JP5981233B2 - ポリアセタール樹脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法に関する。
エンジニアリングプラスチックスのポリアセタール樹脂は、優れた機械的性質、摺動特性、摩擦・磨耗特性、耐熱性、成形加工性などを有している。このため、ポリアセタール樹脂を含むポリアセタール樹脂組成物は、自動車、OA機器などの各種機械部品や電気部品等に広く用いられている。
このようなポリアセタール樹脂組成物として、例えば下記特許文献1に開示されるものが知られている。下記特許文献1ではポリエステル繊維などからなる長繊維状の有機繊維に引っ張り方向の応力を与えた状態でポリアセタール樹脂と複合させてなるポリアセタール樹脂繊維複合物により、ポリアセタール樹脂の強度を向上させるとともに、耐熱変形性を向上させることなどが提案されている。
特開2002−144395号公報
しかし、上記特許文献1に記載のポリアセタール樹脂繊維複合物は以下の課題を有していた。
すなわち、特許文献1に記載のポリアセタール樹脂繊維複合物を成形して得られる成形品は、優れた摺動特性を有するものの、耐衝撃性の点で不十分となる場合があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、耐衝撃性および摺動特性に優れた成形品を製造できるポリアセタール樹脂組成物を得ることができるポリアセタール樹脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するにあたり、まず上記特許文献1において耐衝撃性が不十分となる原因について検討した。その結果、特許文献1のポリアセタール樹脂繊維複合物において耐衝撃性が不十分となるのは以下の理由によるものではないかと本発明者は考えた。まずポリアセタール樹脂繊維複合物は、その成形に際して高温状態に置かれる。その際、ポリアセタール樹脂の一部が熱によって分解し、その結果、得られる成形品においてポリアセタール樹脂が本来有するはずの機械的特性が低下するのではないかと考えた。また、ポリアセタール樹脂が熱によって分解していないとしても、ポリアセタール樹脂は、有機繊維と十分に密着しておらず、そのために、得られる成形品において耐衝撃性が不十分となるのではないかと考えた。そこで、本発明者は、さらに鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者は、以下の発明により、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、ポリエステル系長繊維糸(B)が31〜39質量部の割合で配合され、前記ポリアセタール樹脂(A)がオキシメチレン基と、炭素数2以上のオキシアルキレン基とを含み、前記オキシアルキレン基が前記オキシメチレン基100モル%に対して0.3〜6.0モル%の割合で含まれており、前記ポリアセタール樹脂(A)の190℃、2.16kgで測定したメルトボリュームレート(MVR)が23〜45cm /10分であり、前記ポリエステル系長繊維糸(B)のトータル繊度が1080〜3300dtexであり、前記ポリエステル系長繊維糸(B)の単糸繊度が4〜10dtexであるポリアセタール樹脂組成物を製造するポリアセタール樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリエステル系長繊維糸(B)に張力を付与した状態で、溶融された前記ポリアセタール樹脂を前記ポリエステル系長繊維糸(B)に含浸させて前記ポリアセタール樹脂組成物を得る、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法である。
本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造方法によれば、耐衝撃性および摺動特性に優れた成形品を製造できるポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。また本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造方法は、良好な成形性を有することが可能となるポリアセタール樹脂組成物を得ることができる
ここで、本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造方法により耐衝撃性に優れた成形品を製造できるポリアセタール樹脂組成物を得ることができる理由については定かではないが、ポリエステル系長繊維糸(B)に張力を付与した状態で、溶融されたポリアセタール樹脂をポリエステル系長繊維糸(B)に含浸させることでポリアセタール樹脂がポリエステル系長繊維糸(B)に十分に密着するとともに、ポリアセタール樹脂の成形中における熱安定性が向上し、成形中のポリアセタール樹脂の熱分解が抑制されるためではないかと本発明者は推測している。
また単糸繊度が4dtex未満である場合と比べて、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法は、より耐衝撃性及び摺動特性に優れた成形品を製造できるポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。
上記ポリアセタール樹脂組成物の製造方法においては、前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して立体障害性フェノール化合物(C)が0.01〜5質量部の割合で配合されていることが好ましい。
この場合、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対する立体障害性フェノール化合物(C)の配合量が上記範囲を外れる場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、上記ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。
また、上記ポリアセタール樹脂組成物の製造方法においては、前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対してアミノ置換トリアジン化合物(D)が0.01〜10質量部の割合で配合されていることが好ましい。
