JP5936335B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアセタール樹脂組成物に関する。
ポリアセタール樹脂は、バランスのとれた機械的物性を有し、摩擦・摩耗特性、耐薬品性、耐熱性、電気特性等に優れる。このため、ポリアセタール樹脂は、自動車、電気・電子部品等の分野で広く利用されており、ポリアセタール樹脂の利用形態や加工技術の進歩は現在も続いている。このような状況の中、ポリアセタール樹脂に要求される特性は、高度化したり特殊化したりする傾向にある。その一例として、ポリアセタール樹脂が有する優れた表面平滑性を維持しながら、摩擦係数、磨耗量で代表される基本的な摺動特性を改良すると共に、特に、摺動時のきしみ音の発生を抑えることが強く要求されている。また、熱的安定性に優れ、ホルムアルデヒドの発生が少ないことも望まれている。
このような要求に対し、ポリアセタール樹脂の摺動特性を改善するために、ポリアセタール樹脂にフッ素樹脂やポリオレフィン樹脂を添加する方法が知られている。しかし、フッ素樹脂やポリオレフィン樹脂は、ポリアセタール樹脂との相溶性に乏しい。このため、これらの樹脂は、ポリアセタール樹脂から分離して成形品表面に剥離を生じさせたり、成形品の成形時に金型に析出物を発生させたりする場合がある。
また、ポリアセタール樹脂の摺動特性を改善するために、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイル、各種鉱油等の潤滑油を、ポリアセタール樹脂に添加する方法が知られている。しかし、成形品の成形時に、ポリアセタール樹脂と潤滑油等とが分離して、潤滑油等の滲み出しが生じやすく、その滲み出した潤滑油等により押出加工性や成形加工性を損ねる場合がある。また、成形品表面に潤滑油が滲み出すと、成形品の外観を損ねる場合もある。
かかる課題に対し、特許文献1(特開平2−138357号公報)には、ポリアセタール樹脂に特定のグラフト共重合体を含有させた樹脂組成物、さらに特定のグラフト共重合体と共に潤滑剤を配合した樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2(特開平3−111446号公報)には、ポリアセタール樹脂に特定のグラフト共重合体、潤滑剤及び特定粒径の無機粉末を添加配合してなる樹脂組成物が開示されている。
これらの特許文献1及び2に開示された組成物によれば、配合した重合体の剥離や潤滑剤の滲みだしを抑制でき、それぞれの文献が目的としている摺動性の改善を図ることができる。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された組成物では、共に熱的安定性に対しては十分には考慮されておらず、ホルムアルデヒドの発生を低減するという点では十分とは言い難い。また、特許文献2の組成では、配合される無機粉末によって成形品の表面平滑性や表面粗さを損ねる。
このように、特許文献1及び2に開示された組成物では、近年要求される高度の摺動特性と、バランスのとれた他の諸特性(表面性(表面平滑性)、熱安定性、等)を満足することは難しい。
特開平2−138357号公報 特開平3−111446号公報
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、摩擦・摩耗特性に優れ、摺動時のきしみ音の発生が抑制され、さらには成形品の表面平滑性も良好であり、熱的安定性にも優れるポリアセタール樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のポリアセタール樹脂にヒンダードフェノール系酸化防止剤、特定の窒素含有化合物、特定のグラフト共重合体、脂肪酸エステルを選択的に併用配合することが、摺動特性の改善に極めて有効であり、しかも他の諸特性もバランス良く改善もしくは維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) (A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.01〜1質量部と、(C)塩基性窒素含有化合物0.05〜2質量部と(D)グラフト共重合体2〜10質量部と(E)脂肪酸エステル0.5〜5質量部と、を配合してなり、
無機充填剤を実質的に含まず、
前記(A)ポリアセタール樹脂は、(a1)トリオキサン99.9〜90.0質量%と(a2)単官能環状エーテル化合物0.1〜10質量%とを共重合して得られ、前記(A)ポリアセタール樹脂の全末端基(X)中に占めるアルコキシ末端基(X1)と炭素数が少なくとも2個のヒドロキシアルコキシ末端基(X2)との合計の割合((X1+X2)/X)が85〜99.9モル%のポリアセタール共重合体であり、
