JP2013253182A - ポリアセタール樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】剛性を効果的に向上させることができるポリアセタール樹脂組成物及び成形品を提供すること。
【解決手段】ポリアセタール樹脂(A)と、天然植物繊維紡績糸(B)と、ガラス長繊維(C)とを含み、ポリアセタール樹脂(A)、天然植物繊維紡績糸(B)及びガラス長繊維(C)の合計質量における天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の含有率が0.5〜80質量%であり、天然植物繊維紡績糸(B)とガラス長繊維(C)に張力を付与した状態で、溶融されたポリアセタール樹脂を天然植物繊維紡績糸(B)とガラス長繊維(C)に含浸させて得られるポリアセタール樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアセタール樹脂組成物及び成形品に関する。
エンジニアリングプラスチックスのポリアセタール樹脂は、優れた機械的性質、摺動特性、摩擦・磨耗特性、耐熱性、成形加工性などを有している。このため、ポリアセタール樹脂を含むポリアセタール樹脂組成物は、自動車、OA機器などの各種機械部品や電気部品等に広く用いられている。
このようなポリアセタール樹脂組成物として、例えば下記特許文献1に開示されるものが知られている。下記特許文献1では、ポリアセタール樹脂を含む溶融混練物を、ガラス繊維間に含浸させ、ダイスからストランド状に押し出した後、ストランドを切断して得られる柱状体が開示されている。
特開平6−279615号公報
ところで、ポリアセタール樹脂組成物には、その用途によっては優れた剛性が求められることがある。
しかし、上記特許文献1に記載の柱状体は、剛性の点で未だ改善の余地があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、剛性を効果的に向上させることができるポリアセタール樹脂組成物及び成形品を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、ガラス繊維と天然植物繊維紡績糸とを併用することで、これらを含むポリアセタール樹脂組成物について剛性を効果的に向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリアセタール樹脂(A)と、天然植物繊維紡績糸(B)と、ガラス長繊維(C)とを含み、前記ポリアセタール樹脂(A)、前記天然植物繊維紡績糸(B)及び前記ガラス長繊維(C)の合計質量における前記天然植物繊維紡績糸(B)および前記ガラス長繊維(C)の含有率が0.5〜80質量%であり、前記天然植物繊維紡績糸(B)と前記ガラス長繊維(C)に張力を付与した状態で、溶融された前記ポリアセタール樹脂を前記天然植物繊維紡績糸(B)と前記ガラス長繊維(C)に含浸させて得られる、ポリアセタール樹脂組成物である。
本発明のポリアセタール樹脂組成物によれば、剛性を効果的に向上させることができる。
ここで、本発明のポリアセタール樹脂組成物により、剛性を効果的に向上させることができる理由については定かではないが、ガラス繊維(C)と天然植物繊維紡績糸(B)とを併用することによって、これらが特定の方向に配向しやすくなっているからではないかと本発明者は推測している。
上記ポリアセタール樹脂組成物においては、前記ポリアセタール樹脂(A)がオキシメチレン基と、炭素数2以上のオキシアルキレン基とを含み、前記オキシアルキレン基が前記オキシメチレン基100モル%に対して0.3〜6.0モル%の割合で含まれており、前記ポリアセタール樹脂(A)の190℃、2.16kgで測定したメルトボリュームレート(MVR)が5cm/10分以上であることが好ましい。
オキシアルキレン基がオキシメチレン基100モル%に対して0.3〜6.0モル%の割合で含まれていると、その割合が0.3モル%未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)はより十分な熱安定性を有する。そのため、上記割合が0.3モル%未満であるポリアセタール樹脂組成物に比べて、より十分な耐衝撃性を有する成形品を製造できる。一方、上記割合が0.3〜6.0モル%の範囲内にあると、6.0モル%を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の結晶性がより向上し、ポリアセタール樹脂組成物の強度がより向上したり、クリープ疲労特性がより向上したりする。また上記MVRが5cm/10分以上であると、5cm/10分未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)が天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)により十分に密着し、より十分な耐衝撃性を有する成形品を得ることができる。
上記ポリアセタール樹脂組成物においては、前記天然植物繊維紡績糸(B)に対するガラス長繊維(C)の質量比率が1/99〜99/1であることが好ましい。
この場合、質量比率が上記範囲を外れる場合に比べて、ガラス繊維(C)と天然植物繊維紡績糸(B)との併用によるポリアセタール樹脂組成物の補強効果が得られやすくなる。
上記ポリアセタール樹脂組成物においては、前記天然植物繊維紡績糸(B)の太さが5〜80番手であることが好ましい。
この場合、天然植物繊維紡績糸(B)の太さが5番手未満である場合と比べて、ガラス繊維(C)と天然植物繊維紡績糸(B)との併用によるポリアセタール樹脂組成物の補強効果が得られやすくなる。また天然植物繊維紡績糸(B)の太さが5〜80番手の範囲内にあると、天然植物繊維紡績糸(B)の太さが80番手を超える場合と比べて、ポリアセタール樹脂が天然植物繊維紡績糸(B)に含浸しやすく、ポリアセタール樹脂(A)と天然植物繊維紡績糸(B)との密着性を高めることができる。
