JP6968597B2 - ポリアセタール樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明は以下の通りである。
(B)ブロック化イソシアネート化合物、ポリウレタン樹脂及びシランカップリング剤から選ばれた少なくとも1種で表面処理されたガラス系無機充填材1質量部〜100質量部と、
(C)多官能イソシアネート化合物0.1質量部〜10質量部と、
(D)ホウ酸化合物0.001質量部〜3質量部と、
(E)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体0.002質量部〜10質量部、
とを含有するポリアセタール樹脂組成物。
7.前記(B)ガラス系無機充填材が、ガラス繊維、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー及びガラスフレークから選ばれた少なくとも1種のガラス系無機充填材である、前記1から6いずれかに記載のポリアセタール樹脂組成物。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、
(B)ブロック化イソシアネート化合物、ポリウレタン樹脂及びシランカップリング剤から選ばれた少なくとも1種で表面処理されたガラス系無機充填材1質量部〜100質量部と、
(C)多官能イソシアネート化合物0.1質量部〜10質量部と、
(D)ホウ酸化合物0.001質量部〜3質量部と、
(E)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体0.002質量部〜10質量部、
とを含有することを特徴とする。
本発明の(A)ポリアセタール樹脂は、オキシメチレン基(−CH2O−)を主たる構成単位とする高分子化合物で、ポリオキシメチレンホモポリマー、又はオキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、これ以外に他の構成単位、例えばエチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール等のコモノマー単位を少量含有するコポリマー、ターポリマー、ブロックポリマーのいずれにてもよい。
(B)ガラス系無機充填材は、ブロック化イソシアネート化合物、ポリウレタン樹脂及びシランカップリング剤から選ばれた少なくとも1種で表面処理されたものである。ガラス系無機充填材は、複数の化合物で表面処理される場合、それぞれの化合物で表面処理するタイミングの先後は問わない。
本発明のブロック化イソシアネート化合物の原料であるイソシアネート化合物としては、一分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する多官能のイソシアネート化合物であれば特に制限なく使用できる。
特に、2官能性の脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートを多量化したポリイソシアネートであることが好ましい。
具体的には、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。
中でも、ラクタム系ブロック化剤、オキシム系ブロック化剤、ジケトン系ブロック化剤、ピラゾール系ブロック化剤の使用が好ましい。
本発明に用いるポリウレタン樹脂は、ガラス系無機充填材、特に、チョップドストランドの集束性を向上させるものであり、有機ジイソシアネート、高分子ポリオール、さらに必要により鎖延長剤及び/又は架橋剤とから形成される従来既知のものが好ましく使用でき、エマルジョンやディスパージョン等の水分散状にして用いることが好ましい。
有機ジイソシアネートの好ましい具体例としては、例えば、 2,4 '−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4 '−ジフェニルメタンジイソシアネート 、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート 、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5− ナフチレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート 、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート 、4 ,4 '−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。
高分子ポリオールの好ましい具体例としては、例えば、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチレンアジペートジオール、ポリネオペンチレンテレフタレートジオール、ポリ( ε−カプロラクトン) ジオール、ポリバレロラクトンジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール等のポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物等のポリエーテルポリオールが挙げられる。
鎖延長剤及び/又は架橋剤としては、数平均分子量が6 0 〜 5 0 0 の活性水素含有化合物が好ましく、例えば、 エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル) シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン、2,2−ビス(4,4'−ヒドロキシシクロヘキシル) プロパン等の2価アルコールや、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコールや、 ペンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、ジペンタエリスリトール、グルコース等の4〜8価のアルコール等の多価アルコール類、ピロガロール、カテコール、ハイドロキノン等の多価フェノール類、ビスフェノールA 、ビスフェノールF 、ビスフェノールS 等のビスフェノール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン類、イソホロンジアミン、4,4 '−ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ポリアミン類、4,4 '−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン類、キシリレンジアミン等の芳香脂環族ポリアミン類等のポリアミンが挙げられる。
