[A]シャッター装置及び避難時停止装置の全体構成
[A−1]火災時に自重降下するシャッター装置
図1、図2に示すように、シャッター装置は、開口部を閉鎖するシャッターカーテン1と、開口部上方に位置してシャッターカーテン1を巻装する巻取シャフト2と、開口部左右両端に立設されたガイドレ−ル3と、を備えている。シャッターカーテン1は、複数枚の開口幅方向に延びる長尺状のスラットを上下に連結して構成されており、下端には座板4が設けてある。座板4は開口部幅方向に延びる長尺状の上座板40と、上座板40の下方側に上座板40に対して相対的に上下動自在に吊持された長尺状の下座板41とからなり、後述するように、座板4は障害物検知手段の一構成要素となっている。巻取シャフト2は、躯体18から持ちだし状に設けた左右のブラケット13間に回転可能に支持されている。図1に示すように、開口部上方において、開口幅方向Xの一側(第1の側)に寄った部位に開閉機5が設けてある。開閉機5は、開口幅方向Xの第1の側のブラケット13に取り付けられている。図2に示すように、巻取シャフト2及び開閉機5は、シャッター芯Cに対して前後方向Y(垂直姿勢のシャッターカーテン1の厚さ方向)の同じ側(第1の側A)に位置して設けてあり、第2の側Bには躯体18が位置している。図示の態様では、天井19内にシャッターが収納されているが、躯体に取り付けられたシャッターボックス(図示せず)内にシャッターを収納するようにしてもよい。
1つの態様では、通常時には、シャッターカーテン1は、開閉機5によって巻取シャフト2を正逆回転駆動することで昇降して開口部を開閉し、火災時にシャッターカーテンを自重降下させる。また、通常時には、開口部上方(天井内やシャッターケース)に収納されており、火災時にのみ、シャッターカーテンが自重降下するようなシャッター装置であってもよい。本発明は、ブレーキの解放によりシャッターカーテンを自重降下させることができるシャッターに関するものであり、本実施形態では、火災を検知した時に、ブレーキの解放によりシャッターカーテンを自重降下させるシャッターについて説明する。
シャッターカーテン1は、開口部全開時(収納時)には、開閉機5の一構成要素であるブレーキによって下降が規制された状態で巻取シャフト2に巻装されている。この状態で火災が発生すると、火災感知器6aによって火災が感知され、防災盤6bからの火災検知信号によって自動閉鎖装置6が作動して、ワイヤW1(アウターケーブルW1´内で延びている)を介してブレーキ解放・復帰装置7のブレーキ解放手段を作動させてブレーキを解除する。ブレーキが解除されると、シャッターカーテン1は、幅方向両端部がガイドレール3の溝部に案内されながら自重で下降し、座板4が着床することで開口部を全閉する。
開閉機5のブレーキケースからブレーキ解放レバー50が突出しており、ブレーキ解放レバー50を移動させることで、開閉機5及び巻取シャフト2の回転を規制しているブレーキが解放される。ブレーキを含む開閉機および当該ブレーキを解放するブレーキ解放レバーは周知である。具体的な態様例では、ブレーキ手段は、開閉機出力軸またはこの出力軸と一体で回転する回転部材に対して接離自在に対向するブレーキ板を有しており、シャッターカーテン収納時にはスプリング等の付勢手段によってブレーキ板が圧接されており、ブレーキが働いて巻取シャフトの回転が規制されている。ブレーキ解放レバーをスプリングに抗して移動させることでブレーキ板が離隔してブレーキが解放され、巻取シャフトの回転が可能となって、シャッターカーテンが自重降下するようになっている。また、ブレーキ解放レバーをフリーにすれば、前記付勢手段であるスプリングによってブレーキ板が圧接されて自動的にブレーキ及びブレーキ解放レバーが復帰するようになっている。
[A−2]自動閉鎖装置
自動閉鎖装置6は、防災盤6bからの火災検知信号の入力によって可動部が作動して、ブレーキ解放ワイヤW1を引くことで、作動手段を介してブレーキ解放レバーを移動させてブレーキを解放させる。自動閉鎖装置6がブレーキ解放ワイヤW1を引く態様としては幾つかの手法が知られており、自動閉鎖装置6に内蔵されたバネ部材のバネ力でブレーキ解放ワイヤW1を引くもの、自動閉鎖装置6に内蔵されたモータの駆動力でブレーキ解放ワイヤW1を引くもの等が挙げられる。自動閉鎖装置6は、ブレーキ解放・復帰装置7の作動手段を移動させてブレーキ解放レバーを移動させるものであれば、自動閉鎖装置6の具体的な構成は限定されない。図示の例では、自動閉鎖装置とブレーキ解放装置は別体で構成されているが、自動閉鎖装置一体型のブレーキ解放装置であってもよい。この場合、自動閉鎖装置は、開閉機5に取り付けられる。なお、本実施形態の自動閉鎖装置は、(いずれも図示しない)圧縮コイルスプリングと、該圧縮コイルスプリングを圧縮状態に保持するロック機構と、火災検知信号の入力により該ロック機構を解除するソレノイドとを備え、火災検知信号によりソレノイドが作動してロック機構が解除されたときに圧縮コイルスプリングが伸長することによりワイヤW1を引っ張る構成となっている。
[A−3]ブレーキ解放・復帰機構
開閉機5には、ブレーキ解放・復帰装置7が設けてある。ブレーキ解放・復帰装置7はブレーキ解放レバーをブレーキ解放方向に移動させる作動手段を備えており、火災検知信号が自動閉鎖装置6に入力されることで、自動閉鎖装置6によってブレーキ解放・復帰装置7の作動手段が移動してブレーキ解放レバーを移動させる。具体的な態様例では、作動手段は自動閉鎖装置6の可動部とブレーキ解放ワイヤW1で連結されており、火災検知信号が自動閉鎖装置6に入力されると、自動閉鎖装置6の可動部が移動してブレーキ解放ワイヤW1が引かれて、ブレーキ解放・復帰装置7の作動手段が自動閉鎖装置6側へ移動する。そして、自動閉鎖装置6側へ移動した作動手段が、ブレーキ解放レバーを移動させてブレーキを解放させる。
シャッター装置は、いわゆる避難時停止装置を備えており、自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たって当該障害物を検知すると、復帰ワイヤを介して開閉機5のブレーキを復帰させて、シャッターカーテン1の降下を停止させるようになっている。
復帰ワイヤは、第1ワイヤW2と第2ワイヤW3とから構成されている。開口部上方部位には、開口幅方向の開閉機5が設置された側(第1の側)に寄って、中継装置8が設けてあり、座板4には、中継装置8の下方に位置するように開口幅方向の一側(第1の側)に寄って、ロック装置9が設けてある。ロック装置9は、中継装置8の略直下に位置するロックドラム90と、ロックドラム90に隣接する巻取ドラム91と、障害物検知時にロックドラム90の回転をロックするロック機構(後述する)と、を備えている。第1ワイヤW2と第2ワイヤW3は中継装置8を介して接続されている。第1ワイヤW2の一端はブレーキ解放・復帰装置7の作動手段に連結され、他端は中継装置8に連結されている。第1ワイヤW2はアウターケーブルW2´内を延出している。第2ワイヤW3の一端は中継装置8に連結されており、他端は座板4に設けたロック装置9のロックドラム90に巻回されて当該ロックドラム90を経由して、巻取ドラム91に巻回可能に連結されている。シャッターカーテン1の降下時には、第2ワイヤW3がロック装置9から引き出されながらシャッターカーテン1の面に沿って延びる。
[A−4]検知レバー
図11に示すように、上座板40と下座板41との間には、複数の検知レバー42が回動可能に設けてあり、自重降下中のシャッターカーテン1の下端が障害物に当接して、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、下座板41の上動に連動して検知レバー42が回動するようになっている。複数の検知レバー42はワイヤ43によって互いに連結されており、ワイヤ43の一端はコイルスプリング98を介してロック装置9のロック機構を構成する第1回動レバー92(後述する)の下端側に連結されている。下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、検知レバー42は、検知レバー42下端がロック装置9のロックドラム90から離隔する方向に回動し、ワイヤ43はロック装置9のロックドラム90から離隔する方向に引っ張られる。
ワイヤ43が引っ張られて、第1回動レバー92が回動すると、ロック装置9のロック機構(詳細は後述する)によってロックドラム90の回転が規制され、シャッターカーテン1の降下中にロック装置9から引き出されている第2ワイヤW3の引き出しが停止し、さらに、シャッターカーテン1が降下することで第2ワイヤW3が下方に引かれ、中継装置8を介して、第1ワイヤW2が引かれて、ブレーキ解放レバーによるブレーキ解放を解除する。ブレーキ解放レバー50の解除により、開閉機5のブレーキに内蔵された復帰手段によってブレーキが復帰して、降下中のシャッターカーテン1が停止する。
検知レバーの詳細については後述する。
[A−5]ロック装置
