JP5320223B2 - ポリアセタール樹脂組成物、樹脂成形品、ポリアセタール樹脂原料組成物の改質方法及び改質剤 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物、樹脂成形品、ポリアセタール樹脂原料組成物の改質方法及び改質剤 Download PDF

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Description

本発明はポリアセタール樹脂組成物及びそれから成る樹脂成形品に関する。詳しくは、熱安定性と耐候性に優れ、ホルムアルデヒド発生と機械的強度低下が抑制されている着色ポリアセタール樹脂組成物及びそれから成る成形品に関する。また、本発明は、ポリアセタール樹脂原料組成物の改質方法と改質剤にも関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的物性(耐摩擦性・磨耗性、耐クリープ性、寸法安定性等)のバランスに優れ、また極めて優れた耐疲労性を有している。また、この樹脂は耐薬品性にも優れており、かつ吸水性も少ない。従って、ポリアセタール樹脂は、これらの特性を生かして、エンジニアリングプラスチックとして、自動車内装部品、家屋の内装部品(熱水混合栓等)、衣料部品(ファスナー、ベルトバックル等)、建材用途(配管・ポンプ部品等)、機械部品(歯車等)等に用いられ、需要が伸びている。
然しながら、ポリアセタール樹脂は、樹脂の製造時や加工成形時等における熱履歴によって、僅かながら熱分解する。その結果、極めて微量ながらもホルムアルデヒドが発生し、成形金型の汚染や、成形作業時の労働(衛生)環境を悪化させる。また樹脂製品から発生するホルムアルデヒドは、シックハウス症候群等を引き起こす可能性もあるとされる。
この様な状況に対して、厚生労働省からは建物室内におけるホルムアルデヒド濃度指針値(上限0.08ppm)が出されており、ポリアセタール樹脂成形品からのホルムアルデヒド発生量の一層の低減が求められている。
ポリアセタール樹脂に添加剤を配合することにより、ペレットや成形品からのホルムアルデヒド発生を抑制し得ることは周知であり、従来から添加剤として種々のものが検討されてきた。例えば、メラミン−ホルムアルデヒド重合物(特許文献1)、ポリアミンと塩化シアヌルの反応物にアンモニア又はその誘導体を反応させて得られるポリアミン反応物(特許文献2)、ジシアンジアミド化合物(特許文献3)、シラン化合物(特許文献4)、窒素含有化合物−ホウ酸塩(特許文献5)、グリオキシジウレイド化合物(特許文献6)、尿素誘導体及び/又はアミジン誘導体(特許文献7)、フェノール類と塩基性窒素含有化合物とアルデヒド類との縮合物(特許文献8)、トリアジン環含有スピロ化合物(特許文献9)等が提案されている。
また、トリフルオロメタンスルホン酸等の強プロトン酸を触媒としてポリアセタール樹脂を製造することにより、ホルムアルデヒド発生を抑制する方法(特許文献10)も提案されている。更にはホルムアルデヒドの吸着剤として、アジピン酸ジヒドラジドや1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ヒドラジド化合物等の脂肪族ジヒドラジド化合物(特許文献11)、これらの窒素含有化合物と脂肪酸金属塩との併用(特許文献12)も提案されている。
また、ポリアセタール樹脂の着色には一般に無機顔料や有機顔料が用いられているが、これらの顔料を配合すると、ポリアセタール樹脂ペレットやその成形品からのホルムアルデヒド発生が増加する傾向がある。従って顔料で着色されたポリアセタール樹脂では、ホルムアルデヒドの発生を抑制することは、極めて重要な問題である。
特開平5−271516号公報 特開平7−207118号公報 特開平8−208946号公報 特開平9−235447号公報 特開平10−36630号公報 特開平10−182928号公報 特開2000−34417号公報 特開2002−212384号公報 特開2003−113289号公報 特開2000−86738号公報 特開平6−80619号公報 特表2004−522810号公報
上述の様に、ポリアセタール樹脂からのホルムアルデヒドの発生を抑制する方法は種々検討されているが、未だ満足すべき方法は見出されていない。
また、顔料の配合は、ポリアセタール樹脂の熱安定性や耐候性を低下させるばかりか、他の添加剤によるホルムアルデヒドの発生抑制効果を低下させる。従って顔料で着色したポリアセタール樹脂のホルムアルデヒド発生を抑制するには、従来の方法では多量の添加剤を配合する必要がある。しかし、本願発明者が検討した結果、添加剤を多量に配合すると、樹脂の機械的物性を低下させ、かつ、成形時の金型汚染による成形性の低下を招くという問題があることが分かった。従って、顔料によるポリアセタール樹脂の着色と、ホルムアルデヒド発生抑制と機械的特性低下抑制、耐候性及び成形性の向上とを両立させる方法が求められている。
本発明の目的は、顔料の配合により着色されており、しかも成形性に優れ、且つペレットや成形品からのホルムアルデヒド発生や成形品の機械的特性低下が抑制され、耐候性が良好なポリアセタール樹脂組成物及びこれからなる樹脂成形品を提供することにある。
本発明者らは、常用の顔料で着色したポリアセタール樹脂に、少なくとも4種類の特定の添加成分を配合したものが、成形性と耐候性に優れ、またペレット及び樹脂成形品からのホルムアルデヒド発生が著しく抑制され、機械的特性低下も抑制されることを見出し、本発明を完成させた。具体的には、以下の手段により上記目的は達成された。
(1)(A)ポリアセタール樹脂100重量部に、
(B)無機及び有機顔料から選ばれた着色剤 0.01〜5重量部、
(C)融点又は軟化点が180℃以下であるという物性か、アミン価が2mgKOH/g以上であるという物性の少なくとも一方を備えるポリアミド樹脂 0.01〜3重量部、
(D)芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物より成る群から選ばれたジヒドラジド化合物 0.01〜1重量部、
(E)下記一般式(1)で示される構造を有するヒンダードアミン系光安定剤 0.01〜5重量部、及び
(F)紫外線吸収剤 0.01〜5重量部
を含有することを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
(式中、Xは窒素原子との結合部が炭素原子である有機基を示し、Yは、酸素原子または窒素原子を介してピペリジル基と結合する有機基または水素原子を示す。)
(2)(C)ポリアミド樹脂が、融点又は軟化点が180℃以下のポリアミド樹脂である、(1)に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(3)(C)ポリアミド樹脂が、融点又は軟化点が180℃以下であり、かつ、アミン価2mgKOH/g以上である、(1)に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(4)(E)ヒンダードアミン系光安定剤が、前記一般式(1)におけるXが、炭素数1〜10のアルキル基、下記式(2)または(3)で示される基から選ばれる基である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(5)(E)ヒンダードアミン系光安定剤が、下記式(4)〜(12)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(6)(F)紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系化合物である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(7)(F)紫外線吸収剤が、20℃における蒸気圧が1×10-8Pa以下のものである、(1)〜(6)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(8)(F)紫外線吸収剤が、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールまたは2,2'−