JP2004176739A - 熱可塑性樹脂チューブの接合構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱可塑性樹脂チューブの接合に際して、金属イオン等の発生を排除するとともに、接合部の小型化を可能とする熱可塑性樹脂チューブの接合構造を提供する。
【解決手段】第2熱可塑性樹脂チューブ120の第1熱可塑性樹脂チューブ110との接合端側において、第2熱可塑性樹脂チューブ120の内周面には、第1熱可塑性樹脂チューブ110の第2熱可塑性樹脂チューブ120との接合端側を受入可能な凹部領域122が設けられている。この凹部領域122においては、第1熱可塑性樹脂チューブ110の外周面と、第2熱可塑性樹脂チューブ120の凹部領域122の内周面とが直接接触し、その接触面の全面が一体化するように融着接合されている。
【選択図】 図1
【解決手段】第2熱可塑性樹脂チューブ120の第1熱可塑性樹脂チューブ110との接合端側において、第2熱可塑性樹脂チューブ120の内周面には、第1熱可塑性樹脂チューブ110の第2熱可塑性樹脂チューブ120との接合端側を受入可能な凹部領域122が設けられている。この凹部領域122においては、第1熱可塑性樹脂チューブ110の外周面と、第2熱可塑性樹脂チューブ120の凹部領域122の内周面とが直接接触し、その接触面の全面が一体化するように融着接合されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、チューブの接合構造に関し、より特定的には、熱可塑性樹脂チューブの接合構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)またはFEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等から成形されるフッ素系の熱可塑性樹脂チューブは、薬品に対する耐蝕性がすぐれ、また耐熱性もすぐれている。そのため、電子部品製造工場、化学工場などにおいて、超高純度の水、腐蝕性のある化学薬液、腐蝕性のあるガスなどを送る流体用配管材として用いられている。
【0003】
熱可塑性樹脂チューブからなる配管材を工場内に配管する場合、継手を用いて直線状の熱可塑性樹脂チューブを延長させたり配管方向を曲げるために、熱可塑性樹脂からなる種々の形状の継手が用いられる。
【0004】
ここで、最も簡単な熱可塑性樹脂チューブと継手との接合構造(熱可塑性樹脂チューブ同士の接合も同じ)としては、図9に示す接合構造500が挙げられる。この接合構造500は、それぞれ同一管径を有する継手(エルボ型)501と熱可塑性樹脂チューブ502とを突合わせて融着接合する方法である。この方法は、図10(a)に示すように、継手501の当接部501sと熱可塑性樹脂チューブ502の当接部502sとを所定の温度に加熱した状態で、図10(b)に示すように、両者を加圧接合することにより、継手501と熱可塑性樹脂チューブ502との融着接合を完成させるものである。
【0005】
しかしながら、この接合構造500の場合、図10(b)に示すように、継手501と熱可塑性樹脂チューブ502との接合領域に、外側に張出すひだ部503および管路内に張出すひだ部504が形成されてしまう。特に、管路内に張出すひだ部504の場合、管路内に流体を導入した際に、「流量損失」、「ゴミ溜まり」、「液切れ不良」等の問題を引き起こす要因となる。また、管路内に高圧の流体を導入した場合には、この接合構造500の場合には強度上の問題が生じるおそれがある。
【0006】
そこで、新たなる接合方法として、下記の特許文献1に開示される熱可塑性樹脂チューブの接合構造が挙げられる。この特許文献1に開示される接合構造600について、図11を参照して説明する。
【0007】
この接合構造600においては、継手501の接合端側に、熱可塑性樹脂チューブ510を受け入れる凹部領域502が設けられ、さらに、この凹部領域502には、熱可塑性樹脂チューブ510の先端面および外周面を取囲むように配置される金属性のリング部材503を収容することが可能な受入領域504が設けられている。
【0008】
継手501と熱可塑性樹脂チューブ510との接合に際しては、外部に設けられた電磁誘導加熱装置(図示省略)によりリング部材503を電磁誘導加熱することにより、継手501と熱可塑性樹脂チューブ510とを溶融させて、接合構造600を完成させている。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−303625号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1に開示される接合構造におては、以下に示す問題が挙げられる。
【0011】
まず、フッ素系の熱可塑性樹脂チューブは、上述したように、電子部品製造工場、化学工場などにおいて用いられるが、接合部にリング部材503が配置されているために、金属イオンがチューブ内を流れる流体に流出するおそれがある。
そのため、特に半導体等の製造においては、この金属イオンの存在が問題となる場合がある。
【0012】
また、リング部材503を内装する必要があるために、接合部の管外径が大きくなってしまう。
【0013】
したがって、この発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、熱可塑性樹脂チューブの接合に際して、金属イオン等の発生を排除するとともに、接合部の小型化を可能とする、熱可塑性樹脂チューブの接合構造を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に基づいた熱可塑性樹脂チューブの接合構造においては、相互の内周径が同一に設けられた、第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合構造であって、以下の構造を備えることを特徴とする。
【0015】