上記ポリアセタール樹脂組成物においては、前記ガラス長繊維(C)に集束剤が付着しており、前記集束剤は、ポリアクリル酸、ハロゲン化アンモニウム、ポリウレタン樹脂、およびアミノシラン系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
この場合、集束剤によってガラス長繊維(C)が十分に保護され、ガラス繊維(C)の毛羽立ちを十分に防ぐことができる。またポリアセタール樹脂(A)とガラス繊維(C)との密着性を向上させることができる。
上記ポリアセタール樹脂組成物においては、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して立体障害性フェノール化合物(D)が0.01〜5質量部の割合で配合されていることが好ましい。
この場合、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対する立体障害性フェノール化合物(C)の配合量が上記範囲を外れる場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、上記ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性に優れた成形品を製造できる。
また、上記ポリアセタール樹脂組成物においては、前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対してアミノ置換トリアジン化合物(E)が0.01〜10質量部の割合で配合されていることが好ましい。
この場合、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対するアミノ置換トリアジン化合物(E)の配合量が上記範囲を外れる場合と比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、上記ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性に優れた成形品を製造できる。
また、上記ポリアセタール樹脂組成物においては、前記ポリアセタール樹脂組成物(A)100質量部に対し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機酸塩、及び、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属含有化合物(F)が0.01〜5質量部の割合で配合されていることが好ましい。
この場合、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対する上記金属含有化合物(F)の配合量が上記の範囲を外れる場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、上記ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性に優れた成形品を製造できる。
また、上記ポリアセタール樹脂組成物においては、前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、炭素数16〜30の高級脂肪酸アミド(G)が0.01〜10質量部の割合で配合されていることが好ましい。
この場合、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対する高級脂肪酸アミド(G)の配合量が上記の範囲を外れる場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物は摺動特性に優れた成形品を製造できる。
また、上記ポリアセタール樹脂組成物においては、前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のジヒドラジド化合物(H)が0.01〜1質量部の割合で配合されていることが好ましい。
この場合、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対するジヒドラジド化合物(H)の配合量が上記の範囲を外れる場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、上記ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性に優れた成形品を製造できる。
また、本発明は、上記ポリアセタール樹脂組成物を成形してなる成形品である。
本発明の成形品によれば、剛性を効果的に向上させることが可能となる。
本発明によれば、剛性を効果的に向上させることができるポリアセタール樹脂組成物及び成形品が提供される。
実施例1〜3及び比較例1に係るジュート繊維の含有率と引張弾性率との関係を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂(A)と、天然植物繊維紡績糸(B)と、ガラス長繊維(C)とを含んでいる。ここで、ポリアセタール樹脂(A)、天然植物繊維紡績糸(B)及びガラス長繊維(C)の合計質量における天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の含有率は0.5〜80質量%となっている。そして、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、天然植物繊維紡績糸(B)とガラス長繊維(C)に張力を付与した状態で、溶融されたポリアセタール樹脂を天然植物繊維紡績糸(B)とガラス長繊維(C)に含浸させて得られるものである。
本発明のポリアセタール樹脂組成物によれば、剛性を効果的に向上させることができる。
