[A]機械式避難時停止装置付き電動シャッターの全体構成
図1〜図6に示すように、シャッター装置は、開口部を閉鎖するシャッターカーテン1と、開口部上方に位置してシャッターカーテン1を巻装する巻取シャフト2と、開口部左右両端に立設されたガイドレ−ル3と、を備えている。シャッターカーテン1は、複数枚の開口幅方向に延びる長尺状のスラットを上下に連結して構成されており、下端には座板4が設けてある。巻取シャフト2は、躯体11から持ち出し状に設けた左右のブラケット12間に回転可能に支持されている。図1、図2に示すように、開口部上方において、開口幅方向の一側に寄った部位に開閉機5が設けてある。開閉機5は、開口幅方向の一側のブラケット12に取り付けられている。図示の態様では、天井13内にシャッターが収納されるようになっているが、躯体に取り付けられたシャッターボックス(図示せず)内にシャッターを収納するようにしてもよい。通常時には、シャッターカーテン1は、開閉機5によって巻取シャフト2を正逆回転駆動することで電動昇降して、開口部を開閉する。図2、図6に示すように、座板4は開口部幅方向に延びる長尺状の上座板40と、上座板40の下方側に上座板40に対して相対的に上下動自在に吊持された長尺状の下座板41とからなり、後述するように、座板4は、電動下降あるいは自重下降するシャッターカーテン1が障害物に当たった時に障害物を検知する障害物検知手段の一構成要素となっている。
シャッター装置は、火災時にシャッターカーテン1を自重降下させる自動閉鎖装置6を備えている。自動閉鎖装置6は、付勢手段(コイルスプリング601)によりブレーキ解放方向に付勢されているブレーキ解放体(第1作動体60)を有する作動機構を備え、火災時に当該作動機構によりブレーキを解放してシャッターカーテン1を自重降下させる。自動閉鎖装置6の具体的な構成については後に詳述する。
シャッター装置は、制御部を備えており、後述するように、電動開閉モード(通常モード)と自重降下モード(火災モード)で異なる制御が行われる。本実施形態では、制御部は、障害物検知用制御盤7Aと、シャッター制御盤7Bと、からなる。図1、図4に示すように、本実施形態では、自動閉鎖装置6と障害物検知用制御盤7Aが電気的に接続されており、障害物検知用制御盤7Aとシャッター制御盤7Bが電気的に接続されており、手動閉鎖装置10と障害物検知用制御盤7Aが電気的に接続されている。電動昇降時において、手動閉鎖装置10からの入力に基づく開放信号、閉鎖信号、停止信号は、障害物検知用制御盤7Aを介してシャッター制御盤7Bに送信される。図示の態様では、障害物検知用制御盤7Aとシャッター制御盤7Bは物理的に離隔しているが、制御部は、障害物検知用制御盤7Aの機能とシャッター制御盤7Bの機能を備えた1つの制御部であってもよい。制御部については、後に詳述する。また、感知器6aと防災盤6b、防災盤6bと自動閉鎖装置6がそれぞれ電気的に接続されている。
シャッターカーテン1は、開口部全開時(収納時)には、開閉機5の一構成要素であるブレーキによって下降が規制された状態で巻取シャフト2に巻装されている。この状態で火災が発生すると、火災感知器6aによって火災が感知され、防災盤6bからの火災検知信号によって自動閉鎖装置6が作動して、ブレーキ解放体(第1作動体60)がブレーキ解放位置に移動してブレーキを解放する。ブレーキが解放されると、シャッターカーテン1は、幅方向両端部がガイドレール3の溝部に案内されながら自重で下降し、座板4が着床することで開口部を全閉する。この時、シャッターカーテン1は、開閉機5に内蔵された調速機(ガバナ)の働きで調速された速度で下降するようになっている。
開閉機5のブレーキケースからブレーキ解放レバー50(図9〜図13に、ブレーキ解放レバー50の平面視における位置を示す)が突出しており、ブレーキ解放体(第1作動体60)によってブレーキ解放レバー50を移動させることで、開閉機5及び巻取シャフト2の回転を規制しているブレーキが解放される。電動シャッターにおいて、ブレーキを含む開閉機および当該ブレーキを解放するブレーキ解放レバーは周知である。具体的な態様例では、ブレーキ手段は、開閉機出力軸またはこの出力軸と一体で回転する回転部材に対して接離自在に対向するブレーキ板を有しており、シャッターカーテン収納時にはスプリング等の付勢手段によってブレーキ板が圧接されており、ブレーキが働いて巻取シャフトの回転が規制されている。ブレーキ解放レバーをスプリングに抗して揺動させることでブレーキ板が離隔してブレーキが解放され、巻取シャフトの回転が可能となって、シャッターカーテンが自重降下するようになっている。また、ブレーキ解放レバーをフリーにすれば、前記付勢手段であるスプリングによってブレーキ板が圧接されて自動的にブレーキ及びブレーキ解放レバーが復帰するようになっている。
シャッター装置は、いわゆる避難時停止装置を備えており、自重降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当たって当該障害物を検知すると、復帰ワイヤを介して開閉機5のブレーキを復帰させて、シャッターカーテン1の降下を停止させるようになっている。復帰ワイヤは、第1ワイヤW1と第2ワイヤW2とから構成されている。開口部上方部位には、開口幅方向の開閉機5が設置された側に寄って、中継装置8が設けてあり、座板4には、中継装置8の下方に位置するように開口幅方向の一側に寄って、ロック装置9が設けてある。ロック装置9は、中継装置8の略直下に位置するロックドラム90と、ロックドラム90に隣接する巻取ドラム91と、障害物検知時にロックドラム90の回転をロックするロック機構と、を備えている。第1ワイヤW1と第2ワイヤW2は中継装置8を介して接続されている。第1ワイヤW1の一端はブレーキ解放体(第1作動体60)をブレーキ復帰方向に移動させるように自動閉鎖装置6の作動機構に連結されており、他端は中継装置8に連結されている。第1ワイヤW1はアウターケーブルW1´内を延出している。第2ワイヤW2の一端は中継装置8に連結されており、他端は座板4に設けたロック装置9のロックドラム90に巻回されて当該ロックドラム90を経由して、巻取ドラム91に巻回可能に連結されている。第2ワイヤW2は、シャッターカーテン1の降下に伴ってシャッターカーテン1の面部に沿って延びるように引き出される。ロック装置9は、上座板40に設けられ、降下中のシャッターカーテン1の下座板41が障害物に当たって上座板40に対して相対的に上動することで、復帰用ワイヤ(第2ワイヤW2)の引き出しを機械的に規制し、当該引き出しが規制された復帰ワイヤ(第2ワイヤW2+第1ワイヤW1)によりブレーキ解放体(第1作動体60)をブレーキ復帰方向に引っ張るようになっている。このようにして、自重降下中のシャッターカーテン1の下座板41が障害物に当たった場合には、復帰ワイヤ(第2ワイヤW2+第1ワイヤW1)によりブレーキ解放体(第1作動体60)をブレーキ復帰位置に移動させてシャッターカーテン1の自重降下を停止させる。障害物が除去されると、復帰ワイヤの引き出しが可能となって、ブレーキ解放体(第1作動体60)がブレーキ解放方向に移動して、シャッターカーテン1が自重再降下する。また、障害物除去後において、シャッターカーテン1が自重で再降下するタイミングを遅延させるようになっている。
図14に示すように、図示の態様では、障害物検知手段は、座板4を構成する上座板40と下座板41との間に回動可能に設けた検知レバー42を用いるものであり、この障害物検知手段の構成については後に詳述する。図示の態様では、ロック装置9は、座板4の長さ方向の一側、具体的には開口幅方向の開閉機5が設けられた側に寄った位置で上座板40に取り付けられており、回転自在のロックドラム90と、回転自在の巻取ドラム91と、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、第3回動レバー94と、これらを内装するケース95と、を備えているが、このロック装置9の構成については後に詳述する。また、障害物除去後の自重再降下の遅延手段の構成についても後に詳述する。
図5に示すように、中継装置8は、開口部上方のまぐさ部14の受け部材15に取り付けられている。受け部材15は断面視方形状の長尺部材であり、巻取シャフト2の両端を支持する左右のブラケット12の下端間に取り付けられている。図2、図4に示すように、中継装置8は、開口部上方の開口幅方向の一側で、正面視ロック装置9の直上に位置して、垂直状に延びるワイヤW2に対応するように配置されている。また、図5に示すように、中継装置8は、シャッター芯Cに対して躯体11と反対側に位置している。
図7に示すように、中継装置8は、開口部上方に位置して前後方向(室内外方向)に延びる回動体80と、受け部材15に取り付けられた取付ベース81と、からなる。取付ベース81は、回動体80が回動自在に取り付けられる左右の支持片810と、受け部材15に取り付けられる装着片811と、を備えている。回動体80は回動支点82を中心として、前後方向の第1端部、第2端部がそれぞれ上下動するように回動する。第1端部には、第1ワイヤW1の端部の固定部83が形成されており、第2端部には、第2ワイヤW2の上端の固定部84が形成されている。固定部83は、アウターケーブルW1´から露出した第1ワイヤW1の端部を余端部を残して固定する第1固定部830と、前記余端部を固定する第2固定部831とからなり、第1固定部830、第2固定部831の2つの固定部によって第1ワイヤW1の端部を強固に固定している。固定部83の下方にはアウターケーブルW1´の端部の固定部832が設けてある。固定部832は、取付ベース81の左右の支持片810の下方部位に装着されている。第1ワイヤW1及びアウターケーブルW1´は、受け部材15に取り付けられたガイド150を通してシャッター芯Cから離間する方向に導かれており、自動閉鎖装置6の作動機構(第2作動体61)に連結されている。固定部84は、第2ワイヤW2の端部を挟み込むと共に、第2ワイヤW2の端部にはワイヤ径に対して大径の係止部840が形成されており、第2ワイヤW2の端部を強固に固定している。第2端部に形成された固定部84に固定された第2ワイヤW2が下方に引っ張られると、回動体80が回動支点82を中心に回動して、第2端部が下方に下がり、第1端部が上方に移動して、第1ワイヤW1を引っ張るようになっている。図7に示すように、中継装置8は、一方の支持片810と回動体80とを所定の位置で仮固定する仮固定螺子85を備えている。仮固定螺子85は、取付ベース81に対して所定の角度(ワイヤ取付時の適正角度)で回動体80を仮固定して回動を規制するものであり、回動体80が当該所定の角度の姿勢にある時に、第1ワイヤW1、第2ワイヤW2を回動体80に固定することで、中継装置8に対するワイヤ取付時における回動体80の姿勢の調整が不要となる。仮固定螺子85はワイヤ固定後に取り外される。
図2、図4に示すように、シャッター装置の近傍の壁面には、操作し易い高さに手動閉鎖装置10が設けてある。図8に示すように、手動閉鎖装置10は、中空の縦長直方体で、前面に開口を備えたボックス100と、ボックス100の前面の開口を開閉するカバー体101と、前面の下方部位に設けた押スイッチ102と、前面の側方部位に回動可能に設けた回動レバー103と、手動操作用の第3ワイヤW3の端部(他端)をネジで固定するワイヤ端固定部104と、を備えている。ボックス100内には、開放スイッチU、閉鎖スイッチD、停止スイッチSが配置されている。手動閉鎖装置10は、制御部(障障害物検知用制御盤7A、シャッター制御盤7B)と電気的に接続されており、開放スイッチUを押すと、制御部を介して開閉機5によってシャッターカーテン1が上昇し、閉鎖スイッチDを押すと、制御部を介して開閉機5によってシャッターカーテン1が下降し、停止スイッチSを押すと、制御部を介して開閉機5の駆動が停止してシャッターカーテン1が停止する。
