しかしながら、特許文献1では、継手本体を管部材に融着させるのみならず、各カバー部の鍔部分を管部材に融着させるようにしているので、2度の通電(融着)作業が必要であり、その作業に手間や時間がかかってしまう。つまり、作業性に難点がある。
一方、これを回避するために、各カバー部の鍔部分を管部材に融着させずに、第1カバー部と第2カバー部とを機械的な結合のみで継手本体に装着するようにすると、カバー部材自体が外部からの衝撃に対して非常に弱くなってしまい、各カバー部に脱落などの不具合が生じ易いので、配管接続構造を外部に露出するような環境では利用し難くなってしまう。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、被覆管路、その施工方法、およびカバーを提供することである。
この発明の他の目的は、外部に露出する環境にも好適に利用でき、しかも作業性に優れる、被覆管路、その施工方法、およびカバーを提供することである。
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
第1の発明は、継手本体および継手本体の外面に継手本体の径方向に突出して形成される端子部を含む電気融着継手を含み、合成樹脂からなる管部材の外周面を被覆層によって被覆した被覆管部材の管端部の被覆層を除去している管端部どうしを電気融着継手によって接続している、かつ端子部を除去してなる、被覆管路であって、一方の被覆管部材の被覆層から他方の被覆管部材の被覆層までの範囲を被覆した状態で固定されるカバーを備え、カバーは、筒形状をなし、継手本体の外面を被覆する第1被覆部を含み、第1被覆部は継手本体の外形よりも大きいが端子部を除去しない状態では継手本体の外面上に嵌め込めない大きさの内径を有し、さらに一端が第1被覆部の端部に設けられ、継手本体と被覆管部材との間に形成される段差に対応した筒形状を有する縮径部、および縮径部の他端に一体的に形成され、被覆管部材の外径よりも大きくかつ第1被覆部の内径より小さい内径の筒形状を有する小径部を含む、被覆管路である。
第1の発明では、被覆管路(10)は、被覆管部材(12)どうしを電気融着継手(14)によって接続して、一方の被覆管部材の被覆層(20)から他方の被覆管部材の被覆層までの範囲をカバー(16)で被覆することによって形成される。電気融着継手は、継手本体(24)および継手本体の外面に継手本体の径方向に突出して形成される端子部(32)を含む。そして、たとえば、被覆管部材の管端部の被覆層を除去してその管端部どうしを電気融着継手によって接続し、その後端子部を除去する。カバーは、円周方向に一体物として成形した筒状の第1被覆部(40)を含む。第1被覆部は、電気融着継手の外形よりも大きい内径の筒形状を有しており、電気融着継手の外面を被覆する。具体的には、第1被覆部は継手本体の外形よりも大きいが端子部を除去しない状態では継手本体の外面上に嵌め込めない大きさの内径を有する筒形状に形成される。また、たとえば、第1被覆部の軸方向の端部には、円周方向に一体物として成形した縮径部(42)および小径部(44)が設けられる。縮径部は、一端が第1被覆部の軸方向の端部に接するように設けられ、被覆管部材の外面と継手本体の外面との間に生じる段差(50)に対応した筒形状を有している。小径部は、縮径部の他端に一体的に形成され、縮径部から軸方向の外側に延びて、被覆管部材に残った被覆層の外面上に締め付け具(52)などによって固定される。
第1の発明によれば、円周方向に一体物として成形した筒状の各部によってカバーを構成するようにしているので、カバーの脱落などの不具合を回避することができる。したがって、被覆管路を外部に露出するような環境においても好適に利用することが可能である。
さらに、カバーの各部を組み合わせるなどした後、被覆管部材の被覆層の外面上に固定するだけの簡単な作業で、管路全体に耐候性を付与することができるので、作業性に優れる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、カバーは、一方の被覆管部材の被覆層から他方の被覆管部材の被覆層までの範囲を被覆する。
第2の発明では、カバー(16)の各部は、たとえば、被覆管部材(12)どうしを電気融着継手(14)によって接続する前には、被覆管部材の被覆層(20)の外面上に軸方向に移動可能に配置されている。そして、たとえば、被覆管部材どうしを電気融着継手によって接続した後で、カバー(16)の各部が電気融着継手の方向に移動されて、カバーが一方の被覆管部材の被覆層から他方の被覆管部材の被覆層までの範囲を被覆した状態で固定される。
第3の発明は、第1または2の発明に従属し、第1被覆部の両端部のそれぞれに縮径部が設けられ、そのうち少なくともいずれか一方の縮径部が第1被覆部と分離可能に設けられる。
第3の発明では、第1被覆部(40)の軸方向の各端部に縮径部(42)が設けられ、そのうちの一方または両方の縮径部が第1被覆部と互いに分離可能にされているので、カバー(16)の装着作業を容易に行うことができるようになる。
第4の発明は、第1ないし3のいずれかの発明に従属し、縮径部の一端は、第1被覆部の端部を受容する受口形状を有する。
第4の発明では、縮径部(42)は、第1被覆部(40)よりもやや大きい径の短円筒状に形成される短円筒部(46)を含み、カバー(16)の装着時には、この短円筒部の内部に第1被覆部の端部が受容される。
第4の発明によれば、カバーを簡単な形状に形成することができるので、その分だけ製造コストを低減させることができる。
第5の発明は、継手本体および継手本体の外面に継手本体の径方向に突出して形成される端子部を含む電気融着継手を含み、合成樹脂からなる管部材の外周面を被覆層によって被覆した被覆管部材の管端部の被覆層を除去している管端部どうしを電気融着継手によって接続している、かつ端子部を除去してなる、被覆管路であって、一方の被覆管部材の被覆層から他方の被覆管部材の被覆層までの範囲を被覆した状態で固定されるカバーを備え、カバーは、継手本体の外面を被覆する筒形状を有する第2被覆部を含み、第2被覆部は継手本体の外形よりも大きいが端子部を除去しない状態では継手本体の外面上に嵌め込めない大きさの内径を有し、第2被覆部は両端部の内面側に形成されたリング溝を有し、さらにリング溝の内部に配置され、第2被覆部の内面と各被覆管部材の被覆層との間の空間を塞ぐ閉塞部材を含み、閉塞部材は第2被覆部の端部外側からリング溝に嵌め込まれる、被覆管路である。
第5の発明では、被覆管路(10)は、被覆管部材(12)どうしを電気融着継手(14)によって接続して、一方の被覆管部材の被覆層(20)から他方の被覆管部材の被覆層までの範囲をカバー(16)で被覆することによって形成される。電気融着継手は、継手本体(24)および継手本体の外面に継手本体の径方向に突出して形成される端子部(32)を含む。そして、たとえば、被覆管部材の管端部の被覆層を除去してその管端部どうしを電気融着継手によって接続し、その後端子部を除去する。カバーは、電気融着継手の外面上に配置される第2被覆部(66)および2つの閉塞部材(64)含む。第2被覆部は、電気融着継手の外形よりも大きい内径の円筒形状を有しており、その両端部の内面側には、リング溝(68)が形成される。具体的には、第2被覆部は継手本体の外形よりも大きいが端子部を除去しない状態では継手本体の外面上に嵌め込めない大きさの内径を有する。また、閉塞部材は、たとえば、断面円形のCリングなどであり、第2被覆部のリング溝の内部に配置され、第2被覆部の端部外側からリング溝に嵌め込まれることによって、被覆管部材に残った被覆層の外面と第2被覆部の内面との間の隙間を塞ぐ。