以下、本発明のポリアセタール樹脂組成物に用いるポリアセタール樹脂(A)、天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)について詳細に説明する。
(A)ポリアセタール樹脂
本発明に用いられるポリアセタール樹脂(A)は、オキシメチレン基と、炭素数が2以上のオキシアルキレン基とを構成単位として含むコポリマーである。
炭素数が2以上のオキシアルキレン基としては、例えばオキシエチレン基、オキシプロピレン基、及び、オキシブチレン基などが挙げられる。中でも、ポリアセタール樹脂の特徴が損なわれることをより十分に抑制するという理由からは、オキシエチレン基が好ましい。
上記ポリアセタール樹脂(A)においては、炭素数2以上のオキシアルキレン基の割合はオキシメチレン基100モル%に対して0.3〜6.0モル%であることが好ましい。
上記割合が上記範囲内にあると、0.3モル%未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)はより十分な熱安定性を有する。そのため、上記割合が0.3モル%未満であるポリアセタール樹脂組成物に比べて、より十分な耐衝撃性を有する成形品を製造できる。一方、上記割合が上記範囲内にあると、6.0モル%を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の結晶性がより向上し、ポリアセタール樹脂組成物の強度がより向上したり、クリープ疲労特性がより向上したりする。
上記割合は、0.5〜5.5モル%であることが好ましい。上記割合が0.5〜5.5モル%の範囲内にあると、上記範囲を外れる場合と比べて、ポリアセタール樹脂の熱安定性がより向上し、ポリアセタール樹脂組成物は、耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。上記割合は、0.7〜5.0モル%であることがより好ましく、1.0〜4.5モル%であることがさらに好ましい。
上記ポリアセタール樹脂(A)を製造するためには通常、主原料としてトリオキサンが用いられる。また、ポリアセタール樹脂(A)中に炭素数2以上のオキシアルキレン基を導入するには、例えば環状ホルマールや環状エーテルを用いることができる。環状ホルマールの具体例としては、例えば1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキセパン、1,3−ジオキソカン、1,3,5−トリオキセパン、1,3,6−トリオキソカン等が挙げられ、環状エーテルの具体例としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド等が挙げられる。ポリアセタール樹脂(A)中にオキシエチレン基を導入するには、例えば1,3−ジオキソランを用いればよく、オキシプロピレン基を導入するには、1,3−ジオキサンを用いればよく、オキシブチレン基を導入するには、1,3−ジオキセパンを導入すればよい。
また、ポリアセタール樹脂(A)の190℃、2.16kgで測定したMVRは5cm/10分以上であることが好ましい。
この場合、MVRが5cm/10分未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)が天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)により十分に密着し、より十分な耐衝撃性を有する成形品を得ることができる。
MVRは8cm/10分以上であることがより好ましく、15cm/10分以上であることがさらに好ましい。但し、MVRは、ポリアセタール樹脂組成物の機械的特性をより向上させるためには、60cm/10分以下であることが好ましく、50cm/10分以下であることがより好ましい。
(B)天然植物繊維紡績糸
本発明に用いられる天然植物繊維紡績糸(B)とは、天然植物繊維紡績糸からなる長さが1mm以上の繊維糸である。
天然植物繊維紡績糸(B)を構成する材料としては、例えば、亜麻、苧麻、マニラ麻、サイザル麻、ジュート繊維(黄麻)、大麻、ケナフ、カラムシ、ココナッツ繊維、綿、パンヤ綿、しゅろなどの紡績糸が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中では、特にジュート繊維が好ましい。
上記天然植物繊維紡績糸(B)の長さは2.0〜25.0mmであることが好ましい。上記長さが2.0〜25.0mmの範囲内にあると、上記範囲を外れる場合と比べて、ポリアセタール樹脂組成物の剛性をより効果的に向上させることができる。上記長さは2.5〜20.0mmであることがより好ましく、3.0〜15.0mmであることがさらに好ましい。
上記天然植物繊維紡績糸(B)の太さは特に制限されるものではないが、5〜80番手であることが好ましい。ここで、天然植物繊維紡績糸(B)の太さは、JIS L 0101により規定される太さを言うものとする。この場合、太さが5番手未満である場合と比べて、ガラス繊維(C)と天然植物繊維紡績糸(B)との併用によるポリアセタール樹脂組成物の補強効果が得られやすくなる。また太さが上記範囲内にあると、80番手を超える場合と比べて、ポリアセタール樹脂が天然植物繊維紡績糸(B)に含浸しやすく、ポリアセタール樹脂(A)と天然植物繊維紡績糸(B)との密着性を高めることができる。天然植物繊維紡績糸(B)の太さは、7〜60番手であることがより好ましく、10〜40番手であることがさらに好ましい。
(C)ガラス長繊維
本発明に用いられるガラス長繊維(C)とは、ガラス繊維からなる長さが1mm以上の繊維である。
上記ガラス長繊維(C)の長さは2.0〜25.0mmであることが好ましい。上記長さが2.0〜25.0mmの範囲内にあると、上記範囲を外れる場合と比べて、ポリアセタール樹脂組成物の剛性をより効果的に向上させることができる。上記長さは2.5〜20.0mmであることがより好ましく、3.0〜15.0mmであることがさらに好ましい。