まず、第2熱可塑性樹脂チューブの第1熱可塑性樹脂チューブとの接合端側において、第2熱可塑性樹脂チューブの内周面には、第1熱可塑性樹脂チューブの第2熱可塑性樹脂チューブとの接合端側を受入可能な凹部領域が設けられる。
【0016】
さらに、この凹部領域において、第1熱可塑性樹脂チューブの外周面と、第2熱可塑性樹脂チューブの凹部領域の内周面とが直接接触し、その接触面の全面が融着接合により一体化している。
【0017】
この構成によれば、従来のように金属イオン等の発生源となるリング部材を用いることなく、熱可塑性樹脂チューブ材料のみによる接合構造が実現されるため、あらゆる産業分野における配管材の接合構造に適用することが可能になる。
【0018】
また、従来のようにリング部材を用いる必要がないため、接合部における管外径の小径化を図ることが可能になる。さらに、第1熱可塑性樹脂チューブの外周面と、第2熱可塑性樹脂チューブの凹部領域の内周面とが直接接し、その全面において融着接合により一体化していることから、十分な接合強度が得られ、配管材の接合領域における信頼性を高めることが可能になる。
【0019】
また、上記接合構造において好ましくは、第1熱可塑性樹脂チューブの接合端部には、その端部に向かうにしたがって肉厚が外周側に向かって徐々に減ずるテーパ面が設けられ、凹部領域には、このテーパ面を受け入れる受テーパ面が設けられている。
【0020】
この構造を採用することにより、外部に設けられた加熱装置により第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合領域を加熱した場合、熱は外部から徐々に内部伝達され、第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとが接する領域において、両者が溶融し接合されることになる。さらに、第1熱可塑性樹脂チューブのテーパ面は、外側に位置する先端側ほどその肉厚が薄くなっているために、先端側から速い段階で溶融を開始する。
【0021】
その結果、第1熱可塑性樹脂チューブのテーパ面においては、第2熱可塑性樹脂チューブとの融着接合は、テーパ面の先端側から開始され熱の伝達に伴って徐々に内側に移行する。このとき、第1熱可塑性樹脂チューブは溶融により膨張するが、この膨張量は、受テーパ面により内側への張出しが抑制され、軸方向へ向かう流れとなる。その結果、第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの内周面における融着接合面に段差が生じることなく略面一に仕上げることが可能となる。
【0022】
また、上記接合構造において好ましくは、第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの融着接合領域の外周面は、被覆部材により覆われている。この構造を採用することにより、接合領域を加熱した場合、第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとは、外側に向けて膨張するとともにゲル化して高い流動性を呈するようになる。この場合、チューブの外表面に直接加熱手段を接触させた場合、チューブの外形形状が維持されずに外形形状が崩れるおそれがある。そこで、融着接合領域の外周面をあらかじめ被覆部材により覆うことで、チューブの外形形状を維持させることを可能としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に基づいた実施の形態における熱可塑性樹脂チューブの接合構造について、図1から図4を参照して説明する。なお、図1は、本実施の形態における第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との接合構造100の縦断面図であり、図2は、第1熱可塑性樹脂チューブ110の接合端側の詳細縦断面図であり、図3は、第2熱可塑性樹脂チューブ120の接合端側の詳細縦断面図であり、図4は、被覆部材130の縦断面図である。
【0024】
(接合構造100)
まず、図1を参照して、この接合構造100においては、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120とは、相互の内周径が同一に設けられている。具体的な内周径の寸法は後述する。
【0025】
第2熱可塑性樹脂チューブ120の第1熱可塑性樹脂チューブ110との接合端側において、第2熱可塑性樹脂チューブ120の内周面には、第1熱可塑性樹脂チューブ110の接合端側を受入可能な凹部領域122が設けられている。
【0026】
この凹部領域122においては、第1熱可塑性樹脂チューブ110の外周面と、第2熱可塑性樹脂チューブ120の凹部領域122の内周面とが直接接触し、その接触面の残面が一体化するように融着接合されている。さらに、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との融着接合領域Iの外周面は、被覆部材130により覆われている。
【0027】
次に、第1熱可塑性樹脂チューブ110、第2熱可塑性樹脂チューブ120、および被覆部材130の詳細構造について説明する。
【0028】
まず、図2を参照して、第1熱可塑性樹脂チューブ110はストレート管を構成し、好ましくは、PFAまたはFEP部材から押出成形されたチューブ111からなる。また、この第1熱可塑性樹脂チューブ110の接合端部112には、その端部に向かうにしたがってその肉厚が外周側に向かって徐々に減ずるテーパ面113が設けられている。したがって、接合端部112においては、接合端部112の外径寸法に変化は生じず、内径寸法が先端部に向かうにしたがって徐々に大きくなることになる。
【0029】
なお、あくまで一例であるが、本実施の形態における第1熱可塑性樹脂チューブ110の寸法緒元としては、管内径φh1=φ9.53mm、管外径φh2=φ12.7mm、テーパ面113の管軸との交差角度(α1°)=45°である。
