JP5790018B2 - タイヤの過渡応答データの算出方法および算出装置、データ処理方法およびデータ処理装置、及びプログラム - Google Patents
タイヤの過渡応答データの算出方法および算出装置、データ処理方法およびデータ処理装置、及びプログラム Download PDFInfo
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スリップ角の時系列データをタイヤ測定条件としてタイヤに与えた時に計測されるコーナリング時のタイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の過渡応答の計測データをコンピュータに取得させるステップと、
タイヤ回転軸に作用する前記物理量の、スリップ角に対する応答関数であって、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数に、過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と前記タイヤ測定条件として用いた前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの予測データとしてコンピュータに算出させるステップと、
算出した前記予測データが許容範囲内で前記計測データに一致するまで、前記過渡応答パラメータの値の修正と、前記予測データの算出をコンピュータに繰り返し行わせるステップと、
前記予測データが前記計測データに前記許容範囲内で一致したときに付与した前記過渡応答パラメータの値を、前記タイヤの過渡応答を再現する過渡応答パラメータの値としてコンピュータに決定させるステップと、を有し、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzのスリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3 は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である。
スリップ角の時系列データを取得するとともに、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数であって、タイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の、スリップ角に対する応答関数に用いる過渡応答パラメータの値をコンピュータに取得させるステップと、
前記応答関数に前記過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と取得した前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの過渡応答データとしてコンピュータに算出させるステップと、を有し、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzのスリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3 は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である。
スリップ角の時系列データをタイヤ測定条件としてタイヤに与えることにより計測されるコーナリング時のタイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の過渡応答の計測データを取得し、
タイヤ回転軸に作用する物理量の、スリップ角に対する応答関数であって、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数に、過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と前記タイヤ測定条件として用いた前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの予測データとして算出し、
算出した前記予測データが許容範囲内で前記計測データに一致するまで、前記過渡応答パラメータの値の修正と、前記予測データの算出を繰り返し、
前記予測データが前記計測データに前記許容範囲内で一致したときに付与した前記過渡応答パラメータの値を、前記タイヤの過渡応答を再現する過渡応答パラメータの値として決定する、処理をコンピュータに実行させ、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzのスリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3
は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である。
スリップ角を時系列データを取得するとともに、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数であって、タイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の、スリップ角に対する応答関数に用いる過渡応答パラメータの値を取得し、
前記応答関数に、前記過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と取得した前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの過渡応答データとして算出する、処理をコンピュータに実行させ、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzのスリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3 は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である。
スリップ角の時系列データをタイヤ測定条件としてタイヤに与えた時に計測されるコーナリング時のタイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の過渡応答の計測データを取得するデータ取得部と、
