JP2005527240A - 弱毒リステリア種とこれを使用する方法 - Google Patents

弱毒リステリア種とこれを使用する方法 Download PDF

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Abstract

弱毒リステリア菌を提供する。本発明の細菌は、lplA遺伝子およびhly遺伝子から選択される遺伝子に変異を有することによって特徴付けられる。本発明の細菌は種々の適用に用途を見出しており、関心対象の代表的な適用には、 (a)アジュバントとしての本発明の細菌の用途、(b)高分子を細胞に導入するための送達ベクターとしての本発明の細菌の用途、(c)細胞性免疫反応を誘発または追加免疫投与するためのワクチンとしての本発明の用途等が挙げられるが、これらに限定されない。

Description

政府支援の謝辞
本発明は、米国立衛生研究所(National Institute of Health)によって与えられる付与番号AI29619およびAI27655により政府支援により作製された。米国政府は本発明にある一定の権利を有する。
関連出願の相互参照
本願は、開示内容が参照として本明細書に組み入れられている、2002年5月29日出願の米国特許仮出願第60/385,183号の出願日の優先権(米国特許法第119条(e)項に準拠する)を主張する。
序文
発明の分野
本発明の分野はリステリア(Listeria)種、例えば、リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、特にリステリア種の組換え株と、それらを構築し、使用する方法である。
発明の背景
ワクチンの使用は、細菌、ウィルス、寄生虫および真菌によって生じる感染性疾患を含む感染性疾患を管理するための費用効率の高い医学的ツールである。感染性疾患に対する防御を実施する以外に、宿主の免疫系を刺激して腫瘍の増殖に介入するワクチンを開発するための努力も払われている。
宿主の免疫反応には、抗体の形成を含む液性免疫反応および細胞性免疫反応が挙げられる。ワクチンによる防御免疫化は、通常、感染菌、腫瘍細胞または毒素の作用に対する液性抗体の形成を誘導するように設計されている。しかし、腫瘍細胞の存在または感染菌による細胞の慢性感染によって特徴付けられるある疾患の管理には、抗体の形成に代わってまたは抗体の形成以外に細胞性免疫反応を必要とすることが多い。液性免疫反応は生の感染菌および不活性化されている菌を使用して誘導することができるが、細胞免疫反応はワクチンとして生の菌を使用することによって最も効果的に誘導される。このような生の菌には、宿主細胞の細胞質に接近することができ、細胞質内でこれらの菌がコードするタンパク質が処理されて、細胞の免疫系に提示されると、防御応答を誘導するエピトープを形成する生の感染菌が挙げられる。
微生物、特にサルモネラ(Salmonela)およびシゲラ(Shigella)は種々の機序を使用して弱毒化されており、異種抗原をコードして発現する能力について調査されている。このような細菌は、望ましい異種抗原に対する細胞性免疫反応を誘導する働きをする生弱毒細菌ワクチンとして有用であると思われる。
リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)は、免疫無防備状態の個体および妊婦における重篤な感染症の原因となるグラム陽性で、食物が媒介するヒトおよび動物の病原菌である。ヒトにおける重症のL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)感染症は、髄膜炎、髄膜脳炎、敗血症および胎児の死亡によって特徴付けられる。L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は自然界に偏在しており、さらに、多種多様の温血動物から単離することができる。L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は、動物に接種すると、主に細胞性免疫反応を誘発する。
従って、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は、種々の異なる用途のベクターとして使用されている。感染菌由来または腫瘍細胞由来の異種抗原をコードする遺伝子を伝達するためのベクターとして使用する場合には、適当な異種抗原をコードして発現する組換えリステリアは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウィルス(Shenら、1995, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92: 3987-3991、Goossensら、1995, Int. Immunol. 7: 797-802)およびインフルエンザウィルス(Ikonomidisら、1997, Vaccine 15: 433-440)による抗原投与からマウスを防御することに成功することが示されている。さらに、モデル腫瘍抗原を発現する組換えリステリアは、致死的な腫瘍細胞投与からマウスを防御するために使用されている(Panら、1995, Nat. Med. 1:471-477、PatersonおよびIkonomidis、1996, Curr. Opin. Immunol. 8: 664-669、Gunnら、2001 J. Immunol. 167: 6471-6479)。さらに、HIV-1 gagを含む組換えL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)を感染させたマウスにおいて、HIV-1 gagタンパク質に対する強力な細胞性免疫反応を誘導することができることが知られている(Frankelら、1995、J. Immunol. 155: 4775-4782、Friedmanら、2000 J. Virol. 74: 9987-9983)。
感染性疾患および癌を予防および治療するためのワクチンベクターとしてのリステリアの適用に関連して報告されている大多数の文献(上記)に示されているように、この細菌に基づいたベクターは、他の組換えワクチン送達系を上回る大きな利点を有する。しかし、この細菌ワクチンベクターをインビボにおいて使用することに関連する安全性の懸念は依然として重要な問題となっている。最も一般的な野生株のリステリア、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の使用は、接種した動物におけるリステリア症の発症を含む重症の副作用を伴うことがある。この疾患は、通常は食物媒介性であり、髄膜炎、敗血症、流産によって特徴付けられ、しばしば感染個体の高い死亡率によって特徴付けられる。L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)による自然感染はかなりまれであり、数多くの抗生物質によって容易に制御することができるが、この生物は免疫無防備患者または妊娠患者では重篤な脅威となる場合がある。
従って、感染性疾患および悪性疾患に対するワクチンに幅広く適用するためには、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の弱毒株を開発するための必須の条件がある。
関連文献
関心対象の特許および公開されている特許出願には、米国特許第4,816,253号、同第5,830,702号、同第6,051,237号および同第6,099,848号並びに公開されている国際公開公報第99/25376号および国際公開公報第00/09733号が挙げられる。
発明の概要
弱毒リステリア菌を提供する。本発明の細菌は、lplA遺伝子およびhly遺伝子から選択される遺伝子に変異を有することによって特徴付けられる。本発明の細菌は種々の適用に用途を見出しており、関心対象の代表的な適用には、 (a)アジュバントとしての本発明の細菌の用途、(b)高分子を細胞に導入するための送達ベクターとしての本発明の細菌の用途、(c)細胞性免疫反応を誘発または追加免疫投与するためのワクチンとしての本発明の細菌の用途等が挙げられるが、これらに限定されない。
具体的な態様の説明
弱毒リステリア菌を提供する。本発明の細菌は、lplA遺伝子およびhly遺伝子から選択される遺伝子に変異を有することによって特徴付けられる。本発明の細菌は種々の適用に用途を見出しており、関心対象の代表的な適用には、 (a)アジュバントとしての本発明の細菌の用途、(b)高分子を細胞に導入するための送達ベクターとしての本発明の細菌の用途、(c)抗原特異的な液性免疫反応または細胞性免疫反応を誘発または追加免疫投与するためのワクチンとしての本発明の用途等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明をさらに説明する前に、本発明の特定の態様は変更を加えることができ、これも添付の特許請求の範囲の範囲内であるので、本発明は以下に記載する特定の態様に限定されないことが理解されるべきである。また、使用する用語は特定の態様を説明するためであり、限定する意図のもではないことも理解されるべきである。むしろ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって確立される。
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、内容が明らかにそうでないことを記載しない限り、複数の言及も含む。特に規定しない限り、本明細書において使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。
値の範囲が提供される場合には、その範囲の上限と下限の間の、内容がそうでないことを明らかに示さない限り、下限の単位の10分の1までの介在する各値および記載されているその範囲内の任意の他の記載値または介在値が本発明に含まれることが理解される。これらのより狭い範囲の上限および下限は独立により狭い範囲に含まれてもよく、また本発明に含まれ、記載されている範囲の具体的に排除される任意の限界に従う。記載されている範囲が一方または両方の限界を含む場合には、含まれる限界のどちらかまたは両方を排除した範囲も本発明に含まれる。
特に規定しない限り、本明細書において使用する全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または等価な任意の方法、装置および材料を、本発明を実施または試験する際に使用することができるが、好ましい方法、装置および材料をここで記載する。
本明細書に記載する全ての文献は、本明細書に記載されている本発明に関連して使用してもよい、文献に記載されている種々の発明の要素を記載する目的のために参照として本明細書に組み入れられている。
本発明をさらに記載する際には、本発明の弱毒菌を最初により詳細に概説し、次に本発明のベクターおよび方法が用途を見出す代表的な適用を概説する。
弱毒リステリア菌
上記に要約するように、本発明は弱毒リステリア菌を提供する。本明細書において使用する「弱毒化」という用語は、以下に記載するように、例えば、細菌のLD50で測定する場合、本発明の細菌が全体として動物に疾患を生じる能力の減少を記載する。さらに具体的には、弱毒リステリア株の病原性としての特徴は、(細胞に基づいた観点とは異なり)全体として宿主動物の利益から見ると、野生型リステリアと比較して低くなっているが、弱毒リステリアは培養で増殖し、維持することができる。ある態様において、(以下の実験の項に記載するように)Balb/cマウスに静脈内接種すると、接種した動物の50%が生存する致死量(LD50)が、野生型リステリアのLD50より、少なくとも約1,000倍を含め、少なくとも約100倍など、少なくとも約10倍増加している場合には、細菌は弱毒化されていると考えられ、ある態様において、増加の大きさは、以下の実験の項で使用するアッセイ法を使用して測定する場合、少なくとも約100,000倍など、少なくとも約10,000倍である。従って、本発明によるリステリアの弱毒株は、投与する動物を殺さないものまたは同動物を殺すのに必要とされると思われる野生型非弱毒菌の数より投与される細菌の数がはるかに多い場合にのみ動物を殺すものである。
本発明のある態様において、本発明による弱毒種は、Auerbachら、「Development of a Competitive Index Assay to Evaluate the Virulence of Listeria monocytogenes actA Mutants during Primary and Secondary Infection of Mice」、Infection and Immunity、2001年9月、5953〜5957頁、69巻、9号において記載されるような競合指数アッセイ法(Competitive Index Assay)において、対応する野生型株と比較して低い病原性を示すものである。このアッセイ法では、マウスに試験および基準、例えば、野生型菌株を接種する。ある時間、例えば、48〜60時間後、接種したマウスを屠殺し、1種または複数の臓器、例えば、肝臓、脾臓を細菌の量について評価する。これらの態様において、脾臓における量が、対応する野生型株で観察されるものの1/70またはそれ以下であるなど、少なくとも約1/50またはそれ以下である場合および/または対応する野生型株で観察されるものの1/20またはそれ以下であるなど、少なくとも約1/10またはそれ以下である場合には、所定の細菌株は病原性が低いと考えられる。
さらに他の態様において、細菌は、JonesおよびPortnoy、Intracellular growth of bacteria. (1994b) Methods Enzymol. 236: 463-467に記載されているアッセイ法を使用して測定する場合、4時間未満を含む約6時間未満など、約8時間未満に複製の不全を示す場合には、細菌は病原性が低いと考えられる。さらに他の態様において、マウスL2細胞などの細胞を、例えば、6ウェル組織培養皿において集密化するまで増殖させ、次いで細菌を感染させる、以下の実験項において使用するプラークアッセイ法において野生型と比較して小さいプラークを形成する場合には、細菌は弱毒化されているまたは病原性が低いと考えられる。その後、ゲンタマイシンを含有するDME寒天を添加し、プラークをある期間、例えば、3日間増殖させる。次いで、例えば、ニュートラルレッド(GIBCO BRL)を含有する追加のDME寒天重層を添加することによって生細胞を可視化し、終夜インキュベーションする。このようなアッセイ法では、野生型と比較した場合弱毒変異体で観察されるプラークサイズの減少の大きさは、ある態様では、25%またはそれ以上など、15%を含み、10%である。
本発明の細菌は、本発明により弱毒化されている任意のリステリア種であってもよい。従って、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)以外のリステリア株を、本発明により弱毒変異体を作出するために使用することができる。ある態様においてリステリア株はL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)である。
ある態様において、本発明の細菌は細胞傷害性である。特定の菌株は、以下に記載する細胞傷害性アッセイ法を使用して測定する場合、約8時間未満の期間後に、場合によっては約6時間未満、例えば、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満または約1時間未満後に宿主細胞を損なう場合には、細胞傷害性であると考えられる。本発明による代表的な細胞傷害性細菌株には、以下に記載するようなhly変異株が挙げられる。
ある態様において、本発明の細菌は、例えば、少なくとも1つの残基を欠損させることによって、少なくとも1つの残基を置換する等によってアミノ酸配列が少なくとも1つの残基において野生型LLOと異なるLLO産物をコードするように遺伝子のコード配列が改変されているhly遺伝子を細菌が含むことを意味する変異導入されたhly遺伝子を含む。ある態様において、コードされる産物は、野生型タンパク質に見られる1つまたは複数の残基が変異型ポリペプチドにおいて存在しないまたは欠損しており、欠損している残基は代わりの残基によって置換されないことを意味する欠失変異体である。他の態様において、コードされる産物は、互いに隣接していてもよい野生型タンパク質の1つまたは複数の残基が異なる残基で置換されていることを意味する点変異体である。
ある態様において、変異hly遺伝子は、中性pHにおいて野生型LLOタンパク質と比較して溶血性が大きい変異体LLO産物をコードするものであり、溶血性は、Glomskiら、J. Cell Biol. (2002年3月18日) 156: 1029-1038および以下の実験項に記載されているアッセイ法を使用して測定される。このアッセイ法で測定すると、これらの態様の細菌のコードされる変異体LLOタンパク質は、野生型LLOタンパク質と比較して少なくとも約2倍、場合によっては少なくとも約5倍、場合によっては少なくとも約10倍溶血性が大きい。これらの態様のあるものにおいて、hly遺伝子の変異は、コードされる産物の1つまたは複数の残基が野生型タンパク質の対応する残基と異なるように、点変異産物をコードするものである。これらの態様のあるものにおいて、450〜470位、しばしば455〜465位の間の残基が置換され、ある態様において、置換残基は残基461である。これらの態様において、461位のLはL以外の残基で置換され、置換残基はT、N、Q、S等であってもよいが、ある態様ではTである。ある態様において、変異はドメイン3またはドメイン3の残基と相互作用する残基に見られる。
ある態様において、変異hly遺伝子は、遺伝子のPEST様配列をコードするドメインに変異を含む。コードされる産物のPEST様配列はLLOタンパク質のN末端の75残基、さらに具体的にはLLOタンパク質のN末端の60残基に見られ、さらに正確には残基34〜59に見られる。PEST様配列をコードするドメインの変異は、欠失変異産物または点変異産物をコードするものであってもよい。
ある態様において、PEST様配列をコードするドメインの変異は、PEST様配列内のマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)リン酸化部位と思われる部位を崩壊するものである。これらの態様のあるものにおいて、変異は、位置30〜60の残基の点変異体をコードするするものである。ある態様において、コードされる変異産物において置換される残基は残基44である。これらのある態様において、位置44のSはS以外の残基で置換され、置換残基はA、G、I、F、C、L、M、V等であってもよいが、ある態様ではAである。ある態様において、変異は、多くのタンパク質を産生させるものである。従って、これらの態様において、S44Aなどの改変された残基を生じるコドン変異ではなく、野生型と比較してより多くのRNA、従って最終的により多くのタンパク質を提供するコドン選択が生じる。