図1に示すように、ロック装置9は、座板4の長さ方向の一側、具体的には開口幅方向の開閉機5が設けられた側(第1の側)に寄った位置で上座板40に取り付けられている。ロック装置9は、回転自在のロックドラム90と、回転自在の巻取ドラム91と、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、第3回動レバー94と、これらを内装するケース95と、を備えている。ケース95は、上板950と、左右の側板951、952と、後板953と、着脱可能な前面カバー954を備えており、下面は開放状となっている。上板950には、ワイヤW3を挿通させるガイド9500が形成されている。上座板40の上面部400は、シャッター芯Cに対して第1の側Aにある第1部分400Aと、第2の側Bにある第2部分400Bと、からなり、ロック装置9は、シャッター芯Cに対して第1の側Aに位置して、第1部分400Aの開口幅方向の第1の側に設けられている。ロック装置90(ケース95)は、開口幅方向Xの幅w、前後方向Yの厚さd、上座板の上面部400(第1部分400A)から上方への突出高さhを備えている。上座板の上面部400(第1部分400A)には、ケース95の下方部位と連通するように開口が形成されており、ロックドラム90、巻取ドラム91、第1回動レバー92の下端部位は上座板40の内部に位置している。ロック装置の各構成要素及び動作の詳細については後述する。
なお、ロック装置の構成は、後述する実施形態に限定されない。例えば、ロック装置は巻取ドラムを備えていなくてもよい。すなわち、巻取ドラムをロック装置とは別の場所(例えば、ロック装置から離間した座板の部分、まぐさ部等の開口部上方部位、ガイドレール内部等)に設けもよい。巻取ドラムをまぐさ部に設ける態様は、例えば特許文献1に開示されている。また、復帰ワイヤは必ずしも巻取ドラムに巻装されるものに限定されず、例えば、復帰ワイヤの下端側をプーリによってガイドレール内部に案内し、下端を床面やガイドレールに固定してもよい。ロック装置は、必ずしもロックドラムを備えたものに限定されず、例えば、挟持手段や圧接手段によって復帰ワイヤの引き出しを機械的に規制するものでもよい。ロック装置は、必ずしも全ての構成要素が上座板に設けられているものに限定されず、ロック装置の構成要素の一部が下座板に設けられる態様も含む。
[A−6]減衰機構
本実施形態は、第2回動レバー93の第2の方向への回動開始タイミングを遅らせ、かつコイルスプリング97の作用によって瞬時に第2の方向に回動させてロック状態を解除することに特徴を備えている。第1回動レバー92の第2の方向への回動速度を遅くすることによって、障害物検知後にロック状態が解除されるまでの時間をさらに長くすることができる。すなわち、第2の姿勢にある第1回動レバー92が第2の方向へ回動する速度を低減するように減衰機構を設け、障害物除去後に、第1回動レバー92を第2の方向へゆっくり回動させることで、第3回動レバー94による第2回動レバー93の回動規制解除のタイミングを遅延させると共に、回動規制が解除された第2回動レバー93は、減衰機構の影響を受けずに、コイルスプリング97によって瞬時に第2の方向に回動し、速やかにロック状態が解除される。減衰機構としての緩降装置44の詳細については後述する。
[A−7]手動閉鎖装置
図21に示すように、シャッター装置の近傍の壁面には、操作し易い高さに手動閉鎖装置10が設けてある。手動閉鎖装置10は、中空の縦長直方体で、前面に開口を備えたボックス100と、ボックス100の前面の開口を開閉するカバー体101と、前面の下方部位に設けた押スイッチ102と、前面の側方部位に回動可能に設けた回動レバー103と、手動操作用のワイヤW4の端部(他端)をネジで固定するワイヤ端固定部104と、を備えている。1つの態様では、ボックス100内には、図示しない開放、閉鎖、停止スイッチが配置されている。
手動閉鎖装置10は、ブレーキ解放・復帰装置7の作動部のブレーキ解放操作、ブレーキ復帰操作を操作可能なように手動操作用のワイヤW4によって連結されている。手動閉鎖装置10は、ブレーキ解放作動前の状態から第1操作(押しスイッチ102)によってブレーキを解放するように作動し、ブレーキ解放作動後の状態から第2操作(回動レバー103)によってブレーキを復帰させるように作動する。ここで、ワイヤW4には、後述するブレーキ解放・復帰装置7の第1コイルスプリング76によりワイヤ端固定部104を(図21において)上方へ引き上げようとする力が加わっているが、図示しないロック機構でワイヤ端固定部104が上方へ移動してワイヤW4が緩まないようにロックされている。押スイッチ102を押すと、前記ロックが外れてワイヤ端固定部104が所定距離上動して緊張状態にあるワイヤ4が緩み、また、回動レバー103を手前に回動すると、ワイヤ端固定部104が前述したロック位置まで引き下げられてワイヤW4が所定距離引っ張られ、ワイヤW4に張力が加わった状態でワイヤW4の移動がロックされる。
[A−8]中継装置
図1、図3、図4に示すように、中継装置8は、ロック装置9のロックドラム90の直上で、開口部上方のまぐさ部11の受け部材12に取り付けられている。受け部材12は断面視方形状の長尺部材であり、巻取シャフト2の両端を支持する左右のブラケット13の下端間に取り付けられている。図1に示すように、中継装置8は、開口部上方の開口幅方向Xの第1の側で、正面視ロック装置9の直上に位置して、垂直状に延びるワイヤW3に対応するように配置されている。また、図7〜図10に示すように、中継装置8は、シャッター芯Cに対して第1の側Aに位置している。
図22に示すように、中継装置8は、開口部上方に位置して前後方向Yに延びる回動体80と、受け部材12に取り付けられた取付ベース81と、からなる。取付ベース81は、回動体80が回動自在に取り付けられる左右の支持片810と、受け部材12に取り付けられる装着片811と、を備えている。回動体80は回動支点82を中心として、前後方向の第1端部、第2端部がそれぞれ上下動するように回動する。第1端部には、ワイヤW2の端部の固定部83が形成されており、第2端部には、ワイヤW3の上端の固定部84が形成されている。固定部83は、アウターケーブルW2´から露出したワイヤW2の端部を余端部を残して固定する第1固定部830と、前記余端部を固定する第2固定部831とからなり、第1固定部830、第2固定部831の2つの固定部によってワイヤW2の端部を強固に固定している。固定部83の下方にはアウターケーブルW2´の端部の固定部832が設けてある。固定部832は、取付ベース81の左右の支持片810の下方部位に装着されている。ワイヤW2及びアウターケーブルW2´は、受け部材12に取り付けられたガイド15を通してシャッター芯Cから離間する方向に導かれており、ブレーキ解放・復帰装置7(第3作動体75)に連結されている。固定部84は、ワイヤW3の端部を挟み込むと共に、ワイヤW3の端部にはワイヤ径に対して大径の係止部840が形成されており、ワイヤW3の端部を強固に固定している。第2端部に形成された固定部84に固定されたワイヤW3が下方に引っ張られると、回動体80が回動支点82を中心に回動して、第1端部が下方に下がり、第2端部が上方に移動して、ワイヤW2を引っ張るようになっている。図22に示すように、中継装置8は、一方の支持片810と回動体80とを所定の位置で仮固定する仮固定螺子85を備えている。仮固定螺子85は、取付ベース81に対して所定の角度(ワイヤ取付時の適正角度)で回動体80を仮固定して回動を規制するものであり、回動体80が当該所定の角度の姿勢にある時に、ワイヤW2、ワイヤW3を回動体80に固定することで、中継装置8に対するワイヤ取付時における回動体80の姿勢の調整が不要となる。仮固定螺子85はワイヤ固定後に取り外される。
[B]開口部上方空間におけるシャッター構成要素
上述のように、開口部上方空間には、通常のシャッター装置の構成要素として、シャッターカーテン1を巻き取り・繰り出す巻取シャフト2が設けてあるが、これら以外の構成要素もある。
[B−1]スムーサ要素
開口部上方のまぐさ部11の受け部材12には、シャッター芯Cに対して第1の側Aにスムーサ要素16が設けてあり、シャッター開閉時におけるシャッターカーテン1とまぐさ部11、中継装置8等との接触ないし干渉を防止するようになっている。図5から明らかなように、シャッターカーテン1が前後方向の第1の側Aへ寄ろうとした場合には、スムーサ要素16がシャッターカーテン1に接触してガイドすることによって、シャッターカーテン1の第1の側Aへの移動が規制される。
スムーサ要素16は、受け部材12に固定(例えば溶接)されるベース160と、ベース160対して開口幅方向及び高さ方向に段違い状に設けた2つのローラ161と、からなる。なお、スムーサ要素16は1つのローラであってもよい。スムーサ要素16の個数は開口幅寸法に応じて例えば1個〜5個の間で適宜選択される。スムーサ要素16が複数個設けられる場合には、各スムーサ要素16は開口幅方向に間隔(等間隔でも、等間隔でなくてもよい)を置いて設けられる。図では、最も開口幅方向の第1の側に位置するスムーサ要素16のみを図示する。
