JP6123159B2 - 構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム - Google Patents

構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP6123159B2
JP6123159B2 JP2012052884A JP2012052884A JP6123159B2 JP 6123159 B2 JP6123159 B2 JP 6123159B2 JP 2012052884 A JP2012052884 A JP 2012052884A JP 2012052884 A JP2012052884 A JP 2012052884A JP 6123159 B2 JP6123159 B2 JP 6123159B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sectional shape
cross
tire
region
trial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012052884A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013184636A (ja
Inventor
隆嗣 小島
隆嗣 小島
正隆 小石
正隆 小石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2012052884A priority Critical patent/JP6123159B2/ja
Publication of JP2013184636A publication Critical patent/JP2013184636A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6123159B2 publication Critical patent/JP6123159B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Description

本発明は、構造体断面形状を作成する構造体断面形状作成方法と、構造体断面形状を決定する構造体断面形状決定方法及び構造体断面形状決定装置と、決定した構造体断面形状から構造体を製造する構造体製造方法と、構造体断面形状作成方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
従来、構造体の構造や形状等の設計では、構造体を試作して実験を行うことによって性能評価が行われ、また、構造体の構造解析モデルを作成し、有限要素法等をはじめとする種々の構造解析手法を用いて数値実験を行って性能評価が行われる。さらに、その性能評価の結果に基づいて、構造体や構造解析モデルの再試作・再作成が行われる、いわゆる試行錯誤による設計探索が多かった。そのため、設計者の所望する最適な構造体を設計するには、多大の労力や多大の時間、さらには多大の試作コストを費やす必要があった。
この点については、タイヤ製造業者においても同様であり、空気入りタイヤ(以降、タイヤという)の設計は、試行錯誤による試作や数値実験により、多大な労力、時間およびコストを必要とした。特に、タイヤの回転軸を含む平面で切断した断面形状、すなわちタイヤ断面形状は、タイヤ性能に大きな影響を及ぼすため、所望のタイヤ性能を得るためには特に慎重に設計する必要があった。
ところで、今日、コンピュータ等による数値計算の高速処理の向上により、最適な製品性能を得るための数値計算による最適設計手法が種々提案されている。これによると、上記問題を解決し、効率よく最適設計を行うことができるとされている。しかし、構造体であるタイヤは、タイヤ断面形状の規定方法の複雑さに起因して上記最適設計手法が十分に活かされ難いといった問題があった。
これに対して、タイヤ設計に好適に用いられる最適形状設計方法が知られている(特許文献1)。この最適形状設計方法では、製品形状の複数の基底断面形状を製品形状の固有振動モードの変形形状とし、この基底断面形状を実験計画法に基づき線型的に組み合わせて複数のサンプル製品形状を生成し、この生成されたサンプル製品形状の製品性能の評価値を求め、この製品性能の評価値に基づき、評価値が最適値となる最適製品形状を抽出する。
特開2002−15010号公報
上述の公知の最適形状設計方法をタイヤ断面形状に適用する場合、当該方法は、目標とするタイヤ性能を最適化するために、多様な基底断面形状を用いることが好ましく、そのためには、タイヤ断面形状の高次の固有振動モードの変形形状を用いなければならない。すなわち、目標とするタイヤ性能を達成するために、タイヤ断面形状を最適化する際、基底断面形状として、タイヤ断面形状の高次の固有振動モードの変形形状を用いるが、この変形形状には、基底断面形状として含めたくない部分と、基底断面形状として含めたい部分が含まれている場合が多い。例えば、基底断面形状に含めたいサイド部が波打った変形形状を有する固有振動モードの変形形状では、トレッド部の外形も波打つ。しかし、このトレッド部の変形形状は、基底断面形状として含めたくない。トレッド部の外形が波打った変形形状を最終製品のタイヤ断面形状に反映した場合、目標とするタイヤ性能は向上するが、他の性能、例えば偏摩耗が増大し転がり抵抗が増大する他、操縦安定性等が悪化する。
このように、上述の最適形状設計方法では、実用的なタイヤ性能を有するようにタイヤ断面形状を定めてタイヤを設計することが難しい場合がある。
このような問題は、例えば、飛行機の翼やタービンブレードのような流体抵抗を適正に制御することが望まれる構造体や自動車のエンジンにおけるシリンダヘッドやピストン等の耐久性能を維持・向上しつつ摩擦損失の低減や軽量化が望まれる構造体、さらには、ゴルフクラブヘッドのような応力の集中を抑制する構造体の開発においても同様の問題を有する。
そこで、本発明は、構造体断面形状を効率よく最適化することができる構造体断面形状作成方法と、最適化した構造体断面形状を効率よく見つけ出すことができる構造体断面形状決定方法及び構造体断面形状決定装置と、決定した構造体断面形状から構造体を製造する構造体製造方法と、構造体断面形状を最適化することができる構造体断面形状作成方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、構造体断面形状を、コンピュータを用いて作成する構造体断面形状作成方法である。
当該方法は、
コンピュータが、基準とする参照タイヤ断面形状を有する参照タイヤモデルを作成する工程と、
前記コンピュータが、前記参照タイヤモデルの参照タイヤ断面形状に対して、前記参照タイヤ断面形状の設計寸法パラメータの寸法を変化可能にし、該変化可能な設計寸法パラメータの寸法少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第1領域と、前記参照タイヤ断面形状を有するタイヤの複数の固有振動モードのうちタイヤ断面形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を基底断面形状としたとき、前記基底断面形状を少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第2領域と、を設定し、さらに、前記設計寸法パラメータの寸法を変化させる寸法範囲と、前記基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度の値を変化させる重み付け範囲を設定する工程と、
前記コンピュータが、前記第1領域については前記寸法範囲内前記寸法を変化させることにより、前記第2領域については前記重み付け範囲内の前記重み強度の値を変化させて前記基底断面形状の重み付け加算を行うことにより、前記第1領域及び前記第2領域を含む試行断面形状を作成する工程と、を有する。
本発明の他の一態様は、構造体断面形状を、コンピュータを用いて決定する構造体断面形状決定方法である。
当該方法は、
コンピュータが、基準とする参照タイヤ断面形状を有する参照タイヤモデルを作成する工程と、
前記コンピュータが、前記参照タイヤモデルに対して、前記参照タイヤ断面形状の設計寸法パラメータの寸法を変化可能にし、該変化可能な設計寸法パラメータの寸法少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第1領域と、前記参照タイヤ断面形状を有するタイヤの複数の固有振動モードのうちタイヤ断面形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を基底断面形状としたとき、前記基底断面形状を少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第2領域と、を設定し、さらに、前記設計寸法パラメータの寸法を変化させる寸法範囲と、前記基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度の値を変化させる重み付け範囲を設定する工程と、