【0030】
次に、図3を参照して、第2熱可塑性樹脂チューブ120は、本実施の形態の場合はエルボ管を構成し、好ましくは、PFAまたはFEP部材から射出成形されたチューブ121からなる。また、この第2熱可塑性樹脂チューブ120の接合端部123には、上述したように、その内周面において、第1熱可塑性樹脂チューブ110の接合端部112を受入可能な凹部領域122が設けられている。
【0031】
凹部領域122の具体的構造としては、チューブ121の管内径よりも外側に位置する受入内径領域122aと、上記第1熱可塑性樹脂チューブ110に設けられるテーパ面113を受け入れる受テーパ面122bが設けられている。なお、あくまで一例であるが、本実施の形態における第2熱可塑性樹脂チューブ120の寸法緒元としては、管内径φH1=φ9.53mm、受入内径領域122aの管内径φH2=φ12.7mm、管外径φH3=φ15.7mm、受入内径領域122aの深さS=5.0mm、受テーパ面122bの管軸との交差角度(α2°)=45°である。
【0032】
次に、図4を参照して、被覆部材130は、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120よりも高い融点を有する部材からなり、好ましくは、PTFE(POLYTETRAFLUOROETHYLENE/四フッ化エチレン)の筒状の成形品からなり、上記第1熱可塑性樹脂チューブ110を覆う第1被覆部131、段差部132、および上記第2熱可塑性樹脂チューブ120を覆う第2被覆部133を有している。なお、あくまで一例であるが、本実施の形態における被覆部材130の寸法緒元としては、φL1=φ12.70mm、φL2=φ13.70mm、φL3=φ15.90mm、φL4=φ16.90mm、N1=5.0mm、N2=15.0mmである。
【0033】
(融着接合方法)
次に、上記構成からなる第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との融着接合方法について、図5から図7を参照して説明する。
なお、図5は、本実施の形態における融着接合方法を示す縦断面図であり、図6および図7は、融着時における作用効果を示すための模式図である。
【0034】
まず、図5に示すように、第1熱可塑性樹脂チューブ110の接合端部112を第2熱可塑性樹脂チューブ120の凹部領域122に突き当てるように挿入し、その後、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120の融着接合領域Iの外周面に、被覆部材130を覆い被せる。
【0035】
その後、被覆部材130の外側に加熱装置200を当接させて、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120を加熱する。ここで、加熱温度は、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120を溶融(ゲル化)させる必要があるため、約310℃〜320℃程度にまで加熱する。加熱時間は、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120の管外径、肉厚等により異なり、チューブの各緒元に応じて適宜設定される。なお、この温度設定においては、被覆部材130には何ら変化は生じない。
【0036】
次に、この状態で加熱装置200を用いて第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120を加熱した場合、図6に示すように、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との接合領域においては、熱Qは外部から徐々に内部に伝達される。これにより、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120とが接する直線領域Aの全面およびテーパ領域Bの全面において、両者が溶融し接合されることになる。
【0037】
特に、テーパ領域Bにおいては、第1熱可塑性樹脂チューブ110のテーパ面113は、外側に位置する先端側ほどその肉厚が薄くなっているために、先端側から速い段階で溶融を開始する。その結果、第1熱可塑性樹脂チューブ110のテーパ面113において、第2熱可塑性樹脂チューブ120との融着接合は、テーパ領域Bの外側から内側に移行する。
【0038】
このとき、第1熱可塑性樹脂チューブ110は溶融により膨張するが、この膨張量は、受テーパ面122bにより内側への張出しが抑制され、軸方向へ流れることになる(図中矢印D方向)。その結果、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との内周面における融着接合面に段差が生じることなく略面一に融着接合を仕上げることが可能となる。
【0039】
また、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との融着接合領域の外周面を被覆部材130で覆っている。これは、加熱時に第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120が外側に向けて膨張するとともにゲル化して高い流動性を呈するようになる。この場合、チューブの外表面に直接加熱装置200を接触させた場合、チューブの外形形状が維持されずに外形形状が崩れるおそれがある。そこで、融着接合領域Iの外周面をあらかじめ被覆部材130により覆うことで、チューブの外形形状を維持させることが可能となる。
【0040】
なお、加熱装置200の大きさは、再び図5を参照して、被覆部材130の両端部がある程度突出(寸法C)していることが好ましい。これは、被覆部材130の両端部は加熱されないため、この突出領域では、ゲル化した第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120への冷却効果が期待でき、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120の流出を防止できるからである。