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]である、(1)〜(7)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(9)(B)着色剤が、チタンイエロー、チタンホワイト、ペリノン系顔料、フタロシアニン系顔料及びカーボンブラックより成る群から選ばれたものである、(1)〜(8)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(10)(C)ポリアミド樹脂が、ポリアミド12、ポリアミド6/66共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/610三元共重合体、ポリアミド6/66/610/12四元共重合体及びダイマー酸ポリアミド樹脂より成る群から選ばれたものである、(1)〜(9)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(11)(C)ポリアミド樹脂が、ダイマー酸ポリアミド樹脂である、(1)〜(9)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(12)(D)ジヒドラジド化合物が、ナフタレンジカルボン酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド及びドデカン二酸ジヒドラジドからなる群から選ばれたものである、(1)〜(11)のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
(13)(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対し、さらに(G)立体障害性フェノール化合物を0.01〜1重量部含有することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(14)(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対し、さらに(H)アミノ置換トリアジン化合物を0.01〜10重量部含有する、(1)〜(13)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
(15)引張強度が60MPa以上である、(1)〜(14)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。本発明における引張強度の値は、後記の実施例に記載される手順にしたがって、ISO527規格に準拠して測定した値である。
(16)(1)〜(15)のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形して成るポリアセタール樹脂成形品。
(17)(A)ポリアセタール樹脂100重量部を含有するポリアセタール樹脂原料組成物に、
(B)無機及び有機顔料から選ばれた着色剤 0.01〜5重量部、
(C)融点又は軟化点が180℃以下であるという物性か、アミン価が2mgKOH/g以上であるという物性の少なくとも一方を備えるポリアミド樹脂 0.01〜3重量部、
(D)芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物より成る群から選ばれたジヒドラジド化合物 0.01〜1重量部、
(E)上記一般式(1)で示される構造を有するヒンダードアミン系光安定剤 0.01〜5重量部、及び
(F)紫外線吸収剤 0.01〜5重量部
を混合することを特徴とするポリアセタール樹脂原料組成物の改質方法。この改質方法については、上記各(2)〜(15)の限定を好ましく加えることができる。
(18)成形品の耐候性を向上させ、引張強度低下とホルムアルデヒド発生を抑制する、(17)に記載の改質方法。
(19)(B)無機及び有機顔料から選ばれた着色剤 0.01〜5重量部、
(C)融点又は軟化点が180℃以下であるという物性か、アミン価が2mgKOH/g以上であるという物性の少なくとも一方を備えるポリアミド樹脂 0.01〜3重量部、
(D)芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物より成る群から選ばれたジヒドラジド化合物 0.01〜1重量部、
(E)上記一般式(1)で示される構造を有するヒンダードアミン系光安定剤 0.01〜5重量部、及び
(F)紫外線吸収剤 0.01〜5重量部
を含有することを特徴とするポリアセタール樹脂原料組成物用改質剤。この改質剤については、上記各(2)〜(15)の限定を好ましく加えることができる。
(20)成形品の耐候性を向上させ、引張強度低下とホルムアルデヒド発生を抑制する、(19)に記載のポリアセタール樹脂原料組成物用改質剤。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、熱安定性と耐候性に優れ、成形加工時のホルムアルデヒドの発生及び金型汚染が抑制されているので、作業環境を向上させるのみならず、成形品から発生するホルムアルデヒド量や成形品の機械的強度低下も少ない。従って、いわゆるシックハウス症候群対策として、自動車内装部品、家屋等の内装部品(熱水混合栓等)、衣料部品(ファスナー、ベルトバックル等)や建材用途(配管、ポンプ部品等)、機械部品(歯車等)に好適に使用することができる。
図1は、本願実施例の金型汚染性の評価で使用した、しずく型金型の模式図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定されるものではない。本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
(A)ポリアセタール樹脂
本発明に用いるポリアセタール樹脂は、−(−O−CRH−)n−(但し、Rは水素原子、有機基を示す。)で示されるアセタール構造の繰り返しを有する高分子であり、通常はRが水素原子であるオキシメチレン基(−CH2O−)を主たる構成単位とするものである。本発明に用いるポリアセタール樹脂は、このオキシメチレン単位のみからなるホモポリマー以外に、オキシメチレン単位以外の構成単位を含むコポリマー(ブロックコポリマー)やターポリマー等であってもよく、更には線状構造のみならず分岐、架橋構造を有していてもよい。
オキシメチレン単位以外の構成単位としては、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)、オキシプロピレン基(−CH2CH2CH2O−)、オキシブチレン基(−CH2CH2CH2CH2O−)等の炭素数2〜10の、分岐していてもよいオキシアルキレン基が挙げられる。これらのなかでも、炭素数2〜4の分岐していてもよいオキシアルキレン基が好ましく、特にオキシエチレン基が好ましい。ポリアセタール樹脂に占めるオキシメチレン基以外のオキシアルキレン基の含有量は、通常は0.1〜20重量%である。
ポリアセタール樹脂の製造方法はいくつも知られているが、本発明ではいずれの方法で製造されたポリアセタール樹脂も用いることができる。例えば、オキシメチレン基と、炭素数2〜4のオキシアルキレン基を構成単位とするポリアセタール樹脂の製造方法としては、ホルムアルデヒドの3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のオキシメチレン基の環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキソカン、1,3−ジオキセパン等の炭素数2〜4のオキシアルキレン基を含む環状オリゴマーとを共重合することによって製造することができる。ポリアセタール樹脂としては、トリオキサンやテトラオキサン等の環状オリゴマーと、エチレンオキサイド又は1,3−ジオキソランとの共重合体を用いるのが好ましく、トリオキサンと1,3−ジオキソランとの共重合体を用いるのが特に好ましい。ポリアセタール樹脂のメルトインデックス(ASTM−D1238規格:190℃、2.16Kg)は通常1〜100g/10分であるが、0.5〜80g/10分が好ましい。
(B)着色剤