スムーサ要素16のローラ161の周面は、シャッターカーテン1の面部(第1の側Aに面する部位)に対向している。図5〜図9に示すように、下側のローラ161は、上側のローラ161に対して僅かにシャッターカーテン1側に突出している。下側のローラ161の周面は、垂直姿勢にあるシャッターカーテン1のスラット同士を連結するインターロック部に近接している。下側のローラ161は、ガイドレール3のガイドレール上部30の拡開部に対応する高さに位置しており、上側のローラ161は、ガイドレール3のガイドレール上部30の拡開部からガイドレール上部30の上端を越える高さに位置している。また、シャッター全開状態において、上座板40の上面部400の第1部分400Aから上方に突出するロック装置9は、ガイドレール3のガイドレール上部30に対応する高さに位置しており、ロック装置9の面部(上座板40の第1の側Aの側面部401と略同一垂直面上に位置する)の下半部はまぐさ部11に離間対向している。
図1、図3、図4に示すように、1つのスムーサ要素16(複数のスムーサ要素がある場合には、最も開口幅方向の第1の側に位置するスムーサ要素)は、開口幅方向の第1の側において、ロック装置9の横幅に対応する部位に対して開口幅方向にずれた位置(ロック装置9の横幅に対応する部位の外側)に設けてある。さらに、スムーサ要素16は、開口幅方向において、ロック装置9の横幅に対応する部位の近傍に位置している。開口幅方向において、スムーサ要素16と、第1の側のガイドレール3と、の間に、ロック装置9の横幅に対応する部位が位置している。
図1、図3、図4に示すように、開口部上方には、ロック装置9の横幅に対応する部位に位置して復帰ワイヤW3の中継装置8が設けてある。中継装置8は、ロック装置9の横幅に対応する部位において、スムーサ要素16に寄った側に設けてある。こうすることで、開口幅方向において、中継装置8により近い位置にスムーサ要素16が位置することになる。
このように、開口幅方向の第1の側Aに位置するスムーサ要素16を、機械式避難時停止装置の構成要素であるロック装置9の横幅に対応する部位及び中継装置8に対して開口幅方向にずらして配置したことで、これらの要素が互いに略同じ高さ位置にあるものでありながら、開口幅方向の第1の側Aに位置するスムーサ要素16とロック装置9、中継装置8が干渉しないようになっている。スムーサ要素16を、機械式避難時停止装置の構成要素であるロック装置9の横幅に対応する部位、中継部8の近傍に設置することで、中継装置8や復帰ワイヤの第2ワイヤW3と、シャッターカーテン1のスラットと、の接触・干渉(シャッター全閉時、全閉状態に近い状態における開閉操作時)を防止し、ロック装置9とまぐさ部11との接触・干渉(シャッター全開時、全開状態に近い状態における開閉操作時)を防止する。
[B−2]エマーゼンシスイッチ
通常時に電動開閉されるシャッター装置において、シャッター全開時でシャッターカーテン1の上昇を停止させるべく、リミットスイッチLSによって上限リミットを設定する。しかしながら、万が一、リミットスイッチLSの故障等により上限リミットでシャッターカーテン1が停止しない場合には、上限オーバーラン検知器としてのエマーゼンシスイッチ17が作動することでシャッターカーテン1の上昇を停止させる。
図6〜図10に示すように、エマーゼンシスイッチ17は、巻取シャフト2の下方かつガイドレール上部30の高さ位置で、シャッター芯Cに対して第1の側Aに設けてある。さらに、図1、図3、図4に示すように、エマーゼンシスイッチ17は、開口幅方向Xの第1の側において、ロック装置9の横幅に対応する部位及びスムーサ要素16に対して開口幅方向にずれた位置に設けてある。このように配置することで、ロック装置9、スムーサ要素16とエマーゼンシスイッチ17の干渉を防止している。また、エマーゼンシスイッチ17は、第1の側のガイドレール3と、ロック装置9の横幅に対応する部位と、の間に位置している。
エマーゼンシスイッチ17は、まぐさ部11の上辺110(図10参照)に設けてある。エマーゼンシスイッチ17は、上辺110に載設される本体170と、本体170の前面からシャッターカーテンの前方に向かってシャッターカーテン1の移動経路内に突出する(より詳しくは、上座板40の上面部40の第1部分400Aの直上に位置している)第1当接片171と、本体170の上面から垂直状に立ち上がり、さらに後方へと略水平に延びる第2当接片172と、からなる。
図6〜図10に示す全開状態から、座板4が上昇した場合には、座板4の上面400の第1部分(400A)が第1当接片171に接触することで上限オーバーランを機械的に検知し、エマーゼンシスイッチ17が作動して開閉機5からの出力を停止する。また、巻取シャフト2の回転によりシャッターカーテン1が繰り出される一方、ガイドレール3の変形等によってシャッターカーテン1の下降が円滑に行われないような場合には、巻取シャフト2に巻き取られたシャッターカーテン1の径が大きくなって下方に垂れ、シャッターカーテン1が第2当接片172に接触することで、エマーゼンシスイッチ17が作動して開閉機5からの出力を停止する。
エマーゼンシスイッチ17が作動する高さ位置は、第1当接片171の高さ位置によって設定できる。図6、図7、図9、図10に示す態様では、第1当接片171の高さは、まぐさ部11の上辺110よりも高い位置にあり、全開状態にある座板4の上面(第1部分400A)との距離が比較的大きく設定されている。上限オーバーラン時には、上座板40の上面部400の第1部分400Aから上方に突出するロック装置9の上面は中継装置8に接近する高さ位置まで上昇する(その場合であっても、スムーサ要素16のローラ161によって、シャッターカーテン1が第1の側Aへ寄ることが規制されて、ロック装置9と中継装置8との接触が防止される)。これに対して、図8に示す態様では、第1当接片171の高さは、まぐさ部11の上辺110よりも低い位置にあり、全開状態にある座板4の上面(第1部分400A)との距離が比較的小さく設定されている。上限オーバーラン時には、上座板40の上面部400の第1部分400Aから上方に突出するロック装置9の上面は中継装置8に対して所定の距離を有する高さ位置までしか上昇しない。
[C]詳細説明
以下に、機械式避難時停止装置付きシャッターの具体的な構成について詳細に説明するが、これらの記載は、機械式避難時停止装置付きシャッターの例示に過ぎないものであり、請求項に記載された本願発明の構成を限定するものではない。
[C−1]検知レバー
図12に示すように、検知レバー42は、上座板40の上面部400の内側に固定された支持部42Aに対して回動可能に取り付けられている。図11に示すように、検知レバー42は、上端側がロック装置9に近く、下端側がロック装置9から遠くなるような傾斜姿勢で取り付けられている。検知レバー42の下端には被当接部420としてのローラが回転自在に設けてあり、障害物検知時に下座板41が上動すると、下座板41の底面部410にローラが押し上げられて、検知レバー42は、上方の回動支点421を中心に、下端側がロック装置9から離間する方向に回動可能となっている。検知レバー42の長さ方向中間部位のロック装置9側には突出部422が突成されており、突出部422にワイヤ43の挿通部423が設けてある。ワイヤ43に形成した当接部が挿通部423の周囲に当接することで、検知レバー42の回動に連動してワイヤ43が引かれるようになっている。図12(A)、(B)の状態から下座板41が上動すると、下座板41の底面部410に押し上げられて検知レバー42が図12(D)の実線の姿勢から二点鎖線の姿勢へ回動し、ワイヤ43をロック装置9から離隔する方向に引っ張る。ワイヤ43の挿通部423は突出部422に対して回動自在に装着されており、突出部422に挿通部423が設けられたことと相俟って、検知レバー42の回動時にワイヤ43の水平姿勢を可及的に維持するようになっている。さらに、図12(B)、(D)に示すように、検知レバー42の通常の傾斜姿勢において、挿通部423は回動支点421に対して右側(回動方向とは逆側)に位置しており、検知レバー42の回動時の挿通部423の上下の変動量が小さく抑えられている。図12(A)、(B)に示すように、下座板41が上座板40に対して吊持された通常の状態では、検知レバー42の上側部位が支持部42Aに当接することで傾斜姿勢が維持されており、検知レバー42の下端のローラの周面は下座板41の底面部410から僅かに上方に離間している(図12(A))。なお、通常の状態において、ローラ周面と下座板41の底面部410が接触していてもよい。
図12(A)に示すように、上座板40は、上面部400と、上面部400の幅方向両端から垂下する左右の側面部401と、左右の側面部401の下端から互いに接近する方向に水平状に延びる被当接片402と、からなり、下座板41の上端の左右の水平状の当接片411が上座板40の被当接片402上に載ることで、上座板40に対して下座板41が吊持される。下座板41の水平状の当接片411には、上座板40の側面部401に近接対向する垂直状の立ち上がり片412が形成されており、下座板41の下端の角部に障害物が当たったような場合でも、下座板41の立ち上がり片412が上座板40の側面部401に当接することで傾動が規制され、上座板40に対して下座板41が建物開口部の前後方向(シャッターカーテンの厚さ方向)に大きく傾くことを規制している。