ある態様において、PEST様配列をコードするドメインの変異は、PEST様配列を作製する残基の全てではないにしても、少なくとも一部の欠失を提供するものである。従って、変異は、約30〜約60の残基の全てを含む1つまたは複数の残基の欠失、例えば、34〜59の欠失であってもよい。しかし、ある態様において、関心対象の弱毒菌は、Decaturら、Science (2000) 290: 992-995に報告されている菌などの、コードされるLLO産物からPEST様配列全体が欠失している菌ではない。
ある態様において、本発明の弱毒菌は、上記のように、1つの種類のhly変異だけを有する。さらに他の態様において、細菌は、上記のように、2つまたはそれ以上の特定のhly変異を有する。
変異hly遺伝子を含む関心対象の特定の弱毒菌には、DP-L4017、DP-L4057、DP-L4384、DP-L4038およびDP-L4042が挙げられるが、これらに限定されず、これらの特定の株は以下のさらに詳細に記載されている。DP-L4017およびDP-L4038は米国菌培養収集所(American Type Culture Collection)寄託(10801 University Boulevard、Menassas、Virginia 20110-2209)に寄託されており、それぞれATCCアクセッション番号 および が割り当てられている。
ある態様において、弱毒菌は、変異lplA遺伝子を含み、この場合、変異は、上記に記載するように、弱毒菌を生ずるものである。多数の態様において、弱毒菌は典型的なリステリア培養条件下における栄養増殖に欠損を示すのではなく、変異lplA遺伝子の場合には、Glomskiら、2002 J. Cell Biol. 156: 1029-1038に記載されているように、感染されたJ774マクロファージ(ATCC #)内での細菌細胞内増殖を測定するアッセイ法を使用して測定する場合、感染のある期間後、例えば、2時間後、通常4時間後に複製の不全を示し、下記の実験項に記載されているように、マウスL2細胞系統における増殖および細胞間伝播についてのアッセイ法において野生型株より小さいプラークを形成し、この場合小さいプラークは、同じアッセイ法において野生型細菌が産生するものと比較して、典型的には、少なくともその約1/50の小ささで、場合によっては少なくともその約1/100の小ささで、場合によっては検出不可能である。
ある態様において、lplA変異は、産物をコードしないlplA遺伝子を生ずる変異である。lplA変異型遺伝子が産物をコードする他の態様において、コードされる産物は、さらに野生型タンパク質に見られる1つまたは複数の残基が変異型ポリペプチドに存在しないまたは欠損していることを意味する欠失変異体である。ある態様において、欠失される残基の割合は、残基の数で10、20、30、40、50、60、70、80または90%以上であってもよい。他の態様において、コードされる産物は、互いに隣接していてもよい野生型タンパク質の1つまたは複数の残基が異なる残基で置換されていることを意味する点変異体である。
変異lplA遺伝子を有する特定の代表的な弱毒菌は、以下の実験項にさらに詳細に記載されているように、DP-L4364である。DP-L4364は、米国菌培養収集所(American Type Culture Collection)寄託(10801 University Boulevard、Menassas、Virginia 20110-2209)に寄託されており、ATCCアクセッション番号 が割り当てられている。
上記の弱毒菌は種々の異なるプロトコールを使用して作製することができる。従って、本発明の弱毒菌の作製は、欠失変異誘発、挿入変異誘発およびフレームシフト変異、タンパク質を早期停止させる変異または遺伝子の発現に影響を与える制御配列の変異を形成する変異誘発を含む、当業者に既知の数多くの方法で実施することができる。変異誘発は、組換えDNA技術を使用してまたは変異誘発化学物質もしくは放射線を使用し、その後変異体を選抜する従来の変異誘発技術を使用して実施することができる。本発明による弱毒菌を作製する異なる方法の代表的なプロトコールは以下の実験項に提供されている。
ある態様において、本発明による弱毒菌は異種抗原を発現する。異種抗原は、ある態様において、異種抗原が由来する感染菌による攻撃に対する防御を動物に提供することができるものまたは宿主生物に有用である方法で腫瘍の増殖および転移に影響を与えることができるものである。従って、異種抗原をコードするDNAによって本発明のリステリア株に導入することができる異種抗原は、リステリアによって発現されると、応答を誘導する宿主に有用な細胞性免疫反応を誘発する働きをする任意の抗原を含む。従って、異種抗原は感染菌によって特定のものを含み、抗原に対する免疫反応はその感染菌によって生じる疾患を予防または治療する働きをする。このような異種抗原には、ウィルス、細菌、真菌または寄生虫の表面タンパク質および任意の他のタンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、および糖脂質等が挙げられるが、これらに限定されない。異種抗原はまた、その異種抗原を発現する腫瘍を有する危険性があるまたはそのような腫瘍を有すると診断された宿主生物に利益を提供するものを含む。宿主生物は、好ましくは、哺乳類であり、最も好ましくはヒトである。
本明細書において使用する「異種抗原」は、感染菌、腫瘍細胞または腫瘍関連タンパク質の同じ抗原に実質的に対応するタンパク質もしくはペプチド、糖タンパク質もしくは糖ペプチド、リポタンパク質もしくはリポペプチドまたは通常ではリステリアで発現されない任意の他の高分子を意味する。異種抗原は本発明によるリステリア株によって発現され、その株によって哺乳類細胞に感染すると処理されて、細胞傷害性T細胞に提示される。リステリア種によって発現される異種抗原は、哺乳類において天然で発現される未修飾の抗原またはタンパク質を認識するT細胞応答を生じる限り、腫瘍細胞または感染菌の対応する未修飾抗原またはタンパク質と正確に一致する必要はない。他の態様において、腫瘍細胞抗原は、哺乳類において天然で発現されるものの変異型であってもよく、リステリア種によって発現される抗原は腫瘍細胞の変異抗原に適合する。本明細書において使用する「腫瘍関連抗原」という用語は、宿主生物における腫瘍増殖または転移に影響を与える抗原を意味する。腫瘍関連抗原は腫瘍細胞によって発現される抗原であっても、または腫瘍以外の細胞によって発現されるが、発現されると、腫瘍細胞の増殖もしくは転移を促進する抗原であってもよい。腫瘍抗原および腫瘍関連抗原をコードするDNAを導入することによってリステリアに導入することができる腫瘍抗原および腫瘍関連抗原の種類には、既知およびこれまでは未知の任意の腫瘍抗原が挙げられる。他の例において、「腫瘍関連抗原」は腫瘍の増殖または転移に影響を与えないが、腫瘍が由来する組織(および腫瘍)に特異的に発現されるので、リステリアワクチンの成分として使用される。さらに他の例において、「腫瘍関連抗原」は腫瘍の増殖または転移に影響を与えないが、腫瘍細胞において選択的に発現されるが、任意の他の正常組織において発現されないので、リステリアワクチンの成分として使用される。
ワクチン開発に有用な異種抗原は、当業者が利用可能な知識を使用して選択することができ、腫瘍細胞によって発現されるまたは腫瘍の増殖もしくは転移に影響を与えるまたは感染菌によって発現される多数の抗原タンパク質が現在既知である。例えば、異種抗原として有用であると考えることができるウィルス抗原には、インフルエンザウィルスの核タンパク質(NP)およびHIVのgagタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。他の異種抗原には、HIV envタンパク質またはその構成要素gp120およびgp41、HIV nefタンパク質、およびHIV polタンパク質、逆転写酵素並びにプロテアーゼが挙げられるが、これらに限定されない。さらに他の異種抗原は、E1およびE2糖タンパク質並びに非構造(NS)タンパク質、例えば、NS3を含むが、これらに限定されないC型肝炎ウィルス(HCV)に関連するものであってもよい。また、ヘルペスウィルスタンパク質などの他のウィルス抗原が有用となりうる。異種抗原はウィルス起源であることに限定する必要はない。真菌抗原、細菌抗原および腫瘍抗原と同様に、例えば、マラリア抗原などの寄生虫抗原も挙げられる。
本明細書に記載するように、腫瘍細胞によって発現される数多くのタンパク質も既知であり、本発明のワクチン株に挿入することができる異種抗原として興味深い。これらには、白血病のbcr/abl抗原、子宮頸癌に関連する腫瘍ウィルスのHPVE6およびE7抗原、黒色腫のまたは黒色腫に関連するMAGE1およびMZ2-E抗原並びに乳癌のまたは乳癌に関連するMVC-1およびHER-2抗原が挙げられるが、これらに限定されない。関心対象の他のコード配列には、同時刺激分子、および免疫調節分子等が挙げられるが、これらに限定されない。
異種抗原をコードするDNAのリステリア株への導入は、例えば、異種抗原をコードするDNAが、例えば、プラスミドなどのベクターに保有されており、プラスミドがリステリア種において維持されて発現され、抗原の発現が原核細胞のプロモーター/制御配列の制御下にある組換えリステリアを作製することによって実施することができる。または、異種抗原をコードするDNAは、例えば、トランスポゾン変異誘発、相同組み換えまたはインテグラーゼ媒介性部位特異的組み込みを使用してリステリアの染色体に安定して組込むことができる(開示内容が参照として本明細書に組み入れられている、出願番号10/136,860に記載されている)。
本発明の開示を備えると当業者に理解されるように、いくつかの方法を使用して、リステリア種において異種抗原を発現することができる。ある態様において、異種抗原をコードするする遺伝子は、細菌からの異種抗原の分泌を促進するようにまたはリステリア細胞表面における異種抗原の発現を促進するように設計される。
ある態様において、望ましい異種抗原およびリステリアの分泌タンパク質または細胞表面タンパク質を含む融合タンパク質を使用する。このような融合タンパク質の好適な成分であるリステリアタンパク質には、リステリオリジンO(LLO)およびホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼ(PI-PLC)が挙げられるが、これらに限定されない。融合タンパク質は、望ましい融合タンパク質の成分の各々をコードする遺伝子を、両遺伝子が互いにインフレームになるように連結することによって作製することができる。従って、連結した遺伝子の発現により、異種抗原およびリステリアタンパク質の両方を含むタンパク質が生ずる。連結した遺伝子の発現は、遺伝子の発現がその生物の増殖および複製中に実施されるようにリステリアのプロモーター/制御配列の転写制御下に置くことができる。融合タンパク質の細胞表面発現および/または分泌を実施させるために、融合タンパク質の細胞表面発現および/または分泌のためのシグナル配列を、異種抗原をコードする遺伝子に付加することもできる。異種抗原を単独で使用する場合には(すなわち、融合リステリア配列が存在しない場合)、異種抗原の細胞表面発現および/または分泌のためのシグナル配列に融合することが有利となりうる。これを実施するための手法は、細菌学および分子生物学の分野において既知である。
発現される異種抗原をコードするDNAは、多数の態様において、このような発現を促進するために好適なプロモーターが先行する。使用する適当なプロモーター/制御因子およびシグナル配列は、融合タンパク質に望ましい種類のリステリアタンパク質に依存し、リステリアの分子生物学の分野の当業者に容易に明らかになる。例えば、融合タンパク質の発現を誘導するために使用することができる好ましいL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)プロモーター/制御因子および/またはシグナル配列には、LLOをコードするリステリアhly遺伝子、リステリアp60(iap)遺伝子およびL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)アクチン重合に必要な表面タンパク質をコードするリステリアactA遺伝子由来の配列が挙げられるが、これらに限定されない。関心対象の他のプロモーター配列には、PI-PLCをコードするplcA遺伝子、メタロプロテアーゼをコードするリステリアmpl遺伝子およびリステリア膜タンパク質、インターナリンをコードするリステリアinlA遺伝子が挙げられる。ファージ由来のプロモーターおよび他の細菌種由来のプロモーターまたはシグナル配列などの異種調節要素を、リステリア種による異種抗原の発現に使用することができる。
ある態様において、弱毒リステリアはベクターを含む。ベクターは異種抗原をコードするDNAを含むことができる。典型的には、ベクターは、リステリアにおいて複製することができるプラスミドである。ベクターは、抗原の発現が真核細胞プロモーター/制御配列の制御下にある異種抗原をコードすることができ、例えば、発現カセットの形態で存在する。関心対象の好適なプロモーターを有する典型的なプラスミドには、ヒトサイトメガロウィルスの即時型プロモーター/エンハンサー領域を含むpCMVβおよびSV40早期プロモーター領域またはマウス乳癌ウィルスLTRプロモーター領域を含むものが挙げられるが、これらに限定されない。
従って、ある態様において、本発明の細菌は、上記に記載するように、異種ポリペプチド/タンパク質のための少なくとも1つのコード配列を含む。多数の態様において、このコード配列は、ベクターが設計されたリステリア細胞のコード配列を発現する発現カセットの一部である。本明細書において使用する「発現カセット」という用語は、少なくとも1つの望ましいコード配列および上記に同定したプロモーター/制御因子/シグナル配列などの、特定の宿主生物、すなわち、ベクターを設計したリステリア細胞において機能的に結合したコード配列の発現に必要な適当な核酸配列を含む組換えDNA分子から作製される発現モジュールまたは発現構築物をいい、発現カセットは2つまたはそれ以上の異なるポリペプチドのためのコード配列または同コード配列の多数のコピーを必要に応じて含むことができる。コード配列および/またはこれを含む発現カセットのサイズは種々であってもよいが、典型的には約25〜30bpから約6000 bpの範囲内であり、通常約50〜約2000 bpの範囲内である。従って、コードされる産物のサイズは大きく異なってもよく、広域的に異なる産物が、この態様のベクターに存在する発現カセットによってコードされうる。
上記に示すように、ベクターは少なくとも1つのコード配列を含むことができ、ある態様において、ベクターは2つまたはそれ以上のコード配列を含み、コード配列は、同時に作用して望ましい結果を提供する産物をコードすることができる。一般に、コード配列は数多くの異なる産物のいずれかをコードすることができ、種々の異なるサイズであってもよく、上記の考察は関心対象の代表的なコード配列を提供しているだけである。
有用性
上記の弱毒菌は数多くの適用に用途を見出している。本発明の細菌の代表的な用途には、(a)リステリア種に対する抗体を作製するための免疫原、(b)免疫プロトコールにおけるアジュバント組成物、(c)高分子、例えば、核酸またはタンパク質を標的細胞の細胞質に導入するためのベクターおよび(d)例えば、宿主に細胞性免疫反応を誘発または追加免疫投与するためのワクチン組成物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの代表的な適用は各々以下に別個にさらに記載されている。弱毒リステリア種の用途も、開示内容が参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第6,099,848号に記載されており、本発明の弱毒菌はこの米国特許第に記載されている適用に用途を見出している。
リステリア特異的な抗体の作製
本発明の弱毒菌は、リステリア種に特異的な抗体を作製する際に用途を見出している。これらの適用において、弱毒菌は既知の技術により好適な宿主に投与され、結果として生ずる抗体を免疫化した宿主から回収する。免疫化は、数多くの異なる動物を用いて種々の方法で実施することができる。関心対象の宿主動物には、ウサギ、マウス、ラット、ヤギおよびヒツジ等が挙げられる。免疫反応が可能な任意の哺乳類を抗体作製における宿主動物として使用することができる。抗体の大量生成のほとんどは、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ウサギおよびノウサギなどの比較的大型の動物を使用する。本発明の弱毒菌を使用することができる代表的な抗体作製プロトコールには、開示内容が参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第4,816,253号に記載されている抗体作製プロトコールが挙げられる。
アジュバント組成物
本発明の弱毒菌株はまた免疫増強剤、すなわち、アジュバントとしての用途も見出している。このような適用では、生菌株をアジュバントとして使用する当技術分野において既知の方法により、本発明の弱毒菌を免疫原、例えば、腫瘍抗原、改変した腫瘍細胞等と併用して投与することができる。例えば、Berdら、Vaccine 2001 Mar 21; 19(17-19): 2565-70を参照されたい。
いくつかの態様において、感作抗原に化学的に結合することによって、弱毒菌株をアジュバントとして使用する。感作抗原は関心対象の任意の抗原であってもよく、関心対象の代表的な抗原には、ウィルス病原体(例えば、単純ヘルペスウィルス、マラリア寄生虫)、細菌(例えば、黄色ブドウ球菌、ジフテリア毒素、破傷風毒素、住血吸虫(shistosomula))、腫瘍細胞(例えば、CAD2乳腺癌腫瘍細胞)並びにチロキシンT4、トリヨードサイロニンT3およびコルチゾールなどのホルモンが挙げられるが、これらに限定されない。免疫増強剤への感作抗原の結合は、例えば、ビスジアゾベンジジン、グルタールアルデヒド、ジ-ヨードアセテートおよびジイソシアネート、例えば、m-キシレンジイソシアネートおよびトルエン2,4-ジイソシアネートなどの2つの反応部位を有する種々の化学物質によって実施することができる。アジュバントとしてのリステリア種の用途は、開示内容が参照として本明細書に組み入れられている、米国特許第4,816,253号にさらに記載されている。
送達媒介物
本発明の弱毒菌は、例えば、国際公開公報第00/09733号(優先権出願が参照として本明細書に組み入れられている)およびDietrichら、Nature Biotechnology(1998) 16: 181-185に記載されているように、高分子を標的細胞に送達するためのベクターまたは送達媒介物としても用途を見出している。これらの文献に記載されているように、核酸、ポリペプチド/タンパク質等を含むが、これらに限定されない、種々の異なる種類の高分子を送達することができる。
ワクチン