第5の発明によれば、第1の発明と同様の効果を奏する。
第6の発明は、継手本体および継手本体の外面に継手本体の径方向に突出して形成される端子部を含む電気融着継手を含み、合成樹脂からなる管部材の外周面を被覆層によって被覆した被覆管部材の管端部の被覆層を除去している管端部どうしを電気融着継手によって接続してなる、被覆管路であって、一方の被覆管部材の被覆層から他方の被覆管部材の被覆層までの範囲を被覆した状態で固定されるカバーを備え、カバーは、継手本体の外面を被覆する筒形状部を含む第1被覆部を備え、筒形状部は継手本体の外形よりも大きいが端子部を除去しない状態では継手本体の外面上に嵌め込めない大きさの内径を有し、さらに第1被覆部は筒形状部の継手本体の周方向に一部において継手本体の軸方向に延びて形成される端子収容部を含み、さらに一端が第1被覆部の端部に設けられ、継手本体と被覆管部材との間に形成される段差に対応した筒形状部と第1被覆部の端子収容部に対応する端子収容部を有する縮径部、および縮径部の他端に一体的に形成され、被覆管部材の外径よりも大きくかつ第1被覆部の内径より小さい内径の筒形状を有する小径部を含む、被覆管路である。
第6の発明では、電気融着継手(14)の継手本体(24)の外面には、電熱線(28)と接続されている突起状の端子部(32)が形成される。一方、たとえば、カバー(16)の第1被覆部(40)には、端子収容部(82)が形成されている。たとえば、端子収容部は、第1被覆部の内面側を電気融着継手の端子部を収容可能な形状に窪ませたものであり、第1被覆部の軸方向の全長に亘って形成される。そして、カバーの移動時に、この端子収容部の内部に電気融着継手の端子部が挿通されて、そのまま端子部が端子収容部の内部に収容される。
第6の発明によれば、融着接合後に電気融着継手の端子部やインジケータなどを除去する必要がなくなるので、作業性のさらなる向上を実現することができる。
第7の発明は、第1ないし5のいずれかの発明の被覆管路の施工方法であって、(a)被覆管部材の接合に供する管端部の被覆層を除去するステップ、(b)被覆管部材の被覆層の外面上にカバーを軸方向に移動可能に配置するステップ、(c)ステップ(b)の後、ステップ(a)で被覆層を除去した被覆管部材の管端部どうしを電気融着継手によって融着接続するステップ、(d)ステップ(c)の後、ステップ(b)で被覆管部材の被覆層の外面上に配置したカバーを電気融着継手の方向に移動させて、カバーによって一方の被覆管部材の被覆層から他方の被覆管部材の被覆層までの範囲を被覆するステップ、および(e)ステップ(d)の後、被覆管部材の被覆層の外面上にカバーの小径部を締め付け具によって固定するステップを含む、施工方法である。
第7の発明では、ステップ(a)において、2つの被覆管部材(12)を準備し、各被覆管部材の接合に供する管端部の被覆層(20)を除去する。ステップ(b)において、被覆管部材の被覆層の外面上にカバー(16)を軸方向に移動可能に配置する。ステップ(c)において、被覆管部材の管端部を電気融着継手(14)の受口(26)に挿入して融着接続する。ステップ(d)において、被覆管部材どうしを融着接合した後、被覆管部材の被覆層の外面上に配置したカバーを電気融着継手の位置に移動させて、カバーによって一方の被覆管部材の被覆層から他方の被覆管部材の被覆層までの範囲を被覆する。ステップ(e)において、カバーの小径部(44)を締め付け具(52)によって被覆管部材の被覆層の外面上に固定する。
第8の発明は、第3または4の発明の被覆管路の施工方法であって、(a)被覆管部材の接合に供する管端部の被覆層を除去するステップ、(b)一方の被覆管部材の被覆層の外面上に、カバーの第1被覆部、ならびに一方の縮径部および小径部を軸方向に移動可能に配置するとともに、他方の被覆管部材の外面上に、カバーの他方の縮径部および小径部を軸方向に移動可能に配置するステップ、(c)ステップ(b)の後、ステップ(a)で被覆層を除去した被覆管部材の管端部どうしを電気融着継手によって融着接続するステップ、(d)ステップ(c)の後、ステップ(b)で一方の被覆管部材の外面上に配置した第1被覆部を、電気融着継手の位置に移動させるステップ、(e)第1被覆部に一方の縮径部および小径部ならびに他方の縮径部および小径部を組み合わせることにより、カバーによって一方の被覆管部材の被覆層から他方の被覆管部材の被覆層までの範囲を被覆するステップ、および(f)ステップ(e)の後、カバーの各小径部を被覆管部材の被覆層の外面上に締め付け具によって固定するステップを含む、施工方法である。
第8の発明では、ステップ(a)において、2つの被覆管部材(12)を準備し、各被覆管部材の接合に供する管端部の被覆層(20)を除去する。ステップ(b)において、一方の被覆管部材の外面上にカバー(16)の第1被覆部(40)、ならびに一方の縮径部(42)および小径部(44)を軸方向に移動可能に配置するとともに、他方の被覆管部材の外面上にカバーの他方の縮径部および小径部を軸方向に移動可能に配置する。ステップ(c)において、被覆管部材の管端部を電気融着継手(14)の受口(26)に挿入して融着接続する。ステップ(d)において、被覆管部材どうしを融着接合した後、一方の被覆管部材の外面上に配置した第1被覆部を電気融着継手の位置に移動させる。ステップ(e)において、第1被覆部に縮径部および小径部を組み合わせてカバーを構成し、そのカバーによって一方の被覆管部材の被覆層から他方の被覆管部材の被覆層までの範囲を被覆する。ステップ(f)において、カバーの小径部を締め付け具(52)によって各被覆管部材の被覆層の外面上に固定する。
第9の発明は、第1ないし6のいずれかの発明の被覆管路において、一方の被覆管部材の外層から他方の被覆管部材の外層までの範囲を被覆した状態で固定されるカバーである。
第9の発明では、カバー(16)は、被覆管部材(12)どうしを電気融着継手(14)によって接続した接続部の全体を覆うものであり、たとえば、電気融着継手の表面を被覆する第1被覆部(40)または第2被覆部(66)を備えている。第1被覆部の軸方向の両端部には、縮径部(42)が分離可能に設けられている。縮径部は、電気融着継手と被覆管部材との間に形成される段差(50)に対応した筒形状を有しており、その軸方向の外側の端には、小径部(40)が一体的に形成される。小径部は、各被覆管部材の被覆層の外面上に締め付け具(52)などによって固定される。