なお、図示の態様では、下座板41の上動に連動して回動する検知レバー42の動きを、ワイヤ43を介して第1回動レバー92に伝達しているが、例えば、上座板40と下座板41との間に、座板4の長さ方向に延びる検知体42´を設け、当該検知体42´を直接あるいは他の要素を介して第1回動レバー92に当接させ、下座板41の上動に連動して当該検知体42´が変位することで第1回動レバーが回動するものでもよい(図13参照)。
[C−2]緩降装置
緩降装置44の実施形態を図14、図15に示す。緩降装置44は、下座板41の底面部410が障害物に当たることで上座板40に対して上動した下座板41が、障害物が除去された後に再び上座板40に対して下動する際に、下座板41をゆっくり下動させるための装置である。緩降装置44は、上座板40に設けたロータリーダンパ440及びピニオンギア441と、ラックギア442を備え下座板41と一体で上下動するように設けられた昇降体442Aと、ピニオンギア441とラックギア442との間に設けたワンウェイクラッチ機構と、からなる。
ワンウェイクラッチ機構は、ピ二オンギア441と噛合し、ピ二オンギア441と連動して回転する大径の第1ギア446と、ラックギア442と噛合しラックギア442の上下動に連動して回転する小径の第2ギア447と、第1ギア446と第2ギア447との間に設けたワンウェイクラッチ448と、からなる。
ワンウェイクラッチ448は、第2ギア447の第1の方向の回転は第1ギア446に伝達されず、第2ギア447は第2の方向に回転する時にのみ第1ギア446と一体で回転するように作動する。昇降体442Aが上動する時には、第2ギア447は第1の方向に回転し、したがって、昇降体442Aは抵抗を受けずに速やかに上動することができる。昇降体442Aが下動する時には、第2ギア447は第2の方向に回転し、第2ギア447と一体で第1ギア446が回転し、第1ギア446はロータリーダンパ―440を備えたピ二オンギア441と噛合していることから、第2ギア447はロータリーダンパ440の抵抗を受けつつゆっくりと回転し、したがって、昇降体442Aはゆっくりと下動することができる。
さらに、ピニオンギア441は、ピ二オンギア441に対して大径の第1ギア446に噛合しているので、ピ二オンギア441の回転速度に比べて第1ギア446の回転速度がピ二オンギア441と第1ギア446の歯数比分減速され、第1ギア446と一体で回転する第2ギア447の回転速度も減速され、ピ二オンギア441とラックギア442が直接噛合しているような場合に比べて、昇降体442Aをゆっくりと下動させることができる。さらに、大径の第1ギア446と小径の第2ギア447が一体で回転し、小径の第2ギア447がラックギア442と噛合しているので、第1ギア446が直接ラックギア442に噛合していると仮定したような場合に比べて、昇降体442Aを同じ距離だけ下動させるのにより多くの回転が必要となり、昇降体442Aを第1ギア446と第2ギア447の歯数比分ゆっくりと下動させることができる。
上座板40の内部には、箱状のケース449が固定されており、ケース449には、ロータリーダンパ440及びピニオンギア441、ワンウェイクラッチ機構が取り付けられている。ケース449は、上面部4490と、第1側面部4491と、第2側面部4492と、第1面部4493と、第2面部4494と、を備え、下側が開口状となっている。第1側面部4491の下端は第2側面部4492の下端よりも下方に延びている。第1側面部4491の下方部位にはワイヤ43の挿通孔4491aが形成されている。ケース449は、第1側面部4491をロック装置9から遠い側、第2側面部4492を近い側に位置させて、上面部4490を介して、上座板40の上面部400の下面に装着されている。なお、ケース449は逆の向きで取り付けてもよい。第1面部4493には、ロータリーダンパ440及びピニオンギア441が取り付けられている。第1面部4493と第2面部4494間に、ワンウェイクラッチ機構(第1ギア446、第2ギア447)の軸部が架け渡されている。
昇降体442Aは垂直板状の本体からなり、図14(A)に示すように、前記本体は平面視においてケース449の第1側面部4491、第2側面部4492に平行し、第1面部4493、第2面部4494に直交するように延びている。本体の下端には、円柱状の水平部が形成されており、水平部の両端部位4420は昇降体442Aの本体の幅方向両端部、及び、ケース449の第1側面部4493、第2側面部4494を越えて突出している。図15に示すように、下座板41は、上端の左右の水平状の当接片411から垂下する左右の側面部413と、左右の側面部413の下端から互いに離間するように水平に延びる左右の水平部414と、を備え、水平部414と底面部410との間の下方部位は幅広空間415となっている。昇降体442Aの下端の円柱状の水平部は、幅広空間415に収まっており、水平部の両端部位4420が、下座板41の水平部414に下方から当接しており、下座板41の上下動と共に昇降体442Aが上下動するようになっている。
垂直板状の昇降体442Aの本体は、ワンウェイクラッチ機構に対向する第1面と、第1側面部4491の内面に対向する第2面と、を備え、第1面には、当該第1面の幅方向の一側に寄った部位においてラックギア442が高さ方向に亘って形成されており、ラックギア442は第2ギア447に噛合している。前記本体には、幅方向の他側において、ワイヤ43を挿通させる縦長挿通孔4421が高さ方向に亘って形成されている。本体の前記第1面には、縦長挿通孔4421に隣接して高さ方向に亘って隆起部4422が突成されており、ケース449の第1面部4493の内面に高さ方向に亘って形成されたガイド突起4493aに摺接している。本体の前記第2面は、ケース449の第1側面部4491の内面に摺接している。昇降体442Aは、ラックギア422が第2ギア447に噛合し、隆起部4422がガイド突起4493aに摺接し、本体の前記第2面が第1側面部4491の内面に摺接することで、上座板40に固定されたケース4490に対して昇降するようになっている。ここでの摺接状態は、昇降体442Aの昇降動作に抵抗を与えない程度に昇降体442Aの上下方向のガイド機能を提供する。図14(B)に示すように、ケース449の上面部4490には、下向き開口状の凹4490a部が形成されており、下座板41が上座板40に対して上動した状態で、昇降体442Aの上端部が凹部4490a内に位置するようになっている。こうすることで、下動した昇降体442Aをより高い位置に維持することができ、下座板41が上座板40に対して下動した状態で、昇降体442Aのラックギア422と第2ギア447とが十分に噛合でき、下座板41の上動時の初動を円滑に行えるようになっている。
下降中のシャッターカーテン下端の座板4(図15に示す状態にある)の下座板41が障害物に当接すると下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、昇降体442Aの上動に連動して第2ギア447が第1の方向に回転するが、第2ギア447の第1の方向への回転はワンウェイクラッチ448によって第1ギア446には伝達されず、第1ギア447は自由に回転する。したがって、下座板41は上座板40に対して瞬時に上動する。この時、検知レバー42が回動して、ワイヤ43を引っ張ることで、第1回動レバー92が第1の方向に回動し、同時に第2回動レバー93が第1の方向に回動して係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止してロックドラム90の回転を規制する。
一方、下座板41が上座板40に対して上動した状態で、下座板41の下方の障害物が取り除かれると、下座板41は自重で下動を開始し、昇降体442Aの下動に連動して第2ギア447が第2の方向に回転するが、第2ギア447の第2の方向への回転はワンウェイクラッチ448によって第1ギア446に伝達され、さらに第1ギア446の回転はピ二オンギア441に伝達され、ピニオンギア441はロータリーダンパ440の作動によってゆっくりと回転する。さらに、ピニオンギア441は、ピ二オンギア441に対して大径の第1ギア446に噛合しているので、ピ二オンギア441の回転速度に比べて第1ギア446の回転速度がピ二オンギア441と第1ギア446の歯数比分減速され、第1ギア446と一体で回転する第2ギア447の回転速度も減速され、昇降体442A及び下座板41がゆっくりと下動する。さらに、大径の第1ギア446と小径の第2ギア447が一体で回転し、小径の第2ギア447がラックギア442と噛合しているので、第1ギア446が直接ラックギア442に噛合していると仮定したような場合に比べて、昇降体442Aを同じ距離だけ下動させるのにより多くの回転が必要となり、昇降体442A及び下座板41が第1ギア446と第2ギア447の歯数比分ゆっくりと下動する。下座板41がゆっくりと下動することで、第2の姿勢にある第1回動レバー92はゆっくりと回動しながら戻り、第3回動レバー94による第2回動レバー93の回動規制解除のタイミングを遅延させる。
[C−3]ロック装置
