以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置である。また、本実施形態に係るシャッター装置は、管理及び防災の併用シャッター装置である。すなわち、本実施形態に係るシャッター装置は、防煙等の防災機能を有しているシャッターカーテンが火災等の異常事態の発生時に閉じ移動することにより、全閉となったこのシャッターカーテンによって建物等の構造物内に防災区画を形成するための防災用シャッター装置としての機能と、シャッターカーテンにより出入口等の開口部を開閉するために、シャッターカーテンが操作装置の操作により開き移動、閉じ移動、移動停止を行う管理用シャッター装置としての機能と、を有している。
図1には本実施形態に係るシャッター装置の全体が示されており、この図1は、開閉移動方向が上下方向になっていて、下向きに閉じ移動するシャッターカーテン1が半分程度まで閉じた半閉状態になっているときを示している。シャッターカーテン1で開閉される開口部は、建物に形成された出入口2であり、この出入口2は、壁等の左右の建物躯体3と、全閉となったときのシャッターカーテン1の下端部が当たる相手部材となっている床4と、天井部材5とで囲まれている。左右の建物躯体3には、シャッターカーテン1の左右方向の両端部、言い換えると、シャッターカーテン1の幅方向の両端部がスライド自在に挿入された左右一対のガイドレール6が取り付けられており、ガイド部材となっているこれらのガイドレール6に案内されてシャッターカーテン1は上下に開閉移動する。
出入口2に対して天井部材5で仕切られている天井裏空間7には、シャッターボックス8が配置されており、このシャッターボックス8は、図1のS2−S2線断面図である図2に示されているように、天井裏空間7に存在する下がり壁等の建物躯体9にボルト等の結合具10で結合されている。シャッターボックス8の内部には巻取軸11が水平に収納配置され、この巻取軸11は、シャッターボックス8の図1で示されている左右の側面部8A,8Bに回転自在に支持されている。また、図1に示されているように、巻取軸11の一方の端部には、スプロケットホイールとローラチェーンによる駆動力伝達手段12を介して開閉機13が接続されている。巻取軸11を駆動させるための駆動装置となっているこの開閉機13は図2でも示されており、開閉機13の駆動軸14の回転力は、この駆動軸14に取り付けられた駆動スプロケットホイール12Aと、巻取軸11の上記一方の端部に取り付けられた被動スプロケットホイール12Bと、これらのスプロケットホイール12A、12Bの間に架け渡された無端ローラチェーン12Cとによる駆動力伝達手段12を経て巻取軸11に伝達される。
なお、本実施形態の開閉機13は、図2に示されているように、シャッターボックス8の左右の側面部8A,8Bのうち、一方の側面部8Bに結合されたブラケット部材15に取り付けられている。
図2から分かるように、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻回されているとともに、シャッターカーテン1の上端は巻取軸11の外周面に結合されている。また、シャッターカーテン1における巻取軸11より下側の部分は、天井部材5に配置されているまぐさ16に設けられたスリット17を通って天井部材5の下側へ垂下され、さらに、シャッターカーテン1の幅方向の両端部は、前述のように左右のガイドレール6にスライド自在に挿入されている。まぐさ16は、互いに対向配置されたまぐさ部材16A,16Bにより形成され、これらのまぐさ部材16A,16Bの間がスリット17となっている。
図3は、開閉機13の内部構造を示す断面図である。この図3に示されているように、開閉機13は、直流又は交流の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを軸方向に並設したものであり、上述の駆動軸14は、電動モータ装置18の回転する回転子18Aの中心に配置された回転軸となっている。この駆動軸14におけるブレーキ装置19側の端部には、円盤状の第1ブレーキ部材20が結合されている。ブレーキ装置19には、軸方向に一定距離だけスライド自在となっているブレーキ軸21が設けられ、このブレーキ軸21には、第1ブレーキ部材20と軸方向に対面する第2ブレーキ部材22が結合されている。通常時のブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、ばね23で電動モータ装置18側へ押圧されており、このため、第1ブレーキ部材20と第2ブレーキ部材22との圧接によりブレーキ装置19はオンとなっている。したがって、このときの電動モータ装置18の駆動軸14は、ブレーキ装置19の制動力によって回転しない。
一方、ブレーキ装置19に配置されているソレノイド24に通電されたときには、このソレノイド24の磁力により、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22はばね23に対抗して電動モータ装置18から離れる方向へスライドする。このため、第1ブレーキ部材20と第2ブレーキ部材22との圧接が解除され、ブレーキ装置19はオフとなる。したがって、このときには、電動モータ装置18の駆動軸14は、コイル25への通電により回転できることになる。
このようにソレノイド24への通電によリ、ブレーキ装置19はオフとなり、この通電を停止すると、ブレーキ装置19はオンとなるため、このブレーキ装置19は電気的にオン、オフするブレーキ装置となっている。
本実施形態では、図1に示されているように、開閉機13に、リレー回路等の電気回路又はコンピュータによる制御装置26が取り付けられており、この制御装置26は、開閉機13の電動モータ装置18及びブレーキ装置19を電気的に制御するものである。なお、制御装置26は、開閉機13とは別の部材や手段、装置等に取り付けてもよく、その配置箇所は任意である。
図1で示した左右の建物躯体3A,3Bのうち、一方の建物躯体3Aには、シャッターカーテン1を出入口2に対して上向きに開き移動させることと、下向きに閉じ移動させることと、移動停止させることとを行わせるための操作装置30が取り付けられている。この操作装置30には、「開」ボタンと、「閉」ボタンと、「停」ボタンとが設けられている。また、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の大部分の面積を占めていて、上端が巻取軸11に結合されているカーテン本体1Aと、このカーテン本体1Aの下端部に設けられた座板1Bとを有するものとなっている。本実施形態のカーテン本体1Aは、多数のスラットを上下に連設することによって形成されている。
カーテン本体1Aは、本実施形態における開閉体本体となっており、座板1Bは、本実施形態におけるエンド部材となっている。
座板1Bが前述の天井部材5に配置されたまぐさ16の高さ位置に達しているシャッターカーテン1の全開時に、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半閉状態(半開状態)のときに、操作装置30の「閉」ボタンを操作すると、この「閉」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフとなる。これにより、シャッターカーテン1は、シャッターカーテン1の自重により巻取軸11及び駆動軸14を正回転させて巻取軸11から下向きに繰り出され、これにより閉じ移動したシャッターカーテン1が全閉位置に達すると、この全閉位置を検知した図示しないセンサからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19はばね23でオンに復帰する。また、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、又は、座板1Bが図1に示すようにまぐさ16と床4との間の途中位置に達しているシャッターカーテン1の半開状態(半閉状態)のときに、「開」ボタンを操作すると、この「開」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ブレーキ装置19のソレノイド24に通電されるため、ブレーキ装置19がオフになるとともに、制御装置26の制御により電動モータ装置18のコイル25に通電される。このため、駆動軸14は逆回転し、この回転は前述の駆動力伝達手段12を介して巻取軸11に伝達され、巻取軸11の逆回転により、シャッターカーテン1は巻取軸11に巻き取られて開き移動する。シャッターカーテン1が全開位置に達すると、この全開位置を検知した図示しないセンサからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断され、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置26の制御によりコイル25への通電が遮断される。