本発明において、イソシアネート成分としては、上記に挙げた有機ジイソシアネートの中でも、トリレンジイソシアネート或いはキシリレンジイソシアネーを用いることが好ましく、また、ポリウレタン樹脂のポリオール成分としては、上記に挙げた高分子ポリオール類の中でも、ポリカプロラクトンジオールが好ましい。そして、トリレンジイソシアネートあるいはキシリレンジイソシアネーと、ポリ(ε‐カプロラクトン)ジオールで構成されたポリウレタン樹脂を用いたチョップドストランドは、集束性が極めて高いためより好ましい。
本発明のシランカップリング剤は、官能基を有するもの(例えばビニルアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、メルカプトアルコキシシラン、アリルアルコキシシラン、アミノシラン等)であれば本発明の効果を発揮することができるが、アミノシランカップリング剤が好ましい。アミノシランカップリング剤とは、一分子中にアルコキシ基が結合した珪素原子と、窒素原子を含有する官能基とを含有している化合物をいう。
また、これらのシランカップリング剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
本実施形態に用いられるガラス系無機充填材は、繊維状(ガラス繊維)、粒状(ガラスビーズ)、粒状(ミルドガラスファイバー)、板状(ガラスフレーク)及び中空状の充填材が挙げられ、特に限定されるものではない。
ポリウレタン樹脂の表面処理量は、ガラス系無機充填材100質量部に対して0.1質量部〜5質量部であり、好ましくは0.2質量部〜2質量部である。
シランカップリング剤の表面処理量は、ガラス系無機充填材100質量部に対して0.005質量部〜10質量部であり、好ましくは0.01質量部〜5質量部である。
本発明の(C)多官能イソシアネート化合物としては、一分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する多官能のイソシアネート化合物であれば特に制限なく使用でき、本発明のブロック化イソシアネート化合物の原料であるイソシアネート化合物を好ましく使用することができる。
多官能イソシアネートの配合量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部であり、好ましくは0.3質量部〜3質量部である。
本発明の(D)ホウ酸化合物としては、種類は特に限定されるものでなく、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等のいずれであってもよい。中でもオルトホウ酸が好ましい。(D)ホウ酸化合物の配合量は、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.001質量部〜3.0質量部であり、クリープ特性から、好ましくは0.005質量部〜0.2質量部である。
本発明の(E)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体は、耐クリープ性を向上させるだけでなく、耐熱安定性を高める効果も有している。
本発明に用いられる(E)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体としては、具体的には、メラミン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N’−ジフェニルメラミン、N,N’−ジアリルメラミン、N,N’,N’’−トリフェニルメラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、アンメリン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、2,4−ジヒドロキシ−6−アミノ−sym−トリアジン〔別称(アンメリド)〕、1,1−ビス(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアジニル)メタン、1,2−ビス(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアジニル)エタン〔別称(サクシノグアナミン)〕、1,3−ビス(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアジニル)プロパン、1,4−ビス(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアジニル)ブタン、メチレン化メラミン、エチレンジメラミン、トリグアナミン、3,9−ビス[2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(CTUグアナミン)、3,9−ビス[1−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)メチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス[2−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)−2−メチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス[1−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)−1,1−ジメチルメチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス[3−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)−1,1−ジメチルプロピル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス[3−(3,5−ジアミノ−2,4,6−トリアザフェニル)−2,2−ジメチルプロピル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、メラミンシアヌレート、エチレンジメラミンシアヌレート、トリグアナミンシアヌレート等である。
本発明のポリアセタール樹脂組成物には、さらにシランカップリング剤以外の公知のカップリング剤で表面処理されたガラス系無機充填材を含有してもよい。カップリング剤は、ガラス系無機充填材を、ポリアセタール樹脂との濡れ性や接着性等を良好なものとするために用いられるものであって、例えば、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコニウム系、ボラン系カップリング剤等がある。
本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造は、従来の樹脂組成物製造法として一般に用いられる公知の方法により容易に製造される。例えば各成分を混合した後、1軸又は2軸の押出機により練込み押出しして、ペレットを調製し、しかる後、成形する方法、一旦組成の異なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペレットを所定量混合(稀釈)して成形に供し、成形後に目的組成の成形品を得る方法等、いずれも使用できる。