ロック装置9の構成について、図16〜図20に基づいて詳細に説明する。なお、図16と図17〜図20とで要素の形状に異なる箇所があるが構成要素自体は同じである。また、各要素の参照番号は図17に最も詳細に記載されており、適宜参照されたい。ロック装置9は、回転自在のロックドラム90と、回転自在の巻取ドラム91と、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、第3回動レバー94と、これらを内装するケース95と、を備えている。本実施形態では、ロックドラム90は、中継装置8の直下に位置しており、巻取ドラム91は、ロックドラム90の第1側に隣接して配置されており、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、保持レバー94は、ロックドラム90の第2側に隣接して配置されている。通常時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94は第1の姿勢(非ロック姿勢)にある(図16、図20参照)。障害物検知によるシャッター停止時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94は第2の姿勢(ロック姿勢)にあり(図17参照)、また、第2回動レバー93が第2の姿勢を維持する間は、第1回動レバー92が回動を開始しても、ロック装置9のロック状態が維持される(図18、図19参照)。
図16に示すように、ロックドラム90、巻取ドラム91の前面側には、ロックドラム90及び巻取ドラム91を挟んで後板953と対向するように前板954´が設けてある。前板954´は、少なくともロックドラム90、巻取ドラム91の中心部(支持軸900、910に対応する部位)の前側を覆うように延びている。図示の態様では、前板954´は、上側及び右側に折り曲げ片が一体形成されており、上側折り曲げ片を上板950に、右側折り曲げ片を側片952に当接させて螺子でケース95に固定される。支持軸900及び支持軸910は一端が後板953に、他端が前板954´に支持されている。支持軸900、支持軸910を両端で支持することで、片持ち支持に比べてより安定してロックドラム90、巻取ドラム91を回転支持することができる。図17に示す態様では、ロックドラム90と巻取ドラム91間で延びるワイヤW3を挿通させるガイド部958は前板954´の下端の折曲部に形成されている。図16、図17には図示していないが、ケース95の前面には、さらに、前面カバー954が設けられる。側片951、952の下端はそれぞれ外側に折り返されて折曲片956、957が形成されており、ケース95は、折曲片956、957を介して螺子956a、957aで上座板40の上面部400に取り付けられている。ケース95は外部に露出する螺子956a、957aを用いて上座板40に取り付けられているので、メンテナンス時等のケース95の取り外しが容易となる。
ロックドラム90は、ロックドラム90を回転自在に支持する支持軸900と、ワイヤを巻回する凹状の周面901と、ロックドラム90の周縁(具体的には、周面901の厚さ方向の一側に位置して設けられ、周面901よりも大径の円板部902の周縁に連続状に形成された多数の歯状の被係止部903と、を備えている。ロックドラム90の周縁はいわば歯車を形成している。1つの態様では、周面901の厚さ方向の寸法は、ワイヤが並列状に3周巻回できるような寸法となっている。
巻取ドラム91は、巻取ドラム91を回転自在に支持する支持軸910と、ワイヤを巻回する周面911と、巻取ドラム91をワイヤの巻取方向に付勢するための手段としてのぜんまいばね(図示せず)と、を備えている。
第1回動レバー92は、上下方向に延出する回動片であり、上側の第1部分920と、第1部分920に対してやや角度を付けて下方に延びる第2部分921と、からなり、第1部分920と第2部分921との接続部に位置して形成された回動支点922(ケース95の後板953に突設された支持軸P1によって形成される)を中心として回動可能にケース95に設けてある。
第1回動レバー92は、回動支点922を中心として、上側の第1部分920がロックドラム90に接近する方向の第1の方向(ロック方向)、上側の第1部分920がロックドラム90から離間する方向の第2の方向(ロック解除方向)に回動可能となっている。通常の開閉時及び停止時には、第1回動レバー92は、上側の第1部分920がロックドラム90から離間した側に回動した第1の姿勢にあり(図16、図20参照)、ロック装置9がロック状態にある時には、第1回動レバー92は、上側の第1部分920がロックドラム90に近接した側に回動した第2の姿勢にある(図17参照)。
第1回動レバー92は、付勢手段として例示するコイルスプリング96によって第2の方向へ付勢されている。図示の態様では、コイルスプリング96の一端は、ケース95の左側の側板951の下端に近接して、ケース95の後板953から突設したピンP2に連結され、他端は第1回動レバー92の第1部分920の上端において、ロックドラム90から離間する側に連結されている。ケース95の後板953の所定部位にはストッパとしてのピンP3が突設されており、第1回動レバー92が第1の姿勢にある時には、第1回動レバー92の第1部分920のロックドラム90から離間する側の部位がピンP3に当接している。
第1回動レバー92の第2部分921の下側は、ケース95の下端から下方に延出しており、下端には、フック状の係止部92´が形成されており、ワイヤ43の端部(ワイヤ43の端部にコイルスプリング98連結されている場合には、コイルスプリング98の端部)が係止部92´に係脱可能に係止されている。下座板41の上動に連動してワイヤ43に引かれると、第1回動レバー92がコイルスプリング96の付勢力に打ち勝って、第1方向に回動する。係止部92´は、第1回動レバー92の下端側において、ワイヤ43が延びる側とは反対側に形成された開口と、開口から下方に延びる溝部と、溝部によってワイヤ43が延びる側と反対側に形成された立ち上がり部と、から形成されており、溝部の底部はワイヤ43側に若干膨らんでおり、立ち上がり部の上端は開口に隣接して肉厚に形成されている。係止部92´の形状は、機械式避難時停止装置の動作時に、第1回動レバー92がいかなる回動姿勢にあっても、ワイヤ43が係止部92´から外れることがないような形状に形成されている。メンテナンス時等にはワイヤ43の端部を係止部92´から取り外すことができるので有利である。
第2回動レバー93は、短辺930、931、長辺932を備えた2等辺三角形状の回動片であり、短辺931をロックドラム90に対向させて、短辺931及び長辺932の下側に位置する頂点に近接して形成された回動支点933(ケース95の後板953に突設された支持軸P1によって形成される)を中心として回動可能にケース95に設けてある。図示の態様では、第2回動レバー93の回動支点933と第1回動レバー92の回動支点922は共通の支持軸P1から形成されている。短辺930、931によって形成される頂点に近接して係止部934が形成されており、係止部934から離間するように長辺932に近接して当接部935が形成されており、短辺930、長辺932によって形成される頂点に近接して当接部936が形成されている。第2回動レバー93の係止部934は、ロックドラム90の被係止部903(歯車の歯)に係脱可能な形状を備えている。
本実施形態では、第2回動レバー93は、対向する2枚のプレートを備え、支持軸P1は2枚のプレート間に貫設されており、係止部934は2枚のプレート間を連結するピン(回転自在な回転ピン)であり、当接部935は2枚のプレート間を連結するピンであり、当接部936は2枚のプレート間を連結するピンに回転自在に外装されたベアリングである。なお、2枚のプレートからなる構成は第2回動レバー93の1つの態様に過ぎないものである。
第2回動レバー93は、下側の回動支点933を中心として、上側がロックドラム90に接近する方向の第1方向、上側がロックドラム90から離間する方向の第2方向に回動可能となっている。通常の開閉時及び停止時には、第2回動レバー93は、上側がロックドラム90から離間した側に回動した第1の姿勢にあり(図16、図20参照)、ロック装置9がロック状態にある時には、第2回動レバー93は、上側がロックドラム90に近接する側に回動した第2の姿勢にある(図17参照)。第2回動レバー93が第1の姿勢にある時には、係止部934がロックドラム90の被係止部903から離間した非係止状態にあり、また、当接部935には、第1回動レバー92の第1部分920のロック装置に近い側の部位が当接している。第2回動レバー93が第2の姿勢にある時には、係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止した係止状態にある。第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903とが係止状態にある時には、ロックドラム90の回転が規制され、ロック装置9はワイヤW3の引き出しが規制されたロック状態となる。