前記(C)塩基性窒素含有化合物は、アミノトリアジン化合物、グアナミン化合物、ヒドラジド化合物及びポリアミド化合物からなる群より選択される少なくとも一種であり、
前記(D)グラフト共重合体は、主鎖が(d1)オレフィン系重合体であり、側鎖として(d2)ビニル系重合体を含むものであり、
前記(E)脂肪酸エステルは、炭素数12〜32の脂肪酸と炭素数2〜30の多価アルコールとから構成される水酸基価が250〜350の脂肪酸エステルであることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
(2) 前記(A)ポリアセタール樹脂は、前記(a1)トリオキサンと前記(a2)単官能環状エーテル化合物とを、(a1)トリオキサンと(a2)単官能環状エーテル化合物との合計重量に対して100〜1000ppmの割合のヒンダードフェノール系化合物の存在下で共重合して得られるポリアセタール共重合体である(1)に記載のポリアセタール樹脂組成物
(3) 前記(D)グラフト共重合体中の、(d1)オレフィン系重合体と(d2)ビニル系重合体との質量比(d1:d2)が、80:20〜20:80である、(1)又は(2)に記載のポリアセタール樹脂組成物
(4) 前記(D)グラフト共重合体の、(d1)オレフィン系重合体はポリエチレンから構成され、(d2)ビニル系重合体はアクリロニトリル−スチレン共重合体又はポリスチレンから構成される(1)から(3)のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物
(5) 前記(C)塩基性窒素含有化合物が、メラミン、ベンゾグアナミン、CTU−グアナミン及びセバシン酸ジヒドラジドから選ばれたものである(1)から(4)のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物
(6) (1)から(5)のいずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物からなる成形品。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形品は、摩擦・摩耗特性に優れ、摺動時のきしみ音の発生が抑制され、さらには成形品の表面平滑性も良好である。また、本発明の樹脂組成物は熱的安定性にも優れる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂と、(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤と、(C)塩基性窒素含有化合物と、(D)グラフト共重合体と、(E)脂肪酸エステルとを、選択的に配合してなるものである。以下、各成分について説明する。
[(A)ポリアセタール樹脂]
本発明における(A)ポリアセタール樹脂としては、トリオキサン(a1)99.9〜90.0質量%と(a2)単官能環状エーテル化合物0.1〜10.0質量%とを共重合して得られポリアセタール共重合体が用いられる。
上記の(a2)単官能環状エーテル化合物の定義には単官能環状ホルマール化合物も包含される。(a2)単官能環状エーテル化合物は、隣接する少なくとも2個の炭素原子を含んで環が形成されており、(a1)トリオキサンとの共重合によって開環しC2〜C6程度のオキシアルキレン単位を形成するものである。このような(a2)単官能環状エーテル化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール等が挙げられる。
また、本発明において(A)ポリアセタール樹脂として使用するポリアセタール共重合体は、その全末端基(X)中に占めるアルコキシ末端基(X1)と炭素数が少なくとも2個のヒドロキシアルコキシ末端基(X2)との合計の割合((X1+X2)/X)が85〜99.9モル%である。他の末端基としては、ヘミアセタール基、ホルミル基等を挙げることができる。これらの末端基の含有割合は、公知の方法、例えば特開平5−98028号公報、特開2001−11143号公報等に記載された方法を利用して測定することができる。また、末端基の調整は、重合に用いるモノマー成分(トリオキサン等)に含まれる微量の水分や連鎖移動性不純物の量を制御したり、重合に用いる連鎖移動剤の量を調整したり、重合で得られた粗ポリアセタール共重合体の末端基の後処理等により行なうことができる。
また、本発明において(A)ポリアセタール樹脂として使用するポリアセタール共重合体は、(a1)トリオキサンと(a2)単官能環状エーテル化合物とを、(a1)トリオキサンと(a2)単官能環状エーテル化合物との合計重量に対して100〜1000ppmの割合のヒンダードフェノール系化合物の存在下で共重合して得られるものが好ましい。このように、ヒンダードフェノール系化合物の存在下で共重合を行なうことにより、重合工程の操作が安定すると共に、得られるポリアセタール共重合体の末端基を調整し安定な樹脂を得るためにも寄与する。