前記コンピュータが、前記第1領域については前記寸法範囲内前記寸法を変化させることにより、前記第2領域については前記重み付け範囲内の前記重み強度の値を変化させて前記基底断面形状の重み付け加算を行うことにより、前記第1領域及び前記第2領域を含む試行断面形状を作成する工程と、
前記コンピュータが、前記試行断面形状をタイヤ断面形状とする試行タイヤモデルを作成し、この作成した前記試行タイヤモデルを用いてタイヤの性能のシミュレーションを行うことにより、前記試行断面形状の性能評価を行う工程と、
前記コンピュータが、前記設計寸法パラメータの寸法の変更と前記重み強度の値の変更を行なって前記性能評価を行うことにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索して、前記性能評価に適合したタイヤ断面形状を決定する工程と、を有する。
本発明の他の一態様は、
前記構造体断面形状決定方法によって決定されたタイヤ断面形状の外周面の形状に基いてタイヤ金型の内面形状を決定し作製する工程と、
未加硫タイヤを、作製した前記タイヤ金型を用いて未加流タイヤの加硫を行うことにより、タイヤを製造する工程と、を有することを特徴とする構造体の製造方法である。
本発明の他の一態様は、構造体断面形状を作成する構造体断面形状作成方法を、コンピュータに実行させる、コンピュータが読み取り可能なプログラムである。
当該プログラムは、
コンピュータの演算部に、基準とする参照タイヤ断面形状の参照タイヤモデルを作成させる手順と、
前記コンピュータの前記演算部に、前記参照タイヤモデルに対して、前記参照タイヤ断面形状の設計寸法パラメータの寸法を変化可能にし、該変化可能な設計寸法パラメータの寸法少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第1領域と、前記参照タイヤ断面形状を有するタイヤの複数の固有振動モードのうちタイヤ断面形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を基底断面形状としたとき、前記基底断面形状を少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第2領域と、を設定させ、さらに、前記設計寸法パラメータの寸法を変化させる寸法範囲と、前記基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度の値を変化させる重み付け範囲を設定させる手順と、
前記コンピュータの前記演算部に、前記第1領域については前記寸法範囲内前記寸法を変化させることにより、前記第2領域については前記重み付け範囲内の前記重み強度の値を変化させて前記基底断面形状の重み付け加算を行わせることにより、前記第1領域及び前記第2領域を含む試行断面形状を作成させる手順と、
前記コンピュータの前記演算部に、前記試行断面形状をタイヤ断面形状とする試行タイヤモデルを作成させ、この作成した前記試行タイヤモデルを用いてタイヤの性能のシミュレーションを行わせることにより、前記試行断面形状の性能評価を行わせる手順と、
前記コンピュータの前記演算部に、前記設計寸法パラメータにおける寸法の変更と前記重み強度の値の変更を行わせて前記性能評価を行わせることにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索させて、前記性能評価に適合したタイヤ断面形状を決定させる手順と、を有する。
本発明の他の一態様は、構造体断面形状を決定する構造体断面形状決定装置である。
当該装置は、
基準とする参照タイヤ断面形状の参照タイヤモデルを作成する第1モデル作成部と、
前記参照タイヤモデルに対して、前記参照タイヤ断面形状の設計寸法パラメータの寸法を変化可能にし、該変化可能な設計寸法パラメータの寸法少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第1領域と、前記参照タイヤ断面形状を有するタイヤの複数の固有振動モードのうちタイヤ断面形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を基底断面形状としたとき、前記基底断面形状を少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第2領域と、を設定し、さらに、前記設計寸法パラメータの寸法を変化させる寸法範囲と、前記基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度の値を変化させる重み付け範囲を設定する設定部と、
前記第1領域については前記寸法範囲内前記寸法を変化させることにより、前記第2領域については前記重み付け範囲内の前記重み強度の値を変化させて前記基底断面形状の重み付け加算を行うことにより、前記第1領域及び前記第2領域を含む試行断面形状を作成する試行断面形状作成部と、
前記試行断面形状をタイヤ断面形状とする試行モデルを作成する第2モデル作成部と、
作成した前記試行モデルを用いてタイヤの性能のシミュレーションを行うことにより、前記試行断面形状の性能評価を行う評価部と、
前記重み付け加算に用いる重み強度の値を変更して前記試行断面形状の前記性能評価を行うことにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索して、前記性能評価に適合したタイヤ断面形状を決定する決定部と、を有する。
上述の態様の構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラムによれば、構造体断面形状を効率よく最適化することができ、また、最適化した構造体断面形状を効率よく見つけ出すことができる。
本実施形態のタイヤ断面形状決定装置のブロック図である。 図1に示すタイヤ断面形状決定装置で作成される参照タイヤモデルのタイヤ断面形状の一例を示す図である。 (a)〜(c)は、本実施形態において設定される第1領域と第2領域を説明する図である。 本実施形態において設定される第1領域の設計寸法パラメータの一例を説明する図である。 (a),(b)は、参照タイヤ断面形状と固有振動モードのタイヤ断面形状の差異を示す図である。 本実施形態のタイヤの断面形状決定方法の処理のフローを示す図である。 (a)は、本実施例におけるタイヤ断面形状と従来例におけるタイヤ断面形状とを示す図であり、(b)は、従来例におけるタイヤ断面形状と参照タイヤ断面形状とを示す図である。
以下、構造体としてタイヤを用いた実施形態について説明するが、例えば飛行機の翼やタービンブレードのような流体抵抗を適正に制御することが望まれる構造体、自動車のエンジンにおけるシリンダヘッドやピストン等の耐久性能を維持・向上しつつ摩擦損失の低減や軽量化が望まれる構造体、さらには、ゴルフクラブヘッドのような応力の集中を抑制する構造体においても以下同様の処理を施すことができる。
なお、本発明でいう「構造体断面形状」等で用いる「断面」には、例えば、構造体が、同一の断面形状で延在する長尺状の構造体である場合、長手方向と直交する方向の面で切断した断面が含まれる。また、この「断面」には、構造体が、タイヤのような同一の断面形状が回転軸の周りに回転して形成されるような回転体形状の構造体である場合、回転軸を含む平面で切断した断面形状が連続して続くような断面が含まれる。さらに、この「断面」には、長尺状の構造体や回転体形状の構造体の他、3次元構造体を任意の位置で切断した断面形状の断面も含まれる。
(タイヤ断面形状決定装置)
図1は、本実施形態のタイヤ断面形状決定方法を行い、最適なタイヤ断面形状を決定するタイヤ断面形状決定装置(以降、装置という)10のブロック図である。装置10は、基準とする参照タイヤ断面形状を有する参照タイヤモデルを用いて、タイヤ性能の評価値を目標値にすることができる最適なタイヤ断面形状を決定することができる。装置10は、コンピュータで構成される装置本体12と、装置本体12に接続された入力操作デバイス32(マウス、キーボード)および出力装置34(プリンタ、ディスプレイ)を含む。装置本体12は、CPU14、ROM、RAM等のメモリ16、入出力部18と、を含む。入出力部18は、入力操作デバイス32および出力装置34と接続されている。装置10は、メモリ16に記憶されたプログラムを起動することによって、タイヤ断面形状を決定するための処理モジュール19を形成する。
最適なタイヤ断面形状とは、設定されたタイヤ性能における評価値が、設計変数の設定された範囲において、最大値あるいは最小値となり、また入力された値と一致あるいは許容範囲内で一致するタイヤ断面形状をいう。