上記ガラス長繊維(C)の太さは特に制限されるものではないが、4〜30μmであることが好ましい。この場合、太さが4μm未満である場合と比べて、ポリアセタール樹脂組成物の補強効果が得られやすくなる。また太さが上記範囲内にあると、30μmを超える場合と比べて、ポリアセタール樹脂がガラス長繊維(C)に含浸しやすく、ポリアセタール樹脂(A)とガラス長繊維(C)との密着性を高めることができる。ガラス長繊維(C)の太さは、7〜25μmであることがより好ましく、10〜20μmであることがさらに好ましい。
ポリアセタール樹脂(A)、天然植物繊維紡績糸(B)及びガラス長繊維(C)の合計質量における天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の含有率は、上述したように、0.5〜80質量%となっている。
ポリアセタール樹脂(A)、天然植物繊維紡績糸(B)及びガラス長繊維(C)の合計質量における天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の含有率が0.5質量%未満である場合、ポリアセタール樹脂組成物の剛性を効果的に向上させることができない。一方、上記含有率が80質量%を超える場合、成形時のポリアセタール樹脂組成物の流動性が低下する。
ポリアセタール樹脂(A)、天然植物繊維紡績糸(B)及びガラス長繊維(C)の合計質量における天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の含有率は0.5〜80質量%の範囲内であれば特に制限されないが、2.5〜75質量%であることが好ましく、5〜70質量%であることがより好ましく、5〜65質量%であることがさらに好ましい。
天然植物繊維紡績糸(B)に対するガラス長繊維(C)の質量比率は特に制限されるものではないが、好ましくは1/99〜99/1である。
この場合、質量比率が上記範囲を外れる場合に比べて、ガラス繊維(C)と天然植物繊維紡績糸(B)との併用によるポリアセタール樹脂組成物の補強効果が得られやすくなる。上記質量比率は、より好ましくは10/90〜90/10であり、特に好ましくは20/80〜80/20である。
ガラス長繊維(C)には集束剤が付着していることが好ましい。
集束剤としては、例えばポリアクリル酸、ハロゲン化アンモニウム、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびアミノシラン系カップリング剤が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの集束剤によってガラス長繊維(C)が十分に保護され、ガラス繊維(C)の毛羽立ちを十分に防ぐことができる。またポリアセタール樹脂(A)とガラス繊維(C)との密着性を向上させることができる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、必要に応じ、立体障害性フェノール化合物(D)、アミノ置換トリアジン化合物(E)、金属含有化合物(F)、高級脂肪酸アミド(G)又はジヒドラジド化合物(H)を含んでいてもよい。これらは1種類単独で又は2種以上を組みわせて用いることができる。以下、立体障害性フェノール化合物(D)、アミノ置換トリアジン化合物(E)、金属含有化合物(F)、高級脂肪酸アミド(G)及びジヒドラジド化合物(H)について説明する。
(D)立体障害性フェノール化合物
本発明のポリアセタール樹脂組成物に使用される立体障害性フェノール化合物(D)とは、下記一般式(1)で示されるフェノール性水酸基に対するオルト位に置換基を有する構造を分子内に少なくとも一個有する化合物である。
Figure 2013253182
一般式(1)において、R及びRは、各々独立して、置換又は非置換のアルキル基を示す。
、Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基等炭素数1〜6のものが挙げられる。中でもt−ブチル基のような嵩高い分岐アルキル基が好ましく、R及びRのうちの少なくとも一つはこのような分岐アルキル基であることが好ましい。置換アルキル基としては、非置換アルキル基の水素原子を塩素等のハロゲン原子で置換したものを用いることができる。
本発明に用いる立体障害性フェノール化合物(D)としては、例えば2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルジメチルアミン、ジステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2,6,7−トリオキサ−1−ホスファ−ビシクロ〔2,2,2〕−オクト−4−イル−メチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル−3,5−ジステアリル−チオトリアジルアミン、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリト−ル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2'−チオジエチル−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。
これらの中でも好ましいのは,N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)のような下記一般式(2)で示される構造を有する化合物である。
Figure 2013253182
一般式(2)において、R及びRは、それぞれ、一般式(1)のR及びRと同義である。