また、シャッターカーテン1が閉じ移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰することにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。さらに、シャッターカーテン1が開き移動している途中で「停」ボタンを操作すると、この「停」ボタンからの信号が入力する制御装置26の制御により、ソレノイド24への通電は遮断されるため、ブレーキ装置19がばね23でオンに復帰するとともに、制御装置26の制御により電動モータ装置18のコイル25への通電が遮断され、これにより、シャッターカーテン1はその位置で停止する。
なお、ばね23の代わりに永久磁石を用い、この永久磁石の磁力により、第1ブレーキ部材20と第2ブレーキ部材22とを圧接させてブレーキ装置19をオンとさせるようにしてもよい。
以上の説明から分かるように、開閉移動するシャッターカーテン1に対して、前述の床4やガイドレール6、シャッターボックス8、このシャッターボックス8に結合されたブラケット部材15、さらには、まぐさ16等は不動となっているため、これらの床4、ガイドレール6、シャッターボックス8、ブラケット部材15、まぐさ16等は、シャッターカーテン1に対する不動部材となっている。
なお、シャッターカーテン1の下向きの閉じ移動をシャッターカーテン1の自重だけで行わせるのではなく、この自重と、電気モータ装置18の駆動による駆動軸14の正回転とにより、シャッターカーテン1を閉じ移動させるようにしてもよい。
また、前述のように正逆回転自在となっている巻取軸11に、シャッターカーテン1の閉じ移動中に戻し力が蓄圧されるねじりコイルばねやぜんまいばねによる戻しばねを設けておき、シャッターカーテン1の上向きの開き移動を、この戻しばねに蓄圧された戻し力を補助力として利用して行うようにしてもよい。
本実施形態では、図3に示されているとおり、ブレーキ軸21における電動モータ装置18側とは反対側の端部にはレバー部材31が配置されている。このレバー部材31はブレーキ軸21を貫通したものであって、ブレーキ軸21を境界として区分される第1部分31Aと第2部分31Bとからなる。第1部分31Aには第1屈曲部31Cが形成され、第2部分31Bには第2屈曲部31Dが形成されている。第1部分31AにA方向、すなわち、電動モータ装置18側とは反対側への荷重が作用したときには、第1部分31Aが第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動するため、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドする。このため、ソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
このため、ブレーキ装置19は、第1部分31AへのA方向の荷重の作用と、この荷重が解除されたときのばね23とにより、オン、オフする機械式のブレーキ装置にもなっている。
なお、第1部分31AにA方向への荷重が作用することは、開閉機13に取り付けられている後述の自動閉鎖装置32によって行われる。この自動閉鎖装置32は、後述の説明で分かるように、シャッターカーテン1の駆動装置となっている開閉機13のブレーキ装置19を機械式に制御するための機械式制御装置である。
また、第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重が作用したときには、第2部分31Bが第1屈曲部31Cを支点としてA方向と同じ方向へ揺動するため、この場合にも、ブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A’方向へスライドする。このため、このときにもソレノイド24に通電しなくても、ブレーキ装置19をオフとすることができる。
このように第2部分31BにA方向と同じ方向の荷重を作用させることは、手作業により行うことができる。このため、この実施形態に係る開閉機13は、手操作によってもブレーキ装置19をオフにすることができるようになっている。なお、第2部分31Bは、第2屈曲部31Dを残して省略してもよい。
図4は、図1で示されているシャッターカーテン1の座板1Bの部分の構造を示す図1のS4−S4線断面図である。本実施形態のシャッターカーテン1は、前述したようにカーテン本体1Aと座板1Bとを有し、座板1Bは、固定部70Aと可動部70Bとからなる。また、シャッターカーテン1は、カーテン主部71Aと、カーテン副部71Bとを有し、カーテン主部71Aは、カーテン本体1Aと、座板1Bのうちの固定部70Aとによって構成されており、カーテン副部71Bは、座板1Bのうちの可動部70Bによって構成されている。したがって、このカーテン副部71Bは、シャッターカーテン1の閉じ側の端部に配置されている。そして、カーテン主部71Aは、本実施形態における開閉体主部となっており、カーテン副部71Bは、本実施形態における開閉体副部となっている。
また、図4に示されているように座板1Bのうち、カーテン本体1Aと結合されている固定部70Aは、共に断面箱型となった内外の部材75,76で形成され、この固定部70Aに対して可動部70Bは上下動自在となっている。図4から分かるように、固定部70Aを形成している内外の部材75,76の下面は開口部78となっており、この開口部78から可動部70Bの立上り部79の上端が固定部70Aの内部空間に挿入されている。立上り部79の上端には、シャッターカーテン1の厚さ方向外側へ延出する延出部79A,79Bが形成され、これらの延出部79A,79Bが、固定部70Aの内部材76の下端に形成された突片部76A,76Bの上面に乗ることにより、固定部70Aに対する可動部70Bの下側への移動限が規定される。
固定部70Aの内部には、シャッターカーテン1の幅方向に延びる支点軸80を中心に上下揺動自在となった揺動部材81が収納されている。この揺動部材81は、図6で示されているように、可動部70Bが固定部70Aに対して上昇したときには、すなわち、閉じ移動中のシャッターカーテン1が図1で示した障害物34等に当接したときには、可動部70Bの立上り部79の延出部79Aが揺動部材81を押し上げることにより、揺動部材81は支点軸80を中心に上向きに揺動する。
図4に示されているように、座板1Bの固定部70Aには、図1にも示されているケース33が取り付けられており、このケース33の内部は図5にも示されている。ケース33の内部には、外周部に多数の歯部35Aが円周方向に形成された歯車となっている回転部材35と、巻取りリール37とが、ケース33に固定された固定軸となっている軸41を中心に回転自在に収納され、これらの回転部材35と巻取りリール37は結合一体化されている。また、巻取りリール37には、紐状部材となっているロック用ワイヤー36の下端が結合され、前述のまぐさ16の部分から下方へ延びているこのロック用ワイヤー36の下側部分は巻取りリール37に巻き取られているとともに、上側部分は、ケース33の上面に形成されている孔33Aから上方へ延びている。そして、ロック用ワイヤー36の上端は、図10に示されている中継装置38の回動部材42にばね43を介して連結されている。
なお、ケース33の内部に1個又は複数個のガイドローラを回転自在に収納し、このガイドローラで案内させてロック用ワイヤー36を巻取りリール37へ導くようにしてもよい。
中継装置38は、図1及び図2に示されているように、前述のまぐさ16に設置されている。このため、ロック用ワイヤー36は、巻取りリール37が配置されたシャッターカーテン1と、開閉移動するシャッターカーテン1に対して不動部材となっているまぐさ16との間に架け渡された架け渡し部材となっており、また、巻取りリール37に巻取り可能となっているロック用ワイヤー36は、可撓性を有する紐状部材にもなっている。そして、シャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときには、図5の軸41を中心にS方向に回転する巻取りリール37からロック用ワイヤー36が繰り出されながらシャッターカーテン1が閉じ移動することになる。
図4に示されているように、巻取りリール37の内部には空間部37Aが形成されており、この空間部37Aに、図5では一部が省略されて示されている戻しばね39が収納され、回転部材35と巻取りリール37との回転中心軸である軸41の外周に巻回状態となっているこの戻しばね39はぜんまいばねであり、戻しばね39の一方の端部はケース33側の部材となっている軸41に結合され、他方の端部は回転部材35と一体化されている巻取りリール37に連結されている。このため、回転部材35及び巻取りリール37がS方向に回転してシャッターカーテン1が下方へ閉じ移動するときに、戻しばね39には、ロック用ワイヤー36を繰り出すために回転する巻取りリール37によって蓄圧力が蓄圧され、シャッターカーテン1が上方へ開き移動するときに、戻しばね39に蓄圧された蓄圧力によって巻取りリール37がS方向とは逆のT方向に回転することにより、ロック用ワイヤー36は巻取りリール37に巻き取られるようになっている。
このため、本実施形態では、巻取りリール37と戻しばね39により、ロック用ワイヤー36を繰り出し自在に巻き取るための巻取装置40が構成されている。