本実施形態では、装置10は、最適なタイヤ断面形状を探索するためにタイヤの試行断面形状を複数作成するとき、参照タイヤモデルのタイヤ断面形状に対して、第1領域と第2領域を設定する。第1領域は、タイヤ断面形状の設計寸法パラメータを用いてタイヤ断面形状を定める領域であり、第2領域は、基底断面形状を用いて断面形状を定める領域である。基底断面形状とは、参照タイヤ断面形状を有するタイヤの複数の固有振動モードのうちタイヤ断面形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状をいう。装置10は、タイヤ断面形状の中の第1領域と第2領域を、タイヤ断面形状を変更する領域として設定する。すなわち、第1領域については予め設定される寸法範囲内の寸法を用いることにより、第2領域については予め設定される重み付け範囲内の重み強度の値を用いて基底断面形状の重み付け加算を行うことにより、第1領域及び第2領域を含む試行断面形状を作成する。したがって、固有振動モードから得られるタイヤ断面の変形形状に、基底断面形状として含めたくない変形部分があるとしても、この部分を第2領域に設定せず、例えば寸法を変更することができる第1領域に含めて試行断面形状を作成することができる。したがって、タイヤ断面形状の最適化のためにタイヤ断面形状を第1領域及び第2領域に区別して設定して効率よく最適化することができる。さらに、タイヤ断面形状を第1領域及び第2領域として設定して最適化したタイヤ断面形状を効率よく見つけ出すことができる。以下、装置10について詳細に説明する。
装置10は、メモリ16に記憶されたプログラムを起動することによって、第1モデル作成部20、設定部22、試行断面形状作成部24、第2モデル作成部26、評価部28、及び決定部30が処理モジュール19として形成される。
ここで、評価部28で行われるタイヤ性能の評価は、公知の有限要素法(FEM)等の構造解析手法によって行なわれる。したがって、第1モデル作成部20及び第2モデル作成部26で作成される参照タイヤモデル、試行タイヤモデルを含むタイヤモデルは、FEMモデル等の構造解析モデルである。以降では、タイヤモデルはFEMモデルを例として説明し、評価部28で行う計算は、有限要素法に基くシミュレーション計算である。しかし、タイヤモデルは、FEMモデル以外の公知のモデルであってもよい。
ここで、タイヤ断面形状は、タイヤ加硫用金型によって規定されるインモールドタイヤ断面形状、あるいは、JATMA等で規定されてリムにタイヤを装着したときのタイヤデフレート時のタイヤ断面形状である。タイヤデフレート時のタイヤ断面形状は、インモールドタイヤ断面形状と略一致する。あるいは、タイヤデフレート時のタイヤ断面形状は、インモールドタイヤ断面形状との間で、ある一定の操作をして互いに変換できる形状である。すなわち、装置10によって取得される最適なタイヤ断面形状は、タイヤ加硫用金型によって規定されるインモールドタイヤ断面形状、または、タイヤデフレート時のタイヤ断面形状であるので、取得したタイヤ断面形状からインモールドタイヤ断面形状を取得することができ、これに基いてタイヤ加硫用金型を容易に作製することができる。したがって、作製したタイヤ加硫用金型を用いて未加流タイヤの加硫を行うことにより、最適なタイヤ断面形状を有するタイヤを効率よく製造することができる。
第1モデル作成部20は、基準とする参照タイヤ断面形状を有する参照タイヤモデルを作成する。
具体的には、第1モデル作成部20は、基準とする参照タイヤ断面形状の情報が入力操作デバイス32により入力されて、参照タイヤ断面形状の情報を取得する。あるいは第1モデル作成部20は、メモリ16あるいは図示されない記録装置から呼び出されて基準とする参照タイヤ断面形状の情報を取得する。さらに、第1モデル作成部20は、FEMモデルである参照タイヤモデルの節点及び要素に関する情報と、参照タイヤモデルの材料定数に関する情報を作成し統合する。これにより、参照タイヤモデルが作成される。なお、参照タイヤ断面形状の情報は、タイヤのベルト部材、カーカス部材、トレッド部材、サイド部材、スティフナー部材やビード部材等のタイヤ構成部材の配置位置を定める位置座標と、各タイヤ構成部材に対応した密度、ヤング率、せん断剛性、ポアソン比等の材料定数の値を含む。図2は、参照タイヤモデルのセンターラインから右半分のタイヤ断面を示す図である。
設定部22は、参照タイヤモデルの参照タイヤ断面形状に対して、第1領域と第2領域を設定する。第1領域は、試行断面形状作成部24において作成するタイヤ断面形状の設計寸法パラメータを用いてタイヤ断面形状を定める領域である。第2領域は、基底断面形状を用いて断面形状を定める領域である。基底断面形状は、参照タイヤ断面形状を有するタイヤの複数の固有振動モードのうちタイヤ断面の形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状をいう。設定部22は、さらに、第1領域で用いる設計寸法パラメータの寸法を変化させる寸法範囲と、第2領域で用いる基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度の値を変化させる重み付け範囲を設定する。
第1領域及び第2領域の設定は、例えばオペレータのマニュアル入力によって行われる。具体的には、第1モデル作成部20で作成された参照タイヤモデルの参照タイヤ断面形状は、出力装置34に画面表示される。このタイヤ断面形状を見たオペレータが入力操作デバイス32を用いて参照タイヤ断面形状に対して希望する第1領域および第2領域を囲んで入力することにより、設定部22は、第1領域及び第2領域を設定する。また、寸法範囲及び重み付け範囲も、オペレータのマニュアル入力によって設定される。
図3(a)〜(c)は、設定される第1領域RAと第2領域RBの例を示している。図3(a)に示すように、第1領域RAは複数箇所(例えば2箇所)設定されてもよい。第2領域RBも複数個所設定されてもよい。また、第1領域RAと第2領域RBが一部で重なっていてもよい。この場合、重なった部分は、第1領域RAで設定されたタイヤ断面形状に、第2領域RBで設定されたタイヤ断面形状の変形部分が加算される。また、第1領域RA、第2領域RBが設定されない領域があってもよい。この領域は、基準となる参照タイヤ断面形状のままであり、変更されない。図3(b)に示すように、第1領域RAの内部に第2領域RBが設定されてもよい。この場合、第1領域RAと第2領域RBとが重なった部分では、上述したように第1領域RAで設定されたタイヤ断面形状に、第2領域RBで設定されたタイヤ断面形状の変形部分が加算される。
また、図3(c)に示すように、第1領域RAと第2領域RBが互いに接するように設定されてもよい。このように、第1領域及び第2領域の設定は、自在に行われる。
設定部22は、作成された参照タイヤモデルの剛性マトリクス及び質量マトリクスを用いて固有値解析を行うことにより複数の固有振動モードを求める。固有値解析を行うとき、ビード部の端部を固定する方式を用いてもよいし、設定された第2領域の端部、例えば、第1領域と接続する端部を固定する方式を用いてもよい。第2領域の端部を固定する方式は、第2領域の端部において形状が滑らかになる点で好ましい。しかし、ビード部を固定する方式を用いてもよい。ビード部を固定する方式を用いる場合、第2領域が第1領域との間で形状が滑らかに接続されず段差が生じる場合、後述する試行断面形状作成部24は、この段差を滑らかにするような処理を施してもよい。また、設定部22が固有値解析をおこなうとき、必ずしも剛性マトリクスの剛性を実際のタイヤの剛性に合わせて行う必要はなく、基底断面形状設定部20は、ベルト部材等のゴム部材に比べて剛性が高い部分は、剛性を低下させて固有値解析を行ってもよい。
設定部22は、さらに、タイヤ断面形状における1次、2次、3次、・・・等の複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を求める。設定部22は、求めた複数のタイヤ断面形状の変形形状を基底断面形状として設定する。基底断面形状は、固有値解析を行ったタイヤモデルの固有振動モードとして変形したタイヤ断面形状であるので、複数設定した基底断面形状のそれぞれは、共通した節点及び要素を持っており、共通した節点における位置座標が基底断面形状毎に異なっている。第2領域において設定される基底断面形状の変形の大きさは正規化されている。正規化とは、例えば変形の最大となる変位が例えば1mmとなるように設定されることをいう。
複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状のうち、どの変形形状を第2領域における基底断面形状として設定するかについては、例えば、出力装置34に画面表示された変形形状を、オペレータが確認しながら、入力操作デバイス16による入力指示による取捨選択によって行われる。
設定部22で第1領域で用いる寸法範囲が設定される設計寸法パラメータとは、図4に示すように、例えばトレッド部を第1領域RAとする場合、第1領域RAのタイヤ径方向の幅W、トレッド部の曲率半径R、トレッド部表面のタイヤセンターラインCL上の点Cの、センターラインCL上にありタイヤ回転軸上の点Oからのタイヤ径方向の距離r、点Cと第1領域RAにおけるショルダー部の端部の点Bとを結ぶ直線Lのタイヤ径方向に平行な直線からの傾斜角度φ等である。このような設計寸法パラメータの内、少なくとも1つが後述する試行断面形状を作成するときの変数として扱われる。したがって、設定部22は、この変数として扱われる設計寸法パラメータについて、オペレータの入力により寸法範囲を設定する。また、設定部22は、後述するように第2領域で用いる基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度について、その値を変化させる範囲(重み付け範囲)を、オペレータの入力により設定する。