第10の発明は、継手本体および継手本体の外面に継手本体の径方向に突出して形成される端子部を含む電気融着継手を含み、合成樹脂からなる管部材の管端部どうしを電気融着継手によって接続している、かつ端子部を除去してなる、管路において、一方の管部材から他方の管部材までの範囲を被覆した状態で固定されるカバーであって、筒形状をなし、継手本体の外面を被覆する第1被覆部を含み、第1被覆部は継手本体の外形よりも大きいが端子部を除去しない状態では継手本体の外面上に嵌め込めない大きさの内径を有し、さらに第1被覆部の両端部にそれぞれ設けられ、継手本体と管部材との間に形成される段差に対応した筒形状を有する縮径部、および縮径部と一体的に形成され、管部材の外径よりも大きくかつ第1被覆部の内径より小さい内径の筒形状を有する小径部を備え、少なくともいずれか一方の縮径部が第1被覆部と分離可能に設けられた、カバーである。
第10の発明では、カバー(16)は、管部材どうしを管継手によって接続した配管において、一方の管部材から他方の管部材までの範囲を被覆するものであり、円周方向に一体物として成形した筒状の第1被覆部(40)を備えている。第1被覆部は、管継手の外形よりも大きい内径の筒形状を有しており、管継手の外面を被覆する。また、第1被覆部の軸方向の両端部には、円周方向に一体物として成形した縮径部(42)および小径部(44)がそれぞれ設けられる。縮径部は、一端が第1被覆部の軸方向の端部に接するように設けられ、管部材と管継手との間に生じる段差に対応した筒形状を有しており、一方または両方の縮径部が、第1被覆部と互いに分離可能にされている。小径部は、縮径部の他端に一体的に形成され、縮径部から軸方向の外側に延びて、管部材の外面上にたとえば締め付け具(52)などによって固定される。
第10の発明によれば、円周方向に一体物として成形した筒状の各部によってカバーを構成するようにしているので、カバーの脱落などの不具合を回避することができる。
さらに、カバーの各部を組み合わせるなどした後、管部材の外面上に固定するだけの簡単な作業で、配管の接続部の凍結や結露を防止したり、その接続部の断熱保温を行うことができるので、作業性に優れる。
第11の発明は、継手本体および継手本体の外面に継手本体の径方向に突出して形成される端子部を含む電気融着継手を含み、管部材の管端部どうしを電気融着継手によって接続している、かつ端子部を除去してなる、管路において、一方の管部材から他方の管部材までの範囲を被覆した状態で固定されるカバーであって、継手本体の外面を被覆する筒形状を有する第2被覆部を含み、第2被覆部は継手本体の外形よりも大きいが端子部を除去しない状態では継手本体の外面上に嵌め込めない大きさの内径を有し、第2被覆部は両端部の内面側に形成されたリング溝を有し、さらにリング溝の内部に配置され、第2被覆部の内面と各管部材の外面との間の空間を塞ぐ閉塞部材を備える、カバーである。
第11の発明では、カバー(16)は、管部材どうしを管継手によって接続した配管において、一方の管部材から他方の管部材までの範囲を被覆するものであり、管継手の外面上に配置される第2被覆部(66)と2つの閉塞部材(64)とを備えている。第2被覆部は、管継手の外形よりも大きい内径の円筒形状を有しており、その両端部の内面側には、リング溝(68)が形成される。また、閉塞部材は、たとえば、断面円形のCリングなどであり、第2被覆部のリング溝の内部に配置され、第2被覆部の内面と管部材の外面との間の隙間を塞ぐ。
第11の発明によれば、第10の発明と同様の効果を奏する。
この発明によれば、円周方向に一体物として成形した筒状の各部によってカバーを構成するようにしているので、カバーの脱落などの不具合を回避することができる。
さらに、カバーの各部を組み合わせるなどした後、管部材の外面上に固定するだけの簡単な作業で、管路全体に耐候性を付与したり、配管の接続部の凍結や結露を防止したり、その接続部の断熱保温を行うことができるので、作業性に優れる。
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1を参照して、この発明の一実施例である被覆管路10は、被覆ポリエチレン管12どうしを電気融着継手14によって接続し、その接続部の全体をカバー16によって被覆することによって形成される。
先ず、被覆ポリエチレン管12ならびに電気融着継手14の概要について説明をする。
被覆ポリエチレン管12は、図2(a)に示すように、内管18、およびこの内管18の外周面を被覆する被覆層20を含む、ガスや水道のための導管である。
内管18は、所定長さ(たとえば5m等)の定尺管であり、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂によって形成され、所定の口径および厚みに設定される。被覆層20は、たとえば低密度ポリエチレン等からなり、内管18の紫外線等による劣化を防止するために、耐候性が付与されている。被覆層20は、内管18の外周面全体に亘って設けられてこれを被覆しており、その厚みは、たとえば1.5mmである。なお、被覆層20は、層を重ね合わせた複数層で構成されていてもよい。そして、図2(b)に示すように、電気融着継手14と融着接合するときに、接合に供する管端部の被覆層20を除去することで、良好な接合のための融着面22を得ることができる。
このような被覆ポリエチレン管12は、従来公知の方法によって製造することができるので、その製造方法の詳細な説明は省略する。簡単に言えば、先に単独で押出された内管18に対して、さらに被覆層20を共押出して内管18の外周面を被覆することによって製造される。
また、電気融着継手14は、2つの被覆ポリエチレン管12を直線状に接続するためのものであり、ポリエチレン等のポリオレフィン系合成樹脂によって形成されるソケット型の継手本体24を含む。
図3(a)および(b)に示すように、継手本体24は、たとえば円筒状に形成される。継手本体24の両端開口部は、被覆ポリエチレン管12の管端部を受容する受口26となり、その内面には、電熱線28が埋め込まれている。受口26の内径は、たとえば126mmである。そして、継手本体24の内面における電熱線28より奥側、すなわち継手本体24の中央部内面には、被覆ポリエチレン管12の管端部を止めるストッパ30が形成されている。
継手本体24の外面に形成されている突起は、電熱線28と接続している端子部32であり、この端子部32よりも中央側には、受口26の内面と被覆ポリエチレン管12の融着面22とが融着したことを示すためのインジケータ34が形成されている。インジケータ34は、電熱線28によって溶融された樹脂の圧力が自身の根元に作用することによって上昇し、受口26の内面と被覆ポリエチレン管12の融着面22とを正しく融着できていることの目安にされる。
たとえば、受口26の内面と被覆ポリエチレン管12の融着面22とを融着させるときは、被覆ポリエチレン管12の管端部を継手本体24の受口26にストッパ30に当接するまで挿入し、その後、コントローラから端子部32を介して電熱線28に通電する。
次に、図1、図4および図5を参照して、カバー16の概要について説明をする。