このように、共重合体であり、その末端基が特定されるポリアセタール樹脂の使用により、本発明の樹脂組成物は熱的に安定で、成形品にした場合には成形品表面の性状が良く、安定した摺動特性を発揮することができる。
[(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤]
本発明で使用可能な(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、以下の化合物を使用することができる。
単環式ヒンダードフェノール化合物(例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、炭化水素基又はイオウ原子を含む基で連結された多環式ヒンダードフェノール化合物(例えば、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等)、エステル基又はアミド基を有するヒンダードフェノール化合物(例えば、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−2−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ジヒドロシンナムアミド、N,N’−エチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、N,N’−テトラメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、N,N’−エチレンビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート等)が挙げられる。
本発明において、(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤は単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。(B)成分の配合量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.01〜1質量部であり、好ましくは0.02〜0.5質量部である。(B)成分の配合量が0.01質量部未満の場合は、成形加工時等の高温での短期的な酸化劣化や常温での長期的な使用下での酸化劣化に対する(A)ポリアセタール樹脂の安定性が不十分なものとなりやすい。そして、このように(A)ポリアセタール樹脂成分の安定性が不十分で劣化を生じると、摺動特性にも好ましくない影響を与えることになる。一方、(B)成分の配合量が1質量部以上の場合には、不経済であるばかりか、過剰の添加は、得られる樹脂組成物の機械的物性を損ねる要因にもなる場合がある。
[(C)塩基性窒素含有化合物]
本発明のポリアセタール樹脂組成物には、アミノトリアジン化合物、グアナミン化合物、ヒドラジド化合物及びポリアミド化合物から選ばれる少なくとも一種の(C)塩基性窒素含有化合物が配合されている。
アミノトリアジン化合物としては、メラミン又はその誘導体[メラミン、メラミン縮合体(メラム、メレム、メロン)等]、グアナミン又はその誘導体、及びアミノトリアジン樹脂[メラミンの共縮合樹脂(メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−メラミン樹脂、メラミン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン樹脂、芳香族ポリアミン−メラミン樹脂等)、グアナミンの共縮合樹脂等]等が挙げられる。
グアナミン化合物としては、脂肪族グアナミン化合物(モノグアナミン類、アルキレンビスグアナミン類等)、脂環族グアナミン系化合物(モノグアナミン類等)、芳香族グアナミン系化合物[モノグアナミン類(ベンゾグアナミン及びその官能基置換体等)、α−又はβ−ナフトグアナミン及びそれらの官能基置換誘導体、ポリグアナミン類、アラルキル又はアラルキレングアナミン類等]、ヘテロ原子含有グアナミン系化合物[アセタール基含有グアナミン類、テトラオキソスピロ環含有グアナミン類(CTU−グアナミン、CMTU−グアナミン等)、イソシアヌル環含有グアナミン類、イミダゾール環含有グアナミン類等]等が挙げられる。また、上記のメラミン、メラミン誘導体、グアナミン系化合物のアルコキシメチル基がアミノ基に置換した化合物等も含まれる。