【0041】
また、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との融着接合後は、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との接合面は図1の断面図に示すようにその境界線が明確に現れるのではなく、図7に示すように、両者はその全面において融着接合により一体化することとなる。
【0042】
なお、上記実施の形態においては、最も好ましい例として、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との突合わせ部にテーパ面を設ける構成を採用したが、図8に示すように、管軸に対して略直交する当接面Cを採用することも可能である。
【0043】
また、加熱時における第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との外方への膨張を抑制する観点から被覆部材130を設けるようにしているが、加熱時におけるチューブの外方への膨張および流動性が問題とならない場合には、被覆部材130を必ずしも設ける必要はない。
【0044】
また、上記実施の形態においては、第1熱可塑性樹脂チューブ110としてストレート管、第2熱可塑性樹脂チューブ120としてエルボ管の場合について説明しているが、これに限定されることなく、T字型、十字型等の継手やフランジ形のスリーブ、また、端部がじょうご形に拡張したチューブ状の成形品への適用も可能である。また、成形品としては、一般的には、インジェクション成形やトランスファー成形によって製造されるが、そのような成形品を、さらに部分的に機械加工したものを用いることもでき、熱可塑性樹脂チューブ同士の接合構造に対してはすべて適用可能である。
【0045】
また、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120の好ましい材料として、上記においてはPFAまたはFEPを挙げたが、他の材料として、ポリフッ化ビニリデン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアクリル酸メチルをはじめとする種々の熱可塑性樹脂を用いることも可能である。
【0046】
また、被覆部材130の材料としては、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120の融着接合時に溶融しない材料としてPTFEを挙げたが、他の材料としては、接合するチューブ材料より耐熱性に優れ、または、耐熱性が同等であっても溶融粘度が著しく高い材料であれば良く、たとえばポリイミドを用いることも可能である。
【0047】
したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0048】
【発明の効果】
以上、この発明に基づいた熱可塑性樹脂チューブの接合構造によれば、内周面の継目部に段差を生じさせることなく、第1熱可塑性樹脂チューブの外周面と、第2熱可塑性樹脂チューブの凹部領域の内周面とが直接接し、その全面において融着接合により一体化していることから、十分な接合強度が得られ、配管材の接合領域における信頼性を高めることが可能になる。
【0049】
また、本発明によれば、PFAまたはFEPのような接合の難しい樹脂でできたチューブ同士の接合であっても、確実かつ短時間で、しかも熟練を要することなく、信頼性ある融着接合を実現させることが可能になる。
【0050】
さらに、従来のように金属イオン等の発生源となるリング部材を用いることなく、熱可塑性樹脂チューブ材料のみによる接合構造が実現されるため、あらゆる産業分野における配管材の接合構造に適用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合構造の縦断面図である。
【図2】本実施の形態における第1熱可塑性樹脂チューブの接合端側の詳細縦断面図である。
【図3】本実施の形態における第2熱可塑性樹脂チューブの接合端側の詳細縦断面図である。
【図4】本実施の形態における被覆部材の縦断面図である。
【図5】本実施の形態における融着接合方法を示す縦断面図である。
【図6】本実施の形態における融着時における作用効果を示すための第1模式図である。
【図7】本実施の形態における融着時における作用効果を示すための第2模式図である。
【図8】他の実施の形態における第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合構造を示す縦断面図である。
【図9】従来の技術における第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合構造を示す縦断面図である。
【図10】(a)および(b)は、従来の技術における第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合方法を説明するための断面図である。
【図11】特許文献1に開示される第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
110 第1熱可塑性樹脂チューブ、111,121 チューブ、112 接合端部、113 テーパ面、120 第2熱可塑性樹脂チューブ、122 凹部領域、123 接合端部、122a 受入内径領域、122b 受テーパ面、130 被覆部材、131 第1被覆部、132 段差部、133 第2被覆部、200 加熱装置。
【発明の属する技術分野】