第2回動レバー93は、付勢手段として例示するコイルスプリング97によって、第2方向へ付勢されている。図示の態様では、コイルスプリング97の一端は、ケース95の左側の側板951の下端に近接して、ケース95の後板953から突設したピンP2に連結され、他端は第2回動レバー92の当接部935に連結されている。図示の態様では、第2回動レバー93を第2方向へ付勢するコイルスプリング97と第1回動レバー92を第2方向へ付勢するコイルスプリング96は共通のピンP2に連結されているが、それぞれ別個のピンを用意して、別個のピンに連結させてもよい。また、図示の態様では、当接部935を形成するピンが、コイルスプリング97の他端の連結部を兼用しているが、当接部935とは異なる部位にコイルスプリング97の他端を連結してもよい。
第2回動レバー93の当接部935には、第1回動レバー92の上側の第1部分920のロックドラム90に近い側の部位が当接している。下座板41の上動に連動してワイヤ43が引かれて第1回動レバー92がコイルスプリング96の付勢力に打ち勝って第1の方向に回動すると、第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935を押すことで、第2回動レバー93は、コイルスプリング97の付勢力に打ち勝って第1の方向に回動する。第2回動レバー93が第1の方向に回動することで、ロックドラム90の被係止部903に対して離間していた第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止して、ロック状態となる。
第3回動レバー94は、第1回動レバー92及び第2回動レバー93の上方に位置して横方向に延びる部材であり、係止状態(第2の姿勢)にある第2回動レバー93の第2の方向への回動を規制する回動規制手段、換言すると、障害物除去後において、第2回動レバー93の係止状態を所定時間保持する保持レバーである。第3回動レバー94は、ロックドラム90に近い側の端部を回動支点940として、回動可能に回動可能にケース95に設けてあり、ロックドラム90から遠い側の端部が上下方向に回動可能となっている。回動支点940は、ケース95の後板953に突設した支持軸P4から形成されている。
第3回動レバー94は、第1回動レバー92及び第2回動レバー93が第1の姿勢にある時には、ロックドラム90から遠い側の端部である先端が第1の位置(上側)に回動した第1の姿勢(図16参照)にあり、第1回動レバー92及び第2回動レバー93が第2の姿勢にある時には、先端が第2の位置(下側)に回動した第2の姿勢(図17参照)にある。
横方向に延びる第3回動レバー94の下側部位には、ロック装置9がロック状態にある時、つまり、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時に、第2回動レバー93の当接部936に係止する係止部941が形成されている。第3回動レバー94の下側部位には、係止部941に対して先端側に位置して当接部942が形成されている。
本実施形態では、第3回動レバー94は、対向する2枚のプレートを備え、支持軸P4は2枚のプレート間に貫設されており、係止部941は2枚のプレートの先端間に挟持したブロックであり、当接部942は2枚のプレート間を連結するピンに回転自在に外装されたベアリングである。2枚のプレートからなる構成は第3回動レバー94の1つの態様に過ぎず、また、係止部941は一体形成されたものでもよい。図示の態様では、係止部941は側面視段部状であるが、係止部941の形状は限定されず、爪状ないし突起状であってもよい。
第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第1の姿勢にある時に、第3回動レバー94の係止部941の角部が第2回動レバー93の当接部936に当接しており、第3回動レバー94の先端が下側へ回動することが規制されており、第1の姿勢が保持されている。この状態から、第2回動レバー93が第1の方向に回動することで、第2回動レバー93の当接部936が第3回動レバー94の係止部941の角部を乗り越えると同時に第3回動レバー94が下側に回動し、第2回動レバー93の当接部936が係止部941に係止する。
図17に示すように、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時に、第2回動レバー93の当接部936は第3回動レバー94の係止部941の係止辺9410に対向しており、また、第1回動レバー92の上端に形成された当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接している。第1回動レバー92の当接部923と第3回動レバー94の当接部942との当接状態及び第2回動レバー93の当接部936と第3回動レバー94の係止部941の係止辺9410との対向状態(図17参照)ないし係止状態(図18参照)は、少なくとも、第1回動レバー92が第2の姿勢から第2の方向へ所定量回動する間は維持される。第2の姿勢にある第3回動レバー94が上側に所定量回動することで、第3回動レバー94の係止部941と第2回動レバー93の当接部936の係止状態が解除され、第3回動レバー94による回動規制が解除され、コイルスプリング97の力で第2姿勢にある第2回動レバー93は第2方向に回動する。
第3回動レバー94の先端側には周面状の突片943が形成されており、第3回動レバー94が第1の姿勢にある時に、突片943が左側の側片951に当接するようになっており、第3回動レバー94のさらなる上側への回動が規制されている。こうすることで、第3回動レバー94が第2姿勢から第1姿勢へ回動した時の跳ね上がりを防止している。
ロック装置の作用について説明する。ブレーキが解放されてシャッターカーテン1が自重降下を開始すると、座板4の降下に伴って座板4に設けられたロック装置9(ロックドラム90、巻取ドラム91)も降下し、ロック装置9の降下に伴って、ぜんまいばねの力に打ち勝って、第2ワイヤW3は巻取ドラム91及びロックドラム90が回転しながら、シャッターカーテン1の降下距離分だけ引き出されていく。
ロック装置9は、降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当接した時に、下座板41が上座板40に対して相対的に上動することに連動してロックドラム90の回転が規制されるように作動する。自重降下中のシャッターカーテン1の下端が障害物に当接して、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、下座板41の上動に連動して検知レバー42が回動するようになっている。複数の検知レバー42の下端部位はワイヤ43によって互いに連結されており、ワイヤ43の一端はコイルスプリング98を介して第1回動レバー92に連結されている。検知レバー42は、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、ロックドラム90から離隔する方向に回動してワイヤ43をロックドラム90から離隔する方向に引っ張り、第1回動レバー92が第1の姿勢から第2の姿勢へと回動する。
第1回動レバー92が図16に示す第1の姿勢から第1の方向へ回動すると、第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935に当接しながら押すことで、第1の姿勢にある第2回動レバー93は第1の回動レバー92と一緒に第1の方向へ回動して、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の歯状の被係止部903に係止してロックドラム90の回転を規制する(図17)。
一方、図16に示すように、第1の姿勢にある第3回動レバー94は、第1の姿勢にある第2回動レバー93の当接部936に当接することで、下側への回動が規制されている。第1の姿勢にある第2回動レバー93が第1回動レバー92と共に第1の方向へ回動することで、第2回動レバー93の当接部936が第3回動レバー94の係止部941の角部を乗り越えて係止部941に係止すると同時に、第3回動レバー94が自重で下側へ回動して第2の姿勢となる(図17)。
第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時には、第1回動レバー92の第2の姿勢は、ワイヤ43の引っ張り力により保持され、第2回動レバー93の第2の姿勢は、第2の姿勢にある第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935に当接することで保持され、第3回動レバー94の第2の姿勢は、第1回動レバー92の当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接することで保持される。したがって、ワイヤ43が引っ張られた状態、すなわち、障害物検知状態にある時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢を維持し、ロック装置9がロック状態にあってロックドラム90の回転が規制される。