設定部22は、設定された第1領域及び第2領域の情報と、第1領域において変数として用いる設計寸法パラメータの範囲を表す寸法範囲の情報と、第2領域において変数として用いる重み強度の値の範囲を表す重み付け範囲の情報とを、メモリ16に記憶する。
試行断面形状作成部24は、第1領域及び第2領域の情報と、寸法範囲の情報と、重み付け範囲の情報とをメモリ16から呼び出して取得し、これらの情報を用いて第1領域及び第2領域を含む試行断面形状を作成する。具体的には、試行断面形状作成部24は、第1領域については、寸法範囲内の寸法を用いて、第2領域については重み付け範囲内の重み強度の値を用いて設定された基底断面形状の重み付け加算を行うことにより、第1領域及び第2領域を含む試行断面形状を作成する。このような設計寸法パラメータの寸法と重み強度の値を、決定部30の指示にしたがって、寸法範囲及び重み付け範囲内で一定の大きさずつ順次変更しながら、寸法範囲及び重み付け範囲内の全範囲をカバーする。また、決定部30が実験計画法に従って定めた寸法及び重み強度の値に基づいて、試行断面形状作成部24は試行断面形状を作成することもできる。また、決定部30が多目的遺伝的アルゴリズムの手法に従って定めた寸法及び重み強度の値に基づいて、試行断面形状作成部24は試行断面形状を作成することもできる。
試行断面形状作成部24は、例えば、図4に示す幅Wが第1領域RAの変数として定められている場合、これ以外の設計数法は固定した状態で、幅Wを設定された寸法範囲内で値を変更する。これにより、試行断面形状作成部24は、第1領域における試行断面形状を作成する。作成される試行断面形状は、参照タイヤモデルと共通する節点を有するが、この節点を位置座標が異なっている。
試行断面形状作成部24は、試行断面形状を作成するとき、設定部22で設定された第2領域における基底断面形状を第2領域におけるタイヤ断面形状として用いる。
図5(a),(b)は、一例として、タイヤの1次、3次の固有振動モードの変形形状を示す図である。図5(a)は、ビード部の端部を固定したときの1次固有振動モードのタイヤ断面形状(実線)を示し、図5(b)は、3次固有振動モードのタイヤ断面形状(実線)を示す。このようなタイヤ断面形状の変形部分の一部分を用いるために、設定部22では、上述した第2領域が設定される。設定された第2領域におけるタイヤ断面形状の一部分が試行断面形状に用いる基底断面形状とされる。試行断面形状作成部24は、上述した重み強度の値を変数として、決定部30により指示された重み強度の値を順次変更しながら、変更のたびに、基底断面形状の変形部分の重み付け加算を行う。ここで、重み付け加算には、重み付け加算した基底断面形状の加算結果を、用いた重み強度の値の合計で除算して得られる重み付け平均も含まれる。基底断面形状は、参照タイヤモデルのタイヤ断面形状に由来する形状であるので、参照タイヤモデルにおける節点と共通した節点を含む。したがって、試行断面形状作成部24は、基底断面形状の変形部分、すなわち基底断面形状の節点の、参照タイヤモデルの対応する節点からの位置座標の差分、を重み付け加算することにより、第2領域における試行断面形状を作成する。
試行断面形状作成部24は、第1領域及び第2領域のタイヤ断面形状を組み合わせ、さらに、第1領域及び第2領域の設定されない領域がある場合、この領域に対応する参照タイヤ断面形状を組み合わせて、試行断面形状を作成する。
試行断面形状作成部24は、作成した第1領域及び第2領域を含む試行断面形状の情報をメモリ16に記憶させる。
なお、試行断面形状は、第1領域、第2領域の別に作成されるため、第1領域の端部あるいは第2領域の端部で形状が段差を持って不連続になる場合がある。この場合、試行断面形状作成部24は、上記段差を検出した場合、この段差を滑らかにするように節点の位置を修正してもよい。勿論、固有振動モードが、第2領域の、第1領域と接する端部の節点を固定する方式で固有値解析を行った場合、第2領域の、第1領域と接する端部の節点は固定されているので、基底断面形状の接続部分は滑らかな形状となる。
本実施形態におけるタイヤの第1基底断面形状では、固有振動モードの変形形状であればいずれであってもよいが、好ましくは、1〜20次の固有振動モードで、タイヤのトレッドセンターラインを含み、タイヤ中心を通る中心面(タイヤ赤道面ともいう)を対称面としたとき対称(線対称)な固有振動モードの変形形状、好ましくは、1次以上5次以下の固有振動モードの変形形状が好適に用いられる。
第2モデル作成部26は、メモリ16に記憶された試行断面形状を用いて、試行断面形状をタイヤ断面形状として持つ試行タイヤモデルを作成する。試行タイヤモデルは、節点及び要素によって構成される有限要素モデルであり、材料定数が付与される。節点、要素及び材料定数の情報は、予めメモリ16に記憶されたものが呼び出されて用いられてもよいし、入力操作デバイス32から入力されたものが用いられてもよい。試行タイヤモデルは、節点、要素及び材料定数の情報のうち、節点の位置座標のみが、第1モデル作成部12において作成される参照タイヤモデルの節点の位置座標の情報と異なり、これ以外の情報は同じであるモデルを用いることができる。タイヤモデル作成部26は、作成された試行タイヤモデルの情報をメモリ16に記憶させる。
評価部28は、メモリ16に記憶した試行タイヤモデルの情報を呼び出して、この試行タイヤモデルを用いてタイヤ性能のシミュレーションを行うことにより、試行断面形状の性能評価を行う。
評価部28は、入力操作デバイス32等により予め設定されたタイヤ性能に関する評価値を、シミュレーションによる数値計算によって算出する。評価部28は、例えば固有振動数、縦ばね定数、横ばね定数、前後ばね定数、転がり抵抗、ベルト間における層間剪断歪み、摩耗予測値、あるいは、スティフナー部材の所定位置における応力分布や応力歪みの値、さらには、タイヤが地面に接地したときの接地圧力の値等をシミュレーションによる数値計算によって算出する。これらの具体的な計算は、周知の方法であるので説明は省略される。
評価部28は、決定部30により順次変更される設計寸法パラメータの寸法及び重み強度の値に基いて作成される試行タイヤモデルを用いてがシミュレーション計算を繰り返し行う。
決定部30は、試行断面形状作成部24で用いる設計寸法パラメータの寸法及び重み強度の値を変更してタイヤ性能の評価を行った結果を用いて、このタイヤ性能の評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索して、このタイヤ性能の評価に適合したタイヤ断面形状を決定する。
具体的には、決定部30は、試行断面形状を予め設定された回数作成するまで、設計寸法パラメータの寸法及び重み付け加算に用いる重み強度の値のそれぞれを設定される範囲内で変更しながら、評価部28にタイヤ性能の評価を行わせたのち、決定部30は、この複数の試行断面形状毎のタイヤ性能の評価値に基づいて、タイヤ断面形状の設計空間を、曲面近似関数を用いて応答曲面関数として定める。この応答曲面関数は、設計寸法パラメータ及び重み強度を設計変数とする。すなわち、応答曲面関数は、基底断面形状を第1領域のタイヤ断面形状を定める設計寸法パラメータと第2領域の重み付け加算に用いる重み強度を設計変数として、タイヤ性能の評価値を、曲面近似関数を用いて表したものである。ここで、曲面近似関数は、チェビシェフの直交多項式やn次多項式等の関数が挙げられる。
決定部30は、さらに、入力操作デバイス32により予め設定された条件をタイヤ性能の評価値が満足するように、試行断面形状を探索して、タイヤ性能に適合したタイヤ断面形状を決定する。予め設定された条件とは、例えば、タイヤ性能の評価値の範囲、タイヤ性能の評価値の最小値、あるいはタイヤ性能の評価値の最大値等である。最適なタイヤ性能の評価値を得る際に、タイヤの別のタイヤ性能の評価値に基いて定められる別の応答曲面関数の値が別途設定された範囲に含まれるように、設計変数に一定の拘束条件が課された状態で、タイヤ性能の評価値が上記条件を満足するような試行断面形状を探索してもよい。
決定部30で作成される応答曲面関数に用いる設計変数は、上述したように第1領域のタイヤ断面形状を定める設計寸法パラメータと、第2領域のタイヤ断面形状を定める重み強度であるので、最適な性能評価を達成する設計寸法パラメータの寸法と重み強度の値を抽出することで、最適なタイヤ断面形状を容易に求めることができる。このとき、基底断面形状として含めたくない変形部分は第2領域から除外されて設定され、しかも、第1領域において設計寸法パラメータを用いてタイヤ断面形状が作成されているので、固有振動モードの変形形状として含めたい変形部分を用いて、さらに、この変形部分と設計寸法パラメータから定まるタイヤ断面形状の一部分とを組み合わせてタイヤ断面形状を効率よく最適化することができる。さらに、応答曲面関数を用いることにより、タイヤ断面形状を最適化したタイヤ断面形状を効率よく見つけ出すことができる。