本実施形態では、ぜんまいばねによる戻しばね39は、巻取りリール37の内部に形成された空間部37Aに収納されているため、ケース33についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法が小さくても、図4から分かるように巻取りリール37についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法を充分に大きくすることができ、これにより、巻取りリール37によるロック用ワイヤー36の巻取り長さが充分に長くなり、シャッターカーテン1の開閉移動距離が長いシャッター装置にも対応できるようになっている。
図5に示されているように、ケース33の内部には、このケース33に設けられた軸56を中心に上下方向に回動自在となった係合部材50が収納されている。本実施形態の係合部材50は、歯車となっている回転部材35の歯部35Aに係合可能となっている係合部53を有している第1構成部材51と、この第1構成部材51と結合され、シャッターカーテン1の幅方向への長さを有している第2構成部材52とからなる。このように係合部材50を、それぞれ別部品となっている第1構成部材51と第2構成部材52の組み合わせとすることにより、回転部材35の歯部35Aに係合する係合部53が形成されている第1構成部材51を焼入れ処理等により硬質とすることができ、これにより、係合部材50全体を焼入れ処理等しなくても、係合部53に、回転部材35の歯部35Aと同様に、大きな強度を付与することができる。また、第1構成部材51を第2構成部材52よりも硬質の材料で形成することもでき、これにより、係合部材50全体を高価な硬質の材料で形成する必要がなくなる。
なお、本実施形態では、係合部材50の係合部53として、図5に示されているように、軸56を中心とする係合部材50の回動方向に離れた複数個の係合部が設けられており、図5の実施形態におけるこれらの係合部は、第1係合部53Aと第2係合部53Bになっており、上記複数個の係合部となっているこれらの第1係合部53Aと第2係合部53Bは、係合部材50の回動中心部を中心とする円弧上又は略円弧上に形成されたものとなっている。
また、図4に示されているように、前述した座板1Bの固定部70A(カーテン主部71A)の内部に支点軸80を中心に上下揺動自在となって配置されている揺動部材81には、押圧部材54が取り付けられている。本実施形態の押圧部材54は、U字状又はV字状に折り曲げられた板ばねで形成されたものとなっている。
また、図4から分かるように、係合部材50にはねじりコイルばね57が設けられている。コイル部が軸56の外周に巻回されているこのねじりコイルばね57の一方の端部57Aは、係合部材50に係止され、他方の端部57Bは、ケース33に係止されている。このため、係合部材50は、図5において、ねじりコイルばね57のばね力により軸56を中心にM方向に回動付勢されており、これにより、図5、図7及び図8に示されているように、係合部材50の一部が、シャッターカーテン1に設けられた押圧部材54に、具体的には、シャッターカーテン1のカーテン主部71Aに設けられている支点軸80を中心に上下揺動自在な揺動部材81に配置されている押圧部材54に当接するようになっている。
このため、シャッターカーテン1及び係合部材50には、後述の説明で分かるように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、係合部材50を図5のM方向とは反対方向のN方向に回動させるために互いに当接するシャッターカーテン側当接部58と係合部材側当接部59とが設けられていることになる。そして、シャッターカーテン側当接部58は、押圧部材54によるものであり、係合部材側当接部59は、係合部材50の第2構成部材52において、第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bとして2個存在している。これらの第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bは、シャッターカーテン1の幅方向に離れている。
また、このような第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bを係合部材50に設けることは、図5に示されているように、係合部材50のうち、軸56よりも下側の部分を、具体的には、係合部材50を第1構成部材51と共に形成している第2構成部材52のうち、第1構成部材51と重複している部分を除く部分をL字又は略L字の形状とすることにより、実現することができる。
そして、シャッターカーテン側当接部58は、板ばねで形成された押圧部材54によるものとなっているため、このシャッターカーテン側当接部58は、弾性変形可能な弾性部となっている。
なお、係合部材50を、図5において、軸56を中心にM方向に回動付勢することは、ねじりコイルばね57を用いることなく、軸56を中心とする係合部材50の重量バランスの設定だけで実現してもよい。
閉じ移動中のシャッターカーテン1の座板1Bが図1に示されている障害物34に当接するなどにより、図6に示されているように、シャッターカーテン1の座板1Bの固定部70A(カーテン主部71A)に対して可動部70B(カーテン副部71B)が相対的に上昇したときには、支点軸80を中心に揺動部材81が上向きに揺動するため、押圧部材54により、係合部材50は、図5において、軸56を中心にN方向に回動する。これにより、係合部材50の係合部53は、図7の状態を経て図8に示されているように、回転部材35の歯部35Aに係合し、この係合により、回転部材35と、この回転部材35と結合一体化されている巻取りリール37は、シャッターカーテン1が閉じ方向へ移動しているときの回転方向(図5のS方向)へは回転できなくなり、このため、回転部材35と巻取りリール37はロックされる。
このため、このときには、一部が巻取りリール37に巻き取られているロック用ワイヤー36と、巻取りリール37が配置されているシャッターカーテン1とが機械式に結合されたことになる。したがって、本実施形態では、回転部材35や係合部材50等により、ロック用ワイヤー36とシャッターカーテン1とを機械式に結合するための機械式結合装置55が構成されていることになる。
図10には、図1及び図2で示されている中継装置38の内部構造が示されている。この中継装置38には、前述したように、ロック用ワイヤー36の上端がばね43を介して連結された回動部材42が設けられ、この回動部材42の回動方向は、中継装置38の機枠49に設けられた水平な中心軸42Aを中心とする上下方向である。
図1及び図2に示されているように、開閉機13の上部には自動閉鎖装置32が載置固定されている。図11は、この自動閉鎖装置32の内部構造を示す正面図であり、図12は、自動閉鎖装置32の内部構造を示す平面図である。自動閉鎖装置32は、火災等の災害の発生時において、開閉機13のブレーキ装置19を機械式に制御することにより、全開位置又は開閉方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1を自動的に閉じ移動させて全閉とし、防煙性及び/又は防火性を有しているシャッターカーテン1により図1の出入口2を閉鎖するためのものである。
自動閉鎖装置32は、この自動閉鎖装置32の機枠110に設けられている図11のブラケット部110Aにより、開閉機13の上部に取り付けられている。この状態は図2でも示されている。また、図12に示されているように、自動閉鎖装置32まで、この自動閉鎖装置32を制御するための第1制御用ワイヤー111、第2制御用ワイヤー112、第3制御用ワイヤー113のそれぞれの端部が延伸されている。これらの制御用ワイヤー111〜113は、前述のロック用ワイヤー36と同じく、可撓性を有する紐状部材となっていて、細長部材ともなっている。
また、これらの制御用ワイヤー111〜113は、可撓性を有するアウターケーブル114〜116の内部にスライド自在に挿通されている。このため、制御用ワイヤー111〜113はアウターケーブル114〜116により保護されている。
図1、図2及び図10に示されているように、第1制御用ワイヤー111は自動閉鎖装置32から中継装置38まで延びており、この第1制御用ワイヤー111の端部は、図10に示されているとおり、中継装置38の回動部材42に連結されている。
なお、本実施形態では、図10に示されているように、前述のロック用ワイヤー36と第1制御用ワイヤー111は、中継装置38の回動部材42を介して互いに連結された別部材となっているが、ロック用ワイヤー36を図1及び図2で示した天井裏空間7に回転自在に配置したガイドローラ等のガイド部材に掛け回して自動閉鎖装置32まで延伸できる等の場合には、第1制御用ワイヤー111を省略し、ロック用ワイヤー36を自動閉鎖装置32まで延長してもよい。
次に、自動閉鎖装置32について説明する。
