以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
(窓の構成)
図1は横軸回転窓の内部側より見る正面図である。開口枠1内に障子2が開口枠1の竪枠6,6と障子2の竪框9,9との間に設けた横軸の軸受装置3,3により回転自在に支持され、障子2は開口枠1に対して開閉可能となっている。
(窓の気密構造)
図2は図1の壁面に直交する方向の平面(見込方向)で切る縦断面図、図3は図1の見込方向の水平断面図である。図3の左側は図1において軸受装置3を除く中間部を示し、右側は図1において軸受装置3を含めて軸受装置3よりも下側を示してある。
図2において図の左側が外部側、同右側が内部側である。図3において図の下側が内部側、上側が外部側である。
開口枠1は上枠5、竪枠6、下枠7が四方組みされている。障子2は上框8、竪框9、下框11が四方組みされ、これら框材の内周に取り付けたシール材12等の部材によりガラス13が気密を保って保持されている。
軸受装置3よりも下方の開口枠1と障子2の気密材は以下のとおりである。
障子2を閉めた状態で下框11の内側材11aは下枠7の外部側を向いて開いた条溝7aに嵌合している気密パッキン15に当接している。条溝7aは下枠7の内側材7bの上部に設けてある。障子2を閉めた状態で各竪框9の内側材9aは竪枠6の外部側を向いて開いた条溝6aに嵌合している気密パッキン16に弾力でもって接している。条溝6aは竪枠6の内側材6cの内周側に設けてある。竪框9の外周材には室内側に面する段部9bが設けてある。
軸受装置3よりも上方の開口枠1と障子2間の気密材については図略しているが、図2の上枠5と上框8のように竪框9に気密パッキン15を嵌合したアタッチ等を取り付け、気密パッキン15を竪枠6に当接させる。
軸受装置3は図3に示すように竪枠6に固定された軸3bに竪框9に固定された軸受3aが回転自在に嵌合している。軸受装置3の構成についての詳細は後述する。軸受装置3の軸線C3は見付方向の水平線である。見込み方向で見て障子2を支持する軸受装置3の軸線C3は障子2のみの重心位置よりも室内側に有る。従って、釣合おもり17(図2参照)がないとすると障子2はその重力で閉じる。外部より建物に向って吹き付ける風により障子2が閉まる力を受けるように軸受装置3は障子2の上下方向の二分位置よりも上方にある。なお、見込方向で見てガイドレール21は障子2のみの重心位置と軸受装置3の軸線C3より室外寄りにある。
上框8の内側材8a、内周材8bに接して釣合おもり17が固定されている。釣合おもり17は上框8の横方向の長さよりもわずかに短く全体としては横長で室内側へ突出している。釣合おもり17は左右両端に設けた室内側に突出するブラケット17aが小ねじ17b,17c、裏板17dでもって上框8に固定されている。両ブラケット17a,17aにわたされた溝形鋼形の横架材17eはボルト、ナット、座金を含む締結部材18aでもって該ブラケット17a,17aに固定されている。横架材17eの溝内には複数の調節用おもり19が配設されている。重ねた調節用おもり19及び横架材17eを貫通する締結部材18bでもって調節用おもり19は横架材17eに対して取外し可能に固定してある。締結部材18bは座金を含むボルトナットである。
釣合おもり17により、障子2は小さな角度見付方向の垂直面に対して例えば45度程度軸受装置3を中心にして傾動した状態で釣合う。即ち、軸受装置3の軸線C3は障子2にモーメントが生じない上下方向の重心位置よりも上方且つ、障子2の室内寄りに設けてある。そして、釣合おもり17を障子2の上框8の室内側に設けることにより、上框8が室内側に、下框11が外部側に位置して所望の角度に傾くように調節用おもり19は加減される。
無風の状態では障子2は下框11が外部側に上框8が室内側に来るように傾いて釣合っているが、風が外壁に向って吹き付けると軸線C3の上下における障子2の表面積の差により、より多くの風力を障子2の下部は受け障子2は軸受装置3を中心にして閉じるように動く。閉じる量は風力の大きさによる。風は強さの消長があるので風力により障子2の開度は変化する。
これによって、一定風速以上の強風時は障子2は自動的に閉まり、風の室内への吹き込みは防止される。無風時は障子2は換気可能な程度に開いているので、建物内外の温度差、他の窓からの通風等により換気される。
竪枠6の内周側には上下方向に配したガイドレール21が小ねじ21aにより固定されている。ガイドレール21は広幅のT溝を有するリップ溝形鋼の形状である。ガイドレール21は竪枠6の内周に設けた突条6bに当接して位置決めされている。ガイドレール21内には上下方向に移動自在にたて・連動桿22が嵌合している。たて・連動桿22は図3を見込方向から見て障子2と竪枠6の間に位置する。
(横軸回転窓の制御装置)
図4は横軸回転窓を室内側から見る正面図である。この実施例は2連窓である。図4において右側の単窓は図略してある。図4に示すように竪枠6と下枠7でなるL字の範囲には強風時等に障子の強制閉鎖を行う換気用ユニット100が配設されている。方立6Aには障子の強制開放を行う排煙用ユニット200が配設されている。換気用ユニット100、排煙用ユニット200は夫々方立6Aを中心にして巻掛伝動媒体のワイヤー関連を除いて左右対称である。
換気用ユニット100を動作させる換気用操作部材112、排煙用ユニット200を動作させる排気用操作部材113が設けてある。何れも内部にワイヤー巻取装置を備えており、換気用操作部材112は換気用ユニット100を駆動するワイヤー24(24A,24B)を巻き取るドラムを備えている。排煙用操作部材113は排煙用ユニット200を駆動するワイヤー25を巻き取るドラムを備えている。これらのドラムは何れも手動又は電動により駆動される。手動の場合はハンドル又はレバーの操作による。電動の場合は押ボタンの操作による。電動の場合は押ボタンから制御回路を介してドラムを駆動するモータに通電する。換気用操作部材112とワイヤー24,ワイヤー24に張力を加える弾性部材である引張コイルばね及びワイヤー24を巻き掛けた滑車(後述)でもって換気用操作装置を構成している。排煙用操作部材113とワイヤー25、ワイヤー25に張力を加えるガスダンパ(後述)でもって排煙用操作装置を構成している。
図5は換気用ユニット100の平面図である。図3に示すように二連窓の方立6Aは左右の窓の竪枠6,6を結合部材6A1で併せてなる。換気用ユニット100は左側の窓の左側、右側の窓の右側の竪枠6と下枠7に沿って配設されている。排煙用ユニット200は方立6Aとなる竪枠6に沿って配設されている。以下図4の左側の窓について説明する。左右の窓は方立6Aを中心にして構成が対称である。
換気用ユニット100の構成部材として以下の部材を有する。各竪枠6と竪框9間には軸受装置3及びこれに付帯する障子回転部材が設けてある。既にのべたように各竪枠6には上下方向に移動自在なたて・連動桿22が設けてある。図4に示すようにたて・連動桿22の下部には緩衝装置70、コーナー滑車装置26が設けられている。下枠7の内部側に沿って横・連動桿27、トリガー28、施錠装置としてロックピン部29及び施錠はしないが自然風力換気中強風により作動する仮ロック装置131が設けられている。
排煙用ユニット200として以下の部材を有する。方立6Aとなる竪枠6と竪框9間には軸受装置3及びこれに付帯する障子回転部材が設けてある。方立となる各竪枠6には上下方向に移動自在にたて・連動桿22Aが設けてある。たて・連動桿22Aを上方に向って付勢する圧力シリンダとしてガスダンパ94が設けてある。尚、ガスダンパ94に替えてばね(例えば圧縮ばね、引張コイルばね、平角線ばね)を設けてもよい。
(軸受装置3廻り)
図3に示すように軸3bは竪枠6に小ねじ3cで止められたスタンド3dにねじ込まれている。軸3bに回転自在に嵌合する軸受3aは竪框9に固定されている。軸受3aにはアーム3a1が一体に設けてある。アーム3a1の先端にはピン軸3a2が固定されている。ピン軸3a2にはピンローラ3a3が回転自在に嵌合している。軸受装置3の軸線C3は見付方向を向いている。ピン軸3a2は円筒形でその中心は軸線C3と平行である。ピンローラ3a3はシフタ34に遊嵌している。シフタ34はたて・連動桿22に小ねじ34dにより固定されている。
ここで、ピン軸3a2、ピンローラ3a3は駆動部材であるシフタ34に対して従動子となっている。
このような軸受装置3及びその周りの部材は竪枠6と竪框9の間に設けてある。
上記において軸受3a、軸3b、ピン軸3a2、ピンローラ3a3、シフタ34は金属例えばステンレス鋼である。
図8は軸受装置3回りを模式的に示す斜視図である。図9、図10は図8の軸受装置3回りを見付方向から見る正面図である。シフタ34はたて・連動桿22に接して固定されたベース34aと、ピンローラ3a3がゆるく嵌合する溝を間にしてベース34aから立設した上ヨーク34bと下ヨーク34cを有する。図8、図9においてたて・連動桿22が矢印イのように下方へ移動すると、上ヨーク34bはピンローラ3a3を押し下げ軸受3aは矢印ロの方向に釣合いおもり17により障子2を開こうとする回転力に抗して回転する。軸受3aに固定されている障子2は上框8が室外側へ移動し、下框11が室内側に向って移動し障子2を閉鎖させる。
