JP5983194B2 - データ処理方法、データ処理プログラム、及びデータ処理装置 - Google Patents
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Description
当該方法は、具体的には、タイヤ断面形状が異なる複数のタイヤ基準断面形状を定め、このタイヤ基準断面形状のそれぞれに、重み付けのための重み強度(重み付け係数)を用いてタイヤ基準断面形状を線形的に加算することにより、タイヤ断面形状の各設計案(試行タイヤ断面形状)を定めることができる。この設計案に対して、タイヤの特性値を求めるための関数Fを複数種類定める。タイヤの特性値は、例えば、タイヤの操縦安定性の指標となるスリップ角1度における横力であるCP(コーナリングパワー)や乗心地性能の指標となるタイヤの1次固有振動数等である。
より具体的には、当該方法は、上記重み強度を種々変化させることによりタイヤ断面形状の設計案を種々変更しながら、そのときの関数Fの各値を求める。タイヤ断面形状の設計案の変更の際、例えば多目的GA(遺伝的アルゴリズム)を用いてパレート解が探索される。
図9は、図8に示す方法で定められるタイヤ断面形状において得られるタイヤの特性値(横剛性及び転がり抵抗の値)をプロットした散布図である。具体的には、重み強度φ1、φ2、・・・φnの各値が、予め定められた許容範囲の下、実験計画法に従って設定されて試行タイヤ断面形状が定められる。この試行タイヤ断面形状の特性値(横剛性とタイヤの転がり抵抗の値)がコンピュータによるシミュレーション計算により算出されて、横軸に横剛性の値、縦軸に転がり抵抗の値が散布図上にプロットされている。
このように、図10によれば、横剛性及び転がり抵抗が良好なパレート解を探索することができるが、依然として見出したパレート解では、横剛性及び転がり抵抗の特性値が予め定めた目標特性値を満足しない場合がある。
このような場合、従来の公知の方法では、更なる良好な特性値を見出すことができない。
コンピュータが、物品の複数の設計変数の、予め設定された許容範囲内の値を入力変数の値とし、この設計変数の値に基いて作られる物品の複数の特性に関する特性値を出力値とする、前記設計変数の値と前記特性値との間の非線形関係を規定する第1ステップと、
規定した前記非線形関係を用いて、前記コンピュータが、前記許容範囲内の前記設計変数の値と前記特性値の組からなる試行サンプリングデータを複数組生成することにより、前記物品の特性に関するパレート解を算出する第2ステップと、
前記コンピュータが、前記試行サンプリングデータの中の、前記パレート解を除いたデータ群から少なくとも1組のデータを参照点のデータとして選択して、前記パレート解のいずれか1つの解と前記参照点との間の前記特性値の変化に貢献する前記物品の設計変数の種類を、前記複数の設計変数の中から導出する第3ステップと、
前記コンピュータが、導出した前記特性値の変化に貢献する前記物品の設計変数の種類に関して、前記許容範囲の外側を含むように前記許容範囲を拡張した範囲を再設定して、前記物品の複数の設計変数の値を変更しながら、変更した設計変数の値に基いて作られる前記物品の複数の特性に関する特性値を再取得することにより、目標特性値を満足する前記物品の設計変数の値を探索する第4ステップと、
前記設計変数の値の探索結果を前記コンピュータが出力装置に出力する第5ステップと、を有する。
物品の複数の設計変数の、予め設定された許容範囲内の値を入力変数の値とし、この設計変数の値に基いて作られる物品の複数の特性に関する特性値を出力値とする、前記設計変数の値と前記特性値との間の非線形関係を、コンピュータに規定させる手順と、
規定した前記非線形関係を用いて、前記許容範囲内の前記設計変数の値と前記特性値の組からなる試行サンプリングデータを、前記コンピュータに複数組生成させることにより、前記物品の特性に関するパレート解を前記コンピュータに算出させる手順と、
前記コンピュータに、前記試行サンプリングデータの中の、前記パレート解を除いたデータ群から少なくとも1組のデータを参照点のデータとして選択させて、前記参照点と前記パレート解のいずれか1つの解との間の前記特性値の変化に貢献する前記物品の設計変数の種類を、前記複数の設計変数の中から導出させる手順と、