この発明は、チューブの接合構造に関し、より特定的には、熱可塑性樹脂チューブの接合構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)またはFEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等から成形されるフッ素系の熱可塑性樹脂チューブは、薬品に対する耐蝕性がすぐれ、また耐熱性もすぐれている。そのため、電子部品製造工場、化学工場などにおいて、超高純度の水、腐蝕性のある化学薬液、腐蝕性のあるガスなどを送る流体用配管材として用いられている。
【0003】
熱可塑性樹脂チューブからなる配管材を工場内に配管する場合、継手を用いて直線状の熱可塑性樹脂チューブを延長させたり配管方向を曲げるために、熱可塑性樹脂からなる種々の形状の継手が用いられる。
【0004】
ここで、最も簡単な熱可塑性樹脂チューブと継手との接合構造(熱可塑性樹脂チューブ同士の接合も同じ)としては、図9に示す接合構造500が挙げられる。この接合構造500は、それぞれ同一管径を有する継手(エルボ型)501と熱可塑性樹脂チューブ502とを突合わせて融着接合する方法である。この方法は、図10(a)に示すように、継手501の当接部501sと熱可塑性樹脂チューブ502の当接部502sとを所定の温度に加熱した状態で、図10(b)に示すように、両者を加圧接合することにより、継手501と熱可塑性樹脂チューブ502との融着接合を完成させるものである。
【0005】
しかしながら、この接合構造500の場合、図10(b)に示すように、継手501と熱可塑性樹脂チューブ502との接合領域に、外側に張出すひだ部503および管路内に張出すひだ部504が形成されてしまう。特に、管路内に張出すひだ部504の場合、管路内に流体を導入した際に、「流量損失」、「ゴミ溜まり」、「液切れ不良」等の問題を引き起こす要因となる。また、管路内に高圧の流体を導入した場合には、この接合構造500の場合には強度上の問題が生じるおそれがある。
【0006】
そこで、新たなる接合方法として、下記の特許文献1に開示される熱可塑性樹脂チューブの接合構造が挙げられる。この特許文献1に開示される接合構造600について、図11を参照して説明する。
【0007】
この接合構造600においては、継手501の接合端側に、熱可塑性樹脂チューブ510を受け入れる凹部領域502が設けられ、さらに、この凹部領域502には、熱可塑性樹脂チューブ510の先端面および外周面を取囲むように配置される金属性のリング部材503を収容することが可能な受入領域504が設けられている。
【0008】
継手501と熱可塑性樹脂チューブ510との接合に際しては、外部に設けられた電磁誘導加熱装置(図示省略)によりリング部材503を電磁誘導加熱することにより、継手501と熱可塑性樹脂チューブ510とを溶融させて、接合構造600を完成させている。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−303625号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1に開示される接合構造におては、以下に示す問題が挙げられる。
【0011】
まず、フッ素系の熱可塑性樹脂チューブは、上述したように、電子部品製造工場、化学工場などにおいて用いられるが、接合部にリング部材503が配置されているために、金属イオンがチューブ内を流れる流体に流出するおそれがある。
そのため、特に半導体等の製造においては、この金属イオンの存在が問題となる場合がある。
【0012】
また、リング部材503を内装する必要があるために、接合部の管外径が大きくなってしまう。
【0013】
したがって、この発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、熱可塑性樹脂チューブの接合に際して、金属イオン等の発生を排除するとともに、接合部の小型化を可能とする、熱可塑性樹脂チューブの接合構造を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に基づいた熱可塑性樹脂チューブの接合構造においては、相互の内周径が同一に設けられた、第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合構造であって、以下の構造を備えることを特徴とする。
【0015】
まず、第2熱可塑性樹脂チューブの第1熱可塑性樹脂チューブとの接合端側において、第2熱可塑性樹脂チューブの内周面には、第1熱可塑性樹脂チューブの第2熱可塑性樹脂チューブとの接合端側を受入可能な凹部領域が設けられる。
【0016】
さらに、この凹部領域において、第1熱可塑性樹脂チューブの外周面と、第2熱可塑性樹脂チューブの凹部領域の内周面とが直接接触し、その接触面の全面が融着接合により一体化している。
【0017】
この構成によれば、従来のように金属イオン等の発生源となるリング部材を用いることなく、熱可塑性樹脂チューブ材料のみによる接合構造が実現されるため、あらゆる産業分野における配管材の接合構造に適用することが可能になる。
【0018】
また、従来のようにリング部材を用いる必要がないため、接合部における管外径の小径化を図ることが可能になる。さらに、第1熱可塑性樹脂チューブの外周面と、第2熱可塑性樹脂チューブの凹部領域の内周面とが直接接し、その全面において融着接合により一体化していることから、十分な接合強度が得られ、配管材の接合領域における信頼性を高めることが可能になる。
【0019】
また、上記接合構造において好ましくは、第1熱可塑性樹脂チューブの接合端部には、その端部に向かうにしたがって肉厚が外周側に向かって徐々に減ずるテーパ面が設けられ、凹部領域には、このテーパ面を受け入れる受テーパ面が設けられている。
【0020】
この構造を採用することにより、外部に設けられた加熱装置により第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合領域を加熱した場合、熱は外部から徐々に内部伝達され、第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとが接する領域において、両者が溶融し接合されることになる。さらに、第1熱可塑性樹脂チューブのテーパ面は、外側に位置する先端側ほどその肉厚が薄くなっているために、先端側から速い段階で溶融を開始する。