図10に示すようにたて・連動桿22が上限位置よりも下方の中間位置まで上昇している際、障子2は既にのべたように例えば無風時垂直方向に対して45度傾いた状態(障子2と釣合おもり17が軸受装置3を中心にして釣合った状態)において下ヨーク34cがピンローラ3a3と離れている。このとき上ヨーク34bとピンローラ3a3はわずかに離れているか接している。従って、図10の状態においては軸受装置3を中心にして障子2と釣合おもり17は釣合い自然換気が行われ風力の消長により障子2は開度を小さい方に変える。
上記においてシフタ34、ピンローラ3a3、アーム3a1、軸受3aはたて・連動桿22から障子2に駆動を伝える駆動伝達部材となっている。
(たて滑車回り)
図11はたて・連動桿22を駆動する部材を示す平面図、図12は図11の側面図である。図11、図12は連窓となっている右側の窓の外側の竪枠側の図である。たて・連動桿22は一つの窓の左右の竪枠6に関して左右対称に構成されている。方立6A側に設けるたて・連動桿は符号を22Aと付すが方立となっていないたて・連動桿22とは下部の連動桿22と22Aを駆動のための滑車装置(竪枠側符号26、方立側符号33)及びたて・連動桿22,22Aを常時付勢している部材(ばね、ガスダンパ)を異にしていることを除くと同一である。
たて・連動桿22には室内側に向って片持梁状にのびる支板35が固定されている。図11に示すように支板35の根本及びたて・連動桿22を貫通する小ねじ35aがたて・連動桿22の背面に当接嵌合する裏板22aにねじ込まれることにより、たて・連動桿22と支板35は固定されている。
図12に示すように支板35に固定されたばね掛け36に下端が引っ掛けられた引張コイルばね(側面は両端を除いて捲回部分を丁度囲む方形で示す。以下、同じように示す図がある)37の上端はばね掛け38に引っ掛けられている。図11に示すようにばね掛け38は根本にベース38aを一体に有する。ベース38a及び竪枠6の周材6dを貫通する小ねじ39は周材6dの外周側に接する裏板41にねじ込まれることによってばね掛け38は竪枠6に固定されている。
図13はガイドレール21の上部を示す。引張コイルばね37のばね力で上昇したたて・連動桿22の上端はストッパ21bに衝接して位置が定まる。このとき、後述するように障子2が開く角度は壁面に対して45度である。ストッパ21bはガイドレール21の溝内にあり、ガイドレール21に小ねじ21cでもって固定される。なお、ガイドレール21の下部、ガイドレール44(後述)にも図13と同様のストッパを備えているが図示されない場合がある。
上記構成により、たて・連動桿22は引張コイルばね37のばね力で上方に向って付勢されている。たて・連動桿22は換気用操作部材112からの図7のコーナー滑車装置26を介したワイヤー24Aにより、このばね37のばね力に抗して引き下げられて位置が定まる。
上記によって竪枠6に沿って上下動自在に設けられたたて・連動桿22と、たて・連動桿22から障子2までの駆動伝達部材と、を有し、たて・連動桿22が不動のまま障子2が自然風力で開度を変化する第1の位置と、第1の位置から一方向に移動して障子2を閉じた第2の位置と、第1の位置から他方向に移動して障子2を全開した第3の位置をとることができる遊びを駆動伝達部材が有する自然風力換気窓の軸受装置3の回りの構成について説明した。
(横・連動桿)
図14、図15はトリガー回りを示す平面図、図16は図14の側面図(見付方向から見て正面図)、図17はトリガーアセンブリの正面図、図18は施錠装置のロックピン回りを示す平面図、図19は図18の側面図、図20は仮ロック装置を示す平面図、図21は図20の側面図である。
図14から図21(図17を除く)に示すように下枠7の内側材7bに沿ってガイドレール44が配設されている。ガイドレール44はリップ溝形鋼形で上に向って開口している。ガイドレール44は内側材7bとわずかに間を置いており、例えば、図19に示すように内側材7bに小ねじ45aで固定されたブラケット45に固定されている。ガイドレール44には移動自在に横・連動桿27が嵌合している。
横・連動桿27上面にはロックピン45c、ストッパ46、仮ロック解除ピン150(図5、図14、図15、図16、図18、図19、図20、図21参照)が固定されている。ロックピン45c、仮ロック解除ピン150は直立して円筒形である。
図16に示すようにストッパ46はストッパ46、横・連動桿27を貫通して横・連動桿27の下面に嵌め込んだ裏板27bにねじ込んだ小ねじ46bによって横・連動桿27の上面に固定されている。図15に示すようにストッパ46の幅は横・連動桿27の上面の幅よりもわずかに小さく一端46cは半円形である。図5、図6は図4の連窓の左側の窓を示しており、室内側より見て右側より左側に向って仮ロック解除ピン150、ロックピン45c、ストッパ46の順に配列されている。
図4の一部拡大図の図6、図6の平面図の図5に示すように横・連動桿27上には、仮ロック装置131の右方においてばね掛け47が設けてある。ばね掛け47は横・連動桿27の上面に当接して小ねじ48により固定されたベース47a上にばね掛けピン47bを立設してある。一端がばね掛けピン47bに引っ掛けられた引張コイルばね49の他端は図4に示すようにばね掛け50のばね掛けピン50aに引っ掛けられている。図4に示すばね掛け50はばね掛けピン50aを立設しているベース50bが下枠7の内側材7bに固定されて室内側へ突出した支持板7hに固定される。尚、横・連動桿27を案内しているガイドレール44は支持板7hと後述の支持板7eに固定されている。これによって、横・連動桿27は図4、図5、図6において引張コイルばね49のばね力により右方へ向って付勢されている。図5、図6における横・連動桿27の右行端は、ガイドレール44に固定した図示されないストッパ(図13参照)に横・連動桿27端が衝接して定まる。
図5、図6においてトリガー28の左方の位置には滑車54,55が設けられている。滑車54は横・連動桿27上に固定した支持台56に固定したピン57に回転自在に支持されている。滑車55は支持台58に固定したピン59に回転自在に支持されている。ピン57,59は平行している。滑車54,55は上下方向同一位置にある。支持台56,58は対向部が開放された溝形鋼形である。支持台56の下方のフランジ56aは横・連動桿27の上面に当接している。フランジ56aを挿通する小ねじ61を横・連動桿27の背面に嵌め込んだ裏板(図示されない)にねじ込むことにより支持台56は横・連動桿27に固定されている。本例では支持台56,58は形状寸法が同一である。支持台58はそのフランジ58aが図6に示すようにくら形の台63上面に当接し、フランジ58aを挿通する小ねじ64を台63の上面材にねじ込むことにより台63に固定されている。台63は下枠7の内側材7bに固定されたL形のブラケット65に小ねじ66により固定されている。
図5に二点鎖線で示すように一方が滑車54の左側に左方に向って下枠7に平行に直線状に張設されているワイヤー24Bは滑車54の右側に巻き掛けられ、他方は滑車54から退出して滑車55の左側に巻き掛けられ滑車55から右方に下枠7に平行して延びる。滑車54,55間はワイヤー24Bはたすき掛けである。滑車54,55については右方に延びたワイヤー24Bは図4に示す右側の窓に一部を除いて対称に配設される。即ち、換気用ユニット100は方立6Aを中心にして左右対称である。ワイヤー24については更に後述する。
(トリガー)
図14、図15、図16、図17に示すように全体を符号28Aで示すトリガーアセンブリはトリガー28がブラケット28a上に立設したピン28bに回転自在に支持されている。図17に示すトリガー28に一体に設けられたボス28cに挿入されたねじりコイルばね28dの一端28d1はトリガー28に引っ掛けられ、他端28d2はブラケット28aに立設したストップピン28eに弾力で接している。該ばね28dのばね力で図14においてトリガー28はピン28bを中心として反時計回りの付勢力を受けてストップピン28eに接している。トリガー28がストップピン28eに接している状態でトリガー28と横・連動桿27は平行している。
トリガー28は幅がストッパ46よりもわずかに大きく帯鋼製である。トリガー28は帯鋼製で水平なビーム28hの両端が折曲してストッパ46の端面に当る位置まで垂下し一端が横・連動桿27の左行を規制するストッパ46に係脱するストッパ止め28−1、他端が障子側のカム部29sに押されるカム作動子28−2となっている。図16に示すようにトリガーアセンブリ28Aのブラケット28aはアングル形状をしており、垂直方向のフランジは下枠の内側材7bに当接し、ブラケット28aの穴28a1及び内側材7bの穴を挿通し、内側材7bの外部側の面に当接した裏板28fにねじ込んだ小ねじ28gにより下枠7に固定されている。裏板28は下枠7に小ねじ28gにより固定されている。