前記コンピュータに、導出した前記設計変数の種類に関して、前記許容範囲の外側を含むように前記許容範囲を拡張した範囲を再設定させて、前記物品の複数の設計変数の値を変更させながら、変更した設計変数の値に基いて作られる前記物品の複数の特性に関する特性値を再取得させることにより、目標特性値を満足する前記物品の設計変数の値を探索させる手順と、
前記設計変数の値の探索結果を出力装置に出力させる手順と、を有する。
物品の複数の設計変数の、予め設定された許容範囲内の値を入力変数の値とし、この設計変数の値に基いて作られる物品の複数の特性に関する特性値を出力値とする、前記設計変数の値と前記特性値との間の非線形関係を規定する非線形関係規定ユニットと、
規定した前記非線形関係を用いて、前記許容範囲内の前記設計変数の値と前記特性値の組からなる試行サンプリングデータを複数組生成することにより、前記物品の特性に関するパレート解を算出するパレート解算出ユニットと、
前記試行サンプリングデータの中の、前記パレート解を除いたデータ群から少なくとも1組のデータを参照点のデータとして選択して、前記参照点と前記パレート解のいずれか1つの解との間の前記特性値の変化に貢献する前記物品の設計変数の種類を、前記複数の設計変数の中から導出する設計変数導出ユニットと、
導出した前記設計変数の種類に関して、前記許容範囲の外側を含むように前記許容範囲を拡張した範囲を再設定して、前記物品の複数の設計変数の値を変更しながら、変更した設計変数の値に基いて作られる前記物品の複数の特性に関する特性値を再取得することにより、目標特性値を満足する前記物品の設計変数の値を探索する探索ユニットと、
前記設計変数の値の探索結果を出力装置に出力する出力ユニットと、を有する。
本実施形態のデータ処理方法の一例では、上述した図8及び図9に示す方法を経て、図10に示すような非線形関数である非線形近似式を用いた試行サンプリングデータを多数生成し、パレート解を探索する。このとき、図10に示すようなパレート解が見出されたとしても、このパレート解のいずれもが、タイヤ特性の特性値がオペレータの設定した目標特性値を満足しない場合がる。この場合、以下の処理が施される。
(1)非線形関数を用いて生成される図10に示す複数の試行サンプリングデータの中の、パレート解を除いたデータ群から少なくとも1組のデータを参照点のデータとして選択する。この参照点とパレート解のいずれか1つの解との間のタイヤ特性の特性値の変化に貢献するタイヤの設計変数である重み強度φ1、φ2、・・・φn(は3以上の整数)の種類(φ1、φ2、・・・φn)を、重み強度φ1、φ2、・・・φnの中から導出する。
(2)この後、導出した重み強度、例えば重み強度φ1を導出した場合、重み強度φ1に関してのみ、予め定めた重み強度φ1のとり得る値の許容範囲の外側を含むように許容範囲を拡張した範囲を再設定して、重み強度φ1、φ2、φ3、・・・の値をそれぞれ再設定した範囲あるいは予め定めた許容範囲内で変更しながら、変更した重み強度φ1、φ2、φ3、・・・に基いて作られるタイヤの複数のタイヤ特性(横剛性及び転がり抵抗)に関する特性値を再取得する。これにより、特性値が目標特性値を有する重み強度φ1、φ2、φ3、・・・の値を探索する。
(3)最後に、重み強度φ1、φ2、φ3、・・・の探索結果を出力装置に出力する。
図1は、本実施形態のデータ処理方法を実施するデータ処理装置の一例を示すブロック構成図である。
図1に示すデータ処理装置(以降、装置という)10は、タイヤの設計変数のデータである重み強度φ1、φ2、・・・φnと、この重み強度φ1、φ2、・・・φnに基いて作られるタイヤ特性の特性値とを用いて、与えられた特性の特性値が目標特性値を有するようなタイヤの重み強度φ1、φ2、・・・φnの値を探索する。装置10は、コンピュータを用いて形成される。すなわち、コンピュータに記憶されたプログラムを呼び出して起動することにより、ソフトウェアモジュールが生成されて、コンピュータが装置10として機能する。
具体的には、装置10は、CPU12と、ROM、RAM等のメモリ14と、入出力部16と、を含む。入出力部16は、入力操作デバイス32および出力装置(ディスプレイあるいはプリンタ)34と接続されている。装置10は、メモリ14に記憶されたプログラムを起動することによって、本実施形態のデータ処理方法を実施するための処理モジュール18を形成する。
メモリ14は、本実施形態のデータ処理方法を実施するデータ処理プログラムを記憶する他、後述するタイヤ特性毎のサンプリングデータを多数記憶している。