【0021】
その結果、第1熱可塑性樹脂チューブのテーパ面においては、第2熱可塑性樹脂チューブとの融着接合は、テーパ面の先端側から開始され熱の伝達に伴って徐々に内側に移行する。このとき、第1熱可塑性樹脂チューブは溶融により膨張するが、この膨張量は、受テーパ面により内側への張出しが抑制され、軸方向へ向かう流れとなる。その結果、第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの内周面における融着接合面に段差が生じることなく略面一に仕上げることが可能となる。
【0022】
また、上記接合構造において好ましくは、第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの融着接合領域の外周面は、被覆部材により覆われている。この構造を採用することにより、接合領域を加熱した場合、第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとは、外側に向けて膨張するとともにゲル化して高い流動性を呈するようになる。この場合、チューブの外表面に直接加熱手段を接触させた場合、チューブの外形形状が維持されずに外形形状が崩れるおそれがある。そこで、融着接合領域の外周面をあらかじめ被覆部材により覆うことで、チューブの外形形状を維持させることを可能としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に基づいた実施の形態における熱可塑性樹脂チューブの接合構造について、図1から図4を参照して説明する。なお、図1は、本実施の形態における第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との接合構造100の縦断面図であり、図2は、第1熱可塑性樹脂チューブ110の接合端側の詳細縦断面図であり、図3は、第2熱可塑性樹脂チューブ120の接合端側の詳細縦断面図であり、図4は、被覆部材130の縦断面図である。
【0024】
(接合構造100)
まず、図1を参照して、この接合構造100においては、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120とは、相互の内周径が同一に設けられている。具体的な内周径の寸法は後述する。
【0025】
第2熱可塑性樹脂チューブ120の第1熱可塑性樹脂チューブ110との接合端側において、第2熱可塑性樹脂チューブ120の内周面には、第1熱可塑性樹脂チューブ110の接合端側を受入可能な凹部領域122が設けられている。
【0026】
この凹部領域122においては、第1熱可塑性樹脂チューブ110の外周面と、第2熱可塑性樹脂チューブ120の凹部領域122の内周面とが直接接触し、その接触面の残面が一体化するように融着接合されている。さらに、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との融着接合領域Iの外周面は、被覆部材130により覆われている。
【0027】
次に、第1熱可塑性樹脂チューブ110、第2熱可塑性樹脂チューブ120、および被覆部材130の詳細構造について説明する。
【0028】
まず、図2を参照して、第1熱可塑性樹脂チューブ110はストレート管を構成し、好ましくは、PFAまたはFEP部材から押出成形されたチューブ111からなる。また、この第1熱可塑性樹脂チューブ110の接合端部112には、その端部に向かうにしたがってその肉厚が外周側に向かって徐々に減ずるテーパ面113が設けられている。したがって、接合端部112においては、接合端部112の外径寸法に変化は生じず、内径寸法が先端部に向かうにしたがって徐々に大きくなることになる。
【0029】
なお、あくまで一例であるが、本実施の形態における第1熱可塑性樹脂チューブ110の寸法緒元としては、管内径φh1=φ9.53mm、管外径φh2=φ12.7mm、テーパ面113の管軸との交差角度(α1°)=45°である。
【0030】
次に、図3を参照して、第2熱可塑性樹脂チューブ120は、本実施の形態の場合はエルボ管を構成し、好ましくは、PFAまたはFEP部材から射出成形されたチューブ121からなる。また、この第2熱可塑性樹脂チューブ120の接合端部123には、上述したように、その内周面において、第1熱可塑性樹脂チューブ110の接合端部112を受入可能な凹部領域122が設けられている。
【0031】
凹部領域122の具体的構造としては、チューブ121の管内径よりも外側に位置する受入内径領域122aと、上記第1熱可塑性樹脂チューブ110に設けられるテーパ面113を受け入れる受テーパ面122bが設けられている。なお、あくまで一例であるが、本実施の形態における第2熱可塑性樹脂チューブ120の寸法緒元としては、管内径φH1=φ9.53mm、受入内径領域122aの管内径φH2=φ12.7mm、管外径φH3=φ15.7mm、受入内径領域122aの深さS=5.0mm、受テーパ面122bの管軸との交差角度(α2°)=45°である。
【0032】
次に、図4を参照して、被覆部材130は、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120よりも高い融点を有する部材からなり、好ましくは、PTFE(POLYTETRAFLUOROETHYLENE/四フッ化エチレン)の筒状の成形品からなり、上記第1熱可塑性樹脂チューブ110を覆う第1被覆部131、段差部132、および上記第2熱可塑性樹脂チューブ120を覆う第2被覆部133を有している。なお、あくまで一例であるが、本実施の形態における被覆部材130の寸法緒元としては、φL1=φ12.70mm、φL2=φ13.70mm、φL3=φ15.90mm、φL4=φ16.90mm、N1=5.0mm、N2=15.0mmである。