図11及び図12に示されているように、自動閉鎖装置32の機枠110には、互いに対向する2個の立上り部110B,110Cが設けられており、これらの立上り部110B,110Cに形成された図12の孔110D,110Eに、2個の立上り部110B,110Cに跨る長さを有している板状の第1スライド部材120がスライド自在に挿入されている。この第1スライド部材120の外周にはばね121が巻回されており、本実施形態における弾性付勢部材となっているこのばね121のばね力により、第1スライド部材120には立上り部110B側への前進力が常時作用している。この前進力の方向は、図3で説明した開閉機13に設けられている前述のレバー部材31の第1部分31AをA方向へ移動させる方向であって、前述のブレーキ装置19をオンとさせる方向である。
図3及び図11に示されているとおり、第1スライド部材120の前端に下向きに折曲形成された折曲部120Aには、作動部材122が取り付けられており、また、図3のレバー部材31の第1部分31Aには、被作動部材123が立設結合されている。第1スライド部材120がばね121のばね力によって前進したときには、作動部材122が被作動部材123に当接することにより、レバー部材31の第1部分31Aに図3で示したA方向への荷重が作用するようになっている。図11に示されているように、本実施形態の作動部材122はボルト124の頭部124Aとなっているため、この頭部124Aを回転操作してボルト124を第1スライド部材120の折曲部120Aに対して進退させることにより、作動部材122と被作動部材123との間の間隔を適切な寸法に調整できる。この調整を行った後に、ボルト124に螺合させておいたロックナット125を回転操作し、このロックナット125を折曲部120Aに圧接させることにより、被作動部材123に対する作動部材122の位置を、適切な位置にして固定できることになる。
このため、本実施形態において、第1スライド部材120とブレーキ装置19との間の間隔は、具体的には、第1スライド部材120の作動部材122と、ブレーキ装置19の被作動部材123との間隔は、ボルト124やロックナット125によって構成されているねじ方式による間隔調整手段46(図11を参照)により、調整自在となっている。
また、第1スライド部材120の作動部材122がブレーキ装置19の被作動部材123に当接したときには、図3で説明したばね23が圧縮されることになり、この圧縮されたばね23の反発力による押圧力が被作動部材123及び作動部材122を介して第1スライド部材120に作用し、この押圧力に基づく後退力が第1スライド部材120に作用するようになっている。
このため、被作動部材123や、この被作動部材123が取り付けられたレバー部材31は、第1スライド部材120に後退方向への押圧力を作用させるためにブレーキ装置19に設けられている押圧部材となっている。
図12に示されているように、自動閉鎖装置32の機枠110には、ソレノイド126が取り付けられており、このソレノイド126のプランジャ127には、ばね128のばね力がプランジャ127をソレノイド126から突出させる方向へ常時作用している。このプランジャ127の先端には先端部材140が取り付けられ、この先端部材140には、中心軸129Aを中心に回動自在となっているL字形の屈曲レバー部材129の一方の端部が接触している。先端部材140には、図11で分かるように、屈曲レバー部材129の上記一方の端部が接触している面とは反対側の面において、起倒部材141が接触しており、この起倒部材141は、図12で示されているブラケット142に設けられたビスによる中心軸142A(図11も参照)が挿通している下部を中心に起倒自在となっている。
そして、トリガーレバー部材となっている屈曲レバー部材129の他方の端部には、図12に示されているように、ローラ130が回転自在に設けられている。このローラ130と対面する第1スライド部材120の部分には凹部120Bが形成されており、この凹部120Bにおける第1スライド部材120の後退側の部分は、傾斜面120Cとなっている。
図12に示されているとおり、自動閉鎖装置32には第1電気スイッチ135が設けられ、機枠110に取り付けられているこの第1電気スイッチ135は、ばねで第1電気スイッチ135から突出する方向へ付勢されている揺動自在なアクチュエータ136を有する。また、第1スライド部材120には、凹部120Bと反対側の部分において、突起部材137が取り付けられており、アクチュエータ136はこの突起部材137に当接している。
第1スライド部材120には、連結部138Aを備えている連結部材138が取り付けられている。前述の第3制御用ワイヤー113の端部は連結部138Aに連結されており、また、第2制御用ワイヤー112の端部は、上述の起倒部材141の上部に連結されている(図11も参照)。
図12に示されているとおり、自動閉鎖装置32には、屈曲レバー部材129に中心軸129Aを中心とするK方向への回動力を付与するためのばね131と、第2制御用ワイヤー112の端部が連結されている起倒部材141が中心軸142Aを中心にソレノイド126側へ倒れたときに、起倒部材141を直立状態に戻すためのばね132とが設けられており、ばね131のばね力により、屈曲レバー部材129の上述の他方の端部に設けられているローラ130が、通常時において、第1スライド部材120の凹部120Bに嵌合するようになっている。
また、ローラ130が凹部120Bに嵌合することにより、前述したばね121による第1スライド部材120の前進は止められている。このように凹部120Bに嵌合したローラ130で前進が止められているときにおける第1スライド部材120の前端の位置は、図12で示す3個の位置H,I,Jのうち、H位置である。
起倒部材141に端部が連結されていて、アウターケーブル115の内部に挿通された第2制御用ワイヤー112は、図1で示した操作装置30まで延びており、アウターケーブル115から突出している第2制御用ワイヤー112の端部には、操作装置30に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。さらに、第1スライド部材120に連結部材138を介して端部が連結されていて、アウターケーブル116の内部に挿通された第3制御用ワイヤー113も、操作装置30まで延びており、アウターケーブル116から突出している第3制御用ワイヤー113の端部にも、操作装置30に配置されているレバー部材等の手動操作部材が連結されている。
以上の説明から分かるように、自動閉鎖装置32は、凹部120Bが形成された第1スライド部材120や、ソレノイド126、ローラ130を備えた屈曲レバー部材129、第1電気スイッチ135等により構成されており、そして、機枠110に対して直線的に往復動自在の往復動部材となっている第1スライド部材120は、後述の説明から分かるように、前述のブレーキ装置19を機械的にオン、オフ切り替えるために作動する切替部材となっている。
また、図12に示されているように、自動閉鎖装置32の機枠110には、第1スライド部材120と同様に、機枠110に対して直線的に往復動自在の往復動部材となっている第2スライド部材210が配置されており、第1スライド部材120と平行又は略平行の方向に移動自在となっているこの第2スライド部材210は、機枠110の立上り部110B,110Cに形成された孔110F,110Gにスライド自在に挿入されている。そして、第2スライド部材210の前進方向は、第1スライド部材120の前進方向と同じ又は略同じであり、第2スライド部材210の後退方向は、第1スライド部材120の後退方向と同じ又は略同じである。
そして、第2スライド部材210には、第1制御用ワイヤー111の端部が連結部材211を介して連結されている。このため、前述したように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接し、これにより、前述した機械式結合装置55によってロック用ワイヤー36とシャッターカーテン1とが結合されて、ロック用ワイヤー36にシャッターカーテン1の自重による緊張力が作用し、ロック用ワイヤー36及び第1制御用ワイヤー111にこの緊張力に基づく引っ張り力が作用したときには、第2スライド部材210が後退の作動を行うようになっている。
このため、第2スライド部材210は、紐状部材となっているロック用ワイヤー36及び第1制御用ワイヤー111に緊張力が作用したときに作動する作動部材となっている。
図12に示されているように、第2スライド部材210には、多数の歯部210Aが第2スライド部材210の前後進方向に形成されている。また、自動閉鎖装置32の機枠110には遅延装置300が取り付けられており、この遅延装置300の回転自在の中心軸300Aに結合されたピニオンギヤ300Bは、第2スライド部材210の歯部210Aに噛合している。遅延装置300はロータリー式のダンパーであり、遅延装置300の内部には、ワンウエイクラッチを介して中心軸300Aと連結されている複数のブレードが取り付けられており、第2スライド部材210が前進することによりピニオンギヤ300B及び中心軸300AがD方向に回転した場合には、ワンウエイクラッチの接続作用により、それぞれのブレードが遅延装置300の内部に充填されている粘性流体内において回転する。このため、粘性流体の抵抗力により第2スライド部材210は低速で前進することになる。一方、第2スライド部材210が後退し、ピニオンギヤ300B及び中心軸300AがE方向に回転した場合には、この方向への回転は、ワンウエイクラッチの切断作用によりそれぞれのブレードに伝達されない。このため、第2スライド部材210は高速で後退することができる。
