JP4277364B2 - ポリアセタール樹脂補強用のガラス繊維集束剤およびそれを用いたガラス繊維束 - Google Patents

ポリアセタール樹脂補強用のガラス繊維集束剤およびそれを用いたガラス繊維束 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアセタール樹脂補強用ガラス繊維集束剤およびこの集束剤を用いたポリアセタール樹脂補強用ガラス繊維束に関する。さらに詳しくは、本発明は、集束性に優れ、ポリアセタール樹脂に対し、高い補強効果をもたらすガラス繊維束を与える集束剤、およびこの集束剤を用いて複数のガラス繊維フィラメントを集束させてなるポリアセタール樹脂補強用ガラス繊維束に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス繊維を熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂に配合したガラス繊維強化複合材料は、機械物性に優れる成形物を与えることから、各種構造体の素材として広く用いられている。
ところで、ポリアセタール樹脂(ポリオキシメチレン樹脂)は、機械的性質、電気的性質、化学的性質などに優れたエンジニアリング樹脂として、多くの分野、例えばエレクトロニクス、自動車、OA機器、機械、家電製品などの分野において広く利用されており、また、最近では、高強度や高弾性率を必要とする分野において、特に複合材料の素材として利用が試みられている。
このポリアセタール樹脂は、化学的に不活性であるため、ガラス繊維やガラス粉末などの補強材を配合しても、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの他の樹脂に比べて、補強効果が発現しにくいという欠点を有している。
【0003】
そこで、このような欠点を改良するために、これまで、ポリアセタール樹脂を変性する種々の方法が提案されている(特公昭46−25259号公報)、特公昭55−18741号公報、特開昭46−6388号公報、特開昭55−157645号公報、特開昭58−98356号公報)。
しかしながら、このようなポリアセタール樹脂の変性方法は、コストが高くつくのを免れないという欠点がある。
【0004】
したがって、ポリアセタール樹脂に対し、低いコストで補強効果をもたらすガラス繊維束を与える集束剤として、4官能性エポキシ樹脂エマルジョンとシラン系カップリング剤とカチオン系潤滑剤と酢酸を含有する組成物が提案されている(特開昭60−221343号公報)。この集束剤においては、酢酸はカチオン系潤滑剤を水溶化させて均質な集束剤とし、集束性および補強効果に優れるガラス繊維束を与えるためのものである。
しかしながら、この集束剤を用いて集束されたガラス繊維束をポリアセタール樹脂に配合した場合、ガラス繊維束の表面に微量残存する酢酸によって、ポリアセタール樹脂が分解し、十分な補強効果が得られないおそれがあるなどの問題が生じる。
【0005】
一方、亜リン酸や亜リン酸塩などの還元性漂白剤を含むガラス繊維集束剤が提案されている(特開昭55−149147号公報)。この集束剤においては、亜リン酸や亜リン酸塩は、該集束剤を用いて集束されたガラス繊維束の着色を防止するためのものであって、pHを調整するために使用するのではなく、本発明の技術思想とは根本的に異なるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、集束性に優れ、ポリアセタール樹脂に対し、高い補強効果をもたらすガラス繊維束を与えるガラス繊維集束剤、およびこの集束剤を用いたポリアセタール樹脂補強用ガラス繊維束を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、被膜形成成分、カップリング剤および潤滑剤を含むガラス繊維集束剤に、さらにpH調整剤として亜リン酸を配合し、pHを特定の範囲に調整してなる集束剤が、その目的に適合しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)被膜形成成分、(B)カップリング剤および(C)潤滑剤を少なくとも含むガラス繊維集束剤において、
さらにpH調整剤として、ギ酸および酢酸を用いることなく、(D)亜リン酸を配合し、pHを3〜6.5の範囲に調整したこと、および
(A)成分の被膜形成成分が、樹脂成分として少なくともポリウレタン系樹脂を含むものであり、該ポリウレタン系樹脂が、キシリレンジイソシアネートを主とするポリイソシアネート成分とラクトン系ポリエステルポリオールを主とするポリオール成分を用いて得られたものであること