トリガー28はピン28bからストッパ止め28−1までの長さが、ピン28bからカム作動子28−2までの長さよりも著しく大きい。これによって、障子側のカム部29sがカム作動子28−2をわずかに移動させるだけでストッパ止め28−1はストッパ46から外れる。ストッパ止め28−1とカム作動子28−2間の距離はストッパ46の長さよりも長くなっている。
トリガーアセンブリ28Aを下枠7に取付けた状態(障子2が施錠されていない状態)において障子2が開いている際は平面で見てトリガー28と横・連動桿27は長手方向を一致させて重なっている。
(施錠装置)
図18は施錠装置の平面図、図19は図18の側面図である。下枠7に小ねじ45aにより下側の上下方向のフランジ45bが固定されたブラケット45は上側の水平方向のフランジ45dに上下方向の軸心を持つ軸受45e(図18では図略)が植設してある。先に述べたがブラケット45は図19に示すように横方向のフランジ45dは横・連動桿27を嵌合したガイドレール44を支持している。軸受45eには下側につばを有するピン45fが回転自在に嵌合している。
ピン45fの上端にはフック69の根本が固定してある。フック69は施錠装置における障子側の受金であるピン部29bに係脱可能な引掛け部69bを先端に有する。フック69にはカム穴69aが設けてある。このカム穴69aには横・連動桿27上に立設したロックピン45cが挿入してある。ロックピン45cは下端の縮径したおねじが横・連動桿27を貫通して横・連動桿27の裏面側に嵌め込んだ裏板27fにねじ込んである。裏板27fは横・連動桿27に小ねじ27gにより固定されている。
カム穴69aは縁69a1〜69a4を有する。施錠状態において、横・連動桿27に対して縁69a4,69a3は平行、縁69a2は直角、縁69a1は縁69a4に続いて右下りの斜面となっている。縁69a3と69a4の対向間隔はロックピン45cの直径よりわずかに大きい。
たて・連動桿22の下降により障子2がほぼ閉まった後は横・連動桿27は図18において左行する。するとロックピン45cは左行して点線位置にある施錠装置の掛金であるフック69を軸受45eを中心にして反時計回りに回動してピン部29bを室内側へ引寄せて障子2をロックする。このときロックピン45cはカム穴69aの縁69a1を加圧し乍移動する。これによって、障子2の引寄せが行われる。図18の実線で示すようにロックピン45cがピン部29bと内外方向のほぼ一直線上にあるとき、縁69a1に続く縁69a4は横・連動桿27と平行している。このとき、フック69の引っ掛け部69bは横・連動桿27に平行してピン部29bに係合して障子2は閉じている。
ピン部29bに対するフック69の係止の解除は、横・連動桿27の図18においての右行によりロックピン45cが右行して軸受45eを中心にフック69は時計回りに回動して行われる。このとき、ロックピン45cはカム穴69aの縁には縁69a4,69a3,69a2の順に接触する。ロックピン45cが縁69a4を離れて図18において右行して縁69a2までの間はロックピン45cは障子2の引寄せが弛んだだけの見込方向に移動し縁69a3と摺動するがフック69に作用しない。このとき軸受装置3の遊び分以内だけたて・連動桿22が上昇するがたて・連動桿22から軸受装置3への運動の伝達はない。
横・連動桿27の右行によりロックピン45cは縁69a2を押し、フック69は軸受45eを中心にして時計回りに回動し、続いてロックピン45cは縁69a3を加圧し、摺動し図18の点線で示すように縁69a3,69a4間に入る。施錠の際、ロックピン45cは縁69a4を加圧し乍縁69a4と接触位置を変える。このように、横・連動桿27は施錠時に遊びがなくフック69を駆動し、解錠時は遊び分だけ移動した後にフック69を駆動するように構成してある。
(仮ロック装置)
図20は平面図、図21は側面図で示す仮ロック装置131である。仮ロック装置131は障子2が自然風力による換気を行っている第1の位置にある状態で障子2が緩衝装置70(詳細は後述する)を圧して閉鎖した際に仮ロック作動して、障子2が強風にあおられ続ける状態を防止するものである。
図21に示すアングル形状のブラケット151は下枠7の内側材7bの室内側の面に当接している。内側材7bの外側に当接する裏板152は下枠7に小ねじ152aで固定されている。ブラケット151のたてフランジ、内側材7bを挿通して小ねじ151aが裏板152にねじ込まれ、ブラケット151は下枠7に固定されている。ブラケット151の横フランジの先端部には中心が垂直方向の円筒形の支持ピン151bが植設してある。支持ピン151bには仮ロックアーム153の根本のボス153aが回転自在に嵌合している。仮ロックアーム153のボス153aに挿入されたねじりコイルばね154の一端は仮ロックアーム153に係止され他端はブラケット151の横フランジに係止されて、仮ロックアーム153は図20において支持ピン151bを中心にして時計回りに該ばね154により付勢されている。
仮ロックアーム153は先端がフック状でフック部153bには障子2が閉るときに障子2の下框11に設けた仮ロックピン155が外部側から内部側に移動して当り、ねじりコイルばね154のばね力に抗して図20において仮ロックアーム153を支持ピン151bを中心にして反時計回りに回転させられるカム部153cと、カム部153cを仮ロックピン155がのり越えて更に内部側の位置に移動した際、仮ロックアーム153がねじりコイルばね154のばね力で支持ピン151bを中心にして時計周りに回動して、仮ロックピン155を抱きかかえる係止面153dと、仮ロックアーム153がねじりコイルばね154のばね力による回転でストッパ151hに当った際に制止されるが仮ロックピン155と接触しない逃げ面153eを有する。係止面153dは仮ロックアーム153がストッパ151hに当った状態を実線で示した図20において左右方向を向いており、逃げ面153eは図20において内外部方向を向いた直線である。仮ロックピン155と仮ロックアーム153の係合により障子2側から加える外力で障子2が開かないようになっている。仮ロックアーム153の係止面153dに仮ロックピン155が接している状態では障子2は閉じてはいるが全閉しておらず、図20において障子2が全閉するとき仮ロックピン155は逃げ面153eに沿って内部側へ移動する。
障子2側についてのべる。図21に示すように障子2の下框11に下側のフランジ156cが小ねじ156aにより固定されたブラケット156の上側のフランジ156bの先端には円筒形の仮ロックピン155が植設されて仮ロックアーム153に係合可能な位置まで垂下している。上側のフランジ156bの図20において左下の角の下側には斜設した仮ロック解除板ばね157が固定されている。下枠7に固定したブラケット151の横フランジには支持ピン151cが植設してある。支持ピン151cに根本のボス158dが回転自在に嵌合している仮ロック制御レバー158が設けてある。ボス158dに挿入されたねじりコイルばね161のばね端は一端がブラケット151の横フランジに係止され他端は仮ロック制御レバー158に係止され、仮ロック制御レバー158は図20において支持ピン151cを中心にして反時計回りに付勢されている。仮ロックアーム153と仮ロック制御レバー158は水平な平板状で板面が接近して重なっている。仮ロックアーム153に植設した仮ロック解除保持ピン153fは仮ロック制御レバー158のカム面158aが摺動可能な位置にある。
ほぼベルクランク状の仮ロック制御レバー158は一方のレバーのカム面158aに続いて根本に近い側に、仮ロック解除保持ピン153fと係合して仮ロックアーム153の図20において支持ピン151bを中心とするねじりコイルばね154の回転力に抗して時計回りの回転を止める保持部158bを有する。仮ロック制御レバー158の他方のレバーの先端には仮ロック復帰ピン158cが固定されている。
障子2が完全に閉鎖して施錠される際は、施錠のために左行する横・連動桿27上に固定してある仮ロック解除ピン150は左行して仮ロックアーム153に当り仮ロックアーム153を支持ピン151bを中心にして図20において反時計回りに回動して、仮ロックピン155と仮ロックアーム153の係合は解かれる。
仮ロックアーム153は仮ロック解除保持ピン153fが、ねじりコイルばね161のばね力で支持ピン151cを中心にして反時計回りに回動する仮ロック制御レバー158の保持部158bにより仮ロック解除の状態に保たれる。