本発明の弱毒菌はまたワクチンとしても用途を見出している。本発明のワクチンは、致死量以下の用量の弱毒リステリアワクチンを脊椎動物に接触させることによって脊椎動物に投与され、接触は、典型的には、宿主にワクチンを投与する段階を含む。多数の態様において、弱毒菌は、薬学的に許容されうる製剤で提供される。投与は、経口、非経口、鼻腔内、筋肉内、皮内、腹腔内、血管内、皮下、リンパ節の直接ワクチン化、カテーテルによる投与または種々の既知の投与経路の任意の1つまたは複数であってもよい。家畜では、例えば、ワクチンは飼料または(水などの)液体にワクチンを混ぜることによって経口的に投与することができる。ワクチンは、凍結乾燥粉末として、凍結製剤としてまたはカプセルもしくはワクチンの抗原性を保持する薬学的に許容されうる任意の他の便利な製剤の一成分として供給することができる。数多くの既知の薬学的に許容されうる希釈剤または賦形剤のいずれか1つを本発明のワクチンに使用することができる。好適な希釈剤には、例えば、滅菌蒸留水、生理食塩液、およびリン酸緩衝液等が挙げられる。希釈剤の量は、当業者が認識しているように、大きく異なってもよい。好適な賦形剤も当業者に既知であり、例えば、A. WadeおよびP.J. Weller編、Handbook of Pharmaceutical Excipients(1994) The Pharmaceutical Press: Londonから選択することができる。投与量は、患者の年齢、健康状態および体重、患者の種類、並びに、あれば、併用治療の存在に依存してもよい。ワクチンは、経口投与のためのカプセル、液体、懸濁液もしくはエリキシルまたは非経口、鼻腔内、筋肉内もしくは血管内の用途のための溶液もしくは懸濁液などの製剤のための滅菌液体などの剤形で使用することができる。本発明によると、ワクチンは、選択した生物もしくはウィルスによる感染に対して患者を免疫するまたは腫瘍等に関して患者を免疫する際に有用なワクチン組成物として薬学的に許容されうる希釈剤と併用使用することができる。患者を免疫することは、選択した病原菌、癌細胞等に対する少なくともある程度の治療的または予防的免疫を患者に提供することを意味する。
本発明のワクチンは、細胞性免疫反応、例えば、選択した因子(例えば、病原生物、腫瘍等)に対するヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞応答を誘発または追加免疫投与する方法に用途を見出しており、このような方法は有効量のリステリアワクチンを投与する段階を含む。本発明のワクチンは、抗原特異的免疫反応を増強する自然免疫反応を脊椎動物において誘発する方法に用途を見出している。さらに、本発明のワクチンは、接触後または診断後治療に使用することができる。一般に、接触後治療のためのワクチンの使用は、例えば、狂犬病および破傷風の治療において当業者に認識されていると思われる。本発明の同ワクチンは、例えば、接触後免疫化のためおよび追加免疫するために使用することができる。または、例えば、接触の後期段階に発現される抗原に特異的なものなどの、本発明の別のワクチンを接触後治療に使用することができる。従って、本発明のベクターを用いて調製される本発明のワクチンは、種々の疾患状態に関連する抗原に特異的な免疫反応を誘導するための予防的および治療的ワクチンとして用途を見出している。
患者は、選択した生物による感染症に罹患しやすい任意のヒトおよびヒト以外の動物であってもよい。本発明のワクチンは、人間などの脊椎動物および家畜に特定の用途を見出している。家畜には、家禽、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、(ウサギなどの)ウサギ科(Leporidate)または飼育することができる他の動物が挙げられる。
一般に、本発明のワクチンは、開示内容が参照として本明細書に組み入れられている米国特許第5,830,702号および同第6,051,237号並びに優先権出願の開示内容が参照として本明細書に組み入れられている国際公開公報第99/25376号に記載されているワクチン用途に用途を見出している。
以下の実施例は例示を目的として提供されており、限定を目的としていない。
実験例
I. DP-L4017の作製および特徴づけ
A. 材料と方法
1. 細菌株、増殖条件および試薬
これらの検討に使用する野生型L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は10403Sであった。actAが欠失しているL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)株は、以前に記載されている対立遺伝子交換によって構築された(Skoble, J.、D. A. PortnoyおよびM. D. Welch. 2000. Three regions within ActA promote Arp2/3 complex-mediated actin nucleation and Listeria monocytogenes motility J. Cell Biol. 150: 527-538.)。PI-PLCがインフレームにおいて欠損しているL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes) (ΔplcAまたはDP-L1552)および株ActA GGG(DP-L4032)は以前に記載されている(Camilli, A.、L. G. TilneyおよびD. A. Portnoy. 1993. Dual roles of plcA in Listeria monocytogenes pathogenesis. Mol. Microbiol. 8: 143-157.、Skobleら、2002年、上記)。部分二倍体hly株(DP-L4076)は以下の原稿において発表されている(Lauer, P.、M. Y. N. Chow、M. J. Loessner、D. A. PortnoyおよびR. Calendar. 「Construction, characterization and use of two Listeria monocytonenes site-specific integration vectors」、J Bactriol. 2002 Aug; 184(15): 4177-86)。大腸菌(E. coli)株DH5α(GIBCO BRL)またはXL-1 Blue(Stratagene)をクローニングに使用した。pETベクターからのタンパク質の発現に大腸菌(E. coli)株BL21(DE3)またはBL21(DE3) PlysS(Stratagene)を使用した。
L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は、特に記載しない限り、15 mlのコニカル管内で3 mlの脳心臓浸出物ブロス(BHI、Becton Dickinson)中で撹拌しないで傾斜させて30℃において終夜増殖させた。全ての大腸菌(E. coli)株は、特に記載しない限り、ルリア-ベルターニブロス(LB、Becton Dickinson)中で37℃において振盪しながら増殖させた。全ての組織培養細胞は、特に記載しない限り、7.5%熱不活性化FBS(Hy-Clone)および2 mMグルタミン(DME、GIBCO BRL)を含有するDME(GIBCO BRL)中で37℃、5%CO2雰囲気下において増殖させた。全ての化学物質は、特に記載しない限り、Sigma-Aldrichから購入した。
B. 配列
この検討において調査したタンパク質のGenBank/EMBL/DDBJアクセッション番号は以下のようである:LLO、M29030;PFO、M36704;イバノリジン(ivanolysin)O、X60461;セーリゲリオリジン(seeligeriolysin)O、X60462;ストレプトリジン、 M18638;ニューモリジン、X52474;セレオリジン、D21270;アルベオリジン, M62709;スイリジン(suilysin)、Z36907;およびピオリジン(pyolysin)、U84782
C. クローニング
1. LLO発現ベクターの構築
DNAおよびタンパク質の分析は、MacVectorソフトウェア(Genetics Computer Group)を使用して実施した。成熟LLOのhlyコーディング領域は、6-ヒスチジンタグを導入するためのVentポリメラーゼ(New England Biolabs, Inc.)を使用して、表IIIに記載されているプライマーおよび鋳型を用いてPCRによって増幅した。次いで、増幅した断片を制限酵素で切断し、pET29b(Novagen)に連結した。特に記載しない限り、このプラスミドおよび全ての他のプラスミドを最初に大腸菌(E. coli)株XL-1 Blueにクローニングし、次いで大腸菌(E. coli)発現株BL21(DE3)に導入して、株DP-3570を得た。
(表3)
Figure 2005527240
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2. PFO発現ベクターの構築
成熟PFOは、プライマー、鋳型および制限部位を使用して、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)由来の成熟PFOのコード配列を保有するプラスミドである、p1868からPCRによって増幅した(Jones, S.およびD. A. Portnoy, 1994b. Intracellular growth of bacteria. Methods Enzymol. 236: 463-467)。この断片をpET28a(Novagen)に連結し、その後BL21(DE3)PlysS、株DP-4167を用いて発現した。
3. ドメインキメラ、サブドメインキメラおよび1アミノ酸変異発現ベクターの構築
重複伸長PCRによるスプライシングを使用して、LLOの第四のドメインをPFOドメイン4と交換した(Horton, R. M.、Z. L. Cai、S. N. HoおよびL. R. Pease. 1990年. Gene splicing by overlap extension: tailor-made genes using the polymerase chain reaction. Biotechniques. 8: 528-535.)。示されているサブドメインキメラおよび1アミノ酸変異は、Quickchange(商標)部位特異的変異誘発キット(Stratagene)において報告されているプロトコールおよび表IIIに掲載するプライマーを用いてp3570を改変することによって構築した。
4. 組換えタンパク質の溶血活性スクリーニング
大腸菌(E. coli)発現株は、30μg/mlカナマイシンを含有するLB(LB-KAN)中で終夜増殖させた。終夜培養液の400μlを10 ml LB-KANに添加し、1.5時間増殖させ、次いで1 mM IPTGを添加した。この培養液を、振盪させながら30℃において3時間インキュベーションした。培養液をペレット化し、次いで1 mM PMSFを添加した1 mlの保存緩衝液(140 mM塩化ナトリウム、4 mM塩化カリウム、10 mMリン酸ナトリウム、0.5 mM DTT、pH 6.0)に再懸濁させた。試料を氷上で超音波処理し、遠心分離によって沈殿物を除去した。
定量アッセイ法は、中性の溶血緩衝液(35 mMリン酸ナトリウム、125 mM塩化ナトリウム、0.5 mg/ml BSA、pH 7.4、酢酸を使用)または酸性溶血緩衝液(中性溶血緩衝液と同じであるが、pH 5.5である)を添加した96ウェルのV底スチレンプレート(Corning Inc.)で実施した。試料を連続希釈し、次いで0.5 %ヒツジ赤血球細胞(HemoStat Laboratories)を各ウェルに添加した。プレートを37℃において振盪させながらインキュベーションし、次いでV底でペレット化させた。上清を、V底プレートから柔軟な塩化ポリビニル平底の96ウェルプレート(Becton Dickinson)の相当する位置に移し、各ウェルの450 nmにおける吸光度を測定し(Spectramax340)、SoftMax Pro v1.2ソフトウェア(Molecular Devices Corp.)で分析した。溶血単位は、ヒツジ赤血球細胞の50%が溶血された試料の希釈と規定した。
5. 6×hisタグ付きLLOタンパク質および大腸菌(E. coli)由来の6×hisタグ付きPFOの過剰発現および精製
組換え株は、LB-KAN中で37℃において振盪させながら静止期まで増殖させた。この培養液の20 mlを1リッターのLB-KANに接種し、30℃において振盪させながら90分インキュベーションした。1 mM IPTGを添加することによって発現を誘導し、培養液を30℃において振盪させながら6時間インキュベーションした。細菌ペレットを遠心分離によって回収し、40 mlの冷却した溶解緩衝液(50 mMリン酸ナトリウム、pH 8.0、0.1 M塩化ナトリウム、20 mMイミダゾール、10 mM 2-メルカプトエタノール、1 mM PMSF)に再懸濁させ、12,000 psiにおいてFrench圧力セルで溶解した。溶菌液を17,000 gで20分遠心分離した。上清を回収し、溶解緩衝液で平衡させた5 mlのNi-NTA樹脂(QIAGEN)に混合した。スラリーを4℃において60分撹拌し、his-タグ付きタンパク質を樹脂に結合させた。未結合のタンパク質を除去するために、樹脂をカラムに充填し、溶出液のUV吸光度がベースラインに達するまで滴下式重力流速によって溶解緩衝液で洗浄し、次いで洗浄緩衝液(溶解緩衝液、pH 6.0、10%グリセロール、0.1% Tween 20)で洗浄した。洗浄後の樹脂をカラムから取り出し、溶出緩衝液(溶解緩衝液、pH 6.0および800 mMイミダゾール)に再懸濁させ、氷上で10分間インキュベーションし、その後上清を回収した。この手法を2回実施し、6 mlの溶出液を得た。溶出液を、加圧滅菌した保存緩衝液(1 mM EDTAを添加した溶解緩衝液、pH 6.0)内でカセット(Pierce Chemical Co.)で透析した。Bradford方法およびUV280吸光度の両方でタンパク質濃度を測定した。この手法により、出発培養液1リッターあたり〜25 mgのタンパク質が得られた。すぐに使用しないアリコートは、50%グリセロールを添加した保存緩衝液中で-80℃において保存した。
6. LLO L461Tの対立遺伝子交換
10403S染色体にLLO L461T変異を導入するためには、表1のプライマー、鋳型および制限酵素を使用する重複伸長PCRによるスプライシング方法を用いてDNA断片を作製し、次いで温度感受性のプラスミドベクターpKSV7に連結した。対立遺伝子交換は、以前に記載されているように実施した(Camilli, A.、L. G. TilneyおよびD. A. Portnoy. 1993年. Dual roles of plcA in Listeria monocutogenes pathogenesis. Mol. Microbiol. 8: 143-15 7.)。株は、変異を有する染色体PCR産物のNhe1部位の欠損を検出することによって最初に検証した。
7. 動物における検討
静脈内感染によるLD50は、BALB/cマウスを使用して以前に記載されているように確立した(Portnoy, D. A.、P. S. JacksおよびD. J. Hinrichs. 1988年.Role of hemolysin for the intracellular growth of Listera monocytogenes. J. Exp. Med. 167: 1459-1471)。
8. ファゴソームからの脱出アッセイ法
ファゴソームから脱出した細菌の割合は、以前に記載されている実験と同様に(Jones, S.およびD. A. Portnoy. 1994a. Characterization of Listeria Monocytogenes pathogenesis in a strain expressing perfringolysin O in place of listeriolysin O). Infect. Immun. 62: 5608-5613、マクロファージ内にF-アクチンコーティングされた細菌が存在することを評価することによって求めた。カバーガラス上で0.5μMバフィロマイシンA1(Calbiochem) の存在下または非存在下において10% FBSを含有するDME中でC57/BL6 BM0sを15分間感染させ、培養中のマクロファージの10%内に細菌を感染させた。マクロファージをリンガー緩衝液(5 mM NaCl、5 mM KCl、2 mM CaCl2、1 mM MgCl2、2 mM NaH2PO4、10 mM Hepes、10 mMグルコース、pH 7.2)で洗浄し、25μg/mlのゲンタマイシンを添加した。感染後120分経過時に、マクロファージを細胞骨格固定液(40 mM Hepes、10 mM EGTA、0.5 mM EDTA、5 mM MgSO4、33 mM 酢酸カリウム、0.02%アジ化ナトリウム、5%ポリエチレングリコール400、4%パラホルムアルデヒド)で15分間固定し、洗浄し、2%ヤギ血清および0.3% Triton X-100を含有するPBSで透過性にし、テキサスレッド-ファロイジン(Molecular Probes)およびDAPI(Molecular Probes)で染色した。細菌を保有する合計50のマクロファージを、4つの実験の各々において各細菌株について調査した。
ファゴソームpHの測定は、以下の改変を加えて、本質的には以前に記載されているように(Beauregard, K. E.、K. D. Lee、R. J. CollierおよびJ. A. Swanson. 1997年. pH-dependent perforation of macrophage phagosomes by listeriolysin O from Listeria monocytogenes. J. Exp. Med. 186: 1159-1163.)実施した。簡単に説明すると、流体相フルオレセインデキストラン、分子量10,000(Molecular Probes)を、マクロファージに感染させるために使用した細菌を含有する培地に添加した。10kDフルオレセインデキストランおよび細菌を含有するファゴソームを、移送差および励起波長485 nmおよび440 nm並びに520 nmの発光測定を用いる、Nikon TE300倒立顕微鏡(Nikon)を使用する蛍光顕微鏡を介して冷却したQuantix電荷結合素子カメラ(Photometrics)を用いて30秒ごとに写真撮影した。液胞からの色素の損失によって穿孔が示されるまで、画像および485 : 440比を収集した。報告されている方法に記載されているように、穿孔直前に測定した485 : 440比を標準曲線と比較して、pHを確立した。
9. 細胞傷害性アッセイ法-J774マクロファージ様細胞における増殖
L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の細胞内増殖は以前に記載されているように(JonesおよびPortnoy、Intracellular growth of bacteria. (1994b) Methods Enzymol. 236: 463-467)。
10. フローサイトメトリー
