JP5984705B2 - 燃料特性計測装置 - Google Patents

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Description

本明細書では、燃料中に浸漬している電極対の静電容量(一対の電極間の静電容量)を計測する装置を開示する。
アルコール混合燃料が普及し始めている。アルコール混合燃料の場合、アルコール濃度が一定でない。エンジン等の燃焼機器には、最適空燃比となる量の燃料を供給する必要があり、その最適量はアルコール濃度によって変化する。燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料のアルコール濃度を計測する必要がある。
アルコール混合燃料の比誘電率はアルコール濃度と温度によって変化する。アルコール混合燃料に一対の電極を浸漬し、その電極間の静電容量と温度を計測すれば、アルコール濃度を計測することができる。特許文献1に、アルコール混合燃料に浸漬している一対の電極間の静電容量と温度を計測してアルコール濃度を計測する技術が開示されている。
燃料中に浸漬している一対の電極間の静電容量から判明するのはアルコール濃度に限られない。ガソリンの質、あるいは燃料に混合されているエンジンオイル濃度といった燃料の特性を計測するために、燃料中に浸漬している一対の電極間の静電容量を計測する場合もある。
特開2011−164085号公報
アルコール混合燃料の場合、アルコール濃度が一定でないことから、給油直後には燃料タンク内の場所によってアルコール濃度が変化していることがある。その他の燃料特性についても、給油直後には燃料タンク内の場所によって燃料の特性が変化していることがある。一対の電極を単に燃料タンク内に設置するというだけでは、燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料特性を計測することができない。
特許文献1では、燃料ポンプから燃焼機器に圧送する燃料中に一対の電極を浸漬する。特許文献1の技術によると、燃料タンク内の場所によって燃料特性が変化している場合でも、燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料特性を計測することが可能となる。
しかしながら、燃料ポンプから圧送される燃料には、高圧が作用している。燃料ポンプと燃焼機器の間に一対の電極を配置する技術によると、一対の電極、あるいは一対の電極が形成されている基板等に高圧が印加されるために、電極あるいは基板等に耐圧構造が必要になる。燃料ポンプと燃焼機器の間に一対の電極を配置する技術によると、電極あるいは基板等に必要とされる仕様が厳しくなる。
本明細書では、燃料タンク内の場所によって燃料特性が変化している場合でも燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料特性を計測することができ、しかも、電極あるいは基板等に作用する負荷を軽減することができる技術を開示する。
本明細書では、燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料の特性を計測する計測装置であり、燃料を貯蔵しておく燃料タンクと、燃料タンク内の燃料を吸引して燃焼機器に向けて圧送する燃料ポンプと、燃料ポンプから燃料タンク内に燃料を放出する燃料放出部と、燃料放出部から放出され、燃料タンクに開放された状態の低圧燃料を受け入れる計測用燃料貯蔵室と、計測用燃料貯蔵室内に配置されており、静電容量を計測する一対の電極と、を備える計測装置を開示する。
本明細書では、さらに、燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料の特性を計測する計測装置を開示する。計測装置は、燃料を貯蔵しておく燃料タンクと、燃料タンク内の燃料を吸引して燃焼機器に向けて圧送する燃料ポンプと、燃料ポンプから燃料タンク内に燃料を放出する燃料放出部と、燃料放出部から放出される燃料を受け入れる計測用燃料貯留室と、計測用燃料貯蔵室内に配置されており、静電容量を計測する一対の電極と、を備える。その一対の電極は、電極間の静電容量を計測するためのものである。
上記において、燃焼機器は特に制約されないが、典型的にはエンジンが対応する。静電容量に対応する値を出力する電子回路を、上記計測装置に組み込んでもよいし、上記計測装置と別に設けてもよい。電子回路から出力する計測結果は、静電容量自体であってもよいし、静電容量から燃料の誘電率に換算した値であってもよいし、温度等の影響を加味してアルコール濃度等の燃料特性に換算した値であってもよい。また出力値は、電圧値または電流値によって指示されるものであればよい。
上記の計測装置では、燃料ポンプから送り出された燃料を受け入れる計測用燃料貯蔵室内で静電容量を計測することから、燃料タンク内の場所によって燃料特性が変化している場合でも燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料の特性を計測することができる。また、燃料放出部から放出された燃料を受け入れる計測用燃料貯蔵室内で静電容量を計測することから、燃料タンクから燃焼機器に供給する経路上に電極を配置する場合と比較して、電極に作用する燃料の圧力を抑えることができる。この構成によれば、電極に作用する負荷を抑えつつ、燃料タンク内の場所によって燃料特性が変化している場合でも燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料の特性を計測することができる。
また、燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料の特性を計測する計測装置は、燃料タンク内の燃料を吸引して燃焼機器に向けて圧送する燃料ポンプと、燃料ポンプから燃料タンク内に燃料を放出する燃料放出部と、燃料放出部から放出される燃料を受け入れる計測用燃料貯留室と、計測用燃料貯蔵室内に配置されており、静電容量を計測する一対の電極と、を備える。
この構成によっても、燃料タンクから燃焼機器に供給する経路上に電極を配置する場合と比較して、電極に作用する燃料の圧力を抑えることができる。この構成によれば、電極に作用する負荷を抑えつつ、燃料タンク内の場所によって燃料特性が変化している場合でも燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料の特性を計測することができる。