仮ロック復帰ピン158cは障子2が閉鎖された状態から開く際にロック解除板ばね157の外部側への移動により作用され、仮ロック制御レバー158を図20において支持ピン151cを中心にして時計回りに回転する。これによって、該レバー158の保持部158bに係止されている仮ロック解除保持ピン153fは保持部158bから開放され仮ロックアーム153は図20において支持ピン151bを中心にして時計回りに回転する。その際仮ロック解除保持ピン153fは仮ロック制御レバー158のカム面158a上を滑動する。このときねじりコイルばね161のばね力で仮ロック制御レバー158は図20において支持ピン151cを中心にして反時計回りに回転力を受けている。従ってカム面158aと仮ロック解除保持ピン153f間には摺動抵抗が生じる。
ここで、仮ロックアーム153、仮ロック制御レバー158を夫々付勢しているねじりコイルばね154と161の関係についてのべる。図20に示すように仮ロック制御レバー158のカム面158aは仮ロックアーム153を支持する円筒形の支持ピン151bの中心と円筒形のロック解除保持ピン153fとほぼ直線状のカム面158aとの接点P1を結ぶ直線に対して直角な直線に対して斜設してある。この斜設方向は仮ロックアーム153を支持する支持ピン151bの中心から見て緩い右上りである。即ち、仮ロック制御レバー158を支持する支持ピン151cの中心P2と接点P1を結ぶ線とカム面158aが接点P1を頂点とする角は支持ピン151c側に向って開いている。従って、仮ロック制御レバー158を付勢するねじりコイルばね161のばね力による摺動抵抗は支持ピン151bを中心にして時計回りに回転する仮ロックアーム153を付勢するねじりコイルばね154に対する負荷となる。そこで、この負荷に打克って仮ロックアーム153の回転を保障するように仮ロックアーム153を付勢するねじりコイルばね154のばね力は仮ロック制御レバー158を付勢するねじりコイルばね161のばね力よりも強くしてある。
図20に示すようにブラケット151の横フランジにストッパ151hが立設されている。ストッパ151hは障子2がほぼ閉って仮ロックされているとき、障子2が開放されて仮ロック作用の待機をしているときに、仮ロックアーム153のねじりコイルばね154による回転を阻止するように仮ロックアーム153と当接する位置にある。
既にのべたように横・連動桿27には竪軸の円筒形の仮ロック解除ピン150が植設してある。仮ロック解除ピン150の下部は横・連動桿27の穴に嵌合し横・連動桿27の背面に嵌合する取付板部27dと一体となっている。取付板部27dを挿通して小ねじ27eが横・連動桿27にねじ込まれている。
図20において、横・連動桿27の左行により、仮ロック状態の仮ロックアーム153に仮ロック解除ピン150が当ると、仮ロックアーム153は支持ピン151bを中心にして反時計回りに回転して、その係止面153dは障子側の仮ロックピン155から左方に離れる。これによってここで、仮ロックピン155は見込方向の外部側に向って自在に移動できる。この仮ロックアーム153の反時計回りの回転の限度位置まで、仮ロック解除ピン150が移動できるようにブラケット151の横フランジには切欠き151dが設けてある。
上記において、図面は画法上一部透視図としてある。即ち、図20において小ねじ156a、ブラケット151、仮ロック制御レバー158、仮ロックアーム153、が下から上に重なっているが、重なっている部分において小ねじ156a、仮ロック制御レバー158、ブラケット151は実線で示してある。また、作用を示す図形は点線で示した部分である。
仮ロック装置は次にのべる緩衝装置を有しない自然風力換気窓においても有効である。
(緩衝装置)
図22は緩衝装置70の側面図、図23は図22の平面図、図24は図22に示す緩衝アーム組物70Aを左側から見る正面図である。
竪枠6の近くで下枠7にはアングル状の取付ベース71が下枠7の内側材7b、周材7cに接している。取付ベース71の横フランジ71aは図示されない小ねじにより周材7cに固定されている。取付ベース71のたてフランジ71bには平面で見てアングル状の緩衝アーム取付ブラケット73が当接している。内側材7b、又は内側材7b及び竪枠6の内側材6c(開口枠1が竪枠勝に四方組されている場合)及びたてフランジ71bを挿通して小ねじ74が緩衝アーム取付ブラケット73にねじ込まれている。これによって緩衝アーム取付ブラケット73が下枠7側に固定されることにより取付ブラケット73を含み全体を符号70Aで示す緩衝アーム組物が下枠7に固設される。
図24に示すように取付ブラケット73の取付ベース71に接していない見込方向のフランジにはアーム取付ピン75が固定されている。アーム取付ピン75には緩衝アーム76の根本のボス76aの中心の穴が回転自在に嵌合している。ボス76aにはねじりコイルばね77が挿入されている。該ばね77の一端は取付ブラケット73に係止され、他端は緩衝アーム76の中間に係止されており、図22において該ばね77のばね力で緩衝アーム76はアーム取付ピン75を中心にして時計回りに付勢されている。緩衝アーム76のねじりコイルばね77の回転力による回転は、緩衝アーム76がストッパ73aに当ることにより止められる。ストッパ73aは取付ブラケット73に固定されている(図22、図23参照)。
図24に示すように緩衝アーム76の先端には先端ピン軸76bがかしめて固定されている。該ピン軸76bには緩衝ローラ78が回転自在に嵌合している。緩衝アーム76の中間には中間ピン軸76cがかしめて固定されている。中間ピン軸76cには緩衝解除ローラ79が回転自在に嵌合している。アーム取付ピン75、先端ピン軸76b、中間ピン軸76cの各軸心は平行している。壁面に沿う方向(見付方向)で見て緩衝ローラ78と緩衝解除ローラ79は緩衝アーム76を間にして互に反対側にある。緩衝アーム76の先端に設ける先端部材は緩衝ローラ78に限らず、竪框9の段部9bと摺動する部材でもよい。
図23に示すように緩衝ローラ78は竪框9の段部9bが衝接する位置にある。緩衝解除ローラ79はたて・連動桿22の下部に小ねじ81cにより固定された直動カム81に作用されるカム従動子となる位置にある。図22に示すように直動カム81のカム作用面81aは垂直方向に対して斜設されており、直動カム81のカムトップ81b上に緩衝解除ローラ79がある図22の位置においては、障子2の引寄せの直前から障子2が閉まり切った施錠状態において緩衝ローラ78は竪框9の段部9bとわずかに離れた位置にある。
直動カム81が上昇するとカム作用面81aは共に上昇し緩衝アーム76は図22においてねじりコイルばね77のばね力でアーム取付ピン75を中心にして時計回りに回動し、緩衝解除ローラ79は直動カム81のカム作用面81aに沿って転動し、緩衝アーム76はストッパ73aに当り、外部側に斜めに倒れた状態となる(図22の点線位置)。直動カム81が下降すると緩衝解除ローラ79とカム作用面81aは緩衝解除ローラ79を押し、緩衝アーム76は図22においてアーム取付ピン75を中心にして回転し図22に実線で示すように直立する。
自然風力で障子2が閉る際、竪框9の段部9bが緩衝ローラ78に当るので緩衝アーム76は図22において点線位置からアーム取付ピン75を中心にして反時計回りに回転させられる。このときねじりコイルばね77はねじられ次第にばね力が強くなって行くので障子2の閉る際における風力及び慣性力による軸受装置3の軸3bを中心とする回転エネルギーはゆるやかに吸収される。
障子2が閉って仮ロックされた状態では、障子2は自然風力換気の第1の位置にあり、たて・連動桿22は中間位置にあり、直動カム81は緩衝解除ローラ79から離れて上方にある。緩衝アーム76は図22において直立した位置と斜めになった位置の中間位置にとどまり、障子2の下框11に設けた仮ロックピン155と仮ロックアーム153の係止面153dは緩衝アーム76を付勢しているねじりコイルばね77のばね力に基く力で加圧されている。従って、障子2の下部は見込方向への移動を制止され、障子2ががたつくことがない。
解錠される際、施錠装置のロックピン45cが図18において右行して縁69a2に接するまでは解錠されない。横・連動桿27はワイヤー24Bを弛めたて・連動桿22と共に直動カム81は上昇し、カム作用面81aは緩衝解除ローラ79から離れる方向に変位する。緩衝アーム76はねじりコイルばね77のばね力でアーム取付ピン75を中心にして時計回りに回転し始める。即ち、解錠されたときには、緩衝装置は作用して障子2の開き始めの動きを加勢する。
(排煙機構)
方立6Aには排煙用ユニット200が設けられる。図25(a)は排煙用ユニット200に採用された排煙機構の正面図、図25(b)は側面図である。図26は排煙機構を含む方立の正面図、図27は図26の左側面図、図28は図26の右側面図、図29は図26のC−C断面図、図30は図26のB−B断面図である。
図29、図30に示すように方立6Aは竪枠6,6を結合部材6A1,6A2で結合してある。ブラケット87を挿通する小ねじ87aは結合部材6A1を挿通して方立6Aを構成する竪枠6,6の内側材6cにねじ込まれている。結合部材6A2は夫々がZ形鋼形の部材の一端のフランジを重ねて小ねじ6A21で結合して全体としてリップ溝形鋼形である。結合部材6A2はそのフランジを挿通する小ねじ88aを躯体側部材89にねじ込んである。結合部材6A2のウエブには竪枠6を挿通した小ねじ88bがねじ込まれている。かかる結合部材6A1,6A2は少なくとも方立6Aの上下に配設されている。
