JP5975942B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、ならびに電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置、ならびに電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置、ならびに電子写真感光体の製造方法に関する。
現在、プロセスカートリッジや電子写真装置に用いられる電子写真感光体としては、有機光導電性物質を含有する電子写真感光体が広く市場で用いられるようになっている。電子写真感光体は、一般的に、支持体および支持体上に形成された感光層を有する。そして、支持体側から感光層(電荷発生層)側への電荷注入を抑制し、カブリなどの画像欠陥の発生を抑えることを目的として、支持体と感光層との間には下引き層が設けられている。
一方で、下引き層を設けることによって、下引き層の抵抗変動により、繰り返し使用時の電位変動が発生しやすい。そこで、電位変動を抑制する技術として、下引き層に電子輸送物質を含有させて、下引き層を電子輸送能を有する層(以下、電子輸送層とも称する)とする技術が開示されている。同時に、下引き層上に形成する感光層の形成時に電子輸送物質が溶出してしまわないようにするため、下引き層に電子輸送物質を含有させる場合は、下引き層が感光層用塗布液の溶剤に対して難溶である硬化性材料を用いる技術が提案されている。
特許文献1には、芳香族テトラカルボニルビスイミド骨格と架橋部位を持つ縮合ポリマー(電子輸送物質)と、架橋剤との重合物を含有する電子輸送層が開示されている。特許文献2には、下引き層に非加水分解性重合性官能基を有する電子輸送性物質の重合物を含有させることが開示されている。
特表2009−505156号公報 特開2003−330209号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、下引き層を電子輸送層とすることによって、電子写真感光体にプラス電荷を印加した場合、プラス電荷が電子輸送層中に残留することによって発生するプラスメモリー画像が発生する場合があることが分かった。プラスメモリー画像とは、電子写真装置では転写や、クリーニング手段による電子写真感光体の摺擦時に電子写真感光体にプラス電荷が印加され、印加をしていない部分との電位差が生じることで、画像の濃度が濃くなるという現象が発生する画像である。
特許文献1および2に開示された技術は、電子輸送層に硬化性材料を用いているため、電子輸送層中の電荷輸送構造の均一性が低下して、プラスメモリー画像が発生しやすい場合があり、改良の余地があるものであった。
本発明の目的は、プラスメモリーの発生が抑制され、長期間の繰り返し使用時の電位変動が抑制された電子写真感光体、その製造方法、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
本発明は、支持体と、電子輸送層と、感光層この順に有する電子写真感光体であって、
該電子輸送層は、重合性官能基を有する電子輸送物質、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、および架橋剤を含む組成物の硬化物であり、かつ、炭素原子、窒素原子および酸素原子を含有
該電子輸送層が下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする電子写真感光体に関する。
σ(C)≦1.5 (1)
σ(N)≦1.5 (2)
σ(O)≦1.5 (3)
(式(1)〜(3)中、
σ(C)は、10点における該電子輸送層の水素原子を除く全原子に対する該炭素原子の比率(atoms %)をX線光電子分光法(ESCA)によって分析したときの、得られた10点の値の標準偏差を示す。
σ(N)は、10点における該電子輸送層の水素原子を除く全原子に対する該窒素原子の比率(atoms %)をX線光電子分光法(ESCA)によって分析したときの、得られた10点の値の標準偏差を示す。
σ(O)は、10点における該電子輸送層の水素原子を除く全原子に対する該酸素原子の比率(atoms %)をX線光電子分光法(ESCA)によって分析したときの、得られた10点の値の標準偏差を示す。
該10点は、該電子輸送層の上端の点と下端の点、および電子輸送層の膜厚を深さ方向に9等分する8個の点からなる。)
また、本発明は、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
また、本発明は、上記電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置に関する。
また、本発明は、上記電子写真感光体の製造方法であって、
前記重合性官能基を有する電子輸送物質、前記重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、および前記架橋剤を含む組成物を含有する電子輸送層用塗布液の塗膜を形成する工程と、
該塗膜を加熱乾燥させることによって、組成物を重合させ、電子輸送層を形成する工程とを有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法に関する。
本発明によれば、プラスメモリーの発生が抑制され、長期間の繰り返し使用時の電位変動が抑制された電子写真感光体、その製造方法、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。 電子輸送層の炭素原子の比率、窒素原子の比率、酸素原子の比率をX線光電子分光法(ESCA)によって10点測定するときの該10点の位置関係を示す図である。 電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す図である。 1ドット桂馬パターン画像を説明する図である。
まず、電子写真感光体が、本発明の上記式(1)を満たすか否かを評価する測定方法(以下「本発明の評価法」と称する)、および本発明の評価法に用いる電子写真感光体(以下「判定用電子写真感光体」とも称する)について説明する。
本発明は、10点における電子輸送層の炭素元素(炭素原子)の比率、酸素元素(酸素原子)の比率および窒素元素(窒素原子)の比率をそれぞれX線光電子分光法(ESCA)によって分析する。その時の、該10点における炭素原子の比率(atoms %)、窒素原子の比率(atoms %)、および酸素原子の比率(atoms %)のそれぞれの標準偏差σ(C)、σ(N)、およびσ(O)を算出したものである。該10点は、該電子輸送層の上端の点と下端の点、および電子輸送層の膜厚を深さ方向に9等分する8個の点からなる。
電子輸送層の膜厚を感光層側から深さ方法に9等分するために、以下の方法が挙げられる。感光層を剥離し、ESCAを用いて深さ方向に電子輸送層の各原子の比率の分析をする方法、感光層を積層したままで、ESCAを用いて深さ方向に電子輸送層の各原子の比率の分析をする方法が挙げられる。感光層を剥離してから分析する方が、ESCAを用いて深さ方向にエッチングする時間が大幅に短縮できるので、簡易的である。感光層上からESCAを用いて深さ方向にエッチングして各原子の比率の分析をしていく場合は、感光層が含有する特有の原子(例えば、電荷発生物質が有する金属原子)が測定されなくなった時点で、電子輸送層の表面と判断する。支持体または後述の導電層と、電子輸送層との界面は以下のように判断する。すなわち、支持体または導電層が含有する特有の原子(例えば、支持体がアルミニウム製であればAl、導電層であれば導電性粒子が有する金属原子)が測定される直前の測定ポイントまでを電子輸送層と判断する。
感光層は、単層型感光層でも、電荷発生物質を含有する電荷発生層と正孔輸送物質を含有する正孔輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層でもよい。
感光層を剥離する方法としては、感光層を溶解し、かつ電子輸送層に難溶な溶剤に電子写真感光体を浸漬して感光層を剥離する方法、感光層を研磨する方法などが挙げられる。また、電荷発生層と正孔輸送層を有する積層型感光層の場合は、電荷発生層と正孔輸送層のそれぞれに最適な溶剤で剥離することが好ましく、電荷発生用塗布液、正孔輸送層用塗布液に用いられる溶剤を用いることが好ましい。その溶剤の種類は後述する。この溶剤中に電子写真感光体を浸漬させて感光層を溶解させ、その後乾燥させることにより判定用電子写真感光体を得ることができる。感光層が剥離できていることは、例えば、FTIR測定方法の中のATR法(全反射法)によって感光層の樹脂成分が観測されないことにより確認できる。
また、感光層を研磨する方法としては、例えば、キヤノン(株)製ドラム・テープ研磨装置にてラッピングテープ(C2000:富士写真フィルム(株)製)を用いておこなう。その際、感光層を研磨しすぎて電子輸送層まで研磨しないように膜厚を順次測定し、電子写真感光体の表面を観察しながら感光層がすべてなくなるところで測定するのが好ましい。
次に、X線光電子分光法(ESCA)を用いて深さ方向に各原子の比率の分析をする方法について説明する。以下に、使用する装置、条件の一例を示す。
使用装置:PHI社(Physical Electronics Industries, INC.)製
Quantum 2000 Scanning ESCA Microprobe
最表面及びエッチング後内部測定条件:
X線源 Al Ka1486.6eV(25W15kV)、測定エリア100μm
分光領域1500×300μm、Angle45°、
Pass Energy117.40eV
エッチング条件:
Ion gun C60(10kV 2mm×2mm)、Angle70°。
なお、エッチングする時間としては、電子輸送層の0.5μmの深さを得るのに要した時間は、30min(0.5μm/30min)であった。なお、電子輸送層のエッチング後、断面FIB−SEM(日立ハイテク社製 FB−2000C)断面観察により深さを同定した。本発明は、電子輸送層の上端の点と下端の点、および電子輸送層の膜厚を深さ方向に9等分する8個の点からなる合計10点における各原子の比率を分析する。図2に示すように、矢印が示す黒点の合計10点について、各原子の比率を分析する。エッチングする時間は、測定する電子輸送層の膜厚を事前にFIB−SEM断面観察により、電子輸送層の膜厚を測定し、それに応じたエッチング時間を決める方法がある。また、エッチング時間を30秒毎に、各原子の比率の分析を行い、支持体または導電層が含有する特有の原子が測定される直前の測定ポイント迄を電子輸送層と判断して、得られたすべての測定点を9等分し、10点を選出してもよい。このエッチング時間を30秒毎に行えば、約0.1μm以上の膜厚を有する電子輸送層において、深さ方向に均等に10点の各原子の比率の分析をすることができる。
以上の条件により測定された炭素原子、窒素原子、および酸素原子のピーク強度から、PHI社が提供する相対感度因子を用いて表面原子濃度(原子%)を算出する。炭素原子、窒素原子、および酸素原子の測定ピークトップ範囲は以下の通りである。
C1s:278〜298eV
O1s:525〜545eV
N1s:390〜410eV。
電子輸送層は、炭素原子、窒素原子、および酸素原子を含有するが、これ以外の原子を含有していてもよい。電子吸引性を高める目的で、電子輸送層(電子輸送物質)の構造に、フッ素、塩素、臭素などのハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子などの原子を有させることもあるが、電子輸送物質の構造中に占めるこれらの原子の含有量は非常に少ない。従い、ESCAにより各原子の比率の分析を行っても比率が非常に少ないため、標準偏差を求めるには適切ではない。なお、水素原子はESCAにおいて測定感度がない。よって、電子輸送層を構成する原子として、炭素原子、酸素原子、および窒素原子を選び、炭素原子の比率、酸素原子の比率、および窒素原子の比率それぞれの10点の値から導出される標準偏差(σ(C)、σ(N)、σ(O))を算出する。上記標準偏差(σ(C)、σ(N)、σ(O))がすべて下記式(1)〜(3)を満たせば、電子輸送層中の炭素原子、窒素原子、および酸素原子が均一に存在していることを意味し、電子輸送層の均一性が高いことを意味する。
σ(C)≦1.5 (1)
σ(N)≦1.5 (2)
σ(O)≦1.5 (3)
(式(1)〜(3)中、σ(C)は、10点における該電子輸送層の水素原子を除く全原子に対する該炭素原子の比率(atoms %)をX線光電子分光法(ESCA)によって分析したときの、得られた10点の値の標準偏差を示す。σ(N)は、10点における該電子輸送層の水素原子を除く全原子に対する該窒素原子の比率(atoms %)をX線光電子分光法(ESCA)によって分析したときの、得られた10点の値の標準偏差を示す。σ(O)は、10点における該電子輸送層の水素原子を除く全原子に対する該酸素原子の比率(atoms %)をX線光電子分光法(ESCA)によって分析したときの、得られた10点の値の標準偏差を示す。
本発明者らは、上記炭素原子の比率、窒素原子の比率、および酸素原子の比率の標準偏差(σ(C)、σ(N)、σ(O))が式(1)〜(3)を満たすことにより、プラスメモリーの発生が抑制させる理由を以下のように推測している。
電子輸送層が、硬化膜ではなく、感光層の溶剤によって電子輸送層が溶解するような膜であると、感光層を形成する際に電子輸送物質が上層である感光層に溶出しやすく、感光層側から電子輸送層側への電子の注入が抑制されやすい。これにより、感度の低下や、感光層中に大量の電荷が滞留し、メモリーが生じやすい。したがって、電子輸送層を硬化膜とすることが適切である。
しかしながら、電子輸送層を硬化膜にすると、電子輸送層を形成するときに用いる同一の構造を有する物質同士が凝集し、電子輸送層中の成分ムラが発生しやすい。その結果、プラス電荷を印加した場合に、電荷が電子輸送層中に滞留しやすく、プラスメモリー画像が発生しやすい。
また、硬化膜である電子輸送層は、感光層で発生した電子のみを支持体側に移動させ、支持体側から感光層側へのプラス電荷の注入を抑制する特徴を有している。しかし、プラス電荷の印加により感光層側からプラス電荷が注入してしまうと、電子輸送能を有さない下引き層と比較して、支持体側へ電子が移動しにくく、プラスメモリー画像が発生しやすくなると考えられる。