ヒドラジド化合物としては、脂肪族カルボン酸ヒドラジド系化合物(ステアリン酸ヒドラジド、12−ヒドロキシステアリン酸ヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、エイコサン二酸ジヒドラジド等)、脂環族カルボン酸ヒドラジド系化合物(1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等)、芳香族カルボン酸ヒドラジド系化合物(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル安息香酸ヒドラジド、1−ナフトエ酸ヒドラジド、2−ナフトエ酸ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジヒドラジド等)、ヘテロ原子含有カルボン酸ヒドラジド系化合物、ポリマー型カルボン酸ヒドラジド系化合物等が挙げられる。
ポリアミドとしては、ジアミンとジカルボン酸とから誘導されるポリアミド;アミノカルボン酸、必要に応じてジアミン及び/又はジカルボン酸を併用して得られるポリアミド;ラクタム、必要に応じてジアミン及び/又はジカルボン酸との併用により誘導されるポリアミドが含まれる。また、2種以上の異なったポリアミド形成成分により形成される共重合ポリアミドも含まれる。
具体的なポリアミドの例としては、ポリアミド3、ポリアミド4、ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12等の脂肪族ポリアミド、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸)と脂肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)とから得られるポリアミド、脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸)と芳香族ジアミン(例えば、メタキシリレンジアミン)とから得られるポリアミド、芳香族及び脂肪族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸とアジピン酸)と脂肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)とから得られるポリアミド及びこれらの共重合体等が挙げられる。また、ポリアミドハードセグメントとポリエーテル成分等の他のソフトセグメントの結合したポリアミド系ブロックコポリマーの使用も可能である。
本発明において、アミノトリアジン化合物、グアナミン化合物、ヒドラジド化合物及びポリアミドから選ばれる(C)塩基性窒素含有化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。特に好ましい(C)塩基性窒素含有化合物はメラミン、ベンゾグアナミン、CTU−グアナミン、セバシン酸ジヒドラジドである。
本発明において、(C)成分の配合量は(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して0.05〜2質量部であり、好ましくは0.1〜1.2質量部である。(C)成分の配合量が0.05質量部未満の場合には、ポリアセタール樹脂に十分な耐熱安定性を付与することができず、加工時における樹脂の分解によるホルムアルデヒドの発生、成形時のモールドデポジットの発生、樹脂組成物の機械的物性の低下や発泡に伴う摺動特性の低下等の要因になる。逆に、(C)成分の配合量が2質量部を超える場合には、得られる樹脂組成物の変色や機械的物性低下等を引き起こす要因になる場合がある。
[(D)グラフト共重合体]
本発明で用いる(D)グラフト共重合体とは、(d1)オレフィン系重合体と(d2)ビニル系重合体とのグラフト共重合体である。
(D)グラフト共重合体の主鎖成分を構成する(d1)オレフィン系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の単独重合体、及びこれらを主成分とする共重合体が挙げられる。共重合体としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体及びエチレンとα・β−不飽和のグリシジルエステル(例えば、アクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、エタクリル酸グリシジルエステル等)からなる共重合体等が挙げられる。これらの内、ポリエチレンが最も好ましく使用できる。
この(d1)オレフィン系重合体とグラフト共重合させる重合体は(d2)ビニル系重合体であり、例えばポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2エチルヘキシル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリル酸ブチルとメタクリル酸メチルの共重合体、アクリル酸ブチルとスチレンの共重合体等が挙げられる。