手動閉鎖装置10は、自動閉鎖装置6の作動機構のブレーキ解放操作、ブレーキ復帰操作が操作可能なように手動操作用の第3ワイヤW3の一端に機械的に連結されている。第3ワイヤW3の他端は、自動閉鎖装置6の作動機構(第3作動体62)に連結されている。手動閉鎖装置10は、ブレーキ解放作動前の状態から第1の操作(非常時閉鎖スイッチ102の押し操作)によってブレーキを解放するように作動し、ブレーキ解放作動後の状態から第2の操作(回動レバー103)によってブレーキを復帰させるように作動する。ここで、第3ワイヤW3には、後述する自動閉鎖装置6のコイルスプリング621によりワイヤ端固定部104を(図8において)上方へ引き上げようとする力が加わっているが、図示しないロック機構で、ワイヤ端固定部104が上方へ移動して第3ワイヤW3が緩まないようにロックされている。非常時閉鎖スイッチ102を押すと、前記ロックが外れてワイヤ端固定部104が所定距離上動して緊張状態にある第3ワイヤ3が緩み、回動レバー103がカバー体101の面に対して手前に傾斜状に傾動する(ブレーキ解放姿勢)。また、傾斜状の回動レバー103を手前に下方に回動すると(図8に矢印で示す)、ワイヤ端固定部104が前述したロック位置まで引き下げられて第3ワイヤW3が所定距離引っ張られ、第3ワイヤW3に張力が加わった状態で第3ワイヤW3の移動がロック機構により規制される(ブレーキ復帰姿勢)。
図5に示すように、開口部上方のまぐさ部14の受け部材15には、シャッター芯Cに対して躯体11と反対側にスムーサ要素16が設けてあり、シャッター開閉時におけるシャッターカーテン1とまぐさ部14、中継装置8等との接触ないし干渉を防止するようになっている。スムーサ要素16は、受け部材15に固定(例えば溶接)されており、開口幅方向及び高さ方向に段違い状に設けた2つのローラ160を備えている。なお、スムーサ要素16は1つのローラであってもよい。スムーサ要素16の個数は開口幅寸法に応じて例えば1個〜5個の間で適宜選択される。
まぐさ部14の上辺140には、エマーゼンシスイッチ17設けてあり、通常時に電動開閉されるシャッター装置において、万が一、リミットスイッチLSの故障等により上限リミットでシャッターカーテン1が停止しない場合には、上限オーバーラン検知器としてのエマーゼンシスイッチ17が作動することで開閉機5によるシャッターカーテン1の上昇を停止させる。図6に示すように、エマーゼンシスイッチ17は、シャッターカーテン1の移動経路内に突出する第1当接片170(シャッターカーテン1が上限位置を越えて上昇した時に座板4が接触する)と、垂直状に立ち上がり、さらに後方へと略水平に延びる第2当接片171(下降中のシャッターカーテン1が障害物に当たった状態、障害物検知手段の故障等でシャッターカーテン1が継続して繰り出された場合、巻取シャフト2に巻き取られたシャッターカーテン1の径が大きくなって下方に垂れて接触する)と、を備えている。
[B]自動閉鎖装置
自動閉鎖装置6は、火災感知器6aによって火災が感知され、防災盤6bからの火災検知信号の入力によって作動機構が作動してブレーキ解放レバーを移動させてブレーキを解放させる。図9〜図13に基づいて、自動閉鎖装置6の実施形態について説明する。なお、図9〜図13に示す自動閉鎖装置6は、1つの実施形態に過ぎないものであり、図示する自動閉鎖装置6の構成によって本発明が限定されるものではない。
自動閉鎖装置6のケーシングは開閉機5に直接取り付けられており、ケーシングの対向する立ち上がり壁6A、6B間には3本の軸600、610、620が並設されている。ケーシング内には、第1作動体(第1スライドピース)60、第2作動体(第2スライドピース)61、第3作動体(第3スライドピース)62がそれぞれ軸600、610、620上をスライド可能に設けてあり、第1作動体60の移動路に位置して第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMS3が設けてあり、第2作動体61の移動路に位置して第2マイクロスイッチMS2が設けてある。第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMS3は、図9の奥行方向に段重ねに配置されており、この2つのマイクロスイッチは同時にON、OFFする。第2作動体61には、復帰ワイヤ(第1ワイヤW1)の一端が固定されている。第3作動体62には、手動操作用ワイヤ(第3ワイヤW3)の一端が固定されている。ケーシングの面部6Cには、軸600に対向して、長穴500が形成されており、開閉機5のブレーキ解放レバー50の先端部位が長穴500からケーシング内に突出している(図28参照)。
第1作動体60は、軸600上を第1の位置(電動開閉時の状態、すなわち待機位置)と第2の位置(ブレーキ解放位置)との間で移動可能となっており、軸600上には、第1作動体60と第1壁6Aとの間に位置してコイルスプリング601が設けてある。第1作動体60は、ブレーキ解放方向に付勢されているブレーキ解放体であり、電動開閉時には、第1作動体60に係止するラッチレバー63、ソレノイド64によって第1の位置に保持されている。ラッチレバー63には、軸620の長さ方向に延びるガイド長孔630が形成されており、プランジャ640に突設された軸641がガイド長孔630内に位置している。火災検知信号が自動閉鎖装置6に入力されると、ソレノイド64のプランジャ640が引かれ、ラッチレバー63が回動して、ラッチレバー63と第1作動体60との係止状態が外れることで、コイルスプリング601が伸長して第1作動体60が第2の位置に移動して、開閉機5のブレーキ解放レバー50を押してブレーキを解放する。第1作動体60が第2の位置から第1の位置へ向かって少し戻ると、ブレーキ解放レバー50が戻ってブレーキが復帰する。すなわち、本実施形態では、第1作動体60は第1の位置まで戻らなくてもブレーキ復帰位置となる(図13参照)。
第1作動体60が第1の位置にある時には、第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMS3はOFFであり、第1作動体60が第2の位置にある時には、第2マイクロスイッチM2はONである。第1マイクロスイッチMS1は、ブレーキ解放時に第1作動体60が第2の位置(ブレーキ解放位置)に向かってスライドすることでONとなり、障害物検知用制御盤7Aにブレーキが解放されたことを伝える作動確認信号(火災モードないし自重降下モード認識用信号)が送信される。第3マイクロスイッチMS3は、ブレーキ解放時に第1作動体60が第2の位置(ブレーキ解放位置)に向かってスライドすることでONとなり、ソレノイド64に印加されている火災検知信号を遮断し、防災盤6bに自動閉鎖装置6がブレーキ解放作動したことを伝える。
第2作動体61は、軸610上を第1の位置(電動開閉時および自重降下時の状態、すなわち待機位置)と第2の位置(障害物検知位置)との間で移動可能となっており、軸610上には、第2作動体61と第1壁6Aとの間に位置してコイルスプリング611が設けてある。第2作動体61は、伸長するコイルスプリング611によって第1の位置に保持されている。第2作動体61には、第1ワイヤW1の一端が連結されており、第1ワイヤW1によって中継器8と機械的に接続されている。下座板41が上座板40に対して相対的に上動して障害物を検知すると、復帰ワイヤ(第2ワイヤW2、第1ワイヤW1)が引かれ、第2作動体61が第2の位置へ向かってスライドする。第2マイクロスイッチMS2は、第2作動体61が第1の位置にある時にONであり、第2作動体61が第2の位置へ向かってスライドすることでOFFとなり、障害物検知用制御盤7Aに障害物検知信号(座板作動信号)を送信し、座板4が作動して障害物を検知したことを伝える。電動降下時には、障害物検知信号に基づいてシャッターカーテン1の降下が停止する。開閉機5のブレーキ解放による自重降下時(第1作動体60が第2の位置に移動して第2作動体61に近接している)に座板4が障害物を検知した時には、第2作動体61が第2の位置へ向かってスライドする時に、第2作動体61の移動と共に第1作動体60が第1の位置に向かってスライドし、第1作動体60がブレーキ復帰位置となって、開閉機5のブレーキを復帰させる。
第3作動体62は、軸620上を第1の位置(電動開閉時の状態、すなわち待機位置)と第2の位置(手動操作によるブレーキ解放位置)との間で移動可能となっており、軸620上には、第3作動体62と第1壁6Aとの間に位置してコイルスプリング621が設けてある。ラッチレバー63は第3作動体62と軸631を介して連結されており、ラッチレバー63は、第3作動体62と一体で軸620上をスライド移動するようになっている。この時、ラッチレバー63はガイド長孔630を介して軸641に対して移動する。第3作動体62は、手動閉鎖装置10と第3ワイヤW3で機械的に接続されており、手動閉鎖装置10の非常ボタン102を押すと、緊張状態にある第3ワイヤW3が緩み、コイルスプリング621が伸長して、第3作動体62及びラッチレバー63が第1の位置から第2の位置へ向かってスライドし、これと同時に、第1作動体60がラッチレバー63との係止状態を維持したままで、コイルスプリング601が伸長して、第1の位置から第2の位置へ向かってスライドし、ブレーキ解放レバー50が押されて、開閉機5のブレーキを解放する(図11参照)。
図9の状態は、監視時(完全復帰時)の自動閉鎖装置6を示し、通常の電動開閉時には自動閉鎖装置6は図9の状態にあり、各要素は定位置にある。図9における第1作動体60の位置、第2作動体61の位置、第3作動体62の位置を、第1の位置とする。図9の状態で、第1マイクロスイッチMS1はOFF、第2マイクロスイッチMS2はON、第3マイクロスイッチMS3はOFFである。第1作動体60は待機位置である第1の位置にあり、ラッチレバー63が第1作動体60と係止状態あり、第1作動体60は、コイルスプリング601によってブレーキ解放方向へ付勢された状態で第1の位置に保持されている。第1作動体60とラッチレバー63の係止状態はソレノイド64によって保持され、ソレノイド64が火災検知信号の入力を受けてプランジャ640が引かれると、ラッチレバー63が外れるようになっている。第2作動体61は、コイルスプリング611の力によって、第1の位置に保持されている。第3作動体62は、コイルスプリング621によってブレーキ解放方向へ付勢された状態で、手動操作用の第3ワイヤW3の他端側をロックすることで、第1の位置に保持されている。
図10は、図9の状態において自動閉鎖装置6が火災検知信号を受けて、ブレーキ解放作動した状態を示す。火災検知信号の入力によりソレノイド64のプランジャが引かれて、軸641、ガイド長孔630を介してラッチレバー63が傾動し、第1作動体60とラッチレバー63の係止状態が外れて、コイルスプリング601が伸長して、第1作動体60が第1位置から第2位置へと軸600に沿ってスライド移動する。第1作動体60が第2の位置まで移動することで、ブレーキ解放レバー50が押されて開閉機5のブレーキが解放される。第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMS3はOFFからONとなる。第1マイクロスイッチMS1の検知により障害物検知用制御盤7Aに作動確認信号が送信され、第3マイクロスイッチMS3の検知により、防災盤6bから自動閉鎖装置6への火災検知信号の送信が遮断される。図10に示す状態では、第2作動体は第1の位置にあり、第3作動体は第1の位置にあり、第2マイクロスイッチMS2はONの状態にある。
図11は、図9の状態において手動閉鎖装置10からの操作によって、ブレーキ解放作動した状態を示す。手動閉鎖装置10の非常ボタン102を押すと、第3ワイヤW3が緩み、コイルスプリング621が伸長して、第3作動体62及びラッチレバー63が第1の位置から第2の位置へ向かってスライドし、これと同時に、第1作動体60がラッチレバー63との係止状態を維持したままで、コイルスプリング601が伸長して、第1の位置から第2の位置へ向かってスライドし、ブレーキ解放レバー50が押されて、開閉機5のブレーキを解放する。第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMS3はOFFからONとなる。第1マイクロスイッチMS1の検知により障害物検知用制御盤7Aに作動確認信号が送信される。図11に示す状態では、第2作動体は第1の位置にあり、第2マイクロスイッチMS2はONの状態にある。