この場合、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対するアミノ置換トリアジン化合物(D)の配合量が上記範囲を外れる場合と比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、上記ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。
また、上記ポリアセタール樹脂組成物の製造方法においては、前記ポリアセタール樹脂組成物(A)100質量部に対し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機酸塩、及び、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属含有化合物(E)が0.01〜5質量部の割合で配合されていることが好ましい。
この場合、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対する上記金属含有化合物(E)の配合量が上記の範囲を外れる場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、上記ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。
また、上記ポリアセタール樹脂組成物の製造方法においては、前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、炭素数16〜30の高級脂肪酸アミド(F)が0.01〜10質量部の割合で配合されていることが好ましい。
この場合、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対する高級脂肪酸アミド(F)の配合量が上記の範囲を外れる場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物はさらに摺動特性に優れた成形品を製造できる。
また、上記ポリアセタール樹脂組成物の製造方法においては、前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のジヒドラジド化合物(G)が0.01〜1質量部の割合で配合されていることが好ましい。
この場合、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対するジヒドラジド化合物(G)の配合量が上記の範囲を外れる場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、上記ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。
また、本発明は、上記ポリアセタール樹脂組成物の製造方法により得られるポリアセタール樹脂組成物を成形して成形品を得る成形品の製造方法である。
本発明の成形品の製造方法によれば、耐衝撃性及び摺動特性に優れる成形品を製造できるポリアセタール樹脂組成物を得ることができる
本発明によれば、耐衝撃性及び摺動特性に優れた成形品を製造できるポリアセタール樹脂組成物を得ることができるポリアセタール樹脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法が提供される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアセタール樹脂組成物においては、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、ポリエステル系長繊維糸(B)が1〜100質量部の割合で配合されている。ここで、ポリアセタール樹脂(A)は、オキシメチレン基と、炭素数2以上のオキシアルキレン基とを含み、オキシアルキレン基がオキシメチレン基100モル%に対して0.3〜6.0モル%の割合で含まれている。またポリアセタール樹脂(A)の190℃、2.16kgで測定したメルトボリュームレートが5cm/10分以上である。そして、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリエステル系長繊維糸(B)に張力を付与した状態で、溶融されたポリアセタール樹脂をポリエステル系長繊維糸(B)に含浸させて得られるものである。
本発明のポリアセタール樹脂組成物によれば、耐衝撃性および摺動特性に優れた成形品を製造できる。
以下、本発明のポリアセタール樹脂組成物に用いるポリアセタール樹脂(A)及びポリエステル系繊維糸(B)について詳細に説明する。
(A)ポリアセタール樹脂
本発明に用いられるポリアセタール樹脂(A)は、オキシメチレン基と、炭素数が2以上のオキシアルキレン基とを構成単位として含むコポリマーである。
炭素数が2以上のオキシアルキレン基としては、例えばオキシエチレン基、オキシプロピレン基、及び、オキシブチレン基などが挙げられる。中でも、ポリアセタール樹脂の特徴が損なわれることをより十分に抑制するという理由からは、オキシエチレン基が好ましい。
上記ポリアセタール樹脂(A)においては、上述したように、炭素数2以上のオキシアルキレン基の割合はオキシメチレン基100モル%に対して0.3〜6.0モル%である。
上記割合が0.3モル%未満である場合、ポリアセタール樹脂(A)は十分な熱安定性を有しない。そのため、上記割合が0.3モル%未満であるポリアセタール樹脂組成物では十分な耐衝撃性を有する成形品を製造することができない。一方、上記割合が6.0モル%を超える場合、ポリアセタール樹脂(A)の結晶性が過度に低下し、ポリアセタール樹脂組成物の強度が大きく低下したり、クリープ疲労特性が低下したりする。
上記割合は、0.5〜5.5モル%であることが好ましい。上記割合が0.5〜5.5モル%の範囲内にあると、上記範囲を外れる場合と比べて、ポリアセタール樹脂の熱安定性がより向上し、ポリアセタール樹脂組成物は、耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。上記割合は、0.7〜5.0モル%であることがより好ましく、1.0〜4.5モル%であることがさらに好ましい。