本発明においては、上記で例示するグラフト共重合体の内、ポリエチレンからなる(d1)オレフィン系重合体と、アクリロニトリル−スチレン共重合体又はポリスチレンからなる(d2)ビニル系重合体とのグラフト共重合体が特に好ましい。
グラフト共重合体の調製法は特に限定されるものではないが、公知のラジカル反応によって容易に調製できる。例えば、(d1)成分を構成するモノマーと、(d2)を構成するモノマーにラジカル触媒を加えて混練してグラフト化する方法、或いは(d1)成分又は(d2)成分の何れかに過酸化物等のラジカル触媒を加えてフリーラジカルを生成させ、これを他方の成分のポリマーと溶融混練してグラフト化する方法等によって(D)グラフト共重合体が調製される。
(D)グラフト共重合体を構成する(d1)オレフィン系重合体と(d2)ビニル系重合体の割合は、d1:d2=80:20〜20:80(質量比)が好ましく、特に好ましくはd1:d2=60:40〜40:60である。
本発明において上記(D)グラフト共重合体の配合量は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して2〜10質量部である。(D)成分の配合量が2質量部未満では本発明の目的とする摺動特性の改良効果が不十分なものになる。また、(D)成分の配合量が10質量部を超えると剛性等の機械的物性を阻害するため好ましくない。
[(E)脂肪酸エステル]
本発明で用いる(E)脂肪酸エステルは、炭素数12〜32の脂肪酸と炭素数2〜30の多価アルコールとから構成される水酸基価250〜350の脂肪酸エステルである。
(E)脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の飽和脂肪酸や、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸等が挙げられる。
また、(E)脂肪酸エステルを構成する多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン等の多価アルコールが挙げられる。
本発明において使用する(E)脂肪酸エステルは、上記のような脂肪酸と多価アルコールとから構成される水酸基価が250〜350の脂肪酸エステルである。水酸基価の小さい脂肪酸エステルでは滲み出し等の問題、水酸基価の大きい脂肪酸エステルでは摺動特性の問題が生じ易くなり、本発明のポリアセタール樹脂組成物を構成する(E)脂肪酸エステルとして使用するのは好ましくない。ここで、水酸基価とは、試料1g中に含まれるOH基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 1557−1:2007の方法で測定することができる。
好ましい(E)脂肪酸エステルとしてはエチレングリコールモノステアレート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンモノベヘネート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノベヘネート等が挙げられる。
本発明において、かかる(E)脂肪酸エステルの配合量は(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し0.5〜5質量部である。(E)成分の配合量が0.5質量部より少ない量では十分な摺動性改良効果は期待できず、(E)成分の配合量が5質量部より多い量では基体樹脂であるポリアセタール樹脂の性質が損なわれる場合がある。
[無機充填剤]
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、実質的に無機充填剤を含有しないことを必須の要件とするものである。これは、本発明においてはポリアセタール樹脂100質量部に対して0.5質量部を超える量では無機充填剤を含まないことを意味する。無機充填剤の含有量が0.5質量部を超えると、成形品の表面状態を損ねることになり、繊細な摺動特性を損ねることにもなる。
[ポリアセタール樹脂組成物]
本発明は、上記の(A)成分から(E)成分を選択的に組合せると共に、その配合量を調整し、かつ、無機充填剤を実質的に含有しない構成としたことを特徴とするものである。これは、ポリアセタール樹脂の熱安定性や優れた表面平滑性を維持しながら、その摩擦・摩耗特性を改善し、摺動時のきしみ音の発生も抑制するという複合化した課題の解決を考慮してなされたものである。