第1実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。 第2実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。 第3実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。 第4実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。 第5実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。 第6実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。 第7実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。 第8実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。 第1実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 第2実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 図10のXI−XI断面を示す。 図11の変形例を示す。 図11の別の変形例を示す。 第3実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 図14のXV−XV断面を示す。 第4実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 第5実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 第6実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 第7実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 第8実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 図20のXXI−XXI断面を示す。 第9実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 第10実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 第11実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 第12実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 第13実施例の静電容量計測装置の構成を示す。 第14実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。 第15実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。 変形例の静電容量計測装置の構成を示す。 変形例の静電容量計測装置の構成を示す。 変形例の静電容量計測装置の構成を示す。 第16実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。 第16実施例の静電容量計測装置の構成を示す。
最初に、以下に説明する実施例の特徴を列記する。なお、ここに列記する特徴は、何れも独立して有効なものである。
(特徴1)燃料放出部は、燃料ポンプと燃焼機器の間にあって、過剰な燃料を放出することによって燃焼機器に向けて圧送する燃料の圧力を所定圧力に調整するプレッシャーレギュレータを備えていてもよい。この構成によれば、プレッシャーレギュレータから放出された燃料を受け入れる計測用燃料貯蔵室内で静電容量を計測することから、計測用燃料貯蔵室内に流入する燃料の圧力を抑えることができる。この構成によれば、電極に作用する負荷を抑えつつ、燃料タンク内の場所によって燃料特性が変化している場合でも燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料の特性を計測することができる。
(特徴2)燃料放出部は、燃料ポンプから燃焼機器に燃料を供給する燃料供給管から分岐する分岐路と、分岐路内の燃料の圧力を減少させる減圧部と、を備えていてもよい。この構成によれば、減圧部で減圧された燃料を受け入れる計測用燃料貯蔵室内で静電容量を計測することから、電極に作用する負荷を抑えつつ、燃料タンク内の場所によって燃料特性が変化している場合でも燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料の特性を計測することができる。
(特徴3)燃料放出部は、燃料ポンプ内のベーパを、燃料ポンプから燃料タンク内に排出するために、燃料ポンプに配置されるベーパジェットから燃料タンク内に伸びる放出路を、備えていてもよい。この構成によれば、ベーパジェットから放出された燃料を受け入れる計測用燃料貯蔵室内で静電容量を計測することから、計測用燃料貯蔵室内に流入する燃料の圧力を抑えることができる。この構成によれば、電極に作用する負荷を抑えつつ、燃料タンク内の場所によって燃料特性が変化している場合でも燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料の特性を計測することができる。
(特徴4)計測用燃料貯蔵室が、燃料ポンプの停止時に計測用燃料貯蔵室から燃料が抜け出さない燃料保持機能を備えた形状であってもよい。この構成によれば、燃料ポンプの停止時に、電極が燃料に浸漬された状態を維持することができる。これにより、電極に、ごみ等の異物が付着することを抑制することができる。また、電極は大気圧に開放された状態の燃料に安定的に浸漬されており、電極に掛かる負荷が軽減される。
(特徴5)計測用燃料貯蔵室が、一対の電極を収容している有底の筒を備えていてもよい。この構成によれば、筒内に一対の電極が収容されていれば、燃料ポンプの停止時に、電極の周辺から燃料が抜け出すことがない。これにより、電極にごみ等の異物が付着することを抑制することができる。また、電極は、大気圧に開放された状態の燃料の安定的に浸漬されており、電極に掛かる負荷が軽減される。なお、燃料保持機能を備えた形状は有底の筒に限られない。例えば、上端が閉じられている一方において下端が開放されている筒でもよい。下端が開放されていても、燃料と置換する大気の侵入口がないので筒の内部から燃料が抜け出すことがない。
