JP5945134B2 - 開閉装置の開閉体停止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、閉じ移動中の開閉体が障害物に当接したときにこの閉じ移動を停止させるための開閉装置の開閉体停止装置に係り、例えば、シャッターカーテンが開閉体となっているシャッター装置や、オーニング装置、さらには、防煙垂れ幕装置等の各種の開閉装置に利用できるものである。
開閉装置となっていて、シャッターカーテンが開閉移動する開閉体となっている防災用シャッター装置では、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが火災等の異常事態の発生時に閉じ移動し、これにより、建物等の構造物内に防災区画が形成される。このようなシャッター装置では、シャッターカーテンの閉じ方向に障害物が存在し、閉じ移動中のシャッターカーテンがこの障害物に当接したときに、シャッターカーテンの閉じ移動を停止させることが行われる。この停止を実行させるための開閉体停止装置が下記の特許文献1に示されている。
この開閉体停止装置は、開閉移動自在な開閉体に配置され、閉じ移動中のこの開閉体が障害物に当接することにより開閉体と紐状部材とを機械的に結合してこの紐状部材に緊張力を作用させる機械式結合装置と、オン、オフすることにより開閉体の閉じ移動を停止、移動可能とさせるためのブレーキ装置と、紐状部材に前記緊張力が作用したときにブレーキ装置をオフからオンに切り替えるための自動閉鎖装置と、を有するものとなっており、この自動閉鎖装置には、紐状部材の前記緊張力が作用し、ブレーキ装置をオン、オフ切り替えるために作動する切替部材が設けられている。
特開2010−59767号公報
しかし、紐状部材の前記緊張力が作用する自動閉鎖装置の切替部材の作動可能範囲には、ブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲が存在している。
これについて具体的に説明すると、自動閉鎖装置の切替部材は、直線的に往復動自在する部材であって、ブレーキ装置をオフする側へばねにより常時前進付勢されているスライド部材となっており、このスライド部材には、回動自在なレバー部材に設けられたローラが嵌合する凹部が形成され、この凹部にローラが嵌合していることにより、スライド部材がブレーキ装置をオフする側へばねで前進することが阻止されている。そして、レバー部材は、火災等の災害が発生したときに作動するソレノイドに連結されているため、火災等の災害が発生すると、ソレノイドの作動によりレバー部材が回動し、これにより、凹部からローラが外れ、スライド部材がばねで前進することによりブレーキ装置はオンからオフに切り替えられ、シャッターカーテンは自重により閉じ移動を開始する。
このシャッターカーテンが閉じ移動中に障害物に当接すると、前述の機械式結合装置によりシャッターカーテンと紐状部材とが機械的に結合されて、この紐状部材にシャッターカーテンの重量に基づく緊張力を作用し、この緊張力でスライド部材が後退することにより、ブレーキ装置がオフからオンに切り替えられてシャッターカーテンの閉じ移動が停止する。この後に、障害物の除去により紐状部材の緊張力が消滅すると、スライド部材がばねで前進することによりブレーキ装置はオンからオフに再度切り替えられ、シャッターカーテンは自重により閉じ移動を再開する。
このようにシャッターカーテンが閉じ移動中に障害物に当接することにより、紐状部材の緊張力でスライド部材が後退した際に、この後退量が大きくなっていると、前述のレバー部材のローラがスライド部材の凹部に嵌合してしまうことになる。これによると、障害物の除去により紐状部材の緊張力が消滅しても、スライド部材は、ブレーキ装置をオンからオフに切り替えるためにばねで前進する作動を行うことができないため、シャッターカーテンの閉じ移動を再開させることができなくなる。
なお、上述のように紐状部材の緊張力でスライド部材が後退した際に、この後退量が大きいためにレバー部材のローラがスライド部材の凹部に嵌合したときには、上述のレバー部材を、非常用バッテリ等のバッテリから電気が供給される前述のソレノイドで作動させることにより、凹部に嵌合しているローラをこの凹部から外すこともできるが、このバッテリの未充電等のためにバッテリの電気を期待できない場合もあり、このような場合には、ローラがスライド部材の凹部に嵌合したままとなるため、スライド部材は、ブレーキ装置をオンからオフに切り替えるためにばねで前進する作動を行うことができず、シャッターカーテンの閉じ移動を再開させることができない。
このため、凹部にレバー部材のローラが嵌合する範囲までスライド部材が後退してしまうと、ブレーキ装置をオンからオフに切り替えることができない状態になり、したがって、このスライド部材である前述の切替部材が作動可能となっている範囲には、ブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲が存在していることになる。
したがって、自動閉鎖装置の切替部材を、ブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲まで作動させない工夫が求められることになる。
なお、自動閉鎖装置の切替部材がブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲まで作動するということは、上述の凹部やローラによるものに限らず、他の構成を採用した場合にも生ずることがあり、このような場合にも、自動閉鎖装置の切替部材を、ブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲まで作動させない工夫が求められる。
本発明の目的は、自動閉鎖装置の切替部材を、ブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲まで作動させることがない開閉装置の開閉体停止装置を提供するところにある。
本発明に係る開閉装置の開閉体停止装置は、開閉移動自在な開閉体に配置され、閉じ移動中のこの開閉体が障害物に当接することにより前記開閉体と紐状部材とを機械的に結合してこの紐状部材に緊張力を作用させる機械式結合装置と、オン、オフすることにより前記開閉体の閉じ移動を停止、移動可能とさせるためのブレーキ装置と、前記紐状部材に前記緊張力が作用したときに前記ブレーキ装置をオフからオンに切り替えるための自動閉鎖装置と、を有し、前記自動閉鎖装置に、前記ブレーキ装置をオン、オフ切り替えるために作動する切替部材が設けられ、前記紐状部材の前記緊張力が作用するこの切替部材の作動可能範囲に、前記ブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲が存在している開閉装置の開閉体停止装置において、前記紐状部材と前記自動閉鎖装置との間に中間装置が配置され、この中間装置は、前記紐状部材の側の部材となっている第1伝達部材と、前記緊張力に基づく前記第1伝達部材の作動力が伝達され、前記自動閉鎖装置の側の部材となっている第2伝達部材とを含んで構成され、前記第1伝達部材の全体の作動量のうちの一部が、前記切替部材を作動させるための作動量として前記第2伝達部材に伝達され、この第2伝達部材に前記第1伝達部材から伝達される作動量のなかに、前記切替部材により前記ブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる前記範囲が含まれていないことを特徴とするものである。
本出願に係る開閉体停止装置では、前記紐状部材の側の部材となっている第1伝達部材の全体の作動量のうちの一部が、前記切替部材を作動させるための作動量として前記第2伝達部材に伝達され、この第2伝達部材に第1伝達部材から伝達される作動量のなかに、切替部材によりブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲が含まれていないため、切替部材の作動可能範囲に、ブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲が存在していても、切替部材がブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲まで作動することはない。
なお、上述のように第2伝達部材に第1伝達部材から伝達される作動量のなかに、切替部材によりブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲が含まれていないとは、第1伝達部材の全体の作動量のうち、第2伝達部材に第1伝達部材から伝達される全部の作動量が、切替部材によりブレーキ装置をオンからオフに切り替えることができる作動量になっているということであり、また、第1伝達部材の全体の作動量のうち、第2伝達部材に伝達されない第1伝達部材の作動量に、切替部材によりブレーキ装置をオンからオフに切り替えることができる作動量が含まれていてもよい。
また、本発明に係る開閉体停止装置は、前述したように、自動閉鎖装置の切替部材がブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲まで作動するということが前述の凹部やローラが採用された構成によって生ずる場合に適用できるとともに、これらの凹部やローラが採用されない他の構成によって生ずる場合にも適用できる。
また、本発明において、上述の中間装置は、紐状部材と自動閉鎖装置とを直接接続するための接続装置になっていてよく、あるいは、紐状部材と自動閉鎖装置とを他の装置や手段、部材を用いて間接的に接続する接続装置になっていてもよい。
また、上述の切替部材は、直線的に往復動するスライド部材等の往復動部材でよく、あるいは、回動中心軸を中心に回動する回動部材でもよく、揺動中心軸を中心に揺動する揺動部材でもよい。
さらに、切替部材を直線的に往復動するスライド部材等の往復動部材とする場合には、ブレーキ装置をオフとする往復動部材の移動が前進(例えば、切替部材が配置されている機枠から突出する方向への切替部材の移動)であって、オンとする移動が後退でもよく、あるいは、ブレーキ装置をオンとする往復動部材の移動が前進であって、オフとする移動が後退でもよい。
また、本発明に係る開閉体停止装置において、前記中間装置を構成する第1伝達部材と第2伝達部材との関係は、第1伝達部材の作動力が第2伝達部材に直接伝達される関係でもよく、第1伝達部材の作動力が第2伝達に、他の部材や手段、装置を介して間接的に伝達される関係でもよい。
そして、第1伝達部材と第2伝達部材との関係を、第1伝達部材の作動力が第2伝達部材に直接伝達される関係とする場合には、一例として、第1伝達部材と第2達部材の両方を、揺動中心軸を中心に揺動自在となっている揺動部材とすることができる。
また、第2伝達部材である第2揺動部材には、第1伝達部材である第1揺動部材の揺動により第2揺動部材が所定角度まで揺動したときに第1揺動部材の揺動中心軸を中心とする円弧形状となる円弧部を形成し、この円弧部により、第2揺動部材が第1揺動部材の揺動によって前記所定角度以上に揺動しないようにすることができる。
このように中間装置を構成した場合には、第2揺動部材が前記所定角度まで揺動しても、前記自動閉鎖装置の切替部材はブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲まで作動しないことになる。
なお、上述のように第2揺動部材が第1揺動部材の揺動によって前記所定角度以上に揺動しないとは、第2揺動部材が第1揺動部材の揺動によって前記所定角度以下までは揺動するということである。
また、上述のように第2揺動部材に、第1揺動部材の揺動により第2揺動部材が所定角度まで揺動したときに第1揺動部材の揺動中心軸を中心とする円弧形状となる円弧部を形成する場合には、第1揺動部材の揺動によって始まる第2揺動部材の揺動開始時には、第1揺動部材の端部が前記円弧部と接触しておらず、第2揺動部材が前記所定角度まで揺動したときに、第1揺動部材の端部が前記円弧部と接触するようにしてもよく、あるいは、第1揺動部材の揺動によって始まる第2揺動部材の揺動開始時から第1揺動部材の端部を前記円弧部と接触させるようにしてもよい。
後者によると、第1揺動部材の端部が接触する第2揺動部材の部分を前記円弧部だけとすることができるため、第2揺動部材の製作作業、加工作業を容易に行えるようになる。
また、第2揺動部材と接触する第1揺動部材の端部は、回転自在な回転部材とすることが好ましい。
これによると、第1揺動部材から第2揺動部材への作動の伝達を、摩擦力の発生を抑制して円滑に行えるようになる。
また、本発明に係る開閉体停止装置において、前記自動閉鎖装置と前記中間装置のうち、少なくとも一方には、自動閉鎖装置の切替部材がブレーキ装置をオンからオフに切り替える切替時期を遅延させるための遅延装置を接続してもよい。