すなわち、ポリアセタール樹脂に対して摺動性改善のために配合される成分やその組合せ、配合量等は、樹脂材料の機械的物性や樹脂の安定性を損ねる要因になり易く、摺動特性そのもののバランスを崩す要因になる場合もある。逆に、樹脂の酸化劣化や熱劣化に対する安定化のために配合される安定剤成分が摺動特性に悪影響を及ぼす場合もある。また、摺動性改善や安定性向上のためのこれらの配合成分の組合せや配合量が、組成物の調製における押出機の操作性(押出機のスクリュー上で樹脂の滑り、サージング現象、ベントアップ等)、成形機おける成形性(くい込み不良、可塑化不良等)に重要な影響を及ぼす要因にもなる。
本発明における上記の如き配合成分の選択的組合せと各成分の配合量は、このような特性や状況を踏まえた微妙なバランス上に成り立っているものであり、これにより初めて、全体としての好ましい性能を得ることができるのである。
本発明のポリアセタール樹脂組成物には、本発明の目的や効果を大きく損なわない範囲であれば、公知の各種安定剤や添加剤をさらに配合することができる。例えば、各種の着色剤、離型剤(上記の脂肪酸エステル以外)、核剤、帯電防止剤、その他の界面活性剤、異種ポリマー(上記のグラフト共重合体以外)等を挙げることができる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物及びかかる組成物からなる成形品は、従来から樹脂組成物の調製法として知られ一般に用いられる方法により容易に調製することができる。例えば、組成物を構成する各成分を混合した後、一軸又は二軸の押出機により溶融混練して押出し、これを切断してペレット状組成物を調製し、しかる後に成形する方法、一旦組成の異なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペレットを所定量混合(稀釈)して成形に供し、成形後に目的組成の成形品を得る方法、等の何れも使用できる。
また、樹脂組成物の調製において、基体である(A)ポリアセタール樹脂の一部又は全部を粉砕し、これとその他の成分を混合して押出等を行うことは、添加物の分散性を良くする上で好ましい方法である。
また、予め(E)脂肪酸エステルを(D)グラフト共重合体と混合して含浸させた後、これを(A)ポリアセタール樹脂或は残余成分と混練し押出等を行う方法も、組成物の調製を容易にし、加工性及び摺動性改善の点で好ましい方法である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<実施例及び比較例>
実施例及び比較例において使用した各成分の詳細は以下の通りである。
(A)ポリアセタール樹脂(POM):
A−1:トリオキサン96.7質量%/1,3−ジオキソラン3.3質量%の共重合体(全末端基に対するメトキシ末端基とヒドロキシエトキシ末端基の合計量の割合は95%)
A−2:トリオキサン96.7質量%/1,3−ジオキソラン3.3質量%の共重合体(全末端基に対するメトキシ末端基とヒドロキシエトキシ末端基の合計量の割合は99%)
A’−3:トリオキサン96.7質量%/1,3−ジオキソラン3.3質量%の共重合体(全末端基に対するメトキシ末端基とヒドロキシエトキシ末端基の合計量の割合は83%)
〔ポリアセタール樹脂A−1の調製法〕
二軸パドルタイプの連続式重合機にトリオキサン96.7質量%と1,3−ジオキソラン3.3質量%の混合物を連続的に供給し、触媒として三フッ化ホウ素15ppmを添加し重合を行った。重合に供するトリオキサンと1,3−ジオキソランの混合物には、その全量に対し0.03質量%のペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕を含有させ、該ヒンダードフェノール化合物の存在下で重合を行なった。また、重合に供するトリオキサンと1,3−ジオキソランの混合物は、不純物として水15ppm、メタノール10ppm、ギ酸7ppmを含有するものであった。
重合機吐出口より排出された重合体は、直ちにトリエチルアミン1000ppm含有水溶液を加えて粉砕、攪拌処理を行うことにより触媒の失活を行い、次いで、遠心分離、乾燥を行うことにより粗ポリオキシメチレン共重合体を得た。
次いで、この粗ポリオキシメチレン共重合体を、ベント口を有する二軸押出機に供給し、樹脂温度約220℃、ベント真空度2.7kPa(20mmHg)、平均滞留時間300秒で溶融混練し、押出機のダイから排出される重合体を冷却、細断することにより、ペレット状のポリアセタール樹脂A−1を得た。
〔ポリアセタール樹脂A−2の調製法〕
不純物として水6ppm、メタノール3.5ppm、ギ酸5ppmを含有するトリオキサンと1,3−ジオキソランの混合物を用い、上記A−1と同様の方法で重合、触媒の失活、分離、乾燥を行うことにより粗ポリオキシメチレン共重合体を得た。次いで、A−1と同様に押出機での溶融混練処理を行い、ペレット状のポリアセタール樹脂を得た。さらに、保温可能な円筒状耐圧容器の形状を有する処理装置を用い、その上部より上記のペレット状の重合体を連続的に供給し、下部よりトリエチルアミン500ppmを含有する135℃の水溶液を供給する処理を8時間行った後、遠心分離、乾燥を行うことにより、ポリアセタール樹脂A−2を得た。