(特徴6)一対の電極を電磁シールドが取囲んでいてもよい。この構成によれば、周囲の電磁ノイズが電磁シールドされ、静電容量の計測結果に影響することを防止できる。一対の電極を取囲んでいる電磁シールドは、金属製の筒、樹脂製の筒の内面または外面に金属めっきが施されている筒、あるいは樹脂製の筒の内面または外面に金属含有塗料または金属含有インクが塗布された筒等であってもよい。
(特徴7)計測用燃料貯蔵室と一対の電極が、燃料タンクに形成されている開口を塞ぐセットプレートに固定されていてもよい。この構成によれば、静電容量計測装置を燃料タンク内に設置する作業が容易化される。セットプレートに、静電容量計測装置の電子回路、燃料ポンプ、リザーバタンク、プレッシャーレギュレータ、液位計測装置、液位計測装置を収容するケース等を固定してもよい。
(特徴8)燃料タンク内にあって燃料ポンプを収容しているリザーブカップと、燃料放出部から放出された燃料の流速を利用してリザーブカップ外の燃料をリザーブカップ内に送るジェットポンプと、燃料放出部から計測用燃料貯蔵室を経てジェットポンプに至る流路と、を備えていてもよい。この構成によれば、ジェットポンプに燃料を送るための構成を、新たに設けずに済む。
(特徴9)燃料タンク内にあって燃料ポンプを収容しているリザーブカップと、燃料放出部から放出された燃料の流速を利用してリザーブカップ外の燃料をリザーブカップ内に送るジェットポンプと、燃料放出部から計測用燃料貯蔵室に至る第1の流路と、燃料放出部からジェットポンプに至る第2の流路を備えていてもよい。この構成によれば、ジェットポンプに燃料を送るための構成を、新たに設けずに済む。また、ジェットポンプに燃料を送るための流路と、計測用燃料貯留室に燃料を送るための流路とを、別個に設けることができる。これにより、ジェットポンプに送られる燃料の圧力と、計測用燃料貯留室に送られる燃料の圧力とを、個別に調整することができる。
(特徴10)第1の流路と第2の流路の分岐点に3方弁を備えていてもよい。3方弁は、燃料をプレッシャーレギュレータから計測用燃料貯蔵室に送る状態と、プレッシャーレギュレータからジェットポンプに送る状態を切換える。ジェットポンプによる吸引作用を維持しながら、必要なときに計測用燃料貯蔵室に燃料を送ることができる。
(特徴11)第1の流路の少なくとも一部は、第2の流路よりも流路面積が小さくてもよい。この構成によれば、計測用燃料貯蔵室に流入する燃料の圧力を低減させることができる。
(特徴12)第1の流路に配置され、弁及び絞りの少なくとも一方を備える流路調整部を備えていてもよい。この構成によれば、流路調整部を用いて、計測用燃料貯蔵室に流入する燃料を調整することができる。
(特徴13)流路調整部は、燃料タンクに形成されている開口を塞ぐセットプレートと一体で構成されていてもよい。この構成によれば、流路調整部を、容易に燃料タンクに設置することができる。
(特徴14)第2の流路の中間位置に、第2の流路と燃料タンクを連通する連通孔を備えていてもよい。燃料ポンプが駆動してから停止する場合、燃料放出部からジェットポンプに至る流路には、燃料が充満している。この結果、サイフォン現象により、燃料放出部からジェットポンプに至る流路内の燃料が、ジェットポンプ側から燃料ポンプに向かって流れる場合がある。連通路を備えることによって、サイフォン現象を抑制することができる。
(特徴15)分岐路と減圧部とは、燃料タンクに形成されている開口を塞ぐセットプレートと一体で構成されていてもよい。この構成によれば、分岐路と減圧部とを、容易に燃料タンクに設置することができる。
(特徴16)分岐路に配置され、燃料から弁装置に負荷される圧力が所定値未満の場合に、燃料放出経路を閉塞し、燃料から弁装置に負荷される圧力が所定値以上の場合に、燃料放出経路を開放する弁装置を、さらに備えていてもよい。この構成によれば、燃料供給管内の燃料の圧力が所定値未満の場合に、燃料が分岐路に供給されることを防止することができる。この結果、燃料供給管を通って燃焼機器に供給される燃料の圧力の低下を抑制することができる。
(特徴17)液位計測装置と、液位計測装置を収容しているとともに、内外の液位を等しくする燃料透過性を備えているケースと、燃料放出部から計測用燃料貯蔵室を経てケースに至る流路を備えていてもよい。この構成では、静電容量を計測した燃料が液位計測装置に送られる。この構成によれば、液位計測装置では液位計測装置で計測した値を、静電容量計測装置で正確に計測した燃料の誘電率に基づいて、液位に換算することができる。
(特徴18)燃料タンク内にあって燃料ポンプを収容しているリザーブカップと、燃料放出部から放出された燃料の流速を利用してリザーブカップ外の燃料をリザーブカップ内に送るジェットポンプと、燃料放出部から計測用燃料貯蔵室を経てジェットポンプに至る流路と、を備えていてもよい。ジェットポンプの吸引口がケース内に連通していてもよい。ジェットポンプの吸引口がケース内に連通していてもよい。この構成によれば、静電容量を計測する燃料を貯蔵している室に存在する燃料と、液位を計測する装置を収容しているケースに存在する燃料が迅速に均質化される。
(特徴19)
燃焼機器はエンジンであってもよい。
(特徴20)
一対の電極間の静電容量に比例する電圧または電流を出力してもよい。
(特徴21)
静電容量から換算された燃料の誘電率に比例する電圧または電流を出力してもよい。
(特徴22)
静電容量と温度から換算されたアルコール濃度に比例する電圧または電流を出力してもよい。
(特徴23)
計測用燃料貯蔵室は、大気圧に開放された状態の燃料が漏れ出さないようにシールされていてもよい。
(第1実施例)
図1は、第1実施例の燃料タンク周辺の構成を示す。燃料タンク10内に、燃料ポンプ30が収容されている。燃料ポンプ30は、低圧フィルタ32でろ過した燃料をポンプ本体34内に吸引し、吸引した燃料を高圧フィルタ36でろ過し、ろ過された加圧燃料を出口38から送り出す。出口38には、パイプ94が接続されており、パイプ94にプレッシャーレギュレータ40の入口42が接続されている。プレッシャーレギュレータ40は、内部に弁を備えており、入口42の圧力が所定圧力以上になると、入口42と出口44間を連通させる。入口42の圧力が所定圧力以下となると、入口42と出口44間を閉じる。プレッシャーレギュレータ40は、出口44から過剰な燃料を放出することによって入口42とパイプ94内の燃料の圧力を一定圧力に調整する。パイプ94からパイプ96が分岐しており、パイプ96はデリバリパイプとインジェクタを介してエンジンにつながっている。燃料タンク10内の燃料は、燃料ポンプ30とプレッシャーレギュレータ40によって一定の圧力に調整されてエンジンに圧送される。