ロックドラム90の回転が停止すると、第2ワイヤW3の引き出しが規制され第2ワイヤW3の長さが一定となり、この状態で上座板40(すなわちロックドラム90)が降下すると、第2ワイヤW3、中継装置8を介して第1ワイヤW2が引かれて、作動手段がブレーキ復帰方向に移動し、ブレーキ解放レバー50が復帰してブレーキが復帰し、巻取シャフト2の回転を規制してシャッターカーテン1の降下が停止する。ここで、ブレーキ復帰のためには復帰ワイヤ(第1ワイヤW2、第2ワイヤW3)を所定量引っ張る必要があり(すなわち、シャッターカーテン1が所定量降下する必要がある)、障害物に当たった下座板41は、ブレーキ復帰をさせるだけのシャッターカーテン1の降下量に対応する上動ストロークを備えていることが望ましい。さらに、この上動ストロークに加え、下座板41は、上座板40に対して、相対的に上動可能とするような余裕ストロークを備えていることが望ましい。この余裕ストロークによって、下座板41に障害物が接触した時に、当該下座板41の荷重のみを障害物に作用させることができ、障害物にシャッターカーテン全体の荷重が作用することを防止する。ここで、上座板40に対して相対的に上動する下座板41とから座板4を構成することは公知であるが、本実施形態では、上座板40に対する下座板41の可動距離は、従来の可動距離よりも大きい。具体的には、上座板40に対する下座板41の相対的な可能距離は、自重降下するシャッターカーテン1下端の下座板41が障害物に当たった時に検知レバー42を回動させて、第1回動レバー92をロックドラム90に係止させて当該ロックドラム90の回転を規制して巻取ドラム91に収納されている復帰ワイヤの引き出しを規制するまでの第1移動量(ロックのために第1回動レバー92及び第2回動レバー93を回動させる必要あり)と、復帰ワイヤの引き出しが規制された状態で上座板40が下座板41に対して相対的に下動することで前記引き出しが規制された復帰ワイヤを下方に引っ張ってブレーキを復帰させるまでの第2移動量(ロック後に復帰ワイヤを下方に引っ張る必要あり)と、ブレーキ復帰によってシャッターカーテン1の下降が停止した後で上座板40に対する下座板41の上動を許容する第3移動量(障害物に作用するであろう荷重を緩和する)と、の合計からなる。なお、復帰ワイヤを引くことに関連して、下座板41の上動ストロークが小さい場合であっても、復帰ワイヤの途中(例えば、中継装置8)や復帰ワイヤ(第1ワイヤW2)と作動手段との連結部位に位置させて、第2ワイヤW3の上動ストロークに対して大きい作動手段の牽引量を取り出す機構(例えば、リンク機構)を設けることでブレーキを復帰させることができる。
障害物除去後に下座板41が下動して、ワイヤ43の引っ張りが無くなると、第2の姿勢にある第1回動レバー92がコイルスプリング96の力によって第2の方向に回動を開始する。本実施形態では、減衰機構(緩降装置)によって、第1回動レバー92は第2の方向にゆっくりした速度で回動する。第1回動レバー92の上端の当接部923は凹状の円弧面となっており、回動初期には、第3回動レバー94の当接部942の周面に対して摺動しながら、第1回動レバー92が第2の方向に回動を開始する一方、第2回動レバー93は、第2の姿勢(ロック状態)を維持している(図18)。図17と図18を対比すればわかる通り、第2回動レバー93の当接部936と第3回動レバー94の係止部941との係止状態の遊びの範囲において、第2の姿勢にある第1回動レバー92が第2の方向へ回動すると、第2回動レバー93もわずかに第2の方向に回動するが、当該係止状態は維持されており、第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903とはロック状態にある。
第1回動レバー92が所定量回動した時点から、第1回動レバー92の当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接して作用し、第3回動レバー94の先端側の当接部942が第1回動レバー92の回動に連動して上方に押し上げられ、第3回動レバー94が所定量押し上げられると、第3回動レバー94の係止部941と第2回動レバー93の当接部936との係止状態が解除され(係止状態が解除される直前まで、第2回動レバー93のロック状態が維持される)、第2回動レバー93はコイルスプリング97の力によって第2の方向に瞬時に回動し、第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903との係止状態が解除され、ロック状態が解除される。ロック状態が解除される直前の状態を図19に示す。図19の状態から第1回動レバー92の当接部923によって第3回動レバー94の当接部942が完全に押し上げられると、第2回動レバー92の当接部936と第3回動レバー94の係止部941との係止状態が外れて、同時に、コイルスプリング97によって第2回動レバー93が第2の方向に瞬時に回動して、係止部934がロックドラム90の被係止部903から外れて、ロックドラム90の回転が可能となる。
本実施形態では、第2ワイヤW3を、ロックドラム90と、巻取ドラム91に分けて巻き取るようにしている。1つの回転体にワイヤの巻取機構とロック機構の両方を設けた場合には、ワイヤが回転体に乱巻きされ、多層に巻かれたワイヤに外側のワイヤが食い込んで、いわゆる巻き絞りが生じるおそれがある。ワイヤに巻き絞りが生じると、ワイヤの円滑な繰り出し、巻取りに影響を与える可能性がある。本実施形態では、第2ワイヤW3は先ずロックドラム90に3周巻かれてから、巻取ドラム91に巻装されるようになっており、第2ワイヤW3に発生し得る力はロックドラム90に作用するようになっている。ここで、ロックドラム90の周面901には、第2ワイヤW3が一層巻き(並行状の3巻き)なので、第2ワイヤW3に力が作用しても、回転中のロックドラム90の回転が急に停止しても、ワイヤに巻き絞りが生じることがない。また、第2ワイヤ3をロックドラム90に複数巻くことで、第2ワイヤ3がロックドラム90の周面901で滑ることを防止しており、ロックドラム90と巻取ドラム91が一緒に回転するようになっている。また、巻取ドラム91には、第2ワイヤ3を巻き取る方向に付勢するぜんまいばねが内蔵されているので、ロックドラム90がロックされて回転が停止しても、第2ワイヤW3の弛みは生じない。
第1回動レバー92の下端は、コイルスプリング98を介してワイヤ43に連結されており、コイルスプリング98は緩衝用バネを構成している。ブレーキ復帰のためには復帰ワイヤを所定量引っ張る必要があり(すなわち、シャッターカーテン1が所定量降下する必要がある)、障害物に当たった下座板41は、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の歯状の被係止部903に係止した後も相対的に上動する必要がある。この時、コイルスプリング98が伸びることで、ロックドラム90がロックされた後の下座板41の上動に伴うワイヤ43や係止部分(係止部934、被係止部903)への負荷を緩和している。より具体的に説明すると、ロック後(係止部934が被係止部903に係止した後)、さらに上座板40が下座板41に対して下動することで、下動した分だけ復帰ワイヤが引き下げられる。同時に、上座板40の下動によって、検知レバー42がさらに上方に回動して、ワイヤ43がさらに引かれるが、この時、コイルスプリング98が伸びることで、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の被係止部903に押し付けられることを防止する。
図示の態様では、ロックドラム90と巻取りドラム91は隣接しているが、ロックドラム90と巻取ドラム91を離間(非限定な例示として、これらのドラムの半径寸法から直径寸法程度)させて配置してもよい。本実施形態では、ロックドラム90と巻取ドラム91を別体として設け、ロックドラム90をロックする構成に基づいて説明したが、出願人の先の出願である特許第4906612号(特開2009−13647号)に記載したもののように、ロックドラムと巻取ドラムを一体化してもよい。図示の態様では、ロックドラム90の一側にのみ第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94、検知レバー42を配置したが、ロックドラム90の両側に検知レバーを配置すると共に、それぞれの検知レバーに連結されるワイヤに連結される左右一対の第1回動レバーを設けてもよい。
[C−4]ブレーキ解放・復帰装置
図23は、手動閉鎖装置10を用いてシャッターカーテンを自重降下させる場合、図24は、自動閉鎖装置6を用いてシャッターカーテンを自重降下させる場合を示している。図23(A)、図24(A)は、ブレーキが有効な状態(ブレーキ復帰状態)、図23(B)、図24(B)は、ブレーキ解放状態、図23(C)、図24(C)は、ブレーキ復帰状態とする動きを示す図である。図中、「左側」が「自動閉鎖装置側」となっており、ブレーキ解放レバー50が左側へ向かう方向が「ブレーキ解放方向」、左側へ移動したブレーキ解放レバー50が右側へ向かう方向が「ブレーキ復帰方向」である。