図29に示すように方立側のたて・連動桿22Aに当接するZ形鋼形のブラケット92の一方のフランジとたて・連動桿22Aを挿通して小ねじ92aがたて・連動桿22Aの背面に嵌め込まれた裏板22Abにねじ込まれることにより、該ブラケット92はたて・連動桿22Aに固定されている。ブラケット92の他方のフランジには、くら93が小ねじ93dにより固定されている。くら93には見付方向の軸心を持つ円筒部93a、円筒部93aから縮径したおねじ93bが設けてある。円筒部93aにはガスダンパ94のシリンダ94aの一端に一体的に設けた取付部94bが回転及びわずかな軸方向移動を許されるように嵌合している。おねじ93bにナット93cがねじ込まれている。図25に示すようにガスダンパ94のシリンダ94aの他端からシリンダ94aに対して出入り自在なピストンロッド94cの先端が方立6Aに固定されたベース95に取り付けられている。ベース95に固定した見付方向の軸心を持つ段形状の円筒部95a、円筒部95aから縮径したおねじ95bを有するロッド結合部材95dが設けてある。円筒部95aにガスダンパ94のピストンロッド94cの先端の接手部94dが回転及びわずかな軸方向の移動を許されるように嵌合している。おねじ95bにナット95cがねじ込まれている。
シリンダ94a内にはピストンロッド94cに固定したピストンが移動自在に密封して嵌合されており、ピストン背部側(反ロッド側)には高圧ガスが封止されている。これによってピストンロッド94cはシリンダ94aから押し出されるように付勢されている。上記封入高圧ガスはばね常数が小さく、圧縮長さが大きい圧縮コイルばねに例えることが出来、ピストンロッド94cの位置の変化に対して出力となる圧力の変動は小さい。ここで、シリンダ94aに封止されているガスは例えば窒素ガスである。
(操作装置)
たて・連動桿22,22A横・連動桿27を牽引するワイヤー24(24A,24B),25の掛け方について説明する。巻掛伝動媒体として設けたワイヤー24,25は単線又は捻り線のばね鋼の線である。
操作装置はハンドル装置のようにドラムに捲回したワイヤー24,25と、操作部材112,113としてドラムを回転する手動のハンドルを有する。ワイヤー24は換気操作用、ワイヤー25は排煙操作用である。
図6、図7に示すように連窓の左方の窓の左下のコーナーには滑車群(第1滑車26aから第6滑車26f)を有する滑車装置26でもってワイヤー24のたて・横方向張設の変換機構としてある。第1滑車26aから第6滑車26fは夫々が後述する部材に固定した固定軸に回転自在に嵌合している。
図7に示すように竪枠6の内側材6cに固定されたブラケット6eに固設した固定軸6e1に第1滑車26aが回転自在に支持されている。第1滑車26aに下から上に向って巻き掛けられて上側から室内側より外部側に向って退出するワイヤー24が下側から上方に向うように第2滑車26bに巻き掛けられている。第2滑車26bは図6、図7に示すように竪枠6の周材6dに固定されたブラケット6gに固設した固定軸6g1に回転自在に嵌合している。第2滑車26bから上方に退出したワイヤー24はたて・連動桿22の幅方向の中央に立設した固定軸22bに回転自在に支持されている第3滑車26cの上側に180度を少し越る巻掛角でもって巻き掛けられている。第3滑車26cから斜め下方に向って退出したワイヤー24は第4滑車26dの図7において左側から下側に向って巻き掛けられている。第2滑車26bの直下に第4滑車26dが位置する。第4滑車26dは第2滑車26bを支持する固定軸6g1を設けたブラケット6gに固設した固定軸6g2に回転自在に嵌合している。上記において、第1から第4までの滑車26a〜26dは同一平面状に有り、固定軸6e1,6g1,22b,6g2は平行しており、見付方向の水平軸心を持つ。
下枠7の内側材7bに当接固定したブラケット7gの板面が水平な横フランジに立設した固定軸7c1,7c2は夫々第5滑車26e,第6滑車26fが回転自在に嵌合している。第4滑車26dから水平方向に内部に向って退出したワイヤー24は第5滑車26eの図6において左側、図7において手前側に巻き掛けられる。第5滑車26eと第6滑車26fは見付方向で同一位置に有り、見込方向では第5滑車26eは第6滑車26fの外部側にある。第5滑車26e、第6滑車26f間にはワイヤー24がたすき掛けに巻き掛けられている。第6滑車26fからワイヤー24は下枠7に平行な方向に下枠7に沿って退出する(符号24B)。
上記において、たて・連動桿22は引張コイルばね37でもって上方に向って付勢されているので、ワイヤー24が弛められるとたて・連動桿22は上昇する。ワイヤー24の換気用操作部材112に結合されている側のワイヤー24A(図7参照)を引くと、第2滑車26bと第3滑車26c間に張設されているワイヤー24には引張力が働く。この引張力はたて・連動桿22を上方に向って付勢している引張コイルばね37のばね力と、たて・連動桿22とガイドレール21間の摺動抵抗、軸受装置3の摩擦抵抗、及びたて・連動桿22から軸受装置3を介して障子2を閉める又は開く方向に動く場合の慣性抵抗が加わる。
実施例では第2滑車26bと第3滑車26c間でのワイヤー24はたて・連動桿22の移動方向に平行しており、たて・連動桿22の幅方向からわずかしか離れていない。そして、第3滑車26cと第4滑車26d間に張設されたワイヤー24の張力T1(図面には記載しない)は第2滑車26bと第3滑車26c間に張設されたワイヤー24の張力T2(図面には記載しない)とほぼ等しい。従って、たて・連動桿22に立設した固定軸22bには近似的にT1+T2のワイヤー24の張力に基く外力が垂直方向からわずかに傾いた下方に働く。従って、コーナー滑車装置26によりたて・連動桿22に生ずるサイドスラストは小さい。なお、引張コイルばね37の位置もたて・連動桿22に近接しているのでワイヤー24が弛められたて・連動桿22が引張コイルばね37のばね力で上昇する際も上記サイドスラストは小さい。
本実施例では第1滑車26aから垂下しているワイヤー24Aが引かれると、ワイヤー24Bが横・連動桿27を引いて左行させるが、横・連動桿27がわずかに左行するとトリガー28のストッパ止め28−1にストッパ46が係合してそれ以上の左行を規制している。このことで、たて・連動桿22が降下した後に横・連動桿27が左行するようにしているが、横・連動桿27を右方へ引張っている引張コイルばね49のばね力を、たて・連動桿22を上方へ引張っている引張コイルばね37のばね力がワイヤー24Bに及ぼす張力よりも大きくしてワイヤー24Bを不動とし、横・連動桿27が可動な状態においても引張コイルばね49のばね力で右行端にありたて・連動桿22(直動カム81)が降下してストッパ42に(図13参照)に当るまで移動しないようにすることもできる。ワイヤー24B側から滑車装置26の第6滑車26f、第5滑車26e、第4滑車26d、たて・連動桿22に設けた第3滑車26cまで巻き掛けてあるワイヤー24もワイヤー24の張設方向に移動しない。従って、第1滑車26aから垂下しているワイヤー24Aは下方へ移動すると共に第1滑車26aは固定軸6e1上で回転し、第1滑車26a、第2滑車26b間のワイヤー24は図7において右行するので第2滑車26bは固定軸6g1上で回転する。これによって第2滑車26bと第3滑車26c間のワイヤー24は下方に移動して、第3滑車26cは下降し、ガイドレール21に案内されてたて・連動桿22は下方に移動する。換気用操作部材112側からワイヤー24Aを弛めると、引張コイルばね37のばね力でたて・連動桿22は上昇する。
ワイヤー24Aの一方端側は換気用操作部材112内の図示されないドラムに捲回されている。このワイヤー24Aの他方端側24a(図7参照)はたて・連動桿22近くで滑車群の第5滑車26e、第6滑車26fによって方向が変更され、下枠7に沿って配されるワイヤー24Bとなる。ワイヤー24Aが引張コイルばね37のばね力に抗して移動する際のトラベルはたて・連動桿22のトラベルの2倍である。従って、たて・連動桿22側の移動における摩擦・慣性抵抗を除いて引張コイルばね37のばね力の2分の1の引張力がワイヤー24Aに生ずる。滑車装置26に巻き掛けられた部分から換気用操作部材112間のワイヤー24Aは滑車等の案内部材(図示されない)を介して張設されている。
図5、図38に示す換気用操作装置の部材として設けたワイヤー24Bは滑車54,55に巻き掛けられる。方立6Aを対称の中心として連窓の両側の窓の滑車54,55は対称位置にある。滑車54,54間の見付方向の外側に滑車55,55がある。また、滑車54,54の室内側に滑車55,55がある。図38に示すように、連窓の右側の窓の滑車55から右方に離れてリターン滑車105,106が設けてある。