そこで、上記式(1)〜(3)を満たすことにより、電子輸送層の炭素原子、窒素原子、および酸素原子のそれぞれが均一に存在していることが示されていると考えられる。この炭素原子、窒素原子、および酸素原子は、電子輸送層の全ての構成原子の中でも、主要な構成原子であり、これら3つの構成原子が均一に存在していれば、均一性の高い電子輸送層が形成されていると考えられる。そして、電子輸送層が均一であることによって、プラス電荷を印加して感光層側からプラス電荷が注入しても、支持体側への電子の移動の低下を抑制し、電子の移動をスムーズにしている。これによって、プラスメモリーの発生を抑制していると推測している。
電荷輸送層には、炭素原子の比率(atoms %)、窒素原子の比率(atoms %)、および酸素原子の比率(atoms %)の合計(atoms %)は、50%以上100%以下であることが好ましい。なお、ESCAにおいて測定感度のない水素原子を除く。より好ましくは、90%以上100%以下である。
本発明の電子写真感光体は、支持体、該支持体上に形成された電子輸送層、該電子輸送層上に形成された電荷発生層、および電荷発生層上に形成された正孔輸送層を有する電子写真感光体である。または、支持体、該支持体上に形成された電子輸送層、該電子輸送層上に形成された感光層を有する電子写真感光体である。該感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と正孔輸送物質を含有する正孔輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であることが好ましい。
図1の(a)および(b)は、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。図1の(a)および(b)中、101は支持体であり、102は電子輸送層であり、103は感光層であり、104は電荷発生層、105は正孔輸送層である。
一般的な電子写真感光体として、円筒状支持体上に感光層(電荷発生層、正孔輸送層)を形成してなる円筒状の電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状、シート状などの形状とすることも可能である。
〔電子輸送層〕
本発明の電子輸送層は、構成原子として、炭素原子、窒素原子および酸素原子を含有する硬化膜である。電子輸送層の均一性の観点から、電子輸送層が重合性官能基を有する電子輸送物質、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、および架橋剤を含む組成物を重合させて得られる重合物を含有することが好ましい。
上記標準偏差σ(C)、σ(N)、およびσ(O)が下記式(4)〜(6)を満たすと、電子輸送層中の電子輸送構造の均一性が向上し、よりプラスメモリーの発生を低減する効果が得られるため、好ましい。
σ(C)≦1.0 (4)
σ(N)≦1.0 (5)
σ(O)≦1.0 (6)
〔電子輸送物質〕
電子輸送物質としては、例えば、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物などが挙げられる。
電子輸送物質は、重合性官能基を有する電子輸送物質であることが好ましい。重合性官能基としては、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、メトキシ基などが挙げられる。
重合性官能基を有する電子輸送物質の分子量は、架橋剤の分子量に近い方が、電子輸送層の均一性が高まるため好ましい。電子輸送物質の分子量と架橋剤の分子量の比は、0.5〜1.5の範囲が好ましく、0.8〜1.2の範囲がより好ましい。また、電子輸送物質の分子量(Mw)は1000以下である方が、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂に均一に結合し、よりプラスメモリー画像の低減効果が得られるので好ましい。より好ましくは、200以上840以下である。
以下に、電子輸送物質の具体例を示す。下記式(A1)〜(A9)のいずれかで示される化合物が挙げられる。
Figure 0005975942
式(A1)〜(A9)中、R101〜R106、R201〜R210、R301〜R308、R401〜R408、R501〜R510、R601〜R606、R701〜R708、R801〜R810、R901〜R908は、それぞれ独立に、下記式(A)で示される1価の基、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換の複素環を示す。該アルキル基の主鎖中の炭素原子の1つは、O、S、NH、NR1001(R1001はアルキル基)で置き換わっても良い。該置換のアルキル基の置換基は、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子である。該置換のアリール基または該置換の複素環基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基である。Z201、Z301、Z401およびZ501は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、または酸素原子を示す。Z201が酸素原子である場合はR209およびR210は存在せず、Z201が窒素原子である場合はR210は存在しない。Z301が酸素原子である場合はR307およびR308は存在せず、Z301が窒素原子である場合はR308は存在しない。Z401が酸素原子である場合はR407およびR408は存在せず、Z401が窒素原子である場合はR408は存在しない。Z501が酸素原子である場合はR509およびR510は存在せず、Z501が窒素原子である場合はR510は存在しない。
Figure 0005975942
式(A)中、α、β、およびγの少なくとも1つは置換基を有する基であり、該置換基は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、およびメトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。lおよびmは、それぞれ独立に、0または1であり、lとmの和は、0以上2以下である。
αは、主鎖の原子数が1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルキル基で置換された主鎖の原子数が1〜6のアルキレン基、ベンジル基で置換された主鎖の原子数1〜6のアルキレン基、アルコシキカルボニル基で置換された主鎖の原子数1〜6のアルキレン基、またはフェニル基で置換された主鎖の原子数が1〜6のアルキレン基を示す。これらの基は、置換基として、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基およびメトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有しても良い。該アルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つは、OまたはSまたはNHまたはNR19(R19はアルキル基である。)で置き換わっていても良い。
βは、フェニレン基、炭素数1〜6のアルキル置換フェニレン基、ニトロ置換フェニレン基、ハロゲン置換フェニレン基、またはアルコキシ基置換フェニレン基を示す。これらの基は、置換基として、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、およびメトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有しても良い。
γは、水素原子、主鎖の原子数が1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルキル基で置換された主鎖の原子数が1〜6のアルキル基を示す。これらの基は、置換基として、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、およびメトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有しても良い。該アルキル基の主鎖中の炭素原子の1つは、OまたはSまたはNHまたはNR1003(R1003はアルキル基である。)で置き換わっていても良い。
上記式(A1)〜(A9)のいずれかで示される電子輸送物質の中でも、R101〜R106の少なくとも1つ、R201〜R210の少なくとも1つ、R301〜R308の少なくとも1つ、R401〜R408の少なくとも1つ、R501〜R510の少なくとも1つ、R601〜R606の少なくとも1つ、R701〜R708の少なくとも1つ、R801〜R810の少なくとも1つ、R901〜R908の少なくとも1つは、上記式(A)で示される1価の基である重合性官能基を有する電子輸送物質がより好ましい。
電子輸送層は、以下のようにして形成される。重合性官能基を有する電子輸送物質、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、および架橋剤を含む組成物を含有する電子輸送層用塗布液の塗膜を形成する。そして、この塗膜を加熱乾燥させることによって、組成物を重合させ、電子輸送層を形成する。塗膜形成後、架橋剤と、熱可塑性樹脂および電子輸送物質の重合性官能基が化学反応により重合するが、その際に加熱することで化学反応が促進され、重合が促進される。電子輸送層用塗布液の塗膜を加熱乾燥させるときの加熱温度は、100〜200℃の温度であることが好ましい。
表中、A´は、Aと同様な構造式で表され、その1価の基の具体例をAおよびA´の欄に示す。
以下に、重合性官能基を有する電子輸送物質の具体例を示す。
表1−1、表1−2、表1−3、表1−4、表1−5、表1−6に、上記式(A1)で示される化合物の具体例を示す。表中、γが「−」である場合は、水素原子を示し、そのγの水素原子は、αまたはβの欄に示す構造に含めて表示する。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
表2−1、表2−2、表2−3に、上記式(A2)で示される化合物の具体例を示す。表中、γが「−」である場合は、水素原子を示し、そのγの水素原子は、αまたはβの欄に示す構造に含めて表示する。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
表3−1、表3−2に、上記式(A3)で示される化合物の具体例を示す。表中、γが「−」である場合は、水素原子を示し、そのγの水素原子は、αまたはβの欄に示す構造に含めて表示する。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
表4−1、表4−2に、上記式(A4)で示される化合物の具体例を示す。表中、γが「−」である場合は、水素原子を示し、そのγの水素原子は、αまたはβの欄に示す構造に含めて表示する。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
表5−1、表5−2に、上記式(A5)で示される化合物の具体例を示す。表中、γが「−」である場合は、水素原子を示し、そのγの水素原子は、αまたはβの欄に示す構造に含めて表示する。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
表6に、上記式(A6)で示される化合物の具体例を示す。表中、γが「−」である場合は、水素原子を示し、そのγの水素原子は、αまたはβの欄に示す構造に含めて表示する。
Figure 0005975942
表7−1、表7−2、表7−3に、上記式(A7)で示される化合物の具体例を示す。表中、γが「−」である場合は、水素原子を示し、そのγの水素原子は、αまたはβの欄に示す構造に含めて表示する。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
表8−1、表8−2、表8−3に、上記式(A8)で示される化合物の具体例を示す。表中、γが「−」である場合は、水素原子を示し、そのγの水素原子は、αまたはβの欄に示す構造に含めて表示する。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
表9−1、表9−2に、上記式(A9)で示される化合物の具体例を示す。表中、γが「−」である場合は、水素原子を示し、そのγの水素原子は、αまたはβの欄に示す構造に含めて表示する。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
(A1)の構造を有する誘導体(電子輸送物質の誘導体)は、例えば、米国特許第4442193号公報、米国特許第4992349号公報、米国特許第5468583号公報、Chemistry of materials,Vol.19,No.11,2703−2705(2007)に記載の公知の合成方法を用いて合成することが可能である。また、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能なナフタレンテトラカルボン酸二無水物とモノアミン誘導体との反応で合成する事が出来る。
(A1)で示される化合物には、架橋剤と重合することが可能な重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基)を有する。(A1)の構造を有する誘導体にこれらの重合性官能基を導入する方法としては、(A1)の構造を有する誘導体に直接重合性官能基を導入する方法、前記重合性官能基または、重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有する構造を導入する方法がある。後述の方法としては、以下の方法が挙げられる。ナフチルイミド誘導体のハロゲン化物を元に、例えばパラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アリール基を導入する方法。ナフチルイミド誘導体のハロゲン化物を元に、FeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アルキル基を導入する方法る方法。ナフチルイミド誘導体のハロゲン化物を元に、リチオ化を経た後にエポキシ化合物やCOを作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法がある。ナフチルイミド誘導体を合成する際の原料として、前記重合性官能基または、重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有するナフタレンテトラカルボン酸二無水物誘導体又はモノアミン誘導体を用いる方法がある。