これによると、閉じ移動中の開閉体が当接した前記障害物が除去されたときに、自動閉鎖装置の切替部材によりブレーキ装置がオンからオフに切り替えられる時期が遅延されるため、障害物の除去後に直ちに開閉体は閉じ移動を再開せず、時間遅れをもって開閉体の閉じ移動を再開させることができる。
また、本発明に係る開閉体停止装置において、前記自動閉鎖装置が配置されている機枠と前記中間装置が配置されている機枠とを同じ機枠とし、この機枠において自動閉鎖装置と中間装置とを互いに隣接配置してもよい。
これによると、自動閉鎖装置と中間装置とを同じ機枠に互いに隣接して配置できるため、これらの自動閉鎖装置と中間装置をユニット化することができ、これにより、これらの自動閉鎖装置と中間装置についての取り扱い作業やメンテナンス作業を容易に行えるようになる。
なお、ここでいう隣接配置とは、上下方向の隣接配置でもよく、左右方向の隣接配置でもよく、前後方向の隣接配置でもよい。
また、上述のように自動閉鎖装置と中間装置とを同じ機枠に互いに隣接して配置する場合には、この機枠に、自動閉鎖装置の切替部材がブレーキ装置をオンからオフに切り替える切替時期を遅延させるための遅延装置を配置してもよい。
これによると、自動閉鎖装置と中間装置と遅延装置をユニット化することができ、これにより、これらの自動閉鎖装置と中間装置と遅延装置についての取り扱い作業やメンテナンス作業を容易に行えるようになる。
以上説明した本発明に係る開閉体停止装置において、前述の紐状部材は、ワイヤーでもよく、合成樹脂製の紐でもよく、ローラチェーン等のチェーンでもよく、任意な紐状部材でよい。
また、紐状部材は、例えば、開閉体の表面に沿って配設することにより露出状態としてもよく、あるいは、開閉体の開閉移動を案内するガイド部材等の内部に配設することにより少なくとも一部を外部に露出しない状態としてもよい。
さらに、紐状部材は、1本でもよく、あるいは、例えば、折り返し式の2本としてもよく、予備を含めた複数本としてもよい。
また、前述の機械式結合装置は、閉じ移動中の開閉体が障害物に当接したときに紐状部材と開閉体とを機械式に結合して紐状部材に緊張力を作用させることができるものであれば、任意な形式、構造のものでもよく、その一例は、開閉体に配置されたレバー部材等による一対の挟着部材で紐状部材を挟着する構造のものであり、また、他の例は、紐状部材を巻き取り、繰り出し可能に開閉体に配置された回転部材又はこの回転部材と一体化された別の回転部材に係合部材を係合させることにより、回転部材の回転を停止させる構造のものである。
さらに、本発明に係る開閉体停止装置において、前述のブレーキ装置は、それ単独で一つの装置になっているものでもよく、あるいは、例えば、開閉体を開閉移動させるための電動モータ装置と組み合わせられて開閉体を開閉移動させるための開閉機の一部となっているものでもよい。
また、本発明は、任意な開閉体が開閉移動自在となっている任意な開閉装置に適用することができ、その開閉装置の一例は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置であり、また、本発明は、オーニング装置、さらには、防煙垂れ幕装置等の各種の開閉装置に適用することができる。
さらに、シャッター装置は、全閉となったシャッターカーテンにより防災区画を形成する防災用シャッター装置でもよく、あるいは、操作装置の操作によりシャッターカーテンが開閉移動、移動停止を行う管理用シャッター装置でもよく、あるいは、管理及び防災併用のシャッター装置でもよい。
また、管理用シャッター装置の上記操作装置の信号送信方式は、有線方式でもよく、無線方式でもよい。
本発明によると、自動閉鎖装置の切替部材の作動可能範囲に、ブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲が存在していても、切替部材が、ブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲まで作動しないという効果を得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る開閉装置となっているシャッター装置の全体を示す正面図である。 図2は、図1のS2−S2線断面図である。 図3は、図1及び図2で示されている開閉機の内部構造を示す断面図である。 図4は、図1のS4−S4線断面図である。 図5は、図4で示されている機械式結合装置を裏側(図4の右側)から見た断面図である。 図6は、シャッターカーテンが障害物に当接したときを示す図4と同様の図である。 図7は、図6のときを示す図5と同様の図であって、係合部材と回転部材とが突き当て状態になるときを示した図である。 図8は、シャッターカーテンの障害物への当接がさらに進行したときを示す図5と同様の図であって、係合部材の係合部と回転部材の歯部とが係合したときを示す図である。 図9は、図8の一部拡大図である。 図10は、図1及び図2で示されている中継装置の内部構造を示す図である。 図11は、図1、図2及び図3で示されている自動閉鎖装置等からなる複合装置の内部構造を示す正面図である 図12は、複合装置の内部構造を示す平面図である。 図13(A)(B)は、複合装置を構成する装置となっている中間装置と自動閉鎖装置を分離して示した平面図である。 図14(A)(B)は、火災等の災害が発生したことで自動閉鎖装置のソレノイドが通電、励磁されたときにおける中間装置と自動閉鎖装置を分離して示した平面図である。 図15(A)(B)は、自動閉鎖装置のソレノイドの通電、励磁が停止されたときにおける中間装置と自動閉鎖装置を分離して示した平面図である。 図16(A)(B)は、閉じ移動中のシャッターカーテンが障害物に当接したときにおける中間装置と自動閉鎖装置を分離して示した平面図である。 図17(A)(B)は、図16以後における中間装置と自動閉鎖装置の状態を、中間装置と自動閉鎖装置を分離して示した平面図である。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置である。また、本実施形態に係るシャッター装置は、管理及び防災の併用シャッター装置である。すなわち、本実施形態に係るシャッター装置は、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが火災等の異常事態の発生時に閉じ移動することにより、全閉となったこのシャッターカーテンによって建物等の構造物内に防災区画を形成するための防災用シャッター装置としての機能と、シャッターカーテンにより出入口等の開口部を開閉するために、シャッターカーテンが操作装置の操作により開き移動、閉じ移動、移動停止を行う管理用シャッター装置としての機能と、を有している。
図1には本実施形態に係るシャッター装置の全体が示されており、この図1は、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。シャッターカーテン1で開閉される開口部は、建物に形成された出入口2であり、この出入口2は、壁等の左右の建物躯体3と、全閉となったときのシャッターカーテン1の下端部が当たる相手部材となっている床4と、天井部材5とで囲まれている。左右の建物躯体3には、シャッターカーテン1の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右一対のガイドレール6が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール6に案内されてシャッターカーテン1は上下に開閉移動する。
出入口2に対して天井部材5で仕切られている天井裏空間7には、シャッターボックス8が配置されており、このシャッターボックス8は、図1のS2−S2線断面図である図2に示されているように、天井裏空間7に存在する下がり壁等の建物躯体9にボルト等の結合具10で結合されている。シャッターボックス8の内部には巻取軸11が水平に収納配置され、この巻取軸11は、シャッターボックス8の図1で示されている左右の側面部8A,8Bに回転自在に支持されている。また、図1に示されているように、巻取軸11の一方の端部には、スプロケットホイールとローラチェーンによる駆動力伝達手段12を介して開閉機13が接続されている。巻取軸11を駆動させるための駆動装置となっているこの開閉機13は図2でも示されており、開閉機13の駆動軸14の回転力は、この駆動軸14に取り付けられた駆動スプロケットホイール12Aと、巻取軸11の上記一方の端部に取り付けられた被動スプロケットホイール12Bと、これらのスプロケットホイール12A、12Bの間に架け渡された無端ローラチェーン12Cとによる駆動力伝達手段12を経て巻取軸11に伝達される。
なお、本実施形態の開閉機13は、図2に示されているように、シャッターボックス8の左右の側面部8A,8Bのうち、一方の側面部8Bに結合されたブラケット部材15に取り付けられている。
図2から分かるように、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻回されているとともに、シャッターカーテン1の上端は巻取軸11の外周面に結合されている。また、シャッターカーテン1における巻取軸11より下側の部分は、天井部材5に配置されているまぐさ16に設けられたスリット17を通って天井部材5の下側へ垂下され、さらに、シャッターカーテン1の幅方向の両端部は、前述のように左右のガイドレール6にスライド自在に挿入されている。まぐさ16は、互いに対向配置されたまぐさ部材16A,16Bにより形成され、これらのまぐさ部材16A,16Bの間がスリット17となっている。
図3は、開閉機13の内部構造を示す断面図である。この図3に示されているように、開閉機13は、直流又は交流の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを軸方向に並設したものであり、上述の駆動軸14は、電動モータ装置18の回転する回転子18Aの中心に配置された回転軸となっている。この駆動軸14におけるブレーキ装置19側の端部には、円盤状のブレーキシュー20が結合されている。ブレーキ装置19には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸21が設けられ、このブレーキ軸21には、ブレーキシュー20と軸方向に対面するブレーキドラム22が結合されている。通常時のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、ばね23で電動モータ装置18側へ押圧されており、このため、ブレーキシュー20とブレーキドラム22との圧接によりブレーキ装置19はオンとなっている。したがって、このときの電動モータ装置18の駆動軸14は、ブレーキ装置19の制動力によって回転しない。
一方、ブレーキ装置19に配置されているソレノイド24に通電されたときには、このソレノイド24の磁力により、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22はばね23に対抗して電動モータ装置18から離れる方向へスライドする。このため、ブレーキシュー20とブレーキドラム22との圧接が解除され、ブレーキ装置19はオフとなる。したがって、このときには、電動モータ装置18の駆動軸14は、コイル25への通電により回転できることになる。
このようにソレノイド24への通電によリ、ブレーキ装置19はオフとなり、この通電を停止すると、ブレーキ装置19はオンとなるため、このブレーキ装置19は電気的にオン、オフするブレーキ装置となっている。
本実施形態では、図1に示されているように、開閉機13には、リレー回路等の電気回路又はコンピュータによる制御装置26が取り付けられており、この制御装置26は、開閉機13の電動モータ装置18及びブレーキ装置19を電気的に制御するものである。なお、制御装置26は、開閉機13とは別の部材や手段、装置等に取り付けてもよく、その配置箇所は任意である。
図1で示した左右の建物躯体3A,3Bのうち、一方の建物躯体3Aには、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、移動停止させることとを行わせるための操作装置30が取り付けられている。この操作装置30には、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられている。また、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、上端が巻取軸11に結合されているカーテン本体1Aと、このカーテン本体1Aの下端部に設けられた座板1Bとを有するものとなっている。本実施形態のカーテン本体1Aは、多数のスラットを上下に連設することによって形成されている。
