である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組換えリステリア株。
  11. ctA毒性遺伝子が欠失または不活化している、請求項1に記載の組換えリステリア株。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の組換えリステリア株を含む免疫原性組成物。
  13. アジュバントをさらに含む、請求項12に記載の免疫原性組成物。
  14. アジュバントが、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)タンパク質、GM−CSFタンパク質をコードするヌクレオチド分子、サポニンQS21、モノホスホリル脂質A、または非メチル化CpG含有オリゴヌクレオチドを含む、請求項13に記載の免疫原性組成物。
  15. 対象におけるHer−2/neu発現腫瘍を治療する用途で使用される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組換えリステリア株または請求項1214のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
  16. 前記用途は、腫瘍内のエスケープ変異を予防することを含む、請求項15に記載の組換えリステリア株または免疫原性組成物。
  17. 対象においてHer2/neu発現腫瘍に対する増強された免疫応答を誘発する用途で使用される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組換えリステリア株または請求項1214のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
  18. 前記用途は、腫瘍内のエスケープ変異を予防することを含む、請求項17に記載の組換えリステリア株または免疫原性組成物。
  19. Her2/neu発現腫瘍に対する免疫応答が、Her2/neuタンパク質のサブドミナントエピトープに対する免疫応答を含む、請求項17に記載の組換えリステリア株または免疫原性組成物。
  20. 対象におけるHer−2/neu発現腫瘍の増殖を妨げる用途で使用される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組換えリステリア株または請求項1214のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
  21. 前記用途は、腫瘍内のエスケープ変異を予防することを含む、請求項20に記載の組換えリステリア株または免疫原性組成物。
  22. 対象におけるHer2/neu発現腫瘍の形成を予防する用途で使用される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組換えリステリア株または請求項1214のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
  23. Her2/neu発現腫瘍を有する対象の腫瘍内T調節性細胞の頻度を減少させる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組換えリステリア株または請求項1214のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
  24. 前記組換えリステリア株または免疫原性組成物は腫瘍内のエスケープ変異を予防する、請求項23に記載の組換えリステリア株または免疫原性組成物。
  25. Her2/neu発現腫瘍を有する対象の骨髄由来サプレッサ細胞の頻度を減少させる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組換えリステリア株または請求項1214のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
  26. 前記組換えリステリア株または免疫原性組成物は腫瘍内のエスケープ変異を予防する、請求項25に記載の組換えリステリア株または免疫原性組成物。
  27. Her2/neu発現腫瘍を有する対象のCD8+/T調節性細胞の腫瘍内比率を増大させる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組換えリステリア株または請求項1215のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
  28. 前記組換えリステリア株または免疫原性組成物は腫瘍内のエスケープ変異を予防する、請求項27に記載の組換えリステリア株または免疫原性組成物。
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