本実施形態では、上記設計寸法パラメータの寸法及び重み強度の値が一定の大きさずつ大きくあるいは小さくなるように変更されるが、この他に、上記寸法及び値がランダムに変更されてもよい。また、公知の実験計画法例えば、直交表L81により設計寸法パラメータの寸法及び重み強度の値について水準を振り、この値を割り付けることで、試行断面形状を作成することができる。また、試行断面形状作成部24は、決定部30が多目的遺伝的アルゴリズムの手法を用いてタイヤ断面形状の最適化を行うこともできる。
なお、得られた最適なタイヤ断面形状の情報は、出力装置34に出力される他、図示されないタイヤ加硫用金型を作成するCADシステム等に送られる。あるいは、得られた最適な断面形状は、タイヤデフレート時のタイヤ断面形状の情報として、あるいはインモールドタイヤ断面形状の情報として、メモリ16に記憶され、さらに、図示されないハードディスクや記録メディア等に記録される。
また、決定部30は、最適な評価値が得られない場合、得られた評価値の中で最適な状態に最も近い評価値を持つタイヤ断面形状の情報を基底断面形状設定部12に戻してもよい。基底断面形状設定部12は、このタイヤ断面形状の情報を、参照タイヤ断面形状の情報として、再度、最適なタイヤの断面形状を求めることができる。
本実施形態では、このような試行断面形状を持ったタイヤモデルが、タイヤモデル作成部26において作成され、評価部28においてタイヤ性能の評価が行われ、最終的に、決定部30において最適なタイヤの断面形状が決定される。
(タイヤの断面形状の決定方法)
図6は、本実施形態のタイヤの断面形状の決定方法の処理のフローを示す図である。
まず、装置10は、メモリ16に記憶されているプログラムを呼び出して起動することにより、処理モジュール19を形成する。
まず、第1モデル作成部20は、基準とする参照タイヤ断面形状の情報を、入力操作デバイス32による入力により、あるいは図示されない記録装置から呼び出して取得し、節点及び要素に関する情報と、タイヤモデルの材料定数に関する情報を作成する。これにより、参照タイヤ断面形状を有する参照タイヤモデルが作成される(ステップS10)。
次に、設定部22は、参照タイヤモデルの参照タイヤ断面形状に対して、第1領域と第2領域を設定し、さらに、第1領域で用いる設計寸法パラメータの寸法を変化させる寸法範囲と、第2領域で用いる基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度の値を変化させる重み付け範囲を設定する(ステップS20)。
第1領域は、試行断面形状作成部24において作成するタイヤ断面形状の設計寸法パラメータを用いてタイヤ断面形状を定める領域である。第2領域は、基底断面形状を用いてタイヤ断面形状を定める領域である。基底断面形状は、参照タイヤ断面形状を有するタイヤの複数の固有振動モードのうちタイヤ断面の形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状をいう。
設定部22は、参照タイヤモデルの固有値解析を行って、固有値解析における1次、2次、3次、・・・等の複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を求め、基底断面形状として複数設定する。基底断面形状は、固有値解析を行った参照タイヤモデルのタイヤ断面形状であるので、複数設定した基底断面形状のそれぞれは、共通した節点及び要素を持っており、共通した節点における位置座標が基底断面形状毎に異なっている。このとき設定される基底断面形状の変形の大きさは正規化されている。複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状のうち、どの変形形状を基底断面形状として設定するかについては、例えば、出力装置34に画面表示された変形形状を、オペレータが確認しながら、入力操作デバイス16による入力指示による取捨選択によって行われる。こうして、第2領域における基底断面形状が設定される。
次に、試行断面形状作成部24は、第1領域における試行断面形状を作成するために、例えば、図4に示す幅Wが第1領域RAの設計寸法パラメータの変数として定められている場合、決定部30が定める幅Wを用い、これ以外の設計数法は固定する。これにより、試行断面形状作成部24は、第1領域における試行断面形状を作成する。作成される試行断面形状は、参照タイヤモデルと共通する節点を有するが、この節点を位置座標が異なっている。
一方、第2の領域における試行断面形状を作成するために、試行断面形状作成部24は、設定された基底断面形状の変形部分に対して決定部30で定められた重み強度を用いた重み付け加算を行う。すなわち、第2の領域における試行断面形状を作成するために、試行断面形状作成部24は、複数の基底断面形状の節点の、参照タイヤモデルの対応する節点からの位置座標の差分(変位)に重み強度を乗算して加算することにより、第2領域における試行断面形状を作成する。
試行断面形状作成部24は、第1領域における試行断面形状に、第2領域における試行断面形状の変形部分、すなわち、第2領域における試行断面形状の節点の位置座標と参照タイヤモデルの対応する節点の位置座標との差分を加算して、第1領域及び第2領域を含む試行断面形状を作成する(ステップS30)。試行断面形状のうち、第1領域及び第2領域のいずれにも設定されない領域がある場合、参照タイヤモデルにおける該当する領域の形状が用いられる。
上記設計寸法パラメータ及び重み強度については、後述するように、設定された寸法範囲及び重み付け範囲の中で、決定部30が値を順次変更する。
試行断面形状作成部24は、作成した第1領域及び第2領域を含む試行断面形状の情報をメモリ16に記憶させる。
第2モデル作成部26は、作製された設定された試行断面形状をタイヤ断面形状に有する試行タイヤモデルを作成する。この試行タイヤモデルは、FEMモデルであり、例えば、参照タイヤモデルと同じ節点及び要素を含む。ただし、節点の位置座標のみが異なる。作成された試行タイヤモデルはメモリ16に記録される。
次に、評価部28は、メモリ16に記憶された試行タイヤモデルを呼び出して、この試行タイヤモデルに対してタイヤ性能を評価するためのシミュレーションを行ってタイヤ性能の評価を行う(ステップS40)。例えば、タイヤ性能がタイヤ縦ばね定数である場合、以下のように、シミュレーションが行われる。まず、試行タイヤモデルに、タイヤに空気圧を与えるように、評価部28は、内圧充填処理を施し、その後、評価部28は、平面を再現した平面剛体モデルに試行タイヤモデルを押し付けて、定められた荷重が負荷されるまで試行タイヤモデルを平面剛体モデルに近づける。試行タイヤモデルに負荷された荷重が定められた荷重になるとき、試行タイヤモデルの平面剛体モデルへの押し付けは終了し、試行タイヤモデルのタイヤ回転中心軸と平面剛体モデルの表面との間の距離を求める。これにより、評価部28は、試行タイヤモデルの縦撓みの量を求め、この縦撓みの量で、負荷された荷重を除算することにより、タイヤ縦ばね定数の値を求める。
タイヤ性能は、タイヤ縦ばね定数等のばね定数の他に、例えば、タイヤ転動時の転がり抵抗、摩耗予に基づくタイヤ寿命(走行距離)、タイヤ固有振動数やタイヤ転動時の振動レベル、騒音レベル、ハイドロプレーニングの発生速度、操縦安定性能を表すスリップ角度1度当たりの横力の値等であってもよい。これらのタイヤ性能についても、周知のシミュレーション方法で評価することができる。得られたタイヤ性能の評価結果は、メモリ16に記憶される。
次に、決定部30は、試行断面形状を作成した回数が予め定められた回数N以上になったか否かを判定する(ステップS70)。この判定の結果が否定である場合、決定部30は、設計寸法パラメータの寸法及び重み強度の値を変更する(ステップS60)。寸法及び重み強度の値は、一定の大きさずつ順次変更される。あるいは、設定された範囲内でランダムに変更される。
こうして、変更された寸法及び重み強度の値を用いて、ステップS30〜50が繰り返される。
ステップS50における判定が肯定である場合、決定部30は、タイヤ性能の評価結果に基づいて、最適な試行断面形状を探索する(ステップS70)。具体的には、特開2002−15010号公報に記載されるように、設計寸法パラメータの寸法及び重み強度の値を設計変数としてタイヤ性能の評価結果である評価値を表す関数で、チェビシェフの直交多項式を用いた曲面近似関数が応答曲面関数として作成される。
こうして作成された応答曲面関数における評価値が、設計変数の設定された範囲において、最大値あるいは最小値となり、また入力された値と一致あるいは許容範囲内で一致するような、設計変数の値を求める。
決定部30は、こうして求められた、応答曲面関数における評価値が最大値あるいは最小値となり、また入力された値と一致あるいは許容範囲内で一致するような設計変数の値(重み強度の値)と、基底断面形状と、を用いてタイヤ断面形状を作成する。決定部30は、この作成したタイヤ断面形状を、タイヤ性能を最大あるいは最小とし、また入力された値と一致あるいは許容範囲内で一致するような最適なタイヤ断面形状として決定する(ステップS80)。