上記ポリアセタール樹脂(A)を製造するためには通常、主原料としてトリオキサンが用いられる。また、ポリアセタール樹脂(A)中に炭素数2以上のオキシアルキレン基を導入するには、例えば環状ホルマールや環状エーテルを用いることができる。環状ホルマールの具体例としては、例えば1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセパン、1,3−ジオキソカン、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカン等が挙げられ、環状エーテルの具体例としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド等が挙げられる。ポリアセタール樹脂(A)中にオキシエチレン基を導入するには、例えば1,3−ジオキソランを用いればよく、オキシプロピレン基を導入するには、1,3−ジオキサンを用いればよく、オキシブチレン基を導入するには、1,3−ジオキセパンを導入すればよい。
また、ポリアセタール樹脂(A)の190℃、2.16kgで測定したMVRは5cm/10分以上である。
MVRが5cm/10分未満であると、ポリアセタール樹脂(A)がポリエステル系長繊維糸(B)に十分に密着せず、十分な耐衝撃性を有する成形品を得ることができない。
MVRは8cm/10分以上であることがより好ましく、15cm/10分以上であることがさらに好ましい。但し、MVRは、ポリアセタール樹脂組成物の機械的特性をより向上させるためには、60cm/10分以下であることが好ましく、50cm/10分以下であることがより好ましい。
(B)ポリエステル系長繊維糸
本発明に用いられるポリエステル系長繊維糸(B)とは、ポリエステル系樹脂からなる長さが1mm以上の繊維糸である。
ポリエステル系長繊維糸(B)を構成するポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリトリエチレンテレフタレート(PTT)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂およびポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂等が挙げられる。これらの中では、特にポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂が好ましい。
上記ポリエステル系長繊維糸(B)の長さは2.0〜25.0mmであることが好ましい。上記長さが2.0〜25.0mmの範囲内にあると、上記範囲を外れる場合と比べて、ポリアセタール樹脂組成物は、耐衝撃性及び摺動特性により優れた成形品を製造できる。上記長さは2.5〜20.0mmであることがより好ましく、3.0〜15.0mmであることがさらに好ましい。
上記ポリエステル系長繊維糸(B)の単糸繊度は特に制限されるものではないが、4〜20dtexであることが好ましい。この場合、単糸繊度が4dtex未満である場合と比べて、ポリアセタール樹脂組成物は、より耐衝撃性及び摺動特性に優れた成形品を製造できる。また単糸繊度が上記範囲内にあると、20dtexを超える場合と比べて、ポリアセタール樹脂がポリエステル系長繊維糸に含浸しやすくなり、ポリアセタール樹脂とポリエステル系長繊維糸との密着性がより高まるため、より優れた耐衝撃性を有する成形品を製造できる。単糸繊度は4〜10dtexであることがより好ましく、4.0〜9.0dtexであることがさらに好ましい。
上記ポリエステル系長繊維糸(B)のトータル繊度は特に制限されるものではないが、1000〜5000dtexであることが好ましい。上記トータル繊度が上記範囲内にあると、1000dtex未満である場合と比べて、ポリアセタール樹脂組成物は、耐衝撃性及び摺動特性により優れた成形品を製造できる。また上記トータル繊度が上記範囲内にあると、5000dtexを超える場合と比べて、ポリアセタール樹脂がポリエステル系長繊維糸に含浸しやすくなり、ポリアセタール樹脂とポリエステル系長繊維糸との密着性がより高まるため、より優れた耐衝撃性を有する成形品を製造できる。上記トータル繊度は1080〜3300dtexであることがより好ましく、1100〜1670dtexであることがさらに好ましい。
ポリエステル系長繊維糸(B)は、ポリアセタール樹脂の融点よりも高い融点をすることが好ましい。この場合、ポリアセタール樹脂組成物を摺動させた際、摺動面においてポリアセタール樹脂よりもポリエステル系長繊維糸(B)は溶けにくくなる。このため、ポリアセタール樹脂の一部が溶けてもポリエステル系長繊維糸(B)は溶けにくく、ポリアセタール樹脂組成物の形状を保持することができる。このため、ポリアセタール樹脂組成物は、摺動特性をより向上させることができる。
ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対する上記ポリエステル系長繊維糸(B)の配合量は、1〜100質量部である。
ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対するポリエステル系長繊維糸(B)の配合量が1質量部未満である場合、ポリアセタール樹脂組成物は十分な耐衝撃性及び摺動特性を有しない。一方、上記配合量が100質量部を超える場合、ポリアセタール樹脂組成物は良好な成形性を有しない。
ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対するポリエステル系長繊維糸(B)の配合量は、1〜100質量部の範囲内であれば特に制限されないが、10〜50質量部であることが好ましく、17〜35質量部であることがより好ましく、19〜30質量部であることがさらに好ましい。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、必要に応じ、立体障害性フェノール化合物(C)、アミノ置換トリアジン化合物(D)、金属含有化合物(E)、高級脂肪酸アミド(F)又はジヒドラジド化合物(G)を含んでいてもよい。これらは1種類単独で又は2種以上を組みわせて用いることができる。以下、立体障害性フェノール化合物(C)、アミノ置換トリアジン化合物(D)、金属含有化合物(E)、高級脂肪酸アミド(F)及びジヒドラジド化合物(G)について説明する。
(C)立体障害性フェノール化合物
本発明のポリアセタール樹脂組成物に使用される立体障害性フェノール化合物(C)とは、下記一般式(1)で示されるフェノール性水酸基に対するオルト位に置換基を有する構造を分子内に少なくとも一個有する化合物である。