また、図12に示されているように、自動閉鎖装置32の機枠110には第2電気スイッチ220が取り付けられ、この第2電気スイッチ220は、ばねで第2電気スイッチ220から突出する方向へ付勢されている揺動自在なアクチュエータ221を有する。また、第2スライド部材210には突起部材222が設けられており、アクチュエータ221はこの突起部材222に当接している。
さらに、第2スライド部材210には、第1スライド部材120の側へ延出している延出部材202の基端部が結合されており、この延出部材202は、第1スライド部材120に固定されている前述の連結部材138まで達している。そして、第1スライド部材120には、ばね受け部材203がこの第1スライド部材120の前後進方向に移動自在に配置されているとともに、このばね受け部材203は、連結部材138と共に延出部材202を第1及び第2スライド部材120,210の移動方向に挟んだ状態で第1スライド部材120に配置されており、ばね受け部材203により、第1スライド部材120の外周に前述の弾性付勢部材となって巻回されているばね121の一方の端部が受けられている。この一方の端部は、第1スライド部材120の前進側の端部であり、このため、第1スライド部材120には、ばね受け部材203、延出部材202及び連結部材138を介して、ばね121のばね力による前進力が付与されている。
図12に示されているように、自動閉鎖装置32には、第2スライド部材210に前進力を常時付与しているばね205が設けられており、機枠110の立上り部110Bと延出部材202との間に架設されているこのばね205のばね力により、通常時の延出部材202が、第1スライド部材120の連結部材138に、第1及び第2スライド部材120,210の後退側から前進側への方向により当接するようになっている。そして、前述したように、図12で示されている屈曲レバー部材129のローラ130が第1スライド部材120の凹部120Bに嵌合することで第1スライド部材120の前進が止めることにより、ばね205による第2スライド部材210の前進が、連結部材138と延出部材202を介して止められるようになっている。
次に、本実施形態に係るシャッター装置の作動について説明する。
本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物において、シャッターカーテン1が全開位置又は開閉移動方向途中位置で停止しているときに、火災等の災害が発生すると、この災害を検知したセンサからの信号が入力する図示しないリレー回路等の電気回路又はコンピュータによる制御装置(この制御装置は、図1の制御装置26が兼ねていてもよい。)の制御により、自動閉鎖装置32のソレノイド126は通電され、このソレノイド126が励磁されるため、このソレノイド126のプランジャ127は、ばね128のばね力に抗して後退する。これにより、前述の先端部材140に一方の端部が当接している屈曲レバー部材129は、ばね131のばね力に抗して中心軸129Aを中心に図12のK方向とは逆方向のL方向に回動することになる。このときの状態が図13で示されている。屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心にL方向に回動すると、屈曲レバー部材129のローラ130は第1スライド部材120の凹部120Bから脱出するため、第1スライド部材120はばね121のばね力で前進し、この前進は、第1スライド部材120に設けられている連結部材138の前端が機枠110の前述の立上り部110Bに当接することにより停止する。すなわち、本実施形態の連結部材138は、第1スライド部材120の前進限を規定するための第1スライド部材120に設けられた前進限規定部ともなっている。
また、このときにおける第1スライド部材120の前端の位置は、図12で示した3個の位置H,I,Jのうち、図13に示されているように、最前位置であるI位置である。
また、以上のように第1スライド部材120が前進すると、第1電気スイッチ135のアクチュエータ136は、第1スライド部材120に取り付けられている突起部材137から外れるため、これによって第1電気スイッチ135から発生する信号により、上述の制御装置はソレノイド126への通電を停止する。
このソレノイド126への通電の停止により、プランジャ127はばね128のばね力でソレノイド126から突出移動し、屈曲レバー部材129は、ばね131のばね力により中心軸129Aを中心に図12のK方向へ回動する。このときの第1スライド部材120は、この第1スライド部材120の前端がI位置まで達している移動限まで前進しているため、屈曲レバー部材129のローラ130は、図14に示されているように、第1スライド部材120の前述した傾斜面120Cに当たる。このため、中心軸129Aを中心とする屈曲レバー部材129のK方向への回動は、途中で停止する。
以上のようにして第1スライド部材120が前進すると、この第1スライド部材120の前端に設けられている図3の作動部材122が、被作動部材123を介して開閉機13のレバー部材31の第1部分31Aを図3のA方向に押圧する。このため、前述したようにこの第1部分31Aが、レバー部材31の第2屈曲部31Dを支点としてA方向へ揺動することにより、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は、A方向と同じ方向であるA’方向へスライドし、これにより、それまでオンとなっていたブレーキ装置19は、図3のばね23を圧縮変形させて、オフとなる。このため、全開又は開閉移動方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1は、巻取軸11よりも下側の部分の座板1B等の自重により、前述した巻取軸11を回転させながら下向きに閉じ移動することになり、開閉機13の前述した駆動軸14も駆動力伝達手段12を介して自由回転し、シャッターカーテン1が全閉となることにより、このシャッターカーテン1による防災区画が形成されることになる。
また、火災等の災害が発生したことを人が発見した場合には、この人が、図1で示した操作装置30に配置されていて、前述した第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により、第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作する。第2制御用ワイヤー112の他方の端部は、図12で説明したように、前述の起倒部材141に連結されているため、第2制御用ワイヤー112が引っ張り操作されることにより、この起倒部材141が中心軸142Aを中心にソレノイド126の側へ倒れ回動し、起倒部材141の押圧作用により、前述の先端部材140及びプランジャ127は後退する。これにより、ソレノイド126が通電、励磁される前であっても、ソレノイド126が通電、励磁されたときと同じく、屈曲レバー部材129は、起倒部材141からの押圧力により先端部材140を介して、中心軸129Aを中心に図12のL方向へ回動するため、屈曲レバー部材129のローラ130は第1スライド部材120の凹部120Bから脱出し、第1スライド部材120はばね121のばね力で前進することになる。
このため、第2制御用ワイヤー112の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材を操作することによっても、シャッターカーテン1は全閉となり、このシャッターカーテン1により防災区画を形成することができる。
なお、第1スライド部材120がばね121のばね力で前進すると、第2スライド部材210もばね205にばね力により前進し、これにより、第2スライド部材210の歯部210Aにより、遅延装置300の中心軸300A及びピニオンギヤ300Bが図12のD方向に回転し、このD方向への回転については、前述したように、遅延装置300の粘性流体の抵抗力により第2スライド部材210は低速で前進することになる。このときの第2スライド部材210に設けられている延出部材202は、第1スライド部材120に設けられている連結部材138とばね受け部材203とで挟まれた状態になっており、このため、延出部材202を介して第2スライド部材210と連結された状態になっている第1スライド部材120も低速で前進することになる。
このため、全開位置又は開閉移動方向途中位置で停止していたシャッターカーテン1が閉じ移動を開始することは、前述したように火災等の発生により自動閉鎖装置32のソレノイド126が通電された後に、あるいは、第2制御用ワイヤー112が引っ張り操作された後に、時間遅れをもって行われることになり、これにより、シャッターカーテン1が全閉となる前に、火災等の災害から人等が脱出するための時間を確保することができる。
したがって、火災等の災害を前述のセンサが検知したときや、第2制御用ワイヤー112が引っ張り操作されたときに、これについての情報を前述の制御装置に送り、この制御装置からの信号により、シャッターカーテン1がこれらから全閉になることを周囲に報知するための報知装置を作動させるようにしてもよい。