図12は、電動降下時(図9の状態)に障害物検知が行われた状態を示す。座板4が障害物を検知すると、第1ワイヤW1が引かれて、第2作動体61がコイルスプリング611を圧縮しながら第1の位置から第2の位置へスライド移動する。第2作動体61の第2の位置へのスライド移動によって、第2マイクロスイッチMS2がONからOFFとなって、障害物検知信号が障害物検知用制御盤7Aに送信される。障害物検知制御盤7Aに障害物検知信号の入力があると、シャッター制御盤7Bを介して開閉機5の電動降下を停止させる(1つの形態では、停止後一旦上昇させた後停止、すなわちタッチアップさせる)。図12において、第1作動体60、第3作動体62は第1の位置にあり、第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMS3はOFFの状態にある。なお、図12の状態において、障害物が取り除かれると、第1ワイヤW1の引っ張り力が無くなり、コイルスプリング611が伸長して、第2作動体61が第1の位置に復帰して、図9の状態に戻り、第2マイクロスイッチMS2はOFFからONとなる。
図13は、火災検知信号の入力に基づく自重降下時(図10の状態)に障害物検知が行われた状態を示す。図10、図11に示すように、自重降下時には、第2の位置にある第1作動体60と第1の位置にある第2作動体61が接近しており、第2作動体61の凹み状の段部61Aに近接して第1作動体60の大径部60Aの端部が位置している。座板4が障害物を検知すると、第1ワイヤW1が引かれて、第2作動体61がコイルスプリング611を圧縮しながら第1の位置から第2の位置へ向かってスライド移動する。この時、第2作動体61の段部61Aが第1作動体60の大径部60Aの端部に当接することで、第2作動体61が第2の位置へスライド移動すると共に、第2の位置にある第1作動体60が第1の位置へ向かってスライド移動して少し戻る。ブレーキ解放レバー50を押していた第1作動体60が第1の位置へ向かって少し移動してブレーキ復帰位置となることで、ブレーキ解放レバー50はフリーとなって、開閉機5のブレーキが復帰して自重降下が停止する。図13において、第2作動体61は、第1の位置から第2の位置にスライドし、この時、第2マイクロスイッチMS2は、ONからOFFとなる。第1作動体60は、第2の位置から第1の位置へ向かって少し戻ったブレーキ復帰位置にあり、第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMSはONの状態である。第3作動体62は第1の位置にある。また、手動閉鎖装置10からの操作による自重降下時(図11の状態)に障害物検知が行われた場合は、第3作動体62が第2の位置にある点を除いて、図13と同じである。障害物の除去後には、復帰ワイヤ(第1ワイヤW1、第2ワイヤW2)の引き出しが可能となり、コイルスプリング611が伸長して、第2作動体61が第1の位置へ向かってスライドし、同時に、コイルスプリング601が伸長して、第1作動体60が第2の位置へ向かってスライドして、ブレーキ解放レバー50を押してブレーキが解放され、シャッターカーテン1が自重再降下する。
図9〜図13には、火災検知信号の入力により作動する作動部(ソレノイド)と、ブレーキ解放・復帰機構が一体型の自動閉鎖装置6を示したが、作動部(ソレノイド)と、ブレーキ解放・復帰機構が物理的に離れており、作動部(ソレノイド)とブレーキ解放・復帰機構がワイヤ等で機械的に連結されているもの(特許文献1参照)でもよい。本明細書において、自動閉鎖装置の作動機構には、このような別体のブレーキ解放・復帰機構も含まれる。
[C]制御部
本発明に係る機械式避難時停止装置付き電動シャッターにおいて、電動開閉モード(通常モード)と自重降下モード(火災モード)で異なる制御が行われる。通常の電動開閉時には、シャッターカーテン1の動作制御は通常モードで行われる。自動閉鎖装置6への火災検知信号の入力または手動閉鎖操作による自重降下時には、制御モードが通常モードから自重降下モードに変わり、シャッターカーテン1の動作制御は自重降下モードで行われる。本実施形態では、制御部は、障害物検知用制御盤7Aと、シャッター制御盤7Bと、からなる。以下、詳細に説明する。
[C−1]電動開閉モード
通常モードでは、手動閉鎖装置10からの操作でシャッターカーテン1の電動開閉が行われる。より具体的には、開口部全閉状態あるいは半開状態で開放スイッチUを押すと、障害物検知用制御盤7Aを介してシャッター制御盤7Bに信号が送信され、開閉機5が作動して巻取シャフト2を第1の方向に回転させてシャッターカーテン1を巻取りながら上昇させる(図33(1))。シャッターカーテン1の上昇時に、第2ワイヤW2は巻取ドラム91に巻き取られていく。シャッターカーテン1が予め設定された上限位置まで上昇すると上限リミットスイッチが作動して開閉機5の作動が停止し、巻取シャフト2の回転が停止してシャッターカーテン1の巻き取りが停止する。万が一、リミットスイッチLSの故障等により上限リミットでシャッターカーテン1が停止しない場合には、エマーゼンシスイッチ17が作動することで開閉機5によるシャッターカーテン1の上昇を停止させる。
開口部全開状態あるいは半開状態で閉鎖スイッチDを押すと、障害物検知用制御盤7Aを介してシャッター制御盤7Bに信号が送信され、開閉機5が作動して巻取シャフト2を第2の方向に回転させてシャッターカーテン1を降下させる(図33(2))。シャッターカーテン1の下降時に、第2ワイヤW2は、シャッターカーテン1の面部に沿って延びながら巻取ドラム91から引き出されていく。下降中のシャッターカーテン1の下端の下座板41が障害物に当たると、下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、ロック装置9によって第2ワイヤW2の引き出しが規制され、上座板40が下座板41に対して下動することで、引き出しが規制された第2ワイヤW2が引かれ、中継装置8を介して第1ワイヤW1が引かれて、第2作動体61が第2の位置へ移動して第2マイクロスイッチMS2がONからOFFとなり、障害物検知信号(座板作動信号)が障害物検知用制御盤7Aに送信される。障害物検知信号を受信した障害物検知用制御盤7Aは、シャッター制御盤7Bを介して、開閉機5の作動を所定時間(例えば1秒間)停止させ、その後開閉機5を作動させてシャッターカーテン1を所定時間(例えば1.5秒間)上昇させた後(タッチアップ)、停止させる((図33(3)))。その後、手動閉鎖装置10の閉鎖スイッチDを押すことで、シャッターカーテン1を電動再降下させることができる。
電動降下するシャッターカーテン1の下端の下座板41が着床すると、下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、ロック装置9によって第2ワイヤW2の引き出しが規制され、上座板40が下座板41に対して下動することで、引き出しが規制された第2ワイヤW2が引かれ、中継装置8を介して第1ワイヤW1が引かれて、第2作動体61が第2の位置へ移動して第2マイクロスイッチMS2がONからOFFとなり、障害物検知信号が障害物検知用制御盤7Aに送信される。障害物検知信号を受信した障害物検知用制御盤7Aは、シャッター制御盤7Bを介して、開閉機5の作動を停止してシャッターカーテン1の降下を停止させる(図33(2))。電動降下時にシャッターカーテン1が予め設定された下限位置まで降下するとタイマーが作動し、タイマー作動中に障害物検知信号が出力された場合には、タッチアップは行われないように設定されている。また、タイマー作動中に障害物検知信号が出力されない場合には、タイマー終了時に障害物検知用制御盤7A、シャッター制御盤7Bを介して開閉機5の作動を停止して巻取シャフト2の回転を停止する。
[C−2]自重降下モード
防災盤6bからの火災検知信号の入力あるいは手動閉鎖装置10の非常ボタン102の押し操作によって自動閉鎖装置6のブレーキ解放作動が行われると、第1作動体60が第2の位置へ移動して、第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMS3がOFFからONとなる。第1マイクロスイッチMS1がONとなると、自動閉鎖装置6から障害物検知用制御盤7Aに作動確認信号が連続で出力され、障害物検知用制御盤7Aは作動確認信号を受信することで、電動開閉モード(通常モード)から自重降下モード(火災モード)に変わる。障害物検知用制御盤7Aが自重降下モードとなると、手動閉鎖装置10の開放スイッチU、閉鎖スイッチD、停止スイッチSからの電動開閉操作が無効化される。
自重降下中のシャッターカーテン1の下端の下座板41が障害物に当たると、下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、ロック装置9によって第2ワイヤW2の引き出しが規制され、上座板40が下座板41に対して下動することで、引き出しが規制された第2ワイヤW2が引かれ、中継装置8を介して第1ワイヤW1が引かれて、第2作動体61が第2の位置へ移動して第2マイクロスイッチMS2がONからOFFとなり、障害物検知信号が障害物検知用制御盤7Aに送信される(停電時には、障害物検知信号は送信されない。)。第2作動体61が第2の位置へ移動する時に、第2の位置(ブレーキ解放位置)にある第1作動体60は、ブレーキ復帰方向に移動して、開閉機5のブレーキが復帰して、自重降下中のシャッターカーテン1が停止する。自重降下時に通電が有効である場合には、障害物検知信号を受信した障害物検知用制御盤7Aは、シャッター制御盤7Bを介して、開閉機5を作動させてシャッターカーテン1を、障害物検知信号受信から所定時間(例えば、1.5秒)上昇させた後停止させる(図29(3))。また、自重降下時に通電が有効である場合に、障害物検知信号の受信に基づいて、シャッターカーテン1の上昇(タッチアップ)を行うことなく自重降下中のシャッターカーテンを停止させたままとしてもよい。停電時には、第1作動体60は、ブレーキ復帰方向に移動して、開閉機5のブレーキが復帰して、自重降下中のシャッターカーテン1が停止した状態となる。障害物が除去されると、上動した下座板41の下動が可能となり、第2ワイヤW2の引き出し規制が解除されて、コイルスプリング611が伸長して第2作動体61が第1の位置に戻ると共に、コイルスプリング601が伸長して第1作動体60が第2の位置へスライド移動してブレーキ解放レバー50によって開閉機5のブレーキが解放され、シャッターカーテン1は自重再降下する(図29(3))。自重降下中のシャッターカーテン1の下端の下座板41が着床すると、下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、ロック装置9によって第2ワイヤW2の引き出しが規制され、上座板40が下座板41に対して下動することで、引き出しが規制された第2ワイヤW2が引かれ、中継装置8を介して第1ワイヤW1が引かれて、第2作動体61が第2の位置へ移動して第2マイクロスイッチMS2がONからOFFとなり、障害物検知信号が障害物検知用制御盤7Aに送信される(停電時には、障害物検知信号は送信されない。)。通電時、停電時にかかわらず、第2作動体61が第2の位置へ移動する時に、第2の位置(ブレーキ解放位置)にある第1作動体60は、ブレーキ復帰方向に移動して、開閉機5のブレーキが復帰して、自重降下中のシャッターカーテン1が停止して全閉状態となる(図29(3))。自重降下時に通電が有効である場合であっても、電動下降時と同様に、着床時にいわゆるタッチアップしないようになっている。