(B)着色剤を構成する無機及び有機顔料としては、「顔料便覧(日本顔料技術協会編)」に記載されている一般的な無機顔料や有機顔料を用いることができる。そのいくつかを例示すると、無機顔料としては酸化チタン、チタンイエロー等のチタンを含む(複合)金属酸化物、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラック、群青、硫化亜鉛、三酸化アンチモン等が挙げられる。有機顔料はフタロシアニン系、アンスラキノン系、キナクリドン系、アゾ系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ペリノン系、ペリレン系等の顔料が挙げられる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物における無機及び有機顔料の含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部である。含有量が0.01重量部未満では有意に着色することはできない。顔料の含有量は、好ましくは、0.05重量部以上であり、より好ましくは0.1重量部以上である。含有量の上限は、5重量部であり、3重量部以下が好ましく、2重量部以下がより好ましい。顔料を5重量部以下とすることにより、ホルムアルデヒドの発生を抑制することができる。
なお顔料の配合に際しては、分散助剤や展着剤を配合してもよい。分散助剤としては、アミドワックス、エステルワックス、オレフィンワックス等が、また展着剤としては、流動パラフィン等が挙げられる。また顔料に染料を併用して所望の色目に仕上げてもよい。
(C)ポリアミド樹脂
本発明においては、(C)融点又は軟化点が180℃以下であるという物性か、アミン価が2mgKOH/g以上であるという物性の少なくとも一方を備えるポリアミド樹脂を配合する。このようなポリアミド樹脂を配合することにより、ホルムアルデヒドの発生を効果的に抑制することができる。
(C)融点又は軟化点が180℃以下のポリアミド樹脂としては、脂肪族ポリアミド樹脂、脂環族ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂のいずれも使用することができる。
また、ポリアミド樹脂は一種類の構成単位から成るものでも、複数種の構成単位から成るものであってもよい。ポリアミド樹脂の原料としてはω−アミノ酸、好ましくは炭素数6〜12の直鎖ω−アミノ酸及びそのラクタム;アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸やそのジメチルエステル;ヘキサメチレンジアミン等のジアミン類が挙げられる。複数種の構成単位から成る共重合ポリアミドの場合には、共重合比率、共重合形態(ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、架橋ポリマー)等は任意に選択することができる。本発明においては、(C)ポリアミド樹脂としては、ポリアミド12、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/610共重合体、ポリアミド6/66/610/12共重合体等を用いるのが好ましい。
融点又は軟化点は、好ましくは175℃以下であり、より好ましくは170℃以下である。このようなポリアミド樹脂を用いることにより、ポリアセタール樹脂と混練する温度においてポリアミド樹脂が溶融状態となるため、ポリアミド樹脂の分散性がより向上するという利点がある。
なお、本発明における融点とは、示差走査熱量測定(DSC)法により観測される吸熱ピークのピークトップの温度である。吸熱ピークとは、試料を一度加熱溶融させ熱履歴による結晶性への影響をなくした後、再度昇温した時に観測される吸熱ピークとする。具体的には、ポリアミド12の場合は、例えば、次の要領で求めることができる。30〜210℃まで10℃/minの速度で昇温し、210℃で2分間保持した後、50℃まで20℃/minの速度で降温する。更に、10℃/minの速度で210℃まで昇温し、昇温時に観測される吸熱ピークのピークトップから融点を求める。昇温時の最高温度は、予想されるポリアミド樹脂の融点に応じて適宜調整すればよく、通常は融点+50℃までの範囲で選択する。また、融点180℃以下とは、DSCで観測される融点が、ポリアミド樹脂の重量平均分子量500〜100,000の範囲において常に180℃以下であることを言う。
また、本発明における軟化点とは、JIS K2207規格に準拠して測定される温度である。
また、本発明においては、(C)アミン価が2mgKOH/g以上のポリアミド樹脂も好ましい。このような末端にアミノ基を多く持つポリアミド樹脂は、ホルムアルデヒドが酸化されて生成するギ酸による酸性を中和し、ポリアセタール樹脂の分解を抑制する効果を有する。アミン価は好ましくは2.5mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上、さらに好ましくは、5mgKOH/g以上、特に好ましくは、8mgKOH/g以上である。アミン価を2mgKOH/g以上とすることにより、ポリアセタール樹脂の分解抑制がより効果的に奏される。アミン価の上限は特に定めるものではないが、通常、100mgKOH/g以下、好ましくは80mgKOH/g以下である。なお、アミン価とは、単位質量あたりの分子中に含有される全塩基性成分を中和するのに必要な過塩素酸と等量の水酸化カルシウム(KOH)の質量で定義したものである。アミン価は、例えば、試料1gをm−クレゾールに溶解し、過塩素酸メタノール溶液で電位差滴定法により滴定し、KOHのmgに換算することで求められる。
ポリアセタール樹脂に顔料を配合すると、ポリアセタール樹脂が分解しやすくなり、ホルムアルデヒドが発生しやすくなる。このホルムアルデヒドは酸化されるとギ酸となり、このギ酸による酸性は、ポリアセタール樹脂の分解をさらに促進させることになる。本発明においては、末端にアミノ基を多く持つポリアミド樹脂を配合することにより、ホルムアルデヒドが酸化されて生成するギ酸による酸性を中和し、ポリアセタール樹脂の分解を抑制することがき、しかも、驚くべきことに、(D)成分によるホルムアルデヒド補足効果を阻害しないという効果をも奏する。
ポリアミド樹脂のアミン価の調整は、ジカルボン酸とジアミンの仕込み比率を調整して重合したり、重合して得られたポリアミド樹脂とアミン等の末端調整剤とを加熱して反応させることにより行うことができる。末端調整剤として用いられるアミンとしては、炭素数6〜22のものが好ましく、例えば、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン等の脂肪族第一級アミンが挙げられる。
また、ダイマー酸を用いるのも好ましい。ダイマー酸は周知のように、オレイン酸やリノール酸、エルカ酸等の不飽和脂肪酸を2量化したもので、その代表的なものの一つは炭素数36の二塩基酸及び/又は水素添加物を主体とし、他に少量の炭素数18の一塩基酸(モノマー)や炭素数54の三塩基酸(トリマー)を含有しているものである。ダイマー酸とジアミンとを反応させて得られるダイマー酸ポリアミド樹脂は、軟化点が180℃以下であり、好適に用いることができる。
ポリアミド樹脂の重量平均分子量は任意であるが、通常は500〜100,000、好ましくは1,000〜50,000である。なお、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によって測定された、ポリスチレン換算の値を言う。
本発明における(C)ポリアミド樹脂は、好ましくは、(C)融点又は軟化点が180℃以下であって、アミン価が2mgKOH/g以上のポリアミド樹脂が好ましい。
(C)ポリアミド樹脂の含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部である。2種類以上用いる場合は、その合計量が上記範囲となる。含有量が0.01重量部未満では、成形品からのホルムアルデヒド発生量を低減させる効果が低すぎる。逆に3重量部を超えると、ポリアセタール樹脂組成物の成形品の機械的強度が低下してしまう。ポリアミド樹脂の含有量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、通常、0.05重量部、特に0.1重量部以上であることが好ましい。また、その上限は2重量部以下、更には1重量部以下であることが好ましい。