カーテン本体1Aは、本実施形態における開閉体本体となっており、座板1Bは、本実施形態におけるエンド部材となっている。
座板1Bが前述の天井部材5に配置されたまぐさ16の高さ位置に達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、操作装置30の「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフとなる。これにより、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の自重により巻取軸11及び駆動軸14を正回転させて巻取軸11から下向きに繰り出され、これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が全閉位置に達すると、この全閉位置を検知した図示しないセンサからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19はばね23でオンに復帰する。また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフになるとともに、制御装置26の制御により電動モータ装置18のコイル25に通電される。このため、駆動軸14は逆回転し、この回転は前述の駆動力伝達手段12を介して巻取軸11に伝達され、巻取軸11の逆回転により、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知した図示しないセンサからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置26の制御によりコイル25への通電が遮断される。
また、シャッターカーテン1が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰することにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置26の制御により電動モータ装置18のコイル25への通電が遮断され、これにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
以上の説明から分かるように、開閉移動するシャッターカーテン1に対して、前述の床4やガイドレール6、シャッターボックス8、このシャッターボックス8に結合されたブラケット部材15、さらには、まぐさ16等は不動となっているため、これらの床4、ガイドレール6、シャッターボックス8、ブラケット部材15、まぐさ16等は、シャッターカーテン1に対する不動部材となっている。
なお、シャッターカーテン1の下向きの閉じ移動をシャッターカーテン1の自重だけで行わせるのではなく、この自重と、電気モータ装置18の駆動による駆動軸14の正回転とにより、シャッターカーテン1を閉じ移動させるようにしてもよい。
また、前述のように正逆回転自在となっている巻取軸11に、シャッターカーテン1の閉じ移動中に戻し力が蓄圧されるねじりコイルばねやぜんまいばねによる戻しばねを設けておき、シャッターカーテン1の上向きの開き移動を、この戻しばねに蓄圧された戻し力を補助力として利用して行うようにしてもよい。
本実施形態では、図3に示されているとおり、ブレーキ軸21における電動モータ装置18側とは反対側の端部にはレバー部材31が配置されている。このレバー部材31はブレーキ軸21を貫通したものであって、ブレーキ軸21を境界として区分される第1部分31Aと第2部分31Bとからなる。第1部分31Aには第1屈曲部31Cが形成され、第2部分31Bには第2屈曲部31Dが形成されている。第1部分31AにA方向、すなわち、電動モータ装置18側とは反対側への荷重が作用したときには、第1部分31Aが第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動するため、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドする。このため、ソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
このため、ブレーキ装置19は、第1部分31AへのA方向の荷重の作用と、この荷重が解除されたときのばね23とにより、オン、オフする機械的のブレーキ装置にもなっている。
なお、第1部分31AにA方向への荷重が作用することは、開閉機13に取り付けられている複合装置100の一部の構成装置となっている後述の自動閉鎖装置32によって行われる。この自動閉鎖装置32は、後述の説明で分かるように、シャッターカーテン1の駆動装置となっている開閉機13のブレーキ装置19を機械式に制御するための機械式制御装置である。
また、第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重が作用したときには、第2部分31Bが第1屈曲部31Cを支点としてA方向と同じ方向へ揺動するため、この場合にも、ブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A’方向へスライドする。このため、このときにもソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
このように第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重を作用させることは、手作業により行うことができる。このため、この実施形態に係る開閉機13は、手操作によってもブレーキ装置19をオフにすることができるようになっている。なお、第2部分31Bは、第2屈曲部31Dを残して省略してもよい。
図4は、図1で示されているシャッターカーテン1の座板1Bの部分の構造を示す図1のS4−S4線断面図である。本実施形態のシャッターカーテン1は、前述したようにカーテン本体1Aと座板1Bとを有し、座板1Bは、固定部70Aと可動部70Bとからなる。また、シャッターカーテン1は、カーテン主部71Aと、カーテン副部71Bとを有し、カーテン主部71Aは、カーテン本体1Aと、座板1Bのうちの固定部70Aとによって構成されており、カーテン副部71Bは、座板1Bのうちの可動部70Bによって構成されている。したがって、このカーテン副部71Bは、シャッターカーテン1の閉じ側の端部に配置されている。そして、カーテン主部71Aは、本実施形態における開閉体主部となっており、カーテン副部71Bは、本実施形態における開閉体副部となっている。
また、図4に示されているように座板1Bのうち、カーテン本体1Aと結合されている固定部70Aは、共に断面箱型となった内外の部材75,76で形成され、この固定部70Aに対して可動部70Bは上下動自在となっている。図4から分かるように、固定部70Aを形成している内外の部材75,76の下面は開口部78となっており、この開口部78から可動部70Bの立上り部79の上端が固定部70Aの内部空間に挿入されている。立上り部79の上端には、シャッターカーテン1の厚さ方向外側へ延出する延出部79A,79Bが形成され、これらの延出部79A,79Bが、固定部70Aの内部材76の下端に形成された突片部76A,76Bの上面に乗ることにより、固定部70Aに対する可動部70Bの下側への移動限が規定される。
固定部70Aの内部には、シャッターカーテン1の幅方向に延びる支点軸80を中心に上下揺動自在となった揺動部材81が収納されている。この揺動部材81は、図6で示されているように、可動部70Bが固定部70Aに対して上昇したときには、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン1が図1で示した障害物34等に当接したときには、可動部70Bの立上り部79の延出部79Aが揺動部材81を押し上げることにより、揺動部材81は支点軸80を中心に上向きに揺動する。
図4に示されているように、座板1Bの固定部70Aには、図1にも示されているケース33が取り付けられており、このケース33の内部は図5にも示されている。ケース33の内部には、外周部に多数の歯部35Aが円周方向に形成された歯車となっている回転部材35と、巻取りリール37とが、ケース33に固定された固定軸となっている軸41を中心に回転自在に収納され、これらの回転部材35と巻取りリール37は結合一体化されている。また、巻取りリール37には、紐状部材となっているロック用ワイヤー36の下端が結合され、前述のまぐさ16の部分から下方へ延びているこのロック用ワイヤー36の下側部分は巻取りリール37に巻き取られているとともに、上側部分は、ケース33の上面に形成されている孔33Aから上方へ延びている。そして、ロック用ワイヤー36の上端は、図10に示されている中継装置38の回動部材42にばね43を介して連結されている。
なお、ケース33の内部に1個又は複数個のガイドローラを回転自在に収納し、このガイドローラで案内させてロック用ワイヤー36を巻取りリール37へ導くようにしてもよい。
中継装置38は、図1及び図2に示されているように、前述のまぐさ16に設置されている。このため、ロック用ワイヤー36は、巻取りリール37が配置されたシャッターカーテン1と、開閉移動するシャッターカーテン1に対して不動部材となっているまぐさ16との間に架け渡された架け渡し部材となっており、また、巻取りリール37に巻取り可能となっているロック用ワイヤー36は、可撓性を有する紐状部材にもなっている。そして、シャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときには、図5の軸41を中心にS方向に回転する巻取りリール37からロック用ワイヤー36が繰り出されながらシャッターカーテン1が閉じ移動することになる。
図4に示されているように、巻取りリール37の内部には空間部37Aが形成されており、この空間部37Aに、図5では一部が省略されて示されている戻しばね39が収納され、回転部材35と巻取りリール37との回転中心軸である軸41の外周に巻回状態となっているこの戻しばね39はぜんまいばねであり、戻しばね39の一方の端部はケース33側の部材となっている軸41に結合され、他方の端部は回転部材35と一体化されている巻取りリール37に連結されている。このため、回転部材35及び巻取りリール37がS方向に回転してシャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときに、戻しばね39には、ロック用ワイヤー36を繰り出すために回転する巻取りリール37によって蓄圧力が蓄圧され、シャッターカーテン1が上方へ開き移動するときに、戻しばね39に蓄圧された蓄圧力によって巻取りリール37がS方向とは逆のT方向に回転することにより、ロック用ワイヤー36は巻取りリール37に巻き取られるようになっている。
このため、本実施形態では、巻取りリール37と戻しばね39により、ロック用ワイヤー36を繰り出し自在に巻き取るための巻取装置40が構成されている。
本実施形態では、ぜんまいばねによる戻しばね39は、巻取りリール37の内部に形成された空間部37Aに収納されているため、ケース33についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法が小さくても、図4から分かるように巻取りリール37についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法を充分に大きくすることができ、これにより、巻取りリール37によるロック用ワイヤー36の巻取り長さが充分に長くなり、シャッターカーテン1の開閉移動距離が長いシャッター装置にも対応できるようになっている。
図5に示されているように、ケース33の内部には、このケース33に設けられた軸56を中心に上下方向に回動自在となった係合部材50が収納されている。本実施形態の係合部材50は、歯車となっている回転部材35の歯部35Aに係合可能となっている係合部53を有している第1構成部材51と、この第1構成部材51と結合され、シャッターカーテン1の幅方向への長さを有している第2構成部材52とからなる。このように係合部材50を、それぞれ別部品となっている第1構成部材51と第2構成部材52の組み合わせとすることにより、回転部材35の歯部35Aに係合する係合部53が形成されている第1構成部材51を焼入れ処理等により硬質とすることができ、これにより、係合部材50全体を焼入れ処理等しなくても、係合部53に、回転部材35の歯部35Aと同様に、大きな強度を付与することができる。また、第1構成部材51を第2構成部材52よりも硬質の材料で形成することもでき、これにより、係合部材50全体を高価な硬質の材料で形成する必要がなくなる。