シャッターカーテンの電動上昇中に自動閉鎖装置6がブレーキ解放作動した場合には、第1作動体60が第2の位置へ移動して、第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMS3がOFFからONとなり、第1マイクロスイッチMS1がONとなると、自動閉鎖装置6から障害物検知用制御盤7Aに作動確認信号が送信され、障害物検知用制御盤7Aは作動確認信号を受信することで、電動開閉モード(通常モード)から自重降下モード(火災モード)に変わると共に、作動確認信号の受信と同時にシャッター制御盤7Bを介して開閉機5の駆動を停止し、シャッターカーテンは自重降下を開始する(図34(1))。シャッターカーテンの電動下降中に自動閉鎖装置6がブレーキ解放作動した場合には、第1作動体60が第2の位置へ移動して、第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMS3がOFFからONとなり、第1マイクロスイッチMS1がONとなると、自動閉鎖装置6から障害物検知用制御盤7Aに作動確認信号が送信され、障害物検知用制御盤7Aは作動確認信号を受信することで、電動開閉モード(通常モード)から自重降下モード(火災モード)に変わると共に、作動確認信号の受信と同時にシャッター制御盤7Bを介して開閉機5の駆動を停止し、シャッターカーテンは自重降下を開始する(図34(2))。
[D]座板の構成
障害物検知手段を備えた座板4の構成について説明する。図14に示すように、座板4を構成する上座板40と下座板41との間には、複数の検知レバー42が回動可能に設けてあり、電動降下中あるいは自重降下中のシャッターカーテン1の下端が障害物に当接して、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、下座板41の上動に連動して検知レバー42が回動するようになっている。複数の検知レバー42はワイヤ43によって互いに連結されており、ワイヤ43の一端はコイルスプリング98を介してロック装置9のロック機構を構成する第1回動レバー92(後述する)の下端側に連結されている。下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、検知レバー42は、検知レバー42の下端がロック装置9のロックドラム90から離隔する方向に回動し、ワイヤ43はロック装置9のロックドラム90から離隔する方向に引っ張られる。
ワイヤ43が引っ張られて、第1回動レバー92が回動すると、ロック装置9のロック機構(詳細は後述する)によってロックドラム90の回転が規制され、シャッターカーテン1の降下中にロック装置9から引き出されている第2ワイヤW2の引き出しが停止し、さらに、シャッターカーテン1が降下することで第2ワイヤW2が下方に引かれ、中継装置8を介して、第1ワイヤW1が引かれて、第1作動体60がブレーキ復帰位置に移動して、ブレーキ解放レバー50の押し付けが解除され、開閉機5のブレーキに内蔵された復帰手段によってブレーキが復帰して、降下中のシャッターカーテン1が停止する。
図15に示すように、検知レバー42は、上座板40の上面部400の内側に固定された支持部42Aに対して回動可能に取り付けられている。図14に示すように、検知レバー42は、上端側がロック装置9に近く、下端側がロック装置9から遠くなるような傾斜姿勢で取り付けられている。検知レバー42の下端には被当接部420としてのローラが回転自在に設けてあり、障害物検知時に下座板41が上動すると、下座板41の底面部410にローラが押し上げられて、検知レバー42は、上方の回動支点421を中心に、下端側がロック装置9から離間する方向に回動可能となっている。検知レバー42の長さ方向中間部位のロック装置9側には突出部422が突成されており、突出部422にワイヤ43の挿通部423が設けてある。ワイヤ43に形成した当接部が挿通部423の周囲に当接することで、検知レバー42の回動に連動してワイヤ43が引かれるようになっている。図15(A)、(B)の状態から下座板41が上動すると、下座板41の底面部410に押し上げられて検知レバー42が図15(D)の実線の姿勢から二点鎖線の姿勢へ回動し、ワイヤ43をロック装置9から離隔する方向に引っ張る。ワイヤ43の挿通部423は突出部422に対して回動自在に装着されており、突出部422に挿通部423が設けられたことと相俟って、検知レバー42の回動時にワイヤ43の水平姿勢を可及的に維持するようになっている。さらに、図15(B)、(D)に示すように、検知レバー42の通常の傾斜姿勢において、挿通部423は回動支点421に対して右側(回動方向とは逆側)に位置しており、検知レバー42の回動時の挿通部423の上下の変動量が小さく抑えられている。図15(A)、(B)に示すように、下座板41が上座板40に対して吊持された通常の状態では、検知レバー42の上側部位が支持部42Aに当接することで傾斜姿勢が維持されており、検知レバー42の下端のローラの周面は下座板41の底面部410から僅かに上方に離間している(図15(A))。なお、通常の状態において、ローラ周面と下座板41の底面部410が接触していてもよい。
図15(A)に示すように、上座板40は、上面部400と、上面部400の幅方向両端から垂下する左右の側面部401と、左右の側面部401の下端から互いに接近する方向に水平状に延びる被当接片402と、からなり、下座板41の上端の左右の水平状の当接片411が上座板40の被当接片402上に載ることで、上座板40に対して下座板41が吊持される。下座板41の水平状の当接片411には、上座板40の側面部401に近接対向する垂直状の立ち上がり片412が形成されており、下座板41の下端の角部に障害物が当たったような場合でも、下座板41の立ち上がり片412が上座板40の側面部401に当接することで傾動が規制され、上座板40に対して下座板41が建物開口部の前後方向(シャッターカーテンの厚さ方向)に大きく傾くことを規制している。
上記説明した座板4の障害物検知手段の構成は1つの実施形態であって、本発明の権利範囲を限定するものではない点に留意されたい。例えば、障害物検知手段は、座板4を構成する上座板40と下座板41との間に回動可能に設けた検知体を用いて、下座板41の上動を検知するものであればよく、検知体の形状や個数は図示の態様に限定されず、また、ワイヤ43を用いないもの(例えば、検知体が座板の長さ方向に延びる回動体である)でもよい。
[E]ロック装置
ロック装置9の構成について、図16〜図20に基づいて詳細に説明する。なお、図16と図17〜図20とで要素の形状に異なる箇所があるが構成要素自体は同じである。また、各要素の参照番号は図17に最も詳細に記載されており、適宜参照されたい。ロック装置9は、回転自在のロックドラム90と、回転自在の巻取ドラム91と、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、第3回動レバー94と、これらを内装するケース95と、を備えている。本実施形態では、ロックドラム90は、中継装置8の直下に位置しており、巻取ドラム91は、ロックドラム90の第1側に隣接して配置されており、第1回動レバー92と、第2回動レバー93と、第3回動レバー94は、ロックドラム90の第2側に隣接して配置されている。通常時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94は第1の姿勢(非ロック姿勢)にある(図16、図20参照)。障害物検知によるシャッター停止時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94は第2の姿勢(ロック姿勢)にあり(図17参照)、また、第2回動レバー93が第2の姿勢を維持する間は、第1回動レバー92が回動を開始しても、ロック装置9のロック状態が維持される(図18、図19参照)。
ケース95は、上板950と、左右の側板951、952と、後板953と、着脱可能な前面カバー954(図4参照)を備えており、下面は開放状となっている。上板950には、第2ワイヤW2を挿通させるガイド9500が形成されている。図16に示すように、ロックドラム90、巻取ドラム91の前面側には、ロックドラム90及び巻取ドラム91を挟んで後板953と対向するように前板954´が設けてある。前板954´は、少なくともロックドラム90、巻取ドラム91の中心部(支持軸900、910に対応する部位)の前側を覆うように延びている。図示の態様では、前板954´は、上側及び右側に折り曲げ片が一体形成されており、上側折り曲げ片を上板950に、右側折り曲げ片を側片952に当接させて螺子でケース95に固定される。支持軸900及び支持軸910は一端が後板953に、他端が前板954´に支持されている。支持軸900、支持軸910を両端で支持することで、片持ち支持に比べてより安定してロックドラム90、巻取ドラム91を回転支持することができる。図16に示す態様では、ロックドラム90と巻取ドラム91間で延びるワイヤW3を挿通させるガイド部958は前板954´の下端の折曲部に形成されている。図16、図17には図示していないが、ケース95の前面には、さらに、前面カバー954が設けられる。側片951、952の下端はそれぞれ外側に折り返されて折曲片956、957が形成されており、ケース95は、折曲片956、957を介して螺子956a、957a(図14参照)で上座板40の上面部400に取り付けられている。ケース95は外部に露出する螺子956a、957aを用いて上座板40に取り付けられているので、メンテナンス時等のケース95の取り外しが容易となる。
ロックドラム90は、ロックドラム90を回転自在に支持する支持軸900と、ワイヤを巻回する凹状の周面901と、ロックドラム90の周縁(具体的には、周面901の厚さ方向の一側に位置して設けられ、周面901よりも大径の円板部902の周縁に連続状に形成された多数の歯状の被係止部903と、を備えている。ロックドラム90の周縁はいわば歯車を形成している。1つの態様では、周面901の厚さ方向の寸法は、ワイヤが並列状に3周巻回できるような寸法となっている。
巻取ドラム91は、巻取ドラム91を回転自在に支持する支持軸910と、ワイヤを巻回する周面911と、巻取ドラム91をワイヤの巻取方向に付勢するための手段としてのぜんまいばね(図示せず)と、を備えている。
第1回動レバー92は、上下方向に延出する回動片であり、上側の第1部分920と、第1部分920に対してやや角度を付けて下方に延びる第2部分921と、からなり、第1部分920と第2部分921との接続部に位置して形成された回動支点922(ケース95の後板953に突設された支持軸P1によって形成される)を中心として回動可能にケース95に設けてある。
第1回動レバー92は、回動支点922を中心として、上側の第1部分920がロックドラム90に接近する方向の第1の方向(ロック方向)、上側の第1部分920がロックドラム90から離間する方向の第2の方向(ロック解除方向)に回動可能となっている。通常の開閉時及び停止時には、第1回動レバー92は、上側の第1部分920がロックドラム90から離間した側に回動した第1の姿勢にあり(図16、図20参照)、ロック装置9がロック状態にある時には、第1回動レバー92は、上側の第1部分920がロックドラム90に近接した側に回動した第2の姿勢にある(図17参照)。
第1回動レバー92は、付勢手段として例示するコイルスプリング96によって第2の方向へ付勢されている。図示の態様では、コイルスプリング96の一端は、ケース95の左側の側板951の下端に近接して、ケース95の後板953から突設したピンP2に連結され、他端は第1回動レバー92の第1部分920の上端において、ロックドラム90から離間する側に連結されている。ケース95の後板953の所定部位にはストッパとしてのピンP3が突設されており、第1回動レバー92が第1の姿勢にある時には、第1回動レバー92の第1部分920のロックドラム90から離間する側の部位がピンP3に当接している。