プレッシャーレギュレータ40の出口44にはパイプ95が接続されており、パイプ95には静電容量計測装置50が接続されている。プレッシャーレギュレータ40の出口44から放出された燃料は、静電容量計測装置50に送られて静電容量が計測され、出口57から燃料タンク10に戻される。
燃料ポンプ30、プレッシャーレギュレータ40、静電容量計測装置50、パイプ94,95,96等はセットプレート12に固定されている。セットプレート12は、燃料タンク10に固定されて燃料タンクの開口を塞ぎ、燃料ポンプ30、プレッシャーレギュレータ40、静電容量計測装置50、パイプ94,95,96等を燃料タンク10内に位置決めする。
図9(a)は、静電容量計測装置50の構造を示している。セットプレート12の一部に、セットプレート12から下方に伸びる筒状の壁55が形成されており、その底板68に入口56と出口57が形成されている。セットプレート12の一部には、セットプレート12から上方に伸びる筒状の壁69も形成されている。筒状の壁69の内側に、センサボディ54が挿入される。筒状壁69とセンサボディ54の間はオーリング62で気密に保たれる。
センサボディ54から下方に向けてセンサ基板58が形成されている。センサ基板58の図示右側の面には、図9(b)に示すように、櫛歯状電極58a,58bが向かい合っている一対の電極が形成されている。一対の電極58a,58bに導通している一対の導電片59a,59b(図9(a)では統一して59の番号を付している)が、センサボディ54を貫いて上方に伸びており、回路基板52に接続されている。
また、センサボディ54の下方に温度計測用のサーミスタ60が配置されている。サーミスタ60に導通している一対の導電片61a,61b(図9(a)では統一して61の番号を付している)が、センサボディ54を貫いて上方に伸びており、回路基板52に接続されている。
センサ基板58の周辺に存在する燃料、すなわち、筒55の内側に充填されている燃料は、上方が密封されている空間を充填しており、センサ基板58の周囲から燃料が抜け落ちることはない。筒55とセンサボディ54と底68で取り囲まれている空間が、計測用燃料貯蔵室70となっており、その計測用燃料貯蔵室70は、燃料ポンプ30が停止しても計測用燃料貯蔵室70から燃料が抜け出さない形状をしている。
回路基板52には、一対の電極58a,58bに充電してから放電する回路と、その際の放電電流あるいは充電電流から、一対の電極58a,58b間の静電容量に比例する値を得る回路と、サーミスタ60の抵抗値に比例する値を得る回路と、静電容量に比例する値と抵抗値に比例する値から、燃料中のアルコール濃度に比例する値を出力する回路が実装されており、アルコール濃度に比例する値がターミナルピン51に出力される。回路基板52は蓋53で閉じられた空間に収容されている。
給油直後にエンジンを始動する場合、燃料ポンプ30で燃料タンク10からエンジンに供給する燃料の特性と、燃料ポンプ30から離れた位置にある燃料の特性が一致しないことがある。燃料ポンプ30内におくセンサ基板58の位置に配慮しないと、燃料ポンプ30で燃料タンク10からエンジンに供給する燃料の特性と、センサ基板58で計測される燃料の特性がずれてしまうことがある。
図1と図9に示す実施例の場合、燃料ポンプ30から送り出されてエンジンに供給する燃料を所定圧力に調整するためにプレッシャーレギュレータ40から放出された燃料にセンサ基板58が浸漬されていることから、燃料タンク10内の場所によって燃料特性が変化している場合でも、燃料タンク10からエンジンに供給する燃料の特性を計測することができる。またプレッシャーレギュレータ40から放出された燃料を計測用燃料貯蔵室70に受け入れることから、高圧の燃料がセンサ基板58等に作用することがない。センサ基板58等に作用する負荷を軽減することができ、長期間に亘る耐久性を得ることができる。計測用燃料貯蔵室70には大気に開放された状態の低圧燃料しか導入されないことから、オーリング32で簡単に漏れ出すことを防止できる。
以下では燃料タンク10の周辺構造の他の実施例を説明する。ついで静電容量計測装置50の他の実施例を説明する。説明済みの部材と共通ないし類似する部材には共通の番号を付することによって重複説明を省略する。
(燃料タンク10の周辺構造の第2実施例)
図2に示すように、第2実施例では、プレッシャーレギュレータ40がセットプレート12に直接に固定されている。また、プレッシャーレギュレータ40の出口44と静電容量計測装置50の入口56が直結されており、燃料パイプ95が利用されていない。
この実施例によると、プレッシャーレギュレータ40から放出された燃料が静電容量計測装置50に到達するまでの時間が短い。静電容量計測装置50で計測される燃料と、エンジンに供給される燃料がよく均質化されている。
(燃料タンク10の周辺構造の第3実施例)
図3に示すように、第3実施例は、燃料ポンプ30を収容するリザーブカップ20と、リザーブカップ20外の燃料をリザーブカップ20内に送り込むジェットポンプ90を備えている。リザーブカップ20とジェットポンプ90を備えていると、燃料タンク10内の燃料残量が少ない場合でも、燃料ポンプ30の周辺の液位を高く保つことができる。
リザーブカップ20は支柱22によってセットプレート12に固定されている。ジェットポンプ90は、燃料ポンプ30から圧送されてプレッシャーレギュレータ40から放出された燃料の流速を利用してリザーブカップ20外の燃料をリザーブカップ20内に送り込む。例えば、ベンチユリー構造を備えており、ベンチュリーをプレッシャーレギュレータ40から放出された燃料が通過する際に、矢印92に示すように、リザーブカップ20外の燃料をジェットポンプ90内に吸引し、リザーブカップ20外から吸引した燃料をプレッシャーレギュレータ40から放出された燃料とともにリザーブカップ20内に送り込む。
この実施例では、プレッシャーレギュレータ40から放出された燃料を静電容量計測装置50に送り、静電容量計測装置50を通過した燃料を燃料パイプ97からジェットポンプ90に送る。
(燃料タンク10の周辺構造の第4実施例)