タイヤ回転軸に作用する前記物理量の、スリップ角に対する応答関数であって、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数に、過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と前記タイヤ測定条件として用いた前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの予測データとして算出する演算部と、
算出した前記予測データが許容範囲内で前記計測データに一致するまで、前記過渡応答パラメータの値の修正を行うことにより、前記演算部に前記予測データの算出を繰り返し実行させ、前記予測データが前記計測データに前記許容範囲内で一致したときに付与した前記過渡応答パラメータの値を、前記タイヤの過渡応答を再現する過渡応答パラメータの値として決定するパラメータ値決定部と、を有し、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzのスリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3 は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である。
スリップ角の時系列データを取得するとともに、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数であって、タイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の、スリップ角に対する応答関数に用いる過渡応答パラメータの値を取得するデータ取得部と、
前記応答関数に、前記過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と取得した前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの過渡応答データとして算出する演算部と、を有し、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzの
スリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3 は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である。
以下、本実施形態について詳細に説明する。
図1(a)は、タイヤの過渡応答データの算出方法を実施するデータ算出装置と、データ処理方法を実施するデータ処理装置とを兼ねた装置10の構成を示す図である。装置10は、CPU(Central Processing Unit)12と、ROM(Read Only Memory)14と、RAM(Random Access Memory)あるいはハードディスク等のメモリ16と、入出力部18と、を有するコンピュータである。CPU12と、ROM14と、メモリ16と、入出力部18とは、互いにバス19で接続されている。入出力部18には、マウスやキーボード等の入力操作系20と、ディスプレイ22と、計測装置24と接続されている。
計測装置24は、コーナリング時のタイヤ回転軸に作用する横力あるいはセルフアライニングトルクの時系列データを計測データとして計測し、この計測データを入出力部18に出力する。
このような装置10は、メモリ16に記録されているプログラムを呼び出して実行することにより、タイヤの過渡応答データの算出方法およびデータ処理方法を実行する装置として機能する。
装置10は、データ取得部26と、パラメータ値決定部30と、Fy,Mz算出部32と、タイヤ力学モデル演算部34と、を有する。これらの各部分は、CPU12が実質的に各部分の機能を担うソフトウェアモジュールである。
過渡応答算出モードでは、装置10は、スリップ角を時系列データとして与えたときのコーナリング時のタイヤの過渡応答データを、タイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数を用いて算出する。データ処理モードでは、装置10は、タイヤ力学モデルを用いて、タイヤのコーナリング時の過渡応答の計測データからタイヤ力学モデルで用いる過渡応答パラメータの値を算出する。
データ取得部26は、データ処理モードでは、タイヤのコーナリング時のタイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの過渡応答の計測データ、およびこの計測においてタイヤ測定条件として用いたスリップ角の時系列データを取得する。データ取得部26は、取得した計測データを、パラメータ値決定部30に送る。データ取得部26は、取得したスリップ角の時系列データを、タイヤ力学モデル演算部34が過渡応答の時系列データを算出できるように、タイヤ力学モデル演算部34に送る。
判定の結果、予め設定された許容範囲内で予測データが計測データに一致する場合、このとき設定された過渡応答パラメータの値を、計測に用いたタイヤの過渡応答を再現する過渡応答パラメータの値として決定してディスプレイ22や図示されないプリンタに出力する。さらに、パラメータ値決定部30は、決定した過渡応答パラメータの値からタイヤ力学要素パラメータ(Kdr,Krr,KLr)の値を算出してディスプレイ22や図示されないプリンタに出力する。過渡応答パラメータの値からタイヤ力学要素パラメータ(Kdr,Krr,KLr)の値の算出については後述する。
また、予測データが計測データと許容範囲内で一致するとは、それぞれの時系列データの差分の二乗和が許容範囲として設定された閾値以下となることである。したがって、パラメータ値決定部30における判定では、予測データと計測データの差分の二乗和が用いられる。
また、予測データが計測データと許容範囲内で一致するまで、過渡応答パラメータの値を繰り返し修正する方法は特に制限されず、公知の方法が用いられ、例えば、ニュートンラフソン法を用いることができる。