を特徴とするポリアセタール樹脂補強用ガラス繊維集束剤を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、複数のガラス繊維フィラメントにガラス繊維集束剤を付着させ、集束させてなるガラス繊維束において、該ガラス繊維集束剤として、前記のガラス繊維集束剤を用いたことを特徴とするポリアセタール樹脂補強用ガラス繊維束をも提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のポリアセタール樹脂補強用ガラス繊維集束剤(以下、単に「本発明の集束剤」と称すことがある。)における(A)成分の被膜形成成分としては、特に制限はなく、従来ガラス繊維集束剤の被膜形成成分として公知のもの、例えばポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、天然ゴムや合成ゴムなどの中から1種または2種以上を適宜選択して用いることができるが、これらの中で、樹脂成分として少なくともポリウレタン系樹脂を含むものが、集束性などの点から好ましい。この被膜形成成分は、通常水性エマルジョンの形態で用いられる。
【0011】
上記ポリウレタン系樹脂としては、集束性などの点から、特にキシリレンジイソシアネートを主とするポリイソシアネート成分とポリエステルポリオールを主とするポリオール成分から得られたものが好適である。ここで、キシリレンジイソシアネートとしては、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネートおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらの中でm−キシリレンジイソシアネートが好ましい。
【0012】
一方、ポリエステルポリオールとしては、例えば多価アルコールと多価カルボン酸との脱水縮合により得られた縮合系ポリエステルポリオール、多価アルコールをベースとしてラクトンの開環重合により得られたラクトン系ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールの末端をラクトンでエステル変性したエステル変性ポリオールおよびこれらの共重合ポリエステルポリオールなどが挙げられる。
【0013】
上記縮合系ポリエステルポリオールにおいて用いられる多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられ、多価カルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸などが挙げられる。
【0014】
また、ラクトン系ポリエステルポリオールとしては、例えばポリ(ε−カプロラクトン)ポリオールなどがある。これらのポリエステルポリオールは、重量平均分子量が500〜4000の範囲にあるものが好適である。
【0015】
ポリウレタン系樹脂を製造するには、例えば、キシリレンジイソシアネートとポリエステルポリオールとを、30〜130℃程度で無溶媒下又は少量の有機溶媒存在下に加熱することにより行うことができる。なお、加熱反応を行う際には、前記ポリエステルポリオールの説明で例示した多価アルコールを、鎖延長剤として適宜共存させてもよい。また、有機溶媒を使用する場合には、この有機溶媒としては、イソシアネートと反応せず、かつ水と混和性のあるものであればよく、特に制限はないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなどを用いることができる。
【0016】
また、ポリウレタン系樹脂水性エマルジョンを製造する方法としては、以下に示す自己乳化法、乳化剤を使用する方法があるが、これらを適当に組み合わせてもよい。
(1)ポリウレタン系樹脂の側鎖又は末端にイオン性基(スルホン酸基、アミノ基、カルボキシル基等)又は非イオン性親水性基(ポリエチレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール等)を導入することにより親水性を付与した後、自己乳化により水中に分散又は溶解する方法。
【0017】
(2)ポリウレタン系樹脂を製造する際、モノマーとして、ポリエステルポリオール成分及びキシリレンジイソシアネート成分以外に、ポリエチレングリコール又はモノアルコキシポリエチレングリコールのような水溶性ポリオールを共存させて行い、水に比較的親和性のあるポリウレタン系樹脂として水中に分散又は溶解させて自己乳化する方法。
【0018】
(3)ポリウレタン系樹脂に存在するイソシアネート基をブロック剤(アルコール、オキシム等)でブロックしたポリマーを乳化剤と機械的剪断力を用いて強制的に分散する方法。
【0019】
(4)ポリウレタン系樹脂を特にブロック剤を使用せずに乳化剤と機械的剪断力により強制的に水中で分散させる方法。
【0020】
また、乳化させる際あるいは乳化させた後、イソシアネート基を有するポリウレタン系樹脂に鎖延長剤を加えることにより、さらに分子量の高いポリウレタン系樹脂エマルジョンを製造することもできる。その際の鎖延長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヒドラジン、N,N−ジメチルヒドラジン等の公知のものを使用することができる。
【0021】
本発明の集束剤における(B)成分のカップリング剤は、ガラス繊維を、ポリアセタール樹脂との濡れ性や接着性などを良好なものとするために用いられるものであって、例えばシラン系、チタネート系、アルミニウム系、クロム系、ジルコニウム系、ボラン系カップリング剤などがあるが、これらの中で、特にシラン系カップリング剤が好適である。