本実施形態は、ステップS60において設計寸法パラメータの寸法及び重み強度の値を変更するとき、一定の大きさで設計寸法パラメータの寸法及び重み強度の値を逐次変化して設定された全範囲をカバーするが、実験計画法、例えばL81等の直交表を用いて設計寸法パラメータの寸法及び重み強度の値を設定する場合、設計寸法パラメータの寸法及び重み強度の値を予め割り付け、この割り付けに応じて設計寸法パラメータの寸法及び重み強度の値が設定される。また、評決定部30は多目的遺伝的アルゴリズムを用いてタイヤ断面形状の最適化を行うこともできる。
本実施形態では、タイヤの試行断面形状を複数作成してタイヤ性能の評価を行うことにより、応答曲面関数を求め、この応答曲面関数を用いて、タイヤ性能の評価が設定された条件を満足する最適な試行断面形状を探索する。この他に、タイヤの試行断面形状を変えながらタイヤ性能を評価し、その評価結果に応じて試行断面形状を逐次変更しながら、タイヤ性能の評価が設定された条件を満足する最適な試行断面形状を探索することもできる。
このように決定されたタイヤ断面形状は、インモールドタイヤ断面形状、あるいは、JATMA等で規定されてリムにタイヤを装着したときのタイヤデフレート時のタイヤ断面形状とされ、タイヤ加硫用金型を作成するCADシステム等に送られる。このCADシステムでは、タイヤ断面形状に基づいてタイヤ金型の内面形状の寸法を決定し、金型作製装置により金型原料が加工されてタイヤ加硫用金型が作製される。この後、未加硫タイヤを、作製したタイヤ加硫用金型を用いて未加流タイヤの加硫を行うことにより、タイヤを製造することができる。
従来、基底断面形状として用いる固有振動モードは、トレッド部の変形形状もサイド部の変形形状と同程度の大きさの変形を有する。しかし、本実施形態では、トレッド部のようになるべくタイヤ断面形状の最適化のために変形させたくない部分を、設計寸法パラメータによりタイヤ断面形状を定める第1領域として定めることができる。このように、本実施形態では、最適なタイヤ断面形状を作成するために1つの試行断面形状を作成するとき、設計寸法パラメータを用いてタイヤ断面形状を定める第1領域と、複数の固有振動モードに由来する基底断面形状を用いてタイヤ断面形状を定める第2領域とを別々に定めて試行断面形状を作成する。したがって、本実施形態は、タイヤ断面形状を効率よく、例えば、転がり抵抗や偏摩耗等のタイヤ性能を低下させることなく、最適化することができる。さらに、本実施形態は、目的とするタイヤ性能を満足する最適なタイヤ断面形状を効率よく見つけ出すことができる。
本実施形態では、試行断面形状を作成するとき、寸法範囲内の寸法を用いてタイヤ断面形状のうち第1領域におけるタイヤ断面形状(第1領域における試行断面形状)を作成した後、第1領域の作成したタイヤ断面形状に、第2領域において、重み強度の値を用いて基底断面形状の重み付け加算を行うことで作成されるタイヤ断面形状(第2領域の試行断面形状)を付加(加算)することが、第1領域と第2領域を重複した場合でも、有効に処理できる点で好ましい。したがって、この場合、第1領域と第2領域を重複させて、タイヤ断面形状の最適化を行うことができる。
本実施形態のタイヤの断面形状の決定方法は、メモリ16に記憶されているコンピュータが読み取り可能なプログラムを起動してコンピュータを用いて実行されるが、このプログラムは、以下の処理手順を有する。すなわち、プログラムは、
(A)コンピュータのCPU14に、基準とする参照構造体断面形状の参照構造体モデルを作成させる手順と、
(B)CPU14に、前記参照構造体モデルに対して、前記参照構造体断面形状の設計寸法パラメータを用いて構造体断面形状を定める第1領域と、前記参照構造体断面形状を有する構造体の複数の固有振動モードのうち構造体断面の形状が変形する複数の固有振動モードの、構造体断面内の変形形状を基底断面形状としたとき、前記基底断面形状を用いて構造体断面形状を定める第2領域を設定させ、さらに、前記設計寸法パラメータの寸法を変化させる寸法範囲と、前記基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度の値を変化させる重み付け範囲を設定させる手順と、
(C)CPU14に、前記第1領域については前記寸法範囲内の前記寸法を用いさせることにより、前記第2領域については前記重み付け範囲内の前記重み強度の値を用いさせて前記基底断面形状の重み付け加算を行わせることにより、前記第1領域及び前記第2領域を含む試行断面形状を作成させる手順と、
(D)CPU14に、前記試行断面形状を構造体断面形状とする試行構造体モデルを作成させ、この作成した前記試行構造体モデルを用いて構造体の性能のシミュレーションを行わせることにより、前記試行断面形状の性能評価を行わせる手順と、
(E)CPU14に、前記設計寸法パラメータにおける寸法の変更と前記重み強度の値の変更を行わせて前記性能評価を行わせることにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索させて、前記性能評価に適合した構造体断面形状を決定させる手順と、を有する。
このプログラムは、インターネット等の電気回線を通じてコンピュータに転送されてメモリ16に記憶保持されてもよい。また、このプログラムは、CD−ROM等のコンピュータが読み込み可能なnon-transitoryの記録媒体等に記録されてもよい。
[実施例、従来例]
本実施形態の方法の効果を確認するために、225/50R18のタイヤのタイヤ断面形状を用いて、このタイヤのタイヤ断面形状の最適化を行った。評価するタイヤ性能は、転がり抵抗と耐偏摩耗特性である。転がり抵抗は、試行タイヤモデルを地面剛体モデル上に走行させるシミュレーションを行って算出した。このときのシミュレーション試験条件として、空気圧を210kPaとし、転動速度を80km/時とし、負荷荷重を4.5kNとした。また、耐偏摩耗特性については、試行タイヤモデルを地面剛体モデル上に走行させるシミュレーションを行って算出した。空気圧を210kPaとし、転動速度を80km/時とし、負荷荷重を4.5kNとしたときの地面剛体モデルと接する試行ダイヤモデルの接地圧と摩擦特性から偏摩耗形態及び摩耗速度を調べて偏摩耗を予測して耐偏摩耗特性を調べた。転がり抵抗の値は参照タイヤモデルにおける転がり抵抗の値を基準(100)とし、値が大きいほど転がり抵抗が小さくなるように指数化した。一方、耐偏摩耗特性は、10000km走行後のトレッド部の予測される摩耗量について、センター部のセンターライン上の位置とショルダー部の特定の位置の間でどの程度差が生じるか、摩耗量の差分を調べ、参照タイヤモデルにおける上記摩耗量の差分を基準(100)とし、この差分が小さいほど耐偏摩耗が優れているように指数化した。
図7(a)は、トレッド部を第1領域RAに設定し、サイド部を第2領域RBに設定して本実施形態の方法を用いて得られた実施例の最適化したタイヤ断面形状(実線)と、従来から行われる第2領域のみを用いて(基底断面形状を重み付け加算して)得られた従来例の最適化したタイヤ断面形状(点線)とを示す。実施例及び従来例において基底断面形状として用いる固有振動モードは、いずれもビード部を固定して得られるモードとした。図7(b)は、従来例の最適化したタイヤ断面形状(実線)と参照タイヤ断面形状(点線)を示す。図7(b)から明らかなように、従来例の最適化したタイヤ断面形状は、最適化により、タイヤ断面形状が参照タイヤ断面形状から大きく変化しているのがわかる。この変化は、トレッド部においても生じトレッド部において波打っている。一方、図7(a)に示すように、従来例の最適化したタイヤ断面形状(点線)に対して実施例の最適化したタイヤ断面形状(実線)のトレッド部分は波打っておらず、滑らかな曲線を描いている。一方サイド部は、従来のタイヤ断面形状と変化しない。
このようなタイヤ断面形状により、従来例の最適化したタイヤ断面形状の転がり抵抗の指数は105であり、実施例の最適化したタイヤ断面形状の転がり抵抗の指数も105であった。一方、従来例の最適化したタイヤ断面形状の耐偏摩耗特性の指数は96であり、実施例の最適化したタイヤ断面形状の耐偏摩耗特性の指数は110であった。これより、本実施形態の方法は、効率よく、すなわち他のタイヤ性能の犠牲を払うことなく、目標とするタイヤ性能を効率よく最適化するタイヤ断面形状を決定することができる。
以上、本発明のタイヤ断面形状作成方法、タイヤ断面形状決定方法、タイヤ製造方法、タイヤ断面形状決定装置、及びプログラムについて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 タイヤ断面形状決定装置
12 本体部
14 CPU
16 メモリ
18 入出力部
19 処理モジュール
20 第1モデル作成部
22 設定部
24 試行断面形状作成部
26 第2モデル作成部
28 評価部
30 決定部
32 入力操作デバイス
34 出力装置