タイヤ力学モデル演算部34は、具体的に、図2に示されるように、パラメータ値決定部30から受けた過渡応答パラメータ(Ky,T0,T1,T2,As,Kt,T3)の値をタイヤ力学モデル演算部34に設定されているステップ応答関数に付与し、値が付与されたステップ応答関数と、データ取得部26から送られたスリップ角の時系列データα(t)の時間変化量との畳み込み積分を行うことによって、横力及びセルフアライニングトルクの時系列データであるFy(t)、Mz(t)をタイヤの過渡応答データ(予測データ)として算出する。
図2に示すタイヤ力学モデル演算部34で用いるステップ応答関数は、タイヤ力学モデルに基づいて導出されたものである。このタイヤ力学モデルについて説明する。
図4(a),(b)は、スリップ角が付いたタイヤのトレッド部材に作用するせん断力の様子を説明する図である。タイヤのトレッド部材が地面と接地する接地面Pにおいて、ホイールの中心の方向とタイヤの移動方向との間にスリップ角度αの分ずれがあるため、トレッド部材にはせん断力が発生する。このせん断力は、接地面Pの踏み込み端から蹴り出し端に向かって徐々に大きくなる分布を有する。これによって図4(b)に示すように、横力Fy(せん断力の合計)とセルフアライニングトルクMy(タイヤ中心回りのモーメント)がタイヤ回転軸に発生する。しかし、このとき、ベルト部材は横力Fyに応じて横力Fyの向きに追従した横曲げの変形(ベルトがタイヤ幅方向に曲がる変形)をする。このため、横力Fyの領域R2は、図4(c)に示すように、図4(b)に示す領域R1に対して小さくなる。このときの横力Fyによるベルト部材の横曲げ変形による変位量を(εl/3)・Fyとする(εl/3は、ベルト部材の横曲げ剛性の逆数を表す定数)。
したがって、横力Fyは下記式(5)に示すように表され、セルフアライニングトルクMzは下記式(6)に示すように表される。ここで、Kyo,As0は、定数である。
Kdr = 3/((εl)・L) (Lはタイヤの周長)
Krr = Gmz/L (Lはタイヤの周長)
KLr = (1/Kdr + (1/Krr )・(As/Ky))−1
この横ばね定数KLrは、非転動時のタイヤが接地した接地面を横方向に変位させたときに得られるタイヤの周知の横ばね定数に対応する。
なお、Kdrは、T1と式(9)中に示したようなT1=Ky・(εl/3)・L/vの関係があるので、T1=Ky/(Kdr ・v)となる。また、Krrは、T1と式(10)中に示したようなT2=As・L/(Gmz・v)の関係があるので、T2=As/(Krr ・v)となる。
したがって、パラメータ値決定部30において計測データと予測データが許容範囲で一致することによって決定された過渡応答パラメータT1,T2,Ky,Asの値は、タイヤ力学要素パラメータであるベルト部材の変形による横曲げ剛性Kdr、サイドウォール部材のねじり剛性Krr、さらには、横ばね定数KLrの値に変換され得る。
図6は、本実施形態のデータ処理モードで行われるデータ処理方法のフローを示す図である。
パラメータ値決定部30は、設定された過渡応答パラメータ(Ky,T0,T1,T2,As,Kt,T3)の値をタイヤ力学モデル演算部34に送る。
さらに、パラメータ値決定部30は、決定された過渡応答パラメータ(Ky,T0,T1,T2,As,Kt,T3)の値を用いて、タイヤ力学要素パラメータの値を算出する(ステップS80)。具体的には、パラメータ値決定部30は、T1=Ky/(Kdr ・v)及びT2=As/(Krr ・v)の関係に従って、ベルト部材の横曲げ剛性Kdrの値、サイドウォール部材のねじり剛性Krrの値を算出する。さらに、パラメータ値決定部30は、横ばね定数KLr = (1/Kdr + (1/Krr )・(As/Ky))−1の式に従って横ばね定数KLrの値を算出する。ここで、vは現在予測しようとするタイヤの回転速度であり、Lはタイヤの周長であり、これらの値は、予め入力された値であり既知である。こうして決定された過渡応答パラメータ(Ky,T0,T1,T2,As,Kt,T3)の値及び、ベルト部材の横曲げ剛性Kdrの値、サイドウォール部材のねじり剛性Krrの値、及び横ばね定数KLrの値がディスプレイ22あるいは図示されないプリンタに出力される。さらに、決定された過渡応答パラメータの値、及びベルト部材の横曲げ剛性Kdrの値、サイドウォール部材のねじり剛性Krrの値、及び横ばね定数KLrの値がメモリ16に記憶される。
図7は、本実施形態の過渡応答算出モードで行われる算出方法のフローを示す図である。過渡応答算出モードでは、スリップ角の時系列データが自在に設定されたときの過渡応答データを算出する。
パラメータ値決定部30は、データ取得部26から送られた過渡応答パラメータ(Ky,T0,T1,T2,As,Kt,T3)の値をタイヤ力学モデル演算部34に送り、予測データを算出するようにタイヤ力学モデル演算部34に指示をする。
この後、タイヤ力学モデル演算部34は、数値計算可能になったステップ応答関数Kst(t),Ast(t)と、データ取得部26から送られたスリップ角の時系列データα(t)とを用いて、横力及びセルフアライニングトルクの時系列データFy(t),Mz(t)である予測データを算出する(ステップS110)。具体的には、式(17)及び式(18)に従って、スリップ角の時系列データα(t)の時間変化量dα(t’)/dt’(t’は被積分変数)と、横力及びセルフアライニングトルクのステップ応答関数とが乗算されて積分される。すなわち、時間変化量dα(t’)/dt’と、Kst(t)及びAst(t)のそれぞれとの畳み込み積分が行われる。横力及びセルフアライニングトルクの時系列データFy(t),Mz(t)は、予測データとしてFy,Mz算出部32に送られる。
Fy,Mz算出部32は、タイヤ力学モデル演算部34で算出された横力及びセルフアライニングトルクの時系列データFy(t),Mz(t)、すなわち予測データを、所定の形式に修正してディプレイ22あるいは図示されないプリンタに出力する。
このとき、図9は、パラメータ値決定部30で決定された過渡応答パラメータKy,Asの値と、ベルト部材の横曲げ剛性Kdr、サイドウォール部材のねじり剛性Krr、及び横ばね定数KLrの値の一例を示している。また、図9は、横軸にスリップ角を、縦軸に横力をとったときの計測データと予測データの軌跡を示している。図9に示される計測データと予測データの比較から明らかなように、予測データは極めてよく計測データを再現していることがわかる。