(A2)の構造を有する誘導体(電子輸送物質の誘導体)は、例えば、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)またはジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。また、フェナントレン誘導体またはフェナントロリン誘導体を基に、Chem.Educator No.6,227−234(2001)、有機合成化学協会誌,vol.15,29−32(1957)、有機合成化学協会誌,vol.15,32−34(1957)に記載の合成方法で合成することもできる。マロノニトリルとの反応によりジシアノメチレン基を導入することもできる。
(A2)で示される化合物は、架橋剤と重合可能な重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基)を有する。(A2)の構造を有する誘導体にこれらの重合性官能基を導入する方法としては、(A2)の構造を有する誘導体に直接重合性官能基を導入する方法、重合性官能基もしくは重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有する構造を導入する方法がある。後述の方法としては、以下の方法が挙げられる。フェナントレンキノンのハロゲン化物を元に、パラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アリール基を導入する方法。フェナントレンキノンのハロゲン化物を元に、FeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アルキル基を導入する方法る方法。フェナントレンキノンのハロゲン化物を元に、リチオ化を経た後にエポキシ化合物やCOを作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法がある。
(A3)の構造を有する誘導体(電子輸送物質の誘導体)は、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)またはジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。また、フェナントレン誘導体またはフェナントロリン誘導体を基に、Bull.Chem.Soc.Jpn.,Vol.65,1006−1011(1992)に記載の合成方法で合成することもできる。マロノニトリルとの反応によりジシアノメチレン基を導入することもできる。
(A3)で示される化合物は、架橋剤と重合可能な重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基)を有する。上記式(A3)の構造を有する誘導体にこれらの重合性官能基を導入する方法としては、式(A3)の構造を有する誘導体に直接重合性官能基を導入する方法、重合性官能基もしくは重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有する構造を導入する方法がある。後述の方法としては、以下の方法が挙げられる。フェナントロリンキノンのハロゲン化物を元に、例えばパラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アリール基を導入する方法。フェナントロリンキノンのハロゲン化物を元に、FeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アルキル基を導入する方法。フェナントロリンキノンのハロゲン化物を元に、リチオ化を経た後にエポキシ化合物やCOを作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法がある。
(A4)の構造を有する誘導体(電子輸送物質の誘導体)は、例えば、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)またはジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。また、アセナフテンキノン誘導体を基にTetrahedron Letters,43(16),2991−2994(2002)、Tetrahedron Letters,44(10),2087−2091(2003)に記載の合成方法で合成することもできる。マロノニトリルとの反応により、ジシアノメチレン基を導入することもできる。
(A4)で示される化合物は、架橋剤と重合可能な重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基)を有する。(A4)の構造を有する誘導体にこれらの重合性官能基を導入する方法としては、(A4)の構造を有する誘導体に直接重合性官能基を導入する方法、重合性官能基もしくは重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有する構造を導入する方法がある。後述の方法としては、以下の方法が挙げられる。アセナフテンキノンのハロゲン化物を元に、例えばパラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アリール基を導入する方法。アセナフテンキノンのハロゲン化物を元に、FeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アルキル基を導入する方法。アセナフテンキノンのハロゲン化物を元に、リチオ化を経た後にエポキシ化合物やCOを作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法がある。
(A5)の構造を有する誘導体(電子輸送物質の誘導体)は、例えば、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)またはジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。また、フルオレノン誘導体とマロノニトリルを用い、米国特許第4562132号公報に記載の合成方法を用いて合成することができる。また、フルオレノン誘導体およびアニリン誘導体を用い、特開平5−279582号公報、特開平7−70038号公報に記載の合成方法を用いて合成することもできる。
(A5)で示される化合物は、架橋剤と重合可能な重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基)を有する。(A5)の構造を有する誘導体にこれらの重合性官能基を導入する方法としては、(A5)の構造を有する誘導体に直接重合性官能基を導入する方法、重合性官能基もしくは重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有する構造を導入する方法がある。後述の方法としては、以下の方法が挙げあれる。フルオレノンのハロゲン化物を元に、例えばパラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アリール基を導入する方法。フルオレノンのハロゲン化物を元に、FeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アルキル基を導入する方法。フルオレノンのハロゲン化物を元に、リチオ化を経た後にエポキシ化合物やCOを作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法がある。
(A6)の構造を有する誘導体(電子輸送物質の誘導体)は、例えばChemistry Letters,37(3),360−361(2008)、特開平9−151157号公報に記載の合成方法を用いて合成することが出来る。また、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)またはジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。
(A6)で示される化合物は、架橋剤と重合することが可能な重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基)を有する。(A6)の構造を有する誘導体にこれらの重合性官能基を導入する方法としては、(A6)の構造を有する誘導体に直接重合性官能基を導入する方法、重合性官能基もしくは重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有する構造を導入する方法がある。後述の方法としては、以下の方法が挙げられる。ナフトキノンのハロゲン化物を元に、例えばパラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アリール基を導入する方法。ナフトキノンのハロゲン化物を元に、FeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アルキル基を導入する方法る方法。ナフトキノンのハロゲン化物を元に、リチオ化を経た後にエポキシ化合物やCOを作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法がある。
(A7)の構造を有する誘導体(電子輸送物質の誘導体)は、特開平1−206349号公報、PPCI/Japan Hard Copy’98 予稿集p.207(1998)に記載の合成方法を用いて合成することができる。例えば、東京化成工業(株)またはシグマアルドリッチジャパン(株)から購入可能なフェノール誘導体を原料として合成することができる。
(A7)で示される化合物は、架橋剤と重合することが可能な重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基)を有する。(A7)の構造を有する誘導体にこれらの重合性官能基を導入する方法としては、重合性官能基もしくは重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有する構造を導入する方法がある。この方法としては、以下の方法が挙げられる。ジフェノキノンのハロゲン化物を元に、例えばパラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アリール基を導入する方法。ジフェノキノンのハロゲン化物を元に、FeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アルキル基を導入する方法。リチオ化を経た後にエポキシ化合物やCOを作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法がある。
(A8)の構造を有する誘導体(電子輸送物質の誘導体)は、例えば、Journal of the American chemical society,Vol.129,No.49,15259−78(2007)に記載の公知の合成方法を用いて合成することができる。また、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能なペリレンテトラカルボン酸二無水物とモノアミン誘導体との反応で合成する事が出来る。
(A8)で示される化合物は、架橋剤と重合可能な重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基)を有する。(A8)の構造を有する誘導体にこれらの重合性官能基を導入する方法としては、(A8)の構造を有する誘導体に直接重合性官能基を導入する方法、前記重合性官能基または、重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有する構造を導入する方法がある。後述の方法としては、以下の方法が挙げられる。ペリレンイミド誘導体のハロゲン化物を元に、例えばパラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用いる方法。ペリレンイミド誘導体のハロゲン化物を元に、FeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用いる方法がある。ペリレンイミド誘導体を合成する際の原料として、前記重合性官能基または、重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有するペリレンテトラカルボン酸二無水物誘導体又はモノアミン誘導体を用いる方法がある。
(A9)の構造を有する誘導体(電子輸送物質の誘導体)は、例えば、東京化成工業(株)、シグマアルドリッチジャパン(株)またはジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から購入可能である。
(A9)で示される化合物は、架橋剤と重合可能な重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基及びメトキシ基)を有する。(A9)の構造を有する誘導体にこれらの重合性官能基を導入する方法としては、購入可能な(A9)の構造を有する誘導体に重合性官能基もしくは重合性官能基の前駆体と成り得る官能基を有する構造を導入する方法がある。この方法としては、以下の方法が挙げられる。アントラキノンのハロゲン化物を元に、例えばパラジウム触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アリール基を導入する方法。アントラキノンのハロゲン化物を元に、FeCl触媒と塩基を使用したクロスカップリング反応を用い、官能基含有アルキル基を導入する方法。リチオ化を経た後にエポキシ化合物やCOを作用させ、ヒドロキシアルキル基やカルボキシル基を導入する方法がある。