Claims (9)

  1. タイヤ断面形状を、コンピュータを用いて作成する構造体断面形状作成方法であって、
    コンピュータが、基準とする参照タイヤ断面形状を有する参照タイヤモデルを作成する工程と、
    前記コンピュータが、前記参照タイヤモデルの参照タイヤ断面形状に対して、前記参照タイヤ断面形状の設計寸法パラメータの寸法を変化可能にし、該変化可能な設計寸法パラメータの寸法少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第1領域と、前記参照タイヤ断面形状を有するタイヤの複数の固有振動モードのうちタイヤ断面形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を基底断面形状としたとき、前記基底断面形状を少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第2領域と、を設定し、さらに、前記設計寸法パラメータの寸法を変化させる寸法範囲と、前記基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度の値を変化させる重み付け範囲を設定する工程と、
    前記コンピュータが、前記第1領域については前記寸法範囲内前記寸法を変化させることにより、前記第2領域については前記重み付け範囲内の前記重み強度の値を変化させて前記基底断面形状の重み付け加算を行うことにより、前記第1領域及び前記第2領域を含む試行断面形状を作成する工程と、を有することを特徴とする構造体断面形状作成方法。
  2. 前記固有振動モードは、前記参照タイヤモデルの固有値解析を行うことにより得られる、請求項1に記載の構造体断面形状作成方法。
  3. 前記寸法範囲内の寸法を用いてタイヤ断面形状のうち前記第1領域を作成した後、前記第1領域の作成したタイヤ断面形状に、前記重み付け範囲内の前記重み強度の値を用いて前記基底断面形状の重み付け加算を行うことで作成される前記第2領域のタイヤ断面形状を付加することにより、前記試行断面形状が作成される、請求項1または2に記載の構造体断面形状作成方法。
  4. 前記第1領域と前記第2領域は重複する、請求項3に記載の構造体断面形状作成方法。
  5. タイヤ断面形状を、コンピュータを用いて決定する構造体断面形状決定方法であって、
    コンピュータが、基準とする参照タイヤ断面形状を有する参照タイヤモデルを作成する工程と、
    前記コンピュータが、前記参照タイヤモデルに対して、前記参照タイヤ断面形状の設計寸法パラメータの寸法を変化可能にし、該変化可能な設計寸法パラメータの寸法少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第1領域と、前記参照タイヤ断面形状を有するタイヤの複数の固有振動モードのうちタイヤ断面形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を基底断面形状としたとき、前記基底断面形状を少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第2領域と、を設定し、さらに、前記設計寸法パラメータの寸法を変化させる寸法範囲と、前記基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度の値を変化させる重み付け範囲を設定する工程と、
    前記コンピュータが、前記第1領域については前記寸法範囲内前記寸法を変化させることにより、前記第2領域については前記重み付け範囲内の前記重み強度の値を変化させて前記基底断面形状の重み付け加算を行うことにより、前記第1領域及び前記第2領域を含む試行断面形状を作成する工程と、
    前記コンピュータが、前記試行断面形状をタイヤ断面形状とする試行タイヤモデルを作成し、この作成した前記試行タイヤモデルを用いてタイヤの性能のシミュレーションを行うことにより、前記試行断面形状の性能評価を行う工程と、
    前記コンピュータが、前記設計寸法パラメータの寸法の変更と前記重み強度の値の変更を行なって前記性能評価を行うことにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索して、前記性能評価に適合したタイヤ断面形状を決定する工程と、を有することを特徴とする構造体断面形状決定方法。
  6. 前記タイヤ断面は、前記タイヤのタイヤ回転軸を含む平面で切断したときのタイヤ断面である、請求項5に記載の構造体断面形状決定方法。
  7. 請求項6に記載の構造体断面形状決定方法によって決定されたタイヤ断面形状の外周面の形状に基いてタイヤ金型の内面形状を決定し作製する工程と、
    未加硫タイヤを、作製した前記タイヤ金型を用いて未加流タイヤの加硫を行うことにより、タイヤを製造する工程と、を有することを特徴とする構造体の製造方法。
  8. タイヤ断面形状を作成する構造体断面形状作成方法を、コンピュータに実行させる、コンピュータが読み取り可能なプログラムであって、
    コンピュータの演算部に、基準とする参照タイヤ断面形状の参照タイヤモデルを作成させる手順と、
    前記コンピュータの前記演算部に、前記参照タイヤモデルに対して、前記参照タイヤ断面形状の設計寸法パラメータの寸法を変化可能にし、該変化可能な設計寸法パラメータの寸法少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第1領域と、前記参照タイヤ断面形状を有するタイヤの複数の固有振動モードのうちタイヤ断面形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を基底断面形状としたとき、前記基底断面形状を少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第2領域と、を設定させ、さらに、前記設計寸法パラメータの寸法を変化させる寸法範囲と、前記基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度の値を変化させる重み付け範囲を設定させる手順と、
    前記コンピュータの前記演算部に、前記第1領域については前記寸法範囲内前記寸法を変化させることにより、前記第2領域については前記重み付け範囲内の前記重み強度の値を変化させて前記基底断面形状の重み付け加算を行わせることにより、前記第1領域及び前記第2領域を含む試行断面形状を作成させる手順と、
    前記コンピュータの前記演算部に、前記試行断面形状をタイヤ断面形状とする試行タイヤモデルを作成させ、この作成した前記試行タイヤモデルを用いてタイヤの性能のシミュレーションを行わせることにより、前記試行断面形状の性能評価を行わせる手順と、
    前記コンピュータの前記演算部に、前記設計寸法パラメータにおける寸法の変更と前記重み強度の値の変更を行わせて前記性能評価を行わせることにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索させて、前記性能評価に適合したタイヤ断面形状を決定させる手順と、を有することを特徴とするプログラム。
  9. タイヤ断面形状を決定する構造体断面形状決定装置であって、
    基準とする参照タイヤ断面形状の参照タイヤモデルを作成する第1モデル作成部と、
    前記参照タイヤモデルに対して、前記参照タイヤ断面形状の設計寸法パラメータの寸法を変化可能にし、該変化可能な設計寸法パラメータの寸法少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第1領域と、前記参照タイヤ断面形状を有するタイヤの複数の固有振動モードのうちタイヤ断面形状が変形する複数の固有振動モードの、タイヤ断面内の変形形状を基底断面形状としたとき、前記基底断面形状を少なくとも用いてタイヤ断面形状の少なくとも一部を定めるための第2領域と、を設定し、さらに、前記設計寸法パラメータの寸法を変化させる寸法範囲と、前記基底断面形状の重み付け加算を行うための重み強度の値を変化させる重み付け範囲を設定する設定部と、
    前記第1領域については前記寸法範囲内前記寸法を変化させることにより、前記第2領域については前記重み付け範囲内の前記重み強度の値を変化させて前記基底断面形状の重み付け加算を行うことにより、前記第1領域及び前記第2領域を含む試行断面形状を作成する試行断面形状作成部と、
    前記試行断面形状をタイヤ断面形状とする試行モデルを作成する第2モデル作成部と、
    作成した前記試行モデルを用いてタイヤの性能のシミュレーションを行うことにより、前記試行断面形状の性能評価を行う評価部と、
    前記重み付け加算に用いる重み強度の値を変更して前記試行断面形状の前記性能評価を行うことにより、前記性能評価の結果が予め設定された条件を満足する試行断面形状を探索して、前記性能評価に適合したタイヤ断面形状を決定する決定部と、を有することを特徴とする構造体断面形状決定装置。
JP2012052884A 2012-03-09 2012-03-09 構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム Expired - Fee Related JP6123159B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012052884A JP6123159B2 (ja) 2012-03-09 2012-03-09 構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012052884A JP6123159B2 (ja) 2012-03-09 2012-03-09 構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013184636A JP2013184636A (ja) 2013-09-19
JP6123159B2 true JP6123159B2 (ja) 2017-05-10