距離周波数は、スリップ角αの角周波数ω[rad/秒]を、そのときのタイヤの回転速度v[m/秒]で除算した値である。図10(a),(b)に示されるように、予測データは計測データによく一致していることがわかる。従来の一次遅れ応答の応答関数を用いて得られるFy(1)位相は、図10(b)に一点鎖線で示すように、距離周波数が高くなると、計測データから乖離するが、本実施形態のステップ応答関数を用いて得られるFy(1)位相は、距離周波数が高くなっても、計測データとよく一致することがわかる。
12 CPU
14 ROM
16 メモリ
18 入出力部
20 入力操作系
22 ディスプレイ
24 計測装置
26 データ取得部
30 パラメータ値決定部
32 Fy,Mz算出部
34 タイヤ力学モデル演算部
Claims (11)
- タイヤのコーナリング時の過渡応答の計測データからタイヤ力学モデルで用いる過渡応答パラメータの値を算出することを、コンピュータに実行させるデータ処理方法であって、
スリップ角の時系列データをタイヤ測定条件としてタイヤに与えた時に計測されるコーナリング時のタイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の過渡応答の計測データをコンピュータに取得させるステップと、
タイヤ回転軸に作用する前記物理量の、スリップ角に対する応答関数であって、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数に、過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と前記タイヤ測定条件として用いた前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの予測データとしてコンピュータに算出させるステップと、
算出した前記予測データが許容範囲内で前記計測データに一致するまで、前記過渡応答パラメータの値の修正と、前記予測データの算出をコンピュータに繰り返し行わせるステップと、
前記予測データが前記計測データに前記許容範囲内で一致したときに付与した前記過渡応答パラメータの値を、前記タイヤの過渡応答を再現する過渡応答パラメータの値としてコンピュータに決定させるステップと、を有し、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzのスリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3 は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である、ことを特徴とするデータ処理方法。 - 前記応答関数はステップ応答関数であって、
前記予測データの算出は、前記値が付与された前記応答関数と前記スリップ角の時系列データの時間変化量との畳み込み積分をコンピュータに行わせることによって、行われる、請求項1に記載のデータ処理方法。 - 前記タイヤの変形応答は、前記タイヤのトレッド部材の変形応答、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答、及び前記タイヤのサイドウォール部材のねじり変形の遅れ応答を含む、請求項1または2に記載のデータ処理方法。
- さらに、決定された前記過渡応答パラメータの値を用いて、前記タイヤのベルト部材の横曲げ剛性および前記タイヤのサイドウォール部材のねじり剛性をコンピュータに少なくとも算出させるステップを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ処理方法。
- スリップ角を時系列データとして与えたときのコーナリング時のタイヤの過渡応答データをタイヤ力学モデルを用いて算出することを、コンピュータに実行させるタイヤの過渡応答データの算出方法であって、
スリップ角の時系列データを取得するとともに、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数であって、タイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の、スリップ角に対する応答関数に用いる過渡応答パラメータの値をコンピュータに取得させるステップと、
前記応答関数に前記過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と取得した前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの過渡応答データとしてコンピュータに算出させるステップと、を有し、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzのスリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3 は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である、ことを特徴とするタイヤの過渡応答データの算出方法。 - 前記応答関数はステップ応答関数であって、
前記タイヤの過渡応答データの算出は、前記値が付与された前記応答関数と前記スリップ角の時系列データの時間変化量との畳み込み積分をコンピュータに行わせることによって、行われる、請求項5に記載のタイヤの過渡応答データの算出方法。 - 前記タイヤの変形応答は、前記タイヤのトレッド部材の変形応答、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答、及び前記タイヤのサイドウォール部材のねじり変形の遅れ応答を含む、請求項5または6に記載のタイヤの過渡応答データの算出方法。
- タイヤのコーナリング時の過渡応答の計測データからタイヤ力学モデルで用いる過渡応答パラメータの値を算出する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
スリップ角の時系列データをタイヤ測定条件としてタイヤに与えることにより計測されるコーナリング時のタイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の過渡応答の計測データを取得し、