〔ポリアセタール樹脂A’−3の調製法〕
トリオキサンと1,3−ジオキソランの混合物にヒンダードフェノール化合物を含有させず、ヒンダードフェノール化合物の非存在下で重合を行う以外は、前記A−1と同じ原料、同じ方法で重合、触媒失活、分離、乾燥等を行なうことにより粗ポリオキシメチレン共重合体を得た。次いで、A−1と同様に押出機での溶融混練処理を行い、ペレット状のポリアセタール樹脂A’−3を得た。
〔末端基の測定〕
なお、上記ポリアセタール樹脂A−1〜A’−3の末端基の測定は、特開2001−11143号公報に記載された方法に準じて行なった。測定結果に基づいて、ポリアセタール樹脂の全末端基(X)中に占めるアルコキシ末端基(X1)と炭素数が少なくとも2個のヒドロキシアルコキシ末端基(X2)との合計の割合((X1+X2)/X)を導出し、表1に示した(表1中の規定末端基量)。
(B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:
B−1:ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕BASF製、イルガノックス(登録商標)1010
(C)窒素含有化合物:
C−1:メラミン
C−2:ベンゾグアナミン
C−3:セバシン酸ジヒドラジド
(D)グラフト共重合体:
D−1:PE−g−AS(日油(株)製、モディパー(登録商標)A1401)ポリエチレンとアクリロニトリル・スチレン共重合体からなるグラフト共重合体
D−2:PE−g−PMMA(日油(株)、モディパー(登録商標)A1200)ポリエチレンとポリメチルメタクリレートからなるグラフト共重合体
(E)脂肪酸エステル:
E−1:グリセリンモノベヘネート(GMBと略示)(水酸基価=290)理研ビタミン(株)製リケマール(登録商標)B−100
E−2:グリセリンモノステアレート(GMSと略示)(水酸基価=330)理研ビタミン(株)製 リケマール(登録商標)S−100
E’−3:トリグリセリンステアレート(TGSと略示)(水酸基価=180)理研ビタミン(株)製リケマール(登録商標)AZ−01
上記(A)〜(E)成分を表1に示す割合で混合した後、二軸押出機により溶融混練しペレット状の組成物を調製した。次いでこのペレットを用いて射出成形により試験片を作成し、評価を行った。
また、比較のため、ポリアセタール樹脂として末端基の要件を満たさないもの(A’−3)を用いた場合(比較例1)、(D)グラフト共重合体に代えてポリエチレン(D’−3)を用いた場合(比較例2)、(D)グラフト共重合体を配合しない場合(比較例3)、(D)グラフト共重合体を規定以上に多量配合した場合(比較例4)、水酸基価の要件を満たさない脂肪酸エステル(E’−3)を用いた場合(比較例5)、(E)脂肪酸エステルを配合しない場合(比較例6)、(E)脂肪酸エステルを規定以上に多量配合した場合(比較例7)についても同様にして組成物を調製し、試験片を作成して評価した。実施例及び比較例の結果を表1に示す。
<評価>
表面性、引張強さ、引張破壊ひずみ、曲げ強さ、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強さ、動摩擦係数、比摩耗量(自材、鋼材)、鳴き音(きしみ音)発生荷重を評価した。具体的には、以下の方法で各評価を行った。
[表面性]
表面性とは、試験片の表面状態の評価である。評価用試験片(50mm×50mm×1mm:センターピンゲート方式)をシリンダー温度190℃、射出圧力75MPa、射出速度を1m/minと3m/minの2種類の成形条件にて成形して、その表面(特にゲート付近)の剥離状況を5段階で評価した。
5:剥離無し
4:剥離ほとんど無し
3:剥離やや有り
2:剥離有り
1:大部分が剥離
[引張、曲げ、衝撃物性]
ISO規格(引張物性:ISO527−1,2、曲げ物性:ISO178、衝撃物性:ISO179/1eA)に準じて評価用試験片を射出成形にて成形し、各種物性を評価した。引張強さ、引張破壊ひずみ、曲げ強さ、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強さの結果を表1に示した。
[摩擦係数、比摩耗量]
鈴木式摩擦・摩耗試験機を用い、加圧下(0.98MPa)、線速度300mm/sec、接触面積2.0cmで、相手材を鋼材(S55C)とし、動摩擦係数、比摩耗量を評価した。
[摺動音特性]
鈴木式摩擦・摩耗試験機を用い、接触面積2.0cmで、同じ材料同士を、速度を一定(10mm/sec)に保ち、面圧を1分毎に0.1MPaずつ昇圧していく間のきしみ音の発生状況を評価した。きしみ音の発生の有無は、官能試験にて判断し、きしみ音が発生したと判断した時の荷重を鳴き音発生荷重とした。