【0033】
(融着接合方法)
次に、上記構成からなる第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との融着接合方法について、図5から図7を参照して説明する。
なお、図5は、本実施の形態における融着接合方法を示す縦断面図であり、図6および図7は、融着時における作用効果を示すための模式図である。
【0034】
まず、図5に示すように、第1熱可塑性樹脂チューブ110の接合端部112を第2熱可塑性樹脂チューブ120の凹部領域122に突き当てるように挿入し、その後、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120の融着接合領域Iの外周面に、被覆部材130を覆い被せる。
【0035】
その後、被覆部材130の外側に加熱装置200を当接させて、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120を加熱する。ここで、加熱温度は、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120を溶融(ゲル化)させる必要があるため、約310℃〜320℃程度にまで加熱する。加熱時間は、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120の管外径、肉厚等により異なり、チューブの各緒元に応じて適宜設定される。なお、この温度設定においては、被覆部材130には何ら変化は生じない。
【0036】
次に、この状態で加熱装置200を用いて第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120を加熱した場合、図6に示すように、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との接合領域においては、熱Qは外部から徐々に内部に伝達される。これにより、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120とが接する直線領域Aの全面およびテーパ領域Bの全面において、両者が溶融し接合されることになる。
【0037】
特に、テーパ領域Bにおいては、第1熱可塑性樹脂チューブ110のテーパ面113は、外側に位置する先端側ほどその肉厚が薄くなっているために、先端側から速い段階で溶融を開始する。その結果、第1熱可塑性樹脂チューブ110のテーパ面113において、第2熱可塑性樹脂チューブ120との融着接合は、テーパ領域Bの外側から内側に移行する。
【0038】
このとき、第1熱可塑性樹脂チューブ110は溶融により膨張するが、この膨張量は、受テーパ面122bにより内側への張出しが抑制され、軸方向へ流れることになる(図中矢印D方向)。その結果、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との内周面における融着接合面に段差が生じることなく略面一に融着接合を仕上げることが可能となる。
【0039】
また、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との融着接合領域の外周面を被覆部材130で覆っている。これは、加熱時に第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120が外側に向けて膨張するとともにゲル化して高い流動性を呈するようになる。この場合、チューブの外表面に直接加熱装置200を接触させた場合、チューブの外形形状が維持されずに外形形状が崩れるおそれがある。そこで、融着接合領域Iの外周面をあらかじめ被覆部材130により覆うことで、チューブの外形形状を維持させることが可能となる。
【0040】
なお、加熱装置200の大きさは、再び図5を参照して、被覆部材130の両端部がある程度突出(寸法C)していることが好ましい。これは、被覆部材130の両端部は加熱されないため、この突出領域では、ゲル化した第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120への冷却効果が期待でき、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120の流出を防止できるからである。
【0041】
また、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との融着接合後は、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との接合面は図1の断面図に示すようにその境界線が明確に現れるのではなく、図7に示すように、両者はその全面において融着接合により一体化することとなる。
【0042】
なお、上記実施の形態においては、最も好ましい例として、第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との突合わせ部にテーパ面を設ける構成を採用したが、図8に示すように、管軸に対して略直交する当接面Cを採用することも可能である。
【0043】
また、加熱時における第1熱可塑性樹脂チューブ110と第2熱可塑性樹脂チューブ120との外方への膨張を抑制する観点から被覆部材130を設けるようにしているが、加熱時におけるチューブの外方への膨張および流動性が問題とならない場合には、被覆部材130を必ずしも設ける必要はない。
【0044】
また、上記実施の形態においては、第1熱可塑性樹脂チューブ110としてストレート管、第2熱可塑性樹脂チューブ120としてエルボ管の場合について説明しているが、これに限定されることなく、T字型、十字型等の継手やフランジ形のスリーブ、また、端部がじょうご形に拡張したチューブ状の成形品への適用も可能である。また、成形品としては、一般的には、インジェクション成形やトランスファー成形によって製造されるが、そのような成形品を、さらに部分的に機械加工したものを用いることもでき、熱可塑性樹脂チューブ同士の接合構造に対してはすべて適用可能である。