フローサイトメトリーは、以前に記載されているように(Portnoy, D. A.、P. S. JacksおよびD. J. Hinrichs. 1988年. Role of hemolysin for the intracellular growth of Listeria monocytogenes. J. Exp. Med. 167: 1459-1471.)、CD-1マウスのBM0s培養液で実施した。感染後のJ774は、形質膜の損傷を生じないで組織培養皿から取り出すのが困難であるが、BM0は、4℃においてインキュベーションすると、培養皿から持ち上がるので、BM0をこのアッセイ法に選択した。60mm Lab-tek非組織培養皿(Fisher Scientific)で、骨髄マクロファージ培地(DME、20%熱不活性化FBS、CSF-1を含むDMEを含有する30%L細胞上清、2 mMグルタミン、1 mMピルベート、0.1%2-メルカプトエタノール)中で106のマクロファージを終夜培養した。単層に洗浄した107の細菌を30分間感染させて、細胞1つあたり少なくとも1つの細菌を感染させた。感染後60分経過時に、50μg/mlのゲンタマイシンを添加した。感染後3時間経過時に、単層状の細胞を洗浄してゲンタマイシンを除去し、次いで新鮮な培地を培養皿に添加した。感染後7時間経過時に、各培養液の培地を回収した。次いで、4℃のPBSを添加し、培養皿を4℃において〜39分保存した。培養皿からのマクロファージの放出は顕微鏡でモニターした。事前に取り出しておいた培地にマクロファージを含有するPBSを添加し、4℃において遠心分離した。ペレットを10% FBSを含む4℃のPBSで洗浄した。細胞ペレットをPBS(10% FBS)に再懸濁させ、70-μMのセルストレイナー(Becton Dickinson)を通過させた。1μgのヨウ化プロピジウム(Molecular Probes)を各試料に添加した。試料をフローサイトメトリー(EPICS XL-MCL、Beckman Coulter)で分析した。
11. LDH放出アッセイ法
LDH放出アッセイ法は、細胞1個あたり少なくとも1つの細菌となるように感染させたウェルあたり2×104のJ774細胞を用いて、製造業者の指示および以前に記載されている方法(Decatur, A. L.およびD. A. Portnoy. 2000年. A PEST-like sequence in listeriolysin O essential for Listeria monocytogenes pathogenicity. Science. 290: 992-995)により、Cytotox 96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ法を使用して実施した。中和作用のある抗LLOモノクローナル抗体は、Brian EdelsonおよびEmil Unanue(Washington University School of Medicine、St. Louis、MO)により提供された。
12. 細胞内LLO分析
LLOの細胞内レベルは、以前に確立された方法(Moors, M. A.、B. Leviett、P. YoungmanおよびD. A. Portnoy. 1999年. Expression of listeriolysin O and actA by intracellular and extracellular Listeria monocytogenes. Infect. Immun. 67: 131-139.)を用い、以下の改変を加えて検討した。簡単に説明すると、J774細胞にL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)株を30分間感染させ、次いで洗浄し、60分経過時に50μg/mlのゲンタマイシンを添加した。感染後4時間経過時に、メチオニンを枯渇させた細胞に[35S]メチオニン(NEN Life Science Products)を1時間パルス標識した。5時間経過時に、マクロファージを溶解し、LLOを免疫沈降させ、試料の半分をオートラジオグラフィーのためにSDS-PAGEに供し、他方の半分は、Phosphorimager 445 SI(Molecular Dynamics)による分析のために操作し、Imagequantソフトウェア(Molecular Dynamics)を使用して分析した。モノクローナル抗LLO抗体はPascale Cossart(Institute Pasteur、Paris、France)により提供された。各アッセイ法における細菌の相対的な数は、放射性標識した培養皿と同時処理した培養皿中のカバーガラス上の感染後のJ774を溶解することによって確定した。その後、溶菌液をLB寒天板で培養して、コロニー形成単位を測定した。
13. プラークアッセイ法
L2細胞単層におけるプラーク形成アッセイ法は、測定方法に改良を加えて(Skoble, J.、D. A. PortnoyおよびM. D. Welch. 2000年. Three regions within ActA promote Arp2/3 complex-mediated actin nucleation and Listeria monocytogenes motility. J. Cell Biol. 150: 527-538.)、以前に記載されているように(Sun, A.、A. CamilliおよびD. A. Portnoy. 1990年. Isolation of Listeria monocytogenes small-plaque mutants defective for intracellular growth and cell-to-cell spread. Infect. Immun. 58: 3770-3778.)実施した。簡単に説明すると、L2細胞を6ウェル組織培養皿で集密化まで増殖させ、次いで細菌を1時間感染させた。その後、ゲンタマイシンを含有するDME寒天を添加し、プラークを3日間増殖させた。3日目に、ニュートラルレッド(GIBCO BRL)を含有する追加のDME寒天重層を添加し、終夜インキュベーションすることによって生存している細胞を可視化した。
B. 結果
1. 酸性至適pHを与えるLLO内のアミノ酸残基の同定
本発明者らは、中性pHにおいて活性を増し、それによってLLOにPFOのように作用させるLLOの変異を単離しようとした。本発明者らは、PFOは広域pH範囲にわたって活性を促進する配列を含み、LLOにこの配列を配置するとLLOのpHプロファイルが変更されると可能性があるという仮定から開始した。PFOのドメイン4は膜結合および挿入に関与するので、それはpH-依存的細胞溶解を調節する優れた候補であると考えられた。LLOの最初の3つのドメインとPFOの第四のドメインからなるキメラタンパク質を作製した。ドメイン4キメラ、LLOおよびPFOはCOOH末端his-タグ付き組換えタンパク質として大腸菌(Escherichia coli)内で発現され、溶血作用の分析用に精製した。ドメイン4キメラはPFOまたはLLOより活性が低かったが、約pH 5.5および7.4における活性はほぼ同じであった。本発明者らは、pH活性プロファイルを制御する配列がLLOの第四ドメイン内に存在することを示すとこれらの結果を解釈した。
次に、本発明者らは、LLOの第四のドメインを、各々がPFOのアミノ酸と類似していないアミノ酸を含有する12のサブドメインに分割し、PFO由来の類似していないそれらの領域をLLOに交換した。2つのキメラ(5および10)は、中性pHにおける活性に対する酸性pHにおける活性の比が劇的に低下したことを示した。しかし、キメラ10はLLOと比較して活性が〜1/10またはそれ以下であり、それ以上検討しなかった。次いで、キメラ5における4アミノ酸変更を個別にLLOに導入した。1アミノ酸変更であるL461Tは、pH 5.5における比活性を低下することなく、中性pHにおいてLLOの溶血活性をほぼ10倍増加した。従って、1アミノ酸置換は、LLOにPFOのpH活性プロファイルを与える上で十分である。さらに、L461Tは、リステリア属の病原性種のCDCに特有である。
2. LLOのL461T変異は病原性を低下する
L461T変異は中性pHにおいて精製LLOにより大きな活性を与えるといことを確立したので、本発明者らは、対立遺伝子交換によってL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の染色体に変異を導入した。得られた株、DP-L4017をその後の検討に使用した。変異はインビトロにおいて細菌の増殖に全く影響を与えなかった。LLO L461T細菌の培養液由来の上清の液体は野生型と同様の量のLLOを含有し、大腸菌(E. coli)由来の精製タンパク質の溶血作用とほぼ同じ溶血作用をpH 5.5および7.4において有した。
LLO L461T変異体が動物において増殖できるかどうかを、マウスリステリア症モデルにおける50%致死量 (LD50)によって評価した。BALB/cマウスにおいて、LLO L461T変異体のLD50は、野生型細菌のLD50が1〜3×104であることと比較して、>3×106であった。これらのデータは、LLOのpH依存性はL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)のインビボにおける増殖に寄与していることを示している。
3. LLO L461T変異はファゴソームからの脱出効率またはpHに影響を与えない
LLOは酸性の至適pHを有するという観察および酸性pHにおける細菌のファゴソームからの脱出(Beauregardら、Exp. Med. (1997) 186: 1159-1163)に基づいて、本発明者らは、中性pHにおいてより大きな活性を有する変異体LLOは早すぎて作用し、脱出を効率的に媒介しないと仮定した。本発明者らは、細胞質ゾル内の細菌は表面において宿主アクチンフィラメントを核形成するが、液胞の細菌は形成しないという観察に基づいて、ファゴソームからの脱出をモニターするために蛍光に基づいたアッセイ法を使用した。LLO L461T変異体は、2時間後に、野生型細菌と同様に、骨髄由来のマクロファージのファゴソーム(BM0)から、それぞれ72±2%対76±2%脱出したことを本発明者らは見出した。
液胞のプロトンATPase阻害剤バフィロマイシンA1でファゴソームの酸性化を妨げると、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の細胞質ゾルへの脱出が制限されることを以前の検討は示している。LLO L461T変異体は、サイトリジンが中性pHにおいて活性であったので、バフィロマイシンA1処理によって影響を受けない可能性があると本発明者らは考えた。しかし、バフィロマイシンA1をマクロファージに添加すると、変異体および野生型細菌は共に脱出効率が低下した。バフィロマイシンA1をアッセイ中存在させると、両方の株は、未処理の対照の効率の約3分の1の脱出効率であった。
バフィロマイシンA1による処理はLLO L461T変異体および野生型細菌の脱出を妨害したので、中性pHにおいて変異体の別の活性により、ファゴソーム酸性化の必要性がなくなるわけではないと思われる。従って、本発明者らは、LLO L461T変異体がファゴソームの成熟過程を変更したかどうかを判定するために、pH感受性液相(fluid-phase)蛍光色素を使用して細菌を含むファゴソームのpHを測定した。LLO L461T変異体を含むファゴソームは、5.7 ± 0.2の最小平均pHに達した野生型と同様に、穿孔前に5.5 ± 0.3の平均最小pHに達したことを本発明者らは見出した。LLO L461T変異はファゴソームの酸性化または脱出に全く影響を与えないこと並びにファゴソームの酸性化はLLO L461T変異体および野生型の脱出に必要であることを本発明者らは結論づけた。従って、LLO L461T変異体の病原性の欠損が、ファゴソームから脱出する能力の低下またはファゴソームの成熟化に対する影響を反映しているとは考えられない。この欠損は、病原体のライフサイクルの別の部分の変更によると考えられる。
4. L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)LLO L461Tは宿主細胞膜に損傷を与える
LLO L461T変異体はファゴソームからの脱出に欠損がないので、本発明者らは、次に、定量的組織培養アッセイ法(Portnoyら、1988年、上記)を使用して、宿主細胞において細菌が増殖できるかどうかを調査した。このアッセイ法では、培地に抗生物質ゲンタマイシンを添加すると細胞外細菌を死滅させるが、細胞内の野生型細菌の増殖に測定可能な影響を与えない。感染後2〜5時間経過時では、LLO L461T変異体は、みかけの平均倍加時間が58 ± 8分でJ774マクロファージ内での増殖が良好であり、野生型の倍加時間42 ± 4分よりわずかに長かった。著しく、感染後5〜8時間経過時では、LLO L461T変異体はみかけの平均倍加時間がほぼ2倍で増殖した(野生型の倍加時間83 ±8分と比較して159 ± 30分)。さらに、LLO L461T変異体は、細菌の最大数に達するほどには増殖しなかった。
LLO L461T変異体のみかけの倍加時間がより長いことおよび最大細菌数がより低いことは、全体的な増殖速度の低下または、おそらく細胞内細菌の亜集団の死亡の増加を反映していると思われると本発明者らは考えた。この分析は、5時間後に、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は細胞間に拡散したという事実によって複雑になっている。分析から細胞間拡散を排除するために、インフレーム欠損をactA遺伝子に導入した。得られた株は液胞からの脱出および元の宿主細胞内での細胞内増殖は十分に可能であったが、アクチンフィラメントの核形成が不可能であり、従って第二の細胞の二重膜小胞への侵入または細胞間の拡散が不可能であった。以前に観察されているように、野生型LLOを発現するΔActA株は最初の8時間は細胞内で増殖したが、その後細菌数は、宿主細胞の死亡およびゲンタマイシンの流入により急速に低下した。LLO L461T ΔActA細菌の数の対応する低下が観察されたが、低下は、野生型で観察された8時間経過時ではなく、5時間経過時に生じた。細菌の細胞内運動性を妨害する、アクチン重合化の薬理学的阻害剤、サイトカラシンDによる処理は、ActAの欠損と同様の増殖欠損を生じた(未発表のデータ)。従って、細胞間拡散を阻害すると、LLO L461T細菌の増殖欠損はより顕著であった。(次の項に示すように、LLO L461T変異体は、細胞間拡散する能力に欠損がない。)
野生型およびLLO L461T細菌については、コロニー形成単位の減少は、ゲンタマイシンがアッセイ培地に含有される場合にのみ観察された。宿主の膜が細胞培養感染中に透過性になると、培地中に含有されるゲンタマイシンは宿主細胞に流入して、細胞内細菌を死滅させる。従って、細胞内細菌の数のゲンタマイシン依存的な低下は、宿主の膜が透過性になっていることを示唆した。LLO L461T ΔActA変異体は、野生型LLO ΔActA株より早期に死滅し、これはゲンタマイシン依存的に生じたので、中性pHにおいてLLO L461Tの活性がより大きいことにより、宿主細胞膜はより早く透過性になったと本発明者らは仮定した。この仮定が真である場合には、損傷は、J774細胞の細胞質ゾルから培地への宿主細胞の酵素乳酸脱水素酵素(LDH)の放出を検出することによってモニターできると思われる。野生型細菌の7時間の感染期間中、ゲンタマイシンの存在下または非存在下においてごく少量のLDHが放出されただけであった。ゲンタマイシンの非存在下では、LLO L461T感染細胞およびLLO L461T ΔActA感染細胞はほぼ100%のLDHを放出し、宿主生体膜の大規模な破壊を示した。興味深いことに、ゲンタマイシンが常に存在する場合にJ774細胞をインキュベーションすると、任意の株による感染中にごく少量のLDHが放出されただけであった。おそらく、細胞が透過性になるとゲンタマイシンの流入が可能になり、細胞内細菌を死滅させ、さらなる透過性およびLDH放出を妨害した。2時間後にゲンタマイシンを除去すると、LLO L461T ΔActA変異体を感染させたJ774細胞は大量のLDHを放出した。LLO活性を中和するモノクローナル抗体をJ774細胞の細胞外に添加する場合、LDH放出に全く影響を与えず、毒性は細胞内LLOによって媒介されることを示している(未発表のデータ)。
生体膜の完全性を試験するさらに感度の高い方法は、膜不透過性色素ヨウ化プロピジウムを使用する。膜の完全性が損なわれると、色素が細胞に流入し、細胞DNAに結合すると蛍光を増す。染色はフローサイトメトリーによって測定することができる。野生型細菌による感染後、ほとんどのマクロファージ宿主細胞は依然として色素を流入させていなかった。一方、LLO L461T変異体による感染により、マクロファージの約半分が透過性になり、LLO L461T ΔActA変異体による感染はマクロファージの大半を透過性にした。
LLO L461T分子が、細胞傷害性の増加に至ると思われる細胞質ゾルの安定性を変更したという可能性に対処するために、本発明者らはJ774細胞を感染させ、細胞質ゾルLLOの定常状態の量を調査した。野生型と比較して、細胞質ゾルLLO L461Tは約2倍多かったことを本発明者らは見出した。しかし、J774細胞が2倍もの多くの溶血単位を産生するように、LLOをコードする2つのコピーの遺伝子を保有する株をJ774細胞に感染させると、LLO L461T変異体とほぼ同じ量のLLOが観察された。しかし、部分二倍体による感染は、変異体と同様に細胞質ゾルにおいてある濃度のLLOを生じたという事実にもかかわらず、部分二倍体は、野生型細菌ほど宿主細胞の生体膜を損傷しなかった。同時に、これらのデータは、LLO L461T変異体の増殖の低下は、中性pHにおけるLLO L461Tの活性の増加による宿主細胞の透過性に関連しており、LLOの細胞質ゾル濃度の増加によらないことを示唆した。
5. L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)株LLO L461Tは細胞間拡散において欠損していない
LLOは、一次ファゴソームおよび細胞間拡散の間に形成される二次的な二重膜結合型小胞からのL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の脱出において必須の役割を果たす。上記の結果は、LLO L461T変異が細菌の細胞間拡散に影響を与えるかどうかに直接対処していなかった。本発明者らは、異なる濃度のゲンタマイシンの存在下において3日後に、L2単層に形成されるプラークの直径を測定することによって、細菌が細胞間拡散できるかどうかを調査した。プラークの直径は、細菌が増殖し、宿主細胞の細胞質ゾルを通過して移動し、隣接細胞に侵入し、かつ隣接細胞に形成される二次的な小胞から脱出できるかどうかの尺度である。低濃度のゲンタマイシンでは、LLO L461T株のプラークは野生型と直径が等しかったが、高濃度では、変異体は重大なプラーク欠損を生じた。従って、LLO L461T変異体がプラークを形成する能力はゲンタマイシン依存性であった。
