JP2005325225A - ポリアセタール樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対し、(B)芳香族ジヒドラジド及び20℃におけるH2O100gに対する溶解度が1g未満である脂肪族ジヒドラジドより選ばれる少なくとも1種のヒドラジド化合物0.01〜5重量部、(C)α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体0.001〜0.9重量部、(D)立体障害性フェノール0.01〜5重量部を配合してなり、且つ、(C)/(B)の重量比が0.01〜1であるポリアセタール樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
しかしながら、ポリアセタール樹脂はモノマーの主原料がホルムアルデヒドであることから、樹脂の重合時や成形加工時等にかかる熱履歴での僅かな熱分解反応により、きわめて微量ながらもホルムアルデヒドが発生し、労働(衛生)環境を悪化させるのみならず、成形時にモールドデポジット(金型付着物)を生成し、成形金型を汚染し、成形不良の原因となる。また、最終製品から発生するホルムアルデヒドを完全に無くすことは困難であり、建材などから発生するホルムアルデヒドによるシックハウス症候群等が問題となっている。厚生労働省からの室内ホルムアルデヒド濃度指針値は0.08ppmと規定されており、シックハウス症候群対策として、ホルムアルデヒド発生量を現状よりさらに低くすることが求められている。そのためには、ホルムアルデヒド発生量の低いポリアセタール樹脂材料が望ましい。
例えば、特許文献1には、ポリアセタール樹脂にアジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジドを配合した組成物が提案されている。同文献には、ヒドラジドは、ポリアセタール樹脂が、結晶固化した状態でホルムアルデヒドを吸着するが、溶融状態における分解を抑制する効果はないことが記載されている。特許文献2には、立体障害性フェノール系酸化防止剤とメラミン、シアナミド、ヒドラジド等の窒素含有化合物のほう酸塩をポリアセタール樹脂に配合した組成物が提案され、窒素含有化合物をほう酸塩として配合することにより、成形時の添加剤のしみだしが低減され、金型汚染が改善されると記載されている。
特許文献3には、ポリアセタール樹脂に、オレフィン系重合体とビニル系重合体のグラフトもしくはブロック共重合体、特定性状のメラミン−ホルムアルデヒド重縮合物及び酸化防止剤を配合した組成物が提案されている。同文献によれば、オレフィン系重合体とビニル系重合体のグラフトもしくはブロック共重合体の配合により、ポリアセタール樹脂の摺動性が向上するが、かかる共重合体は成形加工時に共重合体自体や、ポリアセタール樹脂の熱分解を促し、分解生成物による金型付着物の増加を引き起こす場合があることが記載されている。
しかしながら、これらのポリアセタール樹脂組成物は、必ずしも、その効果が充分とはいえず、更に改善されたポリアセタール樹脂組成物が望まれている。
本発明に使用される(A)ポリアセタール樹脂は、オキシメチレン基(−CH2O−)を主たる構成単位とするアセタールホモポリマー、及び、オキシメチレン基以外の構成単位を1種以上含むコポリマー(ブロックポリマーも含む)、およびターポリマー等を包含する。また、前記ポリアセタール樹脂は、線状構造のみならず分岐、架橋構造を有していてもよい。前記オキシメチレン基以外の構成単位としてはオキシエチレン基(−CH2CH2O−)、オキシプロピレン基(−CH2CH2CH2O−)、オキシブチレン基(−CH2CH2CH2CH2O−)等の炭素数2以上、好ましくは2〜4のオキシアルキレン基が挙げられ、中でもオキシエチレン基が好ましい。樹脂中の炭素数2以上のオキシアルキレン構造単位の含有量は、0.1〜20重量%が好ましい。
(C)α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体として、好ましくは、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体である。
実施例及び比較例で使用した材料、及び得られた組成物の評価法は以下の通りである。
(1)ポリアセタール樹脂:コモノマーとして1,3−ジオキソランを樹脂に対して4.2重量%用いたアセタールコポリマー、メルトインデックス(10.5g/10分)]。
(2)ヒドラジド化合物−1:2,6−ナフタレンジカルボヒドラジド。
(4)ヒドラジド化合物−3:イソフタル酸ジヒドラジド。
(5)ヒドラジド化合物−4:ドデカン二酸ジヒドラジド、水100g(20℃)に対する溶解度0.01g以下。
(6)ヒドラジド化合物−5:アジピン酸ジヒドラジド、水100g(20℃)に対する溶解度9.1g。
(10)金属含有化合物:水酸化マグネシウム。
(a)発生ホルムアルデヒド量:日精樹脂工業社製PS−40E5ASE成形機を用いてシリンダー温度215℃で成形した100mmx40mmx2mmの平板を試験片とし、成形翌日にドイツ自動車工業組合規格VDA275(自動車室内部品−改訂フラスコ法によるホルムアルデヒド放出量の定量)に記載された方法に準拠して以下の手順で測定した。
(i)ポリエチレン容器中に、蒸留水50mlを入れ、試験片を吊るした状態で密閉し、60℃で3時間保持する。
(ii)その後、60分間室温で放置した後、試験片を取り出す。
(iii)次いで、容器内の蒸留水中に吸収されたホルムアルデヒド濃度をUVスペクトロメーターを用い、アセチルアセトン比色法で測定する。
ポリアセタール樹脂及び各種添加剤を、下記表1〜表5に示す配合処方で秤量し、タンブラー型ブレンダーによって混合した。次に、得られた混合物を40mmφ単軸押出機(田辺プラスチックス社製、型式:VS−40)にて、シリンダー温度200℃、吐出速度13kg/hrで溶融混練してペレット化し、所望のポリアセタール樹脂組成物ペレットを得た。このペレットを用い、射出成形により上述の各種試験片を成形し、成形品の発生ホルムアルデヒド量、金型付着性を測定した。結果を表1〜表5に示した。
なお、発生ホルムアルデヒド量は比較例1の値を基準(1.00)とした場合の相対値として表示した。
Claims (7)
- (A)ポリアセタール樹脂100重量部に対し、(B)芳香族ジヒドラジド及び20℃におけるH2O100gに対する溶解度が1g未満である脂肪族ジヒドラジドより選ばれる少なくとも1種のヒドラジド化合物0.01〜5重量部、(C)α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体0.001〜0.9重量部、(D)立体障害性フェノール0.01〜5重量部を配合してなり、且つ、(C)/(B)の重量比が0.01〜1であることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
- (B)ヒドラジド化合物が、ナフタレンジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド及びドデカン二酸ジヒドラジドからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (C)α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体が、以下の(1)及び(2)の条件を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(1)測定温度190℃、荷重2.16kgにおけるMI値が1〜50g/10min。
(2)共重合体中のα,β−不飽和カルボン酸エステルの比率が5〜50モル%。 - (C)α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸エステルとの共重合体が、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (A)ポリアセタール樹脂100重量部に対し、さらに(E)アミノ置換トリアジン化合物0.01〜7重量部を配合してなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- (A)ポリアセタール樹脂100重量部に対し、さらに(F)アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩またはアルコキシドから選ばれる少なくとも1種の金属含有化合物0.004〜5重量部を配合してなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 請求項1〜6の何れかに記載のポリアセタール樹脂組成物からなる成形品。
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