【0045】
また、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120の好ましい材料として、上記においてはPFAまたはFEPを挙げたが、他の材料として、ポリフッ化ビニリデン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアクリル酸メチルをはじめとする種々の熱可塑性樹脂を用いることも可能である。
【0046】
また、被覆部材130の材料としては、第1熱可塑性樹脂チューブ110および第2熱可塑性樹脂チューブ120の融着接合時に溶融しない材料としてPTFEを挙げたが、他の材料としては、接合するチューブ材料より耐熱性に優れ、または、耐熱性が同等であっても溶融粘度が著しく高い材料であれば良く、たとえばポリイミドを用いることも可能である。
【0047】
したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるのではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0048】
【発明の効果】
以上、この発明に基づいた熱可塑性樹脂チューブの接合構造によれば、内周面の継目部に段差を生じさせることなく、第1熱可塑性樹脂チューブの外周面と、第2熱可塑性樹脂チューブの凹部領域の内周面とが直接接し、その全面において融着接合により一体化していることから、十分な接合強度が得られ、配管材の接合領域における信頼性を高めることが可能になる。
【0049】
また、本発明によれば、PFAまたはFEPのような接合の難しい樹脂でできたチューブ同士の接合であっても、確実かつ短時間で、しかも熟練を要することなく、信頼性ある融着接合を実現させることが可能になる。
【0050】
さらに、従来のように金属イオン等の発生源となるリング部材を用いることなく、熱可塑性樹脂チューブ材料のみによる接合構造が実現されるため、あらゆる産業分野における配管材の接合構造に適用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態における第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合構造の縦断面図である。
【図2】本実施の形態における第1熱可塑性樹脂チューブの接合端側の詳細縦断面図である。
【図3】本実施の形態における第2熱可塑性樹脂チューブの接合端側の詳細縦断面図である。
【図4】本実施の形態における被覆部材の縦断面図である。
【図5】本実施の形態における融着接合方法を示す縦断面図である。
【図6】本実施の形態における融着時における作用効果を示すための第1模式図である。
【図7】本実施の形態における融着時における作用効果を示すための第2模式図である。
【図8】他の実施の形態における第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合構造を示す縦断面図である。
【図9】従来の技術における第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合構造を示す縦断面図である。
【図10】(a)および(b)は、従来の技術における第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合方法を説明するための断面図である。
【図11】特許文献1に開示される第1熱可塑性樹脂チューブと第2熱可塑性樹脂チューブとの接合構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
110 第1熱可塑性樹脂チューブ、111,121 チューブ、112 接合端部、113 テーパ面、120 第2熱可塑性樹脂チューブ、122 凹部領域、123 接合端部、122a 受入内径領域、122b 受テーパ面、130 被覆部材、131 第1被覆部、132 段差部、133 第2被覆部、200 加熱装置。
Claims (3)
- 相互の内周径が同一に設けられた、第1熱可塑性樹脂チューブ(110)と第2熱可塑性樹脂チューブ(120)との接合構造であって、
前記第2熱可塑性樹脂チューブ(120)の前記第1熱可塑性樹脂チューブ(110)との接合端側において、前記第2熱可塑性樹脂チューブ(120)の内周面には、前記第1熱可塑性樹脂チューブ(110)の接合端側を受入可能な凹部領域(122)が設けられ、
前記凹部領域(122)において、前記第1熱可塑性樹脂チューブ(110)の外周面と前記第2熱可塑性樹脂チューブ(120)の前記凹部領域(122,124)の内周面とが直接接触し、その接触面の全面が融着接合により一体化していることを特徴とする、チューブの接合構造。 - 前記第1熱可塑性樹脂チューブ(110)の接合端部には、その端部に向かうにしたがって肉厚が外周側に向かって徐々に減ずるテーパ面(113)が設けられ、
前記凹部領域には、前記第1熱可塑性樹脂チューブ(110)のテーパ面(113)を受け入れる受テーパ面(122b)が設けられる、請求項1に記載のチューブの接合構造。 - 前記第1熱可塑性樹脂チューブ(110)と前記第2熱可塑性樹脂チューブ(120)との融着接合領域(I)の外周面は、被覆部材(130)により覆われていることを特徴とする、請求項1または2に記載のチューブの接合構造。
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- 2002-11-25 JP JP2002340462A patent/JP2004176739A/ja not_active Withdrawn
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