アクチンに基づいた運動性または二重膜小胞からの脱出にわずかな欠損を有する2つのL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)変異体を対照として分析した。これらの変異体によって形成されるプラークのサイズの対応する減少はゲンタマイシン濃度に無関係であった。また、LLOの2つのコピーを有する部分二倍体は、各濃度のゲンタマイシンにおいて野生型と同じプラークを形成した。従って、LLO L461Tは細胞間拡散および二重膜小胞からの脱出を媒介することが十分に可能であると本発明者らは結論づけた。さらに、観察されたデータに基づいて、高濃度のゲンタマイシンにおいて見られたプラークの欠損は、宿主細胞の細胞膜のLLO-媒介性の損傷の結果細胞に流入する抗生物質の細胞内細菌に対する殺菌作用を反映していると本発明者らは結論づけた。反対に、低濃度のゲンタマイシンでは、細菌に負の影響を与える十分な量の抗生物質が流入しなかった。これらの結果は、宿主の膜をヨウ化プロピジウムに対して透過性にせず、ゲンタマイシン感受性プラークを形成しなかった部分二倍体で観察された結果と一致している。
C. 結論
DP-L4017株は、野生型LLOと比較して中性pHにおいて溶血作用が10倍大きいLLO変異体を発現し、宿主細胞により早い時期に損傷を与える。この株はまた、BALB/cマウスにおいてLD50により病原性が1/100であったことも見出されており、競合指数アッセイ法(competitive index assay)において野生型細菌と比較して48時間経過時までに、脾臓および肝臓においてそれぞれ1/74および1/21であった。このように、この株は、野生型と比較して高い細胞傷害性および低い病原性を示す。この株は、細胞傷害性によって制限され、宿主系から効率的に除去される活発な感染をマウスモデルにおいて樹立する。
上記の特性により、この株は、上記の種々の適用に使用するのに許容されうる弱毒リステリア株となる。
II. DP-L4057
DP-L4057株は、LLOに変異S44Aを含有し(LLOのアミノ酸位置44のアミノ酸のセリンからアラニンへの変更)、上記に記載するものと類似のプロトコールを使用して構築した。S44A変異は、哺乳類細胞の細胞質ゾルにおけるタンパク質分解に関与するとされている、LLOのN末端にPEST様配列を有するマイトジェン活性化プロテインキナーゼ (MAPK)リン酸化部位と思われる部位を妨害するために構築した。48時間後、株DP-L4057は、以前に記載されているように(Auerbuch, V.、L. L. LenzおよびD. A. Portnoy 2001年 Development of a competitive index assay to evaluate the virulence of Listeria monocytogenes actA mutants during primary and secondary infection of mice. Infect. Immun. 69: 5953-5957)、競合指数アッセイ法を使用すると、脾臓および肝臓において野生型細菌と比較して、それぞれ、その1/580および1/740であり少ない。このように、この株は、野生型と比較して高い細胞障害性および低い病原性を示す。この株は、細胞傷害性によって制限され、宿主系から効率的に除去される活発な感染をマウスモデルにおいて樹立する。
上記の特性により、この株は、上記の種々の適用に使用するのに許容されうる弱毒リステリア株となる。
III. DP-L4384
DP-L4384株は、LLOにおける上記の変異の両方(すなわち、変異S44Aおよび変異L4611T) を有し、上記のものと類似のプロトコールを使用して構築した。この株は、上記の2つの株の特性の全てを組み入れている。48時間後、DP-L4384は、競合指数アッセイ法(Auerbuch, V.ら、上記)において、脾臓および肝臓において野生型細菌と比較して、それぞれ、その1/4.6×105および1/1.7×105と少ない。このように、この株は、野生型と比較して高い細胞障害性および低い病原性を示す。この株は、細胞傷害性によって制限され、宿主系から効率的に除去される活発な感染をマウスモデルにおいて樹立する。
上記の特性により、この株は、上記の種々の適用に使用するのに許容されうる弱毒リステリア株となる。
IV. DP-L4042
DP-4042は、DecaturおよびPortnoy、Science (2000年、11月3日)290: 992-995に記載されているように構築した。この株はLLOの残基34〜59の欠損を有し、従ってLLOのN末端に見られる全PEST様配列を欠損している。この株は極めて細胞傷害性であり、従って48時間後の競合指数アッセイ法において本質的に検出不能である。この株はLD50が2×108であり、野生型細菌より約10,000倍大きい。このように、この株は、野生型と比較して高い細胞障害性および低い病原性を示す。この株は、細胞傷害性によって制限され、宿主系から効率的に除去される活発な感染をマウスモデルにおいて樹立する。
上記の特性により、この株は、上記の種々の適用に使用するのに許容されうる弱毒リステリア株となる。
V. LLO変異株の追加の特徴づけ
A. 材料と方法
1. 株、増殖条件および試薬
これらの検討に使用する野生型L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)株は10403Sであった(Portnoy, D. A.、T. Chakraborty、W. GoebelおよびP. Cossart. 1992年. Molecular determinants of Listeria monocytogenes pathogenesis.Infect Immun 60: 1263-1267)。actAが欠損するL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)株は、以前に記載されているように(Camilli, A.、L. G. TilneyおよびD. A. Portnoy. 1993年. Dual rules of plcA in Listeria monocytogenes pathogenesis. Mol MIcrobiol 8: 143-157、Skoble, J.、D. A. PortnoyおよびM.D. Welch. 2000年. Three regions within ActA promote Arp2/3 complex-mediated actin nucleation and Listeria monocytogenes motility. J Cell Biol 150: 527-538)、対立遺伝子交換によって構築した。株LLO L461T(DP-L4017)は以前に記載されていた(Glomski, I. J.、M. M. Gedde、A. W. Tsang、J. A. SwansonおよびD. A. Portnoy. 2002年. The Listeria monocytogenes hemolysin has an acidic pH optimum to compartmentalize activity and prevent damage to infected host cells. J Cell Biol 156: 1029-1038)。この検討に使用する株の要約は表IIにおいて見出すことができる。細菌は、特に示さない限り、15 mlのコニカル管内で3 mlの脳心臓浸出物ブロス(BHI、Becton Dickinson、Sparks、MD)において30℃で終夜傾斜培養で増殖させた。
組織培養細胞は、特に示さない限り、7.5%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)(Hy-Clone、Logan、UT)および2 mMグルタミン(DMEM、Gibco-BRL)を含むDMEM(Gibco-BRL)で37℃および5%CO2雰囲気下において増殖させた。化学物質は全て、特に示さない限り、Sigma-Aldrich、St. Louis、MOから購入した。
特に示さない限り、カリフォルニア大学バークレー校の動物使用プロトコール#R235-0701Bに準拠して、6〜8週齢の雌C57BL/6(Jackson Labs、Bar Harbor、ME)マウスを感染および骨髄単離に使用した。Trudeau Instituteの Robert North およびRonald LaCourseによる寛大な提供によるハイブリドーマからRB6-8C5モノクローナル抗体を作製した(Strategic BioSolutions Newark、DE)。腹水はヌードマウスから採取し、次いでエンドトキシンフリーの条件を使用して、45%硫酸アンモニウムによる沈降によって部分精製した。その後、抗体を再懸濁させ、PBSで透析した。
2. LLO変異体の構築
株LLO S44A(DP-L4057)は、以下のオリゴヌクレオチド(Operon Technologies):
Figure 2005527240
を使用してセリン44をアラニンに変更するために、重複伸長PCR(Horton, R. M.、Z. L. Cai、S. N. HoおよびL. R. Pease. 1990年. Gene splicing by overlap extension : tailor-made genes using the polymerase chain reaction. Biotechniques 8: 528-535)によるスプライシングを使用して作製した。pfuポリメラーゼ(Stratagene)および鋳型としての10403由来のゲノムDNAを使用して、DP-1569はDP-3821と対を形成し、DP-3820はDP-1700と対を形成して、それぞれ382 bpおよび480 bpのDNA断片を作製した。次いで、2つの断片をスプライシングして、862 bpの断片を作製し、Sal1およびHind3で切断して、対立遺伝子交換のために同様に切断したpKSV7プラスミドに連結した(Camilliら、上記)。L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)株は、最初に、S44A変異によって導入された、Alu1消化を用いてスクリーニングし、次いでその後配列決定して変異を検証した。株LLO S44A L461T(DP-L4384)は、対立遺伝子交換のために、LLO L461T(p4005)を作製するために使用するプラスミドをDP-L4057に導入することによって作製した(Glomskiら、上記)。L461T変異によって導入されたNhe 1部位の損失についてクローンをスクリーニングし、次いでその後配列決定によって検証した。
変異体LLO株は全て、Hodgsonによって記載されているように(Auerbuch, V.、L. LenzおよびD. Portnoy. 2001年. Development of a competitive index assay to evaluate the virulence of Listeria monocytogenes actA mutants during primary and secondary infection of maice). Infection and immunity、Hodgson, D. A. 2000年. Generalized transduction of serotype 1/2 and serotype 4b strains of Listeria monocytogenes. Mol Microbiol 35: 312-323)、0U153を使用して株DP-L3903由来のエリスロマイシン耐性遺伝子を形質導入することによって競合指数アッセイ法のために標識した。簡単に説明すると、DP-L3903から単離したファージU153を受容株に添加し、対数増殖期中期に10 mM CaCl2および10 mM MgCl2を添加し、ときおり混合しながら、細菌を室温において1時間インキュベーションした。1時間後、0.1μg/mlのエリスロマイシンを30分間添加し、次いで混合液を1μg/mlエリスロマイシンBHI寒天板にプレーティングし、37℃において2日間インキュベーションした。エリスロマイシン耐性遺伝子の形質導入は、Tn917-LTV3においてermに隣接するプライマー
Figure 2005527240
を使用するPCR分析によって確認した。さらに、新たに単離した耐性株をマウスにおいて親の非耐性株と競合させて、病原性に変更がないことを確認した。結果として生ずる株は以下のように命名した:LLO L461T Erm(DP-L4157)、LLO S44A Erm(DP-L4382)、およびLLO S44A L461T Erm(DP-L4385)。
3. ファゴソームからの脱出アッセイ法
ファゴソームから脱出した細菌の割合は、以前に記載されているように(Jones, S.およびD. A. Portnoy. 1994年. Characterization of Listeria monocytogenes pathogenesis in a strain expressing perfringolysin O in place of listeriolysin O. Infect Immun 62: 5608-5613)、間接的な免疫蛍光によって測定した。簡単に説明すると、カバーガラス上の骨髄由来マクロファージ(以下に記載する)を30分間感染させ、PBSで洗浄し、次いで60分経過時に10μg/mlのゲンタマイシンを添加した。90分経過時に、マクロファージを4%ホルマリン-PBSで固定した。透過性にする前に、細胞外細菌にBacto-Listeria Oウサギ血清(Difco Laboratories)を結合させ、AMCA結合ロバ抗ウサギ二次抗体(Jackson Immunoresearch Labs、West Grove、PA)で可視化した。その後、マクロファージをTriron-X100で透過性にし、ローダミンファロイジンおよびBacto-Listeria Oウサギ血清で染色した。AMCA抗体によって結合されない細胞内細菌に結合したBacto-Listeria O血清をFITCヤギ抗ウサギIgG血清で可視化した。9枚の異なるカバーガラスの最少200の細菌が結合したマクロファージを各細菌株について調査した。
4. プラークアッセイ法
L2細胞単層におけるプラーク形成アッセイ法は、測定方法に改良を加えて(Skobelら、上記)、以前に記載されているように(Jones, S.およびD. A. Portnoy. 1994年、上記)実施した。簡単に説明すると、L2細胞を6ウェル組織培養皿において集密化するまで増殖させ、ついで細菌を1時間感染させた。その後、5μg/mlゲンタマイシンを含有するDMEM寒天を添加し、プラークを3日間増殖させた。3日目にニュートラルレッド(Gibco-BRL)を含有する追加のDMEM寒天重層を添加し、終夜インキュベーションすることによって生細胞を可視化した。
5. 細胞傷害性アッセイ法
i) J774マクロファージ様細胞における増殖
L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の細胞内増殖は以前に記載されているように(Jones, S.およびD. A. Portnoy. 1994年. Intracellular growth of bacteria. Methods Enzymol 236: 463-467)実施した。感染後のJ774sはDif-Quick(登録商標)染色(Fisher Scientific、Pittsburg、PA)で可視化し、Nikon TE300倒立顕微鏡に設置したHamamatsu CCDカメラで写真撮影した。
ii) フローサイトメトリー
フローサイトメトリーは、以前に記載されているように(Portnoy, D. A.、P. S. JacksおよびD. J. Hinrichs. 1988年.Role of hemolysin for the intracellular growth of Listeria monocytogenes. J Exp Med 167: 1459-1471)、C57BL/6マウスの骨髄由来マクロファージ(BM0)の培養液について実施した。アッセイ法は、以下の改良を加えて以前に報告されているように(Glomskiら、上記)実施した。簡単に説明すると、BM0単層に細菌を30分間感染させ、次いでPBSで洗浄し、感染後4時間経過するまで37℃においてインキュベーションした。ほとんどの細胞傷害性株は最も早い時点であってもゲンタマイシンの添加によって有害な影響を受けたので、以前に報告されているアッセイ法と違って、このアッセイ法はより短い時間間隔で実施し、ゲンタマイシンは添加しなかった。次いで、細胞を培養皿から取り出し、ヨウ化プロピジウムで染色し、記載されているようにフローサイトメトリーで分析した。
6. マウスへの感染
50%致死量の測定は、以前に記載されているように(Portnoyら、1988年、上記)、C57BL/6マウスに尾静脈注射することによってCerus Pharmaceuticals(Concord、CA)によって実施された。エリスロマイシン耐性で標識したLLO変異体に対する野生型細菌または単一株感染の競合指数は、以下の改良を加えて、本質的には以前に記載されているように(Auerbuchら、上記)実施した。マウスに注射する目的の細菌株は、OD600が0.5に達するまでBHIで増殖させ、次いで1 mlの試料を使用時まで-80℃において凍結保存した。これらの凍結試料を融解し、10 mlのBHIに接種するために使用し、ODが0.5に達するまで37℃において増殖させた。5×105 CFUを尾静脈注射することによって野生型マウスに感染させた。5×105 CFUの量は48時間経過時の前に死滅させるので、RB6-8C5モノクローナル抗体処理群には5×103 CFUを感染させた。ΔActA競合指数アッセイ法では1×107 CFUを感染させた。臓器溶解液を0.1μg/mlのエリスロマイシンで30分間処理して耐性遺伝子を誘導し、次いでLB寒天板および1μg/mlエリスロマイシンBHI寒天板で試料を培養して、それぞれの経過時点の各々における耐性(変異体)細菌に対する感受性(野生型)細菌の比を確立することによって、競合指数において変異体細菌を野生型細菌と識別した。細菌感染の6時間前に、尾静脈を介してRB6-8C5で処理したマウスに100μgのモノクローナル抗体を注射した。ゲンタマイシン処理マウスは、臓器採取の6時間前に1 mgのGeramycin(登録商標)(硫酸ゲンタマイシン、Schering Corporation、Kenilworth、NJ)をPBSに加えたものを皮下注射した。注射後12時間経過時に、ゲンタマイシンの濃度は3匹のマウスのプール血清において5.6μg/mlであることを本発明者らは見出し(Debra Randall、Stanford University Hospital Clinical Labs、Palo Alto、CAによって実施された)、これは細菌の増殖を阻害するのに十分である。
7. 血清における細菌の増殖
イソフルラン(isofluorane)(Abbott Labs、IL)で麻酔をかけたマウスに心穿刺することによってマウス血液を採血し、次いで4度において終夜凝固させた。血餅を除去し、試料を遠心分離して残存する任意の固形物から血清を分離させた。50%血清-PBSの各試料に1×103の細菌を添加し、次いでLB寒天板で希釈液を培養することによって経過時点のデータを取った。65℃において30分間血清をインキュベーションすると熱不活性化血清を生じた。