[ホルムアルデヒド発生量]
5gのペレットを正確に秤取し、金属製容器中に200℃で5分間、溶融状態で保持した後、容器内の雰囲気を蒸留水中に吸収させる。この水溶液のホルムアルデヒド量をJIS K0102,29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、これをペレットから発生するホルムアルデヒドガス量(ppm)に換算した。
Figure 0005936335
実施例1〜8は、表面性に優れ、機械的強度(引張強さ、引張破壊ひずみ、曲げ強さ、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強さ)も充分であり、摺動特性(摩擦係数、比磨耗量、きしみ音)も良好であることが確認された。また、ホルムアルデヒド発生量も少ないものであった。
これに対し、本願規定の要件の何れかを満たさない比較例1〜7は、表1に示す結果から理解されるように、表面性、機械的特性、摺動特性(摩擦係数、比摩耗量、きしみ音)、ホルムアルデヒド発生量の何れか1又は複数の特性において劣るものであった。また、表1には示していないが、比較例5は押出加工性、成形加工性が不充分なものであった。
以上より、特定の成分を特定の量配合させなければ、良好な表面性、優れた機械的強度(引張強さ、引張破壊ひずみ、曲げ強さ、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強さ)、良好な摺動特性(摩擦係数、比磨耗量、きしみ音)の全てを満たさないことが確認された。

Claims (5)

  1. (A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、
    (B)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.01〜1質量部と、
    (C)塩基性窒素含有化合物0.05〜2質量部と
    (D)グラフト共重合体2〜10質量部と
    (E)脂肪酸エステル0.5〜5質量部と、を配合してなり、
    無機充填剤を実質的に含まず、
    前記(A)ポリアセタール樹脂は、(a1)トリオキサン99.9〜90.0質量%と(a2)単官能環状エーテル化合物0.1〜10質量%とを共重合して得られ、前記(A)ポリアセタール樹脂の全末端基(X)中に占めるアルコキシ末端基(X1)と炭素数が少なくとも2個のヒドロキシアルコキシ末端基(X2)との合計の割合((X1+X2)/X)が85〜99.9モル%のポリアセタール共重合体であり、
    前記(C)塩基性窒素含有化合物は、アミノトリアジン化合物、グアナミン化合物、ヒドラジド化合物及びポリアミド化合物からなる群より選択される少なくとも一種であり、
    前記(D)グラフト共重合体は、主鎖が(d1)オレフィン系重合体であり、側鎖として(d2)ビニル系重合体を含むものであり、
    前記(D)グラフト共重合体の、(d1)オレフィン系重合体はポリエチレンから構成され、(d2)ビニル系重合体はアクリロニトリル−スチレン共重合体又はポリスチレンから構成され、
    前記(E)脂肪酸エステルは、炭素数12〜32の脂肪酸と炭素数2〜30の多価アルコールとから構成される水酸基価が250〜350の脂肪酸エステルであることを特徴とするポリアセタール樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリアセタール樹脂は、前記(a1)トリオキサンと前記(a2)単官能環状エーテル化合物とを、(a1)トリオキサンと(a2)単官能環状エーテル化合物との合計重量に対して100〜1000ppmの割合のヒンダードフェノール系化合物の存在下で共重合して得られるポリアセタール共重合体である請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 前記(D)グラフト共重合体中の、(d1)オレフィン系重合体と(d2)ビニル系重合体との質量比(d1:d2)が、80:20〜20:80である、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 前記(C)塩基性窒素含有化合物が、メラミン、ベンゾグアナミン、CTU−グアナミン及びセバシン酸ジヒドラジドから選ばれた少なくとも一種である請求項1〜のいずれか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. 請求項1〜の何れか1項に記載のポリアセタール樹脂組成物からなる成形品。
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