【0022】
このシラン系カップリング剤としては、例えば、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、N−β−(ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩などが挙げられる。
この(B)成分のカップリング剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
本発明の集束剤における(C)成分の潤滑剤は、ガラス繊維フィラメントが相互摩耗によって傷つき、あるいは折れて毛羽立つのを防ぐために用いられるものであって、このようなものとしては、特にカチオン系潤滑剤が好ましく、例えばカチオン活性アルキルイミダゾリン誘導体、ペラルゴン酸トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンジステアレートなどを挙げることができる。
この(C)成分の潤滑剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明の集束剤においては、pHを調整するために、(D)成分として亜リン酸が用いられる。上記(A)成分、(B)成分および(C)成分を含有する集束剤は、pH調整しないと、通常アルカリ性になりやすく、アルカリ性の場合、(C)成分の潤滑剤、特にカチオン系潤滑剤は、沈殿したり、あるいは有効に作用しなくなり、集束剤としての性能が低下する。したがって、従来、pH調整のためにギ酸や酢酸が用いられていたが、このギ酸や酢酸を含有する集束剤で集束されたガラス繊維束をポリアセタール樹脂の補強に用いると、ガラス繊維表面に存在する微量のギ酸や酢酸によって、ポリアセタール樹脂が分解し、補強効果が十分に発揮されないという問題があった。本発明において、pH調整剤として用いる亜リン酸は、ポリアセタール樹脂を分解することがなく、しかも酸化防止効果を有するので、集束剤で集束されたガラス繊維束の着色も防止することができる。
本発明において、この(D)成分の亜リン酸を配合することにより、集束剤のpHを3〜6.5、好ましくは4〜5.5の範囲に調整する。pHが上記範囲を逸脱すると、集束剤としての性能が十分に発揮されない。
【0025】
本発明の集束剤における前記各成分の含有量については特に制限はないが、有効成分換算で、(A)成分の被膜形成成分は、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは4〜10重量%、(B)成分のカップリング剤は、好ましく0.1〜5重量%、より好ましくは0.3〜1.0重量%、(C)成分の潤滑剤は、好ましくは0.0001〜5重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲で選定される。また、(D)成分の亜リン酸は、集束剤のpHが3〜6.5の範囲になるように配合されるが、その配合量は、集束剤全量に対し、通常0.01〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.4重量%の範囲である。
【0026】
本発明の集束剤には、必要に応じ、本発明の目的が損なわれない範囲で、従来集束剤に慣用されている各種の添加剤、例えば帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、柔軟剤、さらにはアミン変性エポキシ樹脂や酸変性ポリオレフィン樹脂などの保形剤などを適宜含有させることができる。
これら(A)〜(D)成分の集束剤中に含まれる割合は、通常1〜10重量%程度である。
【0027】
次に、本発明のポリアセタール樹脂補強用ガラス繊維束(以下、単に「本発明のガラス繊維束」と称すことがある。)は、複数のガラス繊維フィラメントに、前述の集束剤を付着させ、集束させたものであり、上記ガラス繊維フィラメントとしては、繊維径3〜30μm程度のものが好ましく、また、集束させるガラス繊維フィラメントの本数としては、好ましくは100〜10000本、より好ましくは300〜5000本の範囲で選ばれる。ガラス繊維フィラメントのガラスの種類としては、特に制限はなく、一般に熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の補強用として慣用されているものを用いることができるが、Eガラスが好適である。
【0028】
本発明のガラス繊維束においては、複数のガラス繊維フィラメントに付着させる集束剤の量は、固形分換算で0.1〜1.0重量%の範囲が好ましい。この付着量が0.1重量%未満では集束性が不十分で、ガラス繊維束をポリアセタール樹脂に混練して成形品を製造する際に、糸割れや毛羽立ちが発生しやすくなるし、1.0重量%を超えると成形時にガスの発生が起こり、成形品にふくれが生じたり、その機械特性が低下する原因となる。集束性、ポリアセタール樹脂成形品の外観や機械特性などを考慮すると、この集束剤のより好ましい付着量は、固形分換算で0.2〜0.8重量%の範囲であり、特に0.2〜0.5重量%の範囲が好ましい。