ブレーキ解放・復帰装置7は、開閉機5のブレーキケースに対応して開閉機5の外側に取り付けられるフレーム70を備えている。フレーム70は、上壁700と、上壁700の左右端部より垂下する側壁701、702を備えている。上壁700にはブレーキ解放レバー50の先端部位を左右方向に移動可能に受け入れる開口7000が形成されており、ブレーキ解放レバー50の先端部位は上壁700の開口7000を挿通してフレーム70内に延出している。フレーム70の対向状の側壁701、702間には水平状に延出するガイド軸71、72が設けてある。図23〜図25に示す態様では、2本のガイド軸71、2本のガイド軸72の合計4本のガイド軸を備えており、フレーム70の幅方向の両端側にはガイド軸71が配置され、各ガイド軸71の内側に位置して高さ方向に段違い状にガイド軸72がそれぞれ配置されている。
図26(A)に示すように、第1作動体73は、水平状に延出する底辺730と、底辺の左右端部から対向状に垂直に立ち上がる側辺731、732とから側面視コ字形状を備えており、左右の側辺731、732にはガイド軸71を挿通させる挿通孔が形成されている。第1作動体73の右側の側辺732には、手動閉鎖装置10から延びる手動操作用ワイヤW4の一端が固定されている。側辺732にはワイヤW4の挿通溝が形成されており、当該挿通溝は底辺730の溝部7300と連通している。図26(D)に示すように、ワイヤW4の端部は、前記挿通溝及び溝部7300の溝幅よりも大径の係止部となっており、ワイヤW4の端部の係止部の抜けが防止されている。底辺730には、幅方向中央かつ側辺732に近接して、溝部7300を挟んで2つの螺子孔が形成されている。溝部7300を下側から覆うようにプレート78を底辺730に当接させて、プレート78を螺子79で底辺730に固定する。
図26(B)に示すように、第2作動体74は、水平状に延出する水平740と、水平辺740の左右端部に対して垂直状に延びる側辺741、742と、側辺741の下端の中央部位に形成した水平状の2つの折曲辺743と、からなり、左右の側辺741、742にはガイド軸72を挿通させる挿通孔が形成されており、側辺741の下半部位にはガイド軸71を挿通させる挿通孔が形成されている。第2作動体74の左側の側辺741には、自動閉鎖装置6から延びるブレーキ解放ワイヤW1の一端が固定されている。側辺741にはワイヤW1の挿通溝が形成され、前記挿通溝は各折曲辺743間の溝と連通しており、折曲辺743の上側にワイヤW1の端部の係止部を位置させて、各折曲辺743間の溝を下側から覆うようにプレート78を螺子79で折曲辺743に固定する。
図26(C)に示すように、第3作動体75は、水平状に延出する上辺750と、上辺750の左右端部から対向状に垂下する側辺751、752と、側辺752の下端の中央部位に形成した水平状の2つの折曲辺753と、からなり、左右の側辺751、752にはガイド軸72を挿通させる挿通孔が形成されている。第3作動体75の右側の側辺752には、復帰ワイヤを構成する第1ワイヤW2の一端が固定されている。側辺752には第1ワイヤW2の挿通溝が形成され、前記挿通溝は各折曲辺753間の溝と連通しており、折曲辺753の上側に第1ワイヤW2の端部の係止部を位置させて、各折曲辺753間の溝を下側から覆うようにプレート78を螺子79で折曲辺743に固定する。第3作動体75の左側の側辺751の中央部位には押圧片7510が形成されている。
図23〜図25に示すように、ケース70の幅方向両端に位置して断面視コ字状の部材が設けてあり、当該部材から当接片703が形成されている。ガイド軸71に巻装された第1コイルスプリング76の左側端部は第1作動体73の左側側辺731に当接しており、第1コイルスプリング76の右側端部は当接片703に当接している。ガイド軸72に巻装された第2コイルスプリング77の左側端部は第3作動体75の左側側辺751に当接しており、第2コイルスプリング77の右側端部は第2作動体74の右側側辺742に当接している。
自動閉鎖装置を用いたブレーキ解放・復帰の動作について説明する。随時閉鎖を行いたい時には、手動閉鎖装置10の非常ボタン102を押すと、図23(A)の状態から、第1作動体73の側辺732を図中右側に引っ張って第1コイルスプリング76を圧縮状態に維持しているワイヤW4が緊張状態から緩み、圧縮された第1コイルスプリング76が伸長することで、コイルスプリング76の左側端部が左側に移動し、第1作動体73の側壁731が図中左側に押し出されて第1作動体73が左側に移動する。左側に押し出される側壁731によって、第2作動体74の側壁741が左側に押し出されて、第2作動体74が左側に移動する。
第2作動体74の右側側辺742は第2コイルスプリング77の右側端部に右側から当接しており、第2作動体74の側辺742が右側に移動することによって、第2コイルスプリング77を介して、第3作動体75の側辺751が左側に押し出されて、側辺751の押圧片7510がブレーキ解放レバー50を左側(自動閉鎖装置側)に移動させて、ブレーキを解放する(図23(B))。この時、2本の第2コイルスプリング77の弾性力の合計は、ブレーキ解放レバー50の付勢力(開閉機5に内蔵された復帰手段により提供される復帰力)より大きいので、第2コイルスプリング77はそのままの状態で、ブレーキ解放レバー50の付勢力に打ち勝って左側に移動して、ブレーキ解放レバー50を自動閉鎖装置側に移動させてブレーキを解放する。ブレーキ解放により、シャッターカーテン1は自重降下を開始する。
自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たって当該障害物を検知すると、ワイヤW2が右側に引っ張られて、第2コイルスプリング77を圧縮しながら第3作動体75が右側に移動する。第3作動体75の右側側辺751の押圧片7510が右側に移動することで、ブレーキ解放レバー50を左側(ブレーキ解放方向)に押圧する力が解除され、ブレーキ解放レバー50がフリーとなって、ブレーキに内蔵された復帰手段(バネ部材)によってブレーキ及びブレーキ解放レバー50が復帰する(図23(C))。ブレーキの復帰により自重降下中のシャッターカーテンが停止する。この時、第2コイルスプリング77が圧縮されるだけで、第1作動体73、第2作動体74は移動しない。障害物の除去後には、復帰ワイヤ(第1ワイヤW2、第2ワイヤW3)の引き出しが可能となり、第2コイルスプリング77が伸長して図23(B)の状態となって、ブレーキが解放され、シャッターカーテン1が再降下する。
手動で自重降下させたシャッターカーテンを再び手動で停止させたい場合には、手動閉鎖装置10のレバー103を手前に引くと、第1作動体73に連結されているワイヤW4が右側に引っ張られ、第1コイルスプリング76を圧縮しながら第1作動体73が右側に移動する。図23(B)の状態から、ブレーキ解放レバー50を復帰方向に移動させる復帰手段(バネ部材)に打ち勝ってブレーキ解放レバー50をブレーキ解放位置に保持する第1コイルスプリング76の伸長力が解除されることで、ブレーキ解放レバー50は、開閉機側の上記復帰手段の力で、第2作動体74、第3作動体75を伴って右側に移動し、ブレーキ及びブレーキ解放レバー50が復帰する。ブレーキの復帰により自重降下中のシャッターカーテンが停止する。このようにして、ブレーキ解放レバー50は図23(A)の位置に戻る。
自動閉鎖装置を用いたブレーキ解放・復帰の動作について説明する。図24(A)は、図23(A)と同じであり、図23(A)の説明を援用することができる。火災感知器6aによって火災が感知されると、防災盤6bより信号(DC24V)が出力され、自動閉鎖装置6が作動して、ブレーキ解放ワイヤW1を引っ張る。図24(A)の状態から、自動閉鎖装置6によってブレーキ解放ワイヤW1が左側に引かれると、第2作動体74の左側側辺741が自動閉鎖装置側に引かれて移動し、同時に第2作動体74の右側側辺742が自動閉鎖装置側に移動することで、第1コイルスプリング76(第1コイルスプリング76は、開閉機5に内蔵されたブレーキ解放レバー50の復帰手段よりも大きい弾性力を有している)を介して第3作動体75が自動閉鎖装置側に移動して、第3作動体75の左側側辺751の上端部の押圧片7510がブレーキ解放レバー50に当接してこれを移動させることでブレーキを解放する。図24(B)はブレーキが解放された状態を示している。
自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たって当該障害物を検知すると、ワイヤW2が右側に引っ張られて、第2コイルスプリング77を圧縮しながら第3作動体75が右側に移動する。第3作動体75の右側側辺751の上部の押圧片7510が右側に移動することで、ブレーキ解放レバー50を左側(ブレーキ解放方向)に押圧する力が解除され、ブレーキ解放レバー50がフリーとなって、ブレーキに内蔵された復帰手段によってブレーキ及びブレーキ解放レバー50が復帰する(図24(C))。ブレーキの復帰により自重降下中のシャッターカーテンが停止する。この時、第2コイルスプリング77が圧縮されるだけで、第1作動体73、第2作動体74は移動しない。障害物の除去後には、復帰ワイヤ(第1ワイヤW2、第2ワイヤW3)の引き出しが可能となり、第2コイルスプリング77が伸長して図24(B)の状態となって、ブレーキが解放され、シャッターカーテン1が再降下する。