カバー16は、被覆ポリエチレン管12と電気融着継手14との接続部の紫外線等による劣化を防止するものであって、その接続部の全体、つまり一方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20から他方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20までの範囲を被覆する。カバー16は、低密度ポリエチレンなどの合成樹脂からなり、互いに分離可能な本体カバー36および2つの端部カバー38を組み合わせることによって形成される。
本体カバー36は、筒状(スリーブ状)の第1被覆部40からなり、押出成形などによって一体物として成形される。第1被覆部40は、電気融着継手14の外形よりも大きい内径の円筒形状を有しており、カバー16の装着時には、電気融着継手14の外面上に配置されて、電気融着継手14の外面を被覆する被覆層を形成する。
詳細は後に説明するように、この実施例では、被覆ポリエチレン管12どうしを融着接合した後で、電気融着継手14の端子部32を取り除く(除去する)ようにしているので、電気融着継手14の外形は継手本体24の外形とほぼ等しい形状となり、第1被覆部40の内径も、電気融着継手14の継手本体24の外径と等しいかそれよりもやや大きい寸法に設定される。第1被覆部40の内径は、たとえば160mmである。また、第1被覆部40の軸方向の長さは、電気融着継手14の軸方向長さと等しいかそれよりも大きい寸法に設定され、たとえば160mmであり、その厚みは、たとえば1.5mmである。
また、端部カバー38は、筒状(スリーブ状)の縮径部42および小径部44からなり、射出成形などによって一体物として成形される。端部カバー38は、本体カバー36の軸方向の両端部のそれぞれに設けられ、カバー16の装着時には、本体カバー36と被覆ポリエチレン管12に残った被覆層20との間にできる隙間を被覆する被覆層を形成する。
縮径部42は、その一端が第1被覆部40(の軸方向)の端部に接するように設けられる。縮径部42は、電気融着継手14の受口26が被覆ポリエチレン管12の管端を受容したときに被覆ポリエチレン管12の外面と電気融着継手14の継手本体24の外面との間に生じる段差50に対応した筒形状を有している。
たとえば、この実施例では、縮径部42は、短円筒部46を含み、受口構造を有している。短円筒部46は、本体カバー36の第1被覆部40よりもやや大きい径の短円筒状に形成され、この短円筒部46の内部に第1被覆部40の端部が受容される。また、短円筒部46の軸方向外側の端には、電気融着継手14の受口16の開口端を被覆するドーナツ板部48が一体的に形成される。ドーナツ板部48は、中央部に開口を有するドーナツ板状に形成され、短円筒部46から下り段差状に径方向内側に突き出すようにされる。ドーナツ板部48は、短円筒部46の内部に第1被覆部40の端部を受容したときに、第1被覆部40の端部のストッパとしても機能する。
さらに、縮径部42の他端、つまりドーナツ板部48の内周縁には、小径部44が一体的に形成される。小径部44は、被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外径よりも大きくかつ第1被覆部40の内径より小さい内径の短円筒状に形成され、縮径部42から軸方向の外側に延びて、電気融着継手14よりも外側に露出した被覆ポリエチレン管12の融着面22などを被覆する。そして、カバー16の装着時には、詳細は後述するように、被覆ポリエチレン管12に残った被覆層20の外面上に、番線や締め付けバンド等の締め付け具52によって固定される。たとえば、小径部44の内径は、130mmである。また、小径部44の軸方向の長さは、たとえば20mmであり、その厚みは、たとえば1.5mmである。
図1および図6を参照して、このような被覆管路10を構成する方法を以下に示す。
先ず、2つの被覆ポリエチレン管12を準備する。そして、カッターナイフや被覆層除去用の専用工具(図示せず)等を用いて、被覆ポリエチレン管12の被覆層20の表面に切込みを入れ、その部分から被覆層20を引き裂いて剥ぎ取り(除去し)、被覆ポリエチレン管12の管端部に融着面22を得る(図2(b)参照)。
それから、専用工具を用いて融着面22のスクレープ(切削)作業を行う。スクレープ作業は、被覆ポリエチレン管12表面の紫外線劣化はないと考えられるものの、融着性能をより確実にするために必要となる。そしてさらに、融着面22の清掃作業を行い、その後、図6(a)に示すように、一方の被覆ポリエチレン管12の外面上に本体カバー36および端部カバー38を軸方向に移動可能に配置するとともに、他方の被覆ポリエチレン管12の外面上に端部カバー38を軸方向に移動可能に配置する。具体的には、本体カバー36ないし端部カバー38の内部の開口に被覆ポリエチレン管12を挿通させる。
ただし、カバー16の各部分を被覆ポリエチレン管12の外面上に配置した後で、被覆ポリエチレン管12の管端部の被覆層20を除去するようにしてもよい。
次に、電気融着継手14の受口26に各被覆ポリエチレン管12の管端部(融着面22)をそれぞれ挿入する。続いて、図示しないコントローラの電源ケーブルを電源に接続し、電源のスイッチを入れて起動して、コントローラから延びる出力ケーブルの接続端子を電気融着継手14の端子部32に接続する。
そして、電熱線28に電流を流すと熱が発生するので、この熱によって受口26の内面と被覆ポリエチレン管12の融着面22とを溶融して電気融着接合を行う。このとき、受口26の内面と被覆ポリエチレン管12の融着面22とが正しく融着されることにより、継手本体24のインジケータ34が左右とも隆起する。
通電後、融着面が冷却固化すると、図6(b)に示すように、電気融着継手14の端子部32(やインジケータ34)をカッターなどで除去する。
続いて、被覆ポリエチレン管12と電気融着継手14との接続部にカバー16を装着する。
具体的には、先ず、被覆ポリエチレン管12の外面上に配置していた本体カバー36を電気融着継手14の継手本体24の位置に(その方向に向けて)移動させて、本体カバー36の第1被覆部40によって電気融着継手14の外面を被覆する。
それから、電気融着継手14の位置に移動させた本体カバー36の両端部のそれぞれに端部カバー38を組み合わせる。すなわち、本体カバー36の第1被覆部40の両端部をそれぞれ端部カバー38の縮径部42の短円筒部46の内部に差し込んで、本体カバー36と各端部カバー38とを接合し、端部カバー38によって本体カバー36と被覆ポリエチレン管12に残った被覆層20との間にできる隙間を被覆する。
最後に、各端部カバー38の小径部44を番線や締め付けバンド等の締め付け具52によって被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外面上に固定する。こうすることによって、一方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20から他方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20までの範囲を被覆した状態でカバー16を固定し、作業を終了する。