更には、本発明の電子輸送層では上記重合性官能基を有する電子輸送物質および架橋剤に加え、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂を有する3次元硬化膜である事がより好ましい。重合性官能基を有する熱可塑性樹脂と、重合性官能基を有する電子輸送物質および架橋剤が官能基により結合することで、電子輸送が可能で、上層(感光層)の溶剤に不溶で電子写真感光体の電子輸送層として適切な硬化膜を形成できる。更に、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂が存在する事で、より成分の均一な硬化膜となる。その理由としては、架橋剤同士が隣接せずに、嵩高く大きな体積を有するため、架橋剤の官能基と樹脂の官能基が重合、架橋する際に、樹脂鎖を押し退け、樹脂鎖同士の凝集が抑えられる。このように偏在する事無く樹脂鎖に結合している架橋剤に、重合性官能基を有する電子輸送物質が結合している形であるため、電子輸送物質も偏在することなく膜内に均一に存在することになる。そのため、電子が留まる部分が無く、電子輸送膜においてもより高い水準のプラスメモリーの抑制効果が生じると考えている。
この場合、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂はある程度の樹脂鎖の長さがある方が好ましく、重量平均分子量(Mw)は5000以上300000以下であることがより好ましい。5000以上300000以下であると、架橋剤及び電子輸送物質由来の構造の均一性が高まり、より高いプラスメモリーの低減効果が得られる。
〔架橋剤〕
次に架橋剤について説明する。
架橋剤としては、重合性官能基を有する電子輸送物質、および重合性官能基を有する熱可塑性樹脂と重合または架橋する化合物を用いることができる。具体的には、山下晋三,金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1981年)等に記載されている化合物等を用いることができる。
電子輸送層に用いる架橋剤は、好ましくは、イソシアネート化合物、アミン化合物である。均一な重合物の膜を得る観点から、より好ましくは、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、または−CH−ORを示される1価の基を3〜6個有する架橋剤(イソシアネート化合物、アミン化合物)である。
電子輸送層の均一性を向上させる観点から、架橋剤の分子量が200〜1300の範囲が好ましい。より好ましくは、1000以下である。
イソシアネート化合物は、イソシアネート基またはブロックイソシアネート基が3〜6個有しているイソシアネート化合物が好ましい。例えば、トリイソシアネートベンゼン、トリイソシアネートメチルベンゼン、トリフェニルメタントリイソシアネート、リジントリイソシアネートの他、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、トリメチロールプロパンやペンタエリストールとのアダクト変性体等が挙げられる。これらの中でもイソシアヌレート変性体とアダクト変性体がより好ましい。
ブロックイソシアネート基は、−NHCOX(Xは保護基)という構造を有する基である。Xは、イソシアネート基に導入可能な保護基であれば何れでも良いが、下記式(H1)〜(H7)で示される基がより好ましい。
Figure 0005975942
以下に、イソシアネート化合物の具体例を示す。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
アミン化合物としては、記式(C1)〜(C5)のいずれかで示される化合物、および、下記式(C1)〜(C5)のいずれかで示される化合物のオリゴマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 0005975942
式(C1)〜(C5)中、R11〜R16、R22〜R25、R31〜R34、R41〜R44、およびR51〜R54は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基、アシル基または−CH−ORを示される1価の基を示し、R11〜R16の少なくとも1つ、R22〜R25の少なくとも1つ、R31〜R34の少なくとも1つ、R41〜R44の少なくとも1つ、およびR51〜R54の少なくとも1つは、−CH−ORを示される1価の基である。Rは、水素原子または炭素数1以上10以下のアルキル基を示す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基(n−プロピル基、iso−プロピル基)、ブチル基(n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基)などが、重合性の観点から好ましい。R21は、アリール基、アルキル基置換のアリール基、シクロアルキル基、またはアルキル基置換のシクロアルキル基を示す。
以下に、式(C1)〜(C5)のいずれかで示される化合物の具体例を示す。また、式(C1)〜(C5)のいずれかで示される化合物のオリゴマー(多量体)を含有していても良い。均一な重合物の膜を得る観点から、アミン化合物の全質量中、式(C1)〜(C5)のいずれかで示される化合物(単量体)を10質量%以上含有していることが好ましい。
上述の多量体の重合度は、2以上100以下である事が好ましい。また、上述の多量体及び単量体は、2種以上混合して用いることもできる。
上記式(C1)で示される化合物の一般的に購入可能なものをしては、例えば、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60、L−105−60、L127−60、L110−60、J−820−60、G−821−60(DIC社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30、MW−390、MX−750LM(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。上記式(C2)で示される化合物の一般的に購入可能なものをしては、例えば、”スーパーベッカミン(R)L−148−55、13−535、L−145−60、TD−126(DIC社製)、ニカラックBL−60、BX−4000(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。上記式(C3)で示される化合物の一般的に購入可能なものをしては、例えば、ニカラックMX−280(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。上記式(C4)で示される化合物の一般的に購入可能なものをしては、例えば、ニカラックMX−270(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。上記式(C5)で示される化合物の一般的に購入可能なものをしては、例えば、ニカラックMX−290(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
以下に、式(C1)〜(C5)のいずれかで示される化合物の具体例を示す。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
〔樹脂〕
次に、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂について説明する。重合性官能基を有する熱可塑性樹脂としては、下記式(D)に示される構造単位を有する熱可塑性樹脂(以下樹脂Dとも称する)が好ましい。
Figure 0005975942
式(D)中、R61は、水素原子またはアルキル基を示す。Yは、単結合、アルキレン基またはフェニレン基を示す。Wは、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、またはメトキシ基を示す。)
樹脂Dは、例えば、シグマアルドリッチジャパン(株)や東京化成工業(株)から購入可能な、重合性官能基(ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基またはメトキシ基)を有するモノマーを重合させることで得られる。
また、樹脂として、一般的に購入することも可能である。購入可能な樹脂としては、例えば、日本ポリウレタン工業(株)製AQD−457、AQD−473、三洋化成工業(株)製サンニックスGP−400、GP−700などのポリエーテルポリオール系樹脂、日立化成工業(株)製フタルキッドW2343、DIC(株)製ウォーターゾールS−118、CD−520、ベッコライトM−6402−50、M−6201−40IM、ハリマ化成(株)製ハリディップWH−1188、日本ユピカ社製ES3604、ES6538などのポリエステルポリオール系樹脂、DIC(株)製、バーノックWE−300、WE−304などのポリアクリルポリオール系樹脂、(株)クラレ製クラレポバールPVA−203などのポリビニルアルコール系樹脂、積水化学工業(株)製BX−1、BM−1、KS−1、KS−5などのポリビニルアセタール系樹脂、ナガセケムテックス(株)製トレジンFS−350などのポリアミド系樹脂、日本触媒(株)製アクアリック、鉛市(株)製ファインレックスSG2000などのカルボキシル基含有樹脂、DIC(株)製、ラッカマイドなどのポリアミン樹脂、東レ(株)製QE−340Mなどのポリチオール樹脂などが挙げられる。これらの中でもポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルポリオール系樹脂などが重合性、電子輸送層の均一性の観点からより好ましい。
樹脂Dの重量平均分子量(Mw)は5000以上400000以下の範囲であることが好ましく、5000以上300000以下の範囲である事がより好ましい。その理由としては、上述の架橋剤が樹脂Dと重合(架橋)した際に、樹脂Dの分子鎖同士の凝集が抑えられる。そして、樹脂の分子鎖同士の凝集が抑えられ、さらに上述の架橋剤の偏在が抑制されるため、電子輸送物質部位も偏在することなく下引き層内に均一に存在することができるためであると考えられる。
樹脂中の重合性官能基の定量法としては、以下の方法が挙げられる。水酸化カリウムを用いたカルボキシル基の滴定、亜硝酸ナトリウムを用いたアミノ基の滴定、無水酢酸と水酸化カリウムを用いたヒドロキシ基の滴定、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)を用いたチオール基の滴定などがある。また、重合性官能基導入比率を変化させた試料のIRスペクトルから得られる検量線法が挙げられる。
以下表10に、樹脂Dの具体例を示す。
Figure 0005975942
重合性官能基を有する電子輸送物質は、重合性官能基を有する電子輸送物質、架橋剤および重合性官能基を有する樹脂を含む組成物の全質量に対して30質量%以上70%質量以下であることが好ましい。
架橋剤の官能基(イソシアネート基または−CH−ORを示される1価の基)と、樹脂の重合性官能基及び電子輸送物質の重合性官能基を合計した官能基との比率が、1:0.5〜1:3.0であると、反応する官能基の割合が高くなるため好ましい。この場合、電子輸送層は、ESCAによる深さ方向の各原子の比率の分析により、炭素原子の比率、窒素原子の比率および酸素原子の比率それぞれの標準偏差は、上記式(1)〜(3)を満たす。そして、電子輸送構造が電子輸送層中で凝集することなく、均一に存在するので好ましい。
また、電子輸送層には、上記式(1)〜(3)を満たす範囲で、粗し粒子を含有してもよい。粗し粒子としては、硬化性ゴム、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アクリル−メラミン樹脂などの硬化性樹脂の粒子などが挙げられる。また、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウムの粒子などの金属酸化物粒子などが挙げられるが、導電層と、電子輸送層との界面と判断するため、導電層に含有させる導電性粒子と同じ金属原子を有する金属酸化物粒子でないことが好ましい。また、レベリング効果や密着性向上の目的で、上記式(1)〜(3)を満たす範囲で、シリコーンオイル、界面活性剤、シラン化合物などを含有してもよい。これらの添加物の含有量は、電子輸送層の全質量に対して、5質量%以下であることが、電子輸送層の均一性の観点から好ましい。また、本発明の電子輸送層の膜厚は0.1μm以上5.0μm以下が好ましい。
電子輸送層に含有する化合物、重合物の確認は、以下の方法によって行った。
・質量分析
質量分析計(MALDI−TOF MS:ブルカー・ダルトニクス(株)製 ultraflex)を用い、加速電圧:20kV、モード:Reflector、分子量標準品:フラーレンC60の条件で、分子量を測定した。得られたピークトップ値で確認した。
・NMR分析
1,1,2,2−テトラクロロエタン(d2)もしくは、ジメチルスルホキシド(d6)中、120℃にてH−NMR、13C−NMR分析(FT−NMR:日本電子(株)製JNM−EX400型)により構造を確認した。
・GPC分析
東ソー(株)製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー「HLC−8120」で測定し、ポリスチレン換算で計算した。
〔支持体〕
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)であることが好ましく、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄などの金属または合金製の支持体を用いることができる。ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ガラスなどの絶縁性支持体上にアルミニウム、銀、金などの金属の薄膜を形成した支持体、または酸化インジウム、酸化スズなどの導電性材料の薄膜を形成した支持体が挙げられる。
支持体の表面には、電気的特性の改善や干渉縞の抑制のため、陽極酸化などの電気化学的な処理や、湿式ホーニング処理、ブラスト処理、切削処理などの処理を施してもよい。
支持体と、電子輸送層との間には、導電層を設けてもよい。導電層は、導電性粒子を樹脂に分散させた導電層用塗布液の塗膜を支持体上に形成し、乾燥させることで得られる。導電性粒子としては、たとえば、カーボンブラック、アセチレンブラックや、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀のような金属粉や、導電性酸化スズ、ITOのような金属酸化物粉体が挙げられる。また、導電層は電子輸送層、導電層の順に設けてもよい。
また、樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂およびアルキッド樹脂が挙げられる。