なお、本実施形態では、係合部材50の係合部53として、図5に示されているように、軸56を中心とする係合部材50の回動方向に離れた複数個の係合部が設けられ、図5の実施形態におけるこれらの係合部は、第1係合部53Aと第2係合部53Bになっており、上記複数個の係合部となっているこれらの第1係合部53Aと第2係合部53Bは、係合部材50の回動中心部を中心とする円弧上又は略円弧上に形成されたものとなっている。
また、図4に示されているように、前述した座板1Bの固定部70A(カーテン主部71A)の内部に支点軸80を中心に上下揺動自在となって配置されている揺動部材81には、押圧部材54が取り付けられている。本実施形態の押圧部材54は、U字状又はV字状に折り曲げられた板ばねで形成されたものとなっている。
また、図4から分かるように、係合部材50にはねじりコイルばね57が設けられている。コイル部が軸56の外周に巻回されているこのねじりコイルばね57の一方の端部57Aは、係合部材50に係止され、他方の端部57Bは、ケース33に係止されている。このため、係合部材50は、図5において、ねじりコイルばね57のばね力により軸56を中心にM方向に回動付勢されており、これにより、図5、図7及び図8に示されているように、係合部材50の一部が、シャッターカーテン1に設けられた押圧部材54に、具体的には、シャッターカーテン1のカーテン主部71Aに設けられている支点軸80を中心に上下揺動自在な揺動部材81に配置されている押圧部材54に当接するようになっている。
このため、シャッターカーテン1及び係合部材50には、後述の説明で分かるように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、係合部材50を図5のM方向とは反対方向のN方向に回動させるために互いに当接するシャッターカーテン側当接部58と係合部材側当接部59とが設けられていることになる。そして、シャッターカーテン側当接部58は、押圧部材54によるものであり、係合部材側当接部59は、係合部材50の第2構成部材52において、第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bとして2個存在している。これらの第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bは、シャッターカーテン1の幅方向に離れている。
また、このような第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bを係合部材50に設けることは、図5に示されているように、係合部材50のうち、軸56よりも下側の部分を、具体的には、係合部材50を第1構成部材51と共に形成している第2構成部材52のうち、第1構成部材51と重複している部分を除く部分をL字又は略L字の形状とすることにより、実現することができる。
そして、シャッターカーテン側当接部58は、板ばねで形成された押圧部材54によるものとなっているため、このシャッターカーテン側当接部58は、弾性変形可能な弾性部となっている。
なお、係合部材50を、図5において、軸56を中心にM方向に回動付勢することは、ねじりコイルばね57を用いることなく、軸56を中心とする係合部材50の重量バランスの設定だけで実現してもよい。
閉じ移動中のシャッターカーテン1の座板1Bが図1に示されている障害物34に当接するなどにより、図6に示されているように、シャッターカーテン1の座板1Bの固定部70A(カーテン主部71A)に対して可動部70B(カーテン副部71B)が相対的に上昇したときには、支点軸80を中心に揺動部材81が上向きに揺動するため、押圧部材54により、係合部材50は、図5において、軸56を中心にN方向に回動する。これにより、係合部材50の係合部53は、図7の状態を経て図8に示されているように、回転部材35の歯部35Aに係合し、この係合により、回転部材35と、この回転部材35と結合一体化されている巻取りリール37は、シャッターカーテン1が閉じ方向へ移動しているときの回転方向(図5のS方向)へは回転できなくなり、このため、回転部材35と巻取りリール37はロックされる。
このため、このときには、一部が巻取りリール37に巻き取られているロック用ワイヤー36と、巻取りリール37が配置されているシャッターカーテン1とが機械式に結合されたことになる。したがって、本実施形態では、回転部材35や係合部材50等により、ロック用ワイヤー36とシャッターカーテン1とを機械式に結合するための機械式結合装置55が構成されていることになる。
図10には、図1及び図2で示されている中継装置38の内部構造が示されている。この中継装置38には、前述したように、ロック用ワイヤー36の上端がばね43を介して連結された回動部材42が設けられ、この回動部材42の回動方向は、中継装置38の機枠49に設けられた水平な中心軸42Aを中心とする上下方向である。
図1及び図2に示されているように、開閉機13の上部には複合装置100が載置固定されている。図11は、この複合装置100の内部構造を示す正面図であり、図12は、複合装置100の内部構造を示す平面図である。複合装置100は、自動閉鎖装置32と、中間装置200と、遅延装置300とを複合的に組み合わせた装置であり、自動閉鎖装置32は、火災等の災害の発生時において、開閉機13のブレーキ装置19を機械式に制御することにより、全開位置又は開閉方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1を自動的に閉じ移動させて全閉とし、防煙性及び/又は防火性を有しているシャッターカーテン1により図1の出入口2を閉鎖するためのものである。
また、遅延装置300は、後述の説明で明らかになるように、前述の開閉機13のブレーキ装置19が自動閉鎖装置32によりオンからオフに機械的に切り替えられるときに、この切替時期を遅延させるためのものであり、本実施形態に係る遅延装置300は中間装置200に接続されている。
複合装置100は、この複合装置100の機枠110に設けられている図11のブラケット部110Aにより、開閉機13の上部に取り付けられている。この状態は図2でも示されている。また、図12に示されているように、複合装置100まで、この複合装置100を制御するための第1制御用ワイヤー111、第2制御用ワイヤー112、第3制御用ワイヤー113のそれぞれの端部が延伸されている。これらの制御用ワイヤー111〜113は、前述のロック用ワイヤー36と同じく、可撓性を有する紐状部材になっていて、細長部材にもなっている。
また、これらの制御用ワイヤー111〜113は、可撓性を有するアウターケーブル114〜116の内部にスライド自在に挿通されている。このため、制御用ワイヤー111〜113はアウターケーブル114〜116により保護されている。
図1、図2及び図10に示されているように、第1制御用ワイヤー111は複合装置100から中継装置38まで延びており、この第1制御用ワイヤー111の端部は、図10に示されているとおり、中継装置38の回動部材42に連結されている。
なお、本実施形態では、図10に示されているように、前述のロック用ワイヤー36と第1制御用ワイヤー111は、中継装置38の回動部材42を介して互いに連結された別部材となっているが、ロック用ワイヤー36を図1及び図2で示した天井裏空間7に回転自在に配置したガイドローラ等のガイド部材に掛け回して複合装置100まで延伸できる等の場合には、第1制御用ワイヤー111を省略し、ロック用ワイヤー36を複合装置100まで延長してもよい。
図11及び図12に示されているように、それぞれが複合装置100の一部の構成要素となっている上述の自動閉鎖装置32と中間装置200は、複合装置100の機枠110に配置されている。言い換えると、自動閉鎖装置32が配置されている機枠と中間装置200が配置されている機枠は、同じ機枠110であり、この機枠110において、自動閉鎖装置32と中間装置200が互いに隣接配置されている。また、後述する説明で明らかになるように、機枠110には、前述の遅延装置300も配置されている。このため、自動閉鎖装置32と中間装置200と遅延装置300は、1個のユニット化された装置となっており、このため、これらの自動閉鎖装置32と中間装置200と遅延装置300についての工場からシャッター装置設置現場への搬送等の取り扱い作業や、メンテナンス作業等を容易に行えるようになっている。
また、図11から分かるように、自動閉鎖装置32と中間装置200と遅延装置300のうち、中間装置200は機枠110の内部の上部に配設され、自動閉鎖装置32及び遅延装置300は機枠110の内部の下部に配設されている。中間装置200及び遅延装置300の平面図は、図13(A)に示され、自動閉鎖装置32の平面図は、図13(B)に示されている。
そして、中間装置200は、図5、図7及び図8で示した前述の機械式結合装置55にロック用ワイヤー36及び中継装置38を介して連結されている第1制御用ワイヤー111と、自動閉鎖装置32との間に配置された装置になっている。言い換えると、中間装置200は、紐状部材である第1制御用ワイヤー111と自動閉鎖装置32とを直接接続するための接続装置になっている。
次に、自動閉鎖装置32について説明する。
図11及び図12に示されているように、複合装置100の機枠110には、互いに対向する2個の立上り部110B,110Cが設けられており、これらの立上り部110B,110Cに形成された図12の孔110D,110Eに、2個の立上り部110B,110Cに跨る長さを有している図13(B)の板状の第1スライド部材120がスライド自在に挿入されている。この第1スライド部材120の外周にはばね121が巻回されており、このばね121のばね力により、第1スライド部材120には立上り部110B側への前進力が常時作用している。この前進力の方向は、図3で説明した開閉機13に設けられている前述のレバー部材31の第1部分31AをA方向へ移動させる方向である。
図3及び図11に示されているとおり、第1スライド部材120の前端に下向きに折曲形成された折曲部120Aには、作動部材122が取り付けられており、また、図3のレバー部材31の第1部分31Aには、被作動部材123が立設結合されている。第1スライド部材120がばね121のばね力によって前進したときには、作動部材122が被作動部材123に当接することにより、レバー部材31の第1部分31Aに図3で示したA方向への荷重が作用するようになっている。図11に示されているように、本実施形態の作動部材122はボルト124の頭部124Aとなっているため、この頭部124Aを回転操作してボルト124を第1スライド部材120の折曲部120Aに対して進退させることにより、作動部材122と被作動部材123との間の間隔を適切な寸法に調整できる。この調整を行った後に、ボルト124に螺合させておいたロックナット125を回転操作し、このロックナット125を折曲部120Aに圧接させることにより、被作動部材123に対する作動部材122の位置を、適切な位置にして固定できることになる。
図13(B)に示されているように、複合装置100の機枠110には、ソレノイド126が取り付けられており、このソレノイド126のプランジャ127には、ばね128のばね力がプランジャ127をソレノイド126から突出させる方向へ常時作用している。このプランジャ127の先端には先端部材140が取り付けられ、この先端部材140には、中心軸129Aを中心に回動自在となっているL字形の屈曲レバー部材129の一方の端部が接触している。先端部材140には、図11で分かるように、屈曲レバー部材129の上記一方の端部が接触している面とは反対側の面において、起倒部材141が接触しており、この起倒部材141は、図13(B)で示されているブラケット142に設けられたビスによる中心軸142A(図11も参照)が挿通している下部を中心に起倒自在となっている。
そして、トリガーレバー部材となっている屈曲レバー部材129の他方の端部には、図13(B)に示されているように、ローラ130が回転自在に設けられている。このローラ130と対面する第1スライド部材120の部分には凹部120Bが形成されており、この凹部120Bにおける第1スライド部材120の後退側の部分は、傾斜面120Cとなっている。
図13(B)に示されているとおり、自動閉鎖装置32には第1電気スイッチ135が設けられ、機枠110に取り付けられているこの第1電気スイッチ135は、ばねで第1電気スイッチ135から突出する方向へ付勢されている揺動自在なアクチュエータ136を有する。また、第1スライド部材120には、凹部120Bと反対側の部分において、ドグ部材137が取り付けられており、アクチュエータ136はこのドグ部材137に当接している。