換気用操作部材112内の図示されないドラムに一端側(24A)が捲回されたワイヤー24Bは図示されない滑車等の案内部材を介して図38に示すように下枠7に沿って図4における連窓の右側の窓の右端まで配され、右端から固設したリターン滑車105,106(図略有り)を介して図38における右側の滑車54,55に巻き掛けてある。そして右側の滑車55と左側の滑車55間に張設されたワイヤー24Bは左側の滑車55,54に巻き掛けられたあとは下枠7近くで図示されない部材に固定されるワイヤーエンド24Beとなる。滑車54,55間ではワイヤー24Bはたすき掛けである。
なお、図39に示すように、横・連動桿27をワイヤーで移動するのに単窓の場合はリターン滑車が不要となり、ワイヤー24Bsは竪枠6側から滑車54に巻き掛けられ滑車55にたすき掛けされ、任意の位置24Bseで図示されない部材に固定される。よって、ワイヤー24Bの配列の向きは、図5と逆になる。更には、上記において滑車54に巻き掛けられた後のワイヤー24Bsは滑車55をなくして図示されない部材に固定することもできる。
上記構成により、連窓の左右の横・連動桿27は換気用操作部材112からのワイヤー24Bの張力によって互に遠のく方向へ移動すると共にワイヤー24Bが弛められると引張コイルばね49のばね力で互に近づく方向に移動する。
(排煙操作装置)
排煙用操作部材113内のドラムに捲回されて引出されたワイヤー25が図示されない滑車を介して連窓の左側の窓の竪枠6の下側から下枠7の内側材7bの内側面に沿って水平にのびて、方立6Aの位置近くで図26に示す滑車96a,96bの順に巻き掛けられる。滑車96a,96bは下枠7に固定されたブラケット7dの上面のフランジに立設された固定軸7d1,7d2に回転自在に嵌合している。滑車96a,96bは見込方向は同一位置にある。左側の窓の左側の竪枠6側から方立6Aに向って張設され滑車96aの下枠7の内側材7bに近い側に巻き掛けられたワイヤー25は滑車96a,96b間はたすき掛けとなる。滑車96bから図26において右方へ下枠7に平行して退出したワイヤー25は滑車96cの下側から巻き掛けられ上向きに退出する。滑車96cはブラケット7dに立設したスタンド7d3に固設した見込方向に軸心を持つ固定軸7d4に回転自在に支持されている。
図27に示すように滑車96cから上方に向けて退出したワイヤー25は滑車96dの室内側から上側に巻き掛けられ見込方向の外部側へ向って退出する。滑車96dは支持柱のブラケット87のフランジに固定されたくら87bに立設した固定軸87cに回転自在に支軸されている。固定軸87cの軸心は見付方向を向いている。滑車96dから外部側に向って退出したワイヤー25は滑車96eの下側に進入して側方に向って巻き掛けられ上方に向って退出する。滑車96eはサドル97に立設した固定軸97aに回転自在に嵌合している。サドル97は方立6Aにおける竪枠6に小ねじ97bで固定されている。滑車96eを退出して垂直上方に延びるワイヤー25は滑車96fの上側に巻掛け角180度で巻き掛けられる。滑車96fはブラケット98に植設した固定軸98aに回転自在に嵌合している。図27、図30に示すように固定軸98aはたて・連動桿22Aの幅方向の中央に位置する。図30に示すようブラケット98、たて・連動桿22Aを挿通してたて・連動桿22Aの背部に当接嵌合している裏板22Acに小ねじ98bがねじ込まれることによりブラケット98はたて・連動桿22Aに当接支持される。滑車96fの上半分に巻き掛けられたワイヤー25は垂下して滑車96gの外部側に進入して下側に巻き掛けられ水平方向の室内側に向って退出している。
滑車96gは方立6Aの竪枠6に小ねじ99bで固定されたサドル99に固設した固定軸99aに回転自在に嵌合している。上述した滑車96d〜96gの中心は見付方向を向いており平行している。
滑車96gから室内側に向って退出したワイヤー25は滑車96hに巻き掛けられる。滑車96hは方立6Aを構成する竪枠6に固定されたブラケット101に立設された固定軸101aに回転自在に嵌合している。
図30に示すように方立6Aの見込方向の中心線CL(左右の窓の対称軸)をとおる垂直面を対称面として滑車96f,96g,96hと対称に滑車96f1,96g1,96h1が設けられている。滑車96f1,96g1,96h1の支持部材は滑車96f,96g,96hの支持部材と中心線CLをとおる垂直面を対称面として対称に設けられている(詳細な説明は滑車96f,96g,96hの支持に関する前述の説明を援用する)。
滑車96f1,96g1,96h1に対するワイヤー25の掛け方も、滑車96f,96g,96hに対するワイヤー25の掛け方と同様であるが滑車96h1,96g1,96f1と逆順に進み、滑車96f1から退出するワイヤー25は垂下する。滑車96eと96f間に張設されるワイヤー25と滑車96f1から退出するワイヤー25は見付方向から見て重なる。図28に示すように滑車96f1から垂下するワイヤー25の端は竪枠6に固定されたブラケット102に係止された止め具102aに一体的に固定されている。
(操作装置)
図31から図34は操作装置の換気用操作部材112、排煙用操作部材113を示す概念図である。図32に示すように自然風力換気及び障子閉鎖を行う換気用操作部材112には押ボタン112aが設けられ排煙用操作部材113には押ボタン113aが設けられている。両押ボタン112a,113aを連結している連動板114が上下動自在に設けられている。連動板114との上下動を案内するための案内部材は図略してある。
押ボタン112a,113aは換気用操作部材112、排煙用操作部材113の蓋112b,113bに固定されたガイド112c,113cに上下動自在に嵌合している。押ボタン112a,113aは図示されないばねで上方に向って付勢されている。押ボタン113aと連動板114は固定されている。押ボタン112aは連動板114の穴114aに上下動自在に嵌合する円筒部112a1と、円筒部112a1の下部から拡径したつば112a2を有する。押ボタン112a,113aは夫々図示されない接続部材の係脱を行う。換気用操作部材112、排煙用操作部材113の巻取ドラムが手動ハンドルで駆動されるような場合接続部材はクラッチ継手である。該巻取ドラムが電動機で駆動される場合は電動機の給電回路を入切する接点又は電動機と巻取ドラム間の駆動伝達部材に備えるクラッチ継手である。
図32は押ボタン112a,113aが押されていない状態である。図32の状態で押ボタン112aを押すと図33に示すように押ボタン112aはその円筒部112a1が連動板114の穴114aを滑動して下方に移動し図示されない接続部材を接続させる。これによって、ワイヤー24の巻取り、巻出しが可能となる。
図32の状態で押ボタン113aが押されると図34に示すように連動板114は下降するので連動板114はつば112a2を押して押ボタン112aを下降させる。そこで、夫々操作部材112,113の接続部材が操作され得る。
換気用操作部材112、排煙用操作部材113は同期して移動するがワイヤー24,25を介してたて・連動桿22Aはたて・連動桿22の上下動に対しては同期するようになっている。
(作用)
障子2は開いて自然風力に従って開度を変化して換気している第1の状態と、障子2が施錠可能とされている第2の状態と、障子2が排煙等するために大きく開いている第3の状態とをとる。障子2をこれらの状態とするため、たて・連動桿22は第1、第2、第3の状態に対応して第1、第2、第3の位置をとる。これらの状態変化の作用について以下説明する。自然風力に従って開度を変化して換気している状態では風力により障子2が緩衝装置70に作用されない自在状態と、緩衝装置70が作用する状態と、強風により障子2が閉って仮ロック装置が動作する不完全な閉止状態とをとる。
障子2が開いて自然風力で換気されている状態においては、換気用操作部材112から導き出され滑車装置26に巻き掛けられて滑車26aから下方へ垂下しているワイヤー24Aは限定的に弛んでおり、たて・連動桿22は引張コイルばね37のばね力で上昇し、たて・連動桿22は中間の第1の位置にある。
図10に示すようにたて・連動桿22が中間位置にあるとき、障子2は釣合いおもり17と釣合った状態で上框8を室内側に遠ざけ、下框11を外部側へ向って窓面より遠ざけるように傾いている。この傾きは既にのべたように垂直方向に対して45度程度である。このときピンローラ3a3はシフタ34の上ヨーク34bに接するか接近している。外部から障子2に向って風が吹くと障子2は正圧を受け軸受装置3の軸3bを中心にして上框8側が室外側へ、下框11側が室内側へ向い傾く角度が小さくなる。風力の消長により障子2の開度が変化する。障子2に負圧の風圧が加わった場合は正圧の風圧の場合と逆に障子2は軸3bを中心にして図10において時計回りに回転しようとする。このとき上ヨーク34bとピンローラ3a3との間は隙間がないか小隙間であるので、障子2は時計回りに回転しない又は小回転のみ許される。