Figure 0005981233
一般式(1)において、R及びRは、各々独立して、置換又は非置換のアルキル基を示す。
、Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基等炭素数1〜6のものが挙げられる。中でもt−ブチル基のような嵩高い分岐アルキル基が好ましく、R及びRのうちの少なくとも一つはこのような分岐アルキル基であることが好ましい。置換アルキル基としては、非置換アルキル基の水素原子を塩素等のハロゲン原子で置換したものを用いることができる。
本発明に用いる立体障害性フェノール化合物(C)としては、例えば2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルジメチルアミン、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2,6,7−トリオキサ−1−ホスファ−ビシクロ〔2,2,2〕−オクト−4−イル−メチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−3,5−ジステアリル−チオトリアジルアミン、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリト−ル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2'−チオジエチル−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
これらの中でも好ましいのは,N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)のような下記一般式(2)で示される構造を有する化合物である。
Figure 0005981233
一般式(2)において、R及びRは、それぞれ、一般式(1)のR及びRと同義である。
また、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2'−チオジエチル−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のような、3−位に3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシフェニル基を有するプロピオン酸と多価アルコールのエステルも好ましい。
立体障害性フェノール化合物(C)化合物は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。立体障害性フェノール化合物(C)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましい。
立体障害性フェノール化合物(C)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が0.01質量部未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。また、立体障害性フェノール化合物(C)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が5質量部を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度の低下及びポリアセタール樹脂組成物からなる成形品表面からの立体障害性フェノール化合物(C)のブリードアウトが十分に抑制される。立体障害性フェノール化合物(C)の配合量は、より好ましくはポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し0.03〜4.0質量部であり、さらに好ましくは0.05〜3.0質量部である。
(D)アミノ置換トリアジン化合物
本発明のポリアセタール樹脂組成物に使用されるアミノ置換トリアジン化合物(D)とは、基本的には、下記一般式(3)で示される構造を有する置換トリアジン類、または該置換トリアジン類とホルムアルデヒドとの初期重縮合物である。
Figure 0005981233

(上記一般式(3)において、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アミノ基または置換アミノ基を示し、その少なくとも一つは、アミノ基、または置換アミノ基を表す。)
上記アミノ置換トリアジン化合物(D)の具体例としては、例えばグアナミン、メラミン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N”−トリフェニルメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、アメリン(N,N,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン)、または、それらとホルムアルデヒドとの初期重縮合物等が挙げられる。中でも、メラミン、メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、水溶性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。
アミノ置換トリアジン化合物(D)は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。アミノ置換トリアジン化合物(D)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜10質量部であることが好ましい。
アミノ置換トリアジン化合物(D)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が0.01質量部未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。また、アミノ置換トリアジン化合物(D)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が10質量部を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度の低下及びポリアセタール樹脂組成物からなる成形品表面からのアミノ置換トリアジン化合物(D)のブリードアウトが十分に抑制される。