【0029】
本発明のガラス繊維束の製造方法としては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば溶融したガラスを、ブッシングの底部に取り付けられた多数のノズルより引き出し、このガラス繊維フィラメントに、アプリケーターを介して前記集束剤を施しながら巻き取り、この巻き取ったものを、80〜150℃程度の温度で加熱乾燥処理することにより、本発明のガラス繊維束が得られる。
【0030】
このようにして、複数のガラス繊維フィラメントを集束して得られた本発明のガラス繊維束の使用形態については特に制限はなく、ガラス繊維強化ポリアセタール樹脂の用途に応じて、ガラスチョップドストランド、ガラスロービング、ガラスチョップドストランドマット、ガラスロービングクロスなどの形態の中から適宜選択して使用することができる。
【0031】
本発明のガラス繊維束は、ポリアセタール樹脂補強用として用いられる。該ガラス繊維束が適用されるポリアセタール樹脂としては、例えば単独重合体のポリオキシメチレン、トリオキサンとエチレンオキシドから得られるホルムアルデヒド−エチレンオキシド共重合体、さらにはポリウレタン含有ポリアセタール、エラストマー含有ポリアセタールなどの変性ポリアセタール樹脂などが挙げられる。
ポリアセタール樹脂と本発明のガラス繊維束とを用い、ガラス繊維強化ポリアセタール樹脂を製造する方法としては、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂の製造方法として、従来公知の様々な方法の中から、使用するガラス繊維束の形態に応じて、適宜選択することができる。
【0032】
例えば、ガラス繊維束として、ガラスチョップドストランドを用いる場合には、ポリアセタール樹脂との合計重量に基づき、該ガラスチョップドストランドを、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは20〜30重量%の割合で配合し、通常180〜220℃、好ましくは190〜210℃の範囲の温度において溶融混練することにより、ガラス繊維強化ポリアセタール樹脂を製造することができる。
【0033】
溶融混練は、例えば単軸若しくは二軸押出し機などを用いて行うことができる。この際、所望に応じ、公知の各種添加剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、難燃剤、離型剤、無機又は有機充填剤、帯電防止剤、着色剤などを適宜配合し、溶融混練してもよい。
このようにして溶融混練した原料を押出し、冷却し、切断して得られたガラス繊維強化ポリアセタール樹脂ペレットを、射出成形や押出成形などの公知の方法で成形することにより、所望形状の成形品が得られる。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例におけるチョップドストランドの攪拌毛羽量、コンパウンドペレットから発生するガス量および試験片の物性は以下に示す方法に従って測定した。
(1)チョップドストランドの攪拌毛羽量
チョップドストランド200gとポリアセタール樹脂ペレット(ポリプラスチック社製、商品名:ジュラコンM90−31)100gをビーカーに入れ、室温にして5分間攪拌(攪拌条件:4枚羽スクリュー、1300回転/分)したのち、これを3.5メッシュの篩にかけ、篩に残った毛羽の重量を測定した。この値が小さいほど、集束性が良いことを示す。
【0035】
〈試験片の物性〉
(2)引張強さ
煮沸試験前の引張強さIおよび100℃、4時間の条件で煮沸試験後の引張強さIIを、ASTM D638に準拠して測定した。
(3)引張伸び
ASTM D638に準拠して引張伸びを測定した。
(4)曲げ強さ、曲げ弾性率
ASTM D790に準拠して、曲げ強さおよび曲げ弾性率を測定した。
(5)アイゾット衝撃値(ノッチ付き)
ASTM D256に準拠してアイゾット衝撃値を測定した。
【0036】
(6)色相
日本電色工業(株)製、Σ80TYPEIII、Z−II OPTICAL SENSORを用い、L値、a値およびb値を測定した。
明度L値:0暗← →明100
色度a値:−緑← →赤+
色度b値:−青← →黄+
a、b値が0に近いほど白い。ただし黄変だけを考えれば、b値の絶対値が小さいほどよい。
【0037】
実施例1
重量平均分子量2000のポリ(ε−カプロラクトン)ポリオール150重量部、トリメチロールプロパン2.3重量部、m−キシリレンジイソシアネート30重量部を混合し、80℃で2時間反応させた。この反応混合物100重量部に少量のジメチルホルムアミドを加え、さらに重量平均分子量16000のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール(ポリオキシエチレンセグメント含有量約80重量%、ポリオキシプロピレンセグメントの重量平均分子量3250)6重量部を含む水溶液75重量部を加え、激しく攪拌することにより、乳化分散物を得た。次いで、1重量%ヒドラジン水溶液20重量部を攪拌しながら加えて鎖延長し、さらに水で希釈することにより、固形分濃度30重量%のポリウレタンエマルジョンを得た。