導電層用塗布液の溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤および芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、さらには5μm以上30μm以下であることがより好ましい。
〔感光層〕
電子輸送層上には、電荷発生層が設けられる。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、アントラキノン誘導体、アントアントロン誘導体、ジベンズピレンキノン誘導体、ピラントロン誘導体、ビオラントロン誘導体、イソビオラントロン誘導体、インジゴ誘導体、チオインジゴ誘導体、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、ビスベンズイミダゾール誘導体などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、およびフタロシアニン顔料の少なくとも一方が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレンなどのビニル化合物の重合体および共重合体や、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましく、ポリビニルアセタールがより好ましい。
電荷発生層において、電荷発生物質と結着樹脂との比率(電荷発生物質/結着樹脂)は、10/1〜1/10の範囲であることが好ましく、5/1〜1/5の範囲であることがより好ましい。電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層上には正孔輸送層が形成される。
正孔輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物、トリフェニルアミンが挙げられる。または、これらの化合物から誘導される基を主鎖または側鎖に有するポリマーが挙げられる。これらの中でもトリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、またはスチリル化合物が好ましい。
正孔輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂およびポリアリレート樹脂が好ましい。また、これらの分子量としては、重量平均分子量(Mw)=10,000〜300,000の範囲が好ましい。
正孔輸送層において、正孔輸送物質と結着樹脂との比率(正孔輸送物質/結着樹脂)は、10/5〜5/10が好ましく、10/8〜6/10がより好ましい。
正孔輸送層の膜厚は、3μm以上40μm以下であることが好ましい。電子輸送層との膜厚との観点から、より好ましくは5μm以上16μm以下である。正孔輸送層用塗布液に用いられる溶剤は、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。
なお、支持体と上記電子輸送層との間や上記電子輸送層と電荷発生層との間に、本発明に係る重合体を含有しない第2の下引き層などの別の層を設けてもよい。
また、正孔輸送層上に表面保護層を形成してもよい。表面保護層は、導電性粒子または電荷輸送物質と結着樹脂とを含有する。また、表面保護層は、潤滑剤などの添加剤をさらに含有してもよい。また、保護層の結着樹脂自体に導電性や電荷輸送性を有させてもよく、その場合、保護層には、当該樹脂以外の導電性粒子や電荷輸送物質を含有させなくてもよい。また、保護層の結着樹脂は、熱可塑性樹脂でもよいし、熱、光、放射線(電子線など)などにより重合させてなる硬化性樹脂であってもよい。
上記各層を形成する方法としては、各層を構成する材料を溶剤に溶解および/または分散させて得られた塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥および/または硬化させることによって形成する方法が好ましい。塗布液を塗布する方法としては、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法などが挙げられる。これらの中でも、効率性および生産性の観点から、浸漬塗布法が好ましい。
〔プロセスカートリッジおよび電子写真装置〕
図3に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
図3において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の表面(周面)は、帯電手段3(一次帯電手段:帯電ローラーなど)により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)からの露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、次いで現像手段5の現像剤に含まれるトナーにより現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材(紙など)Pに順次転写されていく。なお、転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送される。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化される。次いで、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図3に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
上記の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを選択して容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成する。そして、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図3では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
まず、本発明に係る電子輸送性化合物の合成例を示す。
(合成例1)
ジメチルアセトアミド200部に、窒素雰囲気下で、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(東京化成工業(株)製)5.4部および2−メチル6−エチルアニリン(東京化成工業(株)製)4部、2−アミノ1−ブタノール3部を加え、室温で1時間撹拌し、溶液を調製した。溶液を調製後、8時間還流を行い、析出物を濾別し、酢酸エチルで再結晶を行い、化合物A101を1.0部得た。
(合成例2)
ジメチルアセトアミド200部に、窒素雰囲気下で、東京化成工業(株)製ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(東京化成工業(株))製5.4部、および2−アミノ酪酸(東京化成工業(株))5部を加え、室温で1時間撹拌し、溶液を調製した。溶液を調製後、8時間還流を行い、析出物を濾別し、酢酸エチルで再結晶を行い、化合物A129を4.6部得た。
(合成例3)
ジメチルアセトアミド200部に、窒素雰囲気下で、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.4部および2,6ジエチルアニリン(東京化成工業(株)製)4.5部、4−アミノベンゼンチオール4部を加え、室温で1時間撹拌し、溶液を調製した。溶液を調製後、8時間還流を行い、析出物を濾別し、酢酸エチルで再結晶を行い、化合物A114を1.3部得た。
(合成例4)
トルエン100部およびエタノール50部の混合溶媒へ、アルドリッチ社製4−(ヒドロキシメチル)フェニルボロン酸2.8部およびシグマアルドリッチジャパン(株)社製フェナントレンキノンから窒素雰囲気下でChem. Educator No.6, 227−234 (2001)に記載の合成方法で合成した3,6−ジブロモ−9,10−フェナントレンジオン7.4部を加え、20%炭酸ナトリウム水溶液100部を滴下した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を0.55部添加した後、2時間還流させた。反応後有機相をクロロホルムで抽出し、水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥を行った。溶媒を減圧下で除去した後、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製を行い、化合物A216を3.2部得た。
(合成例5)
3−アミノフェニルボロン酸1水和物2.8部およびフェナントロリンキノン(シグマアルドリッチジャパン(株)社製)を窒素雰囲気下で、合成例4と同様に2,7−ジブロモ−9,10−フェナントロリンキノン7.4部を合成した。トルエン100部およびエタノール50部の混合溶媒に、2,7−ジブロモ−9,10−フェナントロリンキノン7.4部を加え、20%炭酸ナトリウム水溶液100部を滴下した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を0.55部添加した後、2時間還流させた。反応後、有機相をクロロホルムで抽出し、水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥を行った。溶媒を減圧下で除去した後、残留物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製を行い、化合物A316を2.2部得た。
(合成例6)
ジメチルアセトアミド200部に、窒素雰囲気下で、ペリレンテトラカルボン酸二無水物(東京化成工業(株)製)7.4部および2,6ジエチルアニリン(東京化成工業(株)製)4部、2−アミノフェニルエタノール4部を加え、室温で1時間撹拌し、溶液を調製した。溶液を調製後、8時間還流を行い、析出物を濾別し、酢酸エチルで再結晶を行い、化合物A803を5.0部得た。
(合成例7)
ジメチルアセトアミド200部に、窒素雰囲気下で、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.4部およびロイシノール5.2部を加え、室温で1時間撹拌後、7時間還流を行った。ジメチルアセトアミドを減圧蒸留で除いた後、酢酸エチルで再結晶を行い、化合物A168を5.0部得た。
(合成例8)
ジメチルアセトアミド200部に、窒素雰囲気下で、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.4部およびロイシノール2.6部、2−(2−アミノエチルチオ)エタノール2.7部を加え、室温で1時間撹拌後、7時間還流を行った。得られた黒褐色溶液からジメチルアセトアミドを減圧蒸留で除いた後、酢酸エチル/トルエン混合溶液に溶解した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒酢酸エチル/トルエン)で分離後、目的物を含有するフラクションを濃縮し、得られた結晶をトルエン/ヘキサン混合溶液で再結晶を行い、化合物A163を2.5部得た。
次に、電子写真感光体の製造および評価について示す。
(実施例1)
長さ260.5mmおよび直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体(導電性支持体)とした。
次に、酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子(粉体抵抗率:120Ω・cm、酸化スズの被覆率:40%。)50部、フェノール樹脂(プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分:60%。)40部、メトキシプロパノール50部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、3時間分散処理することによって、導電層用塗布液(分散液)を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱重合させることによって、膜厚が16μmの導電層を形成した。
この導電層用塗布液における酸素欠損型酸化スズが被覆されている酸化チタン粒子の平均粒径を、(株)堀場製作所製の粒度分布計(商品名:CAPA700)を用い、テトラヒドロフランを分散媒とし、回転数5000rpmにて遠心沈降法で測定した。その結果、平均粒径は0.31μmであった。
次に、化合物(A101)4部、架橋剤(B1:保護基(H1)=5.1:2.2(質量比))7.3部、樹脂(D1)0.9部、触媒としてのジオクチルスズラウリレート0.05部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が0.53μmの硬化膜である電子輸送層(下引き層)を形成した。
電子輸送層用塗布液の電子輸送物質、架橋剤および樹脂の全質量に対する電子輸送物質の含有量は33質量%であった。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶(電荷発生物質)10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部およびシクロヘキサノン250部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルに入れ、1.5時間分散処理した。次に、これに酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、電子輸送層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(9)で示されるアミン化合物(正孔輸送物質)8部、および、下記式(10−1)で示される繰り返し構造単位、および下記式(10−2)で示される繰り返し構造単位を5/5の割合で有し、重量平均分子量(Mw)が100000であるポリエステル樹脂(I)10部を、ジメトキシメタン40部およびo−キシレン60部の混合溶剤に溶解させることによって、正孔輸送層用塗布液を調製した。この正孔輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が15μmの正孔輸送層を形成した。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