上記のように自然風力換気が行われている際は、図5、図6において引張コイルばね49のばね力で横・連動桿27は右行端にあり、トリガー28は平面で見て横・連動桿27と長手方向が一致しており、トリガー28は横・連動桿27が左行するとストッパ46と係合する位置にある。滑車54は滑車55から最大限離れている。
風力が一定以下の小さいときは障子2は緩衝装置70の緩衝ローラ78に当るまで閉らないで障子2は揺動する。
風力が一定以上になると障子2は閉る方向の力を受けて閉ろうとする。障子2の竪框9の段部9bは緩衝ローラ78に当り図22、図23に固設したストッパ73aを押圧している緩衝アーム76はアーム取付ピン75を中心にして、ねじりコイルばね77のばね力に抗し内部側に向って揺動しストッパ73aから離れて障子2及び釣合いおもり17の慣性による回転モーメント及び風圧に従って障子2に生ずる回転力によるエネルギーを該ばね77が吸収して障子2の下框11は室内側への移動を制動される。上記において障子2が閉り切らない状態では緩衝アーム76はストッパ73aから離れてはいるが障子2を閉め切った直立状態に達せず尚傾いている。
ここで、風力が小さくなると障子2を閉めようとする風力による軸3bを中心とする障子2の回転力は小さくなるので釣合おもり17の作用が働いていると共に緩衝装置70はねじりコイルばね77のばね力で緩衝アーム76をアーム取付ピン75を中心にして外部側へ向って回動して緩衝ローラ78は障子2の竪框9の段部9bを転動し乍押して移動させる。緩衝アーム76がストッパ73aに当った後は、風力に打克った釣合いおもり17による回転力によって障子2は開く。上記のように障子2が閉る際に緩衝装置70は障子2の運動エネルギーをねじりコイルばね77で次第に抵抗を大きくして吸収する。従って、障子2が閉るときのいわゆるパタンという音は生じない。
(強風時の作用)
強風によって障子2が閉る方向に軸3bを中心に回転して竪框9の段部9bが緩衝ローラ78を加圧すると、図22に示すようにアーム取付ピン75を中心にして傾動している緩衝アーム76(点線で示す)はアーム取付ピン75を中心にして反時計回りに回転して直立状態に近づく。緩衝アーム76の直立位置において障子2は閉った状態となる。
このような強風が吹くと、障子2は閉る際に緩衝装置70により制動される。強風といえどもその風力には強風中消長がある。従って、緩衝装置70によれば障子2が閉る際に減速され滑らかに動くとしてもねじりコイルばね77に付勢されている緩衝アーム76に設けた緩衝ローラ78に竪框9の下部は押されて開く。一定以上強風の場合は障子2は閉めて置きたい。換気用操作部材112を操作することにより障子2を閉めることができる。しかし、強風を常に人が監視している訳にはいかない。
そこで、障子2が第1の位置において自然風力により揺動している際、一定以上の強風により緩衝アーム76が室内側へ回動して直立状態に近づく際には、仮ロック装置131が作動する。
図35(a)(b)(c)は強風により障子2が閉る際の仮ロック装置の仮ロックが掛かる作用を示す平面図である。
図35(a)に示すように障子2の下框11が閉る内部側に向って移動してくると、仮ロックピン155は仮ロックアーム153のカム部153cに当り、仮ロックアーム153をねじりコイルばね154(図35では図略図21参照)のばね力に抗して支持ピン151bを中心にして反時計回りに回転させる。障子2の下框11側は内部側に移動するとき仮ロックピン155はカム部153cを摺動して図35(b)に示すように仮ロックアーム153が支持ピン151bを中心にして図31(a)の状態から反時計回りに傾動するとき、仮ロック制御レバー158のカム面158aと、仮ロックアーム153に固設してある仮ロック解除保持ピン153fは摺動する。このとき、仮ロック制御レバー158はねじりコイルばね161のばね力で支持ピン151cを中心にして反時計回りに回動する。即ち、図35(a)において支持ピン151bと仮ロック解除保持ピン153fとカム面158aとの接点P1を結ぶ直線に対してカム面158aは、直交せず接点P1と支持ピン151cの中心P2を結ぶ線に対して平行ではない。接点P1を頂点としてカム面158aをとおる線と接点P1と中心P2を結ぶ線がなす角は支持ピン151c側に向って拡いている。従って、仮ロック制御レバー158は支持ピン151cを中心に仮ロックアーム153の回転を助勢して反時計回りに回動する。
図35(b)に示すように仮ロックアーム153のカム部153cのカムトップ153c1を仮ロックピン155を内部側に向って越えると、図35(c)に示すように仮ロックアーム153はねじりコイルばね154のばね力で支持ピン151bを中心にして時計回りに回動し係止面153dとカムトップ153c1の角が仮ロックピン155を回り込み、右方へ移動する係止面153dが仮ロックピン155と摺動し、仮ロックアーム153はストッパ151hに当り回動を止められる。この状態では障子2は仮ロック装置131によって開く方向への作動は制止されている。上記で、仮ロックアーム153が回動するとき仮ロック解除保持ピン153fとカム面158aは摺動して仮ロックアーム153を制動し、仮ロックアーム153がストッパ151hに当る際の衝撃、騒音は低減される。
なお、図35(c)の状態においては、障子2の下框11は開口枠1の下枠7とは間をおいて締め切っていない。このときロックピン部29のカム部29sはトリガー28のカム作動子28−2に接している。
上記のように仮ロック装置131が作動して障子2が強風の風力の消長によりあおられて開く方向の力が生じても、仮ロックアーム153は仮ロックピン155の外方への移動を許さない。従って、障子2が開と閉間の揺動の繰り返しの際の閉時の騒音は生じることがない。障子2の仮ロックに際しては、緩衝ローラ78が竪框9の下端近くを外方に向って加圧している。従って仮ロックされた状態においても、緩衝ローラ78は竪框9の下部を外方に押圧したままであるので仮ロック状態における障子2はがたつくことなく静止している。
(仮ロックの解除)
強風で障子2が閉鎖して仮ロックが作用した後でその仮ロックを解除する方法について図36(d)(e)(f)を用いてのべる。
換気用操作部材112によりワイヤー24を巻き取ると滑車装置26を介してたて・連動桿22は降下する。図22に示すようにたて・連動桿22の降下により共に降下する直動カム81は緩衝解除ローラ79を内部側に向って押し、緩衝アーム76は直立状態となる方向にアーム取付ピン75を中心にして回動する。これによって、緩衝ローラ78により外部側へ向って押えられていた障子2の竪框9の下部は内部側に向って移動を許されるようになる。ワイヤー24にはたて・連動桿22を上方に向って付勢している引張コイルばね37、横・連動桿27を右方に向って付勢している引張コイルばね49のばね力で弛みなく張力が与えられているのでたて・連動桿22が下降して障子2を室内側に引き寄せ、トリガー28とストッパ46の係合を解除するので横・連動桿27は左行する。
横・連動桿27と共に左行した仮ロック解除ピン150が仮ロックアーム153に当ると、ねじりコイルばね154で支持ピン151bを中心にして時計回りに付勢されている仮ロックアーム153は支持ピン151bを中心にして反時計回りに傾動しストッパ151hから離れて図36(d)から(e)に示すようになる。この際仮ロック解除保持ピン153fは支持ピン151bを中心にして反時計回りに移動する。ねじりコイルばね161(図21参照)により反時計回りに付勢されている仮ロック制御レバー158のカム面158aに対して仮ロック解除保持ピン153fは摺動する。
図36(e)の状態から横・連動桿27が更に左行すると仮ロックアーム153は更に回動し、図36(f)に示す位置となる途中で仮ロックアーム153のカムトップ153c1を見込方向とをとおる線(図示しない)よりも仮ロックピン155は右方に離れた位置にある。この状態では障子2の下框11は外部側に対して移動自在となる。操作用換気部材112によりワイヤー24を弛めて横・連動桿27を右行させると仮ロック装置は図36(a)の状態に復元する。図36(f)の状態となる施錠位置においては仮ロック制御レバー158はねじりコイルばね161(図21参照)のばね力で支持ピン151cを中心にして反時計回り付勢されて回動し保持部158bは仮ロック解除保持ピン153fに係合する。そして、換気用操作部材112によりワイヤー24が弛められて引張コイルばね49のばね力で横・連動桿27は右行しても、図37(g)に示すように仮ロックアーム153は仮ロック制御レバー158により拘束されている。ただし、細線で図示した仮ロック解除ピン150は仮ロックアーム153に接している。
障子2が障子側のピン部29bが枠側のフック69により拘束され障子2が閉鎖された状態(本ロックという。作用については後述する)から換気用操作装置112により障子2を開く際に本ロックが解除された後障子2を開く際に非作動状態とされた仮ロックを復元する作用を説明する。