【0038】
次に、有効成分換算で、ポリウレタンエマルジョン2.4重量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.4重量%、テトラエチレンペンタミンジステアレート0.03重量%、亜リン酸0.15重量%および保形剤としてのアミン変性エポキシ樹脂0.07重量%を含有するpH5.0のガラス繊維集束剤を調製した。
【0039】
このようにして得られた集束剤を、直径11μm(JIS R3420に準拠して測定)のEガラス繊維フィラメントの表面に、固形分換算で0.4重量%付着させ、1600本集束させてストランドとしたのち、このストランドを3mm長に切断し、120℃で8時間乾燥処理することにより、ガラスチョップドストランドを作製した。このガラスチョップドストランドの攪拌毛羽量の測定結果を表1に示す。
【0040】
次に、上記チョップドストランドを25重量%のガラス繊維含有量となるようにポリアセタール樹脂(ポリプラスチック社製、商品名:ジュラコンM90−31)と混合したのち、二軸押出機で溶融混練し、押出し、切断することによりコンパウンドペレットを得た。このコンパウンドペレットから発生するガス量の測定結果を表1に示す。
このようにして得られたコンパウンドペレットをインラインスクリュー型射出成形機を用いて、ASTM D638、D790に規定する試験片を作製し、その物性を測定した。結果を表1に示す。
【0041】
実施例2
実施例1において、m−キシリレンジイソシアネートの代わりに、イソホロンジイソシアネートを同じモル量用いた以外は、実施例1と同様な操作を行い、各特性を求めた。その結果を表1に示す。
【0042】
実施例3
4官能性エポキシ樹脂(三菱ガス化学社製、商品名:TETRAD−X)35重量部、アセトン3重量部および乳化剤(花王社製、商品名:エマルゲン915)2重量部を混合し、この混合液をホモミキサーで激しく攪拌しながら、水60重量部を少しずつ加え、固形分濃度35重量%の4官能性エポキシ樹脂エマルジョンを得た。
次に、実施例1において、ポリウレタンエマルジョンの代わりに、上記4官能性エポキシ樹脂エマルジョンを用いた以外は、実施例1と同様にしてガラス繊維集束剤を調製したのち、実施例1と同様な操作を行い、各特性を求めた。その結果を表1に示す。
【0043】
比較例1
有効成分換算で、実施例1で得られたポリウレタンエマルジョン1.2重量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン1.3重量%、テトラエチレンペンタミンジステアレート0.03重量%、酢酸0.7重量%およびアミン変性エポキシ樹脂0.07重量%を含有するpH5.0のガラス繊維集束剤を調製した。
この集束剤を用い、実施例1と同様な操作を行い、各特性を求めた。結果を表1に示す。
【0044】
比較例2
有効成分として、実施例1で得られたポリウレタンエマルジョン3.0重量%およびγ−アミノプロピルトリエトキシシラン1.0重量%を含有するpH10のガラス繊維集束剤を調製した。
この集束剤を用い、実施例1と同様な操作を行い、各特性を求めた。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004277364
【0046】
【発明の効果】
本発明のガラス繊維集束剤は、集束性に優れ、ポリアセタール樹脂に対し、高い補強効果をもたらすガラス繊維束を与えることができる。
本発明のガラス繊維束を用いたガラス繊維強化ポリアセタール樹脂は、優れた機械物性を有し、特に高強度や高弾性率を必要とする分野に好適に用いられる。

Claims (5)

  1. (A)被膜形成成分、(B)カップリング剤および(C)潤滑剤を少なくとも含むガラス繊維集束剤において、
    さらにpH調整剤として、ギ酸および酢酸を用いることなく、(D)亜リン酸を配合し、pHを3〜6.5の範囲に調整したこと、および
    (A)成分の被膜形成成分が、樹脂成分として少なくともポリウレタン系樹脂を含むものであり、該ポリウレタン系樹脂が、キシリレンジイソシアネートを主とするポリイソシアネート成分とラクトン系ポリエステルポリオールを主とするポリオール成分を用いて得られたものであること
    を特徴とするポリアセタール樹脂補強用ガラス繊維集束剤。
  2. (B)成分のカップリング剤がシラン系カップリング剤である請求項1に記載のガラス繊維集束剤。
  3. (C)成分の潤滑剤がカチオン系潤滑剤である請求項1または2に記載のガラス繊維集束剤。
  4. 複数のガラス繊維フィラメントにガラス繊維集束剤を付着させ、集束させてなるガラス繊維束において、該ガラス繊維集束剤として、請求項1ないしのいずれか1項に記載のガラス繊維集束剤を用いたことを特徴とするポリアセタール樹脂補強用ガラス繊維束。
  5. 複数のガラス繊維フィラメントに付着させるガラス繊維集束剤の量が、固形分換算で0.1〜1.0重量%である請求項に記載のガラス繊維束。
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