各種条件の設定には、設計変数の種類の設定、タイヤ特性の種類の設定、設計変数の値の許容範囲の設定、及び、目標とするタイヤ特性の特性値(目標特性値)の設定等を含む。
設計変数の種類の設定とは、図8〜図10に示す例では、複数のタイヤ基準断面形状A1、A2、・・・Am(mは、n以上の整数)の中からタイヤ基準断面形状A1、A2、・・・Anを少なくとも1つ選択して設定することをいう。
設計変数の値の許容範囲の設定とは、上述した例の場合、選択されたタイヤ基準断面形状A1、A2、・・・Anに用いる重み強度φ1、φ2、・・・φnの各値のとり得る範囲を設定することをいう。
目標とするタイヤ特性の特性値の設定とは、例えばタイヤ特性として横剛性及び転がり抵抗を設定した場合、横剛性と転がり抵抗それぞれの目標特性値の設定をいう。この設定情報は、メモリ14に記憶される。
具体的には、非線形関数規定ユニット22は、設定された重み強度φ1、φ2、・・・φnの値のとり得る許容範囲内で、重み強度φ1、φ2、・・・φnの値とこの値に基いて作られるタイヤの複数のタイヤ特性に関する特性値とを組とした複数組のサンプリングデータを、メモリ14から呼び出して取得して、重み強度φ1、φ2、・・・φnのデータとタイヤ特性値との間の非線形関係を規定する。非線形関数の規定は、本実施形態では、サンプリングデータを用いて、非線形の式を用いた応答曲面法を利用して非線形近似式を定める。応答曲面法には、高次多項式等の非線形近似式を用いた非線形近似法の他に、クリギング法、ガウシアンプロセスを用いた方法、あるいは動径基底関数を用いた方法等が含まれる。
規定された非線形関係の情報は、メモリ14に記憶される。
設計変数導出ユニット26は、上記基準点Oとパレート解の点である点P1、P2、P3・・・との間をそれぞれ直線で結び、これらの直線のそれぞれを2等分する位置に最も近い、試行サンプリングデータの点を参照点R1、R2、R3、・・・として定める。
さらに、設計変数導出ユニット26は、参照点R1、R2、R3、・・・における重み強度φ1、φ2、・・・φnの値をそれぞれ取り出し、さらに、パレート解の点P1、P2、P3、・・・における重み強度φ1、φ2、・・・φnの値をそれぞれ取り出す。
差分ΔF1及び差分ΔF2と、差分Δφ1、Δφ2、・・・Δφnとの間の相関係数を算出するとともに、下記式(1)、(2)に示すような重回帰分析により重回帰式を算出する。なお、式(1)、(2)は定数α0、β0を含む重回帰式でもよい。
設計変数導出ユニット26は、算出した相関係数の値が、予め定められた閾値より高い重み強度の種類(重み強度φ1、φ2、・・・あるいはφn)を、タイヤ特性値の変化に貢献する重み強度の種類として導出する。もしくは、各々の重み強度において、そのとり得る許容範囲が異なる場合、重回帰分析結果の入出力値の範囲を正規化することにより重み強度んお寄与度を算出し、その最も大きいものを少なくとも導出するようにしてもよい。重み強度の導出は、1種類でもよく、あるいは複数種類でもよい。この導出では、横剛性及び転がり抵抗のそれぞれについて行われる。このとき、いずれのタイヤ特性(横剛性及び転がり抵抗)についても重み強度の値の増加(あるいは減少)により良好にする重み強度の種類を確実に得ることができる。パレート解は、予め定められた重み強度の値のとり得る許容範囲によって制限されていることにより生成される場合が多いので、この許容範囲を広げることにより、タイヤ特性を向上させることができる。また、設計変数導出ユニット26は、重み強度を大きくすることによりタイヤ特性が向上するのか、重み強度を小さくすることによりタイヤ特性が向上するのかを、重回帰式における回帰係数を利用して判定する。
得られた重み強度の種類および上記判定の結果の情報は、メモリ14に記憶される。
したがって、導出された重み強度の種類に対する値の許容範囲を再設定することにより、図4に示すようにパレート解が、目標特性値とするタイヤ特性の領域Aに位置するように、タイヤ特性の向上する方向にパレート解を拡げることができる。図4は、パレート解が拡がる様子を説明する図である。
探索ユニット28は、この探索において、依然として、目標特性値を有するような重み強度φ1、φ2、・・・φnの値が見出せない場合、再設定した範囲の外側にさらに値のとり得る範囲を含むように、再設定した範囲を拡張して範囲を再設定して、重み強度φ1、φ2、・・・φnの値の変更とタイヤ特性の特性値の再取得を再度行う。この再取得は、多目的遺伝的アルゴリズム、焼きなまし法、あるいは粒子群最適化法等の多目的最適化計算を用いる。