8. 表
(表1)検討に使用したリステリアモノサイトゲネス
Figure 2005527240
aErmrはエリスロマイシン耐性を示す
bLLOは、hly遺伝子がオープンリーディングフレームにインフレームにおいて欠損を有することを示す
cActAは、actA遺伝子がオープンリーディングフレームにインフレームにおいて欠損を有することを示す
(表2)細胞傷害性L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の病原性および脱出効率
Figure 2005527240
a50%致死量は、C57BL/6マウスの50%の不活性化を生ずる、尾静脈に注射される細菌の量である。
bファゴソームからの脱出率(±標準偏差)は、感染後90分経過時にアクチンコーティング細菌対総細菌の割合である。最少200の細菌が結合したマクロファージを計数した。
cプラークサイズは、5μg/mlのゲンタマイシンの存在下における3日間の細菌増殖後のL2単層における野生型に対する割合±標準偏差としてである。
d株LLO(DP-L2161)はJonesおよびPortnoy(1994年)において以前に報告されている
eN.D.は、プラークが測定不可能であることを示す
fGlomskiら、(2002年)において見られるように、LLO L461T株のプラークサイズはゲンタマイシン濃度に感受性である。
B. 結果
1. 細胞培養における細胞傷害性株の構築および特徴づけ
LLOの4つの染色体対立遺伝子をこの検討に使用した(表I)。野生型LLOは活性至適値が酸性であり、液胞からの脱出を媒介し、その後の細胞内増殖中において宿主に対する細胞傷害性はほとんど観察されない(Glomskiら、上記、Geoffroy, C.、J. L. Gaillard, J. E.AloufおよびP. Berche. 1987年. Purification, characterization, and toxicity of the sulfhydryl-activated hemolysin listeriolysin O from Listeria monocytogenes. Infection and Immunity 55: 1641-1646)。以前に特徴づけたLLO L461Tは中性pHで活性であり、宿主細胞質ゾルの中性pHにおける活性により幾分かの細胞傷害性を示す(Glomskiら、上記)。LLO S44Aは、野生型LLOのように活性至適値が酸性であるが、PEST様配列の変異は宿主細胞質ゾルにおけるLLOレベルを増加する(Decatur, A. L.およびD. A. Portnoy. 2000年. A PEST-like sequence in listeriolysin O essential for listeria monocytogenes pathogenesis[引用作業中]. Science 290: 992-995)。前述の変異の両方を有する二重変異体、LLO S44A L461Tは1つの分子の独立の変異の各々の特性を示し、中性pHにおいて活性を生じ、宿主細胞質ゾルにおいてLLOの量が多くなる。
変異株は各々、8時間にわたってJ774マクロファージ様細胞において増殖欠損を示した(図1A)。この増殖欠損は、ファゴソームから脱出できないことによるのではなく(表II)、細胞外抗生物質ゲンタマイシンを除去することによってなくなった(図1B)。これらの株を使用して細胞培養単層においてプラークを形成する場合にもゲンタマイシンに対する感受性が観察された。以前に見られるように(Glomskiら、上記)、LLO L461T対立遺伝子を有する細菌は、低濃度のゲンタマイシンにおいて3日増殖後には野生型細菌と等しいサイズのプラークを形成することができたが、プラークサイズはゲンタマイシン濃度が増加すると低下した。LLO S44A対立遺伝子を有する細菌は、最も低い濃度のゲンタマイシンにおいてだけであるが、野生型細菌の径の14%のプラークを形成することができたが、LLO S44A L461T細菌はプラークを全く形成することができなかった。
変異株のゲンタマイシン感受性は、これらの株が宿主細胞膜を損傷して、ゲンタマイシンを流入させ、細胞内細菌の増殖を阻害していることを示唆した。従って、生体膜損傷は、骨髄由来のマクロファージを感染させて、膜不透過性色素ヨウ化プロピジウムによる宿主DNAの染色をモニターすることによって評価した(図2)。染色を定量するためにフローサイトメトリーを使用して、マクロファージの3.1%が野生型細菌によって透過性にされたが、LLO L461T、LLO S44AおよびLLO S44A L561Tを分泌する細菌によって、それぞれ17.7%、23.2%および60%が4時間後に透過性にされたことを本発明者らは見出した。本発明者らはこれらの全体的な観察から、これらの株は、最低の細胞傷害性から最大の細胞傷害性までの広い細菌細胞障害性を示し、以下の順:野生型(10403S)、LLO L461T、LLO S44AおよびLLO S44A L461Tに並べることができると結論づけている。
2. 細胞傷害性が大きくなると、病原性欠損が大きくなる
本発明者らは、株は細胞傷害性が大きくなると、50%致死量が高くなることを見出した(表II)。マウスの死亡の測定は、細菌がマウス内で増幅できることを必ずしも示さないので、マウスに各株を24時間感染させ、肝臓および脾臓のコロニー形成単位を樹立した。本発明者らは、株は細胞傷害性が大きくなると、脾臓および肝臓の両方に見られる細菌の数が少なくなることを見出した(図3)。本発明者らは、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の株は細胞傷害性が大きくなると、リステリア症のマウスモデルの株は病原性が低くなると結論づけている。
各変異株を用いて競合指数アッセイ法を実施し、野生型細菌に対する変異体の病原性欠損のより正確な測定を確立した(Auerbuch, V.、L. LenzおよびD. Potnoy. 2001年. 「Development of a Competitive Index Assay to Evaluate the Virulence of Listeria monocytogenes actA Mutants during Primary and Secondary Infection of Mice」、Infection and Immunity)。このアッセイ法では、野生型細菌とエリスロマイシン(erm)耐性変異体の1対1比をマウスに同時注入させ、脾臓および肝臓においてerm耐性(変異体)細菌に対する野生型細菌の比を確立した。病原性欠損の傾向はLD50と同様であり(図4)、株の細胞傷害性が大きくなると、回収される細菌は、野生型細菌に対して少なくなることを本発明者らは見出した。
3. 顆粒球はマウスにおける細胞障害性変異体の増殖欠損の主要な一因である
数多くの以前の検討が、好中球はL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)感染に対する早期耐性に寄与することを示している(Conlan, J. W.およびR. J. North. 1994年.Neutrophils are essential for early anti-Listeria defense in the liver, but not in the spleen or peritoneal cavity, as revealed by a granulocyte-depleteing monoclonal antibody. J Exp Med 179: 259-268、Czuprynski, C. J.、J. F. Brown、N. Maroushek、R. D. WagnerおよびH. Steinberg. 1994年.Administration of anti-granulocyte mAb RB6-8C5 impairs the resistance of mice of Listeria monocytogenes infection. J Immunol 152: 1836-1846、Gregory, S. H.、A. J. SagnimeniおよびE. J. Wing. 1996年. Bacteria in the bloodstream are trapped in the liver and killed by immigrating neutrophils. J Immunol 157: 2514-2520)。実際、好中球はインビトロにおいて細胞外L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)を容易に貪食して、死滅させる(Czuprynski, C. J.、P. M. HensonおよびP. A. Campbell. 1984年. Killing of Listeria monocytogenes by inflammatory neutrophils and mononuclear phagocytes from immune and nonimmune mice. J Leukoc Biol 35: 193-208、Rogers, H. W.、M. P. Callery、B. DeckおよびE. R. Unanue. 1996年. Listeria monocytogenes induces apotosis of infected hepacytes. J Immunol 156: 679-684)。従って、細胞傷害性株は野生型細菌によって速やかに打ち負かされるので、本発明者らは、細胞障害性変異体で観察される低い病原性は好中球に対する感受性によると仮定した。この仮定に対処するために、本発明者らは、感染の6時間前にマウスに抗GR1モノクローナル抗体RB6-8C5を導入することによって好中球の浸潤を排除した。RB6-8C5は、循環液中から好中球を排除し、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)感染病巣への浸潤を妨害することが示されている(Conlan, J. W.およびR. J. North. 1994年.Neutrophils are essential for early anti-Listeria defense in the liver, but not in the spleen or peritoneal cavity, as revealed by a granulocyte-depleteing monoclonal antibody. J Exp Med 179: 259-268)。好中球減少マウスでは、細胞傷害性変異体の相対的な病原性の欠損は脾臓において99%なくなり、競合指数アッセイ法において細胞傷害性変異体を同時注入した野生型細菌とほとんど同じように増殖させた(図4)。肝臓では、脾臓と比較して観察された影響は少なかったが、48時間経過時までは、より多くの細胞障害性変異体(LLO S44AおよびLLO S44A L461T)の相対的な病原性は、好中球を排除した場合には10倍増加した。これらのデータは、細胞障害性変異体は免疫適格性マウスにおける好中球死滅により感受性であることを示唆している。
4. 細胞傷害性細菌のより大きな割合は細胞外である
前述の項に記載するデータは、好中球が細菌を容易に貪食して破壊する細胞外環境に細胞傷害性株が曝露されることを示唆した。この可能性をさらに探究するために、本発明者らは、感染マウスに抗生物質ゲンタマイシンを注射した。ゲンタマイシンは、細胞内細菌に影響を与えないで細胞外細菌を死滅させ(Drevets, D. A.、T. A. JelinekおよびN. E. Freitag. 2001年. Listeria monocutogenes-infected phagocytes can initiate central nervous system infection in mice. Infect Immun 69: 1344-1350)、感染後24時間経過時に野生型細菌に有意な影響を与えず、48時間経過時に肝臓において野生型細菌の数を1/10に低下させる(図5A)。好中球は多数の細胞外細菌を貪食し、破壊して、細胞外細菌に対するゲンタマイシンの影響を本発明者らが検出できることを不明瞭にすることがあると思われるので、細胞障害性変異体のゲンタマイシンに対する感受性は好中球減少マウスにおいて調べられた。競合指数アッセイ法においてマウスをゲンタマイシンで処理すると、競合指数アッセイ法において野生型細菌と比較して、LLO S44A変異体およびLLO S44A L461T変異体の比を低下した(図5B)。48時間までに、脾臓および肝臓におけるLLO S44A L461T細菌の約99%がゲンタマイシン感受性であったが、脾臓のLLO S44A変異体および両方の臓器のLLO L461T変異体はゲンタマイシンによってあまり影響されなかった。しかし、ゲンタマイシンの添加は、活性な好中球を含有するマウスにおいて見られるレベルに完全にマウスの耐性を再構成しなかった。
5. 細胞傷害性変異体の病原性欠損は細胞拡散の欠損が原因ではない
L2単層における細菌プラーク形成の際に観察される欠損は、細胞障害性細菌は、細胞骨格動力学が破壊される程度にまで宿主細胞を損傷している可能性があるという懸念を生じた。アクチン尾部を形成することができない細菌は病原性が1/10,000であるので、細菌が宿主の細胞骨格を操作することができることは病原性に不可欠である(Brundage, R. A.、G. A. Smith、A. Camilli、J. A. TheriotおよびD. A. Portnoy. 1993年. Expression and phosphorylation of the Listeria monocytogenes ActA protein in mammalian cells. Proc Natl Acad Sci USA 90: 11890-11894)。細胞傷害性変異体は細胞間にあまり効率的に拡散しないので、病原性が低いことが考えられる。この疑問に対処するために、本発明者らは、細胞間拡散の影響を排除するために細胞障害性変異体の各々のactAのインフレームにおける欠損(ΔActA)を作製し、次いで野生型LLOΔActAと対比して競合指数アッセイ法を実施した。細胞間拡散が、細胞傷害性変異体の病原性欠損に寄与する主要な因子であった場合には、本発明者らは、細胞間拡散をなくせば、変異体を、野生型LLOを分泌するΔActA細菌と同様の病原性にし、比が1に近づくと予測したと思われた。これは当てはまらず、むしろActA機能の排除は、細胞障害性変異体で観察された欠損にほとんど影響を与えないかまたは増加した(図6)。LLO L461TおよびLLO S44Aを分泌する両方のΔActA細胞障害性株は、野生型LLOを有するΔActAにあまり競合しなかった。LLO S44A L461T ΔActA株は、弱毒化されすぎて、確かなコロニー形成単位を樹立するほど十分な数の細菌が肝臓または脾臓において見られなかった。
6. マウス血清におけるL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の増殖
貪食細胞がマウスにおける細胞障害性細菌の増殖欠損の主な原因であることにもかかわらず、それらを除去しても、本発明者らの実験条件のいずれにおいても変異体および野生型細菌を増殖させない。従って、細胞障害性細菌は、細胞内環境によって生じた速度で分割しないかもしれないと本発明者らは考えた。従って、本発明者らは、マウス血清中で増殖する細菌の倍加時間を測定した。L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)はマウス血清未処理、熱不活性化または感染させたマウス由来において増殖するが、最長倍加時間は58分であることを本発明者らは見出した。この増殖速度は、以前に報告されている細胞内最長倍加時間42分より有意に遅い(Glomskiら、上記)。細菌の増殖は指数的であることを考慮すると、2つの異なる環境間の倍加時間の16分の差は、即座に細菌数の大きな差となり、細胞傷害性変異体で本発明者らが観察した増殖欠損の一部を説明することができると思われる。興味深いことに、細菌はBHIを添加したウシ胎児血清およびマウス血清中でよく増殖し、倍加時間は、それぞれ34分および31分であり、マウス血清は阻害作用を示さなかったが、栄養を制限する可能性も大きかったことを示唆している。
C. 考察
この検討において、本発明者らは、細胞質内病原菌L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は、細胞内微小環境を損なうと、病原性が低くなるという証拠を提供した。本発明者らは、以下を示すために種々のレベルの細胞傷害性を有する細胞傷害性変異体を使用した:1)細胞障害性変異体は好中球に感受性が強い、および2)細胞障害性変異体は細胞外抗生物質ゲンタマイシンに感受性がより強い。細胞障害性L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)変異体は細胞外環境に曝露され、好中球による排除に感受性であることをこれらのデータは示している。これらの結論は、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)(および考えられる他の細胞内病原菌)は、サイトリジン、LLOの活性を機能性と細胞障害性の間で均衡させる必要がある理由を説明するために以下のモデルを示している。サイトリジンが不活性であるかまたは存在しない場合には、細菌は貪食され、捕獲され、その後ファゴソームにおいて死滅させられるので、増殖することができない。他の極端な場合では、生化学的活性の大きさおよび/または細胞質ゾルの量の多さによる過度に活性なLLOは貪食され、ファゴソームから脱出し、細胞質ゾル内で増殖を開始する。しかし、これらの細胞障害性細菌は宿主細胞を損傷させ、次いで感染を制限または終了させる細胞外防御機構および栄養制限の影響にそれらを曝す。野生型細菌はこれらの両極端の間で均衡を取り、LLO活性を制御してファゴソームの効率的な溶解を媒介すると同時に、LLOの機能を制限して宿主細胞に対する損傷を回避する。この均衡により野生型細菌は細胞質ゾルから脱出し、増殖し、細胞間に拡散することができる。野生型細菌は、最終的には、宿主細胞に十分な損傷を生じ、細胞傷害性変異体に有害に影響する同じ環境に接触するが、そうなる場合には、大多数の細菌が増殖して、最初の細胞から新たな宿主細胞に拡散してしまっている。このように、野生型細菌は宿主細胞組織を介して感染を広げ続け、細菌数を増加し続けることができる。