このようにして、プラスメモリーおよび電位変動評価用の電子写真感光体を製造した。また、上記と同様にして、もう1つの電子写真感光体を製造し、判定用電子写真感光体とした。
(判定試験)
上記判定用電子写真感光体を、ジメトキシメタン40部およびo−キシレン60部の混合溶剤に5分間浸漬させ、正孔輸送層を剥離させた後、さらにシクロヘキサノン溶剤に5分間浸漬させ、電荷発生層も剥離させた。その後、10分100℃で乾燥させた。FTIR−ATR法を用いて電子輸送層表面に正孔輸送層及び電荷発生層の成分が残っていないことを確認した。この電子写真感光体を温度25℃、湿度50%RH環境下に24時間放置した後、電子写真感光体の中央部分(端から130mmの位置)を1cm角に切り出し、ESCA測定用サンプルを作製した。
ESCA測定は上述のとおり、電子輸送層の表面の測定から3分毎のIon gun C60(以下C60)とも称する)によるエッチングを行った。その後、各原子の比率の測定を繰り返し、導電層に到達する(酸化チタン粒子が含有するTiが検出させる)まで、C60による深さ方向の各原子の比率の分析を行った。30分までのエッチング時間から、電子輸送層の上端の点と下端の点、および電子輸送層の膜厚を深さ方向に9等分する8個の点からなる合計10点を選出した。10点の各測定点で得られた炭素原子の比率(atoms %)、窒素原子の比率(atoms %)、および酸素原子の比率(atoms %)、それらから算出した各原子の比率の標準偏差σ(C)、σ(N)、およびσ(O)を表11に示す。また、電子輸送層(硬化膜)を構成する原子として、炭素原子、窒素原子、酸素原子の他に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子、硫黄原子などの原子の測定も行った。そして、水素原子を除く全原子の比率に対する、炭素原子の比率、窒素原子の比率、および酸素原子の比率の合計(構成割合)を合計含有比率(atoms %)として測定した。その結果を表12に示す。
なお、判定用電子写真感光体の正孔輸送層および電荷発生層を溶剤で剥離せず、電子写真感光体の中央部分(端から130mmの位置)を1cm角に切り出し、ESCA測定用サンプルを作製した。このサンプルを電荷輸送層上から同様にして、ESCAによる深さ方向の各原子の比率の分析を行ったところ、電荷発生層および正孔輸送層を剥離した場合と同様の結果が得られた。なお、この場合、電子輸送層表面としたのは、電荷発生物質のガリウム原子の検出がなくなった時点とした。
Figure 0005975942
(プラスメモリーおよび電位変動の評価)
製造したプラスメモリーおよび電位変動評価用の電子写真感光体を、キヤノン(株)製のレーザービームプリンター(商品名:LBP−2510)の改造機(前露光OFF、一次帯電:ローラ接触DC帯電、プロセススピード120mm/秒、レーザー露光。)に装着して、電位変動および出力画像(プラスメモリー)の評価を行った。詳しくは以下のとおりである。
1.プラスメモリー
温度23℃、湿度50%RHの環境下にて、上記レーザービームプリンターのシアン色用のプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8:トレック・ジャパン(株)製)を装着した。製造した電子写真感光体をシアン色用のプロセスカートリッジに装着して、電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344:トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。また、電子写真感光体の表面電位は、暗部電位(Vd)が−600V、明部電位(Vl)が−200Vになるよう、帯電電圧と露光光量を設定した。次に、外部電源(トレック社製高圧電源、Model 610C)により、DC帯電として+300Vを5分間、レーザービームプリンターの中で電子写真感光体を回転させながら帯電ローラより印加した。5分後にプラス電荷(+300V)印加前の暗部電位(Vd)、明部電位(Vl)を設定した帯電電圧と露光光量で、5分後にプラス電荷(+300V)印加後の暗部電位、明部電位測定を行った。そして、プラス電荷印加前後の明部電位差をプラスメモリー△Vlとして測定した。結果を表12に示す。
次いで、上記レーザービームプリンターのシアン色用のプロセスカートリッジに、上述の電子写真感光体を装着して、そのプロセスカートリッジをシアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、プラス電荷印加前後で画像を出力した。プラス電荷印加前後でハーフトーン画像を1枚ずつ画像出力した。
ハーフトーン画像は図4に示すように、1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像を作成したものである。
プラスメモリー画像の評価は、プラス電荷印加前の1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像の画像濃度と、プラス電荷印加後の1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像の画像濃度との濃度差を測定することで行った。分光濃度計(商品名:X−Rite504/508、X−Rite(株)製)で、1枚のドット桂馬パターンのハーフトーン画像中で濃度差を10点測定した。合計10点の平均を算出した。同様にしてプラス電荷印加を行っていないときのハーフトーン画像においても同様に、合計10点の濃度の平均値を算出した。両者の画像濃度差を表12に示す。ハーフトーン画像の濃度が大きいほど、プラスメモリーが強く生じていることになる。上記濃度差(マクベス濃度差)が小さいほど、プラスメモリーが抑制されたことを意味する。プラスメモリー画像濃度差が0.10以上であると見た目に明らかな差があるレベルであり、0.10未満であれば見た目に明らかな差はないレベルであった。
2.電位変動
温度23℃、湿度5%RHの環境下にて、上記レーザービームプリンターのシアン色用のプロセスカートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8:トレック・ジャパン(株)製)を装着した。電子写真感光体の中央部の電位を表面電位計(model344:トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。また、暗部電位(Vd)が−600V、明部電位(Vl)が−200Vになるよう、帯電電圧と露光光量を設定した。
その状態(現像機の部分に電位プローブがある状態)で設定した露光量において、連続2000枚の繰り返し使用を行った。2000枚後のVd、Vlを表12に示す。
(実施例2〜5)
電子輸送層の膜厚を0.53μmから0.38μm(実施例2)、0.25μm(実施例3)、0.20μm(実施例4)、0.15μm(実施例5)に変更した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表12に示す。
(実施例6)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表12に示す。
電子輸送物質(A101)4部、イソシアネート化合物(B1:保護基(H1)=5.1:2.2(質量比))5.5部、樹脂(D1)0.3部、触媒としてのジオクチルスズラウリレート0.05部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が0.61μmの硬化膜である電子輸送層を形成した。
(実施例7〜9)
電子輸送層の膜厚を0.61μmから0.52μm(実施例7)、0.40μm(実施例8)、0.26μm(実施例9)に変更した以外は実施例6と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表12に示す。
(実施例10)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表12に示す。
電子輸送物質(A101)5部、アミン化合物(C1−3)2.3部、樹脂(D1)3.3部、触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.1部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、硬化させることによって、膜厚が0.51μmの硬化膜である電子輸送層を形成した。
(実施例11、12)
電子輸送層の膜厚を0.51μmから0.45μm(実施例11)、0.34μm(実施例12)に変更した以外は実施例10と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表12に示す。
(実施例13)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表12に示す。
(電子輸送層)
電子輸送物質(A101)5部、アミン化合物(C1−3)1.75部、樹脂(D1)2部、触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.1部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が0.70μmの硬化膜である電子輸送層を形成した。
(実施例14〜16)
電子輸送層の膜厚を0.70μmから0.58μm(実施例14)、0.50μm(実施例15)、0.35μm(実施例16)に変更した以外は実施例13と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表12に示す。
(実施例17〜32)
実施例9の電子輸送物質(A101)から表12に示すように変更した以外は実施例9と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表12に示す。
(実施例33〜47)
実施例16の電子輸送物質を(A101)から表12、13に示すように変更した以外は実施例16と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表12、13に示す。
(実施例48〜53)
実施例8の架橋剤、電子輸送層の膜厚を表13に示すように変更した以外は実施例8と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例54、55)
実施例16の架橋剤を表13に示すように変更した以外は実施例16と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例56)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
電子輸送物質(A101)4部、アミン化合物(C1−9)4部、樹脂(D1)1.5部、触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.2部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が0.35μmの硬化膜である電子輸送層を形成した。
(実施例57、58)
実施例56の架橋剤を表13に示すように変更した以外は実施例56と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例59〜62)
実施例9の樹脂を表13に示すように変更した以外は実施例9同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例63)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
電子輸送物質(A124)6部、アミン化合物(C1−3)2.1部、樹脂(D21)1.2部、触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.1部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が0.80μmの硬化膜である電子輸送層を形成した。
(実施例64、65)
実施例63の電子輸送物質を(A124)から表13に示すように変更した以外は実施例63と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例66)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
電子輸送物質(A125)6部、アミン化合物(C1−3)2.1部、樹脂(D21)0.5部、触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.1部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が2.10μmの硬化膜である電子輸送層を形成した。
(実施例67)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
電子輸送物質(A125)6.5部、アミン化合物(C1−3)2.1部、樹脂(D21)0.4部、触媒としてのドデシルベンゼンスルホン酸0.1部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が2.10μmの硬化膜である電子輸送層を形成した。
(実施例68)
電子輸送層の膜厚を2.10μmから1.55μmに変更した以外は実施例66と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例69)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
電子輸送物質(A404)3.6部、イソシアネート化合物(B1:保護基(H1)=5.1:2.2(質量比))7.0部、樹脂(D11)1.3部、触媒としてのジオクチルスズラウリレート0.05部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が0.53μmの硬化膜である電子輸送層を形成した。
(実施例70〜77)
実施例69の電子輸送物質、架橋剤、樹脂の種類を表13に示すように変更した以外は、実施例69と同様にして電子写真感光体を形成し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例78、79)