タイヤ特性値の変化に貢献する重み強度φ1、φ2、・・・φnの値のとり得る範囲を繰り返し設定することにより、タイヤ特性の特性値が目標とする目標特性値を満足するような重み強度φ1、φ2、・・・φnの値を探索することができる。目標とする目標特性値を満足する重み強度φ1、φ2、・・・φnの値の情報はメモリ14に記憶される。
以上が、タイヤを物品の具体例としたときのデータ処理装置10の説明である。
以下、本実施形態のデータ処理方法を説明する。以降の説明では、タイヤを具体的な物品の一例とすることなく、一般的な物品の形態を用いて説明する。
図5は、本実施形態のデータ処理方法のフローチャートである。
まず、設定ユニット20は、データ処理を行うための設計変数、設計変数の値のとり得る許容範囲、目標特性(物品の特性の種類、物品の特性の目標値)等の情報が、オペレータによる入力操作デバイス32を通じた入力により設定される(ステップS10)。上述したタイヤの例の場合、重み強度の種類の設定、重み強度の値の許容範囲の設定、タイヤ特性の種類の設定、及び、目標とするタイヤ特性の特性値(目標特性値)の設定等が行われる。
多目的最適化計算は、例えば、多目的GA、焼きなまし法、あるいは粒子群最適化法等の進化的計算手法を含む。導出した設計変数の種類における予め定めた許容範囲の外側を含むように許容範囲を拡張した新たな範囲を再設定するとき、特性値がより目標特性値に近づく方向に上記範囲を拡張するように再設定する。このとき許容範囲の外側に拡張する部分は、予め定めた数値分の範囲とする。再設定する範囲を拡げ過ぎると、例えば、応答曲面法を用いた多目的最適化計算を行う場合において、多峰性のある設計空間であった場合に応答曲面による近似精度が低下するため、パレート解以外にあり得る最適値を見落とす場合があるので、好ましくない。
このように、探索ユニット28は、導出した設計変数の種類に関して予め定めた許容範囲の外側を含むように許容範囲を拡張した、新たな値のとり得る範囲を再設定するので、特性値が目標特性値を有するように、例えば、図4に示すような目標特性値の好ましい領域Aに位置するように、パレート解あるいは最適解を見出すことができる。
探索ユニット28は、見出したパレート解あるいは最適解の特性値が、目標特性値を有するか否か、すなわち、特性を満足する設計変数の値が見出されたか否かを判断する(ステップS70)。この判断が否定された場合、探索ユニット28は、導出した設計変数の種類に関して、再設定した値のとり得る範囲を更に再設定する(ステップS70)。
このようにして、範囲が再設定された後、ステップS50、ステップS60、及びステップS70が繰り返される。こうして、ステップS70が肯定されるまで、探索ユニット28は、範囲の再設定(ステップS50)を繰り返して、特性を満足する(特性値が目標値を有する)設計変数の値を探索する。
まず、探索ユニット28は、非線形関数規定ユニット22と同様の方法で、実験計画法に従って設計変数の値を変更しながら非線形関数により求められる設計変数の値に対するタイヤ等の物品の特性値を表すサンプリングデータを複数取得する(ステップS61)。実験計画法を用いて変更される設計変数の値は、値のとり得る範囲を再設定した設計変数に関しては上記再設定した範囲の中で、さらに、値のとり得る範囲を再設定していない設計変数については予め定められた許容範囲の中で、変更される。
このように、図6に示すフローでは、設計変数の値の範囲を再設定したとしても、非線形関数を表す近似式を精度良く算出するので、物品の特性を満足するときの設計変数の値を精度良く求めることができる。
本実施形態では、図2に示すように基準点Oとパレート解との間に、複数の参照点R1、R2、R3を設定して、物品の特性の変化に貢献する設計変数の種類を導出するが、図7(a)〜(c)に示すように、参照点の設定は種々可能である。図7(a)〜(c)は、参照点の設定の他の例を説明する図である。