(D)ジヒドラジド化合物
本発明においては、(D)ジヒドラジド化合物として、芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物より成る群から選ばれたジヒドラジド化合物を用いる。
(D)芳香族ジヒドラジド化合物とは、2個のカルボン酸基やスルホン酸基を有する芳香族化合物のそれぞれの酸基にヒドラジンが反応した化合物で、例えば、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、1,5−ナフタレンジカルボヒドラジド、1,8−ナフタレンジカルボヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボヒドラジド、1,5−ジフェニルカルボノヒドラジド、2,4−トルエンジスルホニルヒドラジド、4,4'−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。
また、20℃における水100gに対する溶解度(以下、水溶解度という場合がある。)が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物としては、例えば、シュウ酸ジヒドラジド(水溶解度0.2g以下)、セバシン酸ジヒドラジド(同0.01g以下)、1,12−ドデカンジカルボヒドラジド(同0.01g以下)、1,18−オクタデカンジカルボヒドラジド(同0.1g以下)等が挙げられる。水溶解度が1g以上の脂肪族ジヒドラジド化合物は、ポリアセタール樹脂組成物からのホルムアルデヒド発生抑制効果が不十分である。
(D)ジヒドラジド化合物のなかでも好ましいものとしては、2,6−ナフタレンジカルボヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1,12−ドデカンジカルボヒドラジド等が挙げられる。特にセバシン酸ジヒドラジド、1,12−ドデカンジカルボヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド等を用いるのが好ましい。ジヒドラジド化合物の含有量はポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部である。含有量が0.01重量部未満では成形品からのホルムアルデヒドの発生を低減させる効果が不十分である。逆に1重量部を超えると射出成形時の金型付着物が増加し、成形を効率的に行えなくなる。ジヒドラジド化合物の好ましい含有量は0.03〜0.3重量部であり、さらに好ましくは、0.05〜0.15重量部である。
(E)ヒンダードアミン系光安定剤
(E)ヒンダードアミン系光安定剤は、前記一般式(1)で示されるピペリジン構造を有するアミンである。一般式(1)において、Xはピペリジル基の窒素原子と炭素原子で結合している有機基である。好ましいXとしては炭素数1〜10のアルキル基、前記式(2)または(3)で示される基が挙げられる。Xがアルキル基の場合は、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、t-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等の炭素数1〜10の直鎖もしくは分岐鎖アルキル基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。また、本発明に使用される(E)ヒンダードアミン系光安定剤は、分子中に複数のピペリジン構造を有することができるが、全てのピペリジン構造が、N−炭素原子−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル構造であることが好ましい。
好ましい(E)ヒンダードアミン系光安定剤の具体例として、以下の化合物を挙げることができる。
上式(4):ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート
上式(5):1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
上式(6):テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート
上式(7):1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル及びトリデシル−1,2,3,4ブタンテトラカルボキシレート(ブタンテトラカルボキシレートの4つのRの一部が1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル基で他がトリデシル基である化合物の混合物)
上式(8):1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β,β−テトラメチル−3,9(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウデンカン)−ジエタノールとの縮合物(pは1〜3)
上式(9):コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの縮合物(nは10〜14)
上式(10)で示される1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート
上式(11):N,N',N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン
上式(12):ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート
本発明において、上記ヒンダードアミン化合物は単独で用いても、二種以上を併用してもよい。上記ヒンダードアミンの中で特に好ましいのは、式(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)および(12)で示されるヒンダードアミンである。
ヒンダードアミン系光安定剤の含有量はポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部である。含有量が0.01重量部未満では十分な耐候性(クラック発生時間の遅延効果)が得られない。逆に5重量部を超えると機械物性の低下が著しく、金型汚染も多くなる。ヒンダードアミン系光安定剤の好ましい含有量は0.01〜3重量部であり、さらに好ましくは0.03〜2重量部である。
(F)紫外線吸収剤
本発明において使用される(F)紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する作用を有する化合物である。好ましくは、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、シアノアクリレート系化合物、及び、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤の中から選ばれる。
(F)紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3',5'−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、N−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N'−(2−エトキシフェニル)シュウ酸ジアミドなどが挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は単独で用いても、二種以上を併用してもよい。好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物であり、特に好ましくは、20℃における蒸気圧が1×10-8Pa以下のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。具体的には、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2,2'−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]が挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量はポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部である。含有量が0.01重量部未満では十分な耐候性が得られない。逆に5重量部を超えると機械物性の低下が顕著となる。紫外線吸収剤の好ましい含有量は0.01〜3重量部であり、さらに好ましくは0.03〜2重量部である。