以上のようにしてシャッターカーテン1が全閉位置に達し、そして、火災等の災害が解消したときには、操作装置30に配置されていて、前述した第3制御用ワイヤー113の端部に連結されているレバー部材等の手動操作部材により、第3制御用ワイヤー113を引っ張り操作する。これにより、第3制御用ワイヤー113は、第1スライド部材120の連結部材138の連結部138Aに連結されているため、この第1スライド部材120はばね121のばね力に抗して後退することになる。このため、第1スライド部材120は、図14に示されている位置から、第1スライド部材120の前端が図12のH位置となる初期位置へ復帰することになる。また、第1スライド部材120がこの初期位置へ復帰するときに、屈曲レバー部材129が中心軸129Aを中心としてばね131のばね力で図12のK方向へ回動するため、屈曲レバー部材129のローラ130は、第1スライド部材120の凹部120Bに嵌合することになり、第1スライド部材120は、ばね121のばね力により、第1スライド部材120の前端がH位置に達した状態で停止する。これにより、自動閉鎖装置32は、火災等の災害が発生する前の初期状態に戻る。
なお、以上のように第1スライド部材120が初期位置まで後退するときには、この第1スライド部材120と延出部材202を介して連結された状態になっている2スライド部材210も後退し、このため、遅延装置300の中心軸300A及びピニオンギヤ300Bが図12のE方向に回転するが、このE方向への回転については、前述したように、遅延装置300に粘性流体の抵抗力が発生しないため、小さな引っ張り操作力を第3制御用ワイヤー113に作用させることだけにより、第1スライド部材120及び第2スライド部材210を高速で後退させることができる。
上述のように第1スライド部材120が初期位置へ復帰すると、開閉機13のブレーキ装置19のブレーキ軸21及び第2ブレーキ部材22は図3の前述したばね23でA’方向とは逆方向へ移動するため、ブレーキ装置19はオフからオンに復帰する。この後に、操作装置30に設けられている前述の「開」ボタンを操作することにより、ブレーキ装置19が、図3の通電されるソレノイド24の磁力によってオフになった後に、シャッターカーテン1は、前述したとおり、全開位置まで開き移動する。
以上説明したように火災等の災害の発生が前述のセンサで検出されたり、火災等の災害の発生を発見した人が第2制御用ワイヤー112を引っ張り操作することにより、シャッターカーテン1が防災区画を形成するために全閉位置まで閉じ移動するときは、本実施形態に係るシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となっているときである。これに対して前述したように、操作装置30の「開」「閉」「停」のそれぞれのボタン操作により、シャッターカーテン1の開閉移動、移動停止を行わせているときが、本実施形態に係るシャッター装置が前述の管理用シャッター装置となっているときである。
本実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置となってシャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、言い換えると、自動閉鎖装置32が図14で示す状態になって、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに、閉じ移動方向であるシャッターカーテン1の下側に図1で示す障害物34が存在している場合には、シャッターカーテン1の閉じ移動の途中において、このシャッターカーテン1の閉じ側の先端部に配置されているカーテン副部71Bが、言い換えると、シャッターカーテン1の座板1Bの下側部分を形成している図4の可動部70Bが障害物34に当接することになり、この可動部70Bの下降が停止する。
可動部70Bの下降が停止しても、カーテン本体1Aと、座板1Bのうち、図4の固定部70Aとで構成される前述のカーテン主部71Aは、図4の状態から下降するため、この下降で生ずるカーテン主部71Aに対するカーテン副部71B(可動部70B)の相対的な上昇により、図6に示されているように、固定部70Aの内部に配置されている揺動部材81が支点軸80を中心に上向きに揺動する。これにより、揺動部材81に設けられている押圧部材54により、前述した機械式結合装置55を構成している係合部材50は、図5のN方向に回転することで図7の状態を経て図8の状態となり、係合部材50の係合部53は回転部材35の歯部35Aに係合する。
これにより、シャッターカーテン1が閉じ移動しているときに図5のS方向へ回転していた回転部材35及び巻取りリール37は、このS方向に回転できなくなり、シャッターカーテン1と、巻取りリール37から繰り出されていたロック用ワイヤー36とが、回転部材35と係合部材50を構成要素とする機械式結合装置55によって結合されたことになる。このため、ロック用ワイヤー36には、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部70Bを除く重量、すなわち、カーテン主部71Aの重量による下向きの緊張力が作用する。
閉じ移動しているシャッターカーテン1が上述のように障害物34に当接して、ロック用ワイヤー36に、シャッターカーテン1の重量のうち、可動部70Bを除く重量による下向きの緊張力が作用した後に、障害物34がへこみ変形すると、機械式結合装置55でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー36は、このへこみ変形分だけ下方へ引っ張られることになる。
また、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものであっても、揺動部材81の押圧部材54により係合部材50が図5のN方向に回動すると、図8に示されているように、この係合部材50に係合部53として2個設けられている第1係合部53Aと第2係合部53Bのうち、初めに第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合し、次いで第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合する。これらの係合のうち、少なくとも第1係合部53Aの歯部35Aへの係合は、図5に示されているように、係合部材50に、この係合部材50の長さ方向に離れて係合部材側当接部59として2個設けられている第1係合部材側当接部59Aと第2係合部材側当接部59Bのうち、係合部材50の回動中心軸となっている軸56から遠い箇所にある第1係合部材側当接部59Aが、シャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54により押し上げられることにより行われる。
なお、第1係合部53Aと第2係合部53Bとの間隔寸法は、回転部材35の歯部35A同士の間隔寸法(歯ピッチ)と同じ寸法もしくは略同じ寸法、又は歯部35A同士の間隔寸法の2以上の整数倍の寸法もしくは略整数倍の寸法となっている。このため、第1係合部53Aが歯部35Aに係合したときには、第2係合部53Bも歯部35Aに係合するようになっている。
図9には、上述のように第1係合部53Aと第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合したときの図8の一部拡大図が示されている。本実施形態では、第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合して、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合したときに、又は第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合して、第2係合部53Bも回転部材35の歯部35Aに係合した後に、又は第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合した後であって、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aに係合する前に、図8に示されているように、係合部材50の第2係合部材側当接部59Bが押圧部材54に当接して押し上げられる。すなわち、押圧部材54による係合部材50の係合部材側当接部59の押し上げは、第1係合部材側当接部59Aから第2係合部材側当接部59Bへと移行して行われ、2段階でこの押し上げが行われることになる。
このため、図9において、係合部材50のN方向への回動は継続され、これにより、係合部材50の第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aとの係合から外れても、第2係合部53Bが回転部材35の歯部35Aとの係合を継続し、この第2係合部53Bが回転部材35をT方向へ回転させる。このT方向への回転は、巻取りリール37がロック用ワイヤー36を巻き取る方向への回転である。