タイヤ回転軸に作用する物理量の、スリップ角に対する応答関数であって、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数に、過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と前記タイヤ測定条件として用いた前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの予測データとして算出し、
算出した前記予測データが許容範囲内で前記計測データに一致するまで、前記過渡応答パラメータの値の修正と、前記予測データの算出を繰り返し、
前記予測データが前記計測データに前記許容範囲内で一致したときに付与した前記過渡応答パラメータの値を、前記タイヤの過渡応答を再現する過渡応答パラメータの値として決定する、処理をコンピュータに実行させ、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzのスリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3 は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である、ことを特徴とするプログラム。 - スリップ角を時系列データとして与えたときのコーナリング時のタイヤの過渡応答データをタイヤ力学モデルを用いて算出する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
スリップ角を時系列データを取得するとともに、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数であって、タイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の、スリップ角に対する応答関数に用いる過渡応答パラメータの値を取得し、
前記応答関数に、前記過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と取得した前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの過渡応答データとして算出する、処理をコンピュータに実行させ、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzのスリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3 は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である、ことを特徴とするプログラム。 - タイヤのコーナリング時の過渡応答の計測データからタイヤ力学モデルで用いる過渡応答パラメータの値を算出するデータ処理装置であって、
スリップ角の時系列データをタイヤ測定条件としてタイヤに与えた時に計測されるコーナリング時のタイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の過渡応答の計測データを取得するデータ取得部と、
タイヤ回転軸に作用する前記物理量の、スリップ角に対する応答関数であって、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数に、過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と前記タイヤ測定条件として用いた前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの予測データとして算出する演算部と、
算出した前記予測データが許容範囲内で前記計測データに一致するまで、前記過渡応答パラメータの値の修正を行うことにより、前記演算部に前記予測データの算出を繰り返し実行させ、前記予測データが前記計測データに前記許容範囲内で一致したときに付与した前記過渡応答パラメータの値を、前記タイヤの過渡応答を再現する過渡応答パラメータの値として決定するパラメータ値決定部と、を有し、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzの
スリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3 は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である、ことを特徴とするデータ処理装置。 - スリップ角を時系列データとして与えたときのコーナリング時のタイヤの過渡応答データをタイヤ力学モデルを用いて算出するデータ算出装置であって、
スリップ角の時系列データを取得するとともに、コーナリング時のタイヤの変形応答を再現するタイヤ力学モデルを用いて定めた応答関数であって、タイヤ回転軸に作用する横力およびセルフアライニングトルクの物理量の、スリップ角に対する応答関数に用いる過渡応答パラメータの値を取得するデータ取得部と、
前記応答関数に、前記過渡応答パラメータの値を付与し、前記値が付与された前記応答関数と取得した前記スリップ角の時系列データとを用いて積分を行うことによって、前記物理量の時系列データをタイヤの過渡応答データとして算出する演算部と、を有し、
前記タイヤ力学モデルを用いて定めた前記応答関数は、前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答をむだ時間による遅れ応答として構成され、
前記応答関数は、下記式で表される横力Fy及びセルフアライニングトルクMzのスリップ角αに対する伝達関数Fy(s)/α(s)及びMz(s)/α(s)を用いて得られる時間の関数を含み、
前記式中のKy、As、Kt、T 0 、T 1 、T 2 、及びT 3 は、前記過渡応答パラメータであり、T 1 は前記タイヤのベルト部材の曲げ変形の遅れ応答のむだ時間であり、sは、応答関数を定める複素数である、ことを特徴とするデータ算出装置。
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