(G)立体障害性フェノール化合物
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂に必須成分として、上記の(B)〜(F)の各成分を配合したものであるが、更に(G)立体障害性フェノール化合物を配合するのが好ましい。(G)立体障害性フェノール(ヒンダードフェノール)化合物とは、下記一般式(13)で示されるフェノール性水酸基のオルト位に置換基を有する構造を分子内に少なくとも一個有する化合物をいう。
一般式(13)において、R1及びR2は、各々独立して、置換又は非置換のアルキル基を示す。またフェノール性水酸基に対しメタ位及び/又はパラ位に、任意の置換基Rを有していてもよい。nは0〜3の整数であり、好ましくは0又は1である。
1、R2が示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基等炭素数1〜6のものが挙げられる。なかでもt−ブチル基のような嵩高い分岐アルキル基が好ましく、R1、R2のうちの少なくとも一つはこのような分岐アルキル基であるのが好ましい。アルキル基の置換基としては塩素等のハロゲン原子が挙げられる。
Rとしては、炭素数4以上のものが好ましい。また、この置換基Rは、芳香環の炭素原子と炭素−炭素結合により結合していてもよく、炭素以外の原子を介して結合していてもよい。
本発明に用いる(G)立体障害性フェノール化合物としては、例えば2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルジメチルアミン、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2,6,7−トリオキサ−1−ホスファ−ビシクロ〔2,2,2〕−オクト−4−イル−メチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−3,5−ジステアリル−チオトリアジルアミン、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリト−ル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2'−チオジエチル−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
これらのなかでも好ましいのは,N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)のような下記式(14)で示される構造を有する化合物である。
一般式(14)において、R1及びR2は、それぞれ、一般式(13)と同義であり、好ましい範囲も同義である。
また、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2'−チオジエチル−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のような、3−位に3,5−ジアルキルー4−ヒドロキシフェニル基を有するプロピオン酸と多価アルコールのエステルも好ましい。
(G)立体障害性フェノール化合物の含有量は、(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部である。含有量が0.01重量部未満では熱分解抑制効果が低く、その結果成形品からのホルムアルデヒド発生を抑制する効果が小さい。逆に1重量部を超えると成形品表面からのブリード物が顕著になる。好適な含有量は0.1〜0.5重量部である。
(H)アミノ置換トリアジン化合物
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂に必須成分として、上記の(B)〜(F)の各成分を配合したものであるが、更に(H)アミノ置換トリアジン化合物を配合するのが好ましい。アミノ置換トリアジン化合物とは、下記一般式(15)で示される構造を有するアミノ置換トリアジン類、又はこれとホルムアルデヒドとの初期重縮合物である。
一般式(15)において、R3、R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、炭素数1〜10のアルキル基、アルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜12のアリール基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は置換されていてもよいアミノ基を示すが、R3〜R5のうち少なくとも一つは置換されていてもよいアミノ基を示す。
アミノ置換トリアジン化合物の具体例としては、例えばグアナミン、メラミン、N−ブチルメラミン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N',N''−トリフェニルメラミン、N,N',N''−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、アメリン(N,N,N',N'−テトラシアノエチルベンゾグアナミン)が挙げられる。これらのアミノ置換トリアジン化合物は、ホルムアルデヒドとの初期重縮合物(プレポリマー)として用いてもよい。例えばメラミン、メチロールメラミン、ベンゾグアナミン等とホルムアルデヒドとの初期重縮合物を用いるのが好ましく、水溶性のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を用いるのが特に好ましい。
(H)アミノ置換トリアジン化合物を含有させる場合の含有量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部が好ましく、7重量部以下がより好ましく、特に5重量部以下が好ましい。含有量が多すぎると、樹脂組成物の調製時に樹脂への分散が不良となり、ポリアセタール樹脂組成物中で凝集し、いわゆる異物となる場合がある。
その他の成分
本発明のポリアセタール樹脂組成物には、更にアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩又はアルコキシド等を配合してもよい。例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等の水酸化物、炭酸塩、燐酸塩、ケイ酸塩、ほう酸塩等の無機酸塩、メトキシド、エトキシド等のアルコキシドを配合する。特に、アルカリ土類金属化合物を配合するのが好ましく、なかでも水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、又は炭酸マグネシウムを配合するのが好ましい。
本発明のポリアセタール樹脂組成物には、上記の成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲内で公知の種々の添加剤や充填材を配合してもよい。添加剤としては、例えば滑剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられ、また充填材としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、タルク、マイカ、チタン酸カリウムウィスカー等が挙げられる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物における上記(A)〜(F)以外の成分の含有量は、上記(A)〜(F)以外の成分が難燃剤、充填材である場合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し、0〜50重量部が好ましく、5〜40重量部がより好ましく、10〜30重量部が特に好ましい。上記(A)〜(F)以外の成分が滑剤、離型剤である場合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し、0〜20重量部が好ましく、0.05〜10重量部がより好ましく、0.1〜5重量部が特に好ましい。上記(A)〜(F)以外の成分が帯電防止剤である場合は、ポリアセタール樹脂100重量部に対し、0〜10重量部が好ましく、0.05〜5重量部がより好ましく、0.1〜3重量部が特に好ましい。