また、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2'−チオジエチル−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等のような、3−位に3,5−ジアルキル−4−ヒドロキシフェニル基を有するプロピオン酸と多価アルコールのエステルも好ましい。
立体障害性フェノール化合物(D)は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。立体障害性フェノール化合物(D)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましい。
立体障害性フェノール化合物(D)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が0.01質量部未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。また、立体障害性フェノール化合物(D)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が5質量部を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度の低下及びポリアセタール樹脂組成物からなる成形品表面からの立体障害性フェノール化合物(D)のブリードアウトが十分に抑制される。立体障害性フェノール化合物(D)の配合量は、より好ましくはポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し0.03〜4.0質量部であり、さらに好ましくは0.05〜3.0質量部である。
(E)アミノ置換トリアジン化合物
本発明のポリアセタール樹脂組成物に使用されるアミノ置換トリアジン化合物(E)とは、基本的には、下記一般式(3)で示される構造を有する置換トリアジン類、または該置換トリアジン類とホルムアルデヒドとの初期重縮合物である。
Figure 2013253182

(上記一般式(3)において、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、アルキル基、アラルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アミノ基または置換アミノ基を示し、その少なくとも一つは、アミノ基、または置換アミノ基を表す。)
上記アミノ置換トリアジン化合物(E)の具体例としては、例えばグアナミン、メラミン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N”−トリフェニルメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミン、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、アメリン(N,N,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン)、または、それらとホルムアルデヒドとの初期重縮合物等が挙げられる。中でも、メラミン、メチロールメラミン、ベンゾグアナミン、水溶性メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。
アミノ置換トリアジン化合物(E)は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。アミノ置換トリアジン化合物(E)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜10質量部であることが好ましい。
アミノ置換トリアジン化合物(E)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が0.01質量部未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。また、アミノ置換トリアジン化合物(E)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が10質量部を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度の低下及びポリアセタール樹脂組成物からなる成形品表面からのアミノ置換トリアジン化合物(E)のブリードアウトが十分に抑制される。
アミノ置換トリアジン化合物(E)の配合量は、より好ましくはポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し0.03〜8.0質量部であり、さらに好ましくは0.05〜5.0質量部である。
(F)金属含有化合物
本発明のポリアセタール樹脂組成物に使用される金属含有化合物(F)は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の無機酸塩、又は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属のアルコキシドから選ばれる。
上記金属含有化合物(F)の具体例としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、これら金属の炭酸塩、燐酸塩、ケイ酸塩、ほう酸塩などの無機酸の金属塩、これら金属のメトキシド、エトキシドなどのアルコキシド等が挙げられる。中でも、アルカリ土類金属の水酸化物、無機酸の金属塩又はアルコキシドが好ましく、特に、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、および炭酸マグネシウムが好ましい。
金属含有化合物(F)は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