図37(g)において、障子2が開く際は図5、図18おいて、換気用操作部材112によりワイヤー24Bは弛められるので横・連動桿27は伸長している引張コイルばね49のばね力で右行すると同時にロックピン45cは右行して、フック69を軸受45eを中心に回転して引掛け部69bは障子2の下框11に固定してあるピン部29bを解放する。障子2は釣合おもり17により軸受装置3の軸3bを中心にして下框11側が外部側に向って開く。
障子2の開き始めに障子2の下框11に設けたロック解除板ばね157は内部側から外部側へ向う。図37(h)に示すように障子2の下框11の移動方向に対して斜設したロック解除板ばね157が仮ロック復帰ピン158cに当り、仮ロック復帰ピン158cは固定されている仮ロック制御レバー158と共に支持ピン151cを中心にして時計回りに回動する。これによって該レバー158の保持部158bに拘束されている仮ロック解除保持ピン153fは保持部158bからカム面158aに接触位置を変える。図37(i)に示すようにほぼ平面のカム面158aと円筒形の仮ロック解除保持ピン153fとの接触点P1と支持ピン151cの中心P2を結ぶ直線に対して平面のカム面158aは仮ロック解除保持ピン153fの移動方向に対して迎角となるように斜めになっている。支持ピン151bを中心にして仮ロックアーム153が時計回りに回転するとき仮ロック解除保持ピン153fとカム面158aは摺動して仮ロックアーム153の回転を制動する。そこで、ねじりコイルばね154に付勢されている仮ロックアーム153がストッパ151hに当る(図36(d)参照)際の衝撃は緩和される。
(障子の閉鎖)
障子2を閉めるとき例えば強風時には、操作部材112を操作するとワイヤー24は引かれ、図7においてワイヤー24Aは引張コイルばね37のばね力に抗して下方に移動する。これによって第3滑車26cは下方へ移動し、該滑車26cと共にたて・連動桿22は移動する。このときワイヤー24Aの変位に対して滑車26の変位は半分であるから、滑車26に加わる引張コイルばね37のばね力及びたて・連動桿22とガイドレール21間の摺動抵抗、障子2を支持する軸3bと軸受3a間の軸受摩擦、障子2の慣性抵抗等の合計した力に対して軽い力で操作部材112で操作可能である。
たて・連動桿22が下降すると上ヨーク34bはピンローラ3a3を押し下げアーム3a1及び障子2は軸3bを中心にして回転し、障子2の下框11は外部側から室内側へ向って揺動し上框8は室内側から外部側へ向って揺動し、障子2の下框11と下枠7間は見込方向で近づく。下框11と下枠7間がわずかな隙間となり障子2が閉じた第2の位置となる。これに伴って障子2の下框11に固定してあるロックピン部29のカム部29sがトリガー28のカム作動子28−2に作用して図14から図15に示すようにトリガー28をねじりコイルばね28dのばね力に抗してピン28bを中心にし時計回りに回転する。横・連動桿27に固定されたストッパ46に係合しているストッパ止め28−1がストッパ46から外れる。たて・連動桿22は下降限でストッパ21bに当り止る。このとき、ピン28bからストッパ止め28−1までの長さL1とピン28bからカム作動子28−2までの長さL2の比は例えばL1/L2=2.3のようにしてある。従って、障子2の下框11側の小さな変位でストッパ止め28−1はストッパ46から解放される。
たて・連動桿22に取り付けた第3滑車26cを介して引張コイルばね37を引くワイヤー24の張力は引張コイルばね49がワイヤー24Bに生じさせる張力よりも小さいので操作部材112のワイヤー24Aの巻取り後にワイヤー24Bは引張られる。リターン滑車105,106によって引く方向が反対方向となったワイヤー24Bによって滑車54は図5、図6において左行し、横・連動桿27が引張コイルばね49のばね力に抗して左行する。これに伴ってロックピン45cが左行しフック69をピン69dを中心にして反時計回りに回転する。フック69はピン部29bに係合する。このとき障子2は閉った状態であり施錠される(図18参照)。
施錠の際、シフタ34の上ヨーク34bから軸受装置3のピンローラ3a3は下方に離れる。
かかる障子2が第1の位置から第2の位置に移動する際に、たて・連動桿22と共に下降する直動カム81は緩衝解除ローラ78を押圧して緩衝アーム76をねじりコイルばね77のばね力に抗してアーム取付ピン75を中心にして内部側へ回転させ直立させる。これによって緩衝装置70は障子2が引寄せられる前に作動を止められる。そこで、障子2が閉じる際に操作が重くなるのが防止される。
操作部材112に巻き取られたワイヤー24A,24Bを自由にすると施錠するときと逆にワイヤー24A,24Bは弛むので、引張コイルばね37のばね力でたて・連動桿22は上昇する。引張コイルばね49のばね力で横・連動桿27は図5、図6、図18において右行する。
たて・連動桿22と共に直動カム8は上昇する。緩衝装置70は緩衝アーム76がねじりコイルばね77のばね力で外部側へ向って揺動する。緩衝ローラ78は障子の竪框9の段部9bを押して障子2の開き始めに開くのを助勢する。
横・連動桿27の右行と共に滑車54、ストッパ46、ロックピン45c、仮ロック解除ピン150は右行する。ロックピン45cの右行によって、フック69は支持ピン69dを中心にして時計回りに回動して障子2は開錠される。たて・連動桿22は引張コイルばね37の力で障子2は開き受金のピン部29bは外部側へ釣合おもり17と障子2の釣合う位置に向って移動する。これによって障子2は解錠される。既にのべたように解錠に際して、仮ロックは復元される。
一方、横方向のワイヤー24B、たて方向のワイヤー24Aも操作部材112の作用で弛められるので、たて・連動桿22は引張コイルばね37のばね力で上方に付勢移動される。換気用操作部材112がワイヤー24Aの巻き出しを停止し、たて・連動桿22は中間位置で停止する。これによってたて・連動桿22と共に上昇したシフタ34は軸受装置3との関係位置が自然風力換気窓となる中間位置(図10に示す位置)となり、障子2は自然風力の消長に応じて開度を変える。
かかる、たて・連動桿22の上昇と横・連動桿27の右行は連動して行われ、図15において実線位置にあるトリガー28はロックピン部29が外部側へ移動するにつれ、ねじりコイルばね28dのばね力でピン28bを中心にして反時計回りに回動し、図14に示すように横・連動桿27と共に移動して来たストッパ46の外側(図14で左側)に一定の間隔を設けてストッパ止め28‐1が納まる。トリガー28がストップピン28eに当ることによりトリガー28は、横・連動桿27と長手方向を一致させて重なる。この状態で横・連動桿27が左行するとストッパ46とストッパ止め28‐1が係合するので、トリガー28とストッパ46の係合が解除されないと横・連動桿27は左行できない。
(障子閉鎖、又は自然換気状態からの強制開放)
窓からの排煙をするときは、排煙用の操作部材113を解除操作するとワイヤー24,25は換気用操作部材112と排煙用操作部材113からそれぞれ引出され自由とされる。ワイヤー24Bが緩むと既に述べたように障子2は解錠される。
方立6A側のたて・連動桿22Aはたて・連動桿22Aを上方に付勢しているダンパ94の推力で上昇方向(図8に示す矢印イと反対方向)に移動する。これによってシフタ34の下ヨーク34cはピンローラ3a3、軸受装置3のアーム3a1の先端を上昇させてアーム3a1は軸3bを中心にして上昇方向に回転する。これによって障子2は下框11が外部側へ向って移動し、上框8が室内側に向って移動し、障子2は開く、たてガイドレール21に固定された図13に示したストッパ21bにたて・連動桿22,22Aの上端が当接して障子2は大きく開いた状態となる。このとき障子2は壁面に対して例えば45度傾いていて仕様上全開となる。障子2の全開時、障子2を閉める方向に強風が吹いたとしてもダンパ94の推力の低下は小さいので障子2は全開の開放状態が維持される。即ち、ダンパ94、方立側滑車、ワイヤー、排煙用操作部材113によって障子の開放維持装置が構成されている。
全開状態の障子2は排煙用操作部材113を操作すると自然風力状態における換気が行われる位置に戻る。以下、説明する。該操作部材113を操作してワイヤー25を引くと、これによって、たて・連動桿22Aは下降し、軸受装置3を介して障子2を全開から自然風力換気状態の開度とする。係る、障子2の全開から自然風力換気状態の開度とする動作は方立6Aでない側の竪枠6の側のたて・連動桿22でも同期して行われる。この同期作用は操作部材113が操作部材112と連動して行われる。
たて・連動桿22Aの停止した状態においては、たて・連動桿22Aに固定したシフタ34の上ヨーク34b、下ヨーク34cは軸受装置3のアーム3a1の先端のピンローラ3a3とは障子2が無風状態で釣合いおもり17と釣り合って外部側から障子2に吹き付ける自然風力によって揺動可能なように間があいている。たて・連動桿22側も同様である。
かかる排煙のための障子2の全開が排煙用操作部材113で行われる際に、排煙用操作部材113に連動した換気用操作部材112により障子2の解錠が行われる。