図7(b)に示す例では、設計変数導出ユニット26は、例えば3つの参照点R1、R2、R3を設定し、パレート解に至る特性値の変化がいずれも同じ変化量であるように(ΔF1、ΔF2の量がいずれも同じ)パレート解を参照点R1、R2、R3のそれぞれに対応させて設定する。あるいは、設計変数導出ユニット26は、3つの参照点R1、R2、R3からパレート解に向かう特性値の変化量(ΔF1、ΔF2の量)をベクトル成分とするベクトルを想定したとき、このベクトルが、パレート解のパレートフロントの通る方向に直交するように、パレート解を選択してもよい。すなわち、図7(b)に示す白い太線の矢印が、パレートフロントを形成する直線に略直交するように、パレート解が選択されてもよい。
さらに、図7(c)に示す例のように、1つの参照点R1とパレート解のパレートフロントの両端点との間の設計変数の値の変化量に対する特性値の変化量を用いて、物品の特性の変化に貢献する設計変数の種類を導出することが好ましい。すなわち、パレート解のうち特性のそれぞれが最も良い解を、物品の設計変数の種類を導出する際に用いることが好ましい。この場合、パレートフロントの両端点の他に、パレートフロントに位置する複数のパレート解を用いるとよい。少なくとものパレートフロントの両端点を用いることにより、物品の特性の変化に貢献する設計変数の種類を精度よく導出することができる。なお、図7(a)や図7(c)に示すように参照点が1点である場合、上記実施形態のように基準となる点を参照点R1として用いてもよく、図7(b)に示すように参照点が複数ある場合、その中の1点を基準となる点に用いてもよい。
このようなデータ処理方法を実行し、データ処理装置10を形成するコンピュータに実行させるプログラムは、以下の手順を有する。すなわち、当該プログラムは、
(A)物品の複数の設計変数の、予め設定された許容範囲内の値を入力変数の値とし、この設計変数の値に基いて作られる物品の複数の特性に関する特性値を出力値とする、前記設計変数の値と前記特性値との間の非線形関係を、コンピュータ(例えばCPU12)に規定させる手順と、
(B)規定した前記非線形関係を用いて、前記許容範囲内の前記設計変数の値と前記特性値の組からなる試行サンプリングデータを、前記コンピュータに複数組生成させることにより、前記物品の特性に関するパレート解を前記コンピュータに算出せせる手順と、
(C)前記コンピュータに、前記試行サンプリングデータの中の、前記パレート解を除いたデータ群から少なくとも1組のデータを参照点のデータとして選択させて、前記参照点と前記パレート解のいずれか1つの解との間の前記特性値の変化に貢献する前記物品の設計変数の種類を、前記複数の設計変数の中から導出させる手順と、
(D)前記コンピュータに、導出した前記設計変数の種類に関して、前記許容範囲の外側を含むように前記許容範囲を拡張した範囲を再設定させて、前記物品の複数の設計変数の値を変更させながら、変更した設計変数の値に基いて作られる前記物品の複数の特性に関する特性値を再取得させることにより、目標特性値を満足する前記物品の設計変数の値を探索させる手順と、
(E)前記設計変数の値の探索結果をプリンタやディスプレイ等の出力装置に出力させる手順と、を有する。
また、設計変数導出ユニット26は、参照点とパレート解との間の特性の変化に貢献する物品の設計変数の種類を、参照点とパレート解との間の設計変数の値の変化量と、特性値それぞれの変化量との間の相関分析を行うことにより導出する。したがって、設計変数導出ユニット26は、参照点とパレート解との間の特性の変化に貢献する物品の設計変数の種類を精度良く導出することができる。
探索ユニット28は、設計変数の値を入力変数の値とし物品の特性値を目的関数とした多目的最適化計算を行うので、目標特性値を満足する物品の設計変数の値を効率よく探索することができる。また、目標特性値を満足する物品の設計変数の値が見出せない場合、探索ユニット28は、再設定した値の範囲の外側を含むように再設定した値の範囲を拡張した範囲を更に再設定して、物品の複数の設計変数の値の変更と特性値の再取得を再度行う。したがって、探索ユニット28は、目標特性値を満足する物品の設計変数の値を、従来に比べて確実に見出すことができる。
本実施形態では、物品としてタイヤを具体例としたが、タイヤに限定されるわけではなく、タイヤ以外の構造体にも適用できる。この場合、設計変数は、構造体の形状パラメータ、あるいは構造体の寸法パラメータを含むことができる。