ポリアセタール樹脂組成物の製造方法
本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、上記の(A)〜(F)成分、及び必要に応じて添加されるその他の成分を、任意の順序で混合、混練することによって製造することができる。混合・混練の温度、圧力等の条件は、従来公知のポリアセタール樹脂組成物の製造方法に鑑みて適宜選択すればよい。例えば、混練はポリアセタール樹脂の溶融温度以上で行えばよいが、通常は180℃以上で行うのが好ましい。製造装置としても従来からこの種の樹脂組成物の製造に用いられている混合、混練装置を用いればよい。
具体的には、例えば、(A)ポリアセタール樹脂に対して、(B)着色剤、(C)ポリアミド、(D)ジヒドラジド化合物、(E)ヒンダードアミン系光安定剤、及び(F)紫外線吸収剤の所定量を、同時に又は任意の順序で配合し、所望により更に(G)立体障害性フェノール化合物、(H)アミノ置換トリアジン化合物や他の添加剤等を配合した後、タンブラー型ブレンダー等によって混合する。次いで得られた混合物を1軸又は2軸押出し機で溶融混練してストランド状に押出し、ペレット化することにより、所望の組成のポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。
また、別法として、(A)ポリアセタール樹脂に対して、(C)ポリアミド樹脂、(D)ジヒドラジド化合物、(E)ヒンダードアミン系光安定剤、及び(F)紫外線吸収剤、更に所望により(G)立体障害性フェノール化合物、(H)アミノ置換トリアジン化合物を混合した後、溶融混練してペレット化する。これに(B)無機及び有機顔料から選ばれた着色剤を添加した後、再度混合、溶融混練してペレット化することにより、所望の色調のポリアセタール樹脂組成物を得ることもできる。
このようにして得られた本発明のポリアセタール樹脂組成物は、高い耐候性を有しており、しかも、機械的強度、例えば、ISO527規格に準拠して測定された引張強度が60MPa以上、好ましくは62MPa以上を達成することが可能であり、ホルムアルデヒド発生量及び金型汚染が少なく、従来のポリアセタール樹脂組成物に比べ、これらの性能のバランスに優れている。
ポリアセタール樹脂原料組成物の改質方法
本発明のポリアセタール樹脂原料組成物の改質方法は、ポリアセタール樹脂を含有するポリアセタール樹脂原料組成物を改質する方法である。特に、ポリアセタール樹脂原料組成物を着色するとともに、成形品の耐候性を向上させ、引張強度低下とホルムアルデヒド発生を抑制するようにポリアセタール樹脂原料組成物を改質する方法である。本発明では、改質の対象となるポリアセタール樹脂を含有する組成物を、特にポリアセタール樹脂原料組成物という。
本発明の改質方法では、ポリアセタール樹脂原料組成物に含まれる(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対して、(B)無機及び有機顔料から選ばれた着色剤0.01〜5重量部、(C)融点又は軟化点が180℃以下であるという物性か、アミン価が2mgKOH/g以上であるという物性の少なくとも一方を備えるポリアミド樹脂0.01〜3重量部、(D)芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物より成る群から選ばれたジヒドラジド化合物0.01〜1重量部、(E)上記一般式(1)で示される構造を有するヒンダードアミン系光安定剤0.01〜5重量部、及び(F)紫外線吸収剤0.01〜5重量部を混合することを特徴とする。ポリアセタール樹脂原料組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、(A)〜(F)の成分以外の成分が含まれていてもよい。また、ポリアセタール樹脂原料組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、(A)〜(F)の成分以外の成分を添加してもよい。各成分の詳細については、上記の各成分の説明の欄を参照することができる。
ポリアセタール樹脂原料組成物の改質剤
本発明の改質剤は、(B)無機及び有機顔料から選ばれた着色剤0.01〜5重量部、(C)融点又は軟化点が180℃以下であるという物性か、アミン価が2mgKOH/g以上であるという物性の少なくとも一方を備えるポリアミド樹脂0.01〜3重量部、(D)芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物より成る群から選ばれたジヒドラジド化合物0.01〜1重量部、(E)上記一般式(1)で示される構造を有するヒンダードアミン系光安定剤0.01〜5重量部、及び(F)紫外線吸収剤0.01〜5重量部を含有することを特徴とする。本発明の改質剤は、ポリアセタール樹脂を含有するポリアセタール樹脂原料組成物に対して添加する。本発明の改質剤を添加することによって、ポリアセタール樹脂原料組成物を着色すると同時に、特に、成形品の耐候性を向上させ、引張強度低下とホルムアルデヒド発生を抑制するようにポリアセタール樹脂原料組成物を改質することができる。なお、本発明の改質剤には、本発明の目的を損なわない範囲内で、(A)〜(F)の成分以外の成分が含まれていてもよい。本発明の改質剤の各成分の詳細についても、上記の各成分の説明の欄を参照することができる。
本発明の改質剤の添加量は、ポリアセタール樹脂原料組成物に含まれる(A)ポリアセタール樹脂100重量部に対して、改質剤に含まれる(B)着色剤の量が0.01〜5重量部となる量が好ましい。(B)着色剤の量の下限については0.05重量部以上であることが好ましく、0.1重量部以上であることがより好ましく、上限については3重量部以下であることが好ましく、2重量部以下であることがより好ましい。
成形加工法
本発明の樹脂組成物は、公知のポリアセタール樹脂の成形加工法に従って、成形加工することができる。流動性、加工性の観点から、射出成形が好ましい。本発明の樹脂組成物からなる成形品としては、ペレット、丸棒、厚板等の素材、シート、チューブ、各種容器、機械、電気、自動車、建材その他の各種部品等の、従来からポリアセタール樹脂の用途として知られる種々の製品が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例及び比較例で使用した原料、及び測定法を以下に示す。
<原料>
(1)ポリアセタール樹脂
コモノマーとして1,3−ジオキソランを樹脂に対して4.2重量%となるように用いて製造したアセタールコポリマー、メルトインデックス(ASTM−D1238規格:190℃、2.16Kg)10.5g/10分
(2)無機顔料
無機顔料−1:チタンホワイト;Pigment White 6(石原産業社製、商品名:タイペークCR−63)
無機顔料−2:カーボンブラック;Pigment Black 7(エボニックデグサジャパン社製、商品名:プリンテックス)
(3)有機顔料
有機顔料−1:ペリノン系オレンジ;Pigment Orange 43(クラリアントジャパン社製、商品名:PVファストオレンジGRL)
有機顔料−2:フタロシアニンブルー;Pigment Blue 15:3(住化カラー社製、商品名:スミトシアニンブルーGH)
(4)ポリアミド樹脂
ポリアミド樹脂−1:ポリアミド6/66/610三元共重合体(東レ社製、商品名:アミランCM4000、融点140℃、アミン価3.0mgKOH/g)
ポリアミド樹脂−2:ダイマー酸ポリアミド(花王社製、商品名:レオマイドFT−409、融点115℃、アミン価10.4mgKOH/g)