第1スライド部材120には、連結部138Aを備えている連結部材138が取り付けられている。前述の第3制御用ワイヤー113の端部は連結部138Aに連結されており、また、第2制御用ワイヤー112の端部は、上述の起倒部材141の上部に連結されている(図11も参照)。
図13(B)に示されているとおり、自動閉鎖装置32には、屈曲レバー部材129に中心軸129Aを中心とするK方向への回動力を付与するためのばね131と、第2制御用ワイヤー112の端部が連結されている起倒部材141が中心軸142Aを中心にソレノイド126側へ倒れたときに、起倒部材141を直立状態に戻すためのばね132とが設けられており、ばね131のばね力により、屈曲レバー部材129の上述の他方の端部に設けられている通常時のローラ130が、図13(B)に示されているように、第1スライド部材120の凹部120Bに嵌合するようになっている。
また、ローラ130が凹部120Bに嵌合することにより、前述したばね121による第1スライド部材120の前進は止められている。このように凹部120Bに嵌合したローラ130で前進が止められているときにおける第1スライド部材120の前端の位置は、図12及び図13(B)で示す3個の位置H,I,Jのうち、H位置である。
起倒部材141に端部が連結されていて、アウターケーブル115の内部に挿通された第2制御用ワイヤー112は、図1で示した操作装置30まで延びており、アウターケーブル115から突出している第2制御用ワイヤー112の端部には、操作装置30に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。さらに、第1スライド部材120の連結部材138の連結部138Aに端部が連結されていて、アウターケーブル116の内部に挿通された第3制御用ワイヤー113も、操作装置30まで延びており、アウターケーブル116から突出している第3制御用ワイヤー113の端部にも、操作装置30に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。
以上の説明から分かるように、自動閉鎖装置32は、凹部120Bが形成された第1スライド部材120や、ソレノイド126、ローラ130を備えた屈曲レバー部材129、第1電気スイッチ135等により構成されており、そして、機枠110に対して直線的に往復動自在の往復動部材となっている第1スライド部材120は、後述の説明から分かるように、前述のブレーキ装置19を機械的にオン、オフ切り替えるために作動する切替部材となっている。
次に、図13(A)に示されている中間装置200について説明する。
複合装置100の前述の機枠110には、図13(A)に示されているように、中心軸201Aを中心に揺動自在の第1揺動部材201と、中心軸202Aを中心に揺動自在の第2揺動部材202とが設けられ、第1伝達部材と第2伝達部材になっているこれらの第1及び第2揺動部材201,202は水平方向に揺動する。また、第1揺動部材201の長手方向の途中部に配置されている中心軸201Aと、第2揺動部材202の長手方向の途中部に配置されている中心軸202Aは、図11及び図12で示されている機枠110に水平に設けられたブラケット部材203に取り付けられている。図13(A)に示されているとおり、前述した第1制御用ワイヤー111のうち、機枠110の内部に挿入されている部分は、第1揺動部材201の一方の端部に連結され、第1揺動部材201の他方の端部には、ローラベアリング等による回転自在な回転部材204が設けられている。
すなわち、第1揺動部材201の他方の端部は、ローラベアリング等による回転自在な回転部材204となっている。
第2揺動部材202には、回転部材204と水平方向に対面する箇所において、円弧部205が設けられており、この円弧部205は、回転部材204が接触する円弧面として形成されている。また、第2揺動部材202には、第1揺動部材201の側の端部とは反対側の端部において、ローラベアリング等による回転自在な回転部材207が設けられている。すなわち、第2揺動部材202における第1揺動部材201の側の端部とは反対側の端部は、ローラベアリング等による回転自在な回転部材207となっている。
機枠110と第1揺動部材201との間にはばね206が架け渡されており、このばね206のばね力により、第1揺動部材201には中心軸201Aを中心とするB方向への揺動力が付与されており、第1揺動部材201がB方向とは逆のC方向に揺動したときには、回転部材204からの押圧力を円弧部205が受ける第2揺動部材202は、中心軸202Aを中心にW方向へ揺動するようになっている。すなわち、前述の第1伝達部材である第1揺動部材201からの揺動力が、第2伝達部材である第2揺動部材202に直接伝達されるようになっている。
なお、第2揺動部材202に設けられている円弧部205は、第1揺動部材201から伝達される揺動力により第2揺動部材202がW方向に揺動して、この揺動角度が所定角度になったときに、第1揺動部材201の揺動中心軸201Aを中心とする円弧形状となるものである。言い換えると。第2揺動部材202の上述の所定角度とは、円弧部205が第1揺動部材201の揺動中心軸201Aを中心とする円弧形状となるときの第2揺動部材202の揺動角度である。
図12に示されているように、複合装置100の機枠110の2個の立上り部110B,110Cには、孔110G,110Hが形成され、これらの孔110G,110Hに、2個の立上り部110B,110Cに跨る長さを有している図13(A)の板状の第2スライド部材210がスライド自在に挿入されている。この第2スライド部材210は、第1スライド部材120と同じ方向へ直線的に往復動自在の往復動部材となっている。また、第2スライド部材210には、第2揺動部材202の端部に設けられている回転部材207を受けるための受け部210Aが設けられており、第2スライド部材210の上面に結合されたL字形の部材の立上部によって形成されているこの受け部210Aは、この受け部210Aよりも第1及び第2スライド部材120,210の前進側に配設されている回転部材207に対して、第1及び第2スライド部材120,210の移動方向に対向している。
図11に示されているとおり、中間装置200の構成部材となっている第2スライド部材210は、自動閉鎖装置32の構成部材となっている第1スライド部材120よりも上側の高さ位置において、機枠110に配置されている。また、図13(A)に示されているように、第2スライド部材210には、第1スライド部材120に設けられている前述の連結部材138の連結部138Aよりも第1及び第2第1スライド部材120,210の前進側において、段差面210Bが設けられている。連結部138Aは、図11に示されているように、上側へ延びる長さを有しており、このため、この連結部138Aと段差面210Bは、図13(A)で示すとおり、第1及び第2スライド部材120,210の移動方向に対向している。
そして、図14(A)(B)で示すように、第1スライド部材120が前進することによって連結部138Aが段差面210Bに当接すると、第2スライド部材210は、第1スライド部材120の更なる前進により、第1スライド部材120と共に前進するようになっている。また、第1スライド部材120の前進限までの前進によって第2スライド部材210が前進したときには、第2スライド部材210は、受け部210Aが第2揺動部材202の回転部材207と接触又は僅かな隙間を開けて対向する位置まで達している。
なお、第2スライド部材210の段差面210Bは、図13(A)に示されているように、第2スライド部材210に形成されている凹部210Dにおける第1及び第2スライド部材120,210の前進側の面である。そして、凹部210Dにおける段差面210Bと第1及び第2スライド部材120,210の移動方向に対面している面は、段差面210Eとなっており、第1スライド部材120の連結部138Aは凹部210Dの内部に挿入されている。
以上の説明から分かるように、前述の第1制御用ワイヤー111と自動閉鎖装置32とを直接接続するための接続装置になっている中間装置200は、第1揺動部材201や、第2揺動部材202、第2スライド部材210等により構成されており、そして、第1揺動部材201と第2揺動部材202のうち、前述した第1伝達部材である第1揺動部材201は、紐状部材である第1制御用ワイヤー111の側の部材となっているとともに、前述した第2伝達部材である第2揺動部材202は、自動閉鎖装置32の前述の切替部材となっている第1スライド部材120の側の部材となっている。
図13(A)に示されているように、機枠110の底部110Fには、歯車230及び遅延装置300が配置され、底部110Fに回転自在に配置されている歯車230は、上側の小径歯車部230Aと、下側の大径歯車部230Bとが一体化されたものとなっており、第2スライド部材210には、小径歯車部230Aと噛合している歯部210Cが形成されている。また、大径歯車部230Bは、遅延装置300の回転自在な中心軸300Aに結合されたピニオンギヤ300Bに噛合している。このため、中間装置200の構成部材となっている第2スライド部材210には、歯車230を介して遅延装置300が接続されていることになる。
遅延装置300はロータリー式のダンパーであり、遅延装置300の内部には、ワンウエイクラッチを介して中心軸300Aと連結されている複数のブレードが取り付けられており、歯車230がF方向に回転して、ピニオンギヤ300B及び中心軸300AがD方向に回転した場合には、ワンウエイクラッチの接続作用により、それぞれのブレードが遅延装置300の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により歯車230はF方向へ低速で回転することになる。一方、歯車230がF方向とは逆のG方向に回転し、ピニオンギヤ300B及び中心軸300AがE方向に回転した場合には、この方向への回転は、ワンウエイクラッチの切断作用によりそれぞれのブレードに伝達されない。このため、歯車230はG方向へ高速で回転することができる。
また、図13(A)に示されているように、機枠110には第2電気スイッチ220が配置されており、図12で示したブラケット部材203に取り付けられているこの第2電気スイッチ220は、ばねで第2電気スイッチ220から突出する方向へ付勢されている揺動自在なアクチュエータ221を有し、このアクチュエータ221は、図13(A)に示すとおり、前述の第1揺動部材201に当接している。本実施形態において、アクチュエータ221が当接している第1揺動部材201の箇所は、この第1揺動部材201に設けられている前述の回転部材204となっている。
次に、本実施形態に係るシャッター装置の作動について説明する。
本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物において、シャッターカーテン1が全開位置又は開閉移動方向途中位置で停止しているときに、火災等の災害が発生すると、この災害を検知したセンサからの信号が入力する図示しないリレー回路等の電気回路又はコンピュータによる制御装置(この制御装置は、図1の制御装置26が兼ねていてもよい。)の制御により、図13(B)で示す自動閉鎖装置32のソレノイド126は通電され、このソレノイド126が励磁されるため、このソレノイド126のプランジャ127は、ばね128のばね力に抗して後退する。これにより、前述の先端部材140に一方の端部が当接している屈曲レバー部材129は、ばね131のばね力に抗して中心軸129Aを中心に図13(B)のK方向とは逆方向のL方向に回動することになる。このときの状態が図14(B)で示されている。屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心にL方向に回動すると、屈曲レバー部材129のローラ130は第1スライド部材120の凹部120Bから脱出するため、第1スライド部材120はばね121のばね力で前進し、この前進は、第1スライド部材120に設けられている連結部材138の前端が機枠110の前述の立上り部110Bに当接することにより停止する。すなわち、本実施形態の連結部材138は、第1スライド部材120の前進限を規定するための第1スライド部材120における前進限規定部にもなっている。
また、このときにおける第1スライド部材120の前端の位置は、図12及び図13(B)で示した3個の位置H,I,Jのうち、図14(B)に示されているように、最前位置であるI位置である。
また、以上のように第1スライド部材120が前進すると、第1電気スイッチ135のアクチュエータ136は、第1スライド部材120に取り付けられているドグ部材137から外れるため、これによって第1電気スイッチ135から発生する信号により、上述の制御装置はソレノイド126への通電を停止する。