図4に示すように、第4実施例では、プレッシャーレギュレータ40から放出された燃料を静電容量計測装置50に送る燃料パイプ95から、燃料をジェットポンプ90に送る燃料パイプ98が分岐している。プレッシャーレギュレータ40から放出された燃料の一部は静電容量計測装置50に送られ、他の一部はジェットポンプ90に送られる。
(燃料タンク10の周辺構造の第5実施例)
図5に示すように、第5実施例では、プレッシャーレギュレータ40から放出された燃料を静電容量計測装置50に送る燃料パイプ95と、プレッシャーレギュレータ40から放出された燃料をジェットポンプ90に送る燃料パイプ98の分岐点に3方弁99が設けられている。3方弁99は、プレッシャーレギュレータ40から放出された燃料の全量を静電容量計測装置50に送る状態と、プレッシャーレギュレータ40から放出された燃料の全量をジェットポンプ90に送る状態を切換える。静電容量(すなわち燃料の誘電率)を計測しない場合には、プレッシャーレギュレータ40から放出された燃料の全量をジェットポンプ90に送ることができ、リザーブカップ20外の燃料をリザーブカップ20内に効率よく送り込むことができる。
(燃料タンク10の周辺構造の第6実施例)
図6に示すように、第6実施例では、一対の電極間の静電容量から燃料タンク10内の液位を計測する液位計測装置80を備えている。液位計測装置80は、液位計測用センサ基板82を備えており、液位計測用センサ基板82には、図9(b)で説明したのとほぼ同様の、一対の櫛歯電極が形成されている。静電容量計測装置50では、一対の櫛歯電極58a,58bの全体が燃料中に浸漬されており、その静電容量は燃料の誘電率で決まる。それに対して、液位計測装置80では、一対の櫛歯電極の一部が燃料中に浸漬されており、残部が燃料から露出している。液位計測装置80の静電容量は、液位によって決まる浸漬部分と露出部分の比率と、燃料の誘電率で決まる。液位計測装置80で計測される静電容量から液位を求めるためには、燃料の誘電率が既知である必要がある。
前記したように、アルコール混合燃料のような場合、アルコール濃度が一定でないことから、給油直後には燃料タンク内の燃料が均質化されていないことがある。そのために、静電容量計測装置50で計測する燃料の質と、液位計測装置80で計測する燃料の質が相違することがある。その場合、静電容量計測装置50で計測した燃料の誘電率を用いて、液位計測装置80で計測した静電容量を液位に換算すると、誤まった液位に換算されてしまう。
その問題を避けるために、第6実施例では、静電容量計測装置50で計測した燃料が液位計測装置80を浸すようにする。そのために、第6実施例では、液位計測装置80を取り囲むケース86を設け、ケース86内に静電容量計測装置50を通過した燃料を戻す。ケース86は、たとえば上端と下端が開放されており、ケース86の内外の液位は等しく維持される。
上記によると、静電容量計測装置50で計測した燃料の質と、液位計測装置80で計測した燃料の質が一致する関係を得ることができる。その結果、静電容量計測装置50で計測した燃料の誘電率を用いて、液位計測装置80で計測した静電容量を液位に換算することによって正しい液位に換算される関係を得ることができる。
図示の84は、液位計測用センサ基板82に接続されている電子回路であり、静電容量計測装置50に接続されている。電子回路84は、液位計測用センサ基板82で得られる静電容量を計測し、静電容量計測装置50で計測した燃料の誘電率を加味して、液位に換算する処理を実施し、換算された液位に比例する値を出力する。電子回路84と液位計測用センサ基板82とケース86は、セットプレート12に固定されている。
ケース86は、上端と下端を開放することでケース86の内外の液位を等しくするものであってもよいし、ケースの壁に垂直方向に伸びるスリットを形成することでケース内外の液位を等しくするものであってもよいし、ケースの壁に垂直方向に配置されている開口群を形成することでケース内外の液位を等しくするものであってもよいし、あるいは不織布などのように燃料透過性を持つ材質で形成することでケース内外の液位を等しくするものであってもよい。
(燃料タンク10の周辺構造の第7実施例)
図7に示す第7実施例は、図4の第4実施例と、図6の第6実施例を複合したものである。
(燃料タンク10の周辺構造の第8実施例)
図8に示す第8実施例は、図3の第3実施例と、図6の第6実施例を複合したものである。第8実施例では、静電容量計測装置50を通過した燃料を、ケース86の下方の位置でケース86に戻す。この方式によると、静電容量計測装置50を通過した燃料が液位計測用センサ基板82の表面を伝って流下することによって計測される液位がずれることを防止できる。
また、矢印92に示すように、ジェットポンプ90はケース86内の燃料をリザーブカップ20内に戻す。これによって、燃料ポンプ30と静電容量計測装置50と液位計測装置80を循環する流れが促進され、静電容量計測装置50で計測した燃料の質と液位計測装置80で計測した燃料の質がよく一致する関係を得ることができる。
(静電容量計測装置50の第2実施例)
図10に示すように、本実施例では、底板68から上方に伸びる筒状の壁63が形成されている。また、図11に示すように、外側の筒壁55と内側の筒壁63の間に、分離壁55aが形成されている。分離壁55aは、入口56と出口57を分離している。
またセンサ基板58は仕切壁64に固定されており、仕切壁64は内側の筒壁63の直径に沿って内側の筒壁63を2室に仕切っている。ただし、仕切壁64の下方は開いている。
本実施例では、プレッシャーレギュレータ40から放出された燃料は、入口56、外側の筒壁55と内側の筒壁63の間の左半分、内側の筒壁63の内側の左半分、仕切壁64の下方を経て、センサ基板58の表面にいたる。これによると、燃料が計測用燃料貯蔵室70をスムースに通過するとともに、燃料に含まれている気泡がセンサ基板58の表面に付着することが防止できる。静電容量から燃料を誘電率を計算する過程に誤差が含まれない。
(静電容量計測装置50の変形例)
図12に示すように、仕切壁64は内側の筒壁63を完全に仕切る必要はなく、両側に間隔が残っている仕切壁64aを採用してもよい。
(静電容量計測装置50の変形例)
図13に示すように、複数個の出口57a,57b,57c,57dを備えていてもよい。
(静電容量計測装置50の第3実施例)
図14,15に示すように、仕切壁64の両面に、センサ基板58Aと58Bを配置してもよい。これによって、計測対象となる静電容量が2倍となり、計測精度が向上する、