ポリアミド樹脂−3:ポリアミド6(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名:ノバミッド(登録商標)1010C2、融点220℃、アミン価1.5mgKOH/g)。このものは本発明で規定するポリアミド樹脂ではない。
(5)ジヒドラジド化合物
ジヒドラジド化合物−1:テレフタル酸ジヒドラジド;水100g(20℃)に対する溶解度0.01g以下(日本ファインケム社製、品番:TDH)
ジヒドラジド化合物−2:1,10−ドデカン二酸ジヒドラジド;水100g(20℃)に対する溶解度0.01g以下(日本ファインケム社製、品番:N−12)
ジヒドラジド化合物−3:アジピン酸ジヒドラジド;水100g(20℃)に対する溶解度9.1g(日本ファインケム社製、品番:ADH)、このものは本発明で規定するジヒドラジド化合物ではない。
(6)ヒンダードアミン系光安定剤
ヒンダードアミン系光安定剤−1:1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−及びトリデシル−が混合した1,2,3,4ブタンテトラカルボキシレート(ADEKA社製、商品名:アデカスタブLA−62)
ヒンダードアミン系光安定剤−2:コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの縮合物、(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、商品名:Tinuvin622)
ヒンダードアミン系光安定剤−3:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、(三共ライフテック(株)製、商品名:サノールLS−765)
ヒンダードアミン系光安定剤−4:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、三共ライフテック(株)製、商品名:サノールLS−770)、このものは本発明で規定するヒンダードアミン系光安定剤ではない。
(7)紫外線吸収剤
2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名:Tinuvin234、20℃における蒸気圧2.0×10-10Pa)
(8)立体障害性フェノール化合物
N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガノックス1098)
(9)アミノ置換トリアジン化合物
メラミン(三井化学社製、品番:メラミン)
<測定及び評価>
測定及び評価は以下の方法で行った。
(a)アミン価
ポリアミド樹脂−1〜ポリアミド樹脂−3をそれぞれ3g秤量し、m−クレゾール80mlに溶解した。電位差適定には、京都電子工業社製AT−500Nを用い、滴定液として0.05mol/lの過塩素酸メタノール溶液を用いて電位差法により滴定を行い、KOHのmgに換算しアミン価を求めた。
(b)ホルムアルデヒド発生量
日精樹脂工業社製PS−40E5ASE成形機を用いて、試験片として100mm×40mm×2mmの平板をシリンダー温度215℃で成形した。成形翌日に、この試験片につき、ドイツ自動車工業組合規格VDA275(自動車室内部品−改訂フラスコ法によるホルムアルデヒド放出量の定量)に記載された方法に準拠して、下記の方法によりホルムアルデヒド量を測定した。
(i)ポリエチレン容器中に蒸留水50mlを入れ、試験片を空中に吊るした状態で蓋を閉め、密閉状態で60℃にて、3時間加熱した。
(ii)室温で60分間放置後、試験片を取り出した。
(iii)ポリエチレン容器内の蒸留水中に吸収されたホルムアルデヒド量を、UVスペクトロメーターにより、アセチルアセトン比色法で測定した。
(c)クラック発生時間(耐候性)
日精樹脂工業社製PS−40E5ASE成形機を用いて、試験片として100mm×40mm×2mmの平板を、シリンダー温度215℃で成形した。得られた成形品を、スガ試験機社製 サンシャインウェザオメーター「WEL−SUN−DCH−B」により、83℃に暴露し、成形品表面に白化やクラックなどの劣化現象が、光学顕微鏡で観察され始めるまでの時間をクラック発生時間とした。クラック発生時間が長いほど耐候性に優れていることを示す。
(d)金型汚染性
住友重機械工業社製ミニマットM8/7A成形機を用い、図1に示すようなしずく型金型を用いて、成形温度230℃、金型温度35℃で3000ショット連続成形し、終了後金型付着物の状態を肉眼で観察し、以下の2水準の基準で評価した。図1のしずく型金型は、ゲートGから樹脂組成物を導入し、尖端P部分に発生ガスが溜まり易くなるように設計した金型である。ゲートGの幅は1mm、厚みは1mmであり、図1のh1は14.5mm、h2は7mm、h3は27mmであり、成形部の厚みは3mmである。
○:金型付着物が少なく、金型汚染性は良好。
×:金型付着物が多く、金型汚染性は不良。
(e)引張強度
住友重機械工業社製SG−75射出成形機を用いて、ISO9988−2規格に準拠し、ISO引張試験用試験片を作成した。得られた試験片を用い、ISO527規格に準拠して、引張強度の測定を行った。
[実施例1〜10、比較例1〜14]
ポリアセタール樹脂100重量部に対し、下記表1、表2に示す重量配合処方で各成分を配合し、更に分散助剤としてエチレンビスステアリルアミドを0.1重量部、展着剤として流動パラフィンを0.1重量部配合し、タンブラー型ブレンダーによって混合した。得られた混合物を40mmφ単軸押出機(田辺プラスチックス社製、型式:VS−40)にて、シリンダー温度200℃、吐出速度13kg/hrで溶融混練してペレット化し、ポリアセタール樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を80℃で4時間乾燥した後射出成形を行い、成形品の発生ホルムアルデヒド量、クラック発生時間、金型汚染性及び引張強度を測定した。
結果を表1、表2に示す。尚、ホルムアルデヒド発生量は、比較例1の値を基準(1.00)とした場合の相対値として表示した。
上記表中実施例1〜4、6〜7、および9は参考例である。
表1、2より明らかなとおり、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、顔料で着色されているにもかかわらず、ホルムアルデヒド発生抑制効果、耐候性向上効果、金型汚染抑制効果及び機械的強度低下抑制効果を同時に奏する、優れたものであることが判る。特に、ポリアミド樹脂のアミン価の高いポリアミド樹脂を含有させた場合は、ホルムアルデヒド発生抑制効果が高い。一方、本発明のポリアミド樹脂を含有しない比較例1〜4、7、10、11、13、14ではホルムアルデヒドの発生量が多く、またポリアミド樹脂を含有させずにジヒドラジド化合物の含有量を多くした比較例8では、ホルムアルデヒドの発生量は減少するが、金型汚染が著しく、引張強度も低下する。本発明のジヒドラジド化合物を含有しない比較例9や、水溶解度が大きい脂肪族ジヒドラジド(ジヒドラジド化合物−3)を含有する比較例12は、ホルムアルデヒドの発生量が多い。紫外線吸収剤を含有しない比較例1、3、5はクラック発生時間が短くて耐候性が悪い。
実施例1〜10において、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、着色剤の添加量を0.01重量部未満にすると着色効果が大きく低下し、5重量部超にするとホルムアルデヒド発生抑制効果が大きく低下する。また、実施例1〜10において、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、本発明の条件を満たすポリアミド樹脂の添加量を0.01重量部未満にするとホルムアルデヒド発生抑制効果が大きく低下し、3重量部超にすると成形品の機械的強度が大きく低下する。さらに、実施例1〜10において、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、本発明の条件を満たすジヒドラジド化合物の添加量を0.01重量部未満にするとホルムアルデヒド発生抑制効果が大きく低下し、1重量部超にすると金型汚染抑制効果が大きく低下する。また、実施例1〜10において、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、ヒンダードアミン系光安定剤の添加量を0.01重量部未満にすると耐候性が大きく低下し、5重量部超にすると機械物性が大きく低下し、金型汚染が多くなる。さらに、実施例1〜10において、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、紫外線吸収剤の添加量を0.01重量部未満にすると耐候性が大きく低下し、5重量部超にすると機械物性が大きく低下する。本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂に対する各成分の添加量を特定の範囲内に制御することにより、着色効果、ホルムアルデヒド発生抑制効果、耐候性改善効果、金型汚染抑制効果及び機械的強度低下抑制効果のすべてを満足させることができる。