実施例69の電子輸送物質、架橋剤、樹脂の種類を表13に示すように変更し、電子輸送層の膜厚を1.20μmに変更した以外は、実施例69と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例80)
電子輸送層の膜厚を0.80μmから3.30μmに変更した以外は実施例63と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例81)
電子輸送層の膜厚を0.80μmから3.80μmに変更した以外は実施例64と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例82)
電子輸送層の膜厚を2.10μmから4.50μmに変更した以外は実施例66と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例83〜85)
実施例69の電子輸送物質、架橋剤、樹脂の種類を表13に示すように変更した以外は、実施例69と同様にして電子写真感光体を形成し、同様に評価した。結果を表13に示す。
(実施例86)
実施例1において、導電層用塗布液、下引き層用塗布液および正孔輸送層用塗布液の調整を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にプラスメモリーの評価を行った。結果を表14に示す。
導電層用塗布液の調製を以下のように変更した。金属酸化物粒子としての酸素欠損型酸化スズ(SnO)が被覆されている酸化チタン(TiO)粒子214部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325。)132部、および、溶剤としての1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れた。次に、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。
この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。
ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着樹脂の合計質量に対して10質量%になるように、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子を分散液に添加した。シリコーン樹脂粒子は、商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製、平均粒径2μmのものを用いた。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着樹脂の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイルを分散液に添加して撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。シリコーンオイルは、商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製のものを用いた。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
次に、下引き層用塗布液の調製を以下のように変更した。化合物(A168)6.2部、架橋剤(B1、保護基(H5)=5.1:2.9(質量比))7部、樹脂(B25)1.1部、触媒としてのジオクチルスズラウリレート0.05部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、硬化(重合)させることによって、膜厚が0.52μmの硬化膜である下引き層を形成した。
次に正孔輸送層用塗布液の調製を以下のように変更した。上記式(9)で示される構造を有する正孔輸送物質9部、下記式(18)で示される構造を有する正孔輸送物質1部、下記式(24)で示される繰り返し構造、下記式(26)で示される繰り返し構造と下記式(25)で示される繰り返し構造を7:3の比で有するポリエステル樹脂F(重量平均分子量90,000)3部および、上記式(10−1)で示される繰り返し構造と上記式(10−2)で示される繰り返し構造を5:5の比で含有するポリエステル樹脂I(重量平均分子量120,000)7部を、ジメトキシメタン30部およびオルトキシレン50部の混合溶剤に溶解させることによって、正孔輸送層用塗布液を調製した。なお、ポリエステル樹脂Fのおける、下記式(24)で示される繰り返し構造単位の含有量が10質量%であり、下記式(25)、(26)で示される繰り返し構造単位の含有量が90質量%であった。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
この正孔輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを1時間120℃で乾燥させることによって、膜厚が16μmの正孔輸送層を形成した。形成された正孔輸送層には電荷輸送物質とポリエステル樹脂Iを含むマトリックス中にポリエステル樹脂Fを含むドメイン構造が含有されていることが確認された。
(実施例87)
実施例86において、正孔輸送層用塗布液の調製を以下のように変更した以外は、実施例86と同様に電子写真感光体を製造し、同様にプラスメモリーの評価を行った。結果を表14に示す。
正孔輸送層用塗布液の調製を以下のように変更した。上記式(9)で示される構造を有する正孔輸送物質9部、上記式(18)で示される構造を有する正孔輸送物質1部、下記式(29)で示される繰り返し構造を有するポリカーボネート樹脂J(重量平均分子量70,000)10部、および、下記式(29)で示される繰り返し構造、下記式(30)で示される繰り返し構造および、末端の少なくともいずれか一方に下記式(31)で示される構造を有するポリカーボネート樹脂K(重量平均分子量40,000)0.3部を、ジメトキシメタン30部およびオルトキシレン50部混合溶剤に溶解させることによって、正孔輸送層用塗布液を調製した。ポリカーボネート樹脂Kにおける、下記式(30)と(31)で示される構造の合計質量が30質量%であった。この正孔輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、これを1時間120℃で乾燥させることによって、膜厚が16μmの正孔輸送層を形成した。
Figure 0005975942
(実施例88)
実施例87の正孔輸送層用塗布液の調製において、ポリカーボネート樹脂J10部の代わりに、ポリエステル樹脂I(重量平均分子量120,000)10部とした以外は実施例87と同様に電子写真感光体を製造し、同様にプラスメモリーの評価を行った。結果を表14に示す。
(実施例89〜91)
実施例86〜88において、導電層用塗布液の調製を以下のように変更した以外は、実施例86〜88と同様に電子写真感光体を製造し、同様にプラスメモリーの評価を行った。結果を表14に示す。
導電層用塗布液の調製を以下のように変更した。金属酸化物粒子としてのリン(P)がドープされている酸化スズ(SnO)で被覆されている酸化チタン(TiO)粒子207部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325)144部、および、溶剤としての1−メトキシ−2−プロパノール98部を、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。
この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。
ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着樹脂の合計質量に対して15質量%になるように、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120)を分散液に添加した。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着樹脂の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA)を分散液に添加して撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
(実施例92,93)
実施例86において、電子輸送物質の種類と含有量を表14に示すように変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を製造し、同様にプラスメモリーの評価を行った。結果を表14に示す。
Figure 0005975942
Figure 0005975942
Figure 0005975942
(比較例1)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表15に示す。
電子輸送物質(A225)4.0部、ヘキサメチレンジイソシアネート3部、樹脂(D1)4部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.0μmの電子輸送層を形成した。
(比較例2)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表15に示す。
電子輸送物質(A124)5部、2,4−トルエンジイソシアネート2.5部、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)(商品名:マルカリンカー、丸善石油化学社製)2.5部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が0.4μmの電子輸送層を形成した。
(比較例3)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表15に示す。
電子輸送物質(A124)7部、2,4−トルエンジイソシアネート2.0部、「マルカリンカー」1部を、ジメチルアセトアミド100部とメチルエチルケトン100部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間160℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が0.4μmの電子輸送層を形成した。
Figure 0005975942
(比較例4)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
電子輸送物質(A922)5部、イソシアネート化合物(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学工業(株)製)10部、触媒としてのジオクチルスズラウリレート0.005部を、メチルエチルケトン120部の溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を40分間170℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.0μmの電子輸送層を形成した。
(比較例5)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
電子輸送物質(A101)5部、メラミン樹脂(ユーバン20HS:三井化学製)2.4部を、テトラヒドロフラン50部とメトキシプロパノール50部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を60分間150℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.00μmの電子輸送層を形成した。
(比較例6)
電子輸送層の膜厚を1.00μmから0.50μmに変更した以外は比較例5と同様にして電子写真感光体を作成し、同様に評価した。結果を表16に示す。
(比較例7)
電子輸送層のメラミン樹脂をフェノール樹脂(プライオーフェンJ325:大日本インキ化学工業(株)製)に変更した以外は比較例5と同様に電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
(比較例8)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
下記式(12)で示される電子輸送物質5部とトリメチロールプロパントリアクリレート(カヤラッドTMPTA:日本化薬(株)製)5部、AIBN(2,2−アゾビスイソブチロニトリル)0.1部をテトラヒドロフラン190部に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が0.8μmの電子輸送層を形成した。
Figure 0005975942
(比較例9)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
上記式(12)で示される電子輸送物質5部と下記式(13)で示される化合物5部をトルエン60部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を加速電圧150kV、照射線量10Mradの条件で電子線を照射し重合させることによって、膜厚が1.0μmの電子輸送層を形成した。
Figure 0005975942
(比較例10)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
特表2009−505156号公報の実施例1に記載の下記式で示されるブロック共重合体、ブロックイソシアネート化合物、および塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いて電子輸送層を形成し、0.32μmの電子輸送層を形成した。
Figure 0005975942
(比較例11)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
電子輸送物質(A101)5部、ポリカーボネート樹脂(Z200:三菱ガス化学(株)製)5部を、ジメチルアセトアミド50部とクロロベンゼン50部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間120℃で加熱し、重合させることによって、膜厚が1.00μmの電子輸送層を形成した。
(比較例12)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