このソレノイド126への通電の停止により、プランジャ127はばね128のばね力でソレノイド126から突出移動し、屈曲レバー部材129はばね131のばね力で中心軸129Aを中心に図13(B)のK方向へ回動する。このときの第1スライド部材120は、この第1スライド部材120の前端がI位置まで達している移動限まで前進しているため、屈曲レバー部材129のローラ130は、図15(B)に示されているように、第1スライド部材120の前述した傾斜面120Cに当たる。このため、中心軸129Aを中心とする屈曲レバー部材129のK方向への回動は、途中で停止する。
以上のようにして第1スライド部材120が前進すると、この第1スライド部材120の前端に設けられている図3の作動部材122が、被作動部材123を介して開閉機13のレバー部材31の第1部分31Aを図3のA方向に押圧する。このため、前述したようにこの第1部分31Aが、レバー部材31の第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動することにより、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドし、これにより、それまでオンとなっていたブレーキ装置19は、オフとなる。このため、全開又は開閉移動方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1は、巻取軸11よりも下側の部分の座板1B等の自重により、前述した巻取軸11を回転させながら下向きに閉じ移動することになり、開閉機13の前述した駆動軸14も駆動力伝達手段12を介して自由回転し、シャッターカーテン1が全閉となることにより、このシャッターカーテン1による防災区画が形成されることになる。
また、火災等の災害が発生したことを人が発見した場合には、この人が、図1で示した操作装置30に配置されていて、前述した第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により、第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作する。第2制御用ワイヤー112の他方の端部は、図13(B)で説明したように、前述の起倒部材141に連結されているため、第2制御用ワイヤー112が引っ張り操作されることにより、この起倒部材141が中心軸142Aを中心にソレノイド126の側へ倒れ回動し、起倒部材141の押圧作用により、前述の先端部材140及びプランジャ127は後退する。これにより、ソレノイド126が通電、励磁される前であっても、ソレノイド126が通電、励磁されたときと同じく、屈曲レバー部材129は、起倒部材141からの押圧力により先端部材140を介して、中心軸129Aを中心に図13(B)のL方向へ回動するため、屈曲レバー部材129のローラ130は第1スライド部材120の凹部120Bから脱出し、第1スライド部材120はばね121のばね力で前進することになる。
このため、第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材を操作することによっても、シャッターカーテン1は全閉となり、このシャッターカーテン1により防災区画を形成することができる。
なお、以上のように第1スライド部材120が前進限まで移動したときには、この第1スライド部材120の連結部材138に設けられている連結部138Aは、図14(A)及び図15(A)に示されているように、第2スライド部材210の前述の段差面210Bに当接し、この当接後も第1スライド部材120が前進することにより、第2スライド部材210も前進する。そして、第1スライド部材120の前端がI位置に達したときには、図14(A)及び図15(A)に示されているとおり、第2スライド部材210に設けられている受け部210Aは、第2揺動部材202の回転部材207と接触又は僅かな隙間を開けて対向している。
前述のようにしてシャッターカーテン1が全閉位置に達し、そして、火災等の災害が解消したときには、操作装置30に配置されていて、前述した第3制御用ワイヤー113の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により、第3制御用ワイヤー113を引っ張り操作する。これにより、第3制御用ワイヤー113は、第1スライド部材120の連結部材138の連結部138Aに連結されているため、この第1スライド部材120はばね121のばね力に抗して後退する。この後退により、第1スライド部材120の連結部138Aは、第2スライド部材210に設けられている前述の段差面210Eを後方へ押圧し、このため、第2スライド部材210も後退する。
そして、第1スライド部材120が後退することにより、屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心としてばね131のばね力で図13(B)のK方向へ回動し、これにより、屈曲レバー部材129のローラ130は、第1スライド部材120の凹部120Bに嵌合することになり、このため、ばね121による前進力が作用している第1スライド部材120は、前端がH位置に達した位置で停止することになり、これにより、自動閉鎖装置32は、火災等の災害が発生する前の初期状態に戻る。
なお、第3制御用ワイヤー113を上述のようにレバー部材等の手動操作部材により引っ張り操作したときに、連結部材138の連結部138Aが図12で示されているブラケット部材203に当接するようにし、これにより、レバー部材等の手動操作部材により第3制御用ワイヤー113を過大な操作力で引っ張り操作した場合に、この過大な操作力が連結部材138及び第1スライド部材120に作用することをブラケット部材203で防止するようにしてもよい。
上述のように第1スライド部材120が初期位置へ復帰すると、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及びブレーキドラム22は図3の前述したばね23でA’方向とは逆方向へ移動するため、ブレーキ装置19はオフからオンに復帰する。この後に、操作装置30に設けられている前述の「開」ボタンを操作することにより、シャッターカーテン1は、前述したとおり、全開位置まで開き移動する。
以上説明したように火災等の災害の発生が前述のセンサで検出されたり、火災等の災害の発生を発見した人が第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作することにより、シャッターカーテン1が防災区画を形成するために全閉位置まで閉じ移動するときは、本実施形態に係るシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となっているときである。これに対して前述したように、操作装置30の「開」「閉」「停」のそれぞれのボタン操作により、シャッターカーテン1の開閉移動、移動停止を行わせているときが、本実施形態に係るシャッター装置が前述の管理用シャッター装置となっているときである。
本実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置となってシャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、言い換えると、自動閉鎖装置32が図15(B)で示す状態に、また、中間装置200が図15(A)で示す状態にそれぞれなっていて、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、閉じ移動方向であるシャッターカーテン1の下側に図1で示す障害物34が存在している場合には、シャッターカーテン1の閉じ移動の途中において、このシャッターカーテン1の閉じ側の先端部に配置されているカーテン副部71Bが、言い換えると、シャッターカーテン1の座板1Bの下側部分を形成している図4の可動部70Bが障害物34に当接することになり、この可動部70Bの下降が停止する。
可動部70Bの下降が停止しても、カーテン本体1Aと、座板1Bのうち、図4の固定部70Aとで構成される前述のカーテン主部71Aは、図4の状態から下降するため、この下降で生ずるカーテン主部71Aに対するカーテン副部71B(可動部70B)の相対的な上昇により、図6に示されているように、固定部70Aの内部に配置されている揺動部材81が支点軸80を中心に上向きに揺動する。これにより、揺動部材81に設けられている押圧部材54により、前述した機械式結合装置55を構成している係合部材50は、図5のN方向に回転することで図7の状態を経て図8の状態となり、係合部材50の係合部53は回転部材35の歯部35Aに係合する。
これにより、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに図5のS方向へ回転していた回転部材35及び巻取りリール37は、このS方向に回転できなくなり、シャッターカーテン1と、巻取りリール37から繰り出されていたロック用ワイヤー36とが、回転部材35と係合部材50を構成要素とする機械式結合装置55によって結合されたことになる。このため、ロック用ワイヤー36には、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部70Bを除く重量、すなわち、カーテン主部71Aの重量による下向きの緊張力が作用する。
閉じ移動しているシャッターカーテン1が上述のように障害物34に当接して、ロック用ワイヤー36に、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部70Bを除く重量による下向きの緊張力が作用した後に、障害物34がへこみ変形すると、機械式結合装置55でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー36は、このへこみ変形分だけ下方へ引っ張られることになる。
また、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものであっても、揺動部材81の押圧部材54により係合部材50が図5のN方向に回動すると、図8に示されているように、この係合部材50に係合部53として2個設けられている第1係合部53Aと第2係合部53Bのうち、初めに第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合し、次いで第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合する。これらの係合のうち、少なくとも第1係合部53Aの歯部35Aへの係合は、図5に示されているように、係合部材50に、この係合部材50の長さ方向に離れて係合部材側当接部59として2個設けられている第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bのうち、係合部材50の回動中心軸となっている軸56から遠い箇所にある第1係合部材側当接部59Aが、シャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54により押し上げられることにより行われる。
なお、第1係合部53Aと第2係合部53Bとの間隔寸法は、回転部材35の歯部35A同士の間隔寸法(歯ピッチ)と同じ寸法もしくは略同じ寸法、又は歯部35A同士の間隔寸法の2以上の整数倍の寸法もしくは略整数倍の寸法となっている。このため、第1係合部53Aが歯部35Aに係合したときには、第2係合部53Bも歯部35Aに係合するようになっている。
図9には、上述のように第1係合部53Aと第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合したときの図8の一部拡大図が示されている。本実施形態では、第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合して、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合したときに、又は第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合して、第2係合部53Bも回転部材35の歯部35Aに係合した後に、又は第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合した後であって、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合する前に、図8に示されているように、係合部材50の第2係合部材側当接部59Bが押圧部材54に当接して押し上げられる。すなわち、押圧部材54による係合部材50の係合部材側当接部59の押し上げは、第1係合部材側当接部59Aから第2係合部材側当接部59Bへと移行して行われ、2段階でこの押し上げが行われることになる。