そして、このようにして第2係合部53Bが回転部材35をT方向へ回転させることは、係合部材50の回動中心となっている図5の軸56からの距離が第1係合部材側当接部59Aよりも短い第2係合部材側当接部59Bが押圧部材54によって押し上げられることにより行われるため、第2係合部53Bによる回転部材35のT方向へ回転量は大きくなる。したがって、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときのカーテン主部71Aに対するカーテン副部71Bの相対的上昇量が一定量となっていても、障害物34がへこみ変形した場合と同様に、ロック用ワイヤー36の下方への引っ張り量を充分に確保することができる。
このため、障害物34がへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものである場合にも、機械式結合装置55でシャッターカーテン1と結合されたロック用ワイヤー36を、障害物34がへこみ変形したときのように、充分に下方へ引っ張ることができる。
なお、本実施形態では、係合部材50に設けた係合部53の個数を2個としたが、この個数を3個以上としてもよい。
また、シャッターカーテン1が障害物34に当接すると、前述したようにシャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54により係合部材50の第1係合部材側当接部59Aが押し上げられ、これにより、図5の軸56を中心にN方向に回動する係合部材50の第1係合部53Aが回転部材35の歯部35Aに係合しようとするが、係合部材50の回動タイミングや回転部材35の回転タイミングにより、図7に示されているように、第1係合部53Aの先端と歯部35Aの先端とが当接してしまい、これにより、係合部材50と回転部材35が突き当て状態となって、これらの係合部材50と回転部材35がいわばデッドロック状態になるおそれがある。
しかし、本実施形態では、前述したようにシャッターカーテン側当接部58となっている押圧部材54は板ばねで形成されているため、このシャッターカーテン側当接部58は弾性変形可能である。このため、第1係合部53Aの先端と歯部35Aの先端とが当接して係合部材50と回転部材35が突き当て状態となる場合には、この突き当てにより係合部材50に作用する反力の荷重により、シャッターカーテン側当接部58が弾性変形することで、係合部材50は図5のM方向へ弾性的に少し戻り回動してからN方向へ回動することになり、言い換えると、係合部材50は回転部材35に対して少し後退回動してから前進回動することになり、これにより、係合部材50の第1係合部53Aが、回転を継続している回転部材35の歯部35Aに係合することになる。
このため、本実施形態によると、係合部材50の第1係合部53Aの先端と回転部材35の歯部35Aの先端とが当接して係合部材50と回転部材35が突き当て状態となることを回避することができ、この突き当て状態が生じたときに係合部材50等に発生する過大な荷重をなくすことができる。
なお、このような突き当て状態が発生することを回避するために、係合部材50の第1係合部材側当接部59Aを板ばね等による弾性部材で形成し、係合部材50の第1係合部53Aの先端と回転部材35の歯部35Aの先端とが当接して係合部材50と回転部材35が突き当て状態となったときに、この弾性部材の弾性変形により、係合部材50を図5のM方向へ弾性的に少し戻り回動させてからN方向へ回動させるようにしてもよい。
以上の説明から分かるように、本実施形態では、複数個の係合部53A,53Bを有している係合部材50や、回転部材35等により、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときに、ロック用ワイヤー36を下方へ大きく引っ張るための引っ張り装置45(図5、図7及び図8を参照)が構成されていることになる。
前述したように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接してロック用ワイヤー36が下方へ引っ張られると、図10で示した中継装置38の回動部材42が回動することにより、この回動部材42に一方の端部が連結されている第1制御用ワイヤー111に、ロック用ワイヤー36と同様に緊張力が作用し、この第1制御用ワイヤー111は引っ張られることになる。
なお、本実施形態のロック用ワイヤー36は中継装置38の回動部材42に直接連結されておらず、これらのロック用ワイヤー36と回動部材42との間には衝撃荷重緩衝用弾性部材となっているばね43が介設されているため、ロック用ワイヤー36が急激に下方へ引っ張られても、この引っ張り力を緩和させて回動部材42に伝達できる。
そして、上述のように第1制御用ワイヤー111が引っ張られると、この第1制御用ワイヤー111の他方の端部は、前述したように図14の状態になっている第2スライド部材210に連結されているため、この第2スライド部材210は、図15に示されているように、ばね205のばね力に抗して第1制御用ワイヤー111の引っ張り量に応じた分だけ後退する。これにより、延出部材202を介して、第1スライド部材120に設けられているばね受け部材203も後退し、この後退により、第1スライド部材120を前進する方向(ブレーキ装置19をオフとする方向)へ弾性付勢するための弾性付勢部材となっているばね121が、圧縮されることになる。
このため、第1スライド部材120に作用していたばね121のばね力が解除されることになり、このばね121は、ばね121が第1スライド部材120を弾性付勢している方向とは逆方向に第1スライド部材120から切り離される。また、このとき図12のI位置に前端が達している第1スライド部材120の作動部材122は、ブレーキ装置19の被作動部材123に当接しており、この被作動部材123には、図3で示したブレーキ装置19の圧縮されていたばね23の反発力に基づく図3のA方向とは逆方向への押圧力が作用しているため、第1スライド部材120は、この押圧力により後退し、これにより、ブレーキ装置19はオフからオンに切り替わり、障害物34に当接したシャッターカーテン1は、閉じ移動を停止する。
このため、ブレーキ装置19の被作動部材123は、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替えるための切替部材となっている第1スライド部材120に、ブレーキ装置19をオンさせるために第1スライド部材120を後退側へ押圧するための押圧部材となっている。
また、第1スライド部材120が本来前後進できる範囲は、屈曲レバー部材129のローラ130が第1スライド部材120の凹部120Bに嵌合する位置を含む長い範囲であり、ローラ130が凹部120Bに嵌合してしまうと、第1スライド部材120を、ばね121のばね力によりブレーキ装置19をオンからオフに再度切り替えることができなくなるが、第1スライド部材120がブレーキ装置19の被作動部材123から受ける押圧力により後退する位置は、図15に示されているように、第1スライド120の前端が図12のJ位置に達する位置である。このJ位置は、ブレーキ装置19がオフからオンに切り替わる位置ではあるが、ローラ130が凹部120Bに嵌合する位置ではない。
このため、第1スライド部材120の作動可能範囲に、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替え不能となる範囲が存在していても、第1スライド部材120が後退する位置は、ブレーキ装置19をオンからオフに再度切り替えることができる位置Jまでである。
以上の説明から分かるように、本実施形態によると、紐状部材であるロック用ワイヤー36及び第1制御用ワイヤー111に、障害物34に当接したときのシャッターカーテン1の自重による緊張力が作用したときに、第1スライド部材120に作用しているばね121のばね力を解除して、第1スライド部材120をブレーキ装置19の前述の押圧力によりこのブレーキ装置19がオフからオンとなる方向へ作動させるための切替部材作動手段47(図12〜図15を参照)が自動閉鎖装置32に設けられていることになる。この切替部材作動手段47は、運動する運動部材となっている第2スライド部材210や、延出部材202、ばね受け部材203等により構成されており、そして、第2スライド部材210は、ロック用ワイヤー36及び第1制御用ワイヤー111に前述の緊張力が作用したときに作動する作動部材となっている。
そして、切替部材作動手段47は、第1スライド部材120を、ブレーキ装置19をオンからオフする方向へ弾性的に付勢するための弾性付勢部材となっているばね121を、第1スライド部材120を弾性的に付勢する方向とは逆方向へこの第1スライド部材120から切り離して弾性変形させるための手段ともなっている。なお、前述した第2電気スイッチ220は、この切替部材作動手段47を構成している延出部材202等と干渉しない位置に配置されている。