第1回動レバー92の第2部分921の下側は、ケース95の下端から下方に延出しており、下端には、フック状の係止部92a(図16参照)が形成されており、ワイヤ43の端部(ワイヤ43の端部にコイルスプリング98(図14参照)連結されている場合には、コイルスプリング98の端部)が係止部92aに係脱可能に係止されている。下座板41の上動に連動してワイヤ43に引かれると、第1回動レバー92がコイルスプリング96の付勢力に打ち勝って、第1方向に回動する。係止部92aは、第1回動レバー92の下端側において、ワイヤ43が延びる側とは反対側に形成された開口と、開口から下方に延びる溝部と、溝部によってワイヤ43が延びる側と反対側に形成された立ち上がり部と、から形成されており、溝部の底部はワイヤ43側に若干膨らんでおり、立ち上がり部の上端は開口に隣接して肉厚に形成されている。係止部92aの形状は、機械式避難時停止装置の動作時に、第1回動レバー92がいかなる回動姿勢にあっても、ワイヤ43が係止部92aから外れることがないような形状に形成されている。メンテナンス時等にはワイヤ43の端部を係止部92aから取り外すことができるので有利である。
第2回動レバー93は、短辺930、931、長辺932を備えた2等辺三角形状の回動片であり、短辺931をロックドラム90に対向させて、短辺931及び長辺932の下側に位置する頂点に近接して形成された回動支点933(ケース95の後板953に突設された支持軸P1によって形成される)を中心として回動可能にケース95に設けてある。図示の態様では、第2回動レバー93の回動支点933と第1回動レバー92の回動支点922は共通の支持軸P1から形成されている。短辺930、931によって形成される頂点に近接して係止部934が形成されており、係止部934から離間するように長辺932に近接して当接部935が形成されており、短辺930、長辺932によって形成される頂点に近接して当接部936が形成されている。第2回動レバー93の係止部934は、ロックドラム90の被係止部903(歯車の歯)に係脱可能な形状を備えている。
本実施形態では、第2回動レバー93は、対向する2枚のプレートを備え、支持軸P1は2枚のプレート間に貫設されており、係止部934は2枚のプレート間を連結するピン(回転自在な回転ピン)であり、当接部935は2枚のプレート間を連結するピンであり、当接部936は2枚のプレート間を連結するピンに回転自在に外装されたベアリングである。なお、2枚のプレートからなる構成は第2回動レバー93の1つの態様に過ぎないものである。
第2回動レバー93は、下側の回動支点933を中心として、上側がロックドラム90に接近する方向の第1方向、上側がロックドラム90から離間する方向の第2方向に回動可能となっている。通常の開閉時及び停止時には、第2回動レバー93は、上側がロックドラム90から離間した側に回動した第1の姿勢にあり(図16、図20参照)、ロック装置9がロック状態にある時には、第2回動レバー93は、上側がロックドラム90に近接する側に回動した第2の姿勢にある(図17参照)。第2回動レバー93が第1の姿勢にある時には、係止部934がロックドラム90の被係止部903から離間した非係止状態にあり、また、当接部935には、第1回動レバー92の第1部分920のロック装置に近い側の部位が当接している。第2回動レバー93が第2の姿勢にある時には、係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止した係止状態にある。第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903とが係止状態にある時には、ロックドラム90の回転が規制され、ロック装置9はワイヤW3の引き出しが規制されたロック状態となる。
第2回動レバー93は、付勢手段として例示するコイルスプリング97によって、第2方向へ付勢されている。図示の態様では、コイルスプリング97の一端は、ケース95の左側の側板951の下端に近接して、ケース95の後板953から突設したピンP2に連結され、他端は第2回動レバー93の当接部935に連結されている。図示の態様では、第2回動レバー93を第2方向へ付勢するコイルスプリング97と第1回動レバー92を第2方向へ付勢するコイルスプリング96は共通のピンP2に連結されているが、それぞれ別個のピンを用意して、別個のピンに連結させてもよい。また、図示の態様では、当接部935を形成するピンが、コイルスプリング97の他端の連結部を兼用しているが、図16に示すように、当接部935とは異なる部位(立ち上がり片935´)にコイルスプリング97の他端を連結してもよい。
第2回動レバー93の当接部935には、第1回動レバー92の上側の第1部分920のロックドラム90に近い側の部位が当接している。下座板41の上動に連動してワイヤ43が引かれて第1回動レバー92がコイルスプリング96の付勢力に打ち勝って第1の方向に回動すると、第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935を押すことで、第2回動レバー93は、コイルスプリング97の付勢力に打ち勝って第1の方向に回動する。第2回動レバー93が第1の方向に回動することで、ロックドラム90の被係止部903に対して離間していた第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止して、ロック状態となる。
第3回動レバー94は、第1回動レバー92及び第2回動レバー93の上方に位置して横方向に延びる部材であり、係止状態(第2の姿勢)にある第2回動レバー93の第2の方向への回動を規制する回動規制手段、換言すると、障害物除去後において、第2回動レバー93の係止状態を所定時間保持する保持レバーである。第3回動レバー94は、ロックドラム90に近い側の端部を回動支点940として、回動可能に回動可能にケース95に設けてあり、ロックドラム90から遠い側の端部が上下方向に回動可能となっている。回動支点940は、ケース95の後板953に突設した支持軸P4から形成されている。
第3回動レバー94は、第1回動レバー92及び第2回動レバー93が第1の姿勢にある時には、ロックドラム90から遠い側の端部である先端が第1の位置(上側)に回動した第1の姿勢(図16参照)にあり、第1回動レバー92及び第2回動レバー93が第2の姿勢にある時には、先端が第2の位置(下側)に回動した第2の姿勢(図17参照)にある。
横方向に延びる第3回動レバー94の下側部位には、ロック装置9がロック状態にある時、つまり、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時に、第2回動レバー93の当接部936に係止する係止部941が形成されている。第3回動レバー94の下側部位には、係止部941に対して先端側に位置して当接部942が形成されている。
本実施形態では、第3回動レバー94は、対向する2枚のプレートを備え、支持軸P4は2枚のプレート間に貫設されており、係止部941は2枚のプレートの先端間に挟持したブロックであり、当接部942は2枚のプレート間を連結するピンに回転自在に外装されたベアリングである。2枚のプレートからなる構成は第3回動レバー94の1つの態様に過ぎず、また、係止部941は一体形成されたものでもよい。図示の態様では、係止部941は側面視段部状であるが、係止部941の形状は限定されず、爪状ないし突起状であってもよい。
第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第1の姿勢にある時に、第3回動レバー94の係止部941の角部が第2回動レバー93の当接部936に当接しており、第3回動レバー94の先端が下側へ回動することが規制されており、第1の姿勢が保持されている。この状態から、第2回動レバー93が第1の方向に回動することで、第2回動レバー93の当接部936が第3回動レバー94の係止部941の角部を乗り越えると同時に第3回動レバー94が下側に回動し、第2回動レバー93の当接部936が係止部941に係止する。
図17に示すように、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時に、第2回動レバー93の当接部936は第3回動レバー94の係止部941の係止辺9410に対向しており、また、第1回動レバー92の上端に形成された当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接している。第1回動レバー92の当接部923と第3回動レバー94の当接部942との当接状態及び第2回動レバー93の当接部936と第3回動レバー94の係止部941の係止辺9410との対向状態(図17参照)ないし係止状態(図18参照)は、少なくとも、第1回動レバー92が第2の姿勢から第2の方向へ所定量回動する間は維持される。第2の姿勢にある第3回動レバー94が上側に所定量回動することで、第3回動レバー94の係止部941と第2回動レバー93の当接部936の係止状態が解除され、第3回動レバー94による回動規制が解除され、コイルスプリング97の力で第2姿勢にある第2回動レバー93は第2方向に回動する。
第3回動レバー94の先端側には周面状の突片943が形成されており、第3回動レバー94が第1の姿勢にある時に、突片943が左側の側片951に当接するようになっており、第3回動レバー94のさらなる上側への回動が規制されている。こうすることで、第3回動レバー94が第2姿勢から第1姿勢へ回動した時の跳ね上がりを防止している。
ロック装置の作用について説明する。シャッターカーテン1が降下を開始すると、座板4の降下に伴って座板4に設けられたロック装置9(ロックドラム90、巻取ドラム91)も降下し、ロック装置9の降下に伴って、ぜんまいばねの力に打ち勝って、第2ワイヤW2は巻取ドラム91及びロックドラム90が回転しながら、シャッターカーテン1の降下距離分だけシャッターカーテン1の面部に沿って引き出されていく。
ロック装置9は、降下中のシャッターカーテン1の下端の座板4が障害物に当接した時に、下座板41が上座板40に対して相対的に上動することに連動してロックドラム90の回転が規制されるように作動する。自重降下中のシャッターカーテン1の下端が障害物に当接して、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、下座板41の上動に連動して検知レバー42が回動するようになっている。複数の検知レバー42の下端部位はワイヤ43によって互いに連結されており、ワイヤ43の一端はコイルスプリング98を介して第1回動レバー92に連結されている。検知レバー42は、下座板41が上座板40に対して相対的に上動すると、ロックドラム90から離隔する方向に回動してワイヤ43をロックドラム90から離隔する方向に引っ張り、第1回動レバー92が第1の姿勢から第2の姿勢へと回動する。
第1回動レバー92が図16に示す第1の姿勢から第1の方向へ回動すると、第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935に当接しながら押すことで、第1の姿勢にある第2回動レバー93は第1の回動レバー92と一緒に第1の方向へ回動して、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の歯状の被係止部903に係止してロックドラム90の回転を規制する(図17)。
一方、図16に示すように、第1の姿勢にある第3回動レバー94は、第1の姿勢にある第2回動レバー93の当接部936に当接することで、下側への回動が規制されている。第1の姿勢にある第2回動レバー93が第1回動レバー92と共に第1の方向へ回動することで、第2回動レバー93の当接部936が第3回動レバー94の係止部941の角部を乗り越えて係止部941に係止すると同時に、第3回動レバー94が自重で下側へ回動して第2の姿勢となる(図17)。
第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢にある時には、第1回動レバー92の第2の姿勢は、ワイヤ43の引っ張り力により保持され、第2回動レバー93の第2の姿勢は、第2の姿勢にある第1回動レバー92の第1部分920が第2回動レバー93の当接部935に当接することで保持され、第3回動レバー94の第2の姿勢は、第1回動レバー92の当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接することで保持される。したがって、ワイヤ43が引っ張られた状態、すなわち、障害物検知状態にある時には、第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94が第2の姿勢を維持し、ロック装置9がロック状態にあってロックドラム90の回転が規制される。