なお、物品がタイヤである場合、予め用意するタイヤ基準断面形状としてタイヤの固有振動モードのタイヤ断面の変形形状を用い、この変形形状を重ね合わせることで得られる種々のタイヤ断面形状を有する試行空気入りタイヤを用いて、最適なタイヤ断面形状を有する試行空気入りタイヤを探索することができる。この場合、設計変数は、固有振動モードのタイヤ断面の変形形状を重ね合わせるときに用いる重み強度の値を用いることができる。これにより、規定の仕方が難しいタイヤ断面形状を種々の形状に変化させたタイヤ断面形状を作成することができ、試行空気入りタイヤを容易に作製することができる。
12 CPU
14 メモリ
16 入出力部
18 処理モジュール
20 設定ユニット
22 非線形関数規定ユニット
24 パレート解算出ユニット
26 設計変数導出ユニット
28 探索ユニット
30 出力ユニット
32 入力操作デバイス
34 出力装置
Claims (12)
- 物品の設計変数の値と、この設計変数の値に基いて作られる物品の特性の特性値とを用いて、コンピュータが、当該特性を最適にする物品の設計変数を探索するデータ処理方法であって、
コンピュータが、物品の複数の設計変数の、予め設定された許容範囲内の値を入力変数の値とし、この設計変数の値に基いて作られる物品の複数の特性に関する特性値を出力値とする、前記設計変数の値と前記特性値との間の非線形関係を規定する第1ステップと、
規定した前記非線形関係を用いて、前記コンピュータが、前記許容範囲内の前記設計変数の値と前記特性値の組からなる試行サンプリングデータを複数組生成することにより、前記物品の特性に関するパレート解を算出する第2ステップと、
前記コンピュータが、前記試行サンプリングデータの中の、前記パレート解を除いたデータ群から少なくとも1組のデータを参照点のデータとして選択して、前記パレート解のいずれか1つの解と前記参照点との間の前記特性値の変化に貢献する前記物品の設計変数の種類を、前記複数の設計変数の中から導出する第3ステップと、
前記コンピュータが、導出した前記設計変数の種類に関して、前記許容範囲の外側を含むように前記許容範囲を拡張した範囲を再設定して、前記物品の複数の設計変数の値を変更しながら、変更した設計変数の値に基いて作られる前記物品の複数の特性に関する特性値を再取得することにより、目標特性値を満足する前記物品の設計変数の値を探索する第4ステップと、
前記設計変数の値の探索結果を前記コンピュータが出力装置に出力する第5ステップと、を有することを特徴とするデータ処理方法。 - 前記第2ステップでは、前記非線形関係を用いて、前記設計変数の値を入力変数の値とし前記物品の特性値を目的関数とした多目的最適化計算を行うことにより、前記パレート解を算出する、請求項1に記載のデータ処理方法。
- 前記第3ステップでは、前記参照点と前記パレート解との間の前記特性の変化に貢献する前記物品の設計変数の種類を、前記参照点と前記パレート解との間の前記設計変数の値の変化量と、前記特性値それぞれの変化量との間の相関分析を行うことにより導出する、請求項1または2に記載のデータ処理方法。
- 前記第4ステップでは、前記設計変数の値を入力変数の値とし前記物品の特性値を目的関数とした多目的最適化計算を行うことにより、前記目標特性値を満足する前記物品の設計変数の値を探索する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ処理方法。
- 前記第4ステップにおいて、前記目標特性値を満足する前記物品の設計変数の値が見出せない場合、再設定した前記範囲の外側を含むように再設定した前記範囲を拡張した範囲を更に再設定して、前記物品の複数の設計変数の値の変更と前記特性値の再取得を再度行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のデータ処理方法。
- 前記第3ステップでは、前記パレート解が複数あるとき、前記パレート解のうち前記特性のそれぞれが最も良い解を、前記物品の設計変数の種類を導出する際に用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデータ処理方法。
- 前記第1ステップでは、実験計画法を用いて前記設計変数の値と前記特性値の組からなるサンプリングデータを取得し、前記サンプリングデータから、前記設計変数の値に対する前記物品の特性値の応答曲面を算出することで、前記非線形関係を規定する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のデータ処理方法。