(静電容量計測装置50の第4実施例)
この実施例では、図16に示すように、筒壁55の入口56の上方の位置に、開口65を形成する。プレッシャーレギュレータ40から放出される燃料に気泡が混入していることがある。入口56の上方の位置に開口65を設けると、開口65が脱気口となり、燃料に含まれている気泡がセンサ基板58の表面に達することがない。
(静電容量計測装置50の第5実施例)
図17に示すように、内側の筒63はセンサボディ54と一体に形成してもよい。この場合、内側の筒63の上方に開口63a,63bを形成することで、プレッシャーレギュレータ40から放出された燃料が計測用燃料貯蔵室70を通過する関係を得ることができる。
(静電容量計測装置50の第6実施例)
図18に示すように、セットプレート12とは別に底部材66を用意してもよい。底部材66に入口56と出口57を形成しておけば、セットプレート12の形状が過剰に複雑化することを防止できる。
(静電容量計測装置50の第7実施例)
図19に示すように、外側の筒55と内側の筒63の双方を、センサボディ54と一体に形成してもよい。
(静電容量計測装置50の第8実施例)
図20と図21に示すように、内側の筒63内に挿入するセンサ基板58自体を仕切壁とすることもできる。センサ基板58の左右の端部を内側の筒63で支持するようにしてもよい。
(静電容量計測装置50の第9実施例)
図22に示すように、入口56と出口57を同心にすることもできる。この場合、内側の筒の底部68の中心から入口56まで伸びるパイプ56aを形成する。また、内側の筒63の上方に開口63cを設け、燃料が内側の筒63の外側にもれ出るようにする。さらに、底部68を持ち上げ、その下方に位置する筒63に開口63d,63eを形成する。そして外側の筒の底の中心に出口57を設ける。出口57は入口56よりも大径とする。
この実施例の場合、出口57から放出された燃料は、入口56に燃料を導くパイプの外側を伝って流下し、燃料タンク10内の燃料に静かに戻る。静粛性が改善される。
(静電容量計測装置50の第10実施例)
以下の実施例では、プレッシャーレギュレータ40と静電容量計測装置50が一体化され、セットプレート12に固定されている。図2、図8の実施例に対応する。
図23の第10実施例では、プレッシャーレギュレータ40の入口42が下方を向いている。プレッシャーレギュレータ40の出口44と静電容量計測装置50の入口56が直接に連通している。静電容量計測装置50の出口57は、筒状の壁55の上方に形成されている。
(静電容量計測装置50の第11実施例)
図24の第11実施例では、プレッシャーレギュレータ40の入口42が側方を向いている。その他は、図23の実施例と同じである。
(静電容量計測装置50の第12実施例)
図25の第12実施例では、センサ基板58が筒壁63内に収容されており、筒壁63は金属製である。センサ基板58が電磁シールドとなる金属壁63で囲まれているために、周囲の電磁ノイズが静電容量の計測結果に影響を及ぼすことがない。
(静電容量計測装置50の第13実施例)
図26の第13実施例では、静電容量を計測する一対の電極が、内部電極58INと、外部電極58OUTで構成されている。内部電極58INと外部電極58OUTの各々は円柱状の金属製であり、外部電極58OUTは内部電極58INよりも大径である。内部電極58INは外部電極58OUTの内側に同軸に配置されている。内部電極58INと外部電極58OUTの間には円筒状の空間が確保されており、その空間は燃料で満たされている。内部電極58INと外部電極58OUT間の静電容量から、内部電極58INと外部電極58OUTの間の空間を満たしている燃料の誘電率を計測することができる。
燃料の誘電率を計測する一対の電極の形状は、特に制約されない。
(燃料タンク10の周辺構造の第14実施例)
図27の第14実施例では、図4の第4実施例と比較して、パイプ95に、絞り102とストップ弁100とを備える流路調整部101を備える点で相違する。他の構成は、第4実施例と同様であるため、説明を省略する。
絞り102は、パイプ95の流路面積を小さくする。これにより、パイプ95のうち、絞り102が配置されている箇所におけるパイプ95の流路面積を、パイプ98の流路面積よりも小さくすることができる。ストップ弁100は、パイプ95を閉塞する閉塞状態と、パイプ95を開放する開放状態とのいずれかの状態に切り替わる。詳細には、パイプ95内の燃料からストップ弁100に作用する圧力、即ち、パイプ95内の燃料の圧力が所定値(例えば200Pa)未満である場合、ストップ弁100は、閉塞状態に維持される。そして、パイプ95内の燃料が所定値未満から所定値以上に昇圧されると、ストップ弁100は、閉塞状態から開放状態に移行し、パイプ95内の燃料の圧力が所定値以上に維持されている間、ストップ弁100は、開放状態に維持される。この構成によれば、ジェットポンプ90に送られる燃料の圧力が低下することを抑制することができる。なお、変形例では、流路調整部101は、絞り102とストップ弁100のうちの一方のみを備えていてもよい。また、流路調整部101に配置される絞り102及びストップ弁100の個数は限定されない。また、流路調整部101は、ストップ弁100以外に、弁の開閉が電気的に制御される弁等、他の種類の弁であってもよい。
また、パイプ98が分岐している箇所よりも静電容量計測装置50側のパイプ95の内径の少なくとも一部が、パイプ95のその他の部分の内径、及び、パイプ98の内径よりも小さくてもよい。この構成によっても、絞り102を配置する場合と同様の効果を奏することができる。
(燃料タンク10の周辺構造の第15実施例)
図28の第15実施例では、図27の第14実施例と比較して、パイプ95が、燃料ポンプ30のベーパジェット200に接続されている点で相違する。他の構成は、第14実施例と同様であるため、説明を省略する。なお、第15実施例では、図示省略するプレッシャーレギュレータは、パイプ96の中間位置に設けられている。
ベーパジェット200は、燃料ポンプ30内の燃料流路と燃料ポンプ30の外側とを連通する。ベーパジェット200は、燃料ポンプ30内の燃料の気泡を、燃料ポンプ30外に排出するための連通路である。ベーパジェット200から、燃料ポンプ30で昇圧された燃料が排出される。パイプ95には、ベーパジェット200から排出される燃料が流入する。