本実施形態では、前述したように、第1スライド部材120の作動部材122と、ブレーキ装置19の被作動部材123との間隔は、ボルト124やロックナット125によって構成された間隔調整手段46により、調整自在となっている。このため、この調整を行うことにより、第1スライド部材120の作動可能範囲に、ブレーキ装置19をオンからオフに切り替え不能となる範囲が存在していても、第1スライド部材120が後退する位置を、一層確実にブレーキ装置19をオンからオフに再度切り替えることができる位置Jまでとすることができる。
また、本実施形態のシャッターカーテン1には、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接したときにロック用ワイヤー36を下方へ大きく引っ張るための引っ張り装置45が設けられており、この引っ張り装置45の引っ張り力で移動するものは第2スライド部材210と延出部材202とばね受け部材203であって、ブレーキ装置19をオン、オフ切り替えるための切替部材となっている第1スライド部材120は、ロック用ワイヤー36の引っ張りによっては移動しない。このため、障害物34が、シャッターカーテン1がこの障害物34に当接してもへこみ変形しない又は殆どしない硬質のものとなっていることを考慮して、シャッターカーテン1に前述した引っ張り装置45を設けても、第1スライド部材120が後退する位置を、ブレーキ装置19をオンからオフに再度切り替えることができる位置Jまでとすることができる。
さらに、第2スライド部材210には遅延装置300が接続されているが、第2スライド部材が、ロック用ワイヤー36及び第1制御用ワイヤー111の緊張力による引っ張り力により後退するときに、遅延装置300の中心軸300A及びピニオンギヤ300Bが回転する方向は、図12のE方向であるため、第2スライド部材210は、遅延装置300に影響されることなく、高速で後退することになり、これにより、第1スライド部材120を、ブレーキ装置19の前述の押圧力により、シャッターカーテン1が障害物34に当接した直後に、ブレーキ装置19をオフからオンへ切り替える位置Jに瞬時に後退させることができる。
以上の説明から分かるように、火災等の発生によりシャッターカーテン1が閉じ移動を開始した後に、火災等を原因として、あるいは、他の理由を原因として、本実施形態に係るシャッター装置が設置された建物が停電になっても、シャッターカーテン1が閉じ移動中に障害物34に当接したときには、自動閉鎖装置32の第1スライド部材120が、開閉機13のブレーキ装置19をオフからオンに切り替えることにより、このシャッターカーテン1を電気を用いることなく機械的に停止させることができる。
上述したように、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接することによりブレーキ装置19がオフからオンに切り替わり、これにより、シャッターカーテン1が停止した後に、障害物34が除去されると、シャッターカーテン1のカーテン副部71Bが下降するため、機械式結合装置55によるシャッターカーテン1とロック用ワイヤー36との結合は解除される。これにより、ロック用ワイヤー36及び第1制御用ワイヤー111に作用していた緊張力は消滅するため、第2スライド部材210はばね205のばね力により前進し、これにより、第1スライド部材120も、ばね121のばね力により、前端の位置が図15のJ位置から図12のI位置へ移行する前進を行う。このため、開閉機13のブレーキ装置19は、オンからオフへ機械的に再度切り替られ、シャッターカーテン1は閉じ移動を再開することになる。このときの自動閉鎖装置32は、図14で示されている状態に戻っている。
また、上述のように第2スライド部材210がばね205のばね力により前進すると、遅延装置300の中心軸300A及びピニオンギア300Bは図12のD方向へ回転し、このD方向へ回転については、前述したように、ロータリ式ダンパーとなっている遅延装置300には、粘性流体による抵抗力が生ずることになる。このため、第2スライド部材210と共にばね121のばね力により前進する第1スライド部材120の前端の位置が、図15のJ位置から図12のI位置へ移行すること、及びこの移行により開閉機13のブレーキ装置19がオンからオフへ切り替られることは、遅延装置300の遅延作用のために瞬時に行われず、この切替時期は遅延することになる。したがって、障害物34の除去によりシャッターカーテン1が閉じ移動を再開することは、障害物34の除去から時間遅れをもって開始されることになり、このため、障害物34の除去作業を時間的余裕をもって行うことができる。
そして、シャッターカーテン1が全閉となり、火災等の災害が解消したときに、前述の第3制御用ワイヤー113を引っ張り操作すると、第1スライド部材120が少し後退して凹部120Bに屈曲レバー部材129のローラ130が嵌合し、また、第1スライド部材120が少し後退することにより、延出部材202を介して第2スライド部材210も少し後退し、自動閉鎖装置32は、図12で示した初期状態に戻ることになる。
以上の説明は、本実施形態に係るシャッター装置が前述の防災用シャッター装置となっているときのことであった。このシャッター装置が前述の管理用シャッター装置となっているときに、すなわち、シャッターカーテン1が前述の操作装置30の操作で閉じ移動しているときに、シャッターカーテン1が障害物34に当接したときにも、第1制御用ワイヤー111には緊張力や引っ張り力が作用するため、第2スライド部材210は後退するが、このときは、前端の位置がH位置となっている後退限まで後退している第1スライド部材120に対して第2スライド部材210が後退して、第1スライド部材120のばね121が延出部材202とばね受け部材203の後退により圧縮されるだけであり、このため、第2スライド部材210が後退しても、この後退は第1スライド部材120に影響を与えない。
言い換えると、本実施形態に係るシャッター装置が管理用シャッター装置となっているときに、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接しても、第1スライド部材120は、図12で示されている状態を維持する。
そして、本実施形態では、シャッター装置が管理用シャッター装置となっているときに、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物に当接して第1制御用ワイヤー111の緊張力や引っ張り力により、第2スライド部材210が後退すると、前述の第2電気スイッチ220のアクチュエータ221は、第2スライド部材210の突起部材222から外れる作動を行うため、この第2電気スイッチ220からの信号で図1の制御装置26が開閉機13の電動モータ装置18とブレーキ装置19とを電気的に駆動制御することにより、シャッターカーテン1は、障害物34に当接した位置で停止した後に、所定高さ位置まで開き移動して停止する反転上昇を行う。すなわち、管理用シャッター装置のシャッターカーテン1は、障害物への当接後に、この障害物から離れた高さ位置まで開き移動して停止する。
なお、本実施形態に係るシャッター装置が防災用シャッター装置となっているときにも、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接すると、第1制御用ワイヤー111の緊張力や引っ張り力によって第2スライド部材210が後退して第2電気スイッチ220が作動するが、このときには、前述の第1電気スイッチ135も作動しているため、この第1電気スイッチ135からの信号が入力している前述の制御装置は、第2電気スイッチ220からの信号を無効とし、このため、シャッターカーテン1は上述の反転上昇を行わない。
また、本実施形態に係るシャッター装置が管理用シャッター装置となっているときにおいて、第2電気スイッチ220は、閉じ移動中のシャッターカーテン1が障害物34に当接して第1制御用ワイヤー111に緊張力や引っ張り力が作用すると、シャッターカーテン1を上述のように反転上昇させるためにオン作動するようになっているとともに、このオン作動は、第2スライド部材210の後退が終了するまで継続しているため、第2スライド部材210の後退量が大きくなっても、シャッターカーテン1に反転上昇を行わせることができる。
なお、第1制御用ワイヤー111に緊張力や引っ張り力が作用することにより、第1スライド部材120に作用しているばね121のばね力が解除されると同時に第2電気スイッチ220がオン作動するように設定することが好ましい。また、実質的に問題がなければ、第1スライド部材120に作用しているばね121のばね力が解除された後に第2電気スイッチ220をオン作動させるようにしてもよい。
第2電気スイッチ220からの信号は、以上のように障害物34に当接したシャッターカーテン1に反転上昇を行わせるために用いてもよく、あるいは、障害物34に当接したシャッターカーテン1をその当接位置で停止させるために用いてもよく、あるいは、シャッターカーテン1をその当接位置で停止させてから所定時間が経過したときには障害物が除去されていることを考慮して、シャッターカーテン1の停止と、この停止の後の閉じ移動の再開とのためにも用いてもよく、あるいは、シャッターカーテン1が障害物34に当接したことを報知するための報知装置を作動させるために用いてもよい。