以上のように、この実施例では、被覆ポリエチレン管12どうしを電気融着継手14によって融着接合した後で、電気融着継手14の外面を本体カバー36(第1被覆部40)によって被覆するとともに、その本体カバー36の端部に端部カバー38(縮径部42、小径部44)を取り付けて、端部カバー38によって本体カバー36から被覆ポリエチレン管12に残った被覆層20までの範囲を被覆するようにしている。
こうすることにより、電気融着継手14の外面のみならず、電気融着継手14の外面と被覆ポリエチレン管12の外面との間に生じる段差50や被覆ポリエチレン管12の融着面22などが外部に露出することがなくなるので、被覆管路10全体に耐候性を付与することが可能である。
そして、この実施例によれば、円周方向に一体物として成形された筒状の各部(第1被覆部40、縮径部42、小径部44)を組み合わせてカバー16を構成するようにしているので、カバー16が外部からの衝撃に対して非常に強く、カバー16の脱落などの不具合を回避することができる。したがって、カバー16の脱落などによる耐候性の劣化の可能性を抑制することができ、被覆管路10を外部に露出するような環境においても好適に利用することが可能である。
さらに、本体カバー36を電気融着継手14の位置に配置するとともに、本体カバー36の両端部に端部カバー38を取り付けて、その端部カバー38を被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外面上に締め付け具52によって固定するだけの簡単な作業で、被覆管路10全体に耐候性を付与することができるので、特許文献1のように、施工現場で各カバー部の鍔部分を管部材に融着させるための通電(融着)作業などを行う必要がない。したがって、作業性に優れる。
また、この実施例では、端部カバー38の縮径部42の受口に本体カバー36の第1被覆部40の端部を差し込むだけの簡単な嵌め合い構造で、本体カバー36および端部カバー38を組み合わせるようにしているので、本体カバー36および端部カバー38を簡単な形状に形成することができ、その分だけカバー16の製造コストを低減させることができる。
さらにまた、この実施例では、本体カバー36と端部カバー38(の縮径部42)とが、互いに分離可能に構成されている。このため、上述した施工方法のように、本体カバー36および端部カバー38の内部に一方の被覆ポリエチレン管12を挿通させておくとともに、端部カバー38を他方の被覆ポリエチレン管12に挿通させておけば、被覆ポリエチレン管12どうしを電気融着継手14によって接合した後に、一方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20から他方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20までの範囲を被覆するカバー16を簡単に構成することができる。つまり、カバー16の装着作業を容易に行うことができるようになる。
なお、上述の実施例では、1つの本体カバー36(第1被覆部40)と、2つの端部カバー38(縮径部42、小径部44)とを組み合わせることによってカバー16を構成したが、これに限定される必要はない。
図7に示すこの発明の他の一実施例である被覆管路10では、図1に示す実施例と異なり、1つの本体カバー54と1つの端部カバー56とを組み合わせることによって、カバー16が構成される。以下、先の実施例と同様の部分については、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
図8および9に示すように、カバー16は、低密度ポリエチレンなどの合成樹脂からなり、互いに分離可能な本体カバー54および1つの端部カバー56を組み合わせることによって形成される。
本体カバー54は、筒状(スリーブ状)の第1被覆部40、縮径部42および小径部44からなり、射出成形などによって一体物として成形される。第1被覆部40は、電気融着継手14の外形よりも大きい内径の円筒形状を有しており、その軸方向の一端には、縮径部42が一体的に形成される。縮径部42は、電気融着継手14の受口16の開口端を被覆するドーナツ板部48を含み、被覆ポリエチレン管12の外面と電気融着継手14の継手本体24の外面との間に生じる段差50に対応した筒形状を有している。ドーナツ板部48は、中央部に開口を有するドーナツ板状に形成され、その内周縁には、小径部44が一体的に形成される。小径部44は、被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外径よりも大きくかつ第1被覆部40の内径より小さい内径の短円筒状に形成され、縮径部42のドーナツ板部48の内周縁から軸方向の外側、つまり縮径部42とは反対側に延出する。
また、端部カバー56は、筒状(スリーブ状)の縮径部42および小径部44からなり、射出成形などによって一体物として成形される。縮径部42は、短円筒部46およびーナツ板部48を含み、被覆ポリエチレン管12の外面と電気融着継手14の継手本体24の外面との間に生じる段差50に対応した筒形状を有している。縮径部42の短円筒部46は、本体カバー36の第1被覆部40よりもやや大きい径の短円筒状に形成され、この短円筒部46の内部に第1被覆部40の端部が受容される。ドーナツ板部48は、短円筒部46の軸方向外側の端に形成され、中央部に開口を有するドーナツ板形状を有している。小径部44は、被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外径よりも大きくかつ第1被覆部40の内径より小さい内径の短円筒状に形成され、ドーナツ板部48の内周縁から軸方向の外側、つまり縮径部42とは反対側に延出する。
図7および図10を参照して、このような被覆管路10を構成する方法を以下に示す。
先ず、2つの被覆ポリエチレン管12を準備する。それから、各被覆ポリエチレン管12の接合に供する管端部の被覆層20を除去して、各被覆ポリエチレン管12の管端部に融着面22を得て、融着面22のスクレープ作業を行うとともに、図10(a)に示すように、一方の被覆ポリエチレン管12の外面上に本体カバー54を軸方向に移動可能に配置し、かつ他方の被覆ポリエチレン管12の外面上に端部カバー56を軸方向に移動可能に配置する。
次に、電気融着継手14の受口26に各被覆ポリエチレン管12の管端部(融着面22)をそれぞれ挿入し、受口26の内面と被覆ポリエチレン管12の融着面22とを溶融して電気融着接合を行う。
通電後、融着面が冷却固化すると、図10(b)に示すように、電気融着継手14の端子部32等をカッターなどで除去し、それから、被覆ポリエチレン管12と電気融着継手14との接続部にカバー16を装着する。
具体的には、被覆ポリエチレン管12の外面上に配置していた本体カバー54を電気融着継手14の位置に移動させ、上述と同じ要領で、その本体カバー54の端部に端部カバー56を組み合わせて、カバー16を構成する。