アミノ置換トリアジン化合物(D)の配合量は、より好ましくはポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し0.03〜8.0質量部であり、さらに好ましくは0.05〜5.0質量部である。
(E)金属含有化合物
本発明のポリアセタール樹脂組成物に使用される金属含有化合物(E)は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の無機酸塩、又は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアルコキシドから選ばれる。
上記金属含有化合物(E)の具体例としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、これら金属の炭酸塩、燐酸塩、ケイ酸塩、ほう酸塩などの無機酸の金属塩、これら金属のメトキシド、エトキシドなどのアルコキシド等が挙げられる。中でも、アルカリ土類金属の水酸化物、無機酸の金属塩又はアルコキシドが好ましく、特に、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、および炭酸マグネシウムが好ましい。
金属含有化合物(E)は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
金属含有化合物(E)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましい。金属含有化合物(E)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が0.01質量部未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。また、金属含有化合物(E)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が5質量部を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度の低下及びポリアセタール樹脂組成物からなる成形品表面からの金属含有化合物(E)のブリードアウトが十分に抑制される。金属含有化合物(E)の配合量は、より好ましくはポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し0.03〜4.0質量部であり、さらに好ましくは0.05〜3.0質量部である。
(F)高級脂肪酸アミド
本発明のポリアセタール樹脂組成物に使用される高級脂肪酸アミド(F)とは、炭素数16〜30の高級脂肪酸アミドである。高級脂肪酸アミドは、飽和又は不飽和脂肪酸と、一価又は多価アミンとの脱水縮合反応で得られるアミドである。
上記脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ガドレイン酸およびエルカ酸等が挙げられる。また、上記アミンの具体例としては、例えばカプリルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。また、上記高級脂肪酸アミド(F)の具体例としては、例えばパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドおよびエルカ酸アミドなどが挙げられる。
高級脂肪酸アミド(F)は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
高級脂肪酸アミド(F)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜10質量部であることが好ましい。高級脂肪酸アミド(F)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が0.01質量部未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物は、摺動特性にさらに優れた成形品を製造できる。また、高級脂肪酸アミド(F)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が10質量部を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度の低下及びポリアセタール樹脂組成物からなる成形品表面からの高級脂肪酸アミド(F)のブリードアウトが十分に抑制される。高級脂肪酸アミド(F)の配合量は、より好ましくはポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し0.03〜8.0質量部であり、さらに好ましくは0.05〜5.0質量部である。
(G)ジヒドラジド化合物
本発明のポリアセタール樹脂組成物に使用されるジヒドラジド化合物(G)は、芳香族ヒドラジド化合物又は20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物からなる。
上記芳香族ジヒドラジド化合物の具体例としては、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、1,5−ナフタレンジカルボヒドラジド、1,8−ナフタレンジカルボヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボヒドラジド、4,4'−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、1,5−ジフェニルカルボノヒドラジド等が挙げられる。
これらのヒドラジド化合物のうち、本発明に使用するヒドラジド化合物(G)としては、テレフタル酸ジヒドラジド、1,5−ナフタレンジカルボヒドラジド、1,8−ナフタレンジカルボヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボヒドラジドが特に好ましい。
上記20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物の具体例としては、シュウ酸ジヒドラジド(0.2g以下)、セバシン酸ジヒドラジド(0.01g以下)、ドデカン二酸ジヒドラジド(0.1g以下)、1,18−オクタデカンジカルボヒドラジド(0.1g以下)等が挙げられる。なお、括弧内は、20℃における水100gに対する溶解度を示すものである。