ロックドラム90の回転が停止すると、第2ワイヤW3の引き出しが規制され第2ワイヤW3の長さが一定となり、この状態で上座板40(すなわちロックドラム90)が下座板41に対して降下すると、第2ワイヤW2、中継装置8を介して第1ワイヤW1が引かれて、第2作動体61が第1の位置から第2の位置にスライドする。この時、第2マイクロスイッチMS2はOFFからONとなり、障害物検知信号(座板作動信号)が障害物検知用制御盤7Aに送信される。電動降下中の場合は、障害物検知信号を受信した障害物検知用制御盤7A、シャッター制御盤7Bによって開閉機5の駆動を停止して、シャッターカーテン1の降下が停止する。自重降下中の場合には、第2作動体61が第1の位置から第2の位置にスライドする時に、第2の位置(ブレーキ解放位置)にある第1作動体60がブレーキ復帰方向に移動し、ブレーキ解放レバー50が復帰してブレーキが復帰し、巻取シャフト2の回転を規制してシャッターカーテン1の降下が停止する。
ここで、ブレーキ復帰のためには復帰ワイヤ(第1ワイヤW1、第2ワイヤW2)を所定量引っ張る必要があり(すなわち、シャッターカーテン1が所定量降下する必要がある)、障害物に当たった下座板41は、ブレーキ復帰をさせるだけのシャッターカーテン1の降下量に対応する上動ストロークを備えていることが望ましい。さらに、この上動ストロークに加え、下座板41は、上座板40に対して、相対的に上動可能とするような余裕ストロークを備えていることが望ましい。この余裕ストロークによって、下座板41に障害物が接触した時に、当該下座板41の荷重のみを障害物に作用させることができ、障害物にシャッターカーテン全体の荷重が作用することを防止する。ここで、上座板40に対して相対的に上動する下座板41とから座板4を構成することは公知であるが、本実施形態では、上座板40に対する下座板41の可動距離は、従来の可動距離よりも大きい。具体的には、上座板40に対する下座板41の相対的な可能距離は、自重降下するシャッターカーテン1下端の下座板41が障害物に当たった時に検知レバー42を回動させて、第2回動レバー93をロックドラム90に係止させて当該ロックドラム90の回転を規制して巻取ドラム91に収納されている復帰ワイヤの引き出しを規制するまでの第1移動量(ロックのために第1回動レバー92及び第2回動レバー93を回動させる必要あり)と、復帰ワイヤの引き出しが規制された状態で上座板40が下座板41に対して相対的に下動することで前記引き出しが規制された復帰ワイヤを下方に引っ張ってブレーキを復帰させるまでの第2移動量(ロック後に復帰ワイヤを下方に引っ張る必要あり)と、ブレーキ復帰によってシャッターカーテン1の下降が停止した後で上座板40に対する下座板41の上動を許容する第3移動量(障害物に作用するであろう荷重を緩和する)と、の合計からなる。なお、復帰ワイヤを引くことに関連して、下座板41の上動ストロークが小さい場合であっても、復帰ワイヤの途中(例えば、中継装置8)や復帰ワイヤ(第1ワイヤW2)と自動閉鎖装置6の作動機構との連結部位に位置させて、第2ワイヤW2の上動ストロークに対して大きい作動機構(ブレーキ解放体)の牽引量を取り出す機構(例えば、リンク機構)を設けることでブレーキを復帰させることができる。
障害物除去後に下座板41が下動して、ワイヤ43の引っ張りが無くなると、第2の姿勢にある第1回動レバー92がコイルスプリング96の力によって第2の方向に回動を開始する。後述するように、本実施形態では、第1回動レバー92の第2の方向への回動速度は減速されている。第1回動レバー92の上端の当接部923は凹状の円弧面となっており、回動初期には、第3回動レバー94の当接部942の周面に対して摺動しながら、第1回動レバー92が第2の方向に回動を開始する一方、第2回動レバー93は、第2の姿勢(ロック状態)を維持している(図18)。図17と図18を対比すればわかる通り、第2回動レバー93の当接部936と第3回動レバー94の係止部941との係止状態の遊びの範囲において、第2の姿勢にある第1回動レバー92が第2の方向へ回動すると、第2回動レバー93もわずかに第2の方向に回動するが、当該係止状態は維持されており、第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903とはロック状態にある。
第1回動レバー92が所定量回動した時点から、第1回動レバー92の当接部923が第3回動レバー94の当接部942に当接して作用し、第3回動レバー94の先端側の当接部942が第1回動レバー92の回動に連動して上方に押し上げられ、第3回動レバー94が所定量押し上げられると、第3回動レバー94の係止部941と第2回動レバー93の当接部936との係止状態が解除され(係止状態が解除される直前まで、第2回動レバー93のロック状態が維持される)、第2回動レバー93はコイルスプリング97の力によって第2の方向に瞬時に回動し、第2回動レバー93の係止部934とロックドラム90の被係止部903との係止状態が解除され、ロック状態が解除される。ロック状態が解除される直前の状態を図19に示す。図19の状態から第1回動レバー92の当接部923によって第3回動レバー94の当接部942が完全に押し上げられると、第2回動レバー92の当接部936と第3回動レバー94の係止部941との係止状態が外れて、同時に、コイルスプリング97によって第2回動レバー93が第2の方向に瞬時に回動して、係止部934がロックドラム90の被係止部903から外れて、ロックドラム90の回転が可能となる(図20)。
本実施形態では、第2ワイヤW2を、ロックドラム90と、巻取ドラム91に分けて巻き取るようにしている。1つの回転体にワイヤの巻取機構とロック機構の両方を設けた場合には(本発明の範囲には、かかる態様も含まれるが)、ワイヤが回転体に乱巻きされ、多層に巻かれたワイヤに外側のワイヤが食い込んで、いわゆる巻き絞りが生じるおそれがある。ワイヤに巻き絞りが生じると、ワイヤの円滑な繰り出し、巻取りに影響を与える可能性がある。本実施形態では、第2ワイヤW2は先ずロックドラム90に3周巻かれてから、巻取ドラム91に巻装されるようになっており、第2ワイヤW2に発生し得る力はロックドラム90に作用するようになっている。ここで、ロックドラム90の周面901には、第2ワイヤW3が一層巻き(並行状の3巻き)なので、第2ワイヤW2に力が作用しても、回転中のロックドラム90の回転が急に停止しても、ワイヤに巻き絞りが生じることがない。また、第2ワイヤW2をロックドラム90に複数巻くことで、第2ワイヤW2がロックドラム90の周面901で滑ることを防止しており、ロックドラム90と巻取ドラム91が一緒に回転するようになっている。また、巻取ドラム91には、第2ワイヤ3を巻き取る方向に付勢するぜんまいばねが内蔵されているので、ロックドラム90がロックされて回転が停止しても、第2ワイヤW2の弛みは生じない。また、ロック状態でシャッターカーテン1が上昇した場合には、ロックドラム90に3周巻かれた第2ワイヤW2が緩むが、緩んだ第2ワイヤW2は、ぜんまいばねを内蔵した巻取ドラム91に巻き取られるので、第2ワイヤW2が弛むことがない。障害物検知時におけるシャッターカーテン1のタッチアップを、遅延機構により遅延されたロック解除を待たなくても行うことができ、シャッターカーテン1が停止してからタッチアップするまでの時間を短くすることができる。また、障害物検知時にはロックドラム90に3周巻かれた第2ワイヤW2の摩擦力によって第2ワイヤW2を下方に引くようになっているが、仮に、ロック状態で前記摩擦力を超える大きな下向きの力が作用した場合には、ロックドラム90に3周巻かれた第2ワイヤW2が滑ってシャッターカーテン1を降ろすことで第2ワイヤW2の切断を防止する。
第1回動レバー92の下端は、コイルスプリング98を介してワイヤ43に連結されており、コイルスプリング98は緩衝用バネを構成している。ブレーキ復帰のためには復帰ワイヤを所定量引っ張る必要があり(すなわち、シャッターカーテン1が所定量降下する必要がある)、障害物に当たった下座板41は、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の歯状の被係止部903に係止した後も相対的に上動する必要がある。この時、コイルスプリング98が伸びることで、ロックドラム90がロックされた後の下座板41の上動に伴うワイヤ43や係止部分(係止部934、被係止部903)への負荷を緩和している。より具体的に説明すると、ロック後(係止部934が被係止部903に係止した後)、さらに上座板40が下座板41に対して下動することで、下動した分だけ復帰ワイヤが引き下げられる。同時に、上座板40の下動によって、検知レバー42がさらに上方に回動して、ワイヤ43がさらに引かれるが、この時、コイルスプリング98が伸びることで、第2回動レバー93の係止部934がロックドラム90の被係止部903に押し付けられることを防止する。
以上説明したロック装置9の構成は1つの実施形態であって、本発明の権利範囲を限定するものではない点に留意されたい。図示の態様では、ロックドラム90と巻取りドラム91は隣接しているが、ロックドラム90と巻取ドラム91を離間(非限定な例示として、これらのドラムの半径寸法から直径寸法程度)させて配置してもよい。本実施形態では、ロックドラム90と巻取ドラム91を別体として設け、ロックドラム90をロックする構成に基づいて説明したが、出願人の先の出願である特許第4906612号(特開2009−13647号)に記載したもののように、ロックドラムと巻取ドラムを一体化してもよい。図示の態様では、ロックドラム90の一側にのみ第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94、検知レバー42を配置したが、ロックドラム90の両側に検知レバーを配置すると共に、それぞれの検知レバーに連結されるワイヤに連結される左右一対の第1回動レバーを設けてもよい。図示の態様では、3つの回動レバー(第1回動レバー92、第2回動レバー93、第3回動レバー94)を示したが、1つの回動ロックレバーを備えたものでもよい(図23参照、特許文献1参照)。
ロック装置は、下座板41の上動によって復帰ワイヤの引き出し規制を行うものであれば、その構成は限定されない。例えば、ロック装置は巻取ドラムを備えていなくてもよい。すなわち、巻取ドラムをロック装置とは別の場所(例えば、ロック装置から離間した座板の部分、まぐさ部等の開口部上方部位、ガイドレール内部等)に設けもよい。巻取ドラムをまぐさ部に設ける態様は、例えば特許文献1に開示されている。また、復帰ワイヤは必ずしも巻取ドラムに巻装されるものに限定されず、例えば、復帰ワイヤの下端側をプーリによってガイドレール内部に案内し、下端を床面やガイドレールに固定してもよい。ロック装置は、必ずしもロックドラムを備えたものに限定されず、例えば、挟持手段や圧接手段によって復帰ワイヤの引き出しを機械的に規制するものでもよい。ロック装置は、必ずしも全ての構成要素が上座板に設けられているものに限定されず、ロック装置の構成要素の一部が下座板に設けられる態様も含む。
[F]自重再降下遅延機構
上述のように、障害物の除去後には、下座板41が上座板40に対して相対的に下動することで、ロック装置9が非ロック状態となって復帰ワイヤ(第1ワイヤW1+第2ワイヤW2)の引き出しが可能となり、自動閉鎖装置6の作動機構によって開閉機5のブレーキが解放され、シャッターカーテン1が自重再降下する。ここで、ロック装置9の可動ロック部(例えば、第1回動レバー92、図23に示す可動ロック部材92´)や検知レバー42の第2の姿勢から第1の姿勢への変位に抵抗を与えるように減衰機構を設けることで、ロック姿勢である第2の姿勢にある可動ロック部の速度を低減させて第1の姿勢へと回動させて、復帰ワイヤ(第1ワイヤW1、第2ワイヤW2)の引き出し規制を解除するタイミングを遅延させる。すなわち、ロック状態にあるロック装置9が非ロック状態となるタイミングを遅延させて復帰ワイヤ(第1ワイヤW1、第2ワイヤW2)を引き出し可能とすることで、障害物除去後にシャッターカーテン1が自重再下降を開始するまでの時間を遅らせるようにしている。具体的な構成例について、以下に説明する。