(A)ポリアセタール樹脂100質量部に、(B)ガラス系無機充填材、(C)多官能イソシアネート化合物、(D)ホウ酸化合物及び(E)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体を、表1及び2に示す量で配合し、シリンダー温度200℃の押出機で溶融混練し、実施例及び比較例に係るペレット状のポリアセタール樹脂組成物を製造した。
使用した各種材料は次のとおりである。
(A1)ポリアセタール樹脂(トリオキサン96.7質量%と1,3−ジオキソラン3.3質量%とを共重合させてなるポリアセタール共重合体(メルトインデックス(190℃,荷重2160gで測定):9g/10min)
(B1)ポリウレタン樹脂(キシリレンジイソシアネートとポリカプロラクトンジオールとの反応物)0.8質量部、シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)0.02質量部で表面処理された直径13μmのチョップドストランド。
(B2)ポリウレタン樹脂(トリレンジイソシアネートとポリカプロラクトンジオールとの反応物)0.8質量部、シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)0.02質量部で表面処理された直径10μmのチョップドストランド。
(B3)ポリウレタン樹脂(キシリレンジイソシアネートとポリカプロラクトンジオールとの反応物)0.3質量部、シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)0.02質量部、メチルエチルケトオキシムでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネートのブロック化イソシアネート1.2質量部で表面処理された直径10μmのチョップドストランド。
(B4)ポリウレタン樹脂(トリレンジイソシアネートとポリカプロラクトンジオールとの反応物)0.7質量部で表面処理された直径10μmのチョップドストランド。
(B5)メチルエチルケトオキシムでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネート三量体のブロック化イソシアネート1.2質量部で表面処理された直径10μmのチョップドストランド。
[ガラス系無機充填材の表面処理法]
ブロック化イソシアネート化合物、ポリウレタン樹脂(エマルジョン)、シランカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を単独または併用混合してガラス系無機充填材の表面処理剤を得た。この表面処理剤をガラス系無機充填材に塗布、乾燥して表面処理されたガラス系無機充填材を得た。さらに、ガラス系無機充填材がガラス繊維である場合、ガラス繊維束を長さ3mmに切断し、チョップドストランドを調製した。
また、ガラス系無機充填材(B3)は、ポリウレタン樹脂(エマルジョン)とシランカップリング剤で1次表面処理したチョップドストランドに、さらに、ブロック化イソシアネートを2次的に塗布・乾燥して調製した。
(C1)イソホロンジイソシアネート三量体
(エボニック社製 VESTANAT T1890/100)
(C2)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
〔(D)ホウ酸化合物〕
(D)オルトホウ酸
〔(E)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体〕
(E1)メラミン
(E2)ベンゾグアナミン
(E3)CTUグアナミン
実施例及び比較例に係るペレット状の組成物から射出成形機を用い、試験片を成形した。そして、ISO527−1,2に準拠した引張強さ・引張伸び、ISO178に準拠した曲げ強さ、ISO179・1eAに準拠したシャルピー衝撃強さ(ノッチ付、23℃)の測定を実施した。
<耐クリープ性評価>
ISO3167に準拠した引張試験片を用い、クリープ試験機で高温高荷重条件として大気中80℃、40MPaの荷重を掛け、試験片が破断するまでの時間を測定した。
評価結果を表1及び2に示す。組成における単位は、質量部である。
Claims (7)
- (A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、
(B)ブロック化イソシアネート化合物、ポリウレタン樹脂及びシランカップリング剤から選ばれた少なくとも1種で表面処理されたガラス系無機充填材1質量部〜100質量部と、
(C)多官能イソシアネート化合物0.1質量部〜10質量部と、
(D)ホウ酸化合物0.001質量部〜3質量部と、
(E)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体0.002質量部〜10質量部と
を含有するポリアセタール樹脂組成物。 - 前記(C)多官能イソシアネート化合物が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネートから選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(C)多官能イソシアネート化合物が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネートの多量体から選ばれた少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(C)多官能イソシアネート化合物が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート及び2,6−トリレンジイソシアネートの三量体から選ばれた少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(D)ホウ酸化合物が、オルトホウ酸である、請求項1から4いずれかの項記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(E)含窒素官能基を有するトリアジン誘導体が、メラミン、ベンゾグアナミン及びCTUグアナミンから選ばれた少なくとも1種の化合物である、請求項1から5いずれかの項記載のポリアセタール樹脂組成物。
- 前記(B)ガラス系無機充填材が、ガラス繊維、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー及びガラスフレークから選ばれた少なくとも1種のガラス系無機充填材である、請求項1から6いずれかの項記載のポリアセタール樹脂組成物。
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