樹脂(D1)5部をメチルエチルケトン200部の混合溶媒に溶解した溶液に、下記構造式(15)ので示される電子輸送物質(顔料)5重量部を加え、サンドミルにて3時間分散処理を行い、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で加熱し、膜厚が1.5μmの電子輸送層を形成した。
Figure 0005975942
(比較例13)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
シランカップリング剤で表面処理をした酸化亜鉛顔料、アリザリン(A922)、ブロックイソシアネートおよびブチラール樹脂を用いて電子輸送層を形成(特開2006−030698号公報の実施例1の構成)し、25μmの電子輸送層を形成した。
(比較例14)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
下記式(11‐1)で示される構造を有する化合物、および(11‐2)で示される構造を有する化合物の混合物10部に、N−メチル−2−ピロリドン30部とシクロヘキサノン60部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を30分間150℃で加熱し、重合させることによって、下記式(11−3)で示される構造を有する、膜厚が0.20μmの電子輸送層を形成した。
Figure 0005975942
(比較例15)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
上記式(12)で示される電子輸送物質10部をトルエン60部の混合溶媒に溶解し、電子輸送層用塗布液を調製した。この電子輸送層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を加速電圧150kV、照射線量10Mradの条件で電子線を照射し重合させることによって、膜厚が1.0μmの電子輸送層を形成した。
(比較例16)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
特許4594444号公報の実施例1に記載の電子輸送物質を含有する共重合体の粒子を用いて電子輸送層を形成し、膜厚が1.00μmの電子輸送層を形成した。
(比較例17)
電子輸送層を以下のように形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造し、同様に評価した。結果を表16に示す。
特開2004−093801号公報の実施例1に記載の電子輸送物質の重合体を溶媒に溶解させた電子輸送層用塗布液を用いて、電子輸送層を形成し、膜厚が2.00μmの電子輸送層を形成した。
Figure 0005975942
実施例と比較例1〜9との比較により、重合性官能基を有する電子輸送物質、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、および架橋剤を含む組成物を重合させて得られる硬化物を含有する場合でも、本願の効果が得られない場合がある。すなわち、比較例1〜9の本発明の式(1)〜(3)を満たさない電子輸送層は、実施例の式(1)〜(3)の範囲を満たす場合に比べ、プラスメモリーの低減効果及び電位変動の抑制が十分得られない場合があることが分かる。また、比較例5〜9では、樹脂が存在しないために架橋剤同士の結合が多く進行した結果、電子輸送物質の凝集を引き起こし、式(1)〜(3)を満たさない結果となっていると考えられる。また、実施例と比較例10との比較により、特表2009−505156号公報に記載された電子輸送層でも、プラスメモリーの低減効果は十分に得られない場合があることが分かる。これは電子輸送物質の分子量が大きなポリマーであるため、電子輸送層に成分の凝集が生じ、式(1)〜(3)を満たさず、プラスメモリーが生じやすくなっていると考えられる。
実施例と比較例10〜13との比較により、重合性官能基を有さない電子輸送物質や、金属酸化物を多く含有する場合は、式(1)〜(3)を満たさず、プラスメモリーの低減効果および電位変動の抑制が十分に得られないことが示されている。重合性官能基を有さない電子輸送物質を含有する電子輸送層では、電子輸送物質が感光層に溶出し、電荷発生層界面の電子輸送層中の電子輸送物質の濃度が大幅に低下していると考えられる。
比較例14〜17によれば、電子輸送層が電子輸送物質のみからなる膜を構成した場合には、式(1)〜(3)の範囲を満たさず、プラスメモリーの低減が十分ではない場合があることが分かる。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材
101 支持体
102 電子輸送層
103 感光層
104 電荷発生層
105 正孔輸送層

Claims (15)

  1. 支持体と、電子輸送層と、感光層この順に有する電子写真感光体であって、
    該電子輸送層は、重合性官能基を有する電子輸送物質、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、および架橋剤を含む組成物の硬化物であり、かつ、炭素原子、窒素原子および酸素原子を含有
    該電子輸送層が下記式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする電子写真感光体。
    σ(C)≦1.5 (1)
    σ(N)≦1.5 (2)
    σ(O)≦1.5 (3)
    (式(1)〜(3)中、
    σ(C)は、10点における該電子輸送層の水素原子を除く全原子に対する該炭素原子の比率(atoms %)をX線光電子分光法(ESCA)によって分析したときの、得られた10点の値の標準偏差を示す。
    σ(N)は、10点における該電子輸送層の水素原子を除く全原子に対する該窒素原子の比率(atoms %)をX線光電子分光法(ESCA)によって分析したときの、得られた10点の値の標準偏差を示す。
    σ(O)は、10点における該電子輸送層の水素原子を除く全原子に対する該酸素原子の比率(atoms %)をX線光電子分光法(ESCA)によって分析したときの、得られた10点の値の標準偏差を示す。
    該10点は、該電子輸送層の上端の点と下端の点、および電子輸送層の膜厚を深さ方向に9等分する8個の点からなる。)
  2. 前記標準偏差σ(C)、σ(N)、およびσ(O)が、下記式(4)〜(6)を満たす請求項1に記載の電子写真感光体。
    σ(C)≦1.0 (4)
    σ(N)≦1.0 (5)
    σ(O)≦1.0 (6)
  3. 前記電子輸送層中の前記炭素原子の比率、前記窒素原子の比率、および前記酸素原子の比率の合計が、90%以上100%以下(ESCAにおいて測定感度のない水素原子を除く)である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記重合性官能基を有する電子輸送物質の分子量が、前記架橋剤の分子量に対して、0.5倍以上1.5倍以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量が5000以上400000以下である請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量が5000以上300000以下である請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記電子輸送物質の重合性官能基が、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、メトキシ基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも1種である請求項4から6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記電子輸送物質の分子量が1000以下である請求項4から7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記電子輸送物質が、下記式(A1)〜(A9)のいずれかで示される化合物である請求項4から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0005975942
    (式(A1)〜(A9)中、R101〜R106、R201〜R210、R301〜R308、R401〜R408、R501〜R510、R601〜R606、R701〜R708、R801〜R810、R901〜R908は、それぞれ独立に、下記式(A)で示される1価の基、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換の複素環を示す。該アルキル基の主鎖中の炭素原子の1つは、O、S、NH、NR1001(R1001はアルキル基)で置き換わっても良い。該置換のアルキル基の置換基は、アルキル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、またはハロゲン原子である。該置換のアリール基または該置換の複素環基の置換基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基である。Z201、Z301、Z401およびZ501は、それぞれ独立に、炭素原子、窒素原子、または酸素原子を示す。Z201が酸素原子である場合はR209およびR210は存在せず、Z201が窒素原子である場合はR210は存在しない。Z301が酸素原子である場合はR307およびR308は存在せず、Z301が窒素原子である場合はR308は存在しない。Z401が酸素原子である場合はR407およびR408は存在せず、Z401が窒素原子である場合はR408は存在しない。Z501が酸素原子である場合はR509およびR510は存在せず、Z501が窒素原子である場合はR510は存在しない。)
    Figure 0005975942
    (式(A)中、α、β、およびγの少なくとも1つは置換基を有する基であり、該置換基は、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、およびメトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基である。lおよびmは、それぞれ独立に、0または1であり、lとmの和は、0以上2以下である。
    αは、主鎖の原子数が1〜6のアルキレン基、炭素数1〜6のアルキル基で置換された主鎖の原子数が1〜6のアルキレン基、ベンジル基で置換された主鎖の原子数1〜6のアルキレン基、アルコシキカルボニル基で置換された主鎖の原子数1〜6のアルキレン基、またはフェニル基で置換された主鎖の原子数が1〜6のアルキレン基を示す。これらの基は、置換基として、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基およびメトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有しても良い。該アルキレン基の主鎖中の炭素原子の1つは、OまたはSまたはNHまたはNR19(R19はアルキル基である。)で置き換わっていても良い。
    βは、フェニレン基、炭素数1〜6のアルキル置換フェニレン基、ニトロ置換フェニレン基、ハロゲン置換フェニレン基、またはアルコキシ基置換フェニレン基を示す。これらの基は、置換基として、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、およびメトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有しても良い。
    γは、水素原子、主鎖の原子数が1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルキル基で置換された主鎖の原子数が1〜6のアルキル基を示す。これらの基は、置換基として、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、およびメトキシ基からなる群より選択される少なくとも1種の基を有しても良い。該アルキル基の主鎖中の炭素原子の1つは、OまたはSまたはNHまたはNR1003(R1003はアルキル基である。)で置き換わっていても良い。)
  10. 重合性官能基を有する熱可塑性樹脂が、下記式(D)に示される構造単位を有する請求項4から9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0005975942
    (式(D)中、R61は、水素原子またはアルキル基を示す。Yは、単結合、アルキレン基またはフェニレン基を示す。Wは、ヒドロキシ基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、またはメトキシ基を示す。)
  11. 前記架橋剤が、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、または−CH−ORで示される基(Rは、水素原子またはアルキル基)を3〜6個有する化合物である請求項4から10のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  12. 前記架橋剤の分子量が1000以下である請求項4から11のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
  14. 請求項1から12のいずれか1項に記載の電子写真感光体、ならびに、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置。
  15. 請求項1から12のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法であって、
    前記重合性官能基を有する電子輸送物質、前記重合性官能基を有する熱可塑性樹脂、および前記架橋剤を含む組成物を含有する電子輸送層用塗布液の塗膜を形成する工程と、
    該塗膜を加熱乾燥させることによって、組成物を重合させ、電子輸送層を形成する工程とを有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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