最後に、本体カバー54の小径部44を締め付け具52によって被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外面上に固定し、かつ端部カバー56の小径部44を締め付け具52によって被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外面上に固定することによって、一方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20から他方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20までの範囲を被覆した状態でカバー16を固定し、作業を終了する。
この実施例においても、図1の実施例と同様に、円周方向に一体物として成形された筒状の各部(第1被覆部40、縮径部42、小径部44)を組み合わせてカバー16を構成するようにしているので、カバー16が外部からの衝撃に対して非常に強く、カバー16の脱落などの不具合を回避することができる。したがって、被覆管路10を外部に露出するような環境においても好適に利用することが可能である。
さらに、本体カバー36を電気融着継手14の位置に配置するとともに、本体カバー36の端部に一方の端部カバー38を取り付けて、本体カバー36および端部カバー38を被覆層20の外面上に締め付け具52によって固定するだけの簡単な作業で、被覆管路10全体に耐候性を付与することができるので、作業性に優れる。
さらに、上述の実施例では、本体カバー36,54と端部カバー38,56とを組み合わせることによってカバー16を構成したが、これに限定される必要はない。
たとえば、図11に示すこの発明のさらに他の一実施例である被覆管路10では、図1および図7に示す実施例と異なり、カバー16が1つの本体カバー58のみで構成される。以下、先の実施例と同様の部分については、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
図11に示すように、カバー16(本体カバー58)は、筒状(スリーブ状)の第1被覆部40、縮径部42、および小径部44からなり、射出成形などによって一体物として成形される。第1被覆部40の軸方向の一端には、縮径部42が一体的に形成される。縮径部42は、電気融着継手14の受口16の開口端を被覆するドーナツ板部48を含み、そのドーナツ板部48の内周縁には、小径部44が一体的に形成される。小径部44は、ドーナツ板部48から軸方向の外側、つまり第1被覆部40とは反対側に延出する。
また、第1被覆部40の他端は、軸方向外側に延出しており、そこに延出部60を有している。延出部60は、本体カバー58と被覆ポリエチレン管12に残った被覆層20との間にできる隙間を上方から被覆するものであって、この隙間から電気融着継手14の外面と被覆ポリエチレン管12の外面との間に生じる段差50や被覆ポリエチレン管12の融着面22などへの紫外線等の照射を防止できるように、所定の軸方向長さを有している。延出部60の所定の軸方向長さは、被覆管路10を利用する環境に応じて適宜設定される。
図11を参照して、このような被覆管路10を構成する方法を以下に示す。
先ず、2つの被覆ポリエチレン管12を準備する。それから、各被覆ポリエチレン管12の接合に供する管端部の被覆層20を除去して、各被覆ポリエチレン管12の管端部に融着面22を得て、融着面22のスクレープ作業を行うとともに、一方の被覆ポリエチレン管12の外面上にカバー16(本体カバー58)を軸方向に移動可能に配置する。
次に、電気融着継手14の受口26に各被覆ポリエチレン管12の管端部(融着面22)をそれぞれ挿入して、受口26の内面と被覆ポリエチレン管12の融着面22とを溶融して電気融着接合を行い、通電後、融着面が冷却固化すると、電気融着継手14の端子部32等をカッターなどで除去し、それから、被覆ポリエチレン管12と電気融着継手14との接続部にカバー16を装着する。
具体的には、本体カバー58を電気融着継手14の位置に移動させ、本体カバー58の縮径部42が電気融着継手14の外面と被覆ポリエチレン管12の外面との間に生じる段差50に近接するように配置する。
それから、本体カバー58の小径部44を締め付け具52によって被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外面上に固定することによって、一方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20から他方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20までの範囲を被覆した状態でカバー16を固定し、作業を終了する。
この実施例では、カバー16が円周方向に一体物として成形した筒状(スリーブ状)の本体カバー58のみによって形成されているので、カバー16が外部からの衝撃に対して非常に強く、カバー16の脱落などの不具合を回避することができる。したがって、被覆管路10を外部に露出するような環境においても好適に利用することが可能である。
さらに、本体カバー36を電気融着継手14の位置に配置し、その本体カバー36を被覆層20の外面上に締め付け具52によって固定するだけの簡単な作業で、被覆管路10全体に耐候性を付与することができるので、作業性に優れる。
さらにまた、上述の実施例では、端部カバー38,56の縮径部42の受口に本体カバー36,54の第1被覆部40の端部を差し込んだむだけの簡単な嵌め合い構造で、本体カバー36,54と端部カバー38,56とを組み合わせるとともに、小径部44を締め付け具52によって被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外面上に固定するようにしたが、これに限定される必要はない。本体カバー36と端部カバー38とを固定的に組み合わせる固定手段を設けて、カバー16をその位置に(つまり、一方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20から他方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20までの範囲を被覆した状態で)固定するようにしてもよい。以下、図1の実施例で利用したカバー16に固定手段を設けた実施例について説明するが、他の実施例で利用したカバー16に固定手段を設けるようにしてもよい。
固定手段の一例として、図12(a)に示すように、第1被覆部40の軸方向端部の外面に第1ねじ部62を形成するとともに、縮径部42の短円筒部46の内面に第2ねじ部64を形成し、図12(b)に示すように、第1被覆部40の第1ねじ部62と縮径部42の第2ねじ部64とを螺合させることによって、本体カバー36と端部カバー38とを固定的に組み合わせるようにしてもよい。