- 前記第4ステップでは、前記設計変数の値の変更と、前記物品の複数の特性に関する特性値の再取得をした後、変更した前記設計変数の値と再取得した前記特性値との間の非線形関係を再規定し、再規定した前記非線形関係を用いて、目標特性値を満足する前記物品の設計変数の値を探索する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のデータ処理方法。
- 前記物品は、構造体であり、
前記設計変数は、前記構造体の形状パラメータ、あるいは前記構造体の寸法パラメータを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のデータ処理方法。 - 前記構造体は、空気入りタイヤであり、
前記空気入りタイヤの固有振動モードのタイヤ断面の変形形状を重ね合わせることで得られる種々のタイヤ断面形状を有する試行空気入りタイヤを用いて、最適なタイヤ断面形状を有する試行空気入りタイヤを探索し、
前記設計変数は、前記固有振動モードのタイヤ断面の変形形状を重ね合わせるときに用いる重み強度の値である、請求項9に記載のデータ処理方法。 - 物品の設計変数の値と、この設計変数の値に基いて作られる物品の特性の特性値とを用いて、コンピュータに、当該特性を最適にする物品の設計変数を探索させるデータ処理プログラムであって、
物品の複数の設計変数の、予め設定された許容範囲内の値を入力変数の値とし、この設計変数の値に基いて作られる物品の複数の特性に関する特性値を出力値とする、前記設計変数の値と前記特性値との間の非線形関係を、コンピュータに規定させる手順と、
規定した前記非線形関係を用いて、前記許容範囲内の前記設計変数の値と前記特性値の組からなる試行サンプリングデータを、前記コンピュータに複数組生成させることにより、前記物品の特性に関するパレート解を前記コンピュータに算出せせる手順と、
前記コンピュータに、前記試行サンプリングデータの中の、前記パレート解を除いたデータ群から少なくとも1組のデータを参照点のデータとして選択させて、前記参照点と前記パレート解のいずれか1つの解との間の前記特性値の変化に貢献する前記物品の設計変数の種類を、前記複数の設計変数の中から導出させる手順と、
前記コンピュータに、導出した前記設計変数の種類に関して、前記許容範囲の外側を含むように前記許容範囲を拡張した範囲を再設定させて、前記物品の複数の設計変数の値を変更させながら、変更した設計変数の値に基いて作られる前記物品の複数の特性に関する特性値を再取得させることにより、目標特性値を満足する前記物品の設計変数の値を探索させる手順と、
前記設計変数の値の探索結果を出力装置に出力させる手順と、を有することを特徴とするデータ処理プログラム。 - 物品の設計変数の値と、この設計変数の値に基いて作られる物品の特性の特性値とを用いて、当該特性を最適にする物品の設計変数を探索するデータ処理装置であって、
物品の複数の設計変数の、予め設定された許容範囲内の値を入力変数の値とし、この設計変数の値に基いて作られる物品の複数の特性に関する特性値を出力値とする、前記設計変数の値と前記特性値との間の非線形関係を規定する非線形関係規定ユニットと、
規定した前記非線形関係を用いて、前記許容範囲内の前記設計変数の値と前記特性値の組からなる試行サンプリングデータを複数組生成することにより、前記物品の特性に関するパレート解を算出するパレート解算出ユニットと、
前記試行サンプリングデータの中の、前記パレート解を除いたデータ群から少なくとも1組のデータを参照点のデータとして選択して、前記参照点と前記パレート解のいずれか1つの解との間の前記特性値の変化に貢献する前記物品の設計変数の種類を、前記複数の設計変数の中から導出する設計変数導出ユニットと、
導出した前記設計変数の種類に関して、前記許容範囲の外側を含むように前記許容範囲を拡張した範囲を再設定して、前記物品の複数の設計変数の値を変更しながら、変更した設計変数の値に基いて作られる前記物品の複数の特性に関する特性値を再取得することにより、目標特性値を満足する前記物品の設計変数の値を探索する探索ユニットと、
前記設計変数の値の探索結果を出力装置に出力する出力ユニットと、を有することを特徴とするデータ処理装置。
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