G ゲート
P 尖端

Claims (18)

  1. (A)ポリアセタール樹脂100重量部に、
    (B)無機及び有機顔料から選ばれた着色剤 0.01〜5重量部、
    (C)融点又は軟化点が180℃以下であるという物性か、アミン価が2mgKOH/g以上であるという物性の少なくとも一方を備えるダイマー酸ポリアミド樹脂 0.01〜3重量部、
    (D)芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物より成る群から選ばれたジヒドラジド化合物 0.01〜1重量部、
    (E)下記一般式(1)で示される構造を有するヒンダードアミン系光安定剤 0.01〜5重量部、及び
    (F)紫外線吸収剤 0.01〜5重量部
    を含有することを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
    (式中、Xは窒素原子との結合部が炭素原子である有機基を示し、Yは、酸素原子または窒素原子を介してピペリジル基と結合する有機基または水素原子を示す。)
  2. (C)ポリアミド樹脂が、融点又は軟化点が180℃以下のポリアミド樹脂である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. (C)ポリアミド樹脂が、融点又は軟化点が180℃以下であり、かつ、アミン価2mgKOH/g以上である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. (E)ヒンダードアミン系光安定剤が、前記一般式(1)におけるXが、炭素数1〜10のアルキル基、下記式(2)または(3)で示される基から選ばれる基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. (E)ヒンダードアミン系光安定剤が、下記式(4)〜(12)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. (F)紫外線吸収剤がベンゾトリアゾール系化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  7. (F)紫外線吸収剤が、20℃における蒸気圧が1×10-8Pa以下のものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  8. (F)紫外線吸収剤が、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノールまたは2,2'−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  9. (B)着色剤が、チタンイエロー、チタンホワイト、ペリノン系顔料、フタロシアニン系顔料及びカーボンブラックより成る群から選ばれたものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  10. (D)ジヒドラジド化合物が、ナフタレンジカルボン酸ヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド及びドデカン二酸ジヒドラジドからなる群から選ばれたものである、請求項1〜のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
  11. (A)ポリアセタール樹脂100重量部に対し、さらに(G)立体障害性フェノール化合物を0.01〜1重量部含有することを特徴とする、請求項1〜1のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  12. (A)ポリアセタール樹脂100重量部に対し、さらに(H)アミノ置換トリアジン化合物を0.01〜10重量部含有する、請求項1〜1のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  13. 引張強度が60MPa以上である、請求項1〜1のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  14. 請求項1〜1のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形して成るポリアセタール樹脂成形品。
  15. (A)ポリアセタール樹脂100重量部を含有するポリアセタール樹脂原料組成物に、
    (B)無機及び有機顔料から選ばれた着色剤 0.01〜5重量部、
    (C)融点又は軟化点が180℃以下であるという物性か、アミン価が2mgKOH/g以上であるという物性の少なくとも一方を備えるダイマー酸ポリアミド樹脂 0.01〜3重量部、
    (D)芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物より成る群から選ばれたジヒドラジド化合物 0.01〜1重量部、
    (E)下記一般式(1)で示される構造を有するヒンダードアミン系光安定剤 0.01〜5重量部、及び
    (F)紫外線吸収剤 0.01〜5重量部
    を混合することを特徴とするポリアセタール樹脂原料組成物の改質方法。
    (式中、Xは窒素原子との結合部が炭素原子である有機基を示し、Yは、酸素原子または窒素原子を介してピペリジル基と結合する有機基または水素原子を示す。)
  16. 成形品の耐候性を向上させ、引張強度低下とホルムアルデヒド発生を抑制する、請求項1に記載の改質方法。
  17. (B)無機及び有機顔料から選ばれた着色剤 ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部、
    (C)融点又は軟化点が180℃以下であるという物性か、アミン価が2mgKOH/g以上であるという物性の少なくとも一方を備えるダイマー酸ポリアミド樹脂 ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部、
    (D)芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物より成る群から選ばれたジヒドラジド化合物 ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜1重量部、
    (E)下記一般式(1)で示される構造を有するヒンダードアミン系光安定剤 ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部、及び
    (F)紫外線吸収剤 ポリアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部
    を含有することを特徴とするポリアセタール樹脂原料組成物用改質剤。
    (式中、Xは窒素原子との結合部が炭素原子である有機基を示し、Yは、酸素原子または窒素原子を介してピペリジル基と結合する有機基または水素原子を示す。)
  18. 成形品の耐候性を向上させ、引張強度低下とホルムアルデヒド発生を抑制する、請求項1に記載のポリアセタール樹脂原料組成物用改質剤。
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