このため、図9において、係合部材50のN方向への回動は継続され、これにより、係合部材50の第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aとの係合から外れても、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aとの係合を継続し、この第2係合部53Bが回転部材35をT方向へ回転させる。このT方向への回転は、巻取りリール37がロック用ワイヤー36を巻き取る方向への回転である。
そして、このようにして第2係合部53Bが回転部材35をT方向へ回転させることは、係合部材50の回動中心となっている図5の軸56からの距離が第1係合部材側当接部59Aよりも短い第2係合部材側当接部59Bが押圧部材54によって押し上げられることにより行われるため、第2係合部53Bによる回転部材35のT方向へ回転量は大きくなる。したがって、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときのカーテン主部71Aに対するカーテン副部71Bの相対的上昇量が一定量となっていても、障害物34がへこみ変形した場合と同様に、ロック用ワイヤー36の下方への引っ張り量を充分に確保することができる。
このため、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものである場合にも、機械式結合装置55でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー36を、障害物34がへこみ変形したときのように、充分に下方へ引っ張ることができる。
なお、本実施形態では、係合部材50に設けた係合部53の個数を2個としたが、この個数を3個以上としてもよい。
また、シャッターカーテン1が障害物34に当接すると、前述したようにシャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54により係合部材50の第1係合部材側当接部59Aが押し上げられ、これにより、図5の軸56を中心にN方向に回動する係合部材50の第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合しようとするが、係合部材50の回動タイミングや回転部材35の回転タイミングにより、図7に示されているように、第1係合部53Aの先端と歯部35Aの先端とが当接してしまい、これにより、係合部材50と回転部材35が突き当て状態となって、これらの係合部材50と回転部材35がいわばデッドロック状態になるおそれがある。
しかし、本実施形態では、前述したようにシャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54は板ばねで形成されているため、このシャッターカーテン側当接部58は弾性変形可能である。このため、第1係合部53Aの先端と歯部35Aの先端とが当接して係合部材50と回転部材35が突き当て状態となる場合には、この突き当てにより係合部材50に作用する反力の荷重により、シャッターカーテン側当接部58が弾性変形することで、係合部材50は図5のM方向へ弾性的に少し戻り回動してからN方向へ回動することになり、言い換えると、係合部材50は回転部材35に対して少し後退回動してから前進回動することになり、これにより、係合部材50の第1係合部53Aが、回転を継続している回転部材35の歯部35Aに係合することになる。
このため、本実施形態によると、係合部材50の第1係合部53Aの先端と回転部材35の歯部35Aの先端とが当接して係合部材50と回転部材35が突き当て状態となることを回避することができ、この突き当て状態が生じたときに係合部材50等に発生する過大な荷重をなくすことができる。
なお、このような突き当て状態が発生することを回避するために、係合部材50の第1係合部材側当接部59Aを板ばね等による弾性部材で形成し、係合部材50の第1係合部53Aの先端と回転部材35の歯部35Aの先端とが当接して係合部材50と回転部材35が突き当て状態となったときに、この弾性部材の弾性変形により、係合部材50を図5のM方向へ弾性的に少し戻り回動させてからN方向へ回動させるようにしてもよい。
前述したように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接してロック用ワイヤー36が下方へ引っ張られると、図10で示した中継装置38の回動部材42が回動することにより、この回動部材42に一方の端部が連結されている第1制御用ワイヤー111に、ロック用ワイヤー36と同様に緊張力が作用し、この第1制御用ワイヤー111は引っ張られることになる。
なお、本実施形態のロック用ワイヤー36は中継装置38の回動部材42に直接連結されておらず、これらのロック用ワイヤー36と回動部材42との間には衝撃荷重緩衝用弾性部材となっているばね43が介設されているため、ロック用ワイヤー36が急激に下方へ引っ張られても、この引っ張り力を緩和させて回動部材42に伝達できる。
そして、上述のように第1制御用ワイヤー111が引っ張られると、この第1制御用ワイヤー111の他方の端部は、前述したように図15(A)の状態になっている中間装置200の構成部材である第1揺動部材201に連結されているため、この第1揺動部材201は、図13(A)のC方向へ揺動する。そして、この揺動により、第1揺動部材201の回転部材204は、第2揺動部材202の円弧部205を押圧するため、第2揺動部材202は、中心軸202Aを中心に図13(A)のW方向に揺動する。これにより、第2揺動部材202の回転部材207は、この回転部材207を受けた第2スライド部材210の受け部210Aを後方へ押圧し、この第2スライド部材210は後退する。この状態が図16(A)に示されている。
第2スライド部材210が後退すると、第2スライド部材210は、段差面210Bによって第1スライド部材120の連結部材138の連結部138Aを後方へ押圧することになり、このため、第1スライド部材120も後退し、この後退により、前述のブレーキ装置19はオフからオンに切り替わる。このため、閉じ移動中に図1の障害物34に当接したシャッターカーテン1は、閉じ移動を停止する。このときの自動閉鎖装置32の状態が図16(B)に示されており、このときの第1スライド部材120の前端の位置は、図12及び図13で示すJ位置である。
また、上述したように第1制御用ワイヤー111が引っ張られることにより、後退する第2スライド部材210の段差面210Bが第1スライド部材120の連結部材138の連結部138Aを後方へ押圧することにより、第1スライド部材120が後退するため、段差面210Bは、第1スライド部材120を押圧するための第2スライド部材210の押圧部になっており、連結部138Aは、第2スライド部材210からの押圧力を受けるための第1スライド部材120の被押圧部となっている。
また、以上の作動において、第2スライド部材210が後退すると、この第2スライド部材210の前述した歯部210Cに小径歯車部230Aが噛合している歯車230は、図13(A)のG方向に回転し、このときには、遅延装置300のピニオンギア300BはE方向に回転するが、このE方向にピニオンギア300Bが回転したときには、前述したように、遅延装置300のワンウエイクラッチの切断作用が機能するため、ピニオンギア300BはE方向へ高速で回転し、歯車230もG方向へ高速で回転することができる。言い換えると、このときの遅延装置300には遅延作用が生じない。
また、上述のように第1制御用ワイヤー111が引っ張られることにより、第1揺動部材201が図13(A)のC方向へ揺動して第2揺動部材202がW方向へ揺動したときに、この揺動角度が所定角度に達すると、第2揺動部材202に形成されていて、第1揺動部材201の回転部材204が当接している円弧部205は、図16(A)に示されているように、第1揺動部材201の揺動中心軸201Aを中心とする円弧形状のものとなる。このため、第1揺動部材201がC方向へ上述の所定角度以上に揺動しても、この揺動は第2揺動部材202に伝達されず、第1揺動部材201の全体の揺動量が、第2揺動部材202に伝達されることはない。
すなわち、本実施形態では、図9等で説明したように、前述の障害物34がへこみ変形しない又はへこみ変形が小さい硬質のものである場合のことを考慮して係合部材50に第1及び第2係合部53A,53Bを設け、これらの係合部53A,53Bの作用により第1制御用ワイヤー111が引っ張られる長さを長くしていても、第1揺動部材201の全体の揺動量のうちの一部だけが第2揺動部材202に伝達されることになる。そして、円弧部205が、図16(A)に示されているように、第1揺動部材201の揺動中心軸201Aを中心とする円弧形状のものとなった以後の第1揺動部材201は、いわば空振りの揺動を行うことになり、この空振りの揺動を第1揺動部材201が行っているときの第2揺動部材202は停止している。このときの状態が図17(A)に示されている。
このため、第1制御用ワイヤー111が引っ張られる長さが長くなっていて、第1揺動部材201の揺動量が大きくなっていても、第1スライド部材120が後退する距離は長くならず、これにより、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、第1スライド部材120が後退する位置は、この第1スライド部材120の前端が、図16(B)及び図17(B)に示されているように、図12及び図13(B)で示した3個の位置I,J,Hのうち、J位置に達する位置となる。このJ位置は、初期位置であるH位置よりも前側の位置であって、ブレーキ装置19を第1スライド部材120により機械的にオフからオンに切り替えることができる位置であるとともに、図13(B)で示されている屈曲レバー部材129のローラ130が、図15(B)と同様に、第1スライド部材120の凹部120Bから脱出している状態を維持している位置である。このようにローラ130が凹部120Bから脱出している状態を維持していることは、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときを示している図16(B)及び図17(B)に示されている。
以上の説明から分かるように、火災等の発生によりシャッターカーテン1が閉じ移動を開始した後に、火災等を原因として、あるいは、他の理由を原因として、本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物が停電になっても、シャッターカーテン1が閉じ移動中に障害物34に当接したときには、自動閉鎖装置32の第1スライド部材120が開閉機13のブレーキ装置19をオフからオンに切り替えることにより、このシャッターカーテン1を電気を用いることなく機械的に停止させることができる。
上述したように、前述のブレーキ装置19がオフからオンに切り替わり、これにより、閉じ移動中のシャッターカーテン1が停止した後に、障害物34が除去されると、シャッターカーテン1のカーテン副部71Bが下降するため、機械式結合装置55によるシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36との結合は解除される。これにより、ロック用ワイヤー36及び第1制御用ワイヤー111に作用していた緊張力は消滅するため、第1揺動部材201は、図13(A)のばね206によりB方向の揺動を行う。
また、第1スライド部材120はばね121のばね力により前進し、これにより、第1スライド部材120の連結部138Aで段差面210Bが前方へ押圧される第2スライド部材210も前進し、この第2スライド部材210の受け部210Aで回転部材207が押圧される第2揺動部材202は、図13(A)のW方向とは逆方向へ揺動する。
そして、ばね121のばね力で前進した第1スライド部材120は、前端の位置が図16(B)及び図17(B)のJ位置から図12及び図13(B)で示すI位置へ移行する前進を行う。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オンからオフへ機械的に再度切り替られ、シャッターカーテン1は閉じ移動を再開することになる。