上記モデルに内在するものは細菌の細胞間拡散の重要性であるので、本発明者らは、細胞傷害性変異体の病原性欠損は、ActAの欠損により細胞間拡散がなくなることによってアクチンに基づいた細胞間拡散過程の細胞障害性破壊によって生じた可能性を探究した。細胞間拡散が、細胞障害性変異体が増殖欠損を生じていた主要な機序であった場合には、アクチンに基づいた細胞間拡散が排除されると、細胞障害性細菌は、野生型LLOを分泌するΔActA細菌とほぼ同様に増殖すると予測された。これは当てはまらなかった。ActAが欠損されると、細菌の増殖は影響されないかまたはさらに低下された。実際、本発明者らは、24時間経過時に、ΔActA野生型LLO株と比較してLLO S44A変異体の増殖の3logの顕著な低下を観察した。以前の組織培養アッセイ法において見られるように、アクチンを核形成できない細菌は細胞障害性がより強く、従って変異体の細胞傷害性は細胞拡散の排除によって増幅されうる。この観察の最も簡単な説明は、最初に感染した細胞から新たな細胞への細菌の一部の移動の排除は、最初の細胞内の細菌の数を効果的に増加するということである。しかし、ActA欠損細菌の高い細胞傷害性はこの単純な仮説より複雑で、ActAとLLOの機能の関連を示唆している。
以前に報告したように、好中球は細菌の増殖を制限するのに不可欠である。しかし、それらを排除すると、細胞障害性細菌は野生型細菌とほぼ同様の速度で増殖することが可能になるので、それらは野生型細菌より細胞障害性変異体を制御するのに有効であった。細胞障害性変異体は、肝臓では脾臓ほど好中球の機能に対して感受性でないことを本発明者らは見出した。細胞障害性変異体が細胞外防御機構に曝露される本発明者らのモデルに基づくと、異なる組織において観察されるこれらの差違を説明することができる数多くの説明が存在する。1つの可能性は、肝細胞は、脾細胞より良好に細胞傷害性細菌に対処することができるということである。肝細胞が損傷された膜を修復するまたは溶解に耐えると、細胞障害性変異体は、LLOの溶血作用により感受性である細胞と比較して長い時間保護された環境にとどまる。実際、肝臓が毒性の損傷および組織損傷を迅速に修復できることが証明されている。第二の可能性は、細菌が肝臓内の最初の宿主細胞を溶解すると、肝臓の隣接する細胞により容易に貪食され、従って細胞外滞在時間が短くなるということである。肝臓における迅速な食作用は、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の肝細胞への取り込みを媒介するが、数多くの他の細胞種への取り込みを媒介しない細菌タンパク質InlBの機能による助けを受けることができる。InlB発現の排除は、InlB-媒介性の肝細胞食作用により細胞障害性変異体が肝臓において弱毒性を低下するかどうかを判定する助けとなると思われる。
本発明者らは、好中球が細胞障害性変異体を優先的に排除する機序に直接対処しなかったが、機能していると思われる防御方法は数多く存在する。好中球はインビトロにおいてL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)を死滅させることができるが、組織培養中の肝細胞内の細胞内細菌を死滅させることができないことが以前の検討において示されている。従って、細菌が細胞外にあるので、好中球が細胞障害性変異体に簡単に接近すると考えられる。しかし、野生型の感染を抑制する際の好中球の重要性も、野生型細菌も最終的にはある程度細胞外曝露されることを意味している。好中球は、細胞障害性細菌が感染した細胞を選択的に溶解することも考えられる。以前の文献は、好中球はL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)が感染した肝細胞を溶解することができることを報告したが、その機序は、直接的であろうが、間接的であろうが、確立されていない。感染細胞由来で、好中球によって受容される溶解-標的信号は細胞損傷によって誘発されうると仮定してもよい。細胞傷害性細菌は宿主細胞を損傷するので、細胞傷害性細菌によって感染された細胞は、野生型細菌より早期に溶解の標的となると思われる。
宿主細胞の細胞膜の透過性により、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)に対するマウスの耐性に重要であることが示されている好中球の化学誘引物質である活性化された補体またはホルミル化ペプチドなどの細菌成分が流出されうる。この筋書きでは、細胞障害性細菌は、損傷した細胞内から走化性信号を出すと思われるので、野生型細菌より早期に食作用および破壊の標的となると思われる。本発明者らは、この検討において、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は正常な熱不活性化マウス血清において同様の速度で増殖することを記載しているので、補体の溶解機能への曝露はL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)に直接影響しないと思われる。しかし、より効率的な食作用のために、補体のオプソニン化特性が作用して細胞障害性細菌を標的とすることができる。
細胞障害性変異体の病原性欠損の別の説明は、それらが野生型細菌より目に見える脅威であるということである。宿主細胞を損傷することによって、細菌は多くの炎症性サイトカインを遊離させ、それによって多くの炎症細胞を感染病巣に動員することができると同時に、そのような浸潤物の機能を活性化することができる。TNFα、IFNγ、IL-1α/βおよびIL-6を含む数多くの炎症性サイトカインはL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)に対する耐性に不可欠である。従って、かなり活性化されている好中球などの炎症細胞が大量に存在すると、感染病巣からの細菌の大幅な除去を促進すると思われる。
抗生物質ゲンタマイシンは、細胞外細菌を排除する手段として組織培養およびインビボにおいて使用されている。この検討において、LLO S44AまたはLLO S44A L461Tを分泌する本発明者らの2つの最も細胞障害性の高い変異体は、感染マウスに注射したゲンタマイシンに特に感受性であることを本発明者らは見出した。しかし、この影響は、好中球を最初に排除した場合にだけ検出可能であった。この所見は、ゲンタマイシンに感受性である細菌集団は活性な好中球の作用にも感受性であることを示している。興味深いことに、ゲンタマイシンは、免疫適格マウスにおいて観察されるレベルの耐性に好中球減少マウスを完全に回復させなかった。この所見は、細胞障害性変異体で観察された病原性の欠損は多因子的であることを示しており、本発明者らのデータの残りの部分と一致している。さらに、ゲンタマイシンが好中球の活性を完全に元に戻すことができないことは、好中球は、細胞外細菌を単純に貪食して破壊するだけではない役割を細菌除去において果たしていることを示している可能性がある。
L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は、天然の状態で、数種のアミノ酸およびビタミン要求性である。従って、これらの細菌が、哺乳類の細胞質と同じくらい良好にマウス血清において複製しないことは驚くべきことではない。L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の細胞質内増殖のためのヘキソースリン酸トランスポーター(hpt)の重要性は以前に報告されている。HPTにより、この細菌は、肝臓におけるグリコーゲンの分解産物であるグルコース-1-リン酸を使用することができる。このように、病原体は病原性因子を進化させてそれらの微小環境をカスタマイズしているだけでなく、それぞれの微小環境の各々に代謝を合わせているという証拠がある。
この検討は、細胞質微小環境の維持がL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の病原性に不可欠であることを示唆するデータを提供している。これらの細菌が、孔形成サイトリジンLLOの溶解作用を適切に管理できない場合には、それらは、細胞外防御機序からの圧力により宿主内で増殖する能力を損なう。同様に、宿主が感染細胞に細胞溶解的に作用する場合にも、細菌の除去も達成される。実際、細胞障害性T-リンパ球は、感染細胞を標的として溶解する機能をする、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)に対する適応的免疫反応の一次エフェクター細胞である。このように、それが細菌によって生じるかまたは宿主によって生じるかにかかわらず、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の細胞内区画から細胞外区画への移動は、細菌が増殖する能力を低下する。細胞外滞在時間を短くするために、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は数多くの病原性因子を発生させて、主として細胞内にあって生育し、残ることを確実にしている。
D. 結論
この検討において、LLOに変異を有し、種々の程度の細胞障害性を有する一連の株を構築した。本発明者らは、細胞培養中の株は細胞障害性が大きくなると、マウスにおいて病原性が低くなることを見出した。好中球減少を誘導すると、細胞障害性株の病原性は脾臓において100倍、肝臓において10倍病原性が増加した。病原性の欠損は、細胞外細菌を死滅させる抗生物質であるゲンタマイシンを添加することによって、好中球減少マウスにおいて一部回復された。さらに、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は、組織培養中の細胞内と比較して、細胞外液、マウス血清において増殖がより遅かった。本発明者らは、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は、細胞内の栄養に富む微小環境を維持し、宿主の細胞外防御機序を回避するLLOの細胞溶解能力を制御していると結論づけた。
VI. lplA変異体:DP-L2214およびDP-L4364
細胞内増殖に重要な遺伝子を同定するために、本発明者らは、改良型細胞内メチシリン選択をL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)のトランスポゾン挿入ライブラリーで実施した(A. Camilli、C. R. Paynton、D. A. Portnoy、Proc Natl Acad Sci USA 86, 5522-6(1989年7月))。Tn917-LTV3挿入変異体のプールを使用して、J774マウスマクロファージ細胞系統に感染させた。細菌のファゴソームからの脱出を可能にするのに十分である、感染後4時間経過時(h. p. i.)に、感染したマクロファージを1 mg/mlのメチシリンで処理して、分割菌に対して選択した。24 h. p. i.に、宿主細胞の溶解によって、細菌をマクロファージ単層から回収し、細菌学的にリッチな培地で培養した。個々の細菌コロニーを単離する前に、選択を2回反復した。本発明者らは、メチシリン選択によって3つのクラスの変異体を同定した。第一のクラスの変異体は、血液寒天上で表現型的には非溶血性であった。L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の非溶血性株は液胞内に残存し、複製できないので、メチシリンによる殺傷に感受性がないと思われる。単離した第二のクラスの変異体は、スレオニンおよびプロリン要求株からなっていた。第三のクラスの変異体は溶血性且つ原栄養株であり、従って、細胞内増殖に特に重要な遺伝子におけるトランスポゾン挿入を有する可能性があり、これらの変異体の1つ、DP-L2214をさらなる分析のために選択した。
DP-L2214は、微生物学的にリッチな培地および最小培地において通常の増殖を示した(データは示していない)。反対に、J774マクロファージにおけるDP-L2214の複製は、約5 h. p. i.に中断した。従って、DP-L2214は、細胞内環境に制限される複製欠損を有する。トランスポゾンに隣接するDNAを配列決定することによって、本発明者らは、Tn917-LTV3挿入によって分離されるオープンリーディングフレームを同定した。この配列を使用するL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)ゲノムのBLAST検索は、大腸菌(E. coli)のリポ酸タンパク質リガーゼ遺伝子(lplA)との相同性を明らかにし、従って本発明者らはこの遺伝子をlplA1(L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)EGD-e lmo0931)と命名した(Glaserら、Science 294, 849-52(2001年、10月26日))。L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)lplA1タンパク質およびDNA配列は、「http://」の後に「genolist.pasteur.fr./ListiList/」を有するウェブサイト、リステリアゲノムウェブサイト、Listilist、で入手可能である。
公表されているL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)ゲノム配列はまた、第二のlplA様遺伝子、lplA2(L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)EGD-e lmo0764)の存在を明らかにした(Glaserら、上記)。DP-L2214の細胞内複製欠損がlplA1オープンリーディングフレームの中断によるものであったことを検証するために、本発明者らはlplA1遺伝子のインフレーム欠損を構築し、lplA1を含むプラスミドをDP-L2214に補足することができた。ΔlplA1株(DP-L4364)は、J774マクロファージ細胞系統における細胞内複製アッセイ法で特徴づけた。lplA1欠損株の増殖は、倍加時間および動態にいおいてDP-L2214と同様であると思われた。3日間の感染にわたって細胞内増殖を測定するL2線維芽細胞プラーク形成アッセイ法においても、ΔlplAをDP-L2214と比較した。ΔlplA1およびDP-L2214は、野生型プラークサイズの、それぞれ、56%および58%のプラークサイズを示した。さらに、本発明者らは、ΔlplA1およびDP-L2214に関連する独自の混合型プラーク形成表現型を観察した。平均プラークサイズの標準偏差は、野生株と比較して変異体では3倍大きかった。驚くべきことに、ΔlplA1変異体およびDP-L2214のプラークサイズおよび出現頻度は、寒天重層の厚さの低下によって負に影響されたが、野生株は影響されなかった。全体として考えると、これらの結果は、DP-L2214におけるTn917によるlplA1 ORFの中断は、機能の損失を生じ、細胞内複製欠損の原因となることを強く示唆している。
大腸菌(E. coli)LplAは、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH)および構造的に関連する他の酵素のE2サブユニットに遊離のリポ酸を連結する(D. E. Brookfield、J. Green、S. T. Ali、R. S. Machado、J. R. Guest、FEBS Lett 295, 13-6(1991年12月16日)。リポ酸を認識する抗体を使用して、本発明者らは、ブロス培養液で増殖中のL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)におけるリポイル化タンパク質のプロファイルをウェスタンブロットによって分析した。細菌学的にリッチな培地である脳心臓滲出液(BHI)ブロスにおいて、抗LA抗体は、質量分析法によってピルビン酸デヒドロゲナーゼのL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)E2サブユニットと同定された1つの優性なタンパク質を明らかにした。E2 PDHのリポイル化の差は野生型とΔlplA1株の間で観察されなかった。これらのデータは、E2 PDHをL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)におけるリポ酸修飾の主要な標的と同定しており、大腸菌(E. coli)において報告されている観察と一致する。本発明者らは、次に、細胞内増殖中にL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)におけるE2 PDHのリポイル化状態を測定した。大半の細菌が1つまたは複数の細菌を含むように、J774マクロファージに野生型L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)またはΔlplA1変異株を高い感染効率(m. o. i.)で感染させた。4 h. p. i.において、SDS-PAGEおよびウェスタンブロット分析のために、総細菌溶解液を細胞内細菌から調製した。細菌タンパク質の等量添加は、関連のないタンパク質、ActAのウェスタンブロット分析によって確認した。リポイル化E2 PDHはマクロファージ内で増殖中の野生型細菌において観察されたが、E2 PDHの修飾型はΔlplA1溶解液には存在しなかった。
リッチな培地における終夜培養後に接種菌液に存在する修飾E2 PDHのプールにより、機能的なE2 PDHを欠損する前の5時間にわたって、ΔlplA1株は宿主細胞内で約4ラウンドの細胞分裂を受けることができた。リポイル化E2が数ラウンドの細胞分裂後に欠損すると、宿主細胞から単離されるΔlplA1変異体細菌は増殖性感染を樹立できないはずである。本発明者らは、4 h. p. i.に感染しているマクロファージから野生型および変異体の細菌を単離し、新たな単層状のマクロファージに感染させるためにこれらの細菌を使用した。その後の感染期間中、野生型株は非常に活発に増殖したが、ΔlplA1株は全く複製しなかった。従って、ゲノムに第二のリポ酸タンパク質キナーゼが存在するにもかかわらず、本発明者らは、lplA1は、E2ピルビン酸デヒドロゲナーゼの修飾を含む細胞内増殖に重要で非重複性の機能を果たすと結論づけた。
リポ酸は、哺乳類細胞において抗酸化性を有することが示されている(L. Packer、Drug Metab Rev 30, 245-75(1998年5月))。従って、本発明者らは、PDH複合体の一部としてのL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)におけるリポ酸はまた、宿主細胞の酸化的ストレスから細菌を保護する作用もする可能性があると考えた。宿主細胞は数種の酸化的ストレス源を有することがある。第一に、マクロファージは、食作用に応答して反応性酸素および窒素中間体を産生することができる。第二に、全ての細胞は、酸化的代謝の通常の副産物として反応性酸素種を産生する。L2プラーク形成アッセイ法において、線維芽細胞単層の酸素透過性を増加すると思われる、寒天重層の厚さの変化は、野生型と比較して、ΔlplA1株が形成するプラークの平均プラークサイズおよび数の25%の低下を生じたことを本発明者らは観察した。酸化的ストレスからの保護におけるLpla1の役割をさらに検討するために、本発明者らは、遊離3’OH末端を検出するためのTUNELアッセイ法を使用して、細胞内細菌をDNA損傷について試験した。反応性酸素種は核酸並びにタンパク質および脂質の酸化を生じる。従って、酸化的ストレス環境にある細菌はDNA鎖切断を示すはずであると本発明者らは考えた。一次骨髄由来のマクロファージに野生型L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)またはΔlplA1を感染させた。9 h. p. i.に、マクロファージにTUNEL染色を実施した。本発明者らは、ΔlplA1変異株が感染したマクロファージにおいてTUNEL陽性細菌を観察することができたが、野生型細菌が感染したマクロファージでは観察することができなかった。TUNEL陽性細菌の出現頻度は低かったが、それらは、1つのクラスターにおけるTUNEL陽性細菌が1つの宿主細胞内に含まれるように、クラスターで出現した。ΔlplA1変異体細菌におけるDNA鎖切断の存在は、E2-リポアミドが酸化的ストレスから細菌を保護するという仮定を裏付けている。