[F−1]第1の実施形態
本実施形態は、第2回動レバー93の第2の方向への回動開始タイミングを遅らせ、かつコイルスプリング97の作用によって瞬時に第2の方向に回動させてロック状態を解除することに特徴を備えている。第1回動レバー92の第2の方向への回動速度を遅くすることによって、障害物検知後にロック状態が解除されるまでの時間をさらに長くすることができる。すなわち、第2の姿勢にある第1回動レバー92が第2の方向へ回動する速度を低減するように減衰機構を設け、障害物除去後に、第1回動レバー92を第2の方向へゆっくり回動させることで、第3回動レバー94による第2回動レバー93の回動規制解除のタイミングを遅延させると共に、回動規制が解除された第2回動レバー93は、減衰機構の影響を受けずに、コイルスプリング97によって瞬時に第2の方向に回動し、速やかにロック状態が解除される。
減衰機構としての緩降装置44の実施形態を図21、図22に示す。緩降装置44は、下座板41の底面部410が障害物に当たることで上座板40に対して上動した下座板41が、障害物が除去された後に再び上座板40に対して下動する際に、下座板41をゆっくり下動させるための装置である。緩降装置44は、上座板40に設けたロータリーダンパ440及びピニオンギア441と、ラックギア442を備え下座板41と一体で上下動するように設けられた昇降体442Aと、ピニオンギア441とラックギア442との間に設けたワンウェイクラッチ機構と、からなる。
ワンウェイクラッチ機構は、ピニオンギア441と噛合し、ピニオンギア441と連動して回転する大径の第1ギア446と、ラックギア442と噛合しラックギア442の上下動に連動して回転する小径の第2ギア447と、第1ギア446と第2ギア447との間に設けたワンウェイクラッチ448と、からなる。
ワンウェイクラッチ448は、第2ギア447の第1の方向の回転は第1ギア446に伝達されず、第2ギア447は第2の方向に回転する時にのみ第1ギア446と一体で回転するように作動する。昇降体442Aが上動する時には、第2ギア447は第1の方向に回転し、したがって、昇降体442Aは抵抗を受けずに速やかに上動することができる。昇降体442Aが下動する時には、第2ギア447は第2の方向に回転し、第2ギア447と一体で第1ギア446が回転し、第1ギア446はロータリーダンパ―440を備えたピニオンギア441と噛合していることから、第2ギア447はロータリーダンパ440の抵抗を受けつつゆっくりと回転し、したがって、昇降体442Aはゆっくりと下動することができる。
さらに、ピニオンギア441は、ピニオンギア441に対して大径の第1ギア446に噛合しているので、ピニオンギア441の回転速度に比べて第1ギア446の回転速度がピニオンギア441と第1ギア446の歯数比分減速され、第1ギア446と一体で回転する第2ギア447の回転速度も減速され、ピニオンギア441とラックギア442が直接噛合しているような場合に比べて、昇降体442Aをゆっくりと下動させることができる。さらに、大径の第1ギア446と小径の第2ギア447が一体で回転し、小径の第2ギア447がラックギア442と噛合しているので、第1ギア446が直接ラックギア442に噛合していると仮定したような場合に比べて、昇降体442Aを同じ距離だけ下動させるのにより多くの回転が必要となり、昇降体442Aを第1ギア446と第2ギア447の歯数比分ゆっくりと下動させることができる。
上座板40の内部には、箱状のケース449が固定されており、ケース449には、ロータリーダンパ440及びピニオンギア441、ワンウェイクラッチ機構が取り付けられている。ケース449は、上面部4490と、第1側面部4491と、第2側面部4492と、第1面部4493と、第2面部4494と、を備え、下側が開口状となっている。第1側面部4491の下端は第2側面部4492の下端よりも下方に延びている。第1側面部4491の下方部位にはワイヤ43の挿通孔4491aが形成されている。ケース449は、第1側面部4491をロック装置9から遠い側、第2側面部4492を近い側に位置させて、上面部4490を介して、上座板40の上面部400の下面に装着されている。なお、ケース449は逆の向きで取り付けてもよい。第1面部4493には、ロータリーダンパ440及びピニオンギア441が取り付けられている。第1面部4493と第2面部4494間に、ワンウェイクラッチ機構(第1ギア446、第2ギア447)の軸部が架け渡されている。
昇降体442Aは垂直板状の本体からなり、図21(A)に示すように、前記本体は平面視においてケース449の第1側面部4491、第2側面部4492に平行し、第1面部4493、第2面部4494に直交するように延びている。本体の下端には、円柱状の水平部が形成されており、水平部の両端部位4420は昇降体442Aの本体の幅方向両端部、及び、ケース449の第1側面部4493、第2側面部4494を越えて突出している。図22に示すように、下座板41は、上端の左右の水平状の当接片411から垂下する左右の側面部413と、左右の側面部413の下端から互いに離間するように水平に延びる左右の水平部414と、を備え、水平部414と底面部410との間の下方部位は幅広空間415となっている。昇降体442Aの下端の円柱状の水平部は、幅広空間415に収まっており、水平部の両端部位4420が、下座板41の水平部414に下方から当接しており、下座板41の上下動と共に昇降体442Aが上下動するようになっている。
垂直板状の昇降体442Aの本体は、ワンウェイクラッチ機構に対向する第1面と、第1側面部4491の内面に対向する第2面と、を備え、第1面には、当該第1面の幅方向の一側に寄った部位においてラックギア442が高さ方向に亘って形成されており、ラックギア442は第2ギア447に噛合している。前記本体には、幅方向の他側において、ワイヤ43を挿通させる縦長挿通孔4421が高さ方向に亘って形成されている。本体の前記第1面には、縦長挿通孔4421に隣接して高さ方向に亘って隆起部4422が突成されており、ケース449の第1面部4493の内面に高さ方向に亘って形成されたガイド突起4493aに摺接している。本体の前記第2面は、ケース449の第1側面部4491の内面に摺接している。昇降体442Aは、ラックギア422が第2ギア447に噛合し、隆起部4422がガイド突起4493aに摺接し、本体の前記第2面が第1側面部4491の内面に摺接することで、上座板40に固定されたケース4490に対して昇降するようになっている。ここでの摺接状態は、昇降体442Aの昇降動作に抵抗を与えない程度に昇降体442Aの上下方向のガイド機能を提供する。図21(B)に示すように、ケース449の上面部4490には、下向き開口状の凹4490a部が形成されており、下座板41が上座板40に対して上動した状態で、昇降体442Aの上端部が凹部4490a内に位置するようになっている。こうすることで、下動した昇降体442Aをより高い位置に維持することができ、下座板41が上座板40に対して下動した状態で、昇降体442Aのラックギア422と第2ギア447とが十分に噛合でき、下座板41の上動時の初動を円滑に行えるようになっている。
下降中のシャッターカーテン下端の座板4(図22に示す状態にある)の下座板41が障害物に当接すると下座板41が上座板40に対して相対的に上動し、昇降体442Aの上動に連動して第2ギア447が第1の方向に回転するが、第2ギア447の第1の方向への回転はワンウェイクラッチ448によって第1ギア446には伝達されず、第1ギア447は自由に回転する。したがって、下座板41は上座板40に対して瞬時に上動する。この時、検知レバー42が回動して、ワイヤ43を引っ張ることで、第1回動レバー92が第1の方向に回動し、同時に第2回動レバー93が第1の方向に回動して係止部934がロックドラム90の被係止部903に係止してロックドラム90の回転を規制する。
一方、下座板41が上座板40に対して上動した状態で、下座板41の下方の障害物が取り除かれると、下座板41は自重で下動を開始し、昇降体442Aの下動に連動して第2ギア447が第2の方向に回転するが、第2ギア447の第2の方向への回転はワンウェイクラッチ448によって第1ギア446に伝達され、さらに第1ギア446の回転はピニオンギア441に伝達され、ピニオンギア441はロータリーダンパ440の作動によってゆっくりと回転する。さらに、ピニオンギア441は、ピニオンギア441に対して大径の第1ギア446に噛合しているので、ピニオンギア441の回転速度に比べて第1ギア446の回転速度がピニオンギア441と第1ギア446の歯数比分減速され、第1ギア446と一体で回転する第2ギア447の回転速度も減速され、昇降体442A及び下座板41がゆっくりと下動する。さらに、大径の第1ギア446と小径の第2ギア447が一体で回転し、小径の第2ギア447がラックギア442と噛合しているので、第1ギア446が直接ラックギア442に噛合していると仮定したような場合に比べて、昇降体442Aを同じ距離だけ下動させるのにより多くの回転が必要となり、昇降体442A及び下座板41が第1ギア446と第2ギア447の歯数比分ゆっくりと下動する。下座板41がゆっくりと下動することで、第2の姿勢にある第1回動レバー92はゆっくりと回動しながら戻り、第3回動レバー94による第2回動レバー93の回動規制解除のタイミングを遅延させる。
[F−2]第2の実施形態
遅延機構の他の実施形態を図23に示す。図23において、回動ロック部材の構成が図16〜図20に示すものと異なる点に留意されたい。また、障害物検知手段を備えた座板4の構成は、遅延機構としての緩降装置44を備えていない点を除いて、図14に示す態様を採用することができる。減衰機構は、ロータリーダンパ―440´と、ラック441´と、を備える。図23に示すように、回動支点920´を中心に回動する回動ロック部材92´の下端にコイルスプリング98の一端が連結され、コイルスプリング98の他端はラック441´の一端に連結され、ラック441´の他端はワイヤ43の端部に連結されている。ロータリーダンパ440´は、後板953の延長部9530に取り付けられている。ラック441´の他端側にはラックギア441A´が形成されていない部位(非ギア形成部位)がある。回動ロック部材92´が非ロック姿勢にある時には、ピニオンギア440A´はラック441´の他端側の非ギア形成部位に位置しており、このように構成することで、シャッターカーテンの下端が障害物に当接していないときは、ピニオンギア440A´と、ラックギア441A´は噛合していない。
自重降下中のシャッターカーテン1の下端が障害物に当接すると、ワイヤ43が左方向へ引かれる。ラック441´とコイルスプリング98がそのまま左方向へ引かれ、コイルスプリング99が伸びて回動ロック部材92´が時計回りに回動し、係止爪921´が被係止部903に掛かり、ロックドラム90の回転を止める。 さらに、回動ロック部材92´が少し動くと完全に係止爪921´と被係止部903が噛み合い、回動ロック部材92´はそれ以上回動せず、停止する。 ここまでの動作では、ラックギア441A´とピニオンギア440A´は噛合しておらず、ダンパと無縁に動作する。 その後、さらに下座板41が相対上動すると、(回動ロック部材92´は動かないので)コイルスプリング98が伸びて、今度はピニオンギア440A´とラックギア441A´が噛合した状態で、ラック441´が左方向へ(下座板が相対上動した距離に対応した距離分だけ)移動する。 障害物が取除かれるとワイヤ43が右方向へ戻り、コイルスプリング98が縮み、ラック441´が右方向へ戻るが、このときは減衰機構が働き、ラック441´はワンウェイのロータリーダンパ440´の作用でゆっくりと右方向へ戻ることになる。 コイルスプリング98が戻りきると、回動ロック部材92´が反時計回りに回動し始める。この時点でラックギア441A´とピニオンギア440A´の噛合しない状態になっているため、回動ロック部材92´は減衰機構の影響を受けず、素早く、ロック解除動作を行う。