また、固定手段の他の一例として、図13(a)に示すように、第1被覆部40の軸方向端部の外面に周方向の全周に亘って窪み状の第1嵌合部66を形成するとともに、縮径部42の短円筒部46の内面に周方向の全周に亘って突起状の第2嵌合部68を形成し、図13(b)に示すように、第1被覆部40の第1嵌合部66と縮径部42の第2嵌合部68とを嵌合させることによって、本体カバー36と端部カバー38とを固定的に組み合わせるようにしてもよい。ただし、必ずしも第1嵌合部66ならびに第2嵌合部68は周方向の全周に亘って形成する必要はなく、周方向の一部にのみ形成するようにしてもよいし、第1被覆部40の外面に突起状の第1嵌合部を形成するとともに、縮径部42の内面に窪み状の第2嵌合部を形成するようにしてもよい。
図12および図13の実施例によれば、固定手段によって端部カバー38が本体カバー36から離脱することがなくなるので、被覆管路10により確実に耐候性を付与することが可能である。さらに、本体カバー36の電気融着継手14の位置からの移動(ずれ)を端部カバー38の縮径部42によって規制することができるようになるので、本体カバー36を被覆層20の外面上に締め付け具52によって固定する作業を省略することも可能になる。
さらに、図14に示すこの発明のさらに他の一実施例である被覆管路10は、図1や図7に示す実施例と異なり、1つの本体カバー70と2つの閉塞部材72とを組み合わせることによって、カバー16が構成される。以下、先の実施例と同様の部分については、同じ参照番号を用い、その説明を省略或いは簡略化する。
図14に示すように、カバー16は、低密度ポリエチレンなどの合成樹脂からなり、互いに分離可能な本体カバー70および2つの閉塞部材72を組み合わせることによって形成される。
図14および図15に示すように、本体カバー70は、筒状(スリーブ状)の第2被覆部74からなり、射出成形などによって一体物として成形される。第2被覆部74は、電気融着継手14の外形よりも大きい内径の円筒形状を有しており、カバー16の装着時には、電気融着継手14の外面上に配置されて、一方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20から他方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20までの範囲を被覆する被覆層を形成する。つまり、第2被覆部74は、一方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20から他方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20までの範囲を被覆できるように、所定の軸方向長さを有しており、その長さは、たとえば200mmである。
第2被覆部74の両端部の内面側には、上述した閉塞部材72を嵌め込むためのリング溝76が形成される。リング溝76は、第2被覆部74の内面側を周方向の全長に亘って環状に窪ませることによって形成され、閉塞部材72の外形に沿った形状を有している。
また、閉塞部材72は、図16に示すように、低密度ポリエチレンなどの合成樹脂を材料とする断面円形のCリング(本体)78からなり、この本体78が第2被覆部74のリング溝76の内部に嵌め込まれる。閉塞部材72の本体78は、その形状特性により、径方向において外側から内側に向かって外力を与えると縮径し、リング溝76に嵌め込んだ縮径時(閉塞部材72の周方向の端部どうしを当接させた時)に、内径が被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外径とほぼ等しくなるようにされて、第2被覆部74の内面と被覆ポリエチレン管12の被覆層20との間の隙間を塞ぐとともに、その摩擦力によって本体カバー70(第2被覆部74)の位置を保持する(つまり、カバー16を被覆ポリエチレン管12の被覆層20に固定する)。また、本体78の径寸法は、拡径時(縮径させていない通常時)に、内径が被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外径よりもやや大きくなるように設定されている。
図14および図16を参照して、このような被覆管路10を構成する方法を以下に示す。
先ず、2つの被覆ポリエチレン管12を準備する。それから、各被覆ポリエチレン管12の接合に供する管端部の被覆層20を除去して、各被覆ポリエチレン管12の管端部に融着面22を得て、融着面22のスクレープ作業を行うとともに、図17(a)に示すように、一方の被覆ポリエチレン管12の外面上に本体カバー70および1つの閉塞部材72を軸方向に移動可能に配置し、かつ他方の被覆ポリエチレン管12の外面上に1つの閉塞部材72を軸方向に移動可能に配置する。
次に、電気融着継手14の受口26に各被覆ポリエチレン管12の管端部(融着面22)をそれぞれ挿入し、受口26の内面と被覆ポリエチレン管12の融着面22とを溶融して電気融着接合を行う。通電後、融着面が冷却固化すると、図17(b)に示すように、電気融着継手14の端子部32等をカッターなどで除去し、それから、被覆ポリエチレン管12と電気融着継手14との接続部にカバー16を装着する。具体的には、被覆ポリエチレン管12の外面上に配置していた本体カバー70を電気融着継手14の位置に移動させるとともに、閉塞部材72の本体78を縮径させて本体カバー70のリング溝76に嵌め込んで、本体カバー70の第2被覆部74の内面と被覆ポリエチレン管12の被覆層20との間の隙間を塞ぐことによって、一方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20から他方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20までの範囲を被覆した状態でカバー16を固定し、作業を終了する。
このように、この実施例では、被覆ポリエチレン管12どうしを電気融着継手14によって融着接合した後で、一方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20から他方の被覆ポリエチレン管12の被覆層20までの範囲を本体カバー70(第2被覆部74)によって被覆するとともに、その本体カバー70のリング溝76に閉塞部材72を嵌め込んで、本体カバー70の内面と被覆ポリエチレン管12の被覆層20との間の隙間を塞ぐようにしている。
こうすることにより、電気融着継手14の外面のみならず、電気融着継手14の外面と被覆ポリエチレン管12の外面との間に生じる段差50や被覆ポリエチレン管12の融着面22などが外部に露出することがなくなるので、被覆管路10全体に耐候性を付与することが可能である。
さらに、この実施例においても、カバー16が円周方向に一体物として成形した筒状(スリーブ状)の本体カバー58とその内部に嵌め込む閉塞部材72とによって構成されていることにより、カバー16が外部からの衝撃に対して非常に強く、カバー16の脱落などの不具合を回避することができる。したがって、被覆管路10を外部に露出するような環境においても好適に利用することが可能である。
さらに、本体カバー36を電気融着継手14の位置に配置して、その本体カバー70の内部に閉塞部材72を嵌め込むだけの簡単な作業で、被覆管路10全体に耐候性を付与することができるので、作業性に優れる。