パイプ98の中間位置には、連通孔104が形成されている。連通孔104は、パイプ98内と燃料タンク10内とを連通する。燃料ポンプ30が駆動してから停止すると、燃パイプ95,98には、燃料が充満している。連通孔104によって、パイプ95,98内の燃料が、ジェットポンプ90から燃料ポンプ30に向かって流れる、いわゆるサイフォン現象を、抑制することができる。
(第14実施例及び第15実施例の変形例)
(1)上記の第14及び第15実施例では、流路調整部101は、パイプ95に配置される。しかしながら、流路調整部は、例えば図29から図31に示すように、セットプレート12に、一体で構成されていてもよい。図29では、流路調整部であるストップ弁202は、計測用燃料貯蔵室70を画定する底68と一体で構成されている。ストップ弁202は、球状の弁体206と、コイルばね204と、筒体203を備える。筒体203は、パイプ95と底68の入口68aとを、連通する。筒体203は、弁体206とコイルばね204とを収容する。弁体206は、コイルばね204によって、パイプ95の端部に向けて付勢されている。パイプ95から所定の圧力が、弁体206に負荷されると、弁体206は、パイプ95の端部から離間し、ストップ弁202は、開弁状態になる。これにより、パイプ95と計測用燃料貯蔵室70とが連通し、計測用燃料貯蔵室70に燃料が流入する。なお、本変形例では、出口57に代えて、筒壁55に、出口208が形成されていてもよい。この構成によれば、流路調整部を、容易に、燃料タンク10内に配置することができる。なお、この場合、絞り102は、パイプ95に設けられていてもよい。
(2)図30では、流路調整部である絞り210は、計測用燃料貯蔵室70を画定する底68と一体で構成されている。絞り210は、パイプ95と底68の入口68aとを、連通する。絞り201の流路面積は、パイプ95の流路面積よりも小さい。この構成によれば、流路調整部を、容易に、タンク10内に配置することができる。なお、この場合、ストップ弁100は、パイプ95に設けられていてもよい。
(3)図31では、流路調整部であるストップ弁212は、筒壁55を収容する収容壁222に配置されている。収容壁222は、セットプレート12と一体で構成されている。収容壁222とセットプレート12とによって、筒壁55を収容する空間219が形成される。収容壁222は、筒壁55の下端を閉塞する。収容壁222は、パイプ95に接続される燃料通路224を備える。燃料通路224は、開口214を介して、空間219に連通している。なお、開口214の流路面積は、燃料通路224の流路面積よりも小さい。即ち、開口214は、絞りの機能を有する。これにより、開口214は、燃料通路224と開口214内の燃料の圧力を減少させる。この構成によれば、燃料通路224と開口214とを、容易に、燃料タンクに設置することができる。また、燃料通路224には、ストップ弁212が配置されている。ストップ弁212の構成は、ストップ弁202と同様である。燃料通路224から所定の圧力が、ストップ弁212の弁体に負荷されると、ストップ弁212は開弁状態になる。これにより、燃料通路224と空間219とが連通し、空間219に燃料が流入する。空間219に流入した燃料は、筒壁55に形成された開口216を通過して、計測用燃料貯蔵室70に流入し、筒壁55に形成された開口218及び収容壁222に形成された開口220を通過して、空間219外に排出される。なお、この場合、絞り102は、燃料パイプ95に設けられていてもよい。
(燃料タンク10の周辺構造の第16実施例)
図32の第16実施例では、図1の第1実施例と比較して、パイプ96に、計測用燃料貯留室70が連通している点で相違する。なお、第16実施例では、図示省略したプレッシャーレギュレータから排出される燃料は、計測用燃料貯留室70を通過せずに、燃料タンク10内に排出される。
図33に示すように、セットプレート12には、収容壁322が一体に取り付けられている。収容壁322は、図31の収容壁222と同様の構成を備える。即ち、収容壁322は、分岐路324と、ストップ弁312と、開口314,316,318,320を備える。また、収容壁322は、収容壁322を貫通する連通路325を備える。パイプ96の燃料は、連通路325を通過して、燃料タンク12外に放出され、エンジンに供給される。分岐路324は、連通路325から分岐する。分岐路324は、燃料通路224と同様に、開口314を介して、空間319に連通している。開口314の流路面積は、分岐路324の流路面積を小さくする。これにより、開口214は、分岐路324内の燃料の圧力を減少させる。分岐路324のストップ弁312では、分岐路324から所定の圧力が、ストップ弁312の弁体に作用すると、ストップ弁312は開弁状態になる。これにより、分岐路324と空間319とが連通し、空間319に燃料が流入する。ストップ弁312によって、連通路325を通ってエンジンに供給される燃料の圧力の低下を抑制することができる。空間319に流入した燃料は、筒壁55に形成された開口316を通過して、計測用燃料貯蔵室70に流入し、筒壁55に形成された開口318及び収容壁322に形成された開口320を通過して、空間319外に排出される。なお、変形例では、ストップ弁312は、配置されていなくてもよい。
(第16実施例の変形例)
第16実施例では、パイプ96から分岐して、計測用燃料貯蔵室70に至る燃料の流路は、セットプレート12と一体の収容壁322によって形成される。しかしながら、パイプ96から分岐して、計測用燃料貯蔵室70に至る燃料の流路は、セットプレート12と一体に形成されていなくてもよい。例えば、計測装置は、パイプ96の中間位置から、計測用燃料貯蔵室70に伸びるパイプを配置してもよい。この場合、パイプには、ストップ弁と絞りの少なくとも一方が備えられていてもよい。
(変形例)
(1)上記の第14から第16実施例の計測装置50,300は、液位計測装置80を備えていてもよい。この場合、計測用燃料貯蔵室70から排出される燃料を、液位計測装置80のケース86に流入させてもよい。
(2)上記の各実施例の電極は、上記の各実施例に記載された電極に限られない。例えば、電極は、一対の筒状の電極であってもよいし、一対の平板の電極であってもよい。
(3)上記の第14、第15実施例では、静電容量計測装置50に燃料を送るパイプ95から、燃料をジェットポンプ90に送るパイプ98が分岐している。しかしながら、パイプ95は、分岐していなくてもよい。