ジヒドラジド化合物(G)は単独で使用しても、2種以上混合して用いてもよい。
ジヒドラジド化合物(G)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1質量部であることが好ましい。ジヒドラジド化合物(G)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が0.01質量部未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、ポリアセタール樹脂組成物は、耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。また、ジヒドラジド化合物(G)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が1質量部を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度の低下及びポリアセタール樹脂組成物からなる成形品表面からのジヒドラジド化合物(G)のブリードアウトが十分に抑制される。ジヒドラジド化合物(G)の配合量は、より好ましくはポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し0.03〜0.9質量部であり、さらに好ましくは0.05〜0.8質量部である。
ポリアセタール樹脂組成物には、上記(A)〜(G)成分のほか、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、着色剤、核剤、可塑剤、蛍光増白剤、摺動剤、ポリエチレングリコール、グリセリンのような帯電防止剤、高級脂肪酸塩、ベンゾトリアゾール系若しくはベンゾフェノン系化合物のような紫外線吸収剤、又はヒンダードアミン系のような光安定剤等の添加剤をさらに添加してもよい。
次に、本発明のポリセタール樹脂組成物の製造方法について説明する。
まず複数本のポリエステル系長繊維糸(B)を用意する。
次に、複数本のポリエステル系長繊維糸(B)からなる繊維束を押出機の先端に設けたクロスヘッド内に通す。このとき、クロスヘッドとしては、内部に複数個のローラが設置されているものを用いる。
そして、ポリエステル系長繊維糸(B)の繊維束の引き取り方向と各ローラの回転軸とが直角になるようにポリエステル系長繊維糸(B)の繊維束を配置する。このとき、ポリエステル系長繊維糸(B)の繊維束は、複数個のローラに対し、ポリエステル系長繊維糸(B)の繊維束に張力を与えるためにジグザグ状になるように配置することが好ましい。
一方、ポリアセタール樹脂(A),成分(C)〜(G)等を混合し、得られる混合物を、押出機にて溶融混練し、溶融混練物を押出機からクロスヘッド内に押し出す。
そして、ポリエステル系長繊維糸(B)の繊維束には張力を付与した状態で繊維束を引き取りながら、溶融混練物を、ポリエステル系長繊維糸(B)の繊維束に含浸させクロスヘッドから引き抜いてストランドを得る。その後、ストランドを所定の長さに切断する。こうしてポリアセタール樹脂組成物が得られる。
なお、ポリエステル系長繊維糸(B)の引き取り速度は、通常は5.0〜40.0m/minであればよいが、6.0〜30.0m/minとすることが好ましい。またポリエステル系長繊維糸(B)の繊維束に付与する張力は特に限定されるものではないが、例えば10〜400Nとすればよい。さらにクロスヘッドから引き抜いたストランドは、切断前に水等で冷却することが好ましい。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、耐衝撃性および摺動特性に優れる成形品を成形できるため、例えば自動車内装部品、家屋等の内装部品(熱水混合栓等)、衣料部品(ファスナー、ベルトバックル等)や建材用品(配管・ポンプ部品等)、電機部品(プリンター、複写機、ファクシミリなどの事務用機器や、時計部品などの精密機器等の樹脂部品、歯車等)などの原材料として好適に用いることができる。
以下、本発明について参考例、実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
参考例、実施例および比較例で使用した材料は下記の通りである。
(A)ポリアセタール樹脂(POM)
1)POM−1
トリオキサンと1,3−ジオキソランとを、オキシエチレン基の割合がオキシメチレン基100モル%に対して1.4モル%となるように共重合して得られたオキシメチレンコポリマーであって、メルトボリュームレート(MVR)(190℃、2.16kg)が45cm/10分であるオキシメチレンコポリマー
2)POM−2
トリオキサンと1,3−ジオキソランとを、オキシエチレン基の割合がオキシメチレン基100モル%に対して1.4モル%となるように共重合して得られたオキシメチレンコポリマーであって、メルトボリュームレート(MVR)(190℃、2.16kg)が23cm/10分であるオキシメチレンコポリマー
3)POM−3
トリオキサンを、オキシエチレン基の割合がオキシメチレン基100モル%に対して1.4モル%となるように共重合して得られたオキシメチレンコポリマーであって、メルトボリュームレート(MVR)(190℃、2.16kg)が8cm/10分であるオキシメチレンコポリマー
4)POM−4
トリオキサンを、オキシエチレン基の割合がオキシメチレン基100モル%に対して0モル%となるように単独重合して得られたオキシメチレンホモポリマーであって、メルトボリュームレート(MVR)(190℃、2.16kg)が15cm/10分であるオキシメチレンホモポリマー
(B)ポリエステル系長繊維糸
1)ポリエステル系長繊維糸−1
ポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸、延伸した長繊維糸、単糸繊度4.5dtex、トータル繊度1100dtex
2)ポリエステル長繊維糸−2
ポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸、延伸した長繊維糸、単糸繊度8.7dtex、トータル繊度1670dtex
参考例1〜3、実施例〜5及び比較例1〜2)