なお、この実施例では、閉塞部材72の本体78を断面円形のCリング状に形成したが、これに限定される必要はなく、Oリング状に形成するようにしてもよいし、ドーナツ板状に形成するようにしてもよい。閉塞部材72の本体78の形状は、この発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更可能である。
一例を挙げると、図18(a)に示すように、閉塞部材72の本体78を被覆ポリエチレン管12の被覆層20の外径と等しいまたはほぼ等しい内径の短円筒状に形成し、その本体78の外面に本体カバー70のリング溝76に嵌まる嵌合部80を形成するようにしてもよい。この場合には、図18(b)に示すように、被覆ポリエチレン管12と電気融着継手14との接続部にカバー16を装着する時に、被覆ポリエチレン管12の外面上に配置していた本体カバー70を電気融着継手14の位置に移動させるとともに、閉塞部材72の本体78を本体カバー70の内部に挿入し、嵌合部80をリング溝76に嵌め込むことによって、本体カバー70の第2被覆部74の内面と被覆ポリエチレン管12の被覆層20との間の隙間を塞ぐ。
また、上述の各実施例ではいずれも、直管である被覆ポリエチレン管12どうしを電気融着継手14によって接続した接続部をカバー16で被覆することによって被覆管路10を形成したが、これに限定される必要はなく、被覆ポリエチレン管12は曲管であってもよい。
さらに、必ずしも被覆ポリエチレン管12どうしを電気融着継手14によって接続する必要もない。ポリオレフィン系合成樹脂からなる管部材の外周面を被覆層によって被覆した被覆管部材どうしを電気融着継手14によって接続するのであれば、被覆管部材として被覆ポリエチレン管12以外のものを利用するようにしてもよい。
すなわち、電気融着継手14によって被覆ポリエチレン管12どうしを接続するのみならず、電気融着継手14によって被覆ポリエチレン管12とそれ以外の被覆管部材とを接続するようにしてもよいし、電気融着継手14によって被覆ポリエチレン管12以外の被覆管部材どうしを接続するようにしてもよい。
被覆ポリエチレン管12以外の被覆管部材の一例を挙げると、図示は省略するが、一方が被覆層20が設けられた短管で他方がフランジであるフランジ短管の短管部分を被覆管部材として利用するようにしてもよいし、ベンド型、レデューサ型、チーズ型またはエルボ型等のような他のタイプの継手の直管部分(挿口部分)を被覆管部材として利用するようにしてもよい。
さらにまた、上述の各実施例ではいずれも、被覆ポリエチレン管12どうしを電気融着継手14によって融着接合させた後、電気融着継手14の端子部32等をカッターなどで除去して、被覆ポリエチレン管12の外面上に配置していた本体カバー36,54,58,62を電気融着継手14の位置に移動させるようにしたが、これに限定される必要はない。
たとえば、図19に示すこの発明のさらに他の一実施例である被覆管路10のように、カバー16に電気融着継手14の端子部32を収容する端子収容部82を形成しておき、カバー16の装着時に端子収容部82の内部に電気融着継手14の端子部32を挿通させて、そのまま端子収容部82の内部に端子部32を収容するようにしてもよい。以下には、図1の実施例で利用したカバー16に端子収容部82を形成した実施例について説明するが、他の実施例で利用したカバー16に端子収容部82を形成するようにしてもよい。
図19および図20に示すように、カバー16は、互いに分離可能な本体カバー36および2つの端部カバー38を組み合わせることによって形成される。本体カバー36の第1被覆部40の周方向の一部分には、端子収容部82が形成される。端子収容部82は、第1被覆部40の内面側を電気融着継手14の端子部32を収容可能な形状に窪ませたものであり、第1被覆部40の軸方向の全長に亘って形成される。
また、各端部カバー38の縮径部42の短円筒部46には、第1被覆部40の端子収容部82の形状に合わせて、端子収容部82の端部を受容可能な形状の受容部84が形成される。そして、本体カバー36と端部カバー38とを組み合わせるために本体カバー36の第1被覆部40の端部を端部カバー38の短円筒部46に差し込んだ時に、この受容部84に端子収容部82の端部が受容される。
図19に示す実施例によれば、被覆ポリエチレン管12どうしを電気融着継手14によって融着接合した後、本体カバー36を電気融着継手14の位置に移動させる時に、端子収容部82の内部に電気融着継手14の端子部32を挿通させて、そのまま端子収容部82の内部に端子部32を収容することが可能である。したがって、電気融着継手14の端子部32やインジケータ34などを除去する必要がなくなるので、作業性のさらなる向上を実現することができる。
なお、上の説明ではいずれも、被覆ポリエチレン管12と電気融着継手14との接続部をカバー16で被覆することによって被覆管路10を構成しているが、被覆管路10はそのような継手構造を複数含むものであってよいことは言うまでもない。
また、上の説明ではいずれも、カバー16は、被覆ポリエチレン管(被覆管部材)12どうしを電気融着継手14によって接続した被覆管路10の接続部を被覆して、その接続部の損傷や紫外線劣化を防止するために用いられたが、これに限定される必要はない。このカバー16をそのまま、寒冷地における配管の接続部の凍結防止などの用途や、建物内の給水配管の接続部の結露防止などの用途や、給湯配管の接続部の断熱保温などの用途で使用するようにしてもよい。
すなわち、2つの管部材を管継手によって接続した配管の接続部(継手部)に図1、図7、図12、図13、図14、図18の実施例に示すカバー16を使用し、一方の管部材から他方の管部材までの範囲をカバー16で被覆することによって、その接続部の凍結や結露を防止したり、その接続部の断熱保温を行うようにしてもよい。
たとえば、ここでいう管部材は、給水配管であれば、架橋ポリエチレン管やポリブテン管や、鋼管の内面を塩化ビニルでライニングした塩化ビニルライニング鋼管などであるが、これに限定される必要もない。
この場合であっても、円周方向に一体物として成形した筒状の各部によってカバーを構成するようにしていることにより、カバーの脱落などの不具合を回避することができる。
さらに、カバー16の本体カバー36,54を管継手の位置に配置して、本体カバー36,54の端部に端部カバー38,56を取り付けて、その端部カバー38,56を管部材の外面上に締め付け具52などによって固定するだけの簡単な作業で、またはカバー16の本体カバー70を管継手の位置に配置して、本体カバー70の内部に閉塞部材72を嵌め込むだけの簡単な作業で、配管の接続部の凍結や結露を防止したり、その接続部の断熱保温を行うことができるので、作業性に優れる。
なお、給湯配管の接続部をカバー16によって被覆する場合には、そのカバー16と管継手との間に保温材を挟み込むことによって、さらに保温機能を付加するようにしてもよいし、保温材をカバー16と一体化させて設けるようにしてもよい。
また、上述した径や高さ等の具体的数値は、いずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。