金属含有化合物(F)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜5質量部であることが好ましい。金属含有化合物(F)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が0.01質量部未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、ポリアセタール樹脂組成物は耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。また、金属含有化合物(F)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が5質量部を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度の低下及びポリアセタール樹脂組成物からなる成形品表面からの金属含有化合物(F)のブリードアウトが十分に抑制される。金属含有化合物(F)の配合量は、より好ましくはポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し0.03〜4.0質量部であり、さらに好ましくは0.05〜3.0質量部である。
(G)高級脂肪酸アミド
本発明のポリアセタール樹脂組成物に使用される高級脂肪酸アミド(G)とは、炭素数16〜30の高級脂肪酸アミドである。高級脂肪酸アミドは、飽和又は不飽和脂肪酸と、一価又は多価アミンとの脱水縮合反応で得られるアミドである。
上記脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ガドレイン酸およびエルカ酸等が挙げられる。また、上記アミンの具体例としては、例えばカプリルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。また、上記高級脂肪酸アミド(G)の具体例としては、例えばパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドおよびエルカ酸アミドなどが挙げられる。
高級脂肪酸アミド(G)は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
高級脂肪酸アミド(G)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜10質量部であることが好ましい。高級脂肪酸アミド(G)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が0.01質量部未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物は、摺動特性に優れた成形品を製造できる。また、高級脂肪酸アミド(G)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が10質量部を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度の低下及びポリアセタール樹脂組成物からなる成形品表面からの高級脂肪酸アミド(G)のブリードアウトが十分に抑制される。高級脂肪酸アミド(G)の配合量は、より好ましくはポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し0.03〜8.0質量部であり、さらに好ましくは0.05〜5.0質量部である。
(H)ジヒドラジド化合物
本発明のポリアセタール樹脂組成物に使用されるジヒドラジド化合物(H)は、芳香族ヒドラジド化合物又は20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物からなる。
上記芳香族ジヒドラジド化合物の具体例としては、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、1,5−ナフタレンジカルボヒドラジド、1,8−ナフタレンジカルボヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボヒドラジド、4,4'−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、1,5−ジフェニルカルボノヒドラジド等が挙げられる。
これらのヒドラジド化合物のうち、本発明に使用するヒドラジド化合物(H)としては、テレフタル酸ジカルボヒドラジド、1,5−ナフタレンジカルボヒドラジド、1,8−ナフタレンジカルボヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボヒドラジドが特に好ましい。
上記20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物の具体例としては、シュウ酸ジヒドラジド(0.2g以下)、セバシン酸ジヒドラジド(0.01g以下)、ドデカン二酸ジヒドラジド(0.1g以下)、1,18−オクタデカンジカルボヒドラジド(0.1g以下)等が挙げられる。なお、括弧内は、20℃における水100gに対する溶解度を示すものである。
ジヒドラジド化合物(H)は単独で使用しても、2種以上混合して用いてもよい。
ジヒドラジド化合物(H)の配合量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1質量部であることが好ましい。ジヒドラジド化合物(H)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が0.01質量部未満である場合に比べて、ポリアセタール樹脂(A)の熱安定性がより向上する。このため、ポリアセタール樹脂組成物は、耐衝撃性にさらに優れた成形品を製造できる。また、ジヒドラジド化合物(H)の配合量が上記範囲内にあると、配合量が1質量部を超える場合に比べて、ポリアセタール樹脂組成物の機械的強度の低下及びポリアセタール樹脂組成物からなる成形品表面からのジヒドラジド化合物(H)のブリードアウトが十分に抑制される。ジヒドラジド化合物(H)の配合量は、より好ましくはポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し0.03〜0.9質量部であり、さらに好ましくは0.05〜0.8質量部である。