(4)上記の第14から第15実施例では、パイプ95とパイプ98との分岐点に三方弁が配置されていてもよい。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10:燃料タンク
12:セットプレート
20:リザーブカップ
22:支柱
30:燃料ポンプ
32:低圧フィルタ
34:ポンプ本体
36:高圧フィルタ
38:出口
40:プレッシャーレギュレータ
42:入口
44:出口
50:静電容量計測装置
51:ターミナルピン
52:回路基板
53:蓋
54:センサボディ
55:筒状壁
55a:分離壁
56:入口
57:出口
58:センサ基板
58a,58b:櫛歯電極
58A:表面側センサ基板
58B:裏面側センサ基板
59:導電片
60:サーミスタ
61:導電片
62:オーリング
63:筒
63a,63b,63c,63d,63e:開口
64:仕切壁
65:脱気口
66:底部材
68:底
69:筒状壁
70:計測用燃料貯蔵室
80:液位計測装置
82:液位計測用センサ基板
84:電子回路
86:ケース
90:ジェットポンプ
92:ジェットポンプが吸引する燃料の流れ
93,94,95,96,97,98:燃料パイプ
99:3方弁

Claims (20)

  1. 燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料の特性を計測する計測装置であり、
    燃料を貯蔵しておく燃料タンクと、
    燃料タンク内の燃料を吸引して燃焼機器に向けて圧送する燃料ポンプと、
    燃料ポンプから燃料タンク内に燃料を放出する燃料放出部と、
    燃料放出部から放出され、燃料タンクに開放された状態の低圧燃料を受け入れる計測用燃料貯蔵室と、
    計測用燃料貯蔵室内に配置されており、静電容量を計測する一対の電極と、
    を備える燃料特性の計測装置。
  2. 燃料放出部は、燃料ポンプと燃焼機器の間にあって、過剰な燃料を放出することによって燃焼機器に向けて圧送する燃料の圧力を所定圧力に調整するプレッシャーレギュレータを備える、請求項1に記載の計測装置。
  3. 燃料放出部は、
    燃料ポンプから燃焼機器に燃料を供給する燃料供給管から分岐する分岐路と、
    分岐路内の燃料の圧力を減少させる減圧部と、を備える、請求項1又は2に記載の計測装置。
  4. 燃料放出部は、燃料ポンプ内のベーパを、燃料ポンプから燃料タンク内に排出するために、燃料ポンプに配置されるベーパジェットから燃料タンク内に伸びる放出路を、備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の計測装置。
  5. 計測用燃料貯蔵室が、燃料ポンプの停止時に計測用燃料貯蔵室から燃料が抜け出さない燃料保持機能を備えた形状である請求項1から4のいずれか1項に記載の計測装置。
  6. 計測用燃料貯蔵室が、一対の電極を収容している有底の筒を備える請求項5の計測装置。
  7. 一対の電極を電磁シールドが取囲んでいる請求項1〜6のいずれか1項に記載の計測装置。
  8. 計測用燃料貯蔵室と一対の電極が、燃料タンクに形成されている開口を塞ぐセットプレートに固定されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の計測装置。
  9. 燃料タンク内にあって燃料ポンプを収容しているリザーブカップと、
    燃料放出部から放出された燃料の流速を利用してリザーブカップ外の燃料をリザーブカップ内に送るジェットポンプと、
    燃料放出部から計測用燃料貯蔵室を経てジェットポンプに至る流路と、
    を備える請求項1〜8のいずれか1項に記載の計測装置。
  10. 燃料タンク内にあって燃料ポンプを収容しているリザーブカップと、
    燃料放出部から放出された燃料の流速を利用してリザーブカップ外の燃料をリザーブカップ内に送るジェットポンプと、
    燃料放出部から計測用燃料貯蔵室に至る第1の流路と、燃料放出部からジェットポンプに至る第2の流路を備える請求項1〜8のいずれか1項に記載の計測装置。
  11. 第1の流路と第2の流路の分岐点に3方弁を備える請求項10の計測装置。
  12. 第1の流路の少なくとも一部は、第2の流路よりも流路面積が小さい、請求項10又は11に記載の計測装置。
  13. 第1の流路に配置され、弁及び絞りの少なくとも一方を備える流路調整部を備える請求項10から12のいずれか1項に記載の計測装置。
  14. 流路調整部は、燃料タンクに形成されている開口を塞ぐセットプレートと一体で構成されている、請求項13に記載の計測装置。
  15. 第2の流路の中間位置に、第2の流路と燃料タンクを連通する連通孔を備える請求項10から14のいずれか1項に記載の計測装置。
  16. 分岐路と減圧部とは、燃料タンクに形成されている開口を塞ぐセットプレートと一体で構成されている、請求項3に記載の計測装置。
  17. 分岐路に配置され、燃料から弁装置に負荷される圧力が所定値未満の場合に、燃料放出経路を閉塞し、燃料から弁装置に負荷される圧力が所定値以上の場合に、燃料放出経路を開放する弁装置を、さらに備える請求項16に記載の計測装置。
  18. 液位計測装置と、
    液位計測装置を収容しているとともに、内外の液位を等しくする燃料透過性を備えているケースと、
    燃料放出部から計測用燃料貯蔵室を経てケースに至る流路を備える請求項1〜17のいずれか1項に記載の計測装置。
  19. 燃料タンク内にあって燃料ポンプを収容しているリザーブカップと、
    燃料放出部から放出された燃料の流速を利用してリザーブカップ外の燃料をリザーブカップ内に送るジェットポンプと、
    燃料放出部から計測用燃料貯蔵室を経てジェットポンプに至る流路と、を備え、
    ジェットポンプの吸引口がケース内に連通している請求項18に記載の計測装置。
  20. 燃料タンクから燃焼機器に供給する燃料の特性を計測する計測装置であり、
    燃料タンク内の燃料を吸引して燃焼機器に向けて圧送する燃料ポンプと、
    燃料ポンプから燃料タンク内に燃料を放出する燃料放出部と、
    燃料放出部から放出され、燃料タンクに開放された状態の低圧燃料を受け入れる計測用燃料貯蔵室と、
    計測用燃料貯蔵室内に配置されており、静電容量を計測する一対の電極と、
    を備える計測装置。
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