また、このときに、第2スライド部材210が前進することにより、この第2スライド部材210の歯部210Cが小径歯車部230Aに噛合している歯車230が図13(A)のF方向へ回転して遅延装置300のピニオンギア300BはD方向へ回転し、このピニオンギア300BのD方向へ回転については、前述したように、ロータリ式ダンパーとなっている遅延装置300には、粘性流体による抵抗力が生ずることになる。このため、第1スライド部材120の前端の位置が、図16(B)及び図17(B)のJ位置から図12及び図13(B)のI位置へ移行すること、及びこの移行により開閉機13のブレーキ装置19がオンからオフへ切り替られることは、遅延装置300の遅延作用のために瞬時に行われず、この切替時期は遅延することになる。したがって、障害物34の除去によりシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することは、障害物34の除去から時間遅れをもって開始されることになり、このため、障害物34の除去作業を時間的余裕をもって行うことができる。
以上において、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに第1スライド部材120が後退する距離が、この第1スライド部材120の前端がJ位置よりも後側の位置となる長い距離である場合には、屈曲レバー部材129のローラ130は、第1スライド部材120の凹部120Bに嵌合してしまうことになる。このような事態が生じた場合には、閉じ移動中のシャッターカーテン1が当接した障害物34の除去が行われても、言い換えると、ロック用ワイヤー36及び第1制御用ワイヤー111に作用していた緊張力が消滅しても、ローラ130のストッパー作用により、第1スライド部材120は、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替えることできるI位置まで前端が達する前進を行うことができない。
すなわち、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替える切替部材となっている自動閉鎖装置32の第1スライド部材120の作動可能範囲には、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替え不能となる範囲が存在していることになる。
しかし、本実施形態によると、前述から明らかなように、第1制御用ワイヤー111の側の第1伝達部材となっている第1揺動部材201の端部は回転部材204となっているとともに、自動閉鎖装置32の側の第2伝達部材となっている第2揺動部材202には、この回転部材204が当接する円弧部205が設けられ、この円弧部205は、第1揺動部材201の揺動が伝達される第2揺動部材202の揺動角度が所定角度になったときに、第1揺動部材201の揺動中心軸201Aを中心とする円弧形状のものとなるため、円弧部205がこの円弧形状のものとなった以後は、この円弧形状のために、第2揺動部材202は上述の所定角度以上には揺動せず、したがって、第1及び第2スライド部材120,210は後退しないことになる。したがって、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに第1スライド部材120が後退する距離は、この第1スライド部材120の前端がJ位置よりも後側の位置となる長い距離とはならない。このため、第1スライド部材120を、前端の位置がJ位置となる後退距離で停止させることができ、これにより、閉じ移動中のシャッターカーテン1が当接した障害物34が除去された後に、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替えることが可能となる。
すなわち、本実施形態では、第2揺動部材202の揺動角度が所定角度になったときとは、第1スライド部材120の前端の位置が、図16(B)及び図17(B)で示されているJ位置となったときであり、そして、第1揺動部材201の全体の揺動量のうちの一部が、自動閉鎖装置32の切替部材となっている第1スライド部材120を後退させるための揺動量として第2揺動部材202に伝達されることになり、この第2揺動部材202に第1揺動部材201から伝達される揺動量のなかに、第1スライド部材120によりブレーキ装置19をオンからオフに切り替え不能となる前記範囲が含まれていないことになる。
また、本実施形態によると、第1揺動部材201の揺動は第2揺動部材202に直接伝達されるとともに、この伝達は、第1揺動部材201に設けた回転部材204が回転しながら第2揺動部材202の円弧部205を押圧することにより行われるため、第1揺動部材201から第2揺動部材202への揺動の伝達を摩擦力の発生を抑制して円滑に行わせることができる。
また、第2揺動部材202の揺動により第2スライド部材210を後退させることは、第2揺動部材202の回転部材207が回転しながら第2スライド部材210の受け部210Aを押圧することにより行われるため、回転部材207と受け部210Aとの間でも、摩擦力の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、図13(A)に示されているように、第1揺動部材201の回転部材204は、第1揺動部材201の揺動によって始まる第2揺動部材202の揺動開始時から第1揺動部材201の円弧部205と接触しており、このため、回転部材204が接触する第1揺動部材201の部分は、円弧部205だけとなっている。このため、本実施形態によると、第2揺動部材202の製作作業、加工作業を容易に行えることになる。
以上の説明は、本実施形態に係るシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となっているときのことであった。このシャッター装置が前述の管理用シャッター装置となっているときに、すなわち、シャッターカーテン1が前述の操作装置30の操作で閉じ移動しているときに、シャッターカーテン1が障害物34に当接したときにも、第1制御用ワイヤー111には緊張力や引っ張り力が作用するため、中間装置200の第1揺動部材201は図13(A)のC方向へ揺動し、この揺動により、第2揺動部材202はW方向へ揺動するが、このときの第1スライド部材120は、前端の位置がH位置となっている後退限まで後退しているため、図13(A)に示されているように、第2揺動部材202の回転部材207と第2スライド部材210の受け部210Aとの間には大きな間隔があり、このため、第2揺動部材202がW方向の揺動は、第2スライド部材210に影響を与えない。
言い換えると、本実施形態に係るシャッター装置が管理用シャッター装置となっているときに、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接しても、第1スライド部材120が構成部材となっている自動閉鎖装置32が作動することはなく、この自動閉鎖装置32は、図13(B)で示されている状態を維持する。
そして、本実施形態では、シャッター装置が管理用シャッター装置となっているときに、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物に当接して第1制御用ワイヤー111の緊張力や引っ張り力により、第1揺動部材201がC方向へ揺動すると、前述の第2電気スイッチ220のアクチュエータ221は、第1揺動部材201の回転部材204から外れる作動を行うため、この第2電気スイッチ220からの信号で図1の制御装置26が開閉機13の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを電気的に駆動制御することにより、シャッターカーテン1は、障害物に当接した位置から所定高さ位置まで開き移動して停止する反転上昇を行う。すなわち、管理用シャッター装置のシャッターカーテン1は、障害物への当接後に、この障害物から離れた高さ位置まで開き移動して停止する。
なお、前述したように、シャッターカーテン1が全開位置又は開閉移動方向途中位置で停止しているときに、火災等の災害が発生すると、第1スライド部材120が前進し、これにより、第2スライド部材210も前進して歯車230がF方向に回転し、このため、前述の遅延装置300の遅延作用により、第1及び第2スライド部材120,210の前進速度が低速となり、ブレーキ装置19がオンからオフに切り替えられる切替時期が遅延されるため、閉じ移動するシャッターカーテン1の下側に存在している人等に避難する時間的余裕を与えることができる。
本発明は、シャッターカーテンが開閉体となっている管理及び防災併用等の各種シャッター装置や、オーニング装置、さらには、防煙垂れ幕装置等の各種の開閉装置に利用することができる。
1 開閉体であるシャッターカーテン
13 開閉機
18 電動モータ装置
19 ブレーキ装置
32 自動閉鎖装置
34 障害物
36 紐状部材であるロック用ワイヤー
55 機械式結合装置
100 複合装置
110 機枠
111 紐状部材である第1制御用ワイヤー
120 切替部材である第1スライド部材
200 中間装置
201 第1伝達部材である第1揺動部材
204 回転部材
205 円弧部
202 第2伝達部材である第2揺動動部材
210 第2スライド部材
230 歯車
300 遅延装置

Claims (7)

  1. 開閉移動自在な開閉体に配置され、閉じ移動中のこの開閉体が障害物に当接することにより前記開閉体と紐状部材とを機械的に結合してこの紐状部材に緊張力を作用させる機械式結合装置と、オン、オフすることにより前記開閉体の閉じ移動を停止、移動可能とさせるためのブレーキ装置と、前記紐状部材に前記緊張力が作用したときに前記ブレーキ装置をオフからオンに切り替えるための自動閉鎖装置と、を有し、
    前記自動閉鎖装置に、前記ブレーキ装置のオン、オフを切り替えるために作動する切替部材が設けられ、前記紐状部材の前記緊張力が作用するこの切替部材の作動可能範囲に、前記ブレーキ装置をオンからオフに切り替え不能となる範囲が存在している開閉装置の開閉体停止装置において、
    前記紐状部材と前記自動閉鎖装置との間に中間装置が配置され、この中間装置は、前記紐状部材の側の部材となっている第1伝達部材と、前記緊張力に基づく前記第1伝達部材の作動力が伝達され、前記自動閉鎖装置の側の部材となっている第2伝達部材とを含んで構成され、前記第1伝達部材の全体の作動量のうちの一部が、前記切替部材を作動させるための作動量として前記第2伝達部材に伝達され、この第2伝達部材に前記第1伝達部材から伝達される作動量が、前記切替部材により前記ブレーキ装置をオンからオフに切り替え可能の作動量となっており、
    前記第1伝達部材から前記第2伝達部材に前記第1伝達部材の作動力が直接伝達されるとともに、前記第1伝達部材と前記第2伝達部材の両方が揺動中心軸を中心に揺動自在な揺動部材となっており、
    前記第2伝達部材である第2揺動部材には、前記第1伝達部材である第1揺動部材の揺動により前記第2揺動部材が所定角度まで揺動したときに前記第1揺動部材の前記揺動中心軸を中心とする円弧形状となる円弧部が形成されており、この円弧部により、前記第2揺動部材は前記第1揺動部材の揺動によって前記所定角度以上に揺動しないことを特徴する開閉装置の開閉体停止装置。
  2. 請求項1に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記中間装置は、前記紐状部材と前記自動閉鎖装置とを直接接続するための接続装置になっていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
  3. 請求項1又は2に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記第1伝達部材の端部は、この第1揺動部材の揺動によって始まる前記第2揺動部材の揺動開始時から前記円弧部と接触していることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記第2揺動部材と接触する前記第1揺動部材の端部は回転自在な回転部材となっていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記自動閉鎖装置と前記中間装置のうち、少なくとも一方には、前記自動閉鎖装置の前記切替部材が前記ブレーキ装置をオンからオフに切り替える切替時期を遅延させるための遅延装置が接続されていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記自動閉鎖装置が配置されている機枠と前記中間装置が配置されている機枠は同じ機枠であり、この機枠において前記自動閉鎖装置と前記中間装置が互いに隣接配置されていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
  7. 請求項6に記載の開閉装置の開閉体停止装置において、前記機枠には、前記自動閉鎖装置の前記切替部材が前記ブレーキ装置をオンからオフに切り替える切替時期を遅延させるための遅延装置が配置されていることを特徴とする開閉装置の開閉体停止装置。
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