ポリアセタール樹脂組成物には、上記(A)〜(H)成分のほか、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、着色剤、核剤、可塑剤、蛍光増白剤、摺動剤、ポリエチレングリコール、グリセリンのような帯電防止剤、高級脂肪酸塩、ベンゾトリアゾール系若しくはベンゾフェノン系化合物のような紫外線吸収剤、又はヒンダードアミン系のような光安定剤等の添加剤をさらに添加してもよい。
次に、本発明のポリセタール樹脂組成物の製造方法について説明する。
まず複数本の天然植物繊維紡績糸(B)とガラス長繊維(C)を用意する。
次に、複数本の天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)からなる繊維束を押出機の先端に設けたクロスヘッド内に通す。このとき、クロスヘッドとしては、内部に複数個のローラが設置されているものを用いる。
そして、天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の繊維束の引き取り方向と各ローラの回転軸とが直角になるように天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の繊維束を配置する。このとき、天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の繊維束は、複数個のローラに対し、天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の繊維束に張力を与えるためにジグザグ状になるように配置することが好ましい。
一方、ポリアセタール樹脂(A),成分(D)〜(H)等を混合し、得られる混合物を、押出機にて溶融混練し、溶融混練物を押出機からクロスヘッド内に押し出す。
そして、天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の繊維束に張力を付与した状態で繊維束を引き取りながら、上記溶融混練物を、天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の繊維束に含浸させ、クロスヘッドから引き抜いてストランドを得る。その後、ストランドを所定の長さに切断する。こうしてポリアセタール樹脂組成物が得られる。
なお、天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の引き取り速度は、通常は5.0〜40.0m/minであればよいが、6.0〜30.0m/minとすることが好ましい。また天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス長繊維(C)の繊維束に付与する張力は特に限定されるものではないが、例えば10〜400Nとすればよい。さらにクロスヘッドから引き抜いたストランドは、切断前に水等で冷却することが好ましい。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、優れた耐衝撃性及び剛性を有する成形品を成形できる。
以下、本発明の内容について実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した材料は下記の通りである。
(A)ポリアセタール樹脂(POM)
1)POM−1
トリオキサンと1,3−ジオキソランとを、オキシエチレン基の割合がオキシメチレン基100モル%に対して1.4モル%となるように共重合して得られたオキシメチレンコポリマーであって、メルトボリュームレート(MVR)(190℃、2.16kg)が45cm/10分であるオキシメチレンコポリマー
(B)天然植物繊維紡績糸
ジュート繊維(小泉製麻社製)、太さ:14.5番手
(C)ガラス繊維
オーウェンスコーニング社製、太さ:17μm
(実施例1〜3及び比較例1)
天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス繊維(C)の繊維束を用意し、この繊維束を押出機の先端に設けたクロスヘッド内に通した。このとき、クロスヘッド内には、複数個のローラを設置した。また、繊維束において、天然植物繊維紡績糸(B)に対するガラス繊維(C)の質量比率は表1に示す通りとなるようにした。そして、天然植物繊維紡績糸(B)およびガラス繊維(C)の繊維束の引き取り方向と各ローラの回転軸とが直角になるように繊維束を配置した。繊維束は、複数個のローラに対し、当該繊維束に張力を与えるためにジグザグ状になるように配置した。一方、ポリアセタール樹脂(A)を、押出機にて温度200℃で溶融し、溶融物を押出機からクロスヘッド内に押し出した。そして、繊維束を引取速度7m/minで引き取りながら、溶融物を、繊維束に含浸させ、クロスヘッドからストランドとして引き抜き、ストランドを水で冷却後、長さ9mmに切断してポリアセタール樹脂組成物のペレットを得た。
[剛性評価]
実施例1〜3及び比較例1で得られたポリアセタール樹脂組成物のペレットを80℃で3時間乾燥した後、射出成型機(東芝機械社製「EX100SX」)を用いて、シリンダー温度195℃、金型温度90℃の条件で射出成型し、ISO引張試験用試験片を作成した。この試験片について温度23℃で、ISO527に準拠して引張弾性率を測定した。結果を表1及び図1に示す。図1は、ジュート繊維の含有率と引張弾性率との関係を示すグラフである。