ポリエステル系長繊維糸(B)の繊維束を用意し、この繊維束を押出機の先端に設けたクロスヘッド内に通した。このとき、クロスヘッド内には、複数個のローラを設置した。そして、ポリエステル系長繊維糸(B)の引き取り方向と各ローラの回転軸とが直角になるようにポリエステル系長繊維糸(B)の繊維束を配置した。繊維束は、複数個のローラに対し、当該繊維束に張力を与えるためにジグザグ状になるように配置した。一方、ポリアセタール樹脂(A)を、押出機にて温度200℃で溶融し、溶融物を押出機からクロスヘッド内に押し出した。そして、ポリエステル系長繊維糸(B)を引取速度7m/minで引き取りながら、溶融物を、ポリエステル系長繊維糸(B)の繊維束に含浸させ、クロスヘッドからストランドとして引き抜き、ストランドを水で冷却後、長さ9mmに切断してポリアセタール樹脂組成物のペレットを得た。
[特性評価]
(1)耐衝撃性
参考例1〜3、実施例〜5及び比較例1〜2で得られたポリアセタール樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、射出成型機(東芝機械社製「EC100SX」)を用いて、シリンダー温度195℃、金型温度90℃の条件で射出成型し、ISO179に準拠した厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmのノッチ付き試験片を作製した。この試験片について温度23℃でシャルピー衝撃強さ(単位:kJ/m)を測定した。結果を表1に示す。耐衝撃性については、シャルピー衝撃強さが10kJ/m以上であるものを合格とし、10kJ/m未満であるものを不合格とした。
(2)摺動特性
参考例1〜3、実施例〜5及び比較例1〜2で得られたポリアセタール樹脂組成物ペレットを80℃で3時間乾燥した後、射出成型機(日精樹脂工業社製「PS40」)を用いて、シリンダー温度195℃、金型温度60℃の条件で射出成型し、円筒形スラスト試験片、接触面積2cmの試験片を作製した。この試験片について、温度23℃で摩擦摩耗試験を行い、同材料及びJIS G 4015に規定するS45Cに対する比摩耗量及び限界PVを測定した。結果を表1に示す。摺動特性についての合格基準は下記1)〜4)の全てを満足することとした。
1)同材料に対する比摩耗量が25×10−2mm/kgf・km以下
2)S45Cに対する比摩耗量が2×10−2mm/kgf・km以下
3)同材料に対する限界PVが10MPa・cm/sec以上
4)S45Cに対する限界PVが100MPa・cm/sec以上
Figure 0005981233
表1に示す結果より、参考例1〜3及び実施例〜5で得られたポリアセタール樹脂組成物は、耐衝撃性及び摺動特性の点で合格基準を満たすことが分かった。それに対して、比較例1〜2で得られたポリアセタール樹脂組成物は、耐衝撃性又は摺動特性のいずれかの点で合格基準を満たさないことが分かった。なお、参考例1〜3、実施例〜5及び比較例1〜2で得られたポリアセタール樹脂組成物は、いずれも良好な成形性を示した。
以上より、本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法によれば、耐衝撃性及び摺動特性に優れる成形品を製造できるポリアセタール樹脂組成物を得ることができることが確認された。

Claims (7)

  1. ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、ポリエステル系長繊維糸(B)が31〜39質量部の割合で配合され、
    前記ポリアセタール樹脂(A)がオキシメチレン基と、炭素数2以上のオキシアルキレン基とを含み、前記オキシアルキレン基が前記オキシメチレン基100モル%に対して0.3〜6.0モル%の割合で含まれており、
    前記ポリアセタール樹脂(A)の190℃、2.16kgで測定したメルトボリュームレートが23〜45cm /10分であり、
    前記ポリエステル系長繊維糸(B)のトータル繊度が1080〜3300dtexであり、
    前記ポリエステル系長繊維糸(B)の単糸繊度が4〜10dtexであるポリアセタール樹脂組成物を製造するポリアセタール樹脂組成物の製造方法であって、
    前記ポリエステル系長繊維糸(B)に張力を付与した状態で、溶融された前記ポリアセタール樹脂を前記ポリエステル系長繊維糸(B)に含浸させて前記ポリアセタール樹脂組成物を得る、ポリアセタール樹脂組成物の製造方法
  2. 前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して立体障害性フェノール化合物(C)が0.01〜5質量部の割合で配合されている、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法
  3. 前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対してアミノ置換トリアジン化合物(D)が0.01〜10質量部の割合で配合されている請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法
  4. 前記ポリアセタール樹脂組成物(A)100質量部に対して、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機酸塩、及び、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属含有化合物(E)が0.01〜5質量部の割合で配合されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法
  5. 前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、炭素数16〜30の高級脂肪酸アミド(F)が0.01〜10質量部の割合で配合されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法
  6. 前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のジヒドラジド化合物(G)が0.01〜1質量部の割合で配合されている、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物の製造方法により得られるポリアセタール樹脂組成物を成形して成形品を得る成形品の製造方法
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