本発明者らの細胞培養アッセイ法は、マクロファージにおける細胞内複製におけるlplA1の役割を明らかにした。本発明者らはまた、LD50を測定することによって、静脈内(i. v.)への感染のマウスモデルにおけるΔlplA1変異体の病原性を試験した(Auerbachら、上記を参照されたい)。Balb/cバックグラウンドにおいて、lplA1変異株のLD50は、野生型の親L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)株より250〜300倍病原性が低かった(表4)。
(表4)
Figure 2005527240
lplA1変異体は病原性が低かったが、それらは活発なCD8+ T細胞応答を刺激し、これらの株がワクチン開発の有望な候補である可能性を示唆している(データは示していない)。本発明者らのインビボにおける実験は、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)の病原性におけるLplA1の重要な役割を明らかにしており、リポ酸の使用が宿主における病原菌の増殖に重要であることを示唆している。
生物は全て、ストレスに応答して生存性および複製を増強する機序を有する。細胞内病原菌として、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は細胞質ゾル内で複製することができなければならない。細胞質ゾルのどの成分が細菌の増殖および生存に必要とされるのかを包括的に規定することは困難であるが、メチシリン選択により、本発明者らは、細胞質ゾルにおける増殖に重要な遺伝子を機能的に同定することができた。第二のリポ酸タンパク質リガーゼlplA2の存在にもかかわらず、メチシリンによるlplA1::Tn917変異体の選択は、細胞内増殖のために追加のリポ酸タンパク質リガーゼ活性を必要とするL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は宿主細胞質ゾル内で制限された形態のリポ酸と遭遇することを示唆している。大腸菌(E. coli)も、異なる起源からE2 PDHにリポ酸を輸送する2つのリポ酸タンパク質リガーゼ、LplAおよびLilBを有する(T. W. Morris、K. E. Reed、J. E. Cronan, Jr.、J. Bacteriol 177, 1-10(1995年、1月)、K. E. Reed、J. E. Cronan, Jr.、J Bacteriol 175, 1325-36(1993年、3月))。大腸菌(E. coli)LipBは、オクタノイル-アシル担体タンパク質から新規合成されたリポ酸を使用する。大腸菌(E. coli)LplAは、捕捉した遊離のリポ酸をE2 PDHに連結する。L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)はリポ酸要求株であり、その環境から捕捉したリポ酸を使用する。ゲノムにおける2つのリポ酸タンパク質リガーゼ遺伝子の維持はリポ酸の異なる外部源を示している。哺乳類細胞におけるリポ酸代謝の検討は、ごく少量の遊離のリポ酸が通常の生理的条件下において細胞質ゾル内に存在していることを示唆している。従って、本発明者らは、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)では、遊離のリポ酸が使用可能である場合には、LplA2が栄養リッチ条件において何らかの役割を果たすが、LplA1は、細胞質ゾルから輸送されるペプチドからリポイル基を捕捉しなければならない場合がある宿主細胞においてさらに重要であると仮定している。L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)は、アミノ酸源として宿主細胞質ゾルのペプチドを使用することが知られている。E2 PDHは全ての生物において豊富なタンパク質であるので、リポアミドによって修飾されるペプチドが通常のタンパク質代謝回転により宿主細胞質ゾルにおいて使用可能であると思われる。LplA1およびLplA2の酵素特異性は不明であるが、今後の検討の主題である。
本発明者らのデータは、E2 PDHはL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)においてLplA1の主要な標的であることを示している。以前の研究は、炭素のクエン酸回路への流入を表す、ピルベートのアセチルCoAへの変換の際の中間代謝におけるPDHの機能に焦点が絞られていた。E1、E2およびE3のサブユニットを必要とする、PDHの代謝機能は好気的増殖に重要であり、PDH酵素活性の欠損は、本発明者らがΔlplA1変異株において観察した不全増殖(abortive growth)表現型の原因となる可能性が高い。しかし、最近の検討は、PDHホロ酵素と無関係と思われるPDHのE2サブユニットの新規機能を明らかにした。リポアミドの酸化還元能力に必要とされるE2およびE3は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)抽出液から単離されるタンパク質複合体の還元能力に寄与する。この還元作用は、インビボにおいて酸化的ストレスに対する結核菌(M. tuberculosis)の抵抗性を媒介することができる。ΔlplA1株は酸化的ストレスに感受性であることを示す本発明者らのデータはこの仮定に一致している。さらに、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、枯草菌(B. subtilis)およびバシラススリンジエンシス(B. thuringenisis)における検討は、DNA結合および/または転写調節におけるE2 PDHの役割を明らかにしている。そのような過程におけるリポアミド修飾の必要性は不明である。本発明者らがlplA1において観察する不全増殖(abortive growth)表現型は、主にPDH代謝機能の欠損による。しかし、酸化的ストレスからの防御または転写調節などの、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)感染中にE2-リポアミドが細菌の他の過程も調節する可能性については探究が必要である。L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)のように、トラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)を含むいくつかの他の細菌種も2つのlplA様遺伝子を有するが、lipB相同物は持たず、宿主由来のリポ酸の使用が多数の病原菌の複製に重要である可能性を示唆している。
VII. ワクチンとしてのDP-L4017の用途
120匹のBalb/cマウスを40匹からなる3つの群に分ける。1群はLD50の1/10の野生型L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)で免疫し、1群は滅菌した生理食塩液で免疫し、第三の群は、インフルエンザ核タンパク質(LM-NP)を分泌するように形質転換されている弱毒DP-L4017株に基づいている組換えL.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)ワクチンベクターで免疫する。2週間後、各群に同様の追加免疫を行う。この免疫計画は、インフルエンザ核タンパク質に対する強力なCTL応答を生ずるように決定されている。最後の免疫の2週間後に、各群の動物に、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)ベクターを形質転換するために使用した同じインフルエンザ核タンパク質遺伝子をトランスフェクトしたCT26もしくはRENCA腫瘍細胞系統(それぞれ、CT26-NPもしくはRENCA-NP)または親CT26もしくはRENCA系統を皮下に接種する。各マウスに、横腹を介して5×105の腫瘍細胞を皮下投与する。腫瘍の径を直接測定することによって、これら6つの群の動物において腫瘍の増殖を2日毎にモニターする。ワクチンの効率は、LM-NPでワクチン化し、NPを発現する腫瘍細胞系統を投与したマウスにおいて、腫瘍の遅い増殖または腫瘍が認められないことによって証明する。
Balb/cマウスをLM-NPで免疫化することによって作製したCTLはインビトロにおいてNPを発現する腫瘍細胞CT26およびRENCAを死滅させることができる
マウスに0.1 LD50のLM-NPで免疫する。2週間後、マウスを屠殺し、脾細胞およびインフルエンザを感染させた(A/PR8/34)脾細胞またはNPタンパク質の主要抗原決定基を提示することが既知の合成ペプチド147-158の初代培養を開始する。4日の培養後、CT26-NP、RENCA-NP並びに親細胞系統CT26およびRENCAに対する両方の集団の細胞溶解作用を測定する。陽性対照を含ませる(P815、ペプチドの存在下またはA/PR8/34が感染すると、H-2d制限CTLによって効率的に溶解されることが既知の肥満細胞腫の腫瘍細胞)。RENCA-NPおよびCT26-NPは、LM-NPで免疫することによって誘導され、A/PR8/34で増大されたNP特異的エフェクターによって溶解するが、親系統はそうではない。エフェクターをペプチドで増大する同様の実験も同様の結果を示す。
本発明が、種々の異なる適用において用途を見出す重要な弱毒リステリア株を提供することが上記の結果および考察から明らかである。このように、本発明は当技術分野に重要な貢献を示す。
本明細書に引用する全ての文献および特許出願は、個々の文献または特許出願各々が参照として本明細書に組み入れられていることが具体的且つ個別に示されているかのように参照として本明細書に組み入れられている。任意の文献の引用は出願日以前の開示についてであり、本発明が以前の発明に基づいてこのような文献より先行する資格がないと認めるものと解釈されるべきではない。
上記の発明は、理解を明確にする目的のために例示および実施例によって幾分か詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、ある変更および改良を加えることができることは、本発明の開示を考慮して当業者に容易に明らかになる。

LLO変異体は細胞膜を透過性にする。ゲンタマイシンの非存在下において、C57BL/6骨髄由来マクロファージを4時間感染させ、次いで細胞膜を通過して、宿主DNAと相互作用すると蛍光を増す膜不透過性色素ヨウ化プロピジウムで染色した。2.5×104細胞をフローサイトメトリーで調査し、その半分を示す。灰色の影をつけたヒストグラムは未感染細胞を示す。マーカーM1で示される、透過性であると判定される細胞の蛍光範囲は、106溶血単位の精製LLO L461Tをマクロファージに添加することによって規定し、1Aに示す。感染株およびマーカーM1の範囲に入る細胞の割合を示す。 J774マクロファージ様細胞およびC57BL/6マウスにおける細胞障害性変異体の増殖である。2A)感染後1時間経過時に添加した細胞外抗生物質ゲンタマイシンの存在下において、示した経過時間に12 mmのガラス製のカバーガラス上の単層のJ774細胞内に見られるコロニー形成単位である。データは、3枚のカバーガラスから誘導される平均値を示す。2B) 感染後1〜2時間経過時にゲンタマイシン処理した場合の、示した経過時間に12 mmのガラス製のカバーガラス上の単層のJ774細胞内に見られるコロニー形成単位である。データは、3枚のカバーガラスから誘導される平均値を示す。 細胞障害性が大きくなると、細胞障害性細菌はマウスにおける増殖が少なくなる。各株の1×105 CFUをC57BL/6マウスの尾静脈に注射した。24時間後、肝臓および脾臓を切除し、均質化し、培養して各臓器におけるCFUを求めた。エラーバーは、5匹のマウスの標準偏差を示す。 細胞傷害性が大きくなると、病原性欠損が大きくなる。野生型細菌およびエリスロマイシン耐性標識した変異体をC57BL/6マウスの尾静脈に注射することによって、競合指数を樹立した。4A)野生型とLLO L461T Erm、4B)野生型とLLO S44A Erm、および4C)野生型とLLO S44A L461T Ermを競合させることによって、脾臓および肝臓において競合指数比を樹立した。y軸は、示した経過時点においてマウスの脾臓または肝臓から単離した野生型細菌のCFUで割った変異体CFUの数の比を対数スケールで示す。従って、グラフの底部に近いほど、野生型CFUと比較してマウスから回収される変異体細菌の数は少なかった。各マウスの比は、脾臓および肝臓ごとに1つのマーカーで示す。「+RB6」マウスは、L.モノサイトゲネス(L. monocytogenes)を注射する6時間前に好中球枯渇モノクローナル抗体RB6-8C5を注射した(ConlanおよびNorth、1994年)。太い横線は競合指数1を示す。 細胞障害性変異体はゲンタマイシンに対して感受性が強い。5A)1×105 CFU野生型細菌をC57BL/6マウスの尾静脈に注射した。1 mgのゲンタマイシンを皮下注射し、示した時間において、肝臓および脾臓を切除し、均質化し、培養して、各臓器のCFUを求めた。エラーバーは最少7匹のマウスの標準偏差を示す。5B)図4に記載するように、48時間経過時に競合指数を樹立した。「+RB6 gent」と表示するデータ点は、RB6-8C5モノクローナル抗体を感染の6時間前に注射し、並びに臓器採取の6時間前に1 mgの硫酸ゲンタマイシンを皮下注射した。SALTは、LLO S44A L461T株のデータを示す。 病原性の欠損は細胞間拡散の欠損が原因ではない。競合指数は、図4に記載するように実施した。「ΔActA」で示すデータセットについては、野生型LLOを分泌する基準株を含む全ての株が、アクチンに基づいた運動性を排除したActAのインフレーム欠損を含んでいた。6A)「24時間」および「48時間」は臓器採取時間を示す。データ点は、脾臓および肝臓の野生型細菌のCFUで割ったエリスロマイシン耐性LLO L461T細菌の比を示す。「24時間ΔActA」および「48時間ΔActA」は、臓器採取時間並びに脾臓および肝臓から回収した、野生型LLOを分泌するActA遺伝子を含有しない細菌で割ったエリスロマイシン耐性ΔActA LLO L461T細菌の比を示す。6B)A)と同様であるが、LLO S44Aエリスロマイシン耐性変異体を使用して樹立した競合指数比である。

Claims (35)

  1. lplA遺伝子および/またはhly遺伝子から選択される遺伝子に変異を有し、変異がhly遺伝子にある場合には、変異が、hly遺伝子のPEST様配列全体をコードするドメインを除去する欠失変異ではない弱毒リステリア菌。
  2. hly遺伝子に変異を含む、請求項1記載の弱毒リステリア菌。
  3. 変異hly遺伝子が、野生型LLOより溶血性の強いLLO産物をコードする、請求項2記載の弱毒リステリア菌。
  4. 変異hly遺伝子が点変異を含む、請求項3記載の弱毒リステリア菌。
  5. 点変異が残基461に位置する、請求項4記載の弱毒リステリア菌。
  6. 点変異がL461Tである、請求項5記載の弱毒リステリア菌。
  7. 変異hly遺伝子が、hly遺伝子のPEST様配列をコードするドメインに点変異を含む、請求項2記載の弱毒リステリア菌。
  8. 点変異が、PEST様配列内のMAPKリン酸化部位と思われる箇所を改変する、請求項7記載の弱毒リステリア菌。
  9. 点変異が残基44に位置する、請求項8記載の弱毒リステリア菌。
  10. 点変異がS44Aである、請求項9記載の弱毒リステリア菌。
  11. lplA遺伝子に変異を含む、請求項1記載の弱毒リステリア菌。
  12. lplA遺伝子の変異が欠失変異である、請求項11記載の弱毒リステリア菌。
  13. lplA遺伝子の変異が点変異である、請求項11記載の弱毒リステリア菌。
  14. リステリアモノサイトゲネスである、請求項13記載の弱毒リステリア菌。
  15. 異種核酸を含む、請求項1記載の弱毒リステリア菌。
  16. 異種核酸が組込まれている、請求項15記載の弱毒リステリア菌。
  17. 異種核酸が少なくとも1つの産物をコードする、請求項15記載の弱毒リステリア菌。
  18. 少なくとも1つの産物が抗原である、請求項17記載の弱毒リステリア菌。
  19. lplA遺伝子および/またはhly遺伝子から選択される遺伝子に変異を有する弱毒リステリア菌を含むワクチン。
  20. 変異がhly遺伝子にある、請求項19記載のワクチン。
  21. 変異hly遺伝子が、野生型LLOより溶血性の強いLLO産物をコードする、請求項20記載のワクチン。
  22. 変異hly遺伝子が点変異を含む、請求項21記載のワクチン。
  23. 点変異が残基461に位置する、請求項22記載のワクチン。
  24. 点変異がL461Tである、請求項23記載のワクチン。
  25. 変異hly遺伝子が、hly遺伝子のPEST様配列をコードするドメインに点変異を含む、請求項20記載のワクチン。
  26. 点変異が、PEST様配列内のMAPKリン酸化部位と思われる箇所を改変する、請求項25記載のワクチン。
  27. 点変異が残基44に位置する、請求項26記載のワクチン。
  28. 点変異がS44Aである、請求項27記載のワクチン。
  29. 変異がlplA遺伝子にある、請求項19記載のワクチン。
  30. lplA遺伝子の変異が欠損変異である、請求項29記載のワクチン。
  31. lplA遺伝子の変異が点変異である、請求項30記載のワクチン。
  32. 細菌がリステリアモノサイトゲネスである、請求項19記載のワクチン。
  33. 請求項19記載のワクチンの有効な量を被検体に投与する段階
    を含む、被検体の細胞性免疫反応を誘発または追加免疫投与する方法。
  34. lplA遺伝子および/またはhly遺伝子から選択される遺伝子の変異を有する弱毒リステリア菌と併用して有効量の抗原を被検体に投与する段階
    を含む、抗原に対する被検体の細胞性免疫反応を誘発または追加免疫投与する方法。
  35. 細胞に核酸またはポリペプチドを送達する方法であって、
    lplA遺伝子および/またはhly遺伝子から選択される遺伝子の変異を有し、核酸またはタンパク質のヌクレオチドコード配列を含む弱毒リステリア菌を細胞に導入する段階
    を含む方法。
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