なお、ラックギア441A´をラック441´の全長に設けたもの(ラックギア441A´とラック441´が常に噛合しているもの)も実施可能である。また、減衰機構の態様は図23に示すものに限定されず、例えば、回動ロック部材92´の回動支点920´の軸部にワンウェイのロータリーダンパ(図示せず)を設けてもよい。
[F−3]第3の実施形態
ロック装置9は第2の実施形態の回動ロック部材92´を前提として説明する。遅延機構の第3の実施形態を、図24、図25、図26に基づいて説明する。各図において、(A)は下座板41が上座板40に対して自由に吊持された状態、(B)は(A)の状態から下座板41が上座板40に対して相対的に上動した状態を示している。第3の実施形態では検知レバー42の第2の姿勢から第1の姿勢への変位に抵抗を与えるように減衰機構45が設けられる。
図24に示す態様では、検知レバー42の回動支点421の軸部に減衰機構45が組み込まれている。減衰機構45は、ワンウェイのロータリーダンパ450からなり、第1の姿勢にある検知レバー42が第2の姿勢へ回動する時(図示の例では時計回り)には、検知レバー42の自由な回動を許容し、第2の姿勢にある検知レバー42が第1の姿勢へ回動する時(図示の例では反時計回り)に、検知レバー42の回動に抵抗を与えるようになっている。
自重降下中のシャッターカーテンの下端の下座板41は図24(A)の状態にあり、下座板41が障害物に当たると、下座板41の上動に連動して第1の姿勢にある検知レバー42が押し上げられて、ワイヤ43を第1の方向(図24(A)の矢印方向)に引っ張りながら、図24(B)に示す第2の姿勢となる。この時、ワンウェイのロータリーダンパ450は空転するので、ロータリーダンパ450は、検知レバー42が第1の姿勢から第2の姿勢へ回動することを妨げることがなく、検知レバー42の回動に連動してワイヤ43が第1の方向に引っ張られ、回動ロック部材92´が第1の姿勢から第2の姿勢へ回動してロック状態となる。
障害物の除去後には、下座板41が上座板40に対して相対的に下動することで、第2の姿勢にある検知レバー42の第1の姿勢への回動が可能となり、検知レバー42によりワイヤ43を第1の方向に引っ張る力が無くなり、コイルスプリング99によって、第2の姿勢にある回動ロック部材92´が第1の姿勢へと回動しようとする。この時、第2の方向(図24(B)の矢印方向)に引かれるワイヤ43を介して、第2の姿勢にある検知レバー42が第1の姿勢へと回動するが、ロータリーダンパ450は検知レバー42の第2の姿勢から第1の姿勢への回転に対して抵抗を与えるワンウェイダンパであり、検知レバー42はロータリーダンパ450からなる減衰機構45の抵抗を受けるため、ワイヤ43を介して検知レバー42と連結されている回動ロック部材92は減衰機構45の抵抗を受けながら第2の姿勢から第1の姿勢へゆっくり移動してロック装置9が非ロック状態となる。ロック装置9が非ロック状態となって復帰ワイヤ(第1ワイヤW1、第2ワイヤW2)の引き出しが可能となり、ブレーキが解放されてシャッターカーテン1が自重再降下する。このように、ロック装置9による復帰ワイヤ(第1ワイヤW2、第2ワイヤW3)の引き出し規制を解除するタイミングを遅延させることで、障害物が除去されてから停止中のシャッターカーテン1が再下降するまでの時間を遅延させている。
図25に示す態様では、減衰機構45は、ピニオンギア450Aを備えたロータリーダンパ450と、検知レバー42の周縁の所定部位に形成された、ピニオンギア450Aが噛合するギア451と、からなる。ロータリーダンパ450は、ピニオンギア450Aが検知レバー42のギア451に噛合するような位置を選択して検知レバー42の支持部42Aに設けてある。ロータリーダンパ450はワンウェイであり、第1の姿勢にある検知レバー42が第2の姿勢へ回動する時(図示の例では時計回り)には、検知レバー42の自由な回動を許容し、第2の姿勢にある検知レバー42が第1の姿勢へ回動する時(図示の例では反時計回り)に、検知レバー42の回動に抵抗を与えるようになっている。図25の減衰機構45の作動については、図24の説明を援用することができる。
図26に示す態様では、検知レバー42の支持部42Aに減衰機構45が設けてある。減衰機構45は、伸縮可能な押圧体452Aを備えた直動ダンパ452からなる。図26(A)に示すように、検知レバー42が第1の姿勢にある時には、押圧体452Aは伸縮姿勢にあり、図26(B)に示すように、検知レバー42が第2の姿勢にある時には、押圧体452Aは伸長姿勢にある。直動ダンパ452は、押圧体452Aが縮む際には抵抗力が発生し、自動で伸長復帰するように構成されており、検知レバー42が第1の姿勢から第2の姿勢へ回動する時(図示の例では時計回り)には、検知レバー42の自由な回動を許容し、検知レバー42が第2の姿勢から第1の姿勢へ回動する時(図示の例では反時計回り)に、押圧体452Aが検知レバー42の周縁の所定部位に当接し、当該所定部位を押圧しながら縮むことによって、検知レバー42の回動に抵抗を与えるようになっている。図26の減衰機構45の作動については、図24の説明を援用することができる。
[F−4]第4の実施形態
自重再降下遅延機構の他の実施形態を図27〜32に基づいて説明する。自重再降下遅延機構は作動機構一体型の自動閉鎖装置6に内蔵されている。自動閉鎖装置6の基本構成及基本動作は、図9〜図13に示すものと同様であり、同一の要素には同一の参照番号が付してあり、必要に応じて、図9〜図13に関連する記載を援用することができる。図27〜図32において、第1マイクロスイッチMS1、第2マイクロスイッチMS2、第3マイクロスイッチMS3の図示は省略されている。自動閉鎖装置6のケーシングは開閉機5に直接取り付けられており、図27に示すように、ケーシング内には、第1作動体(第1スライドピース)60、第2作動体(第2スライドピース)61、第3作動体(第3スライドピース)62、第1ラッチレバー63、ソレノイド64、第2ラッチレバー65、第2作動体61に形成されたラックギア66、ピニオンギア67、カム68、が設けてある。第2ラッチレバー65は、図示しないガイドに沿って図における左右方向(第1作動体60の移動方向と直交する方向)に移動可能となっており、コイルスプリング650によって右側(第1作動体60に近づく方向)に付勢されている。第1作動体60は軸上を往復動可能に設けてあると共に大径部60Aを備えており、大径部60Aがブレーキ解放レバー50に当たって押圧する当接部を形成している。第1作動体60はコイルスプリング601によって、ブレーキ解放レバー50を解放する方向に付勢されており、コイルスプリング601によって押されることで開閉機50のブレーキ解放レバー50を押圧してブレーキを解放する(図28参照)。通常時には、第1ラッチレバー63が第1作動体60の大径部60Aに係止することで、第1作動体60は大径部60Aがブレーキ解放レバー50から離間した状態で保持されている。第1作動体60の大径部60Aは、第1ラッチレバー63及び第2ラッチレバー65との被係止部、第2作動体61との当接部、としても機能する。
図29に示すように、火災検知信号が入力されると、ソレノイド64が防災盤からの火災検知信号(24V信号)で作動し、第1ラッチレバー63がソレノイド64に引かれて傾動して(1)、第1ラッチレバー63と第1作動体60との係合状態が外れて(2)、第1作動体60がコイルスプリング601に押されて軸上を移動してブレーキ解放レバー50を押圧してブレーキ解放を行う(3)。この時、第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMS3がOFFからONとなる。第1マイクロスイッチMS1の検知により障害物検知用制御盤7Aに作動確認信号が送信され、第3マイクロスイッチMS3の検知により、防災盤6bから自動閉鎖装置6への火災検知信号の送信が遮断される。
図30に示すように、手動閉鎖装置からの操作で第3ワイヤW3が緩むと(1)、第3ワイヤW3によって保持されていた第3作動体62と第1ラッチレバー63がコイルスプリング621に押されて軸に沿ってスライドし(2)、第1作動体60の移動を規制している第1ラッチレバー63がスライドすることで、第1作動体60がコイルスプリング601に押されて軸上を移動してブレーキ解放レバー50を押圧してブレーキ解放を行う(3)。この時、第1マイクロスイッチMS1、第3マイクロスイッチMS3はOFFからONとなる。第1マイクロスイッチMS1の検知により障害物検知用制御盤7Aに作動確認信号が送信される。
自重降下中のシャッターカーテンが障害物に当たった時の動作について、図31を参照しつつ説明する。既述の実施形態で説明したように、シャッターカーテン下端の座板が障害物に当たると、復帰ワイヤ(第1ワイヤW1)が引かれる。第1ワイヤW1が引かれると(1)、第2作動体61の段部61Aが第1作動体60の大径部60Aに当接しながら軸上をスライドして第1作動体60を押し戻し(2)、第1作動体60がブレーキ解放レバー50から離間して、ブレーキが復帰する。通電時には、第2作動体61のブレーキ復帰方向へのスライド移動によって、第2マイクロスイッチMS2がONからOFFとなって、障害物検知信号が障害物検知用制御盤7Aに送信される。第2作動体61の移動に連動して、ラックギア66に噛合しているピニオンギア67が回転し、ピニオンギア67と一体のカム68が反時計回りに回転する(3)。カム68の回転によって、カム68に当接している第2ラッチレバー65がコイルスプリング650の付勢力で右側(第1作動体60に近づく方向)にスライドし、第1作動体60の大径部60Aに係止して(4)、第1作動体60の位置が保持される。
障害物が取り除かれると、復帰ワイヤ(第1ワイヤW1)が緩み、コイルスプリング611に押されて、第2作動体61が戻り始める。この時、第2作動体61の段部61Aは第1作動体60の大径部60Aから離間して行くが、第2ラッチレバー65と第1作動体60の大径部60Aとの係止状態は所定時間保持される。具体的には、ラックギア66はピニオンギア67に時計回りの回転を与えながら戻るが、ピニオンギア67の時計回り方向の回転はワンウェイロータリーダンパ69(第1ワイヤW1が引かれる時は無抵抗である)によって減速されている。ピニオンギア67と一体のカム68もゆっくりと時計回りに回転し、第2ラッチレバー65はコイルウスプリング650の付勢力に抗してゆっくりと左側(第1作動体60から離れる方向)にスライドする。第2ラッチレバー65がゆっくりと左側にスライドすることで、所定時間経過後に第2ラッチレバー65と第1作動体60の係止状態が外れ、再度第1作動体60がコイルスプリング601に押されて軸上を移動してブレーキ解放レバー50を押圧してブレーキ解放を行い、シャッターカーテンは再降下する。
このように、自動閉鎖装置6は、ブレーキ復帰位置にあるブレーキ解放体(第1作動体60)の移動を規制する手段(第2ラッチレバー65)と、移動規制されたブレーキ解放体(第1作動体60)の規制を解除する手段(カム68、ピニオンギア67、ラックギア66、コイルスプリング611)と、移動規制解除のタイミングを遅延させる手段(ロータリーダンパ69)と、を備え、障害物除去によって復帰ワイヤ引き出し規制手段による引き出し規制が解除されて復帰ワイヤ(第1ワイヤW1+第2ワイヤW2)が緩んだ後に、所定時間だけ遅延されたタイミングでブレーキ解放体(第1作動体60)の移動規制が解除され、ブレーキ解放体(第1作動体60)が付勢手段(コイルスプリング601)により瞬時にブレーキ解放位置に移動し、開閉機5のブレーキ解放レバー50を押圧してブレーキ解放を行う。
以上、機械式避難時停止装置付きシャッターの具体的な構成について図面を参照しつつ詳細に説明したが、これらの記載は、機械式避難時停止装置付き電動シャッターの例示に過ぎないものであり、請求項に記載された本願発明の構成を限定するものではない。