Figure 2013253182
図1に示すように、実施例1〜3の点を直線で結び、その直線と縦軸(ジュート繊維の含有率が0質量%)との交点を見ると、交点における引張弾性率は7.24GPaであることが分かる。ここで、交点における引張弾性率は、ガラス繊維とジュート繊維とを併用したポリアセタール樹脂組成物において、14質量%の割合で含まれるガラス繊維を単独で使用したと仮定した場合のポリアセタール樹脂組成物の引張弾性率を示す。これに対し、比較例1は、14質量%の割合で含まれるガラス繊維を単独で使用した実際のポリアセタール樹脂組成物の引張弾性率を示しており、その値は6.6GPaであった。このことから、実施例1〜3のポリアセタール樹脂組成物に含まれるガラス繊維は、比較例1のポリアセタール樹脂組成物に含まれるガラス繊維と同じ含有率であるにもかかわらず、ジュート繊維と併用されることで、比較例1のポリアセタール樹脂組成物に対し引張弾性率を約10%増加させる効果を有することが分かった。
以上より、実施例1〜3のポリアセタール樹脂組成物は、比較例1のポリアセタール樹脂組成物に対し、剛性を効果的に向上させることができることが確認された。

Claims (11)

  1. ポリアセタール樹脂(A)と、天然植物繊維紡績糸(B)と、ガラス長繊維(C)とを含み、
    前記ポリアセタール樹脂(A)、前記天然植物繊維紡績糸(B)及び前記ガラス長繊維(C)の合計質量における前記天然植物繊維紡績糸(B)および前記ガラス長繊維(C)の含有率が0.5〜80質量%であり、
    前記天然植物繊維紡績糸(B)と前記ガラス長繊維(C)に張力を付与した状態で、溶融された前記ポリアセタール樹脂を前記天然植物繊維紡績糸(B)と前記ガラス長繊維(C)に含浸させて得られる、ポリアセタール樹脂組成物。
  2. 前記ポリアセタール樹脂(A)がオキシメチレン基と、炭素数2以上のオキシアルキレン基とを含み、前記オキシアルキレン基が前記オキシメチレン基100モル%に対して0.3〜6.0モル%の割合で含まれており、
    前記ポリアセタール樹脂(A)の190℃、2.16kgで測定したメルトボリュームレートが5cm/10分以上である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 前記天然植物繊維紡績糸(B)に対するガラス長繊維(C)の質量比率が1/99〜99/1である請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 前記天然植物繊維紡績糸(B)の太さが5〜80番手である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. 前記ガラス長繊維(C)に集束剤が付着しており、前記集束剤は、ポリアクリル酸、ハロゲン化アンモニウム、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびアミノシラン系カップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. 前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して立体障害性フェノール化合物(D)が0.01〜5質量部の割合で配合されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  7. 前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対してアミノ置換トリアジン化合物(E)が0.01〜10質量部の割合で配合されている請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  8. 前記ポリアセタール樹脂組成物(A)100質量部に対して、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の無機酸塩、及び、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のアルコキシドからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属含有化合物(F)が0.01〜5質量部の割合で配合されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  9. 前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、炭素数16〜30の高級脂肪酸アミド(G)が0.01〜10質量部の割合で配合されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  10. 前記ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対し、芳香族ジヒドラジド化合物及び20℃における水100gに対する溶解度が1g未満の脂肪族ジヒドラジド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のジヒドラジド化合物(H)が0.01〜1質量部の割合で配合されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形してなる成形品。
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CN110938285A (zh) * 2018-09-21 2020-03-31 广西大学 一种甘蔗渣与玻璃纤维复合增强环氧树脂材料及其制备方法

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