Family

ID=49386450

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012052884A Expired - Fee Related JP6123159B2 (ja) 2012-03-09 2012-03-09 構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6123159B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6631151B2 (ja) * 2015-10-20 2020-01-15 横浜ゴム株式会社 最適タイヤ断面形状作成方法及び最適タイヤ断面形状作成装置
JP7315824B2 (ja) * 2019-06-11 2023-07-27 横浜ゴム株式会社 タイヤの初期形状設計方法、タイヤの初期形状設計装置、およびプログラム
JP7328527B2 (ja) * 2019-09-10 2023-08-17 横浜ゴム株式会社 タイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびプログラム
JP7529985B2 (ja) 2020-10-12 2024-08-07 横浜ゴム株式会社 タイヤ形状決定方法、タイヤ形状決定装置、及びプログラム

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4723057B2 (ja) * 2000-06-29 2011-07-13 横浜ゴム株式会社 製品形状設計方法およびこれを用いて設計される空気入りタイヤ
JP4466102B2 (ja) * 2004-02-05 2010-05-26 横浜ゴム株式会社 構造体のシミュレーションモデルの作成方法および構造体のシミュレーション方法
JP5262591B2 (ja) * 2008-11-06 2013-08-14 横浜ゴム株式会社 タイヤモデルの作成方法及びタイヤモデルの作成用コンピュータプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013184636A (ja) 2013-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4142094B2 (ja) 空気入りタイヤの設計方法
JP6123159B2 (ja) 構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム
JP2004017903A (ja) タイヤの性能予測方法及びタイヤの設計方法
JP6281190B2 (ja) タイヤモデル作成方法、タイヤ断面形状決定方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ断面形状決定装置、及びプログラム
JP6065472B2 (ja) タイヤモデル作成方法、タイヤ断面形状決定方法、タイヤモデル作成装置、及びプログラム
JP4928086B2 (ja) タイヤの性能予測方法及び設計方法
JP5630147B2 (ja) タイヤモデル作成方法、及び、それを用いたタイヤ設計方法
JPH11153520A (ja) タイヤ性能のシミュレーション方法及びその装置
JP5211549B2 (ja) タイヤモデルの作成方法及びタイヤモデルの性能予測方法、並びにタイヤの設計方法
JP6601401B2 (ja) タイヤモデルの作成方法、タイヤモデルの作成装置、タイヤのシミュレーション方法、及び非一時的なコンピュータが読み取り可能な媒体
JP5104042B2 (ja) タイヤの性能予測方法及びタイヤの性能予測用コンピュータプログラム、並びにタイヤの設計方法
JP7328527B2 (ja) タイヤモデル作成方法、タイヤ形状最適化方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ形状最適化装置、およびプログラム
JP6010940B2 (ja) タイヤ断面形状決定方法、タイヤ製造方法、タイヤ断面形状決定装置、及びプログラム
JP5841391B2 (ja) タイヤモデルの作成方法
JPH11201874A (ja) タイヤ性能のシミュレーション方法
JP4392151B2 (ja) タイヤモデルの作成方法
JP3314082B2 (ja) タイヤ有限要素モデルの作成方法
JP2004217075A (ja) タイヤモデル作成方法、タイヤ特性予測方法、タイヤモデル作成装置、タイヤ特性予測装置およびタイヤモデル作成方法を実行するプログラム
JP6010931B2 (ja) 構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム
JP6015040B2 (ja) 構造体断面形状作成方法、構造体断面形状決定方法、構造体製造方法、構造体断面形状決定装置、及びプログラム
JP2017077773A (ja) 最適タイヤ断面形状作成方法及び最適タイヤ断面形状作成装置
JP2014141164A (ja) タイヤのシミュレーション方法
JP6661961B2 (ja) 描画方法及び処理装置
JP6163749B2 (ja) タイヤのシミュレーション方法、タイヤ特性の評価方法、タイヤの製造方法
JP6003174B2 (ja) シミュレーション用タイヤモデルの作成方法、タイヤのシミュレーション方法、これらの方法に用いるコンピュータプログラム及びタイヤのシミュレーション装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150305

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160209

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160408